JP5022111B2 - 含フッ素アルコキシアルカンの製造方法 - Google Patents

含フッ素アルコキシアルカンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法に関し、詳しくは複数のエーテル基を含む含フッ素アルコキシアルカンの製造方法に関する。
電子機器の小型化に伴い、その主電源やバックアップ電源として用いられる電池は、高エネルギー密度を有することが要望されている。このような要望に対して、近年では、非水電解質二次電池が注目を集めている。非水電解質二次電池は、従来の水溶液の電解液を含む二次電池に比べて、高電圧、高エネルギー密度を有する。そのため、非水電解質二次電池はハイブリッド電気自動車用電源としても期待されており、更なる高出力化、長寿命化および高い信頼性が求められている。
非水電解質二次電池は、正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータおよび非水電解質を含む。非水電解質は、非水溶媒と、これに溶解する溶質とを含む。非水電解質二次電池の高出力化および長寿命化には、非水電解質の粘度を小さくすることが有効である。
特許文献1は、非水溶媒として、一般式:
ROCH2CH2OR'
(式中、RはCF3CH2−または(CF32CH−で表される1価の基を示し、R'は−CH3、−C25、−CH(CH32、−CH2CF3または(CF32CH−を示す)で表されるジアルコキシエタンをフッ素化した化合物等を提案している。フッ素化されたジアルコキシエタンを含む非水溶媒は、粘度が小さいため、出力と耐酸化性とを向上させる効果がある。
なかでも、CH3OCH2CH2OCH2CF3は、粘度が低く(0.748c.p.)、高い比誘電率(15.7(5kHz))を有するため、非水溶媒として好適であるとされている。
特許文献1における製造方法では、エチレングリコールのモノエーテルを、ジメチルスルホキシド(DMSO)とNaOH存在下、フッ素化アルコールのパラトルエンスルホン酸エステルと反応させている。この反応を式[1]に示す。
Figure 0005022111
非特許文献1は、CH3OCH2CH2OCH2CF3の他、CH3CH2OCH2CH2OCH2CF3およびCF3CH2OCH2CH2OCH2CF3を非水溶媒として用いることを提案している。また、非水溶媒にフッ素を含有させることで、リチウムの還元析出と酸化溶解とが効率よく行われることが報告されている。
非特許文献2および3には、CH3OCH2CH2OCH2CHF2、CH3OCH2CH2OCH2CF3、およびCH3CH2OCH2CH2OCH2CF3の物性が記載されている。
非特許文献4、5には、アルコールが有する水酸基の酸性度に関する情報が記載されている。
特開平1−117838号公報 第8回化学電池材料研究会ミーティング講演要旨集、67頁 第72回電気化学会要旨集、313頁 第73回電気化学会要旨集、242頁 Journal of Organic Chemistry 19 80年、45巻、3295頁 The Journal of Biological Chemistry、1990年、265巻、22101頁
特許文献1の製造方法においては、ジエチレングリコールジメトキシエーテル(ジグリム)やビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル等の副生成物が生成する。また、反応時に水分が生じるため、この水分を除去する必要がある。よって、目的とする化合物の収率が低いと考えられる。特許文献1では、例えば実施例1における収率は約24%である。
式[2]は、目的生成物である2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンと、反応活性種である2−メトキシエトキシドとが反応し、2,2,2−トリフルオロエトキシドが脱離する副反応を示している。この副反応に起因して、ジグリムやビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテルが生成すると考えられる。
Figure 0005022111
以上の問題に鑑み、本発明は、副生成物の生成が抑制され、収率が高い含フッ素アルコキシアルカンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一般式(1):
1−O−R2−O−R3 (1)
(R1およびR3は炭素数1〜6のアルキル基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい)で表され、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つがフッ素原子を含む、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法であって、
第1化合物と、第1化合物と反応する第2化合物とを、塩基性化合物または塩基性化合物を含む溶媒中で反応させる工程を含み、
第1化合物が、一般式(2)〜(5):
1−OH (2)
3−O−R2−OH (3)
1−O−R2−OH (4)
3−OH (5)
で表される化合物よりなる群から選ばれる最も酸性度の高いアルコールであり、
第2化合物が、一般式(6)〜(9):
Lg−R2−O−R3 (6)
Lg−R1 (7)
Lg−R3 (8)
Lg−R2−O−R1 (9)
(Lgはアニオン性の脱離基を表す)
で表される化合物よりなる群から選ばれる1種であり、かつ、第1化合物と反応して上記の含フッ素アルコキシアルカンを与える化合物である、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法(製造方法Aとも称する)に関する。
製造方法Aでは、第1化合物の共役塩基は、見かけ上、生成物である含フッ素アルコキシアルカンを求核攻撃しないため、副生成物の生成を抑制することができる。このため、高い収率を達成することができる。
第1化合物と、第1化合物に対応する第2化合物との組み合わせは、一般式(2)と一般式(6)の化合物、一般式(3)と一般式(7)の化合物、一般式(4)と一般式(8)の化合物または一般式(5)と一般式(9)の化合物の組み合わせである。
すなわち、一般式(2)〜(5)のうち、一般式(2)の化合物の酸性度が最も高い場合には、第1化合物として一般式(2)の化合物を用い、第2化合物として一般式(6)の化合物を用いる。
同様に、一般式(2)〜(5)のうち、一般式(3)の酸性度が最も高い場合には、第1化合物として一般式(3)の化合物を用い、第2化合物として一般式(7)の化合物を用いる。
また、一般式(2)〜(5)のうち、一般式(4)の酸性度が最も高い場合には、第1化合物として一般式(4)の化合物を用い、第2化合物として一般式(8)の化合物を用いる。
また、一般式(2)〜(5)のうち、一般式(5)の酸性度が最も高い場合には、第1化合物として一般式(5)の化合物を用い、第2化合物として一般式(9)の化合物を用いる。
第1化合物と第2化合物との反応場を与える溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、2−メチルピロリジノン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびジオキサンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
製造方法Aでは、第1化合物と塩基性化合物とを溶媒に添加した後、第2化合物を溶媒に添加することが好ましい。第2化合物と塩基性化合物とが共存可能であれば、第2化合物と塩基性化合物とを溶媒に添加した後、第1化合物を溶媒に添加してもよい。
また、本発明は、一般式(10):
5−O−R4−O−R5 (10)
(R4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、R5は炭素数1〜6のアルキル基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい)で表され、R4およびR5のうちの少なくとも一方がフッ素原子を含む、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法であって、
第3化合物と、第3化合物と反応する第4化合物とを、塩基性化合物または塩基性化合物を含む溶媒中で反応させる工程を含み、
第3化合物が、一般式(11)および(12):
HO−R4−OH (11)
5−OH (12)
で表される化合物よりなる群から選ばれる酸性度の高い方のアルコールの共役塩基であるアルコキシドであり、
第4化合物が、一般式(13)および(14):
Lg−R5 (13)
Lg−R4−Lg' (14)
(LgおよびLg'は、それぞれアニオン性の脱離基を表す)
で表される化合物よりなる群から選ばれる1種であり、かつ、第3化合物と反応して上記の含フッ素アルコキシアルカンを与える化合物である、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法(製造方法Bとも称する)に関する。
製造方法Bでは、第3化合物は、見かけ上、生成物である含フッ素アルコキシアルカンを求核攻撃しないため、副生成物の生成を抑制することができる。このため、高い収率で対称含フッ素アルコキシアルカン類を合成することができる。
第3化合物と第4化合物との組み合わせは、一般式(11)の共役塩基であるアルコキシドと一般式(13)の化合物、または、一般式(12)の共役塩基であるアルコキシドと一般式(14)の化合物の組み合わせである。
すなわち、一般式(12)よりも一般式(11)の化合物の酸性度の方が高い場合には、第3化合物として一般式(11)の共役塩基であるアルコキシドを用い、第4化合物として一般式(13)の化合物を用いる。
同様に、一般式(11)よりも一般式(12)の酸性度が最も高い場合には、第3化合物として一般式(12)の共役塩基であるアルコキシドを用い、第4化合物として一般式(14)の化合物を用いる。
第3化合物と第4化合物との反応場を与える溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、2−メチルピロリジノン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびジオキサンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
製造方法Bでは、第3化合物と塩基性化合物とを溶媒に添加した後、第4化合物を溶媒に添加することが好ましい。第4化合物と塩基性化合物とが共存可能であれば、第4化合物と塩基性化合物とを溶媒に添加した後、第3化合物を溶媒に添加してもよい。
製造方法AおよびBにおいて、アニオン性の脱離基(LgおよびLg')は、塩素、臭素、ヨウ素、パラトルエンスルホン基(p−CH364SO3−)およびトリフルオロメタンスルホン基(CF3SO3−)よりなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
製造方法AおよびBにおいて、塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびナトリウムアミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明によれば、副生成物の生成を抑制することができ、収率が高い含フッ素アルコキシアルカンの製造方法を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、含フッ素アルコキシアルカンの精製が容易である。よって、本発明の製造方法は汎用性が高い。
本発明の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法(製造方法A)は、第1化合物と、第2化合物とを、塩基性化合物を含む溶媒中で反応させる工程を含み、一般式(1):
1−O−R2−O−R3 (1)
(R1およびR3は炭素数1〜6のアルキル基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい)で表され、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つがフッ素原子を含む含フッ素アルコキシアルカンを高い収率で生成する。
ただし、第1化合物は、一般式(2)〜(5):
1−OH (2)
3−O−R2−OH (3)
1−O−R2−OH (4)
3−OH (5)
で表される化合物よりなる群から選ばれる最も酸性度の高いアルコールである。
また、第2化合物は、一般式(6)〜(9):
Lg−R2−O−R3 (6)
Lg−R1 (7)
Lg−R3 (8)
Lg−R2−O−R1 (9)
(Lgはアニオン性の脱離基を表す)
で表される化合物よりなる群から選ばれる1種であり、第1化合物と反応して、一般式(1)で表される含フッ素アルコキシアルカンを生成する。
本発明の製造方法によれば、見かけ上、第1化合物の共役塩基(アルコキシド)による含フッ素アルコキシアルカンに対する求核置換攻撃が抑制される。これにより、副生成物の生成が抑制されるため、含フッ素アルコキシアルカンの収率を向上させることができ、含フッ素アルコキシアルカンの精製も容易になる。
1およびR3の具体例としては、例えば2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられる。
2の具体例としては、例えばエチレン基などが挙げられる。
アニオン性の脱離基(Lg)は、フッ素以外のハロゲン原子、例えば塩素、臭素、ヨウ素の他、パラトルエンスルホン基(p−CH364SO3−)およびトリフルオロメタンスルホン基(CF3SO3−)などが好ましい。
第1化合物の具体例としては、例えば2,2,2−トリフルオロエタノール、などが挙げられる。
第2化合物の具体例としては、例えば2−メトキシエチルパラトルエンスルホネート、2−ブロモエチルメチルエーテルなどが挙げられる
製造方法Aにおいて、副生成物の生成が抑制されるメカニズムは、以下のように考えられる。ここでは、第1化合物が一般式(2)で表され、第2化合物が一般式(6)で表される場合を例にとって説明する。溶媒中では、塩基性化合物によって第1化合物のプロトンが引き抜かれ、アルコキシドが生成する。アルコキシドは、第2化合物中の脱離基(Lg)が結合している炭素を求核攻撃し、第2化合物から脱離基を脱離させる。これにより、一般式(1)で表される含フッ素アルコキシアルカンが生成する。この反応を式[3]に示す。
Figure 0005022111
一方、一般式(1)で表される含フッ素アルコキシアルカンと、一般式(2)で表される化合物から生成するアルコキシド(R1−O−)との間では、4通りの求核置換反応が起こる可能性がある。すなわち、一般式(1)で表される含フッ素アルコキシアルカンからは、4種類のアルコキシドが脱離する可能性がある。これらの副反応を式[4]に示す。
Figure 0005022111
