本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)について以下の順序で説明する。
A.遊技機の構成:
A1.全体構成:
A2.遊技領域の構造:
A3.可変入賞装置の構造:
A4.第一転動演出装置95の機構および動作:
A5.第三転動演出装置101の構造および動作:
A6.制御用ハードウェア構成:
B.主制御処理:
C.可変入賞装置制御処理:
D.揺動異常判定処理:
E.異常判定処理:
F.異常情報提示処理:
G.変形例:
A.遊技機の構成:
A1.全体構成:
図1は実施例としてのパチンコ機1の全体構成を示す斜視図である。外枠2、本体枠3、前面枠4を開いた状態を示した。図の煩雑化を回避するため、遊技領域の装飾部材は図示を省略した。これらの枠は、ヒンジ機構7によって、開閉可能に連結されている。
外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成されている。外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成してもよい。外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6が設けられている。
本体枠3は、下受板6の上側にはまる形状となっている。本体枠3の外形を規定する前枠体11は、合成樹脂材製の矩形枠である。前枠体11の前下部左側にはスピーカ装着板17およびスピーカ18が装着されている。下部には、遊技球の発射レール19が傾斜して装着されている。前枠体11の下には下部前面板30が装着されている。下部前面板30の略中央部には、遊技球を貯留する下皿31が設けられ、右側には操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
本体枠3には、遊技盤5が取り付けられている。遊技盤5は、本体枠3に前方から嵌込み可能な四角板状をなしている。遊技盤5の前面(以下、「盤面」と呼ぶこともある)には、遊技球をガイドする外レール76、内レール77を備えた案内レール78が設けられている。案内レールの内側が遊技領域37となる。発射レール19と案内レール78との間には、発射時の勢いが不十分で案内レール78を逆戻りしてきた遊技球を下皿31に排出するための隙間が設けられている。
前面枠4はヒンジ機構36によって開閉可能に装着されている。前面枠4には、遊技盤5の遊技領域37に合わせて略円形の開口窓38が形成されている。前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形の窓枠39が設けられ、ガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。
前枠体11の自由端側には、外枠2、本体枠3、前面枠4を閉状態で施錠するための施錠装置70が装着されている。施錠装置70の本体枠施錠フック72は、外枠2の閉止具71に係合することで、外枠2と本体枠3とを施錠する。扉施錠フック74は、前面枠4の閉止具73と係合して、前面枠4と本体枠3とを施錠する。これらの施錠および解錠は、シリンダー錠75の鍵操作で可能である。図示を省略したが、前枠体11には、前面枠4の開閉状態を検知するためのセンサが取り付けられている。このセンサの検出結果は、後述する通り、主制御基板に入力される。
図2はパチンコ機1の正面図である。前面枠4、本体枠3、外枠2を閉じた状態を示した。本体枠3と外枠2は、図中左側の上下に示した外枠側ヒンジ具14および本体枠側ヒンジ具15を有するヒンジ機構7によって連結されている。
前面枠4の下部には上皿51が設けられ、その左側には、遊技者が操作するためのボタン60が設けられている。開口窓38の周囲には、左右両側部にサイド装飾装置52が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され、合成樹脂材で形成されたサイド装飾体54で覆った構成となっている。サイド装飾体54には、横長のスリットが複数配列されており、各スリットには、レンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58等で構成されたユニットである。
下部に設けられた下部前面板30には、先に説明した通り、球排出レバー34を備えた下皿31および灰皿33、操作ハンドル32が設けられている。その上方には、シリンダー錠75が設けられている。
A2.遊技領域の構造:
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図である。遊技領域37内には適宜位置に風車90が設けられている。多数の障害釘もゲージ配列されているが、図示を省略した。遊技領域37のほぼ中央には、可変入賞装置91が設けられている。
可変入賞装置91は額縁状の装飾体を有し、その上縁部または左右側縁部には、遊技盤5に沿って流下する遊技球を可変入賞装置91の裏側に取り込んだ後に、可変入賞装置91の途中または下縁部から再び遊技盤面に放出するための通路(以下、「ワープ通路」と称する)が設けられている。
可変入賞装置91の上方には、可変入賞装置内に遊技球を取り込むための可変入賞装置用入賞口92が開閉可能に備えられている。可変入賞装置91の内部中央には、揺動可能な第一転動演出装置95が備えられている。可変入賞装置用入賞口92から取り込まれた遊技球は、第一転動演出装置95の揺動に応じて図中左右いずれかの方向に転動し、右端または左端から放出される。
第一転動演出装置95の右端には、大当り入賞口93又はハズレ入賞口94、および回転しながら遊技球をこれらの入賞口93、94の何れかに導く第三転動演出装置101が備えられている。第一転動演出装置95の左端には、遊技球を図中右方向に向かって押打する第二転動演出装置100が設けられ、第一転動演出装置95の下側には、押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内するための第四転動演出装置102が備えられている。
可変入賞装置91の内側には演出表示装置115が配設されている。演出表示装置115には、動画等の画像、或いは可動部材の動作等による演出表示が行われる。演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等を用いることができる。
可変入賞装置91の下方には、第二始動入賞口97と、その左右に配置された一対の第一始動入賞口96、一般入賞口98が設けられている。第一始動入賞口96に遊技球が入球すると可変入賞装置用入賞口92は、所定間隔で一回開閉動作する。第二始動入賞口97に遊技球が入球すると可変入賞装置用入賞口92は、所定間隔で二回開閉動作する。
可変入賞装置91は、以下に示す動作によって、遊技球の行き先を物理的に振分け、その振分先に応じて、大当たりまたはハズレを決める装置である。遊技者が不正な手段によって遊技球を大当たり入賞口93に入れる不正を防止するため、可変入賞装置91は前面全体が透明のカバーで覆われており、遊戯中に遊技球が装置内に入り得る部位は、可変入賞装置用入賞口92に制限される構造となっている。ただし、後述する通り、可変入賞装置91の動作に異常が生じた場合の復旧処理では、遊技球を強制的に装置内に入れる必要が生じる場合がある。カバーは、かかる要請に応じて係員が遊技球を入れ込むための孔(以下、「復旧孔」と呼ぶ)が設けられている。復旧孔の構造については、後述する。
図示を省略したが、可変入賞装置91は、遊技球の行き先を物理的に振り分ける装置であるため、遊技機外部から遊技者が加振することで遊技球の振分先が影響を受けることがある。本実施例では、こうした不正な加振を検知するための感振センサが取り付けられている。感振センサとしては、例えば、ファンヒータやガスメータなどに使用されるセンサを用いることができる。
不正な加振は、大当たりとなるか否かが最終的に決まる第三転動演出装置101の近傍で行われる可能性が高いため、感振センサは、遊技版5の背面において第三転動演出装置101付近に取り付けることが好ましい。本実施例では、感振センサをランプ駆動基板370に取り付け、このランプ駆動基板370を第三転動演出装置101の背面付近に配置する構造とした。
