JP2005270586A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 始動入賞による演出効果を高める。
【解決手段】 パチンコ機1の遊技領域内には、羽根部材となる可動片の開放時に入賞可能となるセンター役物6が設けられている。センター役物6内には液晶表示器が配置されており、始動口12,14等に入賞すると、この液晶表示器を用いて画像による演出を効果的に行うことができる。また、パチンコ機1の枠体にはスピーカ装置が内蔵されており、そこからの音響出力によって演出効果がさらに高めされる。また、液晶表示器の側方にキャラクタ体等の可動物が設置されているので、画像表示に合わせてキャラクタ体を作動させるといった興趣性の高い演出を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、遊技の進行状況に応じて演出を実施することができる遊技機に関する。
この種の遊技機に関する従来例として、例えば図柄表示器を備えた遊技機が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。この従来例の遊技機では、遊技の進行に伴って始動口への入賞が発生すると、この事象に呼応して図柄表示器による図柄の変動表示を演出的に実施するものとしている。図柄表示器に表示される図柄には複数の種類があり、これら図柄の変動が停止したとき、所定の図柄表示態様(例えば同種の図柄が3つ揃った状態)で表示されると遊技者に特典が与えられる。
このとき、変動の停止時に表示するべき図柄は制御データによって図柄表示器に指示されているが、この制御データにノイズ等の影響が介入すると、最終的に停止状態で表示される図柄と目標とする停止図柄とが食い違い、実際に表示された図柄の組み合わせと遊技機の挙動とが合致しないといった不具合を生じる。このため従来例の遊技機では、予め決められたスケジューラデータにしたがって図柄の変動パターンを制御し、例えば変動開始から変動停止までの間に、途中で図柄表示器に表示されている図柄を目標停止図柄に差し替える処理が行われている。これにより、最終的に図柄が停止されたときに目標停止図柄が正しく表示されるので、上記の食い違いによる不具合が解消されるものとなっている。
特開2001−204919号公報(第2−3,7頁、図6)
従来例の遊技機は、遊技中に発生する事象として始動入賞口への入賞を主に想定したものであり、そのうち1回の入賞という事象に対しては、1通り図柄の変動開始から変動後の停止表示を行うまでが演出動作の内容として対応付けられている。このため、図柄の変動中に始動口への入賞が次々と発生した場合は、その事実を保留してある程度溜めておき、あとは溜まった順番に図柄の変動開始から停止表示までの1通りの演出動作を消化していくだけでよいことから、上記のようなスケジューラデータを用いた演出動作の制御手法が好適する。
これに対し、遊技中に発生する事象として複数種類のものが想定されている場合、それぞれ事象ごとに異なった内容の演出動作(効果音・演出表示等)が用意されていることから、通常は、各事象が発生するとその都度、演出動作の切り替えを行う制御手法(例えば、事象が発生することに効果音を出力する等)が用いられる。
このような手法は、その時々でどのような事象が発生しているかを演出動作の切り替えによって遊技者が理解しやすい反面、ややもすると単調でつまらない演出になりかねない。特に、複数種類の事象について個々にその重要度が異なっている(例えば、大当りの期待感が高い事象とそれほど高くない事象がある等)場合は、より重要度の高い事象に対応した演出の方に遊技者の注意を向けさせるほうが興趣は高まると考えられるものの、次に事象が生じただけで演出動作を切り替えてしまうと、せっかくそれまで行っていた演出が台無しとなってしまうおそれがある。
そこで本発明は、遊技中に発生する事象にあわせて適切な演出動作を行うことができる制御技術を提供しようとするものである。
(解決手段1)
本発明の遊技機は、遊技の進行状況に応じて発生する複数の事象をそれぞれ検出する事象検出手段と、事象検出手段による検出結果を契機として所定の演出動作を実行する演出手段と、複数の事象について個々に演出手段による演出動作の内容を設定し、かつ、個々の演出動作に優先順位および有効期間を付与する設定手段と、遊技の進行に伴っていずれかの事象が発生し、この事象が事象検出手段により1次事象として検出された場合、1次事象について設定手段により設定された内容にしたがって演出手段に演出動作を実行させる演出制御手段とを備えたものである。
さらに上記の演出制御手段は、演出手段が現在実行中にある演出動作の有効期間内に事象検出手段によって次の2次事象が検出された場合、この2次事象について設定手段により設定された演出動作の優先順位と、現在実行中にある演出動作の優先順位とを比較した結果に基づいて演出手段に実行させるべき演出動作を決定するものとなっている。
例えば、遊技の進行に伴って各種の事象が発生していく場合、それぞれの事象について予め演出動作の内容が設定されていることは通常みられる態様であるが、本発明ではそれに優先順位と有効期間とが付与されている。この有効期間は、1つの演出動作(例えば一連の画像の表示、効果音の出力等)を一通り実行するために設けられた期間としての意味合いを持つものであり、その有効期間内に次の事象が発生していなければ、基本的に現在実行中の演出動作が継続される。
一方、各種の事象が次々と発生し、先に発生した1次事象に対応して演出動作が実行されている途中で、次の2次事象(同種であるか異種であるかを問わない)が重なって発生した場合には、それぞれの演出動作の優先順位を比較することで、いずれの演出動作を優先して実行するかを容易に決定することができる。これにより、複数の演出動作が円滑に交通整理されながら整然と実行されるので、遊技者からみて不自然な演出が行われたり、遊技者に違和感を覚えさせたりすることがない。
なお、上記の「有効期間」の長さは、1つの演出動作の実行(開始から終了まで)に要する時間を定めるものとは限らない。したがって、1つの演出動作について有効期間が終了しても、次の事象が発生するまでの間は優先順位の判断が行われることなく、それまでの演出動作が実行された状態で保持される。これにより、1つ1つの演出動作に切れ目が生じなくなるので、遊技中に演出動作が途切れる事態が回避される。
(解決手段2)
上記の解決手段1において、演出制御手段は、2次事象について設定された演出動作の優先順位が1次事象について設定された演出動作の優先順位と同等以上である場合、2次事象について設定された演出動作の内容にしたがって演出手段に演出動作を実行させることができる。
この場合、例えば遊技者に対して特に訴求力の強い演出動作(例えば入賞の期待感を高める内容)が実行されている場合、この演出動作について優先順位を比較的高く設定しておくことで、その有効期間内に別の演出動作が候補としてあげられたとしても、優先順位が低いものは受け付けられないので、引き続き優先順位の高い演出動作が継続されることになる。
(解決手段3)
より好ましくは、上記の解決手段1,2において設定手段は、各事象に対応して遊技者が特典を得られる可能性の大きさを基準として、演出動作の優先順位の高さを設定している。
この場合、特典(例えば大当り等)を得られる可能性がより大きい(高い)事象に関するものほど、その演出動作の優先順位が高く設定されるので、遊技中に複数種類の事象が続いて発生した場合であっても、遊技者がより期待感を高揚させる事象の演出動作を優先して実行することができる。これにより、遊技者は自己が特典を得る可能性が高まっていることを演出動作によって認識し、強い期待感をもって遊技を行うことができる。
(解決手段4)
あるいは、上記の解決手段1,2において設定手段は、各事象の発生を契機として遊技者に与えられる可能性のある特典の大小差に基づき、演出動作の優先順位に高低差を設定することができる。
ここで「特典の大小差」とは、各種特典の内容に応じて遊技者が受ける利益の大きさの違いを意味し、その利益の大きさを測る尺度として、例えば1つの特典に対応して獲得できる賞球数(出玉数)が挙げられる。すなわち、大当り遊技への移行を内容とする特典であれば、それに対応して獲得できる出玉数は比較的多いため、それだけ遊技者が受ける利益は大きい。逆に、1回について規定個数(例えば5個)の賞球払出が行われるといった内容の特典(例えば遊技球の入賞)であれば、それによって遊技者が受ける利益は比較的小さい。
このように、各事象の発生を契機として遊技者に与えられる可能性がある特典に大小差がある場合、比較的利益の大きい特典につながる事象と、それほどでもない事象とでは、遊技者が興味を示す度合いも自然と異なる。したがって、事象ごとに特典の大小差を基準として演出動作の優先順位を設定しておけば、遊技中に複数種類の事象が続いて発生した場合であっても、遊技者がより強い興味を示す事象の演出動作を優先して実行することができるので、遊技者の期待感を効果的に高める演出を行うことができる。
本発明の遊技機によれば、演出装置による表示および音による演出が行われるとともに、演出動作体による演出が行われるので、より一層の演出効果が発揮される。
以下、本発明をパチンコ機に適用した一実施形態について、次に掲げる項目に沿って各対応図面を参照しながら説明する。
1.一実施形態の概要(図1)
2.入賞装置(図2)
2−1.大入賞口
2−2.球経路変化部材
2−3.第1,第2通過経路
2−4.球停留部材
2−5.球振分部材
3.遊技球の動作
3−1.低確率経路の通過時(図3)
3−1−1.球停留部材の非動作時(図4)
3−1−2.球停留部材の作動時(図5)
3−2.高確率経路の通過時(図7)
3−2−1.不均一化部材
3−2−2.球振分部材上での挙動(図8)
3−3.球振分動作(図9,図10)
3−3−1.低確率経路の場合の振分動作
3−3−2.高確率経路の場合の振分動作
4.演出要素の補足(図11)
5.制御系の構成(図12)
5−1.メイン制御基板
5−2.サブ制御基板
6.制御処理の内容
6−1.電源投入時(図13)
6−2.1回始動口への入賞時(図14)
6−3.2回始動口への入賞時(図15)
6−4.特別遊技状態
6−4−1.ラウンド実行手段(図16,図17)
6−4−2.継続手段
6−4−3.入賞案内手段
A.案内動作の実行
B.案内動作の停止
6−4−4.入賞機会付与手段(図18)
A.大入賞口の開閉動作との同期
B.不均一化手段
6−5.最終ラウンド(図19)
7.タイミングチャートに関する補足
8.事象の説明
9.演出動作の内容(図20〜図24)
10.演出制御手段(図25〜図27)
10−1.優先順位判定処理(図26)
10−2.イベント設定/実行処理(図27)
10−3.演出動作の制御例
A.事象(1)が生じた場合
B.続いて事象(3)が生じた場合
C.さらに事象(5)が生じた場合
D.優先順位の低い演出動作の場合
E.有効期間の終了後
11.その他の実施形態についての言及
(1.一実施形態の概要)
図1は、本発明の一実施形態となるパチンコ機1を示している。このパチンコ機1は、いわゆる「羽根物」と称される種類に属するものである。
パチンコ機1は大きく分けて枠体2および遊技盤4から構成されており、枠体2の内側に遊技盤4が着脱可能に設置されている。遊技盤4の前面(盤面)にはほぼ円形の遊技領域が形成されており、ここでの盤面構成によってパチンコ機1の機種が特徴付けられている。
