JP5006548B2 - 熱電池 - Google Patents

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本発明は、熱電池に関し、特に熱電池の正極に用いられる活物質に関する。
一般に、熱電池は、負極、正極、および両電極間に介在させた電解質からなる素電池を複数個備える。電解質には、高温で溶融する塩が用いられる。この電解質は、常温では、イオン伝導性を有しないため、熱電池は不活性状態である。電解質は高温に加熱されると、溶融状態となり、良好なイオン伝導体となるため、熱電池は活性状態となり、外部へ電気を供給することができる。
熱電池は貯蔵型電池の一種であり、電解質が溶融しない限り、電池反応は進行しない。このため、5〜10年またはそれ以上の期間貯蔵した後でも、製造直後と同じ電池特性を発揮することができる。また、熱電池では、高温下で電極反応が進行する。このため、水溶液電解液や有機電解液などを用いる他の電池に比べて電極反応が格段に速く進行する。従って、熱電池は優れた大電流放電特性を有する。さらに、熱電池は、加熱手段によっても異なるが、電池使用時に電池に起動信号を送ると1秒以内の短時間で電力を取り出すことができるという利点を有する。このため、その特性を活かして、誘導機器といった各種防衛機器の電源や緊急用電源として好適に用いられている。
上記特性を向上させるために、正極活物質に二硫化鉄を用いた熱電池が種々検討されている。この正極活物質の特性を改善する目的で、例えば、特許文献1では、二硫化鉄と二硫化イリジウムの複合材料(イリジウム含有量:5〜20重量%)を正極活物質に用いることが提案されている。特許文献2では、二硫化鉄と二硫化チタンの複合材料(チタン含有量:5〜20重量%)を正極活物質に用いることが提案されている。特許文献3では、二硫化鉄と二硫化バナジウムの複合材料(バナジウム含有量:5〜20重量%)を正極活物質に用いることが提案されている。
正極活物質に二硫化鉄を用い、負極活物質にリチウム金属を用いた一般的な熱電池における実用的な電流密度の領域(0.5〜2A/cm2程度)での素電池の電圧は、約1.8〜2V付近である。熱電池は、高出力で、負荷が大きい機器の電源に用いられる場合が多く、その電圧は数十V〜数百Vである。このため、素電池複数個を積層して積層体を構成し、電気的に直列に接続して、所要の電圧を得る必要がある。
ところで、近年、機器の小型化および高性能化にともない、熱電池の性能として、1〜2A/cm2以上の大電流放電において高電圧を維持し、優れた高負荷放電特性を有することが要求されている。また、素電池の電圧を増大させて、使用する素電池の数を少なくし、積層体の高さ、すなわち熱電池の高さを低減することが要求されている。
電流密度0.5A/cm2程度で熱電池を放電させる場合、正極活物質に上記の二硫化鉄を含む複合材料を用いた素電池の電圧は2.1V程度であり、正極活物質に二硫化鉄を単独で用いた素電池の電圧(約1.8V)よりも増大するため、熱電池の高さを低減することが可能である。
しかし、電流密度1〜2A/cm2の大電流放電で熱電池を放電させる場合、正極活物質に二硫化鉄を単独で用いた素電池の電圧は約1.6〜1.8Vであるのに対して、上記の二硫化鉄を含む複合材料を用いた素電池の電圧は、それぞれ約1.7〜1.9V、約1.6〜1.9V、および約1.6〜1.8Vである。このように、大電流で放電させる場合、正極活物質に上記の二硫化鉄を含む複合材料を用いた素電池の電圧は、正極活物質に二硫化鉄を単独で用いた素電池の電圧とほとんど変わらなくなり、放電時の電圧が大きい効果が小さくなる。
特開平5−242896号公報 特許第2847982号明細書 特許第2847983号明細書
そこで、本発明は、上記従来の問題を解決するため、大電流放電時の電圧を増大させて、優れた高負荷放電特性を有する熱電池を提供することを目的とする。
本発明の熱電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配された電解質からなる素電池を複数個備え、前記電解質は前記熱電池の作動温度で溶融する塩を含み、前記正極は活物質としてチタン含有硫化物を含むことを特徴とする。
前記チタン含有硫化物は、一般式:Ti1-ααx(式中、Mは、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、およびWからなる群より選ばれた少なくとも一種であり、αおよびxは、それぞれ0α≦0.95および1.5≦x≦2.75を満たす。)で表される化合物である。
