JP5016932B2 - 船外推進装置 - Google Patents
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滑走開始に際しては抵抗が大きく、十分な船速が得られ難い。ある程度の船速を得るには、船尾がある程度持ち上がり、船体の姿勢が水平に近い状態になる必要があり、この姿勢に近づくには長い時間がかかり、円滑な加速が得られ難い。
加速プレートは、ロアケーシングの左右に突出し、前部の突出量が少なく、後部の突出量が大きく、且つ左右2枚の平坦な板状体で構成されている。
特許文献2に開示された発明は、プロペラの後部〜後方に延び、且つプロペラの左右に延びるように水中翼(ハイドロフォイルウイング)を備える構成である。
特許文献3に開示された発明は、マウンティングプレートにデフレクタプレートがヒンジを介して取り付けられており、油圧アクチュエータで伸縮されるコントロールロッドで角度を調整可能としたものである。
また、特許文献3の発明では、マウンティングプレートがキャビテーションプレートと同じ高さ位置なので、滑走時の抗力を考慮し、デフレクタプレートは可動である必要があり、翼部の可動構造、駆動源等の構造が複雑化する。
本発明は、以上の問題点を解決すべくなされたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1において、翼端板は、前記揚力発生板の板状本体の両端部の面に対して直角に起立するように取り付けられていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1において、翼端板の前端部及び後端部は、前記揚力発生板の前端部及び後端部よりも前方及び後方に突出していることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4において、上下に離間して配置された複数の揚力発生板は、左右方向の長さが同じであり、各揚力発生板の左右両端部の面に対して直角に起立するように、翼端板を配置して各揚力発生板の左右両端部間を連結するようにしたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項4において、翼端板は、面積が大きい板状体からなり、側面視が角の丸い三角形状に類似した形状であることを特徴とする。
また本発明では、船外推進装置に設けられる揚力発生板が、船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置するようにロアユニットの後方に配置し、且つロアユニットの左右に突設するアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置したので、船舶推進機が持ち上げられ、滑走状態において、揚力発生板は水上に出た状態となり、水による抗力の影響を受けることがない。
請求項2に係る発明では、請求項1において、翼端板は、前記揚力発生板の板状本体の両端部の面に対して直角に起立するように取り付けられている。
請求項3に係る発明では、請求項1において、翼端板の前端部及び後端部は、前記揚力発生板の前端部及び後端部よりも前方及び後方に突出している。
また本発明では、船外推進装置に設けられる揚力発生板が、船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置するようにロアユニットの後方に配置し、且つロアユニットの左右に突設するアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置したので、船舶推進機が持ち上げられ、滑走状態後において、揚力発生板は水上に出た状態となり、水による抗力の影響を受けることがない。
特に、滑走の開始時における船外推進装置の上方への持ち上げ作用に際し、複数の揚力発生板に作用する抗力に対し、双方の両端部を翼端板で一体化し、複数の揚力発生板の剛性を十分に確保し、揚力発生板の端部がバタつく等の事態を防止し、船外推進装置の持ち上げ作用を円滑、確実に行わせることができ、以上を揚力発生板の両端部に縦向きに翼端板を設けるという簡素な構造で実現することができる。
また、複数の揚力発生板により、滑走開始時における船外推進装置のリフトアップ効果が複数の揚力発生板で相乗的に向上し、滑走開始時の船外推進装置のリフトアップ効果の高い揚力発生装置の小型化を図ることができるとともに、揚力発生板の後方へのオーバーハング量を小さくすることができ、この点からも小型化を図ることができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る船舶駆動装置の側面図である。この図面に従って船舶駆動装置の概略を説明する。
船外推進装置1は、外観的には最上部のエンジンカバー2、この下方のアンダーカバー3、この下方のエクステンションケース4及びこの下方のギヤケース5からなる船外機である。実施例ではエクステンションケース4及びギヤケース5はロアユニットを構成しアルミ合金等の軽金属で形成されている。
エンジン6は船外推進装置1の後部側がシリンダヘッドやヘッドカバーを含むエンジンヘッド6aであり、中間部側がシリンダブロック及びクランクケースからなるエンジン本体6bであり、エンジン6の下部はアンダーカバー3内に臨む。アンダーカバー3内にはエンジン本体の底部6cが臨み、且つこれの下方にオイルパンを内装したマウントケース7が配設されており、スロットル弁6f等により、運転を制御する。
船外推進装置1の前側には縦長の凹部1aを設け、凹部1aはアンダーカバー3の前部下半、エクステンションケース4の前部にかけて設けられており、この凹部にスイベルケース9及びスターンブラケット10を設け、スイベル軸9aで操舵し、スイベルケース9により船外推進装置は上下動(チルト動)する。このスターンブラケット10を介して前記したように船体の船尾に船外推進装置を取り付ける。
前記アンチキャビテーションプレート11の上方には、離間してアンチスプラッシュプレート12を設け、アンチスプラッシュプレート12は船外推進装置1の前後方向の前部から中間部の両側方にフランジ状に突出するように設ける。
尚図面中13はシフトロッドであって、アンダーカバー3、ロアユニット4を縦通し、ギヤケース5内のギヤ機構5caクラッチ体に係合している。
揚力発生板20の船外推進装置1への取付状態は、図1の船外推進装置の外観側面図に示す通りで、揚力発生板20の単体は図2及び図3に示す通りである。
図2は、揚力発生板20の本体部分の斜視図、図3は、図2の3−3線の断面図、図4は平面図で、船外推進装置1への取り付けの一例を示している図である。
板状本体21の左右方向の長さは、図5に示すように船外推進装置1のロアハウジング4の左右方向の幅よりも十分に大きい。
実施例では図3の断面図で示すように、断面が後端部21aが薄くて先細りであり、中間部21c〜前寄り部21dにかけて厚手の翼状の断面をなし、前端部21bが薄くなっており、実施例では前端部21b近傍は後端部21a近傍よりも厚手である。
板状本体21の上面21eは、上方に緩やかな凸状の湾曲面を構成し、下面21fは後半部が上方に若干潜り、前半部が下方に緩やかに凸出している。
以上の板状本体21の両端部21g,21gには翼端板(側端板)22,22を固着し、翼端板22,22は面積が大きい板状体からなり、実施例では、側面視が角の丸い三角形に類似した形状である。
翼端板22,22は縦向きに取り付けられ、板状本体21の両端部21g,21gの面に対して直角に起立するように取り付けられている。
翼端板22,22の前後の端縁部22a,22bは、板状本体21の前後の端縁部21b,21aよりも若干前後方向に突出している。
翼端板22,22は前後方向を向き、平行に配置されている。
取付ステー23,23は、図1に示す如く側面視が鈍角な略L字形をなし、後上傾する各後半部23bの各上端縁23cが板状本体21の下面21fの左右に固着、一体化される。
取付ステー23,23の固着する上端縁23c,23cは、翼端板22,22の内側面22c,22cから所定間隔を開けた部分であり、左右の取付ステー23,23は、左右方向に所定間隔離間しており、左右の取付ステー23,23は平行して配置されており、前後方向を向いて延出されている。
左右の取付ステー23,23の各前半部23aは前後方向に延びて略直線状であり、概ね水平方向に延びており、各前半部23aの内側に前後方向に長さを有する厚手の素材から成る取付ブラケット24,24を固着する。
また、取付ブラケット24,24は、平面視においては、図4に示すように前後方向中間部24aが左右対称に内側に屈曲し、内側面には、船外推進装置1のロアユニット4の両側部への取付ボス部25,25を前後に離間して夫々突設しており、左右対称形状をなす。
各取付ブラケット24,24の後端部24b及び前部24cは平坦面とし、前記した取付ステー23,23の後半部23bの下部及び前半部23aの前部にボルト26…(…は複数を表す。以下同じ)等で固着し、揚力発生板20を後端部に取付支持した取付ステー23,23と取付ブラケット24,24とを一体的に結合した。
また、実施例では取付ブラケット24,24の各前端部24dをロアユニット4の両側部に突設したボス部4a,4aにボルト26,26等を介して固着する。
以上により、船外推進装置1の下半部のロアユニット4の後部に後方に突出するように揚力発生板20を取付、支持する。
また、揚力発生板20は、船外推進装置1の前記したアンチキャビテーションプレート11よりも上方に位置し、即ち、板状本体21、翼端板22はアンチキャビテーションプレート11よりも上方に位置する。
尚、図面中14は、スイベルケースを船外推進装置1側の弾性的に支持するラバーブッシュ取付部を覆う化粧カバーである。
船外推進装置1の運転、駆動によりプロペラ8は回転し推進するが、船外推進装置1の加速の開始直後においては、更に後部が下がり鎖線Bの状態となる。
加速の継続により、揚力発生板20を構成する板状本体21の抗力で、船外推進装置1を含む船尾は持ち上げられる。
本発明では、揚力発生板を構成する板状本体21の両端部に翼端板22,22が縦向きに設けられているので、板状本体21全体、特にその両端部の剛性は著しく高くなる。中間部は取付ステーで支持されている。
従って、板状体で構成される揚力発生板の剛性が向上し、滑走の開始時における船外推進装置の上方への持ち上げ作用に際し、揚力発生板に作用する抗力に対して十分の剛性を確保し、前記した通り揚力発生板の端部がバタつく等の事態を防止し、船外推進装置の持ち上げ作用を円滑、確実に行わせることができる。
以上を揚力発生板の両端部に縦向きに翼端板を設けるという簡素な構造で実現することができる。
図5においては、揚力発生板の構造以外の船外推進装置1の構造は図1と同様なので、同一部分に同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
上側板状本体121は、実施例では、図3に示すように前後方向に長さが大きく、後端縁121a、前端縁121bが夫々尖り、後半部が厚手であり、前半部が薄手であり、縦断側面の前部が上位であり、後部が下位であって、後下傾し、上面が下向きに湾曲し、下面の前半部の下面が上方に潜った湾曲面をなし、縦断側面が翼断面形状をなす。例えば、200mm〜250mmの長さである。
下側板状本体126は、後半部が上側板状本体121の後部の下方に離間して位置する。例えば、100mmの長さである。
翼端板122,122は上下の板状本体121,126に倣って後下傾した状態で夫々の両端部121g,121g,126g,126gに取り付けられている。
翼端板122の前後の端縁部122aは上下の板状本体126の前後の端縁部126a、126bよりも若干前後方向に突出している。
以上の翼端板122,122は前後方向を向き、平行に配置され、板状本体121,126の面に対して直角に、縦向きに配設されている。
この翼端板122,122により、上下の板状本体21,126は、上下、且つ前後に離間した状態で、一体的に保持されることとなる。
揚力発生板20は、左右の取付ステー23,23で、前記した通り支持されており、取付ステー23は取付ブラケットを介して船外推進装置1のロアユニットに取付、支持されている。
このため、滑走の開始時における船外推進装置の上方への持ち上げ作用に際し、複数(二枚)の揚力発生板に作用する抗力に対し、双方の両端部を翼端板で一体化し、複数の揚力発生板の剛性を十分に確保することができる。
また、複数の揚力発生板により、滑走開始時における船外推進装置のリフトアップ効果が複数の揚力発生板で相乗的に向上し、滑走開始時の船外推進装置のリフトアップ効果の高い揚力発生装置の小型化を図ることができるとともに、揚力発生板の後方へのオーバーハング量を小さくすることができ、この点からも小型化を図ることができることが理解できる。
揚力発生板220は、本実施例では三枚の板状本体を備える。左右の翼端板322,322間の後半部間に、上下に離間して同一、或いは類似形状の前後方向長さが短い後部板状本体321,326がこの間に架設されるように上下に離間して備える。板状本体321,326は前記と同様に翼状断面をなす。
後部の上下の板状本体221,226の前端部は、上下方向においてこの中間部に位置する前部板状本体227の後端部よりも少し前方に位置している。
この棚部23fに前部板状本体227の下面を固着し、起立部23eの上下端縁部のうちの上部端縁部に、後部板状本体の上側の板状本体221の下面を固着し、下部端縁部に後部板状本体の下側の板状本体226の上面を固着する。
本実施例では、後部の揚力発生板の上の面と下の面及び前部の揚力発生板とで走り始めの低速域での揚力が大きく得られ、船艇の姿勢補正が早い段階から行うことができ、下の面が喫水下に有る限り揚力が得られ、短時間で補正が行われることとなる。
このため、滑走の開始時における船外推進装置の上方への持ち上げ作用に際し、三枚の揚力発生板に作用する抗力に対し、夫々の両端部を翼端板で一体化し、三枚の揚力発生板の剛性を十分に確保することができる。
また、複数の揚力発生板により、滑走開始時における船外推進装置のリフトアップ効果が複数の揚力発生板で相乗的に向上し、滑走開始時の船外推進装置のリフトアップ効果の高い揚力発生装置の小型化を図ることができるとともに、揚力発生板の後方へのオーバーハング量を小さくすることができ、この点からも小型化を図ることができることが理解できる。
Claims (6)
- 船体の後尾に取り付けられる船外推進装置において、
前記船外推進装置の両側部に取付支持された左右の取付ステーを介して、揚力発生板を取付支持し、
前記揚力発生板は、前記船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置し、ロアユニットの後方且つロアユニットに設けたアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置されており、
前記揚力発生板は、前後方向の長さに比較し左右の長さが大きい板状本体からなり、該板状本体の左右両端部に縦向きに翼端板を取り付け、
前記翼端板は、前記揚力発生板とは別部材で形成された面積が大きい板状体からなり、側面視が角の丸い三角形状に類似した形状であり、
且つ前記翼端板は、前記揚力発生板の板状本体の両端部に前後方向を向いて平行に配置されている、
ことを特徴とする船外推進装置。 - 前記翼端板は、前記揚力発生板の板状本体の両端部の面に対して直角に起立するように取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の船外推進装置。
- 前記翼端板の前端部及び後端部は、前記揚力発生板の前端部及び後端部よりも前方及び後方に突出していることを特徴とする請求項1記載の船外推進装置。
- 船体の後尾に取り付けられる船外推進装置において、
前記船外推進装置の両側部に取付支持された左右の取付ステーを介して、上下に離間して複数の揚力発生板を取付支持し、
前記複数の揚力発生板の夫々は、前記船外推進装置のロアユニットの後縁よりも後方に前縁が位置し、ロアユニットの後方且つロアユニットに設けたアンチキャビテーションプレートよりも上方に配置されており、
前記各揚力発生板は、前後方向の長さに比較し左右の長さが大きくい板状本体からなり、
上下に離間して配置された前記複数の揚力発生板の板状本体の左右両端部を、縦向きに配置した板状体からなる左右の翼端板で連結した、
ことを特徴とする船外推進装置。 - 上下に離間して配置された複数の前記揚力発生板は、左右方向の長さが同じであり、各揚力発生板の左右両端部の面に対して直角に起立するように、前記翼端板を配置して各揚力発生板の左右両端部間を連結するようにしたことを特徴とする請求項4記載の船外推進装置。
- 前記前記翼端板は、面積が大きい板状体からなり、側面視が角の丸い三角形状に類似した形状であることを特徴とする請求項4記載の船外推進装置。
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