JP5011236B2 - ブレーキ装置のストロークシミュレータ - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ装置のストロークシミュレータの改良に関するものである。
近年、車両用ブレーキ装置として、ブレーキレバー、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材の操作量を電気的に検出し、この検出値に基づいてブレーキ液圧を発生させ、車輪制動手段を作動させる、所謂「バイワイヤ(By−Wire)方式」のものが開発されている。
この種のブレーキ装置では、ブレーキ操作部材の操作量に応じた擬似的な反力を発生させるストロークシミュレータが設けられ、このストロークシミュレータによって、ブレーキ操作部材を操作する運転者の手又は足に違和感のない操作感覚が伝達される。
このような従来のブレーキ装置のストロークシミュレータとして、例えば、ブレーキペダルに連結されたマスタシリンダに内蔵されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−338492公報
特許文献1の図1を以下に説明する。
ストロークシミュレータSMは、マスターシリンダMCを構成するハウジングHS内に移動自在に挿入されたシミュレータハウジングSHと、このシミュレータハウジングSH内に移動自在に配置されるとともにブレーキペダルBPに連結されたシミュレータピストンSPと、このシミュレータピストンSP及びシミュレータハウジングSHの一端のそれぞれの間に直列に順に設けられたゴムからなる第1の弾性部材E1、ピストンFP、コイルスプリングからなる第2の弾性部材E2とからなる。
第1の弾性部材E1に対して第2の弾性部材E2のばね定数は小さく設定され、第1の弾性部材E1と第2の弾性部材E2とのそれぞれの初期荷重は等しく設定されている。
上記ストロークシミュレータSMでは、ブレーキペダルBPを踏み、そのブレーキ操作力が、第1の弾性部材E1及び第2の弾性部材E2の初期荷重を越えると、第1の弾性部材E1及び第2の弾性部材E2が圧縮される。
第1の弾性部材E1に対して第2の弾性部材E2のばね定数は小さいため、第2の弾性部材E2は第1の弾性部材E1よりも大きく圧縮され、やがて、ピストンFPの端部がシミュレータハウジングSHの端部に当たり、それ以上は第2の弾性部材E2は圧縮されなくなり、この後は第1の弾性部材E1のみが圧縮されるようになる。
このような第1の弾性部材E1及び第2の弾性部材E2の圧縮変形によって、ブレーキペダルBPに一定の操作感が得られる。
第2の弾性部材E2が変形し始めてから、ピストンFPの端部がシミュレータハウジングSHの端部に当たるまでの範囲では、ブレーキペダルBPに、一般の液圧式ブレーキ装置で実際に体感される、遊びが発生しているような操作感が得られる。
ストロークシミュレータにおいては、このような実際の遊びの感覚が再現できるような構造であれば、一般的な液圧式ブレーキ装置を備えた車両から乗り換えたときの違和感がなく、望ましい。
また、上記ストロークシミュレータSMは、その構成として、シミュレータハウジングSH、シミュレータピストンSP、第1の弾性部材E1、ピストンFP及び第2の弾性部材E2からなり、部品数が多いため、コストや組立工数が増大する。
本発明の目的は、簡単な構成によりブレーキレバー、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材の実際の遊びを再現可能なブレーキ装置のストロークシミュレータを提供することにある。
請求項1に係る発明は、シリンダ部と、このシリンダ部内に移動自在に挿入されたピストンと、このピストンによって押圧される弾性部材とを備え、ブレーキ操作部材の操作によりマスターシリンダで発生する液圧をシリンダ部内に伝えることでピストンを介して弾性部材を変形させてブレーキ操作部材に擬似的に操作感を発生させるブレーキ装置のストロークシミュレータにおいて、弾性部材は、ばね定数の異なる複数の部材で構成され、複数の弾性部材のうちのばね定数が大きい弾性部材の端部に凹部が設けられ、この凹部に複数の弾性部材のうちのばね定数が小さい弾性部材の一部が収納されて、ばね定数が大きい弾性部材とばね定数が小さい弾性部材とが直列に配置され、凹部は、圧縮変形したばね定数の小さい弾性部材の全体を収納可能であり、ばね定数の大きい弾性部材は中空筒状に形成され、ピストンは、シリンダ部の内面と摺動する大径部と、この大径部に隣接する小径部とを備え、この小径部がばね定数の大きい弾性部材の中空部に挿入され、凹部は、ばね定数の大きい弾性部材の端部内周面に一体的に形成された環状の段部と小径部の外周面とで形成され、ばね定数の小さい弾性部材は、凹部の底面と大径部の端面とで狭持され、ばね定数の小さい弾性部材はゴム製であり、ばね定数の大きい弾性部材は樹脂製であり、凹部の内周面は、凹部の開口に近づくほど内径が大きくなるテーパ状に形成され、ばね定数の小さい弾性部材は、凹部の内周面と同一方向にテーパ状となった筒形に形成され、ピストンの軸線に対して、凹部の内周面の傾斜角度は、ばね定数の小さい弾性部材の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする。
作用として、ブレーキレバー、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材を操作すると、マスターシリンダで液圧が発生し、この液圧がストロークシミュレータのシリンダ部内に伝わり、ピストンがシリンダ部内を移動する。
ピストンが移動すると、ばね定数の大きい弾性部材よりもばね定数の小さい弾性部材の方が大きく圧縮変形する。そして、ばね定数の小さい弾性部材の圧縮変形が進行して、ばね定数の小さい弾性部材が凹部に収納された後は、ばね定数の大きい弾性部材が圧縮変形する。
このときの複数の弾性部材の圧縮変形は、ブレーキ操作部材の実際の操作感のように運転者には感じられ、特に、ばね定数の小さい弾性部材の圧縮変形中は、ブレーキ操作部材の実際の遊びのような操作感覚が得られる。
