JP4758710B2 - 船舶推進機 - Google Patents
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Description
滑走開始に際しては抵抗が大きく、十分な船速が得られ難い。
ある程度の船速を得るには、船尾がある程度持ち上がり、船体の姿勢が水平に近い状態になる必要があり、この姿勢に近づくには長い時間がかかり、円滑な加速が得られ難い。
これによれば、船舶推進機は円滑、迅速に上方に持ち上げられ、船体の姿勢(ハンプ時の姿勢)を円滑、且つ迅速に水平に近い状態に移行させることができ、滑走し始めからハンプ時の姿勢を乗り越え、水平に近い状態への移行時間を大幅に短縮することができ、円滑、迅速な加速を得ることができる。
ところで、揚力発生装置の後部に、効果的に揚力を得る後下がり傾斜下面を有する部分を設けたので、この部分を含む揚力発生装置に大きな抗力が作用する。
本発明は、以上に鑑みなされたものである。
従って、滑走し始めからハンプ時の姿勢を乗り越え、水平に近い状態への移行時間を大幅に短縮することができ、円滑、迅速な加速を得ることができる。
又、面の並びの方向に沿った補強体(前後方向の縦壁)で連続させることで、前後方向の撓みに対し、各面の合成の確保及び傾斜角度の維持を行うことができる。
これにより、後部後下がりの揚力発生装置の上記した利点を発揮させつつ、高剛性の揚力発生装置を得ることができる。
図1は、船体(艇体)の船尾に船舶推進機を取り付けた状態の要部の図で、船舶推進機と船体の関係を示す説明図である。
200は、船舶推進機を取り付ける船体で、船尾201に船舶推進機1を取り付ける。船舶推進機1はスターンブラケット10で船尾に取り付けられ、上下動(チルト動)自在で、左右動(操舵)自在である。船体200は、船舶推進機1よりも前方の中央寄り部分に重心(不図示)が位置する。
船舶推進機1は、図で明らかなようにプロペラ8を含む下半部が、常態では水没しており、プロペラ8上方のアンチキャビテーションプレート11、この上方のアンチスプラッシュプレート12(実施例では上下2枚、12a,12b)が配設され、これらも水没している。船舶推進機については後述する。
これらの図面に従って船舶推進機を説明する。
船舶推進機1は、外観的には最上部のエンジンカバー2、この下方のアンダーカバー3、この下方のエクステンションケース4及びこの下方のギヤケース5からなる。
実施例では、エクステンションケース4及びギヤケース5は、アルミ合金等の軽金属で形成されている。
エンジン6は船舶推進機1の後部側がシリンダヘッドやヘッドカバーを含むエンジンヘッド6aであり、中間部側がシリンダブロック及びクランクケースからなるエンジン本体6bであり、エンジン6の下部はアンダーカバー3に臨む。アンダーカバー3内には、エンジン本体の底部6cが臨み、且つこれの下方にオイルパン6dを内装したマウントケース7が配設されており、スロットル弁6f等により、運転を制御する。
船舶推進機1の前側には縦長の凹部1aを設け、凹部1aはアンダーカバー3の前部下半、エクステンションケース4の前部にかけて設けられており、この凹部にスイベルケース9及びスターンブラケット10を設け、スイベル軸9aで操舵し、スターンブラケット10により船舶推進機は上下動(チルト動)する。このスターンブラケット10を介して前記したように船体の船尾に船舶推進機を取り付ける。
アンチキャビテーションプレート11は、プロペラ8の上方にかかるように後方に設けられている。
前記アンチキャビテーションプレート11の上方には、離間してアンチスプラッシュプレート12を設ける。アンチスプラッシュプレート12は、船舶推進機の前後方向の前部から中間部の両側方にフランジ状に突出するように設ける。
実施例では、アンチキャビテーションプレート11、アンチスプラッシュプレート12はギヤケース5上方のエクステンションケース4の下部及びギヤボックス5a上部に設けた。
また、アンチスプラッシュプレート12は、上下に離間して12a,12bの2枚設けた。図中4bは、エクステンションケース4とギヤケース5との合わせ面である。
揚力発生装置20は、図2〜図4で明らかな通り、図3は、船舶推進機の後面斜視図、図4は、船舶推進機の背面図である。これらの図面と図2を参照しつつ説明する。
