JP5017952B2 - p−ジクロロベンゼンの分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、p−ジクロロベンゼンと少なくとも1種のジクロロベンゼン異性体とを含むジクロロベンゼン異性体混合物を吸着分離してp−ジクロロベンゼンを得る方法に関するものである。
p−ジクロロベンゼン(以下ジクロロベンゼンをDCBと記す)は、防虫剤として使用される他、ポリフェニレンサルファイドやアラミド繊維の原料として重要な化合物である。特に、近年はポリフェニレンサルファイドの需要が急激に伸びており、p−DCBをより多く得られる製法の開発が進められている。
p−DCBは、ベンゼン又はモノクロロベンゼンを塩素化することによって得られる。しかし、塩素化によって得られるDCBは、p−DCBの他にm−DCB、o−DCBの2異性体を含む異性体混合物となっている。従って、p−DCBを得るには、このDCB異性体混合物からp−DCBを分離回収することが必要になる。p−DCBをより多く得るためには、塩素化でp−DCBを多く生成する塩素化方法、DCB異性体混合物からp−DCBを高回収率で分離回収する方法が検討されている。
また、ポリフェニレンサルファイドの原料は、非常に高純度なp−DCBが使用されている。従って、DCB異性体混合物から高回収率でp−DCBを分離できるのみでなく、得られるp−DCBが高純度であることも求められている。
DCB各異性体の融点及び沸点は、表1に示すとおりである。
Figure 0005017952
p−DCBは、DCB異性体の中で特異的に融点が高いため、晶析により分離する方法(例えば特許文献1)が知られている。しかし、特許文献1にも示されているとおり、晶析分離では、共存するDCB異性体との共融点が存在するため、回収率を一定以上には上げられないという問題がある。さらに、共融点近くまでp−DCBを回収するためには、非常に低い温度(約−30℃)が必要とされ、経済的なプロセスとはいえない。
DCB異性体混合物から高回収率でp−DCBを得る方法としては、吸着分離方法(例えば特許文献2〜4)が知られている。
しかし、特許文献2では、吸着剤としてMgでカチオン交換したZSM−5型ゼオライト、脱着剤として1,2,4−トリクロロベンゼン(b.p.:213℃)とp−クロロトルエン(b.p.:161.9℃)との混合物、3,4−ジクロロトルエン(b.p.:208.9℃)とクロロベンゼン(b.p.:131.8℃)との混合物等のハロゲン化芳香族化合物を混合した脱着剤を用いて分離する方法が示されているが、この方法の場合DCB異性体と混合脱着剤に含まれる成分の沸点の関係から、分離したDCB異性体と脱着剤を分離するのに少なくとも4つの蒸留塔、すなわち強吸着成分が含まれる留分からDCB異性体に対し低沸点の脱着剤(例えばp−クロロトルエン、クロロベンゼン)を分離する蒸留塔1、強吸着成分が含まれる留分からDCB異性体に対し高沸点の脱着剤(例えば1,2,4−トリクロロベンゼン、3,4−ジクロロトルエン)を分離する蒸留塔2、弱吸着成分が含まれる留分からDCB異性体に対し低沸点の脱着剤を分離する蒸留塔3、弱吸着成分が含まれる留分からDCB異性体に対し高沸点の脱着剤を分離する蒸留塔4が必要である。また、脱着剤にアルキル基で核置換したハロゲン化芳香族化合物を用いているため、ハロゲン化芳香族化合物に核置換したアルキル基のHとClが副反応を起こして塩化水素を生成しやすいので、設備の腐食が激しく、設備の維持費が高くなるという問題がある。
また、特許文献3では、吸着剤としてバリウムを含むY型ゼオライト、脱着剤としてp−キシレン(沸点138℃)、m−キシレン(沸点139℃)などを使用し、分離温度180℃、で、DCB異性体混合物を吸着分離する方法が示されているが、この方法の場合、吸着剤としてバリウムを含むY型ゼオライト、脱着剤としてp−キシレンまたはm−キシレンを組み合わせて使用している。このような吸着剤、脱着剤の系では、分離温度を脱着剤の沸点より遙かに高くする必要があり、2.0MPaもの高圧状態で分離を行わざるを得ない。液相の吸着分離を脱着剤又はDCB異性体の沸点以上で行う場合、液相を保つためには、吸着塔を常に高い圧力に保つ必要があり、さらに脱着剤及び/または原料を流すための圧力損失が吸着塔にかかることになる。そのため、脱着剤又は原料の沸点より遙かに高い温度で吸着分離操作をする場合は、吸着床にかかる圧力が高くなり、設備が大きくなるため、設備費高くなり、運転に必要なエネルギーも増大するという問題があった。
