JP5781959B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
内燃機関の燃料噴射制御装置では、そのときどきの機関運転状態に基づいて燃料噴射制御にかかる制御目標値(噴射期間の目標値や噴射圧力の目標値など)を算出するとともに同制御目標値に応じたかたちで燃料噴射弁を開閉駆動することにより、機関運転状態に見合う量の燃料が内燃機関に供給される。ここで燃料噴射弁の動作特性には個体差によるばらつきがあるため、仮に燃料噴射弁を同一の操作態様で駆動しても、燃料噴射弁から実際に噴射される燃料の量や燃料の噴射期間が同一にならない場合がある。
従来、そうした個体差に起因する動作特性のばらつきによる影響分を工場出荷前の試験等により検出するとともに、燃料噴射制御にかかる制御目標値の算出ロジックに予め反映させておくことが提案されている(例えば特許文献1参照)。こうした装置によれば、燃料噴射弁の個体差による動作特性のばらつきに起因する誤差分が補償されるために、燃料噴射弁からの高い精度での燃料噴射が実現される。
特開2009−57926号公報
ところで、燃料噴射弁の動作特性にばらつきを生じさせる原因としては、動作特性の個体差の他に、動作特性の経時的な変化を挙げることができる。上述した装置では、動作特性のばらつきに起因する誤差分のうちの上記個体差による誤差分を補償することが可能になるものの、上述した経時的な変化による誤差分を補償することができないために、この点において改善の余地がある。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料噴射制御を精度良く実行することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の装置は、燃料噴射弁を有する燃料供給経路の内部の燃料圧力を検出する圧力センサを備える。燃料噴射弁の個体差に起因する動作特性のばらつきを補償する初期調整項を記憶するとともに、燃料噴射弁の開弁駆動時における前記圧力センサの検出値に基づいて燃料噴射弁の経時的な変化に起因する動作特性のばらつきを補償する学習補正項を学習する。そして、初期調整項および学習補正項および機関運転状態に基づいて制御目標値の最終値を算出する最終値算出処理と、初期調整項および学習補正項のうちの同初期調整項のみと機関運転状態とに基づいて制御目標値の基本値を算出するとともに同基本値と上記最終値との関係に基づき同最終値を制限するガード処理とを実行する。また、基本値の算出が開始されてから該基本値の算出が完了する規定期間の経過後に最終値の算出が開始される。
こうした装置によれば、燃料噴射弁の個体差による動作特性のばらつきを補償することに加えて、経時的な変化による動作特性のばらつきをも補償して最終値算出処理やガード処理を実行することができる。しかも、基本値を算出する処理と最終値を算出する処理とを異なるタイミングで実行することができるため、それら処理にかかる演算負荷の集中を回避することができ、基本値および最終値の算出をそれぞれ不要な長期化を招くことなく適正に実行することができる。さらに、基本値の算出に先立って最終値を算出する装置と比較して同最終値の算出を実際の燃料噴射期間に近いタイミングで実行することができるために、最終値を算出する最終値算出処理や最終値を制限するガード処理をそのときどきの機関運転状態に見合うかたちで好適に実行することができるようになる。したがって、燃料噴射制御を精度よく実行することができる。
請求項2に記載の装置では、初期調整項および学習補正項としてそれぞれ、燃料噴射弁の動作特性についての異なる因子に関する値が複数設定される。こうした装置によれば、制御目標値の基本値や最終値の算出に用いる算出パラメータの数が多くなるが、燃料噴射弁の動作特性を適切に把握することが可能になる。そのため、基本値および最終値の算出を精度良く適正に実行することができる。
請求項3に記載の装置は、初期調整項および学習補正項を記憶する第1演算処理装置と、最終値算出処理およびガード処理にかかる演算処理を実行する第2演算処理装置とを備える。こうした装置では、第2演算処理装置によって最終値算出処理およびガード処理を実行する際に、第1演算処理装置に記憶されている初期調整項および学習補正項を第2演算処理装置に読み込む処理が実行される。そのため、仮に制御目標値の基本値および最終値を同時に算出するようにした場合、基本値の算出に用いるデータと最終値の算出に用いるデータとが同時に且つ各別に第2演算処理装置に読み込まれるようになるため、第1演算処理装置と第2演算処理装置との間におけるデータ通信量が大きくなり易い。
請求項3に記載の装置によれば、そうしたデータ通信量の大きくなり易い装置において同データ通信量が過度に大きくなることを抑えることができるため、データ通信の長期化に起因して最終値算出処理の実行期間やガード処理の実行期間が不要に長くなることを抑えることができる。
請求項4に記載の装置では、前記ガード処理において、基本値と最終値との差を所定レベル以下に抑える態様で同最終値が制限される。そのため、燃料噴射弁の個体差による影響分および経時的な変化による影響分が共に反映された制御目標値(最終値)とそれら影響分のうちの個体差による影響分のみが反映された制御目標値(基本値)との差が大きくなった場合に、最終値が制限されるようになる。これにより、例えば学習補正項が誤学習された場合など、最終値として異常な値が算出されるおそれがある場合に、同最終値を制限することができる。
しかも上記装置では、初期調整項と学習補正項とが各別に設定されるとともに、それら初期調整項や学習補正項に基づいて制御目標値の基本値と最終値とが各別に算出される。そしてガード処理では、それら基本値および最終値の差の大きさに応じて同最終値を制限するか否かが決定される。こうした装置では上記差が、燃料噴射弁の個体差による動作特性のばらつきの影響分が排除された値、詳しくは、実際に取り付けられている燃料噴射弁がほぼ新品状態のときの制御目標値(基本値)と同燃料噴射弁の現在の状態での制御目標値(最終値)との差になる。そのため、燃料噴射弁の個体差に起因する動作特性のばらつきによる悪影響を抑えつつガード処理を適正に実行することができるようになる。
