JP6030502B2 - 内燃機関の燃料噴射特性学習装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射特性学習装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6030502B2
JP6030502B2 JP2013109285A JP2013109285A JP6030502B2 JP 6030502 B2 JP6030502 B2 JP 6030502B2 JP 2013109285 A JP2013109285 A JP 2013109285A JP 2013109285 A JP2013109285 A JP 2013109285A JP 6030502 B2 JP6030502 B2 JP 6030502B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
learning
fuel
fuel injection
main
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013109285A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014227951A (ja
Inventor
伊藤 嘉康
嘉康 伊藤
猛 宮浦
猛 宮浦
高島 祥光
祥光 高島
豊盛 立木
豊盛 立木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Denso Corp
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Toyota Motor Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2013109285A priority Critical patent/JP6030502B2/ja
Priority to DE102014209546.8A priority patent/DE102014209546B4/de
Priority to BR102014012263-0A priority patent/BR102014012263B1/pt
Publication of JP2014227951A publication Critical patent/JP2014227951A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6030502B2 publication Critical patent/JP6030502B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/24Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means
    • F02D41/2406Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means using essentially read only memories
    • F02D41/2425Particular ways of programming the data
    • F02D41/2429Methods of calibrating or learning
    • F02D41/2441Methods of calibrating or learning characterised by the learning conditions
    • F02D41/2445Methods of calibrating or learning characterised by the learning conditions characterised by a plurality of learning conditions or ranges
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/24Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means
    • F02D41/2406Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means using essentially read only memories
    • F02D41/2425Particular ways of programming the data
    • F02D41/2429Methods of calibrating or learning
    • F02D41/2451Methods of calibrating or learning characterised by what is learned or calibrated
    • F02D41/2464Characteristics of actuators
    • F02D41/2467Characteristics of actuators for injectors
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/38Controlling fuel injection of the high pressure type
    • F02D41/40Controlling fuel injection of the high pressure type with means for controlling injection timing or duration
    • F02D41/402Multiple injections
    • F02D41/403Multiple injections with pilot injections
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D2200/00Input parameters for engine control
    • F02D2200/02Input parameters for engine control the parameters being related to the engine
    • F02D2200/06Fuel or fuel supply system parameters
    • F02D2200/0602Fuel pressure
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/24Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means
    • F02D41/2406Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents characterised by the use of digital means using essentially read only memories
    • F02D41/2425Particular ways of programming the data
    • F02D41/2429Methods of calibrating or learning
    • F02D41/2451Methods of calibrating or learning characterised by what is learned or calibrated
    • F02D41/2464Characteristics of actuators
    • F02D41/2467Characteristics of actuators for injectors
    • F02D41/247Behaviour for small quantities
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Description

本発明は、燃料供給系内の燃料圧力に基づいて燃料噴射弁の作動特性を学習する内燃機関の燃料噴射特性学習装置に関するものである。
内燃機関には、昇圧された状態の燃料が供給される蓄圧容器や、燃料噴射弁、それら蓄圧容器および燃料噴射弁を接続する接続通路などにより構成される燃料供給系が取り付けられている。
近年、そうした燃料供給系の内部の燃料圧力を検出するための圧力センサを設けるとともに、燃料噴射弁からの燃料噴射の実行時において圧力センサにより検出される燃料圧力に基づいて燃料噴射弁の作動特性を学習する装置が提案されている(特許文献1参照)。燃料供給系内の燃料圧力は、燃料噴射の実行に際して、燃料噴射弁の開弁開始に伴い一旦低下するとともにその後の燃料噴射弁の閉弁に伴い上昇するといったように変動する。特許文献1に記載の装置では、そうした燃料供給系内部の燃料圧力の変動態様をもとに燃料噴射弁の作動特性が推定されて学習される。
また内燃機関の運転制御において、一回の燃焼サイクルにおける燃料噴射弁からの燃料噴射をメイン噴射と同メイン噴射に先立ち実行される補助噴射(パイロット噴射やプレ噴射)とに分けて実行する、いわゆる多段噴射を実行することが多用されている。
特開2009−57925号公報
ここで、多段噴射が実行される内燃機関では、メイン噴射の実行時における燃料供給系内の圧力変動に、それよりも前に実行される補助噴射に伴い発生する燃料圧力の脈動分が含まれてしまう。そのため、単に燃料供給系内の燃料圧力に基づいてメイン噴射の実行時における燃料噴射弁の作動特性を学習すると、上述した燃料圧力脈動の影響によって同作動特性の学習精度の低下を招くおそれがある。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、多段噴射を実行する装置において、メイン噴射の実行時における燃料噴射弁の作動特性を精度良く学習することのできる内燃機関の燃料噴射特性学習装置を提供することにある。
上記課題を解決するための燃料噴射特性学習装置は、昇圧された状態の燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給系と同燃料供給系の内部の燃料圧力を検出する圧力センサとを備えるとともに、メイン噴射と同メイン噴射に先立ち実行される補助噴射とを有する多段噴射によって一回の燃焼サイクルにおける前記燃料噴射弁からの燃料噴射を行う内燃機関に適用される。そして、燃料噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した燃料圧力に基づいて前記燃料噴射弁の作動特性を学習する。この装置は、燃料噴射量によって区画された複数の学習領域を有して、それら学習領域毎に前記作動特性を学習する。また、前記燃料噴射量が少ない領域は、前記メイン噴射における燃料噴射量の少ない学習領域であるとともに前記補助噴射の学習領域である。前記複数の学習領域における前記燃料噴射量が少ない領域では、前記補助噴射の先頭段の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づいて、前記メイン噴射における燃料噴射量の少ない学習領域の前記作動特性を学習するのに合わせて、前記補助噴射の学習領域の前記作動特性を学習する。前記複数の学習領域における前記燃料噴射量が多い領域では、前記メイン噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づき前記作動特性を学習する。
メイン噴射に先立ち実行される補助噴射(パイロット噴射やプレ噴射等)では燃料噴射量が少ない。そして、補助噴射の先頭段は多段噴射の先頭段になるため、同補助噴射の先頭段の実行時における燃料供給系内の燃料圧力にはそれよりも前の噴射(前段噴射)に伴い発生する燃料圧力の脈動分が殆ど含まれない。
上記装置によれば、複数の学習領域における燃料噴射量が少ない学習領域では、補助噴射の先頭段が実行されるため、その実行時に圧力センサにより検出した燃料圧力に基づいて燃料噴射弁の作動特性が学習される。そのため、他の噴射に伴う燃料圧力脈動の影響をごく小さく抑えつつ燃料噴射弁の作動特性を精度良く学習することができる。しかも、複数の学習領域における燃料噴射量が比較的多い学習領域では、補助噴射の先頭段が実行されないとはいえ、メイン噴射の実行時において圧力センサにより検出した燃料圧力をもとに燃料噴射弁の作動特性を学習することができる。
このように上記装置によれば、補助噴射の先頭段の実行時における燃料圧力に基づき精度良く学習した燃料噴射弁の作動特性を、メイン噴射における燃料噴射量の少ない学習領域に対応する燃料噴射弁の作動特性として用いることができる。したがって、多段噴射を実行する装置において、メイン噴射の実行時における燃料噴射弁の作動特性を精度良く学習することができる。
上記装置において、予め定められた実行条件の成立時に前記燃料噴射弁の作動特性の学習を実行するようにし、前記燃料噴射量が多い領域についての前記実行条件を、前記燃料噴射量が少ない領域についての実行条件と比較して、前記学習の実行頻度の低くなる条件に設定することが好ましい。
燃料噴射量が多い領域では、燃料噴射弁の作動特性が安定しており、同作動特性の変化原因は主に経時的な変化である。こうした経時的な変化による特性変化は緩慢であるため、燃料噴射弁の作動特性の学習の実行頻度をさほど高くせずとも、同作動特性を適切に学習することができる。これに対して、燃料噴射量が少ない学習領域では燃料噴射弁の作動特性が比較的不安定であるため、燃料噴射弁の作動特性の学習を高い頻度で実行することが望ましい。
上記装置によれば、燃料噴射量が多い学習領域では燃料噴射弁の作動特性の学習の実行頻度を低く抑えるとともに、燃料噴射量が少ない学習領域では燃料噴射弁の作動特性の学習を高い頻度で実行するといったように、燃料噴射弁の作動特性の学習を燃料噴射量に応じて異なる要求に応じたかたちで効率良く実行することができる。
上記装置において、当該装置は、前記燃料噴射量によって区画された複数の学習領域を有するマップとして、前記補助噴射において用いられる先頭段学習マップと、前記メイン噴射において用いられるメイン学習マップとを有し、前記先頭段学習マップの前記学習領域は、前記メイン学習マップにおける燃料噴射量の少ない学習領域であり、前記補助噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づいて、前記メイン学習マップにおける燃料噴射量の少ない学習領域の作動特性を学習するとともに、前記先頭段学習マップにおける学習領域の作動特性を学習し、前記メイン噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づいて、前記メイン学習マップにおける学習領域の作動特性を学習することができる。
燃料噴射特性学習装置の一実施形態の概略構成を示す略図。 燃料噴射弁の断面構造を示す断面図。 (a)および(b)駆動パルスと燃料噴射率との関係を燃料噴射弁の各特性パラメータとともに示すタイミングチャート。 (a)〜(c)燃料圧力の時間波形と燃料噴射率の検出時間波形との関係を示すタイミングチャート。 (a)および(b)燃料噴射率の検出時間波形と基本時間波形との関係を示すタイミングチャート。 パイロット噴射の実行時における目標噴射量と目標噴射圧力と各学習項との関係を記憶した先頭段学習マップのマップ構造を示す概念図。 メイン噴射の実行時における目標噴射量と目標噴射圧力と各学習項との関係を記憶したメイン学習マップのマップ構造を示す概念図。 多段噴射の噴射段と各差分補正項との関係を示す概念図。 多段噴射の各段への差分補正項の反映パターンを示す概念図。 差分補正項および学習項の反映態様の一例を示す概念図。 学習処理の実行手順を示すフローチャート。 学習項の更新態様と差分補正項の算出態様の一例を示すタイミングチャート。
以下、燃料噴射特性学習装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関10の気筒11には吸気通路12が接続されている。内燃機関10の気筒11内には吸気通路12を介して空気が吸入される。なお、この内燃機関10としては複数(本実施形態では4つ[♯1,♯2,♯3,♯4])の気筒11を有するディーゼル機関が採用されている。内燃機関10には、気筒11(♯1〜♯4)毎に、同気筒11内に燃料を直接噴射する直噴タイプの燃料噴射弁20が取り付けられている。この燃料噴射弁20の開弁駆動によって噴射された燃料は内燃機関10の気筒11内において圧縮加熱された吸入空気に触れて着火および燃焼する。そして内燃機関10では、気筒11内における燃料の燃焼に伴い発生するエネルギによってピストン13が押し下げられてクランクシャフト14が強制回転するようになる。内燃機関10の気筒11において燃焼した燃焼ガスは排気として内燃機関10の排気通路15に排出される。
各燃料噴射弁20は分岐通路31aを介してコモンレール34に各別に接続されている。コモンレール34は供給通路31bを介して燃料タンク32に接続されている。この供給通路31bには、燃料を圧送する燃料ポンプ33が設けられている。本実施形態では、燃料ポンプ33による圧送によって昇圧された燃料が蓄圧容器としてのコモンレール34に蓄えられるとともに各燃料噴射弁20の内部に供給される。なお本実施形態では、各燃料噴射弁20、分岐通路31a、供給通路31b、燃料ポンプ33、およびコモンレール34が燃料供給系として機能する。
また、各燃料噴射弁20にはリターン通路35が接続されている。リターン通路35はそれぞれ燃料タンク32に接続されている。このリターン通路35を介して燃料噴射弁20の内部の燃料の一部が燃料タンク32に戻される。
以下、燃料噴射弁20の内部構造について説明する。
図2に示すように、燃料噴射弁20のハウジング21の内部にはニードル弁22が設けられている。このニードル弁22はハウジング21内において往復移動(同図の上下方向に移動)することの可能な状態で設けられている。ハウジング21の内部には上記ニードル弁22を噴射孔23側(同図の下方側)に常時付勢するスプリング24が設けられている。またハウジング21の内部には、上記ニードル弁22を間に挟んで一方側(同図の下方側)の位置にノズル室25が形成されるとともに、他方側(同図の上方側)の位置に圧力室26が形成されている。
ノズル室25には、その内部とハウジング21の外部とを連通する噴射孔23が形成されるとともに、導入通路27を介して上記分岐通路31a(コモンレール34)から燃料が供給されている。圧力室26には連通路28を介して上記ノズル室25および分岐通路31a(コモンレール34)が接続されている。また圧力室26は排出路30を介してリターン通路35(燃料タンク32)に接続されている。
