JP3712306B2 - ポリカーボネート組成物の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート組成物の製法に関し、詳しくは添加剤が均一に分散されたポリカーボネート組成物の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして知られており、多くの分野において幅広く用いられている。近年、ポリカーボネートの製造方法として、毒性や環境安全性に問題のあるホスゲン法を代替するために、溶融エステル交換法による製造方法の研究開発が活発に行われている。
【0003】
溶融エステル交換法によるポリカーボネートの製造は、重合反応が終了した時点でポリカーボネートが溶融状態にあるため、そのまま造粒出来ることが知られている(プラスチック材料講座5 ポリカーボネート樹脂、P62−P67、日刊工業新聞社、1969年発行)が、熱安定剤等の添加剤を添加する具体的な方法や押出機へのポリカーボネートの供給方法については知られていない。
【0004】
例えば、特開平5−310906号公報や特公平5−46843号公報では溶融重合時や末期にリン系熱安定剤を添加する方法が、また特開平4−103626号公報では重合後の溶融状態にある間に熱安定剤を添加する方法が提案されている。しかしながら、前者の方法では、重合中に安定剤の分解や変性が生じるため着色が発生したり、重合速度が低下したりする問題を有していた。また、後者の方法では、重合後に熱安定剤を添加するため、前者のような問題は無いが、2軸押出機でポリカーボネートと熱安定剤とを混練したと記載されているのみで、その具体的な方法は全く記載されていない。
【0005】
一方、ポリカーボネートに用いられている安定剤、特に熱安定剤は、ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜0.1重量部という非常に少ない量で使用されているため、均一に溶融混合することが難しい。ホスゲン法の場合は、塩化メチレン溶媒を含んだ粉体状もしくはスラリー状ポリカーボネートに、塩化メチレンに溶解した熱安定剤を添加した後、通常の方法で混合及び溶融押出が出来るため、問題はなかった。しかしながら、溶融エステル交換法では、溶融ポリカーボネートを直接造粒できるため、熱安定剤の供給方法と均一混合が問題となってきた。具体的には、熱安定剤が常温で粉体や粒状である場合、熱安定剤をそのまま、直接2軸押出機の供給口から添加するには、単位時間当たりの供給量そのものが少なすぎるために、定量フィーダーの定量性に限界があり、添加量の変動が大きかった。その結果得られたポリカーボネート組成物を成形材料として用いた場合に着色が発生しやすいという問題があった。更に、熱安定剤の単位時間当たりの供給量が少ない場合は、使用可能なフィーダーがないという問題があった。また、液体の熱安定剤や添加剤をポンプで供給する場合にも、添加量が少ない場合には添加分散ムラが生じて、得られたポリカーボネート組成物を成形材料として用いた場合に着色が発生しやすいという問題があった。添加剤を塩化メチレン等の溶媒で希釈・増量して液体注入口から添加した場合には、添加剤の分散性は向上するものの、得られたポリカーボネート組成物中に該溶媒が数10〜数1000ppm残存するために、成形材料として用いた場合に着色が発生しやすいという問題があった。従って、溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネートに、均一に熱安定剤を添加して、成形材料として用いる場合に着色の少ない熱安定性に優れたポリカーボネート組成物を効率よく得る方法は未だ無いのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融エステル交換法で製造された溶融状態のポリカーボネートに、添加剤が均一に分散された、着色の少ない、着色ムラのないポリカーボネート組成物、さらには着色の少ない、着色ムラのない熱安定性に優れたポリカーボネート組成物を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために、溶融状態のポリカーボネート及び添加剤の添加方法について鋭意研究を重ねた結果、溶融状態にあるポリカーボネート(A)から溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)に添加剤の少なくとも一種を混合して希釈した後、一度も固化することなく、溶融状態にある該ポリカーボネート(A)に混合することで、成形材料として用いた場合の着色の少ない熱安定性に優れたポリカーボネート組成物が得られるという驚くべき事実を見い出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1) 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)から、溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)に添加剤の少なくとも一種を混合した後、一度も固化することなく、溶融状態にある該ポリカーボネート(A)に混合することを特徴とするポリカーボネート組成物の製法、
(2) 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)は、重合器、重合器出口、又は重合器出口から押出機の第1供給口手前で溶融状態のままで一部ポリカーボネート(B)を抜き出した後、溶融状態のままで押出機の第一供給口に供給し、1方、抜き出されたポリカーボネート(B)は、一度も固化させることなく、添加剤の少なくとも一種を混合した後、上記押出機の第二供給口から供給して、上記ポリカーボネート(A)と混合することを特徴とする上記(1)のポリカーボネート組成物の製法、
(3) 添加剤の少なくとも一種が耐熱安定剤であることを特徴とする上記(1)又は(2)のポリカーボネート組成物の製法、
(4) 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)が、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの溶融混合物、もしくは芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを反応して得られる重合中間体を、溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合させる工程を有するエステル交換法にて製造されたポリカーボネートであることを特徴とする上記(1)、(2)又は(3)のポリカーボネート組成物の製法、
(5) 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)を溶融状態のままで、加圧して押出機の第一供給口に供給することを特徴とする上記(1)、(2)、(3)又は(4)のポリカーボネート組成物の製法、
