JP5143399B2 - 熱電池 - Google Patents
熱電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5143399B2 JP5143399B2 JP2006301436A JP2006301436A JP5143399B2 JP 5143399 B2 JP5143399 B2 JP 5143399B2 JP 2006301436 A JP2006301436 A JP 2006301436A JP 2006301436 A JP2006301436 A JP 2006301436A JP 5143399 B2 JP5143399 B2 JP 5143399B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- salt
- anion
- licl
- electrolyte
- reference example
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y02E60/12—
Landscapes
- Primary Cells (AREA)
Description
ところで、近年、熱電池を搭載する機器の高性能化および小型・軽量化に伴い、熱電池のさらなる作動時間の延長および小型・軽量化が求められている。
従って、熱電池の作動時間の延長する方法としては、例えば、熱電池の作動時の温度および電解質以外の熱電池の構成材料(すなわち構成材料の断熱係数および使用量)を同じとして、融点の低い塩を電解質に用いて熱電池が作動する温度を低下させて、溶融状態の塩が再凝固するまでの時間を延長することが考えられる。
例えば、従来から用いられている、正極に二硫化鉄、負極にリチウム金属あるいはリチウム含有合金、および電解質にLiCl−KClを用いた熱電池では、電池作動時の温度域は使用用途により設定されるが、通常は、電池内部の温度が500℃程度(電解質の融点よりも少し高い温度)になるように、発熱剤の量が設定される。また、例えば、電解質にLiBr−LiCl−LiFを用いた熱電池では、電池内部の温度が550℃程度になるように、発熱剤の量が設定される。
従って、融点の低い塩を電解質に用いることにより、塩の溶解に要する熱量が減少するため、発熱剤の使用量を低減することができ、熱電池の小型・軽量化も可能となる。
しかし、上記の電解質を用いた場合では、近年要求される熱電池の性能を満足することは難しい。また、近年要求される熱電池の性能を実現すべく、上記のような電解質についての検討は依然として不十分である。
前記無機カチオンA1は、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、およびセシウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも一種であるのが好ましい。前記無機カチオンA1は、リチウムカチオンおよびカリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも一種であるのがさらに好ましい。
前記無機アニオンA2は、フッ素アニオン、塩素アニオン、または臭素アニオンであるのが好ましい。
同時に、ヨウ化物は溶融状態で優れたイオン伝導性を有するため、良好な高率放電特性を有する熱電池が得られる。
上記ヨウ化物のなかでも、融点が低く、かつ溶融時に優れたイオン伝導性を有するため、ヨウ化物は、LiI、NaI、KI、RbI、およびCsIであるのが好ましい。
第2の塩は、第1の塩と異なるヨウ化物、またはヨウ化物以外の、アニオンを含まない塩である。
ヨウ化物以外の塩としては、例えば、Li、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、F、Cl、およびBrからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とからなるハロゲン化合物が挙げられる。Li、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む硝酸化合物が挙げられる。Li、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む炭酸化合物が挙げられる。
素電池7と発熱剤5とを交互に複数個積み重ねた発電部が、金属製の外装ケース1に収納されている。発電部の最上部には、着火パッド4が配され、着火パッド4の上部に近接して点火栓3が設置されている。発電部の周囲には導火帯6が配されている。発熱剤5は鉄粉を含み、導電性を有するため、素電池7は発熱剤5を介して電気的に直列に接続されている。発熱剤5は、例えば、FeとKClO4の混合物からなり、電池の活性化時には発熱剤5の燃焼にともないFe粉が焼結するため、放電初期(燃焼初期)から放電末期(燃焼末期)まで、発熱剤5の導電性は維持される。
負極12は、図2に示すように、負極活物質を含む負極合剤層15、および負極合剤層15を収納する鉄製のカップ状集電体16からなる。負極活物質は、熱電池に使用可能なものであれば何でもよく特に制限されない。負極活物質には、例えば、リチウム金属、Li−Al、Li−Si、もしくはLi−Bなどのリチウム合金が用いられる。
正極13および負極合剤層15の少なくとも一方は、イオン伝導性が向上するため、ヨウ素アニオンを含む少なくとも一種の塩を含むのが好ましい。この塩は、電解質14に用いられる塩と同じでもよく、電解質14に用いられる塩と融点がほぼ同じものであれば、電解質14に用いられる塩と異なっていてもよい。
点火端子2に接続された電源より、点火端子2に高電圧が印加されると点火栓3が発火する。これにより、着火パッド4および導火帯6へ燃焼が伝わり、発熱剤5が燃焼して素電池7が加熱される。そして、素電池7の電解質14が溶融して、溶融塩すなわちイオン伝導体となる。このようにして、電池が活性化し、放電が可能となる。
《参考例1》
以下の手順で、図2に示す素電池を作製した。なお、素電池の作製工程では、基本的に、全て露点−50℃以下の乾燥空気中で水分の影響を極力排除した環境下で行った。
フッ化リチウム(LiF)(組成1)およびヨウ化リチウム(LiI)(組成2)を、真空環境下にて200℃で48時間乾燥した。乾燥後、露点が管理されたアルゴン雰囲気のグローブボックス内にて、LiFとLiIとをモル比17:83の割合で混合した。その後、この混合物の適量を高純度アルミナのルツボに移し、露点が管理されたアルゴン雰囲気の溶融炉にて加熱溶融し、LiFとLiIの混合塩を得た。得られた混合塩を自然冷却した後、これを露点が管理されたアルゴン雰囲気下でステンレス製のボールミルを用いて約12時間粉砕し、粉末化した。得られた混合塩の粉末を60メッシュ(目開き250μm)の篩いにて分級した。