本発明によれば、大電流放電時においても高電圧を維持することができ、優れた高負荷放電特性を有する熱電池が得られる。また、高負荷放電特性を損なうことなく、使用する素電池の数を減らして高負荷放電仕様の熱電池の小型化が可能となる。
本発明の熱電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配され、熱電池の作動温度で溶融する塩(溶融塩)を含む電解質(換言すると、常温では不活性であり、所定温度で溶融することにより活性となる電解質)からなる素電池を複数個備え、前記正極は活物質としてチタン含有硫化物を含む点に特徴を有する。
正極活物質にチタン含有硫化物を用いることにより、正極の反応性が向上する。また、従来の熱電池の正極活物質である二硫化鉄よりも、本発明の熱電池の正極活物質であるチタン含有硫化物のほうが、正極の平衡電位が高く、かつ放電時の過電圧が小さいため、正極の放電電位が高くなる。従って、素電池すなわち熱電池の放電電圧が増大する。
このため、大電流放電時においても高電圧を維持することができ、優れた高負荷放電特性が得られる。また、高負荷放電特性を損なうことなく、使用する素電池の数を減らして高負荷放電仕様の熱電池の小型化が可能となる。
前記チタン含有硫化物は、例えば、一般式:Ti1-ααxで表される化合物である。Mは、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、およびWからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素であり、αおよびxは、それぞれ0α≦0.95および1.5≦x≦2.75を満たす。
αは元素Mの置換量を示し、xは化学量論組成からのずれを示す。αが0.95以下の範囲で、チタンの一部を元素Mで置換することにより放電電圧がさらに増大する。x<1.5、2.75<xのとき、放電電圧が若干低下する。
結晶性の向上などにより放電電圧の平坦性を維持することができるため、xは1.75〜2.25がより好ましい。結晶性の向上などにより放電電圧の平坦性を維持することができるため、αは0.25〜0.75がより好ましい。
特に、高い放電電圧が得られる点で、元素MはCoがより好ましい。これは、CoがTiの固相内に均一に拡散しやすく、結晶の均質性が向上して元素Mの置換による効果が発揮されやすいためであると考えられる。
チタン含有硫化物は、例えば、チタン粉末、硫黄粉末、および元素Mの粉末をボールミル等にて混合し、その混合物を焼成して得られる。
ここで、本発明の熱電池の一実施の形態を、図1を参照しながら説明する。
素電池7と発熱剤5とを交互に複数個積み重ねた発電部が、金属製の外装ケース1に収納されている。発電部の最上部には、着火パッド4が配され、着火パッド4の上部に近接して点火栓3が設置されている。発電部の周囲には導火帯6が配されている。発熱剤5は鉄などを含み、導電性を有するため、素電池7は、発熱剤5を介して電気的に直列に接続されている。発熱剤5は、例えば、FeとKClO4の混合物からなり、電池の活性化時には発熱剤5の燃焼にともないFe粉が焼結するため、放電初期(燃焼初期)から放電末期(燃焼末期)まで、発熱剤5の導電性は維持される。
外装ケース1は、一対の点火端子2、ならびに正極端子10aおよび負極端子10bを備えた電池蓋11により封口されている。正極端子10aは、正極リード板を介して発電部最上部の素電池7の正極に接続されている。一方、負極端子10bは、負極リード板8を介して発電部最下部の素電池7の負極に接続されている。電池蓋11と着火パッド4との間には、断熱材9aが配され、外装ケース1と発電部との間には、断熱材9bが充填されている。
素電池7は、図2に示すように、負極12、正極13、および負極12と正極13との間に配される電解質14からなる。
正極13は、例えば、上記のチタン含有硫化物の粉末と、シリカ粉末等の結着材と、後述する電解質14に用いられる塩との混合物からなる。この塩はイオン伝導性を改善するために用いられる。
負極12は、負極活物質を含む負極合剤層15、および負極合剤層15を収納する鉄製のカップ状集電体16からなる。負極合剤層15は、例えば、負極活物質と導電材との混合物からなる。負極活物質には、例えば、Li金属や、Li−Al、Li−Si合金等のリチウムを含む化合物が用いられる。導電材には、例えば、鉄、銅、ニッケル、もしくはマンガン等の金属粉末、または炭素材料が用いられる。また、負極合剤層15は、イオン伝導性を向上するため、後述する電解質14に用いられる塩を含んでもよい。
