JP5028347B2 - 車両用コンバーチブルトップの駆動構造 - Google Patents

車両用コンバーチブルトップの駆動構造 Download PDF

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Description

本願発明は、自動で開閉されるコンバーチブルトップの後端側にトノカバーが配置され、且つ該コンバーチブルトップのクローズ状態においては該コンバーチブルトップも後端部分が上記トノカバーの前面側の衝合される構成の車両用コンバーチブルトップにおいて好適な駆動構造に関するものである。
オープンカーのルーフ部分を構成する車両用コンバーチブルトップに関しては従来から種々の構造が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これら各特許文献に示されるコンバーチブルトップでは、クローズ状態における後部形体を、ルーフ部後端から車体後方側へ滑らかに下降傾斜する流線型に形成し、この下降傾斜部分にバックガラスを取付けるのが通例である。
ところで、近年は、コンバーチブルトップの後部形体を、ルーフ後端部において縦方向に切り落とし車体後方側へ開口させる一方、該コンバーチブルトップの後方側に設けられるトノカバーを、車幅方向の両側部のみを上記コンバーチブルトップのルーフ部後端から車体後方側へ滑らかに下降傾斜するような流線型に隆起形成し、この左右の隆起形成部の中間部分は低位の平板状に形成し、係る形態をもつトノカバーの前端面にバックガラスを取付けたものが提案されている。そして、コンバーチブルトップのクローズ状態では、該コンバーチブルトップの後端部を上記トノカバー側の上記バックガラスに衝合させてシール性を確保するようにしている(図1、図4参照)。
このように、コンバーチブルトップのクローズ状態では、該コンバーチブルトップの後端部をトノカバーの前端面に取付けたバックガラスに衝合させてシール性を確保するようにした構成のものにあっては、コンバーチブルトップをクローズ状態からオープン状態側へ作動させる場合、即ち、上記コンバーチブルトップを後部側へ折り畳んでトノカバーの下側スペースに格納する場合、該コンバーチブルトップをクローズ状態のまま、上記トノカバーの前端側を上昇させて上記コンバーチブルトップの格納移動スペースを確保しようとしても、上述のようにコンバーチブルトップのクローズ状態では該コンバーチブルトップの後端部が上記トノカバーの前端面のバックガラスに衝合されていることから、該コンバーチブルトップの後端部によって上記トノカバーの前端部の上昇移動が規制され、所要の作動を実現できないことになる。
このため、係る構成のものにおいては、上記トノカバーの上昇移動(即ち、開作動)に先立って、上記コンバーチブルトップの後端部を車体前方側へ移動させて上記トノカバーのバックガラスに対する衝合状態を解消させ、しかる後、上記トノカバーを開作動させるようにしている。
ここで、このようにトノカバーの開作動に先立ってコンバーチブルトップの後端側を該トノカバーの前端面から離脱させる場合、該コンバーチブルトップを支持する幌フレームの後端に位置して幌の後端縁を支持する後端ボウを幌フレーム側に引き寄せる手法が採用される。この場合、一般には、幌フレーム側に駆動源を配置し、該駆動源によって上記後端ボウを駆動させるのが一般的である。なお、トノカバーの構造は異なるが、幌フレーム側に後端ボウを駆動させるための駆動源としてシリンダを配置してものとして特許文献3に示されるものがある。
特開平11−99831号公報 特開平7−25245号公報 特開平6−171372号公報 米国特許 第6,629,719号公報
ところが、このように幌フレーム側に後端ボウを駆動させるための駆動源を配置した駆動構造においては、
(ア)幌フレームの軽量化が阻害される、
(イ)設置スペース的な理由から、駆動源の種類が制約され、駆動方式の選択の自由度が損なわれる、
(ウ)駆動源の存在によって車室からの後方視界が妨げられる、
(エ)駆動源が車室内の乗員から近い位置に存在するため、該駆動源と人体の接触とか、作動音による快適性の阻害等の悪影響が懸念される、
等の問題がある。
そこで、本願発明では、幌フレームの軽量化とか、駆動方式の選択の自由度の向上等を図り得るようにした車両用コンバーチブルトップの駆動構造を提案することを目的としてなされたものである。
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
