JP5007481B2 - 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子などにおける層間絶縁膜として有用な膜形成に好適である重合体、その製造方法及びそれを含む膜形成用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子材料用途において、近年、高集積化、多機能化、高性能化に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大して、消費電力が増加するだけでなく、遅延時間も増大して、デバイスの信号スピードが低下したり、クロストークの大きな要因となっている。そのため、寄生抵抗や寄生容量を下げることが求められており、その解決策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被うことにより、寄生容量を下げてデバイスの高速化に対応しようとしている。また、LCD(Liquid Crystal Display)関連用途では、低誘電性に加え、さらに透明性も要求されている。
【0003】
この要求に適応する耐熱性の有機材料として、ポリイミドが広く知られているが、極性の高いイミド基を含むため、誘電性、吸水性の点、さらに着色するという問題があり、満足なものは得られていない。また、ポリイミドを焼成するためには、350〜400℃で1時間程度の焼成時間が必要である。
【0004】
一方、極性基を含まない高耐熱性の有機材料として、ポリフェニレンが知られている。このポリフェニレンは耐熱性に優れるが、有機溶媒に対する溶解性が劣るので、一般に側鎖に可溶性基を導入して溶解性を高めている。このようなポリフェニレンとしては、例えば、米国特許第5,214,044号明細書、国際出願WO96/28491号明細書、ヨーロッパ特許公開第629217号公報などに記載されているポリマーを挙げることができる。
【0005】
これらのポリマーは、基本的にポリパラフェニレン構造を主としており、屈曲性モノマーを一部共重合するなどしているものの、特定の有機溶媒にしか溶けず、また溶媒に溶解させた場合、剛直分子に起因する高粘度溶液の問題もあり、加工性の点で満足できるものではなかった。
【0006】
さらに、耐溶剤性の付与、耐熱性、機械的性質の改善などのために、ポリフェニレン系ポリマーの架橋についても検討され、従来から、アセチレン結合を利用した架橋反応が知られているが、塗膜の密着性に問題があった。
また、ポリアリーレンの加工性や溶解性を高めるため、ポリマー中にエーテル元素を導入することも検討されているが、得られるポリマーの耐熱性に問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような背景のもとになされたもので、膜形成に好適に用いられる重合体及びその製造方法、この重合体を含有し、短時間焼成が可能であり、耐熱性、硬度及びクラック耐性に優れ、低誘電性の塗膜を得ることができる膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意研究した結果、特定の繰返し単位を有する重合体を溶媒に溶解させた組成物は膜形成性に優れ、上記課題を解決するものであるとの知見を得、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、第一に、下記一般式(1)
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R1〜R4は独立に単結合、−O−、−CO−、−CH2−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、−C≡C−、フェニレン基、
【0012】
【化6】
【0013】
又はフルオレニレン基を表わし、R5〜R10は独立に炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基又はアリール基を表わし、a及びbは独立に0〜3の整数を示し、c〜hは独立に0〜4の整数を示す。)
で表わされる繰返し単位を有する重合体を提供する。
【0014】
また、第二に、下記一般式(2)
【0015】
【化7】
【0016】
(式中、R1、R2、R5、R6、R7、a、c、d及びeは前記一般式(1)に関して定義したとおりであり、R11及びR12は独立に水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表わす。)
で表される化合物と、下記一般式(3)
【0017】
【化8】
【0018】
(式中、R3、R4、R8、R9、R10、b、f、g及びhは前記一般式(1)に関して定義したとおりである。)
で表される化合物を触媒の存在下で重合させることを特徴とする重合体の製造方法を提供する。
【0019】
さらに、第三に、前記重合体を含有する膜形成用組成物を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(重合体)
本発明の重合体は下記一般式(1)で表わされる繰返し単位を有する重合体である。
【0021】
【化9】
【0022】
(式中、R1〜R4は独立に単結合、−O−、−CO−、−CH2−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、−C≡C−、フェニレン基、
【0023】
【化10】
【0024】
又はフルオレニレン基を表わし、R5〜R10は独立に炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基又はアリール基を表わし、a及びbは独立に0〜3の整数を示し、c〜hは独立に0〜4の整数を示す。)
そして、中でも一般式(1)で表わされる繰返し単位中に−C≡C−の結合を有する重合体は、架橋反応性を有している。したがって、これを膜形成用組成物に含有させ、基板上に適用すると、短時間焼成で塗膜が形成され、この塗膜は耐熱性、硬度及びクラック耐性がより優れており、より低い誘電性を示す。
【0025】
(重合体の製造方法)
上記一般式(1)で表わされる繰返し単位を有する重合体は次のようにして製造される。
【0026】
すなわち、下記一般式(2)
【0027】
【化11】
【0028】
(式中、R1、R2、R5、R6、R7、a、c、d及びeは前記一般式(1)に関して定義したとおりであり、R11及びR12は独立に水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表わす。)
で表される化合物と、下記一般式(3)
【0029】
【化12】
【0030】
(式中、R3、R4、R8、R9、R10、b、f、g及びhは前記一般式(1)に関して定義したとおりである。)
で表される化合物を触媒の存在下で重合させることにより製造される。
【0031】
一般式(2)で表わされる化合物としては、例えば、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルケトン、4,4’−ジカルボキシジフェニルアセチレン、ビフェニル−4,4’−ジカルボキシリックジメチルエステル、ビフェニル−4,4’−ジカルボキシリックジエチルエステル、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボキシリックジメチルエステル、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボキシリックジエチルエステル、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボキシリックジメチルエステル、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボキシリックジエチルエステル、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボキシリックジメチルエステル、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボキシリックジエチルエステル、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボキシリックジメチルエステル、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボキシリックジエチルエステル、ジフェニルアセチレン−4,4’−ジカルボキシリックジメチルエステル、ジフェニルアセチレン−4,4’−ジカルボキシリックジエチルエステル、
【0032】
4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−カルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(2−カルボキシフェノキシ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(2−カルボキシフェノキシ)ジフェニルアセチレン、
【0033】
4,4’−ビス(4−カルボキシベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−カルボキシベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−カルボキシベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−カルボキシベンゾイル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(3−カルボキシベンゾイル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(2−カルボキシベンゾイル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(4−カルボキシベンゾイル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(3−カルボキシベンゾイル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(2−カルボキシベンゾイル)ジフェニルアセチレン、
【0034】
4,4’−ビス(フェノキシ−4−カルボキシメチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(フェノキシ−3−カルボキシメチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(フェノキシ−2−カルボキシメチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(フェノキシ−4−カルボキシメチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(フェノキシ−3−カルボキシメチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(フェノキシ−2−カルボキシメチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(フェノキシ−4−カルボキシメチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(フェノキシ−3−カルボキシメチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(フェノキシ−2−カルボキシメチルエステル)ジフェニルアセチレン、
【0035】
4,4’−ビス(ベンゾイル−4−カルボキシメチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ベンゾイル−3−カルボキシメチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ベンゾイル−2−カルボキシメチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ベンゾイル−4−カルボキシメチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(ベンゾイル−3−カルボキシメチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(ベンゾイル−2−カルボキシメチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(ベンゾイル−4−カルボキシメチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(ベンゾイル−3−カルボキシメチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(ベンゾイル−2−カルボキシメチルエステル)ジフェニルアセチレン、
【0036】
4,4’−ビス(フェノキシ−4−カルボキシエチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(フェノキシ−3−カルボキシエチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(フェノキシ−2−カルボキシエチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(フェノキシ−4−カルボキシエチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(フェノキシ−3−カルボキシエチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(フェノキシ−2−カルボキシエチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(フェノキシ−4−カルボキシエチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(フェノキシ−3−カルボキシエチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(フェノキシ−2−カルボキシエチルエステル)ジフェニルアセチレン、
【0037】
4,4’−ビス(ベンゾイル−4−カルボキシエチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ベンゾイル−3−カルボキシエチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ベンゾイル−2−カルボキシエチルエステル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ベンゾイル−4−カルボキシエチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(ベンゾイル−3−カルボキシエチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(ベンゾイル−2−カルボキシエチルエステル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(ベンゾイル−4−カルボキシエチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(ベンゾイル−3−カルボキシエチルエステル)ジフェニルアセチレン、4,4’−ビス(ベンゾイル−2−カルボキシエチルエステル)ジフェニルアセチレン、
【0038】
4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホン、
【0039】