正極活物質としてFeS2粉末(平均粒径12μm)と、上記混合塩と、シリカ粉末(平均粒径約0.2μm)とを、重量比70:20:10で混合し、この混合物に3ton/cm2の圧力を加えて、直径13mmおよび厚さ約0.4mmの円盤状の正極13を得た。
Li−Al合金粉末(リチウム含有量:20重量%)と上記混合塩とを重量比65:35で混合し、この混合物に3ton/cm2の圧力を加えて、直径11mmおよび厚さ約0.4mmの負極合剤層15を得た。
そして、上記で得られた負極12を、電解質14を介して正極13と重ね合わせて図2に示す素電池7を得た。このとき、正極の容量に比べて負極の容量が大きくなるように正極活物質量および負極活物質量を調整した。
電解質の作製において、LiFの代わりにLiClを用い、LiClとLiIのモル比を35:65とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFの代わりにLiClを用い、LiClとLiIのモル比を25:75とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFの代わりにLiClを用い、LiClとLiIのモル比を45:55とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiClおよびNaIを用い、LiClとNaIのモル比を55:45とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiClおよびKIを用い、LiClとKIのモル比を63:37とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiClおよびRbIを用い、LiClとRbIのモル比を58:42とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiClおよびCsIを用い、LiClとCsIのモル比を58:42とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFの代わりにLiBrを用い、LiBrとLiIのモル比が37:63とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiBrおよびNaIを用い、LiBrとNaIのモル比を60:40とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiBrおよびKIを用い、LiBrとKIのモル比を60:40とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiBrおよびRbIを用い、LiBrとRbIのモル比を60:40とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiBrおよびCsIを用い、LiBrとCsIのモル比を63:37とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFの代わりにNaIを用い、NaIとLiIのモル比を18:82とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFの代わりにKIを用い、KIとLiIのモル比を37:63とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFの代わりにRbIを用い、RbIとLiIのモル比を37:63とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFの代わりにCsIを用い、CsIとLiIのモル比が35:65とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiBrおよびNaIを用い、LiFとLiBrとNaIのモル比を5:63:32とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiBrおよびKIを用い、LiFとLiBrとKIのモル比が2:60:38とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiBrおよびRbIを用い、LiFとLiBrとRbIのモル比を2:60:38とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiBrおよびCsIを用い、LiFとLiBrとCsIのモル比を2:63:35とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、LiBrおよびNaIを用い、LiClとLiBrとNaIのモル比を18:46:36とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、LiBrおよびKIを用い、LiClとLiBrとKIのモル比を4:58:38とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、LiBrおよびRbIを用い、LiClとLiBrとRbIのモル比を2:57:40とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、LiBrおよびCsIを用い、LiClとLiBrとCsIのモル比を8:56:36とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびNaIを用い、LiFとLiClとNaIのモル比を5:57:38とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびNaIを用い、LiFとLiClとNaIのモル比を10:63:27とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびNaIを用い、LiFとLiClとNaIのモル比を5:50:55とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびNaIを用い、LiFとLiClとNaIのモル比を1:51:48とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびNaIを用い、LiFとLiClとNaIのモル比を1:59:40とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびKIを用い、LiFとLiClとKIのモル比を5:65:30とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびRbIを用い、LiFとLiClとRbIのモル比を5:60