A3.可変入賞装置の構造:
図4は可変入賞装置用入賞口92の拡大正面図である(以下、可変入賞用入賞口92を「大入賞口」と呼ぶこともある)。可変入賞装置用入賞口92は、大きく口を開けたキャラクタ体455の口を模して構成されており、遊技球がキャラクタ体455に飲み込まれるような雰囲気を醸し出している。キャラクタ体455の口の中央には遊技球を可変入賞装置内部へと導く球入口457が設けられ、左右には一対の可動片456が設けられている。キャラクタ体455の背面には、球入口457を通過した遊技球を、受渡口458から排出するための通路が設けられている。この通路には、カウントセンサ459が設けられており、可変入賞装置内に遊技球が入ったか否か、また可変入賞装置内に入った遊技球の数(以下、「入球数」と呼ぶ)を検出可能となっている。
可動片456は、主可動片472と副可動片474から構成される。可変入賞装置91の裏面に配置された一対のソレノイドによって左右の各主可動片472を回動させると、主可動片472と副可動片474はそれぞれ図中実線で示した開状態、二点鎖線で示した閉状態をとることができる。主可動片472と副可動片474の回転軸は、ずれているため、回動に伴って、主可動片472が副可動片474に相対的にスライドする動きとなる。
A4.第一転動演出装置95の機構および動作:
図5は第一転動演出装置95の機構および動作を示す説明図である。第一転動演出装置95は、左右方向に延びたガイド部材491が、回動支持軸492を中心に揺動する機構である。
ガイド部材491の上面には、遊技球が転動可能な転動面490が設けられている。転動面490の前面側(遊技機に対して遊技者側)には、遊技球の落下を防止する堰部495が、ガイド部材491の全長にわたって設けられている。転動面490は前面側が低くなるように傾斜している。これにより、遊技球Bは、受渡口458などに当たってガイド部材491の揺動を妨げることなく、堰部495に沿って転動する。
ガイド部材491を揺動させるための回動駆動手段493は、ガイド部材491の左端に設けられている。回動駆動手段493は、モータの回転により作動するクランク部496と、クランク部496の動きをガイド部材491の一端に設けられたピン497に伝達させるリンク部498とから構成されている。図5(b)(c)に示すように、モータを回転させると、ガイド部材491は回動支持軸492を中心として揺動する。
ガイド部材491の右端には、揺動状況を検出する揺動検出センサ494が備えられている。ガイド部材491の右端には、揺動検出センサ494の検出対象となる揺動検出部499が取り付けられている。揺動検出センサ494は、ガイド部材491が略水平位置となった状態で揺動検出部499を検出する位置に配置されている。
揺動検出センサ494には、種々のセンサを利用可能であるが、本実施例ではフォトセンサを用いている。揺動検出センサ494は、揺動時に、ガイド部材491の一端に設けられた揺動検出部499が水平位置を通過し、揺動検出センサ494に入る光を遮ったことを検出することができる。ガイド部材491は、揺動させない状態ではフリーとすることも可能ではあるが、本実施例では、回動駆動手段493側を下げた状態、即ち図5(b)の状態で保持するものとした。図示は省略したが、ガイド部材491は、バネによって図5(b)の状態に付勢されている。
本実施例では、ステッピングモータを使用しているため、クランク部496は正逆いずれの方向にも回転可能である。モータを途中で正逆反転させることにより、ガイド部材491の可動範囲を小さくすることができる。例えば、図5(b)の左下がりの状態から、モータを回転させ、揺動検出センサ494によりガイド部材491が水平となったことが検出された時点で(図5(a)の状態)、モータを反転させれば、ガイド部材491は右下がり(図5(c)の状態)を経ることなく、再び左下がりの状態に戻る。本実施例では、後述する通り、大当たりが生じた時に、上述したモータの反転を行い、ガイド部材491の可動範囲を狭める制御を行っている。
図6は第一転動演出装置95での遊技球Bの動作を示す説明図である。説明の便宜上、反時計回りの揺動を正とし、時計回りの揺動を負として説明する。ガイド部材491が所定周期で揺動している状態で、転動面490に遊技球Bが供給されたとする。この時、例えばガイド部材491が図中右側に傾くと(図6(ア))、遊技球Bはガイド部材491の右端方向に転動する。
その後、ガイド部材491が正方向に揺動し、左側に傾くと(図6(イ))、遊技球Bの転動方向は左方向に変わる。但し、右側方向に転動している際の慣性力の影響があるため、遊技球Bの転動方向が左側に反転するのは、ガイド部材491の傾斜方向が変わった後、しばらく経ってからである。
以下、同様にして、ガイド部材491の揺動に応じ、遊技球Bは左右方向に転動しながら(図6(ウ)〜図6(カ))、ガイド部材491のいずれか一端に接近し、やがてガイド部材491の端部から放出される(同図(キ)参照)。ガイド部材491の揺動は、一定周期を保つ態様の他、周期を変動させたり、時々揺動を停止したりする態様を採っても良い。
A5.第三転動演出装置101の構造および動作:
図7は第三転動演出装置101の構造を示す説明図である。図7(a)には正面図を示し、図7(b)には回転部分の分解斜視図を示した。第三転動演出装置101は、第一転動演出装置95又は第二転動演出装置100から送られた遊技球を、大当り入賞口93又はハズレ入賞口94の何れかに振り分けて導くものである。
図7(b)に示す通り、第三転動演出装置101には回転体552が設けられている。回転体552は、回転体用モータ326によって回転軸553周りに回転駆動される。回転体552の回転位置は、回転検出部554によって検出される。
回転体の周囲には、遊技球を収容する複数の収容部550が複数配置されている。収容部550は、前方側と半径方向外側が開口したU字状の溝となっている。収容部550としては、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの短い第一収容部550aと、長い第二収容部550bおよび特定収容部の3種類が用意されている。第二収容部550bと第一収容部550aの長さの差は、遊技球の直径以上である。第一収容部550aは90°間隔で周方向に4つ配置されている。第二収容部550bは、第一収容部550aで挟まれた中間に3つ配置されている。
第1収容部550aで挟まれた残り1つの領域(図中の最下部の領域)の特定収容部には特定収容部550cが取り付けられる。特定収容部材550cを取り付けると、特定収容部は、回転体552の前後方向ともに開口しているが、半径方向には塞がれた形状となる。後述する通り、特定収容部材550cは遊技球を大当り入賞口93へと導くよう作用する。第一収容部550a、第二収容部550bは、共に遊技球をハズレ入賞口94へと導くよう作用する。
回転体552には、軸方向前方側に突出した突出部560が取り付けられる。突出部560の外周は、第二収容部550bおよび特定収容部の形状に合わせてU字状に窪んでいる。本実施例では、回転体552、突出部560、および特定収容部材550cは別部材としたが、これらを一体成形してもよい。
回転体552の背面側には、大当り入賞口93を有する大当り誘導部556が設けられている。大当り誘導部556には、大当り入賞口93に入球した遊技球を大当り入賞センサ330へ導くための通路が形成されている。
図7(a)に示す通り、第三転動演出装置101には仕切部561が設けられている。仕切部561は、遊技球が第一収容部550a、第二収容部550b、及び特定収容部のいずれにも入り得る第一収容領域と、第一収容部550aへの収容が妨げられる第二収容領域とを仕切る円環状の部材である。
仕切部561は、突出部560が嵌る挿通孔562が形成された円環状の仕切板564を有している。挿通孔562の周囲には、突出部560の外周の一部を覆う直立壁で構成された被覆部565が設けられている。挿通孔562の図中左側には、ガイド部材491からの遊技球を挿通孔562へ導く略L字形状の壁部566が、仕切板564に直立するように設けられている。仕切板564の下部には、第一収容部550aに相対する大きさで扇状の開口部563が設けられている。
