JP5007843B2 - フォトマスクブランク及びフォトマスク - Google Patents

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本発明は、半導体集積回路、CCD(電荷結合素子)、LCD(液晶表示素子)用カラーフィルター、磁気ヘッド等の微細加工に用いられるフォトマスクブランク及びフォトマスクに関する。
近年、半導体加工においては、特に大規模集積回路の高集積化により、回路パターンの微細化がますます必要になってきており、回路を構成する配線パターンの細線化や、セルを構成する層間の配線のためのコンタクトホールパターンの微細化技術への要求がますます高まってきている。そのため、これら配線パターンやコンタクトホールパターンを形成する光リソグラフィーで用いられる、回路パターンが書き込まれたフォトマスクの製造においても、上記微細化に伴い、より微細かつ正確に回路パターンを書き込むことができる技術が求められている。
より精度の高いフォトマスクパターンをフォトマスク基板上に形成するためには、まず、フォトマスクブランク上に高精度のレジストパターンを形成することが必要になる。実際の半導体基板を加工する際の光リソグラフィーは縮小投影を行うため、フォトマスクパターンは実際に必要なパターンサイズの4倍程度の大きさであるが、それだけ精度が緩くなるというわけではなく、むしろ、原版であるフォトマスクには露光後のパターン精度に求められるものよりも高い精度が求められる。
更に、既に現在行われているリソグラフィーでは、描画しようとしている回路パターンは使用する光の波長をかなり下回るサイズになっており、回路の形状をそのまま4倍にしたフォトマスクパターンを使用すると、実際の光リソグラフィーを行う際に生じる光の干渉等の影響で、レジスト膜にフォトマスクパターン通りの形状は転写されない。そこでこれらの影響を減じるため、フォトマスクパターンは実際の回路パターンより複雑な形状(いわゆるOPC:Optical and Proximity Correction(光学近接効果補正)などを適用した形状)に加工する必要も生じる場合がある。そのため、フォトマスクパターンを得るためのリソグラフィー技術においても、現在、更に高精度な加工方法が求められている。リソグラフィー性能については限界解像度で表現されることがあるが、この解像限界としては、フォトマスクを使用した半導体加工工程で使用される光リソグラフィーに必要な解像限界と同等程度、あるいはそれ以上の限界解像精度がフォトマスク加工工程のリソグラフィー技術に求められている。
フォトマスクパターンの形成においては、通常、透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランク上にフォトレジスト膜を形成し、電子線によるパターンの描画を行い、現像を経てレジストパターンを得、そして、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、遮光膜をエッチングして遮光パターンへと加工するが、遮光パターンを微細化する場合にレジスト膜の膜厚を微細化前と同じように維持したままで加工しようとすると、パターンに対する膜厚の比、いわゆるアスペクト比が大きくなって、レジストのパターン形状が劣化してパターン転写がうまく行かなくなったり、場合によってはレジストパターンが倒れや剥れを起こしたりしてしまう。そのため、微細化に伴いレジスト膜厚を薄くする必要がある。
一方、レジストをエッチングマスクとしてエッチングを行う遮光膜材料については、これまで多くのものが提案されてきたが、エッチングに対する知見が多く、標準加工工程として確立されていることから、実用上、常にクロム化合物膜が用いられてきた。このようなものとして、例えば、ArFエキシマレーザ露光用のフォトマスクブランクに必要な遮光膜をクロム化合物で構成したものとしては、特開2003−195479号公報(特許文献1)、特開2003−195483号公報(特許文献2)、特許第3093632号公報(特許文献3)に膜厚50〜77nmのクロム化合物膜が報告されている。
しかしながら、クロム化合物膜等のクロム系膜の一般的なドライエッチング条件である酸素を含む塩素系ドライエッチングは、有機膜に対してもある程度エッチングする性質をもつことが多く、薄いレジスト膜でエッチングを行った場合、レジストパターンを正確に転写することが難しく、高解像性と高精度のエッチング加工が可能なエッチング耐性を同時にレジストに求めることはかなり困難な問題となっている。このため、高解像性と高精度を達成するために、レジスト性能のみに依存する方法から、遮光膜の性能も向上させる方法へと転換すべく、遮光膜材料の再検討が必要になる。
また、クロム系以外の遮光膜材料についても、既に多くの検討がなされてきているが、最近のものとしては、ArFエキシマレーザ露光用の遮光膜として、タンタルを使用した例がある(特許文献4:特開2001−312043号公報)。
一方、ドライエッチング時のレジストへの負担を減らすために、ハードマスクを使用するという方法は古くより試みられており、例えば、特開昭63−85553号公報(特許文献5)では、MoSi2上にSiO2膜を形成し、これを、MoSi2をドライエッチングする際のエッチングマスクとして使用することが報告されており、また、SiO2膜が反射防止膜としても機能し得ることが記述されている。
また、レジスト膜にダメージを与え難いフッ素系ドライエッチングによるエッチング条件で、より容易にエッチング可能な金属シリサイド膜、特に、モリブデンシリサイド膜は、かなり古くから検討されており、例えば、特開昭63−85553号公報(特許文献5)、特開平1−142637号公報(特許文献6)、特開平3−116147号公報(特許文献7)に報告されているが、いずれも基本的にはケイ素:モリブデン=2:1の膜を使っており、また、特開平4−246649号公報(特許文献8)においても金属シリサイド膜が報告されているが、これらいずれの金属シリサイド膜も、フォトマスク作製の最終工程での化学洗浄に対する化学的安定性が十分でなく、特に、薄膜化した場合には洗浄工程で膜が必要とする物性を損なうおそれのあるものであった。
特開2003−195479号公報 特開2003−195483号公報 特許第3093632号公報 特開2001−312043号公報 特開昭63−85553号公報 特開平1−142637号公報 特開平3−116147号公報 特開平4−246649号公報 特開平7−140635号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、より微細なフォトマスクパターン、特に、ArFエキシマレーザなどの250nm以下の露光波長の光を用いて露光するフォトリソグラフィーにおいて必要とされる、より微細なフォトマスクパターンを形成するため、これに用いるフォトマスクにおける高解像性と高精度なエッチング加工との両立が可能なフォトマスクブランク、即ち、エッチング加工時においてレジストに大きな負荷をかけずにエッチング可能で、かつフォトマスク製造工程で必須となるマスク洗浄工程に対して十分な化学的安定性をもった遮光膜を備えるフォトマスクブランク、及びそれを用いてマスクパターンを形成したフォトマスクを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、250nm以下の露光波長の光、特に、ArFエキシマレーザに対し、ケイ素と遷移金属とを特定比率で含有する膜が、従来使用されてきたクロム系膜よりも高い遮光性を有することを見出し、更に、従来低いと考えられてきた化学的安定性が、この特定比率の範囲においては安定であることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記のフォトマスクブランク及びフォトマスクを提供する。
請求項1:
透明基板上に露光光に対して透明な領域と実効的に不透明な領域とを有するマスクパターンを設けたフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクであり、
透明基板上に、他の膜(A)を介して又は介さずに1層又は2層以上の遮光膜が形成され、更に反射防止膜が積層されたバイナリーマスクブランクであって、
前記露光光が250nm以下の波長の光であり、
前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が主成分としてケイ素と遷移金属とを含み、かつケイ素と遷移金属との比がケイ素:金属=4〜15:1(原子比)であり、
前記露光光に対する光学濃度が、遮光膜と反射防止膜とを合わせて2.5以上であることを特徴とするフォトマスクブランク。
請求項2:
前記露光光が波長193nmのArFエキシマレーザであることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
請求項3:
前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が、更に、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクブランク。
請求項4:
前記露光光が波長193nmのArFエキシマレーザであり、前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が、更に、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種以上を含有し、酸素の含有率が10原子%以下、窒素の含有率が20原子%以下、炭素の含有率が20原子%以下、かつ酸素、窒素及び炭素の合計が40原子%以下であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
請求項5:
前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が、酸素及び窒素を含有することを特徴とする請求項3又は4記載のフォトマスクブランク。
請求項
前記遷移金属がモリブデンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項
前記遮光膜の膜厚が20〜50nmであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項
前記反射防止膜が遷移金属シリサイド酸化物、遷移金属シリサイド窒化物、遷移金属シリサイド酸窒化物、遷移金属シリサイド酸化炭化物、遷移金属シリサイド窒化炭化物又は遷移金属シリサイド酸窒化炭化物を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項
前記反射防止膜の遷移金属シリサイドがモリブデンシリサイドであることを特徴とする請求項記載のフォトマスクブランク。
請求項10
前記反射防止膜がクロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物又はクロム酸窒化炭化物を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項11
前記反射防止膜の膜厚が15〜30nmであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項12
請求項1乃至11のいずれか1項記載のフォトマスクブランクを用いて透明基板上に露光光に対して透明な領域と実効的に不透明な領域とを有するマスクパターンを形成してなることを特徴とするフォトマスク。
本発明においては、遮光膜に更に反射防止膜を設けることが可能であるが、反射防止膜を、遷移金属シリサイド酸化物、遷移金属シリサイド窒化物、遷移金属シリサイド酸窒化物、遷移金属シリサイド酸化炭化物、遷移金属シリサイド窒化炭化物、遷移金属シリサイド酸窒化炭化物などの遷移金属シリサイド化合物とした場合には、遮光膜と反射防止膜とをフッ素系ドライエッチングでエッチングすることが可能であることから、特に高いエッチング加工性が得られる。
