[第1実施形態]
以下、本発明におけるPCVバルブの取付構造を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、エンジンのヘッドカバー1に対するPCVバルブ2の取付状態を平面図により示す。図2に、PCVバルブ2の取付状態をその一部だけ図1のA−A線に沿って破断して正面図により示す。図3に、PCVバルブ2の取付状態をその一部だけ図1のB−B線に沿って破断して側面図により示す。図1〜3に示すように、この実施形態で、PCVバルブ2は電動式バルブであり、ステップモータ(図示略)を内蔵したモータ部3と、弁体4等を内蔵した本体部5とを備える。
モータ部3には、横方向へ突出するコネクタ6が一体的に形成される。このコネクタ6には、電気配線端子が接続される。モータ部3は本体部5に対しネジ7により固定される。本体部5は、ブローバイガスの入口側に本発明の取付部としての取付管8を有し、ブローバイガスの出口側に本発明の配管接続部としての管継手9を有する。取付管8は本体部5の底面、すなわちPCVバルブ2の底面2aから下方向へ突出して設けられる。管継手9は、本体部5の側面から横方向へ突出して設けられる。図3に示すように、管継手9には、エンジンの吸気管に一端が接続された配管ホース10の他端が接続される。本体部5は、弁体4を収容した弁室11と、その弁室11に通じるガス流路12とを含む。弁室11には、弁座13が設けられる。弁体4は、ステップモータにより往復動することで、弁座13に対して進退するようになっている。ガス流路12は、弁室11から管継手9に通
じると共に、取付管8に通じる。弁体4が弁座13から離れて開弁することにより、ガス流路12をブローバイガスが流れる。このガス流量は、弁座13と弁体4との間の隙間(開度)により決定される。このPCVバルブ2の取付管8が、ヘッドカバー1に形成された取付孔14に取り付けられる。この実施形態では、ヘッドカバー1が本発明のエンジン側部材に相当し、取付孔14が本発明の被取付部に含まれる。
ここで、ヘッドカバー1に対するPCVバルブ2の取付構造を詳しく説明する。取付管8の先端部には、平行ネジよりなる雄ネジ15が設けられる。取付孔14には、平行ネジよりなる雌ネジ16が設けられる。この実施形態では、取付管8の基端から雄ネジ15までの長さが、ヘッドカバー1の板厚(取付孔14の長さ)よりも若干大きく設定される。図2,3に示すように、雄ネジ15が雌ネジ16にねじ込まれて雌ネジ16を通過することにより、PCVバルブ2の回動を許容しながら取付管8が取付孔14の開口縁、すなわちヘッドカバー1に係合可能となる。この実施形態では、これら雄ネジ15及び雌ネジ16により本発明のネジ式係合手段が構成される。また、PCVバルブ2の本体部5には、一対のばか孔17と、そのばか孔17に取り付けられるネジ18が設けられる。一方、ヘッドカバー1には、各ネジ18に対応するネジ孔19が形成される。そして、雄ネジ15が雌ネジ16を通過してから取付管8が取付孔14の開口縁に係合可能となった状態で、各ネジ18をネジ孔19に締め付けることにより、PCVバルブ2がヘッドカバー1に固定される。この実施形態では、ネジ18とネジ孔19により本発明の固定手段が構成される。
この実施形態で、取付管8及び取付孔14の周囲には、PCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1の外面1aとの間にOリング20が設けられる。ヘッドカバー1の外面1aにおいて、取付孔14の周囲には、リング溝21が形成される。Oリング20は、このリング溝21に嵌め入れられて位置決めされる。Oリング20は、本発明の圧縮シール部材に相当し、ゴムより構成され、弾力性を有する。Oリング20は、圧縮変形可能な固有の圧縮代を有する。この圧縮代は、Oリング20を厚さ方向に圧縮したときに最大限つぶれることができる寸法に相当する。一方、図2に示すように、PCVバルブ2がヘッドカバー1にネジ18で固定された状態では、取付管8の雄ネジ15とヘッドカバー1の内面1bとの間に所定の距離D1が設けられる。