JP5020147B2 - 高配向ダイヤモンド膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トランジスタ、ダイオード、及び各種センサ等の電子装置、ヒートシンク、表面弾性波素子、電子放出材料、X線及び光学関連部材、耐摩耗材、装飾材並びにそれらのコーティング等に使用される高配向ダイヤモンド膜及びその製造方法に関する。
ダイヤモンドは耐熱性に優れ、バンドギャップが大きく(5.5eV)、通常は絶縁体であるが、不純物ドーピングにより半導体化できる。また、絶縁破壊電圧及び飽和ドリフト速度が大きく、誘電率が小さいという優れた電気的特性を有する。このような特徴により、ダイヤモンドは高温・高周波・高電界用の電子デバイス並びにセンサ用の材料として期待されている。
また、ダイヤモンドは、バンドギャップが大きいことを利用した紫外線等の短波長領域に対応する光センサ及び発光素子への応用、熱伝導率が大きく、比熱が小さいことを利用した放熱基板材料への応用、物質中で最も硬いという特性を生かした表面弾性波素子への応用、高い光透過性・屈折率を利用したX線窓及び光学材料への応用等が進められている。更に、ダイヤモンドは工具の耐摩耗部にも使用されている。
これら種々の応用において、ダイヤモンドの特性を最大限に発揮させるには、ダイヤモンド結晶の構造欠陥を低減した高品質の結晶を合成することが必要である。
ダイヤモンドの気相合成法としては、マイクロ波化学気相蒸着(CVD)法(例えば、特許文献1及び特許文献2)、高周波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、直流プラズマCVD法、プラズマジェット法、燃焼法、及び熱CVD法等が知られている。
シリコン等の非ダイヤモンド基板に気相合成されたダイヤモンド膜は一般にダイヤモンド粒子がランダムに凝集した多結晶であり、粒界が高密度に存在する。この粒界により、ダイヤモンド中を流れるキャリア(電子及びホール等の荷電粒子)がトラップされたり、散乱される。また、光学的にも、粒界で光が散乱され、透過度が低い。
このような多結晶ダイヤモンド膜の品質向上方法として、粒界をより少なくすることにより、ダイヤモンド結晶粒子がほぼ一定方向に揃った高配向膜の合成方法が開示されている。
その1つは、Si(100)及びSiC等の基板に、ダイヤモンド成長前に負のバイアスを印加する方法がある。なお、Si基板の場合は、予め表面を炭化処理したものを用いる。これにより、基板の結晶方位を引き継いだダイヤモンドの成長核を形成できる。この第1段階を「バイアス核発生」と呼ぶことにする。第2段階として、<100>方位の成長速度が<111>より速い条件を選ぶことができ、これにより、基板に垂直に<100>に配向した成長核が最も早く高くなるので、この条件で成長を続けることにより、徐々に<100>配向した結晶粒、即ち配向粒子のみが残り、それ以外、即ち非配向粒子は埋もれてゆく。仮に、ここで成長を止めて観察すると、ダイヤモンド膜の表面形状はピラミッド状の四角錐が向きを揃えて寄り集まったものとなる。四角錐の1個1個が夫々1個の結晶粒である。四角錐の側斜面は{111}面になっている。
全てが<100>配向粒子のみになった頃を見計らい、第3段階として成長条件を<111>方位の成長速度が<100>より速い条件に切り替えると、今度は頂点から水平方向に{100}面が広がり、一方、側斜面を構成していた{111}面が縮小していく。最終的に、{111}面は消え、{100}面が残る。この{100}面は基板に平行なため、ダイヤモンド膜全面が平面となる。
実際には、非配向粒子が配向粒子に覆われて消えるためには、第2段階の成長をある程度の膜厚まで続けなければならない。長く成長を続けると、何れは完全に非配向粒子が消滅するはずであるが、製造コスト削減のためには、できるだけ短くしたい。そこで、ぎりぎりの膜厚を見極める必要があるが、もし少しでも非配向粒子、特に<111>方位を基板にほぼ垂直な結晶粒子が表面に残っていると、第3段階の平坦化成長条件はそもそもその方向の成長を促進するものであるので、周囲の{100}配向粒子の{100}面の高さを追い越し、凸形状となる。即ち、平坦面から突き出た形状(所謂ヒロック形状)になり、平坦化が困難となる。更に、同じ条件で成長を続けると、どんどん{100}配向粒子を覆うように拡大成長してしまう。