遊技領域内には、そのほぼ中央にひときわ大きく目を引くセンター役物6が配置されており、このセンター役物6は入賞装置としての機能を果たすものとなっている。センター役物6の左右には普通入賞口8,10が配置されているほか、その下方の位置に左右一対の1回始動口12および中央位置に1つの2回始動口14が配列されている。その他にも、遊技領域には各種の装飾体や装飾ランプ、風車、図示しない多数の障害釘(いずれも参照符号なし)が設けられているが、これら構成要素には公知のものを適用可能であるため、ここでは個々の説明を省略する。
一方の枠体2には、その前面(ガラス枠)に多数の装飾ランプ2aが配設されており、これら装飾ランプ2aは遊技の進行状況に応じて発光装飾による演出を施す用途に用いられる。また図1には示されていないが、枠体2の内部にはスピーカが配設されており、これらスピーカは遊技の進行状況に応じて音響出力による演出を施す用途に用いられる。
枠体2の前面側にて、遊技盤4の下方の位置には上皿16および下皿18が形成されており、これらは遊技球の受皿となる。また枠体2の前面には、その右下隅の位置に発射ハンドル20が配置されており、遊技者は発射ハンドル20をひねり操作することで、所望の強さで遊技球を発射させることができる。その他にも、本実施形態では上皿16の左位置にプッシュ式の演出ボタン22が配置されており、この演出ボタン22は遊技者が適宜プッシュ操作可能となっている。
(2.入賞装置)
図2は、上記のセンター役物6を具体的に示している。センター役物6は左右一対の可動片(羽根部材)24を有しており、これら可動片24は図中に実線で示されるように左右方向に開いた状態と、2点鎖線で示されるように内側寄りに閉じた位置との間で変位することができる。これら可動片24が開いた位置にあるとき、センター役物6の大入賞口26が開放された状態となる。センター役物6の背後には図示しない大入賞口ソレノイドが配設されており、左右一対の可動片24は大入賞口ソレノイドにより駆動される。
(2−1.大入賞口)
通常、センター役物6が作動されていない場合、図2中の2点鎖線で示されているように可動片24は閉じた位置にあり、それゆえ大入賞口26は閉塞された状態にある。一方、遊技中に上記の1回始動口12または2回始動口14に入賞すると、これを契機としてセンター役物6が作動される。これにより、図2中に実線で示されているように一対の可動片24が開いた位置に移動し、大入賞口26が所定時間(例えば0.4秒程度)だけ開放されて遊技球の入賞を可能とする。可動片24の開閉動作は、1回始動口12および2回始動口14にそれぞれ割り当てられている開閉回数(1回または2回)だけ行われる。なお、1回始動口12に入賞した場合と2回始動口14に入賞した場合とで大入賞口26の開放時間を異ならせてもよい。
センター役物6内には、左右の大入賞口26にそれぞれ対応して大入賞口カウントスイッチ28が配設されている。各大入賞口26に入賞した遊技球は、対応する大入賞口カウントスイッチ28により通過を検出、つまり入賞個数をカウントされる。
またセンター役物6内には、左右の大入賞口26の間をつなぐようにして球寄せ通路30が形成されており、各大入賞口26から受け入れられた遊技球は球寄せ通路30上を転がり、その中央位置へ集められる。球寄せ通路30の中央近傍には、センター役物6の奥方向に開口した球入口32が形成されており、球寄せ通路30上を転がって中央位置に集められた遊技球は、球入口32を通ってセンター役物6の奥方向へさらに転がり込む。
(2−2.球経路変化部材)
センター役物6内には、球寄せ通路30よりも奥側位置に球経路変化部材(シーソー状部材)34が配設されており、上記の球入口32を通って転がってきた遊技球は、ここで球経路変化部材34に受け止められる。球経路変化部材34は左右方向に延びる球案内面34aを有しており、この球案内面34a上にて遊技球を左右方向に案内することができる。また、球経路変化部材34は正面からみて左右に揺動することができ、このときの揺動は遊技者からみると、あたかもシーソー運動をしているかのように視認される。
図2に示されている状態では、球経路変化部材34がちょうど左側へ傾いており(左下がり)、この状態で遊技球は球案内面34a上を転がって左方向へ案内される。また図示されていないが、逆に球経路変化部材34が右側へ傾いた状態(右下がり)に変化すると、遊技球は球案内面34a上を転がって右方向へ案内されることになる。
(2−3.第1,第2通過経路)
図2中に破線で示されているように、センター役物6内には球経路変化部材34の左右にそれぞれ低確率経路36および高確率経路38が形成されている。これら2本の経路36,38は球経路変化部材34の左右両端にそれぞれ連なるようにして配置されており、上記の球案内面34a上を左右いずれか一方に転がった遊技球は、低確率経路36または高確率経路38に案内されるようにして送出される。
また低確率経路36および高確率経路38は、球経路変化部材34から左右方向に延び、センター役物6の両側縁部に沿って下方に屈曲されている。一方、センター役物6の中央には液晶表示器40が配置されており、2本の経路36,38はちょうど、液晶表示器40の上縁からその両側を取り囲むようにして延びている。
このうち、低確率経路36は液晶表示器40の下方位置で手前側へ屈曲された後、センター役物6の下縁部の前端に沿って右方向へ回り込むようにして延びている。もう一方の高確率経路38は、液晶表示器40の下方位置で左方向へ屈曲された後、液晶表示器40の下縁に沿ってその中央付近まで延びている。またセンター役物6内には、高確率経路38の途中に高確率経路通過スイッチ(演出用検出スイッチ)39が配置されており、高確率経路38を通過する遊技球は高確率経路通過スイッチ39により検出される。
(2−4.球停留部材)
またセンター役物6内には、上記の液晶表示器40の右脇にキャラクタ体42が設置されている。このキャラクタ体42は、箒を手にして掃き掃除をしている人物を模したものであり、ソレノイドと内部リンク機構(いずれも図示されていない)の働きにより、箒を左右に振りながら頭を左右に揺り動かすような動きをすることができる。
本実施形態では、キャラクタ体42が手にしている箒の先端(下端)がちょうど上記の低確率経路36の終端近傍に臨むようにして配置されており、この箒状の部材を遊技球の動きに働きかける球停留部材44として機能させることができる。具体的には、上記のようなキャラクタ体42の動きによって球停留部材44の位置を変化させるとき、そのときの位置(左または右)によって低確率経路36を通過してきた遊技球に対する作用が異なったものとなる。なお、球停留部材44の作用についてはさらに後述する。
(2−5.球振分部材)
センター役物6内には、液晶表示器40の下方位置に回転式の球振分部材46が配設されており、この球振分部材46はセンター役物6内での遊技球の流れ方向でみて、上記の低確率経路36および高確率経路38よりも下流に位置付けられている。図2ではその外形が明示されていないが、球振分部材46は厚みを有した円盤状の回転体からなり、図示しないモータによって一方向に回転されている。
球振分部材46は、上記の低確率経路36または高確率経路38を通過してきた遊技球を受け止め、その行き先を特定入賞口(ここでは特定領域の一態様となるもの)および一般入賞口のいずれか一方に振り分ける働きをなす。なお図2には、特定入賞口および一般入賞口は図示されていない。
またセンター役物6内には、球振分部材46の下方に2通りの球放出通路48,50が形成されており、このうち一方(ここでは左側)の球放出通路48には、特定領域スイッチ(特定入賞口検出スイッチ)52が設置されている。センター役物6内で特定入賞口に入り込んだ(特定領域を通過した)遊技球は、この特定領域スイッチ52により検出された後に放出される。なお、一般入賞口に入り込んだ遊技球は、右側の球放出通路50を通ってそのまま放出される。
(3.遊技球の動作)
次に、実際の遊技中におけるセンター役物6内での遊技球の動作態様(転動・案内・振分等)について説明する。
(3−1.低確率経路の通過時)
図3は、センター役物6の各所(上部および前面側)を部分的に切断または破断した状態で、これを立体的に示している。大入賞口26に入賞した遊技球が球経路変化部材34によって左方向へ案内されると、図3中の矢印で示されているように、その遊技球は低確率経路36を通じて案内されることになる。
低確率経路36を通じて案内される遊技球は、センター役物6の下縁部まで流下すると、上記の球振分部材46の手前側を横切り、そして奥側へ回り込むようにして転動する。そして低確率経路36の終端近傍の位置に遊技球が達すると、その転動方向が上記の球停留部材44によって影響されることになる。
図4は、センター役物6の内部を具体的に示している。球振分部材46の周縁には、その周方向に等間隔を存してU字形状の切欠が複数(この例では8つ)形成されている。これら切欠内には遊技球を1個ずつ受け入れることができ、このうち特定の1つの切欠が特定入賞口案内部46aであり、その他(7つ)の切欠は全て一般入賞口案内部46bとなっている。
特定入賞口案内部46aは、他の一般入賞口案内部46bよりも中心に向かってより深く切欠が形成されており、形態面で一般入賞口案内部46bとは区別されている。また特定入賞口案内部46aの周囲には、これを視覚的に際だたせるために装飾的な縁取りが施されているほか、球振分部材46の中心寄り位置にアルファベットの「V」をデザインした装飾体があしらわれている。
(3−1−1.球停留部材の非動作時)
上記の球停留部材44は、低確率経路36に対しその側方(この例では右側方)から進退するようにして往復動することができる。センター役物6内には球停留部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)54が装備されており、このソレノイド54はリンク機構(全体は図示されていない)を介して球停留部材44を作動(進退)させることができる。本実施形態では、ソレノイド54に通電されていない(非励磁)場合、球停留部材44が非動作となり、このとき低確率経路36に対して前進した状態に保持されるものとなっている。
図4に示されているように、球停留部材44が非動作の場合、その先端部分は低確率経路36内に右側方から進入した状態にある。この状態で、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44の先端部分に当接し、このとき図中の矢印で示されるように球振分部材46に向かって転動するように案内される。
上記の各入賞口案内部46a,46bは球振分部材46の周縁から径方向に開口しているため、転動してくる遊技球を受け入れ可能な相対関係にある。一方、通常遊技状態等では球振分部材46が一定方向(上からみて時計回り方向)に回転されているため、8つの入賞口案内部46a,46bの全てに各8分の1の確率で遊技球が入り込む可能性がある。
(3−1−2.球停留部材の作動時)
次に図5は、球停留部材44の作動時を示している。ソレノイド54に通電されると、球停留部材44が作動状態となり、その先端部分は低確率経路36から外側方に退避する。この場合、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44に当接することなく、そのまま球振分部材46の側方を素通りする。上記の一般入賞口56は低確率経路36の終端位置に形成されており、ここまで達した遊技球は一般入賞口56に入り込んで、そのまま上記の球放出通路50を通じて放出される。