また、反射防止膜を、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物、クロム酸窒化炭化物などのクロム化合物とした場合であっても、遮光膜と反射防止膜とが薄いレジスト膜で十分加工可能な程度のものとなるため、レジストに大きなダメージを与えることなく加工が可能であり、洗浄時の化学的安定性も満足したものとなる。
フォトマスクブランクの遮光膜を本発明の構成とすることにより、高い遮光性と化学的安定性が確保された遮光膜を有するフォトマスクブランクとなり、反射防止膜を更に積層した場合にあっても、エッチング時にレジストに与えるダメージの小さなエッチング条件又はエッチング時間で加工することができることから、レジストを比較的薄く形成でき、これによってレジスト膜のアスペクト比を大きくすることによる諸問題を回避でき、より高精度のフォトマスクパターン形成が可能となる。
実施例で用いた2つのターゲットを設けた直流スパッタ装置を示す概略図である。 実施例1の遮光膜の波長248nm及び193nmの光に対する光学濃度の膜厚依存性を示すグラフである。 実施例1並びに比較例1及び2の遮光膜の波長193nmの光に対する光学濃度の膜厚依存性を示すグラフである。 クロム膜の波長193nmの光に対する光学濃度の膜厚依存性を示すグラフである。 実施例1の遮光膜の光学濃度の波長依存性を示すグラフである。 実施例6〜9のフォトマスクブランクの反射防止膜の反射率の波長依存性を示すグラフである。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のフォトマスクブランクは、透明基板上に露光光に対して透明な領域と実効的に、即ち、フォトマスクとしてパターン露光に使用したときに実用上の遮光性を与える程度に不透明な領域とを有するマスクパターンを設けたフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクであり、透明基板上に、他の膜を介して又は介さずに1層又は2層以上の遮光膜が形成され、前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層が主成分としてケイ素と遷移金属とを含み、かつケイ素と遷移金属のモル比とがケイ素:金属=4〜15:1(原子比)であるものである。
本発明のフォトマスクブランクにおいて、遮光膜は、単層膜でも多層膜でもよいが、この膜を構成する層のうち少なくとも1層はケイ素と遷移金属とを含有し、ケイ素と遷移金属とのモル比は、ケイ素:金属=4〜15:1(原子比)[4:1〜15:1(原子比)]である。特に、より高い加工性を得るためには、単層膜であることが好ましく、また、多層膜においては、膜を構成するすべての層が主成分としてケイ素と遷移金属とを含み、かつケイ素と遷移金属のモル比がケイ素:金属=4〜15:1(原子比)であることが好ましい。なお、多層膜の場合、上記ケイ素と遷移金属とを含有する層以外の層として、タングステン層、タンタル層などを、特に上記ケイ素と遷移金属とを含有する層と透明基板との間に形成していてもよい。
遮光膜は洗浄中に膜厚変化を起こさないという化学的安定性を要求され、ArF用のフォトマスクとしては洗浄による膜厚の変化量が3nm以下であることが要求されるが、フォトマスク製造工程において必須である洗浄における条件、特に、硫酸−過酸化水素水(硫酸過水)での洗浄において、遮光膜がダメージを受け、遮光性能が損なわれることに留意しなければならない。また、膜の導電性も、マスクパターン形成のためのリソグラフィー工程で、電子線を照射した時にチャージアップを起こすことを避けるため留意する必要がある。本発明の遮光膜のように、ケイ素と遷移金属のモル比が上記範囲内であれば、遮光膜の化学的安定性と導電性とを実用上問題にならない許容できる物性の範囲内とすることができる。
この遮光膜を構成する遷移金属としてはモリブデン、タンタル、タングステン、コバルト、ニッケル、バナジウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム等が好適な材料として例示されるが、ドライエッチング加工性の点からモリブデンが最も好ましい。
フォトマスク上に成膜された膜が、十分な遮光性を備えるものとして機能するためには、一般的に用いられている遮光膜と反射防止膜とを備えるバイナリーマスクブランクにおいては遮光膜と反射防止膜とを合わせ、また、ハーフトーン位相シフトマスクブランクにおいてはハーフトーン位相シフト膜と遮光膜と反射防止膜とを合わせて、露光光に対し、光学濃度ODが2.5以上、特に2.8以上、とりわけ3.0以上であることが要求される。そのため、上記ケイ素と遷移金属を主成分とする膜は、実質的にケイ素と遷移元素とのみからなっていても、その他の成分として、更に酸素、窒素、炭素等の軽元素を含んでいてもよいが、これらの軽元素を一定量以上含有すると十分な遮光性が得られなくなる場合があるため、例えば、本発明のフォトマスクブランクが特に好ましく適用される波長193nmのArFエキシマレーザ露光用のフォトマスクブランクとしては、窒素、炭素の含有率は各々20原子%以下、酸素の含有率は10原子%以下、特に窒素、炭素及び酸素の合計が40原子%以下であることが好ましい。
また、遮光膜の膜厚は20〜50nmであることが好ましい。膜厚が20nm未満では十分な遮光効果が得られない場合があり、50nmを超えると厚さ250nm以下の薄いレジストで高精度の加工が困難になったり、膜応力により基板の反りの原因になったりするおそれがある。
遮光膜は、公知の方法で形成することができるが、最も容易に均質性に優れた膜を得る方法としてスパッタリングによる成膜が常用されており、本発明においてもスパッタリング法は好ましい成膜方法である。ターゲットとしては、ケイ素と遷移金属の含有比を4:1〜15:1に調整したターゲットを単独で使用してもよいし、ケイ素ターゲット、遷移金属ターゲット、及びケイ素と遷移金属とからなるターゲット(遷移金属シリサイドターゲット)から適宜選択して、ターゲットのスパッタリング面積又はターゲットに対する印加電力を調整することによりケイ素と遷移金属の比を調整してもよい。なお、遮光膜に酸素、窒素、炭素等の軽元素を含有させる場合は、スパッタリングガスに反応性ガスとして、酸素を含むガス、窒素を含むガス、炭素を含むガスを適宜導入して反応性スパッタリングにより成膜することが可能である。
本発明においては、上述したような遮光膜上に、更に反射防止膜を積層することができる。反射防止膜は、基本的には公知のものがいずれも使用可能であるが、加工性を考慮し、構成として2つの態様が挙げられる。
1つは、反射防止膜と遮光膜とを、レジストをエッチングマスクとして同時にエッチング加工してしまう場合に適する反射防止膜で、遷移金属シリサイド酸化物、遷移金属シリサイド窒化物、遷移金属シリサイド酸窒化物、遷移金属シリサイド酸化炭化物、遷移金属シリサイド窒化炭化物、遷移金属シリサイド酸窒化炭化物などの遷移金属シリサイド化合物を主成分とするものである。この場合、遷移金属としては、遮光膜において例示した遷移金属を好適な例として例示できるが、エッチング加工性からは、遮光膜の遷移金属と同一のものを用いることが好ましく、特に、モリブデンが最も好ましい。
この場合、反射防止膜の原子組成は、遷移金属=0.2〜25原子%、Si=10〜57原子%、O=0〜60原子%、N=0〜57原子%、C=0〜30原子%の範囲で、かつ後述する膜厚とした場合、露光光に対する光学濃度ODが0.3以上1.5以下、好ましくは0.5以上1.0以下の範囲になるように設定することが好ましい。この反射防止膜の膜厚は、フォトマスクの作製又は使用時に必要な検査に用いる光の波長によっても異なるが、通常15〜30nmの膜厚とすることにより反射防止効果が得られ、特に、ArFエキシマレーザ露光用としては20〜25nmであることが好ましい。この反射防止膜のドライエッチング特性は遮光膜と同等であることから、1回のエッチング加工により遮光膜と反射防止膜とをエッチングして遮光パターンを形成することができる。
このような反射防止膜は、公知の方法によって得ることができるが、常用される方法はケイ素ターゲット、遷移金属ターゲット、及びケイ素と遷移金属とからなるターゲット(金属シリサイドターゲット)からターゲットを適宜選択し、反応性ガス又は反応性ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス気流中で反応性スパッタリングを行う方法である(例えば、特許文献9:特開平7−140635号公報参照)。
一方、もう一つの反射防止膜の態様は、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物、クロム酸窒化炭化物などのクロム化合物を主成分とするものである。既に、クロム化合物のエッチング条件である塩素系ドライエッチングがレジストにダメージを与えるものであることは前述したとおりであるが、反射防止膜としてのみ使用するのであれば、膜厚は15〜30nm程度で十分なため、レジストに問題となるようなダメージを与える前にクロム化合物の反射防止膜のエッチングを終了することができる。
また、この反射防止膜のエッチング、即ち、塩素系ドライエッチングでは、本発明の遮光膜をエッチング加工することはできないが、クロム化合物の反射防止膜をエッチング加工した後、この反射防止膜をエッチングマスクとしてケイ素と遷移金属とを含有する遮光膜をフッ素系ドライエッチングでエッチング加工すると、クロム化合物の高いエッチング耐性により、反射防止膜がエッチングマスクとして機能して高精度なエッチングが期待でき、例えば、レベンソンマスクとして使用するときのように、このエッチング段階で深く掘り込む場合などに好適である。
この場合、反射防止膜の原子組成はCr=30〜85原子%、O=0〜60原子%、N=0〜50原子%、C=0〜20原子%の範囲で、後述する膜厚とした場合、露光光に対する光学濃度ODが0.3以上1.5以下、好ましくは0.5以上1.0以下の範囲になるように設定することが好ましい。この反射防止膜の膜厚は、フォトマスクの作製又は使用時に必要な検査に用いる光の波長によっても異なるが、通常15〜30nmの膜厚とすることにより反射防止効果が得られ、特にArF露光用としては20〜25nmであることが好ましい。
このような反射防止膜は、公知の方法によって得ることができるが、常用される方法はクロムターゲットを用い、反応性ガス又は反応性ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス気流中で反応性スパッタリングを行う方法である(例えば、特許文献9:特開平7−140635号公報参照)。
本発明のフォトマスクブランクにおいては、透明基板と遮光膜との間に、エッチストッパー膜、半透明膜、MoSi系、MoZrSi系等の位相シフト膜など、上述した遮光膜及び反射防止膜と異なる他の膜を設けることができる。
次に本発明のフォトマスクブランクを使用して、フォトマスクを得る方法について説明する。上述したように、本発明のフォトマスクブランクを加工する際、反射防止膜に遷移金属シリサイド化合物を使用した場合と、クロム化合物を使用した場合では工程が一部異なるため、まず、反射防止膜が遷移金属シリサイド化合物である場合から説明する。
まず、初めに遷移金属シリサイド化合物の反射防止膜を有するフォトマスクブランク上に回路図を書きこむためのレジストパターンを形成する。この工程では、レジストを塗布する前に基板(フォトマスクブランク)表面の表面エネルギーを下げるための表面処理を行うことが好ましい。処理方法として最も好ましい方法は、半導体製造工程で常用されるHMDSやその他の有機ケイ素系表面処理剤で表面をアルキルシリル化する方法で、処理剤ガス中に基板を暴露する方法や、表面に直接塗布する方法が好ましく用いられる。この処理を行うことにより、微細パターンの剥がれや、倒れという問題の発生を低減することができる。
次に、この表面処理を行った基板(フォトマスクブランク)上にレジストを塗布し、乾燥してレジスト膜を得る。レジストは、使用する描画装置に応じて適切なものを選択する必要があるが、通常使用されるEB描画用としては、芳香族骨格をポリマー中に有するポジ型又はネガ型のレジスト、また、本発明が特に有効に用いられる微細パターン用のフォトマスク製造用としては、化学増幅型レジストを用いることが好ましい。
レジスト膜厚は良好なパターン形状が得られる範囲で、かつエッチングマスクとしての機能を果たし得る範囲である必要があるが、特にArF露光用マスクとして微細なパターンを形成しようとした場合には、膜厚は350nm以下であることが好ましく、更に250nm以下であることが好ましい。また、レジスト膜厚の下限は、レジストがもつエッチング耐性にもよるが、一般的には75nm以上が好ましく、100nm以上であることがより好ましい。なお、シリコーン系樹脂を使用したレジストと芳香族系樹脂を使用した下層膜の組み合わせによる2層レジスト法や、芳香族系化学増幅型レジストとシリコーン系表面処理剤を組み合わせた表面イメージング法を利用した場合には、更に膜厚を減じることも可能である。塗布条件、乾燥方法については使用するそれぞれのレジストに適する方法を適宜選定する。
レジストへの描画は、EB照射による方法や、光照射による方法があるが、一般的にはEB照射による方法が微細パターンを形成するためには好ましい方法である。化学増幅型レジストを使用した場合には、通常3〜30mC/cm2の範囲のエネルギーにより描画を行い、描画後、加熱処理を行い、その後にレジスト膜を現像処理してレジストパターンを得る。
次に、上記で得たレジストパターンをエッチングマスクとして遮光膜のエッチング加工を行う。エッチングは公知のフッ素系のドライエッチングで行うことにより、この態様の反射防止膜の場合は、反射防止膜及び遮光膜を同時にエッチング加工することができる。また、反射防止膜をエッチングした後、遮光膜を塩素系ドライエッチングでエッチングすることも可能であり、この場合、酸素を多く含む遷移金属シリサイド化合物の膜はエッチングされず、酸素含有量が少ない遷移金属シリサイド化合物の膜はエッチングされるから、反射防止膜の酸素含有量を遮光膜の酸素含有量より多く設定すれば、反射防止膜をエッチングマスクとすることもでき、より高精度な加工を行うことができる。
更に、エッチングにより遮光パターンを得た後、レジストを所定の剥離液で剥離すると、遮光膜パターンが形成されたフォトマスクが得られる。なお、ハーフトーン位相シフトマスクやレベンソンマスクの場合、遮光膜のエッチング条件により代表的な位相シフト材料である酸化ケイ素膜や、半透明膜である金属シリサイド酸化窒化膜等の金属シリサイド化合物膜は、遮光膜をエッチングする条件で同時にエッチングすることもできるため、ハーフトーン位相シフトマスクやレベンソンマスクに用いることも好適である。
例えば、位相シフトマスクの場合には、一般に位相シフトパターンの形成後、遮光膜パターンを一部除去するが、この場合、常法に従い、レジストを再塗布し、パターンを形成した後、反射防止膜及び遮光膜をフッ素系ドライエッチングでエッチング除去することができる。このエッチングにおいては遮光膜のエッチングの終了は、公知の方法、例えばエッチング原子の検出や反射率の検出によって判断することができる。また、上記の通り、反射防止膜をエッチング後、塩素系ドライエッチングを用いて遮光膜をエッチング除去すれば、オーバーエッチングを防止することが可能である。なお、反射防止膜が形成されていない構成のフォトマスクブランクを加工する場合も、上述した方法と同様の方法で可能である。
次に、反射防止膜がクロム化合物である場合に、フォトマスクブランクを加工してフォトマスクを作製する場合について説明する。この場合、レジストパターンを得るまでについては反射防止膜が遷移金属シリサイド化合物であるものと同様の操作によりレジストパターンを得ることができる。次の段階であるドライエッチング工程は、塩素系のドライエッチング、特に塩素に酸素を含有させた塩素系ドライエッチングでエッチング加工できる。この塩素系のドライエッチングにおいては、レジストのような有機膜は、フッ素系のエッチングに比べてエッチングされてしまうものであるが、この反射防止膜は、通常15〜30nm程度の膜厚で機能するものであり、このエッチングは反射防止膜だけを対象とするものであるから短時間で可能であり、100〜250nmの膜厚のレジストでも精度良く加工することが可能である。
より高精度の加工を行うためには、遮光膜をエッチングする際、エッチングをフッ素系ドライエッチングに変更する。この遮光膜のエッチングにおいては、反射防止膜であるクロム化合物膜がフッ素系ドライエッチングによりほとんどエッチングされないため、エッチングマスクの役目を果たし、容易に精度良く加工することができる。この工程後、所定の方法でレジストを剥離すればフォトマスクが完成する。この方法は、例えばレベンソンマスクへの加工や、位相シフト膜を備える位相シフトマスクへの加工において、クロム化合物系反射防止膜をエッチングマスクとして使用できることになるので、透明基板と遮光膜との間の下層膜を深く正確に掘り込む必要がある場合などにおいて有利である。
上記の工程により完成したフォトマスクは、硫酸−過酸化水素水及び/又はアンモニア水−過酸化水素水による最終洗浄を行い完成する。この洗浄時に遮光膜が洗浄条件に耐える化学的安定性を有していない場合、遮光膜部分が反射防止膜より食い込んだ形になり、特にバイナリーマスクや高透過型ハーフトーンマスクブランクを使用したトライトーンマスクではマスク精度が大幅に低下し、低透過型のハーフトーンマスクの場合のように外周のみに遮光膜がある場合にも、反射防止機能の低下による問題が生じる。
一般に、アンモニア過水(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:30(容量比)及び硫酸過水(硫酸:過酸化水素水=4:1(容量比))に1時間浸漬する耐性試験において、両条件共に膜厚変化量が5nm以下、特に3nm以下であるものは、上記問題を生じない良好なものとされるが、本発明においては、このような耐性試験の膜厚変化量が上記範囲を満たし、化学的安定性(薬品耐性)に優れたものである。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜5及び比較例1〜3]
以下に示す方法により、基板上に遮光膜を成膜したフォトマスクブランクを作製した。
図1に示されるような2つのターゲットを設けた直流スパッタ装置を用いて、石英基板上にケイ素とモリブデンとからなる遮光膜を成膜した。なお、図1中、1は基板、101はチャンバー、102a,102bはターゲット、103はスパッタガス導入口、104は排気口、105は基板回転台、106a,106bは電源である。
このとき、スパッタガスを表1に示される所定量で導入し、スパッタチャンバー内のガス圧が0.05Paになるように設定した。なお、この場合、ターゲットとしては、遷移金属源としてMoターゲット、ケイ素源としてSi(単結晶)ターゲットの2種を用い、各々のターゲットに表1に示される所定の放電電力を印加して、基板を30rpmで回転させながらケイ素とモリブデンとが各々表1に示される含有比率となるようにMoSi膜又はMoSiON膜を、成膜時間を調整して所定の膜厚に成膜した。得られた遮光膜の中の軽元素の含有率(ESCAにより測定)を表1に併記する。
化学的安定性(薬品耐性)
遮光膜を39nmの膜厚で成膜したものをアンモニア過水(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:30(容量比))又は硫酸過水(硫酸:過酸化水素水=4:1(容量比))にそれぞれ1時間浸漬した場合の膜厚変化量を測定した。結果を表2に示す。
導電性
遮光膜を39nmの膜厚で成膜したものにより、遮光膜の導電性を三菱化学社製 4端針シート抵抗測定器 MCP−T600を用いて測定した。結果を表2に示す。
光学濃度の膜厚依存性及び波長依存性
表3に示される各膜厚で遮光膜を上記条件で成膜したものについて、分光光度計により、光を透明基板側から入射させた場合の遮光膜の光学濃度を分光光度計にて測定した。結果を表3に示す。また、実施例1の遮光膜の波長248nm及び193nmの光に対する光学濃度の膜厚依存性を図2に、実施例1並びに比較例1及び2の遮光膜の波長193nmの光に対する光学濃度の膜厚依存性を図3に、更に、参考として金属Cr膜の光学濃度及びその膜厚依存性を表3及び図4に各々示す。
実施例1の遮光膜は、図2に示されるように、膜厚40nm付近における光学濃度として193nm、248nmのいずれの波長においても3.0程度となり、クロム系遮光膜(図4参照)よりも優れた遮光性を確保できることがわかる。一方、比較例1の遮光膜は、図3に示されるように、膜厚40nm付近における光学濃度は、193nmの波長において2.5程度であり、金属クロム遮光膜(図4参照)と比較して遮光性に有意差はなかった。一方、比較例3の遮光膜は、シート抵抗が高く、導電性を満足しないものであることがわかる。
更に、実施例1の遮光膜(膜厚39nm)を用いて光学濃度の波長依存性を分光光度計にて測定した。結果を図5に示す。図5に示されるように、この遮光膜が短波長側での光学濃度に優れ、DUVリソグラフに適した遮光特性であることが確認された。
これらの結果から、本発明のフォトマスクブランクは、その遮光膜によって、248nm以下の波長の光に対して、40nm程度の膜厚で3程度の光学濃度が確保可能であり、本発明のフォトマスクブランク及びこれから得られるフォトマスクが、従来の遮光膜としてクロム系膜を用いたものに比べて遮光性に優れたものとなることが確認できた。これは、遮光膜の薄膜化が可能となり、その結果、ドライエッチ時間の短縮が、また、レジスト膜厚の薄膜化によるパターニング精度向上が可能となることを意味する。更に、本発明のフォトマスクブランクは、その遮光膜がマスク製造工程で一般的な洗浄液であるアンモニア過水および硫酸過水に対する耐性に優れるものであり、洗浄を繰り返した場合においてもパターン寸法変動を最小限に抑えられることがわかる。
[実施例6〜12]
以下に示す方法により、基板上に遮光膜と反射防止膜とを成膜したフォトマスクブランク(バイナリーマスクブランク)を作製した。
モリブデンシリサイド化合物反射防止膜(実施例6〜9)
まず、実施例1と同様の条件で、膜厚25nmの遮光膜(Si:Mo=9:1(原子比))を成膜した。
次に、図1に示されるような2つのターゲットを設けた直流スパッタ装置を用いて、上記遮光膜上にモリブデンシリサイド窒化物の反射防止膜を成膜した。このとき、スパッタガスとしてArガスを5sccm、N2ガスを50sccm、O2ガスを0.2sccm導入し、スパッタチャンバー内のガス圧が0.1Paになるように設定した。なお、この場合、ターゲットとしては、遷移金属源としてMoターゲット、ケイ素源としてSi(単結晶)ターゲットの2種を用い、Moターゲットに150W、Siターゲットに850Wの放電電力を印加して、基板を30rpmで回転させながらケイ素とモリブデンとがSi:Mo=4.5:1(原子比)の含有比率となるようにMoSiN膜を、成膜時間を調整して表4に示される膜厚に成膜した。
クロム化合物反射防止膜(実施例10〜12)
まず、実施例1と同様の条件で、膜厚39nmの遮光膜(Si:Mo=9:1(原子比))を成膜した。
次に、一般的に用いられているシングルターゲットのマグネトロンDCスパッタ装置を用いて、上記遮光膜上にクロム酸窒化膜の反射防止膜を成膜した。このとき、スパッタガスとしてArガスを10sccm、N2ガスを30sccm、O2ガスを15sccm導入し、スパッタチャンバー内のガス圧が0.1Paになるように設定した。なお、この場合、ターゲットとしては、Crターゲットを用い、Crターゲットに1000Wの放電電力を印加して、基板を30rpmで回転させながらCrON膜を、成膜時間を調整して表4に示される膜厚に成膜した。
光学濃度
上記フォトマスクブランクについて、分光光度計により、光を透明基板側から入射させた場合の遮光膜の光学濃度を分光光度計にて測定した。結果を表5に示す。反射防止膜の膜厚が23nm(遮光膜と合わせて48nm)で波長193nmの光における光学濃度が3.0程度となり、クロム系遮光膜を用いた場合、光学濃度3.0を得るのに通常56nm程度のトータル膜厚が必要であることから、本発明のフォトマスクブランクが遮光膜と反射防止膜とを積層した場合においても薄膜化が可能であることがわかる。
反射率の膜厚及び波長依存性
実施例6〜12のフォトマスクブランクについて、分光光度計により、光を膜面側から入射させた場合の反射率の波長依存性を測定した。結果を表5及び図6に示す。表5及び図6に示されるように、反射防止膜が19〜37nmであれば257nm又は365nmの波長で10〜20%の反射率が得られ、一般に市販されている欠陥検査装置で検査が可能であることが確認された。
化学的安定性(薬品耐性)
上記フォトマスクブランクについて、アンモニア過水(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:30(容量比))又は硫酸過水(硫酸:過酸化水素水=4:1(容量比))にそれぞれ1時間浸漬した場合の反射率変化量を島津製作所社製 分光光度計 UV−2400PCにて測定した。その結果、いずれの条件においても波長365nmにおける反射率変化が1%以下であり、実用上問題がないことが確認された。
ドライエッチング特性
実施例6のフォトマスクブランクを用い、化学増幅型レジスト(膜厚180nm)による電子線リソグラフィーでレジストパターンを形成し、これをエッチングマスクとして、CF4によるドライエッチング(CF4=80sccm 60W 2Pa)を行い、その断面を走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、エッチング断面形状は良好であり、遮光膜と反射防止膜との間に段差は確認されず、フッ素系ドライエッチングによって、遮光膜と反射防止膜とを一操作でパターニング可能であることが確認できた。
一方、実施例10のフォトマスクブランクを用い、化学増幅型レジスト(膜厚100nm)による電子線リソグラフィーでレジストパターンを形成し、塩素+酸素系ドライエッチング(Cl2=80sccm O2=2sccm 60W 2Pa)によりCrON反射防止膜のパターニングを行った。その断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、エッチング断面形状は良好であり、遮光膜へのエッチングは、殆ど進んでいないことが確認できた。次に、CrON反射防止膜のパターニングを行ったものに対して、レジスト除去後にフッ素系ドライエッチング(CF4=80sccm 60W 2Pa)を実施した。その結果、エッチング断面形状は良好であり、遮光膜と反射防止膜との間に段差は確認されなかった。これらの結果から、このCrON反射防止膜が、遮光膜をパターニングする際のハードマスクとして使用可能であることがわかる。
以上の結果から、本発明のフォトマスクブランクからフォトマスクを作製する際のレジストの必要膜厚を劇的に薄くすることが可能になることがわかる。
[実施例13]
以下のように、ハーフトーン位相シフトマスクブランクを作製し、ハーフトーン位相シフトマスクへ加工した。
まず、スパッタリングターゲットとしてMoZrSi4焼結体とSi単結晶を使用し、MoZrSi4ターゲットに560W、Siターゲットに1000Wの放電電力を印加して、基板を30rpmで回転させながらスパッタ成膜を行い、6インチ角の石英基板上に厚み10nmの第1層を成膜した。このときスパッタガスとして、8sccmのAr、20sccmのN2及び5sccmのO2の混合ガスを導入した。また、スパッタ時のガス圧力は0.15Paになるように設定した。
次に、放電電力をMoZrSi4ターゲットが430W、Siターゲットが1000Wとなるように変更し、スパッタガスを15sccmのAr、100sccmのN2及び1sccmのO2の混合ガスに変更し、基板を30rpmで回転させながら、ガス圧力0.25Paにて表1に示される厚み40nmの第2層を成膜した。
更に、放電電力をMoZrSi4ターゲットが430W、Siターゲットが1000Wとなるように変更し、スパッタガスを5sccmのAr、50sccmのN2及び1sccmのO2の混合ガスに変更し、基板を30rpmで回転させながら、ガス圧力0.1Paにて厚み20nmの第3層を成膜し、ハーフトーン位相シフト膜を得た。
次に、上記のハーフトーン位相シフト膜上に実施例6と同様のモリブデンシリサイドの遮光膜とモリブデンシリサイド窒化物の反射防止膜を、実施例6と同様の方法により、遮光膜の膜厚を10nm、反射防止膜の膜厚を20nmとして積層し、遮光膜及び反射防止膜を積層したハーフトーン位相シフトマスクブランクを得た。
このハーフトーン位相シフトマスクブランク上に、化学増幅型レジスト(膜厚250nm)による電子線リソグラフィーでレジストパターンを形成し、レジストパターンをエッチングマスクとして、CF4によるドライエッチング(CF4=80sccm 60W 2Pa)を行い、反射防止膜、遮光膜及びハーフトーン位相シフト膜をエッチングした。なお、エッチング終点は、反射率モニタによる反射率変化から判断した。
次に、ハーフトーン位相シフトパターン上の遮光膜をエッチングするため、まず、レジストパターンを常法により剥離し、再度、ネガ型レジストを塗布成膜した。これに遮光パターンを残す外枠部分にパターン照射を行った後、更にハーフトーンパターンがすでにエッチング除去されている部分の基板表面を保護するため、加工中の基板を裏面より光全面照射し、レジスト膜を現像すると、外枠部分とハーフトーンパターンのない部分だけにレジストが残存するレジストパターンが形成された。このレジストパターンをエッチングマスクとしてCF4によるドライエッチング(CF4=80sccm 60W 2Pa)を行い、反射防止膜がエッチングできた段階で、次にCl2によるドライエッチング(Cl2=80sccm 60W 2Pa)で遮光膜をエッチングした。なお、夫々の膜のエッチング終点は、反射率モニタによる反射率変化から判断した。
このマスクパターンの断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、エッチング形状は良好であった。また、ハーフトーン位相シフト膜の位相および透過率についても許容できるものであった。
[実施例14]
実施例13と同様の方法で石英基板上にハーフトーン位相シフト膜を成膜し、このハーフトーン位相シフト膜上に実施例10と同様のモリブデンシリサイドの遮光膜とクロム酸化窒化物の反射防止膜を、実施例10と同様の方法により、遮光膜の膜厚を10nm、反射防止膜の膜厚を20nmとして積層し、遮光膜及び反射防止膜を積層したハーフトーン位相シフトマスクブランクを得た。
このハーフトーン位相シフトマスクブランク上に、化学増幅型レジスト(膜厚100nm)による電子線リソグラフィーでレジストパターンを形成し、レジストパターンをエッチングマスクとして、塩素+酸素系ドライエッチング(Cl2=80sccm O2=2sccm 60W 2Pa)によりCrON反射防止膜のパターニングを行った。次にCF4によるドライエッチング(CF4=80sccm 60W 2Pa)を行い、遮光膜及びハーフトーン位相シフト膜をエッチングした。
次に、レジストパターンを常法により剥離し、再度レジスト膜を形成した後に、遮光パターンを残す部分だけにレジストが残存するレジストパターンを形成した。このレジストパターンをエッチングマスクとして上記塩素+酸素系ドライエッチングにより反射防止膜のエッチングを行った後、Cl2によるドライエッチング(Cl2=80sccm 60W 2Pa)で遮光膜をエッチングした。なお、夫々の膜のエッチング終点は、反射率モニタによる反射率変化から判断した。
このマスクパターンの断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、エッチング形状は良好であった。また、ハーフトーン位相シフト膜の位相および透過率についても許容できるものであった。

Claims (12)

  1. 透明基板上に露光光に対して透明な領域と実効的に不透明な領域とを有するマスクパターンを設けたフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクであり、
    透明基板上に、他の膜(A)を介して又は介さずに1層又は2層以上の遮光膜が形成され、更に反射防止膜が積層されたバイナリーマスクブランクであって、
    前記露光光が250nm以下の波長の光であり、
    前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が主成分としてケイ素と遷移金属とを含み、かつケイ素と遷移金属との比がケイ素:金属=4〜15:1(原子比)であり、
    前記露光光に対する光学濃度が、遮光膜と反射防止膜とを合わせて2.5以上であることを特徴とするフォトマスクブランク。
  2. 前記露光光が波長193nmのArFエキシマレーザであることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
  3. 前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が、更に、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクブランク。
  4. 前記露光光が波長193nmのArFエキシマレーザであり、前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が、更に、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種以上を含有し、酸素の含有率が10原子%以下、窒素の含有率が20原子%以下、炭素の含有率が20原子%以下、かつ酸素、窒素及び炭素の合計が40原子%以下であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
  5. 前記遮光膜を構成する層の少なくとも1層(B)が、酸素及び窒素を含有することを特徴とする請求項3又は4記載のフォトマスクブランク。
  6. 前記遷移金属がモリブデンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
  7. 前記遮光膜の膜厚が20〜50nmであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
  8. 前記反射防止膜が遷移金属シリサイド酸化物、遷移金属シリサイド窒化物、遷移金属シリサイド酸窒化物、遷移金属シリサイド酸化炭化物、遷移金属シリサイド窒化炭化物又は遷移金属シリサイド酸窒化炭化物を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
  9. 前記反射防止膜の遷移金属シリサイドがモリブデンシリサイドであることを特徴とする請求項記載のフォトマスクブランク。
  10. 前記反射防止膜がクロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物又はクロム酸窒化炭化物を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
  11. 前記反射防止膜の膜厚が15〜30nmであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項記載のフォトマスクブランクを用いて透明基板上に露光光に対して透明な領域と実効的に不透明な領域とを有するマスクパターンを形成してなることを特徴とするフォトマスク。
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