JP5025841B2 - 非黄色系成型品用ポリカーボネート組成物 - Google Patents

非黄色系成型品用ポリカーボネート組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物に関するものであり、更に詳しくは、黄色みがなく、透明性が高く、かつ再成型した後も色と透明性の変化が少ない、非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。しかしながら、従来より用いられてきたホスゲン法で製造されたポリカーボネートは、その製造時に毒性のホスゲンを使用することや、ポリカーボネートの熱安定性や成形時の金型腐食等に影響を及ぼす残留塩化メチレンを含有する等の問題を有しており、近年は、エステル交換法ポリカーボネートが見直されてきている。
【0003】
従来、エステル交換法で製造されたポリカーボネートは、実験室的にはほとんど無色透明なものが得られるが、工業的にはわずかに黄色みを帯びたものしか得られていないという(プラスチック材料講座▲5▼ポリカーボネート樹脂、日刊工業新聞社、昭和56年発行、66頁)、重要な欠点を有している。透明成型品の場合、黄色みは樹脂が汚れたり変色したりした印象を与えるため、一般的に好まれない。従って、透明成型品用途では特に非黄色系の透明成型品を得るためのポリカーボネートが好まれるにも関わらず、エステル交換法のポリカーボネートはそのままでは、黄色みを無くすという要求に答えることができなかった。
【0004】
そこで、エステル交換法のポリカーボネートを非黄色系透明成型品用途に用いる場合には、着色剤を添加する事によって、黄色みを無くし青色系や紫色系の色にする方法が従来行われている。しかしながら、この様に着色剤によって黄色みをなくす事はできるものの、その場合は透明性が低下し、その外観は明るさのない暗い印象に悪化してしまうという問題があった。
【0005】
また、近年環境問題に関する意識が高まる中、一度成型したプラスチックを再成型し、再利用するケースが増大している。しかしながら、従来のポリカーボネートは再成型するたびに変色し、透明度も低下するという問題を有している。着色剤を添加する場合は、黄色みをなくすことはできても、再成型時の変色や透明度の変化はむしろ大ききなってしまうという問題も有していた。
【0006】
エステル交換法で、カラーの良好なポリカーボネートを製造する試みは非常に数多くなされている。その代表的な試みとして触媒に関する研究が、特開昭61−151236号公報、特開昭63−179926号公報、特開平2−124934号公報、特開平2−175723号公報、特開平3−54223号公報、特開平3−203928号公報、特開平4−296325号公報、特開平5−1145号公報、特開平5−97993号公報、特開平6−234843号公報、特開平6−256497号公報、特開平6−271661号公報、特開平7−53705号公報、特開平7−82365号公報、特開平7−109344号公報、特開平7−207014号公報、特開平7−247351号公報、特開平8−41193号公報、特開平8−81551号公報、特開平8−165341号公報、特開平8−183847号公報、特開平8−208825号公報、特開平8−245781号公報、特開平8−325375号公報、特開平9−59369号公報、特開平9−157382号公報、特開平9−169838号公報、特開平9−188753号公報、特開平10−45895号公報等でなされている。
【0007】
これらの公報には、いずれも良好なカラーのポリカーボネートが製造できると記載されているものの、実用的レベルにおいて充分満足できるものではない。例えば、上記特開昭63−179926号公報には、ベリリウム化合物を触媒とすることによって、ポリカーボネート樹脂の着色をほぼ完全に制御できる、と記載されているにも関わらず、実施例に示された吸光度は、塩化メチレン中に100g/リットルの濃度で溶解させたポリカーボネート溶液の光路長100mmのセルで測定した400nmの吸光度で0.08〜0.09の範囲である。この値は、ポリカーボネート1.0gを塩化メチレン7mlに溶かした溶液を光路長1cmセルに入れて測定した400nmの吸光度に換算すると、0.011〜0.013の範囲となり、この方法で測定したホスゲン法のポリカーボネートの吸光度が通常0.003〜0.005の範囲であることに比べてはるかに高く、とても実用的に用いることはできない。
【0008】
エステル交換法でポリカーボネートを製造するための触媒に関する研究はこの様に数多くなされているが、触媒の選定だけでは充分に着色の問題を解決できないと共に、非黄色系透明成型品に求められる黄色みがなく、かつ透明度が高く、かつ再成型時の変色や透明性の低下が少ないポリカーボネート組成物を得る方法については全く開示されていない。
【0009】
エステル交換法のポリカーボネートの着色を改善する手段として、安定剤を使用する方法も数多く開示されている。例えば、特開平3−255125号公報には、フォスフォナイト系化合物とヒンダードフェノール系化合物を特定の条件で添加することにより、熱安定性、色相、耐加水分解性に優れたポリカーボネートが得られることが記載されており、その他、特開平3−265625号公報、特開平4−1226号公報、特開平4−1227号公報、特開平4−1228号公報、特開平4−1229号公報、特開平4−15222号公報、特開平4−15223号公報、特開平4−41525号公報、特開平4−103626号公報、特開平4−328124号公報、特開平4−328156号公報、特開平4−345618号公報、特開平4−356559号公報、特開平5−112706号公報、特開平7−41654号公報、特開平7−70307号公報、特開平7−207018号公報、特開平7−247352号公報、特開平8−143658号公報、特開平8−231702号公報、特開平8−231705号公報等には、種々の安定剤を使用することによって、ポリカーボネートの色相が改善されることが記載されている。しかしながら、何れの公報にも、非黄色系透明成型品に求められる黄色みがなく、かつ透明度が高く、かつ再成型時の変色や透明性の低下が少ないポリカーボネート組成物を得る方法については、全く開示されていない。
【0010】
さらに、エステル交換法ポリカーボネートを製造するための重合器についても数多くの研究がなされており、そのほとんどすべてに着色の少ないポリカーボネートを製造できることが記載されている。しかしながら、エステル交換法は、重合が進行すると共にポリマーの粘度が上昇し、副生するフェノールなどを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、重合度を上げにくくなるという本質的な問題を有しており、この問題を解決するため重合温度を高くせざるを得ない等の理由により、ほとんどの重合器は分子量を充分に高めることが困難か、高めることができた場合でも着色面で実用に耐えるレベルには達していない。例えば、撹拌機を備えた竪型の攪拌槽型重合器を用いる方法は、一般に広く知られている。しかしながら、竪型の撹拌槽型重合器は小スケールでは容積効率が高く、シンプルであるという利点を有し、効率的に重合を進められるが、工業的規模では、上述したように重合の進行と共に副生するフェノールを効率的に系外に抜き出す事が困難となり重合速度が極めて低くなるという問題を有している。
【0011】
すなわち、大スケールの竪型の撹拌槽型重合器は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケールの場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな状態となる。この場合、重合度を高めていくために真空度を高めていっても、撹拌槽の下部は液深があるために実質上高い圧力で重合される事になり、フェノール等は効率的に抜けにくくなるのである。
【0012】
この問題を解決するため、高粘度状態のポリマーからフェノール等を抜き出すための工夫が種々なされている。例えば特公昭50−19600号公報では、ベント部を有するスクリュー型重合器を用いる方法、特公昭52−36159号公報では、噛合型2軸押出機を用いる方法、また特公昭53−5718号公報では、薄膜蒸発型反応器、例えばスクリュー蒸発器や遠心薄膜蒸発器等を用いる方法が記載されており、さらに特開平2−153923号公報では、遠心薄膜型蒸発装置と横型撹拌重合槽を組み合わせて用いる方法が具体的に開示されている。
【0013】
これらの重合器の内、スクリュー型蒸発器や横型攪拌槽等の横型重合器は、主に回転攪拌により表面更新性を極力高めることによって、フェノール等を効率的に抜き出そうとしたものである。例えば、特公昭50−19600号公報では、「液状の反応混合物とガスないしは蒸気空間との間に比較的に大きく絶えず更新する相の境界が生じ、この事により液状の反応物から分離する気化性の反応生成物は極めて速やかに除去される」と記載され、気液界面の表面更新の効果によりフェノール等を効果的に抜き出せる事が示唆されている。また特公昭52−36159号公報では、表面更新効果Jがスクリュー回転数、反応部のスクリュー表面積、反応部のスクリュー総ピッチ数、原料供給量、及び反応部のスクリュー1ピッチ当たりの全有効体積の関数として定義され、その値が所定の範囲内にある事の重要性が指摘されている。
