JP3929669B2 - ダイヤモンド膜の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤモンド膜及びその製造方法に関し、特に、トランジスタ、ダイオード、各種センサ等の電子装置、ヒートシンク、表面弾性波素子、電子放出材料、X線窓、光学関連材料、耐摩耗材料、装飾材料及びそのコーティング等に使用されるダイヤモンド膜及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドは耐熱性が優れ、エネルギーギャップが5.5eVと大きいことが特徴であり、通常は絶縁体であるが、不純物をドーピングすることにより半導体化することができる。また、ダイヤモンドは絶縁破壊電圧及び飽和ドリフト速度が大きく、更に誘電率が小さいという優れた電気的特性を有する。このような電気的特性を利用して、ダイヤモンドは、高温、高周波、高電界又は高出力用の電子デバイス及びセンサ等の材料として期待されている。
【0003】
また、ダイヤモンドのエネルギーギャップが大きいことを利用した紫外線等の短波長領域に対応する光センサ及び発光素子への応用、熱伝導率が大きく、比熱が小さいことを利用した放熱基板材料への応用、物質の中で最も硬いという特性を利用した表面弾性波素子への応用並びに高い光透過性及び屈折率を利用したX線窓及び光学材料への応用等が研究されている。更に、ダイヤモンドは、工具の耐摩耗性が必要な部分にも使用されている。
【0004】
これらの種々の応用において、ダイヤモンドの特性を最大限に発揮させるには、結晶中に存在する結晶構造欠陥を低減した高品質の結晶を合成することが必要である。現在、ダイヤモンドの単結晶は天然ダイヤモンドの採掘によってか又は高温高圧条件により人工的に合成することにより得ることができ、これらはバルク・ダイヤモンドと呼ばれている。この天然又は高温高圧合成により得られるバルク・ダイヤモンドは、その結晶面の大きさが最大でも1cm2程度と小さく、価格が極めて高い。このため、工業的な利用は、研磨用粉末又は精密切削用刃先等の特定の分野のみに限られている。
【0005】
一方、ダイヤモンドは、気相合成法により得ることもできる。ダイヤモンドの気相合成法としては、マイクロ波化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition(CVD))法(例えば特公昭59−27754号公報及び特公昭61−3320号公報等)、高周波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、直流プラズマCVD法、プラズマジェット法、燃焼法及び熱CVD法等が知られている。これらの気相合成法では、低コストで、且つ大面積の膜状のダイヤモンドが得られるという特徴を有する。
【0006】
シリコン等の非ダイヤモンド基板に気相合成されたダイヤモンド膜は、一般にダイヤモンド粒子がランダムに凝集した多結晶であり、結晶粒界が高密度に存在する。この結晶粒界により、ダイヤモンド中を流れるキャリア(電子又ホール等の荷電粒子)がトラップされるか又は散乱されるために、バルク・ダイヤモンドと比べて電気的特性が劣り、電子デバイス又はセンサ等に使用した場合に、これらの性能が実用レベルに達しないという問題点がある。また、光学的には、結晶粒界で光が錯乱されるので、実用化には透過度が低すぎるという問題点がある。
【0007】
従来、このような高密度の結晶粒界を低減するため、ダイヤモンド結晶粒子がほぼ一定方向に揃った高配向膜の合成方法が報告されている。
【0008】
その1つとして、Si(100)又はSiC等の基板上にダイヤモンドを成長させる際、ダイヤモンド成長前に基板に負のバイアスを印加し、ダイヤモンドの結晶方位を揃える技術がある(従来例1)。これにより、基板上で、ダイヤモンド膜の成長を続けると、膜厚が大きくなるにつれて結晶欠陥密度及び結晶粒界密度が減少し、ダイヤモンド膜の上部表面付近の品質が優れたものとなる。
【0009】
また、高密度の結晶粒界を低減するための別の従来方法としては、単結晶の白金又はイリジウム等の基板を使用してヘテロエピタキシャル成長させる技術がある(従来例2)。
【0010】
更に、ダイヤモンドは、光学的に極めて透明な材料として知られており、例えば、Si基板上に、ホウ素ドープダイヤモンド、アンドープダイヤモンド、及び透明電極を順次積層する等して、発光ダイオードを作製することができる(従来例3)。この発光ダイオードに電気を流すと、ホウ素ダイヤモンド及びアンドープダイヤモンドにおいて、上方に発せされた光を透明電極を通して外部から観察することができる。