仕切板564は、図7(b)に示したように、回転体552、突出部560および特定収容部材550cを組み付けた状態で、取り付けられる。この時、仕切板564は、突出部560の外周部分で回転体552に前方から蓋をしたような状態となる。この結果、仕切板564よりも前面側において突出部560の近傍に供給された遊技球は、第二収容部550bまたは特定収容部のいずれかにのみ収容されることになる。先に説明した通り、特定収容部は遊技球を大当り入賞口93へと導くよう作用するから、この場合は4分の1の確率で大当たりが出ることになる。一方、下部の開口部563に供給された遊技球は、第一収容部550a、第二収容部550b、または特定収容部のいずれかに収容されることになる。この場合は、8分の1の確率で大当たりが出ることになる。
ガイド部材491の右側端部の右斜め下には、放出された遊技球を受けるとともに、その動きを整流する第二整流手段500bが備えられている。第二整流手段500bは、キャラクタ体504のどんぶりを模して形成されており、上部が開放されたカップ形状となっている。遊技球は、第二整流手段500b内で渦巻状の軌跡を描いて旋回落下しながら整流され、第三転動演出装置101に送られる。この整流作用によって、ガイド部材491から第三転動演出装置101への遊技球の円滑な受け渡しが実現可能である。
図7(a)中に第四転動演出装置102の概略構成を併せて示した。第四転動演出装置102は、第二転動演出装置100で押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内するための機構である。第四転動演出装置102は、第二転動演出装置100側(以下、「上流側」と呼ぶこともある)から第三転動演出装置101側(以下、「下流側」と呼ぶこともある)へ緩く傾斜した案内面571を有している。案内面571の長さは、ガイド部材491と略同じである。案内面571の下流側先端には、第三転動演出装置101の開口部563の下縁に沿うようにして円弧状の揺動面572が設けられている。本実施例では、案内面571を滑らかな面としたものを示したが、案内面571に複数の凹凸を設けても良い。
図7(a)に基づいて、第三転動演出装置101の動作について説明する。まず、回転体552が、時計回りに所定速度で回転している状態で、ガイド部材491の右側端部から遊技球が放出されたとする。この遊技球は、第二整流手段500bを介して第三転動演出装置101に供給される。遊技球は、仕切部561によって第一収容部550aに入ることは妨げられるため、第二収容部550bまたは特定収容部のいずれかに収容される。遊技球は、当初は軸中心側に位置しているが、回転体552が90°以上回転すると、重力によって外周側に移動する。
第二転動演出装置100で押打された遊技球は、案内面571上を転動し、揺動面572上を左右に往復した後に、開口部563を経て、回転体552に備えられたいずれかの収容部550に収容される。
図8は収容部550内の遊技球の動きを示す説明図である。図8(a)は遊技球が特定収容部に収容され、最下端に位置している状態を示している。図8(b)は、この状態から回転体552が回転し、特定収容部が大当り入賞口93の開口位置に達した状態を示している。先に説明した通り、特定収容部の後方側は塞がれてはいない。従って、図8(b)の状態では、遊技球は大当り入賞口93に入球し、図中の矢印で示す通り、大当り誘導部556を通って大当り入賞センサ330に検出される。特定収容部は半径方向外側には開放されていないので、遊技球はハズレ入賞口94には入球し得ない。
図8(c)は特定収容部以外の収容部550に遊技球が収容された状態を示している。図8(d)は、この状態から回転体552が回転し、収容部550が筒状部558に開口するハズレ入賞口94に達した状態を示している。特定収容部以外の収容部550は半径方向に開放されているため、筒状部558および誘導部559からなるハズレ誘導部557を通ってハズレ入賞センサ329に検出される。特定収容部以外の収容部550は、後方側が開放されていないので、遊技球は大当り入賞口93には入球し得ない。
このように、第三転動演出装置101では、遊技球が特定収容部又はそれ以外の収容部550の何れに収容されるかに応じて、大当りまたはハズレが決定されることになる。つまり、本実施例では、大当たりか否かは、遊技球の動きに依存するところが大きい。従って、可変入賞装置91内に遊技球がある状態で、遊技機に加振すると、その影響によって大当たりが出やすくなるおそれがある。特に、ガイド部材491上で遊技球が転動している際の加振による影響が大きい。本実施例では、後述する通り、かかる行為を不正行為として報知するよう構成されている。
可変入賞装置91に入った遊技球は、上述の通り大当たり入賞口93またはハズレ入賞口94に入る。従って、大当り入賞センサ330およびハズレ入賞センサ329の出力を利用すれば、可変入賞装置91から排出される遊技球の数(以下、「排出球数」と呼ぶ)を計数することができる。先に説明した入球数と排出球数の差分を求めれば、可変入賞装置91内に残存する遊技球の数を知ることができる。本実施例では、可変入賞装置91は、内部に遊技球が残存していないことを条件として動作制御されることもある。本来、可変入賞装置91に遊技球が入賞した後、所定の時間が経過すれば、入球数と排出球数は整合するはずであるが、いずれかのセンサに異常が存在する場合や、大入賞口で遊技球が弾むなどして入球数として1つの遊技球が二重に数えられる場合などには、入球数と排出球数に不整合が生じることがある。本実施例では、後述する通り、このような不整合を検出し、異常報知することができる。
本実施例では、可変入賞装置91の非動作時には、ガイド部材491は、図3において左下がりの状態、つまり遊技球が第二転動演出装置100側に転がる向きに保持されている。また、可変入賞装置91は、通常モード、大入賞モードの2種類で駆動される。通常モードでは、可変入賞装置用入賞口92が1回または2回開閉するとともに、ガイド部材491は2周期分、揺動する。ただし、2周期の揺動が完了する前であっても、可変入賞装置内の遊技球が全て大当たり入賞口93またはハズレ入賞口94から排出されたことが検出されると、ガイド部材491が左下がりとなった時点で揺動は停止される。遊技球が速やかに排出された場合には、1周期で揺動が停止する場合もある。
大入賞モードは、大当たり入賞口93への入賞があった時に実行される動作モードである。このモードでは、可変入賞装置用入賞口92は最大18回まで連続して開閉する。ただし、この間に可変入賞装置91内に10個の入賞があれば開閉は停止する。この一連の動作を1ラウンドと称するものとする。大入賞モードでは、この動作が16ラウンドまで連続して実行される。この間、ガイド部材491は各ラウンドを速やかに消化し16ラウンド分の大入賞モードでの動作を速やかに終了させるため、入賞から排出されるまでの期間の短い第二転動演出装置100側へのルートを実現する状態、つまり左下がりの状態に保持される。ただし、本実施例では、後述する通り、ラウンド間のインターバルでガイド部材491を1回だけ揺動させるものとし、多量の遊技球が一方向に流れることで生じる球詰まりの解消を図っている。このインターバル中の揺動は、先に図5で説明した通り、ガイド部材491が左下がりの状態からほぼ水平となった時点でモータを反転させ、再び左下がりの状態に戻すという動作である。大入賞モードでの揺動では、ガイド部材491は通常モードの時のように完全に右下がりとなることはない。こうすることで、ガイド部材491上に残った遊技球はほぼ全て第二転動演出装置100側に転がる。
図9は可変入賞装置91のカバー580の構造を示す説明図である。先に説明した通り、本実施例では、可変入賞装置91の前面は全体が透明のカバー580で覆われている。図中では、第三転動演出装置101の近傍のみを示したが、カバー580は第二転動演出装置100も含めて可変入賞装置91の前面のほぼ全体を覆うものであり、可変入賞装置用入賞口92以外の部分から遊技球が可変入賞装置91内に入ることを防止する役割を果たす。本実施例では、可変入賞装置91と前面枠4の透明板5(図1参照)との間に隙間があるため、特にカバー580の必要性が高い。