ストロークシミュレータは、シリンダ部、ピストン、ばね定数の大きい弾性部材、ばね定数の小さい弾性部材からなる簡単な構造であり、部品数が少なく、組立工数も少なくて済む。
また、本発明は、凹部に、圧縮変形したばね定数の小さい弾性部材の全体を収納可能であるので、ばね定数の小さい弾性部材が圧縮変形してその全体が凹部内に収納されると、ばね定数の小さい弾性部材はそれ以上圧縮変形しなくなるから、過度の圧縮変形がなくなる。
また、本発明では、ばね定数の大きい弾性部材は、ピストンの小径部で半径方向に位置決めされ、ばね定数の小さい弾性部材は、半径方向には凹部の側壁で位置決めされるとともに軸方向には凹部の底面と大径部の端面とで位置決めされ、各弾性部材の位置決めが容易になる。
また、本発明では、ばね定数の小さい弾性部材がゴム製であり、ばね定数の大きい弾性部材が樹脂製なので、ゴムによってばね定数の小さい弾性部材を製造することは容易であり、樹脂によってゴム製の弾性部材よりもばね数の大きい弾性部材を製造することは容易である。
また本発明では、ばね定数の小さい弾性部材がテーパ状に形成されているため、単なる筒状の弾性部材に比べて、変形する際の荷重特性を容易に非線形とすることが可能になり、ブレーキ操作部材の遊びの操作感覚における設計自由度が増す。
凹部は、ばね定数の小さい弾性部材の形状に合うように、内周面が凹部の開口に近づくほど内径が大きくなるテーパ状に形成される。
また本発明では、ピストンの軸線に対して、凹部の内周面の傾斜角度が、ばね定数の小さい弾性部材の傾斜角度よりも大きいので、凹部の内周面とばね定数の小さい弾性部材との間に、凹部の開口に近づくほど大きくなる隙間が形成されるため、ばね定数の小さい弾性部材が圧縮変形するときに、ばね定数の小さい弾性部材が凹部の内周面で拘束されにくくなり、ばね定数の小さい弾性部材が過度に圧縮変形されなくなる。この結果、ばね定数の小さい弾性部材の耐久性が確保される。
また、凹部の内周面とばね定数の小さい弾性部材との間の、凹部の開口から遠い側での隙間は、より小さくなるため、凹部内でばね定数の小さい弾性部材が半径方向に容易に位置決めされる。
請求項1に係る発明では、先ず、弾性部材を、ばね定数の異なる複数の部材で構成し、複数の弾性部材のうちのばね定数が大きい弾性部材の端部に凹部が設けられ、この凹部に複数の弾性部材のうちのばね定数が小さい弾性部材の一部が収納されて、ばね定数が大きい弾性部材とばね定数が小さい弾性部材とが直列に配置されるので、従来に比べて簡単な構造でブレーキ操作部材に実際の遊びのような操作感覚を発生させることができ、コスト、組立工数を低減することができる。
次に凹部に、圧縮変形したばね定数の小さい弾性部材の全体を収納可能なので、ばね定数の小さい弾性部材が過度に圧縮変形されるのを防止することができ、ばね定数の小さい弾性部材の耐久性を確保することができる。
次に、ばね定数の大きい弾性部材が中空筒状に形成され、ピストンに、シリンダ部の内面と摺動する大径部と、この大径部に隣接する小径部とを備え、この小径部がばね定数の大きい弾性部材の中空部に挿入され、凹部を、ばね定数の大きい弾性部材の端部内周面に形成された環状の段部と小径部の外周面とで形成し、ばね定数の小さい弾性部材を、凹部の底面と大径部の端面とで狭持したので、ばね定数の大きい弾性部材及びばね定数の小さい弾性部材の位置決めを容易に行うことができる。
また、本発明では、ばね定数の小さい弾性部材がゴム製であり、ばね定数の大きい弾性部材が樹脂製であるので、ゴムによりばね定数の小さな弾性部材を容易に製造することができ、ゴム製の弾性部材よりも大きいばね定数の弾性部材を樹脂により容易に製造することができ、ストロークシミュレータの設計自由度を増すことができる。
さらに本発明では、凹部の内周面が、凹部の開口に近づくほど内径が大きくなるテーパ状に形成され、ばね定数の小さい弾性部材が、凹部の内周面と同一方向にテーパ状となった筒形に形成されているので、ばね定数の小さい弾性部材がテーパ状に形成されることで、変形する際の荷重特性を容易に非線形とすることができ、ブレーキ操作部材の遊びの操作感覚における設計自由度を増すことができる。
さらにまた本発明では、ピストンの軸線に対して、凹部の内周面の傾斜角度が、ばね定数の小さい弾性部材の傾斜角度よりも大きいので、凹部の内周面とばね定数の小さい弾性部材との隙間を凹部の開口に近づくほど大きくすることができ、ばね定数の小さい弾性部材が圧縮変形するときに過度に圧縮変形されなくなり、ばね定数の小さい弾性部材の耐久性を確保することができる。
また、凹部の内周面とばね定数の小さい弾性部材との隙間を凹部の開口から遠い側ではより小さくすることができ、凹部内でばね定数の小さい弾性部材を半径方向に容易に位置決めすることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用ブレーキ装置の系統図である。
ブレーキ装置10は、車両としての自動二輪車の前輪を制動する前輪ブレーキ装置11と、自動二輪車の後輪を制動する後輪ブレーキ装置12と、これらの前輪ブレーキ装置11及び後輪ブレーキ装置12にそれぞれ備えるブレーキ液通路に設けられた複数の電磁バルブの開閉を制御するコントロールユニット13と、前輪ブレーキ装置11、後輪ブレーキ装置12及びコントロールユニット13に給電するバッテリ14とからなり、前輪ブレーキ装置11に備えるブレーキレバー21、後輪ブレーキ装置12に備えるブレーキペダル22の操作量をそれぞれ電気的に検出し、これらの検出量に応じたブレーキ液圧を発生させて前輪、後輪を独立又は連動させて制動させるバイワイヤ方式のものである。
