JP2000191899A - 非黄色系成型品用ポリカ―ボネ―ト組成物 - Google Patents

非黄色系成型品用ポリカ―ボネ―ト組成物

Info

Publication number
JP2000191899A
JP2000191899A JP37259798A JP37259798A JP2000191899A JP 2000191899 A JP2000191899 A JP 2000191899A JP 37259798 A JP37259798 A JP 37259798A JP 37259798 A JP37259798 A JP 37259798A JP 2000191899 A JP2000191899 A JP 2000191899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate
group
value
polycarbonate composition
phosphite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP37259798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5025841B2 (ja
Inventor
Kyosuke Komiya
強介 小宮
Muneaki Aminaka
宗明 網中
Kazumi Hasegawa
和美 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP37259798A priority Critical patent/JP5025841B2/ja
Publication of JP2000191899A publication Critical patent/JP2000191899A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5025841B2 publication Critical patent/JP5025841B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 黄色みがなく、透明性が高く、かつ再成型し
た後も色と透明性の変化の少ない、非黄色系透明成型品
用ポリカーボネート組成物を提供すること。 【解決手段】 ポリカーボネート100重量部に対し
て、耐熱安定剤0.0005〜0.22重量部を含むポ
リカーボネート組成物において、該ポリカーボネートが
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートか
ら、エステル交換法によって製造された、数平均分子量
が6000〜15000のポリカーボネートであり、該
ポリカーボネート中の塩素イオン含量が0.5ppm以
下であり、該ポリカーボネート組成物のb*値とL値
(いずれも3.2mm厚の成形片をCIELAB法で測
定した測定値)が[b*値]≦1.65×[L値]−1
45.5の関係を満足し、かつ該b*値が1.2以上
3.1以下である非黄色系透明成型品用ポリカーボネー
ト組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非黄色系透明成型
品用ポリカーボネート組成物に関するものであり、更に
詳しくは、黄色みがなく、透明性が高く、かつ再成型し
た後も色と透明性の変化が少ない、非黄色系透明成型品
用ポリカーボネート組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃
性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチック
スとして、多くの分野において幅広く用いられている。
しかしながら、従来より用いられてきたホスゲン法で製
造されたポリカーボネートは、その製造時に毒性のホス
ゲンを使用することや、ポリカーボネートの熱安定性や
成形時の金型腐食等に影響を及ぼす残留塩化メチレンを
含有する等の問題を有しており、近年は、エステル交換
法ポリカーボネートが見直されてきている。
【0003】従来、エステル交換法で製造されたポリカ
ーボネートは、実験室的にはほとんど無色透明なものが
得られるが、工業的にはわずかに黄色みを帯びたものし
か得られていないという(プラスチック材料講座ポリ
カーボネート樹脂、日刊工業新聞社、昭和56年発行、
66頁)、重要な欠点を有している。透明成型品の場
合、黄色みは樹脂が汚れたり変色したりした印象を与え
るため、一般的に好まれない。従って、透明成型品用途
では特に非黄色系の透明成型品を得るためのポリカーボ
ネートが好まれるにも関わらず、エステル交換法のポリ
カーボネートはそのままでは、黄色みを無くすという要
求に答えることができなかった。
【0004】そこで、エステル交換法のポリカーボネー
トを非黄色系透明成型品用途に用いる場合には、着色剤
を添加する事によって、黄色みを無くし青色系や紫色系
の色にする方法が従来行われている。しかしながら、こ
の様に着色剤によって黄色みをなくす事はできるもの
の、その場合は透明性が低下し、その外観は明るさのな
い暗い印象に悪化してしまうという問題があった。
【0005】また、近年環境問題に関する意識が高まる
中、一度成型したプラスチックを再成型し、再利用する
ケースが増大している。しかしながら、従来のポリカー
ボネートは再成型するたびに変色し、透明度も低下する
という問題を有している。着色剤を添加する場合は、黄
色みをなくすことはできても、再成型時の変色や透明度
の変化はむしろ大ききなってしまうという問題も有して
いた。
【0006】エステル交換法で、カラーの良好なポリカ
ーボネートを製造する試みは非常に数多くなされてい
る。その代表的な試みとして触媒に関する研究が、特開
昭61−151236号公報、特開昭63−17992
6号公報、特開平2−124934号公報、特開平2−
175723号公報、特開平3−54223号公報、特
開平3−203928号公報、特開平4−296325
号公報、特開平5−1145号公報、特開平5−979
93号公報、特開平6−234843号公報、特開平6
−256497号公報、特開平6−271661号公
報、特開平7−53705号公報、特開平7−8236
5号公報、特開平7−109344号公報、特開平7−
207014号公報、特開平7−247351号公報、
特開平8−41193号公報、特開平8−81551号
公報、特開平8−165341号公報、特開平8−18
3847号公報、特開平8−208825号公報、特開
平8−245781号公報、特開平8−325375号
公報、特開平9−59369号公報、特開平9−157
382号公報、特開平9−169838号公報、特開平
9−188753号公報、特開平10−45895号公
報等でなされている。
【0007】これらの公報には、いずれも良好なカラー
のポリカーボネートが製造できると記載されているもの
の、実用的レベルにおいて充分満足できるものではな
い。例えば、上記特開昭63−179926号公報に
は、ベリリウム化合物を触媒とすることによって、ポリ
カーボネート樹脂の着色をほぼ完全に制御できる、と記
載されているにも関わらず、実施例に示された吸光度
は、塩化メチレン中に100g/リットルの濃度で溶解
させたポリカーボネート溶液の光路長100mmのセル
で測定した400nmの吸光度で0.08〜0.09の
範囲である。この値は、ポリカーボネート1.0gを塩
化メチレン7mlに溶かした溶液を光路長1cmセルに
入れて測定した400nmの吸光度に換算すると、0.
011〜0.013の範囲となり、この方法で測定した
ホスゲン法のポリカーボネートの吸光度が通常0.00
3〜0.005の範囲であることに比べてはるかに高
く、とても実用的に用いることはできない。
【0008】エステル交換法でポリカーボネートを製造
するための触媒に関する研究はこの様に数多くなされて
いるが、触媒の選定だけでは充分に着色の問題を解決で
きないと共に、非黄色系透明成型品に求められる黄色み
がなく、かつ透明度が高く、かつ再成型時の変色や透明
性の低下が少ないポリカーボネート組成物を得る方法に
ついては全く開示されていない。
【0009】エステル交換法のポリカーボネートの着色
を改善する手段として、安定剤を使用する方法も数多く
開示されている。例えば、特開平3−255125号公
報には、フォスフォナイト系化合物とヒンダードフェノ
ール系化合物を特定の条件で添加することにより、熱安
定性、色相、耐加水分解性に優れたポリカーボネートが
得られることが記載されており、その他、特開平3−2
65625号公報、特開平4−1226号公報、特開平
4−1227号公報、特開平4−1228号公報、特開
平4−1229号公報、特開平4−15222号公報、
特開平4−15223号公報、特開平4−41525号
公報、特開平4−103626号公報、特開平4−32
8124号公報、特開平4−328156号公報、特開
平4−345618号公報、特開平4−356559号
公報、特開平5−112706号公報、特開平7−41
654号公報、特開平7−70307号公報、特開平7
−207018号公報、特開平7−247352号公
報、特開平8−143658号公報、特開平8−231
702号公報、特開平8−231705号公報等には、
種々の安定剤を使用することによって、ポリカーボネー
トの色相が改善されることが記載されている。しかしな
がら、何れの公報にも、非黄色系透明成型品に求められ
る黄色みがなく、かつ透明度が高く、かつ再成型時の変
色や透明性の低下が少ないポリカーボネート組成物を得
る方法については、全く開示されていない。
【0010】さらに、エステル交換法ポリカーボネート
を製造するための重合器についても数多くの研究がなさ
れており、そのほとんどすべてに着色の少ないポリカー
ボネートを製造できることが記載されている。しかしな
がら、エステル交換法は、重合が進行すると共にポリマ
ーの粘度が上昇し、副生するフェノールなどを効率よく
系外に抜き出す事が困難になり、重合度を上げにくくな
るという本質的な問題を有しており、この問題を解決す
るため重合温度を高くせざるを得ない等の理由により、
ほとんどの重合器は分子量を充分に高めることが困難
か、高めることができた場合でも着色面で実用に耐える
レベルには達していない。例えば、撹拌機を備えた竪型
の攪拌槽型重合器を用いる方法は、一般に広く知られて
いる。しかしながら、竪型の撹拌槽型重合器は小スケー
ルでは容積効率が高く、シンプルであるという利点を有
し、効率的に重合を進められるが、工業的規模では、上
述したように重合の進行と共に副生するフェノールを効
率的に系外に抜き出す事が困難となり重合速度が極めて
低くなるという問題を有している。
【0011】すなわち、大スケールの竪型の撹拌槽型重
合器は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケ
ールの場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな
状態となる。この場合、重合度を高めていくために真空
度を高めていっても、撹拌槽の下部は液深があるために
実質上高い圧力で重合される事になり、フェノール等は
効率的に抜けにくくなるのである。
【0012】この問題を解決するため、高粘度状態のポ
リマーからフェノール等を抜き出すための工夫が種々な
されている。例えば特公昭50−19600号公報で
は、ベント部を有するスクリュー型重合器を用いる方
法、特公昭52−36159号公報では、噛合型2軸押
出機を用いる方法、また特公昭53−5718号公報で
は、薄膜蒸発型反応器、例えばスクリュー蒸発器や遠心
薄膜蒸発器等を用いる方法が記載されており、さらに特
開平2−153923号公報では、遠心薄膜型蒸発装置
と横型撹拌重合槽を組み合わせて用いる方法が具体的に
開示されている。
【0013】これらの重合器の内、スクリュー型蒸発器
や横型攪拌槽等の横型重合器は、主に回転攪拌により表
面更新性を極力高めることによって、フェノール等を効
率的に抜き出そうとしたものである。例えば、特公昭5
0−19600号公報では、「液状の反応混合物とガス
ないしは蒸気空間との間に比較的に大きく絶えず更新す
る相の境界が生じ、この事により液状の反応物から分離
する気化性の反応生成物は極めて速やかに除去される」
と記載され、気液界面の表面更新の効果によりフェノー
ル等を効果的に抜き出せる事が示唆されている。また特
公昭52−36159号公報では、表面更新効果Jがス
クリュー回転数、反応部のスクリュー表面積、反応部の
スクリュー総ピッチ数、原料供給量、及び反応部のスク
リュー1ピッチ当たりの全有効体積の関数として定義さ
れ、その値が所定の範囲内にある事の重要性が指摘され
ている。
【0014】しかしながらこれらの重合器では、表面更
新性を高めるために、スクリューや攪拌軸等の回転攪拌
動力を必要とするが、芳香族ポリカーボネートは特に分
子量が高くなるに伴い粘度が著しく高くなるため、非常
に大きな動力が必要となる。しかも、粘度が高い場合に
は、如何に大きな動力を用いてもポリマーが大きなシェ
アーを受けるため分子鎖の切断が生じ、結果として分子
量上昇速度は遅くなり、高分子量の芳香族ポリカーボネ
ートを製造することはできない。また、大きなシェアー
を受ける為にポリマーの着色が起きることは避けられな
いのである。
【0015】一方、遠心薄膜型蒸発器に関しては、特開
平2−153923号公報において、エステル交換反応
の最終段階における重縮合反応器として遠心薄膜型蒸発
器を用いる場合には、反応混合物の単位処理量当たりの
蒸発表面積を大きくすることができるので、反応混合物
の遠心薄膜型蒸発器における滞留時間を短くできるもの
の、生成するポリマーの一部は、回転軸、羽根、内部軸
受けなどに付着して長い熱履歴を経るため、黒変した分
解物がポリマーに混入するという問題点があることが指
摘されている。該公報ではこの問題を避けるため、エス
テル交換反応の最終段階でなく、中間段階で遠心薄膜型
蒸発器を用いる方法が開示されている。しかしながら、
遠心薄膜型蒸発器は蒸発器の内壁部分のみで薄膜を形成
しているため重合器としての容積効率が極めて小さく、
充分な反応時間を得ようとすればリアクターが大きくな
りすぎる上、着色面でも好ましくないという問題も有し
ていた。
【0016】このような問題を解決する手段として、本
発明者らは米国特許第5589564号明細書におい
て、ワイヤに沿わせて落下させながら重合させる方法に
より、高品質なポリカーボネートを高い重合速度で製造
できることを明らかにした。この方法は、重合時の蒸発
面積を非常に大きく取ることが可能であるため比較的低
温でも重合できる上、回転攪拌軸を有しないため上述の
重合器のような問題点を解決しており、着色面で優れた