:35とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiClおよびCsIを用い、LiFとLiClとCsIのモル比を4:58:38とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、およびNaIを用い、LiClとKClとNaIのモル比を6:16:78とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、およびKIを用い、LiClとKClとKIのモル比が58:36:6とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、およびRbIを用い、LiClとKClとRbIのモル比を55:37:8とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、およびCsIを用い、LiClとKClとCsIのモル比を54:28:18とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびNaIを用い、LiFとLiClとLiBrとNaIのモル比を10:20:50:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびNaIを用い、LiFとLiClとLiBrとNaIのモル比が12:64:4:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびNaIを用い、LiFとLiClとLiBrとNaIのモル比を10:40:30:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびNaIを用い、LiFとLiClとLiBrとNaIのモル比を15:25:55:5とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびNaIを用い、LiFとLiClとLiBrとNaIのモル比を5:20:40:35とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびKIを用い、LiFとLiClとLiBrとKIのモル比を10:20:50:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびRbIを用い、LiFとLiClとLiBrとRbIのモル比を10:20:50:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiIの代わりにLiCl、LiBr、およびCsIを用い、LiFとLiClとLiBrとCsIのモル比を10:20:50:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、Li2CO3、およびNaIを用い、LiClとKClとLi2CO3とNaIのモル比を55:20:5:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、Li2CO3、およびKIを用い、LiClとKClとLi2CO3とKIのモル比を55:20:5:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、Li2CO3、およびRbIを用い、LiClとKClとLi2CO3とRbIのモル比を55:20:5:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、Li2CO3、およびCsIを用い、LiClとKClとLi2CO3とCsIのモル比を55:20:5:20とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、LiNO3、およびNaIを用い、LiClとKClとLiNO3とNaIのモル比を40:25:10:25とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、LiNO3、およびKIを用い、LiClとKClとLiNO3とKIのモル比を40:25:10:25とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、LiNO3、およびRbIを用い、LiClとKClとLiNO3とRbIのモル比を40:25:10:25とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiCl、KCl、LiNO3、およびCsIを用い、LiClとKClとLiNO3とCsIのモル比を40:25:10:25とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiClおよびKClを用い、LiClとKClのモル比を60:40とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiBr、KBr、LiClを用い、LiBrとKBrとLiClのモル比を37:38:25とした以外は、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiBr、KBr、LiFを用い、LiBrとKBrとLiFのモル比を53:46:1とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
電解質の作製において、LiFおよびLiIの代わりにLiBr、LiCl、およびLiFを用い、LiBrとLiClとLiFのモル比を47:31:22とした以外、参考例1と同様の方法により素電池を作製した。
なお、上記電解質に用いられた混合塩の組成および混合モル比を表1〜3にまとめる。表1〜3は、それぞれ電解質に用いられる混合塩が2種類、3種類、および4種類の塩からなる場合を示す。
[評価]
(A)放電試験
素電池を、温度の制御が可能な2枚の熱板で挟み、熱板により素電池を作動温度まで加熱し、定電流放電(終止電圧:1.2V)し、放電容量を求めた。また、この時、放電開始から10秒時の放電電圧を調べた。高率放電特性を評価するため、放電電流値を2.0A/cm2とした。また、放電時の温度が450℃、500℃、または550℃となるように、熱板の温度を設定し、各々の温度で放電試験を行った。そして、放電容量は、従来の電解質にLiCl−KClを用いた時の一般的な作動温度である500℃で、電流値0.5A/cm2で1.2Vまで放電した時の放電容量に対する容量比率として求めた。また、電池の試験数は5個とし、5個の電池に対して得られた容量比率の平均値を求めた。
また、熱電池に用いられる電解質に求められる重要な要件の一つとして、例えば、高温状態下で放電した時に、電解質が漏れ出すことによる正極と負極との間の短絡を抑制することが要求される。この観点から、放電試験中の放電電圧の低下挙動、および放電試験後の電解質の漏れの有無により、短絡の有無を確認した。各種電解質に対して電池を5個ずつ作製し、短絡を生じた電池の割合を調べた。
上記の評価結果を表4〜6に示す。なお、表4〜6は、それぞれ電解質に用いられる混合塩が2種類、3種類、および4種類の塩からなる場合の評価結果を示す。
電解質のイオン伝導性が放電特性を決める大きな要因の一つであるので、参考例1〜17および実施例1〜36では、電解質と同じ塩を正極および負極の両方に含有させたが、本発明はこれに制限されない。電解質に用いられる塩と融点がほぼ同じであれば、この塩と異なるヨウ素アニオンを含む塩を正極および負極の少なくとも一方に含有してもよい。
参考例1の素電池を用いて、上述した図1と同じ熱電池を作製した。なお、熱電池の作製は、露点−50℃以下の乾燥空気中で水分の影響を極力排除した環境下で行った。
素電池7と発熱剤5とを交互に積み重ね発電部を構成した。このとき、素電池7を13個用いた。発熱剤5には、FeとKClO4との混合物を用いた。電池作動中の平均温度が450、500、または550℃となるように発熱剤の量を調整した。
なお、本参考例では、電池作動時の温度を、発熱剤の量を変えることにより調整したが、発熱剤中の各材料の配合比を変えて調整してもよい。
また、熱電池の作動時の温度を450℃とした場合は、熱電池の作動時の温度を500℃および550℃とした場合と比べて、作動温度が低いため、発熱剤の量を低減して、熱電池を小型・軽量化することができる。
点火栓3の点火剤には、硝酸カリウム、硫黄、および炭素の混合物を用いた。断熱材9aおよび9bには、シリカとアルミナを主成分とするセラミック繊維材料を用いた。
参考例1の素電池の代わりに参考例2の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、参考例9の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、参考例14の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、実施例1の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、実施例5の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、実施例9の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、実施例17の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、実施例21の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、実施例29の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例1の素電池の代わりに、実施例33の素電池を用いた以外、参考例18と同様の方法により熱電池を作製した。
参考例18〜21および実施例37〜43の熱電池について以下のように放電試験を行った。点火端子に接続された電源より高電圧を印加し、点火栓を発火させ熱電池を活性化させた。そして、熱電池を2A/cm2(終止電圧:6.5V)の電流密度で放電した。その結果、素電池を複数個積層した熱電池においても、素電池と同様の容量が得られることが確かめられた。
また、上記実施例では、電解質の形状は径13mmの円盤状としたが、その大きさや形状は特に限定されるものではなく、例えば、形状として中心部に穴の空いたドーナッツ状、半円状、四角形状でもよい。
2 点火端子
3 点火栓
4 着火パッド
5 発熱剤
6 導火帯
7 素電池
8 負極リード板
9a、9b 断熱材
10a 正極端子
10b 負極端子
11 電池蓋
12 負極
13 正極
14 電解質
15 負極合剤層
16 集電体
Claims (6)
- 正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配された電解質からなる素電池を備える熱電池であって、
前記電解質は前記熱電池の作動温度で溶融する塩を含み、前記塩は無機カチオンおよび無機アニオンからなり、
前記塩は、少なくとも第1の塩、第2の塩および第3の塩を含む混合塩であり、
前記第1の塩が、NaI、KI、RbI、またはCsIであり、
前記第2の塩が、LiF、LiCl、またはLiBrであり、
前記第3の塩が、前記第2の塩とは異なり、かつ、無機カチオンA1と無機アニオンA2との塩であり、前記無機アニオンA2が、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、硝酸アニオン、または炭酸アニオンである、熱電池。 - 前記無機カチオンA1が、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、およびセシウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1記載の熱電池。
- 前記無機カチオンA1が、リチウムカチオンおよびカリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
前記無機アニオンA2が、フッ素アニオン、塩素アニオン、または臭素アニオンである、請求項1または2記載の熱電池。 - 前記混合塩が、前記第2の塩および前記第3の塩とは異なる第4の塩をさらに含み、
前記第4の塩が、無機カチオンB1と無機アニオンB2との塩であり、
前記無機アニオンB2が、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、硝酸アニオン、または炭酸アニオンである、請求項1〜3のいずれか1項記載の熱電池。 - 前記無機カチオンB1が、リチウムカチオンであり、
前記無機アニオンB2が、臭素アニオン、硝酸アニオン、または炭酸アニオンである、請求項4記載の熱電池。 - 前記正極および前記負極の少なくとも一方が、ヨウ素アニオンを含む塩を含むことを特徴とする請求項1記載の熱電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006301436A JP5143399B2 (ja) | 2005-11-10 | 2006-11-07 | 熱電池 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005325683 | 2005-11-10 | ||
JP2005325683 | 2005-11-10 | ||
JP2006301436A JP5143399B2 (ja) | 2005-11-10 | 2006-11-07 | 熱電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007157702A JP2007157702A (ja) | 2007-06-21 |
JP5143399B2 true JP5143399B2 (ja) | 2013-02-13 |
Family
ID=38241757
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006301436A Expired - Fee Related JP5143399B2 (ja) | 2005-11-10 | 2006-11-07 | 熱電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5143399B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5522927B2 (ja) * | 2008-11-25 | 2014-06-18 | パナソニック株式会社 | 熱電池用電極およびそれを含む熱電池 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5217212B2 (ja) * | 1971-11-04 | 1977-05-13 | ||
JPS569787B2 (ja) * | 1972-10-06 | 1981-03-04 | ||
JPS5318250B2 (ja) * | 1973-06-04 | 1978-06-14 | ||
US3898096A (en) * | 1973-06-11 | 1975-08-05 | Rockwell International Corp | Lithium-molten salt cell with transition metal chalcogenide positive electrode |
US4057678A (en) * | 1977-03-16 | 1977-11-08 | The United States Of America As Represented By The United States Energy Research And Development Administration | Molten salt battery having inorganic paper separator |
JPH01206566A (ja) * | 1988-02-13 | 1989-08-18 | Japan Storage Battery Co Ltd | リチウム系熱電池 |
JP2004079279A (ja) * | 2002-08-13 | 2004-03-11 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 熱電池 |
-
2006
- 2006-11-07 JP JP2006301436A patent/JP5143399B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007157702A (ja) | 2007-06-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8697271B2 (en) | Molten salt and thermal battery | |
JP5580457B2 (ja) | 溶融塩及び熱電池 | |
JP2716268B2 (ja) | 電気化学セル | |
US6544691B1 (en) | Batteries using molten salt electrolyte | |
JP5522927B2 (ja) | 熱電池用電極およびそれを含む熱電池 | |
JPS5948512B2 (ja) | 遷移金属カルコゲン化物の陽極を備えたリチウム−溶融塩電池 | |
US4596752A (en) | Electrochemical cell structures and materials therefor | |
US20070105011A1 (en) | Thermal battery | |
US8088508B2 (en) | Thermal battery | |
JPH0548582B2 (ja) | ||
JP5362273B2 (ja) | 溶融塩及び熱電池 | |
JP5006548B2 (ja) | 熱電池 | |
JP6460511B2 (ja) | リチウム二次電池用活物質及びその製造方法並びにそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP5143399B2 (ja) | 熱電池 | |
JPH06325800A (ja) | 電 池 | |
JP2006236990A (ja) | 熱電池 | |
EP1829142A1 (en) | Heat sources for thermal batteries | |
JP2010015947A (ja) | 熱電池およびそれに用いられる電解質層 | |
JPH0251221B2 (ja) | ||
US20060166097A1 (en) | Thermal battery | |
EP0796512A1 (en) | High temperature battery | |
US3953232A (en) | Sealed lithium-reducible metal salt cell | |
JP2751388B2 (ja) | 熱電池 | |
JPH0351063B2 (ja) | ||
JP4381092B2 (ja) | 熱電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091104 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120802 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120928 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121025 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121121 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151130 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5143399 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |