JP2005270585A - 遊技機 - Google Patents

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高明 市原
Hideaki Ogami
英章 大上
Hiroshi Ishii
浩 石井
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Abstract

【課題】 可変入賞装置に遊技球が入ってからV入賞するまでの演出を効果的に行う。
【解決手段】 パチンコ機1の遊技領域内には、羽根部材となる可動片の開放時に入賞可能となるセンター役物6が設けられている。センター役物6内には液晶表示器が配置されており、この液晶表示器を用いて画像による演出を効果的に行うことができる。さらに液晶表示器の側方にキャラクタ体等の可動物が設置されているので、画像表示に合わせてキャラクタ体を作動させるといった興趣性の高い演出を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は例えば、表示装置を用いて画像を表示することができる遊技機に関する。
この種の遊技機に関する従来例として、特に画像による演出技術に優れた遊技機が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。この従来例の遊技機は、始動口への入賞を契機として特典付与の可否を決定し、このとき決定した可否の結果を図柄変動により遊技者に認識させることができる。図柄変動の表示態様としては、例えば表示装置の画面上を縦または横方向に3つの図柄が高速でスクロールし、一定時間の後に停止表示されるものを例として挙げることができ、特に図柄の変動停止時に所定の表示態様(例えば同種の図柄が3つ揃った状態)になると、遊技者に対する特典付与が決定(確定)する。また特典付与の内容には、一連の大当り遊技の機会だけを付与するものと、大当り遊技の後でさらに別の有利な特典(例えば確率変動)を付与するものとがあり、どちらが付与されたかは確定停止時に表示された図柄の種類(例えば通常図柄または確変図柄)によって報知される。
このように、通常は始動口に入賞しても、そのときの結果は図柄が確定停止表示されるまで遊技者が認識することはできないが、従来例の遊技機では、始動口への入賞によって図柄が変動表示される際、その背景画像が別の契機で切り替わるものとなっており、例えば抽選によって特定演出となる背景(雨降りの背景画像)が出現すると、図柄の確定停止時に確変大当りになる場合と、非確変大当りになる場合と、はずれになる場合とで雨降りの背景画像が終了するタイミングが異なったものとなる。このため遊技者は、雨降りの背景画像と確変大当りとを関連付けて認識することができるので、図柄の変動表示の他に背景画像の変化にも引きつけられながら興趣性の高い遊技を行うことができる。
特開2002−200281号公報(第2−3,7頁、図6)
従来例の遊技機は、特典付与の可否を決定づける図柄の変動表示に加えて、その際の背景画像の変化によって興趣性をさらに向上できる点で特に優れた演出技術を有している。しかし、その場合でも遊技者の立場から演出に関与する機会は与えられておらず、依然として遊技者は、機械的に決められた演出を容認しつつ受動的に遊技を行うことしかできない。
そこで本発明は、遊技者の立場から積極的に関わりを持つことができる演出技術の提供を課題としたものである。
(解決手段1)
本発明の遊技機は、遊技機本体に配設されて画像を表示する表示装置と、この表示装置により表示するべき画像を複数種類の表示パターンからなる画像情報として保有し、この保有する画像情報の中から選択した1つの表示パターンに基づいて表示装置による表示内容を制御する表示制御手段と、遊技の進行に伴い発生する事象に応じて所定時期を設定し、この所定時期が到来すると表示制御手段に対して表示パターンの選択対象を変更する契機を与える変更契機付与手段と、遊技者からの操作入力に基づく特定条件を設定し、この特定条件が満たされたと判断した場合に表示制御手段に対して表示パターンの選択対象の変更を指示する変更指示手段とを備えたものである。
上記の表示制御手段は、その保有する複数種類の表示パターンに基づく表示を選択的に切り替えることで、各種の画像を用いた演出を実行することができる。このとき、遊技中にはその進行に伴い各種の事象が発生しているが、こうした事象に応じて設定された所定時期(例えば、役物作動に関連したタイミング等)が到来すると、変更契機付与手段により表示パターンの選択対象を変更する機会が与えられる。したがって、遊技の進行状況に応じて遊技者が視認している表示装置の出力画像が変化するので、そこに視覚的な変化による面白みがあり、遊技者を飽きさせないという利点がある。
このように、表示装置の出力画像が視覚的に変化するということは、それだけ遊技者に対する訴求力が強く、そのときの遊技内容や遊技結果(当たり回数等)が記憶に残り易いという効果をもたらす。したがって、遊技者が本発明の遊技機に接するときは、それぞれ自己の経験に基づいた遊技結果を想起し、ある特定の画像が表示されているときに良好な遊技結果を得やすく(当たりやすい)、逆に別の画像が表示されているときには好ましくない遊技結果しか得られない(当たりにくい)といった発想に至る場合がある。この場合、遊技者が遊技を行うにあたり、上記のように個人の経験に基づいた発想を遊技の中に採り入れ、それを自分自身の楽しみとして遊技を行う傾向があるので、遊技者の中には、自己の経験に基づく良好な画像が表示されている状態で遊技をしたいとの希望が生まれることも考えられる。
本発明はこの点に着目し、遊技者による操作入力に応じて表示パターンの選択対象の変更を指示する構成を採用しており、これにより、遊技者がそれぞれ所望する画像が表示された状態で遊技を楽しむことができるものとなっている。
ただし、操作入力があったことだけをもって画像の表示内容を変更するのでは、誤操作等により容易かつ頻繁に画像の表示内容が切り替わることもあって煩わしい。このため本発明の遊技機では、操作入力に関して特定条件を設定し、この特定条件が満たされた場合にだけ表示制御手段に対して表示パターンの選択対象の変更が有効に指示されるものとなっている。
またこのような構成は、さらに遊技者の行動原理について従来にない新たな効果をもたらす。すなわち、本発明の遊技機において遊技者が所望の画像を表示させようとする場合、ただ漫然と操作を行っていただけでは特定条件を満たさないため、特定条件を満たすために操作を集中して行うことになる。このような行動が一部の遊技者に見受けられると、それが周囲の遊技者に対する強烈なアピールとなり、周囲の遊技者にも同様の行動を促す効果が生じる。したがって、より多くの遊技者が本発明の遊技機の機能を有効に活用し、それぞれ自己の楽しみを反映しながら興趣性の高い遊技を行うことができる。また、この点を遊技場運営主体からみれば、顧客である遊技者の多くが熱心に遊技に取り組むことになり、その結果、稼働の向上につながると見込まれる。
(解決手段2)
上記の解決手段1において、変更指示手段は、遊技機本体に配設されて遊技者が操作可能な操作部を含み、この操作部に対する操作入力が所定時間内で所定回数に達すると、上記の特定条件が満たされたと判断する態様が好ましい。
このような態様であれば、単純な誤操作や無意識に操作部に触れただけで画像の表示内容が変更されることがなく、頻繁に表示内容が変更されることによる煩わしさがない。
(解決手段3)
また本発明の遊技機は上記の解決手段1,2において、遊技者による操作入力に応じて所定の操作入力情報を遊技者に報知する報知手段をさらに備えていてもよい。
上記のように、操作入力に基づく特定条件が設定されている場合、この特定条件を満たすように遊技者は操作をする必要があるが、果たして自己がどの程度の操作入力を行ったかを情報として知ることかできれば、特定条件を満たすまでの目安を付けることができる。特に、上記の解決手段2のように特定条件として所定時間内での操作回数が設定されている場合、規定の回数に達するまでの目安を容易に付けることができ、遊技者にとって利便となる。
(解決手段4)
あるいは、上記の解決手段1から3において、表示制御手段は、画像情報として保有する複数種類の表示パターンとは別に特定種類の表示パターンをさらに保有しており、変更指示手段により表示パターンの選択対象の変更を指示された場合、特定種類の表示パターンを変更後の選択対象とすることもできる。
この場合、遊技者が特に操作入力を加えることなく、遊技機任せで受け身的に画像の表示内容の変更を待っているのとは異なり、遊技者が積極関与した場合にだけ表示される特定種類の画像の下で遊技を行う機会が与えられるため、より熱心に遊技を実行することができる。
(解決手段5)
また本発明の遊技機は、その本体に配設されて画像を表示する表示装置と、この表示装置により表示するべき画像を複数種類の表示パターンからなる画像情報として保有し、この保有する画像情報の中から選択した1つの表示パターンに基づいて表示装置による表示内容を制御する表示制御手段と、遊技の進行に伴い発生する事象に応じて所定時期を設定し、この所定時期が到来すると表示制御手段に対して表示パターンの選択対象を変更する契機を与える変更契機付与手段と、遊技者からの操作入力に基づいて変更契機付与手段とは別に表示制御手段に対して表示パターンの選択対象を変更する契機を与える特定変更契機付与手段とを備えることもできる。
このような態様であれば、本来は画像の表示内容の変更が表示制御手段による選択対象の変更のみに委ねられていたとしても、その変更の契機を遊技者が積極的に与えることができるので、遊技者は単なる受け身の姿勢ではなく、積極的に演出に関与しながら遊技を行うことができる。
なお上記の解決手段5については、解決手段1〜4の構成要素と組み合わせて本発明の遊技機を構成することができる。したがって、特定変更契機付与手段は、例えば上記の特定条件が満たされた場合に機能する構成を採ることもできる。