ポリカーボネートを、製造することができる。
【0017】しかしながら、単に黄色みが少ないポリカ
ーボネートに関しては記載があるものの、黄色みがなく
てかつ透明性が高く、かつ再成型した後も色と透明性の
変化が少ない、非黄色系透明成型品用ポリカーボネート
組成物に関しては、まだ得られていなかった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、黄色みがな
く、透明性が高く、かつ再成型した後も色と透明性の変
化が少ない、非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組
成物を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、耐熱安定剤
を特定の範囲で含有し、黄色みを表すb*値と透明性を
表すL値が特定の関係にあり、かつb*値が特定の範囲
にあるポリカーボネート組成物がその目的を達成できる
ことを見出し、本発明に到達したものである。
【0020】即ち本発明は、(A) ポリカーボネート
100重量部に対して、耐熱安定剤0.0005〜0.
22重量部を含むポリカーボネート組成物において、該
ポリカーボネートが芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリ
ールカーボネートから、エステル交換法によって製造さ
れた、数平均分子量が6000〜15000のポリカー
ボネートであり、該ポリカーボネート中の塩素イオン含
量が0.5ppm以下であり、該ポリカーボネート組成
物のb*値とL値(いずれも3.2mm厚の成形片をC
IELAB法で測定した測定値)が下記(1)式の関係
を満足し、かつ該b*値が1.2以上3.1以下である
事を特徴とする非黄色系透明成型品用ポリカーボネート
組成物、 [b*値]≦1.65×[L値]−145.5 (1)
【0021】(B) ポリカーボネート組成物が、着色
剤0.00001〜0.0002重量部を含み、該着色
剤が10μgをメタノール1gに溶かした溶液を光路長
1cmセルに入れ、分光光度計により測定した580n
mでの吸光度に対する400nmの吸光度の比が0.3
以下の着色剤である事を特徴とする(A)記載の非黄色
系透明成型品用ポリカーボネート組成物、(C) 着色
剤が、アンスラキノン骨格を有する化合物であることを
特徴とする(B)記載の非黄色系透明成型品用ポリカー
ボネート組成物。
【0022】(D) エステル交換触媒の量が、原料の
芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、0.0
00003〜0.0003モルの範囲であることを特徴
とする(A)、(B)又は(C)記載の非黄色系透明成
型品用ポリカーボネート組成物、(E) 耐熱安定剤
が、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステル、及び
スルホン酸エステルから選ばれる一種以上の化合物を含
むことを特徴とする(A)、(B)、(C)又は(D)
記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物、
(F) 耐熱安定剤が、(a)亜リン酸ジエステル及び
亜リン酸モノエステル、スルホン酸エステルから選ばれ
た一種以上の化合物と、(b)フェノール系安定剤、亜
リン酸トリエステル及びホスフィン酸ジエステルから選
ばれた一種以上の化合物を含むことを特徴とする(E)
記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物、
を提供するものである。
【0023】本発明によれば、黄色みがなく、かつ透明
性に優れるという、透明成型品用のポリカーボネート組
成物に求められていた相反する特性を満足するだけでな
く、驚くべき事には、成型した後も色と透明性の変化が
少ない組成物を提供することができる。この理由につい
ては明らかではないが、本発明の条件を満たす組成物
は、ポリカーボネート中に着色の原因となる不純物や異
種結合等が少ない上に、結果として着色剤の含有量も比
較的少ないことが、上記の相反する性質を満足させるも
のと推定している。
【0024】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物
は、ポリカーボネート100重量部に対して、耐熱安定
剤0.0005〜0.22重量部と着色剤0〜0.00
02重量部を含むポリカーボネート組成物である。本発
明で用いるポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化
合物とジアリールカーボネートから、エステル交換法に
よって製造される。芳香族ジヒドロキシ化合物とは、次
式で示される化合物である。HO−Ar−OH(式中、
Arは2価の芳香族基を表す。) 2価の芳香族基Arは、好ましくは例えば、次式で示さ
れるものである。 −Ar1 −Y−Ar2 − (式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素
数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族
基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン
基を表す。)
【0025】2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、
1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の
置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミ
ド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても
良い。複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1
ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を
有する芳香族基を挙げる事ができる。
【0026】2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例え
ば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビ
フェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を
表す。ここでの置換基は前述のとおりである。2価のア
ルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基であ
る。
【0027】
【化1】
【0028】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて
個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1
〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、
1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以
上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置
換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良
い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2で示されるものが挙げられる。
【0029】
【化2】
【0030】(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるもので
あっても良い。 −Ar1 −Z−Ar2 − (式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又
は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、
−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を表
す。ただし、R1 は前述のとおりである。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化3に示されるものが挙げられる。
【0031】
【化3】
【0032】(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述
のとおりである。) さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換ま
たは非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレ
ン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。本
発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種
類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ
化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げら
れる。本発明で用いられるジアリールカーボネートは、
下記化4で表される。
【0033】
【化4】
【0034】(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の
芳香族基を表す。) Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香
族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上
の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、
例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキ
シ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニ
トロ基などによって置換されたものであっても良い。A
3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるもの
であっても良い。
【0035】1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例
としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピ
リジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以
上の置換基で置換されたものでも良い。好ましいAr3
及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5に示さ
れるものなどが挙げられる。
【0036】
【化5】
【0037】ジアリールカーボネートの代表的な例とし
ては、下記化6で示される。
【0038】
【化6】
【0039】(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素
原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜
10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜
5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ
異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、
各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。) このジアリールカーボネート類の中でも、非置換のジフ
ェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t
−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置
換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカー
ボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジア
リールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好
適である。
【0040】これらのジアリールカーボネート類は単独
で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重
合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリール
カーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜
2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割
合で用いられる。
【0041】本発明のポリカーボネートの数平均分子量
は、6000〜15000、好ましくは6500〜14
000の範囲である。数平均分子量は、テトラヒドロフ
ランを搬送溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法で測定し、標準単分散ポリ
スチレンを用いて得た下式による換算分子量較正曲線を
用いて求めた値である。 MPC=0.3591MPS 1.0388 (式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPS
はポリスチレンの分子量を示す。)
【0042】本発明のポリカーボネート中の塩素イオン
含量は、0.5ppm以下である。塩素イオンの測定
は、硝酸銀溶液を用いた電位差滴定法もしくはイオンク
ロマト法の何れでも可能である。これらの測定法の検出
下限界は0.1ppmであり、ポリカーボネート中の塩
素イオン含量は、0.1ppm以下であることが更に好
ましい。塩素イオン含量が0.5ppmより多い場合に
は、黄色みが少なく、透明性が高く、かつ再成型した後
も色と透明性の変化が少ない本発明の組成物を提供する
事はできない。
【0043】本発明の組成物は、ポリカーボネート10
0重量部に対して、耐熱安定剤を0.00001〜0.
2重量部を含む。ポリカーボネート100重量部に対す
る耐熱安定剤の好ましい量は、0.00003〜0.1
5重量部であり、更に好ましくは0.00005〜0.
1重量部である。耐熱安定剤としては特に限定はされ
ず、通常ポリカーボネートに使用されているものは使用
できる。例えば、リン系安定剤、フェノール系安定剤、
イオウ系安定剤、エポキシ系安定剤、ヒンダードアミン
系安定剤等が使用できる。
【0044】リン系安定剤としては、リン酸類、亜リン
酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、リン酸エステ
ル類、ホスホン酸エステル類が挙げられる。具体的に
は、例えばリン酸類としては、リン酸、亜リン酸、次亜
リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、下記化学式で示され
るホスフィン酸類、
【0045】
【化7】
【0046】及び、下記化学式で示されるホスホン酸類
等が挙げられる。
【0047】
【化8】
【0048】(式中、R11はエチル基、ブチル基、オク
チル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デ
シル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリト
ール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナ
フチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチ
ルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、
2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、P−ノニルフェニ
ル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を示
す。)これらの具体例としては、フェニルホスホン酸が
挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても良い
し、混合物で使用しても良い。亜リン酸エステル類とし
ては、亜リン酸トリエステル、亜リン酸ジエステル、亜
リン酸モノエステルが挙げられ、下記化学式で表され
る。
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】(式中、R12,R13,R14,R15,R16
18,R19,R20,R21,R22,R23は化合物内で同一
であっても異なっていても良く、水素、エチル基、ブチ
ル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキ
シル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタ
エリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、フェ
ニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル基、P
−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニ
ルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリー
ル基を示し、R17,R24はアルキレン、アリレン、又は
アリールアルキレンを示す。)
【0054】これらの具体例としては、例えば亜リン酸
トリエステルでは、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホス
ファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、
トリフェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレ
ングリコールホスファイト、テトラ(トリデシル)4,
4’ーイソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビ
ス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−
ジ−t−ブチル4メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ジステアリル、ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリ
スリトールホスファイトポリマー、テトラフェニルテト
ラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファ
イトが挙げられる。
【0055】こららの中で、2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基を持つも
のが特に好ましく、具体例としてはトリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル4メチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられ
る亜リン酸ジエステルの好ましい具体例としては、芳香
族亜リン酸ジエステルが好ましく、例えばジフェニルハ
イドロゲンホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ハイ
ドロゲンホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)ハイドロゲンホスファイト、ジクレジルハイ
ドロゲンホスファイト、(ビス(p−t−ブチルフェニ
ル)ハイドロゲンホスファイト、ビス(p−ヘキシルフ
ェニル)ハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。
【0056】亜リン酸モノエステルの好ましい具体例と
しては、フェニルジハイドロゲンホスファイト、ノニル
フェニルジハイドロゲンホスファイト、2,4−ジ−t
−ブチルフェニルジハイドロゲンホスファイト等が挙げ
られる。これらの化合物は単独で使用しても良いし、混
合物で使用しても良い。ホスフィン酸エステル類として
は、ホスフィン酸ジエステル、ホスフィン酸モノエステ
ルが挙げられ、下記化学式で表される。
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】(式中、R25はエチル基、ブチル基、オク
チル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デ
シル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリト
ール基、ステアリル基等のアルキル基、フェニル基、ナ
フチル基等のアリール基、又はトリル基、P−t−ブチ
ルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、
2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パラノニルフェニ
ル基、ジノニルフェニル基等のアルキルアリール基を示
し、R26,R27,R28,R29,R31,R32は化合物内で
同一であっても異なっていても良く、水素、エチル基、
ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチル
ヘキシル基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペ
ンタエリスリトール基、ステアリル基等のアルキル基、
フェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はトリル
基、P−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、パ
ラノニルフェニル基、ジノニルフェニル基等のアルキル
アリール基を示し、R30はアルキレン、アリレン、又は
アリールアルキレンを示す。)
【0060】このような化合物の具体的な例としては、
4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス
(2、4ージ−t−ブチルフェニル)が挙げられる。こ
れらの化合物は単独で使用しても良いし、混合物で使用
しても良い。リン酸エステル類としては、リン酸ジエス
テル、リン酸モノエステルが挙げられ、下記化学式で表
される。
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】(式中、R13,R14,R16,R17,R18
19,R21,R23,R24は前述と同一。) これらの具体例としては、リン酸ジエステルの具体例と
しては、例えばジフェニルハイドロゲンホスフェート、
ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ビ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホ
スフェート、ジクレジルハイドロゲンホスフェート、
(ビス(p−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスフ
ェート、ビス(p−ヘキシルフェニル)ハイドロゲンホ
スフェート等が挙げられる。
【0066】リン酸モノエステルの具体例としては、フ
ェニルジハイドロゲンホスフェート、ノニルフェニルジ
ハイドロゲンホスフェート、2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニルジハイドロゲンホスフェート等が挙げられる。こ
れらの化合物は単独で使用しても良いし、混合物で使用
しても良い。ホスホン酸エステル類としては、ホスホン
酸モノエステルが挙げられ、下記化学式で表される。
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】(式中、R25,R27,R29,R30,R31
32は前述と同一) フェノール系安定剤は、下記化学式で示される。
【0070】
【化21】
【0071】(式中、R33は水素原子、水酸基、アルコ
キシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素残基を
示し、R33は同一でも異なっていても良い。但し、R33
の内少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭化水
素残基を示すものとする。)具体的にには、2,6−ジ
−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−アニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エ
チルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−t−ブ
チル−p−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4
−エチル−6−t−ブチル−p−フェノール)、4,
4’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾー
ル)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m
−クレゾール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキイシフェニル)
プロピオネート]メタン、4,4’−チオビス(6−t
−ブチル−m−クレゾール)、ステアリル−β−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−
ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエ
チレングルコールービス[3−(3−t−ブチル−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等
があげられる。好ましいフェノール系安定剤としては、
下記化学式で示されるものである。