請求項5に記載の装置では、圧力センサによって燃料噴射弁の内部における燃料圧力が検出されるために、燃料供給経路内における燃料噴射弁から離れた位置の燃料圧力を検出する装置と比較して、燃料噴射弁の噴射孔に近い部位の燃料圧力を検出することができる。これにより、燃料噴射弁の開弁に伴う同燃料噴射弁の内部の燃料圧力の変化を精度良く検出することができるために、前記学習補正項や最終値として燃料噴射弁の実際の作動特性に見合う値を精度良く設定することができるようになる。
なお、前記燃料噴射制御についての制御目標値としては、請求項6によるように、燃料噴射期間についての制御目標値を採用することができる。
本発明を具体化した一実施形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置の概略構成を示す略図。 燃料噴射弁の断面構造を示す断面図。 基本時間波形の一例を示すタイムチャート。 電子制御ユニットと各燃料噴射弁との接続態様を示す略図。 燃料噴射制御処理の実行手順を示すフローチャート。 基本噴射期間や目標噴射期間の算出タイミングと燃料噴射期間との関係の一例を示すタイミングチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置について説明する。
図1に示すように、内燃機関10の気筒11には吸気通路12が接続されている。内燃機関10の気筒11内には吸気通路12を介して空気が吸入される。なお、この内燃機関10としては複数(本実施形態では四つ[♯1〜♯4])の気筒11を有するディーゼル機関が採用されている。内燃機関10には、気筒11(♯1〜♯4)毎に、同気筒11内に燃料を直接噴射する直噴タイプの燃料噴射弁20が取り付けられている。この燃料噴射弁20の開弁駆動によって噴射された燃料は内燃機関10の気筒11内において圧縮加熱された吸入空気に触れて着火および燃焼する。そして内燃機関10では、気筒11内における燃料の燃焼に伴い発生するエネルギによってピストン13が押し下げられて機関出力軸としてのクランクシャフト14が強制回転するようになる。内燃機関10の気筒11において燃焼した燃焼ガスは排気として内燃機関10の排気通路15に排出される。
各燃料噴射弁20は分岐通路31aを介してコモンレール34に各別に接続されている。コモンレール34は供給通路31bを介して燃料タンク32に接続されている。この供給通路31bには、燃料を圧送する燃料ポンプ33が設けられている。本実施形態では、燃料ポンプ33による圧送によって昇圧された燃料がコモンレール34に蓄えられるとともに各燃料噴射弁20の内部に供給される。なお本実施形態では、各燃料噴射弁20、分岐通路31a、供給通路31bおよびコモンレール34が燃料供給経路として機能する。
また、各燃料噴射弁20にはリターン通路35が接続されている。リターン通路35はそれぞれ燃料タンク32に接続されている。このリターン通路35を介して燃料噴射弁20の内部の燃料の一部が燃料タンク32に戻される。
以下、燃料噴射弁20の内部構造について説明する。
図2に示すように、燃料噴射弁20のハウジング21の内部にはニードル弁22が設けられている。このニードル弁22はハウジング21内において往復移動(同図の上下方向に移動)することの可能な状態で設けられている。ハウジング21の内部には上記ニードル弁22を噴射孔23側(同図の下方側)に常時付勢するスプリング24が設けられている。またハウジング21の内部には、上記ニードル弁22を間に挟んで一方側(同図の下方側)の位置にノズル室25が形成されるとともに、他方側(同図の上方側)の位置に圧力室26が形成されている。
ノズル室25には、その内部とハウジング21の外部とを連通する噴射孔23が形成されるとともに、導入通路27を介して上記分岐通路31a(コモンレール34)から燃料が供給されている。圧力室26には連通路28を介して上記ノズル室25および分岐通路31a(コモンレール34)が接続されている。また圧力室26は排出路30を介してリターン通路35(燃料タンク32)に接続されている。
上記燃料噴射弁20としては電気駆動式のものが採用されている。詳しくは、燃料噴射弁20のハウジング21の内部に駆動信号の入力によって伸縮する圧電素子(例えばピエゾ素子)が積層された圧電アクチュエータ29が設けられている。この圧電アクチュエータ29には弁体29aが取り付けられている。この弁体29aは圧力室26の内部に設けられている。そして、圧電アクチュエータ29の作動による弁体29aの移動を通じて、連通路28(ノズル室25)と排出路30(リターン通路35)とのうちの一方が選択的に圧力室26に連通されるようになっている。
この燃料噴射弁20では、圧電アクチュエータ29に閉弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が収縮して弁体29aが移動することによって、連通路28と圧力室26とが連通された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26との連通が遮断された状態になる。これにより、圧力室26内の燃料のリターン通路35(燃料タンク32)への排出が禁止された状態でノズル室25と圧力室26とが連通されるようになる。その結果、ノズル室25と圧力室26との圧力差がごく小さくなって、ニードル弁22がスプリング24の付勢力によって噴射孔23を塞ぐ位置に移動するために、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射されない状態(閉弁状態)になる。