【0014】
しかしながらこれらの重合器では、表面更新性を高めるために、スクリューや攪拌軸等の回転攪拌動力を必要とするが、芳香族ポリカーボネートは特に分子量が高くなるに伴い粘度が著しく高くなるため、非常に大きな動力が必要となる。しかも、粘度が高い場合には、如何に大きな動力を用いてもポリマーが大きなシェアーを受けるため分子鎖の切断が生じ、結果として分子量上昇速度は遅くなり、高分子量の芳香族ポリカーボネートを製造することはできない。また、大きなシェアーを受ける為にポリマーの着色が起きることは避けられないのである。
【0015】
一方、遠心薄膜型蒸発器に関しては、特開平2−153923号公報において、エステル交換反応の最終段階における重縮合反応器として遠心薄膜型蒸発器を用いる場合には、反応混合物の単位処理量当たりの蒸発表面積を大きくすることができるので、反応混合物の遠心薄膜型蒸発器における滞留時間を短くできるものの、生成するポリマーの一部は、回転軸、羽根、内部軸受けなどに付着して長い熱履歴を経るため、黒変した分解物がポリマーに混入するという問題点があることが指摘されている。該公報ではこの問題を避けるため、エステル交換反応の最終段階でなく、中間段階で遠心薄膜型蒸発器を用いる方法が開示されている。しかしながら、遠心薄膜型蒸発器は蒸発器の内壁部分のみで薄膜を形成しているため重合器としての容積効率が極めて小さく、充分な反応時間を得ようとすればリアクターが大きくなりすぎる上、着色面でも好ましくないという問題も有していた。
【0016】
このような問題を解決する手段として、本発明者らは米国特許第5589564号明細書において、ワイヤに沿わせて落下させながら重合させる方法により、高品質なポリカーボネートを高い重合速度で製造できることを明らかにした。この方法は、重合時の蒸発面積を非常に大きく取ることが可能であるため比較的低温でも重合できる上、回転攪拌軸を有しないため上述の重合器のような問題点を解決しており、着色面で優れたポリカーボネートを、製造することができる。
【0017】
しかしながら、単に黄色みが少ないポリカーボネートに関しては記載があるものの、黄色みがなくてかつ透明性が高く、かつ再成型した後も色と透明性の変化が少ない、非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物に関しては、まだ得られていなかった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、黄色みがなく、透明性が高く、かつ再成型した後も色と透明性の変化が少ない、非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、耐熱安定剤を特定の範囲で含有し、黄色みを表すb*値と透明性を表すL値が特定の関係にあり、かつb*値が特定の範囲にあるポリカーボネート組成物がその目的を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0020】
即ち本発明は、
(A) ポリカーボネート100重量部に対して、耐熱安定剤0.0005〜0.22重量部を含むポリカーボネート組成物において、該ポリカーボネートが芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、エステル交換法によって製造された、数平均分子量が6000〜15000のポリカーボネートであり、該ポリカーボネート中の塩素イオン含量が0.5ppm以下であり、該ポリカーボネート組成物のb*値とL値(いずれも3.2mm厚の成形片をCIELAB法で測定した測定値)が下記(1)式の関係を満足し、かつ該b*値が1.2以上3.1以下である事を特徴とする非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物、
[b*値]≦1.65×[L値]−145.5 (1)
【0021】
(B) ポリカーボネート組成物が、着色剤0.00001〜0.000重量部を含み、該着色剤が10μgをメタノール1gに溶かした溶液を光路長1cmセルに入れ、分光光度計により測定した580nmでの吸光度に対する400nmの吸光度の比が0.3以下の着色剤である事を特徴とする(A)記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物、(C)着色剤が、アンスラキノン骨格を有する化合物であることを特徴とする(B)記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物。
【0022】
(D) エステル交換触媒の量が、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、0.000003〜0.0003モルの範囲であることを特徴とする(A)、(B)又は(C)記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物、
(E) 耐熱安定剤が、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステル、及びスルホン酸エステルから選ばれる一種以上の化合物を含むことを特徴とする(A)、(B)、(C)又は(D)記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物、
(F) 耐熱安定剤が、(a)亜リン酸ジエステル及び亜リン酸モノエステル、スルホン酸エステルから選ばれた一種以上の化合物と、(b)フェノール系安定剤、亜リン酸トリエステル及びホスフィン酸ジエステルから選ばれた一種以上の化合物を含むことを特徴とする(E)記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物、
を提供するものである。
【0023】
本発明によれば、黄色みがなく、かつ透明性に優れるという、透明成型品用のポリカーボネート組成物に求められていた相反する特性を満足するだけでなく、驚くべき事には、成型した後も色と透明性の変化が少ない組成物を提供することができる。この理由については明らかではないが、本発明の条件を満たす組成物は、ポリカーボネート中に着色の原因となる不純物や異種結合等が少ない上に、結果として着色剤の含有量も比較的少ないことが、上記の相反する性質を満足させるものと推定している。
【0024】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物は、ポリカーボネート100重量部に対して、耐熱安定剤0.0005〜0.22重量部と着色剤0〜0.0002重量部を含むポリカーボネート組成物である。
本発明で用いるポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、エステル交換法によって製造される。芳香族ジヒドロキシ化合物とは、次式で示される化合物である。
HO−Ar−OH(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)
2価の芳香族基Arは、好ましくは例えば、次式で示されるものである。
−Ar1 −Y−Ar2
(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)
【0025】
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
【0026】
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基である。
【0027】
【化1】
Figure 0005025841
【0028】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化2で示されるものが挙げられる。
【0029】
【化2】
Figure 0005025841
【0030】
(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるものであっても良い。
−Ar1 −Z−Ar2
(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3に示されるものが挙げられる。
【0031】
【化3】
Figure 0005025841
【0032】
(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述のとおりである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記化4で表される。
【0033】
【化4】
Figure 0005025841
【0034】
(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0035】
1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3 及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5に示されるものなどが挙げられる。
【0036】
【化5】
Figure 0005025841
【0037】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化6で示される。
【0038】
【化6】
Figure 0005025841
【0039】
(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
このジアリールカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。
【0040】
これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0041】
本発明のポリカーボネートの数平均分子量は、6000〜15000、好ましくは6500〜14000の範囲である。数平均分子量は、テトラヒドロフランを搬送溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用いて得た下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた値である。
PC=0.3591MPS 1.0388
(式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量を示す。)
【0042】
本発明のポリカーボネート中の塩素イオン含量は、0.5ppm以下である。塩素イオンの測定は、硝酸銀溶液を用いた電位差滴定法もしくはイオンクロマト法の何れでも可能である。これらの測定法の検出下限界は0.1ppmであり、ポリカーボネート中の塩素イオン含量は、0.1ppm以下であることが更に好ましい。塩素イオン含量が0.5ppmより多い場合には、黄色みが少なく、透明性が高く、かつ再成型した後も色と透明性の変化が少ない本発明の組成物を提供する事はできない。
【0043】
本発明の組成物は、ポリカーボネート100重量部に対して、耐熱安定剤を0.00001〜0.2重量部を含む。ポリカーボネート100重量部に対する耐熱安定剤の好ましい量は、0.00003〜0.15重量部であり、更に好ましくは0.00005〜0.1重量部である。
耐熱安定剤としては特に限定はされず、通常ポリカーボネートに使用されているものは使用できる。例えば、リン系安定剤、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、エポキシ系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等が使用できる。
【0044】
リン系安定剤としては、リン酸類、亜リン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類が挙げられる。具体的には、例えばリン酸類としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、下記化学式で示されるホスフィン酸類、
【0045】
【化7】
Figure 0005025841
【0046】
及び、下記化学式で示されるホスホン酸類等が挙げられる。
【0047】
【化8】
Figure 0005025841
【0048】
(式中、R11はエチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、P−ノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を示す。)これらの具体例としては、フェニルホスホン酸が挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても良いし、混合物で使用しても良い。
亜リン酸エステル類としては、亜リン酸トリエステル、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステルが挙げられ、下記化学式で表される。
【0049】
【化9】
Figure 0005025841
【0050】
【化10】
Figure 0005025841
【0051】
【化11】
Figure 0005025841
【0052】
【化12】
Figure 0005025841
【0053】
(式中、R12,R13,R14,R15,R16,R18,R19,R20,R21,R22,R23は化合物内で同一であっても異なっていても良く、水素、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を示し、R17,R24はアルキレン、アリレン、又はアリールアルキレンを示す。)
【0054】
これらの具体例としては、例えば亜リン酸トリエステルでは、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールホスファイト、テトラ(トリデシル)4,4’ーイソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル、ペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイトが挙げられる。
【0055】
こららの中で、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基を持つものが特に好ましく、具体例としてはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる
亜リン酸ジエステルの好ましい具体例としては、芳香族亜リン酸ジエステルが好ましく、例えばジフェニルハイドロゲンホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ジクレジルハイドロゲンホスファイト、(ビス(p−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ビス(p−ヘキシルフェニル)ハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。
【0056】
亜リン酸モノエステルの好ましい具体例としては、フェニルジハイドロゲンホスファイト、ノニルフェニルジハイドロゲンホスファイト、2,4−ジ−t−ブチルフェニルジハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても良いし、混合物で使用しても良い。
ホスフィン酸エステル類としては、ホスフィン酸ジエステル、ホスフィン酸モノエステルが挙げられ、下記化学式で表される。
【0057】
【化13】
Figure 0005025841
【0058】
【化14】
Figure 0005025841
【0059】
(式中、R25はエチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を示し、R26,R27,R28,R29,R31,R32は化合物内で同一であっても異なっていても良く、水素、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を示し、R30はアルキレン、アリレン、又はアリールアルキレンを示す。)
【0060】
このような化合物の具体的な例としては、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2、4ージ−t−ブチルフェニル)が挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても良いし、混合物で使用しても良い。
リン酸エステル類としては、リン酸ジエステル、リン酸モノエステルが挙げられ、下記化学式で表される。
【0061】
【化15】
Figure 0005025841
【0062】
【化16】
Figure 0005025841
【0063】
【化17】
Figure 0005025841
【0064】
【化18】
Figure 0005025841
【0065】
(式中、R13,R14,R16,R17,R18,R19,R21,R23,R24は前述と同一。)
これらの具体例としては、リン酸ジエステルの具体例としては、例えばジフェニルハイドロゲンホスフェート、ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ジクレジルハイドロゲンホスフェート、(ビス(p−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ビス(p−ヘキシルフェニル)ハイドロゲンホスフェート等が挙げられる。
【0066】
リン酸モノエステルの具体例としては、フェニルジハイドロゲンホスフェート、ノニルフェニルジハイドロゲンホスフェート、2,4−ジ−t−ブチルフェニルジハイドロゲンホスフェート等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても良いし、混合物で使用しても良い。
ホスホン酸エステル類としては、ホスホン酸モノエステルが挙げられ、下記化学式で表される。
【0067】
【化19】
Figure 0005025841
【0068】
【化20】
Figure 0005025841
【0069】
(式中、R25,R27,R29,R30,R31,R32は前述と同一)
フェノール系安定剤は、下記化学式で示される。
【0070】
【化21】
Figure 0005025841
【0071】
(式中、R33は水素原子、水酸基、アルコキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素残基を示し、R33は同一でも異なっていても良い。但し、R33の内少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭化水素残基を示すものとする。)
具体的にには、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−p−アニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチル−p−フェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキイシフェニル)プロピオネート]メタン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングルコールービス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等があげられる。
好ましいフェノール系安定剤としては、下記化学式で示されるものである。
【0072】
【化22】
Figure 0005025841
【0073】
(式中、R34はメチル基又はt−ブチル基、R35はt−ブチル基を、Aは炭素数1〜30のb価の炭化水素又は複素環残基を示し、aは1〜4の整数、bは1以上の整数を示す。)具体的にはテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキイシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングルコールービス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0074】
更にリン原子を含んだフェノール系安定剤、例えば3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム等も挙げられる。これらのフェノール系安定剤は単独で用いてもよいし、混合物で用いてもよい。
【0075】
イオウ系安定剤としては、式:R36−SO2−R37で示されるスルフィン酸、式:R36−SO337(両式中、R36はR11と同一。R37はR12と同一。)で示されるスルホン酸及びそのエステル類や、下記化学式等で示されるチオエーテル化合物がある。
【0076】
【化23】
Figure 0005025841
【0077】
(式中、R38,R39はC12〜C18のアルキル基を示す。)
これらの具体的な例としては、例えばベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びこれら酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、フェニルエステルが挙げられる。また、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール(βーラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。これらのイオウ系安定剤は単独で用いてもよいし、混合物で用いてもよい。
【0078】
エポキシ安定剤としては、例えばエポシシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等の油脂類、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビスエポキシシクロヘキシルアジペート、オクタデシル−2,2’−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、N−ブチル−2,2’−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、N−ブチルー2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4,6−ジメチル−2、3−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキサンカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキサンカルボキシレート、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン等のエポキシシクロヘキサン化合物、ビスエポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエイレネポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。これらのエポキシ系安定剤は単独で用いてもよいし、混合物で用いてもよい。
【0079】
ヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルー4−ビペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−nブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジル)テトラキシ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ポロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ{4,5}ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合物で用いてもよい。
【0080】
これら耐熱安定剤は、単独で用いてもよいし組み合わせて用いてもよい。これらの内、活性水素基を有するリン系やイオウ系安定剤及びスルフィン酸もしくはスルホン酸のエステル類が好ましく用いられる。活性水素基を有するリン系安定剤の例としては、前述のリン酸類、ホスフィン酸類、ホスホン酸類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸モノエステル類、ホスフィン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン酸モノエステル類、ホスホン酸モノエステル類等が挙げられ、活性水素基を有するイオウ系安定剤の例としては、スルフィン酸類、スルホン酸類が挙げられる。特に耐熱安定剤が、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステル、スルホン酸エステルから選ばれた一種以上の化合物を含む事が好ましい。
【0081】
また、耐熱安定剤を組み合わせて用いる場合は自由に組み合わせが可能であるが、特に耐熱安定剤が、(a)亜リン酸ジエステル及び亜リン酸モノエステル、スルホン酸エステルから選ばれた一種以上の化合物と、(b)フェノール系安定剤、亜リン酸トリエステル及びホスフィン酸ジエステルから選ばれた一種以上の化合物を含む事が好ましい。これら耐熱安定剤の併用により、再成形時の色や透明性の変化は少なくなる。
【0082】
本発明の組成物は、ポリカーボネート100重量部に対して、着色剤0.00001〜0.0002重量部を含むことが好ましい。ポリカーボネート100重量部に対する、着色剤の好ましい量は、0.00001〜0.00015重量部であり、さらに好ましい量は0.00002〜0.0001重量部である。
着色剤としては、該着色剤10μgをメタノール1gに溶かした溶液を光路長1cmセルに入れ、分光光度計により測定した580nmでの吸光度に対する400nmの吸光度の比が0.3以下の着色剤である。580nmでの吸光度に対する400nmの吸光度の好ましい比率は0.25以下であり、更に好ましい比率は、0.2以下である。
【0083】
また、着色剤としては、アンスラキノン骨格を有する化合物が、耐熱性が高いことから好ましい。
着色剤の具体例としては、バイエル社製MACROLEX Violet B、MACROLEX Blue RR、MACROLEX Blue 3R、住友化学社製Sumiplast Violet RR、Sumiplast Violet B、Sumiplast Blue OR、三菱化学製Diaresin Violet D、Diaresin Blue G、Diaresin Blue N等が挙げられる。
【0084】
本発明のポリカーボネート組成物の3.2mm厚の成形片で測定したb*値とL値は(1)式の関係を満足し、かつ該b*値が1.2以上3.1以下である。 [b*値]≦1.65×[L値]−145.5 (1)
*値の好ましい範囲は1.5以上3.0以下の範囲であり、更に好ましくは、1.8以上2.9以下の範囲である。b*値とL値を測定するための成形片は、射出成形機を用い、ポリカーボネート組成物をシリンダー温度290℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm×厚さ3.2mmの平板状成型品に連続成形したものである。CIELAB法(Comission Inetrnationale de l'Eclairage 1 9 7 6 L *a*bDiagram)により標準白色板上に平板状成型品を置き上部から測定し、黄色みはb*値、透明性はL値として評価できる。b*値とL値の関係が(1)式の範囲を満足しない場合は、黄色みがなく、かつ透明性が高いという条件を満足できないだけでなく、再成型した後の色の変化が大きくなり、かつ透明性の低下も大きくなる。b*値が1.2より小さい場合は、L値が低下して透明性が低くなるだけでなく、成型した後の色の変化が大きくなり、かつ透明性の低下も大きくなる。またb*値が、3.1より大きい場合は黄色みが多いため非黄色系透明成型品用の組成物として不適であるばかりでなく、再成型した後の色の変化が大きくなり、かつ透明性の低下も大きくなる。
【0085】
本発明で用いる好ましいポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの混合物にエステル交換触媒を添加した後、100〜180℃の温度範囲でエステル交換させて芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が70%以上に達した第1プレポリマーを製造する第1重合工程、該第1プレポリマーを230〜270℃の温度でエステル交換させて数平均分子量2000〜5000の第2プレポリマーを製造する第2重合工程、及び該第2プレポリマーに不活性ガスを吸収させた後、支持体に沿わせて落下させながら250〜280℃で重合させる第3重合工程からなり、且つ第1重合工程において該エステル交換触媒を添加した後、上記反応率が70%に達するまでの所要時間が6時間以上であり、第2重合工程の滞留時間が3時間以下であり、第3重合工程で第2プレポリマーを溶融ポリマー状態で支持体に沿わせて落下させてからポリカーボネートを排出させるまでの滞留時間の内、該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在する時間が20分以下である条件を満足して製造されたポリカーボネートである。
【0086】
エステル交換触媒としては、通常、エステル交換法でポリカーボネートを製造する際用いられる触媒であれば特に制限はなく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1 R 2 R 3 R 4)NB(R 1 R 2 R 3 R 4)または(R1 R 2 R 3 R 4)PB(R 1 R 2 R3 R 4)で表されるアンモニウムボレート類またはホスホニウムボレート類(R1、R 2 、R 3 、R 4 は前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類等、を挙げる事ができる。エステル交換触媒を用いる場合、これらのエステル交換触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0087】
これらのエステル交換触媒の使用量は、上記第1重合工程において該エステル交換触媒を添加した後該反応率が70%に達するまでの所要時間が6時間以上であり、第2重合工程の滞留時間が3時間以内となるように選ばれることが好ましい。第1重合工程において、芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が70%に達するまでの所要時間が6時間より短いように反応温度及びエステル交換触媒量を設定した場合は、ポリカーボネートが黄色に着色する。また、第2重合工程の滞留時間が3時間より長い場合も、ポリカーボネートは黄色に着色する。従って、エステル交換触媒の使用量は多すぎると第1重合工程の条件を満足できず、少ないと第2重合工程の条件を満足できないのである。エステル交換触媒の量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、0.000003〜0.0003モルであることが好ましく、0.000005〜0.00005モルの範囲であることが更に好ましい。
【0088】
第1重合工程は、通常、大気圧〜微加圧、すなわち1〜2atm、温度範囲100〜180℃の条件で実施される。第1重合工程の好ましい重合器は、竪型の攪拌槽である。
第2重合工程は、通常、減圧下、すなわち500〜15000Pa、温度範囲230〜270℃で実施される。第2重合工程の好ましい重合器も、竪型の攪拌槽である。
第3重合工程は、第2重合工程で製造した第2プレポリマーに不活性ガスを吸収させた後、支持体に沿わせて落下させながら、温度範囲250〜280℃で重合させる。
【0089】
ここで、第2プレポリマーに不活性ガスを吸収させるとは、溶融状態の第2プレポリマー中に不活性ガスを分散および/又は溶解させることを意味している。分散とは、溶融ポリマー中に不活性ガスが気泡状で混合され、気液混相となっているような状態を意味し、溶解とは第2プレポリマーに不活性ガスが混じり合い、均一な液相を形成しているような状態を意味する。不活性ガスは単に分散されるだけでなく、第2プレポリマー中に溶解されることが特に好ましい。
【0090】
不活性ガスとは、第2プレポリマーと化学反応を起こさず、かつ重合条件下で安定なガスの総称であり、不活性ガスの具体例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や、プレポリマーが溶融状態を保つ温度においてガス状である有機化合物、炭素数1〜8の低級炭化水素ガス等が挙げられ、特に好ましいのは窒素である。不活性ガスを吸収させるための装置としては、これらの不活性ガスを第2プレポリマーに吸収させることができる装置であれば特に型式に制限はなく、例えば、化学装置設計・操作シリーズNo.2、改訂ガス吸収49〜54頁(昭和56年3月15日、化学工業社発行)に記載の充填塔型吸収装置、棚段型吸収装置、スプレー塔式吸収装置、流動充填塔型吸収装置、液膜十字流吸収式吸収装置、高速旋回流方式吸収装置、機械力利用方式吸収装置等の公知の装置や、不活性ガス雰囲気下で第2プレポリマーを支持体に沿わせて落下させながら吸収させる装置等が挙げられる。重合器に第2プレポリマーを供給する配管中に直接不活性ガスを供給して吸収させる装置でも構わない。スプレー塔式吸収装置や、支持体に沿わせて落下させながら吸収させる装置を用いることは特に好ましい方法である。
【0091】
不活性ガスを吸収させる装置は、通常重合器として使用される装置と同じ形式の装置でも構わないが、重合をほとんど進行させない条件で運転されるため、重合器とは機能的に全く異なるものである。すなわち、不活性ガスを吸収させる前後の第2プレポリマーの数平均分子量を各々M1、M2とした時、不活性ガス吸収工程における分子量変化(M2−M1)が、500以下であることが好ましい。不活性ガスを吸収させる温度は、通常、230〜280℃の範囲である。また、不活性ガス吸収工程の圧力Pg(Pa)は、M1に対して、下記(2)式の関係を満足することが好ましい。
g>4×1012×M1 -2.6871 (2)
【0092】
不活性ガス吸収工程の圧力Pg (Pa)が、上記(2)式の関係を満足しない場合には、重合速度を高める効果が小さくなる。不活性ガス吸収工程の圧力が常圧もしくは加圧であることは、不活性ガスの溶融プレポリマーへの吸収速度を高め、結果的に吸収装置を小さくできる点で特に好ましい。不活性ガス吸収工程の圧力の上限に特に制限はないが、通常、2×107 Pa以下、好ましくは1×107 Pa以下、更に好ましくは5×106 Pa以下である。
【0093】
不活性ガス吸収工程で溶融ポリマーに不活性ガスを吸収させる方法としては、不活性ガスを吸収させる装置に供給した不活性ガスの大部分を第2プレポリマー中に吸収させる方法でも良いし、供給した不活性ガスの一部を第2プレポリマー中に吸収させる方法でも良い。前者の方法としては、例えばスプレー塔式吸収装置や、支持体に沿わせて落下させながら吸収させる装置を用い、溶融ポリマー中に吸収された不活性ガスとほぼ等量の不活性ガスを供給して吸収設備の圧力をほぼ一定に保ちながら吸収させる方法や、重合器に溶融ポリマーを供給する配管中に直接不活性ガスを供給する吸収装置を用いる方法等が挙げられる。
【0094】
また後者の方法としては、例えばスプレー塔式吸収装置や、支持体に沿わせて落下させながら吸収させる装置を不活性ガス吸収装置として用い、吸収装置内に溶融ポリマー中に吸収される以上の不活性ガスを流通させ、過剰の不活性ガスを不活性ガス吸収設備から排出させる方法等が挙げられる。不活性ガスの使用量をより少なくする点で、前者の方法が特に好ましい。また、不活性ガス吸収工程は、吸収装置に第2プレポリマーを連続的に供給して不活性ガスを吸収させ、不活性ガスを吸収した溶融ポリマーを連続的に抜き出す連続法、吸収装置に第2プレポリマーをバッチ的に仕込んで不活性ガスを吸収させるバッチ法のいずれも可能である。
【0095】
第2プレポリマーに不活性ガスを吸収させる際、第2プレポリマーに吸収させる不活性ガスの量に特に制限はないが、該プレポリマー1kgに対して、通常0.0001〜1Nlの範囲であり、好ましくは0.001〜0.8Nlの範囲であり、更に好ましくは0.005〜0.6Nlの範囲である。吸収させる不活性ガスの量が第2プレポリマー1kgに対して0.0001Nlより少ない場合は、重合速度を高める効果が小さくなるので好ましくない。また吸収させる不活性ガスの量を該第2プレポリマー1kgに対して1Nlより多くしても、重合速度は変わらない。
【0096】
第3重合工程では、溶融ポリマー状態で支持体に沿わせて落下させながら重合させる重合器を用いる。このような重合器では、上述した、不活性ガスを吸収した第2プレポリマーを重合させる場合に該プレポリマーの継続的な発泡現象が激しく、表面の攪拌状態が極めて良くなる現象が特に顕著に発現する。溶融ポリマー状態で支持体に沿わせて落下させながら重合させる重合器において、第2プレポリマーは通常、多孔板から供給された後、支持体に沿って落下する。多孔板は、通常、平板、波板、中心部が厚くなった板などから選ばれ、多孔板の形状についは、通常、円状、長円状、三角形状、多角形状などの形状から選ばれる。
【0097】
多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cm2 であり、好ましくは0.05〜10cm2 であり、特に好ましくは0.1〜5cm2の範囲である。孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは25〜100mmである。多孔板の孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になっていてもよい。また、支持体とは、水平方向の断面の外周の平均長さに対して該断面と垂直方向の長さの比率が非常に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10〜1000000の範囲であり、好ましくは50〜100000の範囲である。
【0098】
水平方向の断面の形状は、通常、円状、長円状、三角形状、四角形状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。該断面の形状は長さ方向に同一でもよいし異なっていてもよい。また、支持体は中空状のものでもよい。支持体は、針金状等の単一なものでもよいが、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたものでもよい。また、金網状のものや、パンチングプレート状のものであっても良い。支持体の表面は平滑であっても凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を有するものでもよい。支持体の材質は、通常、ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、支持体の表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。支持体は、多孔板の孔に直接接続していてもよいし、孔から離れていてもよい。好ましい具体例としては、多孔板の各孔の中心部付近に各支持体が貫通して接続しているもの、多孔板の各孔の外周部分に支持体が接続しているもの等が挙げられる。支持体の下端は、通常重合器に固定されている。
【0099】
多孔板を通じて溶融ポリマー状態で支持体に沿わせて落下させる方法としては、液ヘッドまたは自重で落下させる方法、またはポンプなどを使って加圧にすることにより、多孔板から第2プレポリマーを押し出す等の方法が挙げられる。孔の数に特に制限はなく、反応温度や圧力などの条件、触媒の量、重合させる分子量の範囲等によっても異なるが、通常ポリマーを例えば100kg/hr製造する際、10〜105 個の孔が必要である。孔を通過した後、支持体に沿わせて落下させる高さは、好ましくは0.3〜50mであり、さらに好ましくは0.5〜30mである。孔を通過させる溶融プレポリマーの流量は、溶融プレポリマーの分子量によっても異なるが通常、孔1個当たり、10-4〜104 リットル/hr、好ましくは10-2〜102 リットル/hr、特に好ましくは、0.05〜50リットル/hrの範囲である。支持体に沿わせて落下させるのに要する時間に特に制限はないが、通常0.01秒〜10時間の範囲である。支持体に沿わせて落下させながら重合させた溶融ポリマーは、そのまま液溜部に落下させてもよく、また巻き取り器等で強制的に液溜部に取り込んでもよい。
【0100】
さらに、支持体に沿わせて落下させた後のポリカーボネートはそのまま抜き出されても良いが、循環させて、再び支持体に沿わせて落下させながら重合させるのも好ましい方法である。この場合、支持体に沿わせて落下させた後の液溜部や循環ライン等で重縮合反応に必要な反応時間に応じて滞留時間を長くすることができる。また、支持体に沿わせて落下させながら循環を行うことにより単位時間に形成し得る新規な液表面積が大きく取れるため、所望の分子量まで充分重合を進行させる事が容易となる。
【0101】
第3重合工程で第2プレポリマーを溶融ポリマー状態で支持体に沿わせて落下させてからポリカーボネートを排出させるまでの滞留時間の内、該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在する時間は20分以下である事が好ましい。該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在する時間は10分以下である事がさらに好ましい。該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在する時間が20分より長くなる場合は、ポリカーボネートが黄色に着色する。溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在するのは、重合器ボトムの液溜部のポリカーボネートがポリカーボネート自身の液ヘッドにより圧力が高まる場合や、重合器からの排出ポンプで加圧する場合等に生じる。該溶融ポリマーを支持体に沿わせて落下させる間は、該溶融ポリマーを重合器気相部より1000Pa以上高い圧力では存在させないことが好ましい。
【0102】
すなわち1000Paに相当する液ヘッドは約10cmであるので、支持体上で該溶融ポリマーが10cm以上積もるような状態を作らないことが好ましい。また、重合器ボトムの液溜部で10cm以上液ヘッドを持つような状態で滞留させることも好ましくない。重合器の排出ポンプより上部では、該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在しないことが特に好ましい。該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在する時間が20分より長くなる場合に、ポリカーボネートが黄色に着色する理由については明らかではないが、気相部に接しているポリカーボネートと比べて高い圧力下で存在する場合、ポリカーボネート中のフェノール濃度が高くなり、着色しやすくなっているものと推定される。
【0103】
重合器下部のポリカーボネートが排出されるまでの間に、耐熱安定剤や着色剤を供給し混合してポリカーボネート組成物とするのも好ましい方法である。この場合、上述した該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在する時間には、耐熱安定剤や着色剤が混合された状態の時間も含まれる。耐熱安定剤や着色剤の混合方法に特に制限はないが、通常、1軸または2軸の押出機や、スタティックミキサー等が用いられる。
【0104】
重合器の材質に特に制限はなく、通常ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、これらの材質の表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。特に好ましいのは、ステンレススチールやニッケル、グラスライニング等である。
【0105】
本発明の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物は、黄色のみ嫌われる透明成型品用途、例えばグレージングや自動車用のヘッドランプレンズ、その他の透明射出成型品用途等に好適に使用できる。成型法は、押出成形、射出成型、ブロー成型等の何れでも可能である。
また、本発明の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物には、必要に応じ、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、他樹脂やゴム等の重合体、充填剤、強化剤、難燃剤等を添加して用いても良い。更に、これら添加剤等は、重合終了後のポリカーボネート系樹脂が溶融状態の間に添加してもよいし、ポリカーボネートを一旦ペレタイズした後、添加剤を添加再溶融混練してもよい。
【0106】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例を挙げて説明する。
・数平均分量(Mn):テトラヒドロフランを搬送溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用いて得た下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。
PC=0.3591MPS 1.0388(式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量を示す。)
・ビスフェノールAの反応率:高速液体クロマトグラフにより、ビスフェノール濃度を測定して求めた。
・黄色度:射出成形機を用い、芳香族ポリカーボネート組成物をシリンダー温度290℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm×厚さ3.2mmの平板状成型品を連続成形した。得られた平板状成型品をCIELAB法(Comission Inetrnationale de l’Eclairage 1 9 7 6 L *a*bDiagram)により、標準白色板上に平板状成型品を置き上部から測定し、b値を黄色度の指標とした。再成形後の黄色度は、該成形品を粉砕して粒状化し、上記と同様に再成形して評価した。
・透明性:黄色度を測定したのと同じ試験片をCIELAB法(Comission Inetrnationale de l’Eclairage 1 9 7 6 L *a*bDiagram)により、標準白色板上に試験片を置き上部から測定し、L値を透明性の指標とした。再成形後の透明性は、該成形品を粉砕して粒状化し、上記と同様に再成形して評価した。
・再成型品の評価:黄色度を測定した平板状成型品を粉砕して粒状化し、上記と同様の射出成形機で上記と同様に平板状成型品を再成型する操作を繰り返した。再成型を5回繰り返して得られた平板状成型品の黄色度と透明性を上記と同様の方法で評価した。
【0107】
【実施例1】
[1]ポリカーボネートの製造
[第1重合工程]ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.05)を竪型攪拌槽で180℃で溶融混合した後、触媒として水酸化ナトリウムの0.5重量%フェノール溶液を添加し(ビスフェノールA100モルに対するナトリウム量:0.00004モル)、窒素雰囲気下の大気圧で反応させた。ビスフェノールAの反応率が70%に達するまでの所要時間は7時間であった。
[第2重合工程]第1重合工程で製造したビスフェノールAの反応率が75%に達した第1プレポリマーを、230℃、10000Paの竪型攪拌槽に供給し、滞留時間1時間で重合させ、さらに270℃、1200Paの竪型攪拌槽滞留時間1時間で重合させて第2プレポリマーを製造した。第2重合工程の合計の滞留時間は2時間である。第2プレポリマーの数平均分子量は3800であった。
【0108】
[第3重合工程]第2重合工程で製造した第2プレポリマーを図1の不活性ガス吸収塔1に50kg/hrで供給した。不活性ガス吸収塔1は、直径2mm、長さ3mのSUS316製円柱状支持体4を7本備えており、供給口2から供給された第2プレポリマーは分散板3により各円柱状支持体4に均一に分配される。不活性ガス吸収塔1の下部には不活性ガス供給口5が備えられており、上部にはベント口6が備えられている。不活性ガス吸収塔1の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。不活性ガス吸収塔1は、270℃、圧力200000Paの条件であり、ベント口6は閉じられた状態で圧力200000Paを保つように、不活性ガス供給口5より窒素が供給されている。不活性ガス吸収塔1の下部の第2プレポリマー7は、滞留時間15分で重合器10に供給される。重合器10は、直径2.5mm、長さ8mのSUS316製円柱状支持体13を35本備えており、供給口11から供給された溶融ポリマーは分散板12により各支持体13に均一に分配される。
【0109】
分散板上部の第2プレポリマーの8の滞留時間は20分である。円柱状支持体13は、重合器下部で支持体固定棒によって重合器に固定されている。重合器下部には不活性ガス供給口14が備えられており、上部には真空ベント口15が備えられている。重合器10の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。重合条件は、270℃、95Paであ。不活性ガス供給口14からは、不活性ガスを供給しなかった。サイトグラスより、発泡した溶融ポリマーが円柱状支持体上を極めて良好に表面更新されながら落下する状態が観察された。支持体上で溶融ポリマーが10cm以上積もる状態は全く観察されなかった。
【0110】
円柱状支持体から落下したポリカーボネートは、一部は重合器下部の壁面を通過し、一部は排出ポンプ18の上部に直接落下する。排出ポンプ18上部のポリカーボネート17は重合器気相圧力より1000Pa以上高い圧力では存在しない。排出ポンプ18下部のポリカーボネートは加圧状態になって270℃でスタティックミキサー22を通過して排出口23から排出される。供給口19からは、耐熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、p−トルエンスルホン酸ブチル、着色剤として三菱化学社製DiaresinBlue Gを、ポリカーボネート100重量部に対しそれぞれ0.015重量部、0.0001重量部、0.00005重量部供給した。
【0111】
溶融ポリマーが重合器気相圧力より1000Pa以上高い圧力で存在するのは排出ポンプから排出口までの間だけであり、この部分の滞留時間は10分である。排出口から排出されたポリカーボネート組成物はストランドカットによりペレット化された。ポリカーボネートの数平均分子量は10500であり、ポリカーボネート中の塩素イオン含量は、硝酸銀溶液を用いた電位差滴定法による測定方法で、検出下限界の0.1ppm以下であった。
[2]ポリカーボネート組成物の評価得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b値2.2、L値89.6であり、(1)式の関係を満足している。また、再成型5回後の再成型品のb値は4.2、L値は88.0であり、黄色度及び透明性の変化は小さかった。
【0112】
【実施例2〜
耐熱安定剤及び着色剤の量を変える以外は、実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。結果をまとめて表1に示す。
【0113】
【比較例1〜3】
耐熱安定剤及び着色剤の量を変える以外は、実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。結果をまとめて表1に示す。
【0114】
【表1】
Figure 0005025841
【0115】
【実施例6】
耐熱安定剤をp−トルエンスルホン酸ブチル0.0001重量部の代わりにビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスファイト0.001重量部とする他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.2、L値89.7であり、(1)式の関係を満足している。再成型品(再成型5回)のb*値は4.3、L値は88.0であり、黄色度及び透明性の変化は小さかった。
【0116】
【実施例7】
三菱化学社製Diaresin Blue G0.00005重量部のかわりに住友化学社製Sumiplast Violet Bを0.00003重量部を用いる他は、実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.5、L値89.7であり、(1)式の関係を満足している。再成型品(再成型5回)のb*値は4.5、L値は88.0であり、黄色度及び透明性の変化は小さかった。
【0117】
参考例1
三菱化学社製Diaresin Blue G0.00005重量部のかわりにバイエル社製MACROLEX Blue RRを0.00008重量部を用いる他は、実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b値1.9、L値89.3であり、(1)式の関係を満足している。再成型品(再成型5回)のb値は4.5、L値は87.5であり、黄色度及び透明性の変化は小さかった。
【0118】
【実施例9】
水酸化ナトリウムのビスフェノールA100モルに対するナトリウムの量を0.000018モルとし、第2重合工程で各竪型攪拌槽の滞留時間を1.5時間(合計3時間)とする他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。ただし、第1重合工程でビスフェノールAの反応率が70%に達するまでの時間は16時間であった。第2プレポリマーとポリカーボネートの数平均分子量は各々3750、10400であった。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.3、L値89.6であり、(1)式の関係を満足する。再成型品(再成型5回)のb*値は4.4、L値は87.8であり、黄色度及び透明性の変化は小さかった。
【0119】
【比較例4】
水酸化ナトリウムのビスフェノールA100モルに対するナトリウム量を0.0004モルとする他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。ただし、第1重合工程でビスフェノールAの反応率が70%に達するまでの時間は1時間であった。第2プレポリマーとポリカーボネートの数平均分子量は各々3800、10500であった。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.6、L値89.6であり、(1)式の関係を満足しない。再成型品(再成型5回)のb*値は5.1、L値は86.4であり、黄色度及び透明性の変化は大きかった。
【0120】
【比較例5】
水酸化ナトリウムのビスフェノールA100モルに対するナトリウム量を0.0000025モルとし、第2重合工程で各竪型攪拌槽の滞留時間を5時間(合計10時間)とする他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。ただし、第1重合工程でビスフェノールAの反応率が70%に達するまでの時間は120時間であった。第2プレポリマーとポリカーボネートの数平均分子量は各々3500、9900であった。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.9、L値89.6であり、(1)式の関係を満足しない。再成型品(再成型5回)のb*値は5.9、L値は86.1であり、黄色度及び透明性の変化は大きかった。
【0121】
【比較例6】
触媒として水酸化ナトリウムの0.5重量%フェノール溶液(ビスフェノールA100モルに対するナトリウム量:0.00004モル)の他にさらにテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(ビスフェノールA100モルに対して0.02モル)を添加する他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。ただし、第1重合工程でビスフェノールAの反応率が70%に達するまでの時間は40分であった。第2プレポリマーとポリカーボネートの数平均分子量は各々3800、10500であった。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値3.0、L値89.5であり、(1)式の関係を満足しない。再成型品(再成型5回)のb*値は6.3、L値は85.7であり、黄色度及び透明性の変化は大きかった。
【0122】
【実施例10】
溶融ポリマーが重合器気相圧力より1000Pa以上高い圧力で存在する、排出ポンプから排出口までの滞留時間を18分とする他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。ポリカーボネートの数平均分子量は10500であった。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.3、L値89.6であり、(1)式の関係を満足する。再成型品(再成型5回)のb*値は4.5、L値は87.9であり、黄色度及び透明性の変化は小さかった。
【0123】
【比較例7】
溶融ポリマーが重合器気相圧力より1000Pa以上高い圧力で存在する、排出ポンプから排出口までの滞留時間を30分とする他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。ポリカーボネートの数平均分子量は10500であった。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.7、L値89.6であり、(1)式の関係を満足しない。再成型品(再成型5回)のb*値は5.1、L値は86.4であり、黄色度及び透明性の変化は大きかった。
【0124】
【発明の効果】
本発明により、黄色みがなく、透明性が高く、かつ再成型した後も色と透明性の変化が少ない、非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるポリカーボネートを製造する第3重合工程の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 不活性ガス吸収塔
2、11、19 供給口
3、12 分散板
4、13 円柱状支持体
5、14 不活性ガス供給口
6 ベント口
7 不活性ガス吸収塔下部の第2プレポリマー
8 分散板上部の第2プレポリマー
9、18 排出ポンプ
10 重合器
15 真空ベント口
16 支持体固定棒
17 排出ポンプ上部のポリカーボネート
20 サイトグラス
21 排出ポンプ下部のポリカーボネート
22 スタティックミキサー
23 排出口

Claims (5)

  1. ポリカーボネート100重量部に対して、耐熱安定剤0.0005〜0.22重量部を含むポリカーボネート組成物において、該ポリカーボネートが芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、エステル交換触媒の量が、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、0.000003〜0.0003モルの範囲であるエステル交換法によって製造された、数平均分子量が6000〜15000のポリカーボネートであり、該ポリカーボネート中の塩素イオン含量が0.5ppm以下であり、該ポリカーボネート組成物のb*値とL値(いずれも3.2mm厚の成形片をCIELAB法で測定した測定値)が下記(1)式の関係を満足し、かつ該b*値が1.2以上3.1以下である事を特徴とする非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物。
    [b*値]≦1.65×[L値]−145.5 (1)
  2. ポリカーボネート組成物が、着色剤0.00001〜0.0001重量部を含み、該着色剤が10μgをメタノール1gに溶かした溶液を光路長1cmセルに入れ、分光光度計により測定した580nmでの吸光度に対する400nmの吸光度の比が0.3以下の着色剤である事を特徴とする請求項1記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物。
  3. 着色剤が、アンスラキノン骨格を有する化合物であることを特徴とする請求項2記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物。
  4. 耐熱安定剤が、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステル、及びスルホン酸エステルから選ばれる一種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物。
  5. 耐熱安定剤が、(a)亜リン酸ジエステル及び亜リン酸モノエステル、スルホン酸エステルから選ばれた一種以上の化合物と、(b)フェノール系安定剤、亜リン酸トリエステル及びホスフィン酸ジエステルから選ばれた一種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項4記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物。
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