本願の第1の発明では、折曲・展開可能とされた幌フレーム12によって幌11を支持し、該幌フレーム12の展開・折曲によって車室2の上方を開閉蓋するとともに、上記幌フレーム12の後方側には、開閉可能とされるとともに閉位置で且つ上記幌フレーム12の展開状態においては該幌フレーム12の後端に位置する後端ボウ17がその前面側に衝合されるトノカバー4が備えられた車両用コンバーチブルトップ10において、上記幌フレーム12の後端側に位置しその一端が枢支ピン51によって車体側に枢支され且つ車体側に配置された第1の駆動源Xによって回動されるリヤサイドフレーム16と、一端が上記後端ボウ17に固定される一方、他端が上記リヤサイドフレーム16の適所に相対回転可能に連結された支持アーム21と、一端が上記後端ボウ17に支点ピン56によって相対回転可能に連結される一方、他端には支点ピン57によって車体側に配置された第2の駆動源Yに連結されたコントロールアーム22を備え、上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からのオープン作動時には、上記第2の駆動源Yによって上記コントロールアーム22を駆動し上記支点ピン57を上記リヤサイドフレーム16の上記枢支ピン51に重合する位置に位置させることで、上記後端ボウ17が上記トノカバー4の前面から離間して上記リヤサイドフレーム16寄りへ移動されるとともに、上記第1の駆動源Xによって上記リヤサイドフレーム16を、上記枢支ピン51を中心として車体後方側へ傾倒させるとき上記後端ボウ17が上記リヤサイドフレーム16との相対位置を維持したまま上記支点ピン57を中心として該リヤサイドフレーム16と一体的に傾倒されるように構成したことを特徴としている。
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る車両用コンバーチブルトップの駆動構造において、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yが、共にモータユニット25、26で構成されていることを特徴としている。
本願の第3の発明では、上記第2の発明に係る車両用コンバーチブルトップの駆動構造において、上記各モータユニット25、26は、共にセクター23、24を介して上記リヤサイドフレーム16及び上記コントロールアーム22を駆動する構成としたことを特徴としている。
本願の第4の発明では、上記第1の発明に係る車両用コンバーチブルトップの駆動構造において、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yが、共にシリンダユニット33、34で構成したことを特徴としている。
本願発明では次のような効果が得られる。
(a)本願の第1の発明に係るコンバーチブルトップの駆動構造によれば、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yを車体側に配置し、上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からのオープン作動時には、これら第1の駆動源Xと第2の駆動源Yの作動によって上記後端ボウ17を上記トノカバー4の前面から離間させて上記リヤサイドフレーム16寄りへ移動させるとともに、上記リヤサイドフレーム16と上記後端ボウ17を一体的に傾倒させて上記トノカバー4の下側へ格納させることができるものである。
従って、
(a−1)上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yが上記幌フレーム12側に存在しないことから、
(a−1−1)各駆動源X,Yによって車室内からの後方視界が妨げられることがなく、運転上の安全性が担保される、
(a−1−2)車室内の居住空間が十分に確保され、車室内での快適性が向上する、
(a−1−3)各駆動源X,Yと乗員の体との接触が可及的に防止されるとともに、該駆動源X,Yの運転音による不快感が低減され、車室内での安全性と快適性が確保される、
(a−1−4)可動部材である上記幌フレーム12の構造の簡略化及び軽量化が促進されるとともに、作動時の安定性が向上する、
(a−2)上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yが車体側に配置され、且つ該各駆動源X,Yが支持アーム21及びコントロールアーム22を介して上記後端ボウ17を駆動させる構成であることから、これら各部材の配置スペースの確保が容易であり、その結果、駆動方式の選択の自由度及びレイアウトの自由度が拡大する、
等の効果が得られる。
(b)本願の第2の発明に係るコンバーチブルトップの駆動構造によれば、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yを、共にモータユニット25、26で構成しているので、モータユニットの特性として、遠隔操作が容易であることから、上記各駆動源X,Yのレイアウトの自由度がさらに向上する。
