JP4867078B2 - 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 - Google Patents
重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4867078B2 JP4867078B2 JP2001131386A JP2001131386A JP4867078B2 JP 4867078 B2 JP4867078 B2 JP 4867078B2 JP 2001131386 A JP2001131386 A JP 2001131386A JP 2001131386 A JP2001131386 A JP 2001131386A JP 4867078 B2 JP4867078 B2 JP 4867078B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- polymer
- bis
- general formula
- ether
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- ZJKCOCNPIMUORB-UHFFFAOYSA-N CC(C/C=C1)(CC=[N](C)(C)=CC1(C)N)O Chemical compound CC(C/C=C1)(CC=[N](C)(C)=CC1(C)N)O ZJKCOCNPIMUORB-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Formation Of Insulating Films (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子などにおける層間絶縁膜として有用な膜形成に好適である重合体、その製造方法及びそれを含む膜形成用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子材料用途において、近年、高集積化、多機能化、高性能化に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大して、消費電力が増加するだけでなく、遅延時間も増大して、デバイスの信号スピードが低下したり、クロストークの大きな要因となっている。そのため、寄生抵抗や寄生容量を下げることが求められており、その解決策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被うことにより、寄生容量を下げてデバイスの高速化に対応しようとしている。また、LCD(Liquid Crystal Display)関連用途では、低誘電性に加え、さらに透明性も要求されている。
【0003】
この要求に適応する耐熱性の有機材料として、ポリイミドが広く知られているが、極性の高いイミド基を含むため、誘電性、吸水性の点、さらに着色するという問題があり、満足なものは得られていない。また、ポリイミドを焼成するためには、350〜400℃で1時間程度の焼成時間が必要である。
一方、極性基を含まない高耐熱性の有機材料として、ポリフェニレンが知られている。このポリフェニレンは耐熱性に優れるが、有機溶媒に対する溶解性が劣るので、一般に側鎖に可溶性基を導入して溶解性を高めている。このようなポリフェニレンとしては、例えば、米国特許第5,214,044号明細書、国際出願WO96/28491号明細書、ヨーロッパ特許公開第629217号公報などに記載されているポリマーを挙げることができる。
【0004】
これらのポリマーは、基本的にポリパラフェニレン構造を主としており、屈曲性モノマーを一部共重合するなどしているものの、特定の有機溶媒にしか溶けず、また溶媒に溶解させた場合、剛直分子に起因する高粘度溶液の問題もあり、加工性の点で満足できるものではなかった。
さらに、耐溶剤性の付与、耐熱性、機械的性質の改善などのために、ポリフェニレン系ポリマーの架橋についても検討され、従来から、アセチレン結合を利用した架橋反応が知られているが、塗膜の密着性に問題があった。
また、ポリアリーレンの加工性や溶解性を高めるため、ポリマー中にエーテル元素を導入することも検討されているが、得られるポリマーの耐熱性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような背景のもとになされたもので、膜形成に好適に用いられる重合体及びその製造方法、この重合体を含有し、短時間焼成が可能であり、耐熱性、弾性率及びクラック耐性に優れ、低誘電性の塗膜を得ることができる膜形成用組成物提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意研究した結果、特定の繰返し単位を有する重合体を溶媒に溶解させた組成物は膜形成性に優れ、上記課題を解決するものであるとの知見を得、本発明に到達した。
すなわち、本発明は第一に、下記一般式(1)
【0007】
【化10】
[式中、Zは下記一般式(2)及び一般式(3)
【0008】
【化11】
【0009】
【化12】
(式中、R1及びR2は、独立に単結合、−O−、−CO−、−CH2−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基又はフルオレニレン基を表わし、R3、R4、R5及びR6は独立に炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基又はアリール基を表わし、aは0〜3の整数を示し、b〜eは、独立に0〜4の整数を示す。)
で表わされる2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の芳香族基であり、Yは下記一般式(4)及び一般式(5)
【0010】
【化13】
【0011】
【化14】
(式中、R7及びR8は、独立に単結合、−O−、−CO−、−CH2−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基又はフルオレニレン基を表わし、R9、R10、R11及びR12は独立に炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基又はアリール基を表わし、fは0〜3の整数を示し、g〜jは、独立に0〜4の整数を示す。)
で表わされる2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の芳香族基である。]
で表わされる繰返し単位を有していて、重合体骨格中にフルオレニレン基及びo−フェニレン基から選ばれる少なくとも一方の基を有する重合体を提供する。
第二に、下記一般式(6)及び一般式(7)
【0012】
【化15】
【0013】
【化16】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、a、b、c、d及びeは前記一般式(1)に関して定義したとおりである。)
で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、下記一般式(8)及び一般式(9)
【0014】
【化17】
【0015】
【化18】