カバー580には、係員が復旧作業時に遊技球を可変入賞装置91内に入れ込むための復旧孔590が設けられている。本実施例では、復旧孔590は、キャラクタ体504のどんぶりの部分に設けるものとした。図9に示すように、可変入賞装置91において、どんぶりの部分には、第二整流手段500bが設けられている。これは、カバー580とは別に設けられた内部構造である。カバー580には、この第二整流手段500bの外側をとりまくように、どんぶりの外形を模した凸部581が形成されており、この凸部の上面にあたる部分に、復旧孔590が設けられている。この位置に設けることにより、遊技機を正面から見ても、復旧孔590を全形を視認しづらくすることができ、復旧孔590を悪用した不正行為を抑制することができる。
図10は復旧孔590を示す斜視図である。図の煩雑化を避けるため、キャラクタ体のどんぶり近傍を拡大してカバー580の形状のみを示し、説明上、必要な範囲で内部構造を示した。図の破線部分にキャラクタ体504の顔がとりつけられることになる。
どんぶりの外形を模した凸部581は、カバー580の一部として構成されており、先に説明した通り、内部に設けられた第二整流手段500bの外側をとりまくように設けられている。凸部581の上面は開口している。この凸部581と、キャラクタ体のあごに沿うように形成された突出部582、583とで囲まれた部分(図中のハッチングを付した領域)が復旧孔590となる。
復旧孔590は、遊技球よりもやや小さい径の開口部であり、そのままでは遊技球は通過し得ない形状となっている。復旧作業時には、遊技球を係員が押し込むようにすると、第二整流手段500bが矢印Aに示すように下方に弾性変形し、遊技球が復旧孔を通過する。この遊技球は、遊技中に第二整流手段500bを通った遊技球と同様の通路で、第三転動演出装置101に送られる。
本実施例では、上述の通り、内部構造の弾性変形によって復旧孔590から遊技球を押し込み可能となっているため、押し込み時にカバー580を変形させる必要はない。従って、カバー580を十分な強度で形成することができ、カバー580の耐久性を向上させることができる。もっとも、カバー580を弾性変形させて遊技球を押し込み可能な構造とすることも可能である。また、本実施例では、復旧孔590をキャラクタ体504と同化させて設けるとともに、また遊技球が自然と通過できない形状、大きさとしているが、これらの特徴は必ずしも必要という訳ではなく、遊技機には、いずれか一方または双方に反する復旧孔を適用してもよい。
カバー580には、矢印Bに示すように、遊技中に遊技球が復旧孔590に衝突することを回避するためのガード584が設けられている。上述の通り、復旧孔590は遊技球が通過し得ない程度の大きさとしてあるが、遊技球の勢いや飛んでくる角度によっては偶然に通過する可能性がないとは言い切れない。本実施例では、ガード584を設けることにより、偶然に復旧孔590に遊技球が入り込む可能性を十分に抑えることができる。ガード584の形状は、図示したもの以外に任意に設定可能であることは当然である。
A6.制御用ハードウェア構成:
図11は実施例としての遊技機の制御用ハードウェア構成を示すブロック図である。本実施例では、遊技機は、主制御基板300、払出制御基板310、サブ制御基板350、表示制御基板373などの各制御基板の分散処理によって制御される。主制御基板300、払出制御基板310、サブ制御基板350は、それぞれ内部にCPU、RAM、ROMなどを備えたワンチップマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに記録されたプログラムに従って種々の制御処理を実現する。但し、CPUの処理能力は、サブ制御基板350および表示制御基板373の方が主制御基板300よりも高くなっている。こうすることにより、サブ制御基板350および表示制御基板373の処理能力が十分に確保されるため、主制御基板300の処理を比較的シンプルな判断処理およびコマンド出力などの負荷の軽い処理に制限することができる。表示制御基板373には、表示制御用のCPU、RAM、ROMおよび液晶ディスプレイ(LCD)374に表示する図柄を生成し、LCD374の各セルを駆動制御するVDP(Video Display Processor)が備えられている。
実施例の遊技機では、種々の不正を防止するため、主制御基板300への外部からの入力が制限されている。主制御基板300とサブ制御基板350とは4ビットのデータ線を有する単方向のパラレル電気信号で接続されており、主制御基板300と払出制御基板310とは、制御処理の必要上、双方向シリアル電気信号で接続されている。払出制御基板310、サブ制御基板350は、それぞれ主制御基板300からのコマンドに応じて動作する。表示制御基板373は、サブ制御基板350からのコマンドに応じて動作する。
主制御基板300には、入賞口96〜98への球の入賞を検出する入賞検出器301、可変入賞装置に設けられた揺動検出センサ494、および可変入賞装置に遊技球が入ったことを検出するカウントセンサ459、可変入賞装置から遊技球が排出されたことを検出するハズレ入賞センサ329、大当り入賞センサ330などの検出結果が入力されている。また、主制御基板300からは、可変入賞装置91の可変入賞装置用入賞口92を解放するためのソレノイド302の制御信号が出力される。図示を省略したが、可変入賞装置91のガイド部491の揺動も主制御基板300によって制御される。
遊技時におけるその他の制御は、払出制御基板310、サブ制御基板350を介して行われる。払出制御基板310は、遊技中の球の発射および払い出しを次の手順で制御する。球の発射は、直接的には発射制御基板312によって制御される。即ち、遊技者が、操作ハンドル32を操作すると、発射制御基板312は、発射モータ313を制御し、球を発射する。払出制御基板310は、発射制御基板312に対して、発射可否の制御信号を送出することで、間接的に球の発射を制御する。
遊技中に入賞した旨のコマンドを主制御基板300から受信すると、払出制御基板310は、払出しモータ315を制御し、球数をカウントしながら規定数の球を払い出す。払出制御基板310は、払出し用に貯えられた球の不足の有無を球切れスイッチ314によって検出し、不足時には、球不足の検出信号を、主制御基板300経由でサブ制御基板350に出力する。サブ制御基板350は、この信号を受けて、枠装飾ランプ376の所定の部位を点灯させる。
サブ制御基板350は、遊技中における音声、表示、ランプ点灯などの演出を制御する。これらの演出は、通常時、入賞時、大当たり時、エラー時など、遊技中のステータスに応じて変化する。主制御基板300から、各ステータスに応じた演出用のコマンドが送信されると、サブ制御基板350は、各コマンドに対応したプログラムを起動して、主制御基板300から指示された演出を実現する。また、サブ制御基板350は、後述する通り、可変入賞装置91の動作に異常があるか否かを判定する。異常が検出された場合には、枠装飾ランプ376やスピーカ351を用いて、異常を報知する。後述する通り、本実施例では、サブ制御基板350は、異常が発生した時の復旧方法の指示も表示する。この表示は、係員が異常時の復旧措置を行うために前面枠4を開いた時点で行われる。このタイミングでの表示を実現するため、サブ制御基板350には、前面枠4の開閉状態を検出する開閉センサ377の検出結果が入力されている。
本実施例では、図示する通り、サブ制御基板350はスピーカ351を直接制御する。スピーカ351は、複数接続されていてもよい。液晶表示装置(以下、「LCD」と呼ぶ)374は、表示制御基板373を介して制御する。サブ制御基板350の制御対象となるランプには、遊技盤面に設けられたパネル装飾ランプ372と、枠に設けられた枠装飾ランプ376がある。サブ制御基板350は、ランプ駆動基板370、およびランプ中継基板375を介して、これらのランプ372、376と接続されており、各ランプを個別に点滅させることができる。
ランプ駆動基板370には、感振センサ371およびラッチ371aが取り付けられている。感振センサ371の検出信号の立ち上がりおよび立ち下がりは、ラッチ371aに保持される。いずれか一方のみを保持するようにしてもよい。サブ制御基板350のCPUは加振の検知処理を行う際に、このラッチ371aの状態をサンプリングすることで、感振センサ371の検出結果を読み込む。CPUは、ラッチ371aの状態を読み込む度に、ラッチ371aをクリアする。CPUは、こうして読み込まれた検出信号に基づいて、不正な加振の有無を判断し、不正行為が行われたと判断された場合には、枠装飾ランプ376を点灯して報知する。
B.主制御処理:
図12は遊技機を制御する主制御処理のフローチャートである。電源投入後、主制御基板300が実行する処理を示した。電源が投入されると、主制御基板300は、まず電源投入時処理を実行する(ステップS100)。この処理は、遊技機の制御に使用されるメモリ等の初期化を行ったり、電源切断時の遊技機の動作状態のバックアップデータを読み込んだりして、遊技機を起動する処理である。
遊技機が起動すると、主制御基板300は、遊技のための制御を実行する。以下では、説明の便宜上、各処理がシーケンシャルに実行されるものとして示すが、主制御基板300は、これらの各処理を4msecなど所定のタイミングで割り込みをかけながら繰り返し実行している。
遊技中の処理として、主制御基板300は入賞判定処理を行う(ステップS200)。これは、始動入賞口96、97や可変入賞装置91への入賞をセンサで検出する処理である。これらの入賞が検出されると、主制御基板は、それに応じた演出コマンドをサブ制御基板350に出力し(ステップS300)、賞球の払出コマンドを払出制御基板310に出力する(ステップS400)。これらのコマンドに応じて、サブ制御基板350は表示や音声出力などの演出制御を実行し、払出制御基板310は賞球の払出しを実行することになる。
次に、主制御基板300は、可変入賞装置制御処理によって(ステップS500)、可変入賞装置91の動作を制御する。具体的には、大入賞口の開閉動作を制御するとともに、ガイド部材491の揺動を制御する。また、主制御基板300は、可変入賞装置91への入球数と排出球数の異常の有無を判定する異常判定処理も実行する(ステップS600)。これらの処理内容は、後で詳述する。
先に説明した通り、始動入賞口96、97への入賞は可変入賞装置91の動作を開始するトリガともなる。ただし、本実施例では、この機能は、始動入賞口96,97は、可変入賞装置91内に遊技球が残存していない期間においてのみ有効化される。遊技球が残存している間に、始動入賞口96、97への入賞があった場合、賞球は通常通り払い出されるものの、可変入賞装置91の大入賞口の開閉動作は行われない。つまり、払出コマンド出力時(ステップS400)は、通常の入賞があったものとして実行されるが、可変入賞装置制御処理(ステップS500)のトリガとしては、始動入賞口96、97への入賞は無効化されることになる。以下、有効化、無効化という用語は、可変入賞装置91の動作を開始するトリガとしての機能の有効/無効を意味するものとする。本実施例では、可変入賞装置の大入賞口が閉鎖し、可変入賞装置内に遊技球が残存していないことが確認された時点で始動入賞口は有効化される。大入賞口が閉鎖した後、所定時間経過しても遊技球が残存していると判断される場合には、エラーが報知される。このエラー判定をするための所定時間は、可変入賞装置の動作モードに応じて異なっており、大入賞モードの場合は、閉鎖してから7秒間、通常モードの場合は、閉鎖してから13秒間と設定されている。
主制御基板300は、上述の処理を繰り返し実行することによって、遊技者の操作に応じて遊技を進める。主制御処理は、図12に例示したものに限られず、更に他の処理を追加して実行するようにしてもよいし、図示した処理の一部を省略したり、一つの処理に併合したりしてもよい。
C.可変入賞装置制御処理:
図13は可変入賞装置制御処理のフローチャートである。始動入賞口96、97に入賞した際、および可変入賞装置91内の特定領域への入賞、つまり大当たりが生じた際に、主制御基板300が実行する処理を示した。
主制御基板300は、まず、既に大入賞口の開閉制御が行われているか(以下、単にこの制御を「解放」と呼ぶこともある)を判断する(ステップS502)。図12に示した制御処理を所定の割り込みタイミングで繰り返し実行する結果、可変入賞装置制御処理が実行される時点では、既に従前の処理によって大入賞口が解放されている場合もあるからである。
大入賞口が解放されていない場合には、主制御基板300は、従前の処理で大入賞口の開閉が終了(以下、この状態を「閉鎖」と呼ぶこともある)した後の経過時間を読み込み(ステップS504)、この経過時間に基づいて、大入賞口の開閉を開始するか否かを判定する。本実施例では、大入賞口の開閉の開始条件として2つの条件が設定されている。1つ目の条件は、規定のインターバルが経過していること、即ち、上述の経過時間が予め規定された値以上となることである。この規定値は、任意に設定可能であるが、本実施例では、大当たりが生じた時に遊技球がカウントセンサ459(図4参照)を通過するのに要する最大時間、即ち遊技球の入賞が検出されるのに要する最大時間に基づき、1.5秒と設定した。
2つめの条件は、最大ラウンド数以下であるという条件である。ラウンドとは、大当たりが生じた時の一連の解放制御を言う。本実施例では、大当たりが発生すると、大入賞口を最大18回、または遊技球が10個入賞するまで大入賞口が連続して開閉する。この一連の開閉動作が1ラウンドである。大当たり発生時には、この開閉動作が所定のインターバルをはさんで16ラウンド連続して実行される。つまり、本実施例では、最大ラウンド数は16回となる。連続のラウンド数が16ラウンドを超える場合には、開始条件を満足しなくなり、以後の解放制御は行われなくなる。連続のラウンド数は、例えば、大入賞口が閉鎖した後、所定時間が経過した時点でリセットしたり、大入賞口が閉鎖した後、始動入賞口への入賞によってラウンドが開始される時点でリセットしたりすればよい。
以上の開始条件を満足しない場合には(ステップS508)、主制御基板300は何も制御を行わずに、可変入賞装置制御処理を終了する。開始条件を満足する場合には(ステップS510)、可変入賞装置91の作動開始を知らせるための作動コマンドをサブ制御基板に送信する(ステップS510)。サブ制御基板350は、このコマンドを受信すると、ガイド部材95の揺動を監視する処理を開始する。この処理内容については後述する。
主制御基板300は、次に、可変入賞装置91の動作モードを設定し、その動作モードでの動作を実行させる(ステップS512)。可変入賞装置制御処理を開始した時点で、既に大入賞口解放中である場合も同様である(ステップS502)。先に説明した通り、本実施例では、可変入賞装置91は、通常モード、大入賞モードの2種類で駆動される。通常モードでは、主制御基板300は、始動入賞口96への入賞時には0.4秒間の解放を1回行い、始動入賞口97への入賞時には0.4秒間の解放を、0.4秒のインターバルで2回、実行する。また、これらの解放と併せてガイド部材491を2周期分、揺動させる。ただし、この揺動中に、可変入賞装置91から遊技球が全て排出されたことが検出されると、主制御基板300はガイド部材491が左下がりの姿勢になった時点で揺動を直ちに停止する。こうすることで遊技をスピーディに進めることが可能となるからである。大入賞モードでは、主制御基板300は、可変入賞装置用入賞口92を最大18回、または10個の入賞があるまで開閉させる。また、ガイド部材491は、原則として左下がりの状態に保持しておく。
これらの制御中に、主制御基板300は、ガイド部材491の揺動を揺動検出センサ494で検出し、その信号をサブ制御基板350に送信する(ステップS514)。この信号は、サブ制御基板350におけるガイド部材491の揺動監視に使用される。
次に、主制御基板300は、大入賞口を閉鎖するか否かを判断する(ステップS516)。本実施例では、上述の通り、規定された回数の解放、または10個の入賞が完了することが閉鎖条件となる。閉鎖条件を満たす場合には、主制御基板300は、大入賞口を閉鎖する(ステップS518)。また、可変入賞装置91が大入賞モードで動作していた場合には、間欠揺動処理を実行する(ステップS520)。閉鎖条件を満足しない場合には、これらの処理はスキップされる。
間欠揺動処理とは、大入賞口が閉鎖してから、所定時間経過した後に、ガイド部材491を揺動させる処理である。大入賞モードでは、ガイド部材491は左下がりの状態に保持されており、可変入賞装置91に入った多数の遊技球が一方向に流されることになるため、球詰まりが生じるおそれがある。間欠揺動処理は、ガイド部材491を揺動させることにより、こうした球詰まりの障害の解消を図る処理である。本実施例では、大入賞口が閉鎖してから2秒経過した時点で揺動を開始するものとした。この待ち時間は、可変入賞装置91に入賞した遊技球がガイド部材491に到達するのに通常、要する時間に若干の余裕を見込んで設定されている。このように設定することにより、ガイド部材491を正常に通過する遊技球の流れを阻害することなく、揺動を行うことが可能となる。先に図5等で説明した通り、本実施例では、間欠揺動処理における揺動は、ガイド部材491が完全に右下がりの状態とはならないよう、可動範囲を狭めた状態で行われる。上述の待ち時間は任意に設定可能ではあるが、長い時間に設定すると、解放が数ラウンド連続して発生する場合には、インターバルが長くなり、遊技の流れを阻害するおそれがある。同様の趣旨から、揺動の回数も1回に抑えておくことが好ましい。
D.揺動異常判定処理:
図14は揺動異常判定処理のフローチャートである。可変入賞装置91のガイド部材491の揺動の異常を検知および報知するための処理であり、可変入賞装置制御処理(図13)において主制御基板300から送信される信号に基づきサブ制御基板350が実行する処理である。この処理では、サブ制御基板350は、主制御基板300から送信された作動コマンド(図13のステップS510参照)に応じて、揺動の監視を開始する(ステップS530)。サブ制御基板350は、引き続き、主制御基板300から送信される揺動検出結果を受信する(ステップS531)。本実施例では、先に説明した通り、主制御基板300からサブ制御基板350へは単方向の通信しか行えない。従って、サブ制御基板350は、上述の検出結果に対して、アクノリッジを返信することはない。また、サブ制御基板350から、主制御基板300に、揺動の検出が終了したか否かを問い合わせることはできないため、サブ制御基板350は所定時間T3の期間のみ、上述の検出結果の受付を行う(ステップS532)。所定時間T3を経過すると、サブ制御基板350は次の処理に移行する。本実施例では、所定時間T3は、3秒間としたが、他の設定も可能である。
次に、サブ制御基板350は、主制御基板300から受信した信号に基づいて揺動異常判定を行う(ステップS533)。本実施例では、始動入賞口96,97への入賞時には、ガイド部材491が1回または2回揺動する。従って、揺動が正確に行われている場合には、揺動検出センサ494は、ガイド部材491の端部の通過を2回または4回検出するはずである。ただし、先に説明した通り、遊技球が速く可変入賞装置を通過した場合には、本来2回なされるべき揺動が1回で終了することもある。従って、本実施例では、サブ制御基板350が2回以上の揺動検出結果を受信した場合には、異常なしと判定し、その他の場合には異常有りと判定する。ただし、異常判定の方法は、これに限定されるものではなく、例えば、1回でも揺動検出結果を受信したら、異常なしと判定するようにしてもよい。また、本実施例においては、ガイド部材491が図5の右下がりの状態、即ち大当り入賞口93に遊技球が入賞しやすい状態で、ガイド部材491の揺動が停止することを回避できればよいという観点から、ガイド部材491が右下がりから水平または左下がりの状態に移行したことが検出された場合に異常なしと判定するようにしてもよい。逆に、ガイド部材491が右下がりで停止していることが検出された場合に、異常ありと判定するようにしてもよい。
サブ制御基板350は、異常有りと判定した場合には(ステップS534)、異常報知処理を行う(ステップS535)。異常報知は種々の態様を採ることができるが、本実施例では、揺動に異常を検出した場合には、ビープ音を30秒鳴らし、枠装飾ランプ376を5分間点灯するようにした。ビープ音を非常に短い時間にとどめて補助的な報知方法として使用することにより、遊技者に煩わしさを感じさせないよう抑制し、また、遊技者が不正を行ったかのような印象を他の遊技者に与えないよう配慮した。異常報知処理は、上述の態様に限らず、種々の態様を採ることが可能である。
以上で説明した実施例の遊技機によれば、揺動する振分機構として機能するガイド部材491によって、大当たりが生じる可能性が大きく影響を受けるタイプの遊技機において、振分機構の動作の異常の有無を検出することができる。この結果、振分機構の動作異常によって不公正な遊技が行われる可能性を抑制することができる。
E.異常判定処理:
図15は異常判定処理のフローチャートである。主制御処理(図12)のステップS600で示した処理であり、主制御基板300が可変入賞装置91への入球数と排出球数の整合/不整合を監視し、その結果に基づいて異常の有無を判定するための処理である。
本実施例では、主制御基板300は、大入賞口が閉鎖した後、所定の待ち時間Tw経過した時点で、異常判定処理を開始する(ステップS602、S604)。大入賞口が解放中、または待ち時間Twを経過する前は、主制御基板300は、異常判定を行わずに、この処理を終了する(ステップS602、S604)。待ち時間Twは本実施例では1.5秒に設定したが、0秒を含む任意の値に設定可能である。また、ステップS602、S604を省略し、大入賞口の解放中も含めて、常に異常判定処理を行うようにしてもよい。
上述の条件を満足し、異常判定処理を開始する場合、主制御基板300は、大入賞口の解放開始からの入球数および排出球数を検出する(ステップS606)。これらは、それぞれカウントセンサ459、大当たり入賞センサ330、およびハズレ入賞センサ329によって検出される。主制御基板300は、入級数と排出球数を比較し(ステップS608)、両者が整合している場合には、そのまま異常判定処理を終了する。比較結果を「整合フラグ」の形で出力するようにしてもよい。整合フラグとは、入球過多、即ち入球数が排出球数よりも多い状態を表すためのフラグである。このような整合フラグを用いる場合、主制御基板300は、入球数と排出球数が整合している時は、整合フラグをリセットしてから(ステップS610)、異常判定処理を終了すればよい。この整合フラグは、可変入賞装置制御処理(図13参照)において利用可能である。整合フラグを利用した可変入賞制御処理は、変形例として後で示す。
入球数と排出球数の比較の結果、排出過多、即ち入球数よりも排出球数が多い場合(ステップS608)、主制御基板300は、整合フラグをリセットし(ステップS620)、排出過多の履歴を更新する(ステップS622)。整合フラグを他の処理で利用しない場合には、ステップS620の処理は省略してもよい。排出過多の履歴とは、電源投入後に排出過多が生じた累計回数であり、ステップS622ではこの累計回数を1ずつ増加させることになる。入球過多は可変入賞装置91内に遊技球が残存している可能性があることを表しているため、ガイド部材491の揺動、大入賞口の開閉、始動入賞口の無効化など、種々の面で制御上の問題を生じるおそれがあるのに対し、排出過多はこのような支障を招くおそれが少ない。従って、本実施例では、排出過多が生じたとしても、直ちにエラーと扱うのではなく、規定の回数以上、生じた場合にのみエラーとして扱うものとした。排出過多履歴は、この判断を行うために利用される。
主制御基板300は、この履歴に基づいて得られる排出過多の累計回数が所定値N1以上となる時は、異常発生と判定して、サブ制御基板350に異常コマンドを送信する(ステップS640)。異常コマンドは、サブ制御基板350に異常報知を行わせるためのコマンドである。異常コマンドに応じたサブ制御基板350の処理については後述する。主制御基板300は、累計回数が所定値N1より小さい場合には、異常ではないと判断して、そのまま異常判定処理を終了する。異常有無の判断基準となる所定値N1は排出過多を異常の一種としてどれだけ重視するかに応じて任意に設定可能である。N1を1とすれば、排出過多が生じた時点で異常と判断されることになる。
入球数と排出球数の比較の結果、入球過多となっている場合(ステップS608)、主制御基板300は、整合フラグを設定する(ステップS630)。整合フラグを利用しない場合は、この処理は省略してもよい。次に、主制御基板300は、入球過多の状態が7秒継続しているか否かを判断する(ステップS632)。7秒経過していない場合には、再び入球数、排出球数の検出以降の処理を繰り返す(ステップS606)。7秒を経過している場合、可変入賞装置91が大入賞モードで動作している時には(ステップS634)、異常発生と判断して、異常コマンドを送信する(ステップS640)。通常モードで動作している時には(ステップS634)、判断基準となる時間を延長し、13秒が経過している時に異常発生を判断する(ステップS636)。通常モードでは13秒が経過するまでは異常と判断されず、入球数および排出球数以降の処理が繰り返し行われることになる。本実施例では、7秒経過した時点で、動作モードを確認する処理としているが(ステップS634)、予め判断基準となる時間を動作モードに応じて設定しておくようにしてもよい。
図15では、説明の便宜上、入球過多に基づく異常判定として、異常判定処理内で7秒または13秒の判定期間が経過するまで監視する処理例を示した。この判定処理は、異常判定処理を繰り返し実行する中で、いわゆるウォッチドッグタイマを用いて判断することができる。後者の態様では、主制御基板300は、入球過多が生じた時点で計時を開始する。そして、主制御基板300は、ステップS632またはステップS636を判断する際に7秒または13秒という規定の時間が経過していなければ、異常なしと判断して一旦、異常判定処理を終了する。ただし、この場合でも計時は継続して行われる。従って、入球過多が継続して生じている場合には、異常判定処理を繰り返し実行していくと、ステップS632、S636で7秒または13秒を経過していると判断される状態が生じ、異常発生と判断されることになる。異常判定処理を繰り返し実行していく中で、入球数と排出球数が整合したり、排出過多の状態が生じたりすれば、その時点で主制御基板300は上述の計時をリセットする。このような処理方法を採ることにより、異常判定処理内で7秒または13秒の経過を継続的に監視するまでなく、異常発生の有無を判断することが可能となる。
図16は異常判定処理における判定期間の切り換えによる効果を示す説明図である。始動入賞口、可変入賞装置の動作状態等を横軸に時間をとって示したものである。図中の黒丸b1は始動入賞口に遊技球が入賞した時点を表している。この入賞によって、可変入賞装置が作動を開始するため、可変入賞装置を解放させるトリガとしての始動入賞口の機能は無効化される。始動入賞口の「OFF」は、この無効化を表している。始動入賞口が無効化されている間は、白丸b2〜b5に示すように、遊技球が入賞したとしても賞球の払出しがなされるだけであり、可変入賞装置の動作とは無関係となる。
可変入賞装置はONとなると、通常モードおよび大入賞モードのそれぞれで一定期間、大入賞口の開閉動作、ガイド部材491の揺動動作を行う。この間に、遊技球b11が入賞したとする。この遊技球b11は、可変入賞装置内を通過し、入賞から一定時間経過した後に排出される。入球から排出までに要する時間は、可変入賞装置の動作によって異なる。大入賞モードでは、ガイド部材491の姿勢が揺動せずに一定の状態に保持されているため、遊技球は速やかに排出される。図中の時間t1は、この状態での排出の様子を模式的に示している。通常モードでは、ガイド部材491が揺動することによって、ガイド部材491および第三転動演出装置101に遊技球がしばらく保持されることがあるため、時間t1よりも長い時間t2かけて排出される。もっとも、排出までに要する時間t1,t2は各モードで厳密に一定値となっている訳ではなく、遊技球が入球するタイミング等に応じてばらつきがある。ここでは、時間t1,t2は各モードでの最大値を表している。本実施例の場合、大入賞モードでは、第二転動演出装置100から排出されるケースに基づき、時間t1は7秒とされている。通常モードでは、ガイド部材491から第三転動演出装置101に保持されるケースに基づき、時間t2は13秒とされている。
可変入賞装置が閉鎖した後、遊技球が完全に排出され、可変入賞装置内に残存しなくなると、始動入賞口が有効化される。この所定期間は、動作モードによって相違しており、大入賞モードの場合は7秒間、通常モードの場合は13秒間となっている。有効化された後、始動入賞口への入賞があれば、再び可変入賞装置は解放されることになる。可変入賞装置が閉鎖する直前の瞬間に遊技球が入賞したとすれば、大入賞モード終了後に再び解放するまでの時間ITsは7秒となり、通常モード終了後に再び解放するまでの時間ITnは13秒となる。
図の下段に、可変入賞装置の入球数と排出球数の差違を示した。通常モードでは、遊技球b11が入球してから、時間t2後に排出されるまでの間、差違は1となり、排出されると差違は0となる。大入賞モードでは、遊技球b11が入球してから、時間t1後に排出されるまでの間、差違は1となり、排出されると差違は0となる。
可変入賞装置が一定の解放期間を経過した後、閉鎖される直前の時刻t11に遊技球b12が入球したとする。この遊技球b12は、図示する通り、各モードに応じて時刻t12または時刻t13に排出される。入球数と排出球数の差違は、通常モードでは時刻t13まで値1となり、大入賞モードでは時刻t12まで値1となる。
以上で説明した時間関係の下で、異常判定がなされるまでの判定期間について考える。通常モードの場合は、図15で示した通り、判定期間を13秒と設定している。従って、下段に示すように、時刻t11に遊技球が入賞した場合、正常時に排出されるはずの時刻t13以降の時刻Enに異常判断がなされる。図中では、異常判断がなされるまでの判定期間を13秒に若干余裕を見込んだ状態で示した。一方、大入賞モードでは、本来であれば、始動入賞口は大入賞口の閉鎖後7秒経過した時刻t12で遊技球は排出されるはずである。従って、本実施例では、大入賞モードでは判定期間を7秒に縮め、異常判定を早期に実行可能としている。
F.異常情報提示処理:
図17は異常情報例示処理のフローチャートである。主制御基板300が異常判定処理において異常コマンドを送信した場合に(図15のステップS640参照)、このコマンドを受けてサブ制御基板350が実行する処理である。この処理では、サブ制御基板350は、異常コマンドを受信すると(ステップS700)、演出表示装置115(図3参照)にエラー表示を行う(ステップS702)。図中にエラー表示画面例DISP1を示した。この画面では、単に「エラー!係員をお呼びください」という表示がなされ、エラーの内容についての表示や復旧方法の指示はなされない。サブ制御基板350は、このエラー表示とともに異常報知処理を行う(ステップS704)。例えば、係員に異常を知らせるためのランプを点灯したり、エラーを報知するための報知音を出す処理とすることができる。
サブ制御基板350は、この状態で、処置がなされるのを待ち、係員が前面枠4を開くと(ステップS706)、演出表示装置115の表示内容を、エラー表示から復旧指示の表示に切り換える(ステップS708)。図中に復旧指示の表示画面例DISP2を示した。この例では、エラーの原因が「入球過多」である旨、および復旧するためには、復旧孔から2個、遊技球を入れれば良い旨が表示されている。係員は、この表示を参照することにより、容易に復旧処理を行うことができる。
本実施例では、このように係員が来るまで、エラーの原因および復旧方法を秘匿しておくことにより、復旧孔が不正に使用される可能性を抑制している。同様の趣旨から、エラー原因および復旧方法を遊技者が解し得ないエラーコードの形で表示するようにしてもよい。例えば、表示画面例DISP2に代えて、入球過多であることを示す記号と数字2を組み合わせ、「E002」などのコードとすることができる。もっとも、図示した異常情報提示処理は、一例に過ぎず、ステップS702の時点で、当初から表示画面例DISP2を表示する態様を採っても差し支えない。
以上で説明した実施例のパチンコ機によれば、可変入賞装置への遊技球の入球数および排出球数を監視することにより、入球過多の状態が継続する異常状態を検出することができる。この時、異常状態への対処方法として可変入賞装置内に入れるべき遊技球の数が指示されるため、係員は容易に復旧作業を行うことができる。
また、本実施例では、異常判定を行う際の判定期間を可変入賞装置の動作モードに応じて切り換える。こうすることにより、それぞれの動作モードで速やかに異常判定処理を行うことができる。
更に、本実施例では、大入賞モードで可変入賞装置内のガイド部材491を一定の姿勢に保持する場合でも、大入賞口の解放動作のインターバルの間に間欠的にガイド部材491を揺動させることができ、遊技球の球詰まりなどの支障が発生することを抑制できる。もっとも、本実施例で例示したこれらの特徴は必ずしも全てを備えている必要はなく、その一部を省略しても差し支えない。
G.変形例:
(1) 図18は変形例としての可変入賞装置制御処理のフローチャートである。変形例では、実施例の異常判定処理(図15)で示した整合フラグを利用する場合について説明する。
主制御基板300は、大入賞口が閉鎖中に、異常判定処理で設定された整合フラグを読み込み(ステップS504a)、大入賞口の解放動作の開始条件を判定する(ステップS506a)。変形例では、開始条件として入球過多でないことを含める。先に説明した通り、整合フラグは、可変入賞装置が入球過多の状態となっていることを表すフラグである。従って、整合フラグが設定されている時は入球過多であることになる、開始条件は満たされない。整合フラグがリセットされている時は、入球数と排出球数が整合している状態、または排出過多の状態であるため、開始条件は満たされる。このように整合フラグを用いることにより、主制御基板300は可変入賞装置制御処理で、開始条件を容易に判定することが可能となる。ステップS506aの処理は整合フラグを用いずに行うことも可能であり、主制御基板300が入球数および排出球数を読込み、両者を比較して入球過多となっているか否かを判定する方法を採っても良い。
2つめの開始条件は、連続のラウンド数が最大ラウンド数以下となっていることである。この条件は、実施例(図13)と同じであるため、説明を省略する。以上の処理で、可変入賞装置を解放するか否かが決定された後(ステップS508)の処理は、実施例(図13)と同様である。
図19は変形例としての異常判定処理のフローチャートである。図18の可変入賞制御処理が実行されているものとして、この処理について説明する。変形例の異常判定処理は、入球過多の処理内容が相違するのみであり、その他の処理は、実施例と同じである。図19のフローチャートでも、入球過多の処理(ステップS630〜S632a)以外については、図示を省略した部分もある。
入球過多が生じている場合、変形例では、整合フラグを設定した後(ステップS630)、サブ制御基板350に対して不整合表示コマンドを送信する(ステップS631)。不整合表示コマンドには、入球数と排出球数との差違が含まれる。図の右側に、このコマンドを受けて、サブ制御基板350が演出表示装置115に表示する画面例DISP11を示した。変形例では、遊技中の画面(中央のハッチングを付した領域)を表示するとともに、画面の隅の領域Aに、入球数と排出球数との差違を表示する。図の例では、入球数が3個多くなっていることを示している。この差違は、遊技中に変動するため、これに応じて、画面DISP11の表示も変動する。可変入賞装置が正常に動作している時は、遊技球が大入賞口に入賞してしばらくの間は領域Aに差違の表示が行われ、遊技球が排出された時点で表示が消えることになる。
次に、サブ制御基板350は、入球過多の状態で規定の判定期間を経過したか否かを判断する(ステップS632a)。判定期間を経過していない時は、入球数と排出級数の比較(ステップS608)以降の処理を繰り返し実行する。判定期間を経過している時は異常コマンドをサブ制御基板350に送信する。実施例と同様、これらの判定は、ウォッチドッグタイマを利用した方法で行うことが可能である。
実施例と異なり、変形例では、動作モードによらずに、上述の判定期間を一定値とすることができる。判定期間は、通常モードに基づいて設定することが好ましい。更に多数の動作モードが用意されている場合には、可変入賞装置内を遊技球が通過するのに要する最大時間に合わせて設定することが好ましい。変形例によれば、動作モードの検出を省略可能となるため、異常判定処理を簡略化することができる利点がある。もっとも、変形例においても、実施例と同様、判定期間を可変入賞装置の動作モードに応じて切り換えるようにしてもよい。
図19には、ステップS640で異常コマンドが送信された場合の表示画面例DISP12を示した。入球過多は解消されていないため、領域Aに入球数と排出球数との差違が表示されている。図中の例では、差違は2個である。表示画面DISP12の中央には、エラー表示はなされるが、エラーの原因や復旧方法は表示されない。しかし、係員は領域Aの表示を見ることにより、2個の遊技球を復旧孔から入れ込めば復旧することを知ることができる。このように、変形例では演出表示装置115の一部に、入球過多の状況を常に表示しておくことにより、前面枠4の開閉に応じて表示内容を切り換えるなどの複雑な処理をするまでなく、係員に復旧方法を知らせることが可能となる利点がある。変形例の異常判定処理で示した画面表示例DISP12は、実施例で用いることも可能である。
(2) 以上で説明した実施例および変形例では、大入賞モード時でも、ラウンドごとに異常判定を行う場合を例示した。これに対し、大入賞モードでの異常判定は、連続して行われる一連のラウンドが終了した時点、つまり、本実施例では、16ラウンドが終了した時点でのみ行うようにしてもよい。例えば、異常判定処理(図15参照)のステップS602、S604などにおいて、「全ラウンド終了か?」という判断を追加し、全ラウンド終了でない場合には、そのまま異常判定処理を終了させるようにすればよい。
変形例(2)の処理には、次に示す利点がある。大入賞時には、可変入賞装置内に多数の遊技球が入賞する。従って、球詰まりなどにより、一時的に入球数と排出球数の不整合が生じたとしても、後から入賞してくる遊技球やインターバル時の間欠揺動処理によって球詰まりが容易に解消されることもある。大入賞モードで、ラウンドごとに異常判定を行うと、一時的な球詰まりが生じた場合には不整合が解消するまでは次のラウンドに進めない事態が生じ、ラウンド間のインターバルが不規則に変動するおそれがある。遊技者は、一定のインターバルで可変入賞装置の開閉動作が行われるものと推測して遊技球を発射するため、インターバルが不規則に変動すると、見込み違いによって遊技球を無駄に発射してしまい、円滑な遊技を阻害するおそれがある。最終ラウンドの時点でのみ異常判定を行う態様によれば、異常判定処理の処理を簡略化しつつ、こうした弊害を回避することができる。
上述の変形例(2)では、最終ラウンド以外のラウンドでは異常判定を行わない処理を例示した。これに対し、各ラウンドで入球数と排出球数の整合/不整合は判定するが、仮に不整合が生じていたとしても無視して次のラウンドに進むという態様で変形例(2)の処理を実現してもよい。この場合には、例えば、最終ラウンド以外のラウンドでも、入球過多が所定数以上に達した場合には、深刻なエラーが生じていると判断し、異常を報知するようにしてもよい。また、カウントセンサ459が遊技球を途切れなく検出し続けている状態になるなど、異常な信号が出力されている場合には、カウントセンサ459の部位で遊技球が詰まっていると判断し、異常を報知するようにしてもよい。
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。本実施例では、可変入賞装置として、ガイド部材491が揺動するタイプを例示したが、本発明はこの他、種々の動作を行う可変入賞装置を備える遊技機に適用可能である。また、実施例において、ソフトウェアによって実現されている各処理は、ハードウェア的に実現することも可能である。