【0011】
更にまた、ダイヤモンドの絶縁特性を利用した素子として、電極間の絶縁耐性を向上するため、白金電極上にダイヤモンドをオーバコートした光伝導素子がある(特開平6−350120号公報:従来例4、特開平10−335690号公報:従来例5)。
【0012】
従来例4に記載の光伝導素子は、Si基板上に第1のダイヤモンド膜を形成し、その上に2本の帯状の導電層を同一直線状にその長手方向端部を数μm以上のギャップを介して配置させ、白金電極をパターニングする。そして、この白金電極間に露出した第1のダイヤモンド膜から、白金電極間に第2のダイヤモンドを形成する。このとき、白金電極上にもオーバハングするように第2のダイヤモンド膜を成長させる。このように、白金電極間のギャップ及びギャップ上をダイヤモンド膜で覆うことにより、光伝導素子の高速高耐圧化を図っている。
【0013】
従来例5の公報の第3実施例として記載の光伝導素子は、正方形のSi基板上にCVD法により多結晶ダイヤモンド膜を形成した後、この上に積層電極となる白金膜を形成する。白金膜は、このダイヤモンド膜と1辺のみ辺を共有して、他の3辺はダイヤモンド膜より内側になるようにして膜厚が500nmになるように形成する。更に、この白金膜及び露出している多結晶ダイヤモンド膜上に、この多結晶ダイヤモンド膜と同じ大きさの多結晶ダイヤモンド膜を形成し、更に、その上に白金膜を形成する。このとき白金膜は、下層の白金膜とは対向する1辺のみを多結晶ダイヤモンド膜と共有して、その3辺はダイヤモンド膜より内側になるようにして、膜厚が500nmになるように形成する。こうして、ダイヤモンド膜と白金膜とを交互に堆積し、白金膜が偶数枚になるように積層する。その後、電極間のショートを防止する短絡防止多結晶ダイヤモンド膜を形成し、側面に積層電極に接続された電極を形成する。これにより、受光部の面積が大きな光伝導素子を得ることができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1の技術では、結晶欠陥密度及び結晶粒界密度は膜厚に依存して膜厚が厚くなると減少するため、十分に低い結晶欠陥密度及び結晶粒界密度に達するためには、所定の膜厚以上に成長を続け、膜厚を厚くする必要がある。更に、この技術で成長させたダイヤモンド膜は、基板とダイヤモンド膜との界面付近に、通常の場合と同様、依然として高密度の結晶欠陥及び結晶粒界が存在する。従って、基板とダイヤモンド膜との間で電気を流す構造の素子を作製した場合には、その界面近傍に存在する結晶欠陥及び結晶粒界等が電荷散乱の原因となり、素子の動作速度を遅くしたり、抵抗値を上昇させたりするという問題点がある。
【0015】
また、従来例2の技術においては、単結晶の白金又はイリジウム等の基板を使用してヘテロエピタキシャル成長た場合、これらの基板では、理想的には低欠陥のダイヤモンド膜が大きな面積で得られるはずであるが、現状では、熱膨張の差により反り又は剥離等が生じ、特に、直径が約5.1cmを超える高品質ダイヤモンド膜を作製することは容易ではないという問題点がある。更に、基板として白金基板を使用した場合は、白金基板が金属光沢を有していたにも拘わらず、ダイヤモンドを成長させた後、基板とダイヤモンドとの界面近傍にグラファイトが共析する等して白金表面が黒色に変色してしまうため、このようなダイヤモンド膜を使用して発光ダイオードを作製すると、白金基板は光の反射板としての作用を果たせない。
【0016】
更に、従来例3の技術においては、ダイヤモンド結晶中の結晶欠陥、不純物又は結晶粒界等は光を吸収又は散乱するため、結晶欠陥及び結晶粒界の多い基板とダイヤモンド膜との界面付近で光の透過率が低くなる。従って、ダイヤモンドを使用して作製した発光ダイオードに電気を流した場合、上方に発せされた光は透明電極を通して外部から観察することができるが、これと同時に下方に発せられた光は、殆ど高密度の結晶欠陥及び結晶粒界等で吸収され、再び上方へ反射することがない。即ち、発光領域の後方に反射物がないので外部量子効率が悪いという問題点がある。
【0017】
更にまた、従来例4は光伝導素子であるため、ダイヤモンド膜を白金電極上の必ずしも全面に形成する必要はないが、白金電極上の第2のダイヤモンド膜によるオーバハングを更に長くしたり、電極間の絶縁性を更に高めたり、更に複雑な積層構造が必要であったり、又は光伝導素子以外の素子を作製したりしようとするとき等は、白金電極上の更に広範囲又は白金電極上の全面にダイヤモンドを成膜する必要性が生じる。その場合は、第1のダイヤモンド膜とは全く関係のない新規の核発生によって白金表面からダイヤモンドを成長させる必要があり、従来例1と同様に核発生初期の結晶欠陥及び結晶粒界の密度が高くなるという問題点がある。
【0018】
また、従来例5の技術では、ダイヤモンド膜を形成する白金膜の膜厚が500nmとなっている。従来例2の第1及び第2実施例においては白金膜上にダイヤモンドを形成するため、ダイヤモンド粉末による白金膜表面の傷付け処理が行われている。従って、上述した従来例2の第3実施例においても、このような膜厚の白金膜上にダイヤモンド膜を成長させるためには白金膜表面に対して、傷付け処理等の核発生をするための処理を行う必要があり、従って、ダイヤモンド膜を白金膜上に成長させる際にはダイヤモンド膜の結晶欠陥及び結晶粒界の発生を抑制することができず、ダイヤモンド膜の品質が十分でないことにより諸特性が低下するという問題点がある。
【0019】
このように、ダイヤモンド膜の工業的利用においては、ダイヤモンドの成長初期、即ち基板とダイヤモンド膜との界面近傍に発生する高密度の結晶欠陥及び結晶粒界が高品質ダイヤモンド膜の製造にとって妨げとなる。
【0020】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、成長初期に発生する高密度の結晶粒界及び結晶欠陥を結晶上部へ引き継ぐことなく、結晶欠陥及び結晶粒界密度が小さい高品質のダイヤモンド膜を得ることができるダイヤモンド膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るダイヤモンド膜の製造方法は、第1のダイヤモンド膜上に膜厚が0.05乃至0.5μmの金属膜を形成する工程と、前記金属膜上に第2のダイヤモンド膜を形成する工程と、を有し、前記金属膜は、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むものであり、この第2のダイヤモンド膜の形成により、前記金属膜に自発的に孔が形成され、前記第2のダイヤモンド膜は前記孔から前記第1のダイヤモンド膜の結晶方位を受け継いで成長したものであることを特徴とする。
【0023】
更に、前記金属膜の膜厚は、0.05乃至2μmとすることができる。
【0024】
更にまた、前記金属膜の膜厚は、0.05乃至0.5μmとしてもよい。
【0025】
また、前記第1のダイヤモンド膜及び前記第2のダイヤモンド膜の結晶面は、実質的に(001)又は(111)とすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のダイヤモンド膜について更に詳しく説明する。本願発明者等は、上述の課題を解決すべく鋭意実験研究した結果、第1のダイヤモンド膜上に第2のダイヤモンド膜を成長させる場合、第2のダイヤモンド膜は、第1のダイヤモンド膜の結晶方位を引き継いで成長するが、両者間に孔を有する金属膜を挿入することにより、第2のダイヤモンド膜の成長開始点を孔の位置のみに制限することができることを見い出した。この成長開始点から成長が始まった第2のダイヤモンド膜は、金属膜の膜厚分成長すると、金属膜の上部表面を覆うように横方向に成長を開始する。このとき、第1のダイヤモンド膜に存在した結晶欠陥は、原理的に、縦方向には引き継がれるが、横方向には引き継がれない。即ち、成長開始点を制限しない場合には、第2のダイヤモンド膜全体に亘って第1のダイヤモンド膜の欠陥が引き継がれるが、本発明の如く、結晶開始点を孔の部分に制限した場合は、結晶開始点以外の金属膜上の第2のダイヤモンド膜には、結晶欠陥が引き継がれない。従って、第2のダイヤモンド膜の大部分は、第1のダイヤモンド膜の結晶欠陥を引き継がず、高品質なダイヤモンド膜を得ることができる。
【0029】
本発明のダイヤモンド膜は、第1のダイヤモンド膜と、その上の金属膜と、更にその上の第2のダイヤモンド膜とを有し、金属膜は複数個の孔が形成されている。例えば、第2のダイヤモンド膜を使用して電子素子を作製することができるが、このとき、金属膜は、素子の電極として使用することができる。
【0030】
また、例えば第2のダイヤモンド膜を使用するか、又は第2のダイヤモンド膜を基板として使用し、この上に他の材料を積層して発光素子又は受光素子等の光素子を作製することができるが、このとき金属膜は、光の反射板とすることができる。
【0031】
更に、金属膜を溶解することにより、第2のダイヤモンド膜を第1のダイヤモンド膜から分離しやすくして第2のダイヤモンド膜を第1のダイヤモンド膜から分離することにより、第2のダイヤモンド膜を高品質の自立膜とすることができる。この場合、例えば大面積のヘテロエピタキシャル・ダイヤモンド基板を核発生の段階から製造しようとすると、極めて高い費用及び長い時間を必要とするが、予めある程度成長した第1のダイヤモンド膜を用意しておけば、これを何度も基板として利用することができる。
【0032】
金属膜は、第1のダイヤモンド膜上全面に形成されていてもよいが、必要な部分のみに設けられていてもよい。例えば、金属膜により、配線を形成してもよく、この場合、第2のダイヤモンド膜上に適当な形状及び材質の対向電極を設けることにより、電子素子を作製することができる。また、金属膜を光の反射板として利用する場合には、反射させたい部分に任意の形状にパターニングされた金属膜4を形成することができる。
【0033】
金属膜を形成する材料としては、クロム、モリブデン及びタングステン等のVIA族の元素、マンガン等のVIIA族等の元素、鉄、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウム及び白金等のVIII族の元素又は金、銀及び銅等のIB族の元素のうち、選択された少なくとも1種以上の元素を含むことにより、金属膜4上に第2のダイヤモンド膜5を成長させたときに、概ね膜状の形態を保つことができる。後述する実施例では、白金について記載しているが、白金に限らず上述の金属は比較的融点が高く、水素を多く含むプラズマ雰囲気等においても気化しにくいため、白金と同様に使用できる。
【0034】
また、金属膜の膜厚は薄すぎると金属が凝集しやすくなり孔が広がりすぎる。一方、金属膜の膜厚が厚すぎると、第2のダイヤモンド膜の横方向成長が始まるまでに金属の膜厚分だけ成長時間を多く要する。従って、金属膜の膜厚は0.05乃至2μmとすることが好ましい。
【0035】
更に、金属膜にリソグラフィ技術によって孔を設けてもよいが、本願発明者等は、第2のダイヤモンド膜の成長時に、孔が自発的に金属膜に形成されることを見い出した。このとき、金属膜の膜厚が薄すぎると孔が大きくなりすぎる。一方、金属膜の膜厚が厚すぎると孔が開き難くなり、孔が極端に小さくなるか又は孔の単位面積当たりの密度が低くなる。従って、自発的に孔を設ける場合は、金属膜の膜厚を0.05乃至0.5μmとすることが好ましい。
【0036】
孔の大きさは、小さいほど第2のダイヤモンドが第1のダイヤモンドの結晶欠陥及び結晶粒界を引き継ぐ割合が小さくなるため好ましいが、極端に小さいと第2のダイヤモンド膜の成長が開始されにくくなる。また、孔の単位面積当たりの密度が低すぎると、第2のダイヤモンド膜が連続膜になるまで横方向の成長に長時間を要する。一方、孔が大きいと、第2のダイヤモンド膜が引き継ぐ結晶欠陥及び結晶粒界が増加するため、十分な効果が得られない。従って、必要な結晶品質を得るための孔の大きさは第2のダイヤモンド膜の結晶粒の大きさの0.5倍以下、更に好ましくは0.2倍以下とすることが好ましい。例えば、第2のダイヤモンド膜の結晶の大きさを平均10μm程度にしたいときは、孔は、密度を縦及び横が10μmの面積に1個の割合で、その大きさを、縦及び横が2μm以内に収まるように設けることができる。
【0037】
また、第1のダイヤモンド膜を、例えば(100)面又は(111)面等の特定の結晶面が表面に現れているものとすれば、第2のダイヤモンド膜も同一の結晶方位を有して成長することになるため、特定の結晶面を有した第2のダイヤモンド膜5を得ることができる。特定の結晶面を有するダイヤモンド膜は、平坦な表面が得られやすいと共に、不純物濃度の制御がしやすくなる等の利点を有する。
【0038】
更に、第1のダイヤモンド膜及び第2のダイヤモンド膜は、マイクロ波CVD法、高周波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、直流プラズマCVD法、プラズマジェット法、燃焼法及び熱CVD法等の気相合成法により合成、成長させることができるが、本発明において、第1及び第2のダイヤモンド膜は特に合成方法を限定するものではない。
【0039】
以下、本発明の実施例に係るダイヤモンド膜ついて、添付の図面を参照して更に詳しく説明する。図1は、本発明の実施例に係るダイヤモンド素子を示す模式的断面図である。
【0040】
図1に示すように、本実施例に係るダイヤモンド素子においては、Si基板1上に第1のダイヤモンド膜2が形成され、その上に複数の孔3を有する金属膜4がパターニングされて形成されている。更に、この第1のダイヤモンド膜2及び金属膜4上に第2のダイヤモンド膜5が形成されている。金属膜4上に形成された第2のダイヤモンド膜5は、孔3以外の第1のダイヤモンド膜の結晶欠陥及び結晶粒界を引き継がないため、高品質なダイヤモンドとなっている。なお、金属膜4が存在しない領域の第1のダイヤモンド膜2上の第2のダイヤモンド膜5は、第1のダイヤモンド膜の結晶粒界及び結晶欠陥を受け継いでいるため、結晶粒界及び結晶欠陥が多くなっている。
【0041】
このようなダイヤモンド膜の製造方法としては、Si(100)基板1の表面に核発生処理を行う。次いで、このSi基板上に第1のダイヤモンド膜2を形成する。その後、直流放電スパッタリング法等により、金属膜4を膜厚が0.05乃至0.5μmになるように形成する。金属膜4は、必要に応じて、例えば配線等の形状にパターニングする。その後、この上に第2のダイヤモンド膜を成長させる。このとき、金属膜4には自発的に孔3が形成されるため、孔3に露出した第1のダイヤモンド膜2から第1のダイヤモンド膜5が成長する。第2のダイヤモンド膜5は、金属膜4の膜厚分縦方向に成長した後、横方向に成長し、金属膜4上で連続膜となる。
【0042】
なお、本実施例では金属膜4を0.05乃至0.5μmと薄くして、自発的に孔3が形成されるものとしたが、金属膜4を厚く形成したい場合等は、孔3が自発的に形成されにくため、フォトリソグラフィ法等により孔3を形成した後、第2のダイヤモンド膜5を形成することもできる。
【0043】
本実施例においては、第1のダイヤモンド膜2と第2のダイヤモンド膜5との間に孔3を有する金属膜4が形成されているため、第1のダイヤモンド膜の結晶粒界及び結晶欠陥を引き継がず、高品質なダイヤモンド膜を得ることができる。
【0044】
【実施例】
次に、本発明方法により実際にダイヤモンド素子を形成した実施例の特性について説明する。下記表1に示す条件で、Si(100)基板に核発生処理を行い、(100)配向面を有する第1のダイヤモンド膜を合成した。次いで、直流放電スパッタリング法により、白金薄膜を膜厚が0.4μmになるように堆積した。次に、下記表2に示す条件で、反応器内に水素及びメタンを所定の流量で流し、反応器内を所定の圧力に保持し、第2のダイヤモンド膜を成長させた。表2に示す条件2では、酸素を添加したため、成膜速度は若干低下したが、光の透過率及び正孔の移動度等の品質が向上した。表2に示す条件3では、反応器内のジボランを10体積ppmとなるように添加し、ホウ素をドーピングした半導体ダイヤモンド膜を作製した。
【0045】
【表1】
Figure 0003929669
【0046】
【表2】
Figure 0003929669
【0047】
図2は、表2に示す条件1により作製したダイヤモンド素子であって、第2のダイヤモンド膜が成長途中のとき、即ち、第2のダイヤモンド膜が連続膜になる前の第2のダイヤモンド膜の表面を示す走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope(SEM))写真である。
【0048】
図2に示すように、白金薄膜の表面10上に部分的にダイヤモンド粒子11が横方向の成長を始めている。このダイヤモンド粒子11の下部には白金薄膜に形成された孔が形成されているが、ダイヤモンド粒子11に覆われているため、図2では観察できない。しかしながら、ダイヤモンドが成長を始めていない領域の白金薄膜の表面10には、自発的に発生した孔12が複数個存在している。
【0049】
図3乃至図5は、第2のダイヤモンド膜が横方向に成長して連続膜になった様子を斜め方向からみた表面及び断面を示す写真であって、図4は図3に示す断面を拡大したSEM写真、図5は更にこの断面を拡大したSEM写真である。図3に示すように、Si基板13上には、第1のダイヤモンド14か形成され、その上に白金薄膜15が、予めリソグラフィ法により、ストライプ状にパターニングされて形成されている。そして、その上に第2のダイヤモンド膜16が形成されている。従って、第2のダイヤモンド膜16の表面17において、白金薄膜15のある部分とない部分とをストライプ状に観察することができる。
【0050】
