JP5708004B2 - 多気筒内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二つの中央処理装置の演算負荷を小さく抑えつつ、それら中央処理装置による気筒毎の演算処理をそれぞれ適切なタイミングで実行することのできる多気筒内燃機関の制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の構成では、多気筒内燃機関に第1中央処理装置(第1CPU)および第2中央処理装置(第2CPU)を有する電子制御ユニットが設けられる。そして、第1CPUによって気筒判別を行う演算処理が実行されるとともに、その結果に基づいて燃料噴射弁を開弁駆動するための駆動パルスが気筒毎に設けられた燃料噴射弁のいずれかに対して選択的に出力される。これにより、各燃料噴射弁に対してそれぞれ適切なタイミングで駆動パルスが出力されるようになる。また第1CPUから駆動パルスを出力することに加えて、予め定められた時期(機関出力軸の所定回転位相)において燃料噴射弁を開弁させないパルス幅のダミーパルスが出力される。そして、このダミーパルスが第2CPUに入力されることにより、このときの機関出力軸の回転位相を同第2CPUに把握させることが可能になるため、その把握した回転位相をもとに演算処理の実行対象となる気筒を特定することが可能になり、その特定した気筒についての演算処理を実行することも可能になる。なお、上記ダミーパルスは各燃料噴射弁に対して出力されるとはいえ、ダミーパルスのパルス幅は燃料噴射弁を開弁させない長さに設定されるため、ダミーパルスが入力されたことをもって燃料噴射弁が不要に開弁駆動されることはない。
なお前記予め定められた時期としては、請求項2に記載の構成によるように、前記実行対象となる気筒の圧縮行程中の時期を設定することができる。
請求項4に記載の構成では、第1電子制御ユニットと第2電子制御ユニットとを備え、前記第2電子制御ユニットは第1中央処理装置および第2中央処理装置とを有し、前記第1中央処理装置と前記第2中央処理装置は各々が実行対象となる気筒の特定を行う多気筒内燃機関の制御装置であって、前記第1中央処理装置は、前記実行対象となる気筒の特定を行う演算処理と燃料噴射量についての制御目標値を算出する演算処理とを実行するとともに、それら演算処理の結果に基づいて燃料噴射弁を開弁駆動するための駆動パルスと予め定められた時期に設定される前記燃料噴射弁を開弁させないパルス幅のダミーパルスとを含む作動信号を、前記第2中央処理装置に出力するとともに前記第1電子制御ユニットを介して前記内燃機関の各気筒に設けられた燃料噴射弁に出力し、前記第2中央処理装置は、前記ダミーパルスの入力に基づき前記実行対象となる気筒の特定を行い、その特定した気筒についての演算処理を実行する。
図1に示すように、内燃機関10の気筒11には吸気通路12が接続されている。内燃機関10の気筒11内には吸気通路12を介して空気が吸入される。なお、この内燃機関10としては複数(本実施形態では四つ[♯1〜♯4])の気筒11を有するディーゼル機関が採用されている。内燃機関10には、気筒11(♯1〜♯4)毎に、同気筒11内に燃料を直接噴射する直噴タイプの燃料噴射弁20が取り付けられている。この燃料噴射弁20の開弁駆動によって噴射された燃料は内燃機関10の気筒11内において圧縮加熱された吸入空気に触れて着火および燃焼する。そして内燃機関10では、気筒11内における燃料の燃焼に伴い発生するエネルギによってピストン13が押し下げられて機関出力軸としてのクランクシャフト14が強制回転するようになる。内燃機関10の気筒11において燃焼した燃焼ガスは排気として内燃機関10の排気通路15に排出される。
図2に示すように、燃料噴射弁20のハウジング21の内部にはニードル弁22が設けられている。このニードル弁22はハウジング21内において往復移動(同図の上下方向に移動)することの可能な状態で設けられている。ハウジング21の内部には上記ニードル弁22を噴射孔23側(同図の下方側)に常時付勢するスプリング24が設けられている。またハウジング21の内部には、上記ニードル弁22を間に挟んで一方側(同図の下方側)の位置にノズル室25が形成されるとともに、他方側(同図の上方側)の位置に圧力室26が形成されている。
同図3の実線に示すように、基本時間波形としては、燃料噴射弁20の開弁動作が開始される時期(開弁動作開始時期Tos)、燃料噴射率が最大になる時期(最大噴射率到達時期Toe)、閉弁動作が開始される時期(閉弁動作開始時期Tcs)、および閉弁動作が完了する時期(閉弁動作完了時期Tce)により規定される台形の波形が設定される。
図4に示すように、電子制御ユニット40Bは二つの中央処理装置(メインCPU41およびサブCPU42)を内蔵している。この電子制御ユニット40Bは、図中に白抜きの矢印で示すように、メインCPU41とサブCPU42との間でデータ転送が可能な構造になっている。