を提供するものである。
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)。
芳香族基Arは、好ましくは例えば、−Ar1 −Y−Ar2 −で示される2価の芳香族基である(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)。
【0010】
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0011】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
【0012】
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基である。
【0013】
【化1】
Figure 0003712306
【0014】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、1つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化2で示されるものが挙げられる。
【0015】
【化2】
Figure 0003712306
【0016】
(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2 −で示されるものであっても良い。
【0017】
(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1)−などの2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3で示されるものが挙げられる。
【0018】
【化3】
Figure 0003712306
【0019】
(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述のとおりである。)
また、2価の芳香族基Arは、フェニレン、ナフチレン、ピリジレンであっても良く、それらは非置換又は上記の置換基で置換されていても良い。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。また、これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、塩素原子とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が少ない方が好ましく、出来れば実質的に含有していないことが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる炭酸ジエステルは、下記化4で表される。
【0021】
【化4】
Figure 0003712306
【0022】
(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0023】
1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3及びAr4としては、それぞれ例えば、下記化5などが挙げられる。
【0024】
【化5】
Figure 0003712306
【0025】
炭酸ジエステルの代表的な例としては、下記化6で示される置換または非置換のジフェニルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0026】
【化6】
Figure 0003712306
【0027】
(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。
【0028】
これらの炭酸ジエステル類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これら炭酸ジエステルは、塩素原子とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が少ない方が好ましく、出来れば実質的に含有していないことが好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの種類や、重合温度その他の重合条件及び得ようとするポリカーボネートの分子量や末端比率によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0029】
また、本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、分岐構造を導入するための芳香族多価ヒドロキシ化合物を併用してもよいし、ヒドロキシ末端及び炭酸ジエステルに由来する末端を変換するためや、分子量調節のために芳香族モノヒドロキシ化合物や他の炭酸ジエステルを併用してもよい。
本発明のポリカーボネートの分子量や末端基は特に限定されない。一般に、重量平均分子量が1000〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜100000の範囲であり、特に好ましくは12000〜80000の範囲にある。
【0030】
本発明において、エステル交換法とは、上記化合物を触媒の存在もしくは非存在下で、減圧下もしくは/及び不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法をいい、その重合方法、装置等には制限はない。例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせることで容易に製造できる。これらの中で、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器が好ましく用いられ、特に自由落下させながら重合する多孔板型反応器やワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器が、着色の少ないポリカーボネートが得られるため好ましい。エステル交換の反応の温度は、通常50〜350℃、好ましくは100〜300℃の温度の範囲で選ばれ、特に制限はない。一般に、上記範囲より高い温度では、得られるポリカーボネートの着色が大きく且つ熱安定性にも劣る傾向にある。また、上記範囲より低い温度では、重合反応が遅く実用的でない。反応圧力は、溶融重合中のポリカーボネートの分子量によっても異なり、数平均分子量が1000以下の範囲では、50mmHg〜常圧の範囲が一般に用いられ、数平均分子量が1000〜2000の範囲では、3mmHg〜80mmHgの範囲が、数平均分子量が2000以上の範囲では、10mmHg以下、特に5mmHg以下が用いられる。
【0031】
本発明の製法で使用される添加剤はポリカーボネートに用いられるものであればよく、特に限定されないが、少量加える添加剤の場合に本発明の製法は好ましく用いられ、特に供給量が少なく使用可能なフィーダーがないような添加剤の場合に好ましく用いられる。一般に用いられる添加剤としては、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、充填剤、強化剤、難燃剤、他樹脂やゴム等の重合体等が挙げられる。
