JP4405585B2 - フォトマスクブランクおよびフォトマスクならびにこれらの製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体集積回路、CCD(電荷結合素子)、LCD(液晶表示素子)用カラーフィルタ、および磁気ヘッドなどの微細加工に用いられるフォトマスク技術に関する。
近年では、大規模集積回路の高集積化に伴う回路パターンの微細化要求などに応えるために、高度の半導体微細加工技術が極めて重要な要素技術となってきている。例えば、大規模集積回路の高集積化は、回路を構成する配線パターンの細線化技術や、セルを構成する層間の配線のためのコンタクトホールパターンの微細化技術を必須のものとして要求する。大規模集積回路のパターン微細化が加速されるのは、その高速動作と低消費電力化のためであり、その最も有効な方法がパターンの微細化だからである。
このような高度の微細加工の殆どはフォトマスクを用いるフォトリソグラフィ技術により施されるものであるため、フォトマスクは露光装置やレジスト材料とともに微細化技術を支える基本技術となっている。このため、上述の細線化された配線パターンや微細化されたコンタクトホールパターンを有するフォトマスクを実現する目的で、より微細且つより正確なパターンをフォトマスクブランク上に形成するための技術開発が進められてきた。
高精度のフォトマスクパターンをフォトマスク基板上に形成するためには、フォトマスクブランク上に形成するレジストパターンを高精度でパターニングすることが前提となる。半導体基板を微細加工する際のフォトリソグラフィは縮小投影法により実行されるため、フォトマスクに形成されるパターンのサイズは半導体基板上に形成するパターンサイズの4倍程度の大きさとされるが、このことはフォトマスクに形成されるパターンの精度が緩和されることを意味するものではなく、むしろ露光後に半導体基板上に得られるパターン精度よりも高い精度でフォトマスクパターンを形成することが求められる。
また、現在では、フォトリソグラフィで半導体基板上に描画される回路パターンのサイズは露光光の波長よりもかなり小さなものとなってきているため、回路パターンをそのまま4倍に拡大したフォトマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用して縮小露光を行うと、露光光の干渉などの影響により、フォトマスクパターン通りの形状をレジスト膜に転写することはできない。
そこで、超解像マスクとして、いわゆる光近接効果補正(Optical Proximity Effect Correction : OPC)を行うことで転写特性を劣化させる光近接効果の補正技術を適用したOPCマスクや、隣り合った開口パターンの位相を180°変化させて隣接する開口パターンの中間での光振幅をゼロとする位相シフトマスクが標準的に用いられている。例えば、OPCマスクには回路パターンの1/2以下のサイズのOPCパターン(ハンマヘッドやアシストバーなど)を形成する必要がある。
このように、半導体基板上に回路パターンを得るためのフォトリソグラフィのみならず、フォトマスクブランクにパターン形成するためのフォトリソグラフィにおいても、高精度のパターニング技術が求められている。フォトリソグラフィ性能の指標のひとつに「限界解像度」があるが、フォトマスクのパターニング工程でのフォトリソグラフィには、半導体基板上への回路パターニング工程でのフォトリソグラフィと同等もしくはそれ以上の高い限界解像度が求められることとなる。
ところで、フォトマスクパターンを形成するためには、通常は、透明基板上に遮光層を設けたフォトマスクブランクの上にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に電子線を照射してパターン描画を行い、フォトレジスト膜を現像してレジストパターンを得る。そして、このレジストパターンを遮光層用のエッチングマスクとして遮光層をパターニングしてフォトマスクパターンを得る。このような手法で微細なフォトマスクパターンを得るためには、フォトレジスト膜の薄膜化と遮光層の材料選択とが重要となる。
形成するフォトマスクパターンの微細化に対応してレジストパターンも微細化されることとなるが、レジスト膜の膜厚を薄くすることなくレジストパターンのみを微細化すると、遮光層用のエッチングマスクとして機能するレジスト部のアスペクト比(レジスト膜厚とパターン幅との比)が大きくなってしまう。
一般に、レジストパターンのアスペクト比が大きくなるとそのパターン形状が劣化しやすく、これをエッチングマスクとする遮光層へのパターン転写精度が低下してしまう。また、極端な場合には、レジストパターンの一部が倒れたり剥離を起こしてパターン抜けが生じたりすることも起こる。したがって、フォトマスクパターンの微細化に伴って、遮光層パターニング用のエッチングマスクとして用いるレジストの膜厚を薄くしてアスペクト比が大きくなりすぎないようにする必要がある。
一方、フォトレジストをエッチングマスクとしてパターニングを施す場合の遮光膜材料についてはすでに多くの材料が提案されてきた。このうち、クロム化合物膜はそのエッチングに対する情報量が多く、実用上は常にクロム化合物が遮光膜材料として用いられてきており、事実上の標準加工工程として確立されている。例えば、特許文献1乃至3には、ArF露光用のフォトマスクブランクに求められる遮光特性を有する遮光膜をクロム化合物で形成したフォトマスクブランクの構成例が開示されている。
クロム化合物の遮光膜は一般的には酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターニングされるが、このエッチング条件はフォトレジストなどの有機膜に対しても無視できない程度のエッチング効果を奏することが多い。このため、膜厚が比較的薄いレジスト膜をマスクとして遮光膜のエッチングを実行すると、このエッチング中にレジストがダメージを受けてレジストパターンの形状が変化し、本来のレジストパターンを遮光膜上に正確に転写することが困難となる。
しかしながら、有機膜であるフォトレジストに、高い解像性及び高いパターニング精度とエッチング耐性とを同じに両立させることは技術的に困難であり、従来のパターニングのプロセスを踏襲する限り、高解像性を得るためにはフォトレジスト膜を薄膜化しなければならない反面、パターニング工程におけるエッチング耐性を担保するためにはフォトレジスト膜の薄膜化が制限されるということとなり、高解像性とエッチング耐性との間にトレードオフの関係が生じる結果となる。
このため、フォトレジストへの負荷を低減させてより高精度のフォトマスクパターンを形成するためには、遮光膜材料の選択を最適化してフォトマスクブランクの新たな構造を提案することが必要となる。
特開2003−195479号公報 特開2003−195483号公報 登録実用新案第3093632号公報 特開2001−312043号公報 特開昭63−85553号公報 特開平7−140635号公報
遮光膜材料については既に多くの検討例があり、例えば特許文献4には、ArF露光用の遮光層としてタンタル金属膜を用いた例が報告されている。この例では、遮光層としてタンタル金属膜を、反射防止層として酸化タンタル膜を用い、この2層をエッチングする際のフォトレジストへの負荷を低減するために、フォトレジストに対して比較的ダメージを与え難いフッ素系のガスプラズマでエッチングを実行することとされている。しかしながら、例えこのようなエッチング条件を選択したとしても、遮光層と反射防止層の2層を、フォトレジストのみをマスクとしてエッチングする以上は、フォトレジストへの負荷低減には限界があり、微細なフォトマスクパターンを高精度で形成に対するという要求を充分に満足することは困難である。
一方、ハードマスクを用いることでドライエッチング時のフォトレジストへの負担を軽減させるという手法も知られており、例えば特許文献5には、金属シリサイド膜上に形成したSiO2膜をエッチングマスクとして金属シリサイド膜のドライエッチングを実行するという手法が開示されている。しかしながら、SiO2膜は導電性に乏しいために、電子ビーム露光時にチャージアップが生じてしまうという問題が起りやすい。また、フォトマスクブランクの欠陥検査は反射率に基づいてなされるのが一般的であり、ArF露光用マスクの欠陥検査には257nmの波長の光が使用されるが、正確な欠陥検査のためにはこの波長の光において10〜20%程度の反射率が必要とされる。しかし、SiO2膜をエッチングマスクとして用いると、このSiO2膜の反射率が高すぎて欠陥検査そのものの障害となるという問題がある。
