JP5016943B2 - 船外推進装置の揚力発生板取付構造 - Google Patents
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Description
滑走開始に際しては抵抗が大きく、十分な船速が得られ難い。ある程度の船速を得るには、船尾がある程度持ち上がり、船体の姿勢が水平に近い状態になる必要があり、この姿勢に近づくには長い時間がかかり、円滑な加速が得られ難い。
加速プレートは、ロアケーシングの左右に突出し、前部の突出量が少なく、後部の突出量が大きく、且つ左右2枚の平坦な板状体で構成されている。
特許文献2に開示された発明は、プロペラの後部〜後方に延び、且つプロペラの左右に延びるように水中翼(ハイドロフォイルウイング)を備える構成である。
特許文献3に開示された発明は、マウンティングプレートにデフレクタプレートがヒンジを介して取り付けられており、油圧アクチュエータで伸縮されるコントロールロッドで角度を調整可能としたものである。
また、特許文献3の発明では、マウンティングプレートがキャビテーションプレートと同じ高さ位置なので、滑走時の抗力を考慮し、デフレクタプレートは可動である必要があり、翼部の可動構造、駆動源等の構造が複雑化する。
本発明は、以上の問題点を解決すべくなされたものである。
そして本発明では、船外推進装置に設けられる揚力発生板が、船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置するようにロアユニットの後方に配置し、且つロアユニットの左右に突設するアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置したので、船舶推進機が持ち上げられ、滑走状態後において、揚力発生板は水上に出た状態となり、水による抗力の影響を受けることがない。
そして本発明では、船外推進装置に設けられる揚力発生板が、船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置するようにロアユニットの後方に配置し、且つロアユニットの左右に突設するアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置したので、船舶推進機が持ち上げられ、滑走状態後において、揚力発生板は水上に出た状態となり、水による抗力の影響を受けることがない。
図1は、本発明の実施の形態の一例に係る船舶駆動装置の側面図、図2は前方から見た船外推進装置の外観斜視図である。
この図面に従って船外推進装置の概略を説明する。
船外推進装置1は、外観的には最上部のエンジンカバー2、この下方のアンダーカバー3、この下方のエクステンションケース4及びこの下方のギヤケース5からなる船外機である。実施例ではエクステンションケース4及びギヤケース5はロアユニットを構成し、アルミ合金等の軽金属で形成されている。エクステンションケース4及びギヤケース5は、後述する揚力発生板を取付支持するロアユニットを構成する。
エンジン6は船外推進装置1の後部側がシリンダヘッドやヘッドカバーを含むエンジンヘッド6aであり、中間部側がシリンダブロック及びクランクケースからなるエンジン本体6bであり、エンジン6の下部はアンダーカバー3内に臨む。アンダーカバー3内にはエンジン本体の底部6cが臨み、且つこれの下方にオイルパンを内装したマウントケース7が配設されており、スロットル弁6f等により、運転を制御する。
船外推進装置1の前側には縦長の凹部1aを設け、凹部1aはアンダーカバー3の前部下半、エクステンションケース4の前部にかけて設けられており、この凹部にスイベルケース51及びスターンブラケット52を設け、スイベル軸51aで操舵し、スターンブラケット52により船外推進装置は上下動(チルト動)する。
取付装置50については、揚力発生板の船外推進装置への取付構造として後で詳細に説明する。
前記アンチキャビテーションプレート9の上方には、離間してアンチスプラッシュプレート10を設け、アンチスプラッシュプレート10は船外推進装置1の前後方向の前部から中間部の両側方にフランジ状に突出するように設ける。
尚図面中11はシフトロッドであって、アンダーカバー3、ロアユニット4を縦通し、ギヤケース5内のギヤ機構5cのクラッチ体に係合している。
揚力発生板20の船外推進装置1への取付状態は、図1の船外推進装置の外観側面図、図2の斜視図で示す通りで、揚力発生板20の単体は図3、図4に示す通りである。
図3は、揚力発生板20の本体部分の斜視図、図4は、図3の4−4線の断面図である。
後部の上下の板状本体21,22は、左右方向に長さを有し、その長さは、船外推進装置1の左右の幅よりも十分に大きく、各板状本体21,22の左右方向に長さは同じである。前部の板状本体23は前後方向の長さが後部の板状本体21,22よりも長く、夫々の断面は翼状断面をなす。前部の板状本体23は、上下に離間して配置された後部の板状本体21,22の間にあって、その後端部は後部の板状本体21,22の前部間に臨んで配置されている。
左右の側端板24,24により三枚の板状本体21,22,23の左右両端部を一体的に結合して支持し、揚力発生板20の剛性を高める。
取付ステー25,25の後半部25aの各前部には棚部25bを設け、この棚部25bの上縁で前部の板状体23の下面を取付支持し、後端部に設けたL形部25cの上下の緩い傾斜の縁部で後部の上下に配置される板状体21,22を取付支持する。
取付ステー25,25の船外推進装置1の本体への取り付けは後述する。
また、揚力発生板20は、船外推進装置1の前記したアンチキャビテーションプレート11よりも上方に位置し、即ち、板状本体21、側端板27はアンチキャビテーションプレート11よりも上方に位置する。
船外推進装置1の運転、駆動によりプロペラ8は回転し推進するが、船外推進装置1の加速の開始直後においては、更に後部が下がり鎖線Bの状態となる。
加速の継続により、揚力発生板20の上下の板状本体21,22の抗力で、船外推進装置1を含む船尾は持ち上げられる。
そして、上下に離間して配置することで、面(板或いは翼)が上下に広がって配置されることとなり、浅い喫水から深い喫水まで変化に応じて幅広く対応することができる。
即ち、上の板の上下両面と下の板の上下両面とで走り始めの低速域での揚力が大きく得られ、船艇の姿勢補正が早い段階から行うことができ、下の板の下面が喫水下に有る限り揚力が得られ、短時間で補正が行われることとなる。
図5は、図1の5−5線断面図、図6は取付構造の要部を示す分解斜視図である。
図5において示されるように、スイベルケース51は、船外推進装置1のロアユニットを構成するエクステンションケース4の前部に設けた凹部1aに縦向きに収容される。スイベルケース51内のスイベル軸51aの下端の本体51bには、その左右後端部から後方に延びるマウントステー53,53をボルト54,54を介して固着されており、マウントステー53,53の後部にはマウントラバー53a,53aを有し、凹部1aの後方に向けて形成した左右の取付凹状部1b,1b(図6も参照)にマウントラバー53a,53aを含むマウントステー53,53の中間部〜後部を収容する。
図5において51aはスイベル軸、6eは駆動軸、11はシフトロッドである。
この取付ステー25,25の中間部を含む前半部25dの夫々の内側面に、取付ブラケット30,30(固定具)を固着し、取付ステー25,25を含む揚力発生板20を、船外推進装置1側に取付支持する。
後半部30a,30aには内側に潜る凹状部30b,30bを有し、この前後に夫々平坦部30c,30dを備え、この平坦部30c,30dに各取付ステー25の後半部25dの内面を当接し、夫々ボルト26,26を介して取付ステー25,25を取付ブラケット30,30に取付支持する。これにより、揚力発生板20を支持する取付ステー25,25は取付ブラケット30,30に結合され、支持されることとなる。
各取付ブラケット30,30の各前部30e,30eには、左右で対称に形成した内側が潜り、外側に膨出した当接部30f,30fを設け、該当接部30f,30fを前記した取付ハウジング55,55の外側面に当接させてその外側面を覆うように被せる。
外観カバー57,57は上記した部分を覆い、左右で対称形状の二つの部材からなり、図6における取付ボス部57bをボルトでロアユニット4の両側面に結合し、取付一体化する。
取付ブラケット30の前部に、ロアユニット4の前部左右に設けた凹状部1b,1b及びここに収容されるスターンブラケット51の前記した取付ハウジング55,55に相当する部分を一体に設けた。
即ち、取付ブラケット30の前部に、ロアユニット4の前部左右に設けた取付凹状部1b、1b及びこれに収容させたマウントラバー53a,53aを覆う取付ハウジング155,155を、各取付ブラケット30,30の先部に一体に設けたものである。
これらの図面に従って詳細に説明する。
尚、船外推進装置及び揚力発生板は、前記と同様の構造なので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施例では、3枚の板状本体21,22,23からなり、左右の取付ステー125,125の後半部125aの各前部の棚部125bの上縁で前部の板状体23の下面を取付支持し、後端部のL形部125cの上下の緩い傾斜の縁部で後部の上下に配置される板状体21,22が取付支持されている。
3枚の板状本体21,22,23を、取付支持する左右の取付ステー125,125の前半部125d,125dを固定具130の左右に固着して取付支持する。
左右のアーム部131,131、ブリッジ部132は上下方向に高さを有し、スカート状であり、左右のアーム部131,131の先部131a,131aは上縁部が前下傾し、先端部は取付孔を有する矩形座部状の先端取付部131b,131bが設けられており、中間部の下部には複数の取付孔131c…が設けられている。
ブリッジ部132のU字形の前開きの半円状の凹部134の左右方向の中央部には、後方に所定長さ後方の延びるスリット部135を設け、該スリット部135は図10に示すように後方への切り込み長さが短く、前方及び上下方向に開放されている。
この挿入の際、スリット135が開き、実施例ではスリット部135の後端部に円形部135aを備え、スリット部135が拡開可能であり、エクステンションケース4への固定具130の挿入作業が容易となる。
また、揚力発生板を取付ステーで支持し、取付ステーを取付ブラケットで船外推進装置に取付支持したが、取付ステーと取付ブラケットを一体化した構造でも良い。
Claims (5)
- 取付装置により船体の後尾に取り付けられる船外推進装置において、
前記船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置する揚力発生板を、該ロアユニットの後方且つアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置し、
前記揚力発生板は、左右方向に長さのある板状体であって、揚力発生板の下面の左右の部分を前後方向に長い板状体からなる左右のステーの後部に支持されており、
前記揚力発生板の左右の取付ステーの前部は、船外推進装置本体のロアユニットの両側に左右の固定具によって取り付けられており、
少なくとも前記左右の固定具と左右の取付ステーの連結部を、前記取付装置の外観部品で覆うようにした、
ことを特徴とする船外推進装置の揚力発生板取付構造。 - 船外推進装置の取付装置の取付部のカバーと、前記揚力発生板の取付ステーの一部と、前記固定具の一部とを、前記外観部品で覆うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の船外推進装置の揚力発生板取付構造。
- 前記船外推進装置の取付装置の取付部のカバーを、前記左右の固定具の一部に一体に設けたことを特徴とする請求項2に記載の船外推進装置の揚力発生板取付構造。
- 取付装置により船体の後尾に取り付けられる船外推進装置において、
前記船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置する揚力発生板を、該ロアユニットの後方且つアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置し、
前記揚力発生板を船外推進装置本体に固定具によって取り付け、
前記固定具は、ロアユニットの両側部に取付支持される両側の左右のアーム部と、該アーム部の後端部を一体的に連結するブリッジ部とからなる平面視略U字形であり、
前記固定具の一部を外観部品で覆うようにした、
ことを特徴とする船外推進装置の揚力発生板取付構造。 - 前記両側の左右のアーム部の各先端部を、前記外観部品の両側の後部で覆うようにしたことを特徴とする請求項4記載の船外推進装置の揚力発生板取付構造。
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