JP5022806B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形品及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形品及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びこの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られた予備発泡粒子、この予備発泡粒子を発泡成形させてなる発泡成形品、並びに、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
従来から、ポリスチレン系樹脂粒子中に物理発泡剤を含浸させてなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて予備発泡粒子を製造し、この予備発泡粒子を成形機の金型内に充填した上で加熱、発泡させ互いに融着一体化させて所望形状を有する発泡成形容器を製造していた。
上述のように、発泡成形容器は、予備発泡粒子自身の発泡圧力によって、予備発泡粒子が発泡してなる発泡粒子同士を熱融着一体してなるものであるが、発泡粒子同士は、これら発泡粒子同士の対向部分において全面的に熱融着しているものではなく、部分的にしか熱融着一体化していない。
従って、発泡成形容器は、たとえ発泡粒子同士が良好な状態、即ち、発泡成形容器の断面において発泡粒子の表面同士が目視にて完全に熱融着一体化した状態であっても、発泡粒子同士の対向部分における非熱融着部分に起因する隙間が内外方向に連続することによって、目視では確認できないような微細な毛細管が発泡成形容器の内外面間に亘って貫通した状態に形成されている。
このことは、発泡成形容器内に界面活性剤を含有する染料水を入れて所定時間に亘って放置すると、発泡成形容器内の染料水が発泡粒子間にできた毛細管を通じて外部に滲み出してくる現象が生じ、この現象によって上記毛細管の存在を確認することができる。
そして、このような発泡成形容器をコーヒーのような飲料用コップとして用いる場合には実用上において何ら支障は生じないものの、発泡成形容器内に油性食品類、例えば、ドーナツ、ハンバーガー、フライドチキン、マーガリンなどのサラダ油、油脂などを含有する食品を長期間に亘って保存しておくと、これら油性食品類に含有されていた油分が発泡成形容器に形成された毛細管を通じて外部に滲み出してくるといった問題点があった。
同様に、発泡成形容器内に、即席麺と共にカレー粉を含有するかやく類を収納して保存しておくと、カレー粉の黄色色素が発泡成形容器の毛細管を通じて発泡成形容器外面に滲み出してきて商品価値が損なわれるといった問題点があった。
そこで、特許文献1には、発泡性可塑性樹脂粒子の表面に所定径を有するジンクステアレートと非イオン性セルロースエーテルとを被覆してなる発泡性熱可塑性樹脂粒子組成物が開示され、特許文献2には、発泡性スチレン系樹脂粒子の表面が、所定粘度を有するポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及び直接法で得られた脂肪酸の亜鉛塩からなる表皮層で被覆されてなる発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されている。
又、特許文献3には、発泡性スチレン系樹脂粒子の表面を所定の脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドで被覆してなる発泡性スチレン系樹脂粒子が開示され、更に、特許文献4には、発泡性スチレン系樹脂粒子が、所定の脂肪酸アマイド及び脂肪酸ビスアマイドと、脂肪酸金属塩で被覆されてなる発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されている。
一方、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、予備発泡機内に供給されるに際し、一端部が予備発泡機に連結、連通された流通管内を予備発泡機に向かって吸引することによって流通管を通じて予備発泡機に供給される(以下、この供給要領を「吸引輸送」という)が、上述した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、上記吸引輸送工程において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に付着させた脂肪酸金属塩や脂肪酸アマイドなどが流通管内において脱落して流通管の内面に付着し、流通管の内面が汚染され或いは流通管が閉塞してしまうといった問題点があった。
更に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子は、その後に発泡成形機の金型内に供給されて加熱発泡されるが、予備発泡粒子を発泡成形機に供給する場合にも、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡機に供給する場合と同様に、一端部が発泡成形機に供給された流通管内を発泡成形機に向かって吸引することによって流通管を通じて行なわれ、かかる場合にも、予備発泡粒子の表面に付着した脂肪酸金属塩ンや脂肪酸アマイドなどが脱落して流通管の内面に付着し、流通管の内面が汚染され或いは流通管が閉塞してしまうといった問題点があった。
そして、脂肪酸金属塩などが脱落した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子やこれを予備発泡させてなる予備発泡粒子から得られる発泡成形容器内に、油分や色素を含む食品や、界面活性剤を含む液体を収納すると、油分や色素、或いは、液体が外部に滲み出すといった問題点を生じていた。
そこで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を被覆している脂肪酸金属塩や脂肪酸アマイドなどの化合物の付着量を過剰量とすると、上記吸引輸送中に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面から更に多量の脱落を生じ、流通管の内面の汚染や流通管の閉塞がひどくなるといった問題を生じていた。
特開昭60−26042号公報 特開2006−152029号公報 特開2003−201360号公報 特開2004−315806号公報
本発明は、食品などに含まれた油分やカレー粉などの色素を長期間に亘って内部に保存し或いは界面活性剤などを含む液体を所定時間に亘って内部に収納した場合にあっても外部に滲み出すことのない発泡成形品を得ることができ、しかも、予備発泡機へ移送する際に流通管の内面を殆ど汚染することがない発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる予備発泡粒子、及び、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて成形された発泡成形品を提供する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面が表皮層で被覆されており、この表皮層は、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、アニオン系水溶性セルロースエーテル0.005〜0.2重量部及び脂肪酸金属塩0.1〜1.0重量部を含むことを特徴とする。
上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどのスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体などが挙げられる。
又、上記ポリスチレン系樹脂としては、上記スチレン系単量体を主成分とする、上記スチレン系単量体とこのスチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体であってもよく、このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性単量体などが挙げられる。
なお、上記ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、15万〜40万が好ましく、25万〜35万がより好ましい。又、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒径は、0.1〜2.0mmが好ましく、0.2〜0.6mmがより好ましい。
ここで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、汎用の製造方法が用いられ、ポリスチレン系樹脂の懸濁重合時に水性懸濁液中に物理発泡剤を含有させ、ポリスチレン系樹脂粒子中に物理発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法、ポリスチレン系樹脂粒子を汎用の方法で製造し、このポリスチレン系樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させる方法などが挙げられる。
上記物理発泡剤としては、特に限定されず、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンなどの易揮発性脂肪族炭化水素、トリクロロモノフロオロメタン(フロン11)、ジクロロジフルオロメタン(フロン12)などのフロン、二酸化炭素、窒素、水などが挙げられる。なお、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、紫外線吸収剤、増量剤、着色剤などの汎用の添加剤が添加されていてもよい。
そして、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面は、アニオン系水溶性セルロースエーテル及び脂肪酸金属塩を含む表皮層によって被覆されており、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面が表皮層によって全面的に被覆されていることが好ましい。
上記アニオン系水溶性セルロースエーテルとしては、特に限定されず、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロース、スルホエチルセルロース、スルホプロピルセルロース、カルボキシメチルスルホエチルセルロース、カルボキシメチルスルホプロピルセルロースなどのセルロースエーテルのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が挙げられ、セルロースエーテルのアルカリ金属塩が好ましく、セルロースエーテルのナトリウム塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースナトリウムがより好ましい。
そして、表皮層中におけるアニオン系水溶性セルロースエーテルの含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.005〜0.2重量部に限定され、0.01〜0.1重量部が好ましい。
これは、表皮層中におけるアニオン系水溶性セルロースエーテルの含有量が少ないと、吸引輸送中に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面から脂肪酸金属塩が剥離し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形品内に、カレー粉などの色素や油分を含む食品を長期間に亘って内部に保存し或いは界面活性剤などを含む液体を所定時間に亘って内部に収納した場合に、界面活性剤を含む液体、油分又は色素が発泡成形品の発泡粒子間に形成された微細な毛細管を通じて滲み出す虞れがあるからである。
一方、表皮層中におけるアニオン系水溶性セルロースエーテルの含有量が多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面への脂肪酸金属塩の付着が不均一となり、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形品の発泡粒子間に形成された微細な毛細管を通じて界面活性剤を含む液体、油分又は色素が滲み出す虞れがあると共に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子にべとつきが生じ、吸引輸送時に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が流通管の内面に衝突した際に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表皮層が流通管の内面に容易に付着し、流通管の内面を汚染し或いは流通管を閉塞する虞れがあるからである。
又、表皮層中の脂肪酸金属塩としては、高級脂肪酸金属塩が好ましく、このような高級脂肪酸金属塩としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸金属塩が好ましく、ステアリン酸亜鉛がより好ましい。
そして、表皮層中における脂肪酸金属塩の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.1〜1.0重量部に限定され、0.3〜0.7重量部が好ましい。
これは、脂肪酸金属塩の含有量が少ないと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形品内に、油分やカレー粉などの色素を含む食品を長期間に亘って内部に保存し或いは界面活性剤などを含む液体を所定時間に亘って内部に収納した場合に、界面活性剤を含む液体、油分又は色素が発泡成形品の発泡粒子間に形成された微細な毛細管を通じて滲み出す虞れがあるからである。
一方、脂肪酸金属塩の含有量が多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熱融着性が低下するからである。
更に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表皮層には、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られた発泡成形品の発泡粒子間の隙間を閉塞して毛細管の形成をより確実に阻止するためにポリオキシアルキレングリコールが含有されてもよい。
上記ポリオキシアルキレングリコールとしては、特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられ、ポリエチレングリコールが好ましい。
そして、表皮層中におけるポリオキシアルキレングリコールの含有量は、少ないと、ポリオキシアルキレングリコールを添加した効果が発現しない一方、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のべたつきが強くなり、吸引輸送時に流通管の内面に衝突した際に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表皮層が容易に流通管内面に付着して流通管の閉塞を生じる虞れがあるので、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.01〜0.3重量部が好ましく、0.03〜0.1重量部がより好ましい。
更に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表皮層には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面から脂肪酸金属塩の脱落を更に抑制するために下記式1で示される脂肪酸ビスアマイドが含有されていてもよい。
Figure 0005022806

(但し、R1及びR2は飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、R3は脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、R1とR2は同一であっても相違していてもよい。)
上記式1中のR1、R2の炭素数としては7〜23が好ましく、15〜21がより好ましい。又、上記式1中のR3の炭素数としては1〜8が好ましい。
上記脂肪酸ビスアマイドとしては、特に限定されず、例えば、エチレンビスカプリル酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスエルカ酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、メチレンビスラウリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、メチレンビスオレイン酸アマイド、キシリレンビスステアリン酸アマイドなどが挙げられ、エチレンビスステアリン酸アマイドが好ましい。なお、脂肪酸ビスアマイドは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、表皮層中における脂肪酸ビスアマイドの含有量は、少ないと、脂肪酸ビスアマイドを添加した効果が発現しない一方、多いと、予備発泡粒子同士の融着性が低下し発泡成形性が低下するので、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.01〜0.5重量部が好ましく、0.15〜0.35重量部がより好ましい。
次に、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を上記表皮層で被覆する方法としては、例えば、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を作製する一方、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲーミキサーなどの汎用の混合機に供給し、この混合機内に上記アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液と、必要に応じてポリエチレングリコールや脂肪酸ビスアマイドを供給して混合し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液と必要に応じてポリエチレングリコールや脂肪酸ビスアマイドを塗布した後、脂肪酸金属塩を混合機に供給して混合し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に脂肪酸金属塩を付着させて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を表皮層で被覆する方法が挙げられる。
この際、上記アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の23℃における粘度は、5〜4000mPa・sが好ましく、10〜1000mPa・sがより好ましく、10〜100mPa・sが特に好ましい。これは、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の23℃における粘度が低いと、吸引輸送中に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面から脂肪酸金属塩が剥離し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形品内に、カレー粉などの色素や油分を含む食品を長期間に亘って内部に保存し或いは界面活性剤などを含む液体を所定時間に亘って内部に収納した場合に、界面活性剤を含む液体、油分又は色素が発泡成形品の発泡粒子間に形成された微細な毛細管を通じて滲み出す虞れがあるからである。
一方、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の23℃における粘度が高いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面への脂肪酸金属塩の付着が不均一となり、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形品の発泡粒子間に形成された微細な毛細管を通じて界面活性剤を含む液体、油分又は色素が滲み出す虞れがあるからである。
ここで、水溶液の粘度は、JIS K7117−1(1999)に準拠して測定される。アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の23℃における粘度は、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を23℃にて24時間以上放置した後、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の粘度を23℃にてB型粘度計を用いて測定したものをいう。
具体的には、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を23℃に保持した恒温室内に24時間以上に亘って放置した後、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の粘度を23℃にてB型粘度計によりNo.1、No.2、No.3及びNo.4のローターを用いて60rpmの攪拌条件下にて測定することができる。なお、B型粘度計は、例えば、東京計器社から市販されているものを用いることができる。
アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を混合機に供給するにあたっては、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、アニオン系水溶性セルロースエーテルが発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.005〜0.2重量部となるように調整するが、この調整方法としては、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液のアニオン系水溶性セルロースエーテル濃度と、混合機中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の量とに基づいて、混合機へのアニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の供給量を決定すればよい。
同様に、脂肪酸金属塩を混合機に供給するにあたっても、混合機中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の量に基づいて、混合機への脂肪酸金属塩の供給量を決定すればよい。
更に、混合機にアニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を供給する際に、ポリオキシアルキレングリコール、特に、ポリエチレングリコールを混合機に供給することによって、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の乾燥後のフィルム化を防止することができ、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に更に均一に塗布することができる。
このようにして得られた、表面が表皮層で被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂は、予備発泡機で予備発泡されて予備発泡粒子とされ、得られた予備発泡粒子は発泡成形機の金型内に充填された上で加熱蒸気などの加熱媒体により発泡させられて発泡圧によって互いに熱融着一体化して所望形状を有する発泡成形品とされる。なお、予備発泡粒子の嵩密度は、0.015〜0.500g/cm3 が好ましい。
又、上記発泡成形品としては種々の形態のものが挙げられるが、コップ状、どんぶり状、トレー状、箱状などの発泡成形容器が本発明の作用、効果を効果的に奏する点で好ましく、この発泡成形容器内には、牛脂、大豆油、菜種油などの植物油、ラード、即席麺、シチュー、マヨネーズ、ドレッシングソース、カレールー、バター、マーガリン、ホワイトソース、ヨーグルト類、アイスクリーム、ドーナツ、ハンバーガー、フライドチキンなどの油性食品や脂肪食品、界面活性剤を含む水溶液などを収納することができる。
そして、上記発泡成形品は、上述のように、アニオン系水溶性セルロースエーテル及び脂肪酸金属塩を所定割合で含む表皮層で表面が被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて熱融着一体化させて得られたものであることから、発泡成形品における発泡粒子同士の熱融着界面においては、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表皮層成分が発泡粒子同士の熱融着を阻害させることなく介在した状態となっており、その結果、発泡粒子間に形成された微細な隙間が表皮層成分によって効果的に概ね閉塞された状態となり、発泡成形品の内外面間に亘って貫通する毛細管が発泡成形品に形成されるのを効果的に防止している。
従って、油分を含んだ食品やカレー粉などの色素を含むものを長期間に亘って発泡成形品内に収納し、或いは、界面活性剤を含む液体などを発泡成形品内に収納した場合にあっても、油分や色素、界面活性剤を含んだ液体などが発泡成形品の外面に滲み出るといった事態を略防止することができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面が表皮層で被覆されており、この表皮層は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、アニオン系水溶性セルロースエーテル0.005〜0.2重量部及び脂肪酸金属塩0.1〜1.0重量部を含むことを特徴とするので、表皮層は発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に適切な量でもって概ね均一に形成されており、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びこの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる予備発泡粒子を流通管内に流通させる際に表皮層が多量に剥離して流通管の内面を汚染し或いは閉塞するといったことはない。
そして、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、その表面に表皮層が被覆され、更に、上述のように、流通管内を流通させる際においても表皮層が多量に剥離するようなことはなく、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程及び発泡成形工程において表皮層が均一に表面に形成されていることから、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる発泡成形品は、その発泡粒子間に形成された隙間が表皮層成分によって発泡粒子同士の熱融着を阻害させることなく概ね閉塞されており、発泡成形品にその内外面間に亘って貫通する毛細管が形成されるのを阻止している。
従って、発泡成形品内に油分や色素を含んだ食品を長期間に亘って収納し或いは界面活性剤を含んだ液体を収納した場合にあっても、発泡成形品内に収納した油分や色素、界面活性剤を含んだ液体が外部に滲み出すといったことは殆どなく、発泡成形品を実用上、問題なく用いることができる。
そして、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面にアニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対してアニオン系水溶性セルロースエーテルが0.05〜0.2重量部となるように塗布した後、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に脂肪酸金属塩を上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.1〜1.0重量部となるように付着させることを特徴とするので、アニオン系水溶性セルロースエーテルを略均一に付着させた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に脂肪酸金属塩を略均一に付着させることができる。
従って、得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面は、アニオン系水溶性セルロースエーテル及び脂肪酸金属塩を含有する表皮層で適切な量でもって略均一に被覆されており、得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、吸引輸送時に表面層の脱落による流通管の内面の汚染や閉塞を生じることがない。
そして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面は、表面層にて均一に且つ充分に被覆されており、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いることによって、油分や色素、界面活性剤を含んだ液体が外部に滲み出すといった問題の生じない発泡成形品を容易に得ることができる。
更に、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の23℃における粘度が5〜4000mPa・sである場合には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面にアニオン系水溶性セルロースエーテル及び脂肪酸金属塩を更に均一に付着させて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を表面層で更に均一に被覆させることができる。
(実施例1)
撹拌装置を備えたステンレス製の内容量100リットルのオートクレーブ内にイオン交換水40kgを供給し、このイオン交換水中に該イオン交換水を攪拌しながらスチレン単量体40kg、リン酸三カルシウム(太平化学産業社製 第三リン酸カルシウム)40g、過硫酸カリウム0.5g、純度75重量%のベンゾイルパーオキサイド140g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート30gを供給して懸濁液を作製した。
次に、上記懸濁液を200rpm の回転速度で撹拌しながら1時間かけて90℃に昇温し、懸濁液を90℃で6時間に亘って保持して重合した後、この懸濁液にリン酸三カルシウム40g、α−オレフィンスルホネート(ライオン社製 商品名「リポランPJ−400」)0.4g及びエチレンビスステアリン酸アマイド(花王社製 商品名「カオーワックスEB−FE」)12gを添加した上でノルマルペンタン1600g及びイソペンタン400gを圧入して、懸濁液を130℃まで40分かけて昇温し、130℃で3時間に亘って放置した。
しかる後、上記懸濁液を冷却して懸濁液のpHが2となるまで塩酸を添加してリン酸三カルシウムを分解した。続いて、懸濁液を脱水機にて10分間注水しながら洗浄、脱水した後に気流乾燥することによって発泡性ポリスチレン粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン粒子をJISに規定された目開きが0.600mmの篩で篩い、この篩を通過した発泡性ポリスチレン粒子を収集した。次に、この収集した発泡性ポリスチレン粒子をJISに規定された目開きが0.300mmの篩で篩い、この篩上に残った発泡性ポリスチレン粒子を収集することによって、粒子の平均粒径が0.450mmの発泡性ポリスチレン粒子を得た。
又、カルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙ケミカル社製 商品名「FT−1」)を水に溶解させて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製した。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は15mPa・sであった。
しかる後、上記発泡性ポリスチレン粒子8kgをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、内容積:20リットル)に供給した後、上記ヘンシェルミキサー内に上記カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液400g及びポリエチレングリコール(日本油脂社製 商品名「PEG−300」、重量平均分子量:300)6.4gを供給して3分間に亘って攪拌し、発泡性ポリスチレン粒子の表面全面に、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液及びポリエチレングリコールを付着させた。
次に、上記ヘンシェルミキサー内に直接法で得られたステアリン酸亜鉛(日本油脂社製 商品名「ジンクステアレートGF−200」)40gを更に供給して攪拌羽根を740rmpの回転速度で回転させて3分間に亘って攪拌して、発泡性ポリスチレン粒子の表面全面にステアリン酸亜鉛を付着させて、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸亜鉛及びポリエチレングリコールからなる表皮層で表面が全面的に被覆されてなる発泡性ポリスチレン粒子を得た。
なお、表皮層で表面が全面的に被覆されている発泡性ポリスチレン粒子において、発泡性ポリスチレン粒子、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸亜鉛及びポリエチレングリコールの重量割合は、ヘンシェルミキサー内に供給した、発泡性ポリスチレン粒子、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸亜鉛及びポリエチレングリコールの重量割合と同様の重量割合であった。
(実施例2)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F04MC」にて市販されているものを用いて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を400gの代わりに800gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は42mPa・sであった。
(実施例3)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F04MC」にて市販されているものを用いて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は42mPa・sであった。
(実施例4)
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を400gの代わりに80gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(実施例5)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F300MC」にて市販されているものを用いて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を400gの代わりに240gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は2920mPa・sであった。
(実施例6)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F04MC」にて市販されているものを用いて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと、ステアリン酸亜鉛と共にエチレンビスステアリン酸アマイド(花王社製 商品名「カオーワックスEB−FF」)16gをヘンシェルミキサー内に供給したこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は42mPa・sであった。
(実施例7)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F04MC」にて市販されているものを用いて3.5重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を400gの代わりに114.3gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は2020mPa・sであった。
(実施例8)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F04MC」にて市販されているものを用いて0.5重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を400gの代わりに800gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は18mPa・sであった。
(実施例9)
ポリエチレングリコールを用いなかったこと以外は実施例3と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(実施例10)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F600MC」にて市販されているものを用いて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は6880mPa・sであった。
(比較例1)
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の代わりに、4重量%濃度のポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学社製 商品名「ゴーセノール GH−23」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、ポリビニルアルコール水溶液の23℃における粘度は52mPa・sであった。
(比較例2)
カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いなかったこと、ステアリン酸亜鉛と共にエチレンビスステアリン酸アマイド(花王社製 商品名「カオーワックスEB−FF」)16gをヘンシェルミキサー内に供給したこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(比較例3)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F04MC」にて市販されているものを用いて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を400gの代わりに2400gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は42mPa・sであった。
(比較例4)
カルボキシメチルセルロースナトリウムとして日本製紙ケミカル社から商品名「F04MC」にて市販されているものを用いて1重量%濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を作製したこと、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を400gの代わりに8gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の23℃における粘度は42mPa・sであった。
(比較例5)
カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(比較例6)
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液の代わりに、2重量%のメチルセルロース水溶液(信越化学工業社製 商品名「メチルセルロース SM−1500」)を200g用いたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、メチルセルロース水溶液の23℃における粘度は1300mPa・sであった。
発泡性ポリスチレン粒子を用いて得られた発泡成形容器の油分滲出性、及び、得られた発泡性ポリスチレン粒子のステアリン酸亜鉛の付着率を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
なお、発泡性ポリスチレン粒子の表皮層において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対するカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ステアリン酸亜鉛及びエチレンビスステアリン酸アマイドの含有量を表1に示した。
(油分滲出性)
図1に示した吸引輸送装置を用意した。この吸引輸送装置は、エムエルエンジニアリング社から商品名「ML−5500CB」にて市販されており、具体的には、下端部に垂直に延びる放出管11が一体的に設けられたホッパー1と、このホッパー1の上部に一体的に設けられた吸引部2と、この吸引部2の上端部と吸引管3を介して接続されたバグフィルター4と、このバグフィルター4に接続されたブロア5と、上記ホッパー1の放出管11の垂直下方に設置されたドラム6と、上端が吸引部2に接続され且つ下端部に吸引ノズル71が一体的に設けられてこの吸引ノズル71を上記ドラム6内の内底面上に臨ませてなる流通管7とからなる。
なお、流通管7は、その内径が50mmで且つ長さが10mであり、できるだけ垂直となるように配設されていると共に、ホッパー1の下端からドラム6の内底面までの距離は8mとした。
先ず、上記吸引輸送装置のドラム6内に発泡性ポリスチレン粒子Aを供給した後、ブロア5を作動させて、吸引管3、吸引部2及び流通管7を通じてドラム6内の発泡性ポリスチレン粒子Aを全て吸引し、吸引された発泡性ポリスチレン粒子Aを吸引部2を介してホッパー1内に収納した。
次に、ホッパー1内に蓄積させた発泡性ポリスチレン粒子を全て、放出管11を通じてドラム6内に自然落下させてドラム6内に収納した。上記一連の操作を1サイクルとして12サイクル行い、吸引輸送後の発泡性ポリスチレン粒子Aを得た。
続いて、上記吸引輸送後の発泡性ポリスチレン粒子Aを回転翼を内蔵したバッチ型予備発泡機に投入して水蒸気で均一に加熱することによって予備発泡させて、嵩密度が0.1g/cm3の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を大気中で12時間に亘って熟成・乾燥させた後、予備発泡粒子を発泡成形機のカップ形成用金型内に供給、充填し、ゲージ圧が0.22MPaの水蒸気を用いて6秒間に亘って加熱、発泡させた後に冷却してカップ状の発泡成形容器を得た。
なお、カップ状の発泡成形容器は、平面円形状の底面部の外周縁から一定高さの周壁部を上方における斜め外方に向かって突設してなるものであり、上端開口部の内径が95mm、内底面の直径が68mm、高さ105mm、内容量400ミリリットル、肉厚が約2mmであった。
得られたカップ状の発泡成形容器を5個準備し、それぞれの発泡成形容器内に、即席麺に用いられている、カレー粉を含む調味料及びかやくを100g供給した上で、各発泡成形容器の上端開口部が略密閉されるようにしながらポリ塩化ビニリデン製のフィルムで各発泡成形容器全体を全面的に包装し、しかる後、各発泡成形容器を60℃に保持されたオーブン内に24時間に亘って放置した。
次に、各発泡成形容器をオーブンから取り出し、発泡成形容器の周壁部のカレー粉による黄色色素の滲出しを目視で観察した。黄色色素の滲出しのある場合は、発泡成形容器の周壁部の外面の全面を紙に写し取ると共に、発泡成形容器の周壁部の外面に滲出したカレー粉による黄色色素部分を上記紙に写し取った。写し取った発泡成形容器の周壁部全面に対応する部分の紙の重量をW1、写し取った黄色色素部分に対応する部分の紙の重量をW2として下記式により油分滲出性を算出し、各発泡成形容器の油分滲出性のうちの最大値を油分滲出性として採用し、下記の基準より評価した。表1の括弧内に油分滲出性の値を記載した。
比較例3は、発泡性ポリスチレン粒子のべとつきがひどく、流通管7の吸引ノズル71が発泡性ポリスチレン粒子で閉塞してしまい、測定することができなかった。なお、油分滲出性が1%を越えると、長期間常温にて保管した場合、内容物の油分が滲出して発泡成形容器の商品価値が失われる可能性がある。
油分滲出性(%)=100×W2/W1
◎・・・油分滲出性が0%であった(黄色色素の滲出しはなかった)。
○・・・黄色色素の滲出しはあったが、油分滲出性が1%未満であった。
×・・・油分滲出性が1%以上であった。
(ステアリン酸亜鉛の付着率)
発泡性ポリスチレン粒子のステアリン酸亜鉛の付着率は、上述した油分滲出性試験において行った12サイクルの吸引輸送前後の発泡性ポリスチレン粒子に付着した亜鉛を定量し、下記式により算出した。なお、吸引輸送前の発泡性ポリスチレン粒子の亜鉛量をW3とし、吸引輸送後の発泡性ポリスチレン粒子の亜鉛量をW4とした。
比較例3は、発泡性ポリスチレン粒子のべとつきがひどく、流通管7の吸引ノズル71が発泡性ポリスチレン粒子で閉塞してしまい、測定することができなかった。
ステアリン酸亜鉛の付着率(重量%)=100×W4/W3
なお、発泡性ポリスチレン粒子の亜鉛量は下記の要領で定量した。発泡性ポリスチレン粒子を1.5g精秤し、450℃にて3時間に亘って灰化させた後、濃塩酸2ミリリットルを加えて濾過することなく、更に、蒸留水を加えて25ミリリットルとし測定試料とした。
この測定試料をICP発光分光分析装置(セイコー電子工業社製 商品名「SPS−4000」)を用いて、測光高さ10.0mm、高周波出力1.30kw、キャリア流量1.0リットル/分、プラズマ流量16.0リットル/分、補助流量0.5リットル/分の条件にて亜鉛を定量した。
Figure 0005022806
油分滲出性を測定するために用いた吸引輸送装置を示した模式図である。
符号の説明
1 ホッパー
11 放出管
2 吸引部
3 吸引管
4 バグフィルター
5 ブロア
6 ドラム
7 流通管
71 吸引ノズル

Claims (10)

  1. 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面が表皮層で被覆されており、この表皮層は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、アニオン系水溶性セルロースエーテル0.005〜0.2重量部及び脂肪酸金属塩0.1〜1.0重量部を含むことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 表皮層は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対してポリオキシアルキレングリコール0.01〜0.3重量部を含有していることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. アニオン系水溶性セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロースナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. ポリオキシアルキレングリコールがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 表皮層は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して脂肪酸ビスアマイド0.01〜0.5重量部を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  7. 請求項1−6のいずれか1項記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とする予備発泡粒子。
  8. 請求項7に記載の予備発泡粒子を発泡成形させて得られたことを特徴とする発泡成形品。
  9. 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面にアニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液を上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対してアニオン系水溶性セルロースエーテルが0.05〜0.2重量部となるように塗布した後、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に脂肪酸金属塩を上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.1〜1.0重量部となるように付着させることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  10. アニオン系水溶性セルロースエーテル水溶液の23℃における粘度が5〜4000mPa・sであることを特徴とする請求項9に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
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