【0032】
好ましい耐熱安定剤の例としては、リン系安定剤、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、エポキシ系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
リン系安定剤としては、リン酸類、亜リン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類が挙げられる。具体的には、例えばリン酸類としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、下記化7に示されるホスフィン酸類、化8に示されるホスホン酸類等が挙げられる。
【0033】
【化7】
Figure 0003712306
【0034】
【化8】
Figure 0003712306
【0035】
(式中、R11はエチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を表す。)これらの具体例としては、フェニルホスホン酸が挙げられる。
【0036】
亜リン酸エステル類としては、亜リン酸トリエステル、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステルが挙げられ、下記化9、10、11、12に示される。
【0037】
【化9】
Figure 0003712306
【0038】
【化10】
Figure 0003712306
【0039】
【化11】
Figure 0003712306
【0040】
【化12】
Figure 0003712306
【0041】
(式中、R12,R13,R14,R15,R16,R18,R19,R20,R21,R23は化合物内で同一であっても異なっていても良く、水素、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を表し、R17,R24はアルキレン、アリレン、又はアリールアルキレンを表す。)
これらの具体例としては、例えば亜リン酸トリエステルでは、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールホスファイト、テトラ(トリデシル)4,4’ーイソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリル、ペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイトが挙げられる。亜リン酸ジエステルの具体例では、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ジクレジルハイドロゲンホスファイト、(ビス(p−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ビス(p−ヘキシルフェニル)ハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。亜リン酸モノエステルでは、フェニルジハイドロゲンホスファイト、ノニルフェニルジハイドロゲンホスファイト、2,4−ジ−t−ブチルフェニルジハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。
【0042】
ホスフィン酸エステル類としては、ホスフィン酸ジエステル、ホスフィン酸モノエステルが挙げられ、下記化13、14に示される。
【0043】
【化13】
Figure 0003712306
【0044】
【化14】
Figure 0003712306
【0045】
(式中、R25はエチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を表し、R26,R27,R28,R29,R31,R32は化合物内で同一であっても異なっていても良く、水素、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を示し、R30はアルキレン、アリレン、又はアリールアルキレンを表す。)このような化合物の具体的な例としては、4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)が挙げられる。
【0046】
リン酸エステル類としては、リン酸ジエステル、リン酸モノエステルが挙げられ、下記化15、16、17、18に示される。
【0047】
【化15】
Figure 0003712306
【0048】
【化16】
Figure 0003712306
【0049】
【化17】
Figure 0003712306
【0050】
【化18】
Figure 0003712306
【0051】
(式中、R13,R14,R16,R17,R18,R19,R21,R23,R24は前述と同一。)リン酸ジエステルの具体例としては、例えばジフェニルハイドロゲンホスフェート、ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ジクレジルハイドロゲンホスフェート、(ビス(p−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ビス(p−ヘキシルフェニル)ハイドロゲンホスフェート等が挙げられる。リン酸モノエステルの具体例としては、フェニルジハイドロゲンホスフェート、ノニルフェニルジハイドロゲンホスフェート、2,4−ジ−t−ブチルフェニルジハイドロゲンホスフェート等が挙げられる。
【0052】
ホスホン酸エステル類としては、ホスホン酸モノエステルが挙げられ、下記化19、20に示される。
【0053】
【化19】
Figure 0003712306
【0054】
【化20】
Figure 0003712306
【0055】
(式中、R25,R27,R29,R30,R31,R32は前述と同一。)
フェノール系安定剤は、下記化21、22に示される。
【0056】
【化21】
Figure 0003712306
【0057】
【化22】
Figure 0003712306
【0058】
(式中、R33は水素原子、水酸基、アルコキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素残基を示し、R33は同一でも異なっていても良い。但し、R33の内少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭化水素残基を示すものとする。)
