JP5022336B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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本発明は、燃料蓄圧部に蓄圧状態で貯留された燃料を燃料噴射弁から内燃機関の各気筒へ供給する燃料噴射装置に関する。
従来は各気筒への燃料噴射は、車両の運転状態、例えば、エンジン回転速度と、運転者のアクセルペダルの操作に応じたアクセル開度により、エンジン制御装置(本発明の制御部に対応)において、目標燃料噴射量を算出し、それに対応した噴射指令信号を各気筒の燃料噴射弁に出力することによって行っている。しかし、例えば、燃料噴射弁の製造公差により、燃料噴射弁内のノズルニードルのリフト量や、燃料噴射孔の面積にばらつきがあり、実燃料噴射量にばらつきを生じる。また、各気筒の吸気量のばらつきや気筒の寸法にもばらつきがある。このような各種要因により、各気筒の燃料噴射弁に同じ波形の燃料噴射指令信号を出力しても各気筒間の発生トルクの差を生じる原因となっていた。
これに対し、特許文献1には、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、燃料蓄圧部から分岐した高圧燃料供給通路(本願発明の燃料供給通路に対応)を通じて供給される燃料を内燃機関の各気筒内に噴射する燃料噴射弁、及び燃料噴射弁から燃料を噴射するための噴射指令信号を出力する制御部を備えた燃料噴射装置において、高圧燃料供給通路に配置されたベンチュリ形狭隘部に、差圧を検出する差圧センサと、を備え、制御部は、差圧センサからの信号にもとづいてベンチュリ形狭隘部を通過する実燃料供給量を算出する燃料噴射装置の技術が記載されている。
また、予混合燃焼によりPM(Particulate Material)や燃焼騒音を低減するために、燃料噴射弁からの燃料噴射を複数回に分けて、例えば、TDC(Top Dead Center)よりも大きく進角した時期(圧縮行程中)にパイロット(Pilot)燃料噴射をし、TDC前後でメイン(Main)燃料噴射を行うような多段噴射の技術が知られている。しかし、多段噴射では、後段の燃料噴射開始時の燃料蓄圧部の圧力が前段の燃料噴射の結果による圧力変動を受け(脈動波を生じ)、後段の燃料噴射量を正確に制御できないという課題があった。
図31の(a)に示すように、パイロット燃料噴射に対してケースA,B,Cに示すような3種類の時間差でメイン燃料噴射を行うと、図31の(b)に示すように、パイロット燃料噴射後のケースA,B,Cそれぞれのメイン燃料噴射の噴射開始時期の高圧燃料供給通路圧力が大きく変動していることが分かる。Aのケースの圧力挙動曲線とCのケースの圧力挙動曲線とではメイン燃料噴射の噴射開始時期の圧力差が10MPaもあり、若し、メイン燃料噴射の噴射時間を同じとすると、実際に噴射される量に差が出るのは明らかである。ちなみに、図30の(b)におけるDのケースの圧力挙動曲線は、パイロット燃料噴射だけの場合の参考的な圧力挙動曲線である。
これに対し、特許文献2には、前段燃料噴射に伴う燃料蓄圧部の圧力変動を予め実験等で得られたデータにもとづいて推定して、パイロット燃料噴射の噴射時間から脈動波の圧力振幅の影響と、パイロット燃料噴射の噴射終了時期からメイン燃料噴射の噴射開始時期までの時間から脈動波の位相の影響と、未補正のメイン燃料噴射の噴射時間及び燃料温度にもとづく圧力変動補正量修正係数と、を求めておき、脈動波の圧力振幅の影響、脈動波の位相の影響、及び圧力変動補正量修正係数にもとづいてメイン燃料噴射の噴射時間を補正するものであった。
特開2003−184632号公報(図4、図12、及び段落0051〜0058参照) 特許第3803521号公報(図2参照)
しかしながら、前記第1の特許文献に記載の技術では、ベンチュリ形狭隘部の最小絞り成形に限界があり、滑らかに、かつ急激に絞ることが管の絞り加工技術上難しく、又、最小径を十分に小さくできない等、ベンチュリ形狭隘部を高精度に形成することは難しい。また、ベンチュリ形狭隘部の差圧の発生も小さく、燃料噴射弁の燃料噴射時の燃料供給量をベンチュリ形狭隘部の差圧から正確に算出することは困難である。
また、前記特許文献2に記載の技術では、燃料噴射弁の製造公差に伴う前段燃料噴射時の実燃料噴射量のばらつきによる影響は解決されない。具体的には、例えば、エンジン回転速度と、アクセル開度により、目標燃料噴射量を決定するとともに、パイロット燃料噴射の目標パイロット燃料噴射量と、目標燃料噴射量から目標パイロット燃料噴射量を差し引いた残りを目標メイン燃料噴射量と決定しても、燃料噴射弁の製造公差により目標パイロット燃料噴射量及び目標メイン燃料噴射量通りの実際の燃料噴射が行われず、目標燃料噴射量に対して実際の燃料噴射量との誤差を生じたり、パイロット燃料噴射による圧力変動のばらつきによる燃料蓄圧部の圧力変動の推定誤差によって目標メイン燃料噴射量に対して誤差を生じたりするという等の課題があった。
また、個々の燃料噴射弁の噴射特性の経年変化に対する考慮がなされていないという課題もあった。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、燃料噴射弁の多段噴射の制御において、目標燃料噴射量に対して、後段燃料噴射の実燃料噴射量を正確に制御できる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び燃料噴射弁から燃料噴射させるための噴射指令信号を内燃機関の運転状態に応じて設定して出力する制御部を備え、噴射指令信号にもとづいて、燃料噴射弁の少なくとも噴射開始時期と噴射終了時期を含む燃料噴射情報が決定されるとともに、内燃機関の各気筒の圧縮行程中又は膨張行程中に、燃料噴射弁から複数回の燃料噴射に分けて実施する多段噴射を行う燃料噴射装置において(以下、前記部分を『前記「多段噴射を行う燃料噴射装置」において』と略称する)、燃料供給通路に配置されたオリフィスと、燃料供給通路に配置されたオリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、燃料噴射弁は、燃料噴射時に燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
制御部は、差圧センサからの信号にもとづいてオリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、検出された実燃料供給情報にもとづいて実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、当該気筒の当該同一サイクルでの複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の実燃料噴射情報にもとづいて、前段燃料噴射における実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、当該気筒の当該同一サイクルでの前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の燃料噴射情報を決定することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側と下流側との間の差圧は、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、オリフィス差圧から燃料のオリフィス通過流の検出開始タイミング、オリフィス通過流の検出終了タイミング、オリフィス通過流量率、オリフィス通過流量等の実燃流供給情報を検出することができる。そして、燃料噴射弁の燃料噴射孔からオリフィスまでの燃料供給通路の長さを考慮することにより、容易に燃料噴射弁の実際の噴射開始時期、噴射終了時期、燃料噴射率、燃料噴射量等の実燃料噴射情報を得ることができる。
燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した前段燃料噴射時の実燃料噴射量が得られるので、例えば、エンジン回転速度と、アクセル開度により、目標燃料噴射量を決定するとともに、パイロット燃料噴射による目標パイロット燃料噴射量と、目標燃料噴射量から目標パイロット燃料噴射量を差し引いた残りを目標メイン燃料噴射量と決定するような2段噴射の場合に、パイロット燃料噴射の実燃料噴射量の結果にもとづいて後段燃料噴射のメイン燃料噴射の噴射開始時期及び噴射終了時期を含む燃料噴射情報を決定し、燃料噴射弁への噴射指令信号の噴射時間を調整することにより、実際のパイロット燃料噴射量と実際のメイン燃料噴射量の合計を目標燃料噴射量通りに正確に制御することができる。
請求項2に記載の発明は、前記「多段噴射を行う燃料噴射装置」において、燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、燃料供給通路に配置されたオリフィスと、燃料供給通路内のオリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
制御部は、蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて、オリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、検出された実燃料供給情報にもとづいて実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、当該気筒の当該同一サイクルでの複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の実燃料噴射情報にもとづいて、前段燃料噴射における実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、当該気筒の当該同一サイクルでの前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の燃料噴射情報を決定することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側の圧力として蓄圧部圧力センサからの信号を用い、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、その差圧をとると、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、蓄圧部圧力センサからの信号と燃料供給通路圧力センサからの信号からオリフィス差圧は容易に算出され、オリフィス差圧から燃料のオリフィス通過流の検出開始タイミング、オリフィス通過流の検出終了タイミング、オリフィス通過流量率、オリフィス通過流量等の実燃流供給情報を検出することができる。そして、燃料噴射弁の燃料噴射孔からオリフィスまでの燃料供給通路の長さを考慮することにより、容易に燃料噴射弁の実際の噴射開始時期、噴射終了時期、燃料噴射率、燃料噴射量等の実燃料噴射情報を得ることができる。
燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した前段燃料噴射時の実燃料噴射量が得られるので、請求項1の発明と同様に、例えば、実際のパイロット燃料噴射量と実際のメイン燃料噴射量の合計を目標燃料噴射量通りに正確に制御することができる。
請求項3に記載の発明は、前記「多段噴射を行う燃料噴射装置」において、燃料供給通路に配置されたオリフィスと、燃料供給通路内のオリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、燃料噴射弁は、燃料噴射時に燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
制御部は、燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量にもとづいてオリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、検出された実燃料供給情報にもとづいて実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、当該気筒の当該同一サイクルでの複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の実燃料噴射情報にもとづいて、前段燃料噴射における実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、当該気筒の当該同一サイクルでの前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の燃料噴射情報を決定することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、オリフィスの開口部径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、オリフィスにおける差圧は、制御部から燃料噴射弁に噴射指令信号を出力していないタイミング、つまり、オリフィスを燃料が流れていない状態における燃料供給通路圧力センサから出力される信号にもとづく圧力をオリフィス上流側の圧力として仮定し、制御部から燃料噴射弁に噴射指令信号が出力された後のその圧力からの圧力低下量をもってオリフィス差圧とすることによって流量検出に十分利用できる。
そして、オリフィス差圧から燃料のオリフィス通過流の検出開始タイミング、オリフィス通過流の検出終了タイミング、オリフィス通過流量率、オリフィス通過流量等の実燃流供給情報を検出することができる。そして、燃料噴射弁の燃料噴射孔からオリフィスまでの燃料供給通路の長さを考慮することにより、容易に燃料噴射弁の実際の噴射開始時期、噴射終了時期、燃料噴射率、燃料噴射量等の実燃料噴射情報を得ることができる。
燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した前段燃料噴射時の実燃料噴射量が得られるので、請求項1の発明と同様に、例えば、実際のパイロット燃料噴射量と実際のメイン燃料噴射量の合計を目標燃料噴射量通りに正確に制御することができる。
請求項4に記載の発明は、前記「多段噴射を行う燃料噴射装置」において、燃料供給通路に配置されたオリフィスと、燃料供給通路に配置されたオリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、燃料噴射弁は、燃料噴射時に燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部をバックフローとして戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
制御部は、差圧センサからの信号にもとづいてオリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、検出された実燃料供給情報と、予め記憶されたバックフローに係るバックフロー情報とにもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、当該気筒の当該同一サイクルでの複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の実燃料噴射情報にもとづいて、前段燃料噴射における実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、当該気筒の当該同一サイクルでの前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の燃料噴射情報を決定することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側と下流側との間の差圧は、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、オリフィス差圧から燃料のオリフィス通過流の検出開始タイミング、オリフィス通過流の検出終了タイミング、オリフィス通過流量率、オリフィス通過流量等の実燃流供給情報を検出することができる。そして、燃料噴射弁の燃料噴射孔からオリフィスまでの燃料供給通路の長さを考慮するとともに、予め記憶されたバックフローに係るバックフロー情報にもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、容易に燃料噴射弁の実際の噴射開始時期、噴射終了時期、燃料噴射率、燃料噴射量等の実燃料噴射情報を得ることができる。
燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した前段燃料噴射時の実燃料噴射量が得られるので、請求項1の発明と同様に、例えば、実際のパイロット燃料噴射量と実際のメイン燃料噴射量の合計を目標燃料噴射量通りに正確に制御することができる。
請求項5に記載の発明は、前記「多段噴射を行う燃料噴射装置」において、燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、燃料供給通路に配置されたオリフィスと、燃料供給通路内のオリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、燃料噴射弁は、燃料噴射時に燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部をバックフローとして戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
制御部は、蓄圧部圧力センサからの信号及び燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて、オリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、検出された実燃料供給情報と、バックフローに係る予め記憶されたバックフロー情報とにもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、当該気筒の当該同一サイクルでの複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の実燃料噴射情報にもとづいて、段燃料噴射における実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、当該気筒の当該同一サイクルでの前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の燃料噴射情報を決定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側の圧力として蓄圧部圧力センサからの信号を用い、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、その差圧をとると、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、蓄圧部圧力センサからの信号と燃料供給通路圧力センサからの信号からオリフィス差圧は容易に算出され、オリフィス差圧から燃料のオリフィス通過流の検出開始タイミング、オリフィス通過流の検出終了タイミング、オリフィス通過流量率、オリフィス通過流量等の実燃流供給情報を検出することができる。そして、燃料噴射弁の燃料噴射孔からオリフィスまでの燃料供給通路の長さを考慮するとともに、予め記憶されたバックフローに係るバックフロー情報にもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、容易に燃料噴射弁の実際の噴射開始時期、噴射終了時期、燃料噴射率、燃料噴射量等の実燃料噴射情報を得ることができる。
燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した前段燃料噴射時の実燃料噴射量が得られるので、請求項1の発明と同様に、例えば、実際のパイロット燃料噴射量と実際のメイン燃料噴射量の合計を目標燃料噴射量通りに正確に制御することができる。
請求項6に記載の発明は、前記「多段噴射を行う燃料噴射装置」において、燃料供給通路に配置されたオリフィスと、燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、燃料噴射弁は、燃料噴射時に燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部をバックフローとして戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
制御部は、燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量にもとづいてオリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、検出された実燃料供給情報と、予め記憶されたバックフローに係るバックフロー情報とにもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、当該気筒の当該同一サイクルでの複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の実燃料噴射情報にもとづいて、前段燃料噴射における実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、当該気筒の当該同一サイクルでの前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の燃料噴射情報を決定することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、オリフィスの開口部径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、オリフィスにおける差圧は、制御部から燃料噴射弁に噴射指令信号を出力していないタイミング、つまり、オリフィスを燃料が流れていない状態における燃料供給通路圧力センサから出力される信号にもとづく圧力をオリフィス上流側の圧力として仮定し、制御部から燃料噴射弁に噴射指令信号が出力された後のその圧力からの圧力低下量をもってオリフィス差圧とすることによって流量検出に十分利用できる。
そして、オリフィス差圧から燃料のオリフィス通過流の検出開始タイミング、オリフィス通過流の検出終了タイミング、オリフィス通過流量率、オリフィス通過流量等の実燃流供給情報を検出することができる。そして、燃料噴射弁の燃料噴射孔からオリフィスまでの燃料供給通路の長さを考慮するとともに、予め記憶されたバックフローに係るバックフロー情報にもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、容易に燃料噴射弁の実際の噴射開始時期、噴射終了時期、燃料噴射率、燃料噴射量等の実燃料噴射情報を得ることができる。
燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した前段燃料噴射時の実燃料噴射量が得られるので、請求項1の発明と同様に、例えば、実際のパイロット燃料噴射量と実際のメイン燃料噴射量の合計を目標燃料噴射量通りに正確に制御することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は請求項4に記載の発明の構成において、燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサを備え、制御部は、後段燃料噴射の燃料噴射情報の噴射開始時期と噴射終了時期の差分である噴射時間を決定するときに、燃料噴射開始時期直近の蓄圧部圧力センサからの信号にもとづいて決定することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、前段燃料噴射の影響により燃料供給通路を通じて燃料噴射弁に掛かる燃料圧力が脈動したとしても、後段燃料噴射の噴射開始時期直近における蓄圧部圧力センサからの信号にもとづいて、後段燃料噴射の噴射時間を決定するので、前段燃料噴射による圧力変動を反映して、より目標値に近い正確な後段燃料噴射における実燃料噴射量を実現できる。
請求項8に記載の発明は、請求項2、請求項3、請求項5及び請求項6のうちのいずれか1項に記載の発明の構成において制御部は、後段燃料噴射の燃料噴射情報の噴射開始時期と噴射終了時期の差分である噴射時間を決定するときに、噴射開始時期直近の燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて決定することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、前段燃料噴射の影響により燃料供給通路を通じて燃料噴射弁に掛かる燃料圧力が脈動したとしても、後段燃料噴射の噴射開始時期直近における燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて、後段燃料噴射の噴射時間を決定するので、前段燃料噴射による圧力変動を反映して、より目標値に近い正確な後段燃料噴射における実燃料噴射量を実現できる。
特に、オリフィス下流側に配置された燃料供給通路圧力センサの信号にもとづくので、他気筒での燃料噴射や燃料ポンプによる吐出による燃料蓄圧部の圧力変動の影響が少ないので、仮に燃料蓄圧部の圧力信号を用いる場合よりも正確な後段燃料噴射の制御ができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の発明の構成において、制御部は、前段燃料噴射の実燃料噴射情報を内燃機関の同一気筒の次サイクルの後段燃料噴射の燃料噴射情報の決定にも用いることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、制御部に用いられるマイクロコンピュータの演算速度等の制限で、前段燃料噴射の実燃料噴射情報をそのサイクルの後段燃料噴射の燃料噴射情報の決定に用いることができなくても、内燃機関の同一気筒の次サイクルの後段燃料噴射の燃料噴射情報の決定に用いることができるので、内燃機関の中高速運転時のPM低減や燃焼ノイズの低減に寄与する。
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の発明において、後段燃料噴射は、複数回の燃料噴射のうち最も燃料噴射量が多いメイン燃料噴射であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、前段燃料噴射による実燃料噴射情報にもとづいて、後段燃料噴射であるメイン燃料噴射に対して燃料噴射情報が決定されるので、複数回の燃料噴射のうち最も燃焼に影響の大きい燃料噴射を正確に行うことができ、気筒間の燃料噴射量のばらつきによる内燃機関の出力トルクの変動を抑制できる。
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載において、制御部は、複数回の燃料噴射のそれぞれに対する目標燃料噴射量に応じて設定される今回の噴射時間を、前回までの、検出された実燃料噴射情報の実燃料噴射量と目標燃料噴射量との比を用いて補正することを特徴とする。
請求項11に記載の発明よれば、制御部は、前回までの、検出された実燃料噴射情報の目標燃料噴射量と実燃料噴射量との比を用いて補正するので、各噴射弁間の製造公差による目標燃料噴射量に対する実燃料噴射量の差のばらつきや、同一燃料噴射弁において目標燃料噴射量に対する実燃料噴射量の差の時間経過による変化が生じても、検出された実燃料噴射情報を反映して補正され、精度の良い燃料噴射制御を行うことができる。
本発明によれば、燃料噴射弁の多段噴射の制御において、目標燃料噴射量に対して、後段燃料噴射の実燃料噴射量を正確に制御できる燃料噴射装置を提供することができる。
《第1の実施形態》
以下に、本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射装置について図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Aは、エンジン制御装置(制御部)80A(以下ECU80Aと称する)により電子制御されるモータ63によって駆動される低圧ポンプ3A(フィードポンプとも呼ばれる)及びエンジンクランク軸から取り出された駆動力で機械的に駆動される高圧ポンプ3B(サプライポンプとも呼ばれる)と、この高圧ポンプ3Bから高圧燃料が供給されるコモンレール(燃料蓄圧部)4と、内燃機関、例えば、4気筒のディーゼルエンジン(以下エンジンと呼ぶ)の各気筒41の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給するインジェクタ(燃料噴射弁)5Aと、ECU80Aにより電子制御されるインジェクタ5Aに内蔵のアクチュエータ6Aを含んで構成される。
ここで、低圧ポンプ3A及び高圧ポンプ3Bは請求項に記載の燃料ポンプに対応する。
低圧ポンプ3A及びモータ63は、燃料タンク2内にフィルタ62とともに組み込まれ、低圧燃料供給配管61により燃料タンク2から高圧ポンプ3Bの吸い込み側に燃料を供給する。低圧ポンプ3Aの吐出側と高圧ポンプ3Bの吸い込み側との間の低圧燃料供給配管61にはストレーナ64、逆止弁68を内蔵した流量調整弁69が直列に配置され、ストレーナ64には、図示省略の差圧センサが設けられ、その信号がECU80Aに入力されて、ECU80Aが低圧ポンプ3Aやフィルタ62やストレーナ64の異常(低圧燃料供給量低)を検出できるようになっている。
低圧燃料供給配管61のストレーナ64と流量調整弁69との中間から分岐した戻り配管65が、調圧弁67を経由して低圧ポンプ3Aの過剰な燃料供給を燃料タンク2に戻すようになっている。
高圧ポンプ3Bには、吐出される燃料温度を検出する燃料温度センサSTfが設けられ、その信号をECU80Aに出力している。
高圧ポンプ3Bから吐出配管70に吐出された高圧燃料は比較的に高い圧力の高圧燃料を蓄圧するサージタンクの一種で、コモンレール4に蓄圧される。コモンレール4にはコモンレールの圧力Pc(以下、コモンレール圧力Pcと称する)を検出するコモンレール圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)SPcが設けられ、その検出圧信号はECU80Aに出力される。ECU80Aは、前記した流量調整弁69により高圧ポンプ3Bへ吸入される燃料の量の調整をするとともに、コモンレール4と燃料タンク2とを接続する戻り配管71の途中に配置された圧力調整弁72によりコモンレール圧力Pcが後記する目標コモンレール圧力より所定値以上高くなると、燃料タンク2にリリースしてコモンレール4の圧力を、車両の運転状態、例えば、エンジン回転速度Neや後記する要求トルクTrqsolに応じて、例えば、30MPa〜200MPaの所定の目標圧力に制御する。
なお、燃料タンク2、フィルタ62、低圧ポンプ3A、高圧ポンプ3B、低圧燃料供給配管61、ストレーナ64、戻り配管65、調圧弁67、流量調整弁69、吐出配管70等は燃料供給系を構成し、特に燃料タンク2、フィルタ62、低圧ポンプ3A、低圧燃料供給配管61、ストレーナ64、戻り配管65、調圧弁67等は、燃料供給系の低圧部を構成し、高圧ポンプ3B、吐出配管70は、燃料供給系の高圧部を構成している。
また、コモンレール4はインジェクタ5Aと高圧燃料供給通路(燃料供給通路)21により連通するように構成されている。4本の高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りには、オリフィス75がそれぞれ設けられ、そのオリフィス75の上流側(コモンレール4側)と下流側(コモンレール4から遠ざかる側)とから取り出される圧力検出管がそれぞれ差圧センサSdPに接続され、4本の高圧燃料供給通路21のオリフィス差圧をそれぞれ個別に検出することによってオリフィス75を通過する燃料流量を検出できるようになっている。
なお、このオリフィス75の位置から下流側の高圧燃料供給通路21及びインジェクタ5Aの燃料噴射孔10までの燃料通路(インジェクタ5A内の図示省略の燃料通路及びノズルニードル周囲に設けられる油溜り)を含む燃料通路容積は、1つの気筒における吸気、圧縮、膨張、排気のサイクルのうちの膨張行程のために高圧燃料供給通路21を通じて供給する燃料の最大実燃料供給量、例えば、アクセルを一杯踏み込まれて最大トルクが必要とされる時のような場合の最大実燃料供給量を超える燃料通路容積とする。
ここで、最大実燃料供給量は、多段噴射の場合はその積分量である。
エンジンの各気筒のインジェクタ5Aまでの高圧燃料供給通路21の長さに配管引き回し設計上差が生じるのは当然であり、高圧燃料供給通路21の前記オリフィス75を設ける位置は、前記した燃料通路容積を確保した上で、各気筒が同じ燃料通路容積となるように適宜調節する。
なお、以下では燃料噴射量は単に「噴射量」と、目標燃料噴射量は単に「目標噴射量」、実燃料噴射量は単に「実噴射量」と称する。
本実施形態のインジェクタ5Aは、直動式のインジェクタである(詳細な構成の1例は、先願の特願2008−165383(未公開)の図2を参照方)。
次に図2から図4を参照しながら本実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置(ECU80A)について説明する。
図2は、本実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図であり、図3は、目標噴射量Qに対する噴射時間Tを決定するための二次元マップの構成概念図であり、図4は、噴射時間の補正係数を取得するための目標噴射量、噴射時間及びコモンレール圧力をパラメータとした補正係数のマップの構成概念図であり、(a)は、パイロット燃料噴射の補正係数の三次元マップの構成概念図、(b)は、メイン燃料噴射の補正係数の三次元マップの構成概念図である。
ECU80Aは、図示省略するがマイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の不揮発メモリを含む)、インターフェース回路、アクチュエータ6Aを駆動するアクチュエータ駆動回路806(図2中、806A〜806Dと表示)等を含む。前記マイクロコンピュータは、図示省略のエンジン回転速度センサ、気筒判別センサ、クランク角センサ、水温センサ、吸気温度センサ、吸気圧センサ、アクセル(スロットル)開度センサ、燃料温度センサSTf、コモンレール圧力センサSPc、差圧センサSdP等の各センサからの信号を用いて、最適な噴射量及び噴射時期を演算してアクチュエータ6Aを電子制御する。アクチュエータ6Aとしては、応答速度の速いピエゾ素子のスタックを用いる。
ちなみに、前記マイクロコンピュータのCPUとしては、演算速度が速い、例えば、マルチコアタイプのCPUであることが望ましい。
なお、モータ63を駆動するモータ駆動回路を、ECU80Aが含んでも良いし、ECU80Aの外部に別個設けても良い。
以下では、ECU80Aに含まれるマイクロコンピュータで制御される内容を、単にECU80Aの制御として表現する。また、後記する第2から第6の実施形態におけるECU80B〜80Fのハード的な構成もECU80Aと同じである。
(制御の概要)
前記ECU80Aにおけるエンジン制御の基本的な処理の概要は、図2の機能ブロック図に示されている。要求トルク演算部801において、アクセル開度θthとエンジン回転速度Neにもとづいて要求トルクTrqsolを算出する。目標噴射量演算部802において、エンジン回転速度Neと前記算出された要求トルクTrqsolとにもとづいて目標噴射量Fsolを算出する(図2中、目標噴射量演算部802へのエンジン回転速度Neの信号は省略)。気筒41(図1参照)ごとに設けられた噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおいて、エンジン回転速度Ne、前記算出された要求トルクTrqsol、前記算出された目標噴射量Fsol、TDC信号、クランク角信号、コモンレール圧力センサSPc(図1参照)からのコモンレール圧Pc等にもとづき多段噴射のモード選択、個別の燃料噴射の目標噴射量と噴射開始指令時期を決定し、目標噴射量に応じた補正された噴射時間を決定し、噴射終了指令時期を決定し、噴射開始指令時期と噴射終了指令時期の設定を行い、噴射指令信号としてアクチュエータ駆動回路806A、806B,806C,806Dに出力し、各インジェクタ5Aのアクチュエータ6Aを駆動する。
また、噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおいては、各気筒41への高圧燃料供給通路21の差圧センサSdP(図1参照)からのオリフィス差圧ΔPORの信号と燃料温度センサSTf(図1参照)からの燃料温度Tの信号により、オリフィス通過流量率を算出して積分し、オリフィス通過流量を算出する。噴射制御部805A,805B,805C,805Dは、前記算出されたオリフィス通過流量が、とりもなおさずインジェクタ5Aの実噴射量に対応するので、前記目標噴射量と算出された実噴射量との比を補正係数として登録して、前記した噴射時間の決定時に噴射時間を補正する。
更に、多段噴射の場合、例えば、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射とに2回に分けて燃料噴射する場合に、目標噴射量Fsolをパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolとメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolに、要求トルクTrqsolやエンジン回転速度Ne等にもとづいて分けるが、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolと実噴射量QiPsumとの差分(Fsol−QiPsum)をメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolに加算して、補正されたメイン燃料噴射を行う。このように、気筒41ごとに噴射制御部805A,805B,805C,805Dが演算及び制御するので、4気筒の場合は、全体制御をする機能に1つのコアを、噴射制御部805A,805B,805C,805Dが演算及び制御の機能に対して各1つのコアを対応させ、計5個以上のコアを有するマルチコアタイプのCPUを含むマイクロコンピュータが好ましい。
以下では、多段噴射の例としてパイロット燃料噴射とメイン燃料噴射とに2回に分けて燃料噴射する場合について説明する。
噴射制御部805A,805B,805C,805Dの詳細な構成とその作用については、後記する。
なお、噴射制御部805B,805C,805Dにもエンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsol及びコモンレール圧力Pcの信号が入力されるが、図が煩雑になる関係で省略してある。
また、ECU80Aの要求トルク演算部801において算出された要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、コモンレール圧力演算部803においてコモンレール圧力の二次元マップ803aを参照して目標コモンレール圧力Pcsolを算出し、これを用いてコモンレール圧制御部804がコモンレール圧力Pcの信号と比較して、流量調整弁69と圧力調整弁72に制御信号を出力し、コモンレール圧力Pcを目標コモンレール圧力Pcsolになるように制御する。
なお、コモンレール圧力演算部803へのエンジン回転速度Neの信号入力も省略してある。
具体的には、前記ECU80Aには、アクセル開度θth及びエンジン回転速度Neの変化における、実験的に決定された最適な要求トルクTrqsolを記録した二次元マップ801aと、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsolの変化における、実験的に決定された最適な目標噴射量Fsolを記録した二次元マップ802aとがそれぞれ前記したECU80Aを構成するROM上に電子的に格納されている。
同様に、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsolの変化における、実験的に決定された最適な目標コモンレール圧Pcsolを記録したコモンレール圧の二次元マップ803aが前記したROM上に電子的に格納されている。
(噴射制御部)
次に、噴射制御部805A,805B,805C,805Dについて図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、各噴射制御部805A,805B,805C,805Dは、多段噴射制御部810、実燃料供給情報検出部(実燃料供給情報検出手段)813、実燃料噴射情報検出部(実燃料噴射情報検出手段)814を含んでいる。そして、多段噴射制御部810は、更に多段噴射モード制御部811、個別噴射情報設定部812を含んでいる。
多段噴射モード制御部811は、例えば、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsolにもとづいてパイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の2段噴射とするかメイン燃料噴射のみの1段噴射にするかを決定する。そして、多段噴射モード制御部811は、多段噴射モードか1段噴射可のモードによって、実燃料供給情報検出部813における後記する実燃料供給情報の検出方法を制御する。
個別噴射情報設定部812は、多段噴射モード制御部811の2段噴射か1段噴射かの決定に応じて、例えば、2段噴射の場合は、目標噴射量演算部802からの目標噴射量Fsol、TDC信号、クランク角信号、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsolにもとづいて、目標噴射量Fsolをパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolとメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolに分け、最終的にパイロット燃料噴射の噴射開始指令時期tSP、噴射終了指令時期tEP、メイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM、噴射終了指令時期tEMを設定して、噴射指令信号をアクチュエータ駆動回路806(図2中では、806A,806B,806C,806Dと表示)に出力するとともに、実燃料供給情報検出部813にも出力する。
個別噴射情報設定部812は、図3に示すようなコモンレール圧力Pcをパラメータとして、横軸の目標噴射量Qに対する縦軸の噴射時間Tを決定するための二次元マップ812aを有している。ここで、図3では、横軸を目標噴射量Qiとしているが、目標噴射量Qiは、図2における目標噴射量演算部802において算出される目標噴射量Fsolや後記するパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsolのことである。
具体的には、前記ECU80Aには、目標噴射量Q及びコモンレール圧Pcの変化における、実験的に決定された最適な噴射時間Tを記録した二次元マップ812aが前記したECU80Aを構成するROM上に電子的に格納されている。
また、個別噴射情報設定部812は、図4の(a)に示すように、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射時間TiP、コモンレール圧力Pcをパラメータとするパイロット燃料噴射の噴射時間TiPを補正する補正係数Kの三次元マップ812bを有しており、補正係数Kをこの三次元マップ812bに登録して学習更新できるようになっている。
更に、個別噴射情報設定部812は、図4の(b)に示すように、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射時間TiM、コモンレール圧力Pcをパラメータとするメイン燃料噴射の噴射時間TiMを補正する補正係数Kの三次元マップ812cを有しており、補正係数Kをこの三次元マップ812cに登録して学習更新できるようになっている。
具体的には、前記ECU80Aには、パイロット燃料噴射の噴射時間TiP、目標噴射量Fsol及びコモンレール圧Pcの変化における、初期設定された補正係数Kを記録した三次元マップ812bと、メイン燃料噴射の噴射時間TiM、目標噴射量Fsol及びコモンレール圧Pcの変化における、初期設定された補正係数Kを記録可能にした三次元マップ812cとがそれぞれ前記したECU80Aを構成する不揮発メモリ上に電子的に格納されている。
補正係数Kの三次元マップ812b及び補正係数Kの三次元マップ812cは、同一のデータ構造である。
個別噴射情報設定部812は、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolの所定区間、パイロット燃料噴射の噴射時間TiPの所定区間、コモンレール圧力Pcの所定区間の単位三次元空間に含まれるという条件のときに、個別噴射情報設定部812で得られたパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolと、実燃料噴射情報算出部814から得られた後記する実噴射量QiPsumの比Kを補正係数として、所定個数を時系列的にその単位三次元空間に対応づけて登録する。そして、個別噴射情報設定部812において、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolに対して噴射時間の二次元マップ812aを参照してパイロット燃料噴射の噴射時間TiPが算出されたとき、補正係数Kの三次元マップ812bを参照して補正係数Kの移動平均〈K〉を取得し、補正係数Kの移動平均〈K〉を乗じて、補正されたパイロット燃料噴射の噴射時間TiP(=TiP×〈K〉)を得て用いる。
以下では、補正係数Kの移動平均〈K〉を単に補正係数〈K〉と称する。
同様に、個別噴射情報設定部812は、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsolの所定区間、メイン燃料噴射の噴射時間TiMの所定区間、コモンレール圧力Pcの所定区間の単位三次元空間に含まれるという条件のときに、個別噴射情報設定部812で得られたメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolと、実燃料噴射情報算出部814から得られた後記するメイン燃料噴射の実噴射量QiMsumの比Kを補正係数として、所定個数を時系列的にその単位三次元空間に対応づけて登録する。そして、個別噴射情報設定部812において、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsolに対して噴射時間の二次元マップ812aを参照してメイン燃料噴射の噴射時間TiMが算出されたとき、補正係数Kの三次元マップ812cを参照して補正係数Kの移動平均〈K〉を取得し、補正係数Kの移動平均〈K〉を乗じて補正されたメイン燃料噴射の噴射時間TiM(=TiM×〈K〉)を得て用いる。
以下では、補正係数Kの移動平均〈K〉を単に補正係数〈K〉と称する。
前記したように補正係数Kの三次元マップ812bと補正係数Kの三次元マップ812cとを個別に有するのは、パイロット燃料噴射がTDCより相当前のクランク角における圧縮行程での燃料噴射であり、それに対しメイン燃料噴射がTDC前後の燃料噴射であって、コモンレール圧Pcが同じであったとしても筒内圧には大きな差があり、筒内圧の差が補正係数K,Kの値に影響する可能性があるので、ここでは別個に設けるものとした。
個別噴射情報設定部812における補正係数Kの三次元マップ812bと補正係数Kの三次元マップ812cの更新の方法は、図5から図9のフローチャートの中で説明する。
実燃料供給情報検出部813は、対応する気筒41(図1参照)の差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、パイロット燃料噴射に対して、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPを検出し、燃料温度センサSTfからの燃料温度Tの信号とオリフィス差圧ΔPORの信号とにもとづいてオリフィス通過流量率QORを算出し、最終的にオリフィス通過流量率QORを時間積分してオリフィス通過流量QPsumを算出する。
実燃料供給情報検出部813は、メイン燃料噴射に対しても同様に、オリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを検出し、燃料温度センサSTfからの燃料温度Tの信号とオリフィス差圧ΔPORの信号とにもとづいてオリフィス通過流量率QORを算出し、最終的にオリフィス通過流量率QORを時間積分してオリフィス通過流量QMsumを算出する。
そして、実燃料供給情報検出部813は、パイロット燃料噴射におけるオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREP、オリフィス通過流量QPsumを実燃料噴射情報検出部814に出力するとともに、メイン燃料噴射におけるオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREM、オリフィス通過流量QMsumを実燃料噴射情報検出部814に出力する。
実燃料噴射情報検出部814は、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREP、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを、インジェクタ5Aの燃料噴射孔10におけるパイロット燃料噴射の噴射開始時期、終了時期、メイン燃料噴射の噴射開始時期、終了時期に換算したり、オリフィス通過流量QPsumをそのままパイロット燃料噴射の実噴射量QiPsumとしたり、オリフィス通過流量QMsumをそのままメイン燃料噴射の実噴射量QiMsumとしたりする。これらの換算されたデータは個別噴射情報設定部812に入力され、必要に応じて、補正に用いられる。
(噴射制御部における制御の流れ)
次に、図5から図9を参照しながら噴射制御部805(図2中、805A,805B,805C,805Dと表示)における制御について説明する。図5から図9は、噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおける噴射制御の流れを示すフローチャートである。この噴射制御は、噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおいて、TDC信号及びクランク角信号にもとづいて気筒41(図1参照)ごとにタイミング調整されて実行される。ここでは、1つの気筒41の燃焼室への噴射制御の流れについて説明する。