(c)本願の第3の発明に係るコンバーチブルトップの駆動構造によれば、上記(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記各モータユニット25、26は、共にセクター23、24を介して上記リヤサイドフレーム16及び上記コントロールアーム22を駆動する構成としているので、該セクター23、24の形状の設定によって上記リヤサイドフレーム16及び後端ボウ17と、これらを駆動する上記各駆動源X,Yの間隔を調整することができ、該各駆動源X,Yのレイアウトの自由度がより一層向上する。
(d)本願の第4の発明に係るコンバーチブルトップの駆動構造によれば、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yを、共にシリンダユニット33、34で構成しているので、該シリンダユニット33、34の特性として、コンパクトな構成で大きな駆動力を発生し得ることから、駆動部分のコンパクト化が図れる。
以下、本願発明に係る車両用コンバーチブルトップの駆動構造を具体的に説明する。
I:コンバーチブルトップの全体構成
図7〜図9には、コンバーチブルトップ10が備えられた車両1の要部を示しており、図7はコンバーチブルトップ10のクローズ状態を、図8はコンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への過渡状態を、さらに図9はコンバーチブルトップ10のオープン状態を、それぞれ示している。
上記コンバーチブルトップ10は、上記車両1の車室2の上方を開閉蓋するものであって、次述の幌フレーム12とこの幌フレーム12によって展開・折畳可能に支持された幌11を備えて構成される。
上記幌フレーム12は、該幌フレーム12の前端に位置して車幅方向に延出するフロントフレーム13と、該フロントフレーム13の左右両端にそれぞれその前端部が固定された左右一対の第1ルーフサイドフレーム14と該各第1ルーフサイドフレーム14の後端に相対回動自在に連結された左右一対の第2ルーフサイドフレーム15と、該各第2ルーフサイドフレーム15の後端に相対回動自在に連結されるとともにその下端部が上記車両1の車体内側部に配置した後述するベースプレート6に枢支された左右一対のリヤサイドフレーム16と、該幌フレーム12の後端に位置し且つ後述する支持アーム21とコントロールアーム22によって支持されて車幅方向に延びる後端ボウ17と、上記左右一対の第2ルーフサイドフレーム15間に跨って車幅方向に延びる中間ボウ18と、上記左右一対の第1ルーフサイドフレーム14間に跨って車幅方向に延びる前側ボウ19を備えて構成される。
そして、上記幌11は、その前端縁が上記幌フレーム12のフロントフレーム13に固定され、その後端縁が上記後端ボウ17に固定されるとともに、その左右の側縁が上記第1ルーフサイドフレーム14と第2ルーフサイドフレーム15及びリヤサイドフレーム16のよって支持され、さらにその車幅方向中間が上記中間ボウ18及び前側ボウ19によって支持されており、上記幌フレーム12の展延によって張設され(図7参照)、該幌フレーム12の折曲によって折り畳まれる(図9参照)。
そして、このコンバーチブルトップ10は、そのクローズ状態では、図7に示すように、上記車両1のフロントヘッダ3と次述するトノカバー4の前面部との間に跨って張設されて上記車室2の上方を閉蓋する一方、そのオープン状態では、図9に示すように、折畳状態で上記トノカバー4の下側に設けられた収納スペース内に収納され、上記車室2の上方を開放する。
ここで、上記トノカバー4の構造を説明すると、該トノカバー4は、図7に示すように、車幅方向の両端部をそれぞれ上方へ隆起させ且つその前端から後端へ向けて流線状に下降傾斜させてこれを隆起部41a,41aとする一方、車幅方向中間部分は低位の平板状としてこれを低位部41bとしたカバー本体41と、若干後方へ傾斜した状態で立ち上がる該カバー本体41の前端面41cに、該前端面41cの略前面を覆うようにしてバックガラス42を固定的に取付けて構成される。
そして、このトノカバー4は、その後端側を支点として上下方向に開閉可能とされており、車体側に配置したトノカバー駆動シリンダ7によって開閉駆動され、図7に示す閉位置と図8に示す開位置の間で位置変更される。なお、このトノカバー4の開閉は、上記コンバーチブルトップ10の動作に連動して自動的に行なわれるようになっている。
ところで、図7に示すように、上記コンバーチブルトップ10がクローズ状態に設定され、且つ上記トノカバー4が閉位置に設定された状態では、上記コンバーチブルトップ10の後端に位置する後端ボウ17(図1参照)が上記トノカバー4の上記バックガラス42にその上側から乗り掛かった状態で衝合されている。従って、上記コンバーチブルトップ10の作動に先立って、上記トノカバー4をその閉位置から開位置へ位置変更させて該トノカバー4の下側に上記コンバーチブルトップ10の屈曲移動のためのスペースを確保すべく、該トノカバー4を閉位置から開位置へ作動させようとしても、上記コンバーチブルトップ10の上記後端ボウ17が上記トノカバー4の前端面と干渉して該トノカバー4を開作動させることができないことになる。
このため、上記トノカバー4の閉位置から開位置への作動に際しては、該トノカバー4の作動に先立って、図7に鎖線図示(符号17´参照)するように、上記コンバーチブルトップ10の後端に位置する上記後端ボウ17を車体前方側へ傾動させて上記トノカバー4のバックガラス42との衝合状態を解消し、該トノカバー4の開作動を許容し得る状態とする。この状態において、図8に示すように、上記トノカバー4を開作動させてこれを開位置に設定し、該トノカバー4の下側のスペースを通して上記コンバーチブルトップ10を屈曲させながら後傾させて、図9に示すように、該コンバーチブルトップ10を車体後部の収納室8に収納し、さらに上記トノカバー4を開位置から閉位置に作動させて上記コンバーチブルトップ10の上方を上記コンバーチブルトップ10によって覆う。
このように、上記コンバーチブルトップ10をクローズ状態からオープン状態へ作動させる場合において上記コンバーチブルトップ10を適正状態で作動させる、即ち、上記幌フレーム12を適正に作動させるために、本願発明に係るコンバーチブルトップの駆動構造が採用されたものである。
以下、このコンバーチブルトップ10の駆動構造を、好適な実施形態に基づいて説明する。
II:コンバーチブルトップの駆動構造の具体的な構成
II−1:第1の実施形態(図1〜図3参照)
II−1−a:具体的な構造
第1の実施形態に係る駆動構造は、駆動手段として電動機構を採用したものである。
ここで、図1は、図7に示すコンバーチブルトップ10のクローズ状態におけるリンク構成を示している。図2は、図8に示すコンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への作動の過渡期におけるリンク構成を示している。図3は、図9に示すコンバーチブルトップ10のオープン状態におけるリンク構成を示している。
図1〜図3において、符号16は、上記幌フレーム12の後端寄りに位置する上記リヤサイドフレームであって、このリヤサイドフレーム16は、枢支ピン51によって、車体内側部に固定配置されたベースプレート6に枢支され、車体前後方向へ回動自在とされている。
また、このリヤサイドフレーム16の下端部には、略扇形の平面形体をもち且つその外周縁にはセレクトギヤ23Aが形成された第1セクター23が、該セレクトギヤ23Aの回転中心を上記枢支ピン51の軸心に一致させた状態で固定されている。さらに、この第1セクター23のセレクトギヤ23Aには、車体側に固定配置された第1モータユニット25に設けられたピニオンギヤ25Bが噛合されている。従って、上記第1モータユニット25のモータ25Aの駆動力によって上記ピニオンギヤ25Bが回転駆動されることで、上記第1セクター23は上記リヤサイドフレーム16と一体的に上記枢支ピン51を中心として回動されることになる。なお、この実施形態では、上記第1モータユニット25が特許請求の範囲中の「第1の駆動源X」に該当する。
図1〜図3において、符号17は、上記幌フレーム12の最後端に位置して上記幌11の後端縁を支持する後端ボウであって、この後端ボウ17の後方側の面にはシール材43が取付けられており、該後端ボウ17を介して上記シール材43が上記トノカバー4側のバックガラス42に衝合されることで、上記幌11の後端縁と上記バックガラス42の間のシール性が確保されている。
上記後端ボウ17の下端部には、略L形に湾曲形成された支持アーム21の一端側が固定されている。この支持アーム21の他端は、支点ピン55によって、上記リヤサイドフレーム16における上記枢支ピン51の近傍位置に連結されている。
さらに、上記後端ボウ17の下端部には、コントロールアーム22の一端が支点ピン56によって回転可能に枢支されるとともに、該コントロールアーム22の他端は支点ピン57を介して次述の第2セクター24の一端に連結されている。
上記第2セクター24は、略L形の板体で構成され、その長手方向の中間部が枢支ピン52によって車体側に枢支されている。この第2セクター24の一端は上記支点ピン57によって上記コントロールアーム22の他端に連結される一方、その他端は略扇形の平面形体をもち且つその外周には上記枢支ピン52を回転中心とするセレクトギヤ24Aが形成されている。そして、この第2セクター24のセレクトギヤ24Aには、車体側に固定配置された第2モータユニット26に設けられたピニオンギヤ26Bが噛合されている。従って、上記第2モータユニット26のモータ26Aの駆動力によって上記ピニオンギヤ26Bが回転駆動されることで、上記第2セクター24は上記枢支ピン52を中心として回動されることになる。なお、この実施形態では、上記第2モータユニット26が特許請求の範囲中の「第2の駆動源Y」に該当する。
