JP5007814B2 - ゴルフボール用ポリマー組成物及びこれを用いたゴルフボール - Google Patents

ゴルフボール用ポリマー組成物及びこれを用いたゴルフボール Download PDF

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Description

本発明は、特にゴルフボール用材料として好適な反発性に優れたポリマー組成物及びこれを用いたゴルフボールに関する。
従来、ゴルフボールに優れた反発性を付与するために、基材ゴムとして使用されるポリブタジエンのムーニー値、重合触媒、溶液粘度、分子量分布、その他の指標の1種又は2種以上に焦点を当てて最適化することが行なわれている(例えば、特許文献1:特開2004−292667号公報、特許文献2:米国特許第6818705号明細書、特許文献3:特開2002−355336号公報、特許文献4:特開2002−355337号公報、特許文献5:特開2002−355338号公報、特許文献6:特開2002−355339号公報、特許文献7:特開2002−355340号公報、特許文献8:特開2002−356581号公報)。
例えば、特許文献1:特開2004−292667号公報には、ムーニー粘度30〜42で、分子量分布(Mw/Mn)が2.5〜3.8のポリブタジエンが、また、特許文献2:米国特許第6818705号明細書には分子量が20万以上、レジリエンスインデックスが40以上のポリブタジエンが、ゴルフボール用の基材ゴムとして記載されている。
しかし、より飛距離の出るゴルフボールを求めるユーザーは多く、更に反発性に優れるゴルフボールの開発が求められていた。
また、特許文献9:特公昭39−6810号公報や、特許文献10:特公昭53−41173号公報には、アイオノマーの基本的な製法が記載されているが、中和時の不快な臭い、白色分散不良等の問題があった。その後、アイオノマー物性の改良が行なわれ、例えば、特許文献11:特表2002−514112号公報、特許文献12:特表2003−512495号公報、及び特許文献13:特表2002−527597号公報に提案された改良されたアイオノマーが挙げられるが、ボールの反発性に対して更なるアイオノマー物性の改良が求められている。
特開2004−292667号公報 米国特許第6818705号明細書 特開2002−355336号公報 特開2002−355337号公報 特開2002−355338号公報 特開2002−355339号公報 特開2002−355340号公報 特開2002−356581号公報 特公昭39−6810号公報 特公昭53−41173号公報 特表2002−514112号公報 特表2003−512495号公報 特表2002−527597号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、特にゴルフボール用材料として好適な反発性に優れたポリマー組成物及びこれを用いたゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、下記のポリマー組成物及これを用いたゴルフボールを提供する。
〔1〕(A)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体 100質量部、
(B)前記(A)成分中の酸基を中和することができる酸化亜鉛,酸化マグネシウム及び酸化カルシウムの群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物 0.1〜10質量部を含有してなり、前記金属酸化物がアークプラズマ法によって製造され、その平均粒径が200nm以下であることを特徴とするゴルフボール用ポリマー組成物。
〔2〕さらに(C)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体を、前記(A)成分100質量部に対して5〜80質量部を配合する〔1〕記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
〔3〕前記配合物のメルトインデックスが1.0dg/min以上である〔1〕又は〔2〕記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
〔4〕(B)成分の金属酸化物の平均粒径が100nm以下である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
〔5〕中和度が50モル%以上である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
〔6〕コアと1層又は複数層のカバーを有するゴルフボールにおいて、前記コア又はカバーの少なくとも1層が〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載のポリマー組成物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
〔7〕コアと1層又は複数層のカバーを有するゴルフボールにおいて、前記コアが、(a)下記のように定義される応力緩和時間(T80)が1.5以上3.0以下の固形状ポリブタジエンが含まれる基材ゴムと、(b)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、(c)有機過酸化物と、を配合したゴム組成物の加熱成形物にて形成されると共に、前記カバーを構成する少なくとも1層が〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載のポリマー組成物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
[応力緩和時間(T80)]
ML1+4(100℃)値(ASTM D−1646−96に準じて測定される、100℃におけるムーニー粘度測定値)測定直後にローター回転を停止させてからML1+4の値が80%低下するまでに要する時間(秒)である。
本発明は、特にゴルフボール用材料として好適な反発性に優れるイオン的に結合したポリマー組成物を提供するものであり、これにより非常に反発性に優れたゴルフボールを提供することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のポリマー組成物においては、(A)成分としてオレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体を使用し、任意成分として、(D)成分であるオレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体の金属イオン中和物を(A)成分と併用配合することができる。
ここで、前記(A)成分中のオレフィンは、炭素数が好ましくは2以上、上限として、好ましくは8以下、特に6以下のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等が挙げられ、特にエチレンであることが好ましい。
また、不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。
更に、不飽和カルボン酸エステルとしては、上述した不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルが好適で、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等を挙げることができ、特にアクリル酸ブチル(n−アクリル酸ブチル、i−アクリル酸ブチル)であることが好ましい。
本発明の(A)成分のランダム共重合体は、前記成分を公知の方法に従ってランダム共重合させることにより得ることができる。ここで、ランダム共重合体中に含まれる不飽和カルボン酸の含量(酸含量)は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、上限として、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下であることが推奨される。酸含量が少ないと反発性が低下する可能性があり、多いと加工性が低下する可能性がある。
本発明の(D)成分のランダム共重合体の中和物は、上記ランダム共重合体中の酸基を部分的に金属イオンで中和することによって得ることができる。ここで、酸基を中和する金属イオンとしては、例えば、Na+、K+、Li+、Zn++、Cu++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Pb++等が挙げられるが、好ましくはNa+、Li+、Zn++、Mg++等が好適に用いられ、更に好ましくはZn++であることが推奨される。これら金属イオンのランダム共重合体の中和度は特に限定されるものではない。このような中和物は公知の方法で得ることができ、例えば、上記ランダム共重合体に対して、上記金属イオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物及びアルコキシド等の化合物を使用して導入することができる。
本発明では、ベース樹脂として上記(A)成分のランダム共重合体と、上記(D)成分の中和物との両成分を併用配合する場合、その配合比は特に制限されるものではない。
本発明の(A)成分のランダム共重合体としては、例えば、ニュクレルAN4311、同AN4318、同1560(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)等が、また(D)成分のランダム共重合体の中和物としては、例えば、ハイミラン1554、同1557、同1601、同1605、同1706、同1855、同1856、同AM7316(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン6320、同7930、同8120(いずれもデュポン社製)等を挙げることができる。
前記カバー材のポリマー組成物は、(B)成分として前記(A)成分及び/又は(D)成分中の酸基を中和することができる金属酸化物を配合する。
前記(B)金属酸化物としては、上述したように、通常用いられる金属酸化物とは異なり、本発明では、プラズマ法によって製造され、その平均粒径が200nm以下、好ましくは100nm以下の特定の金属酸化物を用いる。即ち、化学気相析出法において、従来から使用されている電気炉法での加熱温度は1500℃以下であるのに対して、プラズマ法等による加熱温度は数千℃となり、高温なプロセスにより流動性,分散性に優れた微粒子の金属酸化物を得ることができ、電気炉法により得られた金属酸化物よりも高活性を維持したまま分散性が改善され、その結果、ポリマー中の酸基の中和が促進され、より高反発な材料を得ることができる。
前記の金属酸化物としては、酸化亜鉛,酸化マグネシウム及び酸化カルシウムの群から選ばれる少なくとも1種が用いられ、より好ましくは酸化亜鉛を用いることが本発明において効果的である。
また、前記のプラズマ法としては分散性の点から、アークプラズマ法を採用する。
前記の金属酸化物として、具体的には、アークプラズマ法により得られた平均一次粒子径0.03μmの微粒子酸化亜鉛、商品名「NanoTek」(ZnO)シーアイ化成(株)製を好適に用いることができる。
前記ポリマー組成物は、さらに(C)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体を前記(A)成分100質量部に対して5〜80質量部を配合することができる。(C)成分は、分子量280以上の脂肪酸又はその脂肪酸誘導体であり、加熱混合物の流動性向上に寄与する成分で、前記(A)成分の熱可塑性樹脂と比較して分子量が極めて小さく、混合物の溶融粘度の著しい増加に寄与するものである。また、本発明の脂肪酸(誘導体)は、分子量が280以上で高含量の酸基(誘導体)を含むため、添加による反発性の損失が少ないものである。
(C)成分の脂肪酸又はその脂肪酸誘導体は、アルキル基中に二重結合又は三重結合を含む不飽和脂肪酸(誘導体)であっても、アルキル基中の結合が単結合のみにより構成される飽和脂肪酸(誘導体)であってもよいが、1分子中の炭素数は、通常18以上、上限として80以下、特に40以下であることが推奨される。炭素数が少ないと、本発明の目的である耐熱性の改善が達成できないばかりでなく、酸基の含量が多すぎてベース樹脂に含まれる酸基との相互作用により流動性の改善の効果を少なくする場合がある。一方、炭素数が多い場合には、分子量が大きくなるため流動性改質の効果を少なくする可能性がある。