このように、従来のフォトマスクブランクの構造では、微細なフォトマスクパターンを高精度で形成するという要求に充分に応えることは困難であり、このことは露光光波長が短く高い解像度が求められる250nm以下の波長の光を露光光として用いるフォトリソグラフィ用フォトマスク(KrF:248nm、ArF:193nm、F2:157nm)で特に深刻である。したがって、フォトレジストへの負荷を低減させてより高精度のフォトマスクパターンを形成するための遮光膜の材料選択が極めて重要となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、フォトマスクパターンを形成する際のマスクとして用いられるフォトレジストへの負担を軽減させることにより、微細なフォトマスクパターンを高精度で形成することが可能な構造の遮光膜を備えたフォトマスクブランク、およびそれを用いて作製されたフォトマスクを提供することにある。
本発明はこのような課題を解決するために、本発明のフォトマスクブランクは、露光光に対して透明な基板上に設けられた光学膜上に、第1遮光性膜と第2遮光性膜とが順次積層された遮光性膜を備えたフォトマスクブランクであって、前記第1遮光性膜はフッ素系ドライエッチングでは実質的にエッチングされないクロム(Cr)を主成分とする膜厚3nm以上15nm以下の層からなり、前記第2遮光性膜はフッ素系ドライエッチングが可能な珪素含有化合物を主成分とする層を含み、前記第1遮光性膜と第2遮光性膜と光学膜の光学濃度の総和は2.5以上であることを特徴とする。
好ましくは、前記珪素含有化合物は、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物である。
また、好ましくは、前記遷移金属は、チタン(Ti)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選択された少なくとも1種の金属元素である。
例えば、前記珪素含有化合物は、珪素10〜95at%、酸素0〜60at%、窒素0〜57at%、遷移金属0〜35at%、の範囲の組成を有する。
好ましくは、前記第2遮光性膜の露光光に対する光学濃度は0.2〜3.0、より好ましくは0.5〜2.5であり、前記第2遮光性膜の膜厚は10nm以上55nm以下、より好ましくは25nm以上55nm以下である。
また、好ましくは、前記第2遮光性膜の窒素含有量は5at%以上20at%以下であり、前記第2遮光性膜の露光波長での消衰係数kは、前記基板側から表面側にかけて漸次減少するプロファイルをもつ。
前記第1遮光性膜は、例えば、金属クロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物、またはクロム酸窒化炭化物を主成分とする膜である。
好ましくは、前記第1遮光性膜は、クロム30〜95at%、酸素0〜60at%、窒素0〜50at%、炭素0〜20at%、の範囲の組成を有する。
好ましくは、前記第1遮光性膜の露光光に対する光学濃度は、0.3〜3.0、より好ましくは0.5〜2.0であり、前記第1遮光性膜の膜厚は5nm以上15nm以下である。
前記第1遮光性膜と前記第2遮光性膜の少なくとも一方は、複数層を順次積層させた多層構造を有する構成としてもよい。
また、前記第2遮光性膜は反射防止機能を有する構成としてもよい。
例えば、前記光学膜は位相シフト層を含む膜である。
また、例えば、前記位相シフト層はハーフトーン位相シフト層であり、該ハーフトーン位相シフト膜は、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物である。
さらに、例えば、前記光学膜はフッ素系ドライエッチングが可能な膜であり、前記第2遮光性膜と同一条件下でフッ素系ドライエッチングを施してエッチング除去される時間(クリアタイム)は、前記第2遮光性膜のクリアタイムよりも長い。
本発明によれば、第1の遮光性膜と第2の遮光性膜の成膜材料を、互いにドライエッチング特性の異なるものとし、これら第1遮光性膜と第2遮光性膜と光学膜の光学濃度の総和も考慮した最適な組み合せとしたので、フォトマスクパターンを形成する際のマスクとして用いられるフォトレジストへの負担を軽減させることが可能となり、その結果、微細なフォトマスクパターンを高精度で形成することが可能となる。
本発明のフォトマスクブランクの基本構造例を説明するための断面概略図である。 本発明のフォトマスクブランクの成膜に用いたスパッタリング装置の構成を説明するための概略断面図である。 CrN(Cr:N=9:1)の第1の遮光性膜上に、膜厚が23.4nmのMoSiNの第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクの光学濃度(OD)の波長依存性を示す図である。 波長190nmから600nmの範囲の光に対する反射率を測定した結果を示す図である。 バイナリーフォトマスクの製造プロセスを説明するための図である。 位相シフトマスクの第1の製造プロセスを説明するための図である。 位相シフトマスクの第2の製造プロセスを説明するための図である。 クロム化合物を第2の遮光性膜として備えるバイナリーフォトマスクブランクに基板側から光を入射させた場合の遮光性膜の光学濃度の波長依存性を分光光度計で測定した結果を示す図である。 クロム化合物を第2の遮光性膜として備えるバイナリーフォトマスクブランクの、波長190nmから600nmの範囲の光に対する反射率を測定した結果を示す図である。 第2の遮光性膜中の最小窒素含有量がそれぞれ、0at%(a)、5at%(b)、および10at%(c)の場合の、遮光性膜のドライエッチング断面形状を説明するためのSEM像である。 実施例6における、CrN(Cr:N=9:1)の第1の遮光性膜(膜厚10nm)上に、膜厚が51nmのMoSiNの第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクの光学濃度(OD)と最小窒素含有量の関係を示す図である。 実施例6における、第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクに、遮光性膜側から光を入射させた場合の反射光の強度を分光光度計で測定して反射率の波長依存性を測定した結果を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明者らは、フォトマスクのパターン形成に際してマスクとして用いられるフォトレジストへの負担を軽減させるために鋭意検討を重ねた結果、従来のフォトマスクブランクの問題点が、クロム系材料の遮光膜の上に設けられる反射防止膜を遮光膜と同様のクロム系材料で形成していたために反射防止膜と遮光膜の(ドライ)エッチング特性が類似したものとなってしまい、その結果、反射防止膜と遮光膜を単一のフォトレジストマスクで加工しなければならないこととなる点にあるとの結論に至った。そして、反射防止機能を有する遮光性膜(実質的な反射防止膜:以下「第2の遮光性膜」ということがある。)と実質的な遮光膜として機能する遮光性膜(以下「第1の遮光性膜」ということがある。)に互いにドライエッチング特性の異なる材料を最適に選択して組み合わせることにより、フォトマスクパターン形成時のレジストマスクへの負担を軽減させることが可能であることを見出した。
したがって、本発明においては、反射防止機能を有する第2の遮光性膜と実質的な遮光膜として機能する第1の遮光性膜の材料として互いにエッチング特性の異なるもの(異種材料系)を選択し、このエッチング選択性を利用してフォトマスクパターン形成時のレジストマスクへの負担を軽減するという新規な構造を採用している。
詳細は後述するが、第1の遮光性膜と第2の遮光性膜の材料のエッチング選択性を利用すれば、第2の遮光性膜のエッチングマスクとしてのみレジストマスクを用い、パターニングされた第2の遮光性膜をハードマスクとして第1の遮光性膜のエッチングを行うということが可能となる。特に、第2の遮光性膜の材料としてフォトレジストへの負荷が比較的軽いフッ素系ドライエッチングで加工が可能な材料(例えば、珪素化合物や金属珪素化合物、特に金属珪素酸化物、金属珪素窒化物、あるいは金属珪素酸化窒化物など)を選択すれば、レジストマスクへの負荷は大幅に低減されてレジストパターンの形状変化が顕著に減少することとなり、反射防止機能を有する第2の遮光性膜に本来のレジストパターンを正確に転写することができる。そして、このパターニングされた第2の遮光性膜をハードマスクとして、クロムを主成分とする第1の遮光性膜(クロム系遮光膜)をエッチングすることにより、実質的な遮光膜として機能する第1の遮光性膜上に所定のフォトマスクパターンを正確に転写されることとなる。なお、残存するレジストマスクを用いてクロムを主成分とする第1の遮光性膜(クロム系遮光膜)をエッチングすることも可能である。