一方、圧電アクチュエータ29に開弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が伸長して弁体29aが移動することによって、連通路28と圧力室26との連通が遮断された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26とが連通された状態になる。これにより、ノズル室25から圧力室26への燃料の流出が禁止された状態で圧力室26内の燃料の一部がリターン通路35を介して燃料タンク32に戻されるようになる。その結果、圧力室26内の燃料の圧力が低下して同圧力室26とノズル室25との圧力差が大きくなって、同圧力差によってニードル弁22がスプリング24の付勢力に抗して移動して噴射孔23から離れるために、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射される状態(開弁状態)になる。
燃料噴射弁20には、上記導入通路27の内部の燃料圧力PQに応じた信号を出力する圧力センサ51が一体に取り付けられている。そのため、例えばコモンレール34(図1参照)内の燃料圧力などの燃料噴射弁20から離れた位置の燃料圧力が検出される装置と比較して、燃料噴射弁20の噴射孔23に近い部位の燃料圧力を検出することができ、燃料噴射弁20の開弁に伴う同燃料噴射弁20の内部の燃料圧力の変化を精度良く検出することができる。また燃料噴射弁20には、同弁20に一体に取り付けられた圧力センサ51の検出値などを記憶するためのメモリ43が一体に取り付けられている。なお、上記圧力センサ51およびメモリ43は各燃料噴射弁20に一つずつ、すなわち内燃機関10の気筒11毎に設けられている。
図1に示すように、内燃機関10には、その周辺機器として、運転状態を検出するための各種センサが設けられている。それらセンサとしては、上記圧力センサ51の他、例えば吸気通路12を通過する空気の量(通路空気量GA)を検出するための吸気量センサ52や、クランクシャフト14の回転に伴いパルス状の信号(クランクパルス)を出力するクランクセンサ53、カムシャフトの回転に伴いパルス状の信号を出力するカムセンサ54が設けられている。その他、アクセル操作部材(例えばアクセルペダル)の操作量(アクセル操作量ACC)を検出するためのアクセルセンサ55や燃料の温度(燃料温度THF)を検出するための温度センサ56なども設けられている。本実施形態では、クランクセンサ53の検出信号とカムセンサ54の検出信号との関係に基づいて同クランクシャフト14の回転位相(クランク角)の変化に応じて出力されるパルス状の信号(以下、クランクパルス)が形成される。そして、このクランクパルスに基づいて、そのときどきのクランク角やクランクシャフト14の回転速度(機関回転速度NE)、燃料噴射を実行する気筒11などが特定される。
また内燃機関10の周辺機器としては、演算処理装置を備えて構成された電子制御ユニット40なども設けられている。この電子制御ユニット40は各種センサの出力信号を取り込むとともにそれら出力信号をもとに各種の演算を行い、燃料噴射制御などの内燃機関10の運転にかかる各種制御を実行する。なお電子制御ユニット40は、第1演算処理装置41および第2演算処理装置42といった二つの演算処理装置を備えている。これら演算処理装置41,42の機能については後に詳述する。
燃料噴射制御は基本的には次のように実行される。すなわち先ず、通路空気量GAや機関回転速度NE、アクセル操作量ACCなどの機関運転状態に基づいて、噴射パターンが選択されるとともに同噴射パターンの各噴射についての各種制御目標値が算出される。本実施形態では、メイン噴射やパイロット噴射、アフター噴射などを組み合わせた複数の噴射パターンが予め設定されて電子制御ユニット40に記憶されており、燃料噴射制御の実行に際してはそれら噴射パターンのうちの一つが選択される。また各種の制御目標値としては、メイン噴射やパイロット噴射、アフター噴射といった各噴射の燃料噴射量についての目標値(目標噴射量)や、メイン噴射の噴射時期についての目標値(目標噴射時期)、メイン噴射とパイロット噴射の間隔(パイロットインターバル)、メイン噴射とアフター噴射との間隔(アフターインターバル)が算出される。本実施形態では、上記機関運転状態と同運転状態に適した各制御目標値との関係や、上記機関運転状態と同運転状態に適した噴射パターンとの関係が実験やシミュレーションの結果に基づき予め求められて電子制御ユニット40にそれぞれ記憶されている。そして、電子制御ユニット40はそのときどきの機関運転状態に基づいて上記関係から各種の制御目標値や噴射パターンを各別に設定する。
そして、燃料噴射弁20の開弁期間についての制御目標値(目標噴射期間TAU)が、上記目標噴射量、燃料圧力PQおよび燃料温度THFに基づきモデル式から設定される。本実施形態では、目標噴射期間TAUの算出パラメータとして燃料温度THFを用いることにより、同燃料温度THFの相異による影響分が補償されるようになっている。また、パイロット噴射が実行される場合におけるメイン噴射やアフター噴射などといった多段噴射の実行時における後段側の噴射についての目標噴射期間TAUの算出に際しては、前段側の噴射の目標噴射量および噴射インターバルが同目標噴射期間TAUの算出に用いられる。これにより、前段側の噴射に伴う燃料供給経路内の燃料圧力の脈動による影響分が補償される。
本実施形態では、コモンレール34、各分岐通路31a、各燃料噴射弁20等からなる燃料供給系をモデル化した物理モデルが構築されており、同物理モデルを通じて上記目標噴射期間TAUが算出される。詳しくは、目標噴射量、燃料圧力PQ、燃料温度THF、前段側の噴射の目標噴射量、噴射インターバル、後述する初期調整項および学習補正項を変数とするモデル式が予め定められ、同モデル式を通じて目標噴射期間TAUが算出される。
なお本実施形態では、目標噴射期間TAUが燃料噴射制御の制御目標値の最終値として機能し、この目標噴射期間TAUを算出する処理が、初期調整項、学習補正項および機関運転状態に基づいて制御目標値の最終値を算出する最終値算出処理として機能する。