[機能1]クランクセンサ53の検出信号とカムセンサ54の検出信号との関係に基づいてクランク角の変化に伴い変化するクランク信号を形成し、同クランク信号に基づいて燃焼行程を迎える気筒11の特定(いわゆる気筒判別)を行う。
[機能2]メインCPU41とサブCPU42との間におけるデータ転送を通じてサブCPU42から検出時間波形を受信するとともに同検出時間波形を気筒11毎に記憶する。
[機能3]機関運転状態に基づいて燃料噴射制御についての各種の制御目標値を算出する。
[機能4]サブCPU42から受信した検出時間波形に基づく補正制御を実行する。
[機能5]燃料噴射制御についての各種の制御目標値に基づいて各燃料噴射弁20を開閉動作させるための駆動パルス(燃料噴射弁20の開弁期間を規定するパルス)を含む作動信号を形成するとともに、それら作動信号を上記信号経路SA[♯1]〜SA[♯4]を介して電子制御ユニット40Aに各別に出力する。
[機能6]燃料噴射弁20の開弁時(具体的には、圧縮行程中期から燃焼行程中期までの期間)において同燃料噴射弁20に対応する圧力センサ51の検出信号に基づき燃料圧力PQを検出するとともに、その検出値を気筒11毎に記憶する。
[機能7]燃料噴射弁20の閉弁時(具体的には、吸気行程中期から圧縮行程中期までの期間)において同燃料噴射弁20に対応する圧力センサ51の検出信号に基づき燃料圧力PQを検出するとともに、その検出値を気筒11毎に記憶する。なお本実施形態では、このようにして検出された燃料圧力PQの平均値が算出されるとともに、同平均値が、検出時間波形の形成に際して燃料噴射弁20の開閉動作に伴う燃料圧力PQの変化の基準となる圧力として用いられる。
[機能8]燃料噴射弁20の開弁時に検出した燃料圧力PQと閉弁時に検出した燃料圧力PQとに基づいて同燃料噴射弁20の開閉動作に伴う燃料圧力PQの変動波形(前記検出時間波形)を形成するとともに気筒11毎に記憶する。
[機能9]検出時間波形を、データ転送を通じて適宜のタイミングでメインCPU41に出力する。
[機能10]信号線路SB[♯1]〜SB[♯4]を介して入力される各作動信号を監視するなどして、メインCPU41の作動状態を監視する。
[機能11]電子制御ユニット40BのメインCPU41から入力される各作動信号に応じて、燃料噴射弁20を開弁させるための駆動信号(開弁信号)と閉弁させるための駆動信号(閉弁信号)とを信号線路SB[♯1]〜SB[♯4]を介して適宜のタイミングで出力する。具体的には先ず、電子制御ユニット40Aが開弁信号を出力してから実際に燃料噴射弁20の開弁動作が開始されるまでの時間(開弁遅れ時間TA)と電子制御ユニット40Bから入力される作動信号(詳しくは、その駆動パルス)とに基づいて開弁信号の出力タイミングが設定される。また電子制御ユニット40Aから閉弁信号が出力されてから実際に燃料噴射弁20の閉弁動作が開始されるまでの時間(閉弁遅れ時間TB)と電子制御ユニット40Bから入力される作動信号とに基づいて閉弁信号の出力タイミングが設定される。そして電子制御ユニット40Aは、それら出力タイミングにおいて各燃料噴射弁20に開弁信号や閉弁信号を出力する。
図5に示すように、時刻t1において、電子制御ユニット40BのサブCPU42に気筒11[♯1]に対応する信号線路SB[♯1]を介してダミーパルスが入力されると、その直後において燃料噴射が実行される気筒11[♯1]が特定される。そして、その後の時刻t1〜t2において、気筒11[♯1]に対応する圧力センサ51の検出信号に基づく燃料圧力PQの検出と同気筒11[♯1]の次に燃料噴射が実行される気筒11[♯3]に対応する圧力センサ51の検出信号に基づく燃料圧力PQの検出とが実行される。
ここでは先ず、図6に示すフローチャートを参照して、ダミーパルスを含む作動信号を出力するべくメインCPU41により実行される処理(メインCPU処理)の実行手順を説明する。このフローチャートに示される一連の処理は所定周期毎の割り込み処理として実行される。
そして、ダミーパルスが入力されたと判断される場合には(ステップS21:YES)、ダミーパルスが入力された信号線路(SB[♯1]〜SB[♯4]のいずれか)に基づいて直後に燃料噴射が実行される気筒11が特定されるとともに、同気筒11の気筒番号が今回パルス気筒Nとして記憶される(ステップS22)。例えば、信号線路SB[♯1]を介してダミーパルスが入力された場合には、気筒11[♯1]の気筒番号「1」が今回パルス気筒Nとして記憶される。なおダミーパルスが入力されない場合には(ステップS21:NO)、今回パルス気筒Nが変更されない(ステップS22の処理がジャンプされる)。また本実施形態では、運転スイッチの操作によって内燃機関10が始動される際に、今回パルス気筒Nの初期値として、いずれかの気筒番号(1〜4)以外の所定値(例えば「0」)が設定される。