揚力発生装置20は、アンチキャビテーションプレート11、アンチスプラッシュプレート12、特に上方のアンチスプラッシュプレート12aの上方に、空間を空けて離間して設けられており、板状体21で構成されている。
板状体21は、前半部の概ね水平な部分(水平部と記す)21aと、こらの後端部から後方に延び、後下がりの後下傾した後部傾斜面21bとからなる。水平部21aと後部傾斜面21bとは略「ヘ」字状の屈曲部21cで連続する。
板状体21の後部傾斜面21bはプロペラ8の後方で、アンチキャビテーションプレート11の後端部11aの位置より後方に延出されている。
揚力発生装置20を構成する板状体21は、水平部21aの前半部に平面視U字形の凹部21fを備え、この部分でエクステンションケース4の外周後面4aの下部を挟み込み、外周後面4aに倣って取り付ける。
凹部21fの前端両側部には、取付孔を有する下部取付片22,22が、左右対称に起設されている。
この支持体23,23は、図2〜図4で明らかなように、揚力発生装置20の上面とエクステンションケース4の外周の後面4aとを繋ぐものである。支持体23、23は、後端部23a,23aが板状体21の水平部21a上面に一体で、この部分から前上傾するように前方に前上がりに延出され、エクステンションケース4の外周の後面4aの上部左右に支持体23,23の前部は結合されている。
この上部取付片24,24を介して、エクステンションケース4の外周の後面4aの上部左右に支持体23,23の前部は結合されており、又凹部21fの前端両側部の下部取付片22,22が、エクステンションケース4の外周の後面4aの下部左右に結合されている。
下側の側部の補強体25,25は、板状体21の水平部21a、後部傾斜部21bの両側端部に設ける。
即ち、後部傾斜部21bの両側縁部(後端部21dを含む)の両側縁部から、水平部21aの両側縁部にかけて連続して設ける。
側部の補強体25,25は、実質的に板状体の両側縁部を折曲、垂下して下向きの縦壁片として側部の補強体として構成され、図6の断面で明らかなように、この部分では下向きの凹状体となる。
揚力発生装置20の幅であるが、船舶推進機1の幅Wの範囲内に設定する。
又、上側の支持体23,23の、この間の距離及び夫々の厚さを含んだ幅であるが、支持体23,23を有するエクステンションケース4の幅W1の範囲内とする。
尚、船舶推進機1は、船体の大きさ等によって船尾に2機、或いは3機、更には4機等、所謂2機掛け、3機掛け、4機掛け等して、船尾に複数の船舶推進機を取り付けて推進する場合がある。
この場合、複数の船舶推進機を左右に振って操行するが、この操行の際、船舶推進機の幅よりも揚力発生装置20の幅が大きいと、揚力発生装置が操行時に干渉してしまう虞があるが、揚力発生装置20の幅を船舶推進機1の幅Wの範囲内に設定することで、このような事態を回避することができる。
推進の始めでは船舶推進機側が沈むように力がかかる。この状態で推進を開始し、滑走する。
この揚力は、板状体21の後部傾斜面21bから屈曲した屈曲部21cに連続し、さらには水平部21a並びにこれの周辺部に繰り返し荷重として作用する。
この繰り返し荷重に対し、水平部21aの上面とエクステンションケース4の外周後部との間に上側の支持体23,23が介設されていることで、これを支持する。
又、板状体21には、その両側縁部から下方に屈曲、垂下され、前後に連続するように設けられた側部の補強体25,25によって左右方向、前後方向の撓みに対しこれに対抗し、支持する。
これらの支持体23,23、補強体25,25で、板状体からなる揚力発生装置20は剛性を保持され、前後方向、左右方向の剛性を高め、円滑、確実な揚力発生装置による揚力作用を行わせる。
船舶推進機1のエクステンションケース4の外周の後部の両側部分に取り付けボス13,13及び14,14を予め設置しておく。
上部の取付ボス部13,13は、揚力発生装置20の上部取付片24,24に適合するように縦長とし、下部の取付ボス部14,14は、下部取付片22,22に適合して小径な円盤状である。
以上の揚力発生装置20は、軽金属や硬質の合成樹脂で形成する。
本実施例では、船舶推進機1及び揚力発生装置20の基本構造は上記と同様なので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施例では、揚力発生装置20の両側縁部に設ける補強体125,125を変更したものである。
これにより、揚力発生装置20を構成する板状体21の、補強体125,125を有する部分の横断面は、左右方向に寸法が大きく、左右の起立した縦壁片の高さがあまり高くない凹形となる。
船舶推進機は上記と同様の構造なので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
揚力発生装置30は、前記と同様に板状体31からなり、前半部〜中間部が水平部31aで、これの後端部から屈曲部31cを経て連続して後方に延出した後部は、後下がりの後部傾斜面31bを形成する。
この揚力発生装置30は、船舶推進機1のエクステンションケース4と一体に形成したものであり、或いは別体で形成した揚力発生装置30を、溶接等で一体化したものである。
この支持体33は、略々側面視三角形である。
これにより、板状体の補強体35,35を有する部分の横断面は、前記と同様に下向き凹状をなすこととなる。
図11は斜視図、図12は側面図、図13は背面図である。
船舶推進機は上記と同様の構造なので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
板状体41は、前部〜中間部の水平部41a、これの後端部から屈曲部41cを経て連続して後方に延出した後下がりの後部傾斜面41bを備える。
ここで重要なことは、板状体41の上面の左右方向に起立する支持体43の先端部43cが、板状体41の後部傾斜面41bの上面まで延長され、後部傾斜面43bの上面に先端部43dが一体に連続し、補強部を構成する。従って、この部分は補強体を兼ねている。
以上により、板状体41の上面に配設した支持体43は、水平部41aと、後下がりに傾斜する後部傾斜面とにまたがって、前後方向に連続して延びることとなる。
これにより、板状体の補強体45,45を有する部分の横断面は、前記と同様に下向き凹状をなすこととなる。
このように、板状体41の上面に配設した支持体43と、板状体の左右両側縁に設けた縦壁状の補強体45,45とは、水平部41a、傾斜部41bにまたがって前後方向に連続して一体に設けられることとなる。
船舶推進機は上記と同様の構造なので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
板状体51は、前部〜中間部の水平部51a、これの後端部から屈曲部51cを経て連続して後方に延出した後下がりの後部傾斜面51bを備える。
実施例では、板状体51の上面に、左右方向に離間して3枚の厚手板状の支持体53…を、相互に平行するよう並置して設けた。
以上により、板状体51の上面に配設した支持体53は、水平部51aと、後下がりに傾斜する後部傾斜面とにまたがって、前後方向に連続して延びることとなり、補強部を構成する。これにより補強部を兼ねる。
本実施の形態においても、前記と同様に板状体51の両側縁部に、縦壁状の補強体を設けても良いことは勿論である。
Claims (1)
- 船体に取り付けられるとともに、揚力発生装置を備える船舶推進機であって、
前記揚力発生装置は、概ね水平な面を構成する水平部(21a)と、水平部(21a)の後端部に連続して後方に延び且つ後下がりに傾斜する後部傾斜部(21b)とを備え、
前記水平部(21a)、前記後部傾斜部(21b)、この間を繋ぐ略「ヘ」字状の屈曲部(21c)の両側部の外縁に連続して一体に設けられ、前後方向に延びる左右の側部補強体(25,25)と、
前記水平部(21a)の上面から前上傾するように前上がりに延出されて起設され、先端部に上部取付片(24,24)を有する該水平部(21a)と一体に設けられた支持部(23,23)と、
前記水平部(21a)の前半部に後方に潜った平面視U字形の凹部(21f)の前端両側部に設けられた下部取付片(22,22)とを有し、
前記水平部の凹部(21f)で船外機の外周後面(4a)に倣って該外周後面(4a)の下部を挟み込み、下部取付片(22,22)を介して水平部(21a)の前部の両側部を前記外周後面(4a)に結合し、
前記水平部(21a)に起設した支持部(23,23)の先端部の前記上部取付片(24,24)を、船舶推進機の外周の後面(4a)の上部の左右に結合するようにした、
ことを特徴とする船舶推進機。
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