そして、目標噴射時期および目標噴射期間TAUに応じたかたちで駆動信号が出力され、この駆動信号の入力に基づき各燃料噴射弁20が各別に開弁駆動される。これにより、そのときどきの機関運転状態に適した噴射パターンで同機関運転状態に見合う量の燃料が各燃料噴射弁20から噴射されて内燃機関10の各気筒11内に供給されるようになるため、機関運転状態に見合う回転トルクがクランクシャフト14に付与されるようになる。
本実施形態では、圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づいて、各噴射(パイロット噴射、メイン噴射、アフター噴射)についての目標噴射期間TAUを学習する制御(学習制御)が実行される。
この学習制御では先ず、目標噴射量、目標噴射時期、燃料圧力PQ、前段側の噴射の目標噴射量および噴射インターバル、燃料温度THFといった各種算出パラメータに基づいて燃料噴射率についての基本時間波形が算出される。本実施形態では、それら算出パラメータにより定まる機関運転領域と同運転領域に適した基本時間波形との関係が実験やシミュレーションの結果に基づき予め求められて電子制御ユニット40のメモリ(図示略)に記憶されている。そして、電子制御ユニット40は各種算出パラメータに基づいて上記関係から基本時間波形を算出する。
図3に、上記基本時間波形の一例を示す。同図3に実線で示すように、基本時間波形としては、燃料噴射弁20の開弁動作が開始される時期(開弁動作開始時期To)、開弁開始後における燃料噴射率の上昇速度(噴射率上昇速度Vo)、閉弁動作が開始される時期(閉弁動作開始時期Tc)、閉弁開始後における燃料噴射率の低下速度Vc、燃料噴射率の最大値(最大燃料噴射率Rm)により規定される台形の波形が設定される。
その一方で、圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づいて、実際の燃料噴射率の時間波形(検出時間波形)が形成される。具体的には先ず、燃料圧力PQの推移に基づいて燃料噴射弁20の開弁動作開始時期Tor、噴射率上昇速度Vor、閉弁動作開始時期Tcr、噴射率低下速度Vcr、および最大噴射率mrがそれぞれ特定される。燃料噴射弁20の内部(詳しくは、ノズル室25)の燃料圧力は、同燃料噴射弁20が開弁駆動されるとリフト量の増加に伴って低下し、その後において閉弁駆動されるとリフト量の減少に伴って上昇するようになる。本実施形態では、そうした燃料噴射弁20内部の燃料圧力(詳しくは、燃料圧力PQ)の推移をもとに、上記開弁動作開始時期Tor、噴射率上昇速度Vor、閉弁動作開始時期Tcr、噴射率低下速度Vcr、および最大噴射率Rmrが精度よく特定される。
なお本実施形態では、燃料圧力PQの変化速度(詳しくは、燃料圧力PQの一階微分値)が算出されるとともに、同変化速度が上記開弁動作開始時期Tor、噴射率上昇速度Vor、閉弁動作開始時期Tcr、噴射率低下速度Vcr、および最大噴射率Rmrの特定に用いられる。これにより、燃料噴射弁20の開弁動作の開始に伴って燃料圧力PQが急低下を開始する時期や、開弁動作開始後に燃料圧力PQの変化速度が下降から上昇に転じる時期、閉弁動作の開始に伴って燃料圧力PQが急上昇を開始する時期、閉弁動作開始後に燃料圧力PQの変化速度が上昇から下降に転じる時期などを容易に特定することが可能になる。そのため、燃料圧力PQに基づく燃料噴射弁20の動作態様の把握が適正に行われて、上記開弁動作開始時期Tor、噴射率上昇速度Vor、閉弁動作開始時期Tcr、噴射率低下速度Vcr、および最大噴射率Rmrの特定が精度よく行われるようになる。そして、図3中に一点鎖線で示すように、それら特定した値によって実際の燃料噴射率の時間波形(検出時間波形)が形成される。
学習制御では、内燃機関10の運転中において上記検出時間波形と前記基本時間波形とが比較されるとともにそれら波形の各パラメータの差が逐次算出される。各パラメータの差としては、具体的には、開弁動作開始時期の差ΔTog(=To−Tor)、噴射率上昇速度の差ΔVog(=Vo−Vor)、閉弁動作開始時期の差ΔTcg(=Tc−Tcr)、噴射率低下速度の差ΔVcg(=Vc−Vcr)、および最大噴射率ΔRmg(=Rm−Rmr)が算出される。そして、これら差ΔTog,ΔVog,ΔTcg,ΔVcg,ΔRmgは、燃料噴射弁20の経時的な変化に起因する動作特性のばらつきを補償するための学習補正項として電子制御ユニット40に記憶される。
このように学習制御では、燃料噴射弁20の開弁駆動時における圧力センサ51の検出値により形成される検出時間波形と同検出値についての理想的な値(理想値)により形成された基本時間波形との乖離度合いに基づいて、燃料噴射弁20の経時的な変化に起因する動作特性のばらつきを補償する学習補正項が設定される。
一方、本実施形態では、経時的な変化を招く前、いわゆる新品時における燃料噴射弁20と標準的な動作特性の燃料噴射弁との間における上記各パラメータの差に相当する値が検出されるとともにそれら差が燃料噴射弁20の個体差に起因する動作特性のばらつきを補償するための初期調整項として、電子制御ユニット40に予め記憶されている。この初期調整項としては具体的には、開弁動作開始時期の差ΔTos、噴射率上昇速度の差ΔVos、閉弁動作開始時期の差ΔTcs、噴射率低下速度の差ΔVcs、および最大噴射率ΔRmsが記憶されている。なお本実施形態の装置では、これら差ΔTos,ΔVos,ΔTcs,ΔVcs,ΔRmsの検出が燃料噴射弁20を専用の装置に取り付けた状態で行われ、その算出結果が同燃料噴射弁20の内燃機関10への組み付けに際して電子制御ユニット40に記憶される。
そして本実施形態では、これら初期調整項(ΔTos,ΔVos,ΔTcs,ΔVcs,ΔRms)および前記学習補正項(ΔTog,ΔVog,ΔTcg,ΔVcg,ΔRmg)がそれぞれ、前述したモデル式に基づいて目標噴射期間TAUを算出するための算出パラメータとして用いられる。このようにして目標噴射期間TAUを算出することにより、燃料噴射弁20の個体差による動作特性ばらつきの影響分と経時的な変化による動作特性ばらつきの影響分とが共に補償されるようになる。なお、こうした初期調整項および学習補正項に基づく目標噴射期間TAUの算出は、内燃機関10の気筒11(♯1〜♯4)毎にそれぞれ対応する圧力センサ51の出力信号に基づき実行される。