上記燃料噴射弁20としては電気駆動式のものが採用されている。詳しくは、燃料噴射弁20のハウジング21の内部に駆動パルス(開弁信号または閉弁信号)の入力によって伸縮する圧電素子(例えばピエゾ素子)が積層された圧電アクチュエータ29が設けられている。この圧電アクチュエータ29には弁体29aが取り付けられている。この弁体29aは圧力室26の内部に設けられている。そして、圧電アクチュエータ29の作動による弁体29aの移動を通じて、連通路28(ノズル室25)と排出路30(リターン通路35)とのうちの一方が選択的に圧力室26に連通されるようになっている。
この燃料噴射弁20では、圧電アクチュエータ29に閉弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が収縮して弁体29aが移動することによって、連通路28と圧力室26とが連通された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26との連通が遮断された状態になる。これにより、圧力室26内の燃料のリターン通路35(燃料タンク32)への排出が禁止された状態でノズル室25と圧力室26とが連通されるようになる。その結果、ノズル室25と圧力室26との圧力差がごく小さくなって、ニードル弁22がスプリング24の付勢力によって噴射孔23を塞ぐ位置に移動するために、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射されない状態(閉弁状態)になる。
一方、圧電アクチュエータ29に開弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が伸長して弁体29aが移動することによって、連通路28と圧力室26との連通が遮断された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26とが連通された状態になる。これにより、ノズル室25から圧力室26への燃料の流出が禁止された状態で圧力室26内の燃料の一部がリターン通路35を介して燃料タンク32に戻されるようになる。その結果、圧力室26内の燃料の圧力が低下して同圧力室26とノズル室25との圧力差が大きくなって、同圧力差によってニードル弁22がスプリング24の付勢力に抗して移動して噴射孔23から離れるために、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射される状態(開弁状態)になる。
燃料噴射弁20には、上記導入通路27の内部の燃料圧力PQを検出するための圧力センサ51が一体に取り付けられている。そのため、例えばコモンレール34(図1参照)内の燃料圧力などの燃料噴射弁20から離れた位置の燃料圧力が検出される装置と比較して、燃料噴射弁20の噴射孔23に近い部位の燃料圧力を検出することができ、燃料噴射弁20の開弁に伴う同燃料噴射弁20の内部の燃料圧力の変化を精度良く検出することができる。この圧力センサ51は、各燃料噴射弁20に一つずつ、すなわち内燃機関10の気筒11(♯1〜♯4)毎に設けられている。
図1に示すように、内燃機関10には、その周辺機器として、運転状態を検出するための各種センサが設けられている。それらセンサとしては、上記圧力センサ51の他、例えば吸気通路12を通過する空気の量(通路空気量GA)を検出するための吸気量センサ52や、クランクシャフト14の回転速度(機関回転速度NE)を検出するためのクランクセンサ53が設けられている。その他、アクセル操作部材(例えばアクセルペダル)の操作量(アクセル操作量ACC)を検出するためのアクセルセンサ54なども設けられている。
また内燃機関10の周辺機器としては、演算処理装置を備えて構成された電子制御ユニット40なども設けられている。この電子制御ユニット40は各種センサの出力信号を取り込むとともにそれら出力信号に基づき各種の演算を行い、その演算結果をもとに燃料噴射弁20の作動制御(噴射量制御)や燃料ポンプ33の作動制御(噴射圧制御)などの内燃機関10の運転にかかる各種制御を実行する。
本実施形態では噴射圧制御が次のように実行される。すなわち先ず、通路空気量GAおよび機関回転速度NEに基づいてコモンレール34内の燃料圧力についての制御目標値(目標噴射圧力)が算出されるとともに、実際の燃料圧力が目標噴射圧力になるように燃料ポンプ33の作動量(燃料圧送量または燃料戻し量)が調節される。こうした燃料ポンプ33の作動量の調節を通じて、コモンレール34内の燃料圧力、換言すれば、燃料噴射弁20の燃料噴射圧力が機関運転状態に応じた圧力に調節されるようになる。
本実施形態では噴射量制御が基本的には次のように実行される。すなわち先ず、内燃機関10の運転状態(具体的には、アクセル操作量ACCおよび機関回転速度NE)に基づいて、燃料噴射量についての制御目標値(目標燃料噴射量TQ)が算出されるとともに噴射パターンが選択される。その後、目標燃料噴射量TQおよび機関回転速度NEに基づいて、このとき選択された噴射パターンの各噴射についての各種制御目標値が算出される。そして、それら制御目標値に応じたかたちで各燃料噴射弁20が各別に開弁駆動される。これにより、そのときどきの内燃機関10の運転状態に適した噴射パターンで同運転状態に見合う量の燃料が各燃料噴射弁20から噴射されて内燃機関10の各気筒11内に供給されるようになる。
なお本実施形態では、パイロット噴射やアフター噴射をメイン噴射に組み合わせた複数の噴射パターンが予め設定されるとともにそれら噴射パターンが電子制御ユニット40に記憶されている。そして噴射量制御を実行する際にはそれら噴射パターンのうちの一つが選択される。各種の制御目標値としては、メイン噴射やパイロット噴射、アフター噴射等の各噴射の燃料噴射量についての制御目標値(目標噴射量)、メイン噴射の開始時期やパイロット噴射間のインターバル、パイロット噴射とメイン噴射とのインターバル、メイン噴射とアフター噴射とのインターバル等の各噴射の実行時期についての制御目標値が算出される。
そして、多段噴射の各段の燃料噴射についてそれぞれ、燃料噴射弁20の開弁期間についての制御目標値(目標噴射期間TAU)が、上記目標噴射量および燃料圧力PQに基づきモデル式から設定される。本実施形態では、コモンレール34、各分岐通路31a、各燃料噴射弁20等からなる燃料供給系をモデル化した物理モデルが構築されており、同物理モデルを通じて上記目標噴射期間TAUが算出される。詳しくは、目標噴射量、燃料圧力PQ、いずれも後述する学習項、初期調整項、差分補正項などを変数とするモデル式が定められて電子制御ユニット40に予め記憶されており、同モデル式を通じて目標噴射期間TAUが算出される。
そして、多段噴射の各段の燃料噴射についてそれぞれ、実行時期の制御目標値および目標噴射期間TAUに応じたかたちで電子制御ユニット40から駆動パルスが出力され、この駆動パルスの入力に基づき各燃料噴射弁20が各別に開弁駆動される。これにより、そのときどきの機関運転状態に見合う量の燃料が同機関運転状態に適した噴射パターンで各燃料噴射弁20から噴射されて内燃機関10の各気筒11内に供給されるようになるため、機関運転状態に見合う回転トルクがクランクシャフト14に付与されるようになる。このように本実施形態では、一回の燃焼サイクルにおける燃料噴射弁20からの燃料噴射に際し、メイン噴射、パイロット噴射、およびアフター噴射を有する多段噴射が実行される。本実施形態では、パイロット噴射が、メイン噴射に先立ち実行される補助噴射として機能する。
本実施形態では、圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づいて燃料噴射弁20の作動特性としての複数の特性パラメータを学習する学習処理が実行される。
図3に、学習処理により学習される特性パラメータの一例を示す。
図3に示すように、本実施形態では上記特性パラメータとして、開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、閉弁遅れ時間τe、噴射率低下速度Qdnを採用している。詳しくは、開弁遅れ時間τdは電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に開弁信号(図3(a))が出力されてから同燃料噴射弁20からの燃料噴射が実際に開始されるまでの時間であり、噴射率上昇速度Qupは燃料噴射弁20の開弁動作が開始された後の燃料噴射率(図3(b))の上昇速度である。また、最大噴射率Qmaxは燃料噴射率の最大値であり、閉弁遅れ時間τeは電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に閉弁信号が出力されてから同燃料噴射弁20の閉弁動作(詳しくはニードル弁22の閉弁側への移動)が開始されるまでの時間である。さらに、噴射率低下速度Qdnは、燃料噴射弁20の閉弁動作が開始された後の燃料噴射率の下降速度である。
学習処理では先ず、圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づいて実際の燃料噴射率の時間波形(検出時間波形)が形成される。