(C)成分の脂肪酸として、具体的には、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、べヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸などが挙げられ、特に、ステアリン酸、アラキジン酸、べヘニン酸、リグノセリン酸を好適に用いることができる。
また、前記の脂肪酸誘導体は、脂肪酸の酸基に含まれるプロトンを置換したものが挙げられ、このような脂肪酸誘導体としては、金属イオンにより置換した金属せっけんが例示できる。金属せっけんに用いられる金属イオンとしては、例えば、Li+、Ca++、Mg++、Zn++、Mn++、Al+++、Ni++、Fe++、Fe+++、Cu++、Sn++、Pb++、Co++が挙げられ、特にCa++、Mg++、Zn++が好ましい。
(C)成分の脂肪酸誘導体として、具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、べヘニン酸マグネシウム、べヘニン酸カルシウム、べヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛等が挙げられ、特にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、べヘニン酸マグネシウム、べヘニン酸カルシウム、べヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛を好適に使用することができる。
前記ポリマー組成物は、上述したように(A)成分及び/又は(D)成分、(B)成分、必要により(C)成分を配合してなり、熱安定性、成形性、反発性の向上が図れるものであるが、これら成分の配合量は(A)成分(以下、ベース樹脂という)100質量部に対し、(C)成分の配合量を5質量部以上、上限として80質量部以下、好ましくは40質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、(B)成分の配合量を0.1質量部以上、上限としては10質量部以下、好ましくは5質量部以下にする必要がある。
(C)成分の配合量が少ない場合、溶融粘度が低くなり加工性が低下し、多いと耐久性が低下する。また、(B)成分の配合量が少ない場合、熱安定性、反発性の向上が見られず、多い場合、過剰の金属酸化物により組成物の反発性能がかえって低下する。
前記ポリマー組成物は、上述した材料をそのまま使用しても、該組成物に他の材料を適宜配合してもよいが、いずれにしても、ポリマー組成物としてのメルトインデックス(JIS−K6760(試験温度190℃、試験荷重21N(2.16kgf)にて測定))を1.0dg/min以上、好ましくは1.5dg/min以上、更に好ましくは2.0dg/min以上にする必要があり、上限としては20dg/min以下、好ましくは15dg/min以下であることが推奨される。ポリマー組成物のメルトインデックスが少ないと加工性が著しく低下してしまう。
本発明のポリマー組成物は、上述した(A)成分及び/又は(D)成分、(B)成分及び(C)成分が加熱混合され、メルトインデックスが適正化されるものであるが、加熱混合物中の酸基の好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上が中和されていることが推奨され、高中和化により上述したベース樹脂と脂肪酸(誘導体)のみを使用した場合に問題となる交換反応をより確実に抑制し、脂肪酸の発生を防ぐことができ、熱的な安定性が著しく増大し、成形性が良好で、従来のアイオノマー樹脂と比較して反発性の著しく増大した材料になり得る。
上述したように、本発明のポリマー組成物を得るには、前記ポリマー組成物を必須成分とすればよく、必要に応じて種々の添加剤を調整することにより得ることができるが、例えば、ゴルフボール用のカバー材として使用する場合、前記ポリマー組成物に、更に、顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを加えることができる。また、本発明の材料中には、打撃時のフィーリングを改善するために前記必須成分に加え、種々の非アイオノマー熱可塑性エラストマーを配合することができ、このような非アイオノマー熱可塑性エラストマーとして、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等が挙げられ、特にオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーの使用が好ましい。
また、前記ポリマー組成物の製法に制限はなく、例えば、前記ポリマー組成物を得るには、条件として、例えば、加熱温度150〜250℃、混合機として、例えば、混練型二軸押出機、バンバリー、ニーダー等のインターナルミキサーなどを用いて混練する。この場合、前記ポリマー組成物は、必須成分以外の各種添加剤を配合する方法について制限はなく、本発明の前記必須成分と共に配合して同時に加熱混合する方法、前記必須成分を予め加熱混合をした後、任意の添加剤を加えて更に加熱混合する方法等を挙げることができる。
本発明のゴルフボールは、前記ポリマー組成物を使用して形成されたゴルフボールであり、前記ポリマー組成物にて形成される層は、ゴルフボールの一部又は全部のいずれであってもよく、本発明のゴルフボールは、糸巻きゴルフボール(カバーが単層又は2層以上の多層構造のいずれも含む)、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、スリーピースゴルフボール、カバーが3層以上のマルチピースゴルフボール等のいずれのゴルフボールとしてもよい。
従って、本発明のゴルフボールを得るには、前記ポリマー組成物をワンピースボール材、糸巻きゴルフボールのソリッドセンター、ソリッドゴルフボールのソリッドコア材、カバー材(2層以上のコア、カバーの場合は、少なくとも1層)として種々調製した後、これを公知の方法に従って使用して製造すればよい。
本発明のゴルフボールは、カバーが前記ポリマー組成物にて形成されるものである場合、コアは糸巻きコア又はソリッドコアのいずれであってもよく、常法に従って製造し得る。
この場合、コアの種類は特に制限はないが、次の(a)〜(c)成分、
(a)下記のように定義される応力緩和時間(T80)が1.5以上3.0以下のポリブタジエン(以下、「BR1」と略記することがある。)が含まれる基材ゴム、
(b)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、
(c)有機過酸化物
を配合したゴム組成物の加熱成形物にて形成されることが好ましい。これにより、コア材の反発性を向上させ、ゴルフボール全体の反発性を非常に高めることができる。
[応力緩和時間(T80)]
ML1+4(100℃)値(ASTM D−1646−96に準じて測定される、100℃におけるムーニー粘度測定値)測定直後にローター回転を停止させてからML1+4の値が80%低下するまでに要する時間(秒)。
なお、本発明にいうムーニー粘度とは、回転可塑度計の一種であるムーニー粘度計で測定される工業的な粘度の指標であり、単位記号としてML1+4(100℃)を用いる。Mはムーニー粘度、Lは大ローター(L型)、1+4は予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間を示し、100℃の条件下にて測定した値であることを意味する。
本発明において、前記(a)成分に含まれるポリブタジエンには、応力緩和時間(T80)が1.5以上3.0以下のポリブタジエン(BR1)が含まれ80値として好ましくは2.8以下、特に2.5以下が好ましい。80値が3.0を超えると本発明の目的が達成されない。一方、T80値が小さすぎると作業性に問題が発生する場合がある。
前記BR1のムーニー粘度(ML1+4(100℃))としては20以上80以下が好ましいが、特に限定するものではない。
また、前記BR1のシス1,4結合含有率としては、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上であり、1,2ビニル結合含有率としては2%以下、好ましくは1.7%以下、更に好ましくは1.5%以下、最も好ましくは1.3%以下であることが推奨される。シス1,4結合含有率や1,2ビニル結合含有率が前記範囲を逸脱すると、反発性が低下する場合がある。
本発明における前記BR1としては、希土類元素系触媒を用いて形成されたポリブタジエンであることが、反発性の観点から好適である。
ここで、希土類元素系触媒としては公知のものを使用することができ、例えば、ランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルモキサン、ハロゲン含有化合物、更に、必要に応じルイス塩基の組合せよりなる触媒を使用することができる。
前記ランタン系列希土類元素化合物としては、原子番号57〜71の金属ハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコラート、チオアルコラート、アミド等を挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、AlR123(ここで、R1、R2及びR3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素又は炭素数1〜8の炭化水素残基を表す)で示されるものを用いることができる。
前記アルモキサンとしては、下記式(I)又は下記式(II)で示される構造を有する化合物を好適に挙げることができる。この場合、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)、J.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)で示されるアルモキサンの会合体を用いてもよい。
Figure 0005007814
(式中、R4は、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、nは2以上の整数である。)
前記ハロゲン含有化合物としては、AlXn3-n(ここで、Xはハロゲンを示し、Rは、炭素数が1〜20の炭化水素残基であり、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基であり、nは、1、1.5、2又は3を示す)で示されるアルミニウムハライド、Me3SrCl、Me2SrCl2、MeSrHCl2、MeSrCl3などのストロンチウムハライド、その他、四塩化ケイ素、四塩化スズ、四塩化チタンなどの金属ハライド等が用いられる。
前記ルイス塩基は、ランタン系列希土類元素化合物を錯化するのに用いることができ、例えば、アセチルアセトン、ケトンアルコールなどを挙げることができる。
なお、本発明においては特にランタン系列希土類元素化合物の使用、中でもネオジウム化合物を用いたネオジウム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得る観点から好ましく、これら希土類元素系触媒の具体例としては、特開平11−35633号公報に記載されているものを好適に挙げることができる。
ここで、希土類元素系触媒の存在下でブタジエンを重合させる場合には溶媒を使用してもよいし、溶媒を使用せずにバルク重合あるいは気相重合してもよい。重合温度は好ましくは−30℃〜150℃、より好ましくは10〜100℃とすることができる。
また、本発明における前記BR1については、前記の希土類元素系触媒による重合に引き続いてポリマーの活性末端に末端変性剤を反応させて、末端変性ポリブタジエンとして得られるものであることが、安定した品質のゴルフボールを製造する観点から好適である。
末端変性剤としては公知のものを使用することができるが、例えば、下記(1)〜(6)に記載した化合物等を使用することができる。
(1)R5 nM’X4-n、M’X4、M’X3、R5 nM’(−R6−COOR74-n又はR5 nM’(−R6−COR74-n(式中、R5及びR6は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、R7は炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基であり、側鎖にカルボニル基又はエステル基を含んでいてもよく、M’はスズ原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子又はリン原子、Xはハロゲン原子、nは0〜3の整数を示す)に対応するハロゲン化有機金属化合物、ハロゲン化金属化合物又は有機金属化合物)
(2)分子中に、Y=C=Z結合(式中、Yは炭素原子、酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子、Zは酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子を示す)を含有するヘテロクムレン化合物
(3)分子中に下記結合を含有するヘテロ3員環化合物
Figure 0005007814
(式中、Yは、酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子を示す)
(4)ハロゲン化イソシアノ化合物
(5)R8−(COOH)m、R9(COX)m、R10−(COO−R11)、R12−OCOO−R13、R14−(COOCO−R15m、又は下記式で示されるカルボン酸、酸ハロゲン化物、エステル化合物、炭酸エステル化合物又は酸無水物
Figure 0005007814
(式中、R8〜R16は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜50の炭素原子を含む炭化水素基、Xはハロゲン原子、mは1〜5の整数を示す)
(6)R17 lM”(OCOR184-l、R19 lM”(OCO−R20−COOR214-l、又は下記式で示されるカルボン酸の金属塩
Figure 0005007814
(式中、R17〜R23は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、M”はスズ原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子、lは0〜3の整数を示す。)
以上の(1)〜(6)に示される末端変性剤の具体例及び反応させる方法については、例えば特開平11−35633号公報、特開平7−268132号公報等に記載されているもの及び方法を挙げることができる。
本発明において前記BR1は、前記基材ゴム中に含まれるものであるが、同BR1が前記基材ゴム中に占める割合として、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、100質量%であってもよい。当該割合が小さすぎると反発性が低下する場合がある。
なお、前記BR1以外に前記基材ゴム中に配合してもよいゴム化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば応力緩和時間T80が3.5を超えるポリブタジエンゴムを配合してもよいし、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等を配合してもよい。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
ここで、このような配合用ゴムのムーニー粘度としては、好ましくは80以下、20以上であるが、特に限定するものではない。
また、このような配合用ゴムについては、VIII族触媒で合成されたものを用いることができる。VIII族触媒として具体的には、下記のニッケル系触媒、コバルト系触媒を挙げることができる。
即ち、ニッケル系触媒としては、例えば、ニッケルケイソウ土のような1成分系、ラネーニッケル/四塩化チタンのような2成分系、ニッケル化合物/有機金属/三フッ化ホウ素エーテラートのような3成分系のもの等を挙げることができる。なお、ニッケル化合物としては、担体付還元ニッケル、ラネーニッケル、酸化ニッケル、カルボン酸ニッケル、有機ニッケル錯塩などが用いられる。また、有機金属としては、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、1,4−ジリチウムブタン等のアルキルリチウム、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等のジアルキル亜鉛等を挙げることができる。
また、コバルト系触媒としては、コバルト及びその化合物として、ラネーコバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、酸化コバルト、硫酸コバルト、炭酸コバルト、リン酸コバルト、フタル酸コバルト、コバルトカルボニル、コバルトアセチルアセトネート、コバルトジエチルジチオカルバメート、コバルトアニリニウムナイトライト、コバルトジニトロシルクロリド等を挙げることができ、特にこれらの化合物とジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルミニウムアルキルセスキクロリド、塩化アルミニウム等との組み合わせを好適に挙げることができる。
前記VIII族系触媒、特にニッケル系触媒又はコバルト系触媒を用いて重合する場合は、通常、溶剤、ブタジエンモノマーと併せて連続的に反応機にチャージさせ、例えば、反応温度を5〜60℃、反応圧力を大気圧から70数気圧の範囲で適宜選択して、前記ムーニー粘度のものが得られるように操作する方法を挙げることができる。
前記(b)成分として、不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸を好適に用いることができる。また、不飽和カルボン酸の金属塩としては、メタクリル酸亜鉛、アクリル酸亜鉛等の不飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩等を挙げることができ、特にアクリル酸亜鉛を好適に用いることができる。
前記(b)成分の配合量としては、前記基材ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、上限として、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下、最も好ましくは40質量部以下であることが推奨される。(b)成分の配合量が多すぎるとゴム組成物の加熱成形物が硬くなって耐え難い打感となる場合があり、少なすぎると、反発性が低下してしまう場合がある。
前記(c)成分としては、市販品を用いることができ、例えばパークミルD(日本油脂社製)、パーヘキサC(日本油脂社製)、Luperco 231XL(アトケム社製)等を使用可能である。必要に応じて2種以上の異なる有機過酸化物を混合して用いてもよい。
前記(c)成分の配合量としては、前記基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、上限として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2質量部以下であることが推奨される。配合量が多すぎたり少なすぎたりすると、好適な硬度分布、すなわち打感、耐久性及び反発性に劣る場合がある。
本発明におけるゴム組成物には、更に反発性を向上させる観点から、次の(d)成分、
(d)有機硫黄化合物、
を配合することが好適である。
このような有機硫黄化合物としては、例えばチオフェノール類、チオナフトール類、ハロゲン化チオフェノール類、又はそれらの金属塩等を挙げることができ、更に具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール等の亜鉛塩、硫黄数が2〜4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。中でも、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、及び/又はジフェニルジスルフィドを好適に用いることができる。
前記(d)成分の配合量としては、前記基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、上限として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下であることが推奨される。配合量が多すぎるとゴム組成物の加熱成形物の硬さが軟らかくなりすぎてしまう場合があり、一方、少なすぎると反発性の向上が見込めない場合がある。
本発明におけるゴム組成物には、更に無機充填剤や老化防止剤といった添加剤を配合することができる。無機充填剤としては、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を挙げることができ、その配合量は、前記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、最も好ましくは13質量部以上、上限として、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下、最も好ましくは40質量部以下であることが推奨される。配合量が多すぎたり少なすぎたりすると、適正な質量、および好適な反発性を得ることができない場合がある。
なお、反発性を上げるという点から無機充填剤中に酸化亜鉛が50質量%以上含有されているものが好ましく、更に好ましくは75質量%以上含有されているもの、特に100質量%(無機充填剤として酸化亜鉛が100%)であるものが好ましい。
また、酸化亜鉛の平均粒径(空気透過法による)は、好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.05μm以上、特に0.1μm以上、上限として好ましくは2μm以下、更に1μm以下が好ましく用いられる。
また、老化防止剤としては市販品として2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(ノクラックNS−6、大内新興化学工業社製)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(ノクラックNS−5、大内新興化学工業社製)等が挙げられる。その配合量は、前記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、最も好ましくは0.2質量部以上、上限として、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、最も好ましくは0.5質量部以下とすることが、好適な反発性、耐久性を得る観点から推奨される。
本発明におけるコアは、上述したゴム組成物を、公知のゴルフボール用ゴム組成物と同様の方法で加硫・硬化させることによって得ることができる。加硫条件としては、例えば、加硫温度100〜200℃、加硫時間10〜40分にて実施する条件が挙げられる。
なお、本発明におけるコア(加硫成形物)について、加熱成形物表面のJIS−C硬度から加熱成形物中心のJIS−C硬度を引いた硬度差としては、好ましくは15以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは17以上、最も好ましくは18以上であり、上限として、好ましくは50以下、より好ましくは40以下であることが推奨される。このように硬度を調整することが、軟らかい打感と良好な反発性、耐久性を兼ね備えたゴルフボールを実現する観点から好適である。
また、本発明におけるコア(加熱成形物)は、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷した時のたわみ量が、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.5mm以上、更に好ましくは2.8mm以上、上限としては、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.5mm以下、更に好ましくは5.0mm以下、最も好ましくは4.5mm以下であることが推奨される。変形量が少なすぎると打感が悪くなると共に、特にドライバーなどのボールに大変形が生じるロングショット時にスピンが増えすぎて飛ばなくなる場合があり、一方、軟らかすぎると打感が鈍くなると共に、反発が十分でなくなり飛ばなくなる上、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなる場合がある。
コアの直径としては、好ましくは30.0mm以上、より好ましくは32.0mm以上、更に好ましくは35.0mm以上、最も好ましくは37.0mm以上、上限として、好ましくは41.0mm以下、より好ましくは40.5mm以下、更に好ましくは40.0mm以下、最も好ましくは39.5mm以下とすることが推奨される。
特に、ツーピースソリッドゴルフボールのソリッドコアの直径としては、好ましくは37.0mm以上、より好ましくは37.5mm以上、更に好ましくは38.0mm以上、最も好ましくは38.5mm以上、上限として、好ましくは41.0mm以下、より好ましくは40.5mm以下、更に好ましくは40.0mm以下とすることが推奨される。
また、スリーピースソリッドゴルフボールのソリッドコアの直径としては、好ましくは30.0mm以上、より好ましくは32.0mm以上、更に好ましくは34.0mm以上、最も好ましくは35.0mm以上、上限として、好ましくは40.0mm以下、より好ましくは39.5mm以下、更に好ましくは39.0mm以下とすることが推奨される。
前記コアの比重としては、好ましくは0.9以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.1以上、上限として、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.2以下であることが推奨される。
また、糸巻きゴルフボールの糸巻きコアを製造する場合には、まず、リキッド又はソリッドセンターを作成する。リキッドセンターは、上述したゴム組成物等にて中空球状のセンターバックを形成し、このバックの中に公知の方法に従って液体を封入すればよい。また、ソリッドセンターは、前記ソリッドコアの製造方法に従って製造することができ、得られたセンターに対し糸ゴムを延伸状態で巻きつけることにより、コアを得ることができる。
なお、前記糸ゴムも常法により得られたものを使用でき、例えば、天然ゴム又はポリイソプレンなどの合成ゴムに老化防止剤、加硫促進剤、硫黄などの各種添加剤を配合したゴム組成物を加硫成形して形成したものを使用し得る。
前記各種コアを使用して本発明のゴルフボールを得るには、前記ポリマー組成物でカバーを形成すればよく、例えば、ボールの種類に応じて予め作製した単層又は2層以上の多層コアを金型内に配備し、本発明のポリマー組成物を加熱混合溶融し、射出成形する方法等を採用できる。この場合、ゴルフボールの製造は、優れた熱安定性、流動性、成形性が確保された状態で作業でき、得られたゴルフボールは、反発性が高い。
カバーの形成方法は、上述した方法に限られるものではなく、例えば、本発明のカバー材により予め一対の半球状のハーフカップを成形し、このハーフカップでコアを包んで120〜170℃、1〜5分間、加圧成形する方法などを採用し得る。
前記ポリマー組成物の成形材料で形成されるカバーの厚さは、特に制限されるものではないが、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.3mm以上、上限として、好ましくは4mm以下、より好ましくは2.3mm以下に形成することができ、本発明のカバーは、1層に限られず、2層以上の多層構造に形成してもよく、多層構造の場合には、本発明のカバー材を多層構造の内側に用いても、最外層カバーに用いてもよいが、本発明においては、単層カバーの場合はそのカバー材として、また2層以上のカバーを具備してなるゴルフボールの場合には、最外層カバー以外の内側カバーに好適に使用できる。
なお、前記最外層カバーの表面には、多数のディンプルが形成され、更にカバー上には下地処理、スタンプ、塗装等種々の処理を行うことができ、特に本発明のカバー材で形成されたカバーにこのような表面処理を施す場合、カバー表面の成形性が良好であるため作業性を良好にして行うことができる。
以上のようにして形成されるゴルフボールについて、前記カバー、ソリッド及びリキッドセンター、ソリッドコア及び糸巻きコア、ワンピースゴルフボールの直径、重量、硬度等は本発明の目的を達成し得る範囲で適宜調整することができ、特に制限されるものではない。
なお、本発明のゴルフボールは、前記ポリマー組成物を前記したカバー材以外に使用したゴルフボールであってもよく、例えば、ワンピースゴルフボール材、コア材として用いられたゴルフボールであってもよく、射出成形を採用して製造することができる。
本発明のゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、直径42.67mm以上、重量45.93g以下に形成することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔実施例1、比較例1〜5〕
下記表1に示すポリブタジエンを主成分とするコア材料を用いて、直径38.6mm、重量35.1g、たわみ変形量3.2mm又は3.3mmに調整したソリッドコアを作成した。なお、この変形量の値は、コアに対して初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷したときまでの変形量を測定した値である。
Figure 0005007814
前記の配合についての詳細は下記のとおりである。
・ポリブタジエンゴム:商品名「EC140」(ファイアストンポリマー社製)
Nd系触媒により重合/ムーニー粘度「43」/T80値:2.3
・ポリブタジエンゴム:商品名「BR51」(JSR社製)
Nd系触媒により重合/ムーニー粘度「39」/T80値:5.0
・ポリブタジエンゴム:商品名「BR60」(POLIMERI Srl社製)
Nd系触媒により重合/ムーニー粘度「57」/T80値:4.6
・ポリブタジエンゴム:商品名「BR01」(JSR社製)
Ni系触媒により重合/ムーニー粘度「48」/T80値:8.4
・過酸化物:ジクミルパーオキサイド 商品名「パークミルD」(日本油脂社製)
・酸化亜鉛:堺化学社製 平均粒径0.6μm(空気透過法)、
比表面積3.5m2/g(BET法)
・老化防止剤:商品名「ノクラックNS−6」(大内新興化学工業社製)
・アクリル酸亜鉛:日本触媒社製
・ステアリン酸亜鉛:商品名「ジンクステアレートG」(日本油脂社製)
次に、表2に示す組成のカバー材X,Y,Zを200℃で混練型二軸押出機にてミキシングし、ペレット状のカバー材を得た後、前記ソリッドコアを配備した金型内に射出し、厚さ2.1mmのカバーを有する直径42.8mmのツーピースソリッドゴルフボールを製造した。
Figure 0005007814
※ 表中の各成分の配合数字は質量部を示す。
なお、表中に記載した商品名、材料は以下の通りである。
「ニュクレルAN4318」:三井・デュポンポリケミカル社製エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、酸含量8質量%,エステル含量17質量%
・酸化亜鉛I:商品名「NanoTek ZnO」シーアイ化成(株)製、
アークプラズマ法により得られた平均一次粒子径0.03μmの超微粒子
酸化亜鉛
・酸化亜鉛II:商品名「FINEX−50」堺化学工業(株)製、
電気亜鉛地金を蒸発酸化して得られた平均一次粒子径0.02μmの超
微粒子酸化亜鉛
・酸化亜鉛III:堺化学工業(株)製、3種酸化亜鉛、平均粒径0.6μmの汎用酸化
亜鉛
・ステアリン酸亜鉛:商品名「ジンクステアレートG」(日本油脂社製)
各種のカバー材及びゴルフボールについて、諸特性を下記の通り評価した。結果を表2、3に記載する。
ボールのたわみ変形量
ゴルフボールに対して初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷したときまでの変形量(mm)をもとめた。
初速度
ゴルフボール公認機関R&A(USGA)と同タイプの初速度計を使用し、R&A(USGA)ルールに従い測定したときの初速度。
中和度
ポリマー組成物中に含まれる全酸基(脂肪酸(誘導体)中の酸基も含む)のうち、金属イオンにより中和されている酸基のモル分率を原料の酸含量、中和度、分子量から計算した。
Figure 0005007814
前記実施例及び比較例の結果は、以下の通りである。
実施例1と比較例1,2との比較
同種コアにX,Y,Zのポリマー組成物を被覆し、ゴルフボールを作成した。プラズマ法によって製造された酸化亜鉛を用いたポリマー組成物Xは、そうでない酸化亜鉛を用いたポリマー組成物Y,Zに比較して初速が速いボールが得られた。以上から、本発明のポリマー組成物は反発性能が高い材料であることが分かる。
実施例1と比較例3〜5との比較
さらにゴルフボールとしての構成要素を変えた例として実施例1と比較例3〜5のボール初速を比較する。本発明のポリマー組成物を構成要素として採用し、その他の構成要素としてコアに使用しているポリブタジエンの種類を変えた場合、T80値が3.5以下のポリブタジエンを使用したコアNo.1を採用したボールは、そうでないコアNo.2〜4に比較して初速が速いボールが得られた。
以上の結果から、カバー材として本発明におけるポリマー組成物とコア材としてT80値が3.5以下のポリブタジエンとを組み合わせて用いると、反発性能がより一層高いゴルフボールが得られることが分かる。

Claims (7)

  1. (A)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体 100質量部、
    (B)前記(A)成分中の酸基を中和することができる酸化亜鉛,酸化マグネシウム及び酸化カルシウムの群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物 0.1〜10質量部を含有してなり、前記金属酸化物がアークプラズマ法によって製造され、その平均粒径が200nm以下であることを特徴とするゴルフボール用ポリマー組成物。
  2. さらに(C)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体を、前記(A)成分100質量部に対して5〜80質量部を配合する請求項1記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
  3. 前記配合物のメルトインデックスが1.0dg/min以上である請求項1又は2記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
  4. (B)成分の金属酸化物の平均粒径が100nm以下である請求項1〜のいずれか1項記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
  5. 中和度が50モル%以上である請求項1〜のいずれか1項記載のゴルフボール用ポリマー組成物。
  6. コアと1層又は複数層のカバーを有するゴルフボールにおいて、前記コア又はカバーの少なくとも1層が請求項1〜のいずれか1項記載のポリマー組成物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
  7. コアと1層又は複数層のカバーを有するゴルフボールにおいて、前記コアが、(a)下記のように定義される応力緩和時間(T80)が1.5以上3.0以下の固形状ポリブタジエンが含まれる基材ゴムと、(b)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、(c)有機過酸化物と、を配合したゴム組成物の加熱成形物にて形成されると共に、前記カバーを構成する少なくとも1層が請求項1〜のいずれか1項記載のポリマー組成物にて形成されたことを特徴とするゴルフボール。
    [応力緩和時間(T80)]
    ML1+4(100℃)値(ASTM D−1646−96に準じて測定される、100℃におけるムーニー粘度測定値)測定直後にローター回転を停止させてからML1+4の値が80%低下するまでに要する時間(秒)である。
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