特許文献4は、DCB異性体混合物をナトリウム及びカリウムでイオン交換されたX型ゼオライトと接触させてm−DCBを強吸着成分として吸着分離する方法が示されており、その際同時にp−DCBが弱吸着成分として得られる。しかし、この方法では、X型ゼオライトのナトリウムイオンをカリウムイオンに交換するほど強吸着成分であるm−DCB及びo−DCBが非常に強く吸着される。吸着分離で弱吸着成分を分離する場合、強吸着成分を十分除去しきれないと高純度の製品が得られない。そのため、特許文献4の方法では、強吸着成分を十分に脱着して高純度のp−DCBを得るために、脱着剤の使用量が増大する。脱着剤は、蒸留などの方法によりDCBと分離するため、使用する脱着剤の量が増えるということは、p−DCBを分離する際必要なエネルギーが多くなるということを意味しており、p−DCBを効率的に生産できないという問題があった。
特開昭55−087731号公報(実施例) 特開平07−069946号公報(カラム21〜23) 特開平10―017504号公報(実施例1) 米国特許第4,996,380号公報(実施例1〜3)
本発明の課題は、p−DCBと少なくとも1種のDCB異性体とを含むDCB異性体混合物を吸着分離してp−DCBを得る際に、簡素な分離設備で、p−DCBを高純度、高回収率、高効率で分離回収できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、アルキルベンゼンからなる脱着剤の存在下、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、及びカリウムを含有したX型ゼオライトを吸着剤として、p−DCBを弱吸着成分として分離回収することにより、簡素な分離設備を使い、p−DCBを高純度、高回収率、高効率で分離回収できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明はp−ジクロロベンゼンと少なくとも1種のジクロロベンゼン異性体とを含むジクロロベンゼン異性体混合物を吸着分離してp−ジクロロベンゼンを得る際に、該異性体混合物を、アルキルベンゼンからなる脱着剤の存在下、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、及びカリウムを含有したX型ゼオライトを吸着剤として、p−ジクロロベンゼンを弱吸着成分として分離回収することを特徴とするp−ジクロロベンゼンの分離方法である。
本発明の吸着分離方法は、DCB異性体混合物から晶析分離などでp−DCBを分離する場合より回収率が優れている。また、使用する脱着剤は、DCBと沸点差があるため蒸留分離も容易であり、非塩素系化合物であるため設備の腐食が少なく、分離温度を低くしても分離性能が優れるため設備費、運転に必要なエネルギーを低減できる。更に、分離する際に使用する脱着剤の量を少なくすることが可能であり、p−DCBを経済的に生産することが可能である。また、得られるp−DCBは、非常に高い純度を有している。
原料となるDCB異性体混合物は、p−DCBと少なくとも1種の異性体を含む、DCB異性体混合物である。例えば、DCB異性体混合物は、ベンゼン又はクロロベンゼンを塩素化して得られる混合物から、クロロベンゼン及びより塩素化したポリクロロベンゼン、例えばトリクロロベンゼンなどを除去したDCB異性体混合物でも良いし、前記DCB異性体混合物からp−DCBを晶析分離した残渣でも良いし、o−DCBを蒸留等により分離した残渣でも良い。本発明は、o−DCB,p−DCB,m−DCBの3異性体混合物を原料として用いたとき、特に顕著な効果が得られる。
原料に含まれるp−DCBの量は特に限定されないが、10重量%〜80重量%含まれるのが好ましく、より好ましくは10重量%〜50重量%である。
原料のDCB異性体混合物は、あらかじめ水分を除去しておくのが好ましい。DCB異性体混合物に含まれる水分は、100重量ppm以下が好ましく、より好ましくは10重量ppm以下である。
本発明の方法でp−DCBを吸着分離するための技術は、いわゆるクロマト分取法であってもよいし、またこれを連続化した擬似移動床による吸着分離法でも良い。連続的に目的の成分を得られる点から、疑似移動床による吸着分離法が好ましく用いられる。
本発明の方法でDCB異性体混合物を吸着分離した場合、p−DCBは弱吸着成分として得られる。擬似移動床の場合、p−DCBは最も吸着され難い物質としてラフィネート流れ中に回収される。
擬似移動床による連続的吸着分離技術は、基本的操作として次に示す吸着操作、濃縮操作、脱着操作および脱着剤回収操作を連続的に循環して実施される。
(1)吸着操作
DCB異性体混合物が吸着剤と接触し、o−DCBおよび/またはm−DCBから成る強吸着成分が選択的に吸着され、弱吸着成分である高純度のp−DCBが、ラフィネート流れとして後述する脱着剤とともに回収される。
(2)濃縮操作
強吸着成分を選択的に吸着した吸着剤は、後で述べるエクストラクトの一部と接触させられ、吸着剤上に残存している弱吸着成分が追い出され強吸着成分が濃縮される。
(3)脱着操作
濃縮された強吸着成分を含む吸着剤は、脱着剤と接触させられ強吸着成分が吸着剤から追い出され、脱着剤とともにエクストラクト流れとして回収される。
(4)脱着剤回収操作
実質的に脱着剤のみを吸着した吸着剤は、ラフィネート流れの一部と接触させられ該吸着剤に含まれる脱着剤の一部が脱着剤回収流れとして回収される。
上記、擬似移動床による吸着分離操作を模式的に示したのが図1である。吸着剤を充填した吸着室1〜12が連続的に循環して連絡されている。13〜17はそれぞれ脱着剤供給ライン、エクストラクト抜き出しライン、異性体混合物供給ライン、ラフィネート抜き出しライン、脱着剤回収ラインである。また、バルブ18は閉じている。図1に示した吸着室の配置状態では、吸着室1〜4が脱着操作、5〜7が濃縮操作、8〜10が吸着操作、11〜12が脱着剤回収操作を実施している。
一定時間間隔ごとに、吸着室1〜12を図1の時計回り方向に吸着室一室分だけそれぞれ移動させる。従って、次の吸着室の配置状態は、例えば1が12に、11が10に、8が7に、5が4にそれぞれ移動している。
これらの吸着分離法に使用される脱着剤には、脱着剤存在下で吸着剤の分離性能を損なわないこと、吸着剤に吸着したDCBを効率よく脱着出来ること、吸着分離する際に安定であり、分解による副生物の生成、腐食性ガスを生成しないこと、およびDCBと容易に分離できること等の特性が要求される。
このような特性を満足する脱着剤としては、種々のアルキルベンゼンが利用できる。アルキルベンゼンとしては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチルトルエン、プロピルベンゼン、ブチルトルエン、テトラメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジプロピルベンゼンなどが挙げられる。
また、DCB等がゼオライト吸着剤の触媒作用により生成する高沸点の副生物が脱着剤中に蓄積するのを防止する目的から、脱着剤は蒸留分離し、DCBに対して低沸点の留分として回収するのが好ましい。このような特性を満足するアルキルベンゼンとしては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチルトルエン、プロピルベンゼンが好ましく、最も好ましくはトルエン、キシレン、エチルベンゼン及びその混合物である。
フォージャサイト型ゼオライトは酸化物のモル比で表して下記に示す一般式を有する結晶性アルミノシリケートである。
2/nO・Al・xSiO・yH
ここで、Eは金属イオンであり、nは金属イオンの原子価である。xはシリカ/アルミナ比であり、xが3未満をX型ゼオライト、3以上をY型ゼオライトと呼称している。yは水和の程度による。本発明に使用されるゼオライトは、金属イオンとしてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属イオンおよびカリウムイオンを含んでいるX型ゼオライトである。アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンが好ましく、バリウムイオンが特に好ましく用いられる。
通常、合成X型ゼオライトはNa型で得られる。ナトリウムイオンを本発明に基づくカリウムイオンに交換する方法は、イオン交換法などが挙げられる。マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンなどに交換する方法はイオン交換法などが挙げられる。イオン交換は通常、可溶性の塩を含む水溶液で行われる。イオン交換する場合は、目的とするカチオンを含む塩化物塩、硝酸塩などが好ましく用いられる。カチオン交換率の測定は、原子吸光法、ICP法、蛍光X線法など公知の分析法により求めることが出来る。
本発明に用いられるX型ゼオライトは、X型ゼオライト成型体がカリウムイオンを含んでおり、かつ交換カチオン数に対して、0.1当量以上、0.5当量以下のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれるアルカリ土類金属イオンで交換されているものが好ましい。より好ましくは、0.2当量以上、0.4当量以下のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれるアルカリ土類金属イオンで交換されているものである。
本発明で使用する吸着剤は、造粒して用いるのが好ましい。造粒の仕方は、例えばアルミナなどのバインダーと共に混練りした後、押し出し機で押し出し、マルメライザーでマルメることによって作ることができる。本発明で用いる吸着剤の粒径は、吸着床の形式に応じて適当に選定すればよい。原料及び脱着剤の拡散を良くするという点では、粒径は小さい方が好ましいが、吸着床の圧力損失を小さくするという点では、粒径が大きい方が好ましい。本発明を実施する場合、粒径が10〜150メッシュであることが好ましく、より好ましくは20〜80メッシュである。
本発明で使用する吸着剤はその水分含有量を調節して、その吸着選択率の向上を図ることが可能である。吸着剤に存在する水は、塩基交換位に部分的に含有させるか、あるいは吸着剤の細孔内に含有される。1000℃で2時間の灼熱下における重量損失によって測定される水分含有量が、吸着剤重量基準で0〜10重量%の範囲であることが望ましい。
吸着分離操作の温度条件としては、室温から250℃が好ましく、より好ましくは50から160℃である。
吸着分離操作は、気相でも液相でも実施され得るが、操作温度を低くして原料供給物または脱着剤の好ましくない副反応を抑制するためにも液相で実施するのが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例では、吸着剤の吸着性能を式(I)の吸着選択率(α)で表す。
Figure 0005017952
ここで、A,BはDCB異性体の一種または脱着剤を示し、Sは吸着相を、Lは吸着相と平衡状態にある液相を示す。
上記吸着選択率(αA/B )の値が1より大きい時A成分が選択的に吸着され、1より小さい時はB成分が選択的に吸着される。すなわち、DCB異性体混合物からp−DCBをラフィネート成分として得る場合、Aをp−DCB、Bをm−DCBまたはo−DCBとして計算したとき、αA/Bが1より小さく、0に近いほど分離性能が優れていることを示している。p−DCBを分離するには、αA/Bが何れも0.55以下であることが好ましい。
一方、吸着剤に吸着した吸着力の強いDCB異性体を効率よく脱着するためには、上記吸着選択率(αA/B )のBを脱着剤、Aをm−DCBまたはo−DCBとして計算したとき、αDCB/DES の値が何れも0.8以上、2.4以下であることが好ましい。より好ましくは1.0以上、2.0以下である。αDCB/DESが2.4を越えると、吸着されたDCBを脱着するのに多量の脱着剤が必要となり、更に大きくなると充分に脱着出来ないため、分離回収したp−DCBの純度低下につながる。
従って、DCB各異性体間の吸着選択率と強吸着成分と脱着剤との吸着選択率の両方が優れている必要がある。
参考例
(1)Na−X型成型体の調製
シリカ/アルミナ比が2.5であるNa−X型ゼオライト(東ソー社製)粉末100重量部にアルミナゾル(日産化学製、Al 含量10重量%)を8重量部(Al換算)、アルミナゲル(触媒化成製、Al 含量70重量%)を7重量部(Al換算)および湿潤換算で約50重量%になるように蒸留水を加え約1時間混練りし、0.4mmφの開孔径を有するスクリーンから押し出した。120℃で1晩乾燥後、500℃で2時間焼成してNa−X成型体を得た。
(2)Na−Y型成型体の調製
シリカ/アルミナ比が4.8であるNa−Y型ゼオライト(東ソー社製)粉末100重量部にアルミナゾル(日産化学製、Al 含量10重量%)を8重量部(Al換算)、アルミナゲル(触媒化成製、Al 含量70重量%)を7重量部(Al換算)および湿潤換算で約50重量%になるように蒸留水を加え約1時間混練りし、0.4mmφの開孔径を有するスクリーンから押し出した。120℃で1晩乾燥後、500℃で2時間焼成してNa−Y成型体を得た。
(3)K−X型成型体の調整
Na−X成型体を硝酸カリウム(シグマアルドリッチジャパン(株))を10重量%含む水溶液で固液比5(l/kg)、80℃で1時間カリウムイオン交換した。カリウムイオン交換後、蒸留水で固液比5(l/kg)、80℃で1時間水洗した。このカリウム交換と水洗の操作を8回繰り返した後、蒸留水で固液比5(l/kg)、80℃で1時間の水洗を5回行い、K−X成型体を得た。
(4)K−Y型成型体の調製
Na−X型成型体の変わりにNa−Y型成型体を用いた以外、K−X型成型体と同じ方法でK−Y型成型体を調製した。
(5)Li−X型成型体の調製
硝酸カリウムの変わりに硝酸リチウム(半井化学(株))を用いた以外、K−X型成型体と同じ方法でLi−X型成型体を調製した。
(6)Li−Y型成型体の調製
Na−X型成型体の変わりにNa−Y型成型体を用いた以外、Li−X型成型体と同じ方法でLi−Y型成型体を調製した。
(7)0.3Mg−K−X型成型体の調製
80mlの蒸留水に硝酸マグネシウム(半井化学(株))をK−X成型体の交換カチオン数の0.3当量を溶解させ、上記硝酸マグネシウム水溶液でK−X成型体のイオン交換1回行い、その後5回水洗をした後、120℃で乾燥させ、0.3Mg−K−X成型体を得た。
(8)0.2Ba−K−X型成型体の調製
硝酸マグネシウムを硝酸バリウム(シグマアルドリッチジャパン(株))をK−X成型体の交換カチオン数の0.2当量とした以外、0.3Mg−K−Xと同じ方法で0.2Ba−K−X成型体を調製した。
(9)0.3Ba−K−X型成型体の調製
硝酸バリウムの量をK−X成型体の交換カチオン数の0.3当量とした以外、0.2Ba−K−Xと同じ方法で0.3Ba−K−X成型体を調製した。
(10)0.4Ba−K−X型成型体の調製
硝酸バリウムの量をK−X成型体の交換カチオン数の0.4当量とした以外、0.2Ba−K−Xと同じ方法で0.4Ba−K−X成型体を調製した。
(11)0.5Ba−K−X型成型体の調製
硝酸バリウムの量をK−X成型体の交換カチオン数の0.5当量とした以外、0.2Ba−K−Xと同じ方法で0.5Ba−K−X成型体を調製した。
(12)0.1Sr−K−X型成型体の調製
硝酸マグネシウムを硝酸ストロンチウム(半井化学(株))をK−X成型体の交換カチオン数の0.1当量とした以外、0.3Mg−K−Xと同じ方法で0.1Sr−K−X成型体を調製した。
(13)0.3Sr−K−X型成型体の調製
硝酸ストロンチウムの量をK−X成型体の交換カチオン数の0.3当量とした以外、0.1Sr−K−Xと同じ方法で0.3Sr−K−X成型体を調製した。
(14)0.3Ni−K−X型成型体の調製
硝酸ストロンチウムを硝酸ニッケル(半井化学(株))とした以外、0.3Sr−K−Xと同じ方法で0.3Ni−K−X成型体を調製した。
(15)0.3Cu−K−X型成型体の調製
硝酸ストロンチウムを硝酸銅(片山化学工業(株))とした以外、0.3Sr−K−Xと同じ方法で0.3Cu−K−X成型体を調製した。
(16)Mg−Y型成型体の調製
80mlの蒸留水に硝酸マグネシウム(半井化学(株))をNa−Y成型体の交換カチオン数の1.0当量を溶解させ、上記硝酸マグネシウム水溶液でNa−Y成型体のイオン交換1回行い、その後5回水洗をした後、120℃で乾燥させ、Mg−Y成型体を得た。
実施例1
内容積5mlのオートクレーブ内に500℃で2時間焼成した0.3Mg−K−X成型体を2gと供給原料を3g充填し、密封した。オートクレーブを150℃のオイルバスに30分間浸し、時々攪拌しながら放置し吸着平衡とした。使用した供給原料液組成は次の通りであった。n−C9は吸着剤に吸着されない内部標準物質として用いた。
n−ノナン:p−DCB:m−DCB:o−DCB:m−キシレン=5:30:2.5:17.5:45(重量比)
供給原料および吸着平衡状態の液相をパックドカラムを装着したTCD付きガスクロマトグラフを用いて分析し、吸着選択率を求めた。
その結果を表2に示す。
実施例2〜7、比較例1〜9
吸着剤をそれぞれ表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005017952
表1の結果から、m−キシレン脱着剤の存在下、吸着剤としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、及びカリウムを含有したX型ゼオライトを使用した場合に限り、DCB異性体混合物からp−DCBを弱吸着成分、すなわちラフィネート成分として分離回収する際に、優れた吸着選択率を示している。比較例1,2では、NiあるいはCuを含有したK−Xを吸着剤として使用したため、p−DCBとm−DCBの分離選択率が1に近づき悪い。比較例3では、K−Xを吸着剤として使用したため、o−DCBおよびm−DCBが強く吸着しすぎるため、脱着剤m−Xyとの分離が悪くなり、吸着したo−DCBおよびm−DCBを脱着するために多くの脱着剤が必要になる。
実施例8
脱着剤にトルエンを使用し、供給原料液組成を次の通りとした以外、実施例5と同様の操作を行った。その結果を表3に示す。
n−ノナン:p−DCB:m−DCB:o−DCB:m−キシレン=5:27.5:15:7.5:45(重量比)
比較例10〜12
脱着剤、吸着剤の組み合わせを表2に示すとおり変更した以外は、実施例8と同様の操作を行った。
Figure 0005017952
2,4−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエンを脱着剤として使用した比較例13〜15では、強吸着成分であるm−DCBの吸着選択率が1よりかなり大きくなり、脱着剤の脱着力が弱いことを示している。このことは、吸着したm−DCBを脱着するのにより多くの脱着剤が必要と言える。
すなわち、吸着剤としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、及びカリウムを含有したX型ゼオライト、脱着剤としてアルキルベンゼン使用した場合に限り、優れた吸着選択率を示している。また、脱着剤をアルキルベンゼンとしたときの効果は、吸着剤としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、及びカリウムを含有したX型ゼオライトを使用した場合、顕著に現れることが明らかである。
実施例9
0.3Ba−K−X成型体を、長さ1m、内径4.75mmのステンレスカラムに充填し、95℃のオイルバス中において脱着剤のトルエンを約1.8ml/minの流量で流した。脱着剤を流している状態で、分離原料であるDCB異性体混合物を1.6mlカラムに導入した。導入したDCB異性体混合物の組成比は、p−DCB:m−DCB:o−DCB=55.5:4.0:40.5(重量比)である。続いてカラム出口から流出してくる液をガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた流出曲線を図2に示す。