また、第2段階で成長させた層は、実際には粒界が多く存在し、光学的に散乱要因となるだけでなく、内部応力が大きく、膜全体が反る要因の1つとなっている。また、成長条件が{111}セクタ成長となるので、窒素及びSi等の不純物の取り込みが{100}セクタ成長に比べ10倍多く、また、結晶欠陥も多いため、電気伝導に関する移動度が低い。
従って、この層(第2段階層)は、用途によっては基板とともに研磨等により除去する必要があるため、なるべく薄い方がよい。
その解決の1方法として、本願出願人は、第1のダイヤモンド上に金属膜を設け、その金属膜に意図的に前もってあるいは自発的に複数個の貫通孔を設け、その上に第2の高品質ダイヤモンドを成長させる高品質ダイヤモンド膜の製造方法を提案した(特許文献3)。
しかしながらこれは、既に形成された{100}面又は{111}面を持った結晶粒を基にし、金属膜マスク等で部分的に露出させ、ここから同じ面を再成長させることに関したものであり、基の結晶粒に存在する転位等の欠陥を低減することを目的としたものである。副次的に、埋められた金属膜を光の反射膜又は電極として使用したり、高品質な上層部の分離を容易にさせる効果が記載されている。
特公昭59?27754号公報 特公昭61?3320号公報 特開2001−233695
しかしながら、この方法を用いても、もし金属マスクに覆われていない露出した部分のダイヤモンド表面に非配向粒子、例えば{100}面からなる高配向膜中に{111}面の非配向面を持つ結晶粒子が混じっていた場合、面方位を自発的に区別してその成長を抑制しようとするものではない。従って、そのまま成長させると、下地とほぼ同様に非配向面が残った上層膜ができてしまうという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、非配向結晶粒の成長を抑制し、配向度を高めることができる高配向ダイヤモンド膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る高配向ダイヤモンド膜の製造方法は、表面に複数の凹凸を有する下地ダイヤモンド層を、基板上に形成する下地ダイヤモンド層形成工程と、前記下地ダイヤモンド層上に金属膜又はセラミックス膜からなる中間層を形成する中間層形成工程と、前記下地ダイヤモンド層及び前記中間層を加熱し、前記下地ダイヤモンド層の凹部が前記中間層で覆われた状態で、前記下地ダイヤモンド層の凸部の一部を前記中間層から部分的に露出させる中間層加熱工程と、前記中間層の表面に前記ダイヤモンド層の凸部の一部が露出した状態で、その上に高配向ダイヤモンド層を成長させるダイヤモンド追成長工程と、を有し、前記下地ダイヤモンド層は、配向性ダイヤモンド粒子と非配向性ダイヤモンド粒子とが混在し、前記下地ダイヤモンド層の前記凸部は配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記下地ダイヤモンド層の前記凹部は非配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記中間層加熱工程において、前記凸部の少なくとも頂部が前記中間層から露出していることを特徴とする。
本発明において、例えば、前記中間層加熱工程は、水素プラズマ処理により前記下地ダイヤモンド層及び前記中間層を加熱するものである。
前記中間層が、白金、金、銀、銅、パラジウム、又はこれらの合金からなる金属膜である場合、前記金属膜の厚さは100nm乃至500nmであり、前記金属膜からなる中間層形成工程において前記基板は50℃乃至100℃に加熱され、前記中間層加熱工程において前記金属膜は600℃乃至1000℃に加熱される。
また、前記中間層が、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒素化珪素、酸化チタン、窒素化チタン、窒素化アルミニウム、窒素化ガリウム、又はこれらの混合物からなるセラミックス膜である場合、前記セラミックス膜の厚さは100nm乃至500nmであり、前記セラミックス膜からなる中間層形成工程において前記基板は50℃乃至100℃に加熱され、前記中間層加熱工程において前記セラミックス膜は600℃乃至1000℃に加熱される。
前記下地ダイヤモンド層形成工程は、例えば、前記基板の表面を炭化させ、バイアス核を発生させ、配向粒子を成長させるものである。
また、前記基板は例えばシリコン基板であり、前記下地ダイヤモンド層の平均厚さは、0.5乃至5.0μmである。
更にまた、前記ダイヤモンド追成長工程は、水素と炭化水素と酸素の混合ガスを用いて化学気相成長法によりダイヤモンドを成長させる配向粒子成長工程と、前記配向粒子成長工程よりも炭化水素の割合を低くした水素と炭化水素と酸素の混合ガスを用いて化学気相成長法によりダイヤモンドを成長させる平坦化成長工程とを有することが好ましい。
本発明に係る高配向ダイヤモンド膜は、基板と、この基板上に形成され表面が凹凸を有する下地ダイヤモンド層と、この下地ダイヤモンド層の前記凹凸の凹部を埋め込む金属膜又はセラミックス膜からなる中間層と、この中間層と中間層に覆われていない前記下地ダイヤモンド層上に形成された高配向ダイヤモンド層と、を有し、前記下地ダイヤモンド層は、配向性ダイヤモンド粒子と非配向性ダイヤモンド粒子とが混在し、前記下地ダイヤモンド層の前記凸部は配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記下地ダイヤモンド層の前記凹部は非配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記下地ダイヤモンド層の平均厚さは0.5乃至5μmであり、前記中間層の厚さは100乃至500nmであることを特徴とする。
本発明においては、表面に凹凸を有する下地ダイヤモンド層を形成した後、金属膜又はセラミックス膜からなる中間層を形成してこれを加熱することにより、前記凹凸の凹部にのみ中間層を形成し、更に、ダイヤモンドを追成長させると、中間層が存在する凹部からのダイヤモンドの成長が抑制され、凸部のみからダイヤモンド膜が成長する。この凸部は、<100>配向粒子又は<111>配向粒子の何れかに選択することができる。このとき、非配向粒子があるとすれば、この非配向粒子は前記凹部の底近傍にある。このため、配向粒子のみからなる凸部のみを成長させ、凹部の底にある非配向粒子の成長を抑制することができるので、非配向成分が低減され、高品質の高配向ダイヤモンド膜を形成することができる。
本発明によれば、ダイヤモンド表面に非配向粒子、例えば{100}面からなる高配向膜中に{111}面の非配向面を持つ結晶粒子が混じっていても、それは、凹部に存在し、この凹部は金属膜又はセラミックス膜からなる中間層が形成されているので、その後のダイヤモンドの追成長工程においては、この非配向面をもつ結晶粒子の影響を受けずに、凸部から高品質の高配向ダイヤモンド膜を形成することができる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)乃至(d)は、本発明の第1実施形態に係る高配向ダイヤモンド膜の製造方法を工程順示す断面図である。図1(a)に示すように、Si(100)ウェハ等の基板1上に、マイクロ波プラズマCVD装置により、下記表1の条件で、表面炭化工程を15〜30分実施して、炭化層(図示せず)を形成する。次に、下記表1に示す条件で、バイアス核発生工程を5〜15分、配向粒子成長工程を1〜4時間行い、表面に凹凸を有する下地ダイヤモンド層2を形成する。
上記条件で、下地ダイヤモンド層2を形成した結果、表面を電子顕微鏡観察すると、正射影面積の約50〜90%がピラミッド状の表面形態を有する配向粒子、残りが非配向粒子から構成されていることが確認された。なお、凸部2aはほぼ配向粒子であり、非配向粒子は、下地ダイヤモンド層2の表面の凹凸の凹部2bに存在することも確認された。
Figure 0005020147