(1)メインCPU41によって気筒判別を行う演算処理を実行するとともに、その結果に基づいて駆動パルスを気筒11毎に設けられた燃料噴射弁20のいずれかに対して選択的に出力するようにした。またメインCPU41から駆動パルスを出力することに加えて同駆動パルスより前の予め定められた時期においてダミーパルスを出力するとともに、このダミーパルスをサブCPU42に入力させるようにした。そのため、メインCPU41とサブCPU42とにおいて共に、直後に燃料噴射が実行される気筒11の特定と同気筒11についての演算処理(駆動パルスの出力、あるいは燃料圧力PQの検出)とが実行されるものの、メインCPU41による気筒判別の結果をもとにサブCPU42による演算処理を適正に行うことができる。したがって、メインCPU41およびサブCPU42の双方において気筒判別を行うための演算処理を実行する装置と比較して演算負荷を小さく抑えつつ、それらメインCPU41およびサブCPU42における気筒11毎の演算処理をそれぞれ適切なタイミングで実行することができるようになる。
・ダミーパルスが入力された直後に燃料圧力PQの検出の実行を開始することに限らず、ダミーパルスが入力されてから若干の時間をおいた後に燃料圧力PQの検出の実行を開始してもよい。
・燃料噴射の実行時における燃料圧力PQの検出のためのダミーパルスと燃料噴射の非実行時における燃料圧力PQの検出のためのダミーパルスとを各別に設定してもよい。
Claims (4)
- 第1中央処理装置および第2中央処理装置を有する電子制御ユニットを備えた多気筒内燃機関の制御装置であって、
前記第1中央処理装置は、気筒判別を行う演算処理と燃料噴射量についての制御目標値を算出する演算処理とを実行するとともに、それら演算処理の結果に基づいて燃料噴射弁を開弁駆動するための駆動パルスと予め定められた時期に設定される前記燃料噴射弁を開弁させないパルス幅のダミーパルスとを含む作動信号を前記内燃機関の各気筒に設けられた燃料噴射弁および前記第2中央処理装置に各別に出力し、
前記第2中央処理装置は、前記ダミーパルスの入力に基づき演算処理の実行対象となる気筒を特定し、その特定した気筒についての演算処理を実行し、
前記内燃機関は、昇圧された状態の燃料を蓄える蓄圧容器を有し、且つ前記各気筒に設けられた燃料噴射弁が前記蓄圧容器に各別に接続され、且つ前記各気筒にそれぞれ、前記燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給通路内における前記蓄圧容器と前記燃料噴射弁の噴射孔との間の部位の圧力を検出する圧力センサが設けられ、
前記第1中央処理装置は、前記ダミーパルスの出力時期を前記駆動パルスより前の時期に設定し、
前記第2中央処理装置は、前記実行対象となる気筒として直後に燃料噴射が実行される気筒を特定するものであり、前記特定した気筒についての演算処理として同気筒に対応する圧力センサによって前記燃料圧力を検出する処理を実行し、
前記第2中央処理装置は、前記直後に燃料噴射が実行される気筒に対応する圧力センサによって燃料圧力を検出する処理の実行に合わせて、前記直後に燃料噴射が実行される気筒の次に燃料噴射が実行される気筒に対応する圧力センサによって燃料圧力を検出する処理を実行する
ことを特徴とする多気筒内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の多気筒内燃機関の制御装置において、
前記予め定められた時期は、前記実行対象となる気筒の圧縮行程中の時期である
ことを特徴とする多気筒内燃機関の制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の多気筒内燃機関の制御装置において、
前記圧力センサは前記燃料噴射弁に取り付けられてなる
ことを特徴とする多気筒内燃機関の制御装置。 - 第1電子制御ユニットと第2電子制御ユニットとを備え、前記第2電子制御ユニットは第1中央処理装置および第2中央処理装置とを有し、前記第1中央処理装置と前記第2中央処理装置は各々が実行対象となる気筒の特定を行う多気筒内燃機関の制御装置であって、
前記第1中央処理装置は、前記実行対象となる気筒の特定を行う演算処理と燃料噴射量についての制御目標値を算出する演算処理とを実行するとともに、それら演算処理の結果に基づいて燃料噴射弁を開弁駆動するための駆動パルスと予め定められた時期に設定される前記燃料噴射弁を開弁させないパルス幅のダミーパルスとを含む作動信号を、前記第2中央処理装置に出力するとともに前記第1電子制御ユニットを介して前記内燃機関の各気筒に設けられた燃料噴射弁に出力し、
前記第2中央処理装置は、前記ダミーパルスの入力に基づき前記実行対象となる気筒の特定を行い、その特定した気筒についての演算処理を実行する
ことを特徴とする多気筒内燃機関の制御装置。
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