4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルジメチルエステル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルジメチルエステル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルジメチルエステル、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトンジメチルエステル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトンジメチルエステル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトンジメチルエステル、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホンジメチルエステル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホンジメチルエステル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホンジメチルエステル、
【0040】
4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルジエチルエステル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルジエチルエステル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルジエチルエステル、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトンジエチルエステル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトンジエチルエステル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルケトンジエチルエステル、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホンジエチルエステル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホンジエチルエステル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルスルホンジエチルエステルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0041】
一般式(3)で表わされる化合物としては、例えば、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、トラン、4,4’−ジフェノキシベンゼン、3,3’−ジフェノキシベンゼン、4,4’−ジフェノキシケトン、3,3’−ジフェノキシケトン、
4,4’−ジフェノキシジフェニルエーテル、3,3’−ジフェノキシジフェニルエーテル、4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジフェノキシジフェニルスルホン、3,3’−ジフェノキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノキシトラン、3,3’−ジフェノキシトラン、
4,4’−ジベンゾイルジフェニルエーテル、3,3’−ジベンゾイルジフェニルエーテル、4,4’−ジベンゾイルベンゾフェノン、3,3’−ジベンゾイルベンゾフェノン、4,4’−ジベンゾイルジフェニルスルホン、3,3’−ジベンゾイルジフェニルスルホン、4,4’−ジベンゾイルトラン、3,3’−ジベンゾイルトランなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0042】
本発明の重合体は、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物を触媒の存在下で重合させることにより製造される。この際、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表わされる化合物の使用割合は、一般式(2)で表される化合物1モルに対して、一般式(3)で表される化合物0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、特に好ましくは0.95〜1.05である。一般式(3)で表される化合物の総量が0.8モル未満の場合や1.2モルを越える場合は、得られる重合体の分子量が上昇しにくい。
【0043】
本発明の製造方法においては、例えば、触媒としてリン含有化合物の存在下で一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応させることが好ましい。かかるリン含有化合物としては、例えば、ポリリン酸、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸メチルエステル、ポリリン酸エチルエステル、ポリリン酸トリメチルシリルエステル、五酸化リン−メタンスルホン酸溶液、五酸化リン−トリクロロメタンスルホン酸溶液、五酸化リン−トリフルオロメタンスルホン酸溶液、五酸化リン−硫酸溶液などを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0044】
上記触媒の使用割合は、一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、1〜1000モル、さらに好ましくは1〜100モルである。1モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、100モルを超えると経済的ではなくなる。
【0045】
本発明の製造方法では、溶剤を用いずに反応させることができるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。重合用の溶媒としては特に制限はないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレンクリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクルペンタノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は十分に乾燥、脱酸素して用いることが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0046】
溶剤を使用する場合、重合溶媒中におけるモノマー(重合成分)濃度は、好ましくは、10〜99重量%、さらに好ましくは20〜99重量%である。
また、重合温度は、好ましくは、0〜150℃、さらに好ましくは5〜100℃である。また、重合時間は、好ましくは、0.5〜100時間、さらに好ましくは1〜40時間である。
【0047】
(膜形成用組成物)
本発明の膜形成用組成物は、本発明の重合体を溶剤に溶解して調製される。この際使用することができる溶剤としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及び非プロトン系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0048】
ここで、アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;
【0049】
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;
【0050】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0051】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。これらのケトン系溶媒は、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0052】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。これらアミド系溶媒は、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0053】
エステル系溶媒としては、例えば、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらエステル系溶媒は、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0054】
非プロトン系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N',N’−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3 −ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどを挙げることができる。これら非プロトン系溶媒は、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0055】
本発明の膜形成用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにコロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、本発明の重合体以外の有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、トリアゼン化合物、ラジカル発生剤、重合性の二重結合を含有する化合物、重合性の三重結合を有する化合物などの成分を添加してもよい。
【0056】
コロイド状シリカとは、例えば、高純度の無水ケイ酸を前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾル及びイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、1〜20重量部にすることが好ましい。
【0057】
コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、1〜20重量部にすることが好ましい。
【0058】
上記有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体などを挙げることができる。
【0059】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などを有する重合体が挙げられる。
【0060】
具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0061】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
−(X’)p−(Y’)q−
−(X’)p−(Y’)q−(X’)r−
〔一般式中、X’は−CH2CH2O−で表される基を、Y’は−CH2CH(CH3)O−で表される基を示し、pは1〜90、qは10〜99、rは0〜90の数を示す。〕
【0062】
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、などのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、1〜30重量部にすることが好ましい。
【0063】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0064】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N’−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどの末端、主鎖及び側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキル又はフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0065】
また、市販品としては、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183〔以上、大日本インキ化学工業(株)製〕、エフトップEF301、同303、同352〔新秋田化成(株)製〕、フロラードFC−430、同FC−431〔住友スリーエム(株)製〕、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106〔旭硝子(株)製〕、BM−1000、BM−1100〔裕商(株)製〕、NBX−15〔(株)ネオス〕などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの中でも、上記メガファックF172、BM−1000、BM−1100、NBX−15が特に好ましい。
【0066】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、SH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA〔いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製〕などを用いることができる。これらの中でも、上記SH28PA、SH30PAが特に好ましい。
界面活性剤の使用量は、本発明の重合体100重量部に対して、通常、0.00001〜1重量部にすることが好ましい。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0067】
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、m−エチニルフェニルトリメトキシシラン、p−エチニルフェニルトリメトキシシラン、m−エチニルフェニルトリエトキシシラン、p−エチニルフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、これらのアルコキシシランの加水分解物及び/又は縮合物を使用することができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部にすることが好ましい。
【0068】
トリアゼン化合物としては、例えば、1,2−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、1,3−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、1,4−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)エーテル、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)メタン、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)スルホン、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)スルフィド、2,2−ビス〔4−(3,3−ジメチルトリアゼニルフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3,3−ジメチルトリアゼニルフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,3,5−トリス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−メチル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−フェニル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−プロペニル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−フルオロ−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3,5−ジフルオロ−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−トリフルオロメチル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、1〜10重量部にすることが好ましい。
【0069】
ラジカル発生剤としては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−nプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、スクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルアンドベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;
【0070】
ジベンジル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジフェニルビベンジル、α,α’−ジフェニル−α−メトキシビベンジル、α,α’−ジフェニル−α,α’−ジメトキシビベンジル、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジメチルビベンジル、α,α’−ジメトキシビベンジル、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニル−n−ヘキサン、2,2,3,3−テトラフェニルコハク酸ニトリルなどのビベンジル化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、0.5〜10重量部にすることが好ましい。
【0071】
重合性の二重結合を含有する化合物としては、例えば、アリルベンゼン、ジアリルベンゼン、トリアリルベンゼン、アリルオキシベンゼン、ジアリルオキシベンゼン、トリアリルオキシベンゼン、α,ω−ジアリルオキシアルカン類、α,ω−ジアリルアルケン類、α,ω−ジアリルアルケン類、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N−アリルフタルイミド、N−アリルピロメリットイミド、N、N’−ジアリルウレア、トリアリルイソシアヌレート、2,2’−ジアリルビスフェノールAなどのアリル化合物;
スチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、スチルベン、プロペニルベンゼン、ジプロペニルベンゼン、トリプロペニルベンゼン、フェニルビニルケトン、メチルスチリルケトン、α,ω−ジビニルアルカン類、α,ω−ジビニルアルケン類、α,ω−ジビニルアルキン類、α,ω−ジビニルオキシアルカン類、α,ω−ジビニルアルケン類、α,ω−ジビニルアルキン類、α,ω−ジアクリルオキシアルカン類、α,ω−ジアクリルアルケン類、α,ω−ジアクリルアルケン類、α,ω−ジメタクリルオキシアルカン類、α,ω−ジメタクリルアルケン類、α,ω−ジメタクリルアルケン類、ビスアクリルオキシベンゼン、トリスアクリルオキシベンゼン、ビスメタクリルオキシベンゼン、トリスメタクリルオキシベンゼン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルピロメリットイミドなどのビニル化合物;
【0072】
2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンエーテル、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンなどを挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、0.5〜10重量部にすることが好ましい。
【0073】
重合性の三重結合を含有する化合物としては、例えば、上記一般式(2)で表される化合物や一般式(3)で表される化合物の中で挙げたものが挙げられる。重合性の三重結合を含有する化合物としては、そのほか、エチニルベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリエチニルベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニルフェニル)エーテル、トリメチルシリルエチニルベンゼン、トリス(フェニルエチニル)ベンゼンなどを挙げることができる。これらの重合性の三重結合を含有する化合物は、1種単独で使用しても又は2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は、重合体100重量部に対して、通常、1〜20重量部にすることが好ましい。
【0074】
本発明の膜形成用組成物の全固形分濃度は、1〜30重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましく、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が1〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性にも優れる。
【0075】
本発明の膜形成用組成物を、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハなどの基材(又は基板)に塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。その後、常温で乾燥するか、あるいは80〜600℃程度の温度で、通常、5〜240分程度加熱して乾燥・硬化させて、塗膜(例えば層間絶縁膜)を形成させることができる。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することができ、加熱雰囲気としては、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。また、電子線や紫外線を照射することによっても、塗膜を形成させることができる。この際の膜厚は、1回塗りでは厚さ(固形分)0.02〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.05〜3μm程度に形成することができる。
【0076】
本発明の膜形成用組成物からは、短時間焼成で塗膜を形成させることができ、得られる塗膜は密着性、耐熱性、膜硬度クラック耐性に優れ、低誘電性であるので、LSI(Large Scale Integration)、システムLSI、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜やエッチングストッパーや化学機械研磨ストッパー、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜などの用途に有用である。
【0077】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例中の部及び%は、特記しない限り、それぞれ重量部及び重量%を示している。また、実施例中における膜形成用組成物の評価は、次のようにして行ったものである。
【0078】
(重量平均分子量(Mw))
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、試料1gを、100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃
流速:1cc/分
【0079】
(比誘電率)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間乾燥し、さらに380℃の窒素雰囲気のホットプレート上で7分間焼成し、ウエハ上に塗膜を形成させ、さらにこの塗膜上にアルミニウムを蒸着し、比誘電率評価用試料を作製した。比誘電率は、横川・ヒューレットパッカード(株)製のHP16451B電極及びHP4284AプレシジョンLCRメーター用いて、10kHzにおける容量値から算出した。
【0080】
(クラック耐性)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間乾燥し、さらに380℃の窒素雰囲気のホットプレート上で7分間焼成し、ウエハ上に塗膜を形成させた。この際の最終的な膜厚は5.5μmとした。得られた塗膜が形成されているウエハを純水中に2時間浸漬し、塗膜の外観を35万ルクスの表面観察用ランプを用い、塗膜表面にクラックが認められるか否かを観察した。
【0081】
(塗膜硬度)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間を乾燥し、さらに380℃の窒素雰囲気のホットプレート上で7分間焼成し、ウエハ上に塗膜を形成させ、ナノインデンターXP(ナノインスツルメント社製)を用い、連続剛性測定法により塗膜硬度を測定した。
【0082】
(耐熱性)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間を乾燥し、さらに380℃の窒素雰囲気のホットプレート上で7分間を焼成した。得られた塗膜が形成されているウエハを熱ストレス測定装置(KLA Tencor社製,FLX−2320)を用いて室温から420℃まで5℃/minで加熱し、ガラス転移温度に起因するストレスの緩和が認められるか否かを観察した。
【0083】
実施例1
温度計、アルゴンガス導入管、攪拌装置を備えた1000ml三口フラスコにメタンスルホン酸200gと五酸化二リン20gを加え室温で2時間攪拌した。この溶液に、ジフェニルエーテル5.41gと4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテル14.58gを添加し、50℃で20時間反応させた。この反応液を水5Lに氷冷しながらゆっくり滴下し淡黄色の固体を析出させた。この固体を濾別後、1NNaOH水溶液5L中で1時間攪拌しながら洗浄した。再び固体を濾別しシクロヘキサノン400gに溶解させ不溶分を濾過した後、メタノール5リットルで再沈殿し、沈殿を濾過、乾燥により重量平均分子量25,000の重合体Aを得た。
【0084】
この重合体A3gをシクロヘキサノン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い、膜形成用組成物を得た。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は2.98と低い値であり、熱ストレスではTgは認められなかった。この塗膜は純水浸漬後もクラックは認められなかった。また、塗膜の硬度は0.5GPaと機械的強度に優れていた。
【0085】
実施例2
実施例1において、ジフェニルエーテルの代わりにトラン5.52g、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルの代わりに4,4’−ビス(2−カルボキシベンゾイル)ジフェニルエーテル14.47gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、重量平均分子量22,000の重合体Bを得た。
【0086】
この重合体B3gをシクロヘキサノン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い、膜形成用組成物を得た。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は2.93と低い値であり、熱ストレスではTgは認められなかった。この塗膜は純水浸漬後もクラックは認められなかった。また、塗膜の硬度は0.6GPaと機械的強度に優れていた。
【0087】
実施例3
実施例1において、ジフェニルエーテルの代わりにトラン5.60g、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルの代わりに4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテル14.40gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、重量平均分子量28,000の重合体Cを得た。
【0088】
この重合体C3gをシクロヘキサノン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い、膜形成用組成物を得た。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は2.96と低い値であり、熱ストレスではTgは認められなかった。この塗膜は純水浸漬後もクラックは認められなかった。また、塗膜の硬度は0.7GPaと機械的強度に優れていた。
【0089】
比較例1
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン35.04gと炭酸カリウム16.6gをジメチルアセトアミド350g、トルエン100mlと共にフラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃で20時間加熱を行った。この際、発生する水蒸気を系外に除去した。この溶液に4,4’−ビスフルオロベンゾフェノン21.9gを加え、160℃で8時間反応を行った。反応液を冷却したのち、溶液中の不溶物をろ過して除去したのち、メタノール中に再沈殿させた。この沈殿物をイオン交換水で十分洗浄したのち、沈殿物をシクロヘキサノンに溶解させ、不溶物を除去したのち、アセトン中に再沈殿させた。この沈殿物を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させることで、重量平均分子量24,000の重合体Dを得た。
【0090】
この重合体D3gをシクロヘキサノン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行った。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は2.87と低い値であったが、塗膜のTgが250℃に認められた。
【0091】
比較例2
メチルトリメトキシシラン77.04gと酢酸2gを、イソプロピルアルコール290gに溶解させたのち、スリーワンモーターで攪拌し、溶液温度を60℃に安定させた。次に、イオン交換水84gを1時間かけて溶液に添加した。その後、60℃で2時間反応させたのち、反応液(1)(縮合物)を得た。
【0092】
この反応液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行った。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は3.44と高い値であった。また、厚さ5μmの塗膜でクラックが生じており、クラック耐性に劣るものであった。
【0093】
参考例1
実施例1において、ジフェニルエーテルの使用量を5.41gから7.02gに変更し、4,4’−ビス(2−カルボキシフェニルエチニル)ジフェニルエーテルの代わりにジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボキシリックジエチルエステル12.98gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、重量平均分子量44,000の重合体Fを得た。
【0094】
この重合体F3gをγ−ブチロラクトン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い膜形成用組成物を得た。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は3.02と比較的低い値であったが、塗膜のTgは278℃に認めらた。
【0095】
【発明の効果】
本発明の重合体は膜形成用組成物として好適に用いられ、この重合体を有する膜形成用組成物を基材(又は基板)上に適用すると短時間焼成で塗膜が形成され、この塗膜は耐熱性、硬度及びクラック耐性に優れ、低誘電性である。特に、繰返し単位中に−C≡C−結合を有する重合体を有する膜形成用組成物を用いた場合は、これらの性質がより優れる。したがって、本発明の膜形成用組成物は、例えば、半導体素子などにおける層間絶縁膜形成用材料として有用である。また、本発明の製造方法によれば、このような重合体を容易に製造できる。
Claims (4)
- 触媒がリン含有化合物を含有することを特徴とする請求項2記載の重合体の製造方法。
- 請求項1記載の重合体を含有する膜形成用組成物。
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