【0072】
【化22】
【0073】(式中、R34はメチル基又はt−ブチル
基、R35はt−ブチル基を、Aは炭素数1〜30のb価
の炭化水素又は複素環残基を示し、aは1〜4の整数、
bは1以上の整数を示す。)具体的にはテトラキス[メ
チレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒ
ドロキイシフェニル)プロピオネート]メタン、ステア
リル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、トリエチレングルコールー
ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0074】更にリン原子を含んだフェノール系安定
剤、例えば3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジルホスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン
酸エチル)カルシウム等も挙げられる。これらのフェノ
ール系安定剤は単独で用いてもよいし、混合物で用いて
もよい。
【0075】イオウ系安定剤としては、式:R36−SO
2−R37で示されるスルフィン酸、式:R36−SO337
(両式中、R36はR11と同一。R37はR12と同一。)で
示されるスルホン酸及びそのエステル類や、下記化学式
等で示されるチオエーテル化合物がある。
【0076】
【化23】
【0077】(式中、R38,R39はC12〜C18のア
ルキル基を示す。) これらの具体的な例としては、例えばベンゼンスルフィ
ン酸、p−トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、
及びこれら酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、フ
ェニルエステルが挙げられる。また、ジラウリル−3,
3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’
−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チ
オジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジ
プロピオネート、ペンタエリスリトール(βーラウリル
チオプロピオネート)等が挙げられる。これらのイオウ
系安定剤は単独で用いてもよいし、混合物で用いてもよ
い。
【0078】エポキシ安定剤としては、例えばエポシシ
化大豆油、エポキシ化アマニ油等の油脂類、フェニルグ
リシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブ
チルフェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、テトラブロムビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシ
ジル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポ
キシシクロヘキサンカルボキシレート、4−(3,4−
エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3,4
−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−
エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキ
シルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシ
レート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル
メチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
ビスエポキシシクロヘキシルアジペート、オクタデシル
−2,2’−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキサ
ンカルボキシレート、N−ブチル−2,2’−ジメチル
−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロ
ヘキサンカルボキシレート、N−ブチルー2−イソプロ
ピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカ
ルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシク
ロヘキサンカルボキシレート、2−エチルヘキシル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
4,6−ジメチル−2、3−エポキシシクロヘキシル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジ
エチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキ
サンカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチ
ル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキサン
カルボキシレート、3,4−ジメチル−1,2−エポキ
シシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキ
シシクロヘキサン、3,−メチル−5−t−ブチル−
1,2−エポキシシクロヘキサン等のエポキシシクロヘ
キサン化合物、ビスエポキシジシクロペンタジエニルエ
ーテル、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエイ
レネポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、4,5−エ
ポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−
4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸等が挙げら
れる。これらのエポキシ系安定剤は単独で用いてもよい
し、混合物で用いてもよい。
【0079】ヒンダードアミン系安定剤としては、ビス
(2,2,6,6−テトラメチルー4−ビペリジル)セ
バケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ビペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−nブチルマロ
ン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビ
ペリジル)テトラキシ(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)ポロピオニルオキシ}
エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,
7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3
−トリアザスピロ{4,5}ウンデカン−2,4−ジオ
ン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン等が挙げられる。これらは単独で用いて
もよいし、混合物で用いてもよい。
【0080】これら耐熱安定剤は、単独で用いてもよい
し組み合わせて用いてもよい。これらの内、活性水素基
を有するリン系やイオウ系安定剤及びスルフィン酸もし
くはスルホン酸のエステル類が好ましく用いられる。活
性水素基を有するリン系安定剤の例としては、前述のリ
ン酸類、ホスフィン酸類、ホスホン酸類、亜リン酸ジエ
ステル類、亜リン酸モノエステル類、ホスフィン酸モノ
エステル類、リン酸ジエステル類、リン酸モノエステル
類、ホスホン酸モノエステル類等が挙げられ、活性水素
基を有するイオウ系安定剤の例としては、スルフィン酸
類、スルホン酸類が挙げられる。特に耐熱安定剤が、亜
リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステル、スルホン酸
エステルから選ばれた一種以上の化合物を含む事が好ま
しい。
【0081】また、耐熱安定剤を組み合わせて用いる場
合は自由に組み合わせが可能であるが、特に耐熱安定剤
が、(a)亜リン酸ジエステル及び亜リン酸モノエステ
ル、スルホン酸エステルから選ばれた一種以上の化合物
と、(b)フェノール系安定剤、亜リン酸トリエステル
及びホスフィン酸ジエステルから選ばれた一種以上の化
合物を含む事が好ましい。これら耐熱安定剤の併用によ
り、再成形時の色や透明性の変化は少なくなる。
【0082】本発明の組成物は、ポリカーボネート10
0重量部に対して、着色剤0.00001〜0.000
2重量部を含むことが好ましい。ポリカーボネート10
0重量部に対する、着色剤の好ましい量は、0.000
01〜0.00015重量部であり、さらに好ましい量
は0.00002〜0.0001重量部である。着色剤
としては、該着色剤10μgをメタノール1gに溶かし
た溶液を光路長1cmセルに入れ、分光光度計により測
定した580nmでの吸光度に対する400nmの吸光
度の比が0.3以下の着色剤である。580nmでの吸
光度に対する400nmの吸光度の好ましい比率は0.
25以下であり、更に好ましい比率は、0.2以下であ
る。
【0083】また、着色剤としては、アンスラキノン骨
格を有する化合物が、耐熱性が高いことから好ましい。
着色剤の具体例としては、バイエル社製MACROLE
X Violet B、MACROLEX Blue
RR、MACROLEX Blue 3R、住友化学社
製Sumiplast Violet RR、Sumi
plast Violet B、Sumiplast
Blue OR、三菱化学製Diaresin Vio
let D、Diaresin Blue G、Dia
resin Blue N等が挙げられる。
【0084】本発明のポリカーボネート組成物の3.2
mm厚の成形片で測定したb*値とL値は(1)式の関
係を満足し、かつ該b*値が1.2以上3.1以下であ
る。 [b*値]≦1.65×[L値]−145.5 (1) b*値の好ましい範囲は1.5以上3.0以下の範囲で
あり、更に好ましくは、1.8以上2.9以下の範囲で
ある。b*値とL値を測定するための成形片は、射出成
形機を用い、ポリカーボネート組成物をシリンダー温度
290℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm
×厚さ3.2mmの平板状成型品に連続成形したもので
ある。CIELAB法(Comission Inetrnationale de
l'Eclairage 1 9 7 6 L *a*bDiagram)により標準
白色板上に平板状成型品を置き上部から測定し、黄色み
はb*値、透明性はL値として評価できる。b*値とL値
の関係が(1)式の範囲を満足しない場合は、黄色みが
なく、かつ透明性が高いという条件を満足できないだけ
でなく、再成型した後の色の変化が大きくなり、かつ透
明性の低下も大きくなる。b*値が1.2より小さい場
合は、L値が低下して透明性が低くなるだけでなく、成
型した後の色の変化が大きくなり、かつ透明性の低下も
大きくなる。またb*値が、3.1より大きい場合は黄
色みが多いため非黄色系透明成型品用の組成物として不
適であるばかりでなく、再成型した後の色の変化が大き
くなり、かつ透明性の低下も大きくなる。
【0085】本発明で用いる好ましいポリカーボネート
は、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トの混合物にエステル交換触媒を添加した後、100〜
180℃の温度範囲でエステル交換させて芳香族ジヒド
ロキシ化合物の反応率が70%以上に達した第1プレポ
リマーを製造する第1重合工程、該第1プレポリマーを
230〜270℃の温度でエステル交換させて数平均分
子量2000〜5000の第2プレポリマーを製造する
第2重合工程、及び該第2プレポリマーに不活性ガスを