また本実施形態では、目標噴射期間TAUを予め定められた所定の範囲内の値になるように制限する処理(ガード処理)が実行される。このガード処理では先ず、初期調整項および学習補正項のうちの同初期調整項のみと機関運転状態とに基づいて前記モデル式から燃料噴射弁20の開弁期間についての制御目標値の基本値(基本噴射期間TAUB)が算出される。すなわち、学習補正項が反映されない開弁期間についての制御目標値が上記基本噴射期間TAUBとして算出される。そして、この基本噴射期間TAUBと前記目標噴射期間TAUとの関係に基づいて、基本噴射期間TAUBと目標噴射期間TAUとの差を所定レベル以下に抑える態様で同目標噴射期間TAUが制限される。詳しくは、基本噴射期間TAUBに所定値K1(K2は1.0より小さい値[例えば0.9])を乗算した値(TAUB×K1)より目標噴射期間TAUが小さい場合には同値が目標噴射期間TAUとして設定される。一方、基本噴射期間TAUBに所定値K2(K2は1.0より大きい値[例えば1.1])を乗算した値(TAUB×K2)より目標噴射期間TAUが大きい場合には同値が目標噴射期間TAUとして設定される。他方、目標噴射期間TAUが基本噴射期間TAUBに所定値K2を乗算した値以下であり且つ基本噴射期間TAUBに所定値K1を乗算した値以上である場合には([TAUB×K1]≦TAU≦[TAUB×K2])、目標噴射期間TAUが制限されない。
こうしたガード処理を実行することにより、燃料噴射弁20の個体差による影響分および経時的な変化による影響分が共に反映された目標噴射期間TAUとそれら影響分のうちの個体差による影響分のみが反映された基本噴射期間TAUBとの差が大きくなった場合に、目標噴射期間TAUが制限されるようになる。そのため、例えば学習補正項が誤学習された場合など、目標噴射期間TAUとして異常な値が算出されるおそれがある場合に、同目標噴射期間TAUを制限することができるようになる。
また、目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの差が燃料噴射弁20の個体差による動作特性のばらつきの影響分が排除された値、詳しくは実際に取り付けられている燃料噴射弁20がほぼ新品状態のときの目標噴射期間TAUに相当する値(基本噴射期間TAUB)と同燃料噴射弁20の現在の状態での目標噴射期間TAUとの差になる。そのため、燃料噴射弁20の個体差に起因する動作特性のばらつきによる悪影響をごく小さく抑えつつ上記ガード処理を適正に実行することができるようになる。
ちなみに、燃料噴射弁20の噴射量誤差の拡大を抑えるためのガード処理として、上記各パラメータ(開弁動作開始時期、噴射率上昇速度、閉弁動作開始時期、噴射率低下速度、および最大噴射率)を各別に制限する処理を実行することも考えられる。この場合には各パラメータが異常な値にならないように制限することができるものの、その制限によって燃料噴射弁20の噴射量誤差の拡大が的確に制限されるようになるとは限らない。これに対して本実施形態の装置では、各パラメータに基づき算出される目標噴射期間TAUが制限されるため、燃料噴射弁20の噴射量誤差の拡大を的確に抑えることができる。
また本実施形態の装置では、初期調整項および学習補正項として、それぞれ燃料噴射弁20の動作特性についての異なる因子に関する値が複数(具体的には、5つ)設定されている。そのため目標噴射期間TAUや基本噴射期間TAUBの算出に用いる算出パラメータの数が多くなるものの、燃料噴射弁20の動作特性を適切に把握することが可能になる。これにより、目標噴射期間TAUおよび基本噴射期間TAUBの算出を精度良く適正に実行することができるようになる。
本実施形態の装置は、図4に示すように、各燃料噴射弁20に取り付けられたメモリ43と電子制御ユニット40(詳しくは、その第1演算処理装置41)とが信号線路によって接続されており、それらメモリ43および第1演算処理装置41の間におけるデータ転送が可能な構造になっている。また図4中に白抜きの矢印で示すように、電子制御ユニット40の第1演算処理装置41と第2演算処理装置42とが信号線路によって接続されており、それら第1演算処理装置41および第2演算処理装置42の間におけるデータ転送も可能な構造になっている。
各燃料噴射弁20のメモリ43、第1演算処理装置41、および第2演算処理装置42はそれぞれ以下のように機能する。
燃料噴射弁20のメモリ43には、機関運転時における燃料噴射弁20の開弁駆動に際して検出される燃料圧力PQが記憶される。
第1演算処理装置41には、機関運転状態と基本時間波形との関係、および初期調整項が予め記憶されている。そして第1演算処理装置41は、燃料噴射弁20のメモリ43から燃料圧力PQを読み込むとともに同燃料圧力PQに基づき検出時間波形を形成する。その後、機関運転状態に基づき基本時間波形を算出するとともに、同基本時間波形(詳しくは初期調整項を反映させた波形)と検出時間波形との間における各パラメータの差を算出し、同差を学習補正項として記憶する。
第2演算処理装置42には前記モデル式が予め記憶されている。第2演算処理装置42は、モデル式に基づく目標噴射期間TAUの算出や基本噴射期間TAUBの算出に際して各別に、第1演算処理装置41から初期補正項と学習補正項とを読み込む。そして第2演算処理装置42は、初期補正項や学習補正項に基づく目標噴射期間TAUの算出にかかる演算処理や、基本噴射期間TAUBの算出にかかる演算処理、目標噴射期間TAUおよび基本噴射期間TAUBに基づくガード処理にかかる演算処理を実行する。
ここで本実施形態の装置では、第2演算処理装置42によって最終値算出処理やガード処理を実行する際に、第1演算処理装置41に記憶されているデータ(具体的には、初期調整項および学習補正項)を第2演算処理装置42に読み込む処理が実行される。そのため、仮に基本噴射期間TAUBおよび目標噴射期間TAUを同時に算出するようにした場合、基本噴射期間TAUBの算出に用いるデータと目標噴射期間TAUの算出に用いるデータとが同時に且つ各別に第2演算処理装置42に読み込まれるようになる。したがって、この場合には第1演算処理装置41と第2演算処理装置42との間におけるデータ通信量が大きくなり易い。しかも本実施形態の装置では、初期調整項および学習補正項としてそれぞれ、燃料噴射弁20の動作特性についての異なる因子に関する値が複数(具体的には、5つ)設定されている。そのため、基本噴射期間TAUBや目標噴射期間TAUの算出に用いる算出パラメータの数が多くなって上記データ通信量が大きくなり易く、第2演算処理装置42の演算にかかる負荷も大きくなり易いと云える。
こうした実情をふまえて本実施形態の装置では、基本噴射期間TAUBを算出した後に目標噴射期間TAUを算出するようにしている。こうした装置によれば、次のような作用が得られる。基本噴射期間TAUBを算出する処理と目標噴射期間TAUを算出する処理とが異なるタイミングで実行されるために、それら処理にかかる演算負荷の集中が回避されるようになる。そのため基本噴射期間TAUBや目標噴射期間TAUの算出を不要な長期化を招くことなく適正に実行することができるようになる。しかも、基本噴射期間TAUBの算出に先立って目標噴射期間TAUを算出する装置と比較して同目標噴射期間TAUの算出を実際の燃料噴射期間に近いタイミングで実行することができる。これにより、目標噴射期間TAUを算出する最終値算出処理や目標噴射期間TAUを制限するガード処理をそのときどきの機関運転状態に見合うかたちで好適に実行することができるため、燃料噴射制御を精度よく実行することができる。
以下、最終値算出処理およびガード処理を含む燃料噴射制御にかかる処理(燃料噴射制御処理)について詳細に説明する。
図5に上記燃料噴射制御処理の実行手順を示し、図6に基本噴射期間TAUBや目標噴射期間TAUの算出タイミングと燃料噴射期間との関係の一例を示す。なお、図5のフローチャートに示される一連の処理は、上記燃料噴射弁制御処理の実行手順を概念的に示したものであり、実際の処理は所定周期毎の割り込み処理として電子制御ユニット40により実行される。
図5に示すように、この処理では先ず、基本噴射期間TAUBを算出する算出タイミングTBであるか否かが判断される(ステップS101)。本処理における目標噴射期間TAUの算出対象である気筒11を「特定気筒」とし点火順序が直前の気筒11を「直前気筒」とすると、上記算出タイミングTBとしては、直前気筒における燃料噴射の実行完了後から特定気筒における燃料噴射の実行開始前までの期間における任意のタイミングが設定される。本実施形態では、算出タイミングTBとして特定気筒のBTDC140°CA(図6に示す例では時刻T1)が設定される。
そして、本処理が繰り返し実行されて上記算出タイミングTBになると(ステップS101:YES)、目標噴射量、燃料圧力PQ、燃料温度THF、前段側の噴射の目標噴射量、噴射インターバル、および初期調整項に基づいて前記モデル式から基本噴射期間TAUBが算出される(ステップS102)。なおステップS102の処理では、多段噴射が選択される機関運転領域では各噴射についてそれぞれモデル式に基づく基本噴射期間TAUBの算出が実行される。
このようにして基本噴射期間TAUBが算出された後、目標噴射期間TAUを算出する算出タイミングTRであるか否かが判断される(ステップS103)。この算出タイミングTRとしては、基本噴射期間TAUBが所定時間以上である場合には燃料噴射弁20に駆動信号を出力する出力タイミング(図6に示す例では時刻T3)が設定される。一方、基本噴射期間TAUBが所定時間より短い場合には、上記出力タイミングの直前におけるクランクパルスの出力タイミング(図6に示す例では時刻T2[特定気筒のBTDC40°CA])が設定される。上記所定時間としては、上記出力タイミングで目標噴射期間TAUの算出を開始した場合に直後において燃料噴射弁20の閉弁駆動を開始させるべきタイミングになるまでに目標噴射期間TAUの算出が完了するか否かを的確に判断することの可能な時間が予め設定されている。本実施形態の装置では、そうした所定時間(例えば、数百マイクロ秒)が実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められて、電子制御ユニット40に記憶されている。
燃料噴射弁20に閉弁駆動を開始させるべきタイミングになるまでに目標噴射期間TAUの算出が完了する場合には、上記出力タイミング、すなわち燃料噴射弁20からの燃料噴射が開始される直前のタイミングで目標噴射期間TAUの算出が開始される。これにより、実際の噴射期間に近いタイミングで目標噴射期間TAUを算出することができるため、機関運転状態に見合う量の燃料を噴射供給することができるようになる。一方、燃料噴射弁20に閉弁駆動を開始させる信号を出力するべきタイミングになるまでに目標噴射期間TAUの算出が完了しないおそれがある場合には、同タイミングになるまでに目標噴射期間TAUの算出を確実に完了させるために、上記出力タイミングより若干早いタイミングで目標噴射期間TAUの算出が開始される。
そして、本処理が繰り返し実行されて上記算出タイミングTRになると(図5のステップS103:YES)、目標噴射量、燃料圧力PQ、燃料温度THF、前段側の噴射の目標噴射量、噴射インターバル、初期調整項および学習補正項に基づいてモデル式から目標噴射期間TAUが算出される(ステップS104)。なおステップS104の処理では、多段噴射が選択される機関運転領域では各噴射についてそれぞれモデル式に基づく目標噴射期間TAUの算出が実行される。
その後、各噴射における目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの関係が以下の関係式を満たすか否かが判断される(ステップS105)。

所定値K1≦(目標噴射期間TAU/基本噴射期間TAUB)≦所定値K2

そして、目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの関係が上記関係式を満たす場合には(ステップS105:YES)、目標噴射期間TAUを制限することなく、すなわちステップS104の処理で算出された値が目標噴射期間TAUとして設定される(ステップS106の処理がジャンプされる)。
一方、目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの関係が上記関係式を満たさない場合には(ステップS105:NO)、目標噴射期間TAUが制限される(ステップS106)。具体的には、目標噴射期間TAUを基本噴射期間TAUBにより除算した値が所定値K1より小さいときには(K1>[TAU/TAUB])、基本噴射期間TAUBに所定値K1を乗算した値(=TAUB×K1)が目標噴射期間TAUとして設定される。目標噴射期間TAUを基本噴射期間TAUBにより除算した値が所定値K2より大きいときには(K2<[TAU/TAUB])、基本噴射期間TAUBに所定値K2を乗算した値(=TAUB×K2)が目標噴射期間TAUとして設定される。
このようにして目標噴射期間TAUを制限するガード処理が実行された後、本処理は終了される。
以上説明したように、本実施形態によれば以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)基本噴射期間TAUBを算出した後に目標噴射期間TAUを算出するようにした。これにより、基本噴射期間TAUBを算出する処理および目標噴射期間TAUを算出する処理にかかる演算負荷の集中を回避することができるため、それらの算出を不要な長期化を招くことなく適正に実行することができる。しかも、基本噴射期間TAUBの算出に先立って目標噴射期間TAUを算出する装置と比較して同目標噴射期間TAUの算出を実際の燃料噴射期間に近いタイミングで実行することができる。そのため、目標噴射期間TAUを算出する最終値算出処理や目標噴射期間TAUを制限するガード処理をそのときどきの機関運転状態に見合うかたちで好適に実行することができる。したがって、燃料噴射制御を精度よく実行することができる。
(2)初期調整項および学習補正項としてそれぞれ燃料噴射弁20の動作特性についての異なる因子に関する値を複数設定するようにしたために、基本噴射期間TAUBおよび目標噴射期間TAUの算出を精度良く適正に実行することができる。
(3)目標噴射期間TAUの算出や基本噴射期間TAUBの算出に際して各別に第1演算処理装置41から第2演算処理装置42に初期補正項と学習補正項とが読み込まれるためにデータ通信量の大きくなり易い装置において、同データ通信量が過度に大きくなることを抑えることができる。そのため、データ通信の長期化に起因して最終値算出処理の実行期間やガード処理の実行期間が不要に長くなることを抑えることができる。
(4)ガード処理として、目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの差が所定レベル以下に抑えられるように同目標噴射期間TAUを制限する処理を実行するようにした。そのため、目標噴射期間TAUとして異常な値が算出されるおそれがある場合に、同目標噴射期間TAUを制限することができる。しかも、目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの差が燃料噴射弁20の個体差による動作特性のばらつきの影響分が排除された値になるため、燃料噴射弁20の個体差に起因する動作特性のばらつきによる悪影響をごく小さく抑えつつ上記ガード処理を精度良く実行することができる。
(5)圧力センサ51によって燃料噴射弁20の内部の燃料圧力PQを検出するようにした。そのため、例えばコモンレール34内の燃料圧力などの燃料噴射弁20から離れた位置の燃料圧力が検出される装置と比較して、燃料噴射弁20の噴射孔23に近い部位の燃料圧力を検出することができ、燃料噴射弁20の開弁に伴う同燃料噴射弁20の内部の燃料圧力の変化を精度良く検出することができる。したがって、学習補正項や目標噴射期間TAUとして燃料噴射弁20の実際の作動特性に見合う値を精度良く算出することができるようになる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・基本噴射期間TAUBを算出するタイミングは、目標噴射期間TAUの算出が実行されるタイミングより前のタイミングであれば、任意に変更可能である。なお、基本噴射期間TAUBを算出するタイミングとしては、目標噴射期間TAUの算出タイミングに近いタイミングを設定することが望ましい。このように設定することにより、基本噴射期間TAUBの算出時と目標噴射期間TAUの算出時との間における機関運転状態の差異を小さくすることができ、この差異によるガード処理への影響を小さく抑えることができる。また、基本噴射期間TAUBを算出するタイミングとしては、他の気筒の燃料噴射弁20からの燃料噴射に起因する特定気筒の圧力センサ51の検出値(燃料圧力PQ)の変動幅が小さいタイミングを設定することが望ましい。
・目標噴射期間TAUを算出するタイミングは、機関運転状態に見合う値を算出することの可能なタイミングであれば、任意に変更可能である。
・目標噴射期間TAUや基本噴射期間TAUBを算出する方法は、モデル式から算出することに代えて関係式から算出するようにしたり算出パラメータを変更したりするなど、任意に変更可能である。
・上記実施形態にかかる装置は、初期調整項および学習補正項としてそれぞれ燃料噴射弁20の動作特性についての異なる因子に関する値が5つ設定される装置に限らず、1つ〜4つの値が設定される装置や、6つ以上の値が設定される装置にも適用することができる。
・上記実施形態にかかる燃料噴射装置は、初期調整項および学習補正項を記憶する演算処理装置と最終値算出処理およびガード処理を実行する演算処理装置とが異なる燃料噴射装置の他、それら演算処理装置として共通のものが用いられる燃料噴射装置にも適用可能である。こうした装置によっても、最終値算出処理およびガード処理にかかる演算負荷の集中を回避することができるため、それら処理を不要な長期化を招くことなく適正に実行することができる。
・上記実施形態では、ガード処理として、目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの比が所定値K1以上且つ所定値K2以下(K1≦[TAU/TAUB]≦K2)になるように目標噴射期間TAUを制限する処理が実行される。これに代えて、目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの差の絶対値が所定値K3以上且つ所定値K4以下(K3≦[TAU−TAUB]の絶対値≦K4)になるように目標噴射期間TAUを制限する処理をガード処理として実行するようにしてもよい。要は、基本噴射期間TAUBと目標噴射期間TAUとの差を所定レベル以下に抑える態様で同目標噴射期間TAUを制限する処理をガード処理として実行する装置であれば、上記実施形態にかかる燃料噴射装置は適用可能である。
・上記実施形態では、燃料噴射弁20の開弁期間(燃料噴射期間)の制御目標値の最終値(目標噴射期間TAU)および基本値(基本噴射期間TAUB)を算出するとともに同目標噴射期間TAUと基本噴射期間TAUBとの関係に基づきガード処理を実行するようにした。上記実施形態にかかる燃料噴射制御装置は、燃料噴射期間以外の制御パラメータ(燃料圧力や、燃料噴射時期、燃料噴射量、噴射インターバルなど)の制御目標値についての最終値および基本値を算出するとともに同最終値と基本値との関係に基づきガード処理を実行する装置にも、その構成を適宜変更した上で適用することができる。
・燃料噴射弁20の内部(詳しくは、ノズル室25内)の燃料圧力の指標となる圧力、言い換えれば同燃料圧力の変化に伴って変化する燃料圧力を適正に検出することができるのであれば、圧力センサ51を燃料噴射弁20に直接取り付けることに限らず、同圧力センサ51の取り付け態様は任意に変更することができる。具体的には、圧力センサ51を燃料供給通路におけるコモンレール34と燃料噴射弁20との間の部位(分岐通路31a)に取り付けたり、コモンレール34に取り付けたりしてもよい。
・圧電アクチュエータ29により駆動されるタイプの燃料噴射弁20に代えて、例えばソレノイドコイルなどを備えた電磁アクチュエータによって駆動されるタイプの燃料噴射弁を採用することもできる。
・四つの気筒を有する内燃機関に限らず、単気筒の内燃機関や、二つの気筒を有する内燃機関、三つの気筒を有する内燃機関、あるいは五つ以上の気筒を有する内燃機関にも、本発明は適用することができる。
・本発明は、ディーゼル機関に限らず、ガソリン燃料を用いるガソリン機関や天然ガス燃料を用いる天然ガス機関にも適用することができる。
10…内燃機関、11…気筒、12…吸気通路、13…ピストン、14…クランクシャフト、15…排気通路、20…燃料噴射弁、21…ハウジング、22…ニードル弁、23…噴射孔、24…スプリング、25…ノズル室、26…圧力室、27…導入通路、28…連通路、29…圧電アクチュエータ、29a…弁体、30…排出路、31a…分岐通路、31b…供給通路、32…燃料タンク、33…燃料ポンプ、34…コモンレール、35…リターン通路、40…電子制御ユニット、41…第1演算処理装置、42…第2演算処理装置、43…メモリ、51…圧力センサ、52…吸気量センサ、53…クランクセンサ、54…カムセンサ、55…アクセルセンサ、56…温度センサ。

Claims (6)

  1. 燃料噴射弁を有する燃料供給経路の内部の燃料圧力を検出する圧力センサを備え、前記燃料噴射弁の個体差に起因する動作特性のばらつきを補償する初期調整項を記憶するとともに、前記燃料噴射弁の開弁駆動時における前記圧力センサの検出値に基づいて前記燃料噴射弁の経時的な変化に起因する動作特性のばらつきを補償する学習補正項を学習し、前記初期調整項および前記学習補正項および機関運転状態に基づいて燃料噴射制御の制御目標値の最終値を算出する最終値算出処理を実行する内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
    当該装置は、前記初期調整項および前記学習補正項のうちの同初期調整項のみと機関運転状態とに基づいて前記制御目標値の基本値を算出するとともに同基本値と前記最終値との関係に基づき同最終値を制限するガード処理を実行するものであり
    前記最終値は、前記基本値の算出が開始されてから該基本値の算出が完了する規定期間の経過後に算出が開始される
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記初期調整項および前記学習補正項はそれぞれ、前記動作特性についての異なる因子に関する値が複数設定されてなる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    当該装置は、前記初期調整項および前記学習補正項を記憶する第1演算処理装置と、前記最終値算出処理および前記ガード処理にかかる演算処理を実行する第2演算処理装置とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記ガード処理は、前記基本値と前記最終値との差を所定レベル以下に抑える態様で同最終値を制限する処理である
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記圧力センサは、前記燃料噴射弁の内部の燃料圧力を検出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記制御目標値は、燃料噴射期間についての制御目標値である
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
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