ここで、上記第2セクター24における上記枢支ピン52と上記支点ピン57の間隔と、該枢支ピン52と上記枢支ピン51の間隔とが同一となるように、上記第2セクター24の形体及び上記枢支ピン52の取付位置が設定されている。即ち、上記枢支ピン51は、上記支点ピン57の回動軌跡L上に位置することになり、従って、上記第2セクター24の回動角度を所定値に規定することで、図2に示すように、上記支点ピン57と上記枢支ピン51を同一位置において重合させることができる。
なお、図1〜図3において、符号20は、上記幌フレーム12の折曲・展開作動を制御するコントロールリンクであり、その一端は枢支ピン53によって上記ベース体6に枢支され、他端は上記幌フレーム12の上記第2ルーフサイドフレーム15の端部に連結されている(図7参照)。
II−1−b:作動の説明
(b−1) 上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態
上記コンバーチブルトップ10がクローズ状態にあるときには、上記各部材は図1に示すような位置関係にある。即ち、上記リヤサイドフレーム16は立設状態にあり、上記第1セクター23のセクターギヤ23Aの一端寄り位置に上記第1モータユニット25のピニオンギヤ25Bが噛合し、これによって該リヤサイドフレーム16が立設状態に保持されている。
また、上記第2セクター24における上記セクターギヤ24Aの一端寄り位置に上記第2モータユニット26のピニオンギヤ26Bが噛合しており、これによって上記第2セクター24が後傾状態に保持されている。
一方、上記後端ボウ17は、上記第2セクター24に連結された上記コントロールアーム22によってその高さが規定されるとともに、この高さに対応して所定の傾動状態に姿勢保持された上記支持アーム21によってその傾動角度が規定され、この高さと傾動角度の規制によって、該後端ボウ17に設けた上記シール材43は、閉位置に設定された上記トノカバー4の前端面に位置する上記バックガラス42に衝合され、これら両者間のシール性が確保されている。
(b−2) 上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への作動時
上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への作動時には、先ず、図1に示した状態から上記第2モータユニット26が作動され、上記後端ボウ17の姿勢変更が行なわれる。
即ち、図1の状態において、先ず、上記第2モータユニット26を作動させ、上記ピニオンギヤ26Bの上記第2セクター24の上記セクターギヤ24Aに対する噛合位置を、該セクターギヤ24Aの一端側から他端側へ移動させる。これによって、上記第2セクター24は、図1に示す後傾姿勢から起立側へ回動され、最終的に、図2に示すように、上記第2セクター24の一端の上記支点ピン57が上記リヤサイドフレーム16側の上記枢支ピン51に重合した時点で上記第2モータユニット26を停止させる。
このような上記第2セクター24の回動に伴って、上記後端ボウ17は、上記コントロールアーム22を介して上方へ突上げられるとともに、この突き上げ量に対応する角度だけ上記支点ピン55を中心として上記支持アーム21と一体的に回動する。
この結果、図2に示すように、上記後端ボウ17は、上記リヤサイドフレーム16側へ引き寄せられて前傾姿勢とされ、上記トノカバー4の上記バックガラス42側から離間される。なお、この後端ボウ17の前傾姿勢は、上記支持アーム21とコントロールアーム22によって保持される。
このように上記コンバーチブルトップ10が姿勢保持された状態で、上記トノカバー4を、上記トノカバー駆動シリンダ7によって閉位置から開位置側へ回動させて、これを開位置で保持させる(図8参照)。
(b−3) 上記コンバーチブルトップ10のオープン状態への作動
図2に示す状態から、上記トノカバー4を開位置へ設定した後、上記第1モータユニット25を作動させ、そのピニオンギヤ25Bの上記第1セクター23のセクターギヤ23Aに対する噛合位置を、該セクターギヤ23Aの一端側から他端側へ移動させ、上記リヤサイドフレーム16の上記枢支ピン51回りに後傾させる。この場合、上記枢支ピン51と上記第2セクター24側の上記支点ピン57が重合しているため、上記コントロールアーム22は見掛け上、上記枢支ピン51を中心として上記リヤサイドフレーム16及び上記支持アーム21との相対関係を維持したままこれらと一体的に後傾され、図3に示すようにリヤフロアパネル49の後部寄りの収納スペース8(図9参照)内に収納される。収納完了後、上記トノカバー4を開位置から閉位置へ回動させ、閉位置で保持する。
以上で、上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への変更操作が完了する。
II−2:第2の実施形態(図4〜図6参照)
II−2−a:具体的な構造
第2の実施形態に係る駆動構造は、駆動手段として油圧機構を採用したものである。
ここで、図4は、図7に示すコンバーチブルトップ10のクローズ状態におけるリンク構成を示している。図5は、図8に示すコンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への作動の過渡期におけるリンク構成を示している。図6は、図9に示すコンバーチブルトップ10のオープン状態におけるリンク構成を示している。
図4〜図6において、符号16は、上記幌フレーム12の後端寄りに位置する上記リヤサイドフレームであって、このリヤサイドフレーム16は、枢支ピン51によって、車体内側部に固定配置されたベースプレート6に枢支され、車体前後方向へ回動自在とされている。
また、このリヤサイドフレーム16の上記枢支ピン51bから適宜離間した位置には、支点ピン59によってリンク31の一端が連結されている。このリンク31の他端にはピン38によって第1シリンダユニット33の先端が連結されている。この第1シリンダユニット33は、特許請求の範囲中の「第1の駆動源X」に該当するものであって、その基端はピン36によって車体側に連結されている。さらに、上記リンク31の中間位置には、支点ピン58によってリンク32の一端が連結されるとともに、該リンク32の他端は枢支ピン54によって車体側の上記ベース体6に枢支されている。
従って、上記リヤサイドフレーム16は、上記第1シリンダユニット33の伸縮動によって作動する上記リンク31とリンク32を介して、上記枢支ピン51を中心として回動されることになる。
図4〜図6において、符号17は、上記幌フレーム12の最後端に位置して上記幌11の後端縁を支持する後端ボウであって、この後端ボウ17の後方側の面にはシール材43が取付けられており、該後端ボウ17を介して上記シール材43が上記トノカバー4側のバックガラス42に衝合されることで、上記幌11の後端縁と上記バックガラス42の間のシール性が確保されている。
上記後端ボウ17の下端部には、略L形に湾曲形成された支持アーム21の一端側が固定されている。この支持アーム21の他端は、支点ピン55によって、上記リヤサイドフレーム16における上記枢支ピン51の近傍位置に連結されている。
さらに、上記後端ボウ17の下端部には、コントロールアーム22の一端が支点ピン56によって回転可能に枢支されるとともに、該コントロールアーム22の他端はピン39を介して第2シリンダユニット34の先端部に連結されている。また、上記ピン39には、リンク66の一端が連結されるとともに、該リンク66の他端はピン67によって車体側に枢支されている。
なお、上記第2シリンダユニット34は、特許請求の範囲中の「第2の駆動源Y」に該当するものであって、その基端部はピン37によって車体側の上記ベース体6に連結されている。
ここで、上記第2シリンダユニット34が伸長すると、上記コントロールアーム22を介して上記後端ボウ17は上方へ突上げられるが、それと同時に、該後端ボウ17は上記支持アーム21の回動によって上記支点ピン55を中心として上記リヤサイドフレーム16側へ引き付けられる。これら両作用によって、上記ピン39は斜め上方へ移動することになるが、この実施形態では、図4に示すように、該ピン39は上記リヤサイドフレーム16側の上記枢支ピン51を通る軌跡Lに沿って移動し、そのストロークエンドでは、図5に示すように、上記枢支ピン51に重合する位置に達するように、上記リンク66の長さ、上記枢支ピン51及び上記各ピン37、39の三者間の相対位置が設定されている。
なお、図4〜図6において、符号20は、上記幌フレーム12の折曲・展開作動を制御するコントロールリンクであり、その一端は枢支ピン53によって上記ベース体6に枢支され、他端は上記幌フレーム12の上記第2ルーフサイドフレーム15の端部に連結されている(図7参照)。
II−2−b:作動の説明
(b−1) 上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態
上記コンバーチブルトップ10がクローズ状態にあるときには、上記各部材は図4に示すような位置関係にある。即ち、上記リヤサイドフレーム16は立設状態にあり、伸長状態にある上記第1シリンダユニット33によって該リヤサイドフレーム16の立設状態が保持されている。
また、上記第2シリンダユニット34は縮小状態にある。この場合、上記後端ボウ17は、上記第2シリンダユニット34に連結された上記コントロールアーム22によってその高さが規定されるとともに、この高さに対応して所定の傾動状態に姿勢保持された上記支持アーム21によってその傾動角度が規定されることから、この高さと傾動角度の規制によって、該後端ボウ17はその表面に設けた上記シール材43を介して、閉位置に設定された上記トノカバー4の前端面に位置する上記バックガラス42に衝合され、これら両者間のシール性が確保されている。
(b−2) 上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への作動時
上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への作動時には、先ず、図4に示した状態から上記第2シリンダユニット34を伸長させて上記後端ボウ17の姿勢変更を行なう。即ち、図4の状態において、先ず、上記第2シリンダユニット34を伸長させると、上記リンク66が支点ピン67回りに回動し、上記コントロールアーム22が上記後端ボウ17及び上記支持アーム21と共に押し上げられ、最終的に、図5に示すように、上記コントロールアーム22の他端の上記ピン39が上記リヤサイドフレーム16側の上記枢支ピン51に重合される。
このような上記コントロールアーム22の押し上げに伴って、上記後端ボウ17は、上記コントロールアーム22を介して上方へ突上げられるとともに、この突き上げ量に対応する角度だけ上記支点ピン55を中心として上記支持アーム21と一体的に回動する。
この結果、図5に示すように、上記後端ボウ17は、上記リヤサイドフレーム16側へ引き寄せられて前傾姿勢とされ、上記トノカバー4の上記バックガラス42側から離間される。なお、この後端ボウ17の前傾姿勢は、上記支持アーム21とコントロールアーム22によって保持される。
このように上記コンバーチブルトップ10が姿勢保持された状態で、上記トノカバー4を、上記トノカバー駆動シリンダ7によって閉位置から開位置側へ回動させて、これを開位置で保持させる(図8参照)。
(b−3) 上記コンバーチブルトップ10のオープン状態への作動
図5に示す状態から、上記トノカバー4を開位置へ設定した後、上記第1シリンダユニット33を縮小作動させ、上記リヤサイドフレーム16をその上記枢支ピン51回りに後傾させる。この場合、上記枢支ピン51と上記コントロールアーム22側の上記ピン38が重合しているため、上記コントロールアーム22は見掛け上、上記枢支ピン51を中心として上記リヤサイドフレーム16及び上記支持アーム21との相対関係を維持したままこれらと一体的に後傾され、図6に示すように、リヤフロアパネル49の後部寄りの収納スペース8(図9参照)内に収納される。収納完了後、上記トノカバー4を開位置から閉位置へ回動させ、閉位置で保持する。
以上で、上記コンバーチブルトップ10のクローズ状態からオープン状態への変更操作が完了する。
II−3:作用効果
以上のように構成された上記各実施形態に係る車両用コンバーチブルトップの駆動構造によれば、以下のような特有の作用効果が得られる。
(3−a) 上記各実施形態の駆動構造においては、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yを共に車体側に配置され、上記幌フレーム12側には存在しないことから、
(3−a−1) 各駆動源X,Yによって車室内からの後方視界が妨げられることがなく、運転上の安全性が担保される、
(3−a−2) 車室2内の居住空間が十分に確保され、車室2内での快適性が向上する、
(3−a−3) 各駆動源X,Yと乗員の体との接触が可及的に防止されるとともに、該駆動源X,Yの運転音による不快感が低減され、車室2内での安全性と快適性が確保される、
(3−a−4) 可動部材である上記幌フレーム12の構造の簡略化及び軽量化が促進されるとともに、作動時の安定性が向上する、
等の効果が得られる。
(3−b) 上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yが共に車体側に配置され、且つ該各駆動源X,Yが支持アーム21及びコントロールアーム22を介して上記後端ボウ17を駆動させる構成であることから、これら各部材の配置スペースの確保が容易であり、その結果、駆動方式の選択の自由度及びレイアウトの自由度が拡大する事になる。
(3−c) 上記第1の実施形態のように、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yを、共にモータユニット25、26で構成した場合には、該モータユニットの特性として、遠隔操作が容易であることから、上記各駆動源X,Yのレイアウトの自由度がさらに向上することになる。
(3−d) 上記第2の実施形態のように、上記第1の駆動源Xと第2の駆動源Yを、共にシリンダユニット33、34で構成した場合には、該シリンダユニット33、34の特性として、コンパクトな構成で大きな駆動力を発生し得ることから、駆動部分のコンパクト化が図れる。