また、図4及び図5においても、白金薄膜15に形成された孔は明確ではないが、第2のダイヤモンド膜16が白金薄膜15上に連続膜状に成長していることがわかる。また、白金薄膜15が成膜されていない領域18では、第1のダイヤモンド膜14と第2のダイヤモンド膜16とが完全に接しており、結晶欠陥及び結晶粒界が引き継がれている様子を観察することができる。一方、白金薄膜15が形成されている領域19においては、白金薄膜15上の第2のダイヤモンド膜16は、第1のダイヤモンド膜14と分離されているため、結晶欠陥等が受け継がれない。
【0051】
このように、表2に示す条件1乃至3で作製したダイヤモンド素子は、いずれも図1に示すように、金属膜4があると、第2のダイヤモンド膜5は金属膜4上では横方向に成長するため、金属膜4上に形成される第2のダイヤモンド膜5には、第1のダイヤモンド膜2の結晶欠陥及び結晶粒界が殆ど引き継がれず、高品質であった。孔3をくぐり抜けた結晶欠陥等は、第2のダイヤモンド膜5に引き継がれるが、それはごく僅かな領域である。また、孔3を中心に、成長した第2のダイヤモンド膜5において、隣の結晶粒子同士が接した場合、その接合面には結晶粒界又は転位等の結晶欠陥が形成されることがあるが、粒子の接合による結晶粒界の数密度は、孔3の間隔に依存し、適当に拡散させることによって低減することができる。しかし、いずれの場合においても、白金膜上に形成された第2のダイヤモンド中に存在する結晶粒界及び結晶欠陥密度は極めて低いため、高品質である。なお、図1に示すように、金属膜4が存在しない部分に成長したダイヤモンドには、第1のダイヤモンド膜からそのまま引き継がれた結晶粒界及び結晶欠陥が存在するため、低品質になる。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、第1のダイヤモンド膜上に白金等からなる複数の孔を有する金属膜を形成し、その上に第2のダイヤモンド膜を形成すので、大部分の第2のダイヤモンド膜は第1のダイヤモンド膜内に存在する結晶欠陥及び結晶粒界を引き継ぐことがない。このため、金属膜上に結晶欠陥及び結晶粒界が少ない高品質な第2のダイヤモンド膜を形成することができる。この金属膜は、このまま埋め込み電極又は反射板等として使用することができ、このようなダイヤモンド素子を使用して高性能の電子素子又は光素子等を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るダイヤモンド素子を示す模式的断面図である。
【図2】表2に示す条件1により作製したダイヤモンド素子であって、第2のダイヤモンド膜が成長途中のとき、即ち、第2のダイヤモンド膜が連続膜になる前の第2のダイヤモンド膜の表面を示す図面代用写真である(SEM写真(倍率:10000倍))。
【図3】第2のダイヤモンド膜が横方向に成長して連続膜になった様子を斜め方向からみた表面及び断面を示す図面代用写真である(SEM写真(倍率:1000倍))。
【図4】図4は図3に示す断面を拡大して示す図面代用写真である(SEM写真(倍率:3000倍))。
【図5】図5は図4に示す断面を拡大して示す図面代用写真である(SEM写真(倍率:10000倍))。
【符号の説明】
1;基板
2;第1のダイヤモンド膜
3;孔
4;金属膜
5;第2のダイヤモンド膜

Claims (3)

  1. 第1のダイヤモンド膜上に膜厚が0.05乃至0.5μmの金属膜を形成する工程と、前記金属膜上に第2のダイヤモンド膜を形成する工程と、を有し、前記金属膜は、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含むものであり、この第2のダイヤモンド膜の形成により、前記金属膜に自発的に孔が形成され、前記第2のダイヤモンド膜は前記孔から前記第1のダイヤモンド膜の結晶方位を受け継いで成長したものであることを特徴とするダイヤモンド膜の製造方法。
  2. 前記第1のダイヤモンド膜及び前記第2のダイヤモンド膜の結晶面は、(001)又は(111)であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド膜の製造方法
  3. 前記金属膜を形成後、前記第2のダイヤモンド膜を形成する前に、前記金属膜を配線の形状又は素子の電極にパターニングすることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド膜の製造方法。
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