電解質14は、例えば、高温すなわち熱電池の作動温度で溶融する塩と、MgO等の保持材との混合物からなる。塩としては、アルカリ金属塩、またはその混合物もしくは共晶塩など熱電池で使用可能なものであればよい。例えば、LiCl、KCl、もしくはAlCl3などのアルカリ金属塩、またはLiCl−KCl、LiCl−LiBr−LiF、LiCl−LiBr−KBr、もしくはLiNO3−KNO3などの共晶塩が用いられる。
上記熱電池の動作を以下に説明する。
点火端子2に接続された電源より、点火端子2に高電圧が印加されると点火栓3が発火する。これにより、着火パッド4および導火帯6へ燃焼が伝わり、発熱剤5が燃焼して素電池7が加熱される。そして、素電池7の電解質14が溶融し、溶融塩すなわちイオン伝導体となる。このようにして、電池が活性化し、放電が可能となる。
なお、上記では電池内部に点火栓を備え、電池内部より発電部を加熱して電池を活性化する内部加熱方式の熱電池について説明したが、本発明は、電池内部に点火栓を備えずに、バーナ等により電池外部から発電部を加熱して電池を活性化する外部加熱方式の熱電池にも適用することができる。
以下に、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1》
以下の手順により、図2と同様の素電池を作製した。なお、素電池の作製は、全て露点−45℃以下の乾燥空気中で水分の影響を極力排除した環境下で行った。
(1)正極活物質の作製
磁製のボールミルにてチタン粉末と硫黄粉末とを原子比1:2の割合で混合した。得られた混合物を磁製のるつぼにて約450℃で3時間加熱して焼成し、TiS2の焼成物を得た。この焼成物を磁製のボールミルにて200メッシュ以下になるよう粉砕・分級し、正極活物質としてTiS2粉末を得た。
(2)正極の作製
上記で得られたTiS2粉末と、共晶塩としてLiCl−KClと、結着材としてシリカ粉末とを、磁製のボールミルにて重量比240:110:7の割合で混合した。この混合物を、アルゴンガス雰囲気下にて、450℃で1時間焼成した。その後、焼成物を磁製のボールミルにて200メッシュ以下になるよう粉砕・分級し、正極合剤を得た。この正極合剤を2ton/cm2の圧力で直径13mmおよび厚さ0.4mmの円盤状に加圧成形し、正極13を得た。
(3)素電池の作製
共晶塩としてLiCl−KClと、保持材としてMgOとを重量比60:40で混合し、得られた混合物を2ton/cm2の圧力で直径13mmおよび厚さ0.4mmの円盤状に加圧成形して電解質14を得た。
負極12は、以下のように作製した。
直径11mmおよび厚さ0.7mmの円盤状のLi箔からなる負極合剤層15をステンレス鋼SUS304製のカップ状の集電体16に入れ、集電体16の開口端部を内方に折り曲げて、負極合剤層15の周縁部をかしめて、集電体16の折り曲げ部と底部との間で締め付けた。このようにして、負極合剤層15を集電体16内に固定し、直径13mmおよび厚さ1.2mmの円盤状の負極12を得た。
上記で得られた正極13と負極12とを電解質14を介して重ね合わせて素電池を得た。
参考例2〜7》
磁製のボールミルにてチタン粉末と、硫黄粉末とを、原子比1:xの割合で混合した。得られた混合物を磁製のるつぼにて約450℃で3時間加熱して焼成し、TiSxの焼成物を得た。この焼成物を磁製のボールミルにて200メッシュ以下になるよう粉砕・分級し、正極活物質としてTiSx粉末を得た。
このとき、TiSxのx値を表1に示すように種々に変えてそれぞれ正極活物質を作製した。そして、これらの正極活物質を用いて参考例1と同様の方法によりそれぞれ素電池を作製した。
Figure 0005006548
《実施例〜6
磁製のボールミルにてチタン粉末と、元素Mの粉末と、硫黄粉末とを、原子比1−α:α:xの割合で混合した。この混合物を磁製のるつぼにて約450℃で3時間加熱して焼成し、Ti1-ααxの焼成物を得た。この焼成物を磁製のボールミルにて200メッシュ以下になるよう粉砕・分級し、正極活物質としてTi1-ααx粉末を得た。
このとき、Ti1-ααxのα値、x値、および元素Mを表2〜5に示すように種々に変えてそれぞれ正極活物質を作製した。そして、これらの正極活物質を用いて参考例1と同様の方法によりそれぞれ素電池を作製した。
Figure 0005006548
Figure 0005006548
Figure 0005006548
Figure 0005006548
《比較例1》
磁製のボールミルにて鉄粉末と、硫黄粉末とを、原子比1:2の割合で混合した。この混合物を磁製のるつぼにて約450℃で3時間加熱して焼成し、FeS2の焼成物を得た。この焼成物を磁製のボールミルにて200メッシュ以下になるよう粉砕・分級し、正極活物質としてFeS2粉末を得た。この正極活物質を用いて参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
《比較例2》
硫黄粉末と、鉄粉末と、イリジウム粉末とを、重量比53.4:36.6:10の割合で混合した。この混合物を磁製のるつぼにて約450℃で3時間加熱して焼成した。焼成物を磁製の乳鉢にて粉砕し200メッシュ以下に粉砕・分級した。この焼成工程と粉砕工程とを交互に3回ずつ繰り返し行い、正極活物質として、FeS2とIrS2の複合材料(イリジウム含有量:10重量%)を得た。この正極活物質を用いて参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
《比較例3》
イリジウム粉末の代わりにチタン粉末を用いた以外は、比較例2と同様の方法により正極活物質として、FeS2とTiS2の複合材料(チタン含有量:10重量%)を得た。この正極活物質を用いて参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
《比較例4》
イリジウム粉末の代わりにバナジウム粉末を用いた以外は、比較例2と同様の方法により正極活物質として、FeS2とVS2の複合材料(バナジウム含有量:10重量%)を得た。この正極活物質を用いて参考例1と同様の方法により素電池を作成した。
[評価]
上記で作製した素電池について以下のような評価を行った。
温度の制御が可能な2枚の熱板で素電池を挟んで試験用セルを構成した。そして、試験用セルを定電流放電(終止電圧:0.4V)し、素電池の放電電圧を調べた。
放電試験は、熱板により、電解質にLiCl−KClを用いた熱電池の平均的な動作温度である550℃に素電池を加熱して行った。そして、放電開始から10秒経過した時点の電圧を放電電圧とした。電流密度は0.5、1.0、1.5、および2.0A/cm2とした。
上記放電試験の結果を表1〜6に示す。
Figure 0005006548
正極活物質にTiSxを用いた参考例1〜7の素電池では、電流密度0.5〜2A/cm2の放電時の電圧が2Vを超えており、比較例1〜4の素電池と比べて放電電圧が増大した。
これは、チタン含有硫化物である参考例1〜7の正極活物質が、二硫化鉄を含む比較例1〜4の正極活物質よりも高い反応性を有するとともに、平衡電位が高く、放電時の過電圧が小さいためであると考えられる。
TiSxにおいて、x<1.5または2.75<xである参考例2および7の素電池では、正極活物質が単一相でないため、放電電圧が若干低下した。このことから、xは1.5〜2.75であるのが好ましいことがわかった。
Ti1-ααxにおいて、αが0〜0.95、xが1.5〜2.75、および元素MがCr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、またはWの正極活物質を用いた素電池では、電流密度0.5〜2A/cm2の放電時の電圧が2Vを超えており、放電電圧が大幅に増大した。
その中でも、元素MがCoである実施例18の素電池は、放電電圧が大きく、優れた高負荷放電特性を示した。これは、CoがTiの固相内に均一に拡散しやすく、結晶の均質性が向上して元素Mの置換による効果が発揮されやすくなったためであると考えられる。
Ti1-ααxにおいて、αが0.98である正極活物質を用いた素電池では、電流密度0.5および1.0A/cm2の放電時において、比較例1〜4よりも大きな電圧が得られた。
しかし、αが0.98である正極活物質を用いた素電池では、特に電流密度1.5〜2.0/cm2の大電流放電時において、αが0.95である正極活物質を用いた素電池よりも放電電圧が低下した。これは、元素Mの置換量αが0.95を超えると、放電電圧の増大などの元素Mの置換による効果が大きくなりすぎ、それ以上にTiによる反応性向上の効果が相対的に小さくなったためと考えられる。このことから、元素Mの置換量αは0.95以下であるのが好ましいことがわかった。
《実施例6367
Ti1-ααxにおいて、元素M、α、xを表7に示すように変えて、参考例2と同様の方法により正極活物質を得た。このとき、表7に示すように2種類の元素M(原子比1:1)を組み合わせて用いた。例えば、元素MにCoとCrとを用いた実施例63の正極活物質の組成はTi0.5Co0.25Cr0.252である。
これらの正極活物質を用いて参考例1と同様の方法により素電池を作製し、上記と同様の放電試験を行った。その結果を表7に示す。
Figure 0005006548
表7より、2種類の元素Mを組み合わせて用いた場合でも、いずれの放電条件においても、比較例1〜4の素電池よりも高い電圧が得られ、電流密度0.5〜2A/cm2での放電時の電圧が2Vを超えており、放電電圧が大幅に増大した。
なお、本実施例で示した元素Mの組み合わせ以外に、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、およびWの元素を2種以上組み合わせた場合でも、本実施例と同様の効果が得られる。
《実施例6884
上述した図1と同じ構造の熱電池を作製した。なお、熱電池の作製は、全て露点−45℃以下の乾燥空気中で水分の影響を極力排除した環境下で行った。
素電池7と発熱剤5とを交互に積み重ね発電部を構成した。このとき、素電池7を13個用いた。発熱剤5には、FeとKClO4との混合物を用い、電池作動中の平均温度が550℃となるように混合比を調整した。
発電部の上部に着火パッド4を配し、その周囲を導火帯6で覆った。着火パッド4および導火帯6には、Zr、BaCrO4、およびガラス繊維の混合物を用いた。
点火栓3の点火剤には、硝酸カリウム、硫黄、および炭素を重量比75:10:15の割合で混合したものを用いた。断熱材9aおよび9bには、シリカとアルミナを主成分とするセラミック繊維材料を用いた。このようにして、作動温度が550℃の熱電池を作製した。
そして、上記熱電池の作製時において、参考例1、3およびならびに実施例214212428、336、44448、556および6の素電池(Ti1-ααxにおいて、αが0または0.5、xが2、およびMが、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、またはWである。)を用いて、それぞれ実施例6884の熱電池を作製した。
上記で得られた熱電池について以下の放電試験を行った。点火端子に接続された電源より高電圧を印加し、点火栓を発火させ熱電池を活性化させた。そして、熱電池を0.5A/cm2(終止電圧:7.8V)または2A/cm2(終止電圧:6.5V)の電流密度で放電し、放電開始から10秒経過した時点の電圧(放電電圧)を調べた。その結果、素電池13個分に相当する高い放電電圧が得られることが分かった。
上記実施例では、正極中のLiCl−KClの含有量を約31重量%、シリカ粉末の含有量を約2重量%としたが、これらの含有量に特に制限は無く、正極の強度や性能に応じて必要量を適宜添加すればよい。
本発明の熱電池は、誘導機器などの各種防衛機器の電源や緊急用電源として好適に用いられる。
本発明の一実施の形態に係る熱電池の一部を切り欠いて断面とした斜視図である。 図1の熱電池に用いられる素電池の分解断面図である。
1 外装ケース
2 点火端子
3 点火栓
4 着火パッド
5 発熱剤
6 導火帯
7 素電池
8 負極リード板
9a、9b 断熱材
10a 正極端子
10b 負極端子
11 電池蓋
12 負極
13 正極
14 電解質
15 負極合剤層
16 集電体

Claims (3)

  1. 正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配された電解質からなる素電池を複数個備えた熱電池であって、
    前記電解質は前記熱電池の作動温度で溶融する塩を含み、前記正極は活物質としてチタン含有硫化物を含み、
    前記チタン含有硫化物は、一般式:Ti 1-α α x (式中、Mは、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、およびWからなる群より選ばれた少なくとも一種であり、αおよびxは、それぞれ0<α≦0.95および1.5≦x≦2.75を満たす。)で表される化合物である熱電池。
  2. 前記αが、0.25〜0.75である、請求項1記載の熱電池。
  3. 前記xが、1.75〜2.25である、請求項1または2記載の熱電池。
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