(3−2.高確率経路の通過時)
図6は、球経路変化部材34の動作機構を示している。上記のように、センター役物6内には球経路変化部材34に付設して球経路変化部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)58が配置されている。ソレノイド58が通電されていない(非励磁)状態では、図6中の実線で示されているように球経路変化部材34は正面からみて左側へ倒れた状態にあり、本実施形態では、この状態を球経路変化部材34の停止状態として説明する。
これに対しソレノイド58が通電されると、図6中の2点鎖線で示されるように、機構要素58a,58b等を介して球経路変化部材34の一端部(この例では左端部)が引き上げられるので、上記のように球経路変化部材34が右側へ倒れた状態(作動状態)となる。
図7は、センター役物6内で遊技球が高確率経路38を通じて案内されるときの様子を示している。球経路変化部材34が作動されるタイミングで遊技球が転動してくると、その遊技球は左方向へ案内されて高確率経路38に送り込まれる。なお図7では、センター役物6の各所(上部および前面側)が部分的に切断または破断された状態で示されている。
(3−2−1.不均一化部材)
液晶表示器40の下方で、高確率経路38の下流部分は球振分部材46の上方にせり出すようにして延びており、さらにその終端位置に球落下部38aが形成されている。球落下部38aは、その下端に穴が形成されており、この穴を通じて遊技球を落下させることができる。球落下部38aは、ちょうど球振分部材46の中央(正確な中心とは限らない)の直上に位置しており、上記の穴から落下した遊技球は、球振分部材46上に落下する。
球落下部38aの下端にある穴は、遊技球がちょうど1個だけ通り抜けられる大きさに形成されているが、その上方には漏斗形状(またはテーパ形状、すり鉢形状)の滑らかな案内面が形成されている。このため図7中の矢印で示されるように、高確率経路38を転動してきた遊技球は球落下部38aに到達すると、そこで漏斗形状の案内面に沿って旋回し、そして、次第に勢いを弱めながら下端の穴に落下する。このとき遊技球が球落下部38aから落下するまでに要する時間は常に一定でなく、遊技球の転がり具合(球落下部38aに進入するときの勢いや進入経路)によって不均一となるし、同型の製品であっても製品個体差等が生じることとなる。あるいは、同一のパチンコ機1に限っても、そのときの台の傾斜や設置状況、経年変化等による影響が生じるため、球落下部38aを通って遊技球が落下するまでに要する時間(移動時間)はほとんど一定していない。なお、このような球落下部38aの機能は、いわゆる「一穴クルーン」に相当するものとなっている。
(3−2−2.球振分部材上での挙動)
図8は、球振分部材46上での遊技球の挙動を示している。球振分部材46の上面には、中央にやや大きめのステージ46cが形成されており、上記のように球落下部38aから落下した遊技球は、ステージ46c上のほぼ中央に着地する。ステージ46cの周囲は4つの隔壁46dによって囲まれているが、これら隔壁46d同士の切れ目部分には遊技球が通過できるだけの通路が確保されている。
一方、ステージ46cは、その上面が中高に盛り上がった形状をなしている。このためステージ46c上に落下した遊技球は、図8中の矢印で示されるように各切れ目部分を通って4方向に転動する可能性がある。このとき切れ目部分の1つは特定入賞口案内部46aにつながっているため、ステージ46c上に落下した遊技球は4分の1の確率で特定入賞口案内部46aに入り込むことができる。
(3−3.球振分動作)
図9は、一般入賞口案内部46bに遊技球が入り込んだ場合の球振分動作を示している。上記のとおり、一般入賞口案内部46bは球振分部材46の周縁からみて比較的浅い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径より僅かに大きい程度であるため、一般入賞口案内部46bに入り込んだ遊技球は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面に押しつけられながら球振分部材46の回転に伴い周方向に移送される(図9中(a))。
図9には一部のみ示されているが、本実施形態で特定領域の一態様となる特定入賞口60は球振分部材46の下方に形成されており、さらに特定入賞口60は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面から距離を置いて内側寄りに位置している。このため遊技球は、一般入賞口案内部46bに入り込んだ状態で特定入賞口60の上方に位置付けられたとしても、そこから特定入賞口60内に落下することができず、その上方を素通りして移送されることとなる。
この後、図9中(b)に示されているように、球振分部材46の回転に伴い遊技球がぐるりと周回して一般入賞口50の後方(時計回りで2時の方向)まで移送されると、遊技球は一般入賞口案内部46b内から放出される。放出された遊技球は案内面62上を転動し、一般入賞口50内に落下する。
これに対し、特定入賞口案内部46aは比較的深い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径よりも充分に大きい。さらに特定入賞口案内部46aには、球振分部材46の周縁に沿って球留め46eが形成されており、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は、球留め46eよりも奥まった位置で保持される。このため、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46を取り囲む周壁面から少し離れた状態、つまり球振分部材46のやや内側寄りに位置しながら回転方向に移送されることになる。
図10は、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球が移送される様子を示している。上記のように、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46の周囲を取り囲む周壁面から内側寄りに位置付けられているので(図10中(a))、特定入賞口60の上方に遊技球が位置付けられると、そのまま特定入賞口60内に落下、つまり特定領域を通過することができる。また、特定入賞口60への遊技球の落下(以下、「V入賞」と呼称する。)は、上記の特定領域スイッチ52により検出される。なお、本実施形態では便宜上「特定入賞口」、「V入賞」等の語を用いているが、これはあくまで特定入賞口60への遊技球の落下が契機となって何らかの特典が発生することを想起させるためであって、実際に遊技球が盤の裏側へ導かれたり、賞球されたりすることを必須とするものではない。
以上のように、球振分部材46は遊技球を受け止めると、これを特定入賞口案内部46aまたは一般入賞口案内部46bに受け入れた状態で回転することにより、遊技球の行き先を特定入賞口60および一般入賞口50のいずれか一方に振り分ける働きをする。振り分け先は、遊技球が特定入賞口案内部46aに入り込むか、それとも一般入賞口案内部46bに入り込むかによって決まるが、遊技球がいずれの案内部に入り込むかは、遊技球を受け止めたときの球振分部材46の姿勢によって異なる。
(3−3−1.低確率経路の場合の振分動作)
遊技球が低確率経路36を通過してきた場合、球振分部材46はその外周方向から遊技球を受け止めることになる。この場合、8つの案内部46a,46bの全てに遊技球が入り込む可能性があるが、実際には遊技球が低確率経路36の終端近傍から転がってくるタイミングで、8つのうちいずれの案内部46a,46bが遊技球に相対するかによって入り込む先が自ずと決まる。
したがって、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が特定入賞口案内部46aを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球はそのまま特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が一般入賞口案内部46bを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
このとき、全8つのうち特定入賞口案内部46aは1つであるため、結果的に低確率経路36を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率は8分の1になる。ただし、この確率は遊技球が球停留部材44に案内されることを前提にしたものであり、上記のように球停留部材44が後退していると、球振分部材46に受け止められることなく、そのまま一般入賞口50に入り込むこともある。なお、本実施形態では遊技球が一般入賞口50に入り込んだことを契機とした特典は取り立てて用意されていないが、その前段階で先に大入賞口26への入球が検出されたときに賞球払出がなされている。
(3−3−2.高確率経路の場合の振分動作)
遊技球が高確率経路38を通じて案内されてきた場合も同様に考えることができる。この場合、球振分部材46はそのステージ46c上にて遊技球を受け止めることになるため、上記のように特定入賞口案内部46aか、3つの一般入賞口案内部46bのいずれか1つに遊技球が入り込む可能性がある。ただし、実際にはステージ46cの下り傾斜がより大きい方向へ遊技球は転がる傾向にあるため、球振分部材46の設計上、ステージ46cに一定の傾斜(例えば手前側に下り傾斜を有する等)が与えられている場合、その傾斜に基づいた遊技球の振分動作が行われる。
したがって、上記の傾斜で考えると、球振分部材46がそのステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに、特定入賞口案内部46aを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は傾斜にしたがって特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、球振分部材46がステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに他の3つの一般入賞口案内部46bを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
したがって、高確率経路38を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率が4分の1となり、結果的に低確率経路36を通じて案内される場合よりもV入賞の確率が高くなっているといえる。
(4.演出要素の補足)
上記のセンター役物6については、各所に装飾的なデザインが施されているほか、演出要素として内部に装飾用ランプ/LED(特に図示されていない)が配置されている。装飾用ランプ/LEDは遊技の進行状況に応じて発光装飾による演出を行ったり、またパチンコ機1の待ち受け中等においてデモンストレーション発光を行ったりすることができる。
