JP4996580B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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本発明は、燃料蓄圧部に蓄圧状態で貯留された燃料を燃料噴射弁から内燃機関の各気筒へ供給する燃料噴射装置に関する。
従来は各気筒への燃料噴射は、車両の運転状態、例えば、エンジン回転速度と、運転者のアクセルペダルの操作に応じたアクセル開度により、エンジン制御装置(本発明の制御部に対応)において、目標燃料噴射量を算出し、それに対応した噴射指令信号を各気筒の燃料噴射弁に出力することによって行っている。しかし、例えば、燃料噴射弁の製造公差により、燃料噴射弁内のノズルニードルのリフト量や、燃料噴射孔の面積にばらつきがあり、実燃料噴射量にばらつきを生じる。また、各気筒の吸気量のばらつきや気筒の寸法にもばらつきがある。このような各種要因により、各気筒の燃料噴射弁に同じ波形の燃料噴射指令信号を出力しても各気筒間の発生トルクの差を生じる原因となっていた。
この気筒間の発生トルクの差は、エンジン回転角速度又はクランク角速度の変動によって検出することができ、従来は前記した各種要因の総合結果としての発生トルクの差をそのままにして、単に、発生トルクの差を抑制するようにインジェクタへの噴射指令信号を補正していた。
一方、排気ガス規制に対応すべく、気筒の燃焼室への実際の燃料供給量の制御精度の向上という要請が高まってきた。
これに対し、特許文献1には、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、燃料蓄圧部から分岐した高圧燃料供給通路(本願発明の燃料供給通路に対応)を通じて供給される燃料を内燃機関の各気筒内に噴射する燃料噴射弁、及び燃料噴射弁から燃料を噴射するための噴射指令信号を出力する制御部を備えた燃料噴射装置において、高圧燃料供給通路に配置されたベンチュリ形狭隘部に、差圧を検出する差圧センサと、を備え、制御部は、差圧センサからの信号にもとづいてベンチュリ形狭隘部を通過する実燃料流量を算出する燃料噴射装置の技術が記載されている。
特開2003−184632号公報(図4、図12、及び段落[0051]〜[0058]参照)
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、ベンチュリ形狭隘部の最小絞り成形に限界があり、滑らかに、かつ急激に絞ることが管の絞り加工技術上難しく、又、最小径を十分に小さくできない等、ベンチュリ形狭隘部を高精度に形成することは難しい。また、ベンチュリ形狭隘部の差圧の発生も小さく、燃料噴射弁の燃料噴射時の燃料供給量をベンチュリ形狭隘部の差圧から正確に算出することは困難である。
更に、各気筒の燃焼室に燃料を供給する高圧燃料供給通路それぞれにベンチュリ形狭隘部の差圧を検出する差圧センサを設けており、気筒数分だけ差圧センサの数が必要であり、燃料噴射装置の部品点数が増加し、コスト増となる課題があった。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、燃料噴射装置の部品点数の増加を抑制して、噴射される実燃料噴射量を正確に算出できる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した複数の燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料を噴射するための噴射指令信号を出力する制御部を備えた燃料噴射装置において、燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサを備え、
複数の燃料供給通路のうち少なくとも1本の燃料供給通路は、オリフィスと、オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサとを有し、各気筒のうちの第1の気筒に燃料噴射弁を介して燃料を供給する第1の燃料供給通路を構成し、複数の燃料供給通路のうち、第1の燃料供給通路以外の他の燃料供給通路は、オリフィスを有し、各気筒のうちの第2の気筒に燃料噴射弁を介して燃料を供給する第2の燃料供給通路を構成し、
制御部は、蓄圧部圧力センサからの信号及び燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて、第1の燃料供給通路のオリフィスの上流側及び下流側の差圧を算出し、算出した差圧を用いて第1の燃料供給通路を通じた第1の気筒の燃料噴射弁への第1の実燃料供給量を算出し、そのとき、第1の燃料供給通路を通じた第1の気筒の燃料噴射弁への燃料供給に伴う第1の燃料供給通路内に生じる圧力変動が、燃料蓄圧部に伝播したものを、蓄圧部圧力センサで検出し、その検出された信号にもとづいて圧力低下量を算出し、算出した圧力低下量を用いて第1の燃料供給通路を通じた第1の気筒の前記燃料噴射弁への第2の実燃料供給量を算出し、算出された第1の実燃料供給量と算出された第2の実燃料供給量との比から算出補正係数を取得し、
第2の燃料供給通路を通じた第2の気筒の燃料噴射弁への燃料供給に伴う第2の燃料供給通路内に生じる圧力変動が、燃料蓄圧部に伝播したものを、蓄圧部圧力センサで検出し、その検出された信号にもとづいて圧力低下量を算出し、算出した圧力低下量を用いて第2の燃料供給通路を通じた第2の気筒の燃料噴射弁への第3の実燃料供給量を算出した後に、第3の実燃料供給量を算出補正係数で補正することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第1の燃料供給通路を通じて第1の気筒の燃料噴射弁に供給される第1の実燃料供給量を正確に算出できる。そのとき、第1の燃料供給通路を通じて第1の気筒の燃料噴射弁に燃料供給することにより生じるその第1の燃料供給通路内の圧力変動が、燃料蓄圧部に伝播したものを、蓄圧部圧力センサで検出し、圧力低下量を算出して、第2の実燃料供給量を計算できる。
この第2の実燃料供給量の算出方法は、第3の実燃料供給量の算出方法と同じであり、より精度の高い第1の実燃料供給量の算出方法にもとづき、第1の実燃料供給量と第2の実燃料供給量の比から算出補正係数を得て、その算出補正係数を第3の実燃料供給量に乗じることにより、補正された第3の実燃料供給量の精度が向上する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、燃料噴射弁は、燃料噴射時に第1及び第2の燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を第1及び第2の気筒の燃焼室へ供給する構造であり、制御部は、算出された実燃料供給量を実際に第1及び第2の気筒に噴射される実燃料噴射量として算出し、当該実燃料噴射量にもとづいて燃料噴射制御をすることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、燃料噴射弁がいわゆる直動式の場合には、算出された燃料噴射弁への実燃料供給量が実際に気筒に噴射される実燃料噴射量と同じであり、この実燃料噴射量にもとづいて正確な燃料噴射制御をすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、燃料噴射弁は、燃料噴射時に第1及び第2の燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、制御部は、算出された実燃料供給量のうち、戻り燃料配管に戻らないで実際に第1及び第2の気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、算出された実燃料供給量及び所定の実噴射量換算係数の値にもとづいて算出し、当該実燃料噴射量にもとづいて燃料噴射制御をすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、燃料噴射弁がいわゆる背圧式の場合でも、算出された燃料噴射弁への実燃料供給量に所定の実噴射量換算係数の値を乗じることによって実燃料噴射量を算出することができる。そして、この実燃料噴射量にもとづいて正確な燃料噴射制御をすることができる。
本発明によれば、(1)燃料噴射装置の部品点数の増加を抑制して、噴射される実燃料噴射量を正確に算出できる燃料噴射装置を提供することと、(2)噴射される実燃料噴射量を正確に算出できる信頼性の高い燃料噴射装置を提供することができる。
《第1の実施形態》
以下に、本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射装置について図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Aは、エンジン制御装置(制御部)80A(以下、ECU80Aと称する)により電子制御されるモータ63によって駆動される低圧ポンプ3A(フィードポンプとも呼ばれる)及びエンジンクランク軸から取り出された駆動力で機械的に駆動される高圧ポンプ3B(サプライポンプとも呼ばれる)と、この高圧ポンプ3Bから高圧燃料が供給されるコモンレール(燃料蓄圧部)4と、内燃機関、例えば、4気筒のディーゼルエンジン(以下、エンジンと呼ぶ)の各気筒41(図1では、41A,41B,41C,41Dと表示し、それぞれに「#1」、「#2」、「#3」、「#4」と気筒番号を付してある)の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給するインジェクタ(燃料噴射弁)5Aと、ECU80Aにより電子制御されるインジェクタ5Aに内蔵のアクチュエータ6Aを含んで構成される。
ここで、低圧ポンプ3A及び高圧ポンプ3Bは、請求項に記載の「燃料ポンプ」に対応し、気筒41Aは、請求項に記載の「第1の気筒」に対応し、気筒41B,41C,41Dは、請求項に記載の「第2の気筒」に対応する。
低圧ポンプ3A及びモータ63は、燃料タンク2内にフィルタ62とともに組み込まれ、低圧燃料供給配管61により燃料タンク2から高圧ポンプ3Bの吸い込み側に燃料を供給する。低圧ポンプ3Aの吐出側と高圧ポンプ3Bの吸い込み側との間の低圧燃料供給配管61にはストレーナ64、逆止弁68を内蔵した流量調整弁69が直列に配置され、ストレーナ64には、図示省略の差圧センサが設けられ、その信号がECU80Aに入力されて、ECU80Aが低圧ポンプ3Aやフィルタ62やストレーナ64の異常(低圧燃料供給量低)を検出できるようになっている。
低圧燃料供給配管61のストレーナ64と流量調整弁69との中間から分岐した戻り配管65が、調圧弁67を経由して低圧ポンプ3Aの過剰な燃料供給を燃料タンク2に戻すようになっている。
高圧ポンプ3Bには、吐出される燃料温度を検出する燃料温度センサSTfが設けられ、その信号をECU80Aに出力している。
高圧ポンプ3Bから吐出配管70に吐出された高圧燃料は比較的に高い圧力の高圧燃料を蓄圧するサージタンクの一種で、コモンレール4に蓄圧される。コモンレール4にはコモンレールの圧力Pc(以下、コモンレール圧力Pcと称する)を検出するコモンレール圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)SPcが設けられ、その検出圧信号はECU80Aに出力される。ECU80Aは、前記した流量調整弁69により高圧ポンプ3Bへ吸入される燃料の量の調整をするとともに、コモンレール4と燃料タンク2とを接続する戻り配管71の途中に配置された圧力調整弁72によりコモンレール圧力Pcが後記する目標コモンレール圧力より所定値以上高くなると、燃料タンク2にリリースしてコモンレール4の圧力を、車両の運転状態、例えば、エンジン回転速度Neや後記する要求トルクTrqsolに応じて、例えば、30MPa〜200MPaの所定の目標圧力に制御する。
なお、燃料タンク2、フィルタ62、低圧ポンプ3A、高圧ポンプ3B、低圧燃料供給配管61、ストレーナ64、戻り配管65、調圧弁67、流量調整弁69、吐出配管70等は燃料供給系を構成し、特に燃料タンク2、フィルタ62、低圧ポンプ3A、低圧燃料供給配管61、ストレーナ64、戻り配管65、調圧弁67等は、燃料供給系の低圧部を構成し、高圧ポンプ3B、吐出配管70は、燃料供給系の高圧部を構成している。
また、コモンレール4はインジェクタ5Aと高圧燃料供給通路(燃料供給通路)21A,21B,21B,21Bにより連通するように構成されている。4本の高圧燃料供給通路21A,21B,21B,21Bのコモンレール4寄りには、オリフィス75がそれぞれ設けられ、1本の高圧燃料供給通路21Aのオリフィス75の下流側(コモンレール4から遠ざかる側)から取り出される圧力検出管が燃料供給通路圧力センサSPsに接続され、3本の高圧燃料供給通路21Bには燃料供給通路圧力センサSPsが設けられていない。
以下では、特別に高圧燃料供給通路21Aと高圧燃料供給通路21Bとを区別する必要がある場合を除いて、総称として高圧燃料供給通路21と称する。
そして、高圧燃料供給通路21Aは、請求項に記載の「第1の燃料供給通路」に対応し、高圧燃料供給通路21B,21B,21Bは、請求項に記載の「第2の燃料供給通路」に対応する。
なお、このオリフィス75の位置から下流側の高圧燃料供給通路21及びインジェクタ5Aの燃料噴射孔10までの燃料通路(インジェクタ5A内の図示省略の燃料通路及びノズルニードル周囲に設けられる油溜り)を含む燃料通路容積は、1つの気筒における吸気、圧縮、膨張、排気のサイクルのうちの膨張行程のために高圧燃料供給通路21を通じて供給する燃料の最大実燃料供給量、例えば、アクセルを一杯踏み込まれて最大トルクが必要とされる時のような場合の最大実燃料供給量を超える燃料通路容積とする。
ここで、最大実燃料供給量は、多段噴射の場合はその積分量である。
エンジンの各気筒のインジェクタ5Aまでの高圧燃料供給通路21の長さに配管引き回し設計上差が生じるのは当然であり、高圧燃料供給通路21の前記オリフィス75を設ける位置は、前記した燃料通路容積を確保した上で、各気筒が同じ燃料通路容積となるように適宜調節する。
なお、以下では燃料噴射量は単に「噴射量」と、目標燃料噴射量は単に「目標噴射量」、実燃料噴射量は単に「実噴射量」と称する。
また、ECU80Aにおいて燃料供給通路圧力センサSPsから入力された燃料供給通路圧力Psの信号には高周波のノイズをカットするフィルタ処理を行う。ここで燃料供給通路圧力Psをフィルタ処理したものを燃料供給通路圧力Psfil、又は、単に「圧力Psfil」と称することにする。
このように燃料供給通路圧力センサSPsから入力された圧力信号をフィルタ処理することにより、ECU80Aにおいて図示しないクランク角センサや、気筒判別センサからの信号及びECU80A内で発生させる気筒別の噴射指令信号にもとづいて、ある気筒において燃料噴射が完了して、「膨張行程」、「排気行程」と続いて、「吸気行程」、「圧縮行程」に入ると、燃料供給通路圧力センサSPsからの圧力Psfilの信号は、比較的圧力振動の少ない状態となり、コモンレール圧力Pcと略同じ値となる。
なお、本実施形態では、コモンレール圧力センサSPcも、燃料供給通路圧力センサSPsからの圧力信号と同様にフィルタ処理してあるが、そのコモンレール圧力は、単にPcと記載する。
本実施形態のインジェクタ5Aは、直動式のインジェクタである(詳細な構成の1例は、先願の特願2008−165383(未公開)の図2を参照方)。
次に図2から図4を参照しながら、適宜図5を参照して本実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置(ECU80A)について説明する。
図2は、本実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図であり、図3は、目標噴射量Qiに対する噴射時間Tiを決定するための二次元マップの構成概念図であり、図4は、噴射時間の補正係数を取得するための目標噴射量、噴射時間及びコモンレール圧力をパラメータとした補正係数K1のマップの構成概念図である。
ECU80Aは、図示省略するがマイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の不揮発メモリを含む)、インターフェース回路、アクチュエータ6Aを駆動するアクチュエータ駆動回路806(図2中、806A〜806Dと表示)等を含む。前記マイクロコンピュータは、図示省略のエンジン回転速度センサ、気筒判別センサ、クランク角センサ、水温センサ、吸気温度センサ、吸気圧センサ、アクセル(スロットル)開度センサ、燃料温度センサSTf、コモンレール圧力センサSPc、燃料供給通路圧力センサSPs等の各センサからの信号を用いて、最適な噴射量及び噴射時期を演算してアクチュエータ6Aを電子制御する。アクチュエータ6Aとしては、応答速度の速いピエゾ素子のスタックを用いる。
ちなみに、前記マイクロコンピュータのCPUとしては、演算速度が速い、例えば、マルチコアタイプのCPUであることが望ましい。
なお、モータ63を駆動するモータ駆動回路を、ECU80Aが含んでも良いし、ECU80Aの外部に別個設けても良い。
以下では、ECU80Aに含まれるマイクロコンピュータで制御される内容を、単にECU80Aの制御として表現する。また、後記する本実施形態の変形例、第2から第4の実施形態及びその変形例におけるECU80A’,80B〜80D,80B’〜80D’のハード的な構成もECU80Aと同じである。
(制御の概要)
前記ECU80Aにおけるエンジン制御の基本的な処理の概要は、図2の機能ブロック図に示されている。要求トルク演算部801において、アクセル開度θthとエンジン回転速度Neにもとづいて要求トルクTrqsolを算出する。目標噴射量演算部802において、エンジン回転速度Neと前記算出された要求トルクTrqsolとにもとづいて目標噴射量Fsolを算出する。噴射制御部805Aにおいて、エンジン回転速度Ne、前記算出された要求トルクTrqsol、前記算出された目標噴射量Fsol、TDC信号、クランク角信号、コモンレール圧力センサSPc(図1参照)からのコモンレール圧力Pc、高圧燃料供給通路21Aに設けられた燃料供給通路圧力センサSPsからの燃料供給通路圧力Psfil等にもとづき燃料噴射の噴射開始指令時期を決定し、目標噴射量に応じた補正された噴射時間を決定し、噴射終了指令時期を決定し、噴射開始指令時期と噴射終了指令時期の設定を行い、噴射指令信号としてアクチュエータ駆動回路806A、806B,806C,806Dに出力し、各インジェクタ5Aのアクチュエータ6Aを駆動する。
また、噴射制御部805Aにおいては、各気筒41のインジェクタ5Aへの実燃料供給量を算出する。噴射制御部805Aは、前記算出された実燃料供給量が、とりもなおさずインジェクタ5Aの実噴射量に対応するので、前記目標噴射量と算出された実噴射量との比を補正係数として登録して、前記した噴射時間の決定時に噴射時間を補正する。
噴射制御部805Aの詳細な構成とその作用については、後記する。
また、ECU80Aの要求トルク演算部801において算出された要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、コモンレール圧力演算部803においてコモンレール圧力の二次元マップ803aを参照して目標コモンレール圧力Pcsolを算出し、これを用いてコモンレール圧制御部804がコモンレール圧力Pcの信号と比較して、流量調整弁69と圧力調整弁72に制御信号を出力し、コモンレール圧力Pcを目標コモンレール圧力Pcsolになるように制御する。
具体的には、前記ECU80Aには、アクセル開度θth及びエンジン回転速度Neの変化における、実験的に決定された最適な要求トルクTrqsolを記録した二次元マップ801aと、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsolの変化における、実験的に決定された最適な目標噴射量Fsolを記録した二次元マップ802aとがそれぞれ前記したECU80Aを構成するROM上に電子的に格納されている。
同様に、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsolの変化における、実験的に決定された最適な目標コモンレール圧力Pcsolを記録したコモンレール圧の二次元マップ803aが前記したROM上に電子的に格納されている。
(噴射制御部)
次に、噴射制御部805Aについて図2を参照しながら詳細に説明する。
図2に示すように、噴射制御部805Aは、噴射指令信号設定部810、実燃料供給情報検出部813A、実燃料噴射情報検出部814Aを含んでいる。そして、噴射指令信号設定部810は、更に噴射情報演算部811、個別噴射情報設定部812、補正係数演算部815、出力制御部817を含んでいる。
噴射情報演算部811は、目標噴射量演算部802からの目標噴射量Fsol、コモンレール圧力Pcにもとづいて噴射時間Tiを算出して決定する。
噴射情報演算部811は、図3に示すようなコモンレール圧力Pcをパラメータとして、横軸の目標噴射量Qiに対する縦軸の噴射時間Tiを決定するための二次元マップ811aを有している。ここで、図3では、横軸を目標噴射量Qiとしているが、目標噴射量Qiは、図2における目標噴射量演算部802において算出される目標噴射量Fsolのことである。
具体的には、前記ECU80Aには、目標噴射量Qi及びコモンレール圧力Pcの変化における、実験的に決定された最適な噴射時間Tiを記録した二次元マップ811aが前記したECU80Aを構成するROM上に電子的に格納されている。
個別噴射情報設定部812は、TDC信号、クランク角信号、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsol、噴射情報演算部811で決定された噴射時間Tiにもとづいて、最終的に燃料噴射の噴射開始指令時期tS、噴射終了指令時期tEを設定して、出力制御部817に出力する。
ここで、個別噴射情報設定部812は、図4に示すように、目標噴射量Fsol、噴射時間Ti、コモンレール圧力Pcをパラメータとした噴射時間Tiを補正する後記する補正係数K1の三次元マップ(以下、単に補正係数のマップと称する)812a,812b,812c,812dを各気筒41(図1では、41A,41B,41C,41Dと表示)に対応させて有しており、この補正係数のマップ812a,812b,812c,812dに登録して学習更新できるようになっている。
具体的には、前記ECU80Aには、噴射時間Ti、目標噴射量Fsol及びコモンレール圧力Pcの変化における、初期設定された補正係数のマップ812a,812b,812c,812dがそれぞれ前記したECU80Aを構成する不揮発メモリ上に電子的に格納されている。
補正係数のマップ812a,812b,812c,812dは、同一のデータ構造である。
個別噴射情報設定部812は、目標噴射量Fsolの所定区間、噴射時間Tiの所定区間、コモンレール圧力Pcの所定区間の単位三次元空間に含まれるという条件のときに、補正係数K1を、当該の気筒41対応する補正係数のマップ812a,812b,812c,812dのうちの1つに、時系列的にその単位三次元空間に対応づけて所定個数だけ登録する。つまり、補正係数K1の所定個数による移動平均〈K1〉を算出できるように補正係数K1を格納する。
そして、個別噴射情報設定部812において、噴射情報演算部811から入力された噴射時間Tiに対して、補正係数のマップ812a,812b,812c,812dのうちの1つを参照して補正係数K1の移動平均〈K1〉(以下では、補正係数K1の移動平均〈K1〉を単に補正係数〈K1〉と称する)を取得し、補正係数〈K1〉を乗じて、補正された噴射時間Ti(=Ti×〈K1〉)を得て用いる。
個別噴射情報設定部812における補正係数のマップ812a,812b,812c,812dの更新の方法は、図6のフローチャートの中で説明する。
補正係数演算部815では、目標噴射量演算部802から入力される目標噴射量Fsolと実燃料噴射情報検出部814Aから入力される後記する実噴射量Qisumとから、当該する気筒41に対する補正係数K1を算出して、その気筒41に対応する補正係数のマップ812a,812b,812c,812dのいずれかに算出された補正係数K1を登録して、その補正係数のマップを更新する。
出力制御部817は、個別噴射情報設定部812から入力された噴射開始指令時期tS、噴射終了指令時期tEを示す噴射指令信号を、対応する気筒41のアクチュエータ駆動回路806(図2中では、806A,806B,806C,806Dと表示)に出力するとともに、実燃料供給情報検出部813Aにも出力する。
実燃料供給情報検出部813Aは、気筒(第1の気筒)41A(図1参照)への燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21A(図1参照)のオリフィス75の下流側に設けられた燃料供給通路圧力センサSPsから得られる燃料供給通路圧力Psfilと、コモンレール圧力センサSPcから得られるコモンレール圧力Pcとの差圧(Pc−Ps)を算出する。この差圧(Pc−Ps)はオリフィス75を燃料が通過するときのオリフィス差圧ΔPORに対応する。実燃料供給情報検出部813Aは、燃料温度センサSTfからの燃料温度Tfの信号と、前記したオリフィス差圧ΔPORとにもとづいてオリフィス通過流量率QORを算出し、最終的にオリフィス通過流量率QORを時間積分して実燃料供給量Qsumを算出する。算出された実燃料供給量Qsumは、実燃料噴射情報検出部814Aに出力される。
図5の(a)は、#1の気筒で燃料噴射した後、同じクランク角で再び燃料噴射するまでの、各気筒に対する噴射指令信号のタイミングを示す説明図、(b)は、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した圧力変化を示す図である。
図5の(b)の破線で囲って示したA部に示すように、#1の気筒(第1の気筒)41A(図1参照)における燃料噴射開始によるオリフィス75下流側の圧力低下と、その後の燃料噴射停止による反射波によるこの圧力変動(圧力脈動ともいう)に含まれる最初の圧力低下部分は、前記した高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21A(図1参照)のオリフィス75を燃料が通過するときのオリフィス差圧ΔPORの時間変化に対応する挙動を示す。
そして、#3の気筒(第2の気筒)41C(図1参照)、#4の気筒(第2の気筒)41D(図1参照)、#2の気筒(第2の気筒)41B(図1参照)における燃料噴射開始によるオリフィス75下流側の圧力低下と、その後の燃料噴射停止による反射波によるこの高圧燃料供給通路21B(第2の燃料供給通路)(図1参照)内でもA部に示すような圧力変動が生じ、その圧力変動はコモンレール4を経由して高圧燃料供給通路21Aのオリフィス75の下流側に伝播し、燃料供給通路圧力センサSPs(図1参照)で検出され、図5の(b)の破線で囲って示したB部に示すような圧力変動を示す。ところで、このB部に示す圧力変動に含まれる最初の圧力低下部分は、減衰はしているが、位相的にはA部の圧力変動と同じ挙動を示し、A部に示す圧力変動と振幅が異なるだけの相似であることが分かった。
ちなみに、図5の(b)におけるA部、B部の燃料噴射直前では、後記する圧力P0にほぼ整定していることが分かる。また、図5の(b)におけるB部で示した#2〜#4の気筒41B,41C,41Dへの燃料噴射に対応する圧力変動は、本来気筒41Aへのものと同一の噴射指令信号であるが、インジェクタ5A(図1参照)の噴射特性のばらつきと、#2〜#4の気筒41B,41C,41Dのインジェクタ5A,5A,5Aからの各燃料供給通路21B、コモンレール4を経由して燃料供給通路圧力センサSPsまでの距離が異なることにより、互いの間で圧力変動が少し異なる。
そこで、実燃料供給情報検出部813Aは、気筒(第2の気筒)41B、41C,41Dへの燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21Bを通じたインジェクタ5Aへの燃料供給に伴う高圧燃料供給通路21B内に生じる圧力変動が、コモンレール4を経由して、高圧燃料供給通路21Aのオリフィス75の下流側に伝播したものを、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した燃料供給通路圧力Psfilの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる最初の圧力低下部分の圧力低下量を算出する。
そして、実燃料供給情報検出部813Aは、燃料温度センサSTfからの燃料温度Tfの信号と、前記した圧力低下量にもとづいて高圧燃料供給通路21Bのオリフィス通過流量率QORを算出し、最終的にオリフィス通過流量率QORを時間積分して、伝播による減衰分を補償するためにゲインGを乗じて補正し、実燃料供給量Qsum *を算出する。算出された実燃料供給量Qsum *は、実燃料噴射情報検出部814Aに出力される。
実燃料噴射情報検出部814Aは、実燃料供給量Qsum *をそのまま燃料噴射の実噴射量Qisumとし、補正係数演算部815に入力する。
(ECU80Aにおける制御の流れ)
次に、図6を参照しながら適宜図2を参照してECU80Aにおける噴射制御の流れについて説明する。図6は、ECU80Aにおける1つの気筒の次の燃料噴射に対する噴射制御と、その燃料噴射の結果の実噴射量を取得する制御の流れを示すフローチャートである。
ステップS01では、要求トルク演算部801が、アクセル開度θth、エンジン回転速度Neにもとづいて、二次元マップ801aを参照して要求トルクTrqsolを算出する。ステップS02では、目標噴射量演算部802が、ステップS01において算出された要求トルクTrqsol、エンジン回転速度Neにもとづいて、二次元マップ802aを参照して目標噴射量Fsolを決定する。ステップS03では、噴射情報演算部811が、ステップS02で決定された目標噴射量Fsol、コモンレール圧力Pcにもとづいて、二次元マップ811aを参照して噴射時間Tiを決定する。
ステップS04では、個別噴射情報設定部812が、TDC信号及びクランク角信号から、次の燃料噴射の気筒41(以下、「当該気筒41」と称する)を判別して、補正係数のマップ812a,812b,812c,812dのうちの当該気筒41に対応した補正係数のマップを参照して、ステップS02で決定された目標噴射量Fsol、ステップS03で決定された噴射時間Ti、及びコモンレール圧力Pcにもとづいて補正係数〈K1〉を取得し、噴射時間を補正する(Ti=Ti×〈K1〉)。そして、ステップS05では、個別噴射情報設定部812が、ステップS01で算出された要求トルクTrqsol、エンジン回転速度Ne、クランク角信号、ステップS04で補正された噴射時間Ti等にもとづいて、噴射開始指令時期tS、噴射終了指令時期tEを設定し、噴射指令信号として出力制御部817に出力する。ただし、tE=tS+Tiである。
ステップS06では、出力制御部817が、当該気筒41に対応するアクチュエータ駆動回路806(図2では、806A,806B,806C,806Dと表示)に噴射指令信号を出力するとともに、実燃料供給情報検出部813Aにも噴射指令信号を出力する。
なお、アクチュエータ駆動回路806及び実燃料供給情報検出部813Aに出力される噴射指令信号である噴射開始指令時期tS、噴射終了指令時期tEには、前記した当該気筒41が#1、#2、#3、#4のいずれであるかを示す気筒識別信号が付加されている。その気筒識別信号により、アクチュエータ駆動回路806A,806B,806C,806D側は、受信した噴射指令信号が自気筒への噴射指令信号であるかどうかを判別してアクチュエータ6Aを駆動制御する。
ステップS07では、後記する実燃料供給情報検出部813A及び実燃料噴射情報検出部814Aにおける処理によって得られた実噴射量Qisumを、補正係数演算部815が取得する。
なお、実燃料供給情報検出部813A及び実燃料噴射情報検出部814Aにおける処理について、図8、図9のフローチャートの中で詳細に説明する。
ステップS08では、補正係数演算部815が、ステップS02で決定された目標噴射量Fsol、及び、ステップS07で取得された実噴射量Qisumの比として、補正係数K1を算出する(K1=Fsol/Qisum)。ついで、ステップS09では、補正係数演算部815が、当該気筒41に対応する補正係数のマップ812a,812b,812c,812dのいずれかに、ステップS08で算出された補正係数K1を登録して、その補正係数のマップを更新する。これにより1つの気筒に対する次の燃料噴射に対する噴射制御と、その燃料噴射の結果の実噴射量を取得する一連の制御が終了する。
(実燃料供給量の算出及び実噴射量算出の制御)
次に、図5、図7を参照しながら適宜図1を参照して高圧燃料供給通路21A,21Bの実燃料供給量Qsum,Qsum *の算出の原理を説明する。図7は、基準圧力低下線の説明図であり、(a)は、燃料噴射によるコモンレール圧力の平均的な低下線を示す説明図、(b)は、高圧燃料供給通路21Bにおける圧力変動に対する第1の基準圧力低下線を示す図、(c)は、高圧燃料供給通路21Aにおける圧力変動に対する第2の基準圧力低下線を示す図である。
図5の(b)において、「#1」示した気筒41A(図1参照)に燃料を供給する高圧燃料供給通路21A(図1参照)に設けられた燃料供給通路圧力センサSPsで検出される圧力Psfilは、A部に示すように、自気筒(#1の気筒41A)のインジェクタ5Aからの燃料噴射のとき、噴射開始に伴い急減圧の後、噴射終了による反射波による圧力急昇伴う圧力変動となる。このとき、高圧燃料供給通路21Aのこの圧力変動が、オリフィス75の上流側のコモンレール4にも伝播して、ほぼ同様の圧力変動となるが、コモンレール圧力Pcと燃料供給通路圧力Psfilとの差圧(Pc−Psfil)を得てオリフィス差圧ΔPORとすることによって、高圧燃料供給通路21Aのオリフィス75を実際に通過する燃料流れを次式(1)から計測することができる。
Figure 0004996580
そして、この流れが終わるとき、つまり、オリフィス差圧ΔPORが0となる時点において、オリフィス75の上流側の圧力は燃料噴射完開始前の初期の圧力より必ず低くなる傾向にあること、燃料の噴射時間が長くなるほどその低下量が大きくなるという実験データにもとづいて、オリフィス上流側の基準圧力低下線を図7の(c)のように設定することができる。
これは、コモンレール圧力Pcの燃料噴射による平均的な圧力低下は次式(2),(3)のように表わされることからも明らかである。
Figure 0004996580
ここで、
1:定数
V:コモンレール4、4本の高圧燃料供給通路21及びインジェクタ5A内の燃料通
路を含む全体積
in:燃料のコモンレール4への高圧ポンプ3Bからの流入量率(mm3/sec)
inject:インジェクタ5Aから燃焼室内への燃料噴射率(mm3/sec)
である。
ここで、図7の(a)の初期値P0は、燃料供給通路圧力センサSPsで検出された燃料供給通路圧力Psの信号から高周波ノイズ、例えば、高圧ポンプ3Bの充填動作による圧力脈動や、他の気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をして、圧力変動を伝播させたことによる圧力変動の残留成分や、自気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をした後の反射波による圧力変動の残留成分等の高周波成分をフィルタ処理して取り除き、その後に残った圧力変動における振動の下限の値を所定値P0と設定する。この値は、コモンレール圧力Pcと同等の前記圧力変動の減衰した整定状態(以下、「コモンレール圧力同等の圧力検出状態」と称する)での燃料供給通路圧力Psfilとして検出される値に対して所定の圧力ゆらぎの幅を事前に試験により求めておくことで、容易に設定できる。この初期値P0の値は、例えば、コモンレール圧Pcの関数として実燃料供給情報検出部813Aが参照可能に、予めROMに格納しておくと良い。
そこで、高圧燃料供給通路21Aにおけるオリフィス差圧ΔPORとして、前記した差圧(Pc−Psfil)を用いる代わりに、図7の(c)に示す高圧燃料供給通路21Aにおける圧力変動に対するオリフィス上流側の圧力低下として第2の基準圧力低下線、例えば、直線タイプの第2の基準圧力低下線x2、二次曲線タイプの第2の基準圧力低下線y2を用い、その基準圧力低下線x2又は基準圧力低下線y2からの圧力Psfilの低下量をオリフィス差圧ΔPORとして用いて、実燃料供給量Qsumを算出することもできる。この方法を用いた実施形態の説明は、後記する第2の実施形態で行う。
ところで、高圧燃料供給通路21B,21B,21Bを通じてインジェクタ5A,5A,5Aに供給され、気筒41B,41C,41Dの燃焼室に燃料噴射される場合には、各高圧燃料供給通路21B内でも、図5の(b)におけるA部に示したような圧力変動を生じる。その圧力変動はコモンレール4を経由して、高圧燃料供給通路21Aのオリフィス75の下流側に設けた燃料供給通路圧力センサSPsで検出され、図5の(b)におけるB部に示すような圧力変動として捉えることができる。
図5の(b)の説明のところで前記したように圧力変動の振幅が減衰しているが、位相的にはA部の圧力変動と同じ挙動を示し、A部に示す圧力変動と相似である。そこで、圧力変動における最初の圧力低下部分に対して、前記した第2の基準圧力低下線と同様の考え方で、図7の(b)に示すような第1の基準圧力低下線を設定して、例えば、直線タイプの第1の基準圧力低下線x1、二次曲線タイプの第1の基準圧力低下線y1を用い、その第1の基準圧力低下線x1又は基準圧力低下線y1からの圧力Psfilの低下量を、あたかも高圧燃料供給通路21Aのオリフィス差圧ΔPORと擬して用いても、実燃料供給量Qsum *を算出できることが分かった。ただし、高圧燃料供給通路21B内で燃料噴射に伴って生じた圧力変動がコモンレール4を経由して高圧燃料供給通路21Aに伝わる間に減衰している分だけ、ゲインGを乗じて補償する。
なお、この第1の基準圧力低下線及びゲインGは、コモンレール圧力Pc又は前記したコモンレール圧力同等の圧力検出状態における燃料供給通路圧力Psfilの変化に依存する値として予めROMに格納されたデータマップから参照して設定することが望ましい。
特許第2833210号公報には、高圧燃料ポンプからの吐出を停止している間の燃料噴射による平均のコモンレール圧の低下量を検出して実噴射量を算出し、算出された実噴射量にもとづいて目標噴射量を補正する技術が記載されているが、燃料噴射に伴う比較的に大きな圧力変動そのものを利用せず、変化量の小さい平均のコモンレール圧の低下量にもとづいているので、圧力検出の誤差がそのまま実噴射量の誤差として大きく影響しやすい。その点、本実施形態では、第2の気筒である気筒41B,41C,41Dの燃焼室内への燃料噴射による圧力変動における最初の圧力低下部分の圧力低下量を利用するので、圧力変化の検出上有利である。
ちなみに、図7の(b),(c)におけるPiは燃料噴射開始前の燃料供給通路圧力Psfilの初期値を示し、この値は後記するようにフローティングである。図7の(b),(c)に示すように燃料の噴射時間が長くなるほど初期値Piからの低下量が増加する。
次に、図8、図9を参照しながら実燃料供給情報検出部813A及び実燃料噴射情報検出部814Aにおける実燃料供給量の算出方法及び実燃料噴射量への換算方法について説明する。図8、図9は、実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量算出の制御の流れを示すフローチャートである。
図8、図9のフローチャートのステップS11〜S19、ステップS21〜S27は、実燃料供給情報検出部813Aにおいて行われる処理であり、ステップS20,S28は、実燃料噴射情報検出部814Aにおいて行われる処理である。
ちなみに、ステップS21〜S28において、オリフィス通過流量率QOR、実燃料供給量Qsum *と記載しているが、前記したようにそれらの量に擬しているだけである。
ステップS11では、実燃料供給情報検出部813Aは、出力制御部817から出力される噴射指令信号から噴射開始を受信したか否かをチェックする。燃料噴射の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS12へ進み、受信していない場合(No)はステップS11を繰り返す。ステップS12では、燃料噴射による燃料のオリフィス75の通過流量に相当する実燃料供給量Qsum,Qsum *を0.0にリセットする。ステップS13では、噴射指令信号に付加されている気筒識別信号から、オリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを有する高圧燃料供給通路21Aから燃料供給される第1の気筒(つまり、図1において「#1」と表示の気筒41A)であるか、オリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを有しない高圧燃料供給通路21Bから燃料供給される第2の気筒(つまり、図1において「#2」〜「#4」と表示の気筒41B,41C,41Dのうちのいずれか)であるかを判定する。第1の気筒の場合は、ステップS14へ進み、第2の気筒の場合は、連結子(A)に従ってステップS21へ進む。
ステップS14では、コモンレール圧力Pcと燃料供給通路圧力Psfilとの差圧(Pc−Psfil)をオリフィス差圧ΔPORとして算出し、所定閾値以上の正のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の正のオリフィス差圧ΔPORを検出した場合(Yes)は、ステップS15へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS14を繰り返す。
ここで、正のオリフィス差圧ΔPORとは、コモンレール4側からインジェクタ5A側への燃料の流れを生じたときに発生するオリフィス差圧ΔPORであり、逆方向の燃料の流れを生じたときに発生するのが負のオリフィス差圧ΔPORである。
このステップS14のチェックは、「ゆらぎ」以上の差圧(Pc−Psfil)という意味と、燃料噴射に伴うオリフィス通過流によって生じた差圧(Pc−Psfil)であることをチェックするものである。
ステップS15では、オリフィス差圧ΔPOR〔つまり、差圧(Pc−Psfil)〕を算出して、高圧燃料供給通路21Aのオリフィス通過流量率QOR(mm3/sec)を算出する。
ちなみに、オリフィス差圧ΔPORから燃料のオリフィス通過流量率QORは前記した式(1)により容易に算出できる。
ステップS16では、Qsum=Qsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS17では、噴射指令信号から燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS18へ進み、受信していない場合(No)はステップS15へ戻り、ステップS15〜ステップS17を繰り返す。ステップS18では、オリフィス差圧ΔPORを算出して、所定閾値以上の負のオリフィス差圧ΔPORを検出したか否かをチェックする。所定閾値以上の負のオリフィス差圧ΔPORを検出した場合(Yes)は、ステップS19へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS15へ戻り、ステップS15〜ステップS18を繰り返す。
このステップS18のチェックは、「ゆらぎ」以上の負の差圧(Pc−Psfil)という意味と、燃料噴射の終了に伴う反射波による負の差圧(Pc−Psfil)であることをチェックするものである。
ここでのステップS15〜S18の処理は、例えば、数μsec〜数十μsecの周期で行われ、Δtはオリフィス差圧ΔPORをサンプリングする周期であり、数μsec〜数十μsecである。
ステップS19では、ステップS15〜S18の繰り返しにおける最後の実燃料供給量Qsumを実燃料噴射情報検出部814Aへ出力する。
ステップS20では、実燃料噴射情報検出部814Aが、実燃料供給量Qsumを燃料噴射の実噴射量Qisumとする。そして、実噴射量Qisumは、補正係数演算部815に入力される。その後、ステップS11へ戻り、次の気筒41の実燃料供給量Qsumの算出及び実噴射量Qisumへの換算を繰り返す。
ここで、実噴射量Qisumは、請求項に記載の「実燃料噴射量」に対応する。
ステップS13において、噴射指令信号に付加されている気筒識別信号から、オリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを有しない高圧燃料供給通路21Bから燃料供給される第2の気筒(つまり、図1において「#2」〜「#4」と表示の気筒41B,41C,41Dのうちのいずれか)であると判定された場合は、連結子(A)に従ってステップS21へ進み、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが所定値よりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<P0−ΔPε)?〕。
所定値よりも低下した場合(Yes)はステップS22へ進み、そうでない場合(No)はステップS21を繰り返す。
ここで、ステップS21において、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが所定値よりも低下したと判定されたタイミングが請求項に記載の「第1のタイミング」に対応する。
ステップS22では、圧力Psfilを初期値Piとして第1の基準圧力低下線、例えば、図7の(b)に示すような基準圧力低下線x1を設定する。
なお、初期値Piは、所定値(P0−ΔPε)と一致する場合もあれば、圧力Psfilをサンプリングする繰返し周期の次の繰り返しのタイミングとなり、所定値(P0−ΔPε)と異なる値となる場合もある。
ステップS23では、初期値Piとする第1の基準圧力低下線から圧力Psfilまでの圧力低下量ΔPdownを算出して、オリフィス通過流量率QORを算出する。図11の(d)にΔPdownの定義を示す。
ここで、オリフィス通過流量率QORは、(1)式において、ΔPORの代わりに圧力低下量ΔPdownを代入することにより容易に算出できる。
ステップS24では、Qsum *=Qsum *+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS25では、噴射指令信号から燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS26へ進み、受信していない場合(No)はステップS23へ戻り、ステップS23〜ステップS25を繰り返す。ステップS26では、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが第1の基準圧力低下線よりも増加したか否かをチェックする。第1の基準圧力低下線よりも増加した場合(Yes)はステップS27へ進み、そうでない場合(No)はステップS23に戻りステップS23〜S26を繰り返す。
ここで、ステップS26において、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが第1の基準圧力低下線よりも増加したと判定されたタイミングが請求項に記載の「第2のタイミング」に対応する。
ステップS27では、ゲインGを参照して、ステップS23〜S26の繰り返しにおける最後の実燃料供給量Qsum *に対して、Qsum *=Qsum *×Gの演算をし、実燃料供給量Qsum *を実燃料噴射情報検出部814Aへ出力する。そして、ステップS27では、実燃料噴射情報検出部814Aが、ステップS27でゲインGを乗じられた実燃料供給量Qsum *を実噴射量Qisumとする。そして、実噴射量Qisumは、補正係数演算部815に入力される。その後、連結子(B)に従って、ステップS11へ戻り、次の気筒41の実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量への換算を繰り返す。
ここで、ステップS27におけるゲインGを乗じられた実燃料供給量Qsum *は、請求項に記載の「実燃料供給量」に対応し、又実噴射量Qisumは、請求項に記載の「実燃料噴射量」に対応する。
ここで、図10を参照しながら適宜図1、図2を参照してECU80Aにおける燃料の気筒(第1の気筒)41Aへの燃料噴射の実噴射情報の検出による燃料噴射の補正の方法について説明する。
図10は、第1の気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す説明図、(c)は、高圧燃料供給通路21Aの燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す説明図、(d)は、オリフィスの上下流側の圧力の時間推移を示す説明図である。
図10の(a)では、時間t1が噴射開始指令時期、時間t2が噴射終了指令時期である噴射時間Tiの燃料噴射の噴射指令信号が出されている。
これに対応して、図10の(b)に示すように直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aにおける燃料噴射の噴射開始時期はt1より少し遅れたt2となり、噴射終了時期はt3より少し遅れたt4となる。そして、燃料噴射の噴射開始時期t2から噴射終了時期t4の間の実燃料噴射率の時間積分値が実噴射量Qisumである。
燃料噴射による高圧燃料供給通路21Aの燃料のオリフィス75を通過するオリフィス通過流量率は、図10の(c)に示すように、インジェクタ5A(図1参照)内の図示しない燃料通路や高圧燃料供給通路21A(図1参照)の容積分だけパイロット燃料噴射の噴射開始時期t2より遅れたt2’から立ち上がり、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21Aの容積分だけ噴射終了時期t4より遅れてt4’にゼロに戻る。
図10の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は、図10の(d)に示すようにコモンレール圧力Pcの振動によってオリフィス上流側圧力が変動していても、差圧(Pc−Psfil)によりオリフィス差圧ΔPORが検出できるので、オリフィス通過流量率QORが算出できる。そして、図10の(c)に示す燃料噴射のオリフィス通過流量率で示した領域の面積は、直動式のインジェクタ5Aの場合、図10の(b)に示す実噴射量Qisumの面積に対応し、図10の(d)に示すドットで示した領域と対応している。
図10の(a)では、時間t1が噴射開始指令時期、時間t2が噴射終了指令時期である噴射時間Tiの燃料噴射の噴射指令信号が出されている。
これに対応して、図10の(b)に示すように直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aにおける燃料噴射の噴射開始時期はt1より少し遅れたt2となり、噴射終了時期はt3より少し遅れたt4となる。そして、燃料噴射の噴射開始時期t2から噴射終了時期t4の間の実燃料噴射率の時間積分値が実噴射量Qisumである。
燃料噴射による高圧燃料供給通路21Aの燃料のオリフィス75を通過するオリフィス通過流量率は、図10の(c)に示すように、インジェクタ5A(図1参照)内の図示しない燃料通路や高圧燃料供給通路21A(図1参照)の容積分だけパイロット燃料噴射の噴射開始時期t2より遅れたt2’から立ち上がり、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21Aの容積分だけ噴射終了時期t4より遅れてt4’にゼロに戻る。
本実施形態によれば、気筒41Aの燃焼室への燃料噴射における実噴射量Qisumが、その目標噴射量Fsolよりも例えば少ない場合は、前記したフローチャートのステップS04における制御により、図10の(a)の噴射指令信号の燃料噴射の噴射時間Tiを延長し、逆に多い場合は、噴射時間Tiを短縮して、実噴射量Qisumが目標噴射量Fsolと一致するように燃料噴射を制御できる。
次に、図11を参照しながら適宜図1、図2を参照してECU80Aにおける燃料の気筒(第2の気筒)41B,41C,41Dへの燃料噴射の実噴射情報の検出による燃料噴射の補正の方法について説明する。
図11は、第2の気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路21Aにおける圧力変動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す説明図、(c)は、高圧燃料供給通路21Bの燃料のオリフィス通過流量率に擬した時間推移を示す説明図、(d)は、高圧燃料供給通路21Aのオリフィスの下流側の圧力の時間推移を示す説明図である。
図11の(a),(b)は図10の(a),(b)と同じであり説明を省略する。図10の(d)に示すように、高圧燃料供給通路21Aの燃料供給通路圧力センサSPsの圧力Psfilが、所定の初期値P0から下へ閾値ΔPεを越えて低下した時点t2’(第1のタイミング)で、図11の(c)に示す高圧燃料供給通路21Bのオリフィス通過量率が立ち上がる。この時点t2’は、実際の燃料噴射開始時期t2よりも、圧力変動がインジェクタ5A内の燃料通路の長さや燃料供給通路21Bの長さ、コモンレール4を伝播する分だけ遅れている。そして、図11の(d)に示すように、高圧燃料供給通路21Aの燃料供給通路圧力センサSPsの圧力Psfilが、設定された第1の基準圧力低下線x1よりも増大した時点t4’(第2のタイミング)で、図11の(c)に示す高圧燃料供給通路21Bのオリフィス通過量率がゼロに戻る。
なお、図11の(c)は、あくまで高圧燃料供給通路21Bのオリフィス通過流量率QORに擬したものであり、実際にオリフィス差圧から測定されるオリフィス通過流料率QORではない。
ここで、図11の(c)の時間t2’〜t4’の実線で示したオリフィス通過流量率QORに擬した量の積分値は、ゲインGを乗じる前の実燃料供給量Qsum *であり、破線で示したオリフィス通過流量率QORに擬した量の積分値は、ゲインGを乗じた後の実燃料供給量Qsum *である。このように、高圧燃料供給通路21B内に生じた圧力変動が高圧燃料供給通路21Aにコモンレール4を介して伝播してきた圧力変動の最初の圧力低下部分の圧力低下量を検出することでも高圧燃料供給通路21Bを通じて供給された実燃料供給量Qsum *が検出できることがわかった。
以上に示した本実施形態によれば、各気筒41の燃料噴射における実噴射量Qisumが算出でき、実噴射量Qisumが目標噴射量Fsolに近づくように制御できるので、エンジンの出力制御がより正確に行え、エンジン振動やエンジン騒音が抑制される。
そして、特許文献1に示す様に各高圧燃料供給通路21A,21B,21B,21Bに差圧センサを設ける必要が無く、例えば、4気筒のディーゼルエンジンに対して1個の燃料供給通路圧力センサSPsを設けるだけでよく、部品点数が減じ、コストが低減できる。
また、前記したフローチャートのステップS04,S05に示したように、個々のインジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの噴射特性のばらつきを、燃料噴射時の目標噴射量Fsolと実噴射量Qisumの比の補正係数K1で、噴射時間Tiを補正して、実効的に補正された目標噴射量Fsolを用いていることと同じになるので、気筒間の出力トルクの変動や時間経過によるインジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの噴射特性の変化を補正でき、より正確な気筒間の出力トルク変動の抑制ができる。
その結果、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
なお、高圧燃料供給通路21Bにもオリフィス75を設け、高圧燃料供給通路21A,21Bのオリフィス75を設けた位置から下流側の高圧燃料供給通路21A,21Bの容積及びインジェクタ5Aの燃料通路をあわせた合計の容積は、前記したように燃料の最大実燃料供給量、例えば、アクセルを一杯踏み込まれて最大トルクが必要とされる時のような場合の最大実燃料供給量を超える燃料通路容積とし、オリフィス75がコモンレール4との流れの障壁となっているので、オリフィス75が設けられていない場合よりも燃料噴射に伴う高圧燃料供給通路21A,21B内での圧力低下及び噴射終了時の反射波は大きくなる。そして、高圧燃料供給通路21B内でのその大きくなった圧力変動が、コモンレール4を経由して高圧燃料供給通路21Aに伝播されるので、燃料供給通路圧力センサSPsでの圧力検出が大きくなり、第2の気筒の実燃料噴射量の精度が向上する効果がある。
《第1の実施形態の第1の変形例》
次に、本実施形態における第1の変形例について説明する。本変形例の第1の実施形態と異なる点は、(1)第1の気筒である気筒41Aのインジェクタ5Aの燃料噴射時の高圧燃料供給通路21Aによる実燃料供給量として、高圧燃料供給通路21Aにおけるオリフィス差圧ΔPORに相当する差圧(Pc−Psfil)にもとづいて算出する第1の実燃料供給量Qsumとともに、その当該気筒41Aの高圧燃料供給通路21A内に生じる圧力変動がコモンレール4に伝播してコモンレール圧力センサSPcで検出されるコモンレール圧力Pcにもとづいて算出する第2の実燃料供給量Qsum *をも取得する点と、(2)前記取得された第1の実燃料供給量Qsumと第2の実燃料供給量Qsum *をそれぞれ第1及び第2の実噴射量に換算し、第1の実噴射量と第2の実噴射量との比K2を算出補正係数として取得する点と、(3)第2の気筒である当該気筒41B,41C,41Dのいずれかへのインジェクタ5Aによる燃料噴射に伴って供給される実燃料供給流量Qsumを、その当該気筒41の高圧燃料供給通路21B内に生じる圧力変動がコモンレール4に伝播してコモンレール圧力センサSPcで検出されるコモンレール圧力Pcにもとづいて算出する第3の実燃料供給量Qsum *を取得する点と、(4)前記取得された第3の実燃料供給量Qsum *を第3の実噴射量に換算し、更に算出補正係数K2を乗じて第2の気筒の最終的な実燃料噴射量とする点である。
このような実燃料供給量及び実噴射量の算出方法の変更に伴い、図1では、燃料噴射装置1Aの代わりに燃料噴射装置1A’となし、ECU80Aの代わりにECU80A’となし、図2のエンジン制御装置の機能ブロック図では、ECU80Aの代わりにECU80A’となし、噴射制御部805Aの代わりに噴射制御部805A’となす。本質的には第1の実施形態と同じであり、大きく変わるところは実燃料供給情報検出部813Aの代わりに実燃料供給情報検出部813A’となり、実燃料噴射情報検出部814Aの代わりに実燃料噴射情報検出部814A’となるところである。
そして、実燃料供給情報検出部813A’は、気筒(第1の気筒)41A(図1参照)への燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21A(図1参照)のオリフィス75の下流側に設けられた燃料供給通路圧力センサSPsから得られる燃料供給通路圧力Psfilと、コモンレール圧力センサSPcから得られるコモンレール圧力Pcとの差圧(Pc−Psfil)にもとづいて第1の実燃料供給量Qsumを算出すると同時に、気筒(第1の気筒)41Aへの燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21A内に生じる圧力変動が、コモンレール4に伝播したものを、コモンレール圧力センサSPcで検出したコモンレール圧力Pcの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる圧力低下量を算出し、最終的に第2の実燃料供給量Qsum *を算出する。そして、算出した実燃料供給量Qsum、Qsum *を実燃料噴射情報検出部814A’に入力する。
また、実燃料供給情報検出部813A’は、気筒(第2の気筒)41B,41C,41D(図1参照)への燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21B内に生じる圧力変動が、コモンレール4に伝播したものを、コモンレール圧力センサSPcで検出したコモンレール圧力Pcの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる圧力低下量を算出し、第3の実燃料供給量Qsum *を算出する。そして、算出した第3の実燃料供給量Qsum *を実燃料噴射情報検出部814A’に入力する。
実燃料噴射情報検出部814A’は、気筒(第1の気筒)41Aへの燃料噴射に対して実燃料供給情報検出部813A’から得られた2つの第1及び第2の実燃料供給量Qsum、Qsum *の比K2を算出して、算出補正係数マップ814a(図2参照)に記憶させるとともに、実燃料供給量Qsumを実噴射量Qisumとする。
算出補正係数マップ814aは、例えば、コモンレール圧力Pcをパラメータとした一次元マップであり、前記したECU80A’を構成する不揮発メモリ上に記録可能に電子的に格納されている。
そして、実燃料噴射情報検出部814A’は、気筒(第2の気筒)41B,41C,41Dへの燃料噴射に対して、算出補正係数マップ814aから算出補正係数K2を読み込み、実燃料供給情報検出部813A’から出力された第3の実燃料供給量Qsum *に算出補正係数K2を乗じて補正されたものを実燃料供給量Qsumとするとともに、補正された実燃料供給量Qsumを実噴射量Qisumとする。
次に、図12を参照しながら本変形例における実噴射量算出と算出補正係数K2を得る制御の流れを説明する。図12は、第1の実施形態の第1の変形例における実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量算出の制御の流れを示すフローチャートである。
基本的には、第1の実施形態における図8、図9のフローチャートを組み合わせたものであり、重複する説明は省略し、変更したところだけを説明する。
なお、図8、図9のフローチャートの説明において、実燃料供給情報検出部813Aは実燃料供給情報検出部813A’に、実燃料噴射情報検出部814Aは実燃料噴射情報検出部814A’に読み替え、ステップS21〜S26の説明における「高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfil」を「コモンレール圧力Pc」に読み替える。
そして、ステップS13において第1の気筒41Aと判定された場合は、実燃料供給情報検出部813A’において、ステップS14〜S20の処理と、ステップS21〜S27の処理が並行して行われる。ステップS20,S27において第1及び第2の実燃料供給量であるQsum,Qsum *を得た後、ステップS29へ進み、実燃料噴射情報検出部814A’が、算出補正係数K2(=Qsum/Qsum *)を算出し、ステップS22における値Piのコモンレール圧力Pcに対応させて算出補正係数K2を算出補正係数マップ814a(図1参照)に記憶させる。
ステップS13において第2の気筒41B,41C,41Dと判定された場合は、実燃料供給情報検出部813A’によるステップS21〜S27の処理により第3の実燃料供給量であるQsum *を得た後、ステップS31へ進み、実燃料噴射情報検出部814A’が、ステップS22における値Piのコモンレール圧力Pcに対応した算出補正係数K2を算出補正係数マップ814aから読み込む。そして、第3の実燃料供給量Qsum *に対して、Qsum *=K2×Qsum *の演算をして算出補正係数K2で補正された実燃料供給量Qsum *を得る(ステップS32)。最後に、ステップS33では、実燃料噴射情報検出部814A’が、補正されたQsum *をそのまま実噴射量Qisumとし、補正係数演算部815に入力する。そしてステップS11に戻る。
このようにすることで、第2の気筒41B,41C,41Dにおける燃料噴射時に、高圧燃料供給通路21Bを通じてインジェクタ5Aに供給される実燃料供給量をコモンレール圧力Pcの大きな圧力変動における最初の圧力低下部分から算出する方法の有する、オリフィス差圧を用いないで算出する方法によって得られる実燃料供給量Qsum *の内包する計算誤差を、除去することができる。
この方法によれば、ステップS27で用いられる当初から固定されたまま用いられるゲインGや第1の基準圧力低下線が、製造誤差の影響で本来個々の燃料噴射装置ごとに調整する必要があっても、エンジンの運転の中で算出補正係数K2が自動更新されていくことによって、それらが学習補正されていくことになる。
《第1の実施形態の第2の変形例》
なお、第1の実施形態の第1の変形例に限定されることは無く、図1に示した燃料噴射装置1A’のように、第1の気筒として、例えば、「#1」、「#3」と表示の気筒41A,41Cに燃料供給する高圧燃料供給通路21A,21Aのオリフィス75,75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsをそれぞれ設けて、第1の変形例のように算出補正係数K2を求めることもできる。
この場合の第1の実施形態の第2の変形例が、第1の実施形態と異なる点は、(1A)第1の気筒である気筒41Aのインジェクタ5Aの燃料噴射時の高圧燃料供給通路21Aによる実燃料供給量として、高圧燃料供給通路21Aにおけるオリフィス差圧ΔPORに相当する差圧(Pc−Psfil)にもとづいて算出する第1の実燃料供給量Qsumを取得するとともに、その当該気筒41Aの高圧燃料供給通路21A内に生じる圧力変動がコモンレール4を経由して、気筒41Cに燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aに伝播して燃料供給通路圧力センサSPsで検出される燃料供給通路圧力Psfilにもとづいて算出する第2の実燃料供給量Qsum *をも取得する点と、(1B)第1の気筒である気筒41Cのインジェクタ5Aの燃料噴射時の高圧燃料供給通路21Aによる実燃料供給量Qsumとして、高圧燃料供給通路21Aにおけるオリフィス差圧ΔPORに相当する差圧(Pc−Psfil)にもとづいて算出する第1の実燃料供給量を取得するとともに、その当該気筒41Cの高圧燃料供給通路21A内に生じる圧力変動がコモンレール4を経由して、気筒41Aに燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aに伝播して燃料供給通路圧力センサSPsで検出される燃料供給通路圧力Psfilにもとづいて算出する第2の実燃料供給量Qsum *をも取得する点と、(2)(1A)及び(1B)で前記取得された第1の実燃料供給量Qsumと第2の実燃料供給量Qsum *との比K2を算出補正係数として取得し、又、(1A)及び(1B)で取得された第1の実燃料供給量Qsumを実噴射量に換算する点と、(3)第2の気筒である当該気筒41B,41Dのいずれかへのインジェクタ5Aによる燃料噴射に伴って供給される実燃料供給流量Qsumを、その当該気筒41の高圧燃料供給通路21B内に生じる圧力変動がコモンレール4を経由して、更に、高圧燃料供給通路21Aに伝播していずれかの燃料供給通路圧力センサSPsで検出される燃料供給通路圧力Psfilにもとづいて算出する第3の実燃料供給量Qsum *を取得する点と、(4)前記取得された第3の実燃料供給量Qsum *に算出補正係数K2を乗じて第2の気筒の補正された実燃料供給量Qsum *とし、更に実燃料噴射量Qisumに換算する点である。
そして、本変形例においては、実燃料供給情報検出部813A’は、気筒(第1の気筒)41A又は気筒(第1の気筒)41C(図1参照)への燃料噴射に対して、差圧(Pc−Ps)にもとづいて第1の実燃料供給量Qsumを算出すると同時に、気筒(第1の気筒)41Aへの燃料噴射に対して、当該気筒41の一方の高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21A内に生じる圧力変動が、コモンレール4を経由して、他方の高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21Aに伝播したものを、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した燃料供給通路圧力Psfilの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる圧力低下量を算出し、第2の実燃料供給量Qsum *を算出する。そして、算出した実燃料供給量Qsum、Qsum *を実燃料噴射情報検出部814A’に入力する。
また、実燃料供給情報検出部813A’は、気筒(第2の気筒)41B,41D(図1参照)への燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21B内に生じる圧力変動が、コモンレール4を経由して高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21A(又は高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21C)に伝播したものを、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した燃料供給通路圧力Psfilの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる最初の圧力低下部分の圧力低下量を算出し、第3の実燃料供給量Qsum *を算出する。そして、算出した第3の実燃料供給量Qsum *を実燃料噴射情報検出部814A’に入力する。
実燃料噴射情報検出部814A’は、気筒(第1の気筒)41A又は気筒(第1の気筒)41Cへの燃料噴射に対して実燃料供給情報検出部813A’から得られた2つの実燃料供給量Qsum、Qsum *の比K2を算出して、算出補正係数マップ814aに記憶させるとともに、実燃料供給量Qsumを実噴射量Qisumとする。
そして、実燃料噴射情報検出部814A’は、気筒(第2の気筒)41B,41Dへの燃料噴射に対して、算出補正係数マップ814aからステップS22における初期値Piを参照して算出補正係数K2を読み込み、実燃料供給情報検出部813A’から得られた実燃料供給量Qsum *に算出補正係数K2を乗じて補正された実燃料供給量Qsumとするとともに、補正された実燃料供給量Qsumを実噴射量Qisumとする。
本第2の変形例では、前記した図12の説明におけるステップS21〜S26の説明における「高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfil」から「コモンレール圧力Pc」への読み替えは不要である。
本変形例によれば、第1の変形例と同様に、第2の気筒41B,41Dにおける燃料噴射時に、高圧燃料供給通路21Bを通じてインジェクタ5Aに供給される実燃料供給量をコモンレール圧力Pcを経由して高圧燃料供給通路21Aに伝播する大きな圧力変動における最初の圧力低下部分から算出する方法の有する、オリフィス差圧を用いないで算出する方法によって得られる実燃料供給量の内包する計算誤差を、除去することができる。
なお、第1の実施形態、その第1の変形例、その第2の変形例において、コモンレール圧力Pcを検出ために、図1に破線で示すように「#1」と記載した気筒41Aへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aのオリフィス75の上流側に燃料供給通路圧力センサSPs1を設けて代用しても良い。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料噴射装置について図13、図14を参照しながら詳細に説明する。
図13は、第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図14は、第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Bが第1の実施形態の燃料噴射装置1Aと異なる点は、(1)コモンレール圧力Pcを検出するコモンレール圧力センサSPcを削除した点と、(2)ECU80Aの代わりにECU(制御部)80Bとなった点と、(3)コモンレール圧力Pcを制御するのにコモンレール圧力センサSPcの代わりに燃料供給通路圧力センサSPsを用いる点と、(4)ECU80Bにおいて実燃料供給量及び実燃料噴射量の算出方法を一部変えた点である。
第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図13に示すように1つの燃料供給通路圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Bに入力される。
そして、ECU80Bにおいて燃料供給通路圧力センサSPsから入力された燃料供給通路圧力Psの信号には高周波のノイズをカットするフィルタ処理を行う。ここで燃料供給通路圧力Psをフィルタ処理したものを燃料供給通路圧力Psfil又は単に圧力Psfilと称することにする。
このように燃料供給通路圧力センサSPsから入力された圧力信号をフィルタ処理することにより、ECU80Cにおいて図示しないクランク角センサや、気筒判別センサからの信号及びECU80C内で発生させる気筒別の噴射指令信号にもとづいて、ある気筒において燃料噴射が完了して、「膨張行程」、「排気行程」と続いて、「吸気行程」、「圧縮行程」に入ると、燃料供給通路圧力センサSPsからの圧力Psfilの信号は、比較的圧力振動の少ない状態となり、コモンレール圧力Pcと略同じ値となる。
そこで、ECU80Bでは、コモンレール圧力Pcを略一定に制御するため、前記した比較的圧力振動の少ない状態における圧力Psfilをサンプリングすることによって、圧力調整弁72を制御して、所定のコモンレール圧力Pcの範囲内に制御する。
前記した実燃料供給量及び実噴射量の算出方法の変更に伴い、第1の実施形態と比較して図13では、燃料噴射装置1Aの代わりに燃料噴射装置1Bとなし、ECU80Aの代わりにECU80Bとなし、図14のエンジン制御装置の機能ブロック図では、ECU80Aの代わりにECU80Bとなし、噴射制御部805Aの代わりに噴射制御部805Bとなす。本質的には第1の実施形態と同じであり、大きく変わるところは実燃料供給情報検出部813Aの代わりに実燃料供給情報検出部813Bとなるところである。
そして、本実施形態におけるECU80Bの機能は、前記したコモンレール圧力Pcの制御の方法を除いて、基本的に第1の実施形態におけるECU80Aと同じであるが、第1の気筒41Aへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aのオリフィス通過流量率QORを実燃料供給情報検出部813Bで算出するときに用いるオリフィス差圧ΔPORが第1の実施形態の場合と異なる。
第1の気筒41Aへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aのオリフィス差圧ΔPORは、第1の実施形態のようにコモンレール圧力センサSPc及び燃料供給通路圧力センサSPsからの2つの圧力信号にもとづく差圧(Pc−Psfil)によらず、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psfilのみによる点である。
なお、第2の気筒41B、41C,41Dへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Bを通じた燃料供給量の算出は、第1の気筒41Aへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aの燃料供給通路圧力Psfilへ伝播した圧力変動の最初の圧力低下部分における圧力低下量算出する点は、第1の実施形態と同じである。
次に、図9、図15を参照しながら適宜図13、図14を参照して本実施形態における1個の燃料供給通路圧力センサSPsからの信号のみによる実燃料供給量、実噴射量を算出する方法を説明する。
図15は、第2の実施形態におけるECU80Bでの、第1の気筒における燃料のオリフィス通過流量、つまり、実燃料供給量を算出し、実燃料噴射量に換算する制御の流れを示すフローチャートである。図15のフローチャートは、第1の実施形態の図8に示したフローチャートの変更部分、つまり、オリフィス差圧ΔPORを用いないで、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psfilの変化からオリフィス通過流量率QORの算出や、実燃料供給量Qsumや実噴射量(実燃料噴射量)Qisumへの換算部分のみを記載してある。
図9及び図15のフローチャートのステップS11〜S13,S14A,14B,S15A,S16,S17,S18A,S19、並びにステップS21〜S27は、実燃料供給情報検出部813Bにおいて行われる処理であり、ステップS20,S28は、実燃料噴射情報検出部814Aにおいて行われる処理である。
ちなみに、ステップS21〜S28において、オリフィス通過流量率QOR、実燃料供給量Qsum *と記載しているが、前記したようにそれらの量に擬しているだけである。
なお、図9に示すステップS21〜S28の処理は、第1の実施形態と同じであり、「実燃料供給情報検出部813A」を「実燃料供給情報検出部813B」に読み替えるだけで良く、重複する説明を省略する。
ステップS11では、実燃料供給情報検出部813Bは、出力制御部817から出力される噴射指令信号から噴射開始を受信したか否かをチェックする。燃料噴射の噴射開始を受信した場合(Yes)は、ステップS12へ進み、受信していない場合(No)はステップS11を繰り返す。ステップS12では、燃料噴射による実燃料供給量Qsum,Qsum *を0.0にリセットする。ステップS13では、噴射指令信号に付加されている気筒識別信号から、オリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを有する高圧燃料供給通路21Aから燃料供給される第1の気筒(つまり、図12において「#1」と表示の気筒41A)であるか、オリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを有しない高圧燃料供給通路21Bから燃料供給される第2の気筒(つまり、図12において「#2」〜「#4」と表示の気筒41B,41C,41Dのうちのいずれか)であるかを判定する。第1の気筒の場合は、ステップS14Aへ進み、第2の気筒の場合は、連結子(A)に従ってステップS21へ進む。
ステップS14Aでは、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが所定値よりも低下したか否かをチェックする〔(Psfil<P0−ΔPε)?〕。
所定値よりも低下した場合(Yes)はステップS14Bへ進み、そうでない場合(No)はステップS14Aを繰り返す。
ここで、ステップS14Aにおいて、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが所定値よりも低下したと判定されたタイミングが請求項に記載の「第3のタイミング」に対応する。
ステップS14Bでは、圧力Psfilを初期値Piとして第2の基準圧力低下線、例えば、図7の(c)に示すような基準圧力低下線x2を設定する。
なお、初期値Piは、所定値(P0−ΔPε)と一致する場合もあれば、圧力Psfilをサンプリングする繰返し周期の次の繰り返しのタイミングとなり、所定値(P0−ΔPε)と異なる値となる場合もある。
ステップS15Aでは、初期値Piとする第2の基準圧力低下線から圧力Psfilまでの圧力低下量ΔPdownを算出して、オリフィス通過流量率QORを算出する。図16の(d)にΔPdownの定義を示す。
ここで、オリフィス通過流量率QORは、(1)式において、ΔPORの代わりに圧力低下量ΔPdownを代入することにより容易に算出できる。
ステップS16では、Qsum=Qsum+QOR・Δtとして、オリフィス通過流量率QORを積算する。
ステップS17では、噴射指令信号から燃料噴射の噴射終了を受信したか否かをチェックする。燃料噴射の噴射終了を受信した場合(Yes)は、ステップS18Aへ進み、受信していない場合(No)はステップS15Aへ戻り、ステップS15A〜ステップS17を繰り返す。ステップS18Aでは、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが第2の基準圧力低下線よりも増加したか否かをチェックする。第2の基準圧力低下線よりも増加した場合(Yes)はステップS19へ進み、そうでない場合(No)はステップS15Aに戻りステップS15A〜S18Aを繰り返す。
ここで、ステップS18において、高圧燃料供給通路21Aの圧力Psfilが第2の基準圧力低下線よりも増加したと判定されたタイミングが請求項に記載の「第4のタイミング」に対応する。
ステップS19では、ステップS15A〜S18Aの繰り返しにおける最後の実燃料供給量Qsumを実燃料噴射情報検出部814Aへ出力する。そして、ステップS20では、実燃料噴射情報検出部814Aが、実燃料供給量Qsumを実噴射量Qisumとする。そして、実噴射量Qisumは、補正係数演算部815に入力される。その後、ステップS11へ戻り、次の気筒41の実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量への換算を繰り返す。
ここで、実燃料供給量Qsumは、請求項に記載の「実燃料供給量」に対応し、又実噴射量Qisumは、請求項に記載の「実燃料噴射量」に対応する。
ステップS13において、噴射指令信号に付加されている気筒識別信号から、オリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを有しない高圧燃料供給通路21Bから燃料供給される第2の気筒(つまり、図13において「#2」〜「#4」と表示の気筒41B,41C,41Dのうちのいずれか)であると判定された場合は、連結子(A)に従って図9に示したステップS21へ進み、第1の実施形態の説明のフローチャートに従って実燃料供給量Qsum *及び実噴射量Qisumを算出、取得する。そのとき、実燃料供給情報検出部813Aを実燃料供給情報検出部813Bに読み替える。
ここで、図16を参照しながら適宜図13、図14を参照してECU80Bにおける燃料の第1の気筒41Aへの燃料噴射の実燃料供給量の算出及び実噴射量の算出方法について説明する。ECU80Bにおける第2の気筒41B,41C,41Dへの燃料噴射の実燃料供給量及び実噴射量の算出の方法については、第1の実施形態における図11と同じであり説明を省略する。
図16は、第1の気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す説明図、(c)は、高圧燃料供給通路21Aの燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す説明図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力の時間推移を示す説明図である。
図16の(a)では、時間t1が噴射開始指令時期、時間t2が噴射終了指令時期である噴射時間Tiの燃料噴射の噴射指令信号が出されている。
これに対応して、図16の(b)に示すように直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aにおける燃料噴射の噴射開始時期はt1より少し遅れたt2となり、噴射終了時期はt3より少し遅れたt4となる。そして、燃料噴射の噴射開始時期t2から噴射終了時期t4の間の実燃料噴射率の時間積分値が実噴射量Qisumである。
燃料噴射による高圧燃料供給通路21Aの燃料のオリフィス75を通過するオリフィス通過流量率は、図16の(c)に示すように、インジェクタ5A(図13参照)内の図示しない燃料通路や高圧燃料供給通路21A(図13参照)の容積分だけパイロット燃料噴射の噴射開始時期t2より遅れたt2’から立ち上がり、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21Aの容積分だけ噴射終了時期t4より遅れてt4’にゼロに戻る。
図10の(d)に示すオリフィス上流側の圧力変動は、前記した図7の(c)に示したように、例えば、第2の基準圧力低下線x2で近似でき、圧力低下量ΔPdownによりオリフィス差圧ΔPORが検出できるので、オリフィス通過流量率QORが算出できる。そして、図16の(c)に示す燃料噴射のオリフィス通過流量率で示した領域の面積は、直動式のインジェクタ5Aの場合、図16の(b)に示す実噴射量Qisumの面積に対応し、図16の(d)に示すドットで示した領域と対応している。
以上、第2の実施形態によれば、各気筒41の燃料噴射における実噴射量Qisumが目標噴射量Fsolに近づくように制御できるので、エンジンの出力制御がより正確に行え、エンジン振動やエンジン騒音が抑制される。
そして、特許文献1に示す様に各高圧燃料供給通路21A,21B,21B,21Bに差圧センサを設ける必要が無く、例えば、4気筒のディーゼルエンジンに対して1個の燃料供給通路圧力センサSPsを設けるだけでよく、部品点数が減じ、コストが低減できる。
また、前記したフローチャートのステップS04,S05に示したように、個々のインジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの噴射特性のばらつきを、燃料噴射時の目標噴射量Fsolと実噴射量Qisumの比の補正係数K1で、噴射時間Tiをそれぞれ補正して、実効的に補正された目標噴射量Fsol及びFsolを用いていることと同じになるので、気筒間の出力トルクの変動や時間経過によるインジェクタ5Aやアクチュエータ6Aの噴射特性の変化を補正でき、より正確な気筒間の出力トルク変動の抑制ができる。
その結果、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
なお、高圧燃料供給通路21Bにもオリフィス75を設け、高圧燃料供給通路21A,21Bのオリフィス75を設けた位置から下流側の高圧燃料供給通路21A,21Bの容積及びインジェクタ5Aの燃料通路をあわせた合計の容積は、前記したように燃料の最大実燃料供給量、例えば、アクセルを一杯踏み込まれて最大トルクが必要とされる時のような場合の最大実燃料供給量を超える燃料通路容積とし、オリフィス75がコモンレール4との流れの障壁となっているので、オリフィス75が設けられていない場合よりも燃料噴射に伴う高圧燃料供給通路21A,21B内での圧力低下及び噴射終了時の反射波は大きくなる。そして、高圧燃料供給通路21B内でのその大きくなった圧力変動が、コモンレール4を経由して高圧燃料供給通路21Aに伝播されるので、燃料供給通路圧力センサSPsでの圧力検出が大きくなり、第2の気筒の実燃料噴射量の精度が向上する効果がある。
《第2の実施形態の変形例》
なお、第2の実施形態は、以上に記載したものに限定されることは無く、図13に示した燃料噴射装置1B’のように、第1の気筒として、例えば、「#1」、「#3」と表示の気筒41A,41Cに燃料供給する高圧燃料供給通路21A,21Aのオリフィス75,75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsをそれぞれ設けて、第1の実施形態の第2の変形例のように算出補正係数K2を求めることもできる。
このような第2の実施形態からの変更に伴い、図13では、燃料噴射装置1Bの代わりに燃料噴射装置1B’となし、ECU80Bの代わりにECU80B’となし、図14のエンジン制御装置の機能ブロック図では、ECU80Bの代わりにECU80B’となし、噴射制御部805Bの代わりに噴射制御部805B’となす。本質的には第2の実施形態と同じであり、大きく変わるところは実燃料供給情報検出部813Bの代わりに実燃料供給情報検出部813B’となり、実燃料噴射情報検出部814Aの代わりに実燃料噴射情報検出部814A’となるところである。
この場合の本変形例が、第1の実施形態の第2の変形例と異なる点は、(1)第1の気筒である気筒41Aのインジェクタ5Aの燃料噴射時の高圧燃料供給通路21Aによる実燃料供給量として、高圧燃料供給通路21Aにおけるオリフィス差圧ΔPORに相当する差圧を、オリフィス75の下流側の圧力Psfilが第2の基準圧力低下線からの圧力低下量ΔPdownもとづいて算出する第1の実燃料供給量Qsumとともに、その当該気筒41Aの高圧燃料供給通路21A内に生じる圧力変動がコモンレール4を経由して、気筒41Cに燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aに伝播して燃料供給通路圧力センサSPsで検出される燃料供給通路圧力Psfilにもとづいて算出する第2の実燃料供給量Qsum *をも取得する点と、(2)第1の気筒である気筒41Cのインジェクタ5Aの燃料噴射時の高圧燃料供給通路21Aによる実燃料供給量Qsumとして、高圧燃料供給通路21Aにおけるオリフィス差圧ΔPORに相当する差圧を、オリフィス75の下流側の圧力Psfilが第2の基準圧力低下線からの圧力低下量ΔPdownもとづいて算出する第1の実燃料供給量Qsumと、その当該気筒41Cの高圧燃料供給通路21A内に生じる圧力変動がコモンレール4を経由して、気筒41Aに燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aに伝播して燃料供給通路圧力センサSPsで検出される燃料供給通路圧力Psfilにもとづいて算出する第2の実燃料供給量Qsum *とを取得する点である。
そして、本変形例においては、実燃料供給情報検出部813B’は、気筒(第1の気筒)41A(又は気筒(第1の気筒)41C)(図1参照)への燃料噴射に対して、第2の基準圧力低下線からの圧力低下量ΔPdownにもとづいて第1の実燃料供給量Qsumを算出すると同時に、気筒(第1の気筒)41A(又は気筒41C)への燃料噴射に対して、当該気筒41の一方の高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21A内に生じる圧力変動が、コモンレール4を経由して、他方の高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)21Aに伝播したものを、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した燃料供給通路圧力Psfilの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる第1の基準圧力低下線からの圧力低下量ΔPdownを算出し、第2の実燃料供給量Qsum *を算出する。そして、算出した実燃料供給量Qsum、Qsum *を実燃料噴射情報検出部814A’に入力する。
また、実燃料供給情報検出部813B’は、気筒(第2の気筒)41B,41D(図1参照)への燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21B内に生じる圧力変動が、コモンレール4を経由して高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21Aに伝播したものを、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した燃料供給通路圧力Psfilの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる第1の基準圧力低下線からの圧力低下量ΔPdownを算出し、前記第3の実燃料供給量Qsum *を算出する。そして、算出した実燃料供給量Qsum *を実燃料噴射情報検出部814A’に入力する。
実燃料噴射情報検出部814A’は、気筒(第1の気筒)41A又は気筒(第1の気筒)41Cへの燃料噴射に対して実燃料供給情報検出部813B’から入力された2つの第1および第2の実燃料供給量Qsum、Qsum *の比K2を算出して、算出補正係数マップ814aに記憶させるとともに、実燃料供給量Qsumを実噴射量Qisumとする。
そして、実燃料噴射情報検出部814A’は、気筒(第2の気筒)41B,41Dへの燃料噴射に対して、ステップS22における所定の初期値Piを参照して算出補正係数マップ814aから算出補正係数K2を読み込み、実燃料供給情報検出部813B’から入力された第3の実燃料供給量Qsum *に算出補正係数K2を乗じて補正された実燃料供給量Qsumとするとともに、補正された実燃料供給量Qsumを実噴射量Qisumとする。
次に、図17を参照しながら本変形例における実噴射量算出と算出補正係数K2を得る制御の流れを説明する。図17は、本変形例における実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量算出の制御の流れを示すフローチャートである。
基本的には、第2の実施形態における図9、図15のフローチャートを組み合わせたものであり、重複する説明は省略し、変更したところだけを説明する。
ステップS13において第1の気筒41Aと判定された場合は、実燃料供給情報検出部813B’において、ステップS14A〜S20の処理と、ステップS21〜S27の処理が並行して行われる。ステップS20,S27において第1及び第2の実燃料供給量Qsum,Qsum *を算出した後、ステップS29へ進み、実燃料噴射情報検出部814B’が、算出補正係数K2(=Qsum/Qsum *)を算出し、ステップS22における値Piの圧力Psfilに対応させて算出補正係数K2を算出補正係数マップ814aに記憶させる。
ステップS13において第2の気筒41B,41Dと判定された場合は、実燃料供給情報検出部813B’によるステップS21〜S27の処理により第3の実燃料供給量Qsum *を算出した後、ステップS31へ進み、実燃料噴射情報検出部814B’が、ステップS22における値Piの圧力Psfilに対応した算出補正係数K2を算出補正係数マップ814aから読み込む。そして、第3の実燃料供給量Qsum *に対してQsum *=K2×Qsum *の演算をして算出補正係数K2で補正された実燃料供給量Qsum *を得る(ステップS32)。最後に、ステップS33では、実燃料噴射情報検出部814B’が、補正されたQsum *をそのまま実噴射量Qisumとし、補正係数演算部815に入力する。そしてステップS11に戻る。
このようにすることで、第2の気筒41B,41Dにおける燃料噴射時に、高圧燃料供給通路21Bを通じてインジェクタ5Aに供給される実燃料供給量を燃料供給通路圧力Psfilの大きな圧力変動における最初の圧力低下部分から算出する方法の有する、オリフィス差圧を用いないで算出する方法によって得られる実燃料供給量Qsum *の内包する計算誤差を、除去することができる。
この方法によれば、ステップS27で用いられる当初から固定されたまま用いられるゲインGや、ステップS22で設定される第1の基準圧力低下線が、製造誤差の影響で本来個々の燃料噴射装置ごとに調整する必要があっても、エンジンの運転の中で算出補正係数K2が自動更新されていくことによって、それらが学習補正されていくことになる。
本変形例によれば、第1実施形態における第2の変形例と同様に、第2の気筒41B,41Dにおける燃料噴射時に、高圧燃料供給通路21Bを通じてインジェクタ5Aに供給される実燃料供給量をコモンレール圧力Pcを経由して高圧燃料供給通路21Aに伝播する大きな圧力変動における最初の圧力低下部分から算出する方法の有する、オリフィス差圧を用いないで算出する方法によって得られる実燃料供給量の内包する計算誤差を、除去することができる。
《第3の実施形態》
以下に、本発明の第3の実施形態に係る燃料噴射装置について図18から図21を参照しながら詳細に説明する。
図18は、第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図19は、第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。
図20は、第1の気筒に対して燃料の噴射指令が出たときの、第1の高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射量率及びバックフロー率の時間推移を示す説明図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す説明図、(d)第1の燃料供給通路のオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す説明図である。
図21は、第2の気筒に対して燃料の噴射指令が出たときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射量率及びバックフロー率の時間推移を示す説明図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す説明図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力変化の時間推移を示す説明図である。
本実施形態における燃料噴射装置1Cは、第1の実施形態と以下の点で異なる。
(1)背圧式の燃料噴射弁であるアクチュエータ6Bを有するインジェクタ5Bが用いられている。(2)それに伴い、各気筒に設けられたインジェクタ5Bには、ドレーン通路9が接続され、それらは戻り燃料配管73に更に接続して、逆止弁74とオリフィス76を並列に接続した流量調整器を介して低圧ポンプ3Aの吐出側の低圧燃料供給配管61に接続している。(3)本実施形態の燃料噴射装置1Cは、ECU(制御部)80Cにより電子制御される。
言い換えると、本実施形態は、第1の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aを背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第3の実施形態を変形したものである。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
このような第1の実施形態からの変更に伴い、図18では、燃料噴射装置1Aの代わりに燃料噴射装置1Cとなし、ECU80Aの代わりにECU80Cとなし、図19のエンジン制御装置の機能ブロック図では、ECU80Aの代わりにECU80Cとなし、噴射制御部805Aの代わりに噴射制御部805Cとなす。本質的には第1の実施形態と同じであり、大きく変わるところは実燃料噴射情報検出部814Aの代わりに実燃料噴射情報検出部814Bとなるところである。
そして、本実施形態においては、実燃料供給情報検出部813Aは、気筒(第1の気筒)41A(図18参照)への燃料噴射に対して、差圧(Pc−Psfil)にもとづいて第1の実燃料供給量Qsumを算出し、算出した実燃料供給量Qsumを実燃料噴射情報検出部814Bに入力する。
また、実燃料供給情報検出部813Aは、気筒(第2の気筒)41B,41C,41D(図18参照)への燃料噴射に対して、高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21B内に生じる圧力変動が、コモンレール4を経由して高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)21Aに伝播したものを、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した燃料供給通路圧力Psfilの信号にもとづいて、伝播した圧力変動に含まれる最初の圧力低下部分の圧力低下量を算出し、実燃料供給量Qsum *を算出する。そして、算出した実燃料供給量Qsum *を実燃料噴射情報検出部814Bに入力する。
実燃料噴射情報検出部814Bは、気筒(第1の気筒)41Aへの燃料噴射に対して実燃料供給情報検出部813Aから得られた2つの実燃料供給量Qsum,Qsum *に対して、インジェクタ5Bへのバックフロー量をも含んだ実燃料供給量から実際に燃料噴射孔10から燃焼室内に噴射された実噴射量Qisumを算出するための、実噴射量換算係数補正係数γの実噴射量換算係数マップ814bを予め有し、実噴射量換算係数マップ814bを参照して、実噴射量換算係数γを取得して補正係数実燃料供給量Qsum,Qsum *を実噴射量Qisumに換算する。
そして、換算された実噴射量Qisumを補正係数演算部815に入力する。
ここで、実噴射量換算係数γは、バックフロー量がコモンレール圧力Pcや噴射時間Tiに依存するので、定数とするよりも、コモンレール圧力Pc、目標噴射量Fsolの二次元マップの実噴射量換算係数マップ814bとすることが好ましい。
そこで、第1の実施形態における図8のフローチャートのステップS20を、以下のようにステップS20A,S20Bの2つに置き換える。ステップ20A:「コモンレール圧力Pc、目標噴射量Fsolにもとづいて実噴射量換算係数マップ814bを参照して実噴射量換算係数γを取得」、ステップS20B:「実噴射量換算係数γを実燃料供給量Qsumに乗じて、実噴射量Qisumとする。
同様に、第1の実施形態における図9のフローチャートのステップS27を、以下のようにステップS27A,S27Bの2つに置き換える。すなわち、ステップS27A:「コモンレール圧力Pc、目標噴射量Fsolにもとづいて実噴射量換算係数マップ814bを参照して実噴射量換算係数γを取得」、ステップS27B:「実噴射量換算係数γを実燃料供給量Qsumに乗じて、実噴射量Qisumとする」と置き換える。
次に、図20、図21を参照しながらECU80Cにおける燃料の第1の気筒41Aや第2の気筒41B,41C,41Dへの燃料噴射の実噴射情報の検出による燃料噴射の補正の方法について説明する。
図20の(a)に示す噴射指令信号に対応して背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bにおける図示省略の背圧室をドレーン通路9側に連通させるバルブのリフトアップによりバックフローが、図20の(b)に曲線bで示すように、タイミングt2Aで開始する。このバックフローの開始は、前記した噴射開始指令時期t1より少し遅れて生じる。
このバックフローの発生によりインジェクタ5Bの図示しない背圧室が油溜りの圧力よりも低圧となり、インジェクタ5Bの図示しないピストンが上方に引き上げられ、図20の(b)に曲線aで示すように燃料の実噴射がタイミングt2Bに開始される。
そして、噴射終了指令時期t3において、背圧室をドレーン通路9側に連通させるバルブが閉じて、図20の(b)に曲線bで示すようタイミングt4Aでバックフローが終了する。その結果、背圧室の圧力が油溜りの圧力と均衡し、インジェクタ5Bの図示しないコイルスプリングの付勢力によりピストンとともにノズルニードルが下方に移動しシート面に着座し、図20の(b)に曲線aで示すようにタイミングt4Bで燃料の実噴射が終了する。
燃料のオリフィス75を通過する量(オリフィス通過流量)は、図20の(c)に示すように、インジェクタ5B内の燃料通路や高圧燃料供給通路21A(図19参照)の容積分だけバックフロー開始のタイミングt2Aより遅れてt2A’から立ち上がる。そして、同様に燃料通路や高圧燃料供給通路21Aの容積分だけ燃料噴射終了のタイミングt4Bより遅れてt4B’にオリフィス通過流量が0に戻る。
図20の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は図20の(d)に示すように、コモンレール圧力Pcの振動によってオリフィス上流側圧力が変動していても、コモンレール圧力Pcと燃料供給通路圧力Psfilとの差圧(Pc−Psfil)よりオリフィス差圧が検出できるので、オリフィス通過流量(実燃料供給量)が算出できる。そして、図20の(c)に示すオリフィス通過流量のドットで示した領域の面積は、背圧式のインジェクタ5Bの場合、図20の(b)に示すバックフロー量QBFと実噴射量Qisumの両方を合計した面積に対応する。
差圧(Pc−Psfil)をオリフィス差圧ΔPORとすることにより燃料のオリフィス通過流量率QORは前記した第1の実施形態と同様に(1)式により容易に算出できる。
その後、算出されたオリフィス通過流量率QORの積算値である実燃料供給量Qsumに実噴射量換算係数γを乗じることにより、実噴射量Qisumが算出される。
第1の実施形態で説明したように同様に、第2の気筒41B,41C,41Dにおける燃料噴射に対しても図21に示すように、高圧燃料供給通路21B、21B,21Bそれぞれにおける圧力変動が、コモンレール4を経由して、第1の気筒の高圧燃料供給通路21Aに伝播し、燃料供給通路圧力センサSPsが検出する圧力信号から圧力変動の最初の圧力低下部分をオリフィス差圧に擬して、第1の基準圧力低下線からの圧力低下量ΔPdownを算出して、同様に実燃料供給量Qsum *を算出できる。そして、実燃料供給量Qsum *に実噴射量換算係数γを乗じることにより、実燃料供給量Qsum *からバックフロー量QBFを除いた実噴射量Qisumが算出できる。
本実施形態によれば、背圧式のインジェクタ5Bの場合でも、第1の実施形態と同様に各気筒41の燃料噴射における実噴射量Qisumが目標噴射量Fsolに近づくように制御できるので、エンジンの出力制御がより正確に行え、エンジン振動やエンジン騒音が抑制される。
そして、特許文献1に示す様に各高圧燃料供給通路21A,21B,21B,21Bに差圧センサSを設ける必要が無く、例えば、4気筒のディーゼルエンジンに対して1個の燃料供給通路圧力センサSPsを設けるだけでよく、部品点数が減じ、コストが低減できる。
なお、本実施形態においては、第1の実施形態における第1の変形例及び第2の変形例が同様に考えられる。
この変形例においては、図18において燃料噴射装置1Cを燃料噴射装置1C’に、ECU80CをECU80C’に読み替え、図19において噴射制御部805Cを噴射制御部805C’に、実燃料供給情報検出部813Aを実燃料供給情報検出部813A’に、実燃料噴射情報検出部814Bを実燃料噴射情報検出部814B’に読み替える。
実燃料噴射情報検出部814B’は、算出補正係数マップ814aをも有している。
そして、図12のフローチャートにおいてステップS20を前記したステップS20A、S20Bの2つのステップに置き換え、ステップS27を前記したステップS27A、S27Bの2つのステップに置き換える。そして、図12フローチャートにおける実燃料噴射情報検出部814A’を実燃料噴射情報検出部814B’に読み替える。
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態に係る燃料噴射装置について図22から図24を参照しながら詳細に説明する。
図22は、第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図23は、第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。
図24は、第1の気筒に対して燃料の噴射指令が出たときの、第1の高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射量率及びバックフロー率の時間推移を示す説明図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す説明図、(d)第1の燃料供給通路のオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す説明図である。
本実施形態の燃料噴射装置1Dが第3の実施形態の燃料噴射装置1Cと異なる点は、(1)コモンレール圧力Pcを検出するコモンレール圧力センサSPcを削除した点と、(2)ECU80Cの代わりにECU(制御部)80Dとなった点と、(3)コモンレール圧力Pcを制御するのにコモンレール圧力センサSPcの代わりに燃料供給通路圧力センサSPsを用いる点と、(4)ECU80Dにおいて、第1の燃料供給通路の実燃料供給量Qsumを算出する方法を変えた点である。
言い換えると、本実施形態は、第2の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aを背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第3の実施形態を変形したものである。
第3の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
ECU80Dでは、コモンレール圧力Pcを略一定に制御するため、比較的圧力振動の少ない状態における圧力Psfilをサンプリングすることによって、流量調整弁69及び圧力調整弁72を制御して、所定のコモンレール圧力Pcの範囲内に制御する。
そして、本実施形態におけるECU80Dの機能は、前記したコモンレール圧力Pcの制御の方法を除いて、基本的に第3の実施形態におけるECU80Cと同じであるが、第1の気筒41Aへの燃料供給量QsumをECU80Dで算出するときに用いるオリフィス差圧が第1及び第3の実施形態の場合のようにコモンレール圧力センサSPc、燃料供給通路圧力センサSPsの検出信号にもとづく差圧によらず、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力センサSPsからの信号のみによる点である。
前記した実燃料供給量及び実噴射量の算出方法の変更に伴い、第3の実施形態と比較して図22では、燃料噴射装置1Cの代わりに燃料噴射装置1Dとなし、ECU80Cの代わりにECU80Dとなし、図23のエンジン制御装置の機能ブロック図では、ECU80Cの代わりにECU80Dとなし、噴射制御部805Cの代わりに噴射制御部805Dとなす。本質的には第3の実施形態と同じであり、大きく変わるところは実燃料供給情報検出部813Aの代わりに実燃料供給情報検出部813Bとなるところである。
そして、本実施形態におけるECU80Dの機能は、前記したコモンレール圧力Pcの制御の方法を除いて、基本的に第2の実施形態におけるECU80Cと同じであるが、第1の気筒41Aへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aのオリフィス通過流量率QORを実燃料供給情報検出部813Bで算出するときに用いるオリフィス差圧ΔPORが第3の実施形態の場合と異なる。
第1の気筒41Aへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aのオリフィス差圧ΔPORは、第3の実施形態のようにコモンレール圧力センサSPc及び燃料供給通路圧力センサSPsからの2つの圧力信号にもとづく差圧(Pc−Psfil)によらず、オリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力Psfilのみによる点である。
なお、第2の気筒41B、41C,41Dへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Bを通じた燃料供給量の算出は、第1の気筒41Aへ燃料を供給する高圧燃料供給通路21Aの燃料供給通路圧力Psfilへ伝播した圧力変動の最初の圧力低下部分における圧力低下量を算出する点は、第2の実施形態と同じである。
図24に、第1の気筒に対して燃料の噴射指令が出たときの、第1の燃料供給通路におけるオリフィス75の下流側の燃料供給通路圧力センサSPsからの信号のみによる実燃料供給量Qsumを算出して、更に実噴射量Qisumを算出する方法を示す。第2の実施形態における図16との違いは、実燃料供給量Qsumがバックフロー量QBFと実噴射量Qisumの合計となっているだけであり、実燃料供給量Qsumを算出してから実燃料供給量Qsumに実噴射量換算係数γを乗じて実噴射量Qisumを実燃料噴射情報検出部814Bで算出する点が異なる。
本実施形態によれば各気筒41の燃料噴射における実噴射量Qisumが目標噴射量Fsolに近づくように制御できるので、エンジンの出力制御がより正確に行え、エンジン振動やエンジン騒音が抑制される。
そして、特許文献1に示す様に各高圧燃料供給通路21A,21B,21B,21Bに燃料供給通路圧力センサSPsを設ける必要が無く、例えば、4気筒のディーゼルエンジンに対して1個の燃料供給通路圧力センサSPsを設けるだけでよく、部品点数が減じ、コストが低減できる。
なお、本実施形態においては、第2の実施形態における変形例が同様に考えられる。
この変形例においては、図22において燃料噴射装置1Dを燃料噴射装置1D’に、ECU80DをECU80D’に読み替え、図23において噴射制御部805Dを噴射制御部805D’に、実燃料供給情報検出部813Bを実燃料供給情報検出部813B’に、実燃料噴射情報検出部814Bを実燃料噴射情報検出部814B’に読み替える。
実燃料噴射情報検出部814B’は、算出補正係数マップ814aをも有している。
そして、図17のフローチャートにおいてステップS20を前記したステップS20A、S20Bの2つのステップに置き換え、ステップS27を前記したステップS27A、S27Bの2つのステップに置き換える。そして、図17フローチャートにおける実燃料噴射情報検出部814Bを実燃料噴射情報検出部814B’に読み替える。
本変形例によれば、第2実施形態における変形例と同様に、第2の気筒41B,41Dにおける燃料噴射時に、高圧燃料供給通路21Bを通じてインジェクタ5Aに供給される実燃料供給量をコモンレール圧力Pcを経由して高圧燃料供給通路21Aに伝播する大きな圧力変動における最初の圧力低下部分から算出する方法の有する、オリフィス差圧を用いないで算出する方法によって得られる実燃料供給量の内包する計算誤差を、除去することができる。
《他の変形例》
なお、第1の実施形態から第4の実施形態、第1の実施形態から第4の実施形態の変形例において、4本のうち少数の高圧燃料供給通路21Aにのみオリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを設けたが、それに限定されることは無く、4本全ての高圧燃料供給通路21のオリフィス75の下流側に燃料供給通路圧力センサSPsを設けても良い。
その場合、実燃料供給量Qsumが図8又は図15に示すフローチャート(背圧式のインジェクタ5Bに対応した図8又は図15に示すフローチャートの変形を含む)に示した方法で算出できる。
そして、当該気筒41からの燃料噴射時に、当該気筒41のインジェクタ5A又はインジェクタ5Bに燃料を供給する高圧燃料供給通路21の燃料供給通路圧力Psfilと、コモンレール圧力Pcとにもとづいて、又は燃料供給通路圧力Psfilのみにもとづいてオリフィス通過流量率ΔQORを算出し、それを積算して実燃料供給量Qsumを算出するとともに、当該気筒41と異なる他の気筒41のインジェクタ5A又はインジェクタ5Bに燃料を供給する高圧燃料供給通路21の燃料供給通路圧力Psfilにより検出される圧力変動から、図9に示すフローチャート(背圧式のインジェクタ5Bに対応した図9に示すフローチャートの変形を含む)に示した方法で実燃料供給量Qsum *を算出できる。
そして、得られた実燃料供給量Qsumと実燃料供給量Qsum *を比較することにより、燃料供給通路圧力センサSPsの異常を検出することに利用しても良い。
第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。 目標噴射量Qiに対する噴射時間Tiを決定するための二次元マップの構成概念図である。 噴射時間の補正係数を取得するための目標噴射量、噴射時間及びコモンレール圧力をパラメータとした補正係数K1のマップの構成概念図である。 (a)は、#1の気筒で燃料噴射した後、同じクランク角で再び燃料噴射するまでの、各気筒に対する噴射指令信号のタイミングを示す説明図、(b)は、燃料供給通路圧力センサSPsで検出した圧力変化を示す図である。 ECU80Aにおける1つの気筒の次の燃料噴射に対する噴射制御と、その燃料噴射の結果の実噴射量を取得する制御の流れを示すフローチャートである。 基準圧力低下線の説明図であり、(a)は、燃料噴射によるコモンレール圧力の平均的な低下線を示す説明図、(b)は、高圧燃料供給通路21Bにおける圧力変動に対する第1の基準圧力低下線を示す図、(c)は、高圧燃料供給通路21Aにおける圧力変動に対する第2の基準圧力低下線を示す図である。 実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量算出の制御の流れを示すフローチャートである。 実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量算出の制御の流れを示すフローチャートである。 第1の気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す説明図、(c)は、高圧燃料供給通路21Aの燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す説明図、(d)は、オリフィスの上下流側の圧力の時間推移を示す説明図である。 第2の気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路21Aにおける圧力変動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す説明図、(c)は、高圧燃料供給通路21Bの燃料のオリフィス通過流量率に擬した時間推移を示す説明図、(d)は、高圧燃料供給通路21Aのオリフィスの下流側の圧力の時間推移を示す説明図である。 第1の実施形態の第1の変形例における実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量算出の制御の流れを示すフローチャートである。 第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。 第2の実施形態におけるECU80Bでの、第1の気筒における燃料のオリフィス通過流量、つまり、実燃料供給量を算出し、実燃料噴射量に換算する制御の流れを示すフローチャートである。 第1の気筒に対して燃料噴射の噴射指令信号を出すときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射率の時間推移を示す説明図、(c)は、高圧燃料供給通路21Aの燃料のオリフィス通過流量率の時間推移を示す説明図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力の時間推移を示す説明図である。 第2の実施形態の変形例における実燃料供給量の算出及び実燃料噴射量算出の制御の流れを示すフローチャートである。 第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。 第1の気筒に対して燃料の噴射指令が出たときの、第1の高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射量率及びバックフロー率の時間推移を示す説明図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す説明図、(d)第1の燃料供給通路のオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す説明図である。 第2の気筒に対して燃料の噴射指令が出たときの、高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射量率及びバックフロー率の時間推移を示す説明図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す説明図、(d)は、オリフィスの下流側の圧力変化の時間推移を示す説明図である。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられるエンジン制御装置の機能ブロック図である。 第1の気筒に対して燃料の噴射指令が出たときの、第1の高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す説明図であり、(a)は、噴射指令信号のパターンを示す説明図、(b)は、インジェクタからの実燃料噴射量率及びバックフロー率の時間推移を示す説明図、(c)は、燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す説明図、(d)第1の燃料供給通路のオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す説明図である。
符号の説明
1A,1A’,1B,1B’,1C,1C’,1D,1D’ 燃料噴射装置
2 燃料タンク
3A 低圧ポンプ(燃料ポンプ)
3B 高圧ポンプ(燃料ポンプ)
4 コモンレール(燃料蓄圧部)
5A,5B インジェクタ(燃料噴射弁)
6A,6B アクチュエータ
9 ドレーン通路
10 燃料噴射孔
13A,13A’,13B,13B’ 実燃料供給情報検出部
21A 高圧燃料供給通路(第1の燃料供給通路)
21B 高圧燃料供給通路(第2の燃料供給通路)
41A 気筒(第1の気筒)
41B 気筒(第2の気筒)
41C 気筒(第2の気筒、第1の気筒)
41D 気筒(第2の気筒)
61 低圧燃料供給配管
69 流量調整弁
72 圧力調整弁
75 オリフィス
80A,80A’,80B,80B’,80C,80C’,80D,80D’ ECU(制御部)
801 要求トルク演算部
801a 二次元マップ
802 目標噴射量演算部
802a 二次元マップ
803 コモンレール圧力演算部
803a 二次元マップ
804 コモンレール圧制御部
805A,805A’,805B,805B’,805C,805C’,805D,805D’ 噴射制御部
806A,806B,806CA,806D アクチュエータ駆動回路
810 噴射指令信号設定部
811 噴射情報演算部
811a 二次元マップ
812 個別噴射情報設定部
812a マップ
813A,813A’,813B,813B’ 実燃料供給情報検出部
814A,814A’,814B,814B’ 実燃料噴射情報検出部
814a 算出補正係数マップ
814b 実噴射量換算係数マップ
815 補正係数演算部
817 出力制御部
Tf 燃料温度センサ
Ps 燃料供給通路圧力センサ
Pc コモンレール圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)
Ps1 燃料供給通路圧力センサ
x1 基準圧力低下線(第1の基準圧力低下線)
x2 基準圧力低下線(第2の基準圧力低下線)
y1 基準圧力低下線(第1の基準圧力低下線)
y2 基準圧力低下線(第2の基準圧力低下線)

Claims (3)

  1. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した複数の燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び該燃料噴射弁から燃料を噴射するための噴射指令信号を出力する制御部を備えた燃料噴射装置において、
    前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサを備え、
    前記複数の燃料供給通路のうち少なくとも1本の燃料供給通路は、オリフィスと、該オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサとを有し、前記各気筒のうちの第1の気筒に前記燃料噴射弁を介して燃料を供給する第1の燃料供給通路を構成し、
    前記複数の燃料供給通路のうち、前記第1の燃料供給通路以外の他の燃料供給通路は、オリフィスを有し、前記各気筒のうちの第2の気筒に前記燃料噴射弁を介して燃料を供給する第2の燃料供給通路を構成し、
    前記制御部は、
    前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号にもとづいて、前記第1の燃料供給通路の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を算出し、算出した差圧を用いて前記第1の燃料供給通路を通じた前記第1の気筒の前記燃料噴射弁への第1の実燃料供給量を算出し、
    そのとき、前記第1の燃料供給通路を通じた前記第1の気筒の前記燃料噴射弁への燃料供給に伴う前記第1の燃料供給通路内に生じる圧力変動が、前記燃料蓄圧部に伝播したものを、前記蓄圧部圧力センサで検出し、その検出された信号にもとづいて圧力低下量を算出し、算出した圧力低下量を用いて前記第1の燃料供給通路を通じた前記第1の気筒の前記燃料噴射弁への第2の実燃料供給量を算出し、
    前記算出された第1の実燃料供給量と前記算出された第2の実燃料供給量との比から算出補正係数を取得し、
    前記第2の燃料供給通路を通じた前記第2の気筒の前記燃料噴射弁への燃料供給に伴う前記第2の燃料供給通路内に生じる圧力変動が、前記燃料蓄圧部に伝播したものを、前記蓄圧部圧力センサで検出し、その検出された信号にもとづいて圧力低下量を算出し、算出した圧力低下量を用いて前記第2の燃料供給通路を通じた前記第2の気筒の前記燃料噴射弁への第3の実燃料供給量を算出した後に、該第3の実燃料供給量を前記算出補正係数で補正することを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記第1及び第2の燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記第1及び第2の気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
    前記制御部は、前記算出された実燃料供給量を実際に前記第1及び第2の気筒に噴射される実燃料噴射量として算出し、
    当該実燃料噴射量にもとづいて燃料噴射制御をすることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記第1及び第2の燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
    前記制御部は、前記算出された実燃料供給量のうち、前記戻り燃料配管に戻らないで実際に前記第1及び第2の気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、前記算出された実燃料供給量及び所定の実噴射量換算係数の値にもとづいて算出し、
    当該実燃料噴射量にもとづいて燃料噴射制御をすることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
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