反応AではR1−O−R2−O−が脱離し、反応BではR3−O−が脱離し、反応CではR1−O−が脱離し、反応DではR3−O−R2−O−が脱離する。しかし、実際には、それぞれのアルコキシドの共役酸であるR1−O−R2−OH、R3−OH、R1−OHおよびR3−O−R2−OHのうち、水酸基の酸性度が高いアルコキシドほど脱離しやすい。すなわち、R1−OHの水酸基の酸性度が最も高い場合、含フッ素アルコキシアルカンがR1−O−により求核攻撃を受けたとしても、R1−O−が優先的に脱離する。そのため、見かけ上は、含フッ素アルコキシアルカンに変化が生じない。これにより、副生成物の生成を抑制することができるため、含フッ素アルコキシアルカンの精製が容易になる。
アルコールが有する水酸基の酸性度の測定方法は、特に限定されないが、有機化学の通常の知識を有する者もしくは当業者であれば、当然に酸性度を求めることができる。例えば、非特許文献4および5に示されている方法や、同文献中の表および引用されている参考文献から、酸性度を直接求め、または間接的に類推することができる。
第2化合物において、アニオン性の脱離基(Lg)は特に限定されない。例えば、一般的に有機合成で用いられるものが広く適用可能である。なかでも塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子や、パラトルエンスルホン基(p−CH364SO3−)、トリフルオロメタンスルホン基(CF3SO3−)は反応性が高いため好ましい。
第1化合物と第2化合物との反応場を与える溶媒は、特に限定されない。例えば原材料のいずれか(すなわち第1化合物、第2化合物および塩基性化合物のいずれか)を過剰に用い、これを溶媒として機能させることもできる。ただし、溶媒は、塩基性化合物および第1化合物に対して安定であることが好ましい。具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、2−メチルピロリジノン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジオキサンなどが挙げられる。
また、第1化合物の共役塩基であるアルコキシドを予め調製する場合には、ピリジン、ピコリン、ルチジンなどの塩基性化合物や第1化合物自身を溶媒とすることが好ましい。これらの溶媒に対するアルコキシドの溶解度は高いため、反応を均一に行うことができ、含フッ素アルコキシアルカンの収率が更に向上する。
含フッ素アルコキシアルカンの精製を容易にするなどの観点から、溶媒の沸点は、目的物である一般式(1)で表される含フッ素アルコキシアルカンの沸点と20℃以上異なることが好ましい。例えば、溶媒の沸点は、含フッ素アルコキシアルカンよりも20℃以上高いことがより望ましい。
塩基性化合物は、特に限定されない。例えば、アルカリ金属の単体および化合物、アミン類、窒素含有複素環芳香族化合物等が挙げられる。アルカリ金属の単体および化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。アミン類としては、トリエチルアミン、ナトリウムアミド等が挙げられる。窒素含有複素環芳香族化合物としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
なかでも、リチウムジイソプロピルアミド、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ナトリウムアミドなどのアミン類、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、ブチルリチウムなどは、反応の際に水を生成しない。よって、含フッ素アルコキシアルカンの精製が更に容易となる点で好ましい。
ただし、酸化性を有する溶媒(例えばジメチルスルホキシド)を用いる場合、塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウムのうちの少なくとも1種を用いることがより好ましい。リチウムジイソプロピルアミド、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジンなどのアミン類を用いると、これらの塩基性化合物が酸化されて、それぞれに対応するアミンオキシドが生成するおそれがある。
塩基性化合物の添加量は、第1化合物1モルに対して、例えば1〜5モルであることが好ましく、1〜2モルであることが更に好ましい。第2化合物は、第1化合物1モルに対して、例えば1〜5モルであることが好ましく、1〜2モルであることが更に好ましい。第1化合物と第2化合物とを反応させる際の溶媒の温度は、特に限定されないが、−85〜80℃が好適である。
本製造方法においては、第1化合物と塩基性化合物とを含む溶媒に、第2化合物を添加することが好ましい。一般にアルコキシドは、共役酸であるアルコール、ピリジンおよびピリジン誘導体に溶解する。よって、予め塩基性化合物と第1化合物とを用いて、アルコキシドを含む溶媒を調製することができる。その後、アルコキシドを含む溶媒に第2化合物を添加することで、含フッ素アルコキシアルカンが効率よく得られる。
例えば、塩基性化合物と、溶媒とを混合し、懸濁液を得る。懸濁液に、第1化合物を混合して、混合溶液を得る。このとき、混合溶液中には、第1化合物の共役塩基であるアルコキシドが生成すると考えられる。混合溶液に、第2化合物を添加する。これにより、第1化合物の共役塩基であるアルコキシドと、第2化合物との間で求核置換反応が起こり、含フッ素アルコキシアルカンが得られる。その後、例えば例えば20kPa以下の減圧下で分留を行うことで、含フッ素アルコキシアルカンを精製することができる。
第2化合物と塩基性化合物とが溶媒中で共存可能である場合、第2化合物と塩基性化合物とを含む溶媒に、第1化合物を添加することもできる。このような第2化合物と塩基性化合物との組み合わせとしては、例えば、2−メトキシエチルパラトルエンスルホネートと水素化ナトリウムとの組み合わせ、2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートと水酸化ナトリウムとの組み合わせ等が挙げられる。これにより、第1化合物から速やかにアルコキシドを生成させるとともに、生成したアルコキシドを第2化合物と速やかに反応させることができる。この方法は、第1化合物から生成するアルコキシドの溶媒に対する溶解度が低い場合に特に有効である。
例えば、塩基性化合物と、溶媒とを混合し、懸濁液を得る。懸濁液に、第2化合物を添加して、混合溶液を得る。混合溶液に、第1化合物を混合する。これにより、混合溶液中に第1化合物の共役塩基であるアルコキシドが生成し、アルコキシドと第2化合物との間に求核置換反応が起こり、含フッ素アルコキシアルカンが得られる。
本発明の別の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法(製造方法B)は、第3化合物と、第4化合物とを、塩基性化合物を含む溶媒中で反応させる工程を含み、一般式(10):
5−O−R4−O−R5 (10)
(R4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、R5は炭素数1〜6のアルキル基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい)で表され、R4およびR5のうちの少なくとも一方がフッ素原子を含む含フッ素アルコキシアルカンを高い収率で生成する。
ただし、第3化合物は、一般式(11)および(12):
HO−R4−OH (11)
5−OH (12)
で表される化合物よりなる群から選ばれる酸性度の高い方のアルコールの共役塩基であるアルコキシドである。
第4化合物は、一般式(13)および(14):
Lg−R5 (13)
Lg−R4−Lg' (14)
(LgおよびLg'は、それぞれアニオン性の脱離基を表す)