配向粒子とは、結晶方位が基板の結晶方位にほぼ一致するものである。例えば、Si(100)基板上では、〈100〉方向が基板にほぼ垂直(仮に、偏り角5°以内)であるものを作成できる。気相合成によるダイヤモンド結晶は、ある程度合成条件を変化させても、{111}面と{100}面の2種類の面から主に構成される場合が多い。そのため、図4に示すように、{111}面が多く出る条件では、ちょうど、頂点の方位が〈100〉方位に相当する。その他、例えば、〈111〉配向したダイヤモンド薄膜としては、Pt(111)基板上で適切な合成条件を使用して作成可能である。なお、非配向粒子とは、上述のような配向粒子ではないものである。
下地ダイヤモンド層の平均厚さは、0.5乃至5μmであることが望ましい。この下地ダイヤモンド層の平均厚さが0.5μm未満では、配向粒子の割合が50%を超えず、且つ、表面の凹凸(即ち、配向粒子と非配向粒子の高さの差)が200nm以下と小さくなる。このとき、中間膜を厚くすると配向粒子の先端を突出させられないし、中間膜を薄くすると、非配向粒子上で完全に覆えない部分が生じやすい。表1に記載した合成条件を使用すれば、5μm程度でほぼ90%が配向粒子で占められるようになる。実際には、これ以上に厚くすることが本発明の効果を妨げる要因にはならないが、厚いほど成膜に時間がかかり製造コストの上昇になること、また内部応力が大きくなり、反りやすいことにより、本発明の目的から外れていくため、望ましくない。
配向粒子の割合が50%を超えないと、中間膜を形成して熱処理したとき、非配向粒子の表面上にも露出部ができてしまう。つまり、中間膜で非配向性粒子を完全に覆えなくなる。一方、90%以上を配向粒子で覆うためには、実際には、下地ダイヤモンド膜の膜厚を厚くしなければならない。これは、実用上、前述と同様に望ましくない。勿論、ほぼ100%が配向粒子になれば、中間層は不要になる。
次に、この表面に凹凸を有する下地ダイヤモンド層2の表面上に金属膜3を成膜する。この金属膜3は、例えば、白金、金、銀、銅、又はパラジウムのいずれかであり、この金属膜3を、例えば、スパッタリング法又は蒸着法により、100〜500nmの厚さに成膜する。上記条件で金属膜を成膜した結果、これを電子顕微鏡観察すると、ピンホールがない連続膜であることが確認された。
次に、マイクロ波プラズマCVD装置を用い、表1の水素プラズマ処理工程の条件で、10〜30分間、水素プラズマ処理を行う。これにより、図1(b)に示すように、金属膜3は溶融軟化し、下地ダイヤモンド層2の凹部2b上に凝集する。上記条件で水素プラズマ処理した後、基板を室温に戻して取り出し、電子顕微鏡観察したところ、下地ダイヤモンド層2の凸部2aのみが金属膜4の上に露出し、凹部2bが金属膜4に被覆されていることが確認された。
この金属膜4による下地ダイヤモンド層2の凹部2bの被覆は、適度な膜厚の金属膜3を成膜した後、これを加熱することにより、凹部2bに金属膜4を凝集させ、凸部2aを露出させるものである。このような作用効果を奏する金属膜3の膜厚は、その後のダイヤモンド成長条件において配向粒子の頂点が露出し、非配向粒子が隠れる程度の膜厚を選択することになるが、非配向粒子が占める面積割合が多ければ厚くする必要があり、少なければ薄くてもよい。例えば、非配向粒子が正投影面積の1/2以下なら、金属膜3の膜厚は100〜500nmが好ましい。
金属膜3の加熱は、真空中、又は不活性ガス雰囲気中で行うが、ダイヤモンドの成長環境の中で、水素プラズマ処理を選ぶことができる。この水素プラズマ処理を選ぶことにより、ダイヤモンドの追成長と同一の工程で金属膜を加熱することができ、ダイヤモンドの追成長の初期に金属膜の凝集が起きて、凸部2aのみ露出し、続けて凸部2aから高配向ダイヤモンド層5が成長していくので有利である。
金属膜3としては、薄膜の状態で800〜1000℃の加熱処理又は水素プラズマ中で軟化及び凝集が可能なものであって、ダイヤモンドをほとんど溶解腐蝕しないものの中から選択することができる。この金属膜3の融点は、1300〜2300℃のものが適当と考えられる。例えば、白金、金、銀、銅、パラジウム等、又はその合金を使用することができる。
その後、図1(c)に示すように、先ず、再度、表1の配向粒子成長条件でダイヤモンドを、0時間を超え、2時間以下、追成長させると、下地ダイヤモンド層2の凸部2aから高配向ダイヤモンド層5が成長し、更に、表1の平坦化成長工程の条件で、更に3〜10時間追成長を行うと、図1(d)に示すように、平坦化した高配向ダイヤモンド層6が形成される。上記条件で、凹凸を有する高配向ダイヤモンド層5及び平坦化高配向ダイヤモンド層6を成膜した結果、これを電子顕微鏡観察すると、非配向粒子が全くなく、配向粒子の{100}面のみで覆われた高配向ダイヤモンド膜が得られていることが確認された。
従って、本発明により、ほぼ完全な{100}配向性で、平坦性が高い高配向ダイヤモンド膜を作製することができる。
なお、水素プラズマ処理後、これを室温に戻さず、ガス流量を調節することにより連続してダイヤモンド追成長を行っても、最終的に得られたダイヤモンド膜は同じである。
このようにして、本実施形態においては、高配向ダイヤモンドの作製の途中で、表面形状に凹凸がある段階で、凹部の成長を抑制し、凸部のみ成長させる。この凹部のダイヤモンド成長は、金属膜で被覆することにより抑制する。即ち、本実施形態においては、金属膜を成膜した後、これを加熱することにより凝集が起こり、凹部2bに溜まるので、これを利用することにより、凸部2aは自動的に露出する。
下地ダイヤモンド層の凹部を金属膜で被覆した後、ダイヤモンド合成を行うと、露出部からのみ高配向ダイヤモンド層が成長していく。この高配向ダイヤモンド層はその先鋭な頂形状をそのまま残すこともできるが、通常はダイヤモンド合成の最終段で、水平方向の成長条件に切り替え、表面を平坦化させる。その結果、非配向成分が著しく低減され、配向性が向上すると共に、表面平坦化成長後の平坦性も向上する。これにより、本発明によれば、従来より膜厚が薄い段階で、配向性が向上するので、成膜時間を短くすることもできる。
次に、図2(a)乃至(d)を参照して、本発明の第2実施形態に係る高配向ダイヤモンド膜の製造方法について説明する。本実施形態においては、図2(a)に示すように、下地ダイヤモンド層2を形成した後、セラミックス膜7を成膜する。
その後、このセラミックス膜7を加熱雰囲気又は水素プラズマ中に曝すことにより、セラミックス膜7を収縮させ、その結果、下地ダイヤモンド層2の凸部2aに亀裂を生じさせる。セラミックス材料によっては、加熱することにより、膨張し、その結果、凸部2aにせり上がりを生じ、それが亀裂状に剥離する場合もある。何れにせよ、熱又は水素プラズマにより、収縮又は膨張して変形するセラミックス材料を使用し、凸部2aで亀裂が生じ、下地ダイヤモンド層2の凸部2aが露出する。
セラミックスとしては、酸化硅素、酸化アルミニウム、窒素化硅素、酸化チタン、窒素化チタン、窒素化アルミニウム、若しくは窒素化ガリウム又はこれらの混合物を使用することができる。
具体的には、第1実施形態の金属膜3の成膜の代わりに、例えば、酸化硅素、酸化アルミニウム、窒素化硅素、酸化チタン、窒素化チタン、窒素化アルミニウム、又は窒素化ガリウムのいずれかを、スパッタリング法又は蒸着法により、100〜500nmの厚さに成膜する。上記条件で成膜した結果、これを電子顕微鏡観察すると、ピンホールがない連続膜であることが確認された。
次に、マイクロ波プラズマCVD装置を用い、上記表1の水素プラズマ処理工程の条件で10〜30分処理を行うことにより、凸部2aの上のセラミックス膜8に亀裂が入り、下地ダイヤモンド層2の凸部2aが露出する。上記条件で水素プラズマ処理した結果、基板を室温に戻して取り出し、電子顕微鏡観察すると、凸部2aにのみ亀裂が入り、そこだけが下地ダイヤモンド2が露出していることが確認された。ただし、金属膜と異なる点は、頂部のみならず、頂部に近い四角錐の稜線も露出していた。
このセラミックス膜の成膜及び亀裂生成以外は第1実施形態と同様である。
ダイヤモンドの追成長において、経過観察のため途中で中断して室温に戻し取り出したところ、四角錐の稜線からもダイヤモンドが成長していることが観察されたが、追成長時間が長くなるにつれ、金属膜使用の場合とほぼ同じ形状に近づき、最終的に得られたダイヤモンド膜の配向性及び平坦性は、ともに同等であった。
なお、水素プラズマ処理後、これを室温に戻さず、ガス流量を調節することにより連続してダイヤモンド追成長を行っても、また、追成長時、経過観察のための中断を入れなくても、最終的に同じダイヤモンド膜が得られる場合があるが、必ずしも亀裂が発生せず、うまく高配向ダイヤモンドが得られない場合もあった。水素プラズマ処理後、一度室温に戻した場合の方が高確率で同様な高配向性ダイヤモンド膜が得られた。
本実施形態でも、凹部2bをセラミックス膜8で被覆した後、ダイヤモンド合成を行うと、下地ダイヤモンド層2の露出部からのみダイヤモンドが成長していく。頂形状をそのまま残すこともできるが、通常は作製の最終段で水平方向成長条件に切り替え表面を平坦化させる。その結果、非配向成分が著しく低減され、配向性が向上する。また、表面平坦化成長後の平坦性も向上し、従来より膜厚が薄い段階で配向性が向上する。
次に、図3(a)乃至(d)を参照して、本発明の第3実施形態に係る高配向ダイヤモンド膜の製造方法について説明する。本実施形態においては、図3(a)の金属膜成膜後及び図3(b)の水素プラズマ処理後の層構成は、図1(a)、(b)と同一である。本実施形態においては、金属膜形成後の工程が第1実施形態と異なる。即ち、本実施形態は、配向粒子成長条件での追成長工程がない。
図3(c)は平坦化工程の途中を示し、図3(d)は平坦化工程の最終形態を示す。図3(c)に示すように、下地ダイヤモンド層2の凸部2aから頂部が平坦な高配向ダイヤモンド層9が成長し、更に、表1の平坦化成長工程の条件で、更に3〜10時間追成長を行うと、図3(d)に示すように、平坦化した高配向ダイヤモンド層10が形成される。上記条件で、平坦化高配向ダイヤモンド層10を成膜した結果、これを電子顕微鏡観察すると、非配向粒子が全くなく、配向粒子の{100}面のみで覆われた高配向ダイヤモンド膜が得られていることが確認された。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
図4は図3(a)に示す工程の前の工程であって、金属膜を形成する前のダイヤモンド膜の形態を示し、約50%がピラミッド状の配向粒子、残りが非配向粒子で構成されたダイヤモンド多結晶膜を示す表面電子顕微鏡写真である。図5は同じダイヤモンド膜の断面写真である。Si基板上に配向粒子と非配向粒子とが混在するダイヤモンド膜が形成されている。
図6は水素プラズマ処理後、配向粒子の追成長を行わず、平坦化工程を実施したときの平坦化工程途中(約2時間成長後)の表面形態を示す電子顕微鏡写真、図7は平坦化工程終了後のダイヤモンド膜の表面の電子顕微鏡写真である。なお、これらの図4乃至図7は、表1の各条件の範囲の中央値を採用して、成膜したときのものである。
(a)乃至(d)は本発明の第1実施形態の製造方法を工程順に示す断面図である。 (a)乃至(d)は本発明の第2実施形態の製造方法を工程順に示す断面図である。 (a)乃至(d)は本発明の第3実施形態の製造方法を工程順に示す断面図である。 金属膜形成前のダイヤモンド膜の形態を示し、約50%がピラミッド状の配向粒子、残りが非配向粒子で構成されたダイヤモンド多結晶膜の表面電子顕微鏡写真である。 同じダイヤモンド膜の断面写真である。 水素プラズマ処理後、配向粒子の追成長をしないときの平坦化成長工程の途中(約2時間成長後)の表面形態を示す電子顕微鏡写真である。 同じダイヤモンド膜の平坦化工程終了後の表面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1:基板
2:下地ダイヤモンド層
3、4:金属膜
5、6、9、10:高配向ダイヤモンド層
7、8:セラミックス層

Claims (8)

  1. 表面に複数の凹凸を有する下地ダイヤモンド層を、基板上に形成する下地ダイヤモンド層形成工程と、
    前記下地ダイヤモンド層上に金属膜又はセラミックス膜からなる中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記下地ダイヤモンド層及び前記中間層を加熱し、前記下地ダイヤモンド層の凹部が前記中間層で覆われた状態で、前記下地ダイヤモンド層の凸部の一部を前記中間層から部分的に露出させる中間層加熱工程と、
    前記中間層の表面に前記ダイヤモンド層の凸部の一部が露出した状態で、その上に高配向ダイヤモンド層を成長させるダイヤモンド追成長工程と、
    を有し、
    前記下地ダイヤモンド層は、配向性ダイヤモンド粒子と非配向性ダイヤモンド粒子とが混在し、前記下地ダイヤモンド層の前記凸部は配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記下地ダイヤモンド層の前記凹部は非配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記中間層加熱工程において、前記凸部の少なくとも頂部が前記中間層から露出していることを特徴とする高配向ダイヤモンド膜の製造方法。
  2. 前記中間層加熱工程は、水素プラズマ処理により前記下地ダイヤモンド層及び前記中間層を加熱するものであることを特徴とする請求項1に記載の高配向ダイヤモンド膜の製造方法。
  3. 前記中間層は、白金、金、銀、銅、パラジウム、又はこれらの合金からなる金属膜であって、前記金属膜の厚さは100nm乃至500nmであり、
    前記金属膜からなる中間層形成工程において前記基板は50℃乃至100℃に加熱され、前記中間層加熱工程において前記金属膜は600℃乃至1000℃に加熱されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高配向ダイヤモンド膜の製造方法。
  4. 前記中間層は、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒素化珪素、酸化チタン、窒素化チタン、窒素化アルミニウム、窒素化ガリウム、又はこれらの混合物からなるセラミックス膜であって、前記セラミックス膜の厚さは100nm乃至500nmであり、
    前記セラミックス膜からなる中間層形成工程において前記基板は50℃乃至100℃に加熱され、前記中間層加熱工程において前記セラミックス膜は600℃乃至1000℃に加熱されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高配向ダイヤモンド膜の製造方法。
  5. 前記下地ダイヤモンド層形成工程は、前記基板の表面を炭化させ、バイアス核を発生させ、配向粒子を成長させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高配向ダイヤモンド膜の製造方法。
  6. 前記基板はシリコン基板であり、前記下地ダイヤモンド層の平均厚さは、0.5乃至5μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高配向ダイヤモンド膜の製造方法。
  7. 前記ダイヤモンド追成長工程は、水素と炭化水素と酸素の混合ガスを用いて化学気相成長法によりダイヤモンドを成長させる配向粒子成長工程と、前記配向粒子成長工程よりも炭化水素の割合を低くした水素と炭化水素と酸素の混合ガスを用いて化学気相成長法によりダイヤモンドを成長させる平坦化成長工程とを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高配向ダイヤモンド膜の製造方法。
  8. 基板と、この基板上に形成され表面が凹凸を有する下地ダイヤモンド層と、この下地ダイヤモンド層の前記凹凸の凹部を埋め込む金属膜又はセラミックス膜からなる中間層と、この中間層と中間層に覆われていない前記下地ダイヤモンド層上に形成された高配向ダイヤモンド層と、を有し、
    前記下地ダイヤモンド層は、配向性ダイヤモンド粒子と非配向性ダイヤモンド粒子とが混在し、前記下地ダイヤモンド層の前記凸部は配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記下地ダイヤモンド層の前記凹部は非配向性ダイヤモンド粒子からなり、前記下地ダイヤモンド層の平均厚さは0.5乃至5μmであり、前記中間層の厚さは100乃至500nmであることを特徴とする高配向ダイヤモンド膜。
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