以下、本発明をパチンコ機に適用した実施形態(第1実施形態、第2実施形態)について、次に掲げる項目に沿って各対応図面を参照しながら説明する。
1.第1実施形態の概要(図1)
2.入賞装置(図2)
2−1.大入賞口
2−2.球経路変化部材
2−3.第1,第2通過経路
2−4.球停留部材
2−5.球振分部材
3.遊技球の動作
3−1.低確率経路の通過時(図3)
3−1−1.球停留部材の非動作時(図4)
3−1−2.球停留部材の作動時(図5)
3−2.高確率経路の通過時(図7)
3−2−1.球落下部
3−2−2.球振分部材上での挙動(図8)
3−3.球振分動作(図9,図10)
3−3−1.低確率経路の場合の振分動作
3−3−2.高確率経路の場合の振分動作
4.演出要素の補足(図11)
5.制御系の構成(図12)
5−1.メイン制御基板
5−2.サブ制御基板
6.制御処理の内容
6−1.電源投入時(図13)
6−2.1回始動口への入賞時(図14)
6−3.2回始動口への入賞時(図15)
6−4.特別遊技状態
6−4−1.ラウンド動作(図16,図17)
6−4−2.ラウンド動作の継続
6−4−3.継続予定手段
A.案内動作の実行
B.案内動作の停止
6−4−4.入賞機会の付与(図18)
A.大入賞口の開閉動作との同期
B.球落下時の不均一性
6−5.最終ラウンド(図19)
7.タイミングチャートに関する補足(図13〜図19)
8.ラウンド抽選演出処理(図20)
8−1.報知手段(図21)
8−2.仮継続期間(図23,図24)
8−3.昇格演出手段(図25)
8−4.演出情報(図26〜図28)
A.遊技の進行と演出情報との関係(図26〜図28)
B.ラウンド終了による結果報知
C.表示態様による昇格信頼度(図29,図30)
8−5.筋書付演出手段
8−6.筋書付演出情報(図31〜図34)
9.第2実施形態(図35〜図43)
9−1.報知パターン1
9−2.報知パターン2
9−3.その他のパターン
10.メイン制御基板の各種制御処理(図44〜図48)
10−1.各種乱数
10−2.電源投入時処理
10−3.タイマ割り込み処理
10−4.特定領域入賞確率監視処理
11.別例
(1.第1実施形態の概要)
図1は、本発明の第1実施形態となるパチンコ機1を示している。このパチンコ機1は、いわゆる「羽根物」と称される種類に属するものである。
パチンコ機1は大きく分けて枠体2および遊技盤4から構成されており、枠体2の内側に遊技盤4が着脱可能に設置されている。遊技盤4の前面(盤面)にはほぼ円形の遊技領域が形成されており、ここでの盤面構成によってパチンコ機1の機種が特徴付けられている。
遊技領域内には、そのほぼ中央にひときわ大きく目を引くセンター役物6が配置されており、このセンター役物6は入賞装置としての機能を果たすものとなっている。センター役物6の左右には普通入賞口8,10が配置されているほか、その下方の位置に左右一対の1回始動口12および中央位置に1つの2回始動口14が配列されている。その他にも、遊技領域には各種の装飾体や装飾ランプ、風車、図示しない多数の障害釘(いずれも参照符号なし)が設けられているが、これら構成要素には公知のものを適用可能であるため、ここでは個々の説明を省略する。
一方の枠体2には、その前面(ガラス枠)に多数の装飾ランプ2aが配設されており、これら装飾ランプ2aは遊技の進行状況に応じて発光装飾による演出を施す用途に用いられる。また図1には示されていないが、枠体2の内部にはスピーカが配設されており、これらスピーカは遊技の進行状況に応じて音響出力による演出を施す用途に用いられる。
枠体2の前面側にて、遊技盤4の下方の位置には上皿16および下皿18が形成されており、これらは遊技球の受皿となる。また枠体2の前面には、その右下隅の位置に発射ハンドル20が配置されており、遊技者は発射ハンドル20をひねり操作することで、所望の強さで遊技球を発射させることができる。その他にも、第1実施形態では上皿16の左位置にプッシュ式の演出ボタン22が配置されており、この演出ボタン22は遊技者が適宜プッシュ操作可能となっている。
(2.入賞装置)
図2は、上記のセンター役物6を具体的に示している。センター役物6は左右一対の可動片(羽根部材)24を有しており、これら可動片24は図中に実線で示されるように左右方向に開いた状態と、2点鎖線で示されるように内側寄りに閉じた位置との間で変位することができる。これら可動片24が開いた位置にあるとき、センター役物6の大入賞口26が開放された状態となる。センター役物6の背後には図示しない大入賞口ソレノイドが配設されており、左右一対の可動片24は大入賞口ソレノイドにより駆動される。
(2−1.大入賞口)
通常、センター役物6が作動されていない場合、図2中の2点鎖線で示されているように可動片24は閉じた位置にあり、それゆえ大入賞口26は閉塞された状態にある。一方、遊技中に上記の1回始動口12または2回始動口14に入賞すると、これを契機としてセンター役物6が作動される。これにより、図2中に実線で示されているように一対の可動片24が開いた位置に移動し、大入賞口26が所定時間(例えば0.4秒程度)だけ開放されて遊技球の入賞を可能とする。可動片24の開閉動作は、1回始動口12および2回始動口14にそれぞれ割り当てられている開閉回数(1回または2回)だけ行われる。なお、1回始動口12に入賞した場合と2回始動口14に入賞した場合とで大入賞口26の開放時間を異ならせてもよい。
センター役物6内には、左右の大入賞口26にそれぞれ対応して大入賞口カウントスイッチ28が配設されている。各大入賞口26に入賞した遊技球は、対応する大入賞口カウントスイッチ28により通過を検出、つまり入賞個数をカウントされる。
またセンター役物6内には、左右の大入賞口26の間をつなぐようにして球寄せ通路30が形成されており、各大入賞口26から受け入れられた遊技球は球寄せ通路30上を転がり、その中央位置へ集められる。球寄せ通路30の中央近傍には、センター役物6の奥方向に開口した球入口32が形成されており、球寄せ通路30上を転がって中央位置に集められた遊技球は、球入口32を通ってセンター役物6の奥方向へさらに転がり込む。
(2−2.球経路変化部材)
センター役物6内には、球寄せ通路30よりも奥側位置に球経路変化部材(シーソー状部材)34が配設されており、上記の球入口32を通って転がってきた遊技球は、ここで球経路変化部材34に受け止められる。球経路変化部材34は左右方向に延びる球案内面34aを有しており、この球案内面34a上にて遊技球を左右方向に案内することができる。また、球経路変化部材34は正面からみて左右に揺動することができ、このときの揺動は遊技者からみると、あたかもシーソー運動をしているかのように視認される。
図2に示されている状態では、球経路変化部材34がちょうど左側へ傾いており(左下がり)、この状態で遊技球は球案内面34a上を転がって左方向へ案内される。また図示されていないが、逆に球経路変化部材34が右側へ傾いた状態(右下がり)に変化すると、遊技球は球案内面34a上を転がって右方向へ案内されることになる。
(2−3.第1,第2通過経路)
図2中に破線で示されているように、センター役物6内には球経路変化部材34の左右にそれぞれ低確率経路36および高確率経路38が形成されている。これら2本の経路36,38は球経路変化部材34の左右両端にそれぞれ連なるようにして配置されており、上記の球案内面34a上を左右いずれか一方に転がった遊技球は、低確率経路36または高確率経路38に案内されるようにして送出される。
また低確率経路36および高確率経路38は、球経路変化部材34から左右方向に延び、センター役物6の両側縁部に沿って下方に屈曲されている。一方、センター役物6の中央には液晶表示器40が配置されており、2本の経路36,38はちょうど、液晶表示器40の上縁からその両側を取り囲むようにして延びている。
このうち、低確率経路36は液晶表示器40の下方位置で手前側へ屈曲された後、センター役物6の下縁部の前端に沿って右方向へ回り込むようにして延びている。もう一方の高確率経路38は、液晶表示器40の下方位置で左方向へ屈曲された後、液晶表示器40の下縁に沿ってその中央付近まで延びている。またセンター役物6内には、高確率経路38の途中に高確率経路通過スイッチ(演出用検出スイッチ)39が配置されており、高確率経路38を通過する遊技球は高確率経路通過スイッチ39により検出される。
(2−4.球停留部材)
またセンター役物6内には、上記の液晶表示器40の右脇にキャラクタ体42が設置されている。このキャラクタ体42は、箒を手にして掃き掃除をしている人物を模したものであり、ソレノイドと内部リンク機構(いずれも図示されていない)の働きにより、箒を左右に振りながら頭を左右に揺り動かすような動きをすることができる。
第1実施形態では、キャラクタ体42が手にしている箒の先端(下端)がちょうど上記の低確率経路36の終端近傍に臨むようにして配置されており、この箒状の部材を遊技球の動きに働きかける球停留部材44として機能させることができる。具体的には、上記のようなキャラクタ体42の動きによって球停留部材44の位置を変化させるとき、そのときの位置(左または右)によって低確率経路36を通過してきた遊技球に対する作用が異なったものとなる。なお、球停留部材44の作用についてはさらに後述する。
(2−5.球振分部材)
センター役物6内には、液晶表示器40の下方位置に回転式の球振分部材46が配設されており、この球振分部材46はセンター役物6内での遊技球の流れ方向でみて、上記の低確率経路36および高確率経路38よりも下流に位置付けられている。図2ではその外形が明示されていないが、球振分部材46は厚みを有した円盤状の回転体からなり、図示しないモータによって一方向に回転されている。
球振分部材46は、上記の低確率経路36または高確率経路38を通過してきた遊技球を受け止め、その行き先を特定入賞口(ここでは特定領域の一態様となるもの)および一般入賞口のいずれか一方に振り分ける働きをなす。なお図2には、特定入賞口および一般入賞口は図示されていない。
またセンター役物6内には、球振分部材46の下方に2通りの球放出通路48,51が形成されており、このうち一方(ここでは左側)の球放出通路48には、特定領域スイッチ(特定入賞口検出スイッチ)52が設置されている。センター役物6内で特定入賞口に入り込んだ(特定領域を通過した)遊技球は、この特定領域スイッチ52により検出された後に放出される。なお、一般入賞口に入り込んだ遊技球は、右側の球放出通路51を通ってそのまま放出される。
(3.遊技球の動作)
次に、実際の遊技中におけるセンター役物6内での遊技球の動作態様(転動・案内・振分等)について説明する。
(3−1.低確率経路の通過時)
図3は、センター役物6の各所(上部および前面側)を部分的に切断または破断した状態で、これを立体的に示している。大入賞口26に入賞した遊技球が球経路変化部材34によって左方向へ案内されると、図3中の矢印で示されているように、その遊技球は低確率経路36を通じて案内されることになる。
低確率経路36を通じて案内される遊技球は、センター役物6の下縁部まで流下すると、上記の球振分部材46の手前側を横切り、そして奥側へ回り込むようにして転動する。そして低確率経路36の終端近傍の位置に遊技球が達すると、その転動方向が上記の球停留部材44によって影響されることになる。
図4は、センター役物6の内部を具体的に示している。球振分部材46の周縁には、その周方向に等間隔を存してU字形状の切欠が複数(この例では8つ)形成されている。これら切欠内には遊技球を1個ずつ受け入れることができ、このうち特定の1つの切欠が特定入賞口案内部46aであり、その他(7つ)の切欠は全て一般入賞口案内部46bとなっている。
特定入賞口案内部46aは、他の一般入賞口案内部46bよりも中心に向かってより深く切欠が形成されており、形態面で一般入賞口案内部46bとは区別されている。また特定入賞口案内部46aの周囲には、これを視覚的に際だたせるために装飾的な縁取りが施されているほか、球振分部材46の中心寄り位置にアルファベットの「V」をデザインした装飾体があしらわれている。
(3−1−1.球停留部材の非動作時)
上記の球停留部材44は、低確率経路36に対しその側方(この例では右側方)から進退するようにして往復動することができる。センター役物6内には球停留部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)54が装備されており、このソレノイド54はリンク機構(全体は図示されていない)を介して球停留部材44を作動(進退)させることができる。第1実施形態では、ソレノイド54に通電されていない(非励磁)場合、球停留部材44が非動作となり、このとき低確率経路36に対して前進した状態に保持されるものとなっている。
図4に示されているように、球停留部材44が非動作の場合、その先端部分は低確率経路36内に右側方から進入した状態にある。この状態で、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44の先端部分に当接し、このとき図中の矢印で示されるように球振分部材46に向かって転動するように案内される。
上記の各入賞口案内部46a,46bは球振分部材46の周縁から径方向に開口しているため、転動してくる遊技球を受け入れ可能な相対関係にある。一方、通常遊技状態等では球振分部材46が一定方向(上からみて時計回り方向)に回転されているため、8つの入賞口案内部46a,46bの全てに各8分の1の確率で遊技球が入り込む可能性がある。
(3−1−2.球停留部材の作動時)
次に図5は、球停留部材44の作動時を示している。ソレノイド54に通電されると、球停留部材44が作動状態となり、その先端部分は低確率経路36から外側方に退避する。この場合、低確率経路36を通過してきた遊技球は、その終端近傍にて球停留部材44に当接することなく、そのまま球振分部材46の側方を素通りする。上記の一般入賞口56は低確率経路36の終端位置に形成されており、ここまで達した遊技球は一般入賞口56に入り込んで、そのまま上記の球放出通路51を通じて放出される。
(3−2.高確率経路の通過時)
図6は、球経路変化部材34の動作機構を示している。上記のように、センター役物6内には球経路変化部材34に付設して球経路変化部ソレノイド(以下、単に「ソレノイド」と略称することがある。)58が配置されている。ソレノイド58が通電されていない(非励磁)状態では、図6中の実線で示されているように球経路変化部材34は正面からみて左側へ倒れた状態にあり、第1実施形態では、この状態を球経路変化部材34の停止状態として説明する。
これに対しソレノイド58が通電されると、図6中の2点鎖線で示されるように、機構要素58a,58b等を介して球経路変化部材34の一端部(この例では左端部)が引き上げられるので、上記のように球経路変化部材34が右側へ倒れた状態(作動状態)となる。
図7は、センター役物6内で遊技球が高確率経路38を通じて案内されるときの様子を示している。球経路変化部材34が作動されるタイミングで遊技球が転動してくると、その遊技球は左方向へ案内されて高確率経路38に送り込まれる。なお図7では、センター役物6の各所(上部および前面側)が部分的に切断または破断された状態で示されている。
(3−2−1.球落下部)
液晶表示器40の下方で、高確率経路38の下流部分は球振分部材46の上方にせり出すようにして延びており、さらにその終端位置に球落下部38aが形成されている。球落下部38aは、その下端に穴が形成されており、この穴を通じて遊技球を落下させることができる。球落下部38aは、ちょうど球振分部材46の中央(正確な中心とは限らない)の直上に位置しており、上記の穴から落下した遊技球は、球振分部材46上に落下する。
球落下部38aの下端にある穴は、遊技球がちょうど1個だけ通り抜けられる大きさに形成されているが、その上方には漏斗形状(またはテーパ形状、すり鉢形状)の滑らかな案内面が形成されている。このため図7中の矢印で示されるように、高確率経路38を転動してきた遊技球は球落下部38aに到達すると、そこで漏斗形状の案内面に沿って旋回し、そして、次第に勢いを弱めながら下端の穴に落下する。このとき遊技球が球落下部38aから落下するまでに要する時間は常に一定でなく、遊技球の転がり具合(球落下部38aに進入するときの勢いや進入経路)によって不均一となるし、同型の製品であっても製品個体差等が生じることとなる。あるいは、同一のパチンコ機1に限っても、そのときの台の傾斜や設置状況、経年変化等による影響が生じるため、球落下部38aを通って遊技球が落下するまでに要する時間(移動時間)はほとんど一定していない。なお、このような球落下部38aの機能は、いわゆる「一穴クルーン」に相当するものとなっている。
(3−2−2.球振分部材上での挙動)
図8は、球振分部材46上での遊技球の挙動を示している。球振分部材46の上面には、中央にやや大きめのステージ46cが形成されており、上記のように球落下部38aから落下した遊技球は、ステージ46c上のほぼ中央に着地する。ステージ46cの周囲は4つの隔壁46dによって囲まれているが、これら隔壁46d同士の切れ目部分には遊技球が通過できるだけの通路が確保されている。
一方、ステージ46cは、その上面が中高に盛り上がった形状をなしている。このためステージ46c上に落下した遊技球は、図8中の矢印で示されるように各切れ目部分を通って4方向に転動する可能性がある。このとき切れ目部分の1つは特定入賞口案内部46aにつながっているため、ステージ46c上に落下した遊技球は4分の1の確率で特定入賞口案内部46aに入り込むことができる。
(3−3.球振分動作)
図9は、一般入賞口案内部46bに遊技球が入り込んだ場合の球振分動作を示している。上記のとおり、一般入賞口案内部46bは球振分部材46の周縁からみて比較的浅い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径より僅かに大きい程度であるため、一般入賞口案内部46bに入り込んだ遊技球は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面に押しつけられながら球振分部材46の回転に伴い周方向に移送される(図9中(a))。
図9には一部のみ示されているが、第1実施形態で特定領域の一態様となる特定入賞口60は球振分部材46の下方に形成されており、さらに特定入賞口60は、球振分部材46の周囲を取り巻く壁面から距離を置いて内側寄りに位置している。このため遊技球は、一般入賞口案内部46bに入り込んだ状態で特定入賞口60の上方に位置付けられたとしても、そこから特定入賞口60内に落下することができず、その上方を素通りして移送されることとなる。
この後、図9中(b)に示されているように、球振分部材46の回転に伴い遊技球がぐるりと周回して一般入賞口50の後方(時計回りで2時の方向)まで移送されると、遊技球は一般入賞口案内部46b内から放出される。放出された遊技球は案内面62上を転動し、一般入賞口50内に落下する。
これに対し、特定入賞口案内部46aは比較的深い切欠であり、その奥行きは遊技球の直径よりも充分に大きい。さらに特定入賞口案内部46aには、球振分部材46の周縁に沿って球留め46eが形成されており、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は、球留め46eよりも奥まった位置で保持される。このため、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46を取り囲む周壁面から少し離れた状態、つまり球振分部材46のやや内側寄りに位置しながら回転方向に移送されることになる。
図10は、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球が移送される様子を示している。上記のように、特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球は球振分部材46の周囲を取り囲む周壁面から内側寄りに位置付けられているので(図10中(a))、特定入賞口60の上方に遊技球が位置付けられると、そのまま特定入賞口60内に落下、つまり特定領域を通過することができる。また、特定入賞口60への遊技球の落下(以下、「V入賞」と呼称する。)は、上記の特定領域スイッチ52により検出される。なお、第1実施形態では便宜上「特定入賞口」、「V入賞」等の語を用いているが、これはあくまで特定入賞口60への遊技球の落下が契機となって何らかの特典が発生することを想起させるためであって、実際に遊技球が盤の裏側へ導かれたり、賞球されたりすることを必須とするものではない。
以上のように、球振分部材46は遊技球を受け止めると、これを特定入賞口案内部46aまたは一般入賞口案内部46bに受け入れた状態で回転することにより、遊技球の行き先を特定入賞口60および一般入賞口50のいずれか一方に振り分ける働きをする。振り分け先は、遊技球が特定入賞口案内部46aに入り込むか、それとも一般入賞口案内部46bに入り込むかによって決まるが、遊技球がいずれの案内部に入り込むかは、遊技球を受け止めたときの球振分部材46の姿勢によって異なる。
(3−3−1.低確率経路の場合の振分動作)
遊技球が低確率経路36を通過してきた場合、球振分部材46はその外周方向から遊技球を受け止めることになる。この場合、8つの案内部46a,46bの全てに遊技球が入り込む可能性があるが、実際には遊技球が低確率経路36の終端近傍から転がってくるタイミングで、8つのうちいずれの案内部46a,46bが遊技球に相対するかによって入り込む先が自ずと決まる。
したがって、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が特定入賞口案内部46aを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球はそのまま特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、遊技球を受け止めたときに球振分部材46が一般入賞口案内部46bを遊技球に相対させる姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
このとき、全8つのうち特定入賞口案内部46aは1つであるため、結果的に低確率経路36を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率は8分の1になる。ただし、この確率は遊技球が球停留部材44に案内されることを前提にしたものであり、上記のように球停留部材44が後退していると、球振分部材46に受け止められることなく、そのまま一般入賞口50に入り込むこともある。なお、第1実施形態では遊技球が一般入賞口50に入り込んだことを契機とした特典は取り立てて用意されていないが、その前段階で先に大入賞口26への入球が検出されたときに賞球払出がなされている。
(3−3−2.高確率経路の場合の振分動作)
遊技球が高確率経路38を通じて案内されてきた場合も同様に考えることができる。この場合、球振分部材46はそのステージ46c上にて遊技球を受け止めることになるため、上記のように特定入賞口案内部46aか、3つの一般入賞口案内部46bのいずれか1つに遊技球が入り込む可能性がある。ただし、実際にはステージ46cの下り傾斜がより大きい方向へ遊技球は転がる傾向にあるため、球振分部材46の設計上、ステージ46cに一定の傾斜(例えば手前側に下り傾斜を有する等)が与えられている場合、その傾斜に基づいた遊技球の振分動作が行われる。
したがって、上記の傾斜で考えると、球振分部材46がそのステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに、特定入賞口案内部46aを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は傾斜にしたがって特定入賞口案内部46aに入り込むことができるので、その後、特定入賞口60へ行き先を振り分けられることになる。
これに対し、球振分部材46がステージ46c上にて遊技球を受け止めたときに他の3つの一般入賞口案内部46bを手前側に位置付ける姿勢をとっていれば、遊技球は一般入賞口案内部46bに入り込み、その後に一般入賞口50へ行き先を振り分けられる。
したがって、高確率経路38を通じて遊技球が案内される場合、その先でV入賞する確率が4分の1となり、結果的に低確率経路36を通じて案内される場合よりもV入賞の確率が高くなっているといえる。
(4.演出要素の補足)
上記のセンター役物6については、各所に装飾的なデザインが施されているほか、演出要素として内部に装飾用ランプ/LED(特に図示されていない)が配置されている。装飾用ランプ/LEDは遊技の進行状況に応じて発光装飾による演出を行ったり、またパチンコ機1の待ち受け中等においてデモンストレーション発光を行ったりすることができる。
また図11は、センター役物6に付設されている予告演出キャラクタ64を具体的に示している。この予告演出キャラクタ64は、センター役物6において左右の大入賞口26の間から出現可能(図2を参照)に配置されており、具体的には図11に示される演出用ソレノイド(キャラクタ駆動ソレノイド)66によって駆動され、このとき遊技者から視認されるように出現する。
予告演出キャラクタ64は通常、センター役物6の奥側へ倒れ込んだ状態で隠れているが、一定の条件下で演出用ソレノイド66が通電されたときに出現する。すなわち、演出用ソレノイド66が通電されると、機構要素66aを介して予告演出キャラクタ64が約90°だけ手前側へ旋回し、図示のように手前側へ起き上がった状態となる。
通常遊技状態においては、例えば大入賞口カウントスイッチ28で遊技球が検出されたタイミングと、そのときの球振分部材46の姿勢(回転角度)との相対関係に基づき、遊技球が特定入賞口案内部46aに入りやすいタイミングである場合に予告演出キャラクタ64が出現するものとなっている。
また別の態様として、大入賞口カウントスイッチ28で遊技球が検出されたタイミングと、そのときの球経路変化部材34の姿勢(左右いずれに揺動するか)との相対関係に基づき、遊技球が高確率経路38に送り込まれやすいタイミングである場合に予告演出キャラクタ64が出現するものとなっている。
さらに第1実施形態の場合、予告演出キャラクタ64の出現に合わせて、その周囲を装飾用ランプ/LEDの照明によりライトアップさせたり、効果音を発生させたりすることで視覚的・聴覚的に予告演出による効果を高めるものとしている。
(5.制御系の構成)
次に、パチンコ機1による遊技動作や演出動作を制御するための構成について説明する。
図12は、パチンコ機1の電子機器類に関する構成の一部を概略的に示している。パチンコ機1は、遊技動作を制御するためのメイン制御基板(主基板)68や各種の演出動作を制御するためのサブ制御基板70を有しており、これら基板類が互いに配線を通じて接続されているほか、各基板にそれぞれ付随して電子機器類が接続されている。これら基板類はいずれもパチンコ機1の裏面側に配置されており、通常、遊技者からは視認されない。
またメイン制御基板68には払出制御基板72が接続されており、この払出制御基板72は図示しない賞球装置の作動を制御する。払出制御基板72にはさらに発射制御基板74が接続されており、この発射制御基板74は図示しない発射モータの作動を制御している。
なおパチンコ機1には、その他にも電源ユニット基板やインタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、これらについては公知のものを適用できるため、図示とともにその説明を省略する。
(5−1.メイン制御基板)
メイン制御基板68は、図示しないCPUやRAM、ROM、入出力インタフェース等の電子部品類を備えている。メイン制御基板68には上記の大入賞口カウントスイッチ28や特定領域スイッチ52が接続されているほか、1回始動口スイッチ76や2回始動口スイッチ78、その他入賞口スイッチ80等のセンサ類が接続されている。このうち、1回,2回始動口スイッチ76,78はそれぞれ対応する1回,2回始動口12,14への入賞があったことを検出し、その検出信号をメイン制御基板68に出力する。また、普通入賞口8,10やセンター役物6の天入賞口への入賞は、それぞれに対応して複数設置されているその他の入賞口スイッチ80により検出され、その検出信号がメイン制御基板68に出力される。
一方、上記の大入賞口ソレノイド82をはじめ球経路変化部ソレノイド58、球停留部ソレノイド54等の駆動要素は、それぞれメイン制御基板68からの駆動信号に基づいて作動を制御されるものとなっている。
さらに、センター役物6内には球振分部モータ84が装備されており、この球振分部モータ84はメイン制御基板68からの指令信号に基づいて球振分部材46を回転させることができる。また球振分部モータ84にはモータインデックスセンサ86が付設されており、このモータインデックスセンサ86からメイン制御基板68にインデックス信号が入力されるものとなっている。なお、各制御基板は図示しない基板ボックスに収納されている。特にメイン制御基板68は、遊技の進行の制御を行っており、本実施形態では、遊技者に利益を付与する特別遊技状態に移行するか否かを左右する、センター役物6の可動片24や球振分装置46の制御を行っている。このため、メイン制御基板68は、基板ボックスを一度封印したら封印部の破壊痕跡が残る開封不可能とされた基板ボックスに収納されている。つまりメイン制御基板68を収納する基板ボックスは、不正強化されたものとなっている。これにより、メイン制御基板68に実装されたマイクロプロセッサは後術する不正行検出処理等の各種プログラムを行うため、この各種プログラムが不正に改ざんされる行為を防止することができる。
(5−2.サブ制御基板)
また演出要素として、上記のスピーカ88や演出用ランプ/LED90等はサブ制御基板70に接続されている。パチンコ機1による遊技の進行中、サブ制御基板70はメイン制御基板68から送信される指令信号に基づいて演出動作を制御し、一定の演出パターンにしたがって音響出力や発光装飾等による演出を制御している。上記の演出用ソレノイド66もまたサブ制御基板70に接続されており、予告演出キャラクタ64の出現動作はサブ制御基板70により制御されている。
また画像を用いた演出要素として、上記の液晶表示器40は液晶制御基板92を介してサブ制御基板70に接続されており、液晶表示器40に対する描画コマンドはサブ制御基板70から出力されるものとなっている。
なお、第1実施形態ではセンター役物6内で高確率経路38に遊技球が送り込まれた場合、特別に優先順位の高い演出を行うため、上記の高確率経路通過スイッチ39がサブ制御基板70に接続されている。サブ制御基板70は高確率経路通過スイッチ39から検出信号を受け取ると、通常の表示画像に優先させて特別な演出表示を実行する。
(6.制御処理の内容)
次に、上記のメイン制御基板68やサブ制御基板70による制御処理の内容について説明する。なお、以下の説明では主に、センター役物6の動作に関する制御内容を取り上げている。
(6−1.電源投入時)
図13は、電源投入時の処理および各種スイッチ類の状態をタイミングチャートとして示している。なお図13以降において、各種部材の「作動状態」は、それぞれ対応するソレノイドまたはモータ等が通電・駆動されていることを意味し、逆に「停止状態」は、ソレノイドまたはモータ等が非通電・非駆動であることを意味する。
パチンコ機1の電源が投入されると、メイン制御基板68のCPUは自己診断処理および停電復旧処理を実行し、前回の電源断時にバックアップされた遊技内容を引き継いで通常処理を開始する。
図13のタイミングチャートに沿って説明すると、先ず電源投入によって各始動口スイッチ76,78の検出機能が有効化される。これにより、1回始動口12および2回始動口14について、それぞれ遊技球が入ることによってセンター役物6の作動を開始する機能(始動機能)と賞球動作を行う機能(賞球機能)がともに有効になる。
電源投入時には通常、上記の始動口スイッチ76,78からの入力信号は未入賞の状態であって、大入賞口26は閉鎖された状態にある(大入賞口ソレノイド82非通電)。またこの場合、特定領域スイッチ52の機能は無効にされている。
一方、センター役物6内においては、球経路変化部材34および球停留部材44がいずれも停止状態となっているが、球振分部材46は電源投入により作動状態となる。このとき球振分部材46は、一定の回転速度A(例えば1回転につき1.9秒程度)で回転される。
(6−2.1回始動口への入賞時)
図14は、通常遊技中に1回始動口12への入賞があった場合の処理を示している。この場合、メイン制御基板68に1回始動口スイッチ76から検出信号が入力されると(未入賞→入賞)、メイン制御基板68は各始動口スイッチ76,78の機能(始動機能)を無効化させるとともに、特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。そして、メイン制御基板68は所定時間(例えば1004ms)経過後に大入賞口ソレノイド82を作動させ、大入賞口26を1回(例えば400ms)開放させる。なお図14以降のタイミングチャート中、各始動口スイッチ76,78の機能が無効にされている間は、上記の始動機能が無効になるだけであって、賞球機能は引き続き有効である。
大入賞口26の開放動作に関連して、メイン制御基板68は球経路変化部材34を一定のパターンにしたがって間欠的に2回だけ作動させる。これにより、大入賞口26に入賞した遊技球が低確率経路36または高確率経路38のいずれかに案内されることになる。
また1回始動口12への入賞があると、メイン制御基板68は球振分部材46を回転速度C(例えば1回転につき5.6秒程度)に減速させるとともに、球停留部材44を作動状態と停止状態とに交互に切り替える。これにより、球停留部材44が低確率経路36に対して退避または進入する動作を交互に行い、これに合わせて上記のキャラクタ体42が左右に首を振る動作が演出的に実施される。球停留部材44の作動状態と停止状態とは周期的に切り替えられ、この間にソレノイド54はおおむね50%のデューティ率で駆動される。したがって図14中、球停留部材44の作動時間aと停止時間bとはほぼ同じに設定されている(a>b,a<b,a=bでもよい)。また、球停留部材44の作動時間aおよび停止時間bについては、図15においても同様とすることができる。
この後、メイン制御基板68は大入賞口26を閉鎖させてから所定時間(例えば0.4秒)が経過すると始動口スイッチ76,78の機能を復帰(有効化)させる。また合わせて、大入賞口26を閉鎖させてから一定時間(例えば8秒)が経過すると、そこで特定領域スイッチ52の機能を無効化させるとともに、球振分部材46の作動状態を回転速度Aに復帰させる(回転速度C→A)。
(6−3.2回始動口への入賞時)
図15は、通常遊技中に2回始動口14への入賞があった場合の処理を示している。この場合、メイン制御基板68に2回始動口スイッチ78から検出信号が入力されると(未入賞→入賞)、メイン制御基板68は各始動口スイッチ76,78の機能を無効化させるとともに、特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。そして、メイン制御基板68は所定時間(例えば1004ms)経過後に大入賞口ソレノイド82を作動させ、大入賞口26を間欠的に2回(例えば400msずつ)開放させる。また、1回目の開放と2回目の開放との間には、所定の待機時間(例えば1004ms)が確保されている。
上記のような大入賞口26の開放動作(2回分)に関連して、メイン制御基板68は球経路変化部材34を一定のパターンにしたがって間欠的に3回作動させる。これにより、大入賞口26に入賞した遊技球が高確率経路38に案内される機会が比較的多く与えられる。
また2回始動口14への入賞があると、メイン制御基板68は球振分部材46を回転速度Cに減速させるとともに、球停留部材44を作動状態と停止状態とに交互に切り替える。これにより、球停留部材44が低確率経路36に対して退避または進入する動作を交互に行い、これに合わせて上記のキャラクタ体42が左右に首を振る動作が演出的に実施される。
このとき球停留部材44の動作時間は1回始動口12への入賞があった場合よりも長く、また球停留部材44の作動状態と停止状態とが周期的に切り替えられる回数も多く設定されている。なお、ソレノイド54の駆動デューティ率はおおむね50%であって1回始動口12への入賞時と同様でよい。
同様に、メイン制御基板68は大入賞口26を閉鎖させてから所定時間(例えば0.4秒)が経過すると始動口スイッチ76,78の機能を復帰(有効化)させる。また、大入賞口26を閉鎖させてから一定時間(例えば8秒)が経過すると、そこで特定領域スイッチ52の機能を無効化させるとともに、球振分部材46の作動状態を回転速度Aに復帰させる(回転速度C→A)処理も1回始動口12への入賞時と同様である。
なお第1実施形態では、図14,15において1回始動口12または2回始動口14への入賞を契機に大入賞口26が開かれる際、球振分部材46の回転速度を変化(A→C)させているため、例えば球振分部材46の特定の回転角度を狙って数個分ずつ遊技球を発射し、それによって大当りを狙い打ちするような遊技方法が通用しない仕様となっている。
(6−4.特別遊技状態)
次に図16は、センター役物6内で遊技球がV入賞した場合の処理を示している。第1実施形態のパチンコ機1においては、通常遊技状態でV入賞すると、特定の条件が満たされたことによって特別遊技状態(大当り遊技)に移行するという特典が付与される。
図16に示されているように、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されると(ON)、これを契機として大当り遊技に移行する。
(6−4−1.ラウンド動作)
大当り遊技に移行すると、これによりセンター役物6が所定の動作パターンで作動される。このときの動作パターンは、大入賞口26の開閉動作を周期的に繰り返すものであり、その開放回数は最大で18回まで設定されている。
上記のように、大当り遊技として大入賞口26の開閉が開始される前に所定の演出時間が設けられており、この間にいわゆるラウンド抽選演出が行われる。抽選そのものは、この大当りのきっかけとなった1回始動口12または2回始動口14に遊技球が入賞したタイミングで行われているが、ラウンド抽選演出は液晶表示器40によるアニメーション表示とスピーカ88からの音響出力によって実行される。
またメイン制御基板68は、特定領域スイッチ52から検出信号を受信すると球振分部材46の作動状態を最初に回転速度B(例えば1回転につき3.7秒程度)に切り替え、続いて回転速度Aに切り替える。
このように、上記のラウンド抽選演出が進行している間に球振分部材46の回転速度が2段階に切り替えられ、この過程でモータインデックスセンサ86から3回目のインデックス信号をメイン制御基板68が受信すると、そこで球振分部材46の回転が停止される。第1実施形態の場合、インデックス信号を受信したタイミングで球振分部材46が停止されると、この状態で特定入賞口案内部46aが低確率経路36の終端(遊技球を受け入れ可能な方向)に相対するようにして位置付けられる。また、球経路変化部材34は停止状態で保持されているので、この間、遊技球を低確率経路36に案内する姿勢に固定されたままとなる。
上記のラウンド抽選演出が終了し、これにより遊技者に対して仮に当選ラウンド数の報知が行われると、大当り遊技のシーケンスにしたがってメイン制御基板68は大入賞口26の開閉動作を開始させる。また、これに合わせてメイン制御基板68は特定領域スイッチ52の機能を有効化させる。
(6−4−2.ラウンド動作の継続)
第1実施形態の場合、大当り遊技は最大で15ラウンドまで継続可能であり、1ラウンドの終了条件は、例えば以下の(1)〜(3)のいずれかが満たされることである。
(1)大入賞口26の開閉回数が18回に達したとき。
(2)大入賞口26に入賞した遊技球の数が10個に達したとき。
(3)遊技球が特定領域スイッチ52により検出されたとき。
また、大当り遊技において次ラウンドへの継続条件は、遊技球が特定領域スイッチ52により検出されること、つまりV入賞することである。ただし、15ラウンド目においては遊技球が特定領域スイッチ52により検出されてもラウンド継続は行われない。
またラウンド抽選は、1回始動口12または2回始動口14に遊技球が入賞したタイミングでメイン制御基板68にて取得されたカウンタ値を元に行われる。抽選されるラウンド数は2ラウンド、7ラウンド、15ラウンドであり、その確率は各々3分の1である。
(6−4−3.継続予定手段)
上記の抽選結果にかかわらず、大当り遊技に移行してから1回目のラウンドについては、常に次ラウンドに継続されることが予定されている。あるいは、抽選結果が15ラウンドとなった場合、2回目〜14回目の全てのラウンドについて次ラウンドへの継続が予定されている。
(A.案内動作の実行)
これらの場合、図16に示されているように、ラウンド実行中は球経路変化部材34が遊技球を低確率経路36に案内する状態にあるが、その上で、球振分部材46が特定入賞口案内部46aにて遊技球を受け止めやすい姿勢で停止し、かつ、球停留部材44が低確率経路36内に向けて前進した状態にある。したがって、ラウンド実行中に大入賞口26に入賞した遊技球は、その1個目が先ず低確率経路36を通って特定入賞口案内部46aに案内される。
この後、大入賞口26への入賞球が2個〜5個と増えていくと、センター役物6内では特定入賞口案内部46aに入り込んだ遊技球(入賞1個目)を先頭に、そこから後続の遊技球(入賞2個目〜5個目)が低確率経路36内に1列をなして停留することになる。
ただし、大入賞口26の開放が18回に達する前に6個目の入賞球がカウントされると、図16中の破線で示されているように、6カウント目の検出信号に基づいてメイン制御基板68は球停留部材44を作動させる。この場合、球停留部材44が低確率経路36から外側へ退避した状態になるので、それまで停留していた遊技球(3個目〜5個目)は支えを失い、そのまま低確率経路36の下流方向へ転動して一般入賞口50に落下する。
またメイン制御基板68は、ラウンド(1区切り分)をひとまず終了する場合、大入賞口カウントスイッチ28により遊技球が10個検出されるか、もしくは大入賞口26が18回開閉されるかのいずれか早い方のタイミングをきっかけとして、そこから所定時間(例えば1.8秒)経過後に球振分部材46の回転を再開させる。このとき1個目の入賞球が既に特定入賞口案内部46aに入り込んでいるので、その遊技球は確実にV入賞する。この結果、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されるので、次ラウンドへの継続が確定する。
ただし、上記のように次ラウンドへの継続が予定されている場合であっても、遊技者が大入賞口26に入賞させられなかった場合は継続条件が満たされず、そこで大当り遊技は終了となる。この場合、図16に示されているように、大入賞口26の開閉動作が停止されてから所定時間(例えば8秒)が経過すると、メイン制御基板68は各始動口スイッチ76,78の機能を有効化する一方で特定領域スイッチ52の機能を無効化する。また、合わせてメイン制御基板68は球振分部材46の作動状態を回転速度A(高速)に復帰させるとともに、球停留部材44を停止状態に復帰させる。
図17は、大当り遊技中に継続されたラウンドでの処理を示している。処理の内容はほとんど図16の場合と同様であるが、ここではラウンド抽選演出のための期間が用意されていない分、特定領域スイッチ52により遊技球の通過が検出されてから、大入賞口26の開閉動作が開始されるまでの時間(例えば4秒)が短縮されている。
(B.案内動作の停止)
図16および図17の処理はあくまで、次ラウンドへの継続が予定されている場合の内容である。これに対し、ラウンド抽選の結果が2ラウンドまたは7ラウンドであった場合、原則として3ラウンド目以降または8ラウンド目以降への継続は予定されていない。このため、ラウンド抽選の結果が2ラウンドまたは7ラウンドのときは、当該ラウンド(2ラウンド目または7ラウンド目)では、積極的に次ラウンドに移行させるための処理(案内動作)が行われない。
図18は、次ラウンドへの継続が予定されていない場合の処理、すなわち、ラウンド抽選の結果、最終ラウンドとして決定された2ラウンド目または7ラウンド目の処理を示している。この場合、メイン制御基板68は2ラウンド目または7ラウンド目の開始時(大入賞口26の開放前)に一旦、球振分部材46を定位置で停止させた後、大入賞口26の開閉動作を開始するタイミングに同期させて球振分部材46の回転を開始させる(時刻ts)。これ以降は球振分部材46の回転が維持され、ラウンド中は球振分部材46が一定速度B(中速)で回転したままとなる。
また、これに合わせてメイン制御基板68は球停留部材44の前進/後退動作を繰り返し実行するが、この動作もまた球振分部材46の回転に同期して行われており、ここでも球停留部材44は、おおむね50%のデューティ率で前進状態と後退状態に駆動される。
したがって、このときメイン制御基板68は、例えば低確率経路36の終端近傍に特定入賞口案内部46aが相対するタイミングで球停留部材44を後退させ、逆に一般入賞口案内部46bが相対するタイミングでは球停留部材44を前進させることにより、低確率経路36を通過してきた遊技球を特定入賞口案内部46aへ案内する動作を停止することができる。
(6−4−4.入賞機会の付与)
上記の2ラウンド目または7ラウンド目においてV入賞しなかった場合、ラウンド継続条件が満たされないので、当該ラウンドで大当り遊技は終了となる。ただし、第1実施形態のパチンコ機1は、遊技者の技術介入によってラウンド継続が可能となる(V入賞が可能となる)仕様を有しており、以下にその具体的な仕様について説明する。
すなわち第1実施形態では、技術介入によってV入賞を可能とする機会がラウンド中の特定タイミングに1度だけ設けられている仕様となっており、その特定タイミングとは、大入賞口26への入賞球が7カウント目に達したときである。この特定タイミングで大入賞口26に入賞した遊技球(7個目)に対し、例えば以下の態様でV入賞の機会が与えられるものとなっている。
先ず、大入賞口26への入賞球が6カウントに達するまでの間(時刻ts〜時刻tc)は、メイン制御基板68は球経路変化部材34を停止状態で固定しているため、この間に大入賞口26に入賞した遊技球はいずれも低確率経路36に送り込まれる。遊技球はその終端近傍で球停留部材44に案内された場合は一般入賞口案内部46bに入り込み、逆に球停留部材44に案内されない場合はそののまま一般入賞口50に落下する。
これに対し、入賞球が7カウントに達すると(時刻tc)、メイン制御基板68はこれを契機として球経路変化部材34を所定時間だけ(例えば1.2秒)作動させる。これにより、7カウント目に入賞した遊技球は、ほぼ確実に高確率経路38に送り込まれることになる。この場合、遊技球は高確率経路38を通過して球振分部材46のステージ46c上に落下するので、そこから4分の1の確率で特定入賞口案内部46aに入り込むことができる。
またこの場合、7カウント目に入賞した遊技球には、球停留部材44による案内動作とは無関係にV入賞の機会が与えられており、そのときのV入賞確率は4分の1と比較的高く設定されている。したがって、遊技者がただ漫然と遊技を行っていた場合であっても、大入賞口26に7個入賞させることができれば、必ず4分の1の確率でV入賞する機会、つまり、ラウンド継続に挑戦する機会が与えられる。その結果、漫然と遊技を行っていた遊技者でも、7カウント目まで入賞させることができれば、そこでラウンド継続を獲得できる可能性があることを知ることになり、自然と遊技に対するモチベーションが高まる。
上記のようなパチンコ機1の仕様は、その内容を具体的に情報として遊技者が認識しているか否かにかかわらず、万人に等しく恩恵をもたらすことができる点できわめて優れる。このような仕様による有用性は、あまり熟練度の高くない遊技者(初心者)や情報に疎い遊技者、もともと技術介入に興味のない遊技者等がパチンコ機1で遊技を行った場合に顕著となる。
また、第1実施形態では7カウント目の入賞球をそれまでと違うルート(高確率経路38)に案内することができるため、視覚的な変化によってV入賞の機会が与えられていることを遊技者が認識し易い。したがって、たとえ遊技者が技術介入の仕様を情報として知らなかった場合であっても、第1実施形態のパチンコ機1では遊技球の動きを一見しただけでその仕様を容易に理解することができ、万人にとって分かりやすく、また面白みのある遊技を提供することができる。
(A.大入賞口の開閉動作との同期)
第1実施形態のパチンコ機1による技術介入の仕様には、単に7カウント目にチャンスが訪れるというだけでなく、さらに一段進んで、より高度な要素が付加されている。
すなわち、継続が予定されていないラウンドでは、上記のように大入賞口26の1回目の開閉動作が開始されるタイミングに合わせて球振分部材46の回転が開始される(時刻ts)。このとき、大入賞口26の開閉動作は一定周期で繰り返されており、また球振分部材46の回転速度(角速度)は一定であるため、これらの動作開始時を起点として考えると、球振分部材46の姿勢(回転角度)と大入賞口26が開放されるタイミングとが一定の相対関係をもって同期することになる。
このため、より深い観察力・探求心をもった遊技者であれば、大入賞口26の開放動作のタイミングと球振分部材46の回転角度との相対関係を理解した上で遊技を行うことが可能となる。したがって、例えば遊技者がパチンコ機1をよくよく観察するうち、何回目の開放タイミングに7カウント目の入賞をさせると、その先でV入賞しやすい傾向にあるかを遊技者が見極めることも可能である。ここまで行き着いた遊技者であれば、他の平均的な遊技者よりも一段と技術介入の楽しみが増えるし、その成果としてのラウンド継続に大きな満足感を覚えることができる。
(B.球落下時の不均一性)
ただし、機械的にいつも決まった挙動ばかり続くとすると、いずれ遊技者に飽きが来て、技術介入に対する面白みが半減することもある。この点、第1実施形態のパチンコ機1では、高確率経路38の終端位置に上記の球落下部(一穴クルーン)38aが形成されていることから、そこで遊技球が旋回しながら落下することで落下までに要する時間に不均一が生じることになる。
この場合、大入賞口26の開閉動作のタイミングと球振分部材46の回転角度との相対関係に基づき、遊技者が7カウント目でV入賞しやすい開放タイミングを一応は見極めることができたとしても、大入賞口26に入った先で遊技球が常に同じ挙動(入球してから球振分部材46に受け止められるまでの移動時間)を示すとは限らない。これにより、遊技者の飽きの到来を遅くすることができるし、また、遊技者の技術の差による出玉の差を少なくすることができる。
また、遊技者が一通りの仕様を理解した上で遊技を行った場合であっても、技術介入によるラウンド継続に成功するか否かは、パチンコ機1の製品個体差や偶然の影響によるばらつきが生じてくるため、そこに別の観点からみた面白みの要素が付加される。したがって、技術介入に積極的な遊技者にとっては、製品個体差による不均一要素をも見極めながら遊技を行う楽しみが増えるので、さらに突っ込んでパチンコ機1の仕様や特性を研究した遊技者にとっては、自己の技術介入による成功はもとより、ホールでの立ち回りや台選び等の成果に多大な満足感を得ることができる。
(6−5.最終ラウンド)
図19は、最終ラウンド(15ラウンド)での処理を示している。始動口12,14の入賞時に行われた抽選で15ラウンドとなった場合だけでなく、2ラウンドまたは7ラウンドの抽選結果にもかかわらず、15ラウンドまで大当り遊技を継続することができた場合、その最終ラウンドでは以下の処理が行われる。
ここでは先ず、特定領域スイッチ52による検出信号が入力されると、メイン制御基板68は特定領域スイッチ52の機能を無効化した後、そのままラウンド終了まで有効化させることはない。またメイン制御基板68は、モータインデックスセンサ86からのインデックス信号に基づき球振分部材46を一旦停止させるが、大入賞口26の開放が開始されるタイミングに合わせて、球振分部材46の回転を開始させる。さらに、これに合わせて球停留部材44が作動状態に切り替えられ、そのままラウンド終了まで維持される。その一方で、球経路変化部材34はラウンド終了まで停止状態のままであるので、大入賞口26に入賞した遊技球は低確率経路36を通過し、球振分部材46に受け止められることなく、単に一般入賞口50に落下することになる。
以上の処理を通じて最終ラウンドではV入賞が回避されるので、大入賞口26への入賞が10カウントに達するか、大入賞口26が18回開放されるかのいずれかの条件が満たされると、それによって最終ラウンドが終了となるので、メイン制御基板68は一連の大当り遊技処理を終了する。
(7.タイミングチャートに関する補足)
以上で図13〜図19のタイミングチャートを参照した処理の説明を終えるが、これら図面の記載について補足すべき点を以下に挙げておく。
(1)図13〜図19中、球振分部材の状態変化に付帯して示されている矢印付き記号(A,B,C)は、その指示している期間内での回転速度を表している。
(2)図14または図15中、特定領域スイッチ52の有効期間内に遊技球の通過が検出された場合、メイン制御基板68は図16の処理に移行する。
(3)図16〜図19中、大入賞口の開放動作の終了時期は、18回目の閉鎖時または10個入賞時のいずれか早い方である。
(4)図16、図17中、大入賞口の開閉動作期間中に球停留部材の状態変化として破線で示されている部分は、原則として6カウント時に球停留部材44が作動状態に切り替えられることを表している。ただし、6カウントに至らなかった場合、球停留部材44は大入賞口26の18回目の閉鎖時に作動し、大入賞口26の開放前に6カウントに至った場合は、18回目の閉鎖時か10カウント時に作動する。
(5)図17、図18中、特定領域スイッチの立ち上がり時に球振分部材および球停留部材の状態変化としてそれぞれ破線で示されている部分は、これら球振分部材および球停留部材が前ラウンドで作動中であった場合はその時点で作動状態であり、逆に停止中であった場合は特定領域スイッチによる検出信号の立ち上がり時に停止状態から作動状態に変化することを表している。
(6)同様に図19中、特定領域スイッチの立ち上がり時に球停留部材の状態変化として破線で示されている部分は、球停留部材が前ラウンドで作動中であった場合はその時点で作動状態であり、逆に停止中であった場合は特定領域スイッチによる検出信号の立ち上がり時に停止状態から作動状態に変化することを表している。
(8.ラウンド抽選演出処理)
次にラウンド抽選演出の処理について詳しく説明する。上記の(6−4−1.ラウンド動作)で既に述べたように、ラウンド抽選そのものは、各始動口スイッチ76,78により入賞が検出されたことを契機として行われているが(決定手段)、第1実施形態のパチンコ機1では、大当り遊技に際してラウンド抽選演出および昇格演出が実行されるものとなっている。なお、このとき抽選によって選択されるラウンド数は比較的高い段階(15ラウンド)か、比較的中程度の段階(7ラウンド)か、あるいは比較的低い段階(2ラウンド)のいずれか1つとなる。また、各ラウンドの抽選確率はいずれも等しく3分の1である。
図20は、通常遊技状態で大当りになった場合(V入賞した場合)、液晶表示器40に表示される画像の一例を示している。この例では、それまでの画面が一転して切り替わり、画面上に「大当り」の文字が装飾的に表示されるとともに、複数のキャラクタによる演出的な動作の様子が描かれている。また、これら画像の出力に伴ってスピーカ88から音声メッセージや効果音が出力される。
(8−1.報知手段)
次に図21は、ラウンド抽選時の演出として表示される画像の一例を示している。このような演出表示は、大当り遊技の1ラウンド目で大入賞口26の開閉動作が開始される前に行われる。ここではラウンド抽選の結果、継続が予定されているラウンド数を装飾的な図柄(数字の「2」,「7」,「15」をデザインしたもの)の変動によって演出的に表示することができる。第1実施形態では、画面上を縦方向に3種類の図柄が例えば縦方向にスクロールし、ある程度の時間が経過するとそのスクロールが停止して図柄が停止表示される。
(8−2.仮継続期間)
図23〜図24は、上記のスクロール状態から図柄が停止表示されたときの画像の例を示している。これら画像は、停止表示した図柄の種類に応じてラウンド抽選の結果を遊技者に報知する内容となっており、それぞれ抽選結果が2ラウンド(図22)、7ラウンド(図23)または最大の15ラウンド(図24)であったことを図柄によって表したものとなっている。
なお、これら停止表示がなされる前に、スクロールされてきた図柄(例えば「2」)が一旦停止した後、僅かな間をおいて次の図柄(例えば「7」)に変動してから停止表示されたり、さらに間をおいて次の図柄(例えば「15」)に変動し、そこで最終的な停止表示がされたりする場合もある。このような表示態様の変化により、遊技者にはらはらどきどきさせながらラウンド抽選の結果を演出的に報知する効果が得られる。
このうち、本来の確率3分の1に基づく抽選結果が7ラウンドまたは最大の15ラウンドであった場合、ラウンド抽選演出において7ラウンド(図23)または15ラウンド(図24)としてそれぞれ正しい抽選結果が報知される場合もあれば、本当ではない抽選結果が演出として報知される場合もある。具体的には、本当の抽選結果が15ラウンドであったにもかかわらず、ラウンド抽選演出において7ラウンドまたは2ラウンドとして報知されることがある。あるいは、本当の抽選結果が7ラウンドであったにもかかわらず、ラウンド抽選演出において2ラウンドとして報知されることがある。
このように、本当の抽選結果でないラウンド数を演出として報知するか否かの判断は、パチンコ機1のサブ制御基板70において行われる。メイン制御基板68から本当の抽選結果を指示するコマンドを受信すると、サブ制御基板70はラウンド抽選演出において報知するべきラウンド数(最大ラウンド数)とその演出時間を決定し、この決定に基づいて液晶表示器40の表示を制御する。このとき報知されるラウンド数の出現割合は、例えば以下の表1に記載されている通りである。
表1に示される出現割合から次のことが明らかである。すなわち、各ラウンドの本来の抽選確率はいずれも3分の1(約33.3%)であることから、大まかにみて、ラウンド抽選演出で2ラウンドと報知されるもの(61.5%)のうち、半分は7ラウンドか15ラウンドが本当の抽選結果であることがわかる。つまり、ラウンド抽選演出で2ラウンドと報知された場合であっても、その後の昇格演出で7ラウンドか15ラウンドに昇格する場合が半分程度ある。したがって第1実施形態においては、大当りになった場合のラウンド抽選演出で報知される2ラウンドと7ラウンドは、本当の結果も含めて仮に報知される内容(仮継続期間、仮継続回数)であるといえる。ただし、15ラウンドが報知された場合はそこから7ラウンドや2ラウンドに降格される場合はないので、このときは抽選結果が15ラウンドに確定する。このようにラウンド抽選演出の手法を構成することによって、遊技者は常にラウンド昇格への期待感をもって大当り遊技に臨むことができる。
(8−3.昇格演出手段)
以上のラウンド抽選演出が行われた後、さらに大当り遊技中にサブ制御基板70によって昇格演出が行われる。この昇格演出は、例えば仮に2ラウンドと報知されていたものが、それを上回るラウンド数に変更、つまり昇格の可能性があることを報知するとともに、昇格後のラウンド数を表す演出情報を画像によって表示する内容となっている。
第1実施形態では、大当り遊技中に昇格演出が行われるタイミングが2度あり、1度目は1ラウンド目の大当り遊技中で、2度目は6ラウンド目の大当り遊技中である。例えば、ラウンド抽選演出で仮に2ラウンドと報知されていた場合、1度目の昇格演出では2ラウンドのままか、7ラウンドもしくは15ラウンドに昇格するかの演出が行われる。また、仮に7ラウンドと報知されていた場合か、もしくは1度目の昇格演出で2ラウンドから7ラウンドに昇格された場合、2度目の昇格演出では7ラウンドのままか、もしくは15ラウンドに昇格するかの昇格演出が行われる。なお、最初のラウンド抽選演出で既に15ラウンドとして報知されている場合は昇格演出が行われない。同様に、最初のラウンド抽選演出で既に7ラウンドとして報知されている場合は1ラウンド目の大当り遊技中に昇格演出が行われない。
いずれにしても、本当の抽選結果は3分の1の確率で3通りに割り振られているため、上記のラウンド抽選演出において仮に2ラウンドまたは7ラウンドとして演出的に報知された場合、その後の昇格演出(1度目または2度目)で最終的に7ラウンドまたは15ラウンドに昇格される割合は、例えば次に示す表2に示される昇格割合に落ち着くことになる。
図25は、上記の昇格演出が開始される際に液晶表示器40に表示される画像の一例を示している。この例では、画面上に「昇格チャンス!!」と標記した文字情報が大きく表示されており、その背後に仮に報知されていたラウンド数を表す図柄(ここでは「2」)が大きく表示されている。また、合わせてスピーカ88から「昇格チャンス」を意味する音声情報が出力されるとともに、雰囲気を盛り上げる効果音が出力される。
なお、大当り遊技において昇格演出が実施される場合、ラウンド動作が始まって最初に大入賞口26に遊技球が入賞すると(1カウント目)、これがトリガとなって液晶表示器40に図25に示される表示が現れて実際の昇格演出が開始されるものとなっている。
(8−4.演出情報)
図26から図28は、1度目(1ラウンド目)の昇格演出おいて液晶表示器40に表示される演出情報の例をそれぞれ示している。ここでは演出情報として、以下の3通りの表示態様が挙げられている。
(1)2,7,15ラウンドを表す図柄を背景に、警察官を模したキャラクタがコミカルな動作で拳銃を乱射しながら図柄を撃ち落としていく態様(図26)。
(2)カーリング場を背景とした氷上に2,7,15ラウンドを表す図柄が立体的に描かれ、これら3つの立体図柄が鼎に並んだ状態で水平方向に回転しながら滑走する様子が動画として表示される。そして、箒を手にした人物を模したキャラクタが回転する立体図柄をカーリングの要領で滑走方向に案内していき、遊技者からみて正面に位置するべき図柄を次々と変化させる態様(図27)。
(3)民家の庭先を背景に2,7,15ラウンドを表す図柄が奥行き方向に重ねて表示されており、家庭の主婦を模したキャラクタが3つの図柄をその背後から布団叩きの要領でリズミカルに叩きながら、手前に位置するべき図柄を次々と変化させる態様(図28)。
(A.遊技の進行と演出情報との関係)
第1実施形態では、上記(1)〜(3)の表示態様を用いた昇格演出において、それぞれの表示態様(キャラクタの動作や図柄の内容)が遊技の進行度合いに応じて変化するものとなっている。すなわち、大当り遊技中に大入賞口カウントスイッチ28で遊技球の入賞が検出されると、この検出結果に基づいてメイン制御基板68からサブ制御基板70に入賞コマンドが送信される。サブ制御基板70は、受信した入賞コマンドに基づいてカウント数表示(例えば「2C」等)の制御を行うとともに、演出情報として挙げられる上記(1)〜(3)の各表示態様を変化させる制御を行う。なお第1実施形態では、例えば液晶表示器40の画面右上部にて上記のカウント数表示が行われており、その数値表示が入賞個数の増加に合わせて順次変化する制御が行われているが、これは一般的なカウント数表示であって、第1実施形態でいう「演出情報の表示態様を変化させる」ものには含まれない。
これにより、具体的に各表示態様の変化は例えば以下のものとなる。
(1)図26の表示態様では、カウント数が増えるにしたがって順番に図柄が撃ち落とされていき、規定のカウント数(例えば10カウント)に達すると、撃ち落とされずに最後に残った図柄で表されるラウンドへの昇格が確定する。ただし、「2」の図柄が最後に残った場合は結局昇格しなかったことになる。
(2)図27の表示態様では、カウント数が増えるにしたがって立体的な図柄の位置が順番に入れ替わっていき、規定のカウント数に達すると、最終的に正面を向いた図柄で表されるラウンドへの昇格が確定する。ここでも同様に、「2」の図柄が最後に正面を向いた場合は昇格にならない。
(3)図28の表示態様では、カウント数が増えるにしたがって図柄の位置が順繰りに入れ替わっていき、規定のカウント数に達すると、最終的に手前に位置した図柄で表されるラウンドへの昇格が確定する。なお、最後に「2」の図柄が手前に位置した場合に昇格しないことは上記(1),(2)と同じである。
このように、第1実施形態では大当り遊技中に遊技者を楽しませるための液晶表示器40による演出アニメーションや、昇格演出アニメーションそのものに工夫があるといえる。通常であれば、この種の液晶表示器によるアニメーションの演出は演出用のスケジューラを用いて、所定時間が経過する毎に切り替わる演出であったのに対して、第1実施形態では、大当り遊技中に大入賞口26に入った遊技球が、大入賞口カウントスイッチ28で検出されたことをトリガとして演出の切り替えを起こすものとなっている。このためあらかじめ時間を区切ったお仕着せの演出ではなく、遊技者にとって真に遊技の進行とリンクした面白い演出となる。
また、上記(1)〜(3)で例示される昇格演出アニメーションにおいても、それぞれの結果を遊技者が早く見たければ、遊技者は遊技球の発射強度(俗に言う「ストローク」)を適切に調整して極力早く遊技球を大入賞口26に入賞させることが必要になるなどの面白みが増し、さらに遊技者を飽きさせないものとなっている。
(B.ラウンド終了による結果報知)
ただし、これだけでは1ラウンドあたりの入賞個数が規定数(10個)に満たない場合に演出アニメーションの結末が見ることができないといった弊害が生じる可能性がある。この点については、1ラウンド中に規定個数の入賞が無くラウンドが終了(大入賞口26の18回目の閉鎖時)してしまった場合には、サブ制御基板70がアニメーションの進行具合を調整し、ラウンド終了によって強制的に昇格演出の結末を表示するように工夫が加えられている。
(C.表示態様による昇格信頼度)
ここで、第1実施形態では昇格演出用の画像として上記(1)〜(3)の表示態様が挙げられているが、いずれの態様が出現するかは、より高いラウンドに昇格する可能性(いわゆる信頼度)の高低による。具体的には、上記(1)の態様は昇格の信頼度(または期待度)が比較的低く、次の(2)の態様は昇格の信頼度が比較的中程度であり、最後の(3)の態様は昇格の信頼度が比較的高い。
上記(1)〜(3)のいずれの表示態様で昇格演出が行われるかはサブ制御基板70の判断に委ねられており、サブ制御基板70は昇格演出の制御において昇格の信頼度が最も低いと判断できる場合(例えば、本当の当選ラウンドが2ラウンドである場合)、上記(1)の態様を用いて昇格演出の制御を行うことができ、また、昇格の信頼度が中程度であると判断できる場合(例えば、本当の当選ラウンドが7ラウンドである場合)、上記(2)の態様を用いて昇格演出の制御を行うことができる。そして、サブ制御基板70は昇格の信頼度が最も高いと判断できる場合(例えば、本当の当選ラウンドが15ラウンドである場合)、上記(3)の態様を用いて昇格演出の制御を行うことができる。
このように、昇格の信頼度(より高いラウンドへの昇格の期待度)に応じて演出用の表示態様を異ならせることで、遊技者に対して昇格可能性の高低を示唆することができる。また遊技者は、昇格演出時の表示態様から昇格の信頼度をある程度推測することができる。
図29および図30は、昇格演出の結末として液晶表示器40に表示される画像の例を示している。ラウンド抽選演出で仮に2ラウンドが報知されていて、1度目の昇格演出で7ラウンドに昇格した場合は図29に示される画像が表示され、15ラウンドに昇格した場合は図30に示される画像が表示される。これら画像では、画面の中央に昇格が確定したラウンド数を表す図柄が大きく表示されるとともに、その両脇に分かれて「昇格」の文字情報が表示される。また図柄の背後では、警察官を模したキャラクタと箒を手にした人物を模したキャラクタが並んでコミカルな表情をみせている。また、これら画像の表示に合わせてスピーカ88から「昇格」等の音声情報が各キャラクタの声色で出力されるとともに、効果音が出力される。
(8−5.筋書付演出手段)
上記のラウンド抽選演出や、1度目の昇格演出で7ラウンドが報知された場合、6ラウンド目の大当り遊技中に7ラウンドのままか、もしくは15ラウンドに昇格するかの昇格演出が行われる。このとき第1実施形態では演出の興趣を増すために、3、4、5ラウンド目の液晶表示器40による演出アニメーションの内容から15ラウンドに昇格する可能性を暗示するものとしている。
(8−6.筋書付演出情報)
暗示の方法には色々なものが考えられるが、第1実施形態では、3〜5ラウンドで表示される一連の演出アニメーションにストーリー性をもたせ、そのストーリーに沿って演出アニメーションが進行するものとなっている。すなわち、演出アニメーション中に登場するコミカルなキャラクタがそのときのストーリーに応じて色々な場所(下水管の内部、野原(または河原)、派出所の前、銭湯の煙突の上等)に行き先を変え、色々な行動を取ることにより遊技者を楽しませている。
一例として、3〜5ラウンドで表示される演出アニメーションの中に泥棒を模したキャラクタが登場し、これを警察官を模したキャラクタがあちこち行き先を変えながら捜し回る様子が描かれる。また、演出アニメーションの中で泥棒は「15」を表す図柄を背負い込んで逃げる仕草をみせており、警察官はこれを取り戻そうとして必死に捜索する行動をみせている。これにより演出アニメーションの中では、15ラウンド昇格の権利が泥棒に盗まれたため、これを取り戻そうと警察官が必死に捜索しているかのようなストーリーが表現されている。このときのストーリーに沿って表示される演出アニメーションのパターンは多様であるが、ストーリーの内容と昇格の可能性との間に一定の関連性が設けられているので、演出アニメーションをよく観察した遊技者であれば、3〜5ラウンドで表示される演出アニメーションから昇格可能性を推測することが可能となっている。
ただし第1実施形態においては、上記のストーリーに沿って表示される演出アニメーションのパターンは150種類以上にも及ぶため、暗示の方法としてはやや複雑すぎるともいえる。このため遊技者としては、多様な演出アニメーションの内容から15ラウンドに昇格する可能性の暗示を感じ取ることは難しい。そこで第1実施形態においては、演出アニメーションの中でキャラクタが比較的高所に移動する場合ほど昇格の可能性が高く、比較的低所に移動する場合ほど昇格の可能性が低いことを暗示する手法がさらに採用されている。
図31から図34は、6ラウンド目の昇格演出で液晶表示器40により表示される画像の例を示している。ここでは筋書付演出情報の表示態様として以下の4通りの例が挙げられている。
(1)5ラウンド目の終盤で警察官を模したキャラクタがマンホールから地下に入り、6ラウンド目でも同じキャラクタが下水管内部を走りながら泥棒を追いかける態様(図31)。この態様では、現状で報知されている7ラウンドを表す図柄と、昇格後の15ラウンドを表す図柄がキャラクタとともに下水管内部を併走する様子が描かれる。
(2)5ラウンド目の終盤で警察官を模したキャラクタが土手を駆け上がると、6ラウンド目で幼児を模したキャラクタが出現し、このキャラクタが三輪車に乗って野原(河原)を疾走する態様(図32)。この態様では、現状で報知されている7ラウンドを表す図柄と、昇格後の15ラウンドを表す図柄がキャラクタとともに野原を併走する様子が描かれる。
(3)5ラウンド目の終盤で警察官を模したキャラクタが画面とともにフェードアウトし、6ラウンド目で同じキャラクタが派出所の前に移動している態様(図33)。この態様では、現状で報知されている7ラウンドを表す図柄と、昇格後の15ラウンドを表す図柄がキャラクタの頭上から落下してきてキャラクタを押しつぶす様子が描かれる。
(4)5ラウンド目の終盤で警察官を模したキャラクタが銭湯の煙突に向かって移動すると、6ラウンド目で箒を手にした人物を模したキャラクタが出現し、このキャラクタが煙突の天辺で煤払いしている態様(図34)。この態様では、現状で報知されている7ラウンドを表す図柄と、昇格後の15ラウンドを表す図柄が煙突から出たり入ったりする様子が描かれる。
上記(1)の態様は、キャラクタの行き先が比較的低所であり、これにより昇格の可能性が比較的低いことを暗示したものとなっている。逆に上記(4)の態様は、キャラクタの行き先が比較的高所であるため、この場合は昇格の可能性が比較的高いことを暗示したものとなる。このように、演出アニメーションのストーリー展開上で大きな方向性と昇格の可能性の高低とを関連付けることにより、複雑なパターンの演出を使っても遊技者に昇格の可能性を分かりやすく暗示することができる。つまりこのような工夫によって、複雑な演出で遊技者を飽きさせないということと、昇格の可能性の高低を遊技者に推測しやすくするという相反する要求を高次元で満たすことができる。
さらに、単純にキャラクタの行き先や移動方向だけで昇格の可能性を判別させるだけでは、いずれ遊技者にも飽きがくることもある。このため、本来ならは昇格の可能性が低い下水管に移動する表示態様でも、それ以降の移動先や行動によって確実に昇格することのあるパターン(俗に言う「鉄板パターン」)を複数設けて、遊技者の探求心を引き出すような工夫がされている。
図35は、上記の「鉄板パターン」に相当する表示態様の一例を示している。この表示態様では、民家の庭先を背景に、そこで幼児を模したキャラクタが楽しく三輪車をこいでいる様子が描かれており、これに連なって昇格後の15ラウンドを表す図柄がキャラクタとともに現れる様子が描かれる。
図36は、6ラウンド目の昇格演出によって15ラウンドへの昇格が確定した場合に液晶表示器40に表示される画像の例を示している。ここでも1ラウンド目の昇格演出(図30)と同様に、画面の中央に昇格後の15ラウンドを表す図柄が大きく表示されるとともに、その両脇に分かれて「昇格」の文字情報が表示される。また、スピーカ88から音声情報や効果音等が出力される点についてもほぼ同様である。
以上が一連の演出アニメーションを用いた昇格演出の内容であるが、結果的に昇格しない演出(7ラウンドのまま)が行われる場合も当然あり得る。この場合、昇格演出の最後に現状で報知されている7ラウンドを表す図柄が画面上に大きく表示されることで、遊技者に昇格がなかったことが分かりやすく報知される。
ただし第1実施形態では、一度は昇格がなかったことが演出的に報知された場合であっても、この結果を覆して15ラウンドへの昇格の結果が改めて報知される演出も用意されており、これにより遊技者に対する訴求力を一層高めている。この場合、一旦は昇格しない演出画面が表示されるが、その後、例えば警察官を模したキャラクタが出現し、気合いのこもった表情で奇声(「まだまだ!」等)を発する演出が行われる。そして、これに続いて15ラウンドへの昇格の結果が改めて報知されるので、遊技者からみれば、一度は昇格をあきらめていたものが、あたかも復活して昇格の利益を得られたかのように感じられるので、そこで演出的な興趣が高まる。
(9.第2実施形態)
次に、第1実施形態とは区別される第2実施形態について説明する。
第2実施形態もまた、第1実施形態で用いたパチンコ機1をそのまま適用することができるが、ここでは最大ラウンド数やラウンド抽選演出、ラウンド動作中の演出表示態様が異なっている。以下に、第1実施形態と第2実施形態との相違点を挙げる。
(1)第1実施形態では、メイン制御基板68で割り当てられる大当りラウンド数は最大で15ラウンドの仕様であったが、第2実施形態では最大で16ラウンドまで継続可能となっている。ただし、これは単純に遊技仕様上の相違でしかなく、発明の本質的な差違を生じるものではない。
(2)第1実施形態では、通常遊技状態で大当たりになった場合(V入賞した場合)、図22〜図24に示されているように、ラウンド抽選によって継続が予定されているラウンド数(2,7,15のいずれか)が報知されていたが、第2実施形態では、大当りになると必ず最大ラウンド数(遊技仕様上、最大で継続可能なラウンド数)が報知され、それとともに継続予定のラウンド数が報知される。
なお、ここでいう「最大ラウンド数」は、遊技仕様上で設定されているものであるが、「最大ラウンド数」には複数通りの設定があり、そのときの抽選によって「最大ラウンド数」が振り分けられる仕様であってもよい。例えば、あるときの大当りで「最大ラウンド数」が16ラウンドに振り分けられたり、別の大当りでは10ラウンドに振り分けられたりすることで、大当りごとに遊技者に付与する特典の価値を異ならせることができる。その上で、振り分けられた「最大ラウンド数」以下の範囲内でアシストラウンド数が抽選で決定されるので、例えば「最大ラウンド数」が16ラウンドに振り分けられると、その場合のアシストラウンド数は16以下の範囲内で2,7,16ラウンド等に振り分けられる。あるいは、「最大ラウンド数」が10ラウンドに振り分けられると、その場合のアシストラウンド数は10以下の範囲内で例えば2,7,10ラウンド等に振り分けられる。
先に説明した第1実施形態では、遊技仕様としての最大ラウンド数がいくつになるのかが遊技者に報知されていないため、1回の大当り遊技で果たしてどこまでラウンド動作を継続できる可能性があるのかを遊技者が意識していない場合もある。
そこで第2実施形態では、遊技者が常に遊技仕様上の最大ラウンド数を明確に認識した上で遊技を行うことができる報知パターン1,2を提供している。以下に、第2実施形態におけるラウンド報知の態様について具体例を挙げて説明する。
(9−1.報知パターン1)
図37から図39は、ラウンド数の報知パターン1で用いられる画像の例を示している。この報知パターン1では、例えば画面上部に「最大継続回数」との文字情報が表示されており、それに続けて画面の右上位置に最大ラウンド数「16」を表す図柄が表示されている。これにより遊技者は、パチンコ機1の遊技仕様上、1回の大当り遊技によって最大16ラウンドまで大当り遊技を継続できる可能性があることを認識することができる。
加えて報知パターン1では、ラウンド抽選で振り分けられた継続予定回数を表す図柄(例えば数字の「2」,「7」,「16」をデザインしたもの)が画面の中央に大きく表示されており、遊技者は、この図柄から自己に与えられた当選ラウンド数(継続予定回数)を知ることができる。また、各図柄「2」,「7」,「16」の下方には「アシストラウンド」との文字情報が重ねて付されているため、遊技者は各図柄で表されるラウンド数まではセンター役物6(球振分部材、球停留部材等)内でV入賞がアシストされ、それによって継続が予定されていることを認識することができる。
また図37〜図39中、アシストラウンド数を表す各図柄「2」,「7」,「16」の右側位置には、それぞれ別個のキャラクタが表示されており、個々のキャラクタはアシストラウンド数別に対応付けて割り当てられている。
例えば、図37では小柄な少年を模したコミカルなキャラクタが表示されており、このキャラクタは見るからに残念そうな表情に描かれている。このようなキャラクタの表情は、アシストラウンド数が2ラウンドだけと比較的少なかったため、それだけ遊技者が受ける利益の程度が低く、残念な抽選結果であったことを演出的に表現したものといえる。
また図38では、ピンクのスーツに蝶ネクタイを締めたキザな人物を模したキャラクタが表示されており、このキャラクタは一見してにこやかな表情に描かれている。この場合、アシストラウンド数が7ラウンドであって、比較的中くらいの程度の利益が受けられる抽選結果であったことが演出的に表現されている。
そして図39では、男子学生を模したキャラクタが表示されており、このキャラクタはコミカルなポーズで笑顔を振りまくような表情に描かれている。この場合、アシストラウンド数が16ラウンドであって最大ラウンド数まで継続が予定されているため、最も程度の高い利益が受けられる抽選結果であったことが演出的に表現されている。
以上の報知パターン1によれば、大当りになった場合に遊技者は最大ラウンド数と一緒にアシストラウンド数を正しく認識することができる。このため、アシストラウンド数が最大ラウンド数よりも少なかった場合(2ラウンドまたは7ラウンド)、遊技者はアシストラウンド数を過ぎた後の技術介入によるラウンド継続に向けて意識を高めることができるし、最大ラウンド数と同じアシストラウンド数が表示された場合は、遊技者はラウンド抽選によって最大の利益を受けられることに大きな満足感を覚えることができる。
(9−2.報知パターン2)
次に、図40から図43は、報知パターン2で用いられる画像の例を示している。この報知パターン2では、通常遊技中に大当たりになると、演出的な画像(例えば、図20を参照)が表示された後に図40に示される画像が表示され、その後で図41〜図43に示される画像が表示されるものとなっている。
先ず図40では、例えば画面上部に「最大継続回数」との文字情報が表示されており、その下方で画面のほぼ中央位置に最大ラウンド数「16」を表す図柄が大きく表示されている。これにより遊技者は、パチンコ機1の遊技仕様上、1回の大当り遊技によって最大16ラウンドまで大当り遊技を継続できる可能性があることを最初に認識することができる。また図40では、最大ラウンド数「16」を表す図柄の近傍に「チャレンジゲーム!!」との文字情報が表示されているほか、図柄の下方に「どこまで継続するかな?」との文字情報が表示されている。このため遊技者は、これらの文字情報に接することで最初に最大ラウンド数を認識したとしても、その最大ラウンド数まで継続が必ず約束されているわけではないことを追加して認識することができる。
その上で報知パターン2では、図40に示される画像の後に図41〜図43に示される画像が表示されるが、これらは背景画像を除いて順繰りにスクロール表示されて最終的にどれか1つが停止表示される態様であってもよいし、図40の次に図41〜図43のどれか1つの画像に切り替わる態様であってもよい。これら図41〜図43では、それぞれアシストラウンド数を表す図柄(数字の「2」,「7」,「16」をデザインしたもの)が画面中央に大きく表示されており、また各図柄の右側位置には、それぞれ対応する種類のキャラクタ(報知パターン1と同種のもの)が表示されている。なお、各キャラクタの表情の意味するところについては報知パターン1と同様である。
いずれにしても、図40に示される画像の後で図41〜図43に示される画像が表示されると、それによって遊技者は、自己に与えられた当選ラウンド数(アシストラウンド数)を知ることができる。また、上記のように図41〜図43に示される画像がスクロール表示される態様であれば、その間に遊技者はよりよいアシストラウンド数が与えられることを期待して、注意深く画像を見守ることができる。
報知パターン2によれば、大当りになった場合、遊技者が最初に遊技仕様上の最大ラウンド数を明確に認識することができるとともに、これに続いて自己がラウンド抽選で得たアシストラウンド数を正しく認識することができる。この場合も同様に、アシストラウンド数が最大ラウンド数よりも少なかった場合(2ラウンドまたは7ラウンド)、アシストラウンド数を過ぎた後の技術介入によるラウンド継続に向けて意識を高めることができるし、最大ラウンド数と同じアシストラウンド数が得られた場合は、遊技者は抽選結果に大きな満足感を覚えることができる。
さらに、第2実施形態では報知パターン1,2に共通して次の利点がある。
(1)パチンコ機1の仕様(大当りに最大ラウンド数やアシストラウンド数等があること)に関しては、遊技者がメーカーから公表されている仕様や情報誌等をもとに最大ラウンド数を容易に知ることができるが、そのような事前情報に遊技者がアクセスしていなかった場合であっても、大当り時に最大ラウンド数と一緒にアシストラウンド数が報知されるため、パチンコ機1の仕様について正しく認知することができるという利点がある。このため、たとえパチンコ機1の仕様について事前に詳しく知らなかった遊技者でも、経験的に最大継続可能なラウンド数を推測したり、ホール店員にわざわざ尋ねたりすることなく、必要な情報を頭に入れた上で大当り遊技をスムーズに続けることができる。
(2)また、大当り時に最大ラウンド数が必ず報知されるため、遊技に不慣れな初心者等であっても、抽選で与えられたアシストラウンド数を消化した時点で大当り遊技が強制的(または自動的)に終了するのではないかとの間違った認識をもつことがなくなる。
(9−3.その他のパターン)
(1)第2実施形態においても、第1実施形態と同様の「昇格演出」を行うことができる。例えば報知パターン1において、最初は図37または図38に示される画像によってアシストラウンド数が「2」または「7」であることが報知されていたとしても、実際のラウンド動作が行われると、1ラウンド目または6ラウンド目で第1実施形態の場合と同様の昇格演出が行われる態様であってもよい。同様に報知パターン2では、図40に示される画像に続いて図41または図42に示される画像によってアシストラウンド数が「2」または「7」であることが報知されていたとしても、実際のラウンド動作が行われると、1ラウンド目または6ラウンド目で第1実施形態の場合と同様の昇格演出が行われる態様とすることができる。
(2)ここで、上記の各キャラクタ(図37,図38,図39に示されている)は、それぞれアシストラウンド数の「2」,「7」,「16」に対応付けられている。このような特性を利用して、例えば実際の大当り遊技(ラウンド動作)中にいずれかのキャラクタを画像中に表示することで、今回の大当りで与えられたアシストラウンド数を遊技者に対して常にアピールすることが可能となる。
例えば、第1実施形態で用いた図31に示されているように、大当り遊技中は現在のラウンド動作が何回目であるかを表す文字情報(「6R」等)や、そのラウンド内での入賞カウント数(「6C」等)が表示されているが、もともとのアシストラウンド数がいくつであったのかが情報として表示されていない。そうかといって、大当り遊技中の画面でアシストラウンド数の情報を合わせて数値表示してしまうと、遊技者が与えられた情報を一見して判読しにくくなるという問題が生じる。
そこで第2実施形態では、各アシストラウンド数に対応させたキャラクタを大当り遊技中の画像に追加することで、遊技者が現在のラウンド数や入賞カウント数の他に、もともとのアシストラウンド数がいくつであったのかを容易に再認識できるものとなっている。具体的には、大当り遊技中の画面に図37に示されるキャラクタが出現していると、その大当り遊技で与えられたアシストラウンド数が「2」であることを遊技者が常に再認識することができる。同様に、図38に示されるキャラクタが出現しているとアシストラウンド数が「7」であり、図39に示されるキャラクタが出現している場合はアシストラウンド数が「16」であることを遊技者が再認識できる。
これにより、遊技者は大当り遊技の途中で「果たして何ラウンド目までアシストされるのか」といった疑念を抱くことがなくなり、アシストラウンドを全て消化するまでは気持ちの余裕を持って大当り遊技に取り組むことができるし、アシストラウンドの終わりに近づくと、いよいよ技術介入によるラウンド継続(チャレンジゲーム)が始まることを意識し、そこで新たに気持ちを入れ替えて遊技に取り組むことができるという利点がある。
なお、各キャラクタは大当り遊技中に常に表示されていてもよいし、特定のタイミングまたは任意のタイミングで表示されてもよい。いずれにしても、キャラクタの表示によって遊技者がアシストラウンド数を再認識できる態様であればよい。
(3)一方、大当り遊技中に現在のラウンド数の他にもともとのアシストラウンド数が表示されている態様であれば、アシストラウンドが終わった後で遊技者が自力で継続させたラウンド回数を容易に知ることができるという利点がある。
すなわち、パチンコ機1においてアシストラウンド中はセンター役物6によりラウンド継続(V入賞)がアシストされる状態にあるが、アシストラウンドが終わると、「チャレンジゲーム」と称する状態に移行し、遊技者が自己の技術介入によってラウンド継続させる必要が生じる。このとき、遊技者が自力で繰り返し何回もラウンドを継続させているとすると、当該遊技中の台がV入賞しやすい特性を有するか、もしくは、その遊技者の技術が優れているかのいずれかである可能性が高い。
この場合、上記のキャラクタを用いてアシストラウンド数の表示を行う態様であれば、もともとのアシストラウンド数表示と現在のラウンド数表示とを比較して、遊技者が自力継続させたラウンド数を容易に知ることができるし、客観的に見ても、その遊技中の台がV入賞しやすい特性を有することが分かり易いという利点がある。
(10.メイン制御基板の各種制御処理)
次に、パチンコ機1の遊技の進行に応じて図12に示したメイン制御基板68が行う各種制御処理について説明する。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて電源投入時処理、タイマ割り込み処理、特定領域入賞確率監視処理について説明する。図44は電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図45は図44の電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図46はタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図47は特定領域入賞確率監視処理の一例を示すフローチャートであり、図48は大入賞口入賞数記憶バッファ及び計数バッファに設定される初期値(a)、初期化後における大入賞口入賞数記憶バッファ及び計数バッファのシフト(b)、不正時おける大入賞口入賞数記憶バッファ及び計数バッファのシフト(c)を示す図である。なお、特定領域入賞確率監視処理は、後述するタイマ割り込み処理におけるステップS84の不正行為検出処理の一処理として行われる。
(10−1.各種乱数)
遊技制御に用いられる各種乱数として、最大ラウンド数設定用乱数、この最大ラウンド数設定用乱数の初期値の決定に用いられる最大ラウンド数設定用初期値更新乱数等が用意されている。
(10−2.電源投入時処理)
パチンコ機1に電源が投入されると、メイン制御基板68のマイクロプロセッサであるMPU68aは、図44及び図45に示すように、電源投入時処理を行う。この電源投入時処理が開始されると、MPU68aは、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、メイン制御基板68の図示しないDタイプフリップフロップIC(本実施形態では、東京芝浦電気製:TC74HC74)のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する(ステップS12)。この停電クリア信号は、メイン制御基板68のI/Oポート68bを介して、その論理がLOWとなってクリア端子CLRに入力される。これにより、MPU68aは、DタイプフリップフロップICのラッチ状態を解除することができ、後述するラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップICのプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。なお、PR端子は、メイン制御基板68の図示しない停電監視回路からの信号が入力されている。
ステップS12に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS14)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS16)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧(リファレンス電圧Vref)より小さくなると、停電監視回路から停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると停電監視回路から停電予告信号が入力される。そこで、ステップS14のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS16の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、DタイプフリップフロップICの出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS16に続いて、DタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS18)。この停電クリア信号の出力を停止することで、I/Oポート68bを介して、その論理がHIとなってクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、MPU68aは、DタイプフリップフロップICをラッチ状態にセットすることができる。DタイプフリップフロップICは、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS18に続いて、メイン制御基板68のRAMクリアスイッチ68cが操作されているか否かを判定する(ステップS20)。この判定は、RAMクリアスイッチ68cが操作され、その操作信号(検出信号)がMPU68aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ68cが操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ68cが操作されていないと判定する。
ステップS20でRAMクリアスイッチ68cが操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS22)、一方、ステップS20でRAMクリアスイッチ68cが操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS24)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、MPU68aに内蔵されたRAM(以下、「内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS22及びステップS24でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、MPU68aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS22又はステップS24に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS26)。このウェイトタイマ処理2では、図140に示した、液晶制御基板92による液晶表示器40の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。例えば、液晶制御基板92の図示しない液晶制御ROMから圧縮された各種の制御プログラムを読み出して、液晶制御基板92の図示しないマイクロプロセッサに内蔵されたRAMに展開して記憶する。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS26に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS28)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS28でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS30)。このチェックサムは、内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS30に続いて、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS32)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS34)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値、後述する、大入賞口入賞数記憶バッファDBの値及び計数バッファCBの値等のバックアップ情報を後述する電源断時処理において内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、電源断時処理を正常に終了したとき値1、電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS34でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS36)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、MPU68aに内蔵されたROM(以下、「内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
ステップS36に続いて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS38)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。例えば、後述する大入賞口入賞数記憶バッファDB(大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[0])に記憶された値もバックアップ情報に基づいて元通りに復元される
一方、ステップS28でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS32でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS34でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり電源断時処理を正常に終了していないときには、内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS40)。具体的には、初期値(値0)を内蔵RAMに書き込むことよって行う。
ステップS40に続いて、初期設定として内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS42)。この設定は、内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を内蔵RAMの作業領域にセットする。例えば、図1に示した、1回始動口12,12又は2回始動口14に遊技球が入球したことを契機として、大入賞口26の開閉動作が1回行われるごとに、この大入賞口26に入球した遊技球の球数を計数して記憶する計数バッファCBに初期値0をセットしたり、通常遊技状態から大当り遊技状態を開始するまでに亘って、つまり通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数を計数した計数バッファCBの値を履歴情報として記憶する大入賞口入賞数記憶バッファDBに初期値INI(本実施形態では、値4であり、後述する、しきい値TH1(値40)を大入賞口入賞数記憶バッファDBの配列の個数(10個)で割った値となっている。)をセットしたりする(図48(a)参照)。なお、大入賞口入賞数記憶バッファDBは、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の10個の配列として構成されており、通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数を計数した計数バッファCBの値を10回分の履歴情報として、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の配列に記憶するようになっている。
ステップS42に続いて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS44)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を図12に示したサブ制御基板70に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、サブ制御基板70の各種検査を行うためのテストコマンドと、を作成し、送信情報として内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。なお、サブ制御基板70がRAMクリア報知コマンドを受信すると、このRAMクリア報知コマンドを液晶制御基板92に送信し、一方、サブ制御基板70がテストコマンドを受信すると、液晶制御基板92の各種検査を行うためのテストコマンドを液晶制御基板92等に送信する。
ステップS38又はステップS44に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS46)。この設定は、後述するタイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS46に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS48)。この設定によりステップS46で設定した割り込み周期、つまり4msごとにタイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS48に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS50)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS50に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS52)。この判定では、メイン制御基板68の停電監視回路からの停電予告信号に基づいて行う。パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりすると、電圧が停電予告電圧(リファレンス電圧Vref)より小さくなり、停電監視回路から停電予告として停電予告信号が入力される。
ステップS52で停電予告信号の入力がないときには乱数更新処理1を行う(ステップS54)。この乱数更新処理1では、上述した、最大ラウンド数設定用初期値更新乱数を更新する。この最大ラウンド数設定用初期値更新乱数は、この乱数更新処理1を行うごとに、下限値から上限値までの範囲を値1ずつ増える(カウントアップされる)。
ステップS54に続いて、再びステップS50に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS52で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS54で乱数更新処理1を行い、ステップS50〜ステップS54を繰り返し行う。なお、このステップS50〜ステップS54の処理を「メイン処理」という。このメイン処理は、後述するタイマ割り込み処理を行っていない間、繰り返し行うため、ステップS54の乱数更新処理1で最大ラウンド数設定用初期値更新乱数をカウントアップすることによってこの最大ラウンド数設定用初期値更新乱数を高速にカウントアップするようになっている。
一方、ステップS52で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS56)。この設定により後述するタイマ割り込み処理が行われなくなり、内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報、大入賞口入賞数記憶バッファDBの値及び計数バッファCBの値等の書き換えを保護している。
ステップS56に続いて、停電クリア信号を、I/Oポート68bを介して図151に示したDタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に出力したり、図12に示した、球振分部モータ84、大入賞口ソレノイド82等に出力している駆動信号を停止する(ステップS58)。停電クリア信号が出力されることによりDタイプフリップフロップICはラッチ状態を解除することができる。
ステップS58に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS60)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS60に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする。(ステップS62)、これによりバックアップ情報の記憶が完了する。なお、このようなバックアップは、通常、遊技情報について行うものであるが、本実施形態では、遊技情報に併せて大入賞口入賞数記憶バッファDBの値及び計数バッファCBの値についても行っている。これは、大入賞口入賞数記憶バッファDB及び計数バッファCBが、遊技者の不正の有無を判定する、後述する特定領域入賞確率監視処理において、重要なパラメータとなっているからである。
ステップS62に続いて、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS64)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS64に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、MPU68aにリセットがかかり、その後MPU68aは、この電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS56〜ステップS64の処理及び無限ループを「電源断時処理」という。
パチンコ機1(MPU68a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により電源投入時処理を行う。
なお、ステップS32では内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS34では電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
(10−3.タイマ割り込み処理)
次に、タイマ割り込み処理について説明する。このタイマ割り込み処理は、図44及び図45に示した電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
タイマ割り込み処理が開始されると、メイン制御基板68のMPU68aは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、電源投入時処理(メイン処理)のステップS50においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、I/Oポート68bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。具体的には、図12に示した、大入賞口カウントスイッチ28,28、1回始動口スイッチ76,76、2回始動口スイッチ78、特定領域スイッチ52、その他入賞口スイッチ80等からの検出信号、後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを払出制御基板72が正常に受信した旨を伝える払出制御基板72からのACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、大入賞口ソレノイド82を作動させて図2に示した大入賞口26を1回開放させる時間、メイン制御基板68(MPU68a)が送信した各種コマンドを払出制御基板72が正常に受信した旨を伝えるACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の各種時間の時間管理を行う。具体的には、例えばACK信号入力判定時間が100msに設定されている場合には、このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間は、時間管理情報として内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、乱数更新処理2を行う(ステップS78)。この乱数更新処理2では、上述した、最大ラウンド数設定用乱数と、最大ラウンド数設定用初期値更新乱数を更新する。この最大ラウンド数設定用初期値更新乱数は、図45に示した電源投入時処理(メイン処理)におけるステップS54の乱数更新処理1でも更新されている。メイン制御基板68のMPU68aは、最大ラウンド数設定用初期値更新乱数の下限値からその上限値までの範囲を、このタイマ割り込み処理を行うごとにカウントアップする。具体的には、最大ラウンド数設定用初期値更新乱数の初期値からその上限値までカウントアップし、最大ラウンド数設定用初期値更新乱数の下限値からその初期値までをカウントアップすることによって、最大ラウンド数設定用乱数を最大ラウンド数設定用初期値更新乱数の下限値からその上限値までの範囲でカウントアップしている。このカウントアップが終了すると、この乱数更新処理2で更新された最大ラウンド数設定用初期値更新乱数を初期値として再び、最大ラウンド数設定用乱数を最大ラウンド数設定用初期値更新乱数の下限値からその上限値までの範囲でカウントアップする。このように、最大ラウンド数設定用初期値更新乱数は、メイン処理及びこのタイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出す賞球コマンドを作成したり、メイン制御基板68と払出制御基板72との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを払出制御基板72に送信する。例えば、大入賞口26に遊技球が1球、入球すると、賞球として10球を払い出す賞球コマンドを作成して払出制御基板72に送信したり、この賞球コマンドを払出制御基板72が正常に受信完了した旨を伝える払主ACK信号が所定時間内に入力されないときにはメイン制御基板68と払出制御基板72との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して払出制御基板72に送信したりする。
ステップS80に続いて、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。払出制御基板72は、例えば、遊技者に遊技球を払い出す図示しない賞球ユニットが球がみを起こして遊技球を払い出せない状態等の状態コマンドを送信する。ステップS82の枠コマンド受信処理では、この状態コマンドを正常に受信すると、その旨を払出制御基板72に伝える情報を、出力情報として内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また正常に受信した状態コマンドを整形して送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS82に続いて、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合に大入賞口カウントスイッチ28,28からの検出信号が入力されているか否か(大当り遊技状態でない場合に大入賞口26に遊技球が入球したか否か)を確認したり、内蔵RAMに記憶されている大入賞口入賞数記憶バッファDBを読み出し、V入賞に入球した遊技球の球数の履歴を確認したりする。この確認により遊技者が不正に遊技球を獲得している場合には、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、遊技処理を行う(ステップS86)。この遊技処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、図13〜図19等に示した各種タイミングチャートに従って遊技を進行するために、各種遊技設定を行う。例えば、最大ラウンド数設定用乱数が、内蔵ROMに予め記憶されている、2ラウンド判定値、7ラウンド判定値及び15ラウンド判定値のうちいずれかと一致しているか否かを判定して最大ラウンド数を決定したり、1回始動入賞口12,12、2回始動入賞口、大入賞口26に入賞した旨及びV入賞した旨を伝える遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶したり、V入賞して通常遊技状態から大当り遊技状態に移行するときには、可動片24を開閉動作させるよう大入賞口ソレノイド82への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶したりする。
ステップS86に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS88)。このポート出力処理では、I/Oポート68bの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて出力端子から、払出制御基板72からの状態コマンドを正常に受信完了したときには主払ACK信号を払出制御基板72に出力したり、大当り遊技状態であるときには、大入賞口26を開放させる大入賞口ソレノイド82に駆動信号を出力したり、大当り遊技状態が発生している旨を伝える大当り情報出力信号、1回始動口12,12又は2回始動口14に遊技球が入球した旨を伝える始動口入賞情報出力信号、遊技者が不正に遊技球を獲得している旨を伝える不正情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)を、払出制御基板72を介して、外部端子板73に出力する。この外部端子板73は、ホールに設置されたパチンコ機を統括管理する図示しないホールコンピュータと電気的に接続されており、ホールコンピュータがパチンコ機の遊技状態を監視している。
ステップS88に続いて、サブ制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS90)。このサブ制御基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報をサブ制御基板70に送信する。この送信情報には、上述したように、遊技演出コマンド、RAMクリア報知コマンド、テストコマンド、賞球異常報知コマンド及び状態コマンド等がある。この送信情報を送信する他に、メイン制御基板68と払出制御基板72との基板間の接続状態を確認するときにセットされるセルフチェックフラグの値に基づいてその接続状態に不具合が生じているときには接続不具合コマンドを作成してサブ制御基板70に送信する。
ステップS90に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS92)。このステップS92でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS92に続いて、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS94)、このルーチンを終了する。ここで、このタイマ割り込み処理が開始されると、MPU68aは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、MPU68aは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
(10−4.特定領域入賞確率監視処理)
次に、特定領域入賞確率監視処理について説明する。この特定領域入賞確率監視処理では、大入賞口26に入球した遊技球が高確率経路38を通って球振分部材46のステージ46cに落下し、この落下した遊技球を特定入賞口案内部46aに受け入れさせるために、ステージ46cの周囲に形成された4つの隔壁46d同士の切れ目部分のうち、特定入賞口案内部46aにつながる切れ目部分を除いて、つまり一般入賞口案内部46bにつながる3つの切れ目部分すべてに蓋等をかぶせて塞ぐ不正行為が行われているか否かを判定する処理である。このような不正行為によって、大入賞口26に入球した遊技球は、その進路を球経路変化部材34で高確率経路38に送出されると、この高確率経路38を通って強制的に特定入賞口案内部46aに受け入れられるようになり、必ずV入賞することができる。
特定領域入賞確率監視処理が開始されると、メイン制御基板68のMPU68aは、図47に示すように、大当り遊技状態であるか否かを判定する(ステップS100)。このステップS100で大当り遊技状態でないときには、大入賞口ソレノイド82への駆動信号の出力設定を行っているか否かを判定する(ステップS102)。この判定では、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて行う。具体的には、大入賞口26を開放させる大入賞口ソレノイド82に駆動信号を出力する情報がその出力情報に設定されているか否かを判定する。
ステップS102で大入賞口ソレノイド82への駆動信号の出力設定を行っているとき、つまり大入賞口26を開放させる大入賞口ソレノイド82に駆動信号を出力する情報が出力情報に設定されているときには、大入賞口カウントスイッチ28,28からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS104)。この判定では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて行う。具体的には、大入賞口カウントスイッチ28,28からの検出信号がI/Oポート68bの入力端子に入力されていたか否かを判定する。
ステップS104で大入賞口カウントスイッチ28,28からの検出信号があるとき、つまり大入賞口カウントスイッチ28,28からの検出信号がI/Oポート68bの入力端子に入力されていたときには、計数バッファCBに値1を加算する(インクリメントする、ステップS106)。この計数バッファCBは、大入賞口26に入球した遊技球の球数を計数するためものであり、その入球した遊技球が大入賞口カウントスイッチ28,28で検出されるごとに値1が加算される。
一方、ステップ104で大入賞口カウントスイッチ28,28からの検出信号がないとき、つまり大入賞口カウントスイッチ28,28からの検出信号がI/Oポート68bの入力端子に入力されていなかったときには、又はステップS106に続いて、特定領域スイッチ52からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS108)。この判定では、入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて行う。具体的には、特定領域スイッチ52からの検出信号がI/Oポート68bの入力端子に入力されていたか否かを判定する。
ステップS108で特定領域スイッチ52からの検出信号があるとき、つまり特定領域スイッチ52からの検出信号がI/Oポート68bの入力端子に入力されていたときには、大入賞口入賞数記憶バッファ処理を行う(ステップS110)。この大入賞口入賞数記憶バッファ処理では、大入賞口入賞数記憶バッファDBのシフト処理を行う。具体的には、大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]に大入賞口入賞数記憶バッファDB[8]の値をシフトし、大入賞口入賞数記憶バッファDB[8]に大入賞口入賞数記憶バッファDB[7]の値をシフトし、・・・、大入賞口入賞数記憶バッファDB[1]に大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]の値をシフトし、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]に上述した計数バッファCBの値をセットする。そして計数バッファCBに初期値0をセットする。このように、大入賞口入賞数記憶バッファ処理では、特定領域スイッチ52からの検出信号がI/Oポート68bの入力端子に入力されていたときに行われる。つまりV入賞して大当り遊技状態に移行するときに行われる。これにより、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の配列には、通常遊技状態から大当り遊技状態を開始するまでに亘って、つまり通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数がそれぞれ記憶されるようになっている。
ステップS110に続いて、大入賞口入賞数記憶バッファDBのサム値SVを算出する(ステップS112)。ここでは、ステップS110でシフトされた大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]の値を抽出し、この抽出した値をすべて加算してサム値SVを算出する。
ステップS112に続いて、その算出したサム値SVがしきい値TH1より小さいか否かを判定する(ステップS114)。このしきい値TH1は、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の10個の配列に初期値INIが記憶された場合における大入賞口入賞数記憶バッファDBのサム値であり、値40(=初期値INI(値4) × 10回)となっている。本実施形態では、大入賞口26に入球した遊技球が球経路変化部材34によって低確率経路36又は高確率経路38のいずれかに送出されて球振分部材46で受け止めるようになっている。この球振分部材46は、上述したように、その周方向に等間隔に形成された8つのU字形状の切欠のうち、1つの切欠が特定入賞口案内部46aであり、その他(7つ)の切欠は全て一般入賞口案内部46bとなっている。また球振分部材46の上面には、上述したように、ステージ46cの周囲に形成された4つの隔壁46d同士の切れ目部分のうち、1つの切り目部分が特定入賞口案内部46aにつながり、その他(3つ)の切り目部分が一般入賞口案内部46bにつながっている。球経路変化部材34によって低確率経路36に送出された遊技球は、球振分部材46で受け止められると、8分の1の確率で遊技球が特定入賞口案内部46a入り込む、つまりV入賞する可能性があり、球経路変化部材34によって高確率経路38に送出された遊技球は、球振分部材46で受け止められると、4分の1の確率で遊技球が特定入賞口案内部46a入り込む、つまりV入賞する可能性がある。ここで、例えばステージ46cの周囲に形成された4つの隔壁46d同士の切れ目部分のうち、特定入賞口案内部46aにつながる切れ目部分を除いて、つまり一般入賞口案内部46bにつながる3つの切れ目部分すべてに蓋等をかぶせて塞ぐ不正行為が行われていると、球経路変化部材34によって高確率経路38に送出された遊技球は、球振分部材46で受け止められると、4分の1の確率で遊技球が特定入賞口案内部46a入り込むのではなく、すべての遊技球が特定入賞口案内部46aに入り込んでV入賞することとなり、通常遊技状態から大当り遊技状態に移行することとなる。この場合、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の配列には、通常遊技状態から大当り遊技状態を開始するまでに亘って、つまり通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数がそれぞれ記憶されるようになっているため、値1〜値4までのいずれかの値が記憶されることとなる。そうすると、不正行為が行われている場合では、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の10個の配列に記憶された値のサム値を算出すると、この算出した値が値40より小さくなる(図48(c)では、サム値SVが値29となる。)。そこで、本実施形態では、通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数を履歴として記憶し、この遊技球の球数を監視することによって、上述した、ステージ46cの周囲に形成された4つの隔壁46d同士の切れ目部分のうち、特定入賞口案内部46aにつながる切れ目部分を除いて、つまり一般入賞口案内部46bにつながる3つの切れ目部分すべてに蓋等をかぶせて塞ぐ不正行為が行われているか否かを判定している。
ステップS114で算出したサム値SVがしきい値TH1より小さいとき、つまり球振分部材46の一般入賞口案内部46bを蓋等によって塞ぐ不正行為が行われているときには、確率異常報知設定処理を行い(ステップS116)、このルーチンを終了する。この確率異常報知設定処理では、不正行為が行われている旨をホールの店員等に伝えるために、装飾ランプ2aへの点灯信号又は点滅信号号を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶したり、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
一方、ステップS100で大当り遊技状態であるときには、又はステップS102で大入賞口ソレノイド82への駆動信号の出力設定を行っていないとき、つまり大入賞口26を開放させる大入賞口ソレノイド82に駆動信号を出力する情報が出力情報に設定されていないときには、又はステップS114で算出したサム値SVがしきい値TH1以上であるとき、つまり一般入賞口案内部46bにつながる3つの切れ目部分すべてに蓋等をかぶせて塞ぐ不正行為が行われていないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、大入賞口26の近傍には配設された釘の姿勢によって、この大入賞口26に入球した遊技球がタイミングよくV入賞する割合が左右されるため、本実施形態では、試作したパチンコ機1を実際に試打することによって、上述したしきい値TH1の値を適切な値に設定している。
以上説明した本実施形態のパチンコ機1によれば、メイン制御基板68、センター役物6、球振分部材46を備えている。メイン制御基板68は、遊技の進行を制御するマイクロプロセッサであるMPU68aが実装されている。センター役物6は、遊技領域のほぼ中央に配置されており、この遊技領域に打ち出された遊技球が可動片24の作動時に大入賞口26に入球することができるようになっている。球振分部材46は、センター役物6内に設けられており、このセンター役物6に入球した遊技球を特定領域である特定入賞口60又は非特定領域である一般入賞口50に振り分けている。
センター役物6は、さらに、大入賞口カウントスイッチ28,28、特定領域スイッチ52を備えている。大入賞口カウントスイッチ28,28は、センター役物6(大入賞口26)に入球した遊技球を検出している。特定領域スイッチ52は、センター役物6(大入賞口26)に入球した遊技球が球振分部材46によって特定入賞口60に入球した遊技球(特定入賞口60への遊技球の落下)を検出している。
メイン制御基板68に実装されたマイクロプロセッサであるMPU68aは、図46のタイマ割り込み処理におけるステップS86の遊技処理では、図13〜図19等に示した各種タイミングチャートに従って遊技を進行するために、各種遊技設定を行う。例えば、最大ラウンド数設定用乱数が、内蔵ROMに予め記憶されている、2ラウンド判定値、7ラウンド判定値及び15ラウンド判定値のうちいずれかと一致しているか否かを判定して最大ラウンド数を決定したり、1回始動入賞口12,12、2回始動入賞口、大入賞口26に入賞した旨及びV入賞した旨を伝える遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶したり、V入賞して通常遊技状態から大当り遊技状態に移行するときには、可動片24を開閉動作させるよう大入賞口ソレノイド82への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶したりする。
続いてMPU68aは、図47の特定領域入賞確率監視処理におけるステップS106の処理では、計数バッファCBに値1を加算している。この計数バッファCBは、大入賞口26に入球した遊技球の球数を計数するためものであり、その入球した遊技球が大入賞口カウントスイッチ28,28で検出されるごとに値1が加算されている。
続いてMPU68aは、図47の特定領域入賞確率監視処理におけるステップS110の大入賞口入賞数記憶バッファ処理では、大入賞口入賞数記憶バッファDBのシフト処理を行う。具体的には、上述したように、大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]に大入賞口入賞数記憶バッファDB[8]の値をシフトし、大入賞口入賞数記憶バッファDB[8]に大入賞口入賞数記憶バッファDB[7]の値をシフトし、・・・、大入賞口入賞数記憶バッファDB[1]に大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]の値をシフトし、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]に上述した計数バッファCBの値をセットする。そして計数バッファCBに初期値0をセットする。このように、大入賞口入賞数記憶バッファ処理では、特定領域スイッチ52からの検出信号がI/Oポート68bの入力端子に入力されていたときに行われる。つまりV入賞して大当り遊技状態に移行するときに行われる。これにより、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の配列には、通常遊技状態から大当り遊技状態を開始するまでに亘って、つまり通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数がそれぞれ記憶されるようになっている。
続いてMPU68aは、図47の特定領域入賞確率監視処理におけるステップS112の処理では、ステップS110でシフトされた大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]の値を抽出し、この抽出した値をすべて加算してサム値SVを算出している。
続いてMPU68aは、図47の特定領域入賞確率監視処理におけるステップS114の判定処理では、ステップS112で算出したサム値SVがしきい値TH1より小さいか否かを判定している。このしきい値TH1は、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の10個の配列に初期値INIが記憶された場合における大入賞口入賞数記憶バッファDBのサム値であり、値40(=初期値INI(値4) × 10回)となっている。
続いてMPU68aは、ステップS114で算出したサム値SVがしきい値TH1より小さいとき、つまり球振分部材46の一般入賞口案内部46bを蓋等によって塞ぐ不正行為が行われているときには、図47の特定領域入賞確率監視処理におけるステップS116の確率異常報知設定処理を行う。不正行為が行われている旨をホールの店員等に伝えるために、装飾ランプ2aへの点灯信号又は点滅信号号の設定等を行う一方、ステップS114で算出したサム値SVがしきい値TH1以上であるとき、つまり一般入賞口案内部46bにつながる3つの切れ目部分すべてに蓋等をかぶせて塞ぐ不正行為が行われていないときには、図47の特定領域入賞確率監視処理を終了して遊技状態を維持している。
ここで、例えば、センター役物6(大入賞口26)に入球した遊技球をすべて特定領域である特定入賞口60に振り分ける不正行為(具体的には、球振分部材46のステージ46cの周囲に形成された4つの隔壁46d同士の切れ目部分のうち、特定入賞口案内部46aにつながる切れ目部分を除いて、つまり一般入賞口案内部46bにつながる3つの切れ目部分すべてに蓋等をかぶせて塞ぐ不正行為)が行われている場合には、通常遊技状態から遊技者に利益を付与する特別遊技状態へ移行する期間が極めて短くなる。そこで、通常遊技状態から特別遊技状態に移行するまでの間に入球した遊技球の球数を履歴として大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の配列に記憶し、この大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]に記憶した履歴に基づいて最新の履歴である大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]から10回前に遡った履歴である大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の値を抽出し、この抽出した値をすべて加算してサム値SVを算出し、この算出した値としきい値TH1とを比較することによって遊技者が不正な遊技球を多量に獲得しているか否かを判定することができる。したがって、遊技者の不正行為による多量な遊技球の獲得を防止することができる
また、メイン制御基板68に実装されたマイクロプロセッサであるMPU68aは、停電又は瞬停が生じると、図45の電源投入時処理におけるステップS56〜ステップS64の電源断時処理で内蔵RAMに記憶されている情報のバックアップをとる。そして、停電又は瞬停から復旧する際に、図45の電源投入時処理におけるステップS38の電源投入時コマンド作成処理では、電源断時処理でバックアップした内蔵RAMに記憶された情報に基づいて復旧する。これにより、大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]に記憶された値も元通りに復元されることとなる。このように、停電又は瞬停から復旧する際には、速やかに、内蔵RAMに記憶された情報に基づいて大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]に記憶された値が元通りに復元されるため、遊技者は、復旧後、遊技を開始することができる。
更に、メイン制御基板68に実装されたマイクロプロセッサであるMPU68aは、図44の電源投入時処理におけるステップS20の判定処理では、RAMクリアスイッチ68cが操作されているか否かを判定し、RAMクリアスイッチ68cが操作されていると判定すると、図45の電源投入時処理におけるステップS42の処理では、内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を内蔵RAMの作業領域にセットする。例えば、上述したように、図1に示した、1回始動口12,12又は2回始動口14に遊技球が入球したことを契機として、大入賞口26の開閉動作が1回行われるごとに、この大入賞口26に入球した遊技球の球数を計数して記憶する計数バッファCBに初期値0をセットしたり、通常遊技状態から大当り遊技状態を開始するまでに亘って、つまり通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数を計数した計数バッファCBの値を履歴情報として記憶する大入賞口入賞数記憶バッファDBに初期値INI(本実施形態では、値4)をセットしたりする。このため、RAMクリアスイッチ68cが操作されているときには、内蔵RAMが記憶したすべての履歴がクリアされて値0が初期値として上書き(初期化)される代わりに、その履歴には初期値INI(値4= しきい値TH1(値40)を大入賞口入賞数記憶バッファDBの配列の個数(10個)で割った値)が初期値としてそれぞれ上書きされる。これにより、MPU68aは、図47の特定領域入賞確率監視処理におけるステップS112の処理では、ステップS110でシフトされた大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]の値を抽出し、この抽出した値をすべて加算して算出したサム値SVの値は、しきい値TH1となるため、MPU68aは、RAMクリアスイッチ68cが操作されても、図47の特定領域入賞確率監視処理におけるステップS114の判定処理では、ステップS112で算出したサム値SVがしきい値TH1より小さいと判定することがなくなる。したがって、RAMクリアスイッチ68cが操作されても、ステップS114の判定処理によって遊技者による不正行為が行われていると誤って判定されることを防ぐことができる。これにより、パチンコ機1に何らかのトラブルが生じてホールの店員等がRAMクリアスイッチ68cを操作せざるを得なくなった場合でも、RAMクリアスイッチ68cが操作された後に遊技者が遊技を開始してたまたま遊技球がV入賞しても不正行為として報知されないため、その遊技者が他の遊技者又はホールの店員等から不正に遊技球を獲得しているのではないかという目で見られることがなくなる。
(11.別例)
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の10個の配列に記憶された値をそれぞれ抽出し、この抽出した値を加算して総和を算出し、この算出した値としきい値TH1と比較していたが、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]に記憶された値に基づいて移動平均を算出してしきい値TH2と比較してもよい。ここで移動平均の算出方法は、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の10個の配列に記憶された値をそれぞれ抽出し、この抽出した値を加算した総和を大入賞口入賞数記憶バッファDBの配列の個数で割ることによって算出することができる。しきい値TH2としては、初期値INIと同値である値4に設定する。これは、上述したように、大入賞口26に入球した遊技球が球経路変化部材34によって低確率経路36又は高確率経路38のいずれかに送出されて球振分部材46で受け止めるようになっている。この球振分部材46は、その周方向に等間隔に形成された8つのU字形状の切欠のうち、1つの切欠が特定入賞口案内部46aであり、その他(7つ)の切欠は全て一般入賞口案内部46bとなっている。また球振分部材46の上面には、ステージ46cの周囲に形成された4つの隔壁46d同士の切れ目部分のうち、1つの切り目部分が特定入賞口案内部46aにつながり、その他(3つ)の切り目部分が一般入賞口案内部46bにつながっている。球経路変化部材34によって低確率経路36に送出された遊技球は、球振分部材46で受け止められると、8分の1の確率で遊技球が特定入賞口案内部46a入り込む、つまりV入賞する可能性があり、球経路変化部材34によって高確率経路38に送出された遊技球は、球振分部材46で受け止められると、4分の1の確率で遊技球が特定入賞口案内部46a入り込む、つまりV入賞する可能性がある。ここで、例えばステージ46cの周囲に形成された4つの隔壁46d同士の切れ目部分のうち、特定入賞口案内部46aにつながる切れ目部分を除いて、つまり一般入賞口案内部46bにつながる3つの切れ目部分すべてに蓋等をかぶせて塞ぐ不正行為が行われていると、球経路変化部材34によって高確率経路38に送出された遊技球は、球振分部材46で受け止められると、4分の1の確率で遊技球が特定入賞口案内部46a入り込むのではなく、すべての遊技球が特定入賞口案内部46aに入り込んでV入賞することとなり、通常遊技状態から大当り遊技状態に移行することとなる。この場合、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の配列には、通常遊技状態から大当り遊技状態を開始するまでに亘って、つまり通常遊技状態からV入賞するまでに亘って大入賞口26に入球した遊技球の球数がそれぞれ記憶されるようになっているため、値1〜値4までのいずれかの値が記憶されることとなる。そこで、遊技者が不正な遊技球を多量に獲得している不正行為を行っているか否かを判定する際に、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]に記憶された値に基づいて移動平均を用いてその不正行為の有無を判定する場合には、例えば、算出した移動平均の値が値3.9であるときには、しきい値TH2として設定した値4より小さいため、遊技者が不正な遊技球を多量に獲得している不正行為を行っていると判定することができる。
また、上述した実施形態では、RAMクリアスイッチ68cが操作されると、固定値である初期値INIが大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]にそれぞれセットされていたが、変動させた初期値INIとしてもよい。例えば、RAMクリアスイッチ68cが操作された後に、遊技者が遊技を開始してたまたま遊技球がV入賞する場合もあるため、通常遊技状態から大当り遊技状態に移行するまでの間に大入賞口26に入球した遊技球の球数を値4、値8、値10、・・・、値40、値40、値40という具合に、RAMクリアスイッチ68cが操作されたから所定回数、初期値INIを変動させて、その後、固定値に設定する。このような所定回数だけ初期値INIを変動させる場合には、試作したパチンコ機1を実際に試打することによって、その変動させる各値を適切な値に設定する必要がある。
更に、上述した実施形態では、メイン制御基板68に実装されたマイクロプロセッサであるMPU68aは、図44の電源投入時処理におけるステップS20の判定処理では、RAMクリアスイッチ68cが操作されているか否かを判定し、RAMクリアスイッチ68cが操作されていると判定すると、図45の電源投入時処理におけるステップS42の処理では、内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を内蔵RAMの作業領域にセットしていたが、このとき、内蔵RAMに記憶されている大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]以外の情報についてのみ行ってもよい。つまり、RAMクリアスイッチ68cが操作されている場合には大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]に初期値INIをセットせず、そのまま内蔵RAMに記憶されている値を保持してもよい。こうすれば、RAMクリアスイッチ68cの操作の有無に関係なく、大入賞口入賞数記憶バッファDB[0]〜大入賞口入賞数記憶バッファDB[9]の値を保持することができるため、RAMクリアスイッチ68cの操作後においても、その操作前から継続して遊技者の不正の有無を監視することができる。
そして、上述した実施形態では、パチンコ機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ遊に限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。
1…パチンコ機(パチンコ遊技機)、2…遊技盤、6…センター役物(可変入賞装置)、26…大入賞口、28…大入賞口カウントスイッチ(可変入賞装置入球検出スイッチ)、40…液晶表示器、46…球振分部材(振り分け装置)、50…一般入賞口(非特定領域)、60…特定入賞口(特定領域)、52…特定領域スイッチ(特定領域入球検出スイッチ)、68…メイン制御基板(制御基板)、68a…MPU(マイクロプロセッサ)、68b…I/Oポート、68c…RAMクリアスイッチ(RAMクリアスイッチ)、70…サブ制御基板、88…スピーカ。