本発明の遊技機によれば、表示装置による演出が行われるとともに、その表示内容の変化に合わせて演出動作体が作動されるので、より一層の演出効果が付加される。
以下、本発明をパチンコ機に適用した一実施形態について、次に掲げる項目に沿って各対応図面を参照しながら説明する。
1.一実施形態の概要(図1)
2.入賞装置(図2)
2−1.大入賞口
2−2.球経路変化部材
2−3.第1,第2通過経路
2−4.球停留部材
2−5.球振分部材
3.遊技球の動作
3−1.低確率経路の通過時(図3)
3−1−1.球停留部材の非動作時(図4)
3−1−2.球停留部材の作動時(図5)
3−2.高確率経路の通過時(図7)
3−2−1.不均一化部材
3−2−2.球振分部材上での挙動(図8)
3−3.球振分動作(図9,図10)
3−3−1.低確率経路の場合の振分動作
3−3−2.高確率経路の場合の振分動作
4.演出要素の補足(図11)
5.制御系の構成(図12)
5−1.メイン制御基板
5−2.サブ制御基板
6.制御処理の内容
6−1.電源投入時(図13)
6−2.1回始動口への入賞時(図14)
6−3.2回始動口への入賞時(図15)
6−4.特別遊技状態
6−4−1.ラウンド実行手段(図16,図17)
6−4−2.継続手段
6−4−3.入賞案内手段
A.案内動作の実行
B.案内動作の停止
6−4−4.入賞機会付与手段(図18)
A.大入賞口の開閉動作との同期
B.不均一化手段
6−5.最終ラウンド(図19)
7.タイミングチャートに関する補足
8.演出例
8−1.表示パターン(図20〜図22)
8−2.表示制御手段
8−3.表示パターンの選択
8−4.変更契機付与手段
8−5.変更指示手段
8−6.特定条件
8−7.報知手段(図23)
8−8.特定種類の表示パターン
8−9.特定変更契機付与手段
9.その他の実施形態についての言及
(1.一実施形態の概要)
図1は、本発明の一実施形態となるパチンコ機1を示している。このパチンコ機1は、いわゆる「羽根物」と称される種類に属するものである。
パチンコ機1は大きく分けて枠体2および遊技盤4から構成されており、枠体2の内側に遊技盤4が着脱可能に設置されている。遊技盤4の前面(盤面)にはほぼ円形の遊技領域が形成されており、ここでの盤面構成によってパチンコ機1の機種が特徴付けられている。
遊技領域内には、そのほぼ中央にひときわ大きく目を引くセンター役物6が配置されており、このセンター役物6は入賞装置としての機能を果たすものとなっている。センター役物6の左右には普通入賞口8,10が配置されているほか、その下方の位置に左右一対の1回始動口12および中央位置に1つの2回始動口14が配列されている。その他にも、遊技領域には各種の装飾体や装飾ランプ、風車、図示しない多数の障害釘(いずれも参照符号なし)が設けられているが、これら構成要素には公知のものを適用可能であるため、ここでは個々の説明を省略する。
一方の枠体2には、その前面(ガラス枠)に多数の装飾ランプ2aが配設されており、これら装飾ランプ2aは遊技の進行状況に応じて発光装飾による演出を施す用途に用いられる。また図1には示されていないが、枠体2の内部にはスピーカが配設されており、これらスピーカは遊技の進行状況に応じて音響出力による演出を施す用途に用いられる。
枠体2の前面側にて、遊技盤4の下方の位置には上皿16および下皿18が形成されており、これらは遊技球の受皿となる。また枠体2の前面には、その右下隅の位置に発射ハンドル20が配置されており、遊技者は発射ハンドル20をひねり操作することで、所望の強さで遊技球を発射させることができる。その他にも、本実施形態では上皿16の左位置にプッシュ式の演出ボタン22が配置されており、この演出ボタン22は遊技者が適宜プッシュ操作可能となっている。
(2.入賞装置)
図2は、上記のセンター役物6を具体的に示している。センター役物6は左右一対の可動片(羽根部材)24を有しており、これら可動片24は図中に実線で示されるように左右方向に開いた状態と、2点鎖線で示されるように内側寄りに閉じた位置との間で変位することができる。これら可動片24が開いた位置にあるとき、センター役物6の大入賞口26が開放された状態となる。センター役物6の背後には図示しない大入賞口ソレノイドが配設されており、左右一対の可動片24は大入賞口ソレノイドにより駆動される。
(2−1.大入賞口)
通常、センター役物6が作動されていない場合、図2中の2点鎖線で示されているように可動片24は閉じた位置にあり、それゆえ大入賞口26は閉塞された状態にある。一方、遊技中に上記の1回始動口12または2回始動口14に入賞すると、これを契機としてセンター役物6が作動される。これにより、図2中に実線で示されているように一対の可動片24が開いた位置に移動し、大入賞口26が所定時間(例えば0.4秒程度)だけ開放されて遊技球の入賞を可能とする。可動片24の開閉動作は、1回始動口12および2回始動口14にそれぞれ割り当てられている開閉回数(1回または2回)だけ行われる。なお、1回始動口12に入賞した場合と2回始動口14に入賞した場合とで大入賞口26の開放時間を異ならせてもよい。
センター役物6内には、左右の大入賞口26にそれぞれ対応して大入賞口カウントスイッチ28が配設されている。各大入賞口26に入賞した遊技球は、対応する大入賞口カウントスイッチ28により通過を検出、つまり入賞個数をカウントされる。
またセンター役物6内には、左右の大入賞口26の間をつなぐようにして球寄せ通路30が形成されており、各大入賞口26から受け入れられた遊技球は球寄せ通路30上を転がり、その中央位置へ集められる。球寄せ通路30の中央近傍には、センター役物6の奥方向に開口した球入口32が形成されており、球寄せ通路30上を転がって中央位置に集められた遊技球は、球入口32を通ってセンター役物6の奥方向へさらに転がり込む。
(2−2.球経路変化部材)
センター役物6内には、球寄せ通路30よりも奥側位置に球経路変化部材(シーソー状部材)34が配設されており、上記の球入口32を通って転がってきた遊技球は、ここで球経路変化部材34に受け止められる。球経路変化部材34は左右方向に延びる球案内面34aを有しており、この球案内面34a上にて遊技球を左右方向に案内することができる。また、球経路変化部材34は正面からみて左右に揺動することができ、このときの揺動は遊技者からみると、あたかもシーソー運動をしているかのように視認される。
図2に示されている状態では、球経路変化部材34がちょうど左側へ傾いており(左下がり)、この状態で遊技球は球案内面34a上を転がって左方向へ案内される。また図示されていないが、逆に球経路変化部材34が右側へ傾いた状態(右下がり)に変化すると、遊技球は球案内面34a上を転がって右方向へ案内されることになる。
(2−3.第1,第2通過経路)
図2中に破線で示されているように、センター役物6内には球経路変化部材34の左右にそれぞれ低確率経路36および高確率経路38が形成されている。これら2本の経路36,38は球経路変化部材34の左右両端にそれぞれ連なるようにして配置されており、上記の球案内面34a上を左右いずれか一方に転がった遊技球は、低確率経路36または高確率経路38に案内されるようにして送出される。
また低確率経路36および高確率経路38は、球経路変化部材34から左右方向に延び、センター役物6の両側縁部に沿って下方に屈曲されている。一方、センター役物6の中央には液晶表示器40が配置されており、2本の経路36,38はちょうど、液晶表示器40の上縁からその両側を取り囲むようにして延びている。
このうち、低確率経路36は液晶表示器40の下方位置で手前側へ屈曲された後、センター役物6の下縁部の前端に沿って右方向へ回り込むようにして延びている。もう一方の高確率経路38は、液晶表示器40の下方位置で左方向へ屈曲された後、液晶表示器40の下縁に沿ってその中央付近まで延びている。またセンター役物6内には、高確率経路38の途中に高確率経路通過スイッチ(演出用検出スイッチ)39が配置されており、高確率経路38を通過する遊技球は高確率経路通過スイッチ39により検出される。
(2−4.球停留部材)
またセンター役物6内には、上記の液晶表示器40の右脇にキャラクタ体42が設置されている。このキャラクタ体42は、箒を手にして掃き掃除をしている人物を模したものであり、ソレノイドと内部リンク機構(いずれも図示されていない)の働きにより、箒を左右に振りながら頭を左右に揺り動かすような動きをすることができる。
本実施形態では、キャラクタ体42が手にしている箒の先端(下端)がちょうど上記の低確率経路36の終端近傍に臨むようにして配置されており、この箒状の部材を遊技球の動きに働きかける球停留部材44として機能させることができる。具体的には、上記のようなキャラクタ体42の動きによって球停留部材44の位置を変化させるとき、そのときの位置(左または右)によって低確率経路36を通過してきた遊技球に対する作用が異なったものとなる。なお、球停留部材44の作用についてはさらに後述する。
(2−5.球振分部材)
センター役物6内には、液晶表示器40の下方位置に回転式の球振分部材46が配設されており、この球振分部材46はセンター役物6内での遊技球の流れ方向でみて、上記の低確率経路36および高確率経路38よりも下流に位置付けられている。図2ではその外形が明示されていないが、球振分部材46は厚みを有した円盤状の回転体からなり、図示しないモータによって一方向に回転されている。
球振分部材46は、上記の低確率経路36または高確率経路38を通過してきた遊技球を受け止め、その行き先を特定入賞口(ここでは特定領域の一態様となるもの)および一般入賞口のいずれか一方に振り分ける働きをなす。なお図2には、特定入賞口および一般入賞口は図示されていない。
またセンター役物6内には、球振分部材46の下方に2通りの球放出通路48,50が形成されており、このうち一方(ここでは左側)の球放出通路48には、特定領域スイッチ(特定入賞口検出スイッチ)52が設置されている。センター役物6内で特定入賞口に入り込んだ(特定領域を通過した)遊技球は、この特定領域スイッチ52により検出された後に放出される。なお、一般入賞口に入り込んだ遊技球は、右側の球放出通路50を通ってそのまま放出される。
(3.遊技球の動作)
次に、実際の遊技中におけるセンター役物6内での遊技球の動作態様(転動・案内・振分等)について説明する。
(3−1.低確率経路の通過時)
図3は、センター役物6の各所(上部および前面側)を部分的に切断または破断した状態で、これを立体的に示している。大入賞口26に入賞した遊技球が球経路変化部材34によって左方向へ案内されると、図3中の矢印で示されているように、その遊技球は低確率経路36を通じて案内されることになる。
低確率経路36を通じて案内される遊技球は、センター役物6の下縁部まで流下すると、上記の球振分部材46の手前側を横切り、そして奥側へ回り込むようにして転動する。そして低確率経路36の終端近傍の位置に遊技球が達すると、その転動方向が上記の球停留部材44によって影響されることになる。
図4は、センター役物6の内部を具体的に示している。球振分部材46の周縁には、その周方向に等間隔を存してU字形状の切欠が複数(この例では8つ)形成されている。これら切欠内には遊技球を1個ずつ受け入れることができ、このうち特定の1つの切欠が特定入賞口案内部46aであり、その他(7つ)の切欠は全て一般入賞口案内部46bとなっている。
特定入賞口案内部46aは、他の一般入賞口案内部46bよりも中心に向かってより深く切欠が形成されており、形態面で一般入賞口案内部46bとは区別されている。また特定入賞口案内部46aの周囲には、これを視覚的に際だたせるために装飾的な縁取りが施されているほか、球振分部材46の中心寄り位置にアルファベットの「V」をデザインした装飾体があしらわれている。
(3−1−1.球停留部材の非動作時)
上記の球停留部材44は、低確率経路36に対しその側方(この例では右側方)から進退するようにして往復動することができる。センター役物6内には球停留部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)54が装備されており、このソレノイド54はリンク機構(全体は図示されていない)を介して球停留部材44を作動(進退)させることができる。本実施形態では、ソレノイド54に通電されていない(非励磁)場合、球停留部材44が非動作となり、このとき低確率経路36に対して前進した状態に保持されるものとなっている。
図4に示されているように、球停留部材44が非動作の場合、その先端部分は低確率経路36内に右側方から進入した状態にある。この状態で、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44の先端部分に当接し、このとき図中の矢印で示されるように球振分部材46に向かって転動するように案内される。
上記の各入賞口案内部46a,46bは球振分部材46の周縁から径方向に開口しているため、転動してくる遊技球を受け入れ可能な相対関係にある。一方、通常遊技状態等では球振分部材46が一定方向(上からみて時計回り方向)に回転されているため、8つの入賞口案内部46a,46bの全てに各8分の1の確率で遊技球が入り込む可能性がある。
(3−1−2.球停留部材の作動時)
次に図5は、球停留部材44の作動時を示している。ソレノイド54に通電されると、球停留部材44が作動状態となり、その先端部分は低確率経路36から外側方に退避する。この場合、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44に当接することなく、そのまま球振分部材46の側方を素通りする。上記の一般入賞口56は低確率経路36の終端位置に形成されており、ここまで達した遊技球は一般入賞口56に入り込んで、そのまま上記の球放出通路50を通じて放出される。
(3−2.高確率経路の通過時)
図6は、球経路変化部材34の動作機構を示している。上記のように、センター役物6内には球経路変化部材34に付設して球経路変化部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)58が配置されている。ソレノイド58が通電されていない(非励磁)状態では、図6中の実線で示されているように球経路変化部材34は正面からみて左側へ倒れた状態にあり、本実施形態では、この状態を球経路変化部材34の停止状態として説明する。
これに対しソレノイド58が通電されると、図6中の2点鎖線で示されるように、機構要素58a,58b等を介して球経路変化部材34の一端部(この例では左端部)が引き上げられるので、上記のように球経路変化部材34が右側へ倒れた状態(作動状態)となる。
図7は、センター役物6内で遊技球が高確率経路38を通じて案内されるときの様子を示している。球経路変化部材34が作動されるタイミングで遊技球が転動してくると、その遊技球は左方向へ案内されて高確率経路38に送り込まれる。なお図7では、センター役物6の各所(上部および前面側)が部分的に切断または破断された状態で示されている。
(3−2−1.不均一化部材)
液晶表示器40の下方で、高確率経路38の下流部分は球振分部材46の上方にせり出すようにして延びており、さらにその終端位置に球落下部38aが形成されている。球落下部38aは、その下端に穴が形成されており、この穴を通じて遊技球を落下させることができる。球落下部38aは、ちょうど球振分部材46の中央(正確な中心とは限らない)の直上に位置しており、上記の穴から落下した遊技球は、球振分部材46上に落下する。
球落下部38aの下端にある穴は、遊技球がちょうど1個だけ通り抜けられる大きさに形成されているが、その上方には漏斗形状(またはテーパ形状、すり鉢形状)の滑らかな案内面が形成されている。このため図7中の矢印で示されるように、高確率経路38を転動してきた遊技球は球落下部38aに到達すると、そこで漏斗形状の案内面に沿って旋回し、そして、次第に勢いを弱めながら下端の穴に落下する。このとき遊技球が球落下部38aから落下するまでに要する時間は常に一定でなく、遊技球の転がり具合(球落下部38aに進入するときの勢いや進入経路)によって不均一となるし、同型の製品であっても製品個体差等が生じることとなる。あるいは、同一のパチンコ機1に限っても、そのときの台の傾斜や設置状況、経年変化等による影響が生じるため、球落下部38aを通って遊技球が落下するまでに要する時間(移動時間)はほとんど一定していない。なお、このような球落下部38aの機能は、いわゆる「一穴クルーン」に相当するものとなっている。
(3−2−2.球振分部材上での挙動)
図8は、球振分部材46上での遊技球の挙動を示している。球振分部材46の上面には、中央にやや大きめのステージ46cが形成されており、上記のように球落下部38aから落下した遊技球は、ステージ46c上のほぼ中央に着地する。ステージ46cの周囲は4つの隔壁46dによって囲まれているが、これら隔壁46d同士の切れ目部分には遊技球が通過できるだけの通路が確保されている。
一方、ステージ46cは、その上面が中高に盛り上がった形状をなしている。このためステージ46c上に落下した遊技球は、図8中の矢印で示されるように各切れ目部分を通って4方向に転動する可能性がある。このとき切れ目部分の1つは特定入賞口案内部46aにつながっているため、ステージ46c上に落下した遊技球は4分の1の確率で特定入賞口案内部46aに入り込むことができる。
(3−3.球振分動作)
図9は、一般入賞口案内部46bに遊技球が入り込んだ場合の球振分動作を示している。上記のとおり、一般入賞口案内部46bは球振分部材46の周縁からみて比較的浅い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径より僅かに大きい程度であるため、一般入賞口案内部46bに入り込んだ遊技球は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面に押しつけられながら球振分部材46の回転に伴い周方向に移送される(図9中(a))。
図9には一部のみ示されているが、本実施形態で特定領域の一態様となる特定入賞口60は球振分部材46の下方に形成されており、さらに特定入賞口60は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面から距離を置いて内側寄りに位置している。このため遊技球は、一般入賞口案内部46bに入り込んだ状態で特定入賞口60の上方に位置付けられたとしても、そこから特定入賞口60内に落下することができず、その上方を素通りして移送されることとなる。
この後、図9中(b)に示されているように、球振分部材46の回転に伴い遊技球がぐるりと周回して一般入賞口50の後方(時計回りで2時の方向)まで移送されると、遊技球は一般入賞口案内部46b内から放出される。放出された遊技球は案内面62上を転動し、一般入賞口50内に落下する。
これに対し、特定入賞口案内部46aは比較的深い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径よりも充分に大きい。さらに特定入賞口案内部46aには、球振分部材46の周縁に沿って球留め46eが形成されており、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は、球留め46eよりも奥まった位置で保持される。このため、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46を取り囲む周壁面から少し離れた状態、つまり球振分部材46のやや内側寄りに位置しながら回転方向に移送されることになる。
図10は、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球が移送される様子を示している。上記のように、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46の周囲を取り囲む周壁面から内側寄りに位置付けられているので(図10中(a))、特定入賞口60の上方に遊技球が位置付けられると、そのまま特定入賞口60内に落下、つまり特定領域を通過することができる。また、特定入賞口60への遊技球の落下(以下、「V入賞」と呼称する。)は、上記の特定領域スイッチ52により検出される。なお、本実施形態では便宜上「特定入賞口」、「V入賞」等の語を用いているが、これはあくまで特定入賞口60への遊技球の落下が契機となって何らかの特典が発生することを想起させるためであって、実際に遊技球が盤の裏側へ導かれたり、賞球されたりすることを必須とするものではない。
以上のように、球振分部材46は遊技球を受け止めると、これを特定入賞口案内部46aまたは一般入賞口案内部46bに受け入れた状態で回転することにより、遊技球の行き先を特定入賞口60および一般入賞口50のいずれか一方に振り分ける働きをする。振り分け先は、遊技球が特定入賞口案内部46aに入り込むか、それとも一般入賞口案内部46bに入り込むかによって決まるが、遊技球がいずれの案内部に入り込むかは、遊技球を受け止めたときの球振分部材46の姿勢によって異なる。
(3−3−1.低確率経路の場合の振分動作)
遊技球が低確率経路36を通過してきた場合、球振分部材46はその外周方向から遊技球を受け止めることになる。この場合、8つの案内部46a,46bの全てに遊技球が入り込む可能性があるが、実際には遊技球が低確率経路36の終端近傍から転がってくるタイミングで、8つのうちいずれの案内部46a,46bが遊技球に相対するかによって入り込む先が自ずと決まる。
したがって、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が特定入賞口案内部46aを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球はそのまま特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が一般入賞口案内部46bを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
このとき、全8つのうち特定入賞口案内部46aは1つであるため、結果的に低確率経路36を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率は8分の1になる。ただし、この確率は遊技球が球停留部材44に案内されることを前提にしたものであり、上記のように球停留部材44が後退していると、球振分部材46に受け止められることなく、そのまま一般入賞口50に入り込むこともある。なお、本実施形態では遊技球が一般入賞口50に入り込んだことを契機とした特典は取り立てて用意されていないが、その前段階で先に大入賞口26への入球が検出されたときに賞球払出がなされている。
(3−3−2.高確率経路の場合の振分動作)
遊技球が高確率経路38を通じて案内されてきた場合も同様に考えることができる。この場合、球振分部材46はそのステージ46c上にて遊技球を受け止めることになるため、上記のように特定入賞口案内部46aか、3つの一般入賞口案内部46bのいずれか1つに遊技球が入り込む可能性がある。ただし、実際にはステージ46cの下り傾斜がより大きい方向へ遊技球は転がる傾向にあるため、球振分部材46の設計上、ステージ46cに一定の傾斜(例えば手前側に下り傾斜を有する等)が与えられている場合、その傾斜に基づいた遊技球の振分動作が行われる。
したがって、上記の傾斜で考えると、球振分部材46がそのステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに、特定入賞口案内部46aを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は傾斜にしたがって特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、球振分部材46がステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに他の3つの一般入賞口案内部46bを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
したがって、高確率経路38を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率が4分の1となり、結果的に低確率経路36を通じて案内される場合よりもV入賞の確率が高くなっているといえる。
(4.演出要素の補足)
上記のセンター役物6については、各所に装飾的なデザインが施されているほか、演出要素として内部に装飾用ランプ/LED(特に図示されていない)が配置されている。装飾用ランプ/LEDは遊技の進行状況に応じて発光装飾による演出を行ったり、またパチンコ機1の待ち受け中等においてデモンストレーション発光を行ったりすることができる。
また図11は、センター役物6に付設されている予告演出キャラクタ64を具体的に示している。この予告演出キャラクタ64は、センター役物6において左右の大入賞口26の間から出現可能(図2を参照)に配置されており、具体的には図11に示される演出用ソレノイド(キャラクタ駆動ソレノイド)66によって駆動され、このとき遊技者から視認されるように出現する。
予告演出キャラクタ64は通常、センター役物6の奥側へ倒れ込んだ状態で隠れているが、一定の条件下で演出用ソレノイド66が通電されたときに出現する。すなわち、演出用ソレノイド66が通電されると、機構要素66aを介して予告演出キャラクタ64が約90°だけ手前側へ旋回し、図示のように手前側へ起き上がった状態となる。
通常遊技状態においては、例えば大入賞口カウントスイッチ28で遊技球が検出されたタイミングと、そのときの球振分部材46の姿勢(回転角度)との相対関係に基づき、遊技球が特定入賞口案内部46aに入りやすいタイミングである場合に予告演出キャラクタ64が出現するものとなっている。
また別の態様として、大入賞口カウントスイッチ28で遊技球が検出されたタイミングと、そのときの球経路変化部材34の姿勢(左右いずれに揺動するか)との相対関係に基づき、遊技球が高確率経路38に送り込まれやすいタイミングである場合に予告演出キャラクタ64が出現するものとなっている。
さらに本実施形態の場合、予告演出キャラクタ64の出現に合わせて、その周囲を装飾用ランプ/LEDの照明によりライトアップさせたり、効果音を発生させたりすることで視覚的・聴覚的に予告演出による効果を高めるものとしている。
(5.制御系の構成)
次に、パチンコ機1による遊技動作や演出動作を制御するための構成について説明する。
図12は、パチンコ機1の電子機器類に関する構成の一部を概略的に示している。パチンコ機1は、遊技動作を制御するためのメイン制御基板(主基板)68や各種の演出動作を制御するためのサブ制御基板70を有しており、これら基板類が互いに配線を通じて接続されているほか、各基板にそれぞれ付随して電子機器類が接続されている。これら基板類はいずれもパチンコ機1の裏面側に配置されており、通常、遊技者からは視認されない。
またメイン制御基板68には払出制御基板72が接続されており、この払出制御基板72は図示しない賞球装置の作動を制御する。払出制御基板72にはさらに発射制御基板74が接続されており、この発射制御基板74は図示しない発射モータの作動を制御している。
なおパチンコ機1には、その他にも電源ユニット基板やインタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、これらについては公知のものを適用できるため、図示とともにその説明を省略する。
(5−1.メイン制御基板)
メイン制御基板68は、図示しないCPUやRAM、ROM、入出力インタフェース等の電子部品類を備えている。メイン制御基板68には上記の大入賞口カウントスイッチ28や特定領域スイッチ52が接続されているほか、1回始動口スイッチ76や2回始動口スイッチ78、その他入賞口スイッチ80等のセンサ類が接続されている。このうち、1回,2回始動口スイッチ76,78はそれぞれ対応する1回,2回始動口12,14への入賞があったことを検出し、その検出信号をメイン制御基板68に出力する。また、普通入賞口8,10やセンター役物6の天入賞口への入賞は、それぞれに対応して複数設置されているその他の入賞口スイッチ80により検出され、その検出信号がメイン制御基板68に出力される。
一方、上記の大入賞口ソレノイド82をはじめ球経路変化部ソレノイド58、球停留部ソレノイド54等の駆動要素は、それぞれメイン制御基板68からの駆動信号に基づいて作動を制御されるものとなっている。
さらに、センター役物6内には球振分部モータ84が装備されており、この球振分部モータ84はメイン制御基板68からの指令信号に基づいて球振分部材46を回転させることができる。また球振分部モータ84にはモータインデックスセンサ86が付設されており、このモータインデックスセンサ86からメイン制御基板68にインデックス信号が入力されるものとなっている。
(5−2.サブ制御基板)
また演出要素として、上記のスピーカ88や演出用ランプ/LED90等はサブ制御基板70に接続されている。パチンコ機1による遊技の進行中、サブ制御基板70はメイン制御基板68から送信される指令信号に基づいて演出動作を制御し、一定の演出パターンにしたがって音響出力や発光装飾等による演出を制御している。上記の演出用ソレノイド66もまたサブ制御基板70に接続されており、予告演出キャラクタ64の出現動作はサブ制御基板70により制御されている。
また画像を用いた演出要素として、上記の液晶表示器40は液晶制御基板92を介してサブ制御基板70に接続されており、液晶表示器40に対する描画コマンドはサブ制御基板70から出力されるものとなっている。
なお、本実施形態ではセンター役物6内で高確率経路38に遊技球が送り込まれた場合、特別に優先順位の高い演出を行うため、上記の高確率経路通過スイッチ39がサブ制御基板70に接続されている。サブ制御基板70は高確率経路通過スイッチ39から検出信号を受け取ると、通常の表示画像に優先させて特別な演出表示を実行する。
(6.制御処理の内容)
次に、上記のメイン制御基板68やサブ制御基板70による制御処理の内容について説明する。なお、以下の説明では主に、センター役物6の動作に関する制御内容を取り上げている。また、以下では説明の便宜上、それぞれの制御を実行する中心的な主体として、メイン制御基板68による制御処理の実行主体を「メインCPU」、またサブ制御基板70による制御処理の実行主体を「サブCPU」とそれぞれ称する場合がある。
(6−1.電源投入時)
図13は、電源投入時の処理および各種スイッチ類の状態をタイミングチャートとして示している。なお図13以降において、各種部材の「作動状態」は、それぞれ対応するソレノイドまたはモータ等が通電・駆動されていることを意味し、逆に「停止状態」は、ソレノイドまたはモータ等が非通電・非駆動であることを意味する。
パチンコ機1の電源が投入されると、メイン制御基板68のCPU(上記の「メインCPU」)は自己診断処理および停電復旧処理を実行し、前回の電源断時にバックアップされた遊技内容を引き継いで通常処理を開始する。
図13のタイミングチャートに沿って説明すると、先ず電源投入によって各始動口スイッチ76,78の検出機能が有効化される。これにより、1回始動口12および2回始動口14について、それぞれ遊技球が入ることによってセンター役物6の作動を開始する機能(始動機能)と賞球動作を行う機能(賞球機能)がともに有効になる。
電源投入時には通常、上記の始動口スイッチ76,78からの入力信号は未入賞の状態であって、大入賞口26は閉鎖された状態にある(大入賞口ソレノイド82非通電)。またこの場合、特定領域スイッチ52の機能は無効にされている。
一方、センター役物6内においては、球経路変化部材34および球停留部材44がいずれも停止状態となっているが、球振分部材46は電源投入により作動状態となる。このとき球振分部材46は、一定の回転速度A(例えば1回転につき1.9秒程度)で回転される。
(6−2.1回始動口への入賞時)
図14は、通常遊技中に1回始動口12への入賞があった場合の処理を示している。この場合、メインCPUに1回始動口スイッチ76から検出信号が入力されると(未入賞→入賞)、メインCPUは各始動口スイッチ76,78の機能(始動機能)を無効化させるとともに、特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。そして、メインCPUは所定時間(例えば1004ms)経過後に大入賞口ソレノイド82を作動させ、大入賞口26を1回(例えば400ms)開放させる。なお図14以降のタイミングチャート中、各始動口スイッチ76,78の機能が無効にされている間は、上記の始動機能が無効になるだけであって、賞球機能は引き続き有効である。
大入賞口26の開放動作に関連して、メインCPUは球経路変化部材34を一定のパターンにしたがって間欠的に2回だけ作動させる。これにより、大入賞口26に入賞した遊技球が低確率経路36または高確率経路38のいずれかに案内されることになる。
また1回始動口12への入賞があると、メインCPUは球振分部材46を回転速度C(例えば1回転につき5.6秒程度)に減速させるとともに、球停留部材44を作動状態と停止状態とに交互に切り替える。これにより、球停留部材44が低確率経路36に対して退避または進入する動作を交互に行い、これに合わせて上記のキャラクタ体42が左右に首を振る動作が演出的に実施される。球停留部材44の作動状態と停止状態とは周期的に切り替えられ、この間にソレノイド54はおおむね50%のデューティ率で駆動される。したがって図14中、球停留部材44の作動時間aと停止時間bとはほぼ同じに設定されている(a>b,a<b,a=bでもよい)。また、球停留部材44の作動時間aおよび停止時間bについては、図15においても同様とすることができる。
この後、メインCPUは大入賞口26を閉鎖させてから所定時間(例えば0.4秒)が経過すると始動口スイッチ76,78の機能を復帰(有効化)させる。また合わせて、大入賞口26を閉鎖させてから一定時間(例えば8秒)が経過すると、そこで特定領域スイッチ52の機能を無効化させるとともに、球振分部材46の作動状態を回転速度Aに復帰させる(回転速度C→A)。
(6−3.2回始動口への入賞時)
図15は、通常遊技中に2回始動口14への入賞があった場合の処理を示している。この場合、メインCPUに2回始動口スイッチ78から検出信号が入力されると(未入賞→入賞)、メインCPUは各始動口スイッチ76,78の機能を無効化させるとともに、特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。そして、メインCPUは所定時間(例えば1004ms)経過後に大入賞口ソレノイド82を作動させ、大入賞口26を間欠的に2回(例えば400msずつ)開放させる。また、1回目の開放と2回目の開放との間には、所定の待機時間(例えば1004ms)が確保されている。
上記のような大入賞口26の開放動作(2回分)に関連して、メインCPUは球経路変化部材34を一定のパターンにしたがって間欠的に3回作動させる。これにより、大入賞口26に入賞した遊技球が高確率経路38に案内される機会が比較的多く与えられる。
また2回始動口14への入賞があると、メインCPUは球振分部材46を回転速度Cに減速させるとともに、球停留部材44を作動状態と停止状態とに交互に切り替える。これにより、球停留部材44が低確率経路36に対して退避または進入する動作を交互に行い、これに合わせて上記のキャラクタ体42が左右に首を振る動作が演出的に実施される。
このとき球停留部材44の動作時間は1回始動口12への入賞があった場合よりも長く、また球停留部材44の作動状態と停止状態とが周期的に切り替えられる回数も多く設定されている。なお、ソレノイド54の駆動デューティ率はおおむね50%であって1回始動口12への入賞時と同様でよい。
同様に、メインCPUは大入賞口26を閉鎖させてから所定時間(例えば0.4秒)が経過すると始動口スイッチ76,78の機能を復帰(有効化)させる。また、大入賞口26を閉鎖させてから一定時間(例えば8秒)が経過すると、そこで特定領域スイッチ52の機能を無効化させるとともに、球振分部材46の作動状態を回転速度Aに復帰させる(回転速度C→A)処理も1回始動口12への入賞時と同様である。
なお本実施形態では、図14,15において1回始動口12または2回始動口14への入賞を契機に大入賞口26が開かれる際、球振分部材46の回転速度を変化(A→C)させているため、例えば球振分部材46の特定の回転角度を狙って数個分ずつ遊技球を発射し、それによって大当りを狙い打ちするような遊技方法が通用しない仕様となっている。
(6−4.特別遊技状態)
次に図16は、センター役物6内で遊技球がV入賞した場合の処理を示している。本実施形態のパチンコ機1においては、通常遊技状態でV入賞すると、特別遊技状態(大当り遊技)に移行する。
図16に示されているように、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されると(ON)、これを契機として大当り遊技に移行する。
(6−4−1.ラウンド実行手段)
大当り遊技に移行すると、これによりセンター役物6が所定の動作パターンで作動される。このときの動作パターンは、大入賞口26の開閉動作を周期的に繰り返すものであり、その開放回数は最大で18回まで設定されている。
上記のように、大当り遊技として大入賞口24の開閉が開始される前に所定の演出時間が設けられており、この間にいわゆるラウンド抽選演出が行われる。抽選そのものは、この大当りのきっかけとなった1回始動口12または2回始動口14に遊技球が入賞したタイミングで行われているが、ラウンド抽選演出は液晶表示器40によるアニメーション表示とスピーカ88からの音響出力によって実行される。
またメインCPUは、特定領域スイッチ52から検出信号を受信すると球振分部材46の作動状態を最初に回転速度B(例えば1回転につき3.7秒程度)に切り替え、続いて回転速度Aに切り替える。
このように、上記のラウンド抽選演出が進行している間に球振分部材46の回転速度が2段階に切り替えられ、この過程でモータインデックスセンサ86から3回目のインデックス信号をメインCPUが受信すると、そこで球振分部材46の回転が停止される。本実施形態の場合、インデックス信号を受信したタイミングで球振分部材46が停止されると、この状態で特定入賞口案内部46aが低確率経路36の終端(遊技球を受け入れ可能な方向)に相対するようにして位置付けられる。また、球経路変化部材34は停止状態で保持されているので、この間、遊技球を低確率経路36に案内する姿勢に固定されたままとなる。
上記のラウンド抽選演出が終了し、遊技者に対して一応の当選ラウンド告知が行われると、大当り遊技のシーケンスにしたがってメインCPUは大入賞口26の開閉動作を開始させる。また、これに合わせてメインCPUは特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。
(6−4−2.継続手段)
本実施形態の場合、大当り遊技は最大で15ラウンドまで継続可能であり、1ラウンドの終了条件は、例えば以下の(1)〜(3)のいずれかが満たされることである。
(1)大入賞口24の開閉回数が18回に達したとき。
(2)大入賞口24に入賞した遊技球の数が10個に達したとき。
(3)遊技球が特定領域スイッチ52により検出されたとき。
また、大当り遊技において次ラウンドへの継続条件は、遊技球が特定領域スイッチ52により検出されること、つまりV入賞することである。ただし、15ラウンド目においては遊技球が特定領域スイッチ52により検出されてもラウンド継続は行われない。
またラウンド抽選は、1回始動口12または2回始動口14に遊技球が入賞したタイミングでメインCPUにより取得されたカウンタ値を元に行われる。抽選されるラウンド数は2ラウンド、7ラウンド、15ラウンドであり、その確率は各々3分の1である。
(6−4−3.入賞案内手段)
上記の抽選結果にかかわらず、大当り遊技に移行してから1回目のラウンドについては、常に次ラウンドに継続されることが予定されている。あるいは、抽選結果が15ラウンドとなった場合、2回目〜14回目の全てのラウンドについて次ラウンドへの継続が予定されている。
(A.案内動作の実行)
これらの場合、図16に示されているように、ラウンド実行中は球経路変化部材34が遊技球を低確率経路36に案内する状態にあるが、その上で、球振分部材46が特定入賞口案内部46aにて遊技球を受け止めやすい姿勢で停止し、かつ、球停留部材44が低確率経路36内に向けて前進した状態にある。したがって、ラウンド実行中に大入賞口26に入賞した遊技球は、その1個目が先ず低確率経路36を通って特定入賞口案内部46aに案内される。
この後、大入賞口26への入賞球が2個〜5個と増えていくと、センター役物6内では特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球(入賞1個目)を先頭に、そこから後続の遊技球(入賞2個目〜5個目)が低確率経路36内に1列をなして停留することになる。
ただし、大入賞口26の開放が18回に達する前に6個目の入賞球がカウントされると、図16中の破線で示されているように、6カウント目の検出信号に基づいてメインCPUは球停留部材44を作動させる。この場合、球停留部材44が低確率経路36から外側へ退避した状態になるので、それまで停留していた遊技球(3個目〜5個目)は支えを失い、そのまま低確率経路36の下流方向へ転動して一般入賞口50に落下する。
またメインCPUは、ラウンド(1区切り分)をひとまず終了する場合、大入賞口カウントスイッチ28により遊技球が10個検出されるか、もしくは大入賞口24が18回開閉されるかのいずれか早い方のタイミングをきっかけとして、そこから所定時間(例えば1.8秒)経過後に球振分部材46の回転を再開させる。このとき1個目の入賞球が既に特定入賞口案内部46aに入り込んでいるので、その遊技球は確実にV入賞する。この結果、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されるので、次ラウンドへの継続が確定する。
ただし、上記のように次ラウンドへの継続が予定されている場合であっても、遊技者が大入賞口26に入賞させられなかった場合は継続条件が満たされず、そこで大当り遊技は終了となる。この場合、図16に示されているように、大入賞口26の開閉動作が停止されてから所定時間(例えば8秒)が経過すると、メインCPUは各始動口スイッチ76,78の機能を有効化する一方で特定領域スイッチ52の機能を無効化する。また、合わせてメインCPUは球振分部材46の作動状態を回転速度A(高速)に復帰させるとともに、球停留部材44を停止状態に復帰させる。
図17は、大当り遊技中に継続されたラウンドでの処理を示している。処理の内容はほとんど図16の場合と同様であるが、ここではラウンド抽選演出のための期間が用意されていない分、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されてから、大入賞口26の開閉動作が開始されるまでの時間(例えば4秒)が短縮されている。
(B.案内動作の停止)
図16および図17の処理はあくまで、次ラウンドへの継続が予定されている場合の内容である。これに対し、ラウンド抽選の結果が2ラウンドまたは7ラウンドであった場合、原則として3ラウンド目以降または8ラウンド目以降への継続は予定されていない。このため、ラウンド抽選の結果が2ラウンドまたは7ラウンドのときは、当該ラウンド(2ラウンド目または7ラウンド目)では、積極的に次ラウンドに移行させるための処理(案内動作)が行われない。
図18は、次ラウンドへの継続が予定されていない場合の処理、すなわち、ラウンド抽選の結果、最終ラウンドとして決定された2ラウンド目または7ラウンド目の処理を示している。この場合、メインCPUは2ラウンド目または7ラウンド目の開始時(大入賞口26の開放前)に一旦、球振分部材46を定位置で停止させた後、大入賞口26の開閉動作を開始するタイミングに同期させて球振分部材46の回転を開始させる(時刻ts)。これ以降は球振分部材46の回転が維持され、ラウンド中は球振分部材46が一定速度B(中速)で回転したままとなる。
また、これに合わせてメインCPUは球停留部材44の前進/後退動作を繰り返し実行するが、この動作もまた球振分部材46の回転に同期して行われており、ここでも球停留部材44は、おおむね50%のデューティ率で前進状態と後退状態に駆動される。
したがって、このときメインCPUは、例えば低確率経路36の終端近傍に特定入賞口案内部46aが相対するタイミングで球停留部材44を後退させ、逆に一般入賞口案内部46bが相対するタイミングでは球停留部材44を前進させることにより、低確率経路36を通過してきた遊技球を特定入賞口案内部46aへ案内する動作を停止することができる。
(6−4−4.入賞機会付与手段)
上記の2ラウンド目または7ラウンド目においてV入賞しなかった場合、ラウンド継続条件が満たされないので、当該ラウンドで大当り遊技は終了となる。ただし、本実施形態のパチンコ機1は、遊技者の技術介入によってラウンド継続が可能となる(V入賞が可能となる)仕様を有しており、以下にその具体的な仕様について説明する。
すなわち本実施形態では、技術介入によってV入賞を可能とする機会がラウンド中の特定タイミングに1度だけ設けられている仕様となっており、その特定タイミングとは、大入賞口26への入賞球が7カウント目に達したときである。この特定タイミングで大入賞口26に入賞した遊技球(7個目)に対し、例えば以下の態様でV入賞の機会が与えられるものとなっている。
先ず、大入賞口26への入賞球が6カウントに達するまでの間(時刻ts〜時刻tc)は、メインCPUは球経路変化部材34を停止状態で固定しているため、この間に大入賞口26に入賞した遊技球はいずれも低確率経路36に送り込まれる。遊技球はその終端近傍で球停留部材44に案内された場合は一般入賞口案内部46bに入り込み、逆に球案内部材44に案内されない場合はそののまま一般入賞口50に落下する。
これに対し、入賞球が7カウントに達すると(時刻tc)、メインCPUはこれを契機として球経路変化部材34を所定時間だけ(例えば1.2秒)作動させる。これにより、7カウント目に入賞した遊技球は、ほぼ確実に高確率経路38に送り込まれることになる。この場合、遊技球は高確率経路38を通過して球振分部材46のステージ46a上に落下するので、そこから4分の1の確率で特定入賞口案内部46aに入り込むことができる。
またこの場合、7カウント目に入賞した遊技球には、球停留部材44による案内動作とは無関係にV入賞の機会が与えられており、そのときのV入賞確率は4分の1と比較的高く設定されている。したがって、遊技者がただ漫然と遊技を行っていた場合であっても、大入賞口26に7個入賞させることができれば、必ず4分の1の確率でV入賞する機会、つまり、ラウンド継続に挑戦する機会が与えられる。その結果、漫然と遊技行っていた遊技者でも、7カウント目まで入賞させることができれば、そこでラウンド継続を獲得できる可能性があることを知ることになり、自然と遊技に対するモチベーションが高まる。
上記のようなパチンコ機1の仕様は、その内容を具体的に情報として遊技者が認識しているか否かにかかわらず、万人に等しく恩恵をもたらすことができる点できわめて優れる。このような仕様による有用性は、あまり熟練度の高くない遊技者(初心者)や情報に疎い遊技者、もともと技術介入に興味のない遊技者等がパチンコ機1で遊技を行った場合に顕著となる。
また、本実施形態では7カウント目の入賞球をそれまでと違うルート(高確率経路38)に案内することができるため、視覚的な変化によってV入賞の機会が与えられていることを遊技者が認識し易い。したがって、たとえ遊技者が技術介入の仕様を情報として知らなかった場合であっても、本実施形態のパチンコ機1では遊技球の動きを一見しただけでその仕様を容易に理解することができ、万人にとって分かりやすく、また面白みのある遊技を提供することができる。
(A.大入賞口の開閉動作との同期)
本実施形態のパチンコ機1による技術介入の仕様には、単に7カウント目にチャンスが訪れるというだけでなく、さらに一段進んで、より高度な要素が付加されている。
すなわち、継続が予定されていないラウンドでは、上記のように大入賞口24の1回目の開閉動作が開始されるタイミングに合わせて球振分部材46の回転が開始される(時刻ts)。このとき、大入賞口26の開閉動作は一定周期で繰り返されており、また球振分部材46の回転速度(角速度)は一定であるため、これらの動作開始時を起点として考えると、球振分部材46の姿勢(回転角度)と大入賞口24が開放されるタイミングとが一定の相対関係をもって同期することになる。
このため、より深い観察力・探求心をもった遊技者であれば、大入賞口26の開放動作のタイミングと球振分部材46の回転角度との相対関係を理解した上で遊技を行うことが可能となる。したがって、例えば遊技者がパチンコ機1をよくよく観察するうち、何回目の開放タイミングに7カウント目の入賞をさせると、その先でV入賞しやすい傾向にあるかを遊技者が見極めることも可能である。ここまで行き着いた遊技者であれば、他の平均的な遊技者よりも一段と技術介入の楽しみが増えるし、その成果としてのラウンド継続に大きな満足感を覚えることができる。
(B.不均一化手段)
ただし、機械的にいつも決まった挙動ばかり続くとすると、いずれ遊技者に飽きが来て、技術介入に対する面白みが半減することもある。この点、本実施形態のパチンコ機1では、高確率経路38の終端位置に上記の球落下部(一穴クルーン)38aが形成されていることから、そこで遊技球が旋回しながら落下することで落下までに要する時間に不均一が生じることになる。
この場合、大入賞口26の開閉動作のタイミングと球振分部材46の回転角度との相対関係に基づき、遊技者が7カウント目でV入賞しやすい開放タイミングを一応は見極めることができたとしても、大入賞口26に入った先で遊技球が常に同じ挙動(入球してから球振分部材46に受け止められるまでの移動時間)を示すとは限らない。これにより、遊技者の飽きの到来を遅くすることができるし、また、遊技者の技術の差による出玉の差を少なくすることができる。
また、遊技者が一通りの仕様を理解した上で遊技を行った場合であっても、技術介入によるラウンド継続に成功するか否かは、パチンコ機1の製品個体差や偶然の影響によるばらつきが生じてくるため、そこに別の観点からみた面白みの要素が付加される。したがって、技術介入に積極的な遊技者にとっては、製品個体差による不均一要素をも見極めながら遊技を行う楽しみが増えるので、さらに突っ込んでパチンコ機1の仕様や特性を研究した遊技者にとっては、自己の技術介入による成功はもとより、ホールでの立ち回りや台選び等の成果に多大な満足感を得ることができる。
(6−5.最終ラウンド)
図19は、最終ラウンド(15ラウンド)での処理を示している。始動口12,14の入賞時に行われた抽選で15ラウンドとなった場合だけでなく、2ラウンドまたは7ラウンドの抽選結果にもかかわらず、15ラウンドまで大当り遊技を継続することができた場合、その最終ラウンドでは以下の処理が行われる。
ここでは先ず、特定領域スイッチ52による検出信号が入力されると、メインCPUは特定領域スイッチ52の機能を無効化した後、そのままラウンド終了まで有効化させることはない。またメインCPUは、モータインデックスセンサ86からのインデックス信号に基づき球振分部材46を一旦停止させるが、大入賞口26の開放が開始されるタイミングに合わせて、球振分部材46の回転を開始させる。さらに、これに合わせて球停留部材44が作動状態に切り替えられ、そのままラウンド終了まで維持される。その一方で、球経路変化部材34はラウンド終了まで停止状態のままであるので、大入賞口26に入賞した遊技球は低確率経路36を通過し、球振分部材46に受け止められることなく、単に一般入賞口50に落下することになる。
以上の処理を通じて最終ラウンドではV入賞が回避されるので、大入賞口26への入賞が10カウントに達するか、大入賞口26が18回開放されるかのいずれかの条件が満たされると、それによって最終ラウンドが終了となるので、メインCPUは一連の大当り遊技処理を終了する。
(7.タイミングチャートに関する補足)
以上で図13〜図19のタイミングチャートを参照した処理の説明を終えるが、これら図面の記載について補足すべき点を以下に挙げておく。
(1)図13〜図19中、球振分部材の状態変化に付帯して示されている矢印付き記号(A,B,C)は、その指示している期間内での回転速度を表している。
(2)図14または図15中、特定領域スイッチ52の有効期間内に遊技球の通過が検出された場合、メインCPUは図16の処理に移行する。
(3)図16〜図19中、大入賞口の開放動作の終了時期は、18回目の閉鎖時または10個入賞時のいずれか早い方である。
(4)図16、図17中、大入賞口の開閉動作期間中に球停留部材の状態変化として破線で示されている部分は、原則として6カウント時に球停留部材44が作動状態に切り替えられることを表している。ただし、6カウントに至らなかった場合、球停留部材44は大入賞口26の18回目の閉鎖時に作動し、大入賞口26の開放前に6カウントに至った場合は、18回目の閉鎖時か10カウント時に作動する。
(5)図17、図18中、特定領域スイッチの立ち上がり時に球振分部材および球停留部材の状態変化としてそれぞれ破線で示されている部分は、これら球振分部材および球停留部材が前ラウンドで作動中であった場合はその時点で作動状態であり、逆に停止中であった場合は特定領域スイッチによる検出信号の立ち上がり時に停止状態から作動状態に変化することを表している。
(6)同様に図19中、特定領域スイッチの立ち上がり時に球停留部材の状態変化として破線で示されている部分は、球停留部材が前ラウンドで作動中であった場合はその時点で作動状態であり、逆に停止中であった場合は特定領域スイッチによる検出信号の立ち上がり時に停止状態から作動状態に変化することを表している。
(8.演出例)
次に、本実施形態のパチンコ機1における実際の演出内容についていくつか例を挙げて説明する。ここでの演出例には、主に上記の液晶表示器40による画像の表示に関するものをとりあげる。
(8−1.表示パターン)
図20から図22は、液晶表示器40に表示される画像の表示パターンの例を示している。これら画像に共通した内容は、何らかの背景の中に警察官を模したコミカルなキャラクタが存在している点であるが、以下のように背景の種類に応じてキャラクタが異なった行動・ポーズをとっている点で場面・情景の相違がある。
具体的には、
(1)背景として派出所が描かれており、その前で警察官が朝の立ち番をしている場面(図20)。
(2)背景として夏季の居室内の様子が描かれており、そこに寝そべった警察官がテレビを視ながら休憩をとっている場面(図21)。
(3)背景として夕方の執務室内の様子が描かれており、そこで執務中の警察官が食事をしながら考え事をしている場面(図22)。
なお、上記(1)〜(3)の各場面は基本となる描写を例示したものであり、それぞれの場面において時間の経過とともに背景の中で警察官を模したキャラクタが動いたり、その他のキャラクタ(人物、動物、乗り物等)が出現したりするものとなっている。このため、各場面は単なる固定された画像と異なり、遊技者からみて「果たして次にキャラクタがどのような動きをし、また、どのような新キャラクタが出現するのか」等を探求する楽しみを含むものとなっている。
(8−2.表示制御手段)
上記(1)〜(3)の場面で表される画像を実際の出力画像として液晶表示器40に表示させるため、サブ制御基板70の記憶装置には複数種類の表示パターンからなる画像情報が記憶されている。サブ制御基板70はその中から選択した1つの場面、つまり表示パターンに基づいて液晶表示器40の表示内容を制御することができる。
(8−3.表示パターンの選択)
また本実施形態では、サブ制御基板70が上記(1)〜(3)の場面のいずれに対応した表示パターンを選択の対象とするかを抽選で決定するものとしている。すなわち、サブ制御基板70において表示パターンの選択対象を変更する契機がおとずれると、例えば20分の1の確率で抽選が行われ、その結果、上記(1)〜(3)の場面を選択的に切り替える処理が行われる。
(8−4.変更契機付与手段)
なお、このような選択対象の変更をサブ制御基板70が行う契機として、メイン制御基板68から役物動作終了コマンドを受信した場合(所定時期)を好適な例として挙げることができる。役物動作終了コマンドは、センター役物6の動作が終了したことを表す信号であり、例えば上記の各始動口12,14への入賞を契機としてセンター役物6が作動した後、特にV入賞することなくその動作が終了した場合と、大当り遊技が終了してセンター役物6の動作が終了した場合にそれぞれメイン制御基板68から出力される。上記の制御処理の例(図14〜図19)でいえば、大入賞口26が最後に閉鎖されてから一定時間(例えば8秒)内にV入賞が検出されない場合、メイン制御基板68から役物動作終了コマンドが出力されるものとなっている。
これにより、遊技中に発生した各種事象(始動口への入賞、大当り遊技)の終了に伴い、サブ制御基板70にて抽選が行われる結果、液晶表示器40に表示される画像がランダムに切り替えられることになる。したがって、遊技者は上記(1)〜(3)の場面の転換によって視覚的な変化による面白みを感じることができ、比較的長時間にわたって遊技を行っていても、そうそう飽きが来ることはない。また、役物動作終了時に画像(表示の基調となる背景)の切替がなされる態様であれば、それは遊技者にとってきりのいいタイミングであるため、視覚的な変化が現れたとしても違和感を覚えるようなことはない。
(8−5.変更指示手段)
以上のように、本実施形態では遊技者に飽きが来ないための配慮がなされているが、遊技者としては、自己の好みに応じて画像(画面に表示されている背景)の切り替えを所望する場合がある。その理由は、遊技者が遊技するにあたり、自分の遊技経験に照らし合わせて、どの背景が表示されているときに当たりやすく、別の背景のときには当たりにくいなどといった個人的な経験則を有していることがあり、このような個人的な経験則を遊技に織り込みながら自分自身の楽しみとして遊技する傾向があるからである。また、遊技中の気分転換の一環として、遊技者が単に視覚的な変化を求めて画像の変更を望むような場合があることも事実である。
このような要望に応えるために本実施形態においては、上記の演出ボタン(操作部)22を遊技者が任意に押し込み操作することで、液晶表示器40に表示されている画像、つまり、表示の基調となる背景の切り替えを可能とする構成が用意されている。その概略的な構成は、例えば演出ボタン22が押し込み操作されると、その操作入力によって操作信号がサブ制御基板70に入力されるので、この操作信号に基づいてサブ制御基板70が強制的に背景を切り替える処理を実行するものである。
(8−6.特定条件)
このような演出ボタン22の操作に基づく背景の切り替えは、単に操作ボタン22が1回押し込み操作されるだけで実現される態様であってもよいが、本実施形態においては、例えば10秒間に30回以上ボタンが押された場合にサブ制御基板70において背景を切り替える処理が実行されるものとなっている。
このように、本実施形態においては演出ボタン22を遊技者に何回も操作させた上で背景を切り替える処理が採用されていることから、単純な演出ボタン22の押し間違いや、無意識な接触による誤動作を防止することができる。その一方で、遊技場において演出ボタン22を何回も押している(つまり活用している)遊技者がいれば、その状況が他の遊技者に興味深くアピールされることにもつながるので、一部の遊技者による演出ボタン22の活用がさらに周囲の遊技者に波及し、その機能を積極的に活用する遊技者が増えることも見込まれる。また、遊技場運営主体にとってみれば、多数の遊技者が演出ボタン22の操作に興味を示すことは、それだけ遊技者の熱心度が高まるとともに稼働の向上につながると見込まれることから、遊技者および遊技場の双方にとって大きなメリットを生じる。
(8−7.報知手段)
次に図23は、演出ボタン22の操作中における液晶表示器40の画面を示している。ここでは上記(2)の場面(居室内)が背景として表示されているが、遊技者が背景の変更を所望して演出ボタン22の操作を行った場合、画面の下方にカエルを模したキャラクタ(またはアイコン)が表示されるものとなっている。
このとき、まだ画面上にカエルが1匹も表示されていない状態(図21)で、最初に遊技者が演出ボタン22の操作を1回行った場合、その操作信号に基づいてサブ制御基板70がキャラクタの表示処理を行い、画面の左下にカエルを1匹だけ出現させる。このときの表示態様は、例えばカエルがぴょこんと跳びはねるポーズ(図23中、左から4匹目のカエルを参照)をとって出現し、その後、アニメーション的に姿勢を変化させて着地した状態(図23中、左から3匹のカエル全て)となる。
また、あわせてサブ制御基板70は、演出ボタン22の操作信号に基づき効果音を出力する処理を実行する。これにより、上記のカエルの出現に合わせてカエルの鳴き声(「ケロケロ」、「ゲコゲコ」等)や、カエルが跳びはねる様子を表す擬音(「ピョコン」、「ボヨン」等)がスピーカ88から演出的に出力される。
また画面上に表示されるカエルは、演出ボタン22の操作回数に応じて数が増えていくものとなっており、例えば3回の操作までは画面の左下に1匹だけカエルが表示されており、次に4回目の操作があると、その隣(右側)に並んでカエルが2匹に増えた状態で表示される。
この後、続けて演出ボタン22が3回押し込み操作されるごとに1匹の割合で表示されるカエルの数が増え、操作回数が28回目のとき、画面下方の左端から右端までいっぱいに10匹のカエルがずらりと並んで表示される(この様子は図示されていない)。また、この表示過程において、演出ボタン22が続けて操作(いわゆる連打)されるときの時間間隔の長短に応じて表示内容に変化が与えられており、例えばある1回の操作と次の操作までの間隔が比較的短ければ、現在表示されているカエルがそろって瞬きをする様子がアニメーションとして表示され、逆に操作間隔が比較的長いと、そのとき表示されているカエルが一斉にジャンプして表示されるといった演出が加味されている。
いずれにしても、10秒間で演出ボタン22の操作回数が30回に達すると、画面下方に表示された10匹のカエルが効果音を伴って拡大表示され、ある程度の大きさまで拡大されると、そこで破裂したかのようにして消滅する様子が効果音を伴って表示される。そして、このような一連の演出表示を経ると、液晶表示器40の表示内容が別の背景(例えば上記(3)の場面にある背景)に切り替わった状態に変更される。なお、このとき変更される背景は、それまで表示されていた背景以外(例えば上記(1),(2))のいずれかにランダムに切り替わるものであってもよいし、一定の順番で規則的に切り替わるものであってもよい。
上記のように多数回にわたって演出ボタン22を押している間、遊技者は自分がこれまで何回くらい演出ボタン22を押した(操作した)のか数えていなかったとしても、遊技者が演出ボタン22を押した回数に応じてカエルの数が増えていくことから、遊技者は容易に押した回数の目安を付けることができる。また、最終的に背景が切り替わるための条件(特定条件)に対応してカエルの表示数(10匹)が設定されており、さらに、カエルの並びが画面下方の左端から右端に行き着いた後で背景が切り替えられるため、遊技者があと何回くらい演出ボタン22を操作すればよいのか(カエルが右端いっぱいまで揃うか)を予測することができるという利点がある。
なお、演出ボタン22の操作回数を報知するものは、カエル等のキャラクタを用いたものの他にランプの点灯やレベルゲージによって表示するものであってもよいし、回数をカウントする音声によって報知するものであってもよい。
(8−8.特定種類の表示パターン)
さらに、画像の基調となる背景の表示パターンは3種類(図20〜図22)のものが用意されているが、例えば遊技者が演出ボタン22を活用して背景を切り替えたときにだけ出現する特定種類の表示パターンが用意されている態様であってもよい。このような特定種類の表示パターンとしては、例えば、「街中を背景として警察官を模したキャラクタがパトロールしている場面」や「キャラクタが犯人を捜索または追跡している場面」等を挙げることができ、これらの要素を追加すれば、遊技者は通常の遊技状態では視ることのできない画面を表示させた状態で遊技をしようと考え、さらに熱心に演出ボタン22の操作を行うことが見込まれる。
(8−9.特定変更契機付与手段)
以上の例は、演出ボタン22の操作入力に応じて強制的に背景の切り替え処理を実行するものであるが、その他の例として、演出ボタン22の操作入力に応じてサブ制御基板70による抽選の機会を遊技者に与えるものを挙げることができる。
すなわち、通常は役物動作終了コマンドが入力されたことを契機としてサブ制御基板70により抽選を行い、その結果から背景の選択・切り替えの処理が行われているが、このときの処理を行う契機の1つとして、演出ボタン22の操作信号が入力されたときを追加することができる。
この場合、遊技者は画面(背景)の切り替えを行うための抽選に積極関与することができ、ただ漫然と背景が切り替わるのを待ち続けるといった受け身の姿勢から脱却して熱心に遊技上の演出に参加することができる。なお、このような遊技者による抽選への関与が行われる場合、抽選確率を通常より高く(例えば5分の1程度)してもよい。
(9.その他の実施形態についての言及)
以上は一実施形態についての説明であるが、本発明の実施の形態がこれに制約されることはない。以下に、その他の実施形態についていくつか例を挙げて言及する。
(1)一実施形態において図示とともに挙げている画像(個々の背景、キャラクタ等を含む)の表示パターンは好ましい例示であり、パチンコ機の機種に応じてその他の画像を適宜使用できることはいうまでもない。
(2)また、一実施形態では遊技者が操作可能な操作部として演出ボタン22を挙げているが、その配置や形状は特に限定されていない。また、操作部はプッシュ式のボタンに限らず、引っぱり操作するものでもよいし、その他のレバー式、ダイヤル式のものであってもよい。
(3)さらに、一実施形態では演出ボタン22を時間内に押した回数(10秒以内に30回)で特定条件を満たしたか否かを判断しているが、例えば複数ボタン式のものであれば、それらの押し順や組み合わせ等によって特定条件を満たしたか否かを判断する態様であってもよい。
(4)また、一実施形態では役物動作終了コマンドの受信を契機として抽選による背景の切り替えが行われるものとなっているが、このような抽選の契機となる所定時期はその他のタイミング(例えば入賞回数の条件を満たしたとき等)に設定することもできる。
パチンコ機の正面図である。 センター役物の正面図である。 センター役物内で遊技球が低確率経路を通過する場合の斜視図である。 低確率経路の終端近傍で、遊技球が球停留部材に案内されて振分部材に向かう様子を示した平面図である。 低確率経路の終端近傍で遊技球が球停留部材に案内されることなく、一般入賞口に落下する様子を示した平面図である。 球経路変化部材の作動を説明するための斜視図である。 センター役物内で遊技球が高確率経路を通過する場合の斜視図である。 高確率経路を通過してステージ上に落下した遊技球の行き先(4通り)を示した平面図である。 球振分部材の一般入賞口案内部に入り込んだ遊技球の移動を表す図である。 球振分部材と特定領域スイッチとの関係を示した斜視図である。 予告演出キャラクタの出現動作を説明するための斜視図である。 パチンコ機の制御構成を概略的に示した図である。 電源投入時のタイミングチャートである。 1回始動口に遊技球が入賞した場合のタイミングチャートである。 2回始動口に遊技球が入賞した場合のタイミングチャートである。 大当り時(1ラウンド目)のタイミングチャートである。 大当り時(継続予定ラウンド)のタイミングチャートである。 大当り時(抽選による最終ラウンド)のタイミングチャートである。 大当り時(最終(15)ラウンド)のタイミングチャートである。 液晶表示器により表示される画像の表示パターン(1)を示した図である。 液晶表示器により表示される画像の表示パターン(2)を示した図である。 液晶表示器により表示される画像の表示パターン(3)を示した図である。 演出ボタンの操作に伴う表示の例を示した図である。
符号の説明
1 パチンコ機
2 遊技盤
6 センター役物
22 演出ボタン
40 液晶表示器
68 メイン制御基板
70 サブ制御基板

Claims (1)

  1. 遊技領域内に配設され、可動部材の作動時に入賞可能となる可変入賞装置と、
    前記可変入賞装置内に設けられ、入賞に伴い画像表示による演出を行う表示装置と、
    前記表示装置の側方に配置され、その表示内容の変化に合わせて演出動作を行う演出動作体とを具備したことを特徴とする遊技機。
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