本願発明の第1の実施の形態に係る駆動構造が適用された車両用コンバーチブルトップのクローズ状態における要部側面図である。 図1に示したコンバーチブルトップのクローズ状態からオープン状態への過渡期における要部側面図である。 図1に示したコンバーチブルトップのオープン状態における要部側面図である。 本願発明の第2の実施の形態に係る駆動構造が適用された車両用コンバーチブルトップのクローズ状態における要部側面図である。 図4に示したコンバーチブルトップのクローズ状態からオープン状態への過渡期における要部側面図である。 図4に示したコンバーチブルトップのオープン状態における要部側面図である。 コンバーチブルトップのクローズ状態における要部側面図である。 コンバーチブルトップのクローズ状態からオープン状態への過渡期におけるにおける要部側面図である。 コンバーチブルトップのオープン状態における要部側面図である。
符号の説明
1 ・・車両
2 ・・車室
3 ・・フロントヘッダ
4 ・・トノカバー
6 ・・ベースプレート
7 ・・トノカバー駆動シリンダ
8 ・・収納スペース
10 ・・コンバーチブルトップ
11 ・・幌
12 ・・幌フレーム
13 ・・フロントフレーム
14 ・・第1ルーフサイドフレーム
15 ・・第2ルーフサイドフレーム
16 ・・リヤサイドフレーム
17 ・・後端ボウ
18 ・・中間ボウ
19 ・・前側ボウ
20〜23 ・・リンク
20 ・・コントロールリンク
21 ・・支持アーム
22 ・・コントロールアーム
23 ・・第1セクター
24 ・・第2セクター
25 ・・第1モータユニット(第1の駆動源)
25A ・・モータ
26 ・・第2モータユニット(第2の駆動源)
26A ・・モータ
31 ・・リンク
32 ・・リンク
33 ・・第1シリンダユニット(第1の駆動源)
34 ・・第2シリンダユニット(第2の駆動源)
35〜39 ・・ピン
41 ・・カバー本体
42 ・・バックガラス
43 ・・シール材
49 ・・リヤフロアパネル
51〜54 ・・枢支ピン
55〜59 ・・支点ピン
66 ・・リンク
67 ・・ピン
X ・・第1の駆動源
Y ・・第2の駆動源

Claims (4)

  1. 折曲・展開可能とされた幌フレーム(12)によって幌(11)を支持し、該幌フレーム(12)の展開・折曲によって車室(2)の上方を開閉蓋するとともに、上記幌フレーム(12)の後方側には、開閉可能とされるとともに閉位置で且つ上記幌フレーム(12)の展開状態においては該幌フレーム(12)の後端に位置する後端ボウ(17)がその前面側に衝合されるトノカバー(4)が備えられた車両用コンバーチブルトップ(10)において、
    上記幌フレーム(12)の後端側に位置しその一端が枢支ピン(51)によって車体側に枢支され且つ車体側に配置された第1の駆動源(X)によって回動されるリヤサイドフレーム(16)と、
    一端が上記後端ボウ(17)に固定される一方、他端が上記リヤサイドフレーム(16)の適所に相対回転可能に連結された支持アーム(21)と、
    一端が上記後端ボウ(17)に支点ピン(56)によって相対回転可能に連結される一方、他端には支点ピン(57)によって車体側に配置された第2の駆動源(Y)に連結されたコントロールアーム(22)を備え、
    上記コンバーチブルトップ(10)のクローズ状態からのオープン作動時には、上記第2の駆動源(Y)によって上記コントロールアーム(22)を駆動し上記支点ピン(57)を上記リヤサイドフレーム(16)の上記枢支ピン(51)に重合する位置に位置させることで、上記後端ボウ(17)が上記トノカバー(4)の前面から離間して上記リヤサイドフレーム(16)寄りへ移動されるとともに、
    上記第1の駆動源(X)によって上記リヤサイドフレーム(16)を、上記枢支ピン(51)を中心として車体後方側へ傾倒させるとき上記後端ボウ(17)が上記リヤサイドフレーム(16)との相対位置を維持したまま上記支点ピン(57)を中心として該リヤサイドフレーム(16)と一体的に傾倒されるように構成したことを特徴とする車両用コンバーチブルトップの駆動構造。
  2. 請求項1において、
    上記第1の駆動源(X)と第2の駆動源(Y)が、共にモータユニット(25)、(26)で構成されていることを特徴とする車両用コンバーチブルトップの駆動構造。
  3. 請求項2において、
    上記各モータユニット(25)、(26)は、共にセクター(23)、(24)を介して上記リヤサイドフレーム(16)及び上記コントロールアーム(22)を駆動する構成であることを特徴とする車両用コンバーチブルトップの駆動構造。
  4. 請求項1において、
    上記第1の駆動源(X)と第2の駆動源(Y)が、共にシリンダユニット(33、34)で構成されていることを特徴とする車両用コンバーチブルトップの駆動構造。
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