燃料噴射弁20の内部(詳しくは、ノズル室25)の燃料圧力は、同燃料噴射弁20が開弁駆動されるとリフト量の増加に伴って低下し、その後において閉弁駆動されるとリフト量の減少に伴って上昇するようになる。本実施形態では、そうした燃料噴射弁20内部の燃料圧力(詳しくは、燃料圧力PQ)の推移をもとに、上記開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、閉弁遅れ時間τe、および噴射率低下速度Qdnが特定される。そして、それら特定した値によって実際の燃料噴射率の時間波形(検出時間波形)が形成される。なお、燃料圧力PQの時間波形としては、ローパスフィルタを用いて平滑化したり、無噴射気筒に対応する圧力センサ51により検出された燃料圧力PQによる補正を行ったりした値をもとに形成した波形が用いられる。
図4に、燃料圧力PQの時間波形と燃料噴射率の検出時間波形との関係を示す。
図4に示すように、詳しくは先ず、燃料噴射弁20の開弁動作が開始される直前の所定期間T1における燃料圧力PQ(図4(c))の平均値が算出されるとともに、同平均値が基準圧力Pbsとして記憶される。この基準圧力Pbsは、閉弁時における燃料噴射弁20内部の燃料圧力に相当する圧力として用いられる。
次に、この基準圧力Pbsから所定圧力P1を減算した値が動作圧力Pac(=Pbse−P1)として算出される。この所定圧力P1は、燃料噴射弁20の開弁駆動あるいは閉弁駆動に際してニードル弁22が閉弁位置にある状態であるにも関わらず燃料圧力PQが変化する分、すなわちニードル弁22の移動に寄与しない燃料圧力PQの変化分に相当する圧力である。
その後、燃料噴射の実行開始直後に燃料圧力PQが降下する期間において、同燃料圧力PQとの差が最も小さくなる直線L1(図4では、直交座標の縦軸を燃料噴射率とし横軸を時間とする一次関数)が最小二乗法を用いて求められるとともに、この直線L1と上記動作圧力Pacとの交点Aが算出される。そして、この交点Aを燃料圧力PQの検出遅れ分だけ過去の時期に戻した点AAに対応する時期が、燃料噴射弁20による燃料噴射が開始された時期(噴射開始時期Tos、図4(b))として特定される。なお上記検出遅れ分は、燃料噴射弁20のノズル室25(図2参照)の圧力変化タイミングに対する燃料圧力PQの変化タイミングの遅れに相当する期間であり、ノズル室25と圧力センサ51との距離などに起因して生じる遅れ分である。本実施形態では、電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に開弁信号(図4(a))が出力された時期から上記噴射開始時期Tosまでの時間が開弁遅れ時間τdとして特定される。
また、燃料噴射の実行開始に伴い燃料圧力PQが一旦降下した後に上昇する上昇期間において、同燃料圧力PQとの差が最も小さくなる直線L2(図4では、直交座標の縦軸を燃料噴射率(図4(b))とし横軸を時間とする一次関数)が最小二乗法を用いて求められるとともに、この直線L2と上記動作圧力Pacとの交点Bが算出される。そして、この交点Bを検出遅れ分だけ過去の時期に戻した点BBに対応する時期が、燃料噴射弁20による燃料噴射が停止された時期(噴射停止時期Tce)として特定される。
さらに、直線L1と直線L2との交点Cが算出されるとともに同交点Cにおける燃料圧力PQと動作圧力Pacとの差(仮想圧力低下分ΔP[=Pac−PQ])が求められる。また、この仮想圧力低下分ΔPに目標噴射量および目標噴射圧力に基づき設定されるゲインG1を乗算した値が仮想最大燃料噴射率VRt(=ΔP×G1)として算出される。さらに、この仮想最大燃料噴射率VRtに目標噴射量および目標噴射圧力に基づき設定されるゲインG2を乗算した値が最大噴射率Qmax(=VRt×G2)として算出される。なお本実施形態では、各ゲインG1,G2の設定に用いる目標噴射量および目標噴射圧力として、検出時間波形の形成に用いる燃料圧力PQの圧力センサ51による検出時において設定されていた値が採用される。
その後、上記交点Cを検出遅れ分だけ過去の時期に戻した時期CCが算出されるとともに、同時期CCにおいて仮想最大燃料噴射率VRtになる点Dが特定される。
そして、この点Dに対応する時期が、燃料噴射弁20の閉弁動作が開始された時期(閉弁開始時期Tcs)として特定される。本実施形態では、電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に閉弁信号が出力された時期から上記閉弁開始時期Tcsまでの時間が閉弁遅れ時間τeとして特定される。
また、上記点Dおよび噴射開始時期Tos(詳しくは、同時期Tosにおいて燃料噴射率が「0」になる点)を繋ぐ直線L3が求められるとともに、同直線L3の傾き(具体的には、単位時間当たりの燃料噴射率の増加量)が噴射率上昇速度Qupとして特定される。
さらに、点Dおよび噴射停止時期Tce(詳しくは、同時期Tceにおいて燃料噴射率が「0」になる点)を繋ぐ直線L4が求められるとともに、同直線L4の傾き(具体的には、単位時間当たりの燃料噴射率の低下量)が噴射率低下速度Qdnとして特定される。
本実施形態では、このようにして特定された開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、噴射率低下速度Qdn、および閉弁遅れ時間τeによって形成される台形形状の時間波形が燃料噴射率についての検出時間波形として用いられる。
一方、本実施形態の学習処理では、目標噴射量、実行時期の制御目標値、目標噴射圧力などといった各種算出パラメータに基づいて燃料噴射率についての基本時間波形が算出される。本実施形態では、それら算出パラメータにより定まる機関運転領域と同運転領域に適した基本時間波形との関係が各種の実験やシミュレーションの結果に基づき予め求められて電子制御ユニット40に記憶されている。そして、電子制御ユニット40は各種算出パラメータに基づいて上記関係から基本時間波形を算出する。
図5に、上記基本時間波形の一例を示す。同図5(a)および(b)に示すように、基本時間波形としては、開弁遅れ時間τdb、噴射率上昇速度Qupb、最大噴射率Qmaxb、閉弁遅れ時間τeb、および噴射率低下速度Qdnbにより規定される台形の波形が設定される。
そして、本実施形態の学習処理では、検出時間波形と基本時間波形との関係に基づいて燃料噴射弁20の複数の特性パラメータについての学習項が学習される。すなわち先ず、内燃機関10の運転中において検出時間波形と基本時間波形とが比較されるとともにそれら波形の各特性パラメータの差が逐次算出される。各特性パラメータの差としては、具体的には、開弁遅れ時間の差Δτd(=τdb−τd)、噴射率上昇速度の差ΔQup(=Qupb−Qup)、最大噴射率の差ΔQmax(=Qmaxb−Qmax)、噴射率低下速度の差ΔQdn(=Qdnb−Qdn)、および閉弁遅れ時間の差Δτe(=τeb−τe)が算出される。そして、これら差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値が算出されるとともに、その加重平均値が燃料噴射弁20の作動特性のばらつきを補償するための学習項Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして電子制御ユニット40に記憶される。
なお、燃料噴射弁20の開閉に伴う圧力センサ51の検出値の変動態様は、燃料供給系の構成部品の経時変化(燃料噴射弁20の噴射孔23へのデポジットの付着など)に伴い長期間にわたって徐々に変化することに加えて、検出信号に重畳されるノイズや燃料の性状(温度、性質)などといった種々の因子の影響を受けて短期的にも変化する。
本実施形態では、そうした検出値の変動態様の短期的な変化に起因する各学習項Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeの不要な変化を抑えるために、複数の特性パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeそれぞれの加重平均値が算出されるとともにそれら加重平均値が学習項として記憶される。
また本実施形態の装置では、燃料噴射圧力(詳しくは、目標噴射圧力)と燃料噴射量(詳しくは、目標噴射量)とにより区画される複数の学習領域が定められており、それら領域毎に学習項が学習されて記憶されている。
図6に示すように、電子制御ユニット40には、パイロット噴射やアフター噴射において用いられる学習領域、すなわち目標噴射量が少ない学習領域における目標噴射量と目標噴射圧力と各学習項との関係を記憶したマップ(先頭段学習マップ)が記憶されている。そして、パイロット噴射やアフター噴射についての目標噴射期間TAUを算出する際には、算出対象の燃料噴射の目標噴射量と目標噴射圧力とに基づいて図6に示す先頭段学習マップから各学習項が算出されて用いられる。
また図7に示すように、電子制御ユニット40には、メイン噴射において用いられる学習領域、すなわち目標噴射量少ない領域から同目標噴射量が多い領域までを含む学習領域における目標噴射量と目標噴射圧力と各学習項との関係を記憶したマップ(メイン学習マップ)が記憶されている。メイン噴射の目標噴射期間TAUの算出に際しては、同メイン噴射の目標噴射量と目標噴射圧力とに基づいて図7に示すメイン学習マップから各学習項が算出されて用いられる。
さらに本実施形態では、作動特性の経時的な変化を招く前、いわゆる新品時における燃料噴射弁20と標準的な作動特性の燃料噴射弁との間における上記各パラメータの差が検出されるとともに、それら差が燃料噴射弁20の個体差に起因する作動特性のばらつきを補償するための初期調整項として電子制御ユニット40に予め記憶されている。この初期調整項Sτd,SQup,SQmax,SQdn,Sτeとしては具体的には、新品時における開弁遅れ時間の差Δτd、噴射率上昇速度の差ΔQup、最大噴射率の差ΔQmax、噴射率低下速度の差ΔQdn、および閉弁遅れ時間の差Δτeが記憶されている。なお本実施形態の装置では、これら差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの検出が燃料噴射弁20を専用の装置に取り付けた状態で行われ、その算出結果が同燃料噴射弁20の内燃機関10への組み付けに際して電子制御ユニット40に記憶される。
多段噴射における二段目以降の燃料噴射の実行時における燃料供給系内の圧力変動には、それよりも前段の燃料噴射(前段噴射)に伴い発生した燃料圧力の脈動分が含まれている。そして、こうした燃料圧力の脈動分は一定ではなく、噴射間のインターバルや燃料噴射圧力、前段噴射の燃料噴射量などに応じて異なる。そのため、そうした前段噴射に伴う燃料圧力脈動を考慮することなく前記学習項の学習を実行すると、その検出過程において前記燃料圧力PQの時間波形や前記検出時間波形の不要な変化を招き、これが同学習項の学習精度を低下させる一因になる。
本実施形態では、そうした学習項の学習精度の低下を抑えるために、二段目以降の噴射についての前記検出時間波形の形成に際して、そのもとになる燃料圧力PQの時間波形に、前段噴射に伴い発生する圧力脈動を相殺可能な圧力時間波形(補正波形)を重畳する処理が実行される。この処理を通じて、検出時間波形から前段噴射に伴う燃料圧力脈動の影響分が除かれ、上記各パラメータの差として適正な値が検出されて、学習項としても適正な値が学習されるようになる。
なお上記補正波形は、補正対象の燃料噴射を含む燃焼サイクルの噴射パターン、各噴射の目標噴射量、各噴射間のインターバルおよび目標噴射圧力に基づいて、多段噴射の二段目以降の各噴射についてそれぞれ算出される。本実施形態では、各種の実験やシミュレーションの結果をもとに噴射パターンと各噴射の目標噴射量と各噴射間のインターバルと目標噴射圧力と多段噴射の二段目以降の各噴射に適した補正波形との関係が予め求められて電子制御ユニット40に記憶されている。そして、この関係に基づいて多段噴射の二段目以降の噴射についての補正波形が算出されて用いられる。
燃料圧力PQの時間波形に上記補正波形を重畳しても、前段噴射に伴う燃料圧力の脈動分を全て除去することは困難であるため、燃料圧力脈動に起因する噴射量誤差は残ってしまう。本実施形態では、そうした誤差分を補正するための差分補正項Kτd,KQup,KQmax,KQdn,Kτeが算出される。すなわち先ず、差分補正項の算出対象の燃料噴射についての上記各パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeが検出されるとともに、同燃料噴射の目標噴射期間TAUの算出に際して反映された学習項Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeが読み込まれる。そして、上記各パラメータの差と学習項との差(=Δτd−Gτd,ΔQup−GQup,ΔQmax−GQmax,ΔQdn−GQdn,Δτe−Gτe)が算出されるとともに、それら差が差分補正項Kτd,KQup,KQmax,KQdn,Kτeとして一時的に記憶される。なお、このようにして差分補正項を算出する処理は多段噴射における二段目以降の燃料噴射について各別に実行される。
図8に、多段噴射の噴射段と差分補正項との関係を示す。
同図8に示すように、補正項を算出する処理の実行を通じて、二段目噴射をもとに算出された値が同二段目噴射に対応する差分補正項K2として記憶され、三段目噴射をもとに算出された値が同三段目噴射に対応する差分補正項K3として記憶されるといったように、「N」を自然数とすると、(N+1)段目の燃料噴射をもとに算出された値が同(N+1)段目の燃料噴射に対応する差分補正項K(N+1)として記憶される。なお、多段噴射で実行されなかった噴射段に対応する差分補正項としては初期値(本実施形態では「0」)が設定される。
このように本実施形態では、差分補正項が、例えばメイン噴射に対応する補正項や同メイン噴射の直前に実行されるパイロット噴射に対応する補正項等といったように噴射位置に関連づけして算出されるのではなく、二段目噴射に対応する差分補正項K2や三段目噴射に対応する差分補正項K3といったように噴射順序に関連づけして算出される。
図9に、多段噴射の各段への差分補正項の反映パターンを示す。
同図9に示すように、差分補正項の反映対象の燃料噴射を含む燃焼サイクル(反映燃焼サイクル)において一段のパイロット噴射とメイン噴射とからなる二段噴射が実行される場合には、二段目噴射に対応する差分補正項K2が、メイン噴射に反映される。また、一段のパイロット噴射とメイン噴射とアフター噴射とからなる三段噴射が実行される場合には、メイン噴射に差分補正項K2が反映されるとともに、アフター噴射に三段目の燃料噴射に対応する差分補正項K3が反映される。さらに、二段のパイロット噴射とメイン噴射とからなる三段噴射が実行される場合には、二段目のパイロット噴射に差分補正項K2が反映されるとともに、メイン噴射に差分補正項K3が反映される。二段のパイロット噴射とメイン噴射とアフター噴射とからなる四段噴射が実行される場合には、二段目のパイロット噴射に差分補正項K2が反映され、メイン噴射に差分補正項K3が反映され、アフター噴射に四段目の燃料噴射に対応する差分補正項K4が反映される。三段のパイロット噴射とメイン噴射とアフター噴射とからなる五段噴射が実行される場合には、二段目のパイロット噴射に差分補正項K2が反映され、三段目のパイロット噴射に差分補正項K3が反映され、メイン噴射に差分補正項K4が反映され、アフター噴射に五段目の燃料噴射に対応する差分補正項K5が反映される。このように本実施形態の装置では、差分補正項の反映が、多段噴射の噴射段数によることなく、多段噴射の噴射順序に応じて行われる。
そして本実施形態では、前記学習項Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτe、初期調整項Sτd,SQup,SQmax,SQdn,Sτe、および差分補正項Kτd,KQup,KQmax,KQdn,Kτeがそれぞれ、前述したモデル式に基づいて目標噴射期間TAUを算出するための算出パラメータとして用いられる。このようにして多段噴射の各段の燃料噴射についての目標噴射期間TAUを算出することにより、燃料噴射弁20の経時的な変化による作動特性ばらつきの影響分と、個体差による作動特性ばらつきの影響分と、前段噴射に伴う燃料圧力脈動による影響分とがそれぞれ補償されるようになる。なお、上記差分補正項Kτd,KQup,KQmax,KQdn,Kτeは、その算出対象の燃料噴射を含む燃焼サイクル(算出燃焼サイクル)の次の燃焼サイクルにおける燃料噴射の目標噴射期間TAUの算出に際して上記モデル式に反映される。また本実施形態では、燃料圧力PQに基づいて学習項を算出する処理や差分補正項を算出する処理が、内燃機関10の気筒11(♯1〜♯4)毎にそれぞれ対応する圧力センサ51の出力信号に基づき実行される。
図10に、反映燃焼サイクルでの学習項および差分補正項の反映態様の一例を示す。
同図10に示す例では、算出燃焼サイクルおよび反映燃焼サイクルにおいて共に、二段のパイロット噴射とメイン噴射とからなる三段の燃料噴射が実行される。そのため、算出燃焼サイクルにおける二段目のパイロット噴射に基づき二段目噴射に対応する差分補正項K2が算出されるとともに、メイン噴射に基づき三段目噴射に対応する差分補正項K3が算出される。
そして図10に示すように、反映燃焼サイクルの二段目のパイロット噴射についての目標噴射期間TAUの算出に際して上記差分補正項K2が反映され、反映燃焼サイクルのメイン噴射についての目標噴射期間TAUの算出に際して上記差分補正項K3が反映される。また、各パイロット噴射についての目標噴射期間TAUの算出に際して反映される学習項は前段噴射学習マップ(図6)に基づき算出され、メイン噴射についての目標噴射期間TAUの算出に際して反映される学習項はメイン学習マップ(図7)から算出される。
ここで、前述したように、多段噴射における二段目以降の燃料噴射の実行時における燃料供給系内の圧力変動には、前段噴射に伴い発生した燃料圧力の脈動分が含まれている。そのため、単に圧力センサ51によって検出される燃料圧力PQに基づいてメイン噴射の実行時における学習項を学習すると、上記燃料圧力の脈動分の影響によって学習項の学習精度の低下を招くおそれがある。
本実施形態では、メイン学習マップ(図7参照)において、燃料噴射量が少ない領域(詳しくは、パイロット噴射が実行される領域[図7中に斜線で示す領域])では、パイロット噴射の先頭段の実行時に圧力センサ51により検出した燃料圧力PQに基づき学習項の学習を実行するようにしている。
また、メイン学習マップにおいて、燃料噴射量が多い領域(詳しくは、パイロット噴射が実行されない領域)では、メイン噴射の実行時に圧力センサ51により検出した燃料圧力PQに基づき学習項の学習が実行される。