で表される化合物よりなる群から選ばれる1種であり、第3化合物と反応して、一般式(10)で表される含フッ素アルコキシアルカンを与える。
本発明の製造方法Bによれば、見かけ上、第3化合物による含フッ素アルコキシアルカンに対する求核置換攻撃が抑制される。これにより、副生成物の生成が抑制されるため、含フッ素アルコキシアルカンの収率を向上させることができ、含フッ素アルコキシアルカンの精製も容易になる。
5の具体例としては、例えば2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられる。
4の具体例としては、例えばエチレン基などが挙げられる。
アニオン性の脱離基(Lg、Lg')は、フッ素以外のハロゲン原子、例えば塩素、臭素、ヨウ素の他、パラトルエンスルホン基(p−CH364SO3−)およびトリフルオロメタンスルホン基(CF3SO3−)などが好ましい。
第3化合物の具体例としては、例えばテトラフルオロ−1,2−ジエトキシド(-OCF2CF2-)などが挙げられる。
第4化合物の具体例としては、例えばメチルパラトルエンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートなどが挙げられる。
製造方法Bにおいて、副生成物の生成が抑制されるメカニズムは、以下のように考えられる。ここでは、第3化合物が一般式(12)で表されるアルコールのアルコキシドであり、第4化合物が一般式(14)で表される場合を例にとって説明する。
溶媒中では、第3化合物であるアルコキシドは、第4化合物中の脱離基(Lg、Lg')が結合している炭素を求核攻撃し、第4化合物から脱離基を脱離させる。これにより、一般式(10)で表される含フッ素アルコキシアルカンが生成する。この反応を式[5]に示す。
Figure 0005022111
一方、一般式(10)で表される含フッ素アルコキシアルカンと、一般式(12)で表されるアルコールのアルコキシド(R5−O−)との間では、2通りの求核置換反応が起こる可能性がある。すなわち、一般式(10)で表される含フッ素アルコキシアルカンからは、2種類のアルコキシドが脱離する可能性がある。これらの副反応を式[6]に示す。
Figure 0005022111
式6の反応ではR5−O−R4−O−が脱離する。一方、アルコキシド(R5−O−)がR4を攻撃する反応ではR5−O−が脱離する。しかし、実際には、それぞれのアルコキシドの共役酸であるR5−O−R4−OHおよびR5−OHのうち、水酸基の酸性度が高いアルコキシドほど脱離しやすい。すなわち、R5−OHの水酸基の酸性度が、R5−O−R4−OHの水酸基の酸性度よりも高い場合、含フッ素アルコキシアルカンがR5−O−により求核攻撃を受けたとしても、R5−O−が優先的に脱離する。そのため、見かけ上は、含フッ素アルコキシアルカンに変化が生じない。これにより、副生成物の生成を抑制することができるため、含フッ素アルコキシアルカンの精製が容易になる。
第4化合物において、アニオン性の脱離基(Lg、Lg')は特に限定されない。例えば、一般的に有機合成で用いられるものが広く適用可能である。なかでも塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素や、パラトルエンスルホン基(p−CH364SO3−)およびトリフルオロメタンスルホン基(CF3SO3−)は反応性が高いため好ましい。
第3化合物と第4化合物との反応場を与える溶媒は特に限定されない。例えば原材料のいずれか(すなわち第3化合物、第4化合物および塩基性化合物のいずれか)を過剰に用い、これを溶媒として機能させることもできる。ただし、溶媒は、塩基性化合物および第3化合物に対して安定であることが好ましい。具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、2−メチルピロリジノン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジオキサンなどを用いることができる。
また、一般式(12)〜(13)で表されるアルコールから第3化合物であるアルコキシドを予め生成させる場合には、ピリジン、ピコリン、ルチジンなどの塩基性化合物や第3化合物自身を溶媒とすることが好ましい。これらの溶媒に対するアルコキシドの溶解度は高い。そのため、反応を均一に行うことができ、含フッ素アルコキシアルカンの収率が更に向上する。
含フッ素アルコキシアルカンの精製を容易にする観点から、溶媒の沸点は、一般式(10)で表される含フッ素アルコキシアルカンの沸点と20℃以上異なることが好ましい。例えば、溶媒の沸点は、含フッ素アルコキシアルカンよりも20℃以上高いことがより望ましい。
塩基性化合物は、特に限定されない。例えば、アルカリ金属の単体および化合物、アミン類、窒素含有複素環芳香族化合物等が挙げられる。アルカリ金属の単体および化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。アミン類としては、トリエチルアミン、ナトリウムアミド等が挙げられる。窒素含有複素環芳香族化合物としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
なかでも、リチウムジイソプロピルアミド、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ナトリウムアミドなどのアミン類、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、ブチルリチウムなどは、反応の際に水を生成しない。よって、含フッ素アルコキシアルカンの精製が更に容易となる点で好ましい。
ただし、酸化性を有する溶媒(例えばジメチルスルホキシド)を用いる場合、塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウムのうちの少なくとも1種を用いることがより好ましい。
塩基性化合物の添加量は、第3化合物1モルに対して、例えば1〜8モルであることが好ましく、1〜3モルであることが更に好ましい。第4化合物は、第3化合物1モルに対して、例えば0.2〜10モルであることが好ましく、0.3〜3モルであることが更に好ましい。
第3化合物と第4化合物とを反応させる際の溶媒の温度は、特に限定されないが、−85〜80℃が好適である。
本製造方法においては、第3化合物と塩基性化合物とを含む溶媒に、第4化合物を添加することが好ましい。一般にアルコキシドは、共役酸であるアルコール、ピリジンおよびピリジン誘導体に溶解する。よって、予め塩基性化合物と一般式(11)〜(12)で表されるアルコールとを用いて、第3化合物であるアルコキシドを含む溶媒を調製することができる。その後、アルコキシドを含む溶媒に第4化合物を添加することで、含フッ素アルコキシアルカンが得られる。例えば、塩基性化合物と、溶媒とを混合し、懸濁液を得る。懸濁液に、一般式(11)〜(12)で表されるアルコールを混合して、混合溶液を得る。このとき、混合溶液中には、第3化合物であるアルコキシドが生成すると考えられる。混合溶液に、第4化合物を添加する。これにより、第3化合物であるアルコキシドと、第4化合物との間で求核置換反応が起こり、含フッ素アルコキシアルカンが得られる。その後、例えば例えば20kPa以下の減圧下で分留を行うことで、含フッ素アルコキシアルカンを精製することができる。