具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−p−アニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチル−p−フェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキイシフェニル)プロピオネート]メタン、4,4′−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングルコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム等があげられる。
【0059】
イオウ系安定剤としては、式:R36−SO2 −R37で示されるスルフィン酸、式:R36−SO3 37(両式中、R36はR11と同一。R37はR12と同一。)で示されるスルホン酸及びそのエステル類や、下記化23に示されるチオエーテル化合物等がある。
【0060】
【化23】
Figure 0003712306
【0061】
(式中、R38,R39はC12〜C18のアルキル基を示す。)
これらの具体的な例としては、例えばベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びこれら酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、フェニルエステルが挙げられる。また、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール(β−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
【0062】
エポキシ安定剤としては、例えばエポシシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等の油脂類、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビスエポキシシクロヘキシルアジペート、オクタデシル−2,2′−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、N−ブチル−2,2′−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4,6−ジメチル−2、3−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキサンカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキサンカルボキシレート、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン等のエポキシシクロヘキサン化合物、ビスエポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエイレネポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0063】
ヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−nブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジル)テトラキシ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ポロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ポロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ{4,5}ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0064】
これら耐熱安定剤は、単独で用いてもよいし組み合わせて用いてもよい。添加量は特に限定されないが、一般にポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜0.5重量部の範囲で用いられる。このような少量の添加剤である耐熱安定剤を添加する際、従来の方法では分散ムラが起こり、まだらな着色の原因になっていたが、本発明の組成物の製法を用いることにより、耐熱安定剤の分散ムラのないポリカーボネート組成物が得られるようになった。
【0065】
本発明組成物の製法では、前述の方法で製造したポリカーボネート(A)から、溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)を添加剤の少なくとも一種を混合した後、一度も固化することなく、溶融状態にあるポリカーボネート(A)に混合することを特徴としている。
本発明において、一部抜き出されたポリカーボネート(B)に添加剤を混合した後、溶融状態にあるポリカーボネート(A)に混合する方法は特に限定されず、ポリマーミキサー等を用いることもできるが、押出機が添加剤の分散性やセルフクリーニング性が良く好ましい。
【0066】
本発明で用いられる押出機は特に制限はされず、単軸、2軸、多軸押出機や、混練機と押出機が連結した混練押出機等が使用できる。中でも、同方向回転型の2軸押出機が、添加剤の分散性と吐出能力のバランスやセルフクリーニング性が良く好ましい。押出機の長さは特に限定されないが、ポリカーボネート(A)から溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)に添加剤を加えた混合物と、該ポリカーボネート(A)が混練混合できるだけの十分な長さが必要である。
【0067】
本発明においては、エステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)を溶融状態のまま押出機の第一供給口に供給しているが、その供給方法は特に限定されない。一般に、自由落下やギヤポンプを用いて押出機の第一供給口、例えばホッパー口に供給される。好ましくは、ギヤポンプからのラインをフランジ等で直接第一供給口に接続して、ギヤポンプで加圧して押出機に供給する方法が、押出機の吐出能力が増大し好ましい。
【0068】
本発明においてポリカーボネート(A)からの一部抜き出し口の位置は特に限定されない。例えば、重合器、重合器出口、重合器出口から押出機の第一供給口手前までのいずれでもよい。また、抜き出し方法も特に限定されないが、定量性を得るためにはギヤポンプで抜き出すことが望ましい。
本発明の製法において添加剤は、ポリカーボネート(A)から溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)と混合されることにより、ポリカーボネート(B)中に一旦、高濃度で分散され、その後、該ポリカーボネート(A)に供給される。このため、従来の方法では添加剤の分散ムラが起こり、まだらな着色の原因になっていたような量の添加剤を加えた場合にも、添加剤の分散ムラのないポリカーボネート組成物が得られるものと推測される。添加剤とポリカーボネート(B)の混合方法は特に限定されないが、例えば、添加剤を予め溶融し定量ポンプでポリカーボネート(B)に供給し、押出機もしくはポリマーミキサーで混合する方法を用いることができる。
【0069】
ポリカーボネート(A)から溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)に、添加剤を加えた混合物を、一度も固化させることなく、再び該ポリカーボネート(A)に供給する位置は特に限定されず、重合器、重合器出口、重合器出口から押出機の第一供給口手前まで、押出機の第一供給口、押出機内のいずれでもよいが、押出機内(第2供給口)へ供給することが添加剤の高温ポリカーボネート中での滞留時間が短く、望ましい。
【0070】
また、添加剤を加えたポリカーボネート(B)混合物を再び該ポリカーボネート(A)に供給する方法も特に限定されない。例えば、該ポリカーボネート(B)混合物を押出機の第二供給口に接続した別の押出機、もしくは定量ポンプによって溶融状態で供給する方法等が用いられる。
ポリカーボネート(A)から溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)と添加剤の混合比率、及びポリカーボネート(B)と添加剤の混合物の、一部抜き出される前のポリカーボネート(A)に対する比率には特に制限はない。添加剤の供給量は、ポリカーボネート(A)に対する配合量で決定され、ポリカーボネート(B)の量は添加剤を効率よく均一に供給できる量であればよい。一般に、ポリカーボネート(B)の量は、一部抜き出される前のポリカーボネート(A)の量に対して、1/1000〜1/10が好ましく、更に好ましくは1/500〜1/20、特に好ましくは1/100〜1/20である。
【0071】
本発明の方法はで得られる組成物は、添加剤が均一に分散しており、且つ分散溶媒やその他分散剤が含有していないために熱安定性に優れており、各種用途に好適に用いることができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下実施例にて、本発明を更に詳細に説明する。
芳香族ポリカーボネートプレポリマー中の芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率は、該プレポリマー中の芳香族ジヒドロキシ化合物濃度を、高速液体クロマトグラフィーにより測定することによって求めた。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量である。
各項目の評価は、以下の方法で測定した。
▲1▼ カラー:CIELAB法により試験片厚み3.2mmで測定し、黄色度をb*値で示した。
▲2▼ 耐熱性:試験片(ASTM1号ダンベル)を140℃ギヤオーブンに1000時間入れた後の試験片のカラーの測定を行い、初期値との差△b*を評価した。
▲3▼ ポリカーボネート中の塩化メチレンの定量:冷凍粉砕したポリカーボネートを二硫化炭素に浸し、超音波抽出した抽出液をガスクロマトグラフ法にて測定した。
【0073】
【実施例1】
図1に示すようなプロセスで、芳香族ポリカーボネートを製造した。撹拌槽型重合器3、3′は切り替えながらバッチ的に運転し、その他の重合器は連続的に運転した。撹拌槽型重合器3、3′は、アンカー型の攪拌翼を備えている。多孔板型重合器10は、孔径7mmの孔を50個有する多孔板を有しており、多孔板から重合器下部の液溜までの距離は8mである。ワイヤ付多孔板型重合器23及びワイヤ付多孔板型重合器34は、いずれも孔径5mmの孔を50個有する多孔板を備えている。孔の中心から鉛直に1mm径のSUS316製ワイヤを重合器下部の液溜まで垂らしてあり、落下する高さはいずれも8mである。
【0074】
撹拌槽型重合器3、3′は、ともに、反応温度180℃、反応圧力常圧、シール窒素ガス流量1リットル/hrの条件である。撹拌槽型重合器3に、ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.10)を80kg仕込み4Hr溶融混合し、溶融した芳香族ポリカーボネートプレポリマーを10リットル/hrで連続に多孔板型重合器10に供給した。撹拌槽型重合器3から多孔板型重合器10に供給している間に、撹拌槽型重合器3′に、撹拌槽型重合器3と同様にビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融混合し、撹拌槽型重合器3が空になった時点で撹拌槽型重合器3′に切り替えた。この後、同様にして撹拌槽型重合器3、3′はバッチ的に切り替えながら、多孔板型重合器10に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連続に10リットル/hrで供給し続けた。供給した芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、ビスフェノールA反応率73%である。多孔板型重合器10は、反応温度235℃、反応圧力10mmHg、循環流量400リットル/hrの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器23に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連続に供給した。ワイヤ付多孔板型重合器23は、反応温度250℃、反応圧力1mmHg、窒素ガス流量2リットル/hrの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器34に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連続に供給した。ワイヤ付多孔板型重合器34では、反応温度260℃、反応圧力0.4mmHgの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つように芳香族ポリカーボネートを抜き出した。得られた芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は25000であった。
【0075】
このようにして得られたポリカーボネート(A)を溶融状態のまま、ギヤポンプ44で20kg/cm2 の圧力に昇圧し、50kg/hrの供給量で同方向回転型2軸押出機46の第一供給口47に供給した。一方、抜き出し口42から溶融状態のまま抜き出したポリカーボネート(B)に、添加剤としてのトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの等量混合物を予め溶融させたものを、液体注入口A51から10ml/hrで供給し、ポリマーミキサー54で混合したものを第二供給口53から、1.0kg/hrで供給した。ベント口56で真空ベントしながら溶融押出を実施して、冷却バス57及びストランドカッター58を経て、ポリカーボネート組成物を得た。得られた組成物のb*は3.1であり、また耐熱性評価後の試験片の着色△b*は5.3と小さく、着色も均一であった。
【0076】
【実施例2】