前輪ブレーキ装置11は、ブレーキレバー21と、このブレーキレバー21に連結されてブレーキレバー21の操作によりブレーキ液圧を発生させる前輪マスターシリンダ25と、この前輪マスターシリンダ25内に出入りするブレーキ液を貯めたリザーバタンク26と、前輪マスターシリンダ25にブレーキ配管27を介して接続されたストロークシミュレータ28と、ブレーキ配管27の途中に設けられた第1電磁バルブ31と、この第1電磁バルブ31を迂回するようにブレーキ配管27に設けられたバイパス配管32と、このバイパス通路32の途中に設けられた一方向弁33と、前輪マスターシリンダ25に接続された第1圧力センサ35と、バイパス配管32に接続された第2圧力センサ36と、ブレーキ配管27にブレーキ配管41を介して接続された前輪ディスクブレーキ装置42と、ブレーキ配管41の途中に設けられた第2電磁バルブ43と、ブレーキ配管41にブレーキ配管44を介して接続されたパワーユニット46と、ブレーキ配管44の途中に設けられた第3電磁バルブ47と、この第3電磁バルブ47を迂回するようにブレーキ配管44に接続されたバイパス配管48と、このバイパス通路48の途中に設けられた一方向弁51と、バイパス配管48に接続された第3圧力センサ52とからなる。なお、14A,14Bはコントロールユニット13とバッテリ14とを接続する導線である。
ストロークシミュレータ28は、ブレーキレバー21の操作量に応じて前輪マスターシリンダ25に発生した液圧により擬似的な反力を発生させて、ブレーキレバー21を操作する運転者の手に、バイワイヤ方式でない通常の液圧式ブレーキ装置のブレーキレバーに発生する遊び等の操作感覚と同様な操作感覚を発生させるものである。
第1電磁バルブ31は、通常は圧縮コイルばね31aの弾性力で閉じられている部品であり、コントロールユニット13から出力される制御信号を導線31Aを介して受けることで圧縮コイルばね31aの弾性力に抗して開かれる。
バイパス配管32及び一方向弁33は、ストロークシミュレータ28に発生したブレーキ液の残圧を逃がすものであり、一方向弁33は、ストロークシミュレータ28側から前輪マスターシリンダ25側へのブレーキ液の流れのみを許容する部品である。
第1圧力センサ35は、ブレーキ配管27を介して前輪マスターシリンダ25内の圧力を検出する部品であり、コントロールユニット13に導線35Aで接続されている。
第2圧力センサ36は、バイパス配管32を介してストロークシミュレータ28内の圧力を検出する部品であり、コントロールユニット13に導線36Aで接続されている。
前輪ディスクブレーキ装置42は、ブレーキディスク55と、このブレーキディスク55を制動するブレーキキャリパ56とからなり、ブレーキキャリパ56は上記のブレーキ配管41に接続されている。なお、58はブレーキディスク55の回転速度を検出することで前輪の車輪速度を求めるための前輪車輪速センサであり、コントロールユニット13に導線58Aで接続されている。
第2電磁バルブ43は、通常は圧縮コイルばね43aの弾性力で開かれている部品であり、コントロールユニット13から出力される制御信号を導線43Aを介して受けることで圧縮コイルばね43aの弾性力に抗して閉じられる。
パワーユニット46は、電動モータ60と、この電動モータ60の回転軸60aに取付けられた第1ギヤ61と、この第1ギヤ61に噛み合う第2ギヤ62と、この第2ギヤ62に一体的に取付けられたナット部材63と、このナット部材63に複数のボール(不図示)を介してねじ結合されたねじ軸64と、このねじ軸64に押圧部材66を介して当てられたパワーシリンダ装置67とからなる。なお、60A,60Bは電動モータ60に通電するためにコントロールユニット13と電動モータ60とを接続する導線である。
上記のナット部材63、複数のボール及びねじ軸64は、ボールねじ機構71を構成するものである。
パワーシリンダ装置67は、シリンダ本体73と、このシリンダ本体73内に移動自在に挿入されるとともに一端に押圧部材66が当てられたパワーピストン74と、このパワーピストン74の他端及びシリンダ本体73の底のそれぞれの間に配置された圧縮コイルばね76とからなり、シリンダ本体74の底にブレーキ配管44が接続されている。
第3電磁バルブ47は、通常は圧縮コイルばね47aの弾性力で閉じられている部品であり、コントロールユニット13から出力される制御信号を導線47Aを介して受けることで圧縮コイルばね47aの弾性力に抗して開かれる。
バイパス配管48及び一方向弁51は、パワーユニット46のシリンダ本体73内に発生したブレーキ液の残圧を逃がすものであり、一方向弁51は、パワーユニット46側からブレーキキャリパ56側へのブレーキ液の流れのみを許容する。
第3圧力センサ52は、シリンダ本体73内の液圧を検出する部品であり、コントロールユニット13に導線52Aで接続されている。
コントロールユニット13は、第1圧力センサ35、第2圧力センサ36、第3圧力センサ52からの圧力信号、前輪車輪速センサ58からの前輪車輪速信号に基づいて、第1電磁バルブ31、第2電磁バルブ43、第3電磁バルブ47の開閉と、電動モータ60の駆動を制御する。
後輪ブレーキ装置12は、基本構成としては前輪ブレーキ装置11とほぼ同一であるが、ブレーキレバー21に代えてブレーキペダル22、前輪マスターシリンダ25に代えて後輪マスターシリンダ82、リザーバタンク26に代えてリザーバタンク83、前輪ディスクブレーキ装置42に代えて後輪ブレーキ装置84、前輪車輪速センサ58に代えて後輪車輪速センサ86、導線58Aに代えて後述する導線86Aを設けたものである。後輪ブレーキ装置12の他の構成については、前輪ブレーキ装置11と同一符号を付けている。
後輪ブレーキ装置84は、ブレーキディスク91と、このブレーキディスク91を制動するブレーキキャリパ92とからなり、ブレーキキャリパ92はブレーキ配管41に接続されている。
後輪車輪速センサ86は、ブレーキディスク91の回転速度、即ち、後輪の車輪速度を検出する部品であり、コントロールユニット13に導線86Aで接続されている。
図2は本発明の参考例に係るストロークシミュレータの断面図であり、ストロークシミュレータ28は、シリンダ部101と、このシリンダ部101に設けられたシリンダ穴101aに移動自在に挿入されたピストン102と、このピストン102に形成された小径部102aの付け根側に半径方向の隙間を持って嵌められたゴム製の第1弾性部材103と、小径部102aに嵌められるとともに端部内周面に形成された環状の段部104a内に第1弾性部材103の一部を収納する樹脂製の第2弾性部材104と、小径部102aが出入りする中空部106aを備えるとともにシリンダ穴101aの一端側を塞ぐ端部閉塞部材106とからなる。