また、本発明のフォトマスクブランクの構成では、レジストマスクを用いて実行されるエッチングの時間も短縮されるためにレジスト膜厚を薄くすることが可能となるから、フォトマスクパターンを微細化してもアスペクト比が大きくなりすぎることがなく、パターン形状の劣化に伴うパターン転写精度の低下や、レジストパターンの一部剥離に起因するパターン抜けなどの不都合も回避することができる。
このように、フォトレジストへの負荷の比較的軽いフッ素系ドライエッチング加工が可能な材料を、反射防止機能を有する第2の遮光性膜の材料として選択し、この第2の遮光性膜上に比較的薄い膜厚のフォトレジストマスクを形成して第2の遮光性膜をパターニングし、この第2の遮光性膜をハードマスクとして第1の遮光性膜(クロム系遮光膜)をエッチングすることとすれば、フォトマスクブランクのパターニング工程においてフォトレジストのエッチング耐性を担保するためにフォトレジスト膜の薄膜化が制限されるという制約がなくなり、高解像性を得るためのフォトレジスト膜の薄膜化が可能となる。つまり、従来のフォトマスクブランクの構造が抱える問題点(高解像性とエッチング耐性との間のトレードオフの関係)が解消され、フォトレジストへの負担を軽減させて、微細なフォトマスクパターンを高精度で形成することが可能となる。
以下に、実施例により、本発明をより詳細に説明する。
(フォトマスクブランクの基本構造)
図1は、本発明のフォトマスクブランクの基本構造例を説明するための断面概略図で、このフォトマスクブランクの基本構造は、図1(a)に図示したように、光学的に透明な基板11の一方主面に遮光性膜12が設けられており、この遮光性膜12が第1の遮光性膜13と第2の遮光性膜14を順次積層させて構成されている。基板11としては、石英ガラスやCF2あるいはアルミノシリケートガラスなどの一般的な透明基板を用いることができる。また、第1の遮光性膜13はフッ素系のドライエッチング(F系ドライエッチング)では実質的にエッチングされない膜であり、その主成分はクロムである。さらに、第2の遮光性膜14はF系ドライエッチングが可能な珪素含有化合物を主成分とする膜である。
ここで、第2の遮光性膜14の主成分である珪素含有化合物には、例えば、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物を選択することができる。このような遮光性膜では導電性を確保することができるために電子線による描画を行う際のチャージアップ抑制効果に優れており、特に遷移金属が含まれる場合に、この特徴が強く期待できる。また、後述するように反射率の波長依存性にも優れている。
珪素含有化合物に含有される遷移金属としては、例えば、チタン(Ti)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選択された少なくとも1種の金属元素とすることができるが、ドライエッチング加工性や薬品耐性および導電性の観点からはモリブデンが最も好ましい。このような遷移金属を含有させた膜は、薬品耐性や導電性および光学特性に優れた反射防止膜としての機能を備えている。
第2の遮光性膜14の材料である珪素含有化合物の組成(原子数比:at%)は、珪素が10〜95at%、酸素が0〜60at%、窒素0〜57at%、遷移金属が0〜35at%、の範囲となるように設定され、好ましくは遷移金属を少なくとも0.2at%以上含有させるようにする。なお、必要に応じて、この珪素含有化合物に30at%以下の炭素を含有させるようにしてもよい。
この第2の遮光性膜の露光光に対する光学濃度は、第1の遮光性膜と第2の遮光性膜を積層させた遮光性膜の露光光に対する光学濃度が2.5以上となるように、好ましくは0.2〜3.0の範囲となるように膜設計され、さらに好ましくは0.5〜2.5の範囲とされる。また、第2の遮光性膜14の厚みは、検査に用いる光の波長に応じて適切に設計が成されるが、通常は10〜45nmの膜厚とすることにより反射防止効果が得られる。なお、ArF露光用フォトマスクの作製に用いるフォトマスクブランクの場合には、第2の遮光性膜14の厚みを15〜30nmとすることが好ましい。
第2の遮光性膜14の露光波長での消衰係数kのプロファイルは、好ましくは、基板11側から表面側にかけて漸次減少するように設計される。このようなプロファイルは、第2の遮光性膜14の材料である珪素含有化合物中での遷移金属濃度を変化させることで実現できる。具体的には、遷移金属濃度を高めると消衰係数kは大きくなり、逆に、遷移金属濃度を低くすることで消衰係数kを小さくすることができる。つまり、基板11側から表面側にかけて膜中の遷移金属濃度が漸次低くなるように組成設計すればよい。
また、珪素含有化合物中での軽元素(酸素、窒素、炭素)濃度を変化させることによっても上記の衰係数kのプロファイルを実現できる。具体的には、軽元素濃度を高めると消衰係数kは小さくなり、逆に、軽元素濃度を低くすることで消衰係数kを大きくすることができる。つまり、基板11側から表面側にかけて膜中の軽元素濃度が漸次高くなるように組成設計すればよい。
このような消衰係数プロファイルとすると、第2の遮光性膜14の遮光性が高まり、第1の遮光性膜13の膜厚設計の自由度を高めることができる。これにより、パターニング時の第1の遮光性膜13のサイドエッチ量が制御可能となることに加え、「反射防止膜」として機能させた場合に反射率の波長特性を改善することが可能となる。
また、第2の遮光性膜14の組成を、第1の遮光性膜13との界面領域で珪素が不飽和状態となるように設計すると第1の遮光性膜13との密着性を向上させることができる。一方、表面側の組成を珪素が飽和(あるいは過飽和)となるように設計すると、短波長域での反射率低減化を図ることが可能となって半導体基板上へのパターン転写特性が向上することに加え、薬品耐性も向上する。
第1の遮光性膜13はクロムを主成分とする膜であり、例えば、金属クロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物、またはクロム酸窒化炭化物を主成分とする。第1の遮光性膜13の組成は、クロムが30〜95at%、酸素が0〜60at%、窒素が0〜50at%、炭素が0〜20at%、の範囲となるように設定される。
この第1の遮光性膜13の露光光に対する光学濃度は、第1の遮光性膜13と第2の遮光性膜14を順次積層させた遮光性膜12の露光光に対する光学濃度が2.5以上となるように、好ましくは0.3〜3.0の範囲となるように膜設計され、さらに好ましくは0.5〜2.0の範囲とされる。また、その膜厚は、好ましくは5nm以上50nm以下とされ、さらに好ましくは5nm以上25nm以下に設定される。このような膜厚設計とすることで、導電性を充分低く抑えることができ、パターニング工程でのサイドエッチも抑制することが可能となる。
通常は、第2の遮光性膜14をいわゆる「反射防止膜」として、第1の遮光性膜13をいわゆる「遮光膜」として用いるが、本明細書においてはこれらの2層を積層させたものを一体的に「遮光性膜」と呼んでいる。なお、これらの膜構成は種々の設計が可能である。例えば、第2の遮光性膜14の基板11側の組成を酸素や窒素の含有量が極めて低くなるように設計して機能的には「遮光膜」の一部としたり、逆に、第1の遮光性膜13の第2の遮光性膜14側の組成を酸素や窒素の含有量が比較的高くなるように設計して機能的には「反射防止膜」の一部としたりすることができる。本明細書では、第1の遮光性膜13が「反射防止膜」の一部として機能している場合も実質的な「遮光膜」として取り扱い、第2の遮光性膜14が「遮光膜」の一部として機能している場合も実質的な「反射防止膜」として取り扱う。
本発明のフォトマスクブランクを構成する第1の遮光性膜13および第2の遮光性膜14は、それぞれを単一の層で構成することは勿論のこと、これらの膜の双方もしくは一方を複数の層を積層させた多層膜とするようにしてもよい。このような多層構造を採用する採用する場合にも、各遮光性膜の構成要素である層のうちの少なくとも1層の組成を上述した組成範囲のものとするのが好ましい。また、多層構造とする代わりに、膜組成を傾斜的に変化させる(傾斜構造とする)こととしてもよい。
このような傾斜構造を第2の遮光性膜(反射防止膜)に採用すると、検査に用いる光に対して好ましい反射率が得られる波長領域を広げることができる。また、遮光性膜の最表面の軽元素含有量を高くする(あるいは軽元素含有量の高い膜を設ける)ことにより、表面の化学的安定性を高めることができる。さらに、第1の遮光性膜(遮光膜)の基板側の10nm程度の領域の軽元素含有率を高めてクロム含有率を低くすることで、エッチングの面内ばらつきを抑制することができる。
また、図1(b)に図示したように、基板11の主面上に遮光性膜12を直接設けるのではなく、基板11と遮光性膜12との間(すなわち、基板11と第1の遮光性膜13との間)に第3の光学膜15を設けるようにしてもよい。このような第3の光学膜15としては、例えば、エッチングストッパ膜や半透明膜あるいは位相シフト膜などがあり得る。このような第3の光学膜15を設ける構造とする場合には、この第3の光学膜15と第1の遮光性膜13と第2の遮光性膜14の露光光に対する光学濃度の総和が2.5以上となるように膜設計がなされる。なお、第4あるいは第5の光学膜を設けるようにすることも可能であることはいうまでもない。
第3の光学膜15をハーフトーンの位相シフト層(ハーフトーン位相シフト層)とする場合があり得るが、上述した第2の遮光性膜14と同様にフッ素系ドライエッチングが可能な膜組成とすることが好ましく、成膜材料として、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物などが好適に選択される。また、好ましくは、第2の遮光性膜14と同一条件下でフッ素系ドライエッチングを施した場合のクリアタイム(エッチング除去される時間)が、第2の遮光性膜14のクリアタイムよりも長くなるように組成や膜厚が設計される。
第2の遮光性膜14や第3の光学膜15の成膜材料を、珪素や珪素と遷移金属の酸化物または窒化物もしくは酸化窒化物とする場合の成膜は、例えば特許文献6に開示されているような、公知の手法で実行することができる。例えば、珪素とモリブデンあるいはモリブデンシリサイドのターゲットを適当に組み合わせ、反応性ガス雰囲気中あるいは反応性ガスとアルゴンなどの不活性ガスの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタリングを行って成膜される。
同様に、第1の遮光性膜13の主成分を、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物またはクロム酸窒化炭化物とする場合にも、クロムをターゲットとして反応性スパッタリングを行うなどの公知の手法を採用し得る。
これらのスパッタリング方式としては、直流(DC)電源を用いても高周波(RF)電源を用いてもよく、マグネトロン方式あるいはその他の方式であってもよい。スパッタリングガスとしては、Ar、Neなどの不活性ガスを用いることができる。また、反応性ガスは、目的の組成に合わせて適宜選択される。例えば、CrOを成膜するときにはO2などの酸素を含むガスを用い、CrONを成膜するときにはN2、NO2、N2O、NOなどの窒素を含むガスとO2、N2O、NO、NO2などの酸素を含むガスを混合して用い、CrONCを成膜するときにはCO、CO2、CH4などの炭素を含むガスとN2、NO2、N2O、NOなどの窒素を含むガスとO2、N2O、NO、NO2、CO2などの酸素を含むガスを混合して用いる。
(フォトマスクブランクの製造プロセス)
本実施例では、実施例1で説明した構成の本発明のフォトマスクブランクを得るための製造プロセスを説明する。
〔第1の遮光性膜(遮光膜)〕
図2は、本発明のフォトマスクブランクが備える第1の遮光性膜の成膜に用いたスパッタリング装置の構成を説明するための概略断面図で、この図において、11は6インチの角形石英基板である透明基板、101はチャンバ、102aは第1のターゲット、102bは第2のターゲット、103はスパッタガス導入口、104はガス排気口、105は基板回転台、106aおよび106bはそれぞれ、第1および第2のターゲットにバイアスを印加するための電源である。
本実施例では第1のターゲット102aとしてクロムターゲットを用い、このターゲットのみをスパッタリングすることでクロムの第1の遮光性膜を成膜している。スパッタリングガスとしてはArを用い、Arガスを10sccm、N2ガスを4sccmの流量でチャンバ101内に導入し、チャンバ内ガス圧が0.1Paになるように設定した。そして、成膜前加熱温度120℃とし、Crターゲットに1000Wの放電電力を印加して、基板11を30rpmで回転させながら膜厚40nmの窒化クロム膜を成膜し、これを第1の遮光性膜(遮光膜)とした。なお、この窒化クロム膜の組成は、クロム(Cr)と窒素(N)の組成比(原子比)が9:1のCrN(Cr:N=9:1)膜である。
〔第2の遮光性膜(反射防止膜)〕
図2に図示した構成のスパッタリング装置を用いて、第1の遮光性膜(遮光膜)上に第2の遮光性膜(反射防止膜)を成膜し、本発明のフォトマスクブランクの遮光性膜とした。なお、ここで用いたターゲットは、第1のターゲット102aとして珪素(Si)単結晶、第2のターゲット102bとしてモリブデンシリサイド(MoSi3)多結晶である。成膜中のチャンバ内ガス圧が0.1Paとなるようにガス流量の設定を行い、基板を30rpmで回転させながら、モリブデンシリサイド化合物膜(MoSiN膜)を成膜した。
具体的には、スパッタガスとしてArガスを20sccm、N2ガスを0sccmの流量でチャンバ101内に導入してチャンバ内ガス圧を0.1Paとし、MoSi3ターゲットに700W、Siターゲットに300Wの放電電力を印加して、基板11を30rpmで回転させながら成膜を開始し、次第に、Arガスを5sccm、N2ガスを50sccm、の流量でチャンバ101内に導入してチャンバ内ガス圧を0.1Paとし、MoSi3ターゲットの放電電力が100W、Siターゲットの放電電力が900Wとなるように成膜条件を連続的に変化させながら膜厚がほぼ20nmとなるように成膜した。このような成膜条件とすれば、膜中の遷移金属含有量や窒素含有量が徐々に変化する組成勾配をもつ「傾斜構造」の膜とすることができる。
〔第3の光学膜〕
第3の光学膜の成膜も、第1および第2の遮光性膜と同様に、図2に図示した構成のスパッタリング装置を用いて行われる。すでに説明したように、この第3の光学膜をハーフトーン位相シフト層とする場合には、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物で成膜することが好ましい。したがって、ハーフトーン位相シフト層をどの化合物で形成するかに応じてスパッタリング用のターゲットが適当に選択され、上記の第2の遮光性膜と概ね同様の条件下で成膜がなされる。
なお、ハーフトーン位相シフト層を、互いに異なる組成の膜を積層させた複合膜とすることもできる。このようなハーフトーン位相シフト層は、上記で列挙した材料からなる単層膜あるいは多層膜の透過率が2〜40%、位相シフト量が約180℃となるように膜組成が設計される。具体的な成膜例は以下のとおりである。
先ず、第1のターゲット102aとしてSi単結晶を、第2のターゲット102bとしてMoZrSi4焼結体を使用し、MoZrSi4ターゲットに560W、Siターゲットに1000Wの放電電力を印加して、基板11を30rpmで回転させながらスパッタ成膜を行い、基板11上に10nmの厚みの光学調整層を成膜した。スパッタガスは、流量8sccmのAr、流量20sccmのN2、および流量5sccmのO2の混合ガスとした。また、スパッタ時のチャンバ内ガス圧力は0.15Paに設定した。
次に、放電電力をMoZrSi4ターゲットが430W、Siターゲットが1000Wとなるように変更し、スパッタガスを15sccmのAr、100sccmのN2、および1sccmのO2の混合ガスに変更し、基板11を30rpmで回転させながら、ガス圧力0.25Paにて厚み40nmの低応力層を成膜した。
更に、放電電力をMoZrSi4ターゲットが100W、Siターゲットが1000Wとなるように変更し、スパッタガスを5sccmのAr、50sccmのN2、および5sccmのO2の混合ガスに変更し、基板11を30rpmで回転させながら、ガス圧力0.1Paにて20nmに示される厚みの表面層を成膜した。
このように、ハーフトーン位相シフト層を、光学調整層と低応力層と表面層の3層からなる積層構造として構成した。
〔第2の遮光性膜のハードマスクとしての実用性〕
上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクを用いて、第2の遮光性膜のハードマスクとしての実用性の確認を行った。第2の遮光性膜上に、化学増幅型フォトレジスト(膜厚100nm)を塗布して電子線リソグラフィでパターン形成してレジストマスクを形成し、これをマスクとして第2の遮光性膜(反射防止膜)にフッ素系ドライエッチング(CF4流量80sccm、印加バイアス60W、チャンバ内圧力2Pa)を施してパターニングを行った。
パターニング終了後のフォトマスクブランクの断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、そのエッチング断面形状は良好であり、第1の遮光性膜(遮光膜)へのエッチングは実質的に進行していないことが確認できた。この結果から、第2の遮光性膜(反射防止膜)が、第1の遮光性膜(遮光膜)をパターニングする際のハードマスクとして充分に使用可能であることが確認できた。
〔光学濃度〕
上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクを用い、これに基板側から光を入射させた場合の遮光性膜の光学濃度を分光光度計で測定した。
図3は、上述の条件で成膜したCrN(Cr:N=9:1)の第1の遮光性膜(膜厚40nm)上に、膜厚が23.4nmのMoSiNの第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクの光学濃度(OD)の波長依存性を示す図である。この図に示されているように、波長193nmの光における光学濃度として3.0程度の値が得られ、ArF露光での光学濃度を2.5以上とすることができることが確認された。
なお、図3に示したフォトマスクの第2の遮光性膜は、先ず、スパッタガスとしてArガスを20sccm、N2ガスを0sccmの流量でチャンバ101内に導入してチャンバ内ガス圧を0.1Paとし、初期放電電力をMoSi3ターゲット700W、Siターゲット300Wに設定して成膜を開始し、その後、次第に、Arガスを5sccm、N2ガスを50sccmの流量でチャンバ101内に導入してチャンバ内ガス圧を0.1Paとし、最終的な放電電力がMoSi3ターゲット100W、Siターゲット900Wとなるように連続的に成膜条件を変化させながら成膜した。
〔反射率の波長依存性〕
上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクを用い、これに遮光性膜側から光を入射させた場合の反射光の強度を分光光度計で測定して反射率の波長依存性を測定した。
図4は、波長190nmから600nmの範囲の光に対する反射率を測定した結果を示す図であり、表1にはNo.1乃至4の評価試料のそれぞれの成膜条件を纏めた。なお、評価試料No.1〜3は第2の遮光性膜を単層構造としたものであり、評価試料No.4は第2の遮光性膜を2層構造としたものである。
図4に示した結果から明らかなように、ArF露光波長(λ=193nm)の光における反射率が10%以下となるように低反射率とすることが可能であることに加え、検査波長(λ=257nm)の光における反射率を10〜20%の範囲に収めることができる。
このように、第2の遮光性膜(反射防止膜)の膜厚が15〜30nmの範囲にあれば、257nmの波長の光に対する反射率を10〜20%とすることができ、一般的な欠陥検査装置での検査が可能であることが確認された。
ここで、評価試料No.3では、第2の遮光性膜成膜時のスパッタパワーは一定とされ、膜中の遷移金属組成は勾配をもたない。この場合には、他の成膜条件(膜中の遷移金属組成に勾配をもたせる成膜条件)で成膜された膜と比較して、反射率の波長依存性が大きくなり、検査波長での反射率制御が難しくなる傾向にある。これは、遷移金属と窒素含有量の両方を傾斜構造とした他の条件と比較して、消衰係数kの基板側と表層側の差が小さいために多重反射条件がシャープになるためである。また、評価試料No.3が備える第2の遮光性膜は、膜中の遷移金属含有量(at%)が少ないが、このような組成では、長波長域での消衰係数kが小さくなるため、反射率の波長依存性がより大きくなる傾向を示す。
〔化学的安定性(薬品耐性)〕
上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクを用いて、化学的安定性(薬品耐性)の確認を行った。具体的には、アンモニア過水(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:30(容量比))、および硫酸過水(硫酸:過酸化水素水=4:1(容量比))にそれぞれ1時間浸漬した後の反射率変化量を分光光度計により測定した。その結果、上記のいずれの条件においても波長365nmにおける反射率変化は2%以下であり、実用上充分な化学的安定性(薬品耐性)を示すことが確認された。
(バイナリーフォトマスクの製造プロセス)
本実施例では、本発明のフォトマスクブランクを使用してフォトマスクを得るための製造プロセスを説明する。ここでは、フォトマスクがバイナリーマスクであるものとして説明する。
図5は、バイナリーフォトマスクの製造プロセスを説明するための図で、先ず、基板11に設けた遮光性膜12の上にフォトレジスト膜16を塗布して(図5(a))、このフォトレジスト16に回路パターン描画用のレジストパターン17を形成する(図5(b))。なお、好ましくは、フォトレジスト膜16を塗布する前に基板の表面エネルギを下げるための表面処理を施しておく。これは、その後のプロセスにおいて、微細なパターンが形成されたレジストマスクが剥がれたり倒れたりすることを防止するための処理である。
この表面処理方法として最も好ましい方法は、半導体製造工程で常用されるヘキサメチルジシラザン(HMDS)やその他の有機シリコン系の表面処理剤で基板表面(実際には遮光性膜表面)をアルキルシリル化する方法で、これらの表面処理剤を含有したガス中に基板表面を暴露させたり、あるいは基板表面に表面処理剤を直接塗布するなどの方法がある。
用いるフォトレジストは、フォトマスクパターンの作製に使用する描画装置に応じて適切なものが選択されるが、微細パターニングに一般的に用いられる電子ビーム(EB)描画用レジストとしては、通常は、芳香族骨格をポリマー中に有するポジ型あるいはネガ型のレジストが用いられる。なお、より微細なパターンが形成されるフォトマスクの作製には、化学増幅型レジストを用いることが好ましい。
フォトレジスト膜16は、パターン形状が良好に得られ、且つエッチングマスクとしての機能を果たし得る範囲の膜厚とされる。特に、微細なパターン形成が求められるArF露光用フォトマスクを作製する場合のフォトレジスト膜16はアスペクト比が大きくならないように比較的薄膜であることが必要であり、350nm以下であることが好ましく、より好ましくは250nm以下とされる。
一方、フォトレジスト膜16の膜厚下限は用いるレジスト材料のエッチング耐性などの条件を総合的に考慮して決定されるが、一般的なレジスト材料を用いた場合には75nm以上であることが好ましく、より好ましくは100nm以上とされる。なお、シリコーン系樹脂を使用したレジストと芳香族系樹脂を使用した下層膜の組み合わせによる「多層レジスト法」や、芳香族系化学増幅型レジストとシリコーン系表面処理剤を組み合わせた「表面イメージング法」を採用する場合には、フォトレジスト膜16の総厚を上記値よりも薄くすることが可能となる。なお、当然のことであるが、フォトレジストの塗布条件や乾燥方法は、用いるレジストに応じて適当なものが選択される。
フォトレジスト膜16への描画は光照射による方法で行うことも可能であるが、一般には、微細パターンを形成するために好ましい方法であるEB照射による方法が採用される。例えば、レジストとして化学増幅型のものを使用してこれをEB照射により描画する場合には、通常3〜30μC/cm2のエネルギ密度範囲の電子ビームで描画を行い、この描画の後に加熱処理および現像処理してレジストパターン17が得られる。
こうして得られたレジストパターン17をマスクとして、反射防止膜としての機能をもたせる第2の遮光性膜14のパターニングを行う(図5(c))。第2の遮光性膜14は珪素含有化合物を主成分とする膜であるため、フッ素系(F系)あるいは酸素非含有塩素系(Cl系)のドライエッチングでパターニングが可能であるが、本発明では、フォトレジストへの負荷が比較的軽いフッ素系ドライエッチングを選択する。このようなフッ素系ドライエッチングに使用されるガスは、CF4やC26などのフッ素含有ガスとされるが、必要に応じて酸素などのガスを添加してもよい。
このエッチング工程では、クロムを主成分とする膜である第1の遮光性膜13は実質的にエッチングされないため、レジストパターン17は第2の遮光性膜14のエッチングマスクとしてのみ機能することとなる。したがって、レジストパターン17の厚みは第2の遮光性膜14のエッチングマスクとしての役目を果たす範囲で薄膜化することが可能となるから、アスペクト比の増大を抑制してパターニングの精度を高めることが可能となる。
次に、パターニングされたフォトレジスト17と第2の遮光性膜14とをエッチングマスクとして、第1の遮光性膜13を酸素含有塩素系((Cl+O)系)ドライエッチングしてパターニングする(図5(d))。ここで、酸素含有塩素系ドライエッチングの条件に特別な制限はなく、従来よりクロム化合物膜をドライエッチングする際に用いられてきた公知のものとしてよい。例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合比(Cl2ガス:O2ガス)を体積流量比で1:2〜20:1とし、必要に応じてヘリウムなどの不活性ガスを混合する。なお、塩素ガスに対して5%以上の体積流量比で酸素ガスを混合させると、第2の遮光性膜として用いられる珪素含有化合物への実質的なエッチングは進行しないことを確認している。
このようにして遮光性膜のパターニングが完了し、第2の遮光性膜14上に残存しているレジストパターン17が剥離され(図5(e))、硫酸と過酸化水素水の混合液やアンモニア水と過酸化水素水の混合液などの洗浄液で最終洗浄してバイナリーフォトマスクが完成する。
(位相シフトマスクの製造プロセス)
本実施例では、本発明のフォトマスクブランクを使用して位相シフトマスクを得るための製造プロセスを説明する。
図6は、位相シフトマスクの製造プロセスを説明するための図で、先ず、基板11に位相シフト層15を介して設けられた遮光性膜12の上に第1のフォトレジスト膜18を塗布して(図6(a))、このフォトレジスト膜18に回路パターン描画用の第1のレジストパターン19を形成する(図6(b))。なお、フォトレジスト膜18を塗布する前に基板の表面エネルギを下げるための表面処理を施しておくことが好ましいのは上述したとおりである。また、ここで用いられるフォトレジストの好ましい選択や膜厚も上述したとおりである。
こうして得られた第1のレジストパターン19をマスクとして、反射防止膜としての機能をもたせる第2の遮光性膜14のパターニングをフッ素系ドライエッチングで行う(図6(c))。
この状態で第1のレジストパターン19を剥離し(図6(d))、新たに第2のフォトレジスト膜を塗布してパターニングを施し、第2のレジストパターン20を形成する(図6(e))。この第2のレジストパターン20は、最終的に所望の領域に遮光性膜12が残るように形成される。なお、一般的な位相シフトマスクでは、最終的に得るべき遮光性膜12のパターンの微細度は、位相シフト層15のパターン微細度よりも低い。このため、全てのエッチングが完了するまでレジストで被覆された部分の第2の遮光性膜に物性変化を生じさせないように、高解像性よりもむしろエッチング耐性を重視して保護膜としての第2のフォトレジスト膜が材料選択される。
次に、パターニングされた第2のレジストパターン20と第2の遮光性膜14とをエッチングマスクとして、第1の遮光性膜13を酸素含有塩素系((Cl+O)系)ドライエッチングしてパターニングする(図6(f))。この酸素含有塩素系ドライエッチングの条件もすでに説明したように、例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合比(Cl2ガス:O2ガス)を体積流量比で1:2〜20:1とし、必要に応じてヘリウムなどの不活性ガスを混合する。このようにして遮光性膜12のパターニングが完了する。
すでに説明したように、位相シフト層15の成膜材料はフッ素系ドライエッチングが可能なように、珪素や珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物などとされ、そのパターニングはフッ素系ドライエッチングにより実行される。なお、この工程では、第2のレジストパターン20で被覆されていない第2の遮光性膜14はエッチングを受けるため、実効的なエッチングマスクとして機能するのはクロム系材料からなる第1の遮光性膜13であり、これをマスクとして位相シフト層15にパターン転写される(図6(g))。
本実施例では、第2の遮光性膜14と同一条件下でフッ素系ドライエッチングを施した場合の位相シフト層15のクリアタイム(エッチング除去される時間)が、第2の遮光性膜14のクリアタイムよりも長くなるように組成や膜厚が設計されている。このようなクリアタイムの設定を行うと、第2の遮光性膜14は位相シフト層15のエッチング工程中に完全に除去され、エッチング終了段階では、第2のレジストパターン20で保護されていない位相シフト層15の上にはクロム系材料からなる第1の遮光性膜13のみが残ることとなる。なお、この位相シフト層15のエッチング条件は、すでに公知の一般的な手法によることができる。
そして、遮光性膜として不要となった第1の遮光性膜13はクロム系材料の一般的なエッチング条件のもとで除去され(図6(h))、最後に、第2の遮光性膜14上に残存している第2のレジストパターン20が剥離され(図6(i))、硫酸と過酸化水素水の混合液やアンモニア水と過酸化水素水の混合液などの洗浄液で最終洗浄して位相シフトマスクが完成する。
なお、図7に示したように、第2のレジストパターン20は、第1の遮光性膜13のエッチング後に設けるようにしてもよい。この場合には、遮光性膜12の上に第1のフォトレジスト膜18を塗布して(図7(a))、このフォトレジスト膜18に回路パターン描画用の第1のレジストパターン19を形成し(図7(b))、この第1のレジストパターン19をマスクとして第2の遮光性膜14のパターニングをフッ素系ドライエッチングで行う(図7(c))。そして、第2の遮光性膜14(と第1のレジストパターン19と)をエッチングマスクとして、第1の遮光性膜13を酸素含有塩素系((Cl+O)系)ドライエッチングしてパターニングする(図7(d))。
この状態で第1のレジストパターン19を剥離し(図7(e))、新たに第2のフォトレジスト膜を塗布してパターニングを施して第2のレジストパターン20を形成する(図7(f))。そして、フッ素系ドライエッチングにより位相シフト層15のパターニングが施され、クロム系材料からなる第1の遮光性膜13を実効的なエッチングマスクとして位相シフト層15にパターンが転写される(図7(g))。遮光性膜として不要となった第1の遮光性膜13はクロム系材料の一般的なエッチング条件のもとで除去され(図7(h))、最後に、第2の遮光性膜14上に残存している第2のレジストパターン20が剥離され(図7(i))、硫酸と過酸化水素水の混合液やアンモニア水と過酸化水素水の混合液などの洗浄液で最終洗浄して位相シフトマスクが完成する。
(クロム化合物の第2の遮光性膜を備えるバイナリーフォトマスクブランク)
本比較例では、第2の遮光性膜をクロム化合物であるCrON膜とした場合のバイナリーフォトマスクブランクの諸特性について説明する。なお、このバイナリーフォトマスクブランクの第1の遮光性膜(遮光膜)はクロムと窒素の組成比(原子比)が9:1のCrN膜(膜厚約40nm)であり、その成膜条件は既に実施例2で説明した条件と同じであるので繰り返しての説明は省略する。
CrNの第1の遮光性膜の上に、図2に示したスパッタリング装置を用いて、CrONの第2の遮光性膜を成膜した。具体的には、スパッタリングガスとしてはArを用い、Arガスを15sccm、N2ガスを30sccm、O2ガスを15sccmの流量でチャンバ101内に導入し、チャンバ内ガス圧が0.1Paになるように設定した。そして、成膜前加熱温度120℃とし、Crターゲットに1000Wの放電電力を印加して、基板11を30rpmで回転させながら膜厚約20nmの酸窒化クロム膜を成膜し、これを反射防止膜とした。なお、この酸窒化クロム膜の組成は、クロム(Cr)と窒素(N)の組成比(原子比)が4:1:5のCrON膜である。表2に、このような第1および第2の遮光性膜を積層させたバイナリーフォトマスクブランクの諸特性を纏めた。
〔光学濃度〕
図8は、本比較例のバイナリーフォトマスクブランクに基板側から光を入射させた場合の遮光性膜の光学濃度の波長依存性を分光光度計で測定した結果を示す図で、この図に示されているように、波長193nmの光における光学濃度として3.0程度の値が得られ、ArF露光での光学濃度を2.5以上とすることができることが確認された。
〔反射率の波長依存性〕
本比較例のフォトマスクブランクに、遮光性膜側から光を入射させた場合の反射光の強度を分光光度計で測定して反射率の波長依存性を測定した。
図9は、波長190nmから600nmの範囲の光に対する反射率を測定した結果を示す図であり、ArF露光波長(λ=193nm)の光における反射率は15%を超えており、露光波長域での反射率を充分に低く(10%以下)することは困難であることが確認された。なお、この比較例の遮光性膜の257nmの波長の光に対する反射率は10〜20%とされており、一般的な欠陥検査装置での検査が可能となるように設計されている。
このように、第2の遮光性膜をクロム化合物膜とした場合には、257nmの波長の光の反射率を10〜20%の範囲とするとArF露光波長の光における反射率を10%以下とすることができなくなるのに対して、珪素含有化合物を主成分とする層を含む第2の遮光性膜を設けた本発明のフォトマスクブランクではArF露光波長の光の反射率を10%以下としつつ257nmの波長の光の反射率を10〜20%の範囲とすることが可能である。
(フォトマスクブランクの製造プロセス:第2例)
本実施例では、実施例1で説明した構成の本発明のフォトマスクブランクを得るための製造プロセスの第2の例について説明する。
〔第1の遮光性膜(遮光膜)〕
本実施例においても、本発明のフォトマスクブランクが備える第1の遮光性膜の成膜に用いたスパッタリング装置の構成は図2に示したとおりであり、この図において、11は6インチの角形石英基板である透明基板、101はチャンバ、102aは第1のターゲット、102bは第2のターゲット、103はスパッタガス導入口、104はガス排気口、105は基板回転台、106aおよび106bはそれぞれ、第1および第2のターゲットにバイアスを印加するための電源である。
本実施例では第1のターゲット102aとしてクロムターゲットを用い、このターゲットのみをスパッタリングすることでクロムの第1の遮光性膜を成膜している。スパッタリングガスとしてはArを用い、Arガスを10sccm、N2ガスを4sccmの流量でチャンバ101内に導入し、チャンバ内ガス圧が0.1Paになるように設定した。そして、成膜前加熱温度120℃とし、Crターゲットに1000Wの放電電力を印加して、基板11を30rpmで回転させながら膜厚10nmの窒化クロム膜を成膜し、これを第1の遮光性膜(遮光膜)とした。なお、この窒化クロム膜の組成は、クロム(Cr)と窒素(N)の組成比(原子比)が9:1のCrN(Cr:N=9:1)膜である。
〔第2の遮光性膜〕
図2に図示した構成のスパッタリング装置を用いて、第1の遮光性膜(遮光膜)上に第2の遮光性膜(反射防止膜)を成膜し、本発明のフォトマスクブランクの遮光性膜とした。なお、ここで用いたターゲットは、第1のターゲット102aとして珪素(Si)単結晶、第2のターゲット102bとしてモリブデンシリサイド(MoSi)多結晶である。成膜中のチャンバ内ガス圧が0.1Paとなるようにガス流量の設定を行い、基板を30rpmで回転させながら、モリブデンシリサイド化合物膜(MoSiN膜)の多層膜を成膜した。
具体的には、スパッタガスとしてArガスを20sccm、N2ガスを10sccmの流量でチャンバ101内に導入してチャンバ内ガス圧を0.1Paとし、MoSiターゲットに200W、Siターゲットに800Wの放電電力を印加して、基板11を30rpmで回転させながら成膜を開始した。膜厚が33nmに達したところで、次第に、Arガスを5sccm、N2ガスを50sccm、の流量でチャンバ101内に導入してチャンバ内ガス圧を0.1Paとし、MoSiターゲットの放電電力が200W、Siターゲットの放電電力が800Wとなるように成膜条件を連続的に変化させながら膜厚がほぼ18nmとなるように成膜した。このような成膜条件とすれば、膜中の遷移金属含有量や窒素含有量が徐々に変化する組成勾配をもつ「傾斜構造」の反射防止機能層を有する遮光膜(膜厚:33+18=51nm)とすることができる。なお、第2遮光性膜の膜厚は10nm以上55nm以下とすることが好ましい。
〔第3の光学膜〕
第3の光学膜の成膜も、第1および第2の遮光性膜と同様に、図2に図示した構成のスパッタリング装置を用いて行われる。すでに説明したように、この第3の光学膜をハーフトーン位相シフト層とする場合には、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物で成膜することが好ましい。したがって、ハーフトーン位相シフト層をどの化合物で形成するかに応じてスパッタリング用のターゲットが適当に選択され、上記の第2の遮光性膜と概ね同様の条件下で成膜がなされる。
なお、ハーフトーン位相シフト層を、互いに異なる組成の膜を積層させた複合膜とすることもできる。このようなハーフトーン位相シフト層は、上記で列挙した材料からなる単層膜あるいは多層膜の透過率が2〜40%、位相シフト量が約180°となるように膜組成が設計される。具体的な成膜例は以下のとおりである。
先ず、第1のターゲット102aとしてSi単結晶を、第2のターゲット102bとしてMoZrSi4焼結体を使用し、MoZrSi4ターゲットに560W、Siターゲットに1000Wの放電電力を印加して、基板11を30rpmで回転させながらスパッタ成膜を行い、基板11上に10nmの厚みの光学調整層を成膜した。スパッタガスは、流量8sccmのAr、流量20sccmのN2、および流量5sccmのO2の混合ガスとした。また、スパッタ時のチャンバ内ガス圧力は0.15Paに設定した。
次に、放電電力をMoZrSi4ターゲットが430W、Siターゲットが1000Wとなるように変更し、スパッタガスを15sccmのAr、100sccmのN2、および1sccmのO2の混合ガスに変更し、基板11を30rpmで回転させながら、ガス圧力0.25Paにて厚み40nmの低応力層を成膜した。
更に、放電電力をMoZrSi4ターゲットが100W、Siターゲットが1000Wとなるように変更し、スパッタガスを5sccmのAr、50sccmのN2、および5sccmのO2の混合ガスに変更し、基板11を30rpmで回転させながら、ガス圧力0.1Paにて20nmに示される厚みの表面層を成膜した。
このように、ハーフトーン位相シフト層を、光学調整層と低応力層と表面層の3層からなる積層構造として構成した。
〔遮光性膜のドライエッチ断面形状評価〕
上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクを用いて、遮光性膜のドライエッチ断面形状の確認を行った。先ず、第2の遮光性膜上に、化学増幅型フォトレジスト(膜厚200nm)を塗布して電子線リソグラフィでパターン形成してレジストマスクを形成し、これをマスクとして第2の遮光性膜(反射防止膜)にフッ素系ドライエッチング(SF流量18sccm、O流量45sccm、RIE電圧200V、ICPパワー325W、チャンバ内圧力5mTorr)を施してパターニングを行った。
なお、この段階で、パターニング終了後の遮光性膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、第1の遮光性膜(遮光膜)へのエッチングは実質的に進行していないことが確認できた。この結果から、第2の遮光性膜(反射防止膜)が、第1の遮光性膜(遮光膜)をパターニングする際のハードマスクとして充分に使用可能であることが確認できた。また、第1の遮光膜がフッ素系ドライエッチングに対するエッチングストッパとして十分に使用可能であることが確認できた。
これに続いて、第1の遮光性膜に塩素系ドライエッチング(Cl流量18sccm、O流量55sccm、He流量10sccm、RIE電圧600V、ICPパワー400W、チャンバ内圧力6mTorr)を施して、遮光性膜全てのパターニングを完了した。このようなパターニングを施した後、その断面形状(サイドエッチ発生の有無)をSEM観察により確認した。その結果を表3に纏めた。なお、この表に纏めた遮光性膜は何れも、第1の遮光性膜(Cr膜)の膜厚が10nm、第2の遮光性膜(MoSiN/MoSi(N)積層膜)の膜厚が51nmである。
図10は、第2の遮光性膜中の最小窒素含有量がそれぞれ、0at%(図10(a))、5at%(図10(b))、および10at%(図10(c))の場合の、遮光性膜のドライエッチング断面形状を説明するためのSEM像である。これらのSEM像から明らかなように、遮光性膜のドライエッチング後の断面形状の様子(サイドエッチ発生の有無)は第2の遮光性膜中の窒素含有量に依存し、窒素含有量が少なくとも5at%以上であるとサイドエッチングの発生が抑制され、良好な断面形状が得られることが分かる。これまでの結果を考慮すると、第2の遮光性膜中の窒素含有量は5at%以上20at%以下とすることが好ましい。
表4は、遮光性膜のドライエッチング断面形状の、第1の遮光性膜と第2の遮光性膜の膜厚依存性を、上記と同様の手法で調べた結果を纏めたものである。
この表に示した結果から、第1の遮光性膜の膜厚が3〜15nmの範囲であれば、サイドエッチの発生のない良好なエッチング断面が得られることがわかる。これまでの結果を考慮すると、第2の遮光性膜の膜厚を25nm以上55nm以下とし、且つ、第1の遮光性膜の膜厚が5nm以上15nm以下であるように膜厚設定することが好ましい。
〔光学濃度〕