また図11は、センター役物6に付設されている予告演出キャラクタ64を具体的に示している。この予告演出キャラクタ64は、センター役物6において左右の大入賞口26の間から出現可能(図2を参照)に配置されており、具体的には図11に示される演出用ソレノイド(キャラクタ駆動ソレノイド)66によって駆動され、このとき遊技者から視認されるように出現する。
予告演出キャラクタ64は通常、センター役物6の奥側へ倒れ込んだ状態で隠れているが、一定の条件下で演出用ソレノイド66が通電されたときに出現する。すなわち、演出用ソレノイド66が通電されると、機構要素66aを介して予告演出キャラクタ64が約90°だけ手前側へ旋回し、図示のように手前側へ起き上がった状態となる。
通常遊技状態においては、例えば大入賞口カウントスイッチ28で遊技球が検出されたタイミングと、そのときの球振分部材46の姿勢(回転角度)との相対関係に基づき、遊技球が特定入賞口案内部46aに入りやすいタイミングである場合に予告演出キャラクタ64が出現するものとなっている。
また別の態様として、大入賞口カウントスイッチ28で遊技球が検出されたタイミングと、そのときの球経路変化部材34の姿勢(左右いずれに揺動するか)との相対関係に基づき、遊技球が高確率経路38に送り込まれやすいタイミングである場合に予告演出キャラクタ64が出現するものとなっている。
さらに本実施形態の場合、予告演出キャラクタ64の出現に合わせて、その周囲を装飾用ランプ/LEDの照明によりライトアップさせたり、効果音を発生させたりすることで視覚的・聴覚的に予告演出による効果を高めるものとしている。
(5.制御系の構成)
次に、パチンコ機1による遊技動作や演出動作を制御するための構成について説明する。
図12は、パチンコ機1の電子機器類に関する構成の一部を概略的に示している。パチンコ機1は、遊技動作を制御するためのメイン制御基板(主基板)68や各種の演出動作を制御するためのサブ制御基板70を有しており、これら基板類が互いに配線を通じて接続されているほか、各基板にそれぞれ付随して電子機器類が接続されている。これら基板類はいずれもパチンコ機1の裏面側に配置されており、通常、遊技者からは視認されない。
またメイン制御基板68には払出制御基板72が接続されており、この払出制御基板72は図示しない賞球装置の作動を制御する。払出制御基板72にはさらに発射制御基板74が接続されており、この発射制御基板74は図示しない発射モータの作動を制御している。
なおパチンコ機1には、その他にも電源ユニット基板やインタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、これらについては公知のものを適用できるため、図示とともにその説明を省略する。
(5−1.メイン制御基板)
メイン制御基板68は、図示しないCPUやRAM、ROM、入出力インタフェース等の電子部品類を備えている。メイン制御基板68には上記の大入賞口カウントスイッチ28や特定領域スイッチ52が接続されているほか、1回始動口スイッチ76や2回始動口スイッチ78、その他入賞口スイッチ80等のセンサ類が接続されている。このうち、1回,2回始動口スイッチ76,78はそれぞれ対応する1回,2回始動口12,14への入賞があったことを検出し、その検出信号をメイン制御基板68に出力する。また、普通入賞口8,10やセンター役物6の天入賞口への入賞は、それぞれに対応して複数設置されているその他の入賞口スイッチ80により検出され、その検出信号がメイン制御基板68に出力される。
一方、上記の大入賞口ソレノイド82をはじめ球経路変化部ソレノイド58、球停留部ソレノイド54等の駆動要素は、それぞれメイン制御基板68からの駆動信号に基づいて作動を制御されるものとなっている。
さらに、センター役物6内には球振分部モータ84が装備されており、この球振分部モータ84はメイン制御基板68からの指令信号に基づいて球振分部材46を回転させることができる。また球振分部モータ84にはモータインデックスセンサ86が付設されており、このモータインデックスセンサ86からメイン制御基板68にインデックス信号が入力されるものとなっている。
(5−2.サブ制御基板)
また演出要素として、上記のスピーカ88や演出用ランプ/LED90等はサブ制御基板70に接続されている。パチンコ機1による遊技の進行中、サブ制御基板70はメイン制御基板68から送信される指令信号に基づいて演出動作を制御し、一定の演出パターンにしたがって音響出力や発光装飾等による演出を制御している。上記の演出用ソレノイド66もまたサブ制御基板70に接続されており、予告演出キャラクタ64の出現動作はサブ制御基板70により制御されている。
また画像を用いた演出要素として、上記の液晶表示器40は液晶制御基板92を介してサブ制御基板70に接続されており、液晶表示器40に対する描画コマンドはサブ制御基板70から出力されるものとなっている。
なお、本実施形態ではセンター役物6内で高確率経路38に遊技球が送り込まれた場合、特別に優先順位の高い演出を行うため、上記の高確率経路通過スイッチ39がサブ制御基板70に接続されている。サブ制御基板70は高確率経路通過スイッチ39から検出信号を受け取ると、通常の表示画像に優先させて特別な演出表示を実行する。
(6.制御処理の内容)
次に、上記のメイン制御基板68やサブ制御基板70による制御処理の内容について説明する。なお、以下の説明では主に、センター役物6の動作に関する制御内容を取り上げている。
(6−1.電源投入時)
図13は、電源投入時の処理および各種スイッチ類の状態をタイミングチャートとして示している。なお図13以降において、各種部材の「作動状態」は、それぞれ対応するソレノイドまたはモータ等が通電・駆動されていることを意味し、逆に「停止状態」は、ソレノイドまたはモータ等が非通電・非駆動であることを意味する。
パチンコ機1の電源が投入されると、メイン制御基板68のCPUは自己診断処理および停電復旧処理を実行し、前回の電源断時にバックアップされた遊技内容を引き継いで通常処理を開始する。
図13のタイミングチャートに沿って説明すると、先ず電源投入によって各始動口スイッチ76,78の検出機能が有効化される。これにより、1回始動口12および2回始動口14について、それぞれ遊技球が入ることによってセンター役物6の作動を開始する機能(始動機能)と賞球動作を行う機能(賞球機能)がともに有効になる。
電源投入時には通常、上記の始動口スイッチ76,78からの入力信号は未入賞の状態であって、大入賞口26は閉鎖された状態にある(大入賞口ソレノイド82非通電)。またこの場合、特定領域スイッチ52の機能は無効にされている。
一方、センター役物6内においては、球経路変化部材34および球停留部材44がいずれも停止状態となっているが、球振分部材46は電源投入により作動状態となる。このとき球振分部材46は、一定の回転速度A(例えば1回転につき1.9秒程度)で回転される。
(6−2.1回始動口への入賞時)
図14は、通常遊技中に1回始動口12への入賞があった場合の処理を示している。この場合、メイン制御基板68に1回始動口スイッチ76から検出信号が入力されると(未入賞→入賞)、メイン制御基板68は各始動口スイッチ76,78の機能(始動機能)を無効化させるとともに、特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。そして、メイン制御基板68は所定時間(例えば1004ms)経過後に大入賞口ソレノイド82を作動させ、大入賞口26を1回(例えば400ms)開放させる。なお図14以降のタイミングチャート中、各始動口スイッチ76,78の機能が無効にされている間は、上記の始動機能が無効になるだけであって、賞球機能は引き続き有効である。
大入賞口26の開放動作に関連して、メイン制御基板68は球経路変化部材34を一定のパターンにしたがって間欠的に2回だけ作動させる。これにより、大入賞口26に入賞した遊技球が低確率経路36または高確率経路38のいずれかに案内されることになる。
また1回始動口12への入賞があると、メイン制御基板68は球振分部材46を回転速度C(例えば1回転につき5.6秒程度)に減速させるとともに、球停留部材44を作動状態と停止状態とに交互に切り替える。これにより、球停留部材44が低確率経路36に対して退避または進入する動作を交互に行い、これに合わせて上記のキャラクタ体42が左右に首を振る動作が演出的に実施される。球停留部材44の作動状態と停止状態とは周期的に切り替えられ、この間にソレノイド54はおおむね50%のデューティ率で駆動される。したがって図14中、球停留部材44の作動時間aと停止時間bとはほぼ同じに設定されている(a>b,a<b,a=bでもよい)。また、球停留部材44の作動時間aおよび停止時間bについては、図15においても同様とすることができる。
この後、メイン制御基板68は大入賞口26を閉鎖させてから所定時間(例えば0.4秒)が経過すると始動口スイッチ76,78の機能を復帰(有効化)させる。また合わせて、大入賞口26を閉鎖させてから一定時間(例えば8秒)が経過すると、そこで特定領域スイッチ52の機能を無効化させるとともに、球振分部材46の作動状態を回転速度Aに復帰させる(回転速度C→A)。
(6−3.2回始動口への入賞時)
図15は、通常遊技中に2回始動口14への入賞があった場合の処理を示している。この場合、メイン制御基板68に2回始動口スイッチ78から検出信号が入力されると(未入賞→入賞)、メイン制御基板68は各始動口スイッチ76,78の機能を無効化させるとともに、特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。そして、メイン制御基板68は所定時間(例えば1004ms)経過後に大入賞口ソレノイド82を作動させ、大入賞口26を間欠的に2回(例えば400msずつ)開放させる。また、1回目の開放と2回目の開放との間には、所定の待機時間(例えば1004ms)が確保されている。
上記のような大入賞口26の開放動作(2回分)に関連して、メイン制御基板68は球経路変化部材34を一定のパターンにしたがって間欠的に3回作動させる。これにより、大入賞口26に入賞した遊技球が高確率経路38に案内される機会が比較的多く与えられる。
また2回始動口14への入賞があると、メイン制御基板68は球振分部材46を回転速度Cに減速させるとともに、球停留部材44を作動状態と停止状態とに交互に切り替える。これにより、球停留部材44が低確率経路36に対して退避または進入する動作を交互に行い、これに合わせて上記のキャラクタ体42が左右に首を振る動作が演出的に実施される。
このとき球停留部材44の動作時間は1回始動口12への入賞があった場合よりも長く、また球停留部材44の作動状態と停止状態とが周期的に切り替えられる回数も多く設定されている。なお、ソレノイド54の駆動デューティ率はおおむね50%であって1回始動口12への入賞時と同様でよい。
同様に、メイン制御基板68は大入賞口26を閉鎖させてから所定時間(例えば0.4秒)が経過すると始動口スイッチ76,78の機能を復帰(有効化)させる。また、大入賞口26を閉鎖させてから一定時間(例えば8秒)が経過すると、そこで特定領域スイッチ52の機能を無効化させるとともに、球振分部材46の作動状態を回転速度Aに復帰させる(回転速度C→A)処理も1回始動口12への入賞時と同様である。
なお本実施形態では、図14,15において1回始動口12または2回始動口14への入賞を契機に大入賞口26が開かれる際、球振分部材46の回転速度を変化(A→C)させているため、例えば球振分部材46の特定の回転角度を狙って数個分ずつ遊技球を発射し、それによって大当りを狙い打ちするような遊技方法が通用しない仕様となっている。
(6−4.特別遊技状態)
次に図16は、センター役物6内で遊技球がV入賞した場合の処理を示している。本実施形態のパチンコ機1においては、通常遊技状態でV入賞すると、特別遊技状態(大当り遊技)に移行する。
図16に示されているように、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されると(ON)、これを契機として大当り遊技に移行する。
(6−4−1.ラウンド実行手段)
大当り遊技に移行すると、これによりセンター役物6が所定の動作パターンで作動される。このときの動作パターンは、大入賞口26の開閉動作を周期的に繰り返すものであり、その開放回数は最大で18回まで設定されている。
上記のように、大当り遊技として大入賞口24の開閉が開始される前に所定の演出時間が設けられており、この間にいわゆるラウンド抽選演出が行われる。抽選そのものは、この大当りのきっかけとなった1回始動口12または2回始動口14に遊技球が入賞したタイミングで行われているが、ラウンド抽選演出は液晶表示器40によるアニメーション表示とスピーカ88からの音響出力によって実行される。
またメイン制御基板68は、特定領域スイッチ52から検出信号を受信すると球振分部材46の作動状態を最初に回転速度B(例えば1回転につき3.7秒程度)に切り替え、続いて回転速度Aに切り替える。
このように、上記のラウンド抽選演出が進行している間に球振分部材46の回転速度が2段階に切り替えられ、この過程でモータインデックスセンサ86から3回目のインデックス信号をメイン制御基板68が受信すると、そこで球振分部材46の回転が停止される。本実施形態の場合、インデックス信号を受信したタイミングで球振分部材46が停止されると、この状態で特定入賞口案内部46aが低確率経路36の終端(遊技球を受け入れ可能な方向)に相対するようにして位置付けられる。また、球経路変化部材34は停止状態で保持されているので、この間、遊技球を低確率経路36に案内する姿勢に固定されたままとなる。
上記のラウンド抽選演出が終了し、遊技者に対して一応の当選ラウンド告知が行われると、大当り遊技のシーケンスにしたがってメイン制御基板68は大入賞口26の開閉動作を開始させる。また、これに合わせてメイン制御基板68は特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。
(6−4−2.継続手段)
本実施形態の場合、大当り遊技は最大で15ラウンドまで継続可能であり、1ラウンドの終了条件は、例えば以下の(1)〜(3)のいずれかが満たされることである。
(1)大入賞口24の開閉回数が18回に達したとき。
(2)大入賞口24に入賞した遊技球の数が10個に達したとき。
(3)遊技球が特定領域スイッチ52により検出されたとき。
また、大当り遊技において次ラウンドへの継続条件は、遊技球が特定領域スイッチ52により検出されること、つまりV入賞することである。ただし、15ラウンド目においては遊技球が特定領域スイッチ52により検出されてもラウンド継続は行われない。
またラウンド抽選は、1回始動口12または2回始動口14に遊技球が入賞したタイミングでメイン制御基板68にて取得されたカウンタ値を元に行われる。抽選されるラウンド数は2ラウンド、7ラウンド、15ラウンドであり、その確率は各々3分の1である。
(6−4−3.入賞案内手段)
上記の抽選結果にかかわらず、大当り遊技に移行してから1回目のラウンドについては、常に次ラウンドに継続されることが予定されている。あるいは、抽選結果が15ラウンドとなった場合、2回目〜14回目の全てのラウンドについて次ラウンドへの継続が予定されている。
(A.案内動作の実行)
これらの場合、図16に示されているように、ラウンド実行中は球経路変化部材34が遊技球を低確率経路36に案内する状態にあるが、その上で、球振分部材46が特定入賞口案内部46aにて遊技球を受け止めやすい姿勢で停止し、かつ、球停留部材44が低確率経路36内に向けて前進した状態にある。したがって、ラウンド実行中に大入賞口26に入賞した遊技球は、その1個目が先ず低確率経路36を通って特定入賞口案内部46aに案内される。
この後、大入賞口26への入賞球が2個〜5個と増えていくと、センター役物6内では特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球(入賞1個目)を先頭に、そこから後続の遊技球(入賞2個目〜5個目)が低確率経路36内に1列をなして停留することになる。
ただし、大入賞口26の開放が18回に達する前に6個目の入賞球がカウントされると、図16中の破線で示されているように、6カウント目の検出信号に基づいてメイン制御基板68は球停留部材44を作動させる。この場合、球停留部材44が低確率経路36から外側へ退避した状態になるので、それまで停留していた遊技球(3個目〜5個目)は支えを失い、そのまま低確率経路36の下流方向へ転動して一般入賞口50に落下する。
またメイン制御基板68は、ラウンド(1区切り分)をひとまず終了する場合、大入賞口カウントスイッチ28により遊技球が10個検出されるか、もしくは大入賞口24が18回開閉されるかのいずれか早い方のタイミングをきっかけとして、そこから所定時間(例えば1.8秒)経過後に球振分部材46の回転を再開させる。このとき1個目の入賞球が既に特定入賞口案内部46aに入り込んでいるので、その遊技球は確実にV入賞する。この結果、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されるので、次ラウンドへの継続が確定する。
ただし、上記のように次ラウンドへの継続が予定されている場合であっても、遊技者が大入賞口26に入賞させられなかった場合は継続条件が満たされず、そこで大当り遊技は終了となる。この場合、図16に示されているように、大入賞口26の開閉動作が停止されてから所定時間(例えば8秒)が経過すると、メイン制御基板68は各始動口スイッチ76,78の機能を有効化する一方で特定領域スイッチ52の機能を無効化する。また、合わせてメイン制御基板68は球振分部材46の作動状態を回転速度A(高速)に復帰させるとともに、球停留部材44を停止状態に復帰させる。
図17は、大当り遊技中に継続されたラウンドでの処理を示している。処理の内容はほとんど図16の場合と同様であるが、ここではラウンド抽選演出のための期間が用意されていない分、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されてから、大入賞口26の開閉動作が開始されるまでの時間(例えば4秒)が短縮されている。
(B.案内動作の停止)
図16および図17の処理はあくまで、次ラウンドへの継続が予定されている場合の内容である。これに対し、ラウンド抽選の結果が2ラウンドまたは7ラウンドであった場合、原則として3ラウンド目以降または8ラウンド目以降への継続は予定されていない。このため、ラウンド抽選の結果が2ラウンドまたは7ラウンドのときは、当該ラウンド(2ラウンド目または7ラウンド目)では、積極的に次ラウンドに移行させるための処理(案内動作)が行われない。
図18は、次ラウンドへの継続が予定されていない場合の処理、すなわち、ラウンド抽選の結果、最終ラウンドとして決定された2ラウンド目または7ラウンド目の処理を示している。この場合、メイン制御基板68は2ラウンド目または7ラウンド目の開始時(大入賞口26の開放前)に一旦、球振分部材46を定位置で停止させた後、大入賞口26の開閉動作を開始するタイミングに同期させて球振分部材46の回転を開始させる(時刻ts)。これ以降は球振分部材46の回転が維持され、ラウンド中は球振分部材46が一定速度B(中速)で回転したままとなる。
また、これに合わせてメイン制御基板68は球停留部材44の前進/後退動作を繰り返し実行するが、この動作もまた球振分部材46の回転に同期して行われており、ここでも球停留部材44は、おおむね50%のデューティ率で前進状態と後退状態に駆動される。
したがって、このときメイン制御基板68は、例えば低確率経路36の終端近傍に特定入賞口案内部46aが相対するタイミングで球停留部材44を後退させ、逆に一般入賞口案内部46bが相対するタイミングでは球停留部材44を前進させることにより、低確率経路36を通過してきた遊技球を特定入賞口案内部46aへ案内する動作を停止することができる。
(6−4−4.入賞機会付与手段)
上記の2ラウンド目または7ラウンド目においてV入賞しなかった場合、ラウンド継続条件が満たされないので、当該ラウンドで大当り遊技は終了となる。ただし、本実施形態のパチンコ機1は、遊技者の技術介入によってラウンド継続が可能となる(V入賞が可能となる)仕様を有しており、以下にその具体的な仕様について説明する。
すなわち本実施形態では、技術介入によってV入賞を可能とする機会がラウンド中の特定タイミングに1度だけ設けられている仕様となっており、その特定タイミングとは、大入賞口26への入賞球が7カウント目に達したときである。この特定タイミングで大入賞口26に入賞した遊技球(7個目)に対し、例えば以下の態様でV入賞の機会が与えられるものとなっている。
先ず、大入賞口26への入賞球が6カウントに達するまでの間(時刻ts〜時刻tc)は、メイン制御基板68は球経路変化部材34を停止状態で固定しているため、この間に大入賞口26に入賞した遊技球はいずれも低確率経路36に送り込まれる。遊技球はその終端近傍で球停留部材44に案内された場合は一般入賞口案内部46bに入り込み、逆に球案内部材44に案内されない場合はそののまま一般入賞口50に落下する。
これに対し、入賞球が7カウントに達すると(時刻tc)、メイン制御基板68はこれを契機として球経路変化部材34を所定時間だけ(例えば1.2秒)作動させる。これにより、7カウント目に入賞した遊技球は、ほぼ確実に高確率経路38に送り込まれることになる。この場合、遊技球は高確率経路38を通過して球振分部材46のステージ46a上に落下するので、そこから4分の1の確率で特定入賞口案内部46aに入り込むことができる。
またこの場合、7カウント目に入賞した遊技球には、球停留部材44による案内動作とは無関係にV入賞の機会が与えられており、そのときのV入賞確率は4分の1と比較的高く設定されている。したがって、遊技者がただ漫然と遊技を行っていた場合であっても、大入賞口26に7個入賞させることができれば、必ず4分の1の確率でV入賞する機会、つまり、ラウンド継続に挑戦する機会が与えられる。その結果、漫然と遊技行っていた遊技者でも、7カウント目まで入賞させることができれば、そこでラウンド継続を獲得できる可能性があることを知ることになり、自然と遊技に対するモチベーションが高まる。
上記のようなパチンコ機1の仕様は、その内容を具体的に情報として遊技者が認識しているか否かにかかわらず、万人に等しく恩恵をもたらすことができる点できわめて優れる。このような仕様による有用性は、あまり熟練度の高くない遊技者(初心者)や情報に疎い遊技者、もともと技術介入に興味のない遊技者等がパチンコ機1で遊技を行った場合に顕著となる。
また、本実施形態では7カウント目の入賞球をそれまでと違うルート(高確率経路38)に案内することができるため、視覚的な変化によってV入賞の機会が与えられていることを遊技者が認識し易い。したがって、たとえ遊技者が技術介入の仕様を情報として知らなかった場合であっても、本実施形態のパチンコ機1では遊技球の動きを一見しただけでその仕様を容易に理解することができ、万人にとって分かりやすく、また面白みのある遊技を提供することができる。
(A.大入賞口の開閉動作との同期)
本実施形態のパチンコ機1による技術介入の仕様には、単に7カウント目にチャンスが訪れるというだけでなく、さらに一段進んで、より高度な要素が付加されている。
すなわち、継続が予定されていないラウンドでは、上記のように大入賞口24の1回目の開閉動作が開始されるタイミングに合わせて球振分部材46の回転が開始される(時刻ts)。このとき、大入賞口26の開閉動作は一定周期で繰り返されており、また球振分部材46の回転速度(角速度)は一定であるため、これらの動作開始時を起点として考えると、球振分部材46の姿勢(回転角度)と大入賞口24が開放されるタイミングとが一定の相対関係をもって同期することになる。
このため、より深い観察力・探求心をもった遊技者であれば、大入賞口26の開放動作のタイミングと球振分部材46の回転角度との相対関係を理解した上で遊技を行うことが可能となる。したがって、例えば遊技者がパチンコ機1をよくよく観察するうち、何回目の開放タイミングに7カウント目の入賞をさせると、その先でV入賞しやすい傾向にあるかを遊技者が見極めることも可能である。ここまで行き着いた遊技者であれば、他の平均的な遊技者よりも一段と技術介入の楽しみが増えるし、その成果としてのラウンド継続に大きな満足感を覚えることができる。
(B.不均一化手段)
ただし、機械的にいつも決まった挙動ばかり続くとすると、いずれ遊技者に飽きが来て、技術介入に対する面白みが半減することもある。この点、本実施形態のパチンコ機1では、高確率経路38の終端位置に上記の球落下部(一穴クルーン)38aが形成されていることから、そこで遊技球が旋回しながら落下することで落下までに要する時間に不均一が生じることになる。
この場合、大入賞口26の開閉動作のタイミングと球振分部材46の回転角度との相対関係に基づき、遊技者が7カウント目でV入賞しやすい開放タイミングを一応は見極めることができたとしても、大入賞口26に入った先で遊技球が常に同じ挙動(入球してから球振分部材46に受け止められるまでの移動時間)を示すとは限らない。これにより、遊技者の飽きの到来を遅くすることができるし、また、遊技者の技術の差による出玉の差を少なくすることができる。
また、遊技者が一通りの仕様を理解した上で遊技を行った場合であっても、技術介入によるラウンド継続に成功するか否かは、パチンコ機1の製品個体差や偶然の影響によるばらつきが生じてくるため、そこに別の観点からみた面白みの要素が付加される。したがって、技術介入に積極的な遊技者にとっては、製品個体差による不均一要素をも見極めながら遊技を行う楽しみが増えるので、さらに突っ込んでパチンコ機1の仕様や特性を研究した遊技者にとっては、自己の技術介入による成功はもとより、ホールでの立ち回りや台選び等の成果に多大な満足感を得ることができる。
(6−5.最終ラウンド)
図19は、最終ラウンド(15ラウンド)での処理を示している。始動口12,14の入賞時に行われた抽選で15ラウンドとなった場合だけでなく、2ラウンドまたは7ラウンドの抽選結果にもかかわらず、15ラウンドまで大当り遊技を継続することができた場合、その最終ラウンドでは以下の処理が行われる。
ここでは先ず、特定領域スイッチ52による検出信号が入力されると、メイン制御基板68は特定領域スイッチ52の機能を無効化した後、そのままラウンド終了まで有効化させることはない。またメイン制御基板68は、モータインデックスセンサ86からのインデックス信号に基づき球振分部材46を一旦停止させるが、大入賞口26の開放が開始されるタイミングに合わせて、球振分部材46の回転を開始させる。さらに、これに合わせて球停留部材44が作動状態に切り替えられ、そのままラウンド終了まで維持される。その一方で、球経路変化部材34はラウンド終了まで停止状態のままであるので、大入賞口26に入賞した遊技球は低確率経路36を通過し、球振分部材46に受け止められることなく、単に一般入賞口50に落下することになる。
以上の処理を通じて最終ラウンドではV入賞が回避されるので、大入賞口26への入賞が10カウントに達するか、大入賞口26が18回開放されるかのいずれかの条件が満たされると、それによって最終ラウンドが終了となるので、メイン制御基板68は一連の大当り遊技処理を終了する。
(7.タイミングチャートに関する補足)
以上で図13〜図19のタイミングチャートを参照した処理の説明を終えるが、これら図面の記載について補足すべき点を以下に挙げておく。
(1)図13〜図19中、球振分部材の状態変化に付帯して示されている矢印付き記号(A,B,C)は、その指示している期間内での回転速度を表している。
(2)図14または図15中、特定領域スイッチ52の有効期間内に遊技球の通過が検出された場合、メイン制御基板68は図16の処理に移行する。
(3)図16〜図19中、大入賞口の開放動作の終了時期は、18回目の閉鎖時または10個入賞時のいずれか早い方である。
(4)図16、図17中、大入賞口の開閉動作期間中に球停留部材の状態変化として破線で示されている部分は、原則として6カウント時に球停留部材44が作動状態に切り替えられることを表している。ただし、6カウントに至らなかった場合、球停留部材44は大入賞口26の18回目の閉鎖時に作動し、大入賞口26の開放前に6カウントに至った場合は、18回目の閉鎖時か10カウント時に作動する。
(5)図17、図18中、特定領域スイッチの立ち上がり時に球振分部材および球停留部材の状態変化としてそれぞれ破線で示されている部分は、これら球振分部材および球停留部材が前ラウンドで作動中であった場合はその時点で作動状態であり、逆に停止中であった場合は特定領域スイッチによる検出信号の立ち上がり時に停止状態から作動状態に変化することを表している。
(6)同様に図19中、特定領域スイッチの立ち上がり時に球停留部材の状態変化として破線で示されている部分は、球停留部材が前ラウンドで作動中であった場合はその時点で作動状態であり、逆に停止中であった場合は特定領域スイッチによる検出信号の立ち上がり時に停止状態から作動状態に変化することを表している。
(8.事象の説明)
以上のように、本実施形態のパチンコ機1においては、大当り遊技によって遊技者に特典が付与されるものとなっているが、その大当り遊技に移行する前の通常遊技状態においては、例えば以下に挙げる各種の事象が発生する。
(1)1回始動口12に遊技球が入賞するという事象。
(2)2回始動口14に遊技球が入賞するという事象。
(3)大入賞口26に遊技球が入賞するという事象。
(4)特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されて大当り遊技に移行する(V入賞)という事象。
加えて本実施形態では、上記(1)〜(4)の他に遊技者にとって興味深い事象として、以下の事象(5)が生じる。
(5)センター役物6内に受け入れられた遊技球が高確率経路38を通じて案内されるという事象。
上記(5)の事象が遊技者にとって興味深いものであるといえるのは、センター役物6内で遊技球が高確率経路38を通じて案内されると、その先でV入賞する確率が4分の1ときわめて高い状況であるため、遊技者の期待感が大きく高揚する場面であるからである。
(9.演出動作の内容)
本実施形態では、上記(1)〜(5)の事象のそれぞれについて演出動作として実行される内容が別々に設定されている。
図20は、上記(1)〜(5)の事象がいずれも生じていない状態で、液晶表示器40の画面に表示されている画像の一例を示している。この例では、画面中に警察官を模したコミカルなキャラクタが描かれており、このキャラクタが派出所を背景にして朝の立ち番をしている場面が通常の画像となっている。なお、この他にも背景やキャラクタの姿勢・ポーズ等は適宜変更することができるし、時間の経過に伴ってキャラクタが何らかの動きをする様子がアニメーションで表示されるものであってもよい。また警察官を模したキャラクタの他に、人物、動物、乗り物等を模したキャラクタが画面に登場する態様であってもよい。
次に図21は、上記(1)または(2)の事象に対応して液晶表示器40により表示される画像の一例を示している。この例では、それまで落ち着いて立ち番をしていたキャラクタが何かに驚き、焦った表情を見せている様子が描かれている。なお、実際の演出動作では、上記のスピーカ88による効果音・音声の出力を併用することができる(これ以降も同様。)。
このような画像および音声による演出の内容は、上記(1)または(2)の事象を契機として大入賞口26が開放されるため、その後の大当りの可能性が生じていることに関連して設定されたものである。
図22は、上記(3)の事象に対応して表示される画像の一例を示している。この例では、画面の上方から大きな球(遊技球をもしたもの)がずどんと落ちてきて、それまで画面内にいた先のキャラクタ(警察官を模したもの)が大球に押しつぶされる様子が描かれている。またこれに合わせて、上記のキャラクタ体42(センター役物6内で画面の右脇に設置されている)と同一の人物を模したキャラクタが画面内に現れ、落下してきた大球を箒で画面外へ掃き出す様子が連続的なアニメーションで描かれる。
なお、このようなアニメーション画像による演出の内容は、上記(3)の事象(大入賞口26に入賞したこと)に関連して設定されたものであり、さらには、大球が画面から掃き出されることで、おしくもV入賞を逃したことをも暗示する内容となっている。
また、上記(3)の事象に対応して表示される画像には、V入賞の可能性が高いことを報知する内容(V予告演出)のものも別に用意されており、この場合の画像は図21と異なった態様となる。
図23は、上記(4)の事象に対応して表示される画像の一例を示している。この例では、それまでの画面が一転して切り替わり、画面上に「大当り」の文字が装飾的に表示されるとともに、複数のキャラクタによる演出的な動作の様子が描かれている。
このような演出の内容は、上記(4)の事象(V入賞)が生じたことを祝福し、また、これを契機として大当り遊技が開始されることに関連して設定されたものである。
そして図24は、上記(5)の事象に対応して表示される画像の一例を示している。この例では、それまでの画面が一転して切り替わり、画面上に先のキャラクタの顔が振り向きざまにアップで表示され、さらにキャラクタが炎に包まれながら苦悶ともいえる表情をコミカルに見せる様子が描かれている。なお、このときスピーカ88からは、独特の効果音とともにキャラクタの発する奇声が演出的に出力されるものとなっている。
このような画像および音声による演出の内容は、上記(5)の事象がきわめて遊技者の期待感を大きく高揚させる性質のものであり、いわゆる「熱い状況」であることに関連して設定されたものである。
以上が上記の事象(1)〜(5)についてそれぞれ設定されている演出動作の具体的な内容であり、サブ制御基板70はこれら演出動作の実行を制御するべく液晶表示器40やスピーカ88の作動を制御する機能を有している。
加えて本実施形態では、各演出動作の実行中に重ねて他の事象が発生した場合は、以下のように複数の演出動作を円滑に交通整理することで、遊技者に対してより訴求力の高い演出動作を実現する機能を有している。
(10.演出制御手段)
図25は、サブ制御基板70により実行される演出処理の一例を示している。ここでは大当り遊技(特別遊技状態)に至るまでの通常の遊技状態で行われる演出を例として挙げており、大当り遊技で行われる演出(ラウンド抽選演出、ラウンド中演出、昇格演出、ラウンド継続演出、ラウンド終了演出等を含む)については説明を省略している。なお、以下では説明の便宜のため、サブ制御基板70による制御の実行主体を「サブCPU」と称するものとする。
ここでは先ず、サブCPUはコマンド入力または演出スイッチ入力の有無を判断し(ステップS1)、特にこれら入力がなければ(No)、そのまま入力待ち受けの状態を続ける。
なお、ここでいう「コマンド入力」とは、メイン制御基板68から送信されるコマンドの入力を意味する。ここでは、上記の1回始動口スイッチ76や2回始動口スイッチ78、大入賞口カウントスイッチ28、特定領域スイッチ52からの検出信号に基づいて、それぞれ対応した内容のコマンドがメイン制御基板68から送信されるものとなっている。また「演出スイッチ入力」とは、上記の高確率経路通過スイッチ39からサブ制御基板70に入力される検出信号を意味する。
以下の説明では、1回始動口スイッチ76の検出信号に対応するコマンドを「GO1入賞コマンド」と呼称し、2回始動口スイッチ78の検出信号に対応するコマンドを「GO2入賞コマンド」と呼称する。また、大入賞口カウントスイッチ28の検出信号に対応するコマンドを「カウントスイッチ入賞コマンド」と呼称し、特定領域スイッチ52の検出信号に対応するコマンドを「V入賞コマンド」と呼称するものとする。
上記のコマンド入力または演出スイッチ入力があると(ステップS1=Yes)、サブCPUは次にイベント優先順位判定処理を実行する(ステップS2)。この処理において、サブCPUはいずれの演出動作(図中では「JOB」と表記されている)を優先して実行するかの判断を行うことができる。
イベント優先順位判定処理を実行すると、サブCPUは次にコマンド実行フラグがONになっているか否かを判断する(ステップS3)。このコマンド実行フラグは、上記のイベント優先順位判定処理においてON/OFFされるものであり、サブCPUはこのイベント優先順位判定処理から図25の処理に復帰したとき、コマンド実行フラグがONになっていなければ(ステップS3=No)、そこで最初のステップS1に戻る。逆にコマンド実行フラグがONになっていれば(ステップS3=Yes)、サブCPUは次にイベント設定/実行処理を実行する(ステップS4)。このイベント設定/実行処理の内容については後述する。
(10−1.優先順位判定処理)
図26は、上記のイベント優先順位判定処理を具体的に示している。この判定処理の構成は、コマンド入力または演出スイッチ入力の種類を判別するステップS11〜S15が大きな柱となっており、ここでの判別結果(Yes)によってJOB番号と優先順位、そして、有効期間となるタイマー時間を仮設定するものとなっている。なお、コマンド入力がカウントスイッチ入賞コマンドであった場合(ステップS13=Yes)は、さらに下位判定(ステップS16〜S18)を行って細かく場合分けし、その上でJOB番号や優先順位、タイマー時間等が仮に割り振られる。以下、順を追って説明する。
コマンド入力の種類がGO1入賞コマンドであった場合(ステップS11=Yes)、サブCPUはそのときの事象に対応する演出動作に対してJOB番号を2、また優先順位を4として仮設定する。また合わせて、サブCPUはイベント実行に要する有効期間としてタイマー時間を4秒に仮設定する(ステップS19)。
コマンド入力の種類がGO2入賞コマンドであった場合(ステップS12=Yes)、サブCPUはそのときの事象に対応する演出動作に対してJOB番号を3、また優先順位を4として仮設定する。また合わせて、サブCPUはイベント実行に要する有効期間としてタイマー時間を6秒に仮設定する(ステップS20)。
次に、コマンド入力の種類がカウントスイッチ入賞コマンドであった場合(ステップS13=Yes)、サブCPUはさらに下位判定を行う。すなわち、ここでは大入賞口26への入賞という事象が発生していることになるが、果たしてその入賞が正常なものであったかどうかが最初に判定されるものとなっている(ステップS16)。なお、正常でない入賞の態様としては、例えば不正遊技者による不正行為によるものや、可動片24への遊技球の詰まりによる検出タイミング異常等が考えられる。これらの場合、サブCPUは大入賞口26への入賞が正常でないと判定し(ステップS16=No)、そのときの事象に対応する演出動作に対してJOB番号7を仮設定する。またサブCPUは、その優先順位を0(最優先)に仮設定し、タイマー時間を15秒に仮設定する(ステップS21)。
これに対し、ステップS16で正常カウント入賞と判断した場合、サブCPUはそのときの事象に対してV予告を付加するか否か(ステップS17)、または役物予告を付加するか否か(ステップS18)の判断を行う。ここで「V予告」とは、遊技球がV入賞しやすいタイミングで大入賞口26に入ったことを液晶表示器40の画像によって報知するための演出動作を意味し、もう一方の「役物予告」とは、同じくV入賞しやすいタイミングであるか、あるいは高確率経路38に送り込まれやすいタイミングで大入賞口26に入ったことを図11の予告演出キャラクタ64の出現によって報知するための演出動作を意味する。
このような判断は、遊技球が大入賞口カウントスイッチ28で検出されたタイミングと、そのときの球振分部材46の姿勢(回転角度)との相対関係から機械的に行うことができる。なお、この判断をサブ制御基板70で行うため、メイン制御基板68が上記のモータインデックスセンサ86からインデックス信号を受信すると、それに伴ってサブ制御基板70にモータインデックスコマンドが入力されるものとなっている。また、上記の「V予告」を行うための画像は、例えば図22に示される大球に近似した色違いの大球(赤色の大球)が落下してくる態様となっており、さらにその表面には予告演出キャラクタ64と同一のキャラクタ図柄が付されたものとして描かれている。
上記の「V予告」を付加すると判断した場合(ステップS17=Yes)、サブCPUはその演出動作に対してJOB番号を5、また優先順位を3として仮設定し、またタイマー時間を6秒に仮設定する(ステップS22)。
あるいは上記の「役物予告」を付加すると判断した場合(ステップS18=Yes)、サブCPUはその演出動作に対してJOB番号を6、また優先順位を3として仮設定し、またタイマー時間を6秒に仮設定する(ステップS23)。
これに対し、大入賞口26に遊技球が入賞しても上記いずれのタイミングにも該当していなければ(ステップS17=No,S18=No)、サブCPUはそのとき行うべき演出動作に対してJOB番号を4、また優先順位を3として仮設定し、またタイマー時間を6秒に仮設定する(ステップS24)。
サブ制御基板70に対してコマンド入力ではなく、演出スイッチ入力があった場合(ステップS14=Yes)、サブCPUはそのときの事象(遊技球が高確率経路38を通過)に対応する演出動作に対してJOB番号を8、また優先順位を2として仮設定する。また合わせて、イベント実行に要する有効期間としてタイマー時間を6秒に仮設定する(ステップS25)。
そして、サブ制御基板70に対してV入賞コマンドが入力された場合(ステップS15=Yes)、サブCPUはそのときの事象(V入賞)に対応する演出動作に対してJOB番号を9、また優先順位を1として仮設定する。また合わせて、イベント実行に要する有効期間としてタイマー時間を30秒に仮設定する(ステップS26)。
なお、メイン制御基板68からデモコマンドが入力された場合(ステップS27=Yes)、サブCPUはステップS28に進み(図中の結合子1)、その事象に対応するJOB番号を1、また優先順位を5として仮設定し、合わせてタイマー時間を30秒に仮設定する。
以下の表1は、上記のステップS19〜S26,S28によるJOB番号、優先順位およびタイマー時間の仮設定の結果を一覧にして示している。
Figure 2005270586
ここで、本実施形態においてJOBごとの優先順位は、遊技者が特典(大当り遊技)を得られる可能性(確率)の高い事象に対応したものほど高く設定されている(設定手段)。
例えば、事象(5)については、低確率経路36を通過した場合より高確率でV入賞の可能性があることから、これに対応するJOB番号8の優先順位は2であり、事象(4)に対応するJOB番号9の優先順位に次いで高く設定されている。
したがって、通常遊技中に高確率経路38を遊技球が通過した場合は、その他の事象(1)〜(3)に対するJOB番号2〜6に優先してJOB番号8の演出動作が実行されるので、この演出によって遊技者はV入賞への期待感を大きく高めながら遊技を実行することが可能になる。
なお、本実施形態では事象(1),(2)にそれぞれ対応するJOB番号2,3の間に優先順位の差が設けられていないが、単純に事象(2)の方が大入賞口26の開放回数が多く、それだけV入賞への可能性が高いともいえるため、JOB番号2よりもJOB番号3の優先順位を高めに設定してもよい。
あるいは、本実施形態においてJOBごとの優先順位は、各事象(1)〜(5)を契機として遊技者に与えられる可能性のある特典の大きさ(例えば出玉数等の利益)を基準として設定されていてもよい(設定手段)。
例えば、事象(4)については、大当り遊技に移行することで特典による利益が特に大きくなると見込まれることから、対応するJOB番号9の優先順位は1(高レベル)に設定されている。また事象(5)では高確率でV入賞の可能性があることから、その前段階で生じる事象(3)よりも可能性として特典による利益は大きいと見込まれるため、対応するJOB番号8の優先順位は2に設定されている。
またこのような観点から、特典による利益の大きさにそれほど差がない事象(1)と(2)については、対応するJOB番号2と3で優先順位の差が設けられていない(ともに3)。その他のJOB番号4〜6についても、同様の観点から優先順位の差が設けられていない(いずれも4)。ただし、事象(1),(2)よりも事象(3)の方が可能性としてV入賞に一歩近づいているといえるため、JOB番号2,3よりもJOB番号4〜6の方が優先順位は高く設定されている。なお、このような観点は常に一定である必要はなく、利益の大きさを別の尺度で判断する場合は優先順位を入れ替えてもよい。
これとは別に、上記の入賞異常時のJOB番号7では、不正行為や機械の動作不良を発見する観点から、優先順位は最も高く設定されているが、これは遊技者の利益には直接関係がない。なお、デモコマンド入力時はパチンコ機1が一時稼働を停止していると見込まれるため、JOB番号1の優先順位は最も低く設定されている。
以上のようにサブCPUにおいて優先順位の判定が行われると、次にサブCPUはステップS29に進み、そこで実行中のJOBがタイムアップしたか、つまり演出動作の有効期間が終了したか否かを判断する。このとき、実行中の演出動作が未だ有効期間であれば(ステップS29=No)、サブCPUは次に、現在実行中のJOB(演出動作)と仮設定したJOB(発生した事象に対応する演出動作)との間で優先順位を比較する(ステップS30)。