図2に示すようなプロセスで、芳香族ポリカーボネートを製造した。図2のプロセスは、図1におけるワイヤ付多孔板型重合器10、23、34のかわりに、遠心薄膜蒸発機59と横型二軸攪拌型重合器64を用いていることと、抜き出し口42から溶融状態のまま抜き出したポリカーボネートに、添加剤を混合したものを、第二供給口53から押出機に供給する代わりに供給口68から供給したこと以外は、図1と全く同じである。遠心薄膜蒸発機59と横型二軸攪拌型重合器64以外は、実施例1と同様の反応条件で運転した。遠心薄膜蒸発機は、反応温度290℃、反応圧力2mmHgの条件にコントロールした。横型二軸攪拌型重合器は、L/D=6で回転直径140mmの二軸の攪拌羽根を有しており、反応温度265℃、反応圧力0.8mmHgの条件であり、重合器内の液容量を10リットルに一定に保つように横型二軸攪拌型重合器に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを移送した。このようにして得られた芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は23000であった。上記以外は、実施例1と同様に実施した。得られた組成物のb*は3.3であり、また耐熱性評価後の試験片の着色△b*は7.8と小さく、着色も均一であった。
【0077】
【比較例1】
抜き出しライン5からの抜き出しを止め、添加剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの等量混合物を予め溶融させたものを、液体注入口B69から10ml/hrで、直接押出機46に供給したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた組成物のb*は3.8であり、また耐熱性評価後の試験片の着色は△b*は13.5と大きく、着色もまだらに発生した。
【0078】
【比較例2】
添加剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの等量混合物の10%塩化メチレン溶液を100ml/hrで液体注入口B69から供給したこと以外は、比較例1と同様に実施した。得られた組成物には、78ppmの塩化メチレンが残留しており、またb*は3.9であった。耐熱性評価後の試験片の着色は均一であったが、△b*は17.7と大きかった。
【0079】
【比較例3】
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートの等量混合粉を投入口70から10g/hrで供給する以外は、比較例1と同様に実施した。ただし、このような少量で供給するフィーダーは市販されていないため、手動で間欠供給した。得られた組成物のb*は4.3であり、また耐熱性評価後の試験片の着色△b*は23.6と大きく、着色もまだらに発生していた。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融エステル交換法で製造された溶融状態のポリカーボネートに、添加剤を均一に分散することができ、着色が少なく、着色ムラもなく、熱安定性に優れたポリカーボネート組成物を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【図2】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1′ 原料供給口
2,2′,16,27,38,60,65 ベント口
3,3′ 攪拌槽型重合器
4,4′,61 攪拌軸
5,5′,18,28 芳香族ポリカーボネートプレポリマー
6,6′,20,29,40,62,66 排出口
7,9,21,30,32,41,43,45,48,50,55,63,67移送配管
8,19,31,44,49 移送ポンプ
10 多孔板型重合器
11,22,33,45 供給口
12 循環ライン
13,24,35 多孔板
14 糸状の溶融ポリマー
15,26,37 ガス供給口
17 循環ポンプ
23,34 ワイヤ付多孔板型重合器
25,36 ワイヤ
39 芳香族ポリカーボネート
46 同方向回転型2軸押出機
47 第一供給口
42 抜き出し口
51 液体注入口A
53 第二供給口
54 ポリマーミキサー
56 ベント口
57 冷却バス
58 ストランドカッター
59 遠心薄膜型蒸発装置
64 横型二軸攪拌型重合器
68 供給口
69 液体注入口B
70 投入口
71 サイドフィーダー

Claims (5)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)から、溶融状態のままで一部抜き出されたポリカーボネート(B)に添加剤の少なくとも一種を混合した後、一度も固化することなく、溶融状態にある該ポリカーボネート(A)に混合することを特徴とするポリカーボネート組成物の製法。
  2. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)は、重合器、重合器出口、又は重合器出口から押出機の第1供給口手前で溶融状態のままで一部ポリカーボネート(B)を抜き出した後、溶融状態のままで押出機の第一供給口に供給し、1方、抜き出されたポリカーボネート(B)は、一度も固化させることなく、添加剤の少なくとも一種を混合した後、上記押出機の第二供給口から供給して、上記ポリカーボネート(A)と混合することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート組成物の製法。
  3. 添加剤の少なくとも一種が耐熱安定剤であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリカーボネート組成物の製法。
  4. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)が、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの溶融混合物、もしくは芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを反応して得られる重合中間体を、溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合させる工程を有するエステル交換法にて製造されたポリカーボネートであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のポリカーボネート組成物の製法。
  5. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造されたポリカーボネート(A)を溶融状態のままで、加圧して押出機の第一供給口に供給することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のポリカーボネート組成物の製法。
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