実施例10
オイルバスの温度を125℃、脱着剤にm−キシレンを使用した以外、実施例9と同様の操作を行った。得られた流出曲線を図3に示す。
比較例13
吸着剤にK−Xを使用した以外、実施例9と同様の操作を行った。得られた流出曲線を図4に示す。
図2〜4の比較から、導入後約6分後にp−DCBが流出しはじめるのは同様であるが、比較例16では、吸着剤がマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれるアルカリ土類金属でカチオン交換されていないために、留出時間が16分を過ぎても留出液にo−DCBが0.05%含まれており、脱着しにくいことが解る。
実施例11
0.3−Ba−K−Xを500℃で2時間焼成した後、図1に示す疑似移動床装置の内容積約16mlの吸着室1〜12に吸着剤を等分に分割して充填し、DCB異性体混合物の吸着分離を行った。DCB異性体混合物の組成は、m−DCB/o−DCB/p−DCB=5/59.7/35.3重量%であった。
なお図1は上記疑似移動床装置のフローを示す概略図である。
ライン13から脱着剤である、m−キシレンを520ml/hrで供給し、ライン15から上記DCB異性体混合物を35ml/hrで供給した。ライン14からエクストラクト流れを170ml/hrで抜き出し、ライン16からラフィネート流れを86ml/hrで抜き出した。また、吸着室1と12の間の流体の流れは、バルブ18で閉じられている。この時、約150秒間隔で吸着室1を12に、11を10に、8を7に、5を4にそれぞれ同時に移動させた。(他の吸着室も吸着室1室分上方に同時に移動する。)吸着温度は150℃で実施した。性能曲線を図5に示した。
アルキルベンゼンからなる脱着剤の存在下、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、及びカリウムを含有したX型ゼオライトを吸着剤とすることで、p−ジクロロベンゼンをラフィネート成分として分離でき、回収率98%で、純度99.9%と高純度、高回収率を達成できることが解る。
本発明によれば、p−DCBと少なくとも1種のDCB異性体とを含むDCB異性体混合物を吸着分離してp−DCBを分離回収することができる。
本発明の1実施態様である擬似移動床による吸着分離操作を模式的に示す図である。 実施例9における流出曲線を示す図である。 実施例10における流出曲線を示す図である。 比較例16における流出曲線を示す図である。 実施例11における性能曲線を示す図である。
符号の説明
1〜12:吸着室
13:脱着剤供給ライン
14:エクストラクト抜き出しライン
15:異性体混合物供給ライン
16:ラフィネート抜き出しライン
17:脱着剤回収ライン
18:バルブ

Claims (4)

  1. p−ジクロロベンゼンと少なくとも1種のジクロロベンゼン異性体とを含むジクロロベンゼン異性体混合物を吸着分離してp−ジクロロベンゼンを得る際に、該異性体混合物を、アルキルベンゼンからなる脱着剤の存在下、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、及びカリウムを含有したX型ゼオライトを吸着剤として、p−ジクロロベンゼンを弱吸着成分として分離回収することを特徴とするp−ジクロロベンゼンの分離方法。
  2. 脱着剤として、ジクロロベンゼン異性体混合物に対して低沸点であるアルキルベンゼンを用いることを特徴とする請求項1記載のp−ジクロロベンゼンの分離方法。
  3. 脱着剤として、トルエン、キシレン、エチルベンゼンまたはその混合物を用いることを特徴とする請求項1記載のp−ジクロロベンゼンの分離方法。
  4. 吸着剤として、バリウム、及びカリウムを含有したX型ゼオライトを用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のp−ジクロロベンゼンの分離方法。
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