以下、このようにしてメイン学習マップの各学習領域における学習項を学習することによる作用について説明する。
多段噴射における先頭段噴射は、直前の燃料噴射の実行タイミングが遠いため、同燃料噴射に伴う燃料圧力脈動の影響がごく小さい。これに対して、多段噴射における二段目以降の噴射は、直前の燃料噴射の実行タイミングがごく近いために、同燃料噴射に伴う燃料圧力脈動の影響が大きい。
パイロット噴射は燃料噴射量が少ない。またパイロット噴射の先頭段は多段噴射の先頭段になるため、その実行時における燃料圧力PQには前段噴射に伴い発生する燃料圧力の脈動分が殆ど含まれない。
本実施形態では、メイン学習マップにおける燃料噴射量が少ない学習領域において、パイロット噴射の先頭段が実行されるため、その実行時における燃料圧力PQに基づき学習項が学習および更新される。そのため、他の噴射に伴う燃料圧力脈動の影響がごく小さく抑えられつつ学習項が精度良く学習されるようになる。しかも、メイン学習マップにおける燃料噴射量が比較的多い学習領域では、パイロット噴射の先頭段が実行されないとはいえ、メイン噴射の実行時における燃料圧力PQをもとに学習項が学習および更新される。
このように本実施形態によれば、パイロット噴射の先頭段の実行時における燃料圧力PQに基づき精度良く学習した学習項を、メイン噴射における燃料噴射量の少ない学習領域に対応する学習項として用いることができる。したがって、パイロット噴射とメイン噴射とを有する多段噴射を実行する装置において、メイン学習マップの全ての学習領域に記憶されている学習項をメイン噴射の実行時における燃料圧力PQに基づき学習する場合と比較して、メイン学習マップに記憶されている学習項を精度良く学習することができる。
また本実施形態では、先頭段学習マップ(図6参照)が、パイロット噴射の先頭段の実行時における燃料圧力PQの変動態様に基づき学習および更新される。すなわち本実施形態では、パイロット噴射の先頭段の実行時における燃料圧力PQに基づいて、メイン学習マップの学習項が学習および更新されるのに合わせて、先頭段学習マップの学習項が学習および更新される。
これにより、先頭段学習マップに記憶されている学習項が、他の噴射に伴う燃料圧力脈動の影響がごく小さく抑えられた状態で精度良く学習されるようになる。しかも、その学習結果をメイン学習マップの学習項の学習に適用することにより、メイン学習マップにおける燃料噴射量の少ない学習量域に記憶されている学習項についても精度良く学習されるようになる。
図11に、前記学習処理の具体的な実行手順を示す。この学習処理は、多段噴射における各段の燃料噴射が実行される度に、電子制御ユニット40により実行される。
同図11に示すように、この処理では先ず、第1の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS11)。ここでは、以下の[条件イ]〜[条件ホ]の全てが満たされることをもって第1の実行条件が成立していると判断される。
[条件イ]多段噴射の総噴射段数が所定値KS1以下であること。
[条件ロ]所定期間(例えば、数回の燃焼サイクル)における目標噴射圧力の変化量が所定値KS2以下であること。
[条件ハ]所定期間における目標噴射量の変化量が所定値KS3以下であること。
[条件ニ]所定期間における多段噴射の各噴射間のインターバルの変化量が所定値KS4以下であること。
[条件ホ]燃料温度が所定の温度範囲SS内であること。
第1の実行条件が成立していない場合には(ステップS11:NO)、以下の処理(ステップS12〜ステップS19の処理)を実行することなく、本処理は終了される。一方、第1の実行条件が成立している場合には(ステップS11:YES)、学習項の学習対象の燃料噴射がパイロット噴射の先頭段であるか否かが判断される(ステップS12)。そして、学習対象の燃料噴射がパイロット噴射の先頭段である場合には(ステップS12:YES)、学習項が算出される(ステップS13)。ここでは、学習対象のパイロット噴射についての前記差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeが算出されるとともに、同燃料噴射の目標噴射量と目標噴射圧力とにより定まる学習領域に記憶されている学習項が読み込まれ、それら差、学習項、および正の数「n」に基づいて以下の関係式(1)から新たな学習項が算出される。

(新たな学習項)=(記憶されている学習項)+(差/n) …(1)

そして、ステップS13の処理において算出された学習項が、メイン学習マップの対応する学習領域に記憶されるとともに(ステップS14)、先頭段学習マップの対応する学習領域に記憶される(ステップS15)。なお、上記各マップに対応する学習領域は、学習対象のパイロット噴射の先頭段についての目標噴射量と目標噴射圧力とにより定まる学習領域である。
一方、パイロット噴射の先頭段でない場合には(ステップS12:NO)、学習対象の燃料噴射がメイン噴射であり、且つ同学習対象のメイン噴射の目標噴射量がパイロット噴射に際して設定される目標噴射量の最大値より多い量であるか否かが判断される(ステップS16)。学習対象の燃料噴射がメイン噴射でない場合や、学習対象の燃料噴射がメイン噴射であっても同メイン噴射の目標噴射量がパイロット噴射に際して設定される目標噴射量の最大値以下の量である場合には(ステップS16:NO)、以下の処理(ステップS17〜ステップS19の処理)を実行することなく、本処理は終了される。
学習対象の燃料噴射がメイン噴射であり、且つ同メイン噴射の目標噴射量がパイロット噴射に際して設定される目標噴射量の最大値より多い量である場合には(ステップS16:YES)、第2の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS17)。ここでは、以下の[条件ヘ]〜[条件ヌ]の全てが満たされることをもって第2の実行条件が成立していると判断される。
[条件ヘ]多段噴射の総噴射段数が所定値KM1以下であること。
[条件ト]所定期間における目標噴射圧力の変化量が所定値KM2以下であること。
[条件チ]所定期間における目標噴射量の変化量が所定値KM3以下であること。
[条件リ]所定期間における多段噴射の各噴射間のインターバルの変化量が所定値KM4以下であること。
[条件ヌ]燃料温度が所定の温度範囲SM内であること。
なお本実施形態では、先頭段学習マップの学習項の学習についての実行条件(第1の実行条件)と比較して、メイン学習マップの学習項の学習についての実行条件(第2の実行条件)が、学習の実行頻度が低くなる条件に設定されている。詳しくは、[条件ヘ]の所定値KM1が[条件イ]の所定値KS1より小さく設定され、[条件ト]の所定値KM2が[条件ロ]の所定値KS2より小さく設定され、[条件チ]の所定値KM3が[条件ハ]の所定値KS3より小さく設定されている。また、[条件リ]の所定値KM4が[条件ニ]の所定値KS4より小さく設定され、[条件ヌ]の温度範囲SMが[条件ホ]の温度範囲SSより狭く設定されている。
こうした第2の実行条件が成立している場合には(ステップS17:YES)、学習項が算出される(ステップS18)。ここでは、学習対象のメイン噴射についての前記差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeが算出されるとともに、同メイン噴射の目標噴射量と目標噴射圧力とにより定まる学習領域に記憶されている学習項が読み込まれ、それら差、学習項、および正の数「n」に基づいて上記関係式(1)から新たな学習項が算出される。そして、その算出された学習項が、メイン学習マップの対応する学習領域に記憶される(ステップS19)。
燃料噴射量が多い領域では、燃料噴射弁20の作動特性が安定しており、同作動特性の変化原因は主に経時的な変化である。こうした経時的な変化による特性変化は緩慢であるため、燃料噴射弁20の作動特性の学習の実行頻度をさほど高くせずとも、同作動特性を適切に学習することができる。これに対して、燃料噴射量が少ない学習領域では燃料噴射弁20の作動特性が比較的不安定であるため、燃料噴射弁20の作動特性の学習を高い頻度で実行することが望ましい。
本実施形態では、メイン学習マップにおける燃料噴射量が多い学習領域に対応する学習項の学習が第2の実行条件が成立していることを条件に実行されるために、同学習の実行頻度が低く抑えられる。しかも、先頭段学習マップに記憶されている学習項とメイン学習マップに記憶されている学習項のうちの燃料噴射量が多い学習領域に対応する学習項との学習、すなわち燃料噴射量が少ない学習領域に記憶されている学習項の学習が、第1の実行条件が成立していることを条件に実行されるために、比較的高い頻度で実行される。このように本実施形態によれば、燃料噴射弁20の作動特性の学習を、同燃料噴射弁20からの燃料噴射量に応じて異なる要求に応じたかたちで、効率良く実行することができる。
なお、第1の実行条件が成立しない場合や、第2の実行条件が成立しない場合、パイロット噴射の二段目以降の燃料噴射である場合、アフター噴射である場合であっても、差分補正項が算出されるため、同差分補正項によって噴射量誤差が補正されるようになる。
以下、学習項の更新態様と差分補正項の算出態様の具体例について図12を参照しつつ説明する。なお図12は、反映燃焼サイクルにおいてメイン噴射に反映される学習項および差分補正項の推移の一例を示している。