その結果、仮設定したJOBの優先順位が、実行中のJOBよりも高いか同じかのいずれかであれば(ステップS30=Yes)、サブCPUはコマンド実行フラグをONにして(ステップS31)、このイベント優先順位判定処理から抜け出す。逆に、仮設定したJOBの優先順位の方が低ければ(ステップS30=No)、サブCPUはコマンド実行フラグをOFFにして(ステップS32)、このイベント優先順位判定処理から抜け出す。
ここで、以上のステップS19〜S26による優先順位(0〜4)の仮設定には、そのとき発生している事象を細かく場合分けすることで、いずれの事象に対応する演出動作を優先して実行するべきかの判断をした結果が反映されている。
その上で、イベント優先順位判定処理のステップS30においては、現在実行中(有効期間中)の演出動作と、今回仮設定した演出動作の優先順位とを比較した結果、優先順位が高いか同じであった場合にだけコマンド実行フラグをONにする処理が行われている。
これにより、サブCPUがイベント優先順位判定処理を抜けて図25のルーチンに戻ったときは、コマンド実行フラグがONになっている場合にだけ次のイベント設定/実行処理に進むことになるので、現在実行中の演出動作よりも優先順位の低い演出動作を受け付けることなく、引き続き現在の演出動作が実行されることになる。
(10−2.イベント設定/実行処理)
図27は、イベント設定/実行処理を具体的に示している。ここでは先ず、先のイベント優先順位判定処理において仮設定されたJOB番号およびタイマー時間が、今回実行するべき演出動作に関するJOB番号およびタイマー時間としてそれぞれ正式に設定される(ステップS41)。そして、サブCPUは正式設定したタイマーの減算をスタートし(ステップS42)、また演出動作であるJOBの実行を開始する(ステップS43)。そして、サブCPUはコマンド実行フラグをOFFにすると(ステップS44)、図25の処理に戻る。
このように本実施形態では、パチンコ機1による遊技の進行中には上記(1)〜(5)の事象が入れ替わり立ち替わり発生するが、その都度、状況に応じてどの事象に対応する演出動作を優先して行うかを明確に定めているので、例えばある1つの事象に対応した演出動作の最中にその他の事象が発生した場合、それまでの演出動作が突然中断されて別の演出動作に不自然な形で切り替わるような事態が回避される。
(10−3.演出動作の制御例)
ここで、実際にパチンコ機1においてどのような演出動作の挙動がみられるか、一例を挙げて説明する。
(A.事象(1)が生じた場合)
いま、パチンコ機1による遊技が開始されて、最初に遊技球が1回始動口12に入賞した場合、つまり上記の事象(1)が発生した場合を考える。この場合、図26のステップS19を経てJOB番号が2、優先順位が4、タイマー時間4秒がそれぞれ仮設定される。
図26のステップS29では、現在減算途中のタイマーが正式設定されていないので(No)、ここでコマンド実行フラグがONになる(ステップS31)。
したがって、現在の事象(1)に関してJOB番号2の演出動作が実行され、例えば図21に示される画像が液晶表示器40に表示されるとともに、始動音等の効果音がスピーカ88から出力される。
(B.続いて事象(3)が生じた場合)
このとき演出動作(JOB)の有効期間は4秒であるが、その間に大入賞口26に入賞した場合、つまり、上記(3)の事象が発生したとすると、例えばステップS24を経てJOB番号が4、優先順位が3、タイマー時間が6秒としてそれぞれ仮設定される。
この場合、事象(1)に対応した演出動作の有効期間内にその他の事象(3)が生じたことで、いずれを優先させるかの判断が行われる(ステップS30)。この結果、今回仮設定された優先順位の方が高いと判断できるため、ここでコマンド実行フラグがONになる(ステップS31)。
そうすると、図27のイベント設定/実行処理において事象(3)に対応した演出動作が実行JOBとして正式設定されるので(ステップS41)、今回新たに発生した事象(3)に関してJOB番号4の演出動作が実行され、例えば図22に示される画像が液晶表示器40に表示されるとともに、効果音等がスピーカ88から出力される。
(C.さらに事象(5)が生じた場合)
さらに、このとき演出動作(JOB)の有効期間は6秒であるが、その間に遊技球が高確率経路38に案内された場合、つまり、上記(5)の事象が発生したとすると、ステップS25を経てJOB番号が8、優先順位が2、タイマー時間が6秒としてそれぞれ仮設定される。
この場合も同様に、事象(3)に対応した演出動作の有効期間内にその他の事象(5)が生じたことで、いずれを優先させるかの判断が行われる(ステップS30)。この結果、今回仮設定された優先順位の方が高いと判断できるため、ここでコマンド実行フラグがONになる(ステップS31)。
また同様に、図27のイベント設定/実行処理において事象(5)に対応した演出動作が実行JOBとして正式設定されるので(ステップS41)、今回新たに発生した事象(5)に関してJOB番号8の演出動作が実行され、例えば図24に示される画像が液晶表示器40に表示されるとともに、効果音等がスピーカ88から出力される。
(D.優先順位の低い演出動作の場合)
以上は後から生じた事象に対応する演出動作の優先順位が高い場合の例であるが、逆の場合もあり得る。
すなわち、JOB番号8の有効期間は6秒であるが、その間に例えば2回始動口14に入賞した場合、つまり、上記(2)の事象が発生した場合を考える。この場合、ステップS20を経てJOB番号が3、優先順位が3、タイマー時間が6秒としてそれぞれ仮設定される。しかし、この場合は今回仮設定された優先順位の方が現在実行中のものより低いと判断できるため、ここでコマンド実行フラグがOFFになる(ステップS32)。
そうすると、図25の処理に戻ったときにイベント設定/実行処理に進まないため、今回新たに発生した事象(2)に関して仮設定された内容は破棄(不採用)されることになる。これにより、引き続き有効期間内は図25に示される画像が液晶表示器40に表示されるとともに、効果音等がスピーカ88から出力されることとなる。
以上のとおり、本実施形態による実際の演出動作の挙動が一例によって明らかとなっているが、その他の事象が続いて生じた場合の演出動作についても、上記と同様に考えることができる。
また本実施形態において、上記の事象(5)の優先順位が高く設定されているのは、遊技球が高確率経路38を通過した場合、これを効果的に報知するためである。すなわち、遊技者にとって大入賞口26に入賞した遊技球が高確率経路38を通過するか、低確率経路36を通過するかは重大な関心事であって、これが報知されれば遊技者はさらに期待感を高揚させることになる。また、遊技球が高確率経路38を通過するのを見ていなかった遊技者であっても、優先順位の高い演出によって容易にこれを知り得る。
(E.有効期間の終了後)
一方で、事象(5)に対応した演出動作の有効期間は6秒であり、この有効期間が終了してしまった後(タイムアップ後)は、その他の事象(1)等が発生した場合にもはや優先順位の比較を行わない(ステップS29=Yes)。したがって、この場合はコマンド実行フラグがONになるため、新たに発生した事象(1)に対応する演出動作の優先順位が低かったとしても、その仮設定したJOB番号2の内容で演出動作が滞りなく実行されることになる。
なお、上記各JOBの設定に関して、実際の演出動作(開始から終了まで)に要する時間と、その有効期間の長さとは必ずしも一致していない。例えば、JOB番号8の演出動作についての有効期間は6秒であるが、この有効期間が終了しても演出動作そのものは継続して実行される。すなわち、JOB番号8の演出動作においては、最初の6秒間で図24に示される画像が表示された後、そこで有効期間が終了(タイムアップ)するが、そこから図20の画像表示に移行し、次の事象が発生するまでの間、図20の画像が表示された状態で演出動作が継続される。これにより、1つ1つの演出動作に切れ目が生じることがないので、遊技者からみて不自然な表示や違和感のある表示がされるのを防止することができ、極端な例でいうと画面がブラックアウトするような事態を回避することができる。なおJOB番号8の演出動作において、タイムアップ後に図20の画像に移行する際、画像中にキャラクタを置かず、背景画像だけによる演出を行うようにしてもよい。
(11.その他の実施形態についての言及)
以上は一実施形態についての説明であるが、本発明の実施の形態がこれに制約されることはない。以下に、その他の実施形態についていくつか例を挙げて言及する。
(1)一実施形態では、いわゆる羽根物タイプのパチンコ機を例に挙げているが、本発明はその他のタイプのパチンコ機としても実施可能である。
(2)図示とともに挙げた画像による演出動作はあくまで例示であり、その具体的な内容は適宜変更が可能である。
(3)一実施形態では事象(1)〜(5)を挙げているが、遊技機においてはその他の事象も発生し得る。したがって、本発明の実施に際しては、いろいろな事象を想定してそれぞれに演出動作や優先順位、有効期間を設定しておくことができる。
パチンコ機の正面図である。 センター役物の正面図である。 センター役物内で遊技球が低確率経路を通過する場合の斜視図である。 低確率経路の終端近傍で、遊技球が球停留部材に案内されて振分部材に向かう様子を示した平面図である。 低確率経路の終端近傍で遊技球が球停留部材に案内されることなく、一般入賞口に落下する様子を示した平面図である。 球経路変化部材の作動を説明するための斜視図である。 センター役物内で遊技球が高確率経路を通過する場合の斜視図である。 高確率経路を通過してステージ上に落下した遊技球の行き先(4通り)を示した平面図である。 球振分部材の一般入賞口案内部に入り込んだ遊技球の移動を表す図である。 球振分部材と特定領域スイッチとの関係を示した斜視図である。 予告演出キャラクタの出現動作を説明するための斜視図である。 パチンコ機の制御構成を概略的に示した図である。 電源投入時のタイミングチャートである。 1回始動口に遊技球が入賞した場合のタイミングチャートである。 2回始動口に遊技球が入賞した場合のタイミングチャートである。 大当り時(1ラウンド目)のタイミングチャートである。 大当り時(継続予定ラウンド)のタイミングチャートである。 大当り時(抽選による最終ラウンド)のタイミングチャートである。 大当り時(最終(15)ラウンド)のタイミングチャートである。 事象(1)に対応して表示される画像の一例を示した図である。 事象(2)に対応して表示される画像の一例を示した図である。 事象(3)に対応して表示される画像の一例を示した図である。 事象(4)に対応して表示される画像の一例を示した図である。 事象(5)に対応して表示される画像の一例を示した図である。 サブ制御基板にて実行される制御処理のフローチャートである。 イベント優先順位判定処理のフローチャートである。 イベント設定/実行処理のフローチャートである。
符号の説明
1 パチンコ機
2 遊技盤
6 センター役物
22 演出ボタン
40 液晶表示器
68 メイン制御基板
70 サブ制御基板

Claims (1)

  1. 遊技領域内に配設され、可動部材の作動時に入賞可能となる可変入賞装置と、
    前記可変入賞装置内に設けられ、入賞に伴い画像表示および音出力による演出を行う演出装置と、
    前記遊技領域内に配置されて演出動作を行う演出動作体とを具備したことを特徴とする遊技機。
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