JP5580457B2 - 溶融塩及び熱電池 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融塩および前記溶融塩を含む熱電池に関し、特に前記溶融塩の改良に関する。
一般に、溶融塩は、1種または2種類以上の塩を含み、溶融状態で利用される。近年では、常温でも溶融状態(すなわち液体状態)である塩類が提案され、常温溶融塩、イオン性液体などと称されている。
溶融塩は、例えば、工業電解または金属精錬に用いられる電解液として利用されたり、原子力システムにおいて金属プルトニウムの製造において利用されたりしている。特に、工業電解または金属精錬においては、大電流を流す必要があるため、電解液として用いられる溶融塩には、イオン伝導性が高いことが求められる。
また、溶融塩は、熱電池の電解質としても利用されている。一般に、熱電池は、負極、正極、およびこれらの間に配置された電解質を含む素電池を複数個備える。この電解質として、高温で溶融する塩(すなわち溶融塩)が用いられている。溶融塩からなる電解質は、常温では、イオン伝導性を有しないため、熱電池は不活性状態にある。一方、電解質が高温に加熱されると、電解質は溶融状態となり、良好なイオン伝導体となる。このため、熱電池は、高温で活性し、外部へ電気を供給することができる。
熱電池は、貯蔵型電池の一種であり、通常、電解質が溶融しない限り、電池反応は進行しない。このため、熱電池は、5〜10年またはそれ以上の期間貯蔵した後でも、製造直後と同じ電池特性を発揮することができる。また、熱電池では、高温下で電極反応が進行する。このため、水溶液電解液または有機電解液を用いる電池に比べて、電極反応が格段に速く進行する。従って、熱電池は優れた大電流放電特性を有する。さらに、熱電池は、加熱手段(発熱要素)によっても異なるが、使用時に電池に起動信号を送ると1秒以内の短時間で電力を取り出すことができる。このため、熱電池は、誘導機器のような各種防衛機器の電源、緊急用電源などとして好適に用いられている。
ところで、近年、熱電池を搭載する機器の高性能化に伴い、機器の消費電力も増大している。このため、熱電池のさらなる高出力化が求められている。なお、従来と同程度の出力を得たい場合、高出力化のための技術を用いれば、従来技術に比べ、電池の小型かつ軽量化が可能となる。よって、高出力化が達成できれば、その高出力化のための技術を用いて、電池の小型かつ軽量化の要望にも応じることができる。
従来より、熱電池の高出力化のために、電解質について種々の検討が行われている。例えば、特許文献1には、LiF−LiCl−LiBr溶融塩を電解質として用いることが提案されている。特許文献2には、LiCl−LiBr−KBr溶融塩を電解質として用いることが提案されている。非特許文献1には、LiF−LiCl−LiIのようなヨウ素塩を含む溶融塩を電解質として用いることが提案されている。
特開平2−61962号公報 特開平10−172581号公報
P.Masset、Journal of Electrochemical Society、152(2)、A405−A410(2005)
高出力化のためには、溶融塩のイオン伝導度(導電性)が高いことが求められる。一方で、実用化の面からは、溶融塩の融点についても考慮される必要がある。イオン伝導度が高くても、融点が現在用いられている溶融塩の融点よりも高い溶融塩の場合には、電池内に配される発熱要素として特殊な材料を用いる必要がある。さらには、熱電池の作動温度域も限定される。つまり、溶融塩の融点が高い場合、デメリットが大きい。
例えば、現在までに提案されている溶融塩の中で、最も高いイオン伝導度を有すると考えられる溶融塩は、特許文献1に開示されるLiF−LiCl−LiBr溶融塩である。しかし、前記溶融塩の融点は443℃であり、広く用いられているLiCl−KCl溶融塩(融点350℃)に比べ、融点が90℃以上高い。このため、LiF−LiCl−LiBr溶融塩を電解質として用いる場合、熱電池の内部設定温度を、従来の500℃程度よりも、かなり高く設定する必要がある。正極材料として、例えば、600℃付近で熱分解し始めるFeS2を用いた場合、熱電池の内部設定温度を500℃よりもかなり高くする
と、正極材料が劣化する可能性がある。
さらに、熱電池は、−50℃の環境下においても、放電可能であることが要求されることが多い。このような低温環境の温度は、常温(約20℃)と比較して、70℃程度低い。よって、熱電池の作動温度を常温環境下で通常の500℃に設定した場合、−50℃のような低温環境下においては、熱電池の内部温度は、430℃程度になると考えられる。特許文献1に開示されるLiF−LiCl−LiBr溶融塩の融点は、440℃程度であるため、熱電池の内部温度が430℃程度まで低下すると、前記溶融塩の温度も、その凝固点領域に達する。その結果、特許文献1に開示される溶融塩を含む熱電池は、放電容量が非常に少ないか、または放電できなくなる。
以上のように、特許文献1に開示される溶融塩を用い、熱電池の作動温度を高くした場合には、正極などに与える影響が大きい。また、特許文献1に開示される溶融塩を含む熱電池を低温環境下で使用する場合には、放電特性などが影響を受ける。
特許文献2に開示される、LiCl−LiBr−KBr溶融塩の融点は、LiCl−KCl溶融塩の融点と同程度である。しかし、前記LiCl−LiBr−KBr溶融塩のイオン伝導性は、LiCl−KCl溶融塩のイオン伝導性と比較して低い。このため、特許文献2に開示される溶融塩を用いても、熱電池の出力特性を向上させることができない。
非特許文献1には、LiF−LiCl−LiIなどのような、ヨウ素塩を含む溶融塩が開示されている。ヨウ素塩を含む溶融塩は、ヨウ素塩の含有量により、400℃程度の融点および比較的高いイオン伝導性を示す場合がある。非特許文献1に開示される溶融塩において、ヨウ素塩は、比較的高い濃度で含まれている。しかし、後述するように、ヨウ素は、水分または酸素との反応性が他の塩類と比べて、はるかに高い。このため、非特許文献1に開示される溶融塩を熱電池の電解質として用いる場合、実用上のさらなる改良が必要である。
そこで、本発明は、イオン伝導性が高く、かつ実用上問題の無い温度で利用できる溶融塩を提供することを目的とする。また、本発明は、化学的安定性を向上させた溶融塩を提供することをさらなる目的とする。さらに、本発明は、低温環境下でも放電が可能であり、かつ高出力の熱電池、または小型かつ軽量の熱電池を提供することをさらなる目的とする。
本発明の溶融塩は、少なくとも第1の塩と第2の塩を含み、かつ融点が350℃以上430℃以下であり、500℃における導電率が2.2S/cm以上である。
本発明の実施形態において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選ばれる2種の塩を含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
第1の塩が、LiFおよびLiClを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBrおよびRbClよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。
第1の塩が、LiFおよびLiBrを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。
第1の塩が、LiClおよびLiBrを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。
参考形態において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選ばれる1種の塩を含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBr、RbF、RbCl、RbBr、CsF、CsCl、およびCsBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
第1の塩が、LiClを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBr、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。
第1の塩が、LiBrを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。
参考形態において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrを含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、CsIおよびLiIよりなる群から選ばれ、かつLiIを含む少なくとも1種の塩を含む。
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選択される2種の塩と、LiIとを含む。
本実施形態において、第1の塩が、LiF、LiCl、およびLiIを含む場合、第2の塩は、少なくともNa含有塩を含むことが好ましい。Na含有塩は、NaBrを含むことが好ましい。
本実施形態において、第1の塩が、LiF、LiBr、およびLiIを含む場合、第2の塩は、少なくともNa含有塩を含むことが好ましい。Na含有塩は、NaF、NaClおよびNaBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。
本実施形態において、第1の塩が、LiCl、LiBr、およびLiIを含む場合、第2の塩は、Na含有塩およびK含有塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。Na含有塩は、NaFおよびNaBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。K含有塩は、KFを含むことが好ましい。
参考形態において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選ばれる1種の塩と、LiIとを含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
本参考形態において、第1の塩が、LiBrおよびLiIを含む場合、第2の塩は、少なくともCs含有塩を含むことが好ましい。Cs含有塩は、CsFを含むことが好ましい。
参考形態において、第1の塩は、LiF、LiCl、LiBr、およびLiIよりなる群から選ばれる1種の塩を含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含み、かつ第1の塩および第2の塩の少なくとも一方が、少なくとも1種類のI含有塩を含む。
本参考形態において、第1の塩が、LiBrを含む場合、第2の塩は、少なくともNa含有塩を含むことが好ましい。Na含有塩は、NaClを含むことが好ましい。I含有塩は、KIを含むことが好ましい。
前記溶融塩に含まれるカチオンの総量に占めるリチウムカチオンの量は、50モル%以上であることが好ましい。
前記溶融塩に含まれるアニオンの総量に占めるフッ素アニオンの量は、20モル%以下であることが好ましい。
前記溶融塩に含まれるアニオンの総量に占めるヨウ素アニオンの量は、20モル%以下であることが好ましい。
また、本発明は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配された電解質を含む少なくとも1つの素電池を備え、電解質が、前記溶融塩を含む、熱電池に関する。前記熱電池において、正極および負極の少なくとも一方が、前記溶融塩をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、イオン伝導性の尺度となる導電率が、500℃において2.2S/cm以上と従来よりも高く、融点が350℃以上430℃以下と従来と同程度または従来よりも低い溶融塩を提供することができる。このような溶融塩を用いることにより、例えば、高出力特性に優れた熱電池を提供することができる。
また、本発明の溶融塩を用いることにより、他の構成要素を大きく変更することなく、出力特性を向上させることができる。よって、熱電池の出力特性が従来と同程度でよい場合には、電解質以外の構成要素をある程度削減することが可能となる。つまり、本発明の溶融塩を熱電池の電解質として用いることにより、小型かつ軽量の熱電池を提供することもできる。
さらに、本発明の溶融塩は、従来の溶融塩と比べてイオン伝導性に優れているため、熱電池用の電解質以外にも、工業電解または金属精錬に用いられる電解質としても用いることができる。また、本発明の溶融塩は、電解質として溶融塩を利用する蓄電システム、発電システムなどの大型電池に用いることができる。さらには、廃棄物からの金属の回収などの資源リサイクル、新規材料の合成のための反応場の提供のために、本発明の溶融塩を用いることもできる。
本発明の一実施形態に係る熱電池の一部を切り欠いて断面とした斜視図である。 本発明の一実施形態の熱電池に用いられる素電池の縦断面図である。
本発明の溶融塩は、少なくとも第1の塩および第2の塩を含み、かつ融点が350℃以上430℃以下であり、500℃における導電率が2.2S/cm以上である。また、本発明の熱電池は、前記溶融塩を電解質として含む。具体的に、本発明の熱電池は、正極、負極、およびこれらの間に配置され、熱電池の作動温度で溶融する溶融する塩(前記溶融塩)を含む電解質を含む少なくとも1つの素電池を備える。なお、熱電池の作動温度は、電解質に含まれる溶融塩の融点よりも高い。
本発明の溶融塩は、特に熱電池の電解質としての使用に適している。上記のように、本発明の溶融塩の500℃における導電率は2.2S/cm以上であり、熱電池の電解質として一般的に用いられているLiCl−KCl溶融塩(500℃における導電率1.87S/cm)よりも高い。よって、本発明の溶融塩を熱電池の電解質として用いることにより、出力特性に優れた熱電池を提供することが可能となる。
また、本発明の溶融塩の融点は350〜430℃であり、前記LiCl−KCl溶融塩の融点(350℃)と比べて、同等か、多少高い程度である。このため、本発明の溶融塩を用いる場合でも、熱電池において、従来から用いられている発熱要素(発熱剤)を用いることができる。つまり、本発明の溶融塩を用いることにより、発熱剤の種類およびその量は、従来と同じとすることができる。
さらには、本発明の溶融塩を用いることにより、他の構成要素を大きく変更することなく、熱電池の出力特性を向上させることができる。よって、熱電池の出力特性が従来と同程度でよい場合には、電解質以外の構成要素をある程度削減することが可能となる。つまり、本発明の溶融塩を熱電池の電解質として用いることにより、小型かつ軽量の熱電池を提供することもできる。
さらに、本発明の溶融塩は、導電性が高いため、熱電池用の電解質以外にも、工業電解または金属精錬に用いられる電解質としても用いることができる。また、本発明の溶融塩は、電解質として溶融塩を利用する蓄電システム、発電システムなどの大型電池に用いることができる。さらには、廃棄物からの金属の回収などの資源リサイクル、新規材料の合成のための反応場の提供のために、本発明の溶融塩を用いることもできる。
融点と導電率をコントロールするという観点から、本発明の溶融塩は、第1の塩と第2の塩を少なくとも含む。つまり、本発明の溶融塩は混合塩を含む。本発明の溶融塩の融点および導電率は、例えば、添加される塩の種類、添加される塩のモル比等を適宜変更することにより、制御することができる。溶融塩が、2元系、3元系、4元系、5元系などの複数の塩の混合物を含む場合でも、上記の融点と導電率を有すれば、同様の効果が得られる。
本発明の溶融塩に含まれる第1の塩および第2の塩は、それぞれ無機カチオンおよび無機アニオンを含むことが好ましい。前記無機カチオンは、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、およびセシウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。前記無機アニオンは、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硝酸アニオン、および炭酸アニオンよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の溶融塩において、少なくとも2種類の塩のうち、少なくとも1つの塩はリチウムカチオンを含み、残りの塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、およびセシウムカチオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の溶融塩の組成は、上記のような融点および導電率が得られれば、特に限定されない。例えば、融点降下の効果が最も大きいため、本発明の溶融塩の組成は、共晶を与える組成とすることができる。
なお、出力特性を向上させるために、電解質に用いられる溶融塩は、十分なイオン伝導性を有する必要がある。そのため、溶融塩は、充放電を担うイオンイオン種を一定量以上含む必要がある。例えば、充放電反応を担うイオンとしてリチウムイオンが用いられる熱電池において、溶融塩に含まれるカチオンの総量に占めるリチウムイオンの量は、50モル%以上であることが好ましい。リチウムイオンの量は、80モル%以上であることがさらに好ましい。
また、溶融塩を構成する元素、または溶融塩に含まれる官能基を形成する原子団の種類、ならびにその含有量によっては、溶融塩が化学的に不安定な状態となるか、または作業環境などに影響を与える場合もある。
例えば、溶融塩がフッ素アニオンを含む場合、溶融塩を取り扱う上で作業環境中の水分を管理および低減している場合でも、フッ素は水分との反応性が本質的に高いため、有毒なフッ化水素などを発生する可能性がある。このため、溶融塩がフッ素アニオンを含むことにより、作業中の周囲環境に影響を及ぼしたり、電池内部の部品を腐食したりする可能性がある。このような悪影響を回避するために、溶融塩に含まれるアニオンの総量に占めるフッ素アニオンの量は、20モル%以下であることが好ましい。フッ素アニオンの量は、18モル%以下であることがさらに好ましい。
さらに、ヨウ素は、水分と反応性が高いことに加え、酸素とも反応することが、発明者による実験などから分かっている。よって、溶融塩にヨウ素が含まれる場合、ヨウ素が作業環境中の水分または酸素と反応することにより、溶融塩の組成が変化する可能性がある。このような悪影響を回避するために、溶融塩に含まれるアニオンの総量に占めるヨウ素アニオンの量は、20モル%以下であることが好ましい。ヨウ素アニオンの量は、10モル%以下であることがさらに好ましい。
このように、溶融塩に含まれる所定のイオン種の量をさらに限定することにより、より化学的に安定で、優れた性能の有する溶融塩を得ることができる。
溶融塩に含まれるリチウムカチオン(またはリチウム原子)、フッ素アニオン(またはフッ素原子)、およびヨウ素アニオン(またはヨウ素原子)の量は、溶融塩に含まれる塩のモル比から計算することができる。
または、例えば、蛍光X線分析法と他の分析方法(例えば、ICP発光分析法、原子吸光分析法、イオンクロマトグラフィー法、滴定法等)とを組み合わせて用いることにより、溶融塩に含まれるリチウムカチオン(またはリチウム原子)、フッ素アニオン(またはフッ素原子)、およびヨウ素アニオン(またはヨウ素原子)などの量を測定することができる。なお、このような方法によれば、溶融塩に含まれる塩の種類およびその組成比を求めることもできる。
以下、本発明の溶融塩を具体的に説明する。
(参考の形態1)
参考形態にかかる溶融塩において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrを含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBr、RbF、RbCl、RbBr、CsF、CsCl、およびCsBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiF−LiCl−LiBr−NaF、LiF−LiCl−LiBr−NaF−KCl、LiF−LiCl−LiBr−NaCl、LiF−LiCl−LiBr−NaCl−KBr、LiF−LiCl−LiBr−NaBr、LiF−LiCl−LiBr−NaBr―KCl、LiF−LiCl−LiBr−KF、LiF−LiCl−LiBr−KF−NaF、LiF−LiCl−LiBr−KCl、LiF−LiCl−LiBr−KCl−KBr、およびLiF−LiCl−LiBr−KBrが挙げられる。これらのなかでも、第2の塩の含有量が30モル%以下である溶融塩が、特に好ましい。
(実施の形態2)
本発明の実施形態にかかる溶融塩において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選ばれる2種の塩を含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
本実施形態においては、第1の塩が、LiFおよびLiClを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBrおよびRbClよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。なかでも、第2の塩は、NaBrおよびKFの少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiF−LiCl−NaBr、およびLiF−LiCl−KFなどが挙げられる。
第1の塩が、LiFおよびLiBrを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことも好ましい。なかでも、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBrなどのNa含有塩を含むことがさらに好ましい。この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiF−LiBr−NaF、LiF−LiBr−NaF−NaCl、LiF−LiBr−NaF−KCl、LiF−LiBr−NaCl、およびLiF−LiBr−NaCl−KClなどが挙げられる。
第1の塩が、LiClおよびLiBrを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことも好ましい。なかでも、第2の塩は、Na含有塩およびKFの少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。Na含有塩としては、NaF、NaCl、NaBrなどを用いