JP5028488B2 - 倒立二輪型搬送車及びその制御方法 - Google Patents

倒立二輪型搬送車及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、荷物もしくは人の運搬作業を行う搬送車であって、本来不安定な機体を平衡させて荷物もしくは人を安定に運ぶための機構技術及び制御技術を備えた倒立二輪型搬送車に関する。また、本発明は、倒立二輪型搬送車で坂道を登り降りするときにも、荷物もしくは人の重量物を搭載する荷台を常に水平に維持して安定した姿勢で走行できる倒立二輪型搬送車に関する。さらに、本発明は、倒立二輪型搬送車の走行経路に段差があっても、段差の乗り越え走行を安定した姿勢で行うことができる倒立二輪型搬送車に関する。
従来の倒立二輪型搬送車としては、不安定な機体を制御技術によって平衡を維持しながら荷物もしくは人を安定に運ぶものがあった(例えば、特許文献1参照)。図27及び図28は、前記特許文献1に記載された従来の倒立二輪型搬送車を示すものである。
図27及び図28において、車軸101の両端には一対の車輪102,103が止着されており、車軸101には四角枠形状の車体104が傾動可能に支持されている。車体104の上部には、支軸105が回動可能に架設支持されており、支軸105の中央には、姿勢制御アーム106が吊下固定されているとともに、姿勢制御アーム106の下端には、重錘106aが取り付けられている。
重錘106a直下にて車体104には、正逆転可能な車輪駆動用モータ107が装着されており、その駆動軸107aと車軸101との間には、減速歯車列108が介在されている。これにより、車輪駆動用モータ107の回転駆動が減速して車軸101に伝達され、車輪102,103が正逆回転する。支軸105の直上にて車体104には、正逆転可能な姿勢制御アーム駆動用モータ109が装着されており、その駆動軸109aと支軸105との間には、減速歯車列110が介在されている。これにより、姿勢制御アーム駆動用モータ109の回転が減速されて支軸105に伝達され、姿勢制御アーム106が前後に揺動される。
車体104の一側面には、第1のロータリエンコーダ111が設けられており、その回転軸111aが車軸101の延長線上に設定されている。回転軸111aには、一対の接触片112,113が直角状態に取付けられており、それらの先端が床面に摺動可能に接触している。これにより、鉛直線に対する車体104の傾斜角が検出される。車輪駆動用モータ107には、第2のロータリエンコーダ114が装着されていると共に、姿勢制御アーム駆動用モータ109には、第3のロータリエンコーダ115が装着されており、両モータ107,109の回転角度、すなわち車輪102,103の回転角度、鉛直線に対する傾斜角及び姿勢制御アーム106の車体104に対する角度が検出される。車体104の下部には、マイクロコンピュータからなる制御コンピュータ116が搭載されており、上記各ロータリエンコーダ111,114,115の検出信号が入力される。
制御コンピュータ116は、入力信号に基づいて車輪駆動用モータ107及び姿勢制御アーム駆動用モータ109の制御トルクを算出し、これら制御トルク相当の作動を車輪駆動用モータ107及び姿勢制御アーム駆動用モータ109に指令する。具体的には、エンコーダ111,114,115により検出される角度は、ロボット(倒立二輪型搬送車)の姿勢を表す状態変数となるので、ロボットの力学モデルを適用し、これらの値に、予め姿勢を安定化する最適レギュレータ問題として算出した状態フィードバック係数を掛け合わせ、車輪駆動用モータ107及びアーム駆動用モータ109に対する制御トルクが求められる。この結果、車体104が傾動すれば、車輪102,103が車体104の傾動方向に向かって移動するとともに、姿勢制御アーム106が車体104の傾動方向と反対側へ回動し、車体104の水平バランス復元が確実に行われる。
また、従来の他の倒立搬送車としては、特許文献2に開示される倒立搬送車がある。図29は、特許文献2に記載された従来の倒立搬送車を示す図である。
図29において、椅子形状搬送装置331は、略球形状の球状回転体337と、球状回転体337上に設けられた筐体333と、操車者を保持するための座席334と、椅子形状搬送装置331の重心位置を変更するための第1カウンタウェイト部349c及び第2カウンタウェイト部349bとを有する。
筐体333には、球状回転体337を駆動する図示しない駆動部及び制御部と、筐体333の姿勢(傾き角度)を検出する図示しない傾き角度センサとが設けられている。傾き角度センサが筐体333の垂線に対する傾き角度に応じた信号を検出し、制御部が筐体333の傾き角度に応じた信号に応じて駆動部に駆動信号を出力し、駆動部が略球状の回転体337を回転させることにより、筐体333の姿勢及び移動が制御される。
操車者は、前傾、後傾等の姿勢を取ることにより体重を移動した場合に、重心の移動が筐体333に正確に伝わり、上記の姿勢制御とあいまって、操車者の意図する方向に椅子形状搬送装置331を走行させることができる。
また、第1カウンタウェイト部349cは、x軸方向に重量の移動を行うように配置され、第2カウンタウェイト部349bは、y軸方向に重量の移動を行うように配置されている。このため、第1カウンタウェイト部349cと第2カウンタウェイト部349bとにより、二次元的に重心位置を変更することができる。
以上の構成により、操車者の着座位置が予定位置からずれて、操車者の重心と搬送装置331の重心が一致しない場合に発生する筐体333の傾きに対し、制御部が筐体333の傾き角度に対応する信号に応じてカウンタウェイト駆動信号を出力して筐体333の水平バランスを回復できる。
特開昭63−305082号公報 特開2004−129435号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の従来の構成では、姿勢制御アーム106の先端に取り付けられた重錘106aの位置を動かすか、または予め機体内部に組み込まれた第1及び第2のカウンタウェイト部349c,349bを動かすことによって、機体の水平バランスを回復しているので、質量がカウンタウェイト以上に大きい荷物や人を搭載した場合、これらの重錘106aや第1及び第2のカウンタウェイト部349c,349bを動かすだけでは、機体の水平を回復できないという課題を有していた。また、仮に重錘やカウンタウェイトの質量を十分に大きくしようとすれば、機体重量が増大し、移動体としての運動性能を阻害するという課題を有していた。
また、質量をできるだけ小さくした重錘やカウンタウェイトを採用する場合、その質量をできるだけ小さくしてカウンタウェイトのモーメントを増大させるためには、その移動範囲をできるだけ広くする必要があり、重心ずれに対抗できるようなカウンタウェイト機構を設計することは、形状の大きさから事実上は困難であるという課題を有していた。
本発明の目的は、本来不安定な機体を制御によってバランスさせる倒立二輪型搬送車において、搭載された荷物もしくは人の重心と機体の重心との位置がずれたとしても、荷物もしくは人の搭載された機体全体の重心位置を車軸の位置に自動的に移動させ、水平バランスを回復することができる倒立二輪型搬送車を提供することである。
本発明の一局面に従う倒立二輪型搬送車は、荷物もしくは人を搭載可能な荷台を有する機体と、つの車輪に支持された台車と、前記機体と前記台車との間に設けられ、前記台車の進行方向に対して前記機体と前記台車との相対位置を変位させる移動機構部と、鉛直方向に対する前記機体の姿勢を検出する傾斜検出部と、前記台車の走行状態を検出する走行検出部と、前記2つの車輪にそれぞれ回転力を発生させる第1のアクチュエータと、前記移動機構部を介して前記機体に推力を発生させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとにトルク指令と推力指令とを出力する駆動制御部と、前記台車の位置及び速度のうち少なくとも1つの目標指令値を生成する目標指令部と、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号とを入力され、前記目標指令値と前記検出信号との偏差を基に偏差補償信号を生成する偏差補償部と、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号が入力され、前記機体の姿勢を制御する安定化信号を生成する安定化補償部とを備え、前記偏差補償部は、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて前記偏差補償信号を生成し、前記駆動制御部は、前記偏差補償信号と前記安定化信号とを基に前記トルク指令と前記推力指令とを生成する。
上記の構成により、本来不安定な機体を制御によってバランスさせる倒立二輪型搬送車において、搭載された荷物もしくは人の重心と機体の重心との位置がずれたとしても、移動機構部が荷物もしくは人の搭載された機体全体の重心位置を搬送車の車軸の位置に自動的に移動させ、荷台の水平バランスを維持することができる。
本発明によれば、本来不安定な機体を制御によってバランスさせる倒立二輪型搬送車において、搭載された荷物もしくは人の重心と機体の重心との位置がずれたとしても、荷物もしくは人の搭載された機体全体の重心位置を車軸の位置に自動的に移動させ、水平バランスを回復することができる倒立二輪型搬送車を提供することができる。
本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車の斜視図である。 図1に示す倒立二輪型搬送車の側面図である。 図1に示す倒立二輪型搬送車の正面図である。 本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車の各定数の定義を説明するための図である。 本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車の制御部の一例のブロック図である。 本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車が登坂する動作を説明するシミュレーション結果を示す時間波形図である。 従来の移動機構部のない倒立二輪型搬送車が登坂する動作を説明するシミュレーション結果を示す時間波形図である。 図6及び図7の倒立二輪型搬送車の動作シミュレーションに用いた速度指令の時間波形図である。 図6及び図7の倒立二輪型搬送車の動作シミュレーションに用いた坂道の形状断面図である。 図7の倒立二輪型搬送車の登坂時におけるシミュレーション結果を基に機体の前傾姿勢を模式的に示した図である。 図6の倒立二輪型搬送車の登坂時におけるシミュレーション結果を基に機体の前傾姿勢を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車の制御部に使用した偏差補償部の一例を示すブロック線図である。 シミュレーションに使用した比較例となる偏差補償部のブロック線図である。 図13に示す比較例の偏差補償部を用いたときのシミュレーションの結果を示す時間波形図である。 倒立二輪型搬送車の動作シミュレーションに用いた段差の形状断面図である。 従来の移動機構部のない倒立二輪型搬送車の段差乗り越え動作を説明するシミュレーション結果を示す時間波形図である。 本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車の段差乗り越え動作を説明するシミュレーション結果を示す時間波形図である。 図16の倒立二輪型搬送車の段差乗り越え時におけるシミュレーション結果を模式的に示した図である。 図17の倒立二輪型搬送車の段差乗り越え時におけるシミュレーション結果を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態2における倒立二輪型搬送車の制御部の一例のブロック図である。 図20に示す制御部を構成する信号変換部のより具体的な一例を示すブロック図である。 比較例として、移動機構部を有する倒立二輪型搬送車が垂直加速度センサを備えていない場合の段差乗り越えの動作シミュレーションの結果を示す時間波形図である。 本発明の実施の形態2における倒立二輪型搬送車の段差乗り越え動作を説明するシミュレーション結果を示す時間波形図である。 垂直加速度検出部が垂直方向の加速度を検出したときにパルス生成部が生成するパルス信号の時間波形図である。 本発明の実施の形態2における倒立二輪型搬送車の制御部の他の一例のブロック図である。 図25に示す制御部を構成する信号変換部のより具体的な一例を示すブロック図である。 従来のアームと先端の重錘とによって平衡される倒立二輪型搬送車を表す斜視図である。 図27に示す倒立二輪型搬送車を表す側面図である。 従来の椅子型の乗り物に組み込まれたカウンタウェイトを示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車の斜視図、図2は、この倒立二輪型搬送車の側面図、図3は、この倒立二輪型搬送車の正面図である。
図1乃至図3において、2つの車輪1a,1bは、同軸上に配置され、2つの車軸2a,2bにそれぞれ連結される。2つの第1のアクチュエータ3a,3bは、モータ等から構成され、2つの車軸2a,2bにそれぞれ連結されて2つの車輪1a,1bをそれぞれ独立して回転駆動する。台車5は、車軸2a,2bの軸回り上に回動可能なように、車軸2a,2bに支持された第1のアクチュエータ3a,3bを保持する。第1のアクチュエータ3a,3bは、倒立二輪型搬送車10の走行動作などの制御を行う制御部9により駆動制御され、倒立二輪型搬送車10を走行させるとともに、機体4の姿勢を平衡に維持する。
傾斜センサ6は、機体4の姿勢すなわち傾斜角を検出する傾斜検出部を構成し、傾斜センサ6の一例としては、ジャイロセンサが用いられる。エンコーダ12a,12bは、第1のアクチュエータ3a,3b又は車輪1a,1bに取り付けられ、台車5の走行状態を検出する走行検出部を構成する。垂直加速度センサ13は、垂直加速度検出部を構成し、倒立二輪型搬送車10の垂直方向の加速度を検出する。なお、垂直方向の加速度を検出しない場合、垂直加速度センサ13を省略してもよい。
この倒立二輪型搬送車10の機体4と台車5との間には、移動機構部7が設けられ、第2のアクチュエータ11により倒立二輪型搬送車10の進行方向に対して機体4と台車5との相対位置を変位可能なように構成されている。移動機構部7には、摩擦を低減する目的からローラ部7a,7bが荷重面7c,7dの間に配置され、第2のアクチュエータ11によって台車5と機体4との相対位置を自在に変位可能としている。第2のアクチュエータ11は、直線運動可能なリニアモータ、又は回転モータ及び回転運動を直線運動に変換する変換機構等から構成される。
また、この倒立二輪型搬送車10は、荷台の一例として、人が搭乗する搭乗座席8を機体4の上部に有している。なお、荷台の例は、本例に特に限定されず、荷物が載置される場合は、搭乗座席8に代えて、荷物の載置に適した荷物載置台等を用いてもよい。
上記の構成により、傾斜センサ6は、重力方向を検出して重力方向に対する機体4の傾斜姿勢を検出し、制御部9に検出信号を出力する。制御部9は、検出された傾斜に基づき、第1のアクチュエータ3a,3bと第2のアクチュエータ11とに対して適切なトルク指令と推力指令とを与えて機体4の姿勢を平衡に維持するように調整する。また、車輪1a,1bの回転角度は、第1のアクチュエータ3a,3bに取り付けられたエンコーダ12a,12bのパルスを計数することで測定される。
次に、本実施の形態に係る倒立二輪型搬送車の制御系について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車の各定数の定義を説明するための図である。
図4に示すように、機体4の傾斜角をφ、車輪1a,1bの回転角をθ、移動機構部7による台車5に対する機体4の相対変位量をδ、機体4の質量をm1、機体4の慣性モーメントをJ1、台車5の質量をm2、台車5の慣性モーメントをJ2、車輪1a,1bの質量をm3(車輪1a,1bは2つあるため、1つの車輪の質量の2倍として表示)、車輪1a,1bの慣性モーメントをJ3(車輪1a,1bは2つあるため、1つの車輪の慣性モーメントの2倍として表示)、車輪1a,1bの半径をr、車軸2a,2bの軸中心からの機体4の重心31の高さ(距離)をl1、車軸2a,2bの軸中心からの台車5の重心32の高さ(距離)をl2として定義する。
なお、図4において、荷物もしくは人が荷台すなわち搭乗座席8に搭載されたことによる質量と慣性モーメントとの増加分は、機体4の質量m1及び慣性モーメントJ1に含めてある。また、第1のアクチュエータ3a,3bの回転は、図示しない減速機構を介して車輪1a,1bに伝達されるが、第1のアクチュエータ3a,3bの車輪1a,1bから見た慣性モーメント(第1のアクチュエータの慣性モーメントJm及び減速比nとすれば、n×Jm)を車輪1a,1bの慣性モーメントJ3に含めてある。
また、第1のアクチュエータ3a,3bから減速機構を介して車輪1a,1bに伝達される回転トルクをT(第1のアクチュエータ3a,3bの発生トルクtm及び減速比nとすれば、n×tm)、移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力をF、車輪1a,1bの回転における粘性摩擦係数をμt、移動機構部7の粘性摩擦係数をμsとする。
倒立二輪型搬送車10のこれらの定数を以下のように定める。
機体4の質量 m1=55kg
台車5の質量 m2=15kg
車輪1a,1bの質量 m3=3×2kg
機体4の慣性モーメント J1=4kg・m
台車5の慣性モーメント J2=0.2kg・m
車輪1a,1bの慣性モーメント J3=0.1×2kg・m
車輪1a,1bの半径 r=0.2m
機体4の重心距離 l1=0.3m
台車5の重心距離 l2=0.1m
車輪の粘性摩擦係数 μt=0.0001N・m/(rad/s)
移動機構部の粘性摩擦係数 μs=0.0001N/(m/s)
重力加速度 g=9.8m/s
以上の定数を用いて、図4に示された倒立二輪型搬送車10の運動方程式は、以下の(式1)、(式2)及び(式3)の3式となる。ただし、倒立二輪型搬送車10が倒立状態にある場合は、機体4の傾斜角φが十分小さいものとして、(式4)、(式5)の近似式を用いて線形化している。なお、図及び式中の変数上の「・」は変数の1階時間微分、「‥」は変数の2階時間微分を示す。
Figure 0005028488
Figure 0005028488
Figure 0005028488
Figure 0005028488
Figure 0005028488
さらに、状態変数を(式6)、入力を(式7)のように定義すると、(式1)、(式2)及び(式3)は、(式8)の状態方程式として整理することができる。なお、(式6)及び(式7)に記述したTは、ベクトルの転置操作を示す。
Figure 0005028488
Figure 0005028488
Figure 0005028488
ここで、機体4の傾斜角φは、傾斜センサ6により測定可能であり、車輪1a,1bの回転角θは、エンコーダ12a,12bにより測定可能である。また、移動機構部7の相対変位量δは、移動機構部7に位置センサを取り付けて機体4と台車5との位置ずれを直接的に測定してもよく、または(式8)の状態方程式を基に、一般に使用される状態観測器を設け、測定可能な2つの状態変数(φ,θ)と2つの入力(T,F)から移動機構部7の相対変位量δを推定するように構成してもよい。状態観測器を設ければ、機体4と台車5との位置ずれδを測定するために、移動機構部7に位置センサを特別に設ける必要がなく、装置のコストダウンを図れる。
以上より、(式6)の状態変数は、すべて測定可能であり、適当な状態フィードバックゲインを最適レギュレータ法などにより定めることで、倒立二輪型搬送車10を倒立状態で安定化することが可能である。
図5は、本発明の実施の形態1における倒立二輪型搬送車10の制御部9の一例のブロック線図である。図5において、制御部9は、安定化補償部41、状態観測部42、駆動制御部43、目標状態生成部44及び偏差補償部45を備える。なお、図5では、ブロック線図における制御対象物として、倒立二輪型搬送車10を図示しており、第1のアクチュエータ3a,3b、第2のアクチュエータ11、傾斜センサ6及びエンコーダ12a,12b等を纏めて一つのブロックで示したものである。
図5に示すように、図1に示す倒立二輪型搬送車10は、車輪1a,1bを回転駆動させる第1のアクチュエータ3a,3bへのトルク指令Tと、移動機構部7の第2のアクチュエータ11への推力指令Fとを入力とし、(式6)の6つの状態変数xを出力とする2入力6出力系である。
ここで、倒立二輪型搬送車10の(式6)の状態変数xのうち、車輪1a,1bの回転角θと機体4の傾斜角φとだけがそれぞれエンコーダ12a,12bと傾斜センサ6とで検出される。また、回転角θ及び傾斜角φの2つの検出信号と、車輪1a,1bのトルク指令T及び移動機構部7の推力指令Fの2つの入力信号とが、状態観測部42に入力され、エンコーダやセンサを用いて検出できない(式6)の状態変数(δ,φ’,θ’,δ’)(以下、明細書中において、図及び式中の変数上の1階時間微分を表す「・」を「’」で表記する)も推定され、得られた状態変数xの推定値x^(以下、明細書中において、図及び式中の変数上の推定値を表す「^」を変数に続けて表記する)が安定化補償部41に入力される。
安定化補償部41は、状態観測部42で推定された状態変数x^に、制御系安定化のための状態フィードバックゲインを掛け合わせて生成した安定化信号P(2つの出力信号Tp,Fp)を駆動制御部43へ出力する。安定化信号Pは、(式9)で求めることができる。ここで、フィードバック係数FGは、状態フィードバックゲインを示し、(式10)で表現できる2行6列の行列である。
Figure 0005028488
Figure 0005028488
すなわち、(式9)により制御系のすべての状態変数x^に(式10)の各ゲイン係数を掛け合わせることにより状態フィードバックの制御演算を行う。状態フィードバックにより制御系を安定化する制御方法は、最適レギュレータ問題として従来からよく用いられ、フィードバック係数FGを求める方法は、リカッティ方程式の解法として知られており、本実施の形態においても、これらの公知の技術を用いることができる。このように、安定化補償部41及び状態観測部42が、少なくとも傾斜センサ6及びエンコーダ12a,12bの各検出信号が入力され、機体4の姿勢を制御する安定化信号Pを生成する安定化補償部の一例として機能する。
目標状態生成部44は、台車5の位置及び速度のうち少なくとも1つの目標指令値を生成する目標指令部として機能し、例えば、角速度指令θr’から車輪1a,1bの目標角度θr及び機体4の目標傾斜角φrを生成する。この場合、目標傾斜角φrは、機体4の傾斜を発生させないため、零である。
偏差補償部45には、倒立二輪型搬送車10の回転角θと機体4の傾斜角φとがフィードバックされ、偏差補償部45は、目標状態生成部44が出力する目標値(θr,φr)と、倒立二輪型搬送車10(エンコーダ12a,12b及び傾斜センサ6)の出力(θ,φ)とのそれぞれの偏差を基に、適当な演算を実行した後、偏差補償信号E(2つの出力信号Te,Fe)を駆動制御部43へ出力する。
駆動制御部43は、安定化補償部41と偏差補償部45とが出力する安定化信号Pと偏差補償信号Eとをそれぞれ加算して(式7)のトルク指令T及び推力指令Fを生成する。すなわち、トルク指令Tと推力指令Fとは、それぞれ(式11)、(式12)で求められる。
Figure 0005028488
Figure 0005028488
駆動制御部43によって生成されたトルク指令T及び推力指令Fは、倒立二輪型搬送車10(第1のアクチュエータ3a,3b及び第2のアクチュエータ11)に入力され、車輪1a,1bの回転角速度θ’が角速度指令θr’に一致し、機体4の傾斜角φが目標傾斜角φr(=0)になるように、フィードバック制御が行われる。なお、偏差補償部45の詳細な動作については、図12を用いて後述する。
図6は、本実施の形態の、移動機構部7を有する倒立二輪型搬送車10において、図5に示した制御系と(式8)で表される線形モデルとを組み合わせたシミュレーションの結果を示す時間波形図であり、図7は、移動機構部のない従来の倒立二輪型搬送車のシミュレーションの結果を示し、移動機構部7の効果を比較するための時間波形図である。図6及び図7では、各倒立二輪型搬送車は、図8に示すように、時刻t0から加速され、移動速度1m/sに達する速度指令を与えられ、時刻t1から図9に示す勾配10°の坂道を登るものとする。
図6において、図6(a)は、倒立二輪型搬送車10が倒立した停止状態(時刻t0)から1m/sに加速する様子を示した移動速度v、図6(b)は、移動機構部7を作用させたときの機体4の傾斜角φ、図6(c)は、移動機構部7の相対変位量δ、図6(d)は、車輪1a,1bの回転トルクT、図6(e)は、移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力Fをそれぞれ示す。ここで、倒立二輪型搬送車10の移動速度vは、(式13)により求めており、rは、車輪1a,1bの半径、θ’は、車輪1a,1bの回転角速度を示す。
Figure 0005028488
一方、図7において、図7(a)は、図6(a)と同様の移動速度v、図7(b)は、移動機構部が位置ずれを生じないように固定(δ=0)したときの機体4の傾斜角φ、図7(c)は、移動機構部の固定状態(δ=0)、図7(d)は、車輪1a,1bの回転トルクTを示す。
図6に示すように、本実施の形態では、移動機構部7を作用させているので、停止状態t0から加速するときに、移動機構部7の相対変位量δは、進行方向に約1cmとなり、機体4は、進行方向にわずかに前傾姿勢(φ≒0)になるだけである。時刻t1において図8の坂道を登るときも、移動機構部7の相対変位量δは、進行方向に約5cmとなるが機体4は、前傾姿勢にはならない。
それに対して、図7の従来の倒立二輪型搬送車(移動機構部を固定したものと同等)は、停止状態t0から加速するときに、進行方向に前傾姿勢(φ=2°)になり、その後一定速度で移動するときには、前傾姿勢は改善されるが(φ=0°)、時刻t1において坂道に到達して坂道を登るときは、再び前傾姿勢(φ=8°)になる。
図10及び図11は、図7及び図6の倒立二輪型搬送車の登坂時におけるシミュレーション結果を基に機体の前傾姿勢を模式的に示した図である。なお、図10及び図11では、対比を容易にするために、対応する部分に同一符号を用いるものとする。
図10は、従来の倒立二輪型搬送車で移動機構部のない場合を示し、機体4は、前傾姿勢となり、機体4の重心31と台車5の重心32とは、進行方向の前方に移動する。このため、機体4と台車5とには、重力により車軸2a,2bを中心として時計方向の回転モーメントが発生する。
ここで、図10の場合、移動機構部が固定(δ=0)されているので、機体4及び台車5の傾斜角をφ、車輪1a,1bの回転トルクをT(車輪1a,1bは2つあるため、1つの車輪の発生トルクの2倍として表示)とすれば、次の(式14)が成立する。なお、gは、質量m1,m2に作用する重力加速度であり、各定数及び変数は、本実施の形態と同様に表記している。
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すなわち、移動機構部のない従来の倒立二輪型搬送車では、前傾姿勢を取らないと、車輪1a,1bには回転トルクTを発生することができず、(式14)に示すように、回転トルクTと重力による回転モーメントとが平衡を維持しながら登坂することができない。この傾向は勾配の大きさに比例し、図9の坂道の勾配が大きくなれば、登坂に必要な回転トルクTは大きくなり、(式14)から機体4の傾斜角φも大きくなる。
一方、図11は、本実施の形態の移動機構部7を有する倒立二輪型搬送車の場合を示しており、機体4の重心31は、移動機構部7の作用により進行方向の前方に相対変位量δだけ移動する。台車5の重心32が車軸2a,2b上にあるものと仮定すれば、台車5は、重力による回転モーメントを発生しない。このように、移動機構部7の作用によって機体4の重心31が進行方向の前方に相対変位量δだけ移動することにより、機体4は、重力により車軸2a,2bを中心として時計方向の回転モーメントを発生する。移動機構部7の相対変位量をδ、車輪の発生トルクをTとすれば、次の(式15)が成立する。
Figure 0005028488
上記のように、(式15)には、(式14)に見られるような機体4の傾斜角φの項は含まれない。すなわち、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10では、移動機構部7の作用により機体4の重心を進行方向に移動させることができるので、従来の倒立二輪型搬送車のように前傾姿勢を取らなくとも、機体4全体の重心位置を自動的に移動させ、荷物もしくは人を搭載する荷台すなわち搭乗座席8を常に水平に維持しながら、登坂することができる。
なお、上記の説明では、登坂時についてのシミュレーションを行ったが、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10は、移動機構部7の作用により登坂時だけでなく、降坂時にも搭乗座席8を常に水平に維持しながら、降坂することもできる。
次に、偏差補償部45の動作について詳細に説明する。図5に示したように、偏差補償部45には、倒立二輪型搬送車10(エンコーダ12a,12b及び傾斜センサ6)から車輪1a,1bの回転角θ及び機体4の傾斜角φがフィードバックされ、偏差補償部45は、目標状態生成部44が出力する目標値(θr,φr)と倒立二輪型搬送車10(第1のアクチュエータ3a,3b及び第2のアクチュエータ11)の出力(θ,φ)とのそれぞれの偏差(θe,φe)を求める。次に、偏差補償部45は、偏差(θe,φe)を基に適当な演算を施した後、偏差補償信号E(2つの出力信号Te,Fe)を駆動制御部43に出力する。
図12は、図5に示した実施の形態1における倒立二輪型搬送車10の制御系に使用した偏差補償部45の一例を示すブロック線図である。なお、図12において、sは、ラプラス演算子を表し、また、k1,k2及びk3は、ゲイン係数を表し、それぞれ2次元ベクトルである。
図12において、偏差補償部45は、第1の積分部61、第2の積分部62、第3の積分部63、第1の乗算部71、第2の乗算部72、第3の乗算部73、第1の比較部81、信号加算部82、第2の比較部83及び信号合成部84を含む。
第1の比較部81は、目標傾斜角φr(この場合はφr=0)と機体4の傾斜角φとを比較し、傾斜角偏差φe(=φr−φ)を第1の積分部61へ出力する。第1の積分部61は、傾斜角偏差φeを時間積分し、得られた積分出力を第2の積分部62と第1の乗算部71とへそれぞれ出力する。第2の積分部62は、第1の積分部61の積分出力をさらに積分し、2重積分信号を第2の乗算部72へ出力する。このように、第1の積分部61と第2の積分部62とを直列接続することにより、2重積分処理が行われる。
次に、第1の乗算部71は、入力された第1の積分部61の積分出力に第1の係数k1を乗算し、信号加算部82へ出力する。第2の乗算部72は、第2の積分部62の2重積分信号に第2の係数k2を乗算した後、信号加算部82へ出力する。信号加算部82は、第1の乗算部71の出力と第2の乗算部72の出力とを加算し、得られた傾斜角偏差φeの処理信号を信号合成部84へ出力する。このように、第1の積分部61、第2の積分部62、第1の乗算部71、第2の乗算部72及び信号加算部82から構成される部分が、偏差補償部45において傾斜角偏差φeが処理されるブロック線図である。
また、第2の比較部83は、車輪1a,1bの目標角度θrと車輪1a,1bの回転角θとを比較し、回転角偏差θe(=θr−θ)を第3の積分部63へ出力する。第3の積分部63は、回転角偏差θeを時間積分し、得られた積分出力を第3の乗算部73へ出力する。第3の乗算部73は、入力された第3の積分部63の積分出力に第3の係数k3を乗算し、得られた回転角偏差θeの処理信号を信号合成部84へ出力する。このように、第3の積分部63及び第3の乗算部73から構成される部分が、偏差補償部45において回転角偏差θeが処理されるブロック線図である。信号合成部84は、傾斜角偏差φeの処理信号と回転角偏差θeの処理信号とを加算して偏差補償信号Eを駆動制御部43に出力する。
図12のブロック線図において、傾斜角偏差φeに関する伝達関数を(式16)に示す。
Figure 0005028488
(式16)から、偏差補償部45の傾斜角偏差φeに関する伝達関数Gdは、分母のs項の次数が2であり、2重積分の形で表現される。このように、偏差補償部45の伝達関数Gdは、分母のs項次数が2であることが重要である。
また、図12のブロック線図において、回転角偏差θeに関する伝達関数を(式17)に示す。
Figure 0005028488
上記の(式16)と(式17)とを用いて、信号合成部84が出力する偏差補償信号Eは、(式18)で表現できる。
Figure 0005028488
ここで、偏差補償部45の伝達関数Gdの分母のs項次数が異なるときの動作を比較するため、偏差補償部45の伝達関数Gdにおいて、分母のs項次数を1に選んだときの倒立二輪型搬送車10の動作についてシミュレーションの結果を説明する。
図13は、シミュレーションに使用した比較例となる偏差補償部のブロック線図である。図13は、図12のブロック線図において、ゲイン係数k2を零にしたものと等価であり、図13のブロック線図において、傾斜角偏差φeに関する伝達関数を(式19)に示す。(式19)から明らかなように、比較例の偏差補償部の伝達関数Gdの分母のs項次数は、1である。
Figure 0005028488
図14は、倒立二輪型搬送車の図5に示した制御系に含まれる偏差補償部45の構成として、図13に示す比較例の偏差補償部を用い、伝達関数が(式19)で表現されるときのシミュレーションの結果を示す時間波形図である。一方、図5に示した制御系に含まれる偏差補償部45の構成として、図12に示す本実施の形態の偏差補償部を用い、伝達関数が(式16)で表現されるときのシミュレーション結果は、前述した図6の時間波形図である。
なお、図14のシミュレーション結果は、図6のシミュレーション結果と比較して、図5に示した制御系に含まれる偏差補償部45の構成が異なるだけで、それ以外の倒立二輪型搬送車の各定数は同じであり、比較例の倒立二輪型搬送車は、図8の速度指令に応じて図9に示す傾斜角10°の坂道を登るものとする。また、図14の(a),(b),(c),(d)及び(e)は図6のそれぞれと対応するので、重複した説明は省略する。
図14(b)において、比較例の倒立二輪型搬送車が図9の坂道を登るとき、機体4は、前傾姿勢(φ=1.5°)となる。図14では、機体4が前傾姿勢となるため、機体4と台車5との間に配置された移動機構部7も、進行方向の前方部分が下降した状態となり、機体4は、重力の作用によって移動機構部7を進行方向に滑り落ちる力を受ける。その結果、機体4の位置ずれを抑止するために、図14(e)に示すように、第2のアクチュエータ11は、進行方向とは逆方向に推力Fを発生し、機体4が重力によって進行方向に滑り落ちる力と平衡している。すなわち、図14の場合、第2のアクチュエータ11は、登坂時に常に進行方向とは逆方向に推力Fを発生させる必要がある。
一方、本実施の形態のように、偏差補償部45の伝達関数Gdにおいて、分母のs項次数が2以上であれば、図6(b)に示すように、倒立二輪型搬送車10が図9の坂道を登るとき、機体4は、前傾姿勢にならず(φ=0°)、第2のアクチュエータ11は、登坂中に推力Fを発生させる必要がなく、消費電力の点で図14の比較例に比べて有利である。
以上述べたように、図5に示した制御系に含まれる偏差補償部45の分母のs項次数を2次以上にすることにより、登坂及び降坂時にも、機体4は、前傾姿勢になることはなく、移動機構部7も水平に維持されるので、機体4に作用する重力に対抗して第2のアクチュエータ11に推力Fを常に発生して位置ずれを保持する必要がなく、荷物もしくは人を搭載する荷台となる搭乗座席8を常に水平に維持しながら移動することができる。その結果、人に不安感を与えることがなく、荷物の横滑りや荷崩れの発生を防ぐことができ、駆動のための消費電力を低減することができる。
次に、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10が、図9に示す勾配10°の坂道を登る代わりに、図15に示すような、走行経路に存在する段差を通過するときの動作について説明をする。倒立二輪型搬送車10は、移動速度vが0.5m/sで走行経路を移動中に、後述する時刻t2において高さ3cmの段差を通過するものとし、本実施の形態の移動機構部7を有する倒立二輪型搬送車10において図5に示した制御系と(式8)で表される線形モデルとを組み合わせたシミュレーションを行う。
図16は、移動機構部のない従来の倒立二輪型搬送車のシミュレーション結果を示した時間波形図、すなわち、本実施の形態の移動機構部7の効果を比較するために、倒立二輪型搬送車10において移動機構部7が位置ずれを生じないように固定(δ=0)された比較例のシミュレーション結果を示す時間波形図である。図16において、図16(a)は、移動速度v、図16(b)は、移動機構部7を固定したときの機体4の傾斜角φ、図16(c)は、移動機構部7の固定状態(δ=0)、図16(d)は、車輪1a,1bの回転トルクTをそれぞれ示す。
一方、図17は、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10において移動機構部7を作用させたときのシミュレーション結果を示す時間波形図である。図17において、図17(a)は、図16(a)と同様の移動速度v、図17(b)は、移動機構部7を作用させたときの機体4の傾斜角φ、図17(c)は、移動機構部7の相対変位量δ、図17(d)は、車輪1a,1bの回転トルクT、図17(e)は、移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力Fをそれぞれ示す。
図16において、移動機構部7が位置ずれを生じないように固定(δ=0)された比較例では、時刻t2において、図15の段差の位置で段差の乗り越えができず、図16(a)に示すように、倒立二輪型搬送車は一旦停止する。図16のシミュレーション結果では、時間経過とともに機体4は、図16(b)に示すように、進行方向に徐々に前傾姿勢になり、車輪1a,1bの回転トルクTも、図16(d)に示すように増加し、機体4の傾斜角φが30°になった時点で最終的に段差を乗り越える。
上記のシミュレーション及び実際の制御では、(式4)及び(式5)が成立するものと仮定することにより、(式8)の線形モデルを使用したものである。しかしながら、機体4の傾斜角φが10°以上になる場合には、(式8)の線形モデルを採用することができず、倒立二輪型搬送車10の制御も正確に実行できない。したがって、移動機構部7が位置ずれを生じないように固定(δ=0)されたとき、比較例の倒立二輪型搬送車は、図15の段差を乗り越えることができないものと考えられる。
それに対して、図17に示すように、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10において移動機構部7を作用させると、時刻t2において図15の段差を通過するとき、進行方向における移動機構部7の相対変位量δは約9cmとなるが、機体4の傾斜角φはわずかである。したがって、(式8)の線形モデルを使用して制御が正確に実行され、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10は、問題なく、図15の段差を乗り越えることができる。
図18及び図19は、図16及び図17の倒立二輪型搬送車の段差乗り越え時におけるシミュレーション結果を基に機体4の前傾姿勢を模式的に示した図である。なお、図18及び図19では、対比を容易にするために、対応する部分に同一符号を用いるものとする。
図18は、従来の倒立二輪型搬送車で移動機構部のない場合を示し、機体4は、段差位置の所で停止して前傾姿勢となり、機体4の重心31と台車5の重心32とは、進行方向の前方に移動する。このため、機体4と台車5とには、重力により車軸2a,2bを中心として時計方向の回転モーメントが発生する。このとき、機体4の傾斜角φに対して(式14)を満たすように、車輪1a,1bは、回転トルクTを発生するが、制御系が(式8)の線形モデルが成立する範囲内では、段差を乗り越えるだけの回転トルクTを発生できず、段差を乗り越えることができない。
一方、図19は、本実施の形態の移動機構部7を有する倒立二輪型搬送車の場合を示し、機体4の重心31は、移動機構部7の作用により進行方向の前方に相対変位量δだけ移動する。機体4が進行方向の前方に相対変位量δだけ移動しても、前傾姿勢にはならず、傾斜角φは小さいので、制御系は常に(式8)の線形モデルが成立する。また、移動機構部7の作用により、機体4の重心が進行方向の前方に相対変位量δだけ移動したことで、機体4は、重力により車軸2a,2bを中心として時計方向の回転モーメントを発生する。機体4の相対変位量δに対して(式15)を満たすように、車輪1a,1bは、回転トルクTを発生するので、段差乗り越えに必要な回転トルクTが移動機構部7の可動範囲内で発生可能ならば、段差を乗り越えることができる。
以上の説明から明らかなように、図19のように、移動機構部7を作用させることは、従来の倒立二輪型搬送車では困難であった段差乗り越えに対しても、荷物もしくは人の搭載された機体4全体の重心位置を進行方向の前方へ移動させることができるので、段差の乗り越え走行を安定した姿勢で行うことができるという効果がある。
(実施の形態2)
図20は、本発明の実施の形態2における倒立二輪型搬送車の制御部の一例のブロック図である。図20において、図5と同じ構成要素については同じ符号を用い、重複した説明を省略する。また、本実施の形態の全体構成は、図20に示す制御部を除き、図1〜図4に示す実施の形態1と同様であるので、図示を省略し、実施の形態1と同一符号を用いて各部分について説明する。
本実施の形態では、図2に示す垂直加速度センサ13を用い、倒立二輪型搬送車10は、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する制御を行う。すなわち、倒立二輪型搬送車10には、垂直加速度検出部を構成する垂直加速度センサ13が取り付けられており、例えば、倒立二輪型搬送車10が走行経路に存在する段差などに乗り上げたときに、垂直加速度センサ13が台車5の垂直方向の加速度を検出し、加速度信号z¨を出力する(以下、明細書中において、図及び式中の変数上の2階時間微分を表す「‥」を「¨」で表記する)。
図20において、加速度信号z¨は、パルス生成部51に入力され、パルス生成部51は、入力された加速度信号z¨の大きさを計測し、垂直方向の加速度変化が所定値を超えたとき、パルス信号wを信号変換部52へ出力する。信号変換部52には、図5の駆動制御部43の生成するトルク指令Tと推力指令Fとが入力され、信号変換部52は、パルス信号wに応じて、変換されたトルク変換指令T’及び推力変換指令F’を倒立二輪型搬送車10(第1のアクチュエータ3a,3b及び第2のアクチュエータ11)へ出力する。
図21は、図20に示す制御部を構成する信号変換部52のより具体的な一例を示すブロック図である。図21において、駆動制御部43から入力されるトルク指令Tは、そのままトルク変換指令T’として倒立二輪型搬送車10(第1のアクチュエータ3a,3b)へ出力される。駆動制御部43から入力される推力指令Fは、切換スイッチ53を介して推力変換指令F’として倒立二輪型搬送車10(第2のアクチュエータ11)へ出力される。
切換スイッチ53の出力端子は、パルス生成部51から出力されるパルス信号wに応じて、端子a側もしくは端子b側に接続される。パルス生成部51が信号変換部52を構成する切換スイッチ53へパルス信号wを出力したときは、切換スイッチ53は、端子a側に切り換えられ、駆動制御部43から入力される推力指令Fは、倒立二輪型搬送車10へ出力されず、信号変換部52を構成する信号発生部54の発生する一定値F0が推力変換指令F’として出力される。
一方、パルス信号wが切換スイッチ53へ出力されないときは、切換スイッチ53の出力端子は、端子b側に接続され、駆動制御部43から入力される推力指令Fは、そのまま推力変換指令F’として倒立二輪型搬送車10(第2のアクチュエータ11)へ出力される。
すなわち、倒立二輪型搬送車10が走行経路に存在する段差などに乗り上げて通過するときに、垂直加速度センサ13は、垂直方向の加速度を検知し、信号変換部52は、推力指令Fを変換して推力変換指令F’を倒立二輪型搬送車10へ出力する。このように、本実施の形態における倒立二輪型搬送車10の制御系を構成する制御部9は、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する制御を行う。
図22は、比較例として、移動機構部7を有する倒立二輪型搬送車10が垂直加速度センサを備えていない場合の段差乗り越えの動作シミュレーションの結果を示す時間波形図である。本シミュレーションに用いた走行経路には、図15に示すような高さ3cmの段差があり、比較例の倒立二輪型搬送車10は、段差乗り越えを行うものとする。
図22のシミュレーションが図17のシミュレーションと異なるのは、図17では、倒立二輪型搬送車10が移動速度vとして0.5m/sで段差を通過し、図22では、倒立二輪型搬送車10が移動速度vとして0.3m/sで段差を通過する点である。一般に、倒立二輪型搬送車10の移動速度vが大きいほど、倒立二輪型搬送車10の持つ運動エネルギーが大きくなり、移動速度vが大きいほど、倒立二輪型搬送車10は、段差を乗り越えやすい。一方、倒立二輪型搬送車10の移動速度vが遅くなれば、段差を乗り越えるのが困難になることが予想される。
図22において、図22(a)は、移動速度v、図22(b)は、機体4の傾斜角φ、図22(c)は、移動機構部7の相対変位量δ、図22(d)は、車輪1a,1bの回転トルクT、図22(e)は、移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力Fをそれぞれ示す。
図17に示したように、移動速度vが0.5m/sの場合には、倒立二輪型搬送車10は、問題なく図15の段差を乗り越えることができた。しかしながら、移動速度vを0.3m/sまで低くさせた場合には、図22(a)に示すように、倒立二輪型搬送車10は、時刻t2において段差のところで一旦停止する。このとき、移動機構部7の相対変位量δは、時間経過につれて、図22(c)に示すように進行方向に徐々に増加する。
また、車輪1a,1bの回転トルクTは、図22(d)に示すように、(式15)を満たしながら増加し、移動機構部7の相対変位量δがほぼ15cmに達した時点で、倒立二輪型搬送車10は、段差を乗り越える。機体4は、制御部9によって姿勢制御されているので、機体4の傾斜角φは、図22(b)に示すように、前後に微小振動するだけで大きな前傾姿勢をとることはない。
上記のように、倒立二輪型搬送車10が段差の位置で一旦停止するため、段差乗り越えに要する時間は、約5秒である。このように、倒立二輪型搬送車10が段差の位置で一旦停止するため、移動速度vの運動エネルギーは、段差乗り越えに有効に作用しない。この結果、垂直加速度センサを備えていない倒立二輪型搬送車10では、段差乗り越えに必要な車輪1a,1bの回転トルクTは、図22(d)に示すように80Nmとなり、大きなトルクが必要となる。
図23は、本実施の形態の垂直加速度センサ13を有する倒立二輪型搬送車10の段差乗り越えの動作シミュレーションの結果を示す時間波形図である。本シミュレーションに用いた走行経路には、図22と同様に、図15に示すような高さ3cmの段差があり、倒立二輪型搬送車10は、移動速度vとして0.3m/sで段差を通過するものとする。このとき、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10は、垂直加速度検出部を構成する垂直加速度センサ13を備え、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する段差乗り越えの制御が行われる。
図23において、図23(a)は、図22(a)と同様の移動速度v、図23(b)は、垂直加速度センサ13及び図20に示す制御部を用いて垂直方向の変位に対する制御を行ったときの機体4の傾斜角φ、図23(c)は、移動機構部7の相対変位量δ、図23(d)は、車輪1a,1bの回転トルクT、図23(e)は、移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力Fをそれぞれ示す。
図23に示すように、倒立二輪型搬送車10が時刻t2で図15に示す段差に到達し、垂直加速度センサ13が垂直方向の加速度を検出したとき、パルス生成部51は、図24に示すようなパルス信号wを信号変換部52へ出力する。図24のパルス信号wのパルス幅は、例えば、0.5秒とする。
信号変換部52に入力されたパルス信号wは、切換スイッチ53を端子a側に切り換え、駆動制御部43から入力される推力指令Fは、制御系から遮断され、信号変換部52を構成する信号発生部54の発生する一定値F0が推力変換指令F’として出力される。図23の例では、信号発生部54の発生する一定値F0の値を零(F0=0)に選んでいるので、時刻t2において、信号変換部52にパルス信号wが入力されている期間、移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力Fは、図23(e)に示すように零となる。
また、倒立二輪型搬送車10が時刻t2で図15に示す段差に到達したとき、図23(c)に示すように、相対変位量δとして、機体4は、第2のアクチュエータ11の推力Fが零であっても、慣性力によって進行方向に約10cmだけ変位する。このように、機体4が進行方向に大きく変位するため、機体4は、進行方向に前傾姿勢になろうとする。
一方、時刻t2の段差乗り越え時にも、車輪1a,1bの回転トルクTは、制御系を構成しているので、機体4の姿勢制御が行われ、図23(d)に示すように、機体4が前傾姿勢とならないように、段差乗り越え方向に回転トルクTが増大される。この回転トルクTの反作用によって、機体4は、図23(b)に示すように、進行方向とは逆の方向に傾斜するが、傾斜角φは−5°に抑制されている。この結果、図23の場合には、倒立二輪型搬送車10は、段差の位置で一瞬停止するが、図22の場合と比較すれば、滑らかに段差乗り越えを行うことができる。
上記のように、本実施の形態では、垂直加速度センサ13が垂直方向の加速度を検出することにより、倒立二輪型搬送車10が段差に到達したタイミングを検出し、パルス信号wが切換スイッチ53へ出力される。そのタイミングで、第2のアクチュエータ11の推力Fを零(信号発生部54の発生する一定値F0を零にした場合)にして機体4を慣性力で進行方向へ変位させ、車輪1a,1bの回転トルクTを増大させて段差乗り越えを行う。したがって、移動速度vの運動エネルギーは、段差乗り越えに有効に作用し、段差乗り越えに必要な車輪1a,1aの回転トルクTは、図22(d)に比べて小さなトルクで十分である。
以上の説明から明らかなように、台車5の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度センサ13を備え、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する制御を行うことにより、従来の倒立二輪型搬送車では困難であった段差乗り越えに対して、本実施の形態2の倒立二輪型搬送車は、荷物もしくは人の搭載された機体4全体の重心位置を進行方向の前方へ移動させることができるので、段差の乗り越え走行を安定した姿勢で、より滑らかに行うことができるという効果がある。
また、本実施の形態に用いられる制御部は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば、以下に説明する制御部を用いてもよい。図25は、本発明の実施の形態2における倒立二輪型搬送車の制御部の他の一例のブロック図である。図25において、図5と同じ構成要素については同じ符号を用い、重複した説明を省略する。
図25に示す制御部9及び図2に示す垂直加速度センサ13を用い、本例の倒立二輪型搬送車10も、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する制御を行う。すなわち、倒立二輪型搬送車10には、垂直加速度検出部を構成する垂直加速度センサ13が取り付けられており、例えば、倒立二輪型搬送車10が走行経路に存在する段差などに登ったり、降りたりしたときに、垂直加速度センサ13が台車5の垂直方向の加速度を検出し、加速度信号z¨を出力する。
図25において、加速度信号z¨は、パルス生成部51aに入力され、パルス生成部51aは、入力された加速度信号z¨の大きさを計測し、垂直方向の加速度変化が所定値を超えたとき、パルス信号wを信号変換部52aへ出力する。同時に、パルス生成部51aは、入力された加速度信号z¨の極性が負のとき、極性信号qを信号変換部52aへ出力する。
すなわち、倒立二輪型搬送車10が段差を降りるとき、パルス生成部51aは、パルス信号wと極性信号qを信号変換部52aへ出力する。一方、倒立二輪型搬送車10が段差を登るとき、パルス生成部51aは、パルス信号wのみを信号変換部52aへ出力する。
信号変換部52aには、駆動制御部43の生成するトルク指令T及び推力指令Fが入力され、信号変換部52aは、パルス信号wと極性信号qとに応じて変換されたトルク変換指令T’及び推力変換指令F’を倒立二輪型搬送車10(第1のアクチュエータ3a,3b及び第2のアクチュエータ11)へ出力する。
図26は、図25に示す制御部を構成する信号変換部52aの、より具体的な一例を示すブロック図である。図26において、駆動制御部43から入力されるトルク指令Tは、そのままトルク変換指令T’として倒立二輪型搬送車10(第1のアクチュエータ3a,3b)へ出力される。駆動制御部43から入力される推力指令Fは、切換スイッチ53aを介して推力変換指令F’として倒立二輪型搬送車10(第2のアクチュエータ11)へ出力される。切換スイッチ53aの出力端子は、パルス生成部51aから出力されるパルス信号w及び極性信号qに応じて、端子a側、端子b側、もしくは端子c側に接続される。
例えば、倒立二輪型搬送車10が段差を登るとき、パルス生成部51aは、パルス信号wのみを切換スイッチ53aへ出力し、切換スイッチ53aは、端子a側に切り換えられる。そのとき、駆動制御部43から入力される推力指令Fは、倒立二輪型搬送車10(第2のアクチュエータ11)へ出力されず、信号発生部54の発生する一定値F0が、推力変換指令F’として出力される。
一方、倒立二輪型搬送車10が段差を降りるとき、パルス生成部51aは、パルス信号w及び極性信号qを切換スイッチ53aへ出力し、切換スイッチ53aは、端子c側に切り換えられる。そのとき、駆動制御部43から入力される推力指令Fは、倒立二輪型搬送車10(第2のアクチュエータ11)へ出力されず、信号発生部55の発生する一定値(−F0)が、推力変換指令F’として出力される。
また、倒立二輪型搬送車10が段差を通過しないとき、パルス生成部51aは、パルス信号wを切換スイッチ53へ出力せず、切換スイッチ53aの出力端子は、端子b側に接続され、駆動制御部43から入力される推力指令Fは、そのまま推力変換指令F’として倒立二輪型搬送車10(第2のアクチュエータ11)へ出力される。
上記のように、倒立二輪型搬送車10が走行経路に存在する段差などを登ったり降りたりして通過するときに、垂直加速度センサ13は、垂直方向の加速度を検知し、信号変換部52は、推力指令Fを変換して推力変換指令F’を倒立二輪型搬送車10(第2のアクチュエータ11)へ出力する。
このように、図25に示す制御部は、第1のアクチュエータ3a,3b及び第2のアクチュエータ11に対して適切なトルク指令Tと推力変換指令F’とを与えて機体4の姿勢を平衡に維持する。また、制御部は、垂直加速度センサ13により垂直方向の加速度を検知し、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する段差乗り越えの制御を行う。この結果、垂直加速度センサ13及び図25に示す制御部を用いた倒立二輪型搬送車10でも、段差乗り越えの動作シミュレーションの結果は、図23と同様の結果となる。
すなわち、図23に示すように、倒立二輪型搬送車10が時刻t2で図15に示す段差に到達し、垂直加速度センサ13が垂直方向の加速度を検出したとき、パルス生成部51は、図24に示すようなパルス信号wを信号変換部52へ出力する。図24のパルス信号wのパルス幅は、例えば、0.5秒とする。
信号変換部52に入力されたパルス信号wは、切換スイッチ53を端子a側に切り換え、駆動制御部43から入力される推力指令Fは、制御系から遮断される。移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力Fは、信号発生部54の発生する一定値F0となる。図23の例では、信号発生部54の発生する一定値F0を零出力とし、移動機構部7に作用する第2のアクチュエータ11の推力Fは、図23(e)に示すように零となる。
また、倒立二輪型搬送車10が時刻t2で図15に示す段差に到達したとき、図23(c)に示すように、相対変位量δとして、機体4は、第2のアクチュエータ11の推力Fが零であっても、慣性力によって進行方向に約10cmだけ変位する。このように、機体4が進行方向に大きく変位するため、機体4は、進行方向に前傾姿勢になろうとする。
一方、時刻t2の段差乗り越え時にも、車輪1a,1bの回転トルクTは、制御系を構成しているので、機体4の姿勢制御が行われ、図23(d)に示すように、機体4が前傾姿勢とならないように、段差乗り越え方向に回転トルクTが増大される。この回転トルクTの反作用によって、図23(b)に示すように、機体4は、進行方向とは逆の方向に傾斜するが、傾斜角φは、−5°に抑制されている。この結果、図23の場合には、倒立二輪型搬送車10は、段差の位置で一瞬停止するが、図22の場合と比較すれば、滑らかに段差乗り越えを行うことができる。
上記のように、本例では、垂直加速度検出部を構成する垂直加速度センサ13が垂直方向の加速度を検出することにより、倒立二輪型搬送車10が段差に到達したタイミングを検出し、パルス信号wが信号変換部52へ入力される。パルス信号wは、信号変換部52の切換スイッチ53を端子a側に接続し、一定値F0(この場合、F0=0)を出力する。そのタイミングで、第2のアクチュエータの推力Fを零にし、移動機構部7を慣性力によって機体4を進行方向へ変位させ、車輪1a,1bの回転トルクTを増大させて段差乗り越えを行う。したがって、移動速度vの運動エネルギーは、段差乗り越えに有効に作用し、段差乗り越えに必要な車輪1a,1bの回転トルクTは、図22(d)に比べて小さなトルクで十分である。
なお、上記の説明では、段差を登るときについてのシミュレーションを行ったが、本実施の形態の倒立二輪型搬送車10は、垂直加速度センサ13及び移動機構部7の作用により段差を登るときだけでなく、段差を降りるときにも、荷台を水平に維持しながら段差を移動することができる。
例えば、倒立二輪型搬送車10が段差を登るときに、パルス生成部51は、パルス信号wのみを信号変換部52へ出力し、信号発生部54の発生する一定値F0(F0>0)が、推力変換指令F’として倒立二輪型搬送車10の移動機構部7へ入力される。その結果、段差を登るときは、台車5に対して機体4を進行方向に変位させて搭乗座席8を水平に維持しながら、段差を移動させることができる。
一方、倒立二輪型搬送車10が段差を降りるときには、パルス生成部51は、パルス信号wと極性信号qとを信号変換部52へ出力し、信号発生部55の発生する一定値(−F0)(F0>0)が、推力変換指令F’として倒立二輪型搬送車10の移動機構部7へ入力される。その結果、段差を降りるときは、台車5に対して機体4を進行方向とは逆方向に変位させて搭乗座席8を水平に維持しながら、段差を移動させることができる。
なお、図26の信号変換部52aの一例では、信号発生部54及び信号発生部55のそれぞれが発生する信号は、その極性が異なるが、その大きさは同じものとしたが、信号発生部54及び信号発生部55で発生する信号の大きさが異なるものであってもよい。
また、図25のパルス生成部51aの一例では、入力された加速度信号z¨に応じてパルス信号w及び極性信号qの2つの信号を出力し、倒立二輪型搬送車10が段差を登ったり降りたりしたときに、荷物もしくは人の搭載された機体4の全体の重心位置を進行方向に対して前方または後方へ強制移動させるように構成した。
しかしながら、倒立二輪型搬送車10が段差を登ることだけを重要課題とするなら、図25のパルス生成部51aは、倒立二輪型搬送車10が段差を登るときにのみ、加速度信号z¨に応じてパルス信号wを出力し、信号発生部54の発生する一定値F0を推力変換指令F’として移動機構部7へ入力させることにより、台車5に対して機体4を進行方向に対して前方へ強制移動させるように構成してもよい。この場合には、図25のパルス生成部51aは、極性信号qを生成する必要がなく、図25の信号変換部52aは、信号発生部55及び切換スイッチ53の端子cを必要としないため、パルス生成部51a及び信号変換部52aの構成を簡略化することができる。
以上の説明から明らかなように、本例では、台車5の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度センサ13を備えることにより、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する段差乗り越えの制御を行う。この結果、従来の倒立二輪型搬送車では困難であった段差乗り越えに対して、本例の倒立二輪型搬送車10は、荷物もしくは人の搭載された機体4全体の重心位置を進行方向に対して前方または後方へ移動させることができるので、段差の乗り越え走行を安定した姿勢で、より滑らかに行うことができるという効果がある。
なお、図21及び図23では、垂直方向の加速度を検出する垂直加速度センサ13が、垂直方向の加速度を検知し、パルス生成部51が、パルス信号wを信号変換部52に出力したとき、推力変換指令F’として、大きさが零の一定値が0.5秒の期間だけ出力されるように設定した。しかしながら、大きさが零でない一定値のパルス状推力を出力してもよいし、パルス幅を変化させて第2のアクチュエータに一定値のパルス状推力を発生させるように設定してもよいことは言うまでもない。さらには、第2のアクチュエータ11に作用させるパルス状推力の大きさ及びパルス幅は、倒立二輪型搬送車10が段差に到達する直前の移動速度vの大きさや段差乗り越え時に機体4が受ける垂直方向の加速度信号z¨の大きさに応じて変化させるようにしてもよい。
また、上記の説明では、回転角偏差θeが処理されるブロック線図において、簡単のために、偏差補償部45に含まれる積分部を1つだけにしたが、傾斜角偏差φeが処理されるブロック線図と同様、積分部を2つ直列接続することにより、2重積分処理が行われるようにしてもよい。この場合も、機体4全体の重心位置を自動的に移動させて、荷物もしくは人を搭載する荷台を水平に維持しながら、登坂もしくは降坂させることができることは言うまでもない。
また、上記の説明では、機体4の傾斜姿勢を検出する傾斜センサにジャイロセンサを用いたが、このようなセンサに限らず、傾斜角や傾斜角速度の計測に用いることができる種々のセンサ、例えば、加速度センサ、床面に接触片を摺動させる型の傾斜角度センサ、重り吊り下げ型傾斜角度センサなどを用いることもできる。また、センサの取り付け位置も、機体4に特に限定されず、台車5に取り付けてもよい。
また、偏差補償部45などは、アナログ・フィルタで構成するもので説明したが、ディジタル・フィルタで構成することも可能である。さらに、各実施の形態の制御系を構成する各部については、マイクロコンピュータによるソフトウェアにより実現するようにしてもよい。
上記の各実施の形態から本発明について要約すると、以下のようになる。すなわち、本発明に係る倒立二輪型搬送車は、荷物もしくは人を搭載可能な荷台を有する機体と、同軸上に間隔を隔てて配設された2つの車輪に支持された台車と、前記機体と前記台車との間に設けられ、前記台車の進行方向に対して前記機体と前記台車との相対位置を変位させる移動機構部と、鉛直方向に対する前記機体の姿勢を検出する傾斜検出部と、前記台車の走行状態を検出する走行検出部と、前記2つの車輪にそれぞれ回転力を発生させる第1のアクチュエータと、前記移動機構部を介して前記機体に推力を発生させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとにトルク指令と推力指令とを出力する駆動制御部と、前記台車の位置及び速度のうち少なくとも1つの目標指令値を生成する目標指令部と、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号とを入力され、前記目標指令値と前記検出信号との偏差を基に偏差補償信号を生成する偏差補償部と、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号が入力され、前記機体の姿勢を制御する安定化信号を生成する安定化補償部とを備え、前記偏差補償部は、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて前記偏差補償信号を生成し、前記駆動制御部は、前記偏差補償信号と前記安定化信号とを基に前記トルク指令と前記推力指令とを生成する。
本倒立二輪型搬送車において、傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて偏差補償信号を生成し、この偏差補償信号と、機体の姿勢を制御する安定化信号とから、第1のアクチュエータに対するトルク指令と、第2のアクチュエータ推力指令とを生成しているので、いかなる重さの荷物や人が荷台に搭載され、荷台の重心と機体の重心との位置がいかにずれたとしても、移動機構部が移動可能な範囲である限り、荷物もしくは人の搭載された機体全体の重心位置を車軸の位置に自動的に移動させ、荷台の水平バランスを維持することができる。したがって、坂道を登り降りするときにも、荷物もしくは人の搭載された荷台を常に水平に維持しながら移動することができるので、搭乗した人に不安感を与えることがなく、また搭載された荷物の横滑りや荷崩れの発生を防ぐことができる。また、移動機構部を設けることにより、走行経路に段差が存在しても、荷物もしくは人の搭載された機体全体の重心位置を進行方向の前方へ移動させることができるので、段差の乗り越え走行を安定した姿勢で行うことができる。さらに、荷台の平衡維持のために、特別な重錘やカウンタウェイトを必要とせず、機体重量や機体の大きさが増大しないという効果もある。
前記偏差補償部は、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を積分する第1の積分部と、前記第1の積分部の出力を更に積分する第2の積分部と、前記第1の積分部の出力に第1の係数を乗算する第1の乗算部と、前記第2の積分部の出力に第2の係数を乗算する第2の乗算部と、前記第1の乗算部の出力と前記第2の乗算部の出力とを加算する加算部とを含み、前記偏差補償部は、前記加算部の加算結果を前記偏差補償信号に含めて出力することが好ましい。
この場合、傾斜検出部の検出信号に基づく信号を積分し、この出力を更に積分することにより、傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分することができ、この2重積分された信号に第2の係数を乗算した信号と、傾斜検出部の検出信号に基づく信号を積分した信号に第1の係数を乗算した信号とを加算しているので、傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分した信号を偏差補償信号に含めて出力することができる。したがって、登坂及び降坂時にも、機体が前傾姿勢になることがなく、移動機構部も水平に維持されるので、機体に作用する重力に対抗して第2のアクチュエータに推力を常に発生して位置ずれを保持する必要がなく、荷物もしくは人を搭載する荷台を常に水平に維持しながら移動することができる。この結果、人に不安感を与えることがなく、荷物の横滑りや荷崩れの発生を防ぐことができ、駆動のための消費電力を低減することができる。
上記倒立二輪型搬送車は、前記台車の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度検出部をさらに備え、前記駆動制御部は、前記傾斜検出部の検出信号と前記走行検出部の検出信号とに応じて、前記第1のアクチュエータの回転トルクと前記第2のアクチュエータの推力とを制御するとともに、前記垂直加速度検出部によって検出された加速度の大きさに応じて、前記第2のアクチュエータの推力を調整することが好ましい。
この場合、台車の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度検出部をさらに備えることにより、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する制御を行うことができるので、段差の乗り越え走行を安定した姿勢で、より滑らかに行うことができる。
前記安定化補償部は、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号と、前記トルク指令と、前記推力指令とを入力され、前記傾斜検出部及び前記走行検出部で検出できない状態変数を推定する状態観測部を含むことが好ましい。
この場合、傾斜検出部及び走行検出部の各検出信号と、トルク指令と、推力指令とから、傾斜検出部及び走行検出部を用いて検出できない状態変数を推定することができるので、傾斜検出部及び走行検出部を用いて検出できない状態変数を検出するためのセンサを特別に設ける必要がなく、装置のコストダウンを図ることができる。
前記傾斜検出部は、前記機体の鉛直方向に対する傾斜角及び傾斜角速度のうち少なくとも1つを検出することが好ましい。また、前記走行検出部は、前記2つの車輪の回転角、回転角速度及び回転角加速度のうち少なくとも1つを検出することが好ましい。
この場合、検出した状態変数から、検出していない他の状態変数を推定することができるので、検出していない状態変数を検出するためのセンサを特別に設ける必要がなく、装置のコストダウンを図ることができる。
本発明に係る他の倒立二輪型搬送車は、荷物もしくは人を搭載可能な荷台を有する機体と、同軸上に間隔を隔てて配設された2つの車輪に支持された台車と、前記機体と前記台車との間に設けられ、前記台車の進行方向に対して前記機体と前記台車との相対位置を変位させる移動機構部と、鉛直方向に対する前記機体の姿勢を検出する傾斜検出部と、前記台車の走行状態を検出する走行検出部と、前記台車の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度検出部と、前記2つの車輪にそれぞれ回転力を発生させる第1のアクチュエータと、前記移動機構部を介して前記機体に推力を発生させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとにトルク指令と推力指令とを出力する制御部とを備え、前記制御部は、前記傾斜検出部の検出信号と前記走行検出部の検出信号とに応じて、前記第1のアクチュエータの回転トルクと前記第2のアクチュエータの推力とを制御するとともに、前記垂直加速度検出部によって検出された加速度の大きさに応じて、前記第2のアクチュエータの推力を調整する。
本倒立二輪型搬送車において、傾斜検出部の検出信号と走行検出部の検出信号とに応じて、第1のアクチュエータの回転トルクと第2のアクチュエータの推力とを制御するとともに、垂直加速度検出部によって検出された加速度の大きさに応じて、第2のアクチュエータの推力を調整しているので、台車の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度検出部をさらに備えることにより、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する制御を行うことができ、段差の乗り越え走行を安定した姿勢で、より滑らかに行うことができる。
前記制御部は、前記台車の位置及び速度のうち少なくとも1つの目標指令値を生成する目標指令部と、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号とを入力され、前記目標指令値と前記検出信号との偏差を基に偏差補償信号を生成する偏差補償部と、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号が入力され、前記機体の姿勢を制御する安定化信号を生成する安定化補償部と、前記傾斜検出部の出力と前記走行検出部の出力に応じて、前記トルク指令と前記推力指令とを出力する駆動制御部とを備えることが好ましい。
この場合、台車の位置及び速度のうち少なくとも1つの目標指令値を生成し、この目標指令値と傾斜検出部及び走行検出部の検出信号との偏差を基に偏差補償信号を生成し、少なくとも傾斜検出部及び走行検出部の各検出信号から、機体の姿勢を制御する安定化信号を生成し、傾斜検出部の出力と走行検出部の出力に応じて、トルク指令と推力指令とを出力しているので、走行経路に存在する段差などの垂直方向の変位に対する制御をより安定的に行うことができ、段差の乗り越え走行をより安定した姿勢で、より滑らかに行うことができる。
前記制御部は、前記垂直加速度検出部によって検出された加速度に応じて、段差を登るときは前記台車に対して前記機体を進行方向に変位させ、段差を降りるときは前記台車に対して前記機体を進行方向とは逆方向に変位させることが好ましい。
この場合、検出された加速度に応じて、段差を登るときは台車に対して機体を進行方向に変位させ、段差を降りるときは台車に対して機体を進行方向とは逆方向に変位させているので、段差の乗り越え走行をより安定した姿勢で、より滑らかに行うことができる。
前記偏差補償部は、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて前記偏差補償信号を生成することが好ましい。
この場合、傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて偏差補償信号を生成し、この偏差補償信号と、機体の姿勢を制御する安定化信号とから、第1のアクチュエータに対するトルク指令と、第2のアクチュエータ推力指令とを生成しているので、いかなる重さの荷物や人が荷台に搭載され、荷台の重心と機体の重心との位置がいかにずれたとしても、移動機構部が移動可能な範囲である限り、荷物もしくは人の搭載された機体全体の重心位置を車軸の位置に自動的に移動させ、荷台の水平バランスを維持することができる。
前記安定化補償部は、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号と前記トルク指令と前記推力指令とを入力され、前記傾斜検出部及び前記走行検出部で検出できない状態変数を推定する状態観測部を含むことが好ましい。
この場合、傾斜検出部及び走行検出部の各検出信号と、トルク指令と、推力指令とから、傾斜検出部及び走行検出部を用いて検出できない状態変数を推定することができるので、傾斜検出部及び走行検出部を用いて検出できない状態変数を検出するためのセンサを特別に設ける必要がなく、装置のコストダウンを図ることができる。
前記制御部は、前記垂直加速度検出部によって検出された加速度の大きさに応じて、前記第2のアクチュエータにパルス状推力を発生させることが好ましい。
この場合、検出された加速度の大きさに応じて第2のアクチュエータにパルス状推力を発生させることにより、垂直方向の変位に対する制御を行い、種々の高さの段差の乗り越え走行を安定した姿勢で行うことができる。
前記制御部は、前記垂直加速度検出部によって検出された加速度の大きさが所定値を超えたとき、前記第2のアクチュエータにパルス状推力を発生させることが好ましい。
この場合、垂直方向の加速度の大きさが所定値を超えたとき、第2のアクチュエータにパルス状推力を発生させることにより、垂直方向の変位に対する制御を行い、所定の高さ以上の段差の乗り越え走行を安定した姿勢で行うことができる。
前記パルス状推力の波高値及び時間幅は、パルスを発生させる前の前記台車の移動速度の大きさに応じて変化されることが好ましい。
この場合、パルス状推力の波高値及び時間幅が、パルスを発生させる前の台車の移動速度の大きさに応じて変化されるので、台車の移動速度が異なる場合でも、台車の移動速度に適した垂直方向の変位に対する制御を行い、段差の乗り越え走行を常に安定した姿勢で行うことができる。
前記パルス状推力の大きさは、零であることが好ましい。
この場合、機体を慣性力で進行方向へ変位させ、車輪の回転トルクを増大させて段差乗り越えを行うことができるので、移動速度の運動エネルギーが段差乗り越えに有効に作用し、段差乗り越えに必要な車輪の回転トルクを十分小さくすることができる。
前記傾斜検出部は、前記機体の鉛直方向に対する傾斜角及び傾斜角速度の少なくとも1つを検出することが好ましい。
この場合、検出した状態変数から、検出していない他の状態変数を推定することができるので、検出していない状態変数を検出するためのセンサを特別に設ける必要がなく、装置のコストダウンを図ることができる。
本発明に係る倒立二輪型搬送車の制御方法は、荷物もしくは人を搭載可能な荷台を有する機体と、同軸上に間隔を隔てて配設された2つの車輪に支持された台車と、前記機体と前記台車との間に設けられ、前記台車の進行方向に対して前記機体と前記台車との相対位置を変位させる移動機構部と、鉛直方向に対する前記機体の姿勢を検出する傾斜検出部と、前記台車の走行状態を検出する走行検出部と、前記2つの車輪にそれぞれ回転力を発生させる第1のアクチュエータと、前記機体に前記移動機構部を介して推力を発生させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとにトルク指令と推力指令とを出力する駆動制御部と、目標指令値を生成する目標指令部と、偏差補償信号を生成する偏差補償部と、安定化信号を生成する安定化補償部とを備える倒立二輪型搬送車の制御方法であって、前記目標指令部が、前記台車の位置及び速度の少なくとも1つの目標指令値を生成するステップと、前記偏差補償部が、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号とを入力され、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号との偏差を基に、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて前記偏差補償信号を生成するステップと、前記安定化補償部が、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号を入力され、前記機体の姿勢を制御する安定化信号を生成するステップと、前記駆動制御部が、前記偏差補償信号と前記安定化信号とを基に前記トルク指令と前記推力指令を生成するステップとを含む。
本発明に係る他の倒立二輪型搬送車の制御方法は、荷物もしくは人を搭載可能な荷台を有する機体と、同軸上に間隔を隔てて配設された2つの車輪に支持された台車と、前記機体と前記台車との間に設けられ、前記台車の進行方向に対して前記機体と前記台車との相対位置を変位させる移動機構部と、鉛直方向に対する前記機体の姿勢を検出する傾斜検出部と、前記台車の走行状態を検出する走行検出部と、前記台車の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度検出部と、前記2つの車輪にそれぞれ回転力を発生させる第1のアクチュエータと、前記機体に前記移動機構部を介して推力を発生させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータにトルク指令と推力指令とを出力する制御部とを備える倒立二輪型搬送車の制御方法であって、前記制御部が、前記台車の位置及び速度の少なくとも1つの目標指令値を生成するステップと、前記制御部が、前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号を入力され、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号との偏差を基に、偏差補償信号を生成するステップと、前記制御部が、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号から前記機体の姿勢を制御する安定化信号を生成するステップと、前記制御部が、前記偏差補償信号と前記安定化信号とを基に前記トルク指令と前記推力指令を生成するとともに、前記垂直加速度検出部によって検出された加速度の大きさに応じて、前記第2のアクチュエータの推力を調整するステップとを含む。
本発明に係る倒立二輪型搬送車及びその制御方法は、坂道を登り降りするときにも、荷物もしくは人の重量物を搭載する荷台を常に水平に維持し安定した姿勢で走行でき、さらには、倒立二輪型搬送車の走行経路に段差があっても段差の乗り越え走行を安定した姿勢で行うことができるので、荷物もしくは人の運搬作業を行う搬送車であって、本来不安定な機体を平衡させて荷物もしくは人を安定に運ぶための機構技術及び制御技術を備えた倒立二輪型搬送車等に有用であり、また、倒立二輪型搬送車以外の、制御による平衡動作を用いた乗り物やロボット等の用途にも応用できる。

Claims (7)

  1. 荷物もしくは人を搭載可能な荷台を有する機体と、
    つの車輪に支持された台車と、
    前記機体と前記台車との間に設けられ、前記台車の進行方向に対して前記機体と前記台車との相対位置を変位させる移動機構部と、
    鉛直方向に対する前記機体の姿勢を検出する傾斜検出部と、
    前記台車の走行状態を検出する走行検出部と、
    前記2つの車輪にそれぞれ回転力を発生させる第1のアクチュエータと、
    前記移動機構部を介して前記機体に推力を発生させる第2のアクチュエータと、
    前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとにトルク指令と推力指令とを出力する駆動制御部と、
    前記台車の位置及び速度のうち少なくとも1つの目標指令値を生成する目標指令部と、
    前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号とを入力され、前記目標指令値と前記検出信号との偏差を基に偏差補償信号を生成する偏差補償部と、
    少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号が入力され、前記機体の姿勢を制御する安定化信号を生成する安定化補償部とを備え、
    前記偏差補償部は、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて前記偏差補償信号を生成し、
    前記駆動制御部は、前記偏差補償信号と前記安定化信号とを基に前記トルク指令と前記推力指令とを生成すること
    を特徴とする倒立二輪型搬送車。
  2. 前記偏差補償部は、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を積分する第1の積分部と、前記第1の積分部の出力を更に積分する第2の積分部と、前記第1の積分部の出力に第1の係数を乗算する第1の乗算部と、前記第2の積分部の出力に第2の係数を乗算する第2の乗算部と、前記第1の乗算部の出力と前記第2の乗算部の出力とを加算する加算部とを含み、
    前記偏差補償部は、前記加算部の加算結果を前記偏差補償信号に含めて出力すること
    を特徴とする請求項1に記載の倒立二輪型搬送車。
  3. 前記台車の垂直方向の加速度を検出する垂直加速度検出部をさらに備え、
    前記駆動制御部は、前記傾斜検出部の検出信号と前記走行検出部の検出信号とに応じて、前記第1のアクチュエータの回転トルクと前記第2のアクチュエータの推力とを制御するとともに、前記垂直加速度検出部によって検出された加速度の大きさに応じて、前記第2のアクチュエータの推力を調整すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の倒立二輪型搬送車。
  4. 前記安定化補償部は、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号と、前記トルク指令と、前記推力指令とを入力され、前記傾斜検出部及び前記走行検出部で検出できない状態変数を推定する状態観測部を含むこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の倒立二輪型搬送車。
  5. 前記傾斜検出部は、前記機体の鉛直方向に対する傾斜角及び傾斜角速度のうち少なくとも1つを検出すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の倒立二輪型搬送車。
  6. 前記走行検出部は、前記2つの車輪の回転角、回転角速度及び回転角加速度のうち少なくとも1つを検出すること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の倒立二輪型搬送車。
  7. 荷物もしくは人を搭載可能な荷台を有する機体と、つの車輪に支持された台車と、前記機体と前記台車との間に設けられ、前記台車の進行方向に対して前記機体と前記台車との相対位置を変位させる移動機構部と、鉛直方向に対する前記機体の姿勢を検出する傾斜検出部と、前記台車の走行状態を検出する走行検出部と、前記2つの車輪にそれぞれ回転力を発生させる第1のアクチュエータと、前記機体に前記移動機構部を介して推力を発生させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとにトルク指令と推力指令とを出力する駆動制御部と、目標指令値を生成する目標指令部と、偏差補償信号を生成する偏差補償部と、安定化信号を生成する安定化補償部とを備える倒立二輪型搬送車の制御方法であって、
    前記目標指令部が、前記台車の位置及び速度の少なくとも1つの目標指令値を生成するステップと、
    前記偏差補償部が、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号とを入力され、前記目標指令値と前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号との偏差を基に、前記傾斜検出部の検出信号に基づく信号を時間に関して少なくとも2重積分する処理を用いて前記偏差補償信号を生成するステップと、
    前記安定化補償部が、少なくとも前記傾斜検出部及び前記走行検出部の各検出信号を入力され、前記機体の姿勢を制御する安定化信号を生成するステップと、
    前記駆動制御部が、前記偏差補償信号と前記安定化信号とを基に前記トルク指令と前記推力指令を生成するステップとを含むこと
    を特徴とする倒立二輪型搬送車の制御方法。
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