シリンダ部101は、一端がブレーキ配管27に接続されるとともに他端がシリンダ穴101aに通じるブレーキ液通路101cと、シリンダ穴101a内にブレーキ液を満たす際に余分なブレーキ液を逃がす逃がし通路101dとを備える。
ピストン102は、シリンダ穴101aと摺動する大径部102bと、この大径部102bの端部に一体に形成された小径部102aとからなり、大径部102bは、その外周面に、シリンダ穴101aの端部とピストン102の端部との間に形成された液室121に通じる複数の軸方向に延びる軸方向溝102dと、シリンダ穴101a及び大径部102bのそれぞれの間をシールするシール部材108を装着する環状溝102eとが形成された部材である。
第1弾性部材103は、ゴム製の筒状のものであり、一端が大径部102bの端面102fに当てられ、他端が第2弾性部材104の段部104a(後述する凹部111)の底面104bに当てられて挟持されている。
第2弾性部材104は、第1弾性部材103よりもばね定数が大きくされた樹脂製のものであり、ピストン102と端部閉塞部材106との間に第1弾性部材103と直列に配置され、第2弾性部材104の一端には、段部104aと面取り部104cとが形成され、小径部102aが嵌合するための中空部104hが形成されたものである。
第2弾性部材104の端部内周面に形成された環状の段部104aと、ピストン102の小径部102aにおける外周面102gとは、環状の凹部111を形成し、この凹部111内に第1弾性部材103の一部が収納されている。
符号C1は大径部102bの端面102fと第2弾性部材104の一端面104eとの隙間、符号C2は第2弾性部材104の外周面104gとシリンダ穴101aとの隙間である。
第2弾性部材104の他端面104fは、端部閉塞部材106の端面106cに当てられている。
上記の隙間C2及び面取り部104cは、第2弾性部材104が軸方向に圧縮変形したときに、第2弾性部材104がシリンダ穴101a内で半径方向に膨張できるようにするために設けられたものであり、隙間C2及び面取り部104cの大きさを変更することで、第2弾性部材104が圧縮変形したときに発生する反力(即ち、第2弾性部材104のばね定数)を容易に変更することができる。
端部閉塞部材106は、中空部106aと、シリンダ部101の端部に形成された端部大径穴101fとの間をシールするOリング113を装着するための環状のOリング溝106dと、外部に臨む端面106eから突出させた外部突出部106fと、中空部106aから外部に通じるように外部突出部106fの内側を通るように開けられた外部流通穴106gとが形成された部材である。なお、115は端部大径穴101fから端部閉塞部材106が抜けるのを防止する止め輪である。
以上に述べたブレーキ装置10の作用を次に説明する。
図3は本発明に係るブレーキ装置の作用を示す第1作用図である。なお、以下では、ブレーキ装置において、ブレーキ液圧が発生している部分、信号が流れている部分、通電されている部分が太線で示されている。また、前輪ブレーキ装置11と後輪ブレーキ装置12の作用はほとんど同一であるため、以下では主に前輪ブレーキ装置11について説明する。
車両のイグニッションスイッチがOFFの場合(例えば、車両が停止しているか、又は車両が運転者によって移動されている場合)、あるいは、車両のイグニッションスイッチがONで且つ前輪車輪速センサ58で検出された前輪車輪速度がゼロ又は所定値未満(即ち、コントロールユニット13によって車両が停止していると判断される。)の場合、第1電磁バルブ31は閉じ、第2電磁バルブ43は開き、第3電磁バルブ47は閉じているから、ブレーキレバー21を白抜き矢印で示すように操作すれば、前輪マスターシリンダ25で液圧が発生し、この液圧が図の太線で示した経路に伝わる。なお、太線で示された導線36A,58Aは、イグニッションスイッチがONのときのものを示している。
前輪マスターシリンダ25で発生した液圧は、前輪ディスクブレーキ装置42のブレーキキャリパ56に伝わり、ブレーキキャリパ56でブレーキディスク55が制動されて、前輪が制動される。即ち、手動で前輪を制動させることができる。
このように、バイワイヤ方式において車両が停止と判断されるときに、手動により液圧を発生させ、この液圧で前輪を制動させるようにしたのは、後述するパワーユニットにより液圧を発生させて前輪を制動すると、パワーユニットに負担が掛かり、電力消費も多くなるので、この負担を軽減し、消費電力を抑えるためである。
図4は本発明に係るブレーキ装置の作用を示す第2作用図である。
車両が走行を開始して、前輪車輪速センサ58で検出される前輪車輪速が所定値を超えると、この前輪車輪速信号が前輪車輪速センサ58から導線58Aを介してコントロールユニット13に出力されるため、この前輪車輪速信号に基づいてコントロールユニット13は第1電磁バルブ31に開弁信号を送る。この結果、第1電磁バルブ31が開き、前輪マスターシリンダ25とストロークシミュレータ28とが連通するようになる。
この状態で、白抜き矢印で示すように、ブレーキレバー21を操作すれば、前輪マスターシリンダ25で液圧が発生し、この液圧が前輪ディスクブレーキ装置42のブレーキキャリパ56に伝わって前輪が制動される。ストロークシミュレータ28内の液圧は第2圧力センサ36で検出され、その圧力信号が導線36Aを介してコントロールユニット13に出力される。
図5は本発明に係るブレーキ装置の作用を示す第3作用図である。
図4において、ブレーキレバー21を操作して第2圧力センサ36で検出された液圧が所定値以上になると、図5において、ストロークシミュレータ28が作動を開始し、また、第2圧力センサ36からの圧力信号に基づいてコントロールユニット13から第2電磁バルブ43に閉弁信号が送られると共に第3電磁バルブ47に開弁信号が送られる。
この結果、第2電磁バルブ43が閉じて前輪マスターシリンダ25と前輪ディスクブレーキ装置42とが接続されなくなるとともに、第3電磁バルブ47が開いてパワーユニット46と前輪ディスクブレーキ装置42とが接続されるようになる。
更に、コントロールユニット13内に備えるモータ駆動部(不図示)から電動モータ60に給電される。この結果、電動モータ60が作動を開始してパワーピストン74が移動することでパワーシリンダ装置67で液圧が発生し、この液圧が前輪ブレーキディスク装置42のブレーキキャリパ56に伝わり、前輪が制動される。即ち、バイワイヤによる前輪の制動が行われる。このときにもストロークシミュレータ28は引き続き作動している。
前輪が制動されるときには、前輪ブレーキ装置11の入力圧、即ち、第2圧力センサ36で検出されるブレーキ液圧に基づいて図1に示した後輪ブレーキ装置12での後輪の制動が、前輪の制動に自動的に連動して、上記した前輪ブレーキ装置11の作用と同様にして行われる。
また、後輪が制動されるときに、上記とは反対に、後輪ブレーキ装置12の入力圧、即ち、後輪ブレーキ装置12側の第2圧力センサ36で検出されるブレーキ液圧に基づいて前輪ブレーキ装置11での前輪の制動が、後輪の制動に自動的に連動して行われる。
図6(a)〜(c)は本発明の参考例に係るストロークシミュレータの作用図である。
(a)は、ストロークシミュレータ28のシリンダ穴101a内に前輪マスターシリンダ25(図1参照)から液圧が伝わらない状態を示している。
(b)において、シリンダ穴101aの端部とピストン102の端部との間に形成された液室121に前輪マスターシリンダ25(図1参照)から液圧が伝わり、液室121の液圧が高まって白抜き矢印の向きにピストン102がシリンダ穴101a内を移動すると、ばね定数の小さい第1弾性部材103が、第1弾性部材103よりもばね定数の大きい第2弾性部材104よりも大きく圧縮され、ピストン102の大径部102bの端面102fが、第2弾性部材104の一端面104eに当たる。
この結果、第1弾性部材103の全体が凹部111内に収納され、これ以上は第1弾性部材103は圧縮変形しなくなる。このときに第1弾性部材103の圧縮変形量、あるいは第1弾性部材103に発生する応力を所定の値に抑えることで、第1弾性部材103の耐久性を確保することができる。
このときのような第1弾性部材103の圧縮変形中は、図5に示された前輪用ディスクブレーキ装置42には前輪マスターシリンダ25が接続されていないが、ブレーキレバー21には、ブレーキレバー操作による液圧によって前輪用ディスクブレーキ装置42を作動させているときのような遊びの感覚が感じられる。
(c)において、更に、白抜き矢印で示すように、ピストン102がシリンダ穴101aを図の左方に移動すると、第2弾性部材104が圧縮変形して、第2弾性部材104とシリンダ穴101aとの間の隙間、即ち、図2に示した隙間C2及び面取り部104cがほとんど無くなる。
このときも、ブレーキレバー21には、ブレーキレバー操作による液圧で前輪用ディスクブレーキ装置42を作動させているときのような操作感覚が得られる。
図7は本発明に係るストロークシミュレータの弾性部材反力とピストンストローク量との関係を示すグラフである。縦軸は図6(a)〜(c)に示された第1弾性部材103及び第2弾性部材104に発生する反力(弾性部材反力)、横軸は図6(a)〜(c)に示されたピストン102のストローク量を表す。
図6(a)〜(c)及び図7において、ピストン102がストロークを開始すると、第1弾性部材103に発生する弾性部材反力は、次第に大きくなり、ピストンストローク量が隙間C1(図2に示された隙間である。)になるまで上昇する。ピストンストローク量がC1での弾性部材反力はRである。このときのピストンストローク量C1がブレーキレバーの遊びに相当するものである。
この後は、第2弾性部材104のみが圧縮されて弾性部材反力がピストンストローク量と共に上昇する。
グラフ中の直線Aの傾きは、第1弾性部材103のばね定数を表し、直線Bの傾きは、第2弾性部材104のばね定数を表している。直線Aよりも直線Bの傾きが大きく、第1弾性部材103よりも第2弾性部材104のばね定数が大きいことを示している。
以上の図1、図2に示されるように、本発明は、シリンダ部101と、このシリンダ部101内に移動自在に挿入されたピストン102と、このピストン102によって押圧される弾性部材とを備え、ブレーキレバー21、ブレーキペダル22等のブレーキ操作部材の操作により前輪マスターシリンダ25、後輪マスターシリンダ82で発生する液圧をシリンダ部101内に伝えることでピストン102を介して弾性部材を変形させてブレーキ操作部材21,22に擬似的に操作感を発生させるブレーキ装置10のストロークシミュレータ28において、弾性部材を、ばね定数の異なる複数の部材で構成し、複数の弾性部材のうちのばね定数が大きい弾性部材としての第2弾性部材104の端部に凹部111が設けられ、この凹部111に複数の弾性部材のうちのばね定数が小さい弾性部材としての第1弾性部材103の一部が収納されて、第2弾性部材104と第1弾性部材103とが直列に配置されるので、従来のようなシミュレータハウジング、2つのピストン、2つの弾性部材から構成されるものに比べて、部品数が少ない簡単な構造でブレーキ操作部材21,22に実際の遊びのような操作感覚を発生させることができ、コスト、組立工数を低減することができる。
また、図2及び図6(b)に示したように、本発明は、凹部111に、圧縮変形した第1弾性部材103の全体を収納可能なので、第1弾性部材103が過度に圧縮変形されるのを防止することができ、第1弾性部材103の耐久性を確保することができる。
更に、本発明では、図2に示したように、第2弾性部材104が中空筒状に形成され、ピストン102に、シリンダ部101の内面と摺動する大径部102bと、この大径部102bに隣接する小径部102aとを備え、この小径部102aが第2弾性部材104の中空部104hに挿入され、凹部111を、第2弾性部材104の端部内周面に形成された環状の段部104aと小径部102aの外周面102gとで形成し、第1弾性部材103を、凹部111の底面104bと大径部102bの端面102fとで狭持したので、第2弾性部材104及び第1弾性部材103の位置決めを容易に行うことができる。
また更に、本発明では、第1弾性部材103がゴム製であり、第2弾性部材104が樹脂製であるので、ゴムによりばね定数の小さな第1弾性部材103を容易に製造することができ、ゴム製の第1弾性部材103よりも大きいばね定数の第2弾性部材104を樹脂により容易に製造することができ、ストロークシミュレータ28の設計自由度を増すことができる。
図8は本発明の他の参考例に係るストロークシミュレータの断面図である。
ストロークシミュレータ130は、図2に示したストロークシミュレータ28に対して第2弾性部材134のみが異なるものである。
即ち、ストロークシミュレータ130は、シリンダ部101と、ピストン102と、第1弾性部材103と、小径部102aに嵌められるとともに一端に形成された環状の段部104a内に第1弾性部材103の一部を収納する第2弾性部材134と、端部閉塞部材106とからなる。
第2弾性部材134は、第1弾性部材103と直列に配置され、樹脂製の円筒状の部材の一端に段部104aが形成され、他端に面取り部104cが形成されたものであり、段部104aとピストン102の小径部102aの外周面102gとで環状の凹部111が形成され、この凹部111内に第1弾性部材103の一部が収納されている。
図9は本発明の参考例に係るストロークシミュレータの断面図である。
ストロークシミュレータ140は、図2に示したストロークシミュレータ28に対してピストン142及び弾性部材144が異なるものである。
即ち、ストロークシミュレータ140は、シリンダ部101と、このシリンダ部101に設けられたシリンダ穴101aに移動自在に挿入されたピストン142と、このピストン142の小径部102aに嵌められた弾性部材144と、端部閉塞部材106とからなる。
ピストン142は、シリンダ穴101aと摺動する大径部142bと、この大径部102aの端部に一体に形成された小径部102aとからなり、大径部142bは、その外周面に、ブレーキ液通路101cに通じる複数の軸方向に延びる軸方向溝102dと、シリンダ穴101a及び大径部102bのそれぞれの間をシールするシール部材108を装着する環状溝102eとが形成され、端面102fに小径部102aを囲むように環状の凹部142cが形成された部材である。
弾性部材144は、樹脂製の円筒状の本体部144aの一端に環状の突出部144bが一体に形成されたものであり、この突出部144bの一部がピストン142の凹部142cに収納されている。
シリンダ穴101a内の液室121内の液圧が高められ、ピストン142が図の左方に移動すると、ばね定数の小さい突出部144bが大きく圧縮され、やがて、突出部144bの全体が凹部142c内に収納され、突出部144bはそれ以上は圧縮変形しなくなる。更に、ピストン142が図の左方に移動すると、突出部144bよりもばね定数の大きい本体部144aが大きく圧縮されて変形する。
突出部144bが圧縮変形中は、ブレーキレバー、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材には、遊びのような操作感覚が感じられる。
以上の図9に示したように、本発明は、シリンダ部101と、このシリンダ部101内に移動自在に挿入されたピストン142と、このピストン142によって押圧される弾性部材144とを備え、ブレーキレバー21、ブレーキペダル22等のブレーキ操作部材の操作により前輪マスターシリンダ25、後輪マスターシリンダ82で発生する液圧をシリンダ部101内に伝えることでピストン142を介して弾性部材144を変形させてブレーキ操作部材21,22に擬似的に操作感を発生させるブレーキ装置10(図1参照)のストロークシミュレータ140において、弾性部材144の一端部に突出部144bが設けられ、この突出部144bの一部がピストン142の端部に設けられた凹部142cに挿入されているので、従来に比べて簡単な構造でブレーキ操作部材21,22に実際の遊びのような操作感覚を発生させることができ、ストロークシミュレータ140のコスト、組立工数を低減することができる。
図10(a),(b)は本発明に係るストロークシミュレータの断面図である。
(a)はストロークシミュレータ150の全体図であり、ストロークシミュレータ150は、図2に示したストロークシミュレータ28に対して第1弾性部材153及び第2弾性部材154が異なるものである。
即ち、ストロークシミュレータ150は、シリンダ部101と、ピストン102と、このピストン102に形成された小径部102aの付け根側に半径方向の隙間を持って嵌められたゴム製の第1弾性部材153と、小径部102aに嵌められるとともに一端に形成された環状の段部154a内に第1弾性部材153の一部を収納する第2弾性部材154と、端部閉塞部材106とからなる。
第1弾性部材153は、ゴム製でテーパ状の筒形に形成されたものであり、一端が大径部102bの端面102fに当てられ、他端が第2弾性部材154の段部154a(後述する凹部161)の底面154bに当てられて挟持されている。
段部154aは、底面154bと内周面154cとからなる環状の部分である。
第2弾性部材154は、第1弾性部材153よりもばね定数が大きくされた樹脂製のものであり、ピストン102と端部閉塞部材106との間に第1弾性部材153と直列に配置され、第2弾性部材154の一端に段部154aが形成され、また、小径部102aが嵌合するための中空部154hが形成されている。
第2弾性部材154の段部154aの内周面154cは、端部閉塞部材106側へ先細りとなるようにテーパ状に形成され、環状の段部154aと、ピストン102の小径部102aにおける外周面102gとは、環状の凹部161を形成し、この凹部161内に第1弾性部材153の一部が収納されている。
符号C1は大径部102bの端面102fと第2弾性部材154の一端面154eとの隙間、符号C2は第2弾性部材154の外周面154gとシリンダ穴101aとの隙間である。
第2弾性部材154の他端面154fは、端部閉塞部材106の端面106cに当てられている。
(b)は第1弾性部材153と第2弾性部材154の凹部161とを示す要部断面図であり、ピストン102の軸線102hに対する第1弾性部材153の外周面である雄テーパ面153aの傾斜角度をθ1、ピストン102の軸線102hに対する第2弾性部材154の凹部161の内周面(雌テーパ面)154cの傾斜角度をθ2とすると、θ1<θ2となる。
第1弾性部材153をテーパ状で筒形に形成したのは、単なる筒状の弾性部材を圧縮変形させたときに、例えば、図7に示したグラフにおいて、その弾性部材反力がピストンストローク量が増すにつれて直線Aのように直線状に増加するのに比較して、第1弾性部材153では、弾性部材反力がピストンストローク量が増すにつれて非線形に増加させることが容易にできるために、ブレーキレバー21(図1参照)やブレーキペダル22(図1参照)での遊びの操作感覚における設計自由度を増すことができるからである。
また、第2弾性部材154については、第1弾性部材153の一部を収納するために第1弾性部材153のテーパ形状と同一方向に先細りとなるように凹部161の内周面154cをテーパ状に形成し、更に、θ1<θ2とすることで、ピストン102が移動して第1弾性部材153が圧縮変形するときに、第1弾性部材153と第2弾性部材154の内周面154cとの間に隙間を形成されやすくすることで第1弾性部材153の過度の圧縮変形を防止し、耐久性を高めている。
図中の符号D1は小径部102aの外径、D2は第1弾性部材153の一端部の外径、D3は凹部161の内周面154cの一端部の内径、C3は第1弾性部材153の一端部の内径と小径部102aとの隙間、C4は凹部161の内周面154cにおける一端部の内径と第1弾性部材153の雄テーパ面153aにおける一端部の外径との隙間である。
図11(a)〜(c)は本発明に係るストロークシミュレータの作用図である。
(a)は、ストロークシミュレータ150のシリンダ穴101a内に前輪マスターシリンダ25(図1参照)から液圧が伝わらない状態を示している。
(b)において、シリンダ穴101aの端部とピストン102の端部との間に形成された液室121に前輪マスターシリンダ25(図1参照)から液圧が伝わり、液室121の液圧が高まって白抜き矢印の向きにピストン102がシリンダ穴101a内を移動すると、ばね定数の小さい第1弾性部材153が、第1弾性部材153よりもばね定数の大きい第2弾性部材154よりも大きく圧縮されて半径方向外側に凸状に湾曲するように変形し、やがて、ピストン102の大径部102bの端面102fが、第2弾性部材154の一端面154eに当たる。
この結果、第1弾性部材153の全体が凹部161内に収納され、第1弾性部材153は、この後は圧縮変形しにくくなる。このとき、凹部161内には第1弾性部材153の周囲に隙間が残っているので、第1弾性部材153の圧縮変形量、あるいは第1弾性部材153に発生する応力を所定の値に容易に抑えることができ、第1弾性部材153の耐久性を確保することができる。
このときのような第1弾性部材153の圧縮変形中は、図5に示された前輪用ディスクブレーキ装置42には前輪マスターシリンダ25が接続されていないが、ブレーキレバー21には、ブレーキレバー操作による液圧によって前輪用ディスクブレーキ装置42を作動させているときのような遊びの感覚が感じられる。
(c)において、更に、白抜き矢印で示すように、ピストン102がシリンダ穴101aを図の左方に移動すると、第2弾性部材154が圧縮変形して、第2弾性部材154とシリンダ穴101aとの隙間、即ち、図10に示した隙間C2がほとんど無くなる。
このときにも、ブレーキレバー21には、ブレーキレバー操作による液圧で前輪用ディスクブレーキ装置42を作動させているときのような操作感覚が得られる。
図12(a),(b)は本発明に係るストロークシミュレータにおける第1弾性部材の変形形態の別実施形態を示す作用図である。
(a)は、図11(b)と同様にピストン102がシリンダ穴101a内を移動したときの第1弾性部材153の変形形態を示している。即ち、第1弾性部材153は、半径方向内側に凸状に湾曲するように変形している。このときの第1弾性部材153の機能は、図11(b)で示した変形形態のときと同じである。
(b)は、図11(c)と同様にピストン102がシリンダ穴101a内を移動したときの第1弾性部材153の変形形態を示している。第1弾性部材153は、半径方向外側に凸状に湾曲するように変形している。
以上の図11(b),(c)及び図12(a),(b)に示したような第1弾性部材153の変形形態は、図10(b)に示した第1弾性部材153の第2弾性部材154側の端部、若しくはピストン102側の端部の形状を適宜変更することで選択可能である。
図13(a)〜(d)は本発明に係る第1弾性部材の別実施形態を示す断面図である。
(a)は樽形の第1弾性部材171を示している。第1弾性部材171は、両端の外径d1が同一で、且つ第1弾性部材171の軸線を171aとしたときに軸線方向の中央部が端部よりも拡径されて半径方向外側に膨らむように湾曲している。
(b)は鼓形の第1弾性部材172を示している。第1弾性部材172は、両端の外径d1が同一で、且つ第1弾性部材172の軸線を172aとしたときに軸線方向の中央部が端部よりも縮径されて半径方向内側に凹むように湾曲している。
(c)は椀形の第1弾性部材173を示している。第1弾性部材173は、一端部の外径d1よりも他端部の外径d2を大きくするとともに、第1弾性部材173の軸線を173aとしたときに軸線方向の中央部が半径方向外側に膨らむように湾曲している。
(d)はホーン形の第1弾性部材174を示している。第1弾性部材174は、一端部の外径d1よりも他端部の外径d2を大きくするとともに、第1弾性部材174の軸線を174aとしたときに軸線方向の中央部が半径方向内側に凹むように湾曲している。
以上の図10、図11に示したように、凹部161の内周面154cが、凹部161の開口に近づくほど内径が大きくなるテーパ状に形成され、ばね定数の小さい弾性部材としての第1弾性部材153が、凹部161の内周面154cと同一方向にテーパ状となった筒形に形成されているので、第1弾性部材153がテーパ状に形成されることで、変形する際の荷重特性を容易に非線形とすることができ、ブレーキレバー21(図1参照)、ブレーキペダル22(図1参照)の遊びの操作感覚における設計自由度を増すことができる。
また、ピストン102の軸線102hに対して、凹部161の内周面154cの傾斜角度θ2が、第1弾性部材153の傾斜角度θ1よりも大きいので、凹部161の内周面154cと第1弾性部材153との隙間を凹部161の開口に近づくほど大きくすることができ、第1弾性部材153が圧縮変形するときに過度に圧縮変形されなくなり、第1弾性部材153の耐久性を確保することができる。
更に、凹部161の内周面154cと第1弾性部材153との隙間を凹部161の開口から遠い側ではより小さくすることができ、凹部161内で第1弾性部材153を半径方向に容易に位置決めすることができる。
尚、本実施形態では、図7に示したように、第1弾性部材及び第2弾性部材の弾性部材反力を、直線A及び直線Bというようにそれぞれ直線的に上昇するようにしたが、これに限らず、それぞれ曲線的に上昇するようにしてもよいし、あるいは、一方を直線的に、他方を曲線的に上昇するようにしてもよい。
また、図10に示したように、凹部161の内周面154cをテーパ状に形成し、第1弾性部材154をテーパ状で筒形に形成したが、これに限らず、凹部161の内周面154cをテーパ状に形成するとともに、第1弾性部材を、凹部161内に一部が収納される単純な筒状に形成してもよい。
本発明のブレーキ装置のストロークシミュレータは、二輪車に好適である。
本発明に係る車両用ブレーキ装置の系統図である。 本発明の参考例に係るストロークシミュレータの断面図である。 本発明に係るブレーキ装置の作用を示す第1作用図である。 本発明に係るブレーキ装置の作用を示す第2作用図である。 本発明に係るブレーキ装置の作用を示す第3作用図である。 本発明の参考例に係るストロークシミュレータの作用図である。 本発明の参考例に係るストロークシミュレータの弾性部材反力とピストンストローク量との関係を示すグラフである。 本発明の参考例に係るストロークシミュレータの断面図である。 本発明の参考例に係るストロークシミュレータの断面図である。 本発明に係るストロークシミュレータの断面図である。 本発明に係るストロークシミュレータの作用図である。 本発明に係るストロークシミュレータにおける第1弾性部材の変形の別実施形態を示す作用図である。 本発明に係る第1弾性部材の別実施形態を示す断面図である。
符号の説明
10…ブレーキ装置、21,22…ブレーキ操作部材(ブレーキレバー、ブレーキペダル)、25,82…マスターシリンダ(前輪マスターシリンダ、後輪マスターシリンダ)、28,130,140…ストロークシミュレータ、101…シリンダ部、101a…シリンダ部の内面(シリンダ穴)、102,142…ピストン、102a…小径部、102b…大径部、102f…大径部の端面、102g…外周面、102h…ピストンの軸線、103,153…ばね定数が小さい弾性部材(第1弾性部材)、104,154…ばね定数が大きい弾性部材(第2弾性部材)、104a,154a…段部、104b,154b…底面、104h,154h…中空部、111,142c,161…凹部、144…弾性部材、144b…突出部、154c…凹部の内周面、θ1,θ2…傾斜角度。

Claims (1)

  1. シリンダ部(101)と、このシリンダ部(101)内に移動自在に挿入されたピストン(102)と、このピストン(102)によって押圧される弾性部材とを備え、ブレーキ操作部材(21)の操作によりマスターシリンダ(25)で発生する液圧を前記シリンダ部(101)内に伝えることで前記ピストン(102)を介して前記弾性部材を変形させて前記ブレーキ操作部材(21)に擬似的に操作感を発生させるブレーキ装置のストロークシミュレータにおいて、
    前記弾性部材は、ばね定数の異なる複数の部材で構成され、
    前記複数の弾性部材のうちのばね定数が大きい弾性部材(154)の端部に凹部(161)が設けられ、
    この凹部(161)に前記複数の弾性部材のうちのばね定数が小さい弾性部材(153)の一部が収納されて、ばね定数が大きい弾性部材(154)とばね定数が小さい弾性部材(153)とが直列に配置され、
    前記凹部(161)は、圧縮変形した前記ばね定数の小さい弾性部材(153)の全体を収納可能であり、
    前記ばね定数の大きい弾性部材(154)は中空筒状に形成され、前記ピストン(102)は、前記シリンダ部(101)の内面と摺動する大径部(102b)と、この大径部(102b)に隣接する小径部(102a)とを備え、この小径部(102a)が前記ばね定数の大きい弾性部材(154)の中空部(154h)に挿入され、
    前記凹部(161)は、前記ばね定数の大きい弾性部材(154)の端部内周面に一体的に形成された環状の段部(154a)と前記小径部(102a)の外周面とで形成され
    前記ばね定数の小さい弾性部材(153)は、前記凹部(161)の底面(154b)と前記大径部(102b)の端面とで狭持され、
    前記ばね定数の小さい弾性部材(153)はゴム製であり、前記ばね定数の大きい弾性部材(154)は樹脂製であり、
    前記凹部(161)の内周面は、凹部の開口に近づくほど内径が大きくなるテーパ状に形成され、前記ばね定数の小さい弾性部材は、前記凹部(161)の内周面と同一方向にテーパ状となった筒形に形成され、
    前記ピストン(102)の軸線(102h)に対して、前記凹部(161)の内周面の傾斜角度(θ2)は、前記ばね定数の小さい弾性部材(153)の傾斜角度(θ1)よりも大きい、
    ことを特徴とするブレーキ装置のストロークシミュレータ。
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