JP4759154B2 - ポリカーボネート組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート組成物に関し、詳しくは添加剤が極めて均一に分散され熱安定性に優れたポリカーボネート組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして知られており、多くの分野において幅広く用いられている。
【0003】
このようなポリカーボネートの製造方法としては、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面法)、あるいはビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを溶融重縮合反応(エステル交換反応)させる方法(溶融重縮合法)などが知られている。
【0004】
このうち、現在、ホスゲンを用いる界面法が一般に実施されている。一方、溶融重縮合法は、界面法と比較して安価にポリカーボネートを製造することができるという利点を有し、さらにまたホスゲンのような毒性物質を使用しないため、ポリカーボネートの製造方法として大きく期待されている。また、溶融重縮合法によるポリカーボネートは、重合反応が終了した時点でポリカーボネートが溶融状態にあるためそのまま造粒できることが知られている。
【0005】
溶融重縮合法によるポリカーボネートへ熱安定剤等の添加剤を添加する方法としては例えば、特開平5−310906号公報や特公平5−46843号公報では溶融重合時や末期にリン系熱安定剤を添加する方法が、また特開平4−103626号公報では重合後の溶融状態にある間に熱安定剤を添加する方法が提案されている。しかしながら、前者の方法では、重合中に安定剤の分解や変性が生じるため着色が発生したり、重合速度が低下したりする問題を有しており、また、後者の方法では、重合後に熱安定剤を添加するため、前者のような問題はないが、2軸押出機でポリカーボネートと熱安定剤とを混練したと記載されているのみで、その具体的な方法はまったく記載されていない。
【0006】
一方、ポリカーボネートに用いられている安定剤特に熱安定剤は、ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜0.1重量部と非常に少ない量で使用されているため、均一に溶融混合することが難しい。界面法の場合は、塩化メチレン溶媒を含んだ粉体状もしくはスラリー状ポリカーボネートに、塩化メチレンに溶解した熱安定剤を添加した後、通常の方法で混合及び溶融押出しが出来るため、問題はなかった。
【0007】
しかしながら溶融重縮合法では、溶融ポリカーボネートを直接造粒できるため、熱安定剤の供給方法と均一混合する手法が問題となってきた。具体的には、熱安定剤が常温で粉体や粒状であり、該熱安定剤をそのまま直接2軸押出機の第二供給口から添加する場合には、単位時間当たりの供給量そのものが少なすぎるために、定量フィーダーの定量性に限界があり、結果として添加量の変動が大きかった。その結果得られたポリカーボネート組成物を成型材料として用いた場合に着色が発生しやすいという問題があった。さらに熱安定剤の単位時間当たりの供給量が少ない場合は使用可能なフィーダーがないという問題があった。また、常温で固体の熱安定剤を過熱溶融してポンプで押出機等に供給する場合には、熱安定剤の熱劣化が発生し、得られるポリカーボネートが着色する問題があった。また、常温で液体の熱安定剤や添加剤をポンプで供給する場合にも、添加量が少ない場合には添加量に斑が生じて、得られたポリカーボネート組成物を成型材料として用いた場合に着色が発生しやすいという問題があった。添加剤を塩化メチレン等の溶媒で希釈・増量して液体注入口から添加した場合には、添加剤の分散性は向上するものの、得られたポリカーボネート組成物中に該溶媒が数10〜数1000ppm残存するために、成型材料として用いた場合に着色が発生しやすいという問題があった。
【0008】
これら問題点を解決する方法として、特開平9−118817号公報では、エステル交換法にて製造されたポリカーボネートを溶融状態のままで押出機の第一供給口に供給した後、添加剤の少なくとも1種を他のもしくは同種のポリカーボネートと混合して該押出機の第二供給口から供給して、該ポリカーボネートと混合するポリカーボネート組成物の製法が提案されている。この方法では、比較的融点の高い耐熱安定剤などをポリカーボネート樹脂中に均一に混合することが出来る。しかしながら、融点の低い添加剤や常温で液体である添加剤などを混合しようとすると、第二供給口から添加する際に添加剤の濃度にばらつきが生じ、結果として添加剤を均一に混合することは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、添加剤が均一に分散されたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネートを押出機の第一供給口に供給した後、少なくとも一種の添加剤を特定の結晶化度を有するポリカーボネートと混合して該押出機の第二供給口から供給して該ポリカーボネートと混合することにより得られるポリカーボネートが上記課題を解決することを見出し、本発明に到った。
【0011】
すなわち本発明は次の通りである。
1.ア)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり10〜1000μ化学当量の含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物、ならびにイ)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.05〜5μ化学当量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を含有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを重縮合させて得られる、下記式(1)
【0012】
【化6】
Figure 0004759154
【0013】
[式中のR1,R2,R3,R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、Wは単結合、アルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基、置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基から選ばれる1つの基である。]
で表される繰り返し単位から実質的になり、全末端基中の末端水酸基濃度が5〜50モル%であるポリカーボネートを、押出機の第一供給口に供給した後、添加剤の少なくとも一種を結晶化度が10〜30%の上記式(1)で表されるポリカーボネートと混合して該押出機の第二供給口から供給して該ポリカーボネートと混合することによって得られる、ポリカーボネート組成物。
2.第一供給口に供給されるポリカーボネートが、下記式(2)−1〜(2)−3
【0014】
【化7】
Figure 0004759154
【0015】
【化8】
Figure 0004759154
【0016】
【化9】
Figure 0004759154
【0017】
[式中のR1,R2,R3,R4,Wは、上記式(1)と同じ。]
で表される成分を上記式(1)であらわされる繰り返し単位に対し0.01〜2.0モル%含有することを特徴とする上記1.記載のポリカーボネート組成物。
3.添加剤の少なくとも一種の融点が、第二供給口から供給されるポリカーボネートの融点以下であることを特徴とする、上記1.または2.記載のポリカーボネート組成物。
4.第二供給口から供給される添加剤とポリカーボネートの混合比率が下記式(3)
Va/Wpc≦0.5×ε (3)
[式中のVaは第二供給口から単位時間当たり供給される添加剤の容積(cm3)、Wpcは第二供給口から単位時間当たり供給されるポリカーボネートの重量(g)、εは第二供給口から供給されるポリカーボネートの空隙度を表す。]
を満たすことを特徴とする、上記1.〜3.のいずれか1つに記載のポリカーボネート組成物。
5.第二供給口から供給されるポリカーボネートの融解熱が10〜35J/gであることを特徴とする上記1.〜4.のいずれか1つに記載のポリカーボネート組成物。
6.第二供給口から供給されるポリカーボネートが、5000〜(第一供給口から供給されるポリカーボネートの粘度平均分子量)×1.1の範囲の粘度平均分子量の範囲を有するポリカーボネートであることを特徴とする上記1.〜5.のいずれか1つに記載のポリカーボネート組成物。
7.第二供給口から供給されるポリカーボネートが、界面法で製造されたポリカーボネートであることを特徴とする上記1.〜6.のいずれか1つに記載のポリカーボネート組成物。
8.ア)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり10〜1000μ化学当量の含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物、ならびにイ)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.05〜5μ化学当量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を含有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを重縮合させて得られる、下記式(1)
【0018】
【化10】
Figure 0004759154
【0019】
[式中のR1,R2,R3,R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、Wは単結合、アルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基、置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基から選ばれる1つの基である。]
で表される繰り返し単位から実質的になり、全末端基中の末端水酸基濃度が5〜50モル%であるポリカーボネートを、押出機の第一供給口に供給した後、添加剤の少なくとも一種を結晶化度が10〜30%の上記式(1)で表されるポリカーボネートと混合して該押出機の第二供給口から供給して該ポリカーボネートと混合するポリカーボネート組成物の製造方法。
9.アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物がナトリウム以外のアルカリ金属化合物を含有することを特徴とする上記8.記載のポリカーボネート組成物の製造方法。
10.上記1〜7のいずれか1つに記載のポリカーボネート組成物からなる光ディスク基板。
11.上記10に記載のポリカーボネート組成物からなる光ディスク基板の素材としての用途。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明において押出機の第一供給口に供給されるポリカーボネートは、下記式(1)
【0021】
【化11】
Figure 0004759154
【0022】
[式中のR1,R2,R3,R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、Wは単結合、アルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基、置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基から選ばれる1つの基である。]
で表される繰り返し単位から実質的になる。
【0023】
該ポリカーボネートは、ア)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり10〜1000μ化学当量の含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物、ならびにイ)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.05〜5μ化学当量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属を含有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを重縮合させて得られる。
【0024】
本願発明で使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略す。)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等およびその芳香環に例えばアルキル基、アリール基等が置換されたものがあげられ、なかでもコスト面からビスフェノールAが特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0025】
また、炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられ、なかでもコスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。
【0026】
このような芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルに不純物として含まれる微量金属元素は、存在化学種の明確な化学構造、寄与形式は不明だが、製造されるポリカーボネートの耐久性、色調、透明性に悪影響を与えるため微量に制御しておくのが好ましい。
【0027】
溶融重縮合法は常圧および/または減圧窒素雰囲気下で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物を留出させることで行われる。その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、反応により生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物を除去するため通常120〜350℃の範囲であり、好ましくは良好な色相や熱安定性が得られる理由で180〜280℃の範囲である。
【0028】
反応後期には系を減圧にして生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物の留出を容易にさせる。反応後期の内圧は、好ましくは1333Pa(10Torr)以下であり、より好ましくは133.3Pa(1Torr)以下である。
【0029】
本願発明においては、特定種類の触媒として、含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物(以下NCBAと略称)ならびにアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物(以下AMCと略称)を使用しなければならない。
【0030】
NCBAの具体例としては、例えば含窒素塩基性触媒としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの、アルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、ビス(テトラブチルアンモニウム)炭酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、などの第三級アミン、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩などを挙げることができる。
【0031】
また、含リン塩基性化合物の具体例としては例えばテトラブチルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒドロキシド類、あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド、テトラブチルホスホニウムボロハイドライド、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩などを挙げることができる。
【0032】
上記NCBAは、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、10〜1000μ化学当量となる割合で用いられる。10μ化学当量より少ないと反応が遅くなり好ましくなく、1000μ化学当量より多いと着色が激しくなり好ましくない。より好ましい使用範囲は同じ基準に対し、20〜500μ化学当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し50〜500μ化学当量となる割合である。
【0033】
さらに本願発明においては、上記NCBAとともにAMCを併用する。かかるAMCは、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、0.05〜5μ化学当量の範囲で使用される。これはアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素として0.05〜5μ化学当量の範囲で使用されることを意味している。かかる量比の触媒を使用することにより、重縮合反応速度を損なうことなく重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、主鎖開裂反応や、成型加工時における装置内での異物の生成、焼けといった好ましくない現象を効果的に抑止できる。
【0034】
上記範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、またエステル交換反応が十分に進行せず、高分子量のポリカーボネートが得られない等の問題があり得るため、好ましくない。
【0035】
本願発明に使用されるAMCとしては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化硼素塩、安息香酸塩、燐酸水素化合物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0036】
具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素カリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、水素化硼素リチウム、フェニル化硼素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、燐酸水素ジナトリウム、燐酸水素ジカリウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジリチウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、ナトリウムリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、等が挙げられる。
【0037】
AMCとしてはアルカリ金属を含有する化合物が好ましく、特にリチウム化合物、セシウム化合物といったナトリウム以外のアルカリ金属を少なくとも1種は含有することが、最終的に得られるポリカーボネート組成物の耐久性、色調、透明性が優れるため好ましい。
【0038】
本願発明の、第一供給口に供給されるポリカーボネートにおいては、溶融粘度安定化剤としてスルホン酸系化合物を用いることができる。スルホン酸系化合物を用いることにより、成形時のポリカーボネートの劣化が抑制される。
【0039】
かかるスルホン酸系化合物としては、スルホン酸のホスホニウム塩やアンモニウム塩などのスルホン酸塩、スルホン酸、スルホン酸低級エステルを挙げることができる。これらスルホン酸系化合物は組み合わせて用いることができる。
【0040】
上記スルホン酸塩の具体的な例としては、たとえば、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩を挙げることができる。
【0041】
上記スルホン酸、スルホン酸低級エステルの具体的な例としては、たとえば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、のごとき芳香族スルホン酸、ドデシルスルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、ノニルスルホン酸、等の脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、ドデシルスルホン酸メチル、ヘキサデシルスルホン酸エチル、ノニルスルホン酸プロピル、デシルスルホン酸ブチル、等が例示できる。好ましくはスルホン酸低級エステル化合物が使用される。
【0042】
かかるスルホン酸系化合物は、AMCのアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量の1化学当量あたり、0.7〜100化学当量使用することが好ましい。
【0043】
本発明で第一供給口から供給されるポリカーボネートの分子量は特に限定されない。一般に、粘度平均分子量が1000〜300000の範囲であり、好ましくは5000〜100000の範囲であり、特に好ましくは12000〜80000の範囲にある。
【0044】
本発明で第一供給口から供給されるポリカーボネートは、全末端基中の末端水酸基濃度が5〜50モル%である。末端水酸基濃度が5モル%未満のポリカーボネートを得ようとすると重合反応時間が長くなり好ましくない。また末端水酸基濃度が50モル%以上では、得られるポリカーボネート組成物の耐熱安定性などが悪くなり好ましくない。
【0045】
本発明で第一供給口から供給されるポリカーボネートは、添加剤の均一分散をより容易にするため、分岐成分として下記式(2)−1〜(2)−3
【0046】
【化12】
Figure 0004759154
【0047】
【化13】
Figure 0004759154
【0048】
【化14】
Figure 0004759154
【0049】
[式中のR1,R2,R3,R4,Wは、上記式(1)に同じ。]
で表される成分をカーボネート結合に対し0.01〜2.0モル%含有するほうが好ましい。
【0050】
本発明で第二供給口から供給される添加剤は、ポリカーボネートに用いられるものであればよく、特に限定されない。一般に、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、充填剤、強化剤、難燃剤等が挙げられる。
【0051】
好ましい耐熱安定剤の例としては、リン系安定剤、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、エポキシ系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
【0052】
リン系安定剤としては、リン酸類、亜リン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類が挙げられる。具体的には、例えばリン酸類としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスフィン酸類、ホスホン酸類等が挙げられる。
【0053】
亜リン酸エステル類としては、亜リン酸トリエステル、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステルが挙げられる。
【0054】
これら耐熱安定剤は、単独で用いてもよいし組み合わせて用いてもよい。添加量は特に限定されないが、一般にポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜0.5重量部の範囲で用いられる。
【0055】
好ましい離型剤の例としては、カルボン酸エステル、ポリシロキサン、パラフィンワックス、ポリカプロラクトン等が挙げられ、このうちカルボン酸エステルが好ましい。特に炭素数10〜25の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族多価アルコールのエステルが好ましい。
【0056】
かかる脂肪族モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコ酸、オレイン酸、リノール酸、5,8,11,14−エイコサテトラエン酸、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸などが例示される。
【0057】
また、かかる脂肪族多価アルコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,4−ブテンジオール、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖などが例示される。
【0058】
本発明で用いられる添加剤の少なくとも一種の融点は、第二供給口から供給されるポリカーボネートの融点以下であることが好ましい。添加剤の融点が第二供給口から供給されるポリカーボネートの融点より高い場合、添加剤の溶融に時間を要するためポリカーボネートが熱劣化を受け、好ましくない。添加剤の少なくとも一種の融点が200℃以下であることが、より好ましい。
【0059】
本発明のポリカーボネートを製造する際に用いられる押出機は、少なくとも第一及び第二供給口を有していれば特に制限はされず、単軸、2軸、多軸押出機や混練機と押出機が連結した混練押出機等が使用できる。中でも、同方向回転型の2軸押出機が添加剤の分散性と吐出能力のバランスやセルフクリーニング性が良く好ましい。押出機の長さは特に制限されないが、第二供給口より添加されるポリカーボネートを溶解し、混練混合できるだけの十分な長さが必要である。また、第二供給口は第一供給口より押出機出口側にあればよく、その位置関係は特に限定されない。
【0060】
ポリカーボネートを第一供給口に供給する方法は特に限定されず、溶融重縮合法で得られたポリカーボネートを溶融状態のまま押出機の第一供給口に供給する方法や、チップ状、粒状、粉状のポリカーボネートを供給する方法等が用いられる。溶融重縮合法で得られたポリカーボネートを溶融状態のまま押出機の第一供給口に供給する場合は、一般に、自由落下やギヤポンプを用いて押出機の第一供給口例えばホッパー口に供給される。好ましくは、ギヤポンプからのラインをフランジ等で直接第一供給口に接続して、ギヤポンプで加圧して押出機に供給する方法が、押出機の吐出能力が増大し好ましい。また、チップ状、粒状、粉状のポリカーボネートを供給する場合は、一般に、重量もしくは容量フィーダーで計量供給された該ポリカーボネートを第一供給口に直接供給する方法等が用いられる。
【0061】
添加剤とポリカーボネートの混合物を押出機の第二供給口から供給する方法は、公知の方法が使用でき、特に限定されない。例えば、重量もしくは容量フィーダーで計量供給された該混合物を第二供給口に直接供給する方法や、重量もしくは容量フィーダーで計量供給された該混合物を第二供給口に設置された供給用のフィーダー、例えばサイドフィーダーを経由して未溶融状態で供給する方法、又は、該混合物を第二供給口に接続した押出機によって溶融状態で供給する方法等が用いられる。
【0062】
添加剤をポリカーボネートと混合する方法としては、特に限定されないが、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ターンブルミキサー、リボンブレンダー等で均一に混合する方法がある。
【0063】
本発明において上記添加剤と混合して押出機の第二供給口より供給されるポリカーボネートは、結晶化度が10〜30%でなければならない。結晶化度が10%より小さいと融点の低い添加剤や常温で液体である添加剤などを混合しようとする際に添加剤の濃度にばらつきが生じ、結果として添加剤を均一に混合することは困難となる。また、結晶化度が30%より大きいと押出機中で混合するとき完全に溶解せず、不均一となることがある。より好ましい結晶化度は15〜28%である。
【0064】
該ポリカーボネートの融解熱は10〜35J/gであることが好ましい。融解熱が10J/gより小さいと常温で液体である添加剤などを混合しようとする際にべたつきが生じ、第二供給口より供給することが困難になることがあり、好ましくない。また、融解熱が35J/gより大きいと第二供給口から供給する際、該ポリカーボネートの融解に長時間必要となる場合があり、好ましくない。より好ましい融解熱は12〜30J/gである。
【0065】
該ポリカーボネートの形態は、ペレット状、粒状、粉状等のものが用いられるが、特に短径1mm長径3mmより小さい粒状及び/または粉状が好ましく用いられる。
【0066】
該ポリカーボネートの空隙度(ε)は0.1〜1cm3/gであることが、好ましい。ここで言う空隙度とは、単位質量当たり液体が浸透できる空間容量であり、液体としてクロロベンゼンを用いて測定した値である。添加剤が低融点化合物を含む場合、空隙度が上記範囲を逸脱すると添加剤を均一に混合できない場合があり好ましくない。
【0067】
また、本発明においては、第二供給口から供給されるポリカーボネートの供給比率が、第一供給口から供給されるポリカーボネートに比べ少ないため、粉体としての供給が容易な界面法で製造されたポリカーボネートの粉体を用いることも可能である。しかし、界面法で得られるポリカーボネート粉体は若干の塩素原子を含有しているため、第二供給口から供給されるポリカーボネートと第一供給口から供給されるポリカーボネートの供給比率によっては、塩素原子含有量の少ないものを用いることが好ましいし、溶媒等で洗浄して塩素原子含有量を低減して用いることも好ましい。
【0068】
第二供給口から供給されるポリカーボネートは、第一供給口から供給されるポリカーボネートと同一種類でも、異なる種類でも良い。又、その分子量も特に限定はされない。しかしながら、第二供給口から供給される他のポリカーボネートの粘度平均分子量が、5000〜(第一供給口から供給されるポリカーボネートの粘度平均分子量)×1.1の範囲にあることが、添加剤の分散性が向上するので好ましい。
【0069】
第二供給口から供給される添加剤とポリカーボネートの混合比率は下記式(3)
Va/Wpc≦0.5×ε (3)
[上記式(3)中のVaは第二供給口から単位時間当たり供給される添加剤の容積(cm3)、Wpcは第二供給口から単位時間当たり供給されるポリカーボネートの重量(g)、εは第二供給口から供給されるポリカーボネートの空隙度を表す。]
を満たすことが好ましい。上記式(3)の範囲を外れると添加剤を均一に混合できない場合があり好ましくない。
【0070】
第二供給口から供給されるポリカーボネートの量は、特に制限はない。添加剤の供給量は、第一供給口から供給されるポリカーボネートに対する配合量で決定され、第二供給口から供給されるポリカーボネートの量は添加剤を効率よく均一に供給できる量であれば良い。一般に、第二供給口から供給されるポリカーボネートの量は、第一供給口から供給されるポリカーボネートの量に対して、1/1000〜1/20の比率にある。
【0071】
このようにして得られたポリカーボネート組成物は添加剤が均一に分散されるため分子量低下、滞留時の色相安定性、離型性、転写性などの物性が均一な成形物を得ることが出来、光学材料用途、特に光ディスク等の光磁気記録媒体の基板用途として好ましいものである。
【0072】
【発明の効果】
本発明の組成物は、添加剤が均一に分散しており、かつ分散溶媒やその他分散剤が含有していないために熱安定性等が優れており、各種用途に好適に用いることが出来る。
【0073】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。各物性項目の評価は、以下の方法で測定した。
【0074】
1)ポリカーボネートの粘度平均分子量;
ポリカーボネートの塩化メチレン溶液を20℃でウベローデ粘度管にて測定した固有粘度より、粘度平均分子量MWは下記式(4)より計算した。
〔η〕=1.23×10-4×MW0.83 (4)
【0075】
2)末端水酸基濃度(モル%);
ポリマーのサンプル0.02gを0.4mlの重クロロフォルムに溶解し20℃で1H−NMR(日本電子社製EX−270)を用いて、全末端数に対する末端水酸基濃度(モル%)を測定した。
【0076】
3)分岐成分の含有量;
ポリカーボネート0.1gを精秤後、テトラヒドロフラン5mlに溶解し、5N水酸化ナトリウムメタノール溶液1mlを添加した。これを室温で2時間攪拌し加水分解した。次いで濃硫酸0.6mlを加え、逆相液体クロマトグラフィーにより定量した。
【0077】
4)空隙度;
ポリカーボネート5gを20℃、10Torrでクロロベンゼン20mlに浸し、1時間保持した。その後、過剰のクロロベンゼンを取り除き、重量増加分とクロロベンゼンの比重より空隙度を求めた。
【0078】
5)離型性;
50mm×90mm×2mmの平板の2枚取りの金型を用いて名機製作所(株)製M50B型射出成形機によりシリンダー温度380℃成形サイクル20秒、金型温度80℃射出圧300Kg、型締め力50トンで成形した。この際、成形品の取り出し時のエジェクターピンにかかった負荷をエジェクターピンの油圧を測定することにより離型力を測定した。離型力は小さいほど好ましいが、効果が期待できる目安としては14kg/cm2程度である。この測定を5回実施し、その平均値と標準偏差を求めた。標準偏差の好ましい値は1.2以下であり、より好ましい値は0.8以下である。
【0079】
6)滞留安定性;
50mm×90mm×2mmの平板を名機製作所(株) M50B射出成形機によりシリンダー温度380℃成形サイクル20秒、金型温度75℃、射出圧300Kg、型締め力50トンで成形した。この成形品につき色相Labを測定、さらに樹脂をシリンダー温度と同じ温度で10分間シリンダー内に滞留させた後成形を行い色相を測定、滞留前後の色差(ΔE)を求めた。平板のL/a/b値、滞留前後の色差(ΔE)は日本電色(株)製Z−1001DP色差計によりJIS8722、Z8730に従い測定した。色差(△E)は、下記式(5)
△E=((△L)2+(△a)2+(△b)21/2 (5)
で表される。この測定を同一条件で成形した異なる成形品について5回実施し、その平均値と標準偏差を求めた。標準偏差の好ましい値は0.3以下であり、より好ましい値は0.2以下である。
【0080】
7)結晶化度:
結晶化度は、DSC測定によって得られたΔHから、100%結晶化ポリカーボネートのΔHをジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス;パートB:ポリマー・フィジックス(J.Polym.Sci.:B:Polym.Phys.)1979年第25巻1511〜1517ページを参考にして109.8J/gとして計算した。
【0081】
(参考合成例)
ビスフェノールA228重量部、ジフェニルカーボネート223重量部及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.009重量部及びビスフェノールAジナトリウム塩0.00007重量部、水酸化リチウム0.00001重量部を攪拌装置、減圧装置、蒸留塔などを具備した反応装置に仕込み、180℃窒素雰囲気下で30分攪拌し溶解した。次いで同温度で、100mmHgの減圧下、30分間フェノールを留出しつつ反応させた。さらに220℃に昇温しつつ30mmHgに減圧し、同温同圧で30分間反応させた。更に反応系を更に徐々に昇温、減圧し、最終的に270℃、0.5mmHgとし、ポリカーボネート樹脂を得た。さらに得られた樹脂100重量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を0.0018重量部添加し20分間混合した。得られた樹脂の粘度平均分子量は15300であった。末端水酸基濃度は23モル%、分岐成分含有量は0.03モル%であった。
【0082】
(実施例1)
溶融重縮合法で得られたポリカーボネートから、図1に示す装置を用いて、ポリカーボネート組成物を製造した。
【0083】
参考合成例で得られたポリカーボネートのペレット(直径2.5mm、長さ3mm)を15kg/hrの供給量で、同方向回転型2軸押出機12の第一供給口13に供給した。一方、第二供給口14からは、添加剤としてグリセリンモノステアレート(融点80℃)5部、リン酸0.05部と界面法で得られたポリカーボネート粉体(粘度平均分子量15000、結晶化度22%、融解熱24J/g、空隙度0.5cm3/g、融点241℃)94.95部とをヘンシェルミキサーで事前に十分混合した混合物(Va/Wpc=0.05cm3/g)を0.15kg/hrで供給した。溶融押出を実施し、冷却バス16及びストランドカッター17を経て、無色透明のポリカーボネート組成物を得た。得られた組成物の離型性と滞留安定性は表1の通りである。
【0084】
(実施例2)
溶融重縮合法で得られたポリカーボネートから、図2に示す装置を用いて、ポリカーボネート組成物を製造した。
【0085】
溶融重合器につながるライン21から参考合成例で得られたポリカーボネートを供給し、ギヤポンプ22で10kg/cm2の圧力に昇圧し、60kg/hrの供給量で、同方向回転型2軸押出機23の第一供給口24に供給した。一方、第二供給口25からは、実施例1と同様の混合物を0.6kg/hrで供給した。溶融押出を実施し、冷却バス27及びストランドカッター28を経て、無色透明のポリカーボネート組成物を得た。得られた組成物の離型性と滞留安定性は表1の通りである。
【0086】
(実施例3)
溶融重縮合法で得られたポリカーボネートから、図1に示す装置を用いて、ポリカーボネート組成物を製造した。
【0087】
参考合成例で得られたポリカーボネートのペレット(直径2.5mm、長さ3mm)を15kg/hrの供給量で、同方向回転型2軸押出機12の第一供給口13に供給した。一方、第二供給口14からは、添加剤としてグリセリンモノステアレート25部、リン酸0.25部と界面法で得られたポリカーボネート粉体(粘度平均分子量15000、結晶化度22%、融解熱24J/g、空隙度0.5cm3/g、融点241℃)74.75部とをヘンシェルミキサーで事前に十分混合した混合物(Va/Wpc=0.33cm3/g)を0.15kg/hrで供給した。溶融押出を実施し、冷却バス16及びストランドカッター17を経て、無色透明のポリカーボネート組成物を得た。得られた組成物の離型性と滞留安定性は表1の通りである。
【0088】
(実施例4)
実施例1で得られたポリカーボネート組成物を光ディスク基板に成型を行った。日精樹脂工業(株)製射出成形機(型名:MO40D3H)を使用し、金型とスタンパーには記憶容量2.6GBの相変化型光記録媒体基板用(ディスク径120mm、厚さ0.6mm)のものを用いた。金型温度は可動部が123℃、固定部が128℃とした。又カッター、スプルーの温度は60℃とした。樹脂温度はシリンダー温度380℃とした。射出速度250mm/secで実施例1で得られたポリカーボネート組成物を金型キャビティーに充填し光ディスク基板を連続100ショット成型した。連続成型中のすべてのディスク基板は型離れが良く離型不良は起こらなかった。また、得られた基板はいずれも透明でそり等の変形も無く、光ディスク基板として好ましいものであった。
【0089】
(比較例1)
第二供給口から供給されるポリカーボネートに、界面法で得られたポリカーボネート粉体(粘度平均分子量15000、結晶化度3%、融解熱3J/g、空隙度0.2cm3/g)を用いた以外は実施例1と同様にして無色透明のポリカーボネート組成物を得た。得られた組成物の離型性と滞留安定性は表1の通りである。
【0090】
(比較例2)
実施例1で使用した界面法で得られたポリカーボネート粉体を窒素雰囲気下、190℃で50時間保持して、結晶化度37%、融解熱41J/g、空隙度0.2cm3/gのポリカーボネート粉体を得た。第二供給口から供給されるポリカーボネートに該ポリカーボネート粉体を用いた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート組成物を得た。得られた組成物はわずかに濁っていた。得られた組成物の離型性と滞留安定性は表1の通りである。
【0091】
【表1】
Figure 0004759154

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において実施例1および実施例3で用いたポリカーボネート組成物を製造する装置の1例である。
【図2】本発明において実施例2で用いたポリカーボネート組成物を製造する装置の1例である。
【符号の説明】
11.フィーダー
12.同方向回転型2軸押出機
13.第一供給口
14.第二供給口
15.サイドフィーダー
16.冷却バス
17.ストランドカッター
21.溶融重縮合法の溶融重合器との接続ライン
22.ギヤポンプ
23.同方向回転型2軸押出機
24.第一供給口
25.第二供給口
26.サイドフィーダー
27.冷却バス
28.ストランドカッター

Claims (11)

  1. ア)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり10〜1000μ化学当量の含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物、ならびにイ)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.05〜5μ化学当量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を含有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを重縮合させて得られる、下記式(1)
    Figure 0004759154
    [式中のR1,R2,R3,R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、Wは単結合、アルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基、置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基から選ばれる1つの基である。]
    で表される繰り返し単位から実質的になり、全末端基中の末端水酸基濃度が5〜50モル%であるポリカーボネートを押出機の第一供給口に供給した後、少なくとも一種の添加剤を、結晶化度が10〜30%の上記式(1)で表されるポリカーボネートと混合して該押出機の第二供給口から供給して、第一供給口に供給されるポリカーボネートと混合することによって得られるポリカーボネート組成物。
  2. 第一供給口に供給されるポリカーボネートが、下記式(2)−1〜(2)−3
    Figure 0004759154
    Figure 0004759154
    Figure 0004759154
    [式中のR1,R2,R3,R4,Wは、上記式(1)と同じ。]
    で表される成分を上記式(1)であらわされる繰り返し単位に対し0.01〜2.0モル%含有することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート組成物。
  3. 添加剤の少なくとも1種の融点が、第二供給口から供給されるポリカーボネートの融点以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリカーボネート組成物。
  4. 第二供給口から供給される添加剤とポリカーボネートの混合比率が下記式(3)
    Va/Wpc≦0.5×ε (3)
    [式中のVaは第二供給口から単位時間当たり供給される添加剤の容積(cm3)、Wpcは第二供給口から単位時間当たり供給されるポリカーボネートの重量(g)、εは第二供給口から供給されるポリカーボネートの空隙度を表す。]
    を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物。
  5. 第二供給口から供給されるポリカーボネートの融解熱が10〜35J/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物。
  6. 第二供給口から供給されるポリカーボネートが、5000〜(第一供給口から供給されるポリカーボネートの粘度平均分子量)×1.1の範囲の粘度平均分子量を有するポリカーボネートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物。
  7. 第二供給口から供給されるポリカーボネートが、界面法で製造されたポリカーボネートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物。
  8. ア)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり10〜1000μ化学当量の含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物、ならびにイ)芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.05〜5μ化学当量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属を含有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを重縮合させて得られる、下記式(1)
    Figure 0004759154
    [式中のR1,R2,R3,R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、Wは単結合、アルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基、置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基から選ばれる1つの基である。]
    で表される繰り返し単位から実質的になり、全末端基中の末端水酸基濃度が5〜50モル%であるポリカーボネートを、押出機の第一供給口に供給した後、添加剤の少なくとも一種を結晶化度が10〜30%の上記式(1)で表されるポリカーボネートと混合して該押出機の第二供給口から供給して該ポリカーボネートと混合するポリカーボネート組成物の製造方法。
  9. アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属がナトリウム以外のアルカリ金属化合物を含有することを特徴とする請求項8記載のポリカーボネート組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物からなる光ディスク基板。
  11. 請求項10に記載のポリカーボネート組成物からなる光ディスク基板の素材としての用途。
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