吸収させた後、支持体に沿わせて落下させながら250
〜280℃で重合させる第3重合工程からなり、且つ第
1重合工程において該エステル交換触媒を添加した後、
上記反応率が70%に達するまでの所要時間が6時間以
上であり、第2重合工程の滞留時間が3時間以下であ
り、第3重合工程で第2プレポリマーを溶融ポリマー状
態で支持体に沿わせて落下させてからポリカーボネート
を排出させるまでの滞留時間の内、該溶融ポリマーが重
合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在する時
間が20分以下である条件を満足して製造されたポリカ
ーボネートである。
【0086】エステル交換触媒としては、通常、エステ
ル交換法でポリカーボネートを製造する際用いられる触
媒であれば特に制限はなく、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのア
ルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化
アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素
化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアル
ミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素
化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及
びアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシ
ド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなど
のアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド
類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、
マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、N
aO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカ
リ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸
リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどの
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化
亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物
類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ト
リメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R
1 R 2 R 3 R 4)NB(R 1 R 2 R 3 R 4)または(R1 R 2 R
3 R 4)PB(R 1 R 2R3 R 4)で表されるアンモニウムボレ
ート類またはホスホニウムボレート類(R1、R 2 、R
3 、R 4 は前記化1の説明通りである。)などのホウ
素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラ
アルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−
エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化
ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエト
キシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウム
の化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジア
ルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズト
リブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基
と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化
合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及
び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛
の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム
塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸
化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合
物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンな
どのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコ
キシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;
酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムの
アルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチ
ルアセトンなどのジルコニウムの化合物類等、を挙げる
事ができる。エステル交換触媒を用いる場合、これらの
エステル交換触媒は1種だけで用いても良いし、2種以
上を組み合わせて用いても良い。
【0087】これらのエステル交換触媒の使用量は、上
記第1重合工程において該エステル交換触媒を添加した
後該反応率が70%に達するまでの所要時間が6時間以
上であり、第2重合工程の滞留時間が3時間以内となる
ように選ばれることが好ましい。第1重合工程におい
て、芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が70%に達す
るまでの所要時間が6時間より短いように反応温度及び
エステル交換触媒量を設定した場合は、ポリカーボネー
トが黄色に着色する。また、第2重合工程の滞留時間が
3時間より長い場合も、ポリカーボネートは黄色に着色
する。従って、エステル交換触媒の使用量は多すぎると
第1重合工程の条件を満足できず、少ないと第2重合工
程の条件を満足できないのである。エステル交換触媒の
量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対
して、0.000003〜0.0003モルであること
が好ましく、0.000005〜0.00005モルの
範囲であることが更に好ましい。
【0088】第1重合工程は、通常、大気圧〜微加圧、
すなわち1〜2atm、温度範囲100〜180℃の条
件で実施される。第1重合工程の好ましい重合器は、竪
型の攪拌槽である。第2重合工程は、通常、減圧下、す
なわち500〜15000Pa、温度範囲230〜27
0℃で実施される。第2重合工程の好ましい重合器も、
竪型の攪拌槽である。第3重合工程は、第2重合工程で
製造した第2プレポリマーに不活性ガスを吸収させた
後、支持体に沿わせて落下させながら、温度範囲250
〜280℃で重合させる。
【0089】ここで、第2プレポリマーに不活性ガスを
吸収させるとは、溶融状態の第2プレポリマー中に不活
性ガスを分散および/又は溶解させることを意味してい
る。分散とは、溶融ポリマー中に不活性ガスが気泡状で
混合され、気液混相となっているような状態を意味し、
溶解とは第2プレポリマーに不活性ガスが混じり合い、
均一な液相を形成しているような状態を意味する。不活
性ガスは単に分散されるだけでなく、第2プレポリマー
中に溶解されることが特に好ましい。
【0090】不活性ガスとは、第2プレポリマーと化学
反応を起こさず、かつ重合条件下で安定なガスの総称で
あり、不活性ガスの具体例としては、窒素、アルゴン、
ヘリウム、二酸化炭素や、プレポリマーが溶融状態を保
つ温度においてガス状である有機化合物、炭素数1〜8
の低級炭化水素ガス等が挙げられ、特に好ましいのは窒
素である。不活性ガスを吸収させるための装置として
は、これらの不活性ガスを第2プレポリマーに吸収させ
ることができる装置であれば特に型式に制限はなく、例
えば、化学装置設計・操作シリーズNo.2、改訂ガス
吸収49〜54頁(昭和56年3月15日、化学工業社
発行)に記載の充填塔型吸収装置、棚段型吸収装置、ス
プレー塔式吸収装置、流動充填塔型吸収装置、液膜十字
流吸収式吸収装置、高速旋回流方式吸収装置、機械力利
用方式吸収装置等の公知の装置や、不活性ガス雰囲気下
で第2プレポリマーを支持体に沿わせて落下させながら
吸収させる装置等が挙げられる。重合器に第2プレポリ
マーを供給する配管中に直接不活性ガスを供給して吸収
させる装置でも構わない。スプレー塔式吸収装置や、支
持体に沿わせて落下させながら吸収させる装置を用いる
ことは特に好ましい方法である。
【0091】不活性ガスを吸収させる装置は、通常重合
器として使用される装置と同じ形式の装置でも構わない
が、重合をほとんど進行させない条件で運転されるた
め、重合器とは機能的に全く異なるものである。すなわ
ち、不活性ガスを吸収させる前後の第2プレポリマーの
数平均分子量を各々M1、M2とした時、不活性ガス吸収
工程における分子量変化(M2−M1)が、500以下で
あることが好ましい。不活性ガスを吸収させる温度は、
通常、230〜280℃の範囲である。また、不活性ガ
ス吸収工程の圧力Pg(Pa)は、M1に対して、下記
(2)式の関係を満足することが好ましい。 Pg>4×1012×M1 -2.6871 (2)
【0092】不活性ガス吸収工程の圧力Pg (Pa)
が、上記(2)式の関係を満足しない場合には、重合速
度を高める効果が小さくなる。不活性ガス吸収工程の圧
力が常圧もしくは加圧であることは、不活性ガスの溶融
プレポリマーへの吸収速度を高め、結果的に吸収装置を
小さくできる点で特に好ましい。不活性ガス吸収工程の
圧力の上限に特に制限はないが、通常、2×107 Pa
以下、好ましくは1×107 Pa以下、更に好ましくは
5×106 Pa以下である。
【0093】不活性ガス吸収工程で溶融ポリマーに不活
性ガスを吸収させる方法としては、不活性ガスを吸収さ
せる装置に供給した不活性ガスの大部分を第2プレポリ
マー中に吸収させる方法でも良いし、供給した不活性ガ
スの一部を第2プレポリマー中に吸収させる方法でも良
い。前者の方法としては、例えばスプレー塔式吸収装置
や、支持体に沿わせて落下させながら吸収させる装置を
用い、溶融ポリマー中に吸収された不活性ガスとほぼ等
量の不活性ガスを供給して吸収設備の圧力をほぼ一定に
保ちながら吸収させる方法や、重合器に溶融ポリマーを
供給する配管中に直接不活性ガスを供給する吸収装置を
用いる方法等が挙げられる。
【0094】また後者の方法としては、例えばスプレー
塔式吸収装置や、支持体に沿わせて落下させながら吸収
させる装置を不活性ガス吸収装置として用い、吸収装置
内に溶融ポリマー中に吸収される以上の不活性ガスを流
通させ、過剰の不活性ガスを不活性ガス吸収設備から排
出させる方法等が挙げられる。不活性ガスの使用量をよ
り少なくする点で、前者の方法が特に好ましい。また、
不活性ガス吸収工程は、吸収装置に第2プレポリマーを
連続的に供給して不活性ガスを吸収させ、不活性ガスを
吸収した溶融ポリマーを連続的に抜き出す連続法、吸収
装置に第2プレポリマーをバッチ的に仕込んで不活性ガ
スを吸収させるバッチ法のいずれも可能である。
【0095】第2プレポリマーに不活性ガスを吸収させ
る際、第2プレポリマーに吸収させる不活性ガスの量に
特に制限はないが、該プレポリマー1kgに対して、通
常0.0001〜1Nlの範囲であり、好ましくは0.
001〜0.8Nlの範囲であり、更に好ましくは0.
005〜0.6Nlの範囲である。吸収させる不活性ガ
スの量が第2プレポリマー1kgに対して0.0001
Nlより少ない場合は、重合速度を高める効果が小さく
なるので好ましくない。また吸収させる不活性ガスの量
を該第2プレポリマー1kgに対して1Nlより多くし
ても、重合速度は変わらない。
【0096】第3重合工程では、溶融ポリマー状態で支
持体に沿わせて落下させながら重合させる重合器を用い
る。このような重合器では、上述した、不活性ガスを吸
収した第2プレポリマーを重合させる場合に該プレポリ
マーの継続的な発泡現象が激しく、表面の攪拌状態が極
めて良くなる現象が特に顕著に発現する。溶融ポリマー
状態で支持体に沿わせて落下させながら重合させる重合
器において、第2プレポリマーは通常、多孔板から供給
された後、支持体に沿って落下する。多孔板は、通常、
平板、波板、中心部が厚くなった板などから選ばれ、多
孔板の形状についは、通常、円状、長円状、三角形状、
多角形状などの形状から選ばれる。
【0097】多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角
形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選
ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cm2
であり、好ましくは0.05〜10cm2 であり、特に
好ましくは0.1〜5cm2の範囲である。孔と孔との
間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mm
であり、好ましくは25〜100mmである。多孔板の
孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を
取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になってい
てもよい。また、支持体とは、水平方向の断面の外周の
平均長さに対して該断面と垂直方向の長さの比率が非常
に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10
〜1000000の範囲であり、好ましくは50〜10
0000の範囲である。
【0098】水平方向の断面の形状は、通常、円状、長
円状、三角形状、四角形状、多角形状、星形状などの形
状から選ばれる。該断面の形状は長さ方向に同一でもよ
いし異なっていてもよい。また、支持体は中空状のもの
でもよい。支持体は、針金状等の単一なものでもよい
が、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたも
のでもよい。また、金網状のものや、パンチングプレー
ト状のものであっても良い。支持体の表面は平滑であっ
ても凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を
有するものでもよい。支持体の材質は、通常、ステンレ
ススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニ
ッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等
の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれ
る。また、支持体の表面は、メッキ、ライニング、不働
態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の
処理がなされてもよい。支持体は、多孔板の孔に直接接
続していてもよいし、孔から離れていてもよい。好まし
い具体例としては、多孔板の各孔の中心部付近に各支持
体が貫通して接続しているもの、多孔板の各孔の外周部
分に支持体が接続しているもの等が挙げられる。支持体
の下端は、通常重合器に固定されている。
【0099】多孔板を通じて溶融ポリマー状態で支持体
に沿わせて落下させる方法としては、液ヘッドまたは自
重で落下させる方法、またはポンプなどを使って加圧に
することにより、多孔板から第2プレポリマーを押し出
す等の方法が挙げられる。孔の数に特に制限はなく、反
応温度や圧力などの条件、触媒の量、重合させる分子量
の範囲等によっても異なるが、通常ポリマーを例えば1
00kg/hr製造する際、10〜105 個の孔が必要
である。孔を通過した後、支持体に沿わせて落下させる
高さは、好ましくは0.3〜50mであり、さらに好ま
しくは0.5〜30mである。孔を通過させる溶融プレ
ポリマーの流量は、溶融プレポリマーの分子量によって
も異なるが通常、孔1個当たり、10-4〜104 リット
ル/hr、好ましくは10-2〜102 リットル/hr、
特に好ましくは、0.05〜50リットル/hrの範囲
である。支持体に沿わせて落下させるのに要する時間に
特に制限はないが、通常0.01秒〜10時間の範囲で
ある。支持体に沿わせて落下させながら重合させた溶融
ポリマーは、そのまま液溜部に落下させてもよく、また
巻き取り器等で強制的に液溜部に取り込んでもよい。
【0100】さらに、支持体に沿わせて落下させた後の
ポリカーボネートはそのまま抜き出されても良いが、循
環させて、再び支持体に沿わせて落下させながら重合さ
せるのも好ましい方法である。この場合、支持体に沿わ
せて落下させた後の液溜部や循環ライン等で重縮合反応
に必要な反応時間に応じて滞留時間を長くすることがで
きる。また、支持体に沿わせて落下させながら循環を行
うことにより単位時間に形成し得る新規な液表面積が大
きく取れるため、所望の分子量まで充分重合を進行させ
る事が容易となる。
【0101】第3重合工程で第2プレポリマーを溶融ポ
リマー状態で支持体に沿わせて落下させてからポリカー
ボネートを排出させるまでの滞留時間の内、該溶融ポリ
マーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存
在する時間は20分以下である事が好ましい。該溶融ポ
リマーが重合器気相部より1000Pa以上高い圧力で
存在する時間は10分以下である事がさらに好ましい。
該溶融ポリマーが重合器気相部より1000Pa以上高
い圧力で存在する時間が20分より長くなる場合は、ポ
リカーボネートが黄色に着色する。溶融ポリマーが重合
器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在するの
は、重合器ボトムの液溜部のポリカーボネートがポリカ
ーボネート自身の液ヘッドにより圧力が高まる場合や、
重合器からの排出ポンプで加圧する場合等に生じる。該
溶融ポリマーを支持体に沿わせて落下させる間は、該溶
融ポリマーを重合器気相部より1000Pa以上高い圧
力では存在させないことが好ましい。
【0102】すなわち1000Paに相当する液ヘッド
は約10cmであるので、支持体上で該溶融ポリマーが
10cm以上積もるような状態を作らないことが好まし
い。また、重合器ボトムの液溜部で10cm以上液ヘッ
ドを持つような状態で滞留させることも好ましくない。
重合器の排出ポンプより上部では、該溶融ポリマーが重
合器気相部より1000Pa以上高い圧力で存在しない
ことが特に好ましい。該溶融ポリマーが重合器気相部よ
り1000Pa以上高い圧力で存在する時間が20分よ
り長くなる場合に、ポリカーボネートが黄色に着色する
理由については明らかではないが、気相部に接している
ポリカーボネートと比べて高い圧力下で存在する場合、
ポリカーボネート中のフェノール濃度が高くなり、着色
しやすくなっているものと推定される。
【0103】重合器下部のポリカーボネートが排出され
るまでの間に、耐熱安定剤や着色剤を供給し混合してポ
リカーボネート組成物とするのも好ましい方法である。
この場合、上述した該溶融ポリマーが重合器気相部より
1000Pa以上高い圧力で存在する時間には、耐熱安
定剤や着色剤が混合された状態の時間も含まれる。耐熱
安定剤や着色剤の混合方法に特に制限はないが、通常、
1軸または2軸の押出機や、スタティックミキサー等が
用いられる。
【0104】重合器の材質に特に制限はなく、通常ステ
ンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ
製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合
金製等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から
選ばれる。また、これらの材質の表面は、メッキ、ライ
ニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に
応じて種々の処理がなされてもよい。特に好ましいの
は、ステンレススチールやニッケル、グラスライニング
等である。
【0105】本発明の非黄色系透明成型品用ポリカーボ
ネート組成物は、黄色のみ嫌われる透明成型品用途、例
えばグレージングや自動車用のヘッドランプレンズ、そ
の他の透明射出成型品用途等に好適に使用できる。成型
法は、押出成形、射出成型、ブロー成型等の何れでも可
能である。また、本発明の非黄色系透明成型品用ポリカ
ーボネート組成物には、必要に応じ、酸化防止剤、耐候
剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、可塑
剤、他樹脂やゴム等の重合体、充填剤、強化剤、難燃剤
等を添加して用いても良い。更に、これら添加剤等は、
重合終了後のポリカーボネート系樹脂が溶融状態の間に
添加してもよいし、ポリカーボネートを一旦ペレタイズ
した後、添加剤を添加再溶融混練してもよい。
【0106】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて説明す
る。 ・数平均分量(Mn):テトラヒドロフランを搬送溶媒
として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用い
て得た下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。 MPC=0.3591MPS 1.0388 (式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPS
はポリスチレンの分子量を示す。) ・ビスフェノールAの反応率:高速液体クロマトグラフ
により、ビスフェノール濃度を測定して求めた。 ・黄色度:射出成形機を用い、芳香族ポリカーボネート
をシリンダー温度290℃、金型温度90℃で、縦50
mm×横50mm×厚さ3.2mmの平板状成型品を連
続成形した。得られた平板状成型品をCIELAB法
(Comission Inetrnationale de l'Eclairage 1 9 7 6
L *a*bDiagram)により、標準白色板上に平板状成
型品を置き上部から測定し、b* 値を黄色度の指標とし
た。再成形後の黄色度は、該成形品を粉砕して粒状化
し、上記と同様に再成形して評価した。 ・透明性:黄色度を測定したのと同じ試験片をCIEL
AB法(Comission Inetrnationale de l'Eclairage 1
9 7 6 L *a*bDiagram)により、標準白色板上に試
験片を置き上部から測定し、L値を透明性の指標とし
た。再成形後の透明性は、該成形品を粉砕して粒状化
し、上記と同様に再成形して評価した。 ・再成型品の評価:黄色度を測定した平板状成型品を粉
砕して粒状化し、上記と同様の射出成形機で上記と同様
に平板状成型品を再成型する操作を繰り返した。再成型
を5回繰り返して得られた平板状成型品の黄色度と透明
性を上記と同様の方法で評価した。
【0107】
【実施例1】[1]ポリカーボネートの製造 [第1重合工程]ビスフェノールAとジフェニルカーボ
ネート(対ビスフェノールAモル比1.05)を竪型攪
拌槽で180℃で溶融混合した後、触媒として水酸化ナ
トリウムの0.5重量%フェノール溶液を添加し(ビス
フェノールA100モルに対するナトリウム量:0.0
0004モル)、窒素雰囲気下の大気圧で反応させた。
ビスフェノールAの反応率が70%に達するまでの所要
時間は7時間であった。 [第2重合工程]第1重合工程で製造したビスフェノー
ルAの反応率が75%に達した第1プレポリマーを、2
30℃、10000Paの竪型攪拌槽に供給し、滞留時
間1時間で重合させ、さらに270℃、1200Paの
竪型攪拌槽滞留時間1時間で重合させて第2プレポリマ
ーを製造した。第2重合工程の合計の滞留時間は2時間
である。第2プレポリマーの数平均分子量は3800で
あった。
【0108】[第3重合工程]第2重合工程で製造した
第2プレポリマーを図1の不活性ガス吸収塔1に50k
g/hrで供給した。不活性ガス吸収塔1は、直径2m
m、長さ3mのSUS316製円柱状支持体4を7本備
えており、供給口2から供給された第2プレポリマーは
分散板3により各円柱状支持体4に均一に分配される。
不活性ガス吸収塔1の下部には不活性ガス供給口5が備
えられており、上部にはベント口6が備えられている。
不活性ガス吸収塔1の外側はジャケットになっており、
熱媒で加温されている。不活性ガス吸収塔1は、270
℃、圧力200000Paの条件であり、ベント口6は
閉じられた状態で圧力200000Paを保つように、
不活性ガス供給口5より窒素が供給されている。不活性
ガス吸収塔1の下部の第2プレポリマー7は、滞留時間
15分で重合器10に供給される。重合器10は、直径
2.5mm、長さ8mのSUS316製円柱状支持体1
3を35本備えており、供給口11から供給された溶融
ポリマーは分散板12により各支持体13に均一に分配
される。
【0109】分散板上部の第2プレポリマーの8の滞留
時間は20分である。円柱状支持体13は、重合器下部
で支持体固定棒によって重合器に固定されている。重合
器下部には不活性ガス供給口14が備えられており、上
部には真空ベント口15が備えられている。重合器10
の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されてい
る。重合条件は、270℃、95Paであ。不活性ガス
供給口14からは、不活性ガスを供給しなかった。サイ
トグラスより、発泡した溶融ポリマーが円柱状支持体上
を極めて良好に表面更新されながら落下する状態が観察
された。支持体上で溶融ポリマーが10cm以上積もる
状態は全く観察されなかった。
【0110】円柱状支持体から落下したポリカーボネー
トは、一部は重合器下部の壁面を通過し、一部は排出ポ
ンプ18の上部に直接落下する。排出ポンプ18上部の
ポリカーボネート17は重合器気相圧力より1000P
a以上高い圧力では存在しない。排出ポンプ18下部の
ポリカーボネートは加圧状態になって270℃でスタテ
ィックミキサー22を通過して排出口23から排出され
る。供給口19からは、耐熱安定剤としてトリス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、p−ト
ルエンスルホン酸ブチル、着色剤として三菱化学社製D
iaresinBlue Gを、ポリカーボネート10
0重量部に対しそれぞれ0.015重量部、0.000
1重量部、0.00005重量部供給した。
【0111】溶融ポリマーが重合器気相圧力より100
0Pa以上高い圧力で存在するのは排出ポンプから排出
口までの間だけであり、この部分の滞留時間は10分で
ある。排出口から排出されたポリカーボネート組成物は
ストランドカットによりペレット化された。ポリカーボ
ネートの数平均分子量は10500であり、ポリカーボ
ネート中の塩素イオン含量は、硝酸銀溶液を用いた電位
差滴定法による測定方法で、検出下限界の0.1ppm
以下であった。 [2]ポリカーボネート組成物の評価 得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明性
は、b*値2.2、L値89.7であり、(1)式の関
係を満足している。また、再成型5回後の再成型品のb
*値は4.2、L値は88.0であり、黄色度及び透明
性の変化は小さかった。
【0112】
【実施例2〜5】耐熱安定剤及び着色剤の量を変える以
外は、実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造
した。結果をまとめて表1に示す。
【0113】
【比較例1〜3】耐熱安定剤及び着色剤の量を変える以
外は、実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造
した。結果をまとめて表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
【実施例6】耐熱安定剤をp−トルエンスルホン酸ブチ
ル0.0001重量部の代わりにビス(ノニルフェニ
ル)ハイドロゲンホスファイト0.001重量部とする
他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造し
た。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明
性は、b*値2.2、L値89.7であり、(1)式の
関係を満足している。再成型品(再成型5回)のb*
は4.3、L値は88.0であり、黄色度及び透明性の
変化は小さかった。
【0116】
【実施例7】三菱化学社製Diaresin Blue
G0.00005重量部のかわりに住友化学社製Su
miplast Violet Bを0.00003重
量部を用いる他は、実施例1と同様にポリカーボネート
組成物を製造した。得られたポリカーボネート組成物の
黄色度及び透明性は、b*値2.5、L値89.7であ
り、(1)式の関係を満足している。再成型品(再成型
5回)のb*値は4.5、L値は88.0であり、黄色
度及び透明性の変化は小さかった。
【0117】
【実施例8】三菱化学社製Diaresin Blue
G0.00005重量部のかわりにバイエル社製MA
CROLEX Blue RRを0.00008重量部
を用いる他は、実施例1と同様にポリカーボネート組成
物を製造した。得られたポリカーボネート組成物の黄色
度及び透明性は、b*値1.9、L値89.3であり、
(1)式の関係を満足している。再成型品(再成型5
回)のb*値は4.5、L値は87.5であり、黄色度
及び透明性の変化は小さかった。
【0118】
【実施例9】水酸化ナトリウムのビスフェノールA10
0モルに対するナトリウムの量を0.000018モル
とし、第2重合工程で各竪型攪拌槽の滞留時間を1.5
時間(合計3時間)とする他は実施例1と同様にポリカ
ーボネート組成物を製造した。ただし、第1重合工程で
ビスフェノールAの反応率が70%に達するまでの時間
は16時間であった。第2プレポリマーとポリカーボネ
ートの数平均分子量は各々3750、10400であっ
た。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明
性は、b*値2.3、L値89.6であり、(1)式の
関係を満足する。再成型品(再成型5回)のb*値は
4.4、L値は87.8であり、黄色度及び透明性の変
化は小さかった。
【0119】
【比較例4】水酸化ナトリウムのビスフェノールA10
0モルに対するナトリウム量を0.0004モルとする
他は実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造し
た。ただし、第1重合工程でビスフェノールAの反応率
が70%に達するまでの時間は1時間であった。第2プ
レポリマーとポリカーボネートの数平均分子量は各々3
800、10500であった。得られたポリカーボネー
ト組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.6、L値8
9.6であり、(1)式の関係を満足しない。再成型品
(再成型5回)のb*値は5.1、L値は86.4であ
り、黄色度及び透明性の変化は大きかった。
【0120】
【比較例5】水酸化ナトリウムのビスフェノールA10
0モルに対するナトリウム量を0.0000025モル
とし、第2重合工程で各竪型攪拌槽の滞留時間を5時間
(合計10時間)とする他は実施例1と同様にポリカー
ボネート組成物を製造した。ただし、第1重合工程でビ
スフェノールAの反応率が70%に達するまでの時間は
120時間であった。第2プレポリマーとポリカーボネ
ートの数平均分子量は各々3500、9900であっ
た。得られたポリカーボネート組成物の黄色度及び透明
性は、b*値2.9、L値89.6であり、(1)式の
関係を満足しない。再成型品(再成型5回)のb*値は
5.9、L値は86.1であり、黄色度及び透明性の変
化は大きかった。
【0121】
【比較例6】触媒として水酸化ナトリウムの0.5重量
%フェノール溶液(ビスフェノールA100モルに対す
るナトリウム量:0.00004モル)の他にさらにテ
トラメチルアンモニウムヒドロキサイド(ビスフェノー
ルA100モルに対して0.02モル)を添加する他は
実施例1と同様にポリカーボネート組成物を製造した。
ただし、第1重合工程でビスフェノールAの反応率が7
0%に達するまでの時間は40分であった。第2プレポ
リマーとポリカーボネートの数平均分子量は各々380
0、10500であった。得られたポリカーボネート組
成物の黄色度及び透明性は、b*値3.0、L値89.
5であり、(1)式の関係を満足しない。再成型品(再
成型5回)のb*値は6.3、L値は85.7であり、
黄色度及び透明性の変化は大きかった。
【0122】
【実施例10】溶融ポリマーが重合器気相圧力より10
00Pa以上高い圧力で存在する、排出ポンプから排出
口までの滞留時間を18分とする他は実施例1と同様に
ポリカーボネート組成物を製造した。ポリカーボネート
の数平均分子量は10500であった。得られたポリカ
ーボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.
3、L値89.6であり、(1)式の関係を満足する。
再成型品(再成型5回)のb*値は4.5、L値は8
7.9であり、黄色度及び透明性の変化は小さかった。
【0123】
【比較例7】溶融ポリマーが重合器気相圧力より100
0Pa以上高い圧力で存在する、排出ポンプから排出口
までの滞留時間を30分とする他は実施例1と同様にポ
リカーボネート組成物を製造した。ポリカーボネートの
数平均分子量は10500であった。得られたポリカー
ボネート組成物の黄色度及び透明性は、b*値2.7、
L値89.6であり、(1)式の関係を満足しない。再
成型品(再成型5回)のb*値は5.1、L値は86.
4であり、黄色度及び透明性の変化は大きかった。
【0124】
【発明の効果】本発明により、黄色みがなく、透明性が
高く、かつ再成型した後も色と透明性の変化が少ない、
非黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるポリカーボネートを製造する第
3重合工程の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 不活性ガス吸収塔 2、11、19 供給口 3、12 分散板 4、13 円柱状支持体 5、14 不活性ガス供給口 6 ベント口 7 不活性ガス吸収塔下部の第2プレポリマー 8 分散板上部の第2プレポリマー 9、18 排出ポンプ 10 重合器 15 真空ベント口 16 支持体固定棒 17 排出ポンプ上部のポリカーボネート 20 サイトグラス 21 排出ポンプ下部のポリカーボネート 22 スタティックミキサー 23 排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CD022 CD052 CD102 CD122 CD162 CD182 CG011 CG021 CG031 DH026 EJ016 EJ026 EJ036 EJ046 EJ066 EL026 EL046 EU076 EU086 EU166 EV216 EV236 EV246 EW046 EW066 EW126 EW136 FD062 FD066 FD097 GN00 GP01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート100重量部に対し
    て、耐熱安定剤0.0005〜0.22重量部を含むポ
    リカーボネート組成物において、該ポリカーボネートが
    芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートか
    ら、エステル交換法によって製造された、数平均分子量
    が6000〜15000のポリカーボネートであり、該
    ポリカーボネート中の塩素イオン含量が0.5ppm以
    下であり、該ポリカーボネート組成物のb*値とL値
    (いずれも3.2mm厚の成形片をCIELAB法で測
    定した測定値)が下記(1)式の関係を満足し、かつ該
    *値が1.2以上3.1以下である事を特徴とする非
    黄色系透明成型品用ポリカーボネート組成物。 [b*値]≦1.65×[L値]−145.5 (1)
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート組成物が、着色剤0.
    00001〜0.0002重量部を含み、該着色剤が1
    0μgをメタノール1gに溶かした溶液を光路長1cm
    セルに入れ、分光光度計により測定した580nmでの
    吸光度に対する400nmの吸光度の比が0.3以下の
    着色剤である事を特徴とする請求項1記載の非黄色系透
    明成型品用ポリカーボネート組成物。
  3. 【請求項3】 着色剤が、アンスラキノン骨格を有する
    化合物であることを特徴とする請求項2記載の非黄色系
    透明成型品用ポリカーボネート組成物。
  4. 【請求項4】 エステル交換触媒の量が、原料の芳香族
    ジヒドロキシ化合物100モルに対して、0.0000
    03〜0.0003モルの範囲であることを特徴とする
    請求項1、2又は3記載の非黄色系透明成型品用ポリカ
    ーボネート組成物。
  5. 【請求項5】 耐熱安定剤が、亜リン酸ジエステル、亜
    リン酸モノエステル、及びスルホン酸エステルから選ば
    れる一種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項
    1、2、3又は4記載の非黄色系透明成型品用ポリカー
    ボネート組成物。
  6. 【請求項6】 耐熱安定剤が、(a)亜リン酸ジエステ
    ル及び亜リン酸モノエステル、スルホン酸エステルから
    選ばれた一種以上の化合物と、(b)フェノール系安定
    剤、亜リン酸トリエステル及びホスフィン酸ジエステル
    から選ばれた一種以上の化合物を含むことを特徴とする
    請求項5記載の非黄色系透明成型品用ポリカーボネート
    組成物。
JP37259798A 1998-12-28 1998-12-28 非黄色系成型品用ポリカーボネート組成物 Expired - Lifetime JP5025841B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37259798A JP5025841B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 非黄色系成型品用ポリカーボネート組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37259798A JP5025841B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 非黄色系成型品用ポリカーボネート組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000191899A true JP2000191899A (ja) 2000-07-11
JP5025841B2 JP5025841B2 (ja) 2012-09-12

Family

ID=18500720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37259798A Expired - Lifetime JP5025841B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 非黄色系成型品用ポリカーボネート組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5025841B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020609A (ja) * 2000-07-12 2002-01-23 Teijin Chem Ltd 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2009298658A (ja) * 2008-06-13 2009-12-24 Fujifilm Corp 無機微粒子分散液、有機無機複合組成物、成形体および光学部品
JP2010132929A (ja) * 2002-04-22 2010-06-17 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート組成物の製造方法
WO2014095967A1 (de) 2012-12-20 2014-06-26 Bayer Materialscience Ag Organische farbmittel und eingefärbte polymer-zusammensetzungen mit guten verarbeitungseigenschaften
JP2019517682A (ja) * 2016-05-27 2019-06-24 サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ コポリカーボネートレンズ、その製造方法及び応用
US10787568B2 (en) 2016-07-25 2020-09-29 Sabic Global Technologies B.V. Polycarbonate compositions having enhanced optical properties, articles formed therefrom, and methods of manufacture
US10947381B2 (en) 2016-05-27 2021-03-16 Sabic Global Technologies B.V. High heat copolycarbonate compositions having enhanced optical properties, articles formed therefrom, and methods of manufacture

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020609A (ja) * 2000-07-12 2002-01-23 Teijin Chem Ltd 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2010132929A (ja) * 2002-04-22 2010-06-17 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート組成物の製造方法
JP2009298658A (ja) * 2008-06-13 2009-12-24 Fujifilm Corp 無機微粒子分散液、有機無機複合組成物、成形体および光学部品
WO2014095967A1 (de) 2012-12-20 2014-06-26 Bayer Materialscience Ag Organische farbmittel und eingefärbte polymer-zusammensetzungen mit guten verarbeitungseigenschaften
JP2019517682A (ja) * 2016-05-27 2019-06-24 サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ コポリカーボネートレンズ、その製造方法及び応用
JP2019517602A (ja) * 2016-05-27 2019-06-24 サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ 向上した光学特性を有するコポリカーボネート組成物、それらから形成された物品、及び製造方法
US10640644B2 (en) 2016-05-27 2020-05-05 Sabic Global Technologies B.V. Copolycarbonate compositions having enhanced optical properties, articles formed therefrom, and methods of manufacture
US10723877B2 (en) 2016-05-27 2020-07-28 Sabic Global Technologies B.V. Copolycarbonate lenses, methods of manufacture, and applications thereof
US10947381B2 (en) 2016-05-27 2021-03-16 Sabic Global Technologies B.V. High heat copolycarbonate compositions having enhanced optical properties, articles formed therefrom, and methods of manufacture
US10787568B2 (en) 2016-07-25 2020-09-29 Sabic Global Technologies B.V. Polycarbonate compositions having enhanced optical properties, articles formed therefrom, and methods of manufacture

Also Published As

Publication number Publication date
JP5025841B2 (ja) 2012-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940010015B1 (ko) 방향족계 폴리카보네이트 조성물 및 그의 제조방법
US5532324A (en) Copolymeric polycarbonates, a method for their preparation, and compositions thereof
CN1052988C (zh) 芳族聚碳酸酯的生产方法
US6320015B1 (en) Process for producing aromatic polycarbonate
JP5025841B2 (ja) 非黄色系成型品用ポリカーボネート組成物
EP1004609B1 (en) Aromatic polycarbonate
JP3966553B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートを製造するためのシステム
JPH05262043A (ja) 光学用ポリカーボネート系樹脂組成物
JP3093315B2 (ja) ポリカーボネート組成物の製造方法
JPH06157739A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP3197200B2 (ja) ガイドを有するポリカーボネート組成物の製造方法
JP3200345B2 (ja) ガイドを有する芳香族ポリカーボネートの製法
JP4312288B2 (ja) 難燃性ポリカーボネート組成物
US5972273A (en) Method for producing a homogeneous polycarbonate composition
JP2004026916A (ja) 複数のポリカーボネートの連続製法
US5550205A (en) Copolycarbonates and manufacturing method for them
JP3508488B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3164841B2 (ja) 共重合ポリカーボネートおよびその製造方法
JP3573553B2 (ja) ポリカーボネート組成物の製造方法
JP3393167B2 (ja) ポリカーボネート組成物の製造方法
JPH10324742A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3445031B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3414505B2 (ja) 芳香族ポリカ−ボネ−トの製造方法
JP3434636B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂の製造法
JP3604047B2 (ja) ポリカーボネート組成物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080430

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080626

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090512

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120524

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120620

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term