第4化合物と塩基性化合物とが溶媒中で共存可能である場合、第4化合物と塩基性化合物とを含む溶媒に、第3化合物を添加することもできる。このような第4化合物と塩基性化合物との組み合わせとしては、例えば、メチルパラトルエンスルホネートと水素化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムとの組み合わせ、2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートと水素化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムとの組み合わせが挙げられる。これにより、一般式(11)〜(12)で表されるアルコールから速やかにアルコキシドを生成させるとともに、生成したアルコキシドを第4化合物と速やかに反応させることができる。この方法は、一般式(11)〜(12)で表されるアルコールから生成するアルコキシドの溶媒に対する溶解度が低い場合に特に有効である。
例えば、塩基性化合物と、溶媒とを混合し、懸濁液を得る。懸濁液に、第4化合物を添加して、混合溶液を得る。混合溶液に、一般式(11)〜(12)で表されるアルコールを混合する。これにより、混合溶液中に第3化合物であるアルコキシドが生成し、アルコキシドと第4化合物との間に求核置換反応が起こり、含フッ素アルコキシアルカンが得られる。
以下、実施例および比較例に基づき本発明を詳細に説明する。
《実施例1》
一般式(1)で表される含フッ素アルコキシアルカンとして、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタン(一般式(1)のR1=CF3CH2−、R2=−CH2CH2−、R3=CH3−の場合に相当)を合成した。
回転子を備えた500mLの三口フラスコに、塩基性化合物である関東化学(株)製の水素化ナトリウム(純度>55%)30gを投入した。滴下ロートと三方コックとを取り付けたジムロート(Dimroth)冷却管で、フラスコ内を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に、溶媒であるAldrich社製の脱水ジメチルスルホキシドを250mL加えて、懸濁液を調製した。懸濁液に対して、第2化合物である、東京化成工業(株)製の2−メトキシエチルパラトルエンスルホネート(一般式(6)のR2=−CH2CH2−、R3=CH3−、Lg=パラトルエンスルホン基の場合に相当)132mLをシリンジで加え、混合溶液を得た。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、混合溶液に対して、第1化合物である2,2,2−トリフルオロエタノール(一般式(2)のR1=CF3CH2−の場合に相当)50mLを滴下し、均一溶液とした。均一溶液を2時間攪拌し、減圧下、液体窒素トラップを用いて低沸点成分を分取した。これにより、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンを得た。
2,2,2−トリフルオロエタノールの水酸基の酸性度(pKa)は水中で12.4である。2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンから脱離する可能性のあるアルコキシドの共役酸であるアルコールとしては、2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタノール、2−メトキシエタノール、メタノールが挙げられる。これらのアルコールの水酸基のpKaは、2−メトキシエタノール:14.8、メタノール:15.5である。2−メトキシエタノールのメチル基が2,2,2−トリフルオロエチル基に置換された2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタノールは、電子吸引性のトリフルオロエチル基が水酸基から遠く離れているため、2−メトキシエタノールとほぼ同等のpKa値を示すと考えられる。よって、2,2,2−トリフルオロエタノールの水酸基の酸性度が最も大きかった。
《実施例2》
溶媒には、関東化学(株)製の脱水ジエチルエーテルを用いた。第2化合物には、東京化成工業(株)製の2−ブロモエチルメチルエーテル(一般式(6)のR2=−CH2CH2−、R3=CH3−、Lg=Brの場合に相当)60mLを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンを得た。
《実施例3》
回転子を備えた500mLの三口フラスコに、塩基性化合物である関東化学(株)製の水素化ナトリウム(純度>55%)30gを投入した。滴下ロートおよび三方コックを取り付けたジムロート(Dimroth)冷却管で、フラスコ内を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に、関東化学(株)製のβ−ピコリンを250mL加えて懸濁液を調製した。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、懸濁液に対して、滴下ロートを用いて、第1化合物である2,2,2−トリフルオロエタノール(一般式(2)のR1=CF3CH2−の場合に相当)50mLを滴下し、混合溶液とした。滴下ロートをピリジン20mLで洗浄後、さらに第2化合物である東京化成工業(株)製の2−メトキシエチルパラトルエンスルホネート(一般式(6)のR2=−CH2CH2−、R3=CH3−、Lg=パラトルエンスルホン基の場合に相当)132mLを、滴下ロートを用いて混合溶液に加えた。第2化合物を加えた混合溶液は2時間攪拌し、減圧下(20kPa)、分留にて沸点70℃付近の成分を分取した。これにより、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンを得た。
《比較例1》
回転子を備えた1000mLの三口フラスコに、関東化学(株)製のパラトルエンスルホニルクロリド153gを投入した。滴下ロートおよび三方コックを付けたジムロート(Dimroth)冷却管でフラスコ内を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に、関東化学(株)製の脱水ピリジン330mLをシリンジで加えた。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、2,2,2−トリフルオロエタノール57.6mLを滴下し、混合溶液とした。混合溶液を2時間攪拌した後、混合溶液を氷冷しながら、5Nの塩酸を約200mL加えた。5Nの塩酸は、関東化学(株)製の濃塩酸を希釈して調製した。関東化学(株)製のジエチルエーテル約200mLを加えて有機層を抽出した後、これを水洗し、さらに関東化学(株)製の炭酸水素ナトリウムの飽和溶液200mLで洗浄した。洗浄後、関東化学(株)製の無水硫酸マグネシウムを用いて有機層を乾燥し、ジエチルエーテルをエバポレーターにて除去した。得られた生成物の主成分は、2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートであった。2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートの収率は約95%であった。
回転子を備えた500mLの三口フラスコに、関東化学(株)製の水酸化ナトリウム27.6gを投入した。滴下ロートおよび三方コックを付けたジムロート(Dimroth)冷却管でフラスコ内を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に、Aldrich社製の脱水ジメチルスルホキシドを250mL加え、さらに関東化学(株)製の2−メトキシエタノール132mLをシリンジで加えた。
一方、上記で調製した生成物50mLをDMSO100mLに溶解させ、溶液を調製した。
水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、上記で調製した生成物の溶液をフラスコ内に滴下し、混合溶液とした。混合溶液は2時間攪拌し、減圧下、液体窒素トラップを用いて低沸点成分を分取した。これにより、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンを得た。
《比較例2》
回転子を備えた500mLの三口フラスコに関東化学(株)製の水素化ナトリウム(純度>55%)30gを投入し、滴下ロートおよび三方コックを付けたDimroth冷却管でフラスコ内を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に関東化学(株)製の脱水ピリジンを250mL加え、さらに東京化成工業(株)製の2−メトキシエチルパラトルエンスルホネート132mLをシリンジで加えた。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、Fluorochem社製1−ヨード−2,2,2−トリフルオロエタン67mLをフラスコ内に滴下した。滴下後、さらに撹拌を2時間継続した後、減圧下、液体窒素トラップを用いて低沸点成分を分取した。これにより、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンを得た。
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた生成物を、1H−NMRを用いて解析した。生成物の重量と、NMRで得られたモル分率から、実施例1〜3および比較例1〜2における収率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0005022111
実施例1〜3では、いずれも2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンの収率が80%を超える良好な値であった。また、1H−NMR解析では、副生成物のピークは見られなかった。
一方、比較例1および2では、いずれも2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンの収率が10%を下回っていた。また、比較例1〜2の生成物の1H−NMR解析では、ジグリムおよびビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテルが生成していることが認められた。この原因は、以下のように考えられる。
まず、目的生成物である2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンと2−メトキシエトキシドとが反応し、2,2,2−トリフルオロエトキシドが脱離する。その後、式[7]に示すように、2,2,2−トリフルオロエトキシドが2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートを求核攻撃する。その結果、ジグリムおよびビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテルが生成したものと考えられる。
Figure 0005022111
2,2,2−トリフルオロエトキシドは、電子吸引性のトリフルオロメチル基を有する。そのため、2,2,2−トリフルオロエトキシドは、2−メトキシエトキシドよりも安定化されており、脱離しやすい。よって、式[7]に示す反応が優先的に進行したと考えられる。以上のように、求核剤となるアルコキシドとして、生成する可能性のある全アルコキシド種の中で最も安定なものを選択することで、収率が向上する。換言すれば、水酸基の酸性度が最も高いアルコールを第1化合物として用いることが有効である。
以上のように、本発明によれば、副生成物の生成を抑制し、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンを高い収率で得られることが示された。副生成物の生成が抑制されているため、2,2,2−トリフルオロエトキシメトキシエタンの精製も容易であった。
《実施例4》
一般式(10)で表される含フッ素アルコキシアルカンとして、ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン(一般式(10)のR5=CF3CH2−、R4=−CH2CH2−の場合に相当)を合成した。
まず、以下の要領で第4化合物を調製した。回転子を備えた1000mLの三口フラスコに、関東化学(株)製のパラトルエンスルホニルクロリド153gを投入した。滴下ロートおよび三方コックを取り付けたジムロート(Dimroth)冷却管でフラスコ内を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に、関東化学(株)製の脱水ピリジン330mLをシリンジで加えた。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、2−ブロモエタノール57mLをフラスコ内に滴下して、混合溶液とした。混合溶液を2時間攪拌した後、混合溶液を氷冷しながら、5Nの塩酸を約200mL加えた。5Nの塩酸は、関東化学(株)製の濃塩酸を希釈して調製した。関東化学(株)製のジエチルエーテル約200mLを加えて有機層を抽出した後、これを水洗し、さらに関東化学(株)製の炭酸水素ナトリウムの飽和溶液200mLで洗浄した。洗浄後、関東化学(株)製の無水硫酸マグネシウムを用いて有機層を乾燥し、ジエチルエーテルをエバポレーターにて除去した。これにより、第4化合物として用いる2−ブロモエチルパラトルエンスルホネート(一般式(14)のR4=−CH2CH2−、Lg=Br、Lg'=パラトルエンスルホン基の場合に相当)を得た。2−ブロモエチルパラトルエンスルホネートの収率は約95%であった。
回転子を備えた500mLの三口フラスコに、塩基性化合物である関東化学(株)製の水素化ナトリウム(純度>55%)30gを投入した。滴下ロートおよび三方コックを取り付けたジムロート(Dimroth)冷却管で、フラスコ内を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に、関東化学(株)製のβ−ピコリンを250mL加えて懸濁液を調製した。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、懸濁液に2,2,2−トリフルオロエタノール(一般式(12)のR5=CF3CH2−の場合に相当)50mLを滴下し、混合溶液とした。混合溶液中では、2,2,2−トリフルオロエタノールから、第3化合物である2,2,2−トリフルオロエトキシドを生成させた。
一方、第4化合物である2−ブロモエチルパラトルエンスルホネート96.3gをβ−ピコリン150mLに溶解させた。この溶液を、ピリジン20mLで洗浄後の滴下ロートを用いて、混合溶液に加えた。第4化合物を加えた混合溶液は2時間攪拌し、減圧下(20kPa)、分留にて沸点70℃付近の成分を分取した。
《比較例3》
回転子を備えた500mLの三口フラスコに、関東化学(株)製の水素化ナトリウム(純度>55%)30gと、第4化合物として、2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネート(一般式(13)のR5=CF3CH2−、Lg=パラトルエンスルホン基の場合に相当)175gとを投入した。滴下ロートおよび三方コックを取り付けたジムロート(Dimroth)冷却管でフラスコ中を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に、関東化学(株)製の脱水ジメチルスルホキシドを250mL加えて懸濁液を調製した。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、Aldrich社製の脱水エチレングリコール(pKa:15.4(水中))19mLをフラスコ内に滴下し、混合溶液とした。混合溶液を2時間攪拌した後、減圧下、液体窒素トラップを用いて低沸点成分を分取した。しかし、ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタンは得られなかった。
実施例4および比較例3で得られた生成物を、1H−NMRを用いて解析した。生成物の重量と、NMRで得られたモル分率から、実施例4および比較例3における収率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005022111
実施例4では、ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタンの収率は75%と良好な値であった。また、1H−NMR解析では、溶媒として用いたβ−ピコリンを除き、副生成物のピークは見られなかった。
一方、比較例3では、目的化合物であるビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタンが全く得られなかった。また、1H−NMR解析では、エチレンオキシドとビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテルが生成していることが認められた。この原因は、以下のように考えられる。
まず、式[8]に示すように、エチレングリコールから生成したジアルコキシドは、2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートを求核攻撃する。これにより、中間体である2,2,2−トリフルオロエチルエトキシドが生成し、この中間体が分子内環化しものと考えられる。
Figure 0005022111
中間体である2,2,2−トリフルオロエチルエトキシドよりも、2,2,2−トリフルオロエトキシドの方がアニオン部位に対するフッ素置換基の位置が近い。よって、2,2,2−トリフルオロエチルエトキシドよりも、2,2,2−トリフルオロエトキシドの方が安定である。そのため、式[9]のような分子内環化が進行すると考えられる。
このようにして生成した2,2,2−トリフルオロエトキシドは、2,2,2−トリフルオロエチルパラトルエンスルホネートを求核攻撃する。その結果、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテルが生成したと考えられる。
このように、HOCH2CH2OH、CF3CH2OCH2CH2OHおよびCF3CH2OHのうち、水酸基の酸性度が最も高いアルコールのアルコキシドを用いることが、副生成物の生成を抑制するのに有効であることがわかった。
《実施例5》
一般式(10)で表される含フッ素アルコキシアルカンとして、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(一般式(10)のR5=−CH3、R4=−CF2CF2−の場合に相当)を合成した。
回転子を備えた200mLの三口フラスコに、関東化学(株)製の水素化ナトリウム(純度>55%)8.73gとを投入した。滴下ロートおよび三方コックを取り付けたジムロート(Dimroth)冷却管で、フラスコ中を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に関東化学(株)製の脱水ジメチルスルホキシドを80mL加えて懸濁液を調製した。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、Aldrich社製の脱水メタノール8.1mLをフラスコ内に滴下し、混合溶液を得た。
混合溶液にAlfa Aesar社製の1,2−ジヨードテトラフルオロエタン(一般式(11)のR4=−CF2CF2−の場合に対応するジアルコキシド(第3化合物)を生成する化合物)6.7mLを滴下後、2時間攪拌した。引き続き、混合溶液に東京化成工業(株)製のメチルパラトルエンスルホネート(一般式(13)のR5=−CH3、Lg=パラトルエンスルホネート基の場合に相当)18.6gを、ジメチルスルホキシド10mLに溶解させたものを滴下し、その後、さらに2時間撹拌した。減圧下、液体窒素トラップを用いて低沸点成分を分取した。
《比較例4》
回転子を備えた200mLの三口フラスコに、関東化学(株)製の水素化ナトリウム(純度>55%)4.36gとを投入した。滴下ロートおよび三方コックを取り付けたジムロート(Dimroth)冷却管でフラスコ中を密閉化した後、フラスコの内部をアルゴンで置換した。
フラスコ内に関東化学(株)製の脱水ジメチルスルホキシドを80mL加えて懸濁液を調製した。水浴を用いて反応系を室温付近に保ちながら、滴下ロートを用いて、Aldrich社製脱水メタノール4.0mLをフラスコ内に滴下し、混合溶液を得た。
混合溶液にAlfa Aesar社製1,2−ジヨードテトラフルオロエタン6.7mLを滴下後、さらに撹拌を2時間継続した。減圧下、液体窒素トラップを用いて、低沸点成分を分取した。
実施例5および比較例4で得られた生成物を、1H−NMRにて解析した。生成物の重量と、NMRで得られたモル分率から、実施例5および比較例4における収率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 0005022111
実施例5では、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの収率が75%と良好な値であった。一方、比較例4では、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの収率が5%であった。1H−NMR解析では、いずれにおいても、副生成物としてジメチルエーテルが確認された。
比較例4では1,2−ジヨードテトラフルオロエタンに対して、それぞれ2当量の水素化ナトリウムとメタノールとを用いたため、式[9]に示す反応が期待された。
Figure 0005022111
しかし、実際には、式[10]に示すように、生成した1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンがメトキシドの求核攻撃を受け、ジメチルエーテルと2−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエトキシドが生成したものと考えられる。これは、メトキシドアニオンに比べ、電子吸引性のCF2CF2基を有するCH3OCF2CF2O−アニオンの方が安定であり、より脱離しやすいためと考えられる。すなわち、共役酸であるCH3OHおよびCH3OCF2CF2OHの水酸基の酸性度を比較すると、CH3OCF2CF2OHの方がより酸性度が高いためであると考えられる。
Figure 0005022111
一方で、本発明による実施例5では1,2−ジヨードテトラフルオロエタンに対して、それぞれ4当量の水素化ナトリウムとメタノールを用いた。これにより、式[10]に示す反応がさらに進行し、式[11]で表されるように−OCF2CF2O−という活性種が生成する。これにメチルパラトルエンスルホネートを求核攻撃させることで、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンが収率良く合成できたと考えられる。
Figure 0005022111
以上のように、HO−R4−OHおよびR5−OHのうち、水酸基の酸性度のより高いアルコールの共役塩基であるアルコキシドと、それぞれ対応するLg−R5またはLg−R4−Lg'で表される化合物と反応させることで、副生成物の生成を抑制できることがわかった。
本発明によれば、非水電解質二次電池に含まれる非水電解液として好適な含フッ素アルコキシアルカンを、高い収率で製造することができる。よって、本発明は、非水電解質二次電池の性能の向上および低コスト化に寄与する。

Claims (14)

  1. 一般式(1):
    1−O−R2−O−R3 (1)
    (R1およびR3は炭素数1〜6のアルキル基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい)で表され、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つがフッ素原子を含む、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法であって、
    第1化合物と、前記第1化合物と反応する第2化合物とを、塩基性化合物または塩基性化合物を含む溶媒中で反応させる工程を含み、
    前記第1化合物が、一般式(2)〜(5):
    1−OH (2)
    3−O−R2−OH (3)
    1−O−R2−OH (4)
    3−OH (5)
    で表される化合物よりなる群から選ばれる最も酸性度の高いアルコールであり、
    前記第2化合物が、一般式(6)〜(9):
    Lg−R2−O−R3 (6)
    Lg−R1 (7)
    Lg−R3 (8)
    Lg−R2−O−R1 (9)
    (Lgはアニオン性の脱離基を表す)
    で表される化合物よりなる群から選ばれる1種であり、かつ、前記第1化合物と反応して前記含フッ素アルコキシアルカンを与える化合物である、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  2. 前記第1化合物と前記第2化合物との組み合わせが、一般式(2)と一般式(6)の化合物、一般式(3)と一般式(7)の化合物、一般式(4)と一般式(8)の化合物、または、一般式(5)と一般式(9)の化合物の組み合わせである、請求項1記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  3. 前記脱離基が、塩素、臭素、ヨウ素、パラトルエンスルホン基(p−CH364SO3−)およびトリフルオロメタンスルホン基(CF3SO3−)よりなる群から選ばれる1種である、請求項1または2記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  4. 前記溶媒が、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、2−メチルピロリジノン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびジオキサンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  5. 前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリンおよびルチジンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  6. 前記第1化合物と前記塩基性化合物とを前記溶媒に添加した後、前記第2化合物を前記溶媒に添加する、請求項1〜5のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  7. 前記第2化合物と前記塩基性化合物とを前記溶媒に添加した後、前記第1化合物を前記溶媒に添加する、請求項1〜5のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  8. 一般式(10):
    5−O−R4−O−R5 (10)
    (R4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、R5は炭素数1〜6のアルキル基であり、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい)で表され、R4およびR5のうちの少なくとも一方がフッ素原子を含む、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法であって、
    第3化合物と、前記第3化合物と反応する第4化合物とを、塩基性化合物または塩基性化合物を含む溶媒中で反応させる工程を含み、
    前記第3化合物が、一般式(11)および(12):
    HO−R4−OH (11)
    5−OH (12)
    で表される化合物よりなる群から選ばれる酸性度の高い方のアルコールの共役塩基であるアルコキシドであり、
    前記第4化合物が、一般式(13)および(14):
    Lg−R5 (13)
    Lg−R4−Lg' (14)
    (LgおよびLg'は、それぞれアニオン性の脱離基を表す)
    で表される化合物よりなる群から選ばれる1種であり、かつ、前記第3化合物と反応して前記含フッ素アルコキシアルカンを与える化合物である、含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  9. 前記第3化合物と前記第4化合物との組み合わせが、一般式(11)の共役塩基であるアルコキシドと一般式(13)の化合物、または、一般式(12)の共役塩基であるアルコキシドと一般式(14)の化合物の組み合わせである、請求項8記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  10. 前記脱離基が、塩素、臭素、ヨウ素、パラトルエンスルホン基(p−CH364SO3−)およびトリフルオロメタンスルホン基(CF3SO3−)よりなる群から選ばれる1種である、請求項8または9記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  11. 前記溶媒が、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、2−メチルピロリジノン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびジオキサンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項8〜10のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  12. 前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジンおよびナトリウムアミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項8〜11のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  13. 前記第3化合物と前記塩基性化合物とを前記溶媒に添加した後、前記第4化合物を前記溶媒に添加する、請求項8〜12のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。
  14. 前記第4化合物と前記塩基性化合物とを前記溶媒に添加した後、前記第3化合物を前記溶媒に添加する、請求項8〜12のいずれかに記載の含フッ素アルコキシアルカンの製造方法。

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