図12の時刻t11以前においては、第1の実行条件や第2の実行条件が成立しておらず、メイン学習マップの学習項の学習が実行されていないため、同学習項が一定の値になっている。また、このときには算出燃焼サイクルにおいて差分補正項が算出される。そして、それら学習項や差分補正項は、反映燃焼サイクルにおいて、メイン噴射における目標噴射期間TAUの算出に反映される。なお、このとき差分補正項は、燃料噴射弁20の作動特性の経時的な変化や、機関運転領域の変化、機関運転環境の変化に応じて変化する。
そして時刻t11において、第2の実行条件が成立すると、メイン学習マップの学習項の学習が開始される。これにより、その後において前記各パラメータの差を「0」にするように学習項が徐々に変化し、この変化に合わせて差分補正項も徐々に変化するようになる。このときには、これまで差分補正項によって補正していた補正分を学習項に移行させる態様で学習項が学習される。こうした学習項の学習が繰り返されることにより、同学習項が一定の値に収束し、差分補正項が初期値(0)に収束する(時刻t12)。
その後の時刻t13において、第1の実行条件および第2の実行条件が成立しなくなると、学習項の学習が停止される。そして、その後においては差分補正項が変化するようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)メイン学習マップの燃料噴射量が少ない学習領域ではパイロット噴射の先頭段の実行時における燃料圧力PQに基づき学習項の学習を実行し、メイン学習マップの燃料噴射量が多い学習領域ではメイン噴射の実行時における燃料圧力PQに基づき学習項の学習を実行するようにした。そのため、メイン学習マップの全ての学習領域に記憶されている学習項をメイン噴射の実行時における燃料圧力PQに基づき学習する場合と比較して、メイン学習マップに記憶されている学習項を精度良く学習することができる。
(2)第1の学習条件と比較して、第2の学習条件を、学習項の学習の実行頻度が低くなる条件に設定するようにした。そのため、メイン学習マップの各学習領域における燃料噴射弁20の作動特性の学習を、同燃料噴射弁20からの燃料噴射量に応じて異なる要求に応じたかたちで、効率良く実行することができる。
(3)パイロット噴射の先頭段の実行時における燃料圧力PQに基づいて、メイン学習マップの学習項を学習するのに合わせて、先頭段学習マップの学習項を学習するようにした。そのため、先頭段学習マップに記憶されている学習項を、他の噴射に伴う燃料圧力脈動の影響をごく小さく抑えた状態で精度良く学習することができる。しかも、その学習結果をメイン学習マップの学習項の学習に適用することにより、メイン学習マップにおける燃料噴射量の少ない学習量域に記憶されている学習項についても精度良く学習することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・差分補正項の初期値は「0」に限らず、任意の値を設定することができる。
・学習処理において、複数の特性パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeそれぞれの加重平均値を算出することなく、同差そのものを学習項Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして記憶するようにしてもよい。
・学習領域を目標噴射量のみによって区画することができる。また、学習領域を区画するパラメータとしては、目標噴射量に加えて、機関回転速度NEや通路空気量GA、アクセル操作量ACC、吸入空気量などを用いることができる。
・初期調整項の記憶および反映、補正波形の算出および反映の一方を省略したり、両方を省略したりしてもよい。
・第1の実行条件や第2の実行条件は、学習対象の燃料噴射の実行時における燃料圧力PQの検出が検出ばらつきの小さい状況で行われたことを判断可能な条件であれば、任意に変更することができる。例えば第1の実行条件として[条件イ]〜[条件ホ]のうちの幾つかのみを設定したり、第2の実行条件として[条件ヘ]〜[条件ヌ]のうちの幾つかのみを設定したりすることができる。
・先頭段学習マップの学習項の学習についての実行条件(実施形態では、第1の実行条件)とメイン学習マップの学習項の学習についての実行条件(実施形態では、第2の実行条件)とを、共通の条件にしてもよい。
・先頭段学習マップとメイン学習マップとを共通のマップにしてもよい。この場合、同マップにおける燃料噴射量の少ない学習領域ではパイロット噴射の先頭段の実行時における燃料圧力PQに基づき学習項を学習するとともに、上記マップにおける燃料噴射量の比較的多い学習領域ではメイン噴射の実行時における燃料圧力PQに基づき学習項を学習すればよい。また上記装置では、各噴射についての目標噴射期間TAUの算出に際し、目標噴射量および目標噴射圧力に基づき上記共通のマップから学習項を算出して反映するようにすればよい。
・上記実施形態の装置は、メイン噴射に先立ちプレ噴射を実行する装置にも、その構成を適宜変更したうえで適用することができる。要は、多段噴射の先頭段の実行時に圧力センサ51により検出した燃料圧力PQに基づいてメイン学習マップ(あるいは共通のマップ)における燃料噴射量が少ない学習領域の学習項を学習するようにすればよい。
・燃料噴射弁20の作動特性の指標値としての特性パラメータは任意に変更することができる。例えば開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、噴射率低下速度Qdn、および閉弁遅れ時間τeのうちのいずれか一つのみを特性パラメータとしたり、二つのみを特性パラメータとしたり、いずれか三つのみを特性パラメータとしたり、四つのみを特性パラメータとしたりすることができる。また、燃料噴射率が最大噴射率に到達した時期や、燃料噴射率が最大噴射率から低下し始める時期、燃料噴射率が「0」になる時期などを特性パラメータとして新たに採用することもできる。
・燃料噴射弁20の内部(詳しくは、ノズル室25内)の燃料圧力の指標となる圧力、言い換えれば同燃料圧力の変化に伴って変化する燃料圧力を適正に検出することができるのであれば、圧力センサ51を燃料噴射弁20に直接取り付けることに限らず、同圧力センサ51の取り付け態様は任意に変更することができる。具体的には、圧力センサ51を燃料供給通路におけるコモンレール34と燃料噴射弁20との間の部位(分岐通路31a)に取り付けたり、コモンレール34に取り付けたりしてもよい。
・圧電アクチュエータ29により駆動されるタイプの燃料噴射弁20に代えて、例えばソレノイドコイルなどを備えた電磁アクチュエータによって駆動されるタイプの燃料噴射弁を採用することもできる。
・4つの気筒を有する内燃機関に限らず、1つ〜3つの気筒を有する内燃機関、あるいは5つ以上の気筒を有する内燃機関にも、上記燃料噴射特性学習装置は適用することができる。
・上記燃料噴射特性学習装置は、ディーゼル機関に限らず、ガソリン燃料を用いるガソリン機関や天然ガス燃料を用いる天然ガス機関にも適用することができる。
10…内燃機関、11…気筒、12…吸気通路、13…ピストン、14…クランクシャフト、15…排気通路、20…燃料噴射弁、21…ハウジング、22…ニードル弁、23…噴射孔、24…スプリング、25…ノズル室、26…圧力室、27…導入通路、28…連通路、29…圧電アクチュエータ、29a…弁体、30…排出路、31a…分岐通路、31b…供給通路、32…燃料タンク、33…燃料ポンプ、34…コモンレール、35…リターン通路、40…電子制御ユニット、51…圧力センサ、52…吸気量センサ、53…クランクセンサ、54…アクセルセンサ。

Claims (3)

  1. 昇圧された状態の燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給系と同燃料供給系の内部の燃料圧力を検出する圧力センサとを備えるとともに、メイン噴射と同メイン噴射に先立ち実行される補助噴射とを有する多段噴射によって一回の燃焼サイクルにおける前記燃料噴射弁からの燃料噴射を行う内燃機関に適用されて、前記燃料噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した燃料圧力に基づいて前記燃料噴射弁の作動特性を学習する内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    当該装置は、
    燃料噴射量によって区画された複数の学習領域を有して、それら学習領域毎に前記作動特性を学習するものであり、
    前記燃料噴射量が少ない領域は、前記メイン噴射における燃料噴射量の少ない学習領域であるとともに前記補助噴射の学習領域であり、
    前記複数の学習領域における前記燃料噴射量が少ない領域では、前記補助噴射の先頭段の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づいて、前記メイン噴射における燃料噴射量の少ない学習領域の前記作動特性を学習するのに合わせて、前記補助噴射の学習領域の前記作動特性を学習し、
    前記複数の学習領域における前記燃料噴射量が多い領域では、前記メイン噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づき前記作動特性を学習する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    当該装置は、
    予め定められた実行条件の成立時に、前記燃料噴射弁の作動特性の学習を実行するものであり、
    前記燃料噴射量が多い領域についての前記実行条件が、前記燃料噴射量が少ない領域についての実行条件と比較して、前記学習の実行頻度の低くなる条件に設定されてなる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
  3. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    当該装置は、
    前記燃料噴射量によって区画された複数の学習領域を有するマップとして、前記補助噴射において用いられる先頭段学習マップと、前記メイン噴射において用いられるメイン学習マップとを有し、
    前記先頭段学習マップの前記学習領域は、前記メイン学習マップにおける燃料噴射量の少ない学習領域であり、
    前記補助噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づいて、前記メイン学習マップにおける燃料噴射量の少ない学習領域の作動特性を学習するとともに、前記先頭段学習マップにおける学習領域の作動特性を学習し、
    前記メイン噴射の実行時に前記圧力センサにより検出した前記燃料圧力に基づいて、前記メイン学習マップにおける学習領域の作動特性を学習する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
JP2013109285A 2013-05-23 2013-05-23 内燃機関の燃料噴射特性学習装置 Active JP6030502B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013109285A JP6030502B2 (ja) 2013-05-23 2013-05-23 内燃機関の燃料噴射特性学習装置
DE102014209546.8A DE102014209546B4 (de) 2013-05-23 2014-05-20 Steuerungsvorrichtung einer brennkraftmaschine undverfahren zum lernen einer kraftstoffeinspritzcharakteristik
BR102014012263-0A BR102014012263B1 (pt) 2013-05-23 2014-05-21 Dispositivo de controle de motor de combustão interna e método de aprender a característica de injeção de combustível

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013109285A JP6030502B2 (ja) 2013-05-23 2013-05-23 内燃機関の燃料噴射特性学習装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014227951A JP2014227951A (ja) 2014-12-08
JP6030502B2 true JP6030502B2 (ja) 2016-11-24

Family

ID=51863386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013109285A Active JP6030502B2 (ja) 2013-05-23 2013-05-23 内燃機関の燃料噴射特性学習装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6030502B2 (ja)
DE (1) DE102014209546B4 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6289579B1 (ja) * 2016-10-20 2018-03-07 三菱電機株式会社 インジェクタ制御装置及びインジェクタ制御方法
JP7193224B2 (ja) * 2017-07-04 2022-12-20 日産自動車株式会社 内燃機関の制御方法および制御装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4552899B2 (ja) 2006-06-06 2010-09-29 株式会社デンソー 燃料噴射制御装置
JP4623066B2 (ja) 2007-08-31 2011-02-02 株式会社デンソー 内燃機関の噴射制御装置
JP5022336B2 (ja) * 2008-10-23 2012-09-12 本田技研工業株式会社 燃料噴射装置

Also Published As

Publication number Publication date
BR102014012263A2 (pt) 2015-06-02
JP2014227951A (ja) 2014-12-08
DE102014209546B4 (de) 2019-08-14
DE102014209546A1 (de) 2014-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4407731B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP4428427B2 (ja) 燃料噴射特性検出装置及び燃料噴射指令補正装置
JP4835715B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
JP4835716B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
JP4737314B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
JP4483908B2 (ja) 燃料噴射制御装置
EP2031225B1 (en) Fuel injection device and fuel injection system
EP2031226B1 (en) Fuel injection device, fuel injection system, and method for determining malfunction of the same
JP4737315B2 (ja) 燃料噴射状態検出装置
US7835850B2 (en) Injection characteristic detection apparatus, control system, and method for the same
US9051895B2 (en) Fuel injection control apparatus
JP5141723B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP5886500B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射特性学習装置
JP6087726B2 (ja) 燃料噴射特性検出装置
JP6215718B2 (ja) 燃料噴射特性検出装置
JP6030502B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射特性学習装置
JP2013185550A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP5565435B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP5382006B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP5718841B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6023002B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP5872993B2 (ja) 燃料噴射特性検出装置
JP5781959B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP5938955B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射特性学習装置
JP5267441B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150714

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160927

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161020

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6030502

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250