石英基板上に上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を有するフォトマスクブランクを用い、これに基板側から光を入射させた場合の遮光性膜の光学濃度を分光光度計で測定した。
図11は、上述の条件で成膜したCrN(Cr:N=9:1)の第1の遮光性膜(膜厚10nm)上に、膜厚が51nmのMoSiNの第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクの光学濃度(OD)と最小窒素含有量の関係を示す図である。この図に示されているように、第2の遮光性膜中の最小窒素含有量が20at%以下の広範囲の含有量領域において、波長193nmの光における光学濃度として3.0程度の値が得られ、ArF露光での光学濃度を2.5以上とすることが可能であることが確認できる。
〔反射率の波長依存性〕
図12は、上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクに、遮光性膜側から光を入射させた場合の反射光の強度を分光光度計で測定して反射率の波長依存性を測定した結果を示す図である。なお、測定波長領域は193〜600nmの範囲である。
この図に示した結果から明らかなように、ArF露光波長(λ=193nm)の光における反射率が10%以下となるように低反射率とすることが可能であることに加え、検査波長(λ=257nm)の光における反射率を10〜20%の範囲に収めることができる。
このように、第2の遮光性膜(反射防止膜)を多層で構成し、窒素含有量の少ない層から窒素含有量の多い層向かって窒素含有量を傾斜構造とした上で、窒素含有量の多い層(傾斜領域を含む)の膜厚が15〜30nmの範囲にあれば、257nmの波長の光に対する反射率を10〜20%とすることができ、一般的な欠陥検査装置での検査が可能であることが確認された。
〔化学的安定性(薬品耐性)〕
上述した条件で成膜した第1および第2の遮光性膜を備えたフォトマスクブランクを用いて、化学的安定性(薬品耐性)の確認を行った。具体的には、アンモニア過水(アンモニア水:過酸化水素水:水=1:1:30(容量比))、および硫酸過水(硫酸:過酸化水素水=4:1(容量比))にそれぞれ1時間浸漬した後の反射率変化量を分光光度計により測定した。その結果、上記のいずれの条件においても波長365nmにおける反射率変化は2%以下であり、実用上充分な化学的安定性(薬品耐性)を示すことが確認された。
以上、実施例により本発明のフォトマスクブランクおよびこれを用いて作製されるフォトマスクについて説明したが、上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内にあり、更に本発明の範囲内において他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
本発明は、微細なフォトマスクパターンが高精度で形成されたフォトマスクおよびこれを提供するためのフォトマスクブランクを提供する。
11 基板
12 遮光性膜
13 第1の遮光性膜
14 第2の遮光性膜
15 第3の光学膜(位相シフト膜)
16 フォトレジスト膜
17 レジストパターン
18 第1のフォトレジスト膜
19 第1のレジストパターン
20 第2のレジストパターン
101 チャンバ
102a 第1のターゲット
102b 第2のターゲット
103 スパッタガス導入口
104 ガス排気口
105 基板回転台
106a、106b バイアス印加用電源

Claims (21)

  1. 露光光に対して透明な基板上に設けられた光学膜上に、第1遮光性膜と第2遮光性膜とが順次積層された遮光性膜を備えたフォトマスクブランクであって、
    前記第1遮光性膜は、フッ素系ドライエッチングでは実質的にエッチングされないクロム(Cr)を主成分とする膜厚3nm以上15nm以下の層からなり、
    前記第2遮光性膜はフッ素系ドライエッチングが可能な珪素含有化合物を主成分とする層を含み、
    前記第1遮光性膜と第2遮光性膜と光学膜の光学濃度の総和は2.5以上である
    ことを特徴とするフォトマスクブランク。
  2. 前記珪素含有化合物は、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物である、ことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクブランク。
  3. 前記遷移金属は、チタン(Ti)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選択された少なくとも1種の金属元素であることを特徴とする請求項2に記載のフォトマスクブランク。
  4. 前記珪素含有化合物は、珪素10〜95at%、酸素0〜60at%、窒素0〜57at%、遷移金属0〜35at%、の範囲の組成とされていることを特徴とする請求項2または3に記載のフォトマスクブランク。
  5. 前記第2遮光性膜の露光光に対する光学濃度は、0.2〜3.0であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  6. 前記第2遮光性膜の露光光に対する光学濃度は、0.5〜2.5であることを特徴とする請求項5に記載のフォトマスクブランク。
  7. 前記第2遮光性膜の膜厚は、10nm以上55nm以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  8. 前記第2遮光性膜の膜厚は25nm以上55nm以下であることを特徴とする請求項7に記載のフォトマスクブランク。
  9. 前記第2遮光性膜の窒素含有量は、5at%以上20at%以下であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  10. 前記第2遮光性膜の露光波長での消衰係数kは、前記基板側から表面側にかけて漸次減少するプロファイルをもつことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  11. 前記第1遮光性膜は、金属クロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム酸化炭化物、クロム窒化炭化物、またはクロム酸窒化炭化物を主成分とする膜であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  12. 前記第1遮光性膜は、クロム30〜95at%、酸素0〜60at%、窒素0〜50at%、炭素0〜20at%、の範囲の組成とされていることを特徴とする請求項11に記載のフォトマスクブランク。
  13. 前記第1遮光性膜の露光光に対する光学濃度は、0.3〜3.0であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  14. 前記第1遮光性膜の露光光に対する光学濃度は、0.5〜2.0であることを特徴とする請求項13に記載のフォトマスクブランク。
  15. 前記第1遮光性膜の膜厚は、5nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  16. 前記第1遮光性膜と前記第2遮光性膜の少なくとも一方は、複数層を順次積層させた多層構造を有することを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  17. 前記第2遮光性膜は反射防止機能を有することを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  18. 前記光学膜は、位相シフト層を含む膜であることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  19. 前記位相シフト層はハーフトーン位相シフト層であり、該ハーフトーン位相シフト膜は、珪素の酸化物、窒化物、または酸化窒化物、もしくは珪素と遷移金属の酸化物、窒化物、または酸化窒化物である、ことを特徴とする請求項18に記載のフォトマスクブランク。
  20. 前記光学膜はフッ素系ドライエッチングが可能な膜であり、前記第2遮光性膜と同一条件下でフッ素系ドライエッチングを施してエッチング除去される時間(クリアタイム)は、前記第2遮光性膜のクリアタイムよりも長いことを特徴とする請求項1乃至19の何れか1項に記載のフォトマスクブランク。
  21. 請求項1乃至20の何れか1項に記載のフォトマスクブランクを用いて製造されたフォトマスク。
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