ここで、パイロット燃料噴射の「燃料噴射情報」とは、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射開始指令時期tSP、噴射時間TiP、噴射終了指令時期tEP等を含む総称であり、メイン燃料噴射の「燃料噴射情報」とは、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射開始指令時期tSM、噴射時間TiM、噴射終了指令時期tEM等を含む総称である。
ステップS111では、多段噴射モード制御部811が、パイロット燃料噴射を行うか否かを決定する。パイロット燃料噴射を行う場合(Yes)は、ステップS112へ進み、パイロット燃料噴射を行わない場合(No)は、ステップS161へ進む。
ステップS112では、個別噴射情報設定部812が、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsolからパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射開始指令時期tSP、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射開始指令時期tSMを決定する。
ステップS113では、個別噴射情報設定部812が、コモンレール圧力Pcと、ステップS112で決定されたパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolとにもとづいて、二次元マップ812aを参照してパイロット燃料噴射の噴射時間TiPを決定する。次いで、ステップS114では、個別噴射情報設定部812が、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射時間TiP、コモンレール圧力Pcにもとづいて、三次元マップ812bを参照し、補正係数〈K〉を決定する。ちなみに、他気筒における燃料噴射によるコモンレール圧力Pcの脈動は、例えば、4気筒のエンジンであって、多段噴射の場合でも、自気筒のパイロット燃料噴射の噴射時間TiPを決定する時点では、十分整定してほぼ一定の圧力を示している。
特に高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りにオリフィス75を設けることにより、他気筒の燃料噴射によるコモンレール圧力Pcの脈動及びオリフィス75の下流側の高圧燃料供給通路21の圧力の脈動は早く整定することが分かっている(特願2008−165383の図19参照方)。
ステップS115では、個別噴射情報設定部812が、TiP×〈K〉の演算をして補正されたパイロット燃料噴射の噴射時間TiPを算出する(TiP=TiP・〈K〉)。そしてステップS116では、個別噴射情報設定部812が、パイロット燃料噴射の噴射終了指令時期tEPを、ステップS112で決定された噴射開始指令時期tSPと、ステップS115で算出された補正されたパイロット燃料噴射の噴射時間TiPとを加算して算出する(tEP=tSP+TiP)。そして、ステップS117では、個別噴射情報設定部812が、パイロット燃料噴射の噴射開始指令時期tSP、噴射終了指令時期tEPを設定する。具体的には、噴射指令信号として噴射開始指令時期tSP、噴射終了指令時期tEPをアクチュエータ駆動回路806Aに出力するとともに、実燃料供給情報検出部813にも出力する。ステップS117の後、結合子(A)に従って、ステップS118へ進む。
ステップS118では、実燃料供給情報検出部813が、噴射指令信号からパイロット燃料噴射の噴射開始を受信したか否かをチェックする。パイロット燃料噴射の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS119へ進み、受信していない場合(No)はステップS118を繰り返す。ステップS119では、実燃料供給情報検出部813が、タイマtをスタートさせ、更に、ステップS120では、実燃料供給情報検出部813が、パイロット燃料噴射による燃料のオリフィス75の通過流量QPsum(以下、オリフィス通過流量QPsumと称する)を0.0にリセットする。
ステップS121では、実燃料供給情報検出部813が、差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、所定閾値以上の正のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の正のオリフィス差圧ΔPORを検出した場合(Yes)は、ステップS122へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS121を繰り返す。
ここで、正のオリフィス差圧ΔPORとは、コモンレール4側からインジェクタ5A側への燃料の流れを生じたときに発生するオリフィス差圧ΔPORであり、逆方向の燃料の流れを生じたときに発生するのが負のオリフィス差圧ΔPORである。
このステップS121のチェックは、差圧センサSdPからの信号のノイズ以上のオリフィス差圧ΔPORの信号という意味と、燃料噴射に伴うオリフィス差圧ΔPORであることをチェックするものである。
ステップS122では、実燃料供給情報検出部813が、ステップS121でYesのとき、タイマtによりパイロット燃料噴射に伴うオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPを取得する。続いて、ステップS123では、実燃料供給情報検出部813が、オリフィス差圧ΔPORからオリフィス通過流量率QOR(mm/sec)を算出する。
ちなみに、オリフィス差圧ΔPORから燃料のオリフィス通過流量率QORは次式(1)により容易に算出できる。
Figure 0005022336
ステップS124では、実燃料供給情報検出部813が、QPsum=QPsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS125では、実燃料供給情報検出部813が、噴射指令信号からパイロット燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。パイロット燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS126へ進み、受信していない場合(No)はステップS123へ戻り、ステップS123〜ステップS125を繰り返す。ステップS126では、実燃料供給情報検出部813が、差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、所定閾値以上の負のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の負のオリフィス差圧ΔPORを検出した場合(Yes)は、ステップS127へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS123へ戻り、ステップS123〜ステップS126を繰り返す。
このステップS126のチェックは、差圧センサSdPからの信号のノイズ以上のオリフィス差圧ΔPORの信号という意味と、燃料噴射の終了に伴う反射波によるオリフィス差圧ΔPORであることをチェックするものである。
ここでのステップS123〜S126の処理は、例えば、数μsec〜数十μsecの周期で行われ、Δtはオリフィス差圧ΔPORをサンプリングする周期であり、数μsec〜数十μsecである。
ステップS127では、実燃料供給情報検出部813が、ステップS126でYesのとき、タイマtによりパイロット燃料噴射の終了に伴うオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPを取得し、ステップS122において取得されたオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、ステップS127において取得されたオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREP、ステップS123〜S126の繰り返しにおける最後のオリフィス通過流量QPsumを実燃料噴射情報検出部814へ出力する。ここで、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、検出終了タイミングtOREP、及びオリフィス通過流量QPsumは、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
ステップS128では、実燃料噴射情報検出部814が、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、検出終了タイミングtOREPをパイロット燃料噴射の噴射開始時期、終了時期に換算し、オリフィス通過流量QPsumをパイロット燃料噴射の実噴射量QiPsumとする。そして、パイロット燃料噴射の実噴射量QiPsum、噴射開始時期、終了時期は、個別噴射情報設定部812に入力される。
ちなみに、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP及び検出終了タイミングtOREPを、パイロット燃料噴射の噴射開始時期、終了時期に換算することは、例えば、オリフィス通過流量率QORの平均値〔QPsum/(tOREP−tORSP)〕と高圧燃料供給通路21の流路断面積から平均流速が求まり、燃料通路の長さを考慮すれば容易に求められる。
ここで、パイロット燃料噴射の実噴射量QiPsum、噴射開始時期、終了時期は、請求項に記載の「実燃料噴射情報」に対応する。
続いて、ステップS129では、個別噴射情報設定部812が、補正係数K(=Fsol/QiPsum)を算出して、補正係数Kを補正係数の三次元マップ812bに登録し、三次元マップ812bを更新する。
そして、ステップS130では、実燃料供給情報検出部813が、タイマtをリセットする。ステップS130の後、結合子(B)に従って、ステップS131へ進む。
ステップS131では、個別噴射情報設定部812が、ステップS112で決定されたメイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSMを設定する。具体的には、噴射指令信号として噴射開始指令時期tSMをアクチュエータ駆動回路806Aに出力するとともに、実燃料供給情報検出部813にも出力する。
次いで、ステップS132では、個別噴射情報設定部812が、ステップS112で決定されたパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsol、及びステップ128で実燃料噴射情報検出部814から入力されたパイロット燃料噴射の実噴射量QiPsumにもとづき、メイン燃料噴射の補正された目標噴射量Fsolを算出する〔Fsol=Fsol+(Fsol−QiPsum)〕。
ステップS133では、個別噴射情報設定部812は、補正されたメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolの補正前の目標噴射量Fsolに対する絶対値パーセント表示の偏差量が所定の閾値ε以上か否かをチェックする。偏差量が所定の閾値ε以上の場合(Yes)は、ステップS134に進み、偏差量が所定の閾値ε未満の場合(No)は、ステップS135に進む。
ここで所定の閾値εは、実噴射量QiPsumの計測誤差程度の値であり、計測誤差以上の場合が有意な補正として、補正されたメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolを用いることにするものである。
ステップS134では、個別噴射情報設定部812が、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsolを補正されたFsolに置き換える。
ステップS135では、個別噴射情報設定部812が、ステップS131で設定したメイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM直近のコモンレール圧力Pc、ステップS112で設定されたメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolにもとづいて、二次元マップ812aを参照してメイン燃料噴射の噴射時間TiMを決定する。次いで、ステップS136では、個別噴射情報設定部812が、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射時間TiM、噴射開始指令時期tSM直近のコモンレール圧力Pcにもとづいて、三次元マップ812cを参照し、補正係数〈K〉を決定する。
ここで、メイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM直近のコモンレール圧力Pcは、演算時間を考慮して噴射開始指令時期tSMから所定の短時間、例えば、演算周期の数μsec〜数十μsecだけ遡った時点のコモンレール圧力Pcである。
ステップS137では、個別噴射情報設定部812が、TiM×〈K〉の演算をして補正されたメイン燃料噴射の噴射時間TiMを算出する(TiM=TiM・〈K〉)。そしてステップS138では、個別噴射情報設定部812が、メイン燃料噴射の噴射終了指令時期tEMを、ステップS131で設定された噴射開始指令時期tSMと、ステップS137で算出された補正されたメイン燃料噴射の噴射時間TiMとを加算して算出する(tEM=tSM+TiM)。そして、ステップS139では、個別噴射情報設定部812が、メイン燃料噴射の噴射終了指令時期tEMを設定する。具体的には、噴射指令信号として噴射終了指令時期tEMをアクチュエータ駆動回路806Aに出力するとともに、実燃料供給情報検出部813にも出力する。ステップS139の後、結合子(C)に従って、ステップS140へ進む。
ステップS140では、実燃料供給情報検出部813が、噴射指令信号からメイン燃料噴射の噴射開始を受信したか否かをチェックする。メイン燃料噴射の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS141へ進み、受信していない場合(No)はステップS140を繰り返す。ステップS141では、実燃料供給情報検出部813が、タイマtをスタートさせ、更に、ステップS142では、実燃料供給情報検出部813が、メイン燃料噴射による燃料のオリフィス通過流量QMsumを0.0にリセットする。
ステップS143では、実燃料供給情報検出部813が、差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、所定閾値以上の正のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の正のオリフィス差圧を検出した場合(Yes)は、ステップS144へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS143を繰り返す。
ステップS144では、実燃料供給情報検出部813が、ステップS143でYesのとき、タイマtによりメイン燃料噴射に伴うオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMを取得する。続いて、ステップS145では、実燃料供給情報検出部813が、オリフィス差圧ΔPORからオリフィス通過流量率QORを算出する。
オリフィス差圧ΔPORから燃料のオリフィス通過流量率QORは前記した式(1)により容易に算出できる。
ステップS146では、QMsum=QMsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS147では、実燃料供給情報検出部813が、噴射指令信号からメイン燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。メイン燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS148へ進み、受信していない場合(No)はステップS145へ戻り、ステップS145〜ステップS147を繰り返す。ステップS148では、実燃料供給情報検出部813が、差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、所定閾値以上の負のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の負のオリフィス差圧を検出した場合(Yes)は、ステップS149へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS145へ戻り、ステップS145〜ステップS148を繰り返す。
このステップS148のチェックは、差圧センサSdPからの信号のノイズ以上のオリフィス差圧ΔPORの信号という意味と、燃料噴射の終了に伴う反射波によるオリフィス差圧ΔPORであることをチェックするものである。
ここでのステップS145〜S148処理は、例えば、数μsec〜数十μsecの周期で行われ、Δtはオリフィス差圧ΔPORをサンプリングする周期であり、数μsec〜数十μsecである。
ステップS149では、実燃料供給情報検出部813が、ステップS148でYesのとき、タイマtによりメイン燃料噴射の終了に伴うオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを取得し、ステップS144において取得されたオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、ステップS149において取得されたオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREM、ステップS145〜S148の繰り返しにおける最後のオリフィス通過流量QMsumを実燃料噴射情報検出部814へ出力する。ここで、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、検出終了タイミングtOREM、及びオリフィス通過流量QMsumも、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
ステップS150では、実燃料噴射情報検出部814が、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、検出終了タイミングtOREMをメイン燃料噴射の噴射開始時期、終了時期に換算し、オリフィス通過流量QMsumをメイン燃料噴射の実噴射量QiMsumとする。そして、メイン燃料噴射の実噴射量QiMsum、噴射開始時期、終了時期は、個別噴射情報設定部812に入力される。
ちなみに、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM及び検出終了タイミングtOREMを、メイン燃料噴射の噴射開始時期、終了時期に換算することは、例えば、例えば、オリフィス通過流量率QORの平均値〔QMsum/(tOREM−tORSM)〕と高圧燃料供給通路21の流路断面積から平均流速が求まり、燃料通路の長さを考慮すれば容易に求められる。
ここで、メイン燃料噴射の実噴射量QiMsum、噴射開始時期、終了時期も、請求項に記載の「実燃料噴射情報」に対応する。
ステップS150の後、結合子(D)に従って、ステップS151へ進む。
続いて、ステップS151では、個別噴射情報設定部812が、補正係数K(=Fsol/QiMsum)を算出して、補正係数Kを補正係数の三次元マップ812cに登録し、三次元マップ812cを更新する。
そして、ステップS152では、実燃料供給情報検出部813が、タイマtをリセットし、1つの気筒41(図1参照)における一連のパイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の制御が終了する。
なお、ステップS111において、ステップS161に進んだ場合(パイロット燃料噴射を行わない場合)は、個別噴射情報設定部812が、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsolからメイン燃料噴射の目標噴射量Fsol(=Fsol)、噴射開始指令時期tSMを決定する。次いで、ステップS162では、個別噴射情報設定部812が、コモンレール圧力Pcと、ステップS161で決定されたメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolとにもとづいて、二次元マップ812aを参照してメイン燃料噴射の噴射時間TiMを決定する。
ステップS163では、個別噴射情報設定部812が、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射時間TiM、コモンレール圧力Pcにもとづいて、三次元マップ812cを参照し、補正係数〈K〉を決定する。その後、結合子(F)に従ってステップS137へ進む。
ここで、図10を参照しながら適宜図1、図2を参照してECU80Aにおける燃料の各気筒へのパイロット燃料噴射の実噴射情報の検出によるメイン燃料噴射の補正の方法について説明する。
図10は、1つの気筒に対してパイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。
図10の(a)では、時間tが噴射開始指令時期、時間tが噴射終了指令時期である噴射時間TiPのパイロット燃料噴射の噴射指令信号の後に、時間tが噴射開始指令時期、時間tが噴射終了指令時期である噴射時間TiMのメイン燃料噴射の噴射指令信号が出されている。
ここで、メイン燃料噴射の噴射指令信号の噴射開始指令時期t、噴射終了指令時期t、噴射時間TiMが、請求項に記載の「後段燃料噴射の燃料噴射情報」に対応する。
これに対応して、図10の(b)に示すように直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aにおけるパイロット燃料噴射の噴射開始時期はtより少し遅れたtとなり、噴射終了時期はtより少し遅れたtとなる。そして、メイン燃料噴射の噴射開始時期はtより少し遅れたtとなり、噴射終了時期はtより少し遅れたtとなる。そして、パイロット燃料噴射の噴射開始時期tから噴射終了時期tの間の実燃料噴射率の時間積分値が実噴射量QiPsumであり、メイン燃料噴射の噴射開始時期tから噴射終了時期tの間の実燃料噴射率の時間積分値が実噴射量QiMsumである。
ここで、噴射開始時期t、噴射終了時期t、実噴射量QiPsumが、パイロット燃料噴射の、請求項に記載の「実燃料噴射情報」に対応し、噴射開始時期t、噴射終了時期t、実噴射量QiMsumが、メイン燃料噴射の、請求項に記載の「実燃料噴射情報」に対応する。
パイロット燃料噴射による燃料のオリフィス75を通過するオリフィス通過流量率は、図10の(c)に示すように、インジェクタ5A(図1参照)内の図示しない燃料通路や高圧燃料供給通路21(図1参照)の容積分だけパイロット燃料噴射の噴射開始時期tより遅れたt’(前記した図6のフローチャートのオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPに対応)から立ち上がり、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21の容積分だけ噴射終了時期tより遅れてt’(前記した図6のフローチャートのオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPに対応)にゼロに戻る。そして、メイン燃料噴射によるオリフィス通過流量率は、インジェクタ5A内の図示しない燃料通路や高圧燃料供給通路21の容積分だけメイン燃料噴射の噴射開始時期tより遅れたt’(前記した図8のフローチャートのオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMに対応)から立ち上がり、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21の容積分だけ噴射終了時期tより遅れてt’(前記した図8のフローチャートのオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMに対応)にゼロに戻る。
ここで、時間t’,t’及び時間t’から時間t’までのオリフィス通過流量率の時間積分値(前記図6のフローチャートのオリフィス通過流量QPsumに対応)は、パイロット燃料噴射の、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応し、時間t’,t’及び時間t’から時間t’までのオリフィス通過流量率の時間積分値(前記図8のフローチャートのオリフィス通過流量QMsumに対応)はメイン燃料噴射の、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
図10の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は、図10の(d)に示すようにコモンレール圧力Pcの振動によってオリフィス上流側圧力が変動していても、差圧センサSdPによりオリフィス差圧が検出できるので、オリフィス通過流量率が算出できる。そして、図10の(c)に示すパイロット燃料噴射のオリフィス通過流量率で示した領域の面積QPsumは、直動式のインジェクタ5Aの場合、図10の(b)に示す実噴射量QiPsumの面積に対応し、図10の(d)に示す斜線で示した領域と対応している。また、図10の(c)に示すメイン燃料噴射のオリフィス通過流量率で示した領域の面積QMsumは、直動式のインジェクタ5Aの場合、図10の(b)に示す実噴射量QiMsumの面積に対応し、図10の(d)に示す二重斜線で示した領域と対応している。
本実施形態によれば、パイロット燃料噴射における実噴射量QiPsumがその目標噴射量Fsolよりも例えば少ない場合は、前記したフローチャートのステップS132〜S135における制御により、図10の(a)の噴射指令信号のメイン燃料噴射の噴射時間TiMを点線で示すように噴射終了指令時期をt7Expまで延長して、図10の(b)に示すようにメイン燃料噴射の実燃料噴射率の噴射終了時期をt8Expまで延長し、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の合計の目標噴射量Fsolとなるようにメイン燃料噴射を制御できる。
図10の(c),(d)におけるt8Exp’は、実燃料噴射率の噴射終了時期t8Expに対応するものである。
逆に、パイロット燃料噴射における実噴射量QiPsumがその目標噴射量Fsolよりも多い場合は、前記したフローチャートのステップS132〜S135における制御により、メイン燃料噴射の噴射時間TiMを短縮して、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の合計の目標噴射量Fsolとなるようにメイン燃料噴射を制御できる。
この結果、気筒41の出力トルクに寄与する割合の高い、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の合計の実噴射量(QiPsum+QiMsum)が目標噴射量Fsolに近づくように制御できるので、エンジンの出力制御がより正確に行え、エンジン振動やエンジン騒音が抑制される。
また、パイロット燃料噴射に続くメイン燃料噴射における噴射時間TiMの決定において、前記したフローチャートのステップS135に示すように、メイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM直近のコモンレール圧力Pcを用いることとし、メイン燃料噴射の噴射時間TiMを、ステップS112にて目標噴射量Fsolを決定した直後のステップS113においてパイロット燃料噴射の噴射時間TiPと同時に決定しないようにしている。その結果、図31に示したようにパイロット燃料噴射後のメイン燃料噴射において燃料供給通路圧力Ps又はコモンレール圧力Pcが変動して、メイン燃料噴射の噴射時間TiMを決定したときの燃料供給通路圧力Ps又はコモンレール圧力Pc条件と異なり、メイン燃料噴射の実噴射量QiMsumが目標噴射量Fsolとずれるという不都合が改善される。
また、前記したフローチャートのステップS114,S115とステップS136,S137,S163に示したように、個々のインジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの噴射特性のばらつきを、パイロット燃料噴射時の目標噴射量Fsolと実噴射量QiPsumの比の補正係数K、メイン燃料噴射時の目標噴射量Fsolと実噴射量QiMsumの比の補正係数Kで、パイロット燃料噴射の噴射時間TiP、メイン燃料噴射の噴射時間TiMをそれぞれ補正して、実効的に補正されたパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol及びメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolを用いていることと同じになるので、気筒間の出力トルクの変動や時間経過によるインジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの噴射特性の変化を補正でき、より正確な気筒間の出力トルク変動の抑制ができる。
より詳細に説明すると、オリフィス75の開口部の径を正確に製作することは容易であり、又オリフィス75の上流側と下流側との間の差圧ΔPORは、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、差圧センサSdPによるオリフィス差圧ΔPORから容易に(1)式によりオリフィス通過流量率QORが算出できる。
そして、オリフィス差圧ΔPORからオリフィス通過流量率QORを算出することによりインジェクタ5Aへの実燃料供給量が正確に算出することができる。インジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの製造公差があったとしても、その製造公差の影響を反映した燃料のオリフィス通過流量率QOR、つまり、オリフィス通過流量QPsum,QMsumが演算できるので、例えば、算出されたオリフィス通過流量QPsum,QMsumにもとづいてECU80Aにおけるインジェクタ5Aへのパイロット燃料噴射及びメイン燃料噴射の噴射指令信号の噴射時間TiP,TiMを補正係数K,Kで補正することにより、各気筒41(図1参照)への実噴射量を同一にすることができる。
その結果、各気筒41への実噴射量を正確に制御して、各気筒の発生トルクをより正確に制御できる。
本実施形態では、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の2段噴射を例に説明したがそれに限定されるものではない。
通常、インジェクタ5Aからの燃料噴射は、PM(粒子状物質)の低減、NOxと燃焼騒音の低減、排ガス昇温や還元剤供給による触媒の活性化等の目的で実際は、「パイロット(Pilot)燃料噴射」、「プレ(Pre)燃料噴射」、「メイン(Main)燃料噴射」「アフタ(After)燃料噴射」、「ポスト(Post)燃料噴射」の多段噴射にすることが普通である。
そして、このような多段噴射における実噴射量がエンジンの運転状態における目標値通りになされないと、エンジンの排気ガスの規制値をクリアすることができなかったりする。特に、実噴射量に経年変化がある場合でも、オリフィス差圧ΔPORから実噴射量を正確に算出することができるので、ECU80Aにおいて、噴射指令信号の噴射時間を調整することにより、実燃料供給量を目標値に一致するように制御することができる。
また、パイロット燃料噴射、プレ燃料噴射、メイン燃料噴射の合計の実噴射量が前記した目標噴射量Fsolになるように前段燃料噴射の実噴射量に応じて後段燃料噴射の目標噴射量を調整するようにしても良いし、パイロット燃料噴射とプレ燃料噴射のそれぞれの実噴射量の合計と前記した目標噴射量Fsolとの差分をメイン燃料噴射における目標噴射量Fsolとアフタ燃料噴射における目標噴射量FAftsolとに割り振るように設定するようにしても良い。
その結果、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料噴射装置について図11を参照しながら詳細に説明する。
図11は、第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Bが第1の実施形態の燃料噴射装置1Aと異なる点は、(1)エンジンの各気筒41に配されたインジェクタ5Aに燃料を供給する高圧燃料供給通路21に設けられたオリフィス75の上下流差圧を検出する差圧センサSdPの代わりに、オリフィス75の下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサSPsを設けた点と、(2)ECU80Aの代わりにECU(制御部)80Bとなった点と、(3)ECU80Bにおいて燃料のオリフィス通過流量率QORを算出するオリフィス差圧ΔPORの定義を変えた点と、(4)パイロット燃料噴射の後に続くメイン燃料噴射の噴射時間TiMを決定するときに用いる噴射開始指令時期tSM直近のコモンレール圧力Pcの代わりに、噴射開始指令時期tSM直近の燃料供給通路圧力Psとした点である。
第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図11に示すように4つの燃料供給通路圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Bに入力される。
そして、本実施形態におけるECU80Bの機能は、基本的に第1の実施形態におけるECU80Aと同じであるが、燃料のオリフィス通過流量率をECU80Bで算出するときに用いる信号が第1の実施形態の場合と異なる。
第1の実施形態では、前記した(1)式によりオリフィス通過流量率QORを算出したが、本実施形態では、(1)式におけるオリフィス差圧ΔPORを、コモンレール圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcと、燃料供給通路圧力センサSPsが検出するオリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psとの差圧(Pc−Ps)に置き換える。
各高圧燃料供給通路21のオリフィス75上流側の圧力は、コモンレール圧力Pcと略一致することは明らかであり、本実施形態は第1の実施形態と同様に、(1)式においてオリフィス差圧ΔPORを差圧(Pc−Ps)に置き換えて容易に精度の高い燃料のオリフィス通過流量率QORを、つまり、実噴射量QiPsum,QiMsupを、気筒41ごとに、噴射指令信号ごとに算出できる。
また、本実施形態では、高圧燃料供給通路21のオリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを設けているので、図5から図9のフローチャートのステップS113,S114,S162,S163において、「コモンレール圧力Pc」を「燃料供給通路圧力Ps」と読み替えて燃料供給通路圧力Psを用いることとし、ステップS135,S136において、「tSM直近のコモンレール圧力Pc」を「tSM直近の燃料供給通路圧力Ps」と読み替えて、メイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM直近の燃料供給通路圧力Psを用いることとする。
これらのステップにおいてコモンレール圧力Pcよりも燃料供給通路圧力Psを用いることにより、パイロット燃料噴射における精度の良い噴射時間TiP、補正係数〈K〉や、メイン燃料噴射における精度の良い噴射時間TiM、補正係数〈K〉を取得して制御することができる。
その結果、ECU80Bにおいて第1の実施形態と同様に前段燃料噴射の実噴射量を取得して、後段燃料噴射の実噴射量を補正することができるとともに、前段燃料噴射による燃料供給通路圧力Psの変動による実噴射量の目標噴射量からのずれを抑制制御できる。
また、インジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの製造公差による噴射特性のばらつきや噴射特性の経年変化に対して、噴射指令信号の噴射時間を調整して、実噴射量を目標噴射量と一致するように制御できる。
そして、第1の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃料噴射装置について図12を参照しながら詳細に説明する。
図12は、第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Cが第2の実施形態の燃料噴射装置1Bと異なる点は、(1)コモンレール圧力Pcを検出するコモンレール圧力センサSPcを削除した点と、(2)ECU80Bの代わりにECU(制御部)80Cとなった点と、(3)コモンレール圧力Pcを制御するのにコモンレール圧力センサSPcの代わりに燃料供給通路圧力センサSPsを用いる点と、(4)ECU80Cにおいて燃料のオリフィス通過流量率QORを算出する方法を変えた点である。
第2の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図12に示すように4つの燃料供給通路圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Cに入力される。
そして、ECU80Cにおいて燃料供給通路圧力センサSPsから入力された燃料供給通路圧力Psの信号には高周波のノイズをカットするフィルタ処理を行う。ここで燃料供給通路圧力Psをフィルタ処理したものを圧力Psfilと称することにする。
このように燃料供給通路圧力センサSPsから入力された圧力信号をフィルタ処理することにより、ECU80Cにおいて図示しないクランク角センサや、気筒判別センサからの信号及びECU80C内で発生させる気筒別の噴射指令信号にもとづいて、ある気筒において燃料噴射が完了して、「膨張行程」、「排気行程」と続いて、「吸気行程」、「圧縮行程」に入ると、燃料供給通路圧力センサSPsからの圧力Psfilの信号は、比較的圧力振動の少ない状態となり、コモンレール圧力Pcと略同じ値となる。
そこで、ECU80Cでは、コモンレール圧力Pcを略一定に制御するため、前記した比較的圧力振動の少ない状態における圧力Psfilをサンプリングすることによって、圧力調整弁72を制御して、所定のコモンレール圧力Pcの範囲内に制御する。
なお、このコモンレール圧力Pcの制御に用いる燃料供給通路圧力センサSPsは、本実施形態のような4気筒エンジンの場合に代表的に4つの内の1つのみとしても良いし、4つ全てを用いて、サンプリングするタイミングが異なる4つの信号の平均値をもってコモンレール圧力Pcとしても良い。
そして、本実施形態におけるECU80Cの機能は、前記したコモンレール圧力Pcの制御の方法を除いて、基本的に第2の実施形態におけるECU80Bと同じである。ただし、燃料のオリフィス通過流量率QORをECU80Cで算出するときに用いるオリフィス差圧を、第1及び第2の実施形態の場合のように差圧センサSdP、又は、コモンレール圧力センサSPc及び燃料供給通路圧力センサSPsからの2つの圧力信号にもとづく差圧によらず、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力センサSPsからの信号のみにより算出する点が異なる。
本実施形態においては、図3に示す二次元マップ812aのコモンレール圧力として前記したようなサンプリングによる圧力Psfilを用いる。また、図4の(a),(b)に示した三次元マップ812b,812cのコモンレール圧力として、圧力Psfilを用いる。
次に、図13から図16を参照しながら本実施形態における燃料供給通路圧力センサSPsからの信号のみによる燃料のオリフィス通過流量率QOR、つまり、実噴射量を算出する方法を説明する。
図13、図14は、第3の実施形態におけるECU80Cでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORを算出する制御の流れを示すフローチャートである。図13、図14のフローチャートは、第2の実施形態のフローチャートからの変更部分、つまり、オリフィス差圧ΔPORを用いないで、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psの変化からオリフィス通過流の検出開始タイミングの取得や、オリフィス通過流量率QORの算出や、オリフィス通過流の検出終了タイミングの取得の部分のみを記載してある。
また、本実施形態では、高圧燃料供給通路21のオリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを設けているので、図5から図9のフローチャートのステップS113,S114,S162,S163において、「コモンレール圧力Pc」を「燃料供給通路圧力Psをフィルタリング処理した圧力Psfil」と読み替えて圧力Psfilを用いることとし、ステップS135,S136において、「tSM直近のコモンレール圧力Pc」を「tSM直近の燃料供給通路圧力Psをフィルタリング処理した圧力Psfil 」と読み替えてメイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM直近の圧力Psfil を用いることとする。
図15は、基準圧力低下曲線の説明図である。本実施形態においては、図15に示すようにインジェクタ5Aの燃料噴射終了後における燃料の流動に伴う、オリフィス75の差圧ΔPORが0となる時点において、オリフィス75の上流側の圧力は燃料噴射完開始前の初期の圧力より必ず低くなる傾向にあること、燃料の噴射時間が長くなるほどその低下量が大きくなるという実験データにもとづいて、オリフィス上流側の基準圧力低下線を図15のように設定する。
これは、コモンレール圧力Pcの燃料噴射による圧力低下は次式(2),(3)のように表わされることからも明らかである。
Figure 0005022336
ここで、
:定数
V:コモンレール4、4本の高圧燃料供給通路21及びインジェクタ5A内の燃料通 路を含む全体積
in:燃料のコモンレール4へのポンプ3Bからの流入量率(mm/sec)
inject:インジェクタ5Aから燃焼室内への燃料噴射率(mm/sec)
である。
図15は、基準圧力低下線の説明図であり、基準圧力低下線として直線タイプの基準圧力低下線x1と、2次曲線タイプの基準圧力低下線x2を例示してある。Piは燃料噴射開始前の燃料供給通路圧力Psの初期値を示し、この値は後記するようにフローティングである。図15に示すように燃料の噴射時間が長くなるほど初期値Piからの低下量が増加する。
図16は、1つの気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力変化にもとづく圧力低下量の時間推移を示す図である。
先ず、パイロット燃料噴射におけるオリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psの変化からオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPの取得や、オリフィス通過流量率QORの算出や、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPの取得の部分を説明する。
図5に示したフローチャートのステップS117に続く図13に示したフローチャートのステップS118では、実燃料供給情報検出部813が、噴射指令信号からパイロット燃料噴射の噴射開始を受信したか否かをチェックする。パイロット燃料噴射の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS119へ進み、受信していない場合(No)はステップS118を繰り返す。ステップS119では、実燃料供給情報検出部813が、タイマtをスタートさせ、更に、ステップS120では、実燃料供給情報検出部813が、パイロット燃料噴射におけるオリフィス通過流量QPsumを0.0にリセットする。
ステップS121Aでは、実燃料供給情報検出部813が、燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値よりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<P−ΔPε)?〕。所定値よりも低下した場合(Yes)はステップS122Aへ進み、そうでない場合(No)はステップS121Aを繰り返す。
図16の(d)において、下流側圧力Psfilが所定値Pより下にΔPεを超えて低下したタイミングがt’である。
ここで、所定値Pは、燃料供給通路圧力センサSPsで検出された燃料供給通路圧力Psの信号から高周波ノイズ、例えば、高圧ポンプ3Bの充填動作による圧力脈動や、他の気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をして、圧力変動を伝播させたことによる圧力脈動の残留成分や、自気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をした後の反射波による圧力脈動の残留成分等による高周波成分をフィルタ処理して取り除き、その後に残った圧力のゆらぎの幅における下限の値を所定値Pと設定する。この値は、燃料供給通路圧力Psfilとして検出される値に対して所定の圧力ゆらぎの幅を事前に試験により求めておくことで、容易に設定できる。
ステップS122Aでは、実燃料供給情報検出部813が、ステップS121AでYesのとき、タイマtによりパイロット燃料噴射に伴うオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPを取得する。ステップS122Bでは、実燃料供給情報検出部813が、ステップS121AでYesのときのオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPにおける圧力Psfilを初期値Piとして図16の(d)に示すように基準圧力低下線を設定する。
なお、初期値Piは、所定値(P−ΔPε)と一致する場合もあれば、圧力Psfilをサンプリングする繰返し周期の次の繰り返しのタイミングとなり、所定値(P−ΔPε)と異なる値となる場合もある。
ステップS123Aでは、実燃料供給情報検出部813が、初期値Piとする基準圧力低下線から圧力Psfilまでの圧力低下量ΔPdownを算出して、オリフィス通過流量率QORを算出する。図16の(d)にΔPdownの定義を示す。
ここで、オリフィス通過流量率QORは、(1)式において、ΔPORの代わりに圧力低下量ΔPdownを代入することにより容易に算出できる。
ステップS124では、実燃料供給情報検出部813が、QPsum=QPsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS125では、実燃料供給情報検出部813が、噴射指令信号からパイロット燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。パイロット燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS126Aへ進み、受信していない場合(No)はステップS123Aへ戻り、ステップS123A〜ステップS125を繰り返す。
ステップS126Aでは、実燃料供給情報検出部813が、フィルタ処理されたオリフィス75の下流側圧力Psfilが基準圧力低下線よりも増加したか否かをチェックする。基準圧力低下線よりも増加した場合(Yes)はステップS127Aへ進み、そうでない場合(No)はステップS123Aに戻りステップS123A〜S126Aを繰り返す。
ステップS127Aでは、実燃料供給情報検出部813が、ステップS126AでYesのとき、タイマtによりパイロット燃料噴射の終了に伴うオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREP(図16の(d)のタイミングt’に対応)を取得し、ステップS122Aにおいて取得されたオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、ステップS127Aにおいて取得されたオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREP、ステップS123A〜S126Aの繰り返しにおける最後のオリフィス通過流量QPsumを実燃料噴射情報検出部814へ出力する。ここで、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、検出終了タイミングtOREP、及びオリフィス通過流量QPsumは、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
オリフィス通過流量QPsumは、図16の(d)において、ドットで示した基準圧力低下線x1と圧力Psfilの曲線で囲まれた領域の面積が前記したオリフィス通過流量QPsum、つまり、実噴射量QiPsumに対応する。
次に、メイン燃料噴射におけるオリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psの変化からオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMの取得や、オリフィス通過流量率QORの算出や、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMの取得の部分を説明する。
図8に示したフローチャートのステップS140に続く図14に示したフローチャートのステップS141では、実燃料供給情報検出部813が、タイマtをスタートさせ、更に、ステップS142では、実燃料供給情報検出部813が、メイン燃料噴射におけるオリフィス通過流量QMsumを0.0にリセットする。
ステップS143Aでは、実燃料供給情報検出部813が、燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値よりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<(Psfil −ΔPε)?〕。所定値(Psfil −ΔPε)よりも低下した場合(Yes)はステップS144Aへ進み、そうでない場合(No)はステップS143Aを繰り返す。
ここで、Psfil は、メイン燃料噴射の噴射指令時期tSM直近の圧力Psfilであり、ΔPεは圧力Psfilのノイズレベル以上の変化か否かを判定するための予め設定された閾値である。
ステップS144Aでは、実燃料供給情報検出部813が、ステップS143AでYesのとき、タイマtによりメイン燃料噴射に伴うオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMを取得する。ステップS144Bでは、実燃料供給情報検出部813が、ステップS143AでYesのときのオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMにおける圧力Psfilを初期値Piとして基準圧力低下線を設定する。
なお、初期値Piは、所定値(Psfil −ΔPε)と一致する場合もあれば、圧力Psfilをサンプリングする繰返し周期の次の繰り返しのタイミングとなり、所定値(Psfil −ΔPε)と異なる値となる場合もある。
ステップS145Aでは、実燃料供給情報検出部813が、初期値Piとする基準圧力低下線から圧力Psfilまでの圧力低下量ΔPdownを算出して、オリフィス通過流量率QORを算出する。図16の(d)にΔPdownの定義を示す。
ここで、オリフィス通過流量率QORは、(1)式において、ΔPORの代わりに圧力低下量ΔPdownを代入することにより容易に算出できる。
ステップS146では、実燃料供給情報検出部813が、QMsum=QMsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS147では、実燃料供給情報検出部813が、噴射指令信号からメイン燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。メイン燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS148Aへ進み、受信していない場合(No)はステップS145Aへ戻り、ステップS145A〜ステップS147を繰り返す。
ステップS148Aでは、実燃料供給情報検出部813が、フィルタ処理されたオリフィス75の下流側圧力Psfilが基準圧力低下線よりも増加したか否かをチェックする。基準圧力低下線よりも増加した場合(Yes)はステップS149Aへ進み、そうでない場合(No)はステップS145Aに戻りステップS145A〜S148Aを繰り返す。
ステップS149Aでは、実燃料供給情報検出部813が、ステップS148AでYesのとき、タイマtによりメイン燃料噴射の終了に伴うオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを取得し、ステップS144Aにおいて取得されたオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、ステップS149Aにおいて取得されたオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREM、ステップS145A〜S148Aの繰り返しにおける最後のオリフィス通過流量QMsumを実燃料噴射情報検出部814へ出力する。ここで、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、検出終了タイミングtOREM、及びオリフィス通過流量QMsumは、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
なお、多段噴射を行わないでメイン燃料噴射のみの場合は、ステップS143Aにおける説明、「実燃料供給情報検出部813が、燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値よりも低下したか否かをチェックする〔Psfil<Psfil −ΔPε?〕。所定値(Psfil −ΔPε)よりも低下した場合(Yes)はステップS144Aへ進み、そうでない場合(No)はステップS143Aを繰り返す。」を、「実燃料供給情報検出部813が、燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値よりも低下したか否かをチェックする〔Psfil<P−ΔPε?〕。所定値(P−ΔPε)よりも低下した場合(Yes)はステップS144Aへ進み、そうでない場合(No)はステップS143Aを繰り返す。」に読み替える。
本実施形態によれば、コモンレール圧力Pcを検出するコモンレール圧力センサSPcを削除して、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psを検出する燃料供給通路圧力センサSPsで、コモンレール圧力Pcの制御が容易にでき、コストが低減できる。
また、オリフィス75の下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサSPsからの圧力信号のみで、オリフィス差圧ΔPORを圧力低下量ΔPdownに置き換えた(1)式にもとづいて容易に精度の高い燃料のオリフィス通過流量率QORを算出し、オリフィス通過流量QPsum,QMsumを、つまり、実噴射量QiPsum,QiMsumを、気筒ごとに、噴射指令信号ごとに算出できる。
その結果、ECU80Cにおいて第2の実施形態と同様に前段燃料噴射の実噴射量を取得して、後段燃料噴射の実噴射量を補正することができるとともに、前段燃料噴射による燃料供給通路圧力Psの変動による実噴射量の目標噴射量からのずれを抑制するように制御できる。
また、インジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの製造公差による噴射特性のばらつきや噴射特性の経年変化に対して、噴射指令信号の噴射時間を調整して、実噴射量を目標噴射量と一致するように制御できる。
そして、第2の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
以上、第1の実施形態から第3の実施形態においては、直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aとし、そのアクチュエータ6Aはピエゾ素子を多層に重ねて形成したスタックを用いてノズルニードルを直接駆動するタイプであるが、それに限定されるものではない。例えば、アクチュエータ6Aとして電磁コイルを用いる構成のインジェクタでも良い。
《第4の実施形態》
以下に、本発明の第4の実施形態に係る燃料噴射装置について図17から図19を参照しながら詳細に説明する。
図17は、第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図18は、本実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。図19は、背圧式インジェクタのバックフロー率関数マップの構成概念図である。
本実施形態における燃料噴射装置1Dは、第1の実施形態と以下の点で異なる。
(1)背圧式の燃料噴射弁であるアクチュエータ6Bを有するインジェクタ5Bが用いられている。(2)それに伴い、各気筒に設けられたインジェクタ5Bには、ドレーン通路9が接続され、それらは戻り燃料配管73に更に接続して、逆止弁74とオリフィス76を並列に接続した流量調整器を介して低圧ポンプ3Aの吐出側の低圧燃料供給配管(燃料供給系の低圧部)61に接続している。(3)本実施形態の燃料噴射装置1Dは、ECU(制御部)80Dにより電子制御される。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のインジェクタ5Bは周知のものであり、アクチュエータ6Bとしてピエゾ素子を多層に重ねて形成したスタックを用いてインジェクタ5Bに内蔵された弁を動作させ、インジェクタ5B内の図示しない背圧室をドレーン通路9側に開放したり閉じたりすることで、図示しないノズルニードルを間接駆動するタイプである。アクチュエータ6Bとしてピエゾ素子のスタックを用いた方が、より高速応答性のインジェクタ5Bを構成することができる。
(噴射制御部)
図18に示すように本実施形態におけるECU80Dは、第1の実施形態におけるECU80Aと基本的に同じ構造であるが、第1の実施形態における噴射制御部805A,805B,805C,805Dの代わりに、噴射制御部805A’,805B’,805C’,805D’を含んでいる。
噴射制御部805A’,805B’,805C’,805D’は、多段噴射制御部810’、実燃料供給情報検出部813’、実燃料噴射情報検出部814’を含んでいる。多段噴射制御部810’は、更に多段噴射モード制御部811、個別噴射情報設定部812’を含んでいる。
個別噴射情報設定部812’は、多段噴射モード制御部811の2段噴射か1段噴射かの決定に応じて、例えば、2段噴射の場合は、目標噴射量演算部802からの目標噴射量Fsol、TDC信号、クランク角信号、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsolにもとづいて、目標噴射量Fsolをパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolとメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolに分け、最終的にパイロット燃料噴射の噴射開始指令時期tSP、噴射終了指令時期tEP、メイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM、噴射終了指令時期tEMを設定して、噴射指令信号をアクチュエータ駆動回路806(図18中では、806A,806B,806C,806Dと表示)に出力するとともに、実燃料供給情報検出部813’にも出力する。
個別噴射情報設定部812’は、二次元マップ812a(図3参照)、三次元マップ812b(図4の(a)参照)、三次元マップ812c(図4の(b)参照)の他にバックフロー率関数マップ812dを有している。
バックフロー率関数マップ812dは、図19に示すようにコモンレール圧力Pcと噴射時間Tの二次元マップで、バックフロー率関数QBF(t)を求められるようにしたものであり、バックフロー率関数QBF(t)を図19中に例示してある。
バックフロー率関数QBF(t)は、横軸が時間(μsec)、縦軸がバックフロー率QBF(mm/sec)の関数で表わされる。噴射指令信号における噴射開始指令時期tと噴射終了指令時期tとの間の区間が噴射時間Tであり、それに対して、実際にバックフローが始まるバックフロー開始時期tSBFとバックフローが終了するバックフロー終了時期tEBFとの間の区間がバックフロー区間TiBFである。
背圧式のインジェクタ5Bでは、このバックフロー率関数QBF(t)の時間積分に当たるバックフロー量が、実際にインジェクタ5Bの燃料噴射孔10(図17参照)から気筒41の燃焼室内に噴射される実噴射量に加わって、オリフィス通過流量となるので、オリフィス通過流量率QORを単に時間積分するだけでは実噴射量は得られない。
そのために、コモンレール圧力Pcと噴射時間Tによって決まるバックフロー率関数QBF(t)を用いて、バックフロー率も算出するようにする。
なお、バックフロー率関数QBF(t)は、噴射時間Tが長くなればバックフロー区間TiBFも当然長くなるし、コモンレール圧力Pcが高くなればバックフロー率も当然増大する。しかしながら、バックフローは、前記した背圧室からドレーン通路9、逆止弁74とオリフィス76を並列に接続した流量調整器を経て低圧ポンプ3Aの吐出側に流れる構成なので、燃焼室への噴射のように厳しい環境ではなく、経年変化は小さく、実験的に予め求めたバックフローデータのバックフロー率関数マップ812dを用いてもバックフロー率に対して十分な精度が確保できる。
実燃料供給情報検出部813’は、対応する気筒41(図17参照)の差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、パイロット燃料噴射に対して、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiP、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPを検出し、燃料温度センサSTfからの燃料温度Tの信号とオリフィス差圧ΔPORの信号とにもとづいてオリフィス通過流量率QORを算出し、最終的にオリフィス通過流量率QORを時間積分してオリフィス通過流量QPsumを算出する。また、実燃料供給情報検出部813’は、バックフロー率関数マップ812dからバックフロー率関数QBF(t)を取得して、その時点tにおけるバックフロー率QBF(t)を時間積分してバックフロー量QBFsumを算出するとともに、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBFを取得する。
実燃料供給情報検出部813’は、メイン燃料噴射に対しても同様に、オリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiM、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを検出し、燃料温度センサSTfからの燃料温度Tの信号とオリフィス差圧ΔPORの信号とにもとづいてオリフィス通過流量率QORを算出し、最終的にオリフィス通過流量率QORを時間積分してオリフィス通過流量QMsumを算出する。また、実燃料供給情報検出部813’は、バックフロー率関数マップ812dからバックフロー率関数QBF(t)を取得して、その時点tにおけるバックフロー率QBF(t)を時間積分してバックフロー量QBFsumを算出するとともに、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBFを取得する。
そして、実燃料供給情報検出部813’は、パイロット燃料噴射におけるオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiP、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBF、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREP、オリフィス通過流量QPsum、バックフロー量QBFsumを実燃料噴射情報検出部814’に出力するとともに、メイン燃料噴射におけるオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiM、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBF、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREM、オリフィス通過流量QMsum、バックフロー量QBFsumを実燃料噴射情報検出部814’に出力する
実燃料噴射情報検出部814’は、パイロット燃料噴射におけるオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiP、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBF、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPを、それぞれインジェクタ5Bのバックフロー開始時期、燃料噴射孔10からのパイロット燃料噴射の燃料噴射開始時期、バックフロー終了時期、燃料噴射孔10からのパイロット燃料噴射の燃料噴射終了時期に換算し、オリフィス通過流量QPsumからバックフロー量QBFsumを差し引いて、実噴射量QiPsumを算出する。
また、実燃料噴射情報検出部814’は、メイン燃料噴射におけるオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiM、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBF、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを、それぞれインジェクタ5Bのバックフロー開始時期、燃料噴射孔10からのメイン燃料噴射の燃料噴射開始時期、バックフロー終了時期、燃料噴射孔10からのメイン燃料噴射の燃料噴射終了時期に換算し、オリフィス通過流量QMsumからバックフロー量QBFsumを差し引いて、実噴射量QiMsumを算出する。
これらの換算されたデータは個別噴射情報設定部812’に入力され、必要に応じて、補正に用いられる。
次に、図20、図21を参照しながらオリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御について説明する。図20、図21は、オリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。図20、図21においては、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の区別をしないで一般的な形で表現してある。
パイロット燃料噴射の場合は、図5から図9に示した第1の実施形態におけるフローチャートのステップS117の後に、図20に示すフローチャートのステップS311へ進み、図21に示すフローチャートのステップS331の後、図5から図9に示した第1の実施形態におけるフローチャートのステップS130に進む。
メイン燃料噴射の場合は、図5から図9に示した第1の実施形態におけるフローチャートのステップS139の後に、図20に示すフローチャートのステップS311へ進み、図21に示すフローチャートのステップS331の後、図5から図9に示した第1の実施形態におけるフローチャートのステップS152に進む。
そして、図20、図21に示すフローチャート中の噴射時間T、オリフィス通過流量Qsum、オリフィス通過流の検出開始タイミングTORS、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSi、オリフィス通過流の検出終了タイミングTORE、実噴射量Qisum、目標噴射量Fsolは、パイロット燃料噴射の場合は、それぞれパイロット燃料噴射の噴射時間TiP、オリフィス通過流量QPsum、オリフィス通過流の検出開始タイミングTORSP、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiP、オリフィス通過流の検出終了タイミングTOREP、実噴射量QiPsum、目標噴射量Fsolに読み替え、メイン燃料噴射の場合は、それぞれメイン燃料噴射の噴射時間TiM、オリフィス通過流量QMsum、オリフィス通過流の検出開始タイミングTORSM、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiM、オリフィス通過流の検出終了タイミングTOREM、実噴射量QiMsum、目標噴射量Fsolに読み替える。
ここでは、パイロット燃料噴射の場合を例に、図20、図21のフローチャートを説明する。[ ]内にパイロット燃料噴射の場合の読み直しを記載してある。
図5から図9に示した第1の実施形態におけるフローチャートのステップS117の後にステップS311に進むと、実燃料供給情報検出部813’は、コモンレール圧力Pc、噴射時間T[TiP]に対応するバックフロー率関数を取得する。具体的には、バックフロー率関数QBF(t)とともに、図19に示す噴射時間T[TiP]に対応して、実際にバックフローが始まるバックフロー開始時期tSBE、前記したバックフロー区間TiBFのパラメータも取得する。
ステップS312では、実燃料供給情報検出部813’が、噴射指令信号から燃料噴射[パイロット燃料噴射]の噴射開始を受信したか否かをチェックする。燃料噴射[パイロット燃料噴射]の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS313へ進み、受信していない場合(No)はステップS312を繰り返す。ステップS313では、実燃料供給情報検出部813’が、タイマtをスタートさせ、IFLAG=0とする。
IFLAGは、バックフロー開始後に燃焼室内への実際の燃料噴射を検出したか否かを示す判定フラッグであり、最初はリセットする。
ステップS314では、実燃料供給情報検出部813’が、燃料噴射[パイロット燃料噴射]によるオリフィス通過流量Qsum[QPsum]と、バックフロー量QBFsumとを0.0にリセットする。
ステップS315では、実燃料供給情報検出部813’が、差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、所定閾値以上の正のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の正のオリフィス差圧ΔPORを検出した場合(Yes)は、ステップS316へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS315を繰り返す。
ここで、正のオリフィス差圧ΔPORとは、コモンレール4側からインジェクタ5B側への燃料の流れを生じたときに発生するオリフィス差圧ΔPORであり、逆方向の燃料の流れを生じたときに発生するのが負のオリフィス差圧ΔPORである。
このステップS315のチェックは、差圧センサSdPからの信号のノイズ以上のオリフィス差圧ΔPORの信号という意味と、燃料噴射に伴うオリフィス差圧ΔPORであることをチェックするものである。
ステップS316では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS315でYesのとき、タイマtにより燃料噴射[パイロット燃料噴射]に伴うオリフィス通過流の検出開始タイミングtORS[tORSP]を取得する。続いて、ステップS317では、実燃料供給情報検出部813’が、バックフロー率関数QBF(t)のバックフロー開始時期tSBFをオリフィス通過流の検出開始タイミングtORS[tORSP]と設定し、バックフロー終了タイミングtOREBF(=tORS+TiBF)[(=tORSP+TiBF)]を算出する。ここで、バックフロー率関数QBF(t)の時間軸tは、バックフロー開始時期tSBFがオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSに合わせられたことを意味する{(tSBF=tORS)[tSBF=tORSP]}。
ステップS318では、実燃料供給情報検出部813’が、オリフィス差圧ΔPORからオリフィス通過流量率QOR(mm/sec)を算出する。
ステップS319では、実燃料供給情報検出部813’が、Qsum=Qsum+QOR・Δt[QPsum=QPsum+QOR・Δt]として、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS320では、実燃料供給情報検出部813’が、QBFsum=QBFsum+QBF(t)・Δtとして、バックフロー率QBFを積算する。
ステップS321では、実燃料供給情報検出部813’が、IFLAG=0か否かをチェックする。IFLAG=0の場合(Yes)はステップS332へ進み、そうでない場合(No)はステップS325へ進む。
ステップS332では、実燃料供給情報検出部813’が、オリフィス通過流量率QORがバックフロー率QBF(t)を越えているか否かをチェックする。越えている場合は、ステップS323へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS325へ進む。
ステップS323では、実燃料供給情報検出部813’が、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSi[tORSiP]を取得する。そして、ステップS324では、実燃料供給情報検出部813’が、IFLAG=1とする。
つまり、オリフィス通過流量率QORが、バックフロー率QBF以上になったということは、燃料噴射孔10から燃焼室への噴射が開始されたことを検出したことになる。
ステップS325では、実燃料供給情報検出部813’が、噴射指令信号から燃料噴射[パイロット燃料噴射]の噴射終了を受信したか否かをチェックする。燃料噴射[パイロット燃料噴射]の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS326へ進み、受信していない場合(No)は結合子(I)に従ってステップS318へ戻り、ステップS318〜ステップS325を繰り返す。ステップS326では、実燃料供給情報検出部813’が、差圧センサSdPからのオリフィス差圧ΔPORの信号にもとづいて、所定閾値以上の負のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の負のオリフィス差圧を検出した場合(Yes)は、ステップS327へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(I)に従ってステップS318へ戻り、ステップS318〜ステップS326を繰り返す。
このステップS326のチェックは、差圧センサSdPからの信号のノイズ以上のオリフィス差圧ΔPORの信号という意味と、燃料噴射の終了に伴う反射波によるオリフィス差圧ΔPORであることをチェックするものである。
ここでのステップS318〜S326の処理は、例えば、数μsec〜数十μsecの周期で行われ、Δtはオリフィス差圧ΔPORをサンプリングする周期であり、数μsec〜数十μsecである。
ステップS327では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS326でYesのとき、タイマtにより燃料噴射[パイロット燃料噴射]の終了に伴うオリフィス通過流の検出終了タイミングtORE[tOREP]を取得し、ステップS316において取得されたオリフィス通過流の検出開始タイミングtORS[tORSP]、ステップS317において取得されたバックフロー終了タイミングtOREBF、ステップS323において取得されたオリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSi[tORSiP]、ステップS327において取得されたオリフィス通過流の検出終了タイミングtORE[tOREP]、ステップS318〜S326の繰り返しにおける最後のオリフィス通過流量Qsum[QPsum]及びバックフロー量QBFsumを実燃料噴射情報検出部814’へ出力する。ここで、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORS[tORSP]、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSi[tORSiP]、バックフロー終了タイミングtOREBF、オリフィス通過流の検出終了タイミングtORE[tOREP]、オリフィス通過流量Qsum[QPsum]、及びバックフロー量QBFsumは、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
ステップS328では、実燃料噴射情報検出部814’が、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORS[tORSP]をバックフロー開始時期に、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBFをバックフロー終了時期に、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSi[tORSiP]を噴射開始時期に、オリフィス通過流の検出終了タイミングtORE[tOREP]を噴射終了時期に換算する。
ステップS329では、実燃料噴射情報検出部814’が、オリフィス通過流量Qsum[QPsum]からバックフロー量QBFsumを差し引いて実噴射量Qisum[QiPsum]を算出する(Qisum=Qsum−QBFsum ,[QiPsum=QPsum−QBFsum])。
そして、燃料噴射[パイロット燃料噴射]の実噴射量Qisum[QiPsum]、バックフロー開始時期、噴射開始時期、バックフロー終了時期、噴射終了時期は、個別噴射情報設定部812’に入力される。
ちなみに、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORS[tORSP]、バックフロー終了タイミングtOREBF、燃料噴射開始検出タイミングtORSi[tORSiP]、検出終了タイミングtORE[tOREP]を燃料噴射[パイロット燃料噴射]のバックフロー開始時期、噴射開始時期、バックフロー終了時期、噴射終了時期に換算することは、例えば、オリフィス通過流量率QORの平均値{Qsum/(tORE−tORS) ,[QPsum/(tOREP−tORSP)}と高圧燃料供給通路21の流路断面積から平均流速が求まり、燃料通路の長さを考慮すれば容易に求められる。
ここで、燃料噴射[パイロット燃料噴射]の実噴射量Qisum[QiPsum]、噴射開始時期、噴射終了時期は、請求項に記載の「実燃料噴射情報」に対応する。
続いて、ステップS330では、個別噴射情報設定部812’が、補正係数K(=Fsol/Qisum)[補正係数K(=Fsol/QiPsum)]を算出して、補正係数K[K]を補正係数の三次元マップ812bに登録し、三次元マップ812bを更新する。
ステップS331では、実燃料噴射情報検出部814’が、IFLAG=0にリセットする。その後、図5から図9のフローチャートのステップS130へ進む。
メイン燃料噴射についての流れの説明は省略するが、前記した読み替えにより、図5から図9のフローチャートのステップS139からステップS311へ進み、(中略)、ステップS330では、個別噴射情報設定部812’が、補正係数K(=Fsol/Qisum)[補正係数K(=Fsol/QiMsum)を算出して、補正係数K[K]を補正係数の三次元マップ812cに登録し、三次元マップ812cを更新する。
ステップS331では、実燃料噴射情報検出部814’が、IFLAG=0にリセットする。その後、図5から図9のフローチャートのステップS152へ進む。
ここで、図22を参照しながら適宜図17、図18を参照してECU80Dにおける燃料の各気筒41へのパイロット燃料噴射の実噴射情報の検出によるメイン燃料噴射の補正の方法について説明する。
図22は、1つの気筒に対してパイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率とバックフロー率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。
図22の(a)では、時間tが噴射開始指令時期、時間tが噴射終了指令時期である噴射時間TiPのパイロット燃料噴射の噴射指令信号の後に、時間tが噴射開始指令時期、時間tが噴射終了指令時期である噴射時間TiMのメイン燃料噴射の噴射指令信号が出されている。
これに対応して、図22の(b)に示すように背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bにおけるパイロット燃料噴射のバックフロー開始時期はtより少し遅れたt2Aからとなり、噴射開始時期はtより少し遅れたt2Bとなり、tより遅れてバックフロー終了時期t4Aとなり、その後に噴射終了時期t4Bとなる。そして、メイン燃料噴射のバックフロー開始時期はtより少し遅れたt6Aからとなり、噴射開始時期はt6Aより少し遅れたt6Bとなり、tより遅れてバックフロー終了時期t8Aとなり、その後に噴射終了時期t8Bとなる。
パイロット燃料噴射による燃料のオリフィス75を通過するオリフィス通過流量率は、図22の(c)に示すように、インジェクタ5B(図17参照)内の図示しない燃料通路や高圧燃料供給通路21(図17参照)の容積分だけパイロット燃料噴射のバックフロー開始時期t2Aより遅れたt2A’から立ち上がり、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21の容積分だけ噴射終了時期t4Bより遅れてt4B’にゼロに戻る。そして、メイン燃料噴射によるオリフィス通過流量率は、インジェクタ5B内の図示しない燃料通路や高圧燃料供給通路21の容積分だけメイン燃料噴射のバックフロー開始時期t6Aより遅れたt6A’から立ち上がり、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21の容積分だけ噴射終了時期tより遅れてt’にゼロに戻る。
図22の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は、図22の(d)に示すようにコモンレール圧力Pcの振動によってオリフィス上流側圧力が変動していても、差圧センサSdPによりオリフィス差圧が検出できるので、オリフィス通過流量率が算出できる。そして、図22の(c)に示すオリフィス通過流量率で示した領域の面積QPsumは、背圧式のインジェクタ5Bの場合、図10の(b)に示すパイロット燃料噴射における実噴射量QiPsumとバックフロー量QBFsumとの合計、つまり、QPsumに対応し、オリフィス通過流量率の領域の面積QMsumは、図22の(b)に示すメイン燃料噴射における実噴射量QiMsumとバックフロー量QBFsumとの合計、つまり、QMsumに対応する。そして、QPsum、QMsumは、それぞれ図22の(d)に示す斜線部、二重斜線部に対応する。
言わずもがなであるが、パイロット燃料噴射のバックフロー量QBFsumとメイン燃料噴射のバックフロー量QBFsumは当然異なる値である。
本実施形態によれば、パイロット燃料噴射における実噴射量QiPsumがその目標噴射量Fsolよりも例えば少ない場合は、図7に示したフローチャートのステップS132〜S135における制御により、図22の(a)の噴射指令信号のメイン燃料噴射の噴射時間TiMを点線で示すように噴射終了指令時期をt7Expまで延長して、図22の(b)に示すようにメイン燃料噴射の実燃料噴射率の噴射終了時期をt8BExpまで延長し、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の合計の目標噴射量Fsolとなるようにメイン燃料噴射を制御できる。
図22の(c),(d)におけるt8Exp’は、実燃料噴射率の噴射終了時期t8Expに対応するものである。
逆に、パイロット燃料噴射における実噴射量QiPsumがその目標噴射量Fsolよりも多い場合は、前記したフローチャートのステップS132〜S135における制御により、メイン燃料噴射の噴射時間TiMを短縮して、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の合計の目標噴射量Fsolとなるようにメイン燃料噴射を制御できる。
この結果、気筒41の出力トルクに寄与する割合の高い、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の合計の実噴射量(QiPsum+QiMsum)が目標噴射量Fsolに近づくように制御できるので、エンジンの出力制御がより正確に行え、エンジン振動やエンジン騒音が抑制される。
また、パイロット燃料噴射に続くメイン燃料噴射における噴射時間TiMの決定において、図7に示したフローチャートのステップS135に示すように、メイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM直近のコモンレール圧力Pcを用いることとし、メイン燃料噴射の噴射時間TiMを、図5に示したステップS112にて目標噴射量Fsolを決定した直後のステップS113においてパイロット燃料噴射の噴射時間TiPと同時に決定しないようにしているので、図31に示したようにパイロット燃料噴射後のメイン燃料噴射において高圧燃料供給通路圧力Ps又はコモンレール圧力Pcが変動して、メイン燃料噴射の噴射時間TiMを決定したときの高圧燃料供給通路圧力Ps又はコモンレール圧力Pc条件と異なり、メイン燃料噴射の実噴射量QiMsumが目標噴射量Fsolとずれるという不都合が改善される。
また、前記したフローチャートのステップS114,S115とステップS136,S137に示したように、個々のインジェクタ5Bやアクチュエータ6Bの噴射特性のばらつきを、パイロット燃料噴射時の目標噴射量Fsolと実噴射量QiPsumの比の補正係数K、メイン燃料噴射時の目標噴射量Fsolと実噴射量QiMsumの比の補正係数Kで、パイロット燃料噴射の噴射時間TiP、メイン燃料噴射の噴射時間TiMをそれぞれ補正して、実効的に補正されたパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol及びメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolを用いていることと同じになるので、気筒間の出力トルクの変動や時間経過によるインジェクタ5Bやアクチュエータ6Bの噴射特性の変化を補正でき、より正確な気筒間の出力トルク変動の抑制ができる。
より詳細に説明すると、オリフィス75の開口部の径を正確に製作することは容易であり、又オリフィス75の上流側と下流側との間の差圧ΔPORは、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、差圧センサSdPによるオリフィス差圧ΔPORから容易に(1)式によりオリフィス通過流量率QORが算出できる。
そして、オリフィス差圧ΔPORからオリフィス通過流量率QORを算出するとともに、バックフロー率関数QBF(t)を取得してバックフロー率QBFを用いることにより、インジェクタ5Bへの実燃料供給量であるオリフィス通過流量QPsum,QMsumやバックフロー量QBFsumを正確に算出することができる。
インジェクタ5Bやアクチュエータ6Bの製造公差があったとしても、その製造公差の影響を反映した燃料のオリフィス通過流量率QOR、つまり、オリフィス通過流量QPsum,QMsumが演算できるので、例えば、算出されたオリフィス通過流量QPsum,QMsumやバックフロー量QBFsumにもとづいて実噴射量QiPsum,QiMsumが算出でき、ECU80Dにおけるインジェクタ5Bへのパイロット燃料噴射及びメイン燃料噴射の噴射指令信号の噴射時間TiP,TiMを補正係数K,Kで補正することにより、各気筒41(図17参照)への実噴射量を同一にすることができる。
その結果、各気筒41への実噴射量を正確に制御して、各気筒の発生トルクをより正確に制御できる。
本実施形態では、パイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の2段噴射を例に説明したがそれに限定されるものではない。
通常、インジェクタ5Bからの燃料噴射は、PM(粒子状物質)の低減、NOxと燃焼騒音の低減、排ガス昇温や還元剤供給による触媒の活性化等の目的で実際は、「パイロット(Pilot)燃料噴射」、「プレ(Pre)燃料噴射」、「メイン(Main)燃料噴射」「アフタ(After)燃料噴射」、「ポスト(Post)燃料噴射」の多段噴射にすることが普通である。
そして、このような多段噴射における実噴射量がエンジンの運転状態における目標値通りになされないと、エンジンの排気ガスの規制値をクリアすることができなかったりする。特に、実噴射量に経年変化がある場合でも、オリフィス差圧ΔPORから実噴射量を正確に算出することができるので、ECU80Dにおいて、噴射指令信号の噴射時間を調整することにより、実燃料供給量を目標値に一致するように制御することができる。
また、パイロット燃料噴射、プレ燃料噴射、メイン燃料噴射の合計の実噴射量が前記した目標噴射量Fsolになるように前段燃料噴射の実噴射量に応じて後段燃料噴射の目標噴射量を調整するようにしても良いし、パイロット燃料噴射とプレ燃料噴射のそれぞれの実噴射量の合計と前記した目標噴射量Fsolとの差分をメイン燃料噴射における目標噴射量Fsolとアフタ燃料噴射における目標噴射量FAftsolとに割り振るように設定するようにしても良い。
その結果、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態に係る燃料噴射装置について図23を参照しながら詳細に説明する。
図23は、第5の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Eが第4の実施形態の燃料噴射装置1Dと異なる点は、(1)エンジンの各気筒に配されたインジェクタ5Bに燃料を供給する高圧燃料供給通路21に設けられたオリフィス75の上下流差圧を検出する差圧センサSdPの代わりに、オリフィス75の下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサSPsを設けた点と、(2)ECU80Dの代わりにECU(制御部)80Eとなった点と、(3)ECU80Eにおいて燃料のオリフィス通過流量率QORを算出するオリフィス差圧ΔPORの定義を変えた点と、(4)パイロット燃料噴射の後に続くメイン燃料噴射の噴射時間TiMを決定するときに用いる噴射開始指令時期tSM直近のコモンレール圧力Pcの代わりに、噴射開始指令時期tSM直近の燃料供給通路圧力Psとした点である。
言い換えると、本実施形態は、第2の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aを背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第2の実施形態を変形したものである。
第4の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図23に示すように4つの燃料供給通路圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Eに入力される。
そして、本実施形態におけるECU80Eの機能は、基本的に第4の実施形態におけるECU80Dと同じであるが、燃料のオリフィス通過流量率QORをECU80Eで算出するときに用いる信号が第4の実施形態の場合と異なる。
第4の実施形態では、前記した(1)式によりオリフィス通過流量率QORを算出したが、本実施形態では、(1)式におけるオリフィス差圧ΔPORを、コモンレール圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcと、燃料供給通路圧力センサSPsが検出するオリフィス75の下流側圧力Psとの差圧(Pc−Ps)に置き換える。
各高圧燃料供給通路21のオリフィス75上流側の圧力は、コモンレール圧力Pcと略一致することは明らかであり、本実施形態は第4の実施形態と同様に、(1)式においてオリフィス差圧ΔPORを差圧(Pc−Ps)に置き換えて容易に精度の高い燃料のオリフィス通過流量率QORを算出し、オリフィス通過流量QPsum,QMsumを算出し、更に、バックフロー率関数QBF(t)を取得して、それぞれのバックフロー量QBFsumを算出できる。そして、オリフィス通過流量QPsumからバックフロー量QBFsumを差し引いて実噴射量QiPsumを、オリフィス通過流量QMsumからバックフロー量QBFsumを差し引いて実噴射量QiMsumを算出できる。つまり、実噴射量QiPsum,QiMsumを、気筒41ごとに、噴射指令信号ごとに算出できる。その結果、ECU80Eにおいて第4の実施形態と同様に噴射指令信号の噴射時間を調整して、噴射指令における目標の燃料噴射量と一致するように制御できる。
また、本実施形態では、高圧燃料供給通路21のオリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを設けているので、図5から図9のフローチャート並びに図20、図21のフローチャートのステップS113,S114,S162,S163において、「コモンレール圧力Pc」を「燃料供給通路圧力Ps」と読み替えて燃料供給通路圧力Psを用いることとし、ステップS135,S136において、「tSM直近のコモンレール圧力Pc」を「tSM直近の燃料供給通路圧力Ps」と読み替えてtSM直近の燃料供給通路圧力Psを用いることとする。
これらのステップにおいてコモンレール圧力Pcよりも燃料供給通路圧力Psを用いることにより、パイロット燃料噴射における精度の良い噴射時間TiP、補正係数〈K〉や、メイン燃料噴射における精度の良い噴射時間TiM、補正係数〈K〉を取得して制御することができる。
その結果、ECU80Eにおいて第4の実施形態と同様に前段燃料噴射の実噴射量を取得して、後段燃料噴射の実噴射量を補正することができるとともに、前段燃料噴射による燃料供給通路圧力Psの変動による実噴射量の目標噴射量からのずれを抑制制御できる。
また、インジェクタ5Bやアクチュエータ6Bの製造公差による噴射特性のばらつきや噴射特性の経年変化に対して、噴射指令信号の噴射時間を調整して、実噴射量を目標噴射量と一致するように制御できる。
そして、第4の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第6の実施形態》
次に、本発明の第6の実施形態に係る燃料噴射装置について図24を参照しながら詳細に説明する。
図24は、第6の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Fが第5の実施形態の燃料噴射装置1Eと異なる点は、(1)コモンレール圧力Pcを検出するコモンレール圧力センサSPcを削除した点と、(2)ECU80Eの代わりにECU(制御部)80Fとなった点と、(3)コモンレール圧力Pcを制御するのにコモンレール圧力センサSPcの代わりに燃料供給通路圧力センサSPsを用いる点と、(4)ECU80Fにおいて燃料のオリフィス通過流量率QORを算出する方法を変えた点である。
言い換えると、本実施形態は、第3の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aを背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第3の実施形態を変形したものである。
第5の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図24に示すように4つの燃料供給通路圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Fに入力される。
そして、ECU80Fにおいて燃料供給通路圧力センサSPsから入力された燃料供給通路圧力Psの信号には高周波のノイズをカットするフィルタ処理を行う。ここで燃料供給通路圧力Psをフィルタ処理したものを圧力Psfilと称することにする。
このように燃料供給通路圧力センサSPsから入力された圧力信号をフィルタ処理することにより、ECU80Fにおいて図示しないクランク角センサや、気筒判別センサからの信号及びECU80F内で発生させる気筒別の燃料噴射指令にもとづいて、ある気筒において燃料噴射が完了して、「膨張行程」、「排気行程」と続いて、「吸気行程」、「圧縮行程」に入ると、燃料供給通路圧力センサSPsからの圧力Psfilの信号は、比較的圧力振動の少ない状態となり、コモンレール圧力Pcと略同じ値となる。
そこで、ECU80Fでは、コモンレール圧力Pcを略一定に制御するため、前記した比較的圧力振動の少ない状態における圧力Psfilをサンプリングすることによって、圧力調整弁72を制御して、所定のコモンレール圧力Pcの範囲内に制御する。
なお、このコモンレール圧力Pcの制御に用いる燃料供給通路圧力センサSPsは、本実施形態のような4気筒エンジンの場合に代表的に4つの内の1つのみとしても良いし、4つ全てを用いて、サンプリングするタイミングが異なる4つの信号の平均値をもってコモンレール圧力Pcとしても良い。
そして、本実施形態におけるECU80Fの機能は、前記したコモンレール圧力Pcの制御の方法を除いて、基本的に第5の実施形態におけるECU80Eと同じであるが、燃料のオリフィス通過流量率QORをECU80Fで算出するときに用いるオリフィス差圧が第4及び第5の実施形態の場合のように差圧センサSdP、又はコモンレール圧力センサSPc及び燃料供給通路圧力センサSPsから2つの圧力信号にもとづく差圧によらず、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力センサSPsからの信号のみによる点である。
本実施形態においては、図18に示す二次元マップ812aのコモンレール圧力として前記したようなサンプリングによる圧力Psfilを用いる。また、図18及び図4の(a),(b)に示した三次元マップ812b,812cのコモンレール圧力として、圧力Psfilを用いる。
次に、図25から図30を参照しながら本実施形態における燃料供給通路圧力センサSPsからの信号のみによる燃料のオリフィス通過流量率QOR、つまり、実噴射量を算出する方法を説明する。
図25から図29は、第6の実施形態におけるECU80Fでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。図25から図29のフローチャートは、第1の実施形態のフローチャートからの変更部分、つまり、オリフィス差圧ΔPORを用いないで、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psの変化からオリフィス通過流の検出開始タイミングの取得や、オリフィス通過流量率QORの算出や、実噴射量オリフィス通過流の検出終了タイミングの取得や、オリフィス通過流量率QORからオリフィス通過流量QPsum,QMsumを算出や、バックフロー量QBFsumの算出や、オリフィス通過流量QPsum,QMsumからバックフロー量QBFsumを差し引いて実噴射量QiPsum,QiMsumを算出する部分のみを記載してある。
また、本実施形態では、高圧燃料供給通路21のオリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを設けているので、図5から図9のフローチャートのステップS113,S114,S162,S163において、「コモンレール圧力Pc」を「燃料供給通路圧力Psをフィルタリング処理した圧力Psfil」と読み替えて圧力Psfilを用いることとする。
図30は、1つの気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率とバックフロー率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力変化にもとづく圧力低下量の時間推移を示す図である。
先ず、パイロット燃料噴射におけるオリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psの変化からオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPの取得や、オリフィス通過流量率QORの算出や、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPの取得、実噴射量QiPsumの算出の部分等を説明する。
ステップS117に続くステップS411では、実燃料供給情報検出部813’は、圧力Psfil、パイロット燃料噴射の噴射時間TiPに対応するバックフロー率関数を取得する。具体的には、バックフロー率関数QBF(t)とともに、図19に示すパイロット燃料噴射の噴射時間TiP(図19中では噴射時間Tと一般化して表示)に対応して、実際にバックフローが始まるバックフロー開始時期tSBE、前記したバックフロー区間TiBFのパラメータも取得する。
ステップS412では、実燃料供給情報検出部813’が、噴射指令信号からパイロット燃料噴射の噴射開始を受信したか否かをチェックする。パイロット燃料噴射の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS413へ進み、受信していない場合(No)はステップS412を繰り返す。
ステップS413では、実燃料供給情報検出部813’が、タイマtをスタートさせ、IFLAG=0とする。IFLAGは、バックフロー開始後に実際の燃焼室内への燃料噴射を検出したか否かを示す判定フラッグであり、最初はリセットする。
ステップS414では、実燃料供給情報検出部813’が、パイロット燃料噴射によるオリフィス通過流量QPsumと、バックフロー量QBFsumとを0.0にリセットする。
ステップS415では、実燃料供給情報検出部813’が、燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値Pよりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<P)?〕。所定値Pよりも低下した場合(Yes)はステップS416へ進み、そうでない場合(No)はステップS415を繰り返す。
図30の(d)において、下流側圧力Psfilが所定値Pよりも低下したタイミングがt2A’である。
ここで、所定値Pは、燃料供給通路圧力センサSPsで検出された燃料供給通路圧力Psの信号から高周波ノイズ、例えば、高圧ポンプ3Bの充填動作による圧力脈動や、他の気筒のインジェクタ5Bが噴射動作をして、圧力振動を伝播させたことによる圧力脈動や、自気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をした後の反射波による圧力脈動等による高周波成分をフィルタ処理して取り除き、その後に残った圧力変動における振動の下限の値を所定値Pと設定する。この値は、事前に試験により求めることができる。
ステップS416では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS415でYesのとき、タイマtによりパイロット燃料噴射に伴うオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPを取得する。続いて、ステップS417では、実燃料供給情報検出部813’が、バックフロー率関数QBF(t)のバックフロー開始時期tSBFをオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPと設定し、バックフロー終了タイミングtOREBF(=tORSP+TiBF)を算出する。ここで、バックフロー率関数QBF(t)の時間軸tは、バックフロー開始時期tSBFがオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPに合わせられたことを意味する(tSBF=tORSP)。
ステップS418では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS415でYesのときのオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPにおける圧力Psfilを初期値Piとして図30の(d)に示すように基準圧力低下線を設定する。
なお、初期値Piは、所定値(P−ΔPε)と一致する場合もあれば、圧力Psfilをサンプリングする繰返し周期の次の繰り返しのタイミングとなり、所定値(P−ΔPε)と異なる値となる場合もある。
ステップS419では、実燃料供給情報検出部813’が、初期値Piとする基準圧力低下線から圧力Psfilまでの圧力低下量ΔPdownを算出して、オリフィス通過流量率QORを算出する。図30の(d)にΔPdownの定義を示す。
ここで、オリフィス通過流量率QORは、(1)式において、ΔPORの代わりに圧力低下量ΔPdownを代入することにより容易に算出できる。
ステップS420では、実燃料供給情報検出部813’が、QPsum=QPsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS421では、実燃料供給情報検出部813’が、QBFsum=QBFsum+QBF(t)・Δtとして、バックフロー率QBFを積算する。ステップS421の後、結合子(J)に従って、ステップS422へ進み、実燃料供給情報検出部813’が、IFLAG=0か否かをチェックする。IFLAG=0の場合(Yes)はステップS423へ進み、そうでない場合(No)はステップS426へ進む。
ステップS423では、実燃料供給情報検出部813’が、オリフィス通過流量率QORがバックフロー率QBF(t)を越えているか否かをチェックする。越えている場合は、ステップS424へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS426へ進む。
ステップS424では、実燃料供給情報検出部813’が、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiPを取得する。そして、ステップS425では、実燃料供給情報検出部813’が、IFLAG=1とする。
つまり、オリフィス通過流量率QORが、バックフロー率QBF以上になったということは、燃料噴射孔10(図24参照)から燃焼室への噴射が開始されたことを検出したことになる。
ステップS426では、実燃料供給情報検出部813’が、噴射指令信号からパイロット燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。パイロット燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS427へ進み、受信していない場合(No)は結合子(K)に従ってステップS419へ戻り、ステップS419〜ステップS426を繰り返す。ステップS427では、実燃料供給情報検出部813’が、フィルタ処理されたオリフィス75の下流側圧力Psfilが基準圧力低下線よりも増加したか否かをチェックする。基準圧力低下線よりも増加した場合(Yes)はステップS428へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(K)に従ってステップS419に戻りステップS419〜S427を繰り返す。
ここでのステップS419〜S427の処理は、例えば、数μsec〜数十μsecの周期で行われ、Δtは圧力Psfilをサンプリングする周期であり、数μsec〜数十μsecである。
ステップS428では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS427でYesのとき、タイマtによりパイロット燃料噴射の終了に伴うオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPを取得し、ステップS416において取得されたオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、ステップS417において取得されたバックフロー終了タイミングtOREBF、ステップS424において取得されたオリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiP、ステップS428において取得されたオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREP、ステップS419〜S427の繰り返しにおける最後のオリフィス通過流量QPsumおよびバックフロー量QBFsumを実燃料噴射情報検出部814’へ出力する。ここで、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiP、バックフロー終了タイミングtOREBF、検出終了タイミングtOREP、及びオリフィス通過流量QPsumは、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
ステップS429では、実燃料噴射情報検出部814’が、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPをバックフロー開始時期に、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBFをバックフロー終了時期に、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiPを噴射開始時期に、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREPを噴射終了時期に換算する。
ステップS430では、実燃料噴射情報検出部814’が、オリフィス通過流量QPsumからバックフロー量QBFsumを差し引いて実噴射量QiPsumを算出する(QiPsum=QPsum−QBFsum)。
そして、パイロット燃料噴射の実噴射量QiPsum、バックフロー開始時期、噴射開始時期、バックフロー終了時期、噴射終了時期は、個別噴射情報設定部812’に入力される。
ちなみに、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSP、バックフロー終了タイミングtOREBF、燃料噴射開始検出タイミングtORSiP、検出終了タイミングtOREPをパイロット燃料噴射のバックフロー開始時期、噴射開始時期、バックフロー終了時期、噴射終了時期に換算することは、例えば、オリフィス通過流量率QORの平均値{QPsum/(tOREP−tORSP)}と高圧燃料供給通路21の流路断面積から平均流速が求まり、燃料通路の長さを考慮すれば容易に求められる。
ここで、パイロット燃料噴射の実噴射量QiPsum、噴射開始時期、噴射終了時期は、請求項に記載の「実燃料噴射情報」に対応する。
続いて、ステップS431では、個別噴射情報設定部812’が、補正係数K(=Fsol/QiPsum)を算出して、補正係数Kを補正係数の三次元マップ812bに登録し、三次元マップ812bを更新する。
ステップS432では、実燃料噴射情報検出部814’が、IFLAG=0にリセットする。その後、図5から図9のフローチャートのステップS130へ進む。
次に、メイン燃料噴射におけるオリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psの変化からオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMの取得や、オリフィス通過流量率QORの算出や、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMの取得、実噴射量QiMsumの算出の部分等を説明する。
図5から図9に示したフローチャートのステップS134からステップS450に進むと、個別噴射情報設定部812’が、ステップS131で設定したメイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM直近の圧力Psfil 、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsolにもとづいて、二次元マップ812aを参照してメイン燃料噴射の噴射時間TiMを決定する。
ステップS451では、実燃料供給情報検出部813’は、圧力Psfil 、メイン燃料噴射の噴射時間TiMに対応するバックフロー率関数を取得する。具体的には、バックフロー率関数QBF(t)とともに、図19に示すメイン燃料噴射の噴射時間TiM(図19中では噴射時間Tと一般化して表示)に対応して、実際にバックフローが始まるバックフロー開始時期tSBE、前記したバックフロー区間TiBFのパラメータも取得する。
次いで、ステップS452では、個別噴射情報設定部812’が、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsol、噴射時間TiM、噴射開始指令時期tSM直近の圧力Psfil にもとづいて、三次元マップ812cを参照し、補正係数〈K〉を決定する。
ここで、メイン燃料噴射の直近の圧力Psfil は、演算時間を考慮して噴射開始指令時期tSMから所定の短時間、例えば、演算周期の数μsec〜数十μsecだけ遡った時点の圧力Psfilである。
ステップS453では、個別噴射情報設定部812’が、TiM×〈K〉の演算をして補正されたメイン燃料噴射の噴射時間TiMを算出する(TiM=TiM・〈K〉)。そしてステップS454では、個別噴射情報設定部812’が、メイン燃料噴射の噴射終了指令時期tEMを、ステップS131で設定された噴射開始指令時期tSMと、ステップS453で算出された補正されたメイン燃料噴射の噴射時間TiMとを加算して算出する(tEM=tSM+TiM)。そして、ステップS455では、個別噴射情報設定部812’が、メイン燃料噴射の噴射終了指令時期tEMを設定する。具体的には、噴射指令信号として噴射終了指令時期tEMをアクチュエータ駆動回路806Aに出力するとともに、実燃料供給情報検出部813’にも出力する。
ステップS456では、実燃料供給情報検出部813’が、噴射指令信号からメイン燃料噴射の噴射開始を受信したか否かをチェックする。メイン燃料噴射の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS457へ進み、受信していない場合(No)はステップS456を繰り返す。
ステップS457では、実燃料供給情報検出部813’が、タイマtをスタートさせ、IFLAG=0とする。IFLAGは、バックフロー開始後に実際の燃焼室内への燃料噴射を検出したか否かを示す判定フラッグであり、最初はリセットする。
ステップS458では、実燃料供給情報検出部813’が、メイン燃料噴射によるオリフィス通過流量QMsumと、バックフロー量QBFsumとを0.0にリセットする。
ステップS459では、実燃料供給情報検出部813’が、燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値Psfil よりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<Psfil −ΔPε)?〕。所定値Psfil よりも低下した場合(Yes)は、結合子(L)に従ってステップS460へ進み、そうでない場合(No)はステップS459を繰り返す。
ステップS460では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS459でYesのとき、タイマtによりメイン燃料噴射に伴うオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMを取得する。続いて、ステップS461では、実燃料供給情報検出部813’が、バックフロー率関数QBF(t)のバックフロー開始時期tSBFをオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMと設定し、バックフロー終了タイミングtOREBF(=tORSM+TiBF)を算出する。ここで、バックフロー率関数QBF(t)の時間軸tは、バックフロー開始時期tSBFがオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMに合わせられたことを意味する(tSBF=tORSM)。
ステップS462では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS459でYesのときのオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSPにおける圧力Psfilを初期値Piとして基準圧力低下線を設定する。
なお、初期値Piは、所定値(Psfil −ΔPε)と一致する場合もあれば、圧力Psfilをサンプリングする繰返し周期の次の繰り返しのタイミングとなり、所定値(Psfil −ΔPε)と異なる値となる場合もある。
ステップS463では、実燃料供給情報検出部813’が、初期値Piとする基準圧力低下線から圧力Psfilまでの圧力低下量ΔPdownを算出して、オリフィス通過流量率QORを算出する。図30の(d)にΔPdownの定義を示す。
ここで、オリフィス通過流量率QORは、(1)式において、ΔPORの代わりに圧力低下量ΔPdownを代入することにより容易に算出できる。
ステップS464では、実燃料供給情報検出部813’が、QMsum=QMsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS465では、実燃料供給情報検出部813’が、QBFsum=QBFsum+QBF(t)・Δtとして、バックフロー率QBFを積算する。
ステップS466では、実燃料供給情報検出部813’が、IFLAG=0か否かをチェックする。IFLAG=0の場合(Yes)はステップS467へ進み、そうでない場合(No)はステップS470へ進む。
ステップS467では、実燃料供給情報検出部813’が、オリフィス通過流量率QORがバックフロー率QBF(t)を越えているか否かをチェックする。越えている場合は、ステップS468へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS470へ進む。
ステップS468では、実燃料供給情報検出部813’が、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiMを取得する。そして、ステップS469では、実燃料供給情報検出部813’が、IFLAG=1とする。
つまり、オリフィス通過流量率QORが、バックフロー率QBF以上になったということは、燃料噴射孔10から燃焼室への噴射が開始されたことを検出したことになる。
ステップS470では、実燃料供給情報検出部813’が、噴射指令信号からメイン燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。メイン燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS471へ進み、受信していない場合(No)はステップS463へ戻り、ステップS463〜ステップS470を繰り返す。ステップS471では、実燃料供給情報検出部813’が、フィルタ処理されたオリフィス75の下流側圧力Psfilが基準圧力低下線よりも増加したか否かをチェックする。基準圧力低下線よりも増加した場合(Yes)は、結合子(M)に従って、ステップS472へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS463に戻りステップS463〜S471を繰り返す。
ここでのステップS463〜S471の処理は、例えば、数μsec〜数十μsecの周期で行われ、Δtは圧力Psfilをサンプリングする周期であり、数μsec〜数十μsecである。
ステップS472では、実燃料供給情報検出部813’が、ステップS459でYesのとき、タイマtによりパイロット燃料噴射の終了に伴うオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを取得し、ステップS460において取得されたオリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、ステップS461において取得されたバックフロー終了タイミングtOREBF、ステップS468において取得されたオリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiM、ステップS472において取得されたオリフィス通過流の検出終了タイミングtOREM、ステップS463〜S471の繰り返しにおける最後のオリフィス通過流量QMsum及びバックフロー量QBFsumを実燃料噴射情報検出部814’へ出力する。ここで、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiM、バックフロー終了タイミングtOREBF、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREM、及びオリフィス通過流量QMsumは、請求項に記載の「実燃料供給情報」に対応する。
ステップS473では、実燃料噴射情報検出部814’が、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSMをバックフロー開始時期に、オリフィス通過流のバックフロー終了タイミングtOREBFをバックフロー終了時期に、オリフィス通過流の燃料噴射開始検出タイミングtORSiMを噴射開始時期に、オリフィス通過流の検出終了タイミングtOREMを噴射終了時期に換算する。
ステップS474では、実燃料噴射情報検出部814’が、オリフィス通過流量QMsumからバックフロー量QBFsumを差し引いて実噴射量QiMsumを算出する(QiMsum=QMsum−QBFsum)。
そして、パイロット燃料噴射の実噴射量QiMsum、バックフロー開始時期、噴射開始時期、バックフロー終了時期、噴射終了時期は、個別噴射情報設定部812’に入力される。
ちなみに、オリフィス通過流の検出開始タイミングtORSM、バックフロー終了タイミングtOREBF、燃料噴射開始検出タイミングtORSiM、検出終了タイミングtOREMをパイロット燃料噴射のバックフロー開始時期、噴射開始時期、バックフロー終了時期、噴射終了時期に換算することは、例えば、オリフィス通過流量率QORの平均値{QMsum/(tOREM−tORSM)}と高圧燃料供給通路21の流路断面積から平均流速が求まり、燃料通路の長さを考慮すれば容易に求められる。
ここで、パイロット燃料噴射の実噴射量QiMsum、噴射開始時期、噴射終了時期は、請求項に記載の「実燃料噴射情報」に対応する。
続いて、ステップS475では、個別噴射情報設定部812’が、補正係数K(=Fsol/QiMsum)を算出して、補正係数Kを補正係数の三次元マップ812cに登録し、三次元マップ812cを更新する。
ステップS476では、実燃料噴射情報検出部814’が、IFLAG=0にリセットする。その後、図5から図9のフローチャートのステップS152へ進む。
なお、多段噴射を行わないでメイン燃料噴射のみの場合は、図5から図9のフローチャートのステップS163からステップS164へ進み、実燃料供給情報検出部813’は、圧力Psfil、メイン燃料噴射の噴射時間TiMに対応するバックフロー率関数を取得する。具体的には、バックフロー率関数QBF(t)とともに、図19に示すメイン燃料噴射の噴射時間TiM(図19中では噴射時間Tと一般化して表示)に対応して、実際にバックフローが始まるバックフロー開始時期tSBE、前記したバックフロー区間TiBFのパラメータも取得する。その後ステップS453へ進む。
この場合、ステップS459における「燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値Psfil よりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<Psfil −ΔPε)?〕。所定値Psfil よりも低下した場合(Yes)は、結合子(L)に従ってステップS460へ進み、そうでない場合(No)はステップS459を繰り返す。」を、「燃料供給通路圧力センサSPsで検出されたフィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値Pよりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<P−ΔPε)?〕。所定値Pよりも低下した場合(Yes)は、結合子(L)に従ってステップS460へ進み、そうでない場合(No)はステップS459を繰り返す。」に読み替える。
本実施形態によれば、コモンレール圧力Pcを検出するコモンレール圧力センサSPcを削除して、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psを検出する燃料供給通路圧力センサSPsで、コモンレール圧力Pcの制御が容易にでき、コストが低減できる。
また、オリフィス75の下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサSPsからの圧力信号のみで、オリフィス差圧ΔPORを圧力低下量ΔPdownに置き換えた(1)式にもとづいて容易に精度の高い燃料のオリフィス通過流量率QORを算出し、オリフィス通過流量QPsum,QMsumを、つまり、実噴射量QiPsum,QiMsumを、気筒ごとに、噴射指令信号ごとに算出できる。
その結果、ECU80Fにおいて第5の実施形態と同様に前段燃料噴射の実噴射量を取得して、後段燃料噴射の実噴射量を補正することができるとともに、前段燃料噴射による燃料供給通路圧力Psの変動による実噴射量の目標噴射量からのずれを抑制制御できる。
また、インジェクタ5Bやアクチュエータ6Bの製造公差による噴射特性のばらつきや噴射特性の経年変化に対して、噴射指令信号の噴射時間を調整して、実噴射量を目標噴射量と一致するように制御できる。
そして、第5の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
以上、第4の実施形態から第6の実施形態においては、背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bとし、そのアクチュエータ6Bはピエゾ素子を多層に重ねて形成したスタックを用いてノズルニードルを直接駆動するタイプであるが、それに限定されるものではない。例えば、アクチュエータ6Bとして電磁コイルを用いる構成のインジェクタでも良い。
また、第4の実施形態から第6の実施形態においては、バックフロー率関数QBF(t)を、コモンレール圧力Pc、燃料供給通路圧力Ps、又は燃料供給通路圧力Psにもとづくフィルタ処理された圧力Psfilと、噴射時間Tの二次元マップ812dを参照して用いることとしたが、それに限定されない。二次元マップ812dで、バックフロー開始時期tSBFと、バックフロー区間TiBFと、燃料噴射時の実噴射量とインジェクタ5Bへの燃料供給量、つまり、オリフィス通過流量の比γと、を取得するようにしても良い。
ここで、例えば、パイロット燃料噴射の場合は、γはQiPsum/QPsumの比であり、メイン燃料噴射の場合は、γはQiMsum/QMsumの比を示す値であり、実験的に予め求めて、バックフロー開始時期tSBFと、バックフロー区間TiBFのデータとともに二次元マップ812dとして格納しておいても良い。
以上、第1の実施形態から第6の実施形態においてECU80A〜80Fにおいて気筒内への燃料噴射量を制御するために生成する噴射指令信号は、燃料噴射量を噴射指令信号の時間幅で制御するものとして説明したが、噴射指令信号の時間幅に加えて、噴射指令信号の高さも変化させ、インジェクタ5A,5Bのノズルニードルのリフト量によっても制御しても良い。
また、第1の実施形態から第6の実施形態では、パイロット燃料噴射の噴射時間TiP、メイン燃料噴射の噴射時間TiMの補正において、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolと実噴射量QiPsumの比K、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsolと実噴射量QiMsumの比Kを用いたが、それに限定されるものではない。実燃料供給情報検出部813及び実燃料噴射情報検出部814において取得された、実際の燃料噴射における噴射開始時期、噴射終了時期の情報から前記したパイロット燃料噴射の目標噴射量Fsol、メイン燃料噴射の目標噴射量Fsolそれぞれに対するパイロット燃料噴射の噴射時間TiP、メイン燃料噴射の噴射時間TiMを補正するようにしても良い。
更に、個別噴射情報設定部812が、パイロット燃料噴射の噴射開始指令時期tSP、噴射終了指令時期tEPに対して、実燃料噴射情報検出部814において取得されたパイロット燃料噴射の噴射開始時期、終了時期を比較して、インジェクタ5A又はインジェクタ5Bの作動遅れ量の経時変化を監視し、所定の予め設定された作動遅れ量基準値を超える場合に、作動遅れ量基準値を超えた分だけメイン燃料噴射の噴射開始指令時期tSM、噴射終了指令時期tEMを補正して出力するようにしても良い。
このように補正することで、噴射量の制御だけでなく、適切なクランク角でメイン燃料噴射が実際に開始され終了できるように制御できる。
なお、第1の実施形態から第6の実施形態では、パイロット燃料噴射の目標噴射量Fsolに対する実噴射量QiPsumとの差分にもとづいて、その気筒41の同じサイクルにおけるメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolを補正して、それに対応するメイン燃料噴射の噴射時間TiMを設定して、メイン燃料噴射を制御するものとしたが、それに限定されるものではない。
ECU80A,80B,80C,80D,80E,80Fを構成するCPUの演算速度の制限から、その気筒41の次のサイクルにおいてメイン燃料噴射の目標噴射量Fsolを補正して、それに対応するメイン燃料噴射の噴射時間TiMを設定して、メイン燃料噴射を制御しても良い。エンジンの通常の高速回転状態では、1つの気筒41が連続するサイクル間で同じアクセル開度θth、エンジン回転速度Neの運転状態に維持されることが多いので、エンジン制御上、前記した実施形態同様に正確に前段燃料噴射の結果で後段燃料噴射を補正することができる。
更に、第1の実施形態から第6の実施形態において、インジェクタ5A,5Bは、直接各気筒の燃焼室内に燃料噴射を行うものとして説明したが、それに限定されるものではない。本発明は、インジェクタ5A,5Bが、各気筒の燃焼室に隣接して形成される副室(予混合空間)に向けて燃料噴射を行う構成や、各気筒の吸気ポートに向けて燃料噴射を行う構成も含む。また、そのような構成においても、前記した変形例を含む第1の実施形態から第6の実施形態における作用効果は同様に得られる。
第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。 目標噴射量Qに対する噴射時間Tを決定するための二次元マップの構成概念図である。 噴射時間の補正係数を取得するための目標噴射量、噴射時間及びコモンレール圧力をパラメータとした補正係数のマップの構成概念図であり、(a)は、パイロット燃料噴射の補正係数の三次元マップの構成概念図、(b)は、メイン燃料噴射の補正係数の三次元マップの構成概念図である。 噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおける噴射制御の流れを示すフローチャートである。 噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおける噴射制御の流れを示すフローチャートである。 噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおける噴射制御の流れを示すフローチャートである。 噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおける噴射制御の流れを示すフローチャートである。 噴射制御部805A,805B,805C,805Dにおける噴射制御の流れを示すフローチャートである。 1つの気筒に対してパイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。 第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第3の実施形態におけるECU80Cでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORを算出する制御の流れを示すフローチャートである。 第3の実施形態におけるECU80Cでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORを算出する制御の流れを示すフローチャートである。 基準圧力低下線の説明図である。 1つの気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力変化にもとづく圧力低下量の時間推移を示す図である。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。 背圧式インジェクタのバックフロー率関数マップの構成概念図である。 オリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。 オリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。 1つの気筒に対してパイロット燃料噴射とメイン燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率とバックフロー率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。 第5の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第6の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第6の実施形態におけるECU80Fでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。 第6の実施形態におけるECU80Fでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。 第6の実施形態におけるECU80Fでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。 第6の実施形態におけるECU80Fでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。 第6の実施形態におけるECU80Fでの1つの気筒における燃料のオリフィス通過流量率QORから実噴射量を算出する制御の流れを示すフローチャートである。 1つの気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率とバックフロー率の時間推移を示す図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力変化にもとづく圧力低下量の時間推移を示す図である。 多段燃料噴射における後段の燃料噴射開始時の前段の燃料噴射による圧力変動の説明図であり、(a)は、パイロット燃料噴射に対するメイン燃料噴射の噴射指令信号のタイミング図、(b)は、そのときの高圧燃料供給通路圧力の変動図である。
符号の説明
1A,1B,1C,1D,1E,1F 燃料噴射装置
2 燃料タンク
3A 低圧ポンプ(燃料ポンプ)
3B 高圧ポンプ(燃料ポンプ)
4 コモンレール(燃料蓄圧部)
5A,5B インジェクタ(燃料噴射弁)
6A,6B アクチュエータ
9 ドレーン通路
10 燃料噴射孔
21 高圧燃料供給通路(燃料供給通路)
41 気筒
61 低圧燃料供給配管
75 オリフィス
80A,80B,80C,80D,80E,80F ECU(制御部)
801 要求トルク演算部
801a 二次元マップ
802 目標噴射量演算部
802a 二次元マップ
803 コモンレール圧力演算部
803a 二次元マップ
804 コモンレール圧制御部
805A,805B,805C,805D,805A’,805B’,805C’,805D’ 噴射制御部
806A,806B,806C,806D アクチュエータ駆動回路
810,810’ 多段噴射制御部
811 多段噴射モード制御部
812,812’ 個別噴射情報設定部
812a 二次元マップ
812b 三次元マップ
812c 三次元マップ
812d バックフロー率関数マップ
813,813’ 実燃料供給情報検出部(実燃料供給情報検出手段)
814,814’ 実燃料噴射情報検出部(実燃料噴射情報検出手段)
K,K,KM 補正係数
Ne エンジン回転速度
Pc コモンレール圧力
Ps 燃料供給通路圧力
dP 差圧センサ
Pc コモンレール圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)
Ps 燃料供給通路圧力センサ
Tf 燃料温度センサ
x1 基準圧力低下線
x2 基準圧力低下線

Claims (11)

  1. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料噴射させるための噴射指令信号を前記内燃機関の運転状態に応じて設定して出力する制御部を備え、前記噴射指令信号にもとづいて前記燃料噴射弁の少なくとも噴射開始時期と噴射終了時期を含む燃料噴射情報が決定されるとともに、前記内燃機関の各気筒の圧縮行程中又は膨張行程中に、前記燃料噴射弁から複数回の燃料噴射に分けて実施する多段噴射を行う燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
    前記制御部は、
    前記差圧センサからの信号にもとづいてオリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、
    前記検出された実燃料供給情報にもとづいて実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、
    当該気筒の当該同一サイクルでの前記複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の前記実燃料噴射情報にもとづいて、前記前段燃料噴射における前記実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と前記噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、前記当該気筒の当該同一サイクルでの前記前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の前記燃料噴射情報を、決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料噴射させるための噴射指令信号を前記内燃機関の運転状態に応じて設定して出力する制御部を備え、前記噴射指令信号にもとづいて前記燃料噴射弁の少なくとも噴射開始時期と噴射終了時期を含む燃料噴射情報が決定されるとともに、前記内燃機関の各気筒の圧縮行程中又は膨張行程中に、前記燃料噴射弁から複数回の燃料噴射に分けて実施する多段噴射を行う燃料噴射装置において、
    前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
    前記制御部は、
    前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて、前記オリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、
    前記検出された実燃料供給情報にもとづいて実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、
    当該気筒の当該同一サイクルでの前記複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の前記実燃料噴射情報にもとづいて、前記前段燃料噴射における前記実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と前記噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、前記当該気筒の当該同一サイクルでの前記前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の前記燃料噴射情報を、決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料噴射させるための噴射指令信号を前記内燃機関の運転状態に応じて設定して出力する制御部を備え、前記噴射指令信号にもとづいて前記燃料噴射弁の少なくとも噴射開始時期と噴射終了時期を含む燃料噴射情報が決定されるとともに、前記内燃機関の各気筒の圧縮行程中又は膨張行程中に、前記燃料噴射弁から複数回の燃料噴射に分けて実施する多段噴射を行う燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
    前記制御部は、
    前記燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量にもとづいて前記オリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、
    前記検出された実燃料供給情報にもとづいて実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、
    当該気筒の当該同一サイクルでの前記複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の前記実燃料噴射情報にもとづいて、前記前段燃料噴射における前記実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と前記噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、前記当該気筒の当該同一サイクルでの前記前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の前記燃料噴射情報を、決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料噴射させるための噴射指令信号を前記内燃機関の運転状態に応じて設定して出力する制御部を備え、前記噴射指令信号にもとづいて前記燃料噴射弁の少なくとも噴射開始時期と噴射終了時期を含む燃料噴射情報が決定されるとともに、前記内燃機関の各気筒の圧縮行程中又は膨張行程中に、前記燃料噴射弁から複数回の燃料噴射に分けて実施する多段噴射を行う燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部をバックフローとして戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
    前記制御部は、
    前記差圧センサからの信号にもとづいて前記オリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、
    前記検出された実燃料供給情報と、予め記憶された前記バックフローに係るバックフロー情報とにもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、
    当該気筒の当該同一サイクルでの前記複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の前記実燃料噴射情報にもとづいて、前記前段燃料噴射における前記実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と前記噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、前記当該気筒の当該同一サイクルでの前記前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の前記燃料噴射情報を、決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  5. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料噴射させるための噴射指令信号を前記内燃機関の運転状態に応じて設定して出力する制御部を備え、前記噴射指令信号にもとづいて前記燃料噴射弁の少なくとも噴射開始時期と噴射終了時期を含む燃料噴射情報が決定されるとともに、前記内燃機関の各気筒の圧縮行程中又は膨張行程中に、前記燃料噴射弁から複数回の燃料噴射に分けて実施する多段噴射を行う燃料噴射装置において、
    前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部をバックフローとして戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
    前記制御部は、
    前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて、前記オリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、
    前記検出された実燃料供給情報と、予め記憶された前記バックフローに係るバックフロー情報とにもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、
    当該気筒の当該同一サイクルでの前記複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の前記実燃料噴射情報にもとづいて、前記前段燃料噴射における前記実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と前記噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、前記当該気筒の当該同一サイクルでの前記前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の前記燃料噴射情報を、決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料噴射させるための噴射指令信号を前記内燃機関の運転状態に応じて設定して出力する制御部を備え、前記噴射指令信号にもとづいて前記燃料噴射弁の少なくとも噴射開始時期と噴射終了時期を含む燃料噴射情報が決定されるとともに、前記内燃機関の各気筒の圧縮行程中又は膨張行程中に、前記燃料噴射弁から複数回の燃料噴射に分けて実施する多段噴射を行う燃料噴射装置において、
    前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部をバックフローとして戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
    前記制御部は、
    前記燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、その圧力低下量にもとづいて前記オリフィスを通過する燃料の実燃料供給情報を検出する実燃料供給情報検出手段と、
    前記検出された実燃料供給情報と、予め記憶された前記バックフローに係るバックフロー情報とにもとづいて、実燃料噴射情報を検出する実燃料噴射情報検出手段と、を有し、
    当該気筒の当該同一サイクルでの前記複数回の燃料噴射のうち相対的に早い前段燃料噴射の前記実燃料噴射情報にもとづいて、前記前段燃料噴射における前記実燃料噴射情報の示す実燃料噴射量と前記噴射指令信号に対応する目標噴射量との誤差を補正するように、前記当該気筒の当該同一サイクルでの前記前段燃料噴射よりも後の後段燃料噴射の前記燃料噴射情報を、決定することを特徴とする燃料噴射装置。
  7. 前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサを備え、
    前記制御部は、前記後段燃料噴射の前記燃料噴射情報の前記噴射開始時期と前記噴射終了時期の差分である噴射時間を決定するときに、前記噴射開始時期直近の前記蓄圧部圧力センサからの信号にもとづいて決定することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記制御部は、前記後段燃料噴射の前記燃料噴射情報の前記噴射開始時期と前記噴射終了時期の差分である噴射時間を決定するときに、前記噴射開始時期直近の前記燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて決定することを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5及び請求項6のうちのいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記制御部は、前記前段燃料噴射の前記実燃料噴射情報を前記内燃機関の同一気筒の次サイクルの前記後段燃料噴射の前記燃料噴射情報の決定にも用いることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  10. 前記後段燃料噴射は、前記複数回の燃料噴射のうち最も燃料噴射量が多いメイン燃料噴射であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  11. 前記制御部は、前記複数回の燃料噴射のそれぞれに対する目標燃料噴射量に応じて設定される今回の噴射時間を、前回までの、前記検出された実燃料噴射情報の実燃料噴射量と前記目標燃料噴射量との比、又は前記検出された実燃料情報の噴射開始時期及び噴射終了時期を用いて補正することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
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