この距離D1は、PCVバルブ2をネジ18で固定する前の状態では、PCVバルブ2がヘッドカバー1に対して最大限移動することができる距離、すなわち「遊び」に相当する。図4に、ネジ18で固定する前のPCVバルブ2とヘッドカバー1との間の遊びP1を一部破断して側面図により示す。図4に示すように、雄ネジ15が雌ネジ16を通過した直後の状態、すなわち、雄ネジ15の上端が雌ネジ16の下端に接した状態では、PCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1の外面1aとの間に所定の遊びP1が設けられる。この遊びP1は、上記した雄ネジ15とヘッドカバー1の内面1bとの間の距離D1と同じである。この実施形態では、Oリング20の圧縮代が、上記した遊びP1よりも大きくなるように設定される。従って、図4に示す状態では、Oリング20がPCVバルブ2の底面2aに圧接して若干つぶされる。
以上説明したこの実施形態におけるPCVバルブの取付構造によれば、PCVバルブ2をヘッドカバー1に取り付けるには、先ず、ヘッドカバー1のリング溝21にOリング20を嵌め入れた状態で、取付孔14にPCVバルブ2の取付管8を合わせて、取付管8の雄ネジ15を取付孔14の雌ネジ16にねじ込む。ここで、雄ネジ15が雌ネジ16を通過し終わると、雄ネジ16がヘッドカバー1の内面1bから多少離れることができることから、PCVバルブ2はヘッドカバー1に対して取付管8を中心に回動自在となる。このため、PCVバルブ2を回動させることにより、その管継手9の位置を配管ホース10の配置に合わせることができる。このように管継手9の位置合わせを行った後に、2本のネジ18をヘッドカバー1のネジ孔19に締め付けることにより、Oリング20を介在させた状態でPCVバルブ2をヘッドカバー1に固定することができる。このような固定状態では、PCVバルブ2の回動が規制され、管継手9に接続された配管ホース10は、その接続状態が保たれる。
一方、PCVバルブ2をヘッドカバー1から取り外すには、先ず、2本のネジ18を緩めて外し、PCVバルブ2の固定を解除する。このように2本のネジ18を外しても、雄ネジ15と雌ネジ16が係合して取付管8が取付孔14から外れないので、PCVバルブ2はヘッドカバー1から容易には外れない。この状態では、PCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1の外面1aとの間に遊びP1があるものの、Oリング20がPCVバルブ2の底面2aに圧接するので、PCVバルブ2とヘッドカバー1との間の気密がOリング20により確保される。
その後、PCVバルブ2をヘッドカバー1から取り外すには、雄ネジ15を雌ネジ16から外すためにPCVバルブ2を回動させる必要がある。しかし、管継手9に配管ホース10を接続したままの状態では、配管ホース10が妨げとなってPCVバルブ2を回動させることができない。そこで、PCVバルブ2を回動させるために、管継手9から配管ホース10を外さなければならない。このため、PCVバルブ2に配管ホース10を接続したままヘッドカバー1からPCVバルブ2が取り外されることを防止することができる。このことから、エンジンの点検終了後に、仮に、ヘッドカバー1から取り外されたPCVバルブ2をヘッドカバー1に付け忘れて、エンジンをアイドル運転状態で始動させたとしても、配管ホース10の入口から多量の空気が吸気管に吸引されることとなる。このため、エンジンに供給される混合気が希薄となり、エンジンの運転が不調となり、作業者は、ヘッドカバー1に対するPCVバルブ2の付け忘れ、あるいは、PCVバルブ2に対する配管ホース10の接続忘れに容易に気付くことができるようになる。
この実施形態では、PCVバルブ2の取付管8をヘッドカバー1の取付孔14の開口縁に係合させる手段が、従来例における複数の突起部及び複数の溝とは異なり、比較的簡易な雄ネジ15及び雌ネジ16から構成される。このため、上記係合させる手段の作製を容易なものにすることができる。
この実施形態では、PCVバルブ2をヘッドカバー1に固定する2本のネジ18がネジ孔19から外れても、取付管8の雄ネジ15が取付孔14の開口縁に係合した状態で、PCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1の外面1aとの間に遊びP1が得られる。この状態で、取付管8及び取付孔14の周囲にてヘッドカバー1とPCVバルブ2の底面2aとの間に設けられたOリング20の圧縮代が、上記した遊びP1よりも大きく設定される。従って、Oリング20の圧縮代が遊びP1より大きい分だけ、PCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1との間でOリング20が圧縮される。このため、固定用の2本のネジ18がネジ孔19から外れても、すなわちネジ18とネジ孔19によるPCVバルブ2の固定が解除されても、PCVバルブ2とヘッドカバー1との間の気密をOリング20により確保することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明におけるPCVバルブの取付構造を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に説明する各実施形態において、前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
図5に、図2に準ずる図面であって、PCVバルブ2の取付状態をその一部だけ破断して正面図により示す。図6に、PCVバルブ2の底面図を示す。図7に、ヘッドカバー1の一部を平面図により示す。
この実施形態では、取付管8の雄ネジ15をキー25に、取付孔14の雌ネジ16をキー溝26に置き換えた点で第1実施形態と構成が異なる。すなわち、図5,6に示すように、取付管8の先端部外周には、その軸線方向に伸びる一条のキー25が形成される。また、図5,7に示すように、ヘッドカバー1の取付孔14には、その軸線方向に伸びる一条のキー溝26が形成される。この実施形態では、取付管8の基端からキー25までの長さが、ヘッドカバー1の板厚(取付孔14の長さ)よりも若干大きく設定される。図6のメッシュの部分は、Oリング20によるシール面を示す。また、図7に示すリング溝21には、Oリング20が嵌め入れられる。これらキー25及びキー溝26により、キー25がキー溝26に合わせられてキー溝26を通過することにより、PCVバルブ2の回動を許容しながら取付管8と取付孔14の開口縁を係合可能とする本発明のキー式係合手段が構成される。また、ネジ18とネジ孔19は、キー25がキー溝26を通過してから取付管8と取付孔14の開口縁が係合可能となった状態で、PCVバルブ2をヘッドカバー1に固定するための本発明の固定手段に相当する。この他、キー25がキー溝26を通過してから取付管8と取付孔14の開口縁が係合可能となった状態で、PCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1の外面1aとの間に設けられる遊びP1(図4参照)とOリング20の圧縮代との関係についても、第1実施形態のそれと同じである。
従って、この実施形態によれば、PCVバルブ2をヘッドカバー1に取り付けるには、先ず、ヘッドカバー1のリング溝21にOリング20を嵌め入れた状態で、取付孔14のキー溝26に取付管8のキー25を合わせて、取付管8を取付孔14に嵌め込む。ここで、キー25がキー溝26を通過し終わると、キー25がヘッドカバー1の内面1bから多少離れることができることから、PCVバルブ2はヘッドカバー1に対して取付管8を中心に回動自在となる。このため、PCVバルブ2を回動させることにより、その管継手9の位置を配管ホース10の配置に合わせることができる。このように管継手9の位置合わせをした後に、2本のネジ18をヘッドカバー1のネジ孔19に締め付けることにより、Oリング20を介在させた状態でPCVバルブ2をヘッドカバー1に固定することができる。
上記のようにPCVバルブ2がネジ18及びネジ孔19によりヘッドカバー1に固定された状態では、PCVバルブ2の回動が規制される。この状態で管継手9に接続された配管ホース10は、その接続状態が保たれる。また、PCVバルブ2をヘッドカバー1から取り外すには、ネジ18及びネジ孔19によるPCVバルブ2の固定を解除した後、キー25をキー溝26に合わせるために、PCVバルブ2を回動させる必要がある。しかし、管継手9に配管ホース10が接続された状態では、配管ホース10が妨げとなってPCVバルブ2の回動が困難となる。そこで、PCVバルブ2を回動させるために、管継手9から配管ホース10を外さなければならない。このため、PCVバルブ2に配管ホース10を接続したままヘッドカバー1からPCVバルブ2が取り外されることを防止することができる。このことから、エンジンの点検終了後に、仮に、ヘッドカバー1から取り外されたPCVバルブ2をヘッドカバー1に付け忘れて、エンジンをアイドル運転状態で始動させたとしても、配管ホース10の入口から多量の空気が吸気管に吸引されることとなる。このため、エンジンに供給される混合気が希薄となり、エンジンの運転が不調となり、作業者は、ヘッドカバー1に対するPCVバルブ2の付け忘れ、あるいは、PCVバルブ2に対する配管ホース10の接続忘れに容易に気付くことができるようになる。
また、この実施形態では、PCVバルブ2の取付管8をヘッドカバー1の取付孔14の開口縁に係合させる手段が、従来例における複数の突起部及び複数の溝とは異なり、比較的簡易なキー25及びキー溝26から構成される。このため、上記係合させる手段の作製を容易なものにすることができる。この実施形態におけるその他の作用効果は、第1実施形態のそれと同じである。
[第3実施形態]
次に、本発明におけるPCVバルブの取付構造を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図8に、図2に準ずる図面であって、PCVバルブ2の取付状態をその一部だけ破断して正面図により示す。図9に、PCVバルブ2の取付状態を図8のC−C線断面図により示す。図10に、PCVバルブ2の取付状態を平面図により示す。図11に、PCVバルブ2の底面図を示す。図12に、ヘッドカバー1の一部を平面図により示す。図13に、ヘッドカバー1を図12のD−D線断面図により示す。
この実施形態では、本発明の間隔保持手段を備えた点で第2実施形態と構成が異なる。すなわち、この実施形態で、図8,9,12,13に示すように、ヘッドカバー1の外面1aに、略円環状をなす環状凸部27が形成される。この環状凸部27は、その一部が180°の角度間隔で設けられた一対の欠落部28により分断される。この環状凸部27に対応して、図9,11に示すように、PCVバルブ2の底面2aには、略円環状をなす環状凹部29が形成される。この環状凹部29は、その一部が180°の角度間隔で設けられた一対の欠落部30により分断される。これら環状凸部27の高さと環状凹部29の深さはほぼ同じに設定される。また、この実施形態では、図12,13に示すように、環状凸部27の欠落部28に対して、キー溝26の位置が、取付孔14の軸線を中心に90°ずれて配置される。更に、図13に示すように、環状凸部27の高さは、Oリング20がリング溝21に嵌め入れられた状態で、所定の高さH1だけ大きく設定される。これら環状凸部27及び環状凹部29により、本発明の間隔保持手段が構成される。この実施形態では、取付管8の基端からキー25までの長さが、ヘッドカバー1の板厚と環状凸部27の高さを合わせた寸法よりも若干大きく設定される。そして、キー25がキー溝26を通過してから取付管8と取付孔14の開口縁が係合可能となった状態において、PCVバルブ2を回動させるときに、PCVバルブ2の底面2a(環状凹部29の欠落部30)が環状凸部27に当接することにより、PCVバルブ2の底面2aとOリング20とが離れるようにPCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1との間隔が保持されるようになっている。なお、図11のメッシュの部分は、Oリング20によるシール面を示す。
従って、この実施形態によれば、PCVバルブ2をヘッドカバー1に取り付けるには、先ず、ヘッドカバー1のリング溝21にOリング20を嵌め入れた状態で、取付孔14のキー溝26に取付管8のキー25を合わせて、取付管8を取付孔14に嵌め込む。ここで、キー25がキー溝26を通過し終わると、キー25がヘッドカバー1の内面1bから多少離れると共に、PCVバルブ2の底面2a(環状凹部29の欠落部30)がヘッドカバー1の環状凸部27に当接する。この状態では、PCVバルブ2の底面2aとOリング20が離れた状態で、PCVバルブ2をヘッドカバー1に対して取付管8を中心に回動自在となる。このとき、PCVバルブ2を90°回動させることにより、環状凹部29の欠落部30が環状凸部27の欠落部28に整合すると共に、環状凸部27が環状凹部29に整合して嵌り込み、PCVバルブ2の底面2aの他の部分がヘッドカバー1の外面1aに当接することとなる。この状態で、PCVバルブ2の管継手9の位置を配管ホース10の配置に合わせることができる。このように管継手9の位置合わせを行った後に、2本のネジ18をヘッドカバー1のネジ孔19に締め付けることにより、Oリング20を介在させた状態でPCVバルブ2をヘッドカバー1に固定することができる。この実施形態では、上記のようにPCVバルブ2を回動させる間は、PCVバルブ2の底面2aとヘッドカバー1の外面1aとの間隔が環状凸部27により保持され、PCVバルブ2の底面2aとOリング20とが離れて接触しない。このため、ヘッドカバー1とPCVバルブ2との間に介装されるOリング20の捩れを防止することができる。この結果、PCVバルブ20を回動させた後は、PCVバルブ20とヘッドカバー1との間にOリング20を適正に介在させて気密を確保することができる。
一方、PCVバルブ2をヘッドカバー1から取り外すには、先ず、2本のネジ18を緩めて外し、PCVバルブ2の固定を解除する。このように2本のネジ18を外しても、キー25が取付孔14の開口縁に係合して取付管8が取付孔14から外れないので、PCVバルブ2はヘッドカバー1から容易には外れない。その後、PCVバルブ2を持ち上げてキー25をキー溝26に合わせるためにPCVバルブ2を回動させる必要がある。しかし、管継手9に配管ホース10を接続したままの状態では、配管ホース10が妨げとなってPCVバルブ2を回動させることができない。そこで、PCVバルブ2を回動させるために、管継手9から配管ホース10を外さなければならない。このため、PCVバルブ2に配管ホース10を接続したままヘッドカバー1からPCVバルブ2が取り外されることを防止することができるようになる。このことから、エンジンの点検終了後に、仮に、ヘッドカバー1から取り外されたPCVバルブ2をヘッドカバー1に付け忘れて、エンジンをアイドル運転状態で始動させたとしても、配管ホース10の入口から多量の空気が吸気管に吸引されることとなる。このため、エンジンに供給される混合気が希薄となり、エンジンの運転が不調となり、作業者は、ヘッドカバー1に対するPCVバルブ2の付け忘れ、あるいは、PCVバルブ2に対する配管ホース10の接続忘れに容易に気付くことができるようになる。
この実施形態でも、PCVバルブ2の取付管8をヘッドカバー1の取付孔14の開口縁に係合させる手段が、従来例における複数の突起部及び複数の溝とは異なり、比較的簡易なキー25及びキー溝26から構成される。このため、上記係合させる手段の作製を容易なものにすることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明におけるPCVバルブの取付構造を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図14に、PCVバルブ41の取付状態を斜視図により示す。図15に、PCVバルブ41の取付状態をヘッドカバー1のみ破断して側面図により示す。この実施形態で、PCVバルブ41は圧力作動式バルブであり、ブローバイガスの入口側に設けられて弁体等(図示略)を内蔵した本発明の取付部を構成する本体部42と、本体部42と一体に形成され、ブローバイガスの出口側に設けられた本発明の配管接続部としての管継手43とを備える。管継手43には、配管ホース10が接続される。PCVバルブ41は、その本体部42の先端部にてヘッドカバー1の取付孔14に取り付けられる。本体部42の先端部外周には、雄ネジ44が設けられ、取付孔14には雌ネジ45が設けられる。これら雄ネジ44及び雌ネジ45によりネジ式固定手段が構成され、PCVバルブ41を回動させて雄ネジ44を雌ネジ45に締め付けることにより、本体部42を取付孔14に固定するようになっている。
ここで、本体部42の基端部外周には、六角形状をなす二面幅部46が設けられる。この二面幅部46には、雄ネジ44と雌ネジ45の締め付けを解除するために筒形をなすソケットレンチ等の筒形の締め付け道具(図示略)を嵌め合わせることができる。また、ヘッドカバー1の外面1aにおいて取付孔14の周囲には、PCVバルブ41の二面幅部46に対してその径方向からのスパナ等(図示略)による係合を規制する周壁部47が設けられる。この周壁部47は、取付孔14を中心にして円環状に形成される。従って、図14,15に示すように、PCVバルブ41をヘッドカバー1の取付孔14に取り付けた状態では、PCVバルブ41の二面幅部46が周壁部47に囲まれる。このため、その取付状態では、スパナ等の先端開放形の締付道具を二面幅部46に対して、その径方向から係合させることはできない。
従って、この実施形態では、PCVバルブ41をヘッドカバー1に取り付けるには、ヘッドカバー1の取付孔14にPCVバルブ41の本体部42を合わせ、その雄ネジ44を取付孔14の雌ネジ45に締め付ける。この締め付けは、管継手43の上方向から二面幅部46にソケットレンチ等の筒形の締付道具を嵌め合わせて、PCVバルブ41をその締付道具で回動させることにより行われる。ここで、図14,15に示すように、雄ネジ44と雌ネジ45を締め付けて本体部42を取付孔14に取り付けた状態では、PCVバルブ41がヘッドカバー1に固定される。その後、管継手9に配管ホース10を接続することにより、その配管ホース10の接続状態が保たれる。
ここで、PCVバルブ41をヘッドカバー1から取り外すには、雄ネジ44と雌ネジ45の締め付けを解除するための筒形の締付道具を、PCVバルブ41の二面幅部46にその径方向から係合させる必要がある。或いは、ソケットレンチ等の筒形の締付道具を、二面幅部46の径方向以外の方向、すなわちPCVバルブ41の上方向から二面幅部46に嵌め合わせる必要がある。しかし、二面幅部46に対するその径方向からの先端開放形の締付道具の係合は、ヘッドカバー1の周壁部47により妨げられる。或いは、二面幅部46に対するその上方向からのソケットレンチ等の筒形の締付道具の係合は、管継手43に接続された配管ホース10に干渉して妨げられる。このため、二面幅部46に筒形の締付道具を係合させるためには、管継手43から配管ホース10を取り外すことが必要になる。このため、PCVバルブ41に配管ホース10を接続したままヘッドカバー1からPCVバルブ41が取り外されることを防止することができるようになる。このことから、エンジンの点検終了後に、仮に、ヘッドカバー1から取り外されたPCVバルブ41をヘッドカバー1に付け忘れて、エンジンをアイドル運転状態で始動させたとしても、配管ホース10の入口から多量の空気が吸気管に吸引されることとなる。このため、エンジンに供給される混合気が希薄となり、エンジンの運転が不調となり、作業者は、ヘッドカバー1に対するPCVバルブ41の付け忘れ、あるいは、PCVバルブ41に対する配管ホース10の接続忘れに容易に気付くことができるようになる。
この実施形態でも、PCVバルブ41の本体部42をヘッドカバー1の取付孔14に係合及び固定する手段が、比較的簡易な雄ネジ44及び雌ネジ45から構成される。このため、上記した係合及び固定させる手段の作製を容易なものにすることができる。
[第5実施形態]
次に、本発明におけるPCVバルブの取付構造を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図16に、PCVバルブ41の取付状態をヘッドカバー1のみ破断して側面図により示す。この実施形態で、ヘッドカバー1の周壁部47が省略される代わりに、PCVバルブ41の本体部42に周壁部48aが設けられる点で、第4実施形態と構成が異なる。すなわち、この実施形態では、PCVバルブ41の本体部42の外周にフランジ48が設けられ、そのフランジ48の上側外周に周壁部48aが一体に形成される。そして、この周壁部48aに囲まれる形でフランジ48の上に二面幅部46が形成される。その他の構成は、第4実施形態のそれと同じである。
従って、この実施形態でも、PCVバルブ41をヘッドカバー1の取付孔14に取り付けて固定するには、ソケットレンチ等の筒形の締付道具を、管継手43の上方向から被せて、周壁部48aの中の二面幅部46に嵌め合わせ、PCVバルブ41をその締付道具で回動させて締め付ける必要がある。そして、図16に示すように、PCVバルブ41を取付孔14に取り付けた状態で、管継手43に配管ホース10が接続される。
一方、PCVバルブ41をヘッドカバー1から取り外すには、雄ネジ44と雌ネジ45の締め付けを解除するために、管継手43から配管ホース10を外した上で、筒形の締付道具を、管継手43の上から二面幅部46に嵌め合わせて係合させ、締付道具によりPCVバルブ41を回動させて雄ネジ44と雌ネジ45の締め付けを緩める。従って、この実施形態でも第4実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
[第6実施形態]
次に、本発明におけるPCVバルブの取付構造を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図17に、PCVバルブ51の取付状態をヘッドカバー1のみ破断して側面図により示す。図18に、ヘッドカバー1の一部を斜視図により示す。図19,20に、PCVバルブ51の取付状態を平面図により示す。
この実施形態で、PCVバルブ51は圧力作動式バルブであり、第4及び第5の実施形態と同様、弁体等を内蔵する本体部42と、配管ホース10が接続される管継手43とを備える。PCVバルブ51は、その本体部42の先端側に本発明の取付部としての取付管52を含む。また、取付管52の外周には、スナップフィット53が設けられる。スナップフィット53は、本体部42と一体に形成される。スナップフィット53は、取付管52とほぼ平行に伸びる一対のアーム53aを備え、各アーム53aの先端に爪53bが形成される。そして、図17に示すように、取付管52と共にスナップフィット53が、ヘッドカバー1の取付孔14を通過することにより、スナップフィット53の各爪53bが取付孔14の開口縁に係合する。このように、PCVバルブ51の回動を許容しながらスナップフィット53が取付孔14の開口縁に係合するようになっている。この係合により、PCVバルブ51を取付孔14に固定するようになっている。
PCVバルブ51の本体部42の基端部外周には、スナップフィット53による係合を解除するための本発明の被係合部としての一つの係合凹部54が設けられる。この係合凹部54は、スナップフィット53による係合を解除するために、ドライバ等のこじ開け道具(図示略)の、PCVバルブ51の径方向からの係合を受けるように開口する。また、図18に示すように、ヘッドカバー1の外面1aにおいて取付孔14の周囲には、PCVバルブ51の係合凹部54に対する、こじ開け道具(図示略)による係合を規制する周壁部55が設けられる。この周壁部55は、取付孔14を中心にして円環状に形成されるが、その一部に壁欠落部55aが形成される。この壁欠落部55aでのみこじ開け道具の係合が許容されるようになっている。従って、図19に示すように、PCVバルブ51をヘッドカバー1の取付孔14に取り付け、PCVバルブ51の係合凹部54を周壁部55の壁欠落部55aから遠ざけた状態では、周壁部55に妨げられて係合凹部54にこじ開け道具を係合させることができない。このため、PCVバルブ51を取付孔14から取り外すことができない。これに対し、図19の状態からPCVバルブ51を回動させることにより、図20に示すように、係合凹部54を周壁部55の壁欠落部55aに整合させることができる。この場合、こじ開け道具を係合凹部54に対して、PCVバルブ51の径方向から係合させることができる。
従って、この実施形態によれば、PCVバルブ51をヘッドカバー1に取り付けるには、ヘッドカバー1の取付孔14にPCVバルブ51の取付管52及びスナップフィット53を差し入れ、スナップフィット53を取付孔14の開口縁に係合させる。この係合によりPCVバルブ51をヘッドカバー1に固定することができる。この固定状態では、ヘッドカバー1にてPCVバルブ51の回動が許容されるので、PCVバルブ51を適宜回動させることで、本体部42の係合凹部54を壁欠落部55aから遠ざけることができる。その後、管継手9に配管ホース10を接続することにより、その配管ホース10の接続状態が保たれる。
一方、PCVバルブ51をヘッドカバー1から取り外すには、ドライバ等のこじ開け道具を、PCVバルブ51の径方向から係合凹部54に係合させる必要がある。しかし、係合凹部54に対するこじ開け道具の係合は、ヘッドカバー1の周壁部55により壁欠落部55aを除いて規制される。このため、係合凹部54にこじ開け道具を係合させるために、PCVバルブ51を回動させて係合凹部54を壁欠落部55aに整合させる必要があり、そのために管継手43から配管ホース10を取り外すことが必要になる。このため、PCVバルブ51に配管ホース10を接続したままヘッドカバー1からPCVバルブ51が取り外されることを防止することができるようになる。このことから、エンジンの点検終了後に、仮に、ヘッドカバー1から取り外されたPCVバルブ51をヘッドカバー1に付け忘れて、エンジンをアイドル運転状態で始動させたとしても、配管ホース10の入口から多量の空気が吸気管に吸引されることとなる。このため、エンジンに供給される混合気が希薄となり、エンジンの運転が不調となり、作業者は、ヘッドカバー1に対するPCVバルブ51の付け忘れ、あるいは、PCVバルブ51に対する配管ホース10の接続忘れに容易に気付くことができるようになる。
この実施形態でも、PCVバルブ51の取付管52をヘッドカバー1の取付孔14に係合及び固定させる手段が、比較的簡易なスナップフィット53と取付孔14から構成される。このため、上記係合させる手段の作製を容易なものにすることができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成に一部を適宜変更することで以下のように実施することもできる。
(1)前記第1実施形態では、PCVバルブ2の取付部を取付管8とし、その取付管8に雄ネジ15を設け、エンジン側部材としてのヘッドカバー1の被取付部を取付孔14により構成し、その取付孔14に雌ネジ16を設けた。これに対し、PCVバルブの取付部を取付孔により構成し、その取付孔に雌ネジを設け、エンジン側部材の被取付部を取付管とし、その取付管に雄ネジを設けることもできる。
(2)前記第2及び第3の実施形態では、PCVバルブ2の取付部を取付管8とし、その取付管8にキー25を設け、エンジン側部材としてのヘッドカバー1の被取付部を取付孔14により構成し、その取付孔14にキー溝26を設けた。これに対し、PCVバルブの取付部を取付孔により構成し、その取付孔にキー溝を設け、エンジン側部材の被取付部を取付管とし、その取付管にキーを設けることもできる。
(3)前記第4及び第5の実施形態では、PCVバルブ41の取付部を本体部42の先端部とし、その先端部に雄ネジ44を設け、エンジン側部材としてのヘッドカバー1の被取付部を取付孔14により構成し、その取付孔14に雌ネジ45を設けた。これに対し、PCVバルブの取付部を取付孔により構成し、その取付孔に雌ネジを設け、エンジン側部材の被取付部を取付管とし、その取付管に雄ネジを設けることもできる。
(4)前記第6実施形態では、PCVバルブ51の取付部を構成する取付管52の外周にスナップフィット53を設け、エンジン側部材としてのヘッドカバー1の被取付部を取付孔14により構成した。これに対し、PCVバルブの取付部を取付孔により構成し、エンジン側部材の被取付部に取付管とスナップフィットを設けることもできる。
(5)前記各実施形態では、エンジン側部材をヘッドカバー1として、そのヘッドカバー1にPCVバルブ2、41,51を取り付けるように構成したが、エンジンのシリンダブロックをエンジン側部材としてPCVバルブを取り付けるように構成してもよい。