(式中、R7、R8、R9、R10、R11、R12、f、g、h、i及びjは前記一般式(1)に関して定義したとおりであり、Xはハロゲン原子を表わす。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを触媒の存在下で重合することを特徴とする重合体の製造方法を提供する。
第三に、前記重合体を含有する膜形成用組成物を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
(重合体)
本発明の重合体は、下記の重合体である。
すなわち、下記一般式(1)
【0017】
【化19】
[式中、Zは下記一般式(2)及び一般式(3)
【0018】
【化20】
【0019】
【化21】
(式中、R1及びR2は、独立に単結合、−O−、−CO−、−CH2−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基又はフルオレニレン基を表わし、R3、R4、R5及びR6は独立に炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基又はアリール基を表わし、aは0〜3の整数を示し、b〜eは、独立に0〜4の整数を示す。)
で表わされる2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の芳香族基であり、Yは下記一般式(4)及び一般式(5)
【0020】
【化22】
【0021】
【化23】
(式中、R7及びR8は、独立に単結合、−O−、−CO−、−CH2−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基又はフルオレニレン基を表わし、R9、R10、R11及びR12は独立に炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基又はアリール基を表わし、fは0〜3の整数を示し、g〜jは、独立に0〜4の整数を示す。)
で表わされる2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の芳香族基である。]
で表わされる繰返し単位を有していて、重合体骨格中にフルオレニレン基及びo−フェニレン基から選ばれる少なくとも一方の基を有する重合体である。
【0022】
(重合体の製造方法)
上記一般式(1)で表わされる繰返し単位を有する重合体は、次のようにして製造される。
すなわち、下記一般式(6)及び一般式(7)
【0023】
【化24】
【0024】
【化25】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、a、b、c、d及びeは前記一般式(1)に関して定義したとおりである。)
で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、下記一般式(8)及び一般式(9)
【0025】
【化26】
【0026】
【化27】
(式中、R7、R8、R9、R10、R11、R12、f、g、h、i及びjは前記一般式(1)に関して定義したとおりであり、Xはハロゲン原子を表わす。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを触媒の存在下で重合する。
【0027】
前記一般式(6)で表わされる化合物としては、例えば、4,4’−ジエチニルビフェニル、3,3’−ジエチニルビフェニル、3,4’−ジエチニルビフェニル、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,3’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、4,4’−ジエチニルベンゾフェノン、3,3’−ジエチニルベンゾフェノン、3,4’−ジエチニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチニルジフェニルメタン、3,3’−ジエチニルジフェニルメタン、3,4’−ジエチニルジフェニルメタン、4,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,3’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジエチニルベンズアニリド、3,3’−ジエチニルベンズアニリド、3,4’−ジエチニルベンズアニリド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,3’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、2,4,4’−トリエチニルジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−エチニルフェニル)フルオレン、4,4”−ジエチニル−p−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−m−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−o−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0028】
一般式(7)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、2,5−ジエチニルトルエン,3,4−ジエチニルトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0029】
前記一般式(8)で表わされる化合物としては、例えば、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、3,3’−ジクロロビフェニル、3,3’−ジヨードビフェニル、3,3’−ジブロモビフェニル、3,4’−ジクロロビフェニル、3,4’−ジヨードビフェニル、3,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヨードジフェニルエーテル、4,4’−ジブロモジフェニルエーテル、3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、3,3’−ジヨードジフェニルエーテル、3,3’−ジブロモジフェニルエーテル、3,4’−ジクロロジフェニルエーテル、3,4’−ジヨードジフェニルエーテル、3,4’−ジブロモジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジヨードベンゾフェノン、4,4’−ジブロモベンゾフェノン、3,3’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジヨードベンゾフェノン、3,3’−ジブロモベンゾフェノン、3,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,4’−ジヨードベンゾフェノン、3,4’−ジブロモベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニルメタン、4,4’−ジヨードジフェニルメタン、4,4’−ジブロモジフェニルメタン、3,3’−ジクロロジフェニルメタン、3,3’−ジヨードジフェニルメタン、3,3’−ジブロモジフェニルメタン、3,4’−ジクロロジフェニルメタン、3,4’−ジヨードジフェニルメタン、3,4’−ジブロモジフェニルメタン、4,4’−ジクロロベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジヨードベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジブロモベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジクロロベンズアニリド、4,4’−ジヨードベンズアニリド、4,4’−ジブロモベンズアニリド、4,4’−ジクロロジフェニルスルフィド、4,4’−ジヨードジフェニルスルフィド、4,4’−ジブロモジフェニルスルフィド、3,3’−ジクロロジフェニルスルフィド、3,3’−ジヨードジフェニルスルフィド、3,3’−ジブロモジフェニルスルフィド、3,4’−ジクロロジフェニルスルフィド、3,4’−ジヨードジフェニルスルフィド、3,4’−ジブロモジフェニルスルフィド、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジヨードジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジヨードジフェニルスルホン、3,3’−ジブロモジフェニルスルホン、3,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,4’−ジヨードジフェニルスルホン、3,4’−ジブロモジフェニルスルホン、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、9,9−ビス(4−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ブロモフェニル)フルオレン、4,4”−ジクロロ−m−ターフェニル、4,4”−ジヨード−m−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−m−ターフェニル、4,4”−ジクロロ−p−ターフェニル、4,4”−ジヨード−p−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−p−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0030】
前記一般式(9)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、2,3−ジヨードトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,6−ジブロモトルエン、3,4−ジブロモトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0031】
本発明の重合体は、前記一般式(6)で表される化合物及び/又は一般式(7)で表される化合物と、一般式(8)で表される化合物及び/又は一般式(9)で表される化合物を触媒の存在下で重合させることにより製造され、この際一般式(6)で表される化合物及び/又は一般式(7)で表される化合物と、一般式(8)で表される化合物及び/又は一般式(9)で表される化合物の使用割合は、前者の化合物の総量1モルに対して、後者の化合物の総量が0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、特に好ましくは0.95〜1.05である。後者の化合物の総量が0.8モル未満の場合や1.2モルを越える場合は、得られる重合体の分子量が上昇しにくい。
【0032】
本発明の製造方法においては、これらの化合物を遷移金属化合物を含む触媒の存在下で重合させることが好ましい。さらに、遷移金属化合物及び塩基性化合物を含む触媒がより好ましく、特に下記の(a)、(b)及び(c)成分から構成されているものが特に好ましい。
(a)パラジウム塩及びパラジウムに対し配位子として結合するか、配位子として結合する基(原子団)を供給して錯体(錯イオンを含む)を形成し得る物質(以下、配位子形成体という)、又はパラジウム錯体(必要に応じて配位子形成体をさらに加えてもよい)
(b)1価の銅化合物
(c)塩基性化合物
【0033】
パラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム等を挙げることができる。配位子形成体としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリシアノフェニルホスフィン、トリシアノメチルホスフィン等を挙げることができる。中でも、トリフェニルホスフィンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0034】
パラジウム錯体としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム等を挙げることができる。中でも、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0035】
1価の銅化合物としては、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)等を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0036】
上記触媒の使用割合は、下記のとおりである。
パラジウム塩の使用割合は、一般式(6)〜(9)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは、0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0037】
また、配位子形成体の使用割合は、一般式(6)〜(9)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0004〜50モル、さらに好ましくは0.004〜5モルである。0.0004モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、50モルを超えると精製が困難となることがある。
パラジウム錯体の使用割合は、一般式(6)〜(9)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
1価の銅化合物の使用割合は、一般式(6)〜(9)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0038】
塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエチルアミン、アンモニア、n−ブチルアミン、イミダゾール等を挙げることができる。中でも、ジエチルアミン、ピペリジン、n−ブチルアミンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0039】
塩基性化合物の使用割合は、一般式(6)〜(9)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、1〜1000モル、さらに好ましくは1〜100モルである。1モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、100モルを超えると経済的ではなくなる。
【0040】
本発明の製造方法では、必要に応じて溶媒を用いることができる。重合溶媒としては特に制限はないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレンクリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクルペンタノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は十分に乾燥、脱酸素して用いることが好ましい。これらの溶媒は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0041】
重合溶媒中におけるモノマー(重合成分)濃度は、好ましくは、1〜80重量%、さらに好ましくは5〜60重量%である。
また、重合温度は、好ましくは、0〜150℃、さらに好ましくは5〜100℃である。また、重合時間は、好ましくは、0.5〜100時間、さらに好ましくは1〜40時間である。
【0042】
(膜形成用組成物)
本発明の膜形成用組成物は、本発明の前記繰返し単位(1)を有する重合体(以下重合体(1)と記す)を溶剤に溶解して調製される。
この際使用することができる溶剤としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及び非プロトン系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0043】
ここで、アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;
【0044】
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;
【0045】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0046】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。これらのケトン系溶媒は、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0047】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。これらアミド系溶媒は、1種単独で使用してもあるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0048】
エステル系溶媒としては、例えば、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもあるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0049】
非プロトン系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N’,N’−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3 −ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどを挙げることができる。1種単独で使用してもあるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0050】
本発明の膜形成用組成物には、さらに本発明の効果を損なわない程度にコロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、重合体(1)以外の有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、トリアゼン化合物、ラジカル発生剤、重合性の二重結合を含有する化合物、重合性の三重結合を有する化合物などの成分を添加してもよい。
【0051】
コロイド状シリカとは、例えば、高純度の無水ケイ酸を前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾル及びイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、1〜20重量部にすることが好ましい。
【0052】
コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、1〜20重量部にすることが好ましい。
上記有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体などを挙げることができる。
【0053】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などを有する重合体が挙げられる。
【0054】
具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0055】
ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
【0056】
−(X’)p−(Y’)q−
−(X’)p−(Y’)q−(X’)r−
〔一般式中、X’は−CH2CH2O−で表される基を、Y’は−CH2CH(CH3)O−で表される基を示し、pは1〜90、qは10〜99、rは0〜90の数を示す。〕
【0057】
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、などのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、1〜30重量部にすることが好ましい。
【0058】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0059】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N’−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどの末端、主鎖及び側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキル又はフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0060】
また、市販品としては、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183〔以上、大日本インキ化学工業(株)製〕、エフトップEF301、同303、同352〔新秋田化成(株)製〕、フロラードFC−430、同FC−431〔住友スリーエム(株)製〕、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106〔旭硝子(株)製〕、BM−1000、BM−1100〔裕商(株)製〕、NBX−15〔(株)ネオス〕などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの中でも、上記メガファックF172,BM−1000,BM−1100,NBX−15が特に好ましい。
【0061】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、SH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA〔いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製〕などを用いることができる。これらの中でも、上記SH28PA、SH30PAが特に好ましい。
界面活性剤の使用量は、重合体(1)100重量部に対して、通常、0.00001〜1重量部である。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0062】
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、m−エチニルフェニルトリメトキシシラン、p−エチニルフェニルトリメトキシシラン、m−エチニルフェニルトリエトキシシラン、p−エチニルフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、これらのアルコキシシランの加水分解物及び/又は縮合物を使用することができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部にすることが好ましい。
【0063】
トリアゼン化合物としては、例えば、1,2−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、1,3−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、1,4−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)エーテル、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)メタン、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)スルホン、ビス(3,3−ジメチルトリアゼニルフェニル)スルフィド、2,2−ビス〔4−(3,3−ジメチルトリアゼニルフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3,3−ジメチルトリアゼニルフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,3,5−トリス(3,3−ジメチルトリアゼニル)ベンゼン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−メチル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−フェニル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−プロペニル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−フルオロ−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3,5−ジフルオロ−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレン、2,7−ビス(3,3−ジメチルトリアゼニル)−9,9−ビス[3−トリフルオロメチル−4−(3,3−ジメチルトリアゼニル)フェニル]フルオレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、1〜10重量部にすることが好ましい。
【0064】
ラジカル発生剤としては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−nプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、スクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルアンドベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;
【0065】
ジベンジル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジフェニルビベンジル、α,α’−ジフェニル−α−メトキシビベンジル、α,α’−ジフェニル−α,α’−ジメトキシビベンジル、α,α’−ジメトキシ−α,α’−ジメチルビベンジル、α,α’−ジメトキシビベンジル、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニル−n−ヘキサン、2,2,3,3−テトラフェニルコハク酸ニトリルなどのビベンジル化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、0.5〜10重量部にすることが好ましい。
【0066】
重合性の二重結合を含有する化合物としては、例えば、アリルベンゼン、ジアリルベンゼン、トリアリルベンゼン、アリルオキシベンゼン、ジアリルオキシベンゼン、トリアリルオキシベンゼン、α,ω−ジアリルオキシアルカン類、α,ω−ジアリルアルケン類、α,ω−ジアリルアルケン類、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N−アリルフタルイミド、N−アリルピロメリットイミド、N、N’−ジアリルウレア、トリアリルイソシアヌレート、2,2’−ジアリルビスフェノールAなどのアリル化合物;
【0067】
スチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、スチルベン、プロペニルベンゼン、ジプロペニルベンゼン、トリプロペニルベンゼン、フェニルビニルケトン、メチルスチリルケトン、α,ω−ジビニルアルカン類、α,ω−ジビニルアルケン類、α,ω−ジビニルアルキン類、α,ω−ジビニルオキシアルカン類、α,ω−ジビニルアルケン類、α,ω−ジビニルアルキン類、α,ω−ジアクリルオキシアルカン類、α,ω−ジアクリルアルケン類、α,ω−ジアクリルアルケン類、α,ω−ジメタクリルオキシアルカン類、α,ω−ジメタクリルアルケン類、α,ω−ジメタクリルアルケン類、ビスアクリルオキシベンゼン、トリスアクリルオキシベンゼン、ビスメタクリルオキシベンゼン、トリスメタクリルオキシベンゼン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルピロメリットイミドなどのビニル化合物;
【0068】
2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンエーテル、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノールを含むポリアリーレンなどを挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、0.5〜10重量部にすることが好ましい。
【0069】
重合性の三重結合を含有する化合物としては、例えば、上記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。そのほかの重合性の三重結合を含有する化合物としては、エチニルベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、トリエチニルベンゼン、ビス(トリメチルシリルエチニルフェニル)エーテル、トリメチルシリルエチニルベンゼン、トリス(フェニルエチル)ベンゼンなどを挙げることができる。これらの重合性の三重結合を含有する化合物は、1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。これらの使用量は重合体(1)100重量部に対して、通常、1〜20重量部にすることが好ましい。
【0070】
本発明の膜形成用組成物の全固形分濃度は、1〜30重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましい。全固形分濃度は、使用目的に応じて適宜調整されが、組成物の全固形分濃度が1〜30重量%であると、塗膜の厚さが適当な範囲のものを得ることができ、保存安定性にも優れる。
本発明の組成物を、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハなどの基材に塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。その後、常温で乾燥するか、あるいは80〜600℃程度の温度で、通常、5〜240分程度加熱して乾燥することにより、層間絶縁膜となる塗膜(硬化膜)を形成することができる。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することができ、加熱雰囲気としては、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。また、電子線や紫外線を照射することによっても、塗膜を形成させることができる。この際の塗膜の厚さ(固形分)は、1回塗りでは厚さ0.02〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.04〜3μm程度に形成することができる。
【0071】
本発明の膜形成用組成物は、短時間焼成で塗膜とすることができ、この塗膜は、耐熱性、弾性率及びクラック耐性に優れ、低誘電性であることから、LSI(Large Scale Integration)、システムLSI、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜やエッチングストッパーや化学機械研磨ストッパー、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜などの用途に有用である。
【0072】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例及び比較例中の部及び%は、特記しない限り、それぞれ重量部及び重量%を示している。また、実施例中における膜形成用組成物の評価は、次のようにして測定したものである。
【0073】
(重量平均分子量(Mw))
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、試料1gを、100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃
流速:1cc/分
【0074】
(比誘電率)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間乾燥し、さらに400℃窒素雰囲気のファーネスで5分間焼成した。得られた塗膜が形成されたウエハ上にアルミニウムを蒸着し、比誘電率評価用試料を作製した。比誘電率は、横川・ヒューレットパッカード(株)製のHP16451B電極及びHP4284AプレシジョンLCRメーター用いて、10kHzにおける容量値から算出した。
【0075】
(クラック耐性)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間乾燥し、さらに400℃窒素雰囲気のファーネスで5分間焼成した。この際の最終的な塗膜の膜厚は5μmとした。得られた塗膜が形成されたウエハを純水中に2時間浸漬し、塗膜の外観を35万ルクスの表面観察用ランプ用い、塗膜表面にクラックが認められるか否を観察した。
【0076】
(塗膜の弾性率)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間を乾燥し、さらに400℃窒素雰囲気のファーネスで5分間を焼成した。得られた塗膜が形成されたウエハ上の塗膜を、ナノインデンターXP(ナノインスツルメント社製)を用いて、連続剛性測定法により弾性率を測定した。
(ガラス転移温度(Tg))
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法により膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃で2分間、180℃で2分間を乾燥し、さらに400℃窒素雰囲気のファーネスで5分間を焼成した。得られた塗膜が形成されたウエハから塗膜を剥離し、DSC法により、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で500℃まで測定を行った。
【0077】
参考例1
温度計、アルゴンガス導入管、攪拌装置を備えた1000ml三口フラスコにテトラヒドロフラン120ml、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム3.46g、ヨウ化銅1.44g、ピペリジン20ml、1,2−ジヨードベンゼン98.98gを加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル65.48gを加え25℃で20時間反応させた。この反応液を酢酸5リットルで再沈殿を2回繰り返した後、シクロヘキサノンに溶かしメタノール5リットルで再沈殿し、沈殿を濾過、乾燥により重量平均分子量17,000の重合体Aを得た。この重合体Aの1H−NMRスペクトル図を図1に、IRスペクトル図を図2に示す。
【0078】
この重合体A 3gをシクロヘキサノン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い、膜形成用組成物を得た。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は2.96と低い値であり、塗膜成分にTgは認められなかった。この塗膜は純水浸漬後もクラックは認められなかった。また、塗膜の弾性率は5.7GPaであり、優れた機械的強度を示した。
【0079】
実施例1
参考例1において、1,2−ジヨードベンゼンの代わりに9,9−ビス(4−ヨードフェニル)フルオレン171.05gを用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、重量平均分子量19,000の重合体Bを得た。この重合体Bの1H−NMRスペクトル図を図3に、IRスペクトル図を図4に示す。
この重合体B3gをシクロヘキサノン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行い、膜形成用組成物を得た。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は2.76と低い値であり、塗膜成分にTgは認められなかった。この塗膜は純水浸漬後もクラックは認められなかった。また、塗膜の弾性率は5.3GPaであり、優れた機械的強度を示した。
【0080】
比較例1
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン35.04gと炭酸カリウム16.6gをジメチルアセトアミド350g、トルエン100mlと共にフラスコに入れ、窒素雰囲気下で160℃で20時間加熱を行った。この際、発生する水蒸気を系外に除去した。この溶液に4,4’−ビスフルオロベンゾフェノン21.9gを加え、160℃で8時間反応を行った。反応液を冷却したのち、溶液中の不溶物をろ過で除去し、メタノール中に再沈殿を行った。この沈殿物をイオン交換水で十分洗浄したのち、沈殿物をシクロヘキサノンに溶解させ、不溶物を除去したのち、メタノール中に再沈殿させた。この沈殿物を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させることで、重量平均分子量24,000の重合体Cを得た。
【0081】
この重合体C3gをシクロヘキサノン27gに溶解し、この溶液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行った。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は2.86と低い値であったが、塗膜成分のTgが250℃に認められた。また、塗膜の弾性率は3.2GPaであり、機械的強度が劣っていた。
【0082】
比較例2
メチルトリメトキシシラン77.04gと酢酸2gを、イソプロピルアルコール290gに溶解させたのち、スリーワンモーターで攪拌し、溶液温度を60℃に安定させた。次に、イオン交換水84gを1時間かけて溶液に添加した。その後、60℃で2時間反応させたのち、反応液(1)(縮合物)を得た。
この反応液を0.2μm孔径のテフロン製フィルターでろ過を行った。得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布し、前記したようにして各特性値の評価を行った。
塗膜の比誘電率は3.42と高い値であった。また、塗膜は厚さ5μmでクラックが生じておりクラック耐性に劣るものであった
【0083】
【発明の効果】
本発明の重合体を含有する膜形成用組成物を基材(又は基板)上に塗布すると短時間焼成で塗膜が得られ、この塗膜は耐熱性、弾性率及びクラック耐性に優れ、低誘電性である。したがって、この膜形成用組成物は、例えば、半導体素子などにおける層間絶縁膜形成用材料として有用である。また、本発明の方法によれば、このような重合体を容易に製造することができる。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1で得られた重合体の1H−NMRスペクトル図である。
【図2】 参考例1で得られた重合体のIRスペクトル図である。
【図3】 実施例1で得られた重合体の1H−NMRスペクトル図である。
【図4】 実施例1で得られた重合体のIRスペクトル図である。
Claims (4)
- 下記一般式(1a):
で表わされる2価の芳香族基であり、Yは下記一般式(4)
で表わされる2価の芳香族基である。]
で表わされる繰返し単位(1a)を有する重合体。 - 触媒が遷移金属化合物及び塩基性化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の重合体の製造方法。
- 請求項1記載の重合体を含有する膜形成用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001131386A JP4867078B2 (ja) | 2001-04-27 | 2001-04-27 | 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001131386A JP4867078B2 (ja) | 2001-04-27 | 2001-04-27 | 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002322246A JP2002322246A (ja) | 2002-11-08 |
JP4867078B2 true JP4867078B2 (ja) | 2012-02-01 |
Family
ID=18979583
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001131386A Expired - Fee Related JP4867078B2 (ja) | 2001-04-27 | 2001-04-27 | 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4867078B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2117009A4 (en) | 2007-02-28 | 2012-04-04 | Sumitomo Bakelite Co | ORGANIC INSULATING MATERIAL, LACQUER FOR AN ORGANIC INSULATING FILM THEREFOR, ORGANIC INSULATING FOIL AND SEMICONDUCTOR DEVICE |
JP6851712B2 (ja) * | 2015-03-05 | 2021-03-31 | ダイキン工業株式会社 | 置換されたオレフィンの製造方法 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5821420A (ja) * | 1981-07-30 | 1983-02-08 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 共役系交互共重合体 |
JP3252336B2 (ja) * | 1992-10-02 | 2002-02-04 | 隆一 山本 | 線状ポリ(アリーレン−エチニレン−アリーレン−エチニレン)重合体 |
JP3342975B2 (ja) * | 1994-12-08 | 2002-11-11 | 勝美 吉野 | 共役系高分子化合物およびそれを用いた電界発光素子 |
DE19606511A1 (de) * | 1996-02-22 | 1997-09-04 | Hoechst Ag | Teilkonjugierte Polymere mit Spirozentren und ihre Verwendung als Elektrolumineszenzmaterialien |
FR2778918B1 (fr) * | 1998-05-25 | 2000-07-21 | Commissariat Energie Atomique | Baton moleculaire et ses applications |
JP4211161B2 (ja) * | 1999-11-09 | 2009-01-21 | Jsr株式会社 | ジイン含有(共)重合体、その製造方法及び硬化膜 |
JP4325046B2 (ja) * | 1999-11-09 | 2009-09-02 | Jsr株式会社 | 膜形成用組成物、膜の形成方法、及び膜 |
KR100354500B1 (ko) * | 2000-09-05 | 2002-09-30 | 한화석유화학 주식회사 | 플로렌계 중합체 및 이를 이용한 전기발광 소자 |
JP3606224B2 (ja) * | 2001-04-27 | 2005-01-05 | Jsr株式会社 | 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 |
-
2001
- 2001-04-27 JP JP2001131386A patent/JP4867078B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002322246A (ja) | 2002-11-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100902224B1 (ko) | 적층막, 절연막 및 반도체용 기판 | |
US6528605B1 (en) | Diyne-containing (co)polymer, processes for producing the same, and cured film | |
JP3606224B2 (ja) | 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 | |
JP2003003047A (ja) | 膜形成用組成物、膜の形成方法および有機膜 | |
JP4697361B2 (ja) | 膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 | |
JP4867078B2 (ja) | 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 | |
JP4469128B2 (ja) | 芳香族ポリマーの製造方法 | |
KR100738774B1 (ko) | 화학 기계 연마 스토퍼막, 그의 제조 방법 및 화학 기계연마 방법 | |
US6852370B2 (en) | Composition for film formation and material for insulating film formation | |
JP4496448B2 (ja) | 塗膜形成方法およびそれを用いた絶縁膜 | |
JP5007481B2 (ja) | 重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する膜形成用組成物 | |
JP3959599B2 (ja) | アセチレン結合含有ポリアリーレンエーテルの精製方法、アセチレン結合含有ポリアリーレンエーテル、膜形成用組成物、被膜および架橋重合体膜 | |
JP2004099888A (ja) | 耐熱性樹脂組成物および絶縁耐熱性樹脂材料 | |
JP2002003753A (ja) | 膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 | |
EP1679184A1 (en) | Laminate and method for formation thereof, insulating film, semiconductor device, and composition for forming film | |
JP4775527B2 (ja) | 膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 | |
JP2003100148A (ja) | 膜形成方法、絶縁膜および半導体用基板 | |
JP2002003752A (ja) | 膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 | |
JP2007088260A (ja) | 積層体およびその形成方法、絶縁膜、ならびに半導体装置 | |
JP4485739B2 (ja) | ポリアリーレンの精製方法 | |
JP2002155233A (ja) | 膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 | |
JP2008163235A (ja) | ポリアリーレンの精製方法、膜形成用組成物、膜の形成方法、ならびに有機膜 | |
JP4497255B2 (ja) | 膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 | |
JP2006328412A (ja) | ポリアリーレンエーテルの製造方法、膜形成用組成物、膜の形成方法および有機膜 | |
JP2003096277A (ja) | 膜形成用組成物、膜の形成方法および有機膜 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080206 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100317 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100413 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100614 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110426 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110725 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20110804 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111018 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111031 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4867078 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125 Year of fee payment: 3 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110725 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |