JP5013075B2 - 磁気検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は磁界変化を検出する技術に関し、例えば、工業用工作機械や自動車エンジン等に用いられる軟磁性体歯車の回転情報を検出するのに用いて好適な磁気検出装置に関するものである。
被測定物の移動に伴い変化する磁界中に4つの磁気抵抗素子からなるブリッジを配置し、このブリッジの出力信号を比較器に入力することにより、被測定物の移動量や回転数に比例した周波数のパルス信号を出力する磁気検出装置が従来から知られている。このような磁気検出装置は、パルス信号のパルス数をデジタル回路でカウントすることにより、被測定物の回転速度検出や位置検出に応用できる。
ブリッジを形成する4つの磁気抵抗素子は、ブリッジの出力信号が無磁界の状態で0となるように作られる。しかし製造上の誤差のため磁気抵抗素子の抵抗値がばらつくことは避けられない。したがってブリッジの出力信号は無磁界の状態でも0とならず、これによりオフセット電圧が生じる。そうすると、デューティー比50%のパルス信号を磁気検出装置から得るように設計しても、実際のパルス信号のデューティー比は50%とはならない。
パルス信号のパルス数をデジタル回路でカウントする場合、デューティー比が50%と比較して大きすぎたり小さすぎたりすると適切にサンプリングできないこともあり、カウント精度が悪くなりやすい。このため、磁気検出装置の出力デューティー比は50パーセントあるいはそれに近いことが望ましい。
下記、特許文献1は磁気センサに関し、センサ出力のデューティー比を50%に近づけることを課題とするものである。
特開平9−5413号公報
特許文献1の磁気センサは、ブリッジ回路をなす4つの磁気抵抗素子のいずれかと並列に接続されたFETを有し、このFETのソース−ドレイン間インピーダンスをセンサ出力のデューティー比に応じて調節することにより磁気抵抗素子への電流を制御して磁気抵抗素子の抵抗ばらつきを吸収する。
特許文献1の技術によれば50%に近いデューティー比のパルス信号は得られると考えられるが、別の観点から課題がある。すなわち、特許文献1の技術は磁気抵抗素子への供給電流を変化させるため、これにより生じる磁気抵抗素子への熱負荷によって磁気抵抗素子の熱的劣化を引き起こす蓋然性が高い傾向にある。このような課題は磁気抵抗素子以外の磁気感応素子(例えばホール素子)を磁気検出に利用する場合にも共通である。
本発明はこうした考察を経てなされたものであり、その目的は、出力パルス信号のデューティー比を50%に近づけるための磁気感応素子への電流制御が不要な磁気検出装置を提供することにある。
本発明のある態様は磁気検出装置である。この磁気検出装置は、
単電源駆動であり、
磁界の変化する位置にそれぞれ配置された第1から第4の磁気抵抗素子を含み、前記第1及び第2の磁気抵抗素子が電源ラインと接地との間に直列接続され、前記第3及び第4の磁気抵抗素子が電源ラインと接地との間に直列接続され、前記第1及び第2の磁気抵抗素子の接続点と前記第3及び第4の磁気抵抗素子の接続点とから互いに位相が180度異なる2つの出力信号を得る磁気抵抗素子ブリッジと、
前記磁気抵抗素子ブリッジ前記2つの出力信号の差を増幅する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力信号が入力されるローパスフィルタを含み、前記ローパスフィルタの出力電圧をバッファを介して基準電圧として出力する基準電圧生成回路と、
オペアンプと、前記オペアンプの出力端子と前記基準電圧生成回路の出力端子との間に直列接続された2つの抵抗とを含み、当該2つの抵抗の接続点が前記オペアンプの非反転入力端子に接続され、前記オペアンプの反転入力端子に前記差動増幅回路の出力信号が入力され、前記差動増幅回路の出力信号と前記基準電圧とを比較してパルス信号を出力する比較回路とを備える
軟磁性移動体と、バイアス磁界発生手段とを備え、
前記第1から第4の磁気抵抗素子は、前記バイアス磁界発生手段に対してそれぞれ固定配置されて前記軟磁性移動体の移動に伴い周期的に変化する磁界が印加されてもよい
電源電圧を所定の比率で分圧した中間電圧を生成する中間電圧生成回路を備え、
前記差動増幅回路は、オペアンプと、前記第3及び第4の磁気抵抗素子の接続点と前記オペアンプの出力端子との間に直列接続された第1及び第2の抵抗と、前記第1及び第2の磁気抵抗素子の接続点と前記中間電圧生成回路の出力端子との間に直列接続された第3及び第4の抵抗とを含み、前記第1及び第2の抵抗の接続点が前記オペアンプの反転入力端子に接続され、前記第3及び第4の抵抗の接続点が前記オペアンプの非反転入力端子に接続され、前記磁気抵抗素子ブリッジの前記2つの出力信号の差を増幅して前記オペアンプの出力端子に出力してもよい
記ローパスフィルタは、前記差動増幅回路の出力端子と固定電圧端子との間に直列接続された抵抗とコンデンサとを有し、
前記抵抗と前記コンデンサとの接続点の電圧が前記バッファを介して前記比較回路に前記基準電圧として入力されるとよい。
前記磁気感応素子は、スピンバルブ型磁気抵抗素子であるとよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、増幅回路の出力信号の平均電圧を比較回路の基準電圧とすることにより、あるいは増幅回路の出力信号をローパスフィルタに通して比較回路の基準電圧とすることにより、磁気感応素子のオフセット電圧が出力パルス信号のデューティー比に及ぼす影響を低減することができる。したがって、磁気検出装置の出力パルス信号のデューティー比を50%に近づけるための磁気感応素子への電流制御を不要とすることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、本発明の実施の形態に係る磁気検出装置100の回路図である。図2は、図1の回路図の各点における波形図である。磁気検出装置100は、第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4で構成される磁気抵抗素子ブリッジ120(4個の磁気抵抗素子のフルブリッジ=ホイートストンブリッジ)により磁界変化を電圧信号に変換し、最終的にパルス信号を出力するものである。本実施の形態ではこの磁気検出装置100を回転センサに利用する場合について説明する。
図3は、図1に示される磁気検出装置100を用いた回転センサの概略構成図である。なお、本図においては図1に示される回路構成のうち第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4以外の図示は省略している。
図3において、軟磁性移動体の例示である軟磁性体歯車1は外周面に凹凸を有する(例えば一定配列ピッチPで凸部2を有する)ものであり、図示しない回転軸に取り付けられる。磁気感応素子の例示である第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4は軟磁性体歯車1の外周面に対向するように軟磁性体歯車1の厚み方向に1列に固定配置され、これらの背後にバイアス磁界発生手段としてのバイアス磁石5が固定配置される。したがって、第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4はバイアス磁石5によって磁気バイアスされ、軟磁性体歯車1の回転に伴って第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4への印加磁界が変化する。
バイアス磁石5は例えば軟磁性体歯車1の外周面に対向する面にN極、反対面にS極を有する永久磁石であり、第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4はバイアス磁石5のN極面と軟磁性体歯車1との間に位置する。直線的に配列された第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4に均等な磁界を印加できるように、バイアス磁石5の横幅は、第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4の配置幅W1より大きいことが望ましい。同様の理由から軟磁性体歯車1の厚みW2もW1以上であることが望ましく、また、第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4の感磁面は軟磁性体歯車1の外周面に接する平面に平行な同一平面内にあることが望ましい。
本実施の形態において第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4はそれぞれ、軟磁性体歯車1の回転に伴い変化する磁界に対応して抵抗値が変化するスピンバルブ型磁気抵抗素子(以下「SV−GMR素子」とも表記)である。図4は、SV−GMR素子の原理的構成と磁気特性の説明図である。SV−GMR素子の感磁面は感磁パターンとなる磁気抵抗効果膜を有する。磁気抵抗効果膜は、強磁性体のピン層と、非磁性体の層と、強磁性体のフリー層とを積層したものである。ピン層の磁化方向は外部磁界によらず固定される一方、フリー層の磁化方向は外部磁界によって変化する。SV−GMR素子の磁気特性は、外部磁界の方向とピン層磁化方向とが順平行で抵抗変化率(ΔR/R)はマイナス、外部磁界の方向とピン層磁化方向とが反平行で抵抗変化率(ΔR/R)はプラスである。つまり、SV−GMR素子は、外部磁界の方向とピン層磁化方向とが順平行のとき低抵抗、外部磁界の方向とピン層磁化方向とが反平行のとき高抵抗となる。
図3のように、第1磁気抵抗素子MR1及び第3磁気抵抗素子MR3のピン層磁化方向は軟磁性体歯車1の回転方向の略逆方向であり、第2磁気抵抗素子MR2及び第4磁気抵抗素子MR4のピン層磁化方向は軟磁性体歯車1の回転方向の略順方向である。
軟磁性体歯車1の凸部2が第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4の感磁面に接近してきた時、各SV−GMR素子の感磁面位置における磁界の歯車回転接線方向成分は凸部2が接近してくる方向(軟磁性体歯車1の回転方向の略逆方向)を向く。この時、上述の磁気特性より第1磁気抵抗素子MR1及び第3磁気抵抗素子MR3は低抵抗、第2磁気抵抗素子MR2及び第4磁気抵抗素子MR4は高抵抗となる。
他方、軟磁性体歯車1の凸部2が第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4の感磁面から遠ざかる時、SV−GMR素子の感磁面位置における磁界の歯車回転接線方向成分は凸部2が遠ざかる方向(軟磁性体歯車1の回転方向の略順方向)を向く。この時、上述の磁気特性より第1磁気抵抗素子MR1及び第3磁気抵抗素子MR3は高抵抗、第2磁気抵抗素子MR2及び第4磁気抵抗素子MR4は低抵抗となる。
軟磁性体歯車1の凸部2が第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4の感磁面に接近し遠ざかることが軟磁性体歯車1の回転に伴い繰り返されるため、SV−GMR素子の感磁面位置における磁界の歯車回転接線方向成分は周期的に変化する。したがって、図1に示されるように第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4をフルブリッジ接続することより、軟磁性体歯車1の回転に伴って変化する検出信号Vdetを得ることが可能になる。検出信号Vdetは軟磁性体歯車1が配列ピッチPだけ回転するのを一周期として変化することから、検出信号Vdetに基づいて軟磁性体歯車1の回転検出が可能である。
以下、図1を参照して磁気検出装置100の回路構成を説明する。磁気検出装置100は、磁気抵抗素子ブリッジ120と、差動増幅回路140と、比較回路160と、基準電圧生成回路180と、中間電圧生成回路220と、出力回路240とを備える。本実施の形態ではこれらの回路は単電源Vcc(例として5V)で動作する。
中間電圧生成回路220は、主として磁気検出装置100を単電源で動作させるためのもので、電源電圧Vccの1/2程度の中間電圧を生成する。具体的には、中間電圧生成回路220は、電源ラインと接地との間に直列接続された抵抗R1及びR2の接続点の電圧をバッファ226を介して出力する。抵抗R1及びR2の抵抗値が等しくなるよう設定した場合、中間電圧生成回路220からは電源電圧Vccの1/2の電圧(2.5V)が中間電圧として出力される。バッファ226は特に限定されないが、ここではオペアンプ228の反転入力端子と出力端子を直結し、非反転入力端子の電圧(抵抗R1及びR2の接続点の電圧)を出力端子から出力するボルテージフォロワを用いている。なお、中間電圧生成回路220の出力端子は固定電圧端子の例示である。
磁気抵抗素子ブリッジ120は、第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4によるフルブリッジ(ホイートストンブリッジ)であり、図3で説明したように磁界の変化する位置に配置される。第1磁気抵抗素子MR1及び第2磁気抵抗素子MR2の対は電源ラインと接地との間に直列接続される。第4磁気抵抗素子MR4及び第3磁気抵抗素子MR3の対も電源ラインと接地との間に直列接続される。磁気抵抗素子ブリッジ120の検出信号Vdetは、第1磁気抵抗素子MR1及び第2磁気抵抗素子MR2の接続点と、第3磁気抵抗素子MR3及び第4磁気抵抗素子MR4の接続点との電位差として得られる。磁気抵抗素子ブリッジ120の検出信号Vdetは差動増幅回路140で増幅される。
差動増幅回路140は、抵抗R3ないしR6と、オペアンプ142とを含む。抵抗R3及びR4は、第3磁気抵抗素子MR3及び第4磁気抵抗素子MR4の接続点と、オペアンプ142の出力端子との間に直列接続される。抵抗R3及びR4の接続点はオペアンプ142の反転入力端子に接続される。抵抗R5及び抵抗R6は、第1磁気抵抗素子MR1及び第2磁気抵抗素子MR2の接続点と、中間電圧生成回路220の出力端子との間に直列接続される。抵抗R5及び抵抗R6の接続点はオペアンプ142の非反転入力端子に接続される。抵抗R3ないしR6の抵抗値はR3=R5かつR4=R6である。したがって、差動増幅回路140の増幅度はR4/R3であり、差動増幅回路140の増幅信号Vampは、
Vamp=−(R4/R3)Vdet+2.5[V]
である。なお、増幅度は1近傍に設定されてもよい。
差動増幅回路140の増幅信号Vampは、例えば図2(A)に示されるような正弦波(若しくはこれに近い交流波形)である。第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4の抵抗値にばらつきがなければ、増幅信号Vampは2.5Vを中心電圧として変動する正弦波となるところである。しかし、実際には図示のように各磁気抵抗素子の抵抗値のばらつきによるオフセット電圧の影響により増幅信号Vampは3.5Vを中心電圧として変動する正弦波となっている場合がある。
基準電圧生成回路180は、ローパスフィルタ184(図中「LPF」と略記)と、バッファ186とを含む。差動増幅回路140の増幅信号Vampはローパスフィルタ184に入力され、ローパスフィルタ184の出力電圧がバッファ186を介して比較回路160に基準電圧Vrefとして入力される。ローパスフィルタ184は、差動増幅回路140の出力端子と中間電圧生成回路220の出力端子(固定電圧端子)との間に直列接続された抵抗R8及びコンデンサCの接続点の電圧を出力するRCフィルタである。バッファ186は特に限定されないが、ここではオペアンプの反転入力端子と出力端子を直結し、非反転入力端子の電圧(抵抗R8及びコンデンサCの接続点の電圧)を出力端子から出力するボルテージフォロワを用いている。
基準電圧生成回路180から出力される基準電圧Vrefは、例えば図2(B)に示されるように一定電圧(増幅信号Vampの平均電圧すなわち3.5V)であり、この電圧は比較回路160に入力される。なお、基準電圧Vrefは厳密な一定電圧である必要はなく、3.5Vを中心電圧として増幅信号Vampの振幅よりも十分小さい振幅であれば変動してもよい。このように変動する電圧も「平均電圧」に含まれる。
比較回路160は、差動増幅回路140から出力される増幅信号Vampと、基準電圧生成回路180から出力される基準電圧Vrefとを比較して、パルス信号Vplsを出力する。比較回路160は、抵抗R7,R9,R10及びオペアンプ168を含む。抵抗R7は、差動増幅回路140の出力端子とオペアンプ168の反転入力端子との間に設けられる。抵抗R9及びR10は、基準電圧生成回路180の出力端子とオペアンプ168の出力端子との間に直列接続される。抵抗R9及びR10の接続点はオペアンプ168の非反転入力端子に接続される。比較回路160から出力されるパルス信号Vplsの波形を図2(C)に示す。
比較回路160から出力されるパルス信号Vplsは出力回路240に入力され、出力回路240から磁気検出装置100の出力信号Voutとして出力される。なお、出力信号Voutはパルス信号Vplsと極性が反転する。出力回路240は、抵抗R11及びR12と、バイポーラトランジスタQとを含む。抵抗R11は、比較回路160の出力端子とバイポーラトランジスタQのベースとの間に設けられる。抵抗R12は、電源ラインとバイポーラトランジスタQのコレクタとの間に設けられる。バイポーラトランジスタQのエミッタは接地される。バイポーラトランジスタQのコレクタ電圧が出力回路240の出力すなわち磁気検出装置100の出力信号Voutとなる。
磁気検出装置100の出力信号Voutは、例えば図2(D)に示されるようにデューティー比が50%に近いパルス信号となる。これは、増幅信号VampをLPF184に通して平均化し、それを比較回路160の基準電圧としたことによる。仮にこれをせずに中間電圧(2.5V)を比較回路160の基準電圧とした場合、磁気検出装置100の出力信号Voutのデューティー比は50%から大きくずれかねない。
本実施の形態によれば次の通りの効果を得ることができる。
(1) 差動増幅回路140の増幅信号VampをLPF184に通して平均化し、それを比較回路160の基準電圧とするため、磁気抵抗素子の抵抗ばらつきによるオフセット電圧が磁気検出装置100の出力信号Voutのデューティー比に及ぼす影響が低減される。したがって、磁気検出装置100の出力信号Voutのデューティー比を50%に近づけることができる。デューティー比50%は後処理回路で最も読み取りやすいので好都合である。すなわち、例えば磁気検出装置100の出力信号Voutのパルス数を正確にカウントしやすくなり、軟磁性体歯車1の回転数や回転位置を検出するときの精度が高められる。
(2) 磁気検出装置100の出力信号Voutのデューティー比を50%に近づけるという目的のために第1磁気抵抗素子MR1ないし第4磁気抵抗素子MR4への供給電流を制御する必要がない。したがって、熱負荷による磁気抵抗素子の熱的劣化を抑えることができる。
(3) また、特許文献1のように磁気抵抗素子と並列にFETを接続する必要がないため、磁気抵抗素子から引き出す端子数を増やさなくて済み、引き出しパターンの製膜不良や断線等による不具合発生リスクが低い。
(4) 磁気抵抗素子としてスピンバルブ型磁気抵抗素子を用いているため、高感度の磁気検出が可能である。
(5) 4つの磁気抵抗素子でフルブリッジを形成しているため、高感度の磁気検出が可能となる。また、磁気抵抗素子の温度特性による影響が低減される。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、請求項の記載の範囲内において各種の変形が可能なことは当業者に理解されるところである。以下、そうした変形例に触れる。
実施の形態では磁気感応素子がスピンバルブ型磁気抵抗素子である場合を示した。変形例においてはスピンバルブ型磁気抵抗素子とは別の磁気抵抗素子、あるいはホール素子を磁気感応素子として用いることも考えられる。
実施の形態では磁気抵抗素子をフルブリッジ接続したが、磁気抵抗素子の接続形態はこれに限定されず、ハーフブリッジ接続であってもよい。磁気検出感度や温度特性の面ではフルブリッジ接続の方が優れているものの、ハーフブリッジ接続の場合は磁気抵抗素子が2つでよいため部品点数の削減が可能となる。さらに、磁気抵抗素子と固定抵抗とでハーフブリッジを形成することも可能である。この場合、磁気抵抗素子2つでハーフブリッジを形成する場合よりも磁気検出感度は落ちるもののコスト低減が可能となる。このことはフルブリッジ接続についても同様で、4つの磁気抵抗素子でフルブリッジを形成するのに替えて2つの磁気抵抗素子と2つの固定抵抗とでフルブリッジを形成してもよい。
実施の形態では増幅信号Vampの平均電圧(つまり基準電圧Vref)を生成する手段として抵抗とコンデンサを用いたローパスフィルタを例示したが、これに限定されず、異なる構成のローパスフィルタを用いてもよい。さらにローパスフィルタに替えて、結果として平均電圧を得られる他の回路構成を用いることも考えられる。
実施の形態では磁気検出装置が単電源駆動である場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば±5Vの両電源駆動であってもよい。両電源駆動であれば中間電圧生成回路220は不要となり、これは接地に置き換えることができる。
実施の形態の接地は安定電位の例示であり、0V以外の固定電圧端子に置き換えてもよい。
実施の形態では磁気検出装置を回転センサに利用したが、磁気検出装置の用途はこれに限定されず、磁界変化の検出に広く利用可能である。
実施の形態では軟磁性体歯車を軟磁性移動体の例として示したが、これに限定されず、例えば凹凸を直線状に配列した軟磁性体ラックを軟磁性移動体としてもよい。
実施の形態では磁界発生手段を永久磁石としたが、動作原理上、電磁石を用いることも可能である。
実施の形態では軟磁性移動体を回転検出の対象としたが、これに限定されず、N極とS極を周期的に着磁した永久磁石を回転検出の対象としてもよい。
本発明の実施の形態に係る磁気検出装置の回路図である。 図1の回路図における各点の波形図である。 図1に示される磁気検出装置を用いた回転センサの概略構成図である。 SV−GMR素子の原理的構成と磁気特性の説明図である。
符号の説明
1 軟磁性体歯車
5 バイアス磁石
120 磁気抵抗素子ブリッジ
140 差動増幅回路
160 比較回路
180 基準電圧生成回路
220 中間電圧生成回路
240 出力回路
C コンデンサ
MR1〜MR4 磁気抵抗素子
R1〜R12 抵抗

Claims (5)

  1. 単電源駆動であり、
    磁界の変化する位置にそれぞれ配置された第1から第4の磁気抵抗素子を含み、前記第1及び第2の磁気抵抗素子が電源ラインと接地との間に直列接続され、前記第3及び第4の磁気抵抗素子が電源ラインと接地との間に直列接続され、前記第1及び第2の磁気抵抗素子の接続点と前記第3及び第4の磁気抵抗素子の接続点とから互いに位相が180度異なる2つの出力信号を得る磁気抵抗素子ブリッジと、
    前記磁気抵抗素子ブリッジ前記2つの出力信号の差を増幅する差動増幅回路と、
    前記差動増幅回路の出力信号が入力されるローパスフィルタを含み、前記ローパスフィルタの出力電圧をバッファを介して基準電圧として出力する基準電圧生成回路と、
    オペアンプと、前記オペアンプの出力端子と前記基準電圧生成回路の出力端子との間に直列接続された2つの抵抗とを含み、当該2つの抵抗の接続点が前記オペアンプの非反転入力端子に接続され、前記オペアンプの反転入力端子に前記差動増幅回路の出力信号が入力され、前記差動増幅回路の出力信号と前記基準電圧とを比較してパルス信号を出力する比較回路とを備える、磁気検出装置。
  2. 請求項1に記載の磁気検出装置において、
    軟磁性移動体と、バイアス磁界発生手段とを備え、
    前記第1から第4の磁気抵抗素子は、前記バイアス磁界発生手段に対してそれぞれ固定配置されて前記軟磁性移動体の移動に伴い周期的に変化する磁界が印加される、磁気検出装置。
  3. 請求項1または2に記載の磁気検出装置において、
    電源電圧を所定の比率で分圧した中間電圧を生成する中間電圧生成回路を備え、
    前記差動増幅回路は、オペアンプと、前記第3及び第4の磁気抵抗素子の接続点と前記オペアンプの出力端子との間に直列接続された第1及び第2の抵抗と、前記第1及び第2の磁気抵抗素子の接続点と前記中間電圧生成回路の出力端子との間に直列接続された第3及び第4の抵抗とを含み、前記第1及び第2の抵抗の接続点が前記オペアンプの反転入力端子に接続され、前記第3及び第4の抵抗の接続点が前記オペアンプの非反転入力端子に接続され、前記磁気抵抗素子ブリッジの前記2つの出力信号の差を増幅して前記オペアンプの出力端子に出力する、磁気検出装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気検出装置において、
    前記ローパスフィルタは、前記差動増幅回路の出力端子と固定電圧端子との間に直列接続された抵抗とコンデンサとを有し、
    前記抵抗と前記コンデンサとの接続点の電圧が前記バッファを介して前記比較回路に前記基準電圧として入力されることを特徴とする磁気検出装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気検出装置において、前記磁気感応素子は、スピンバルブ型磁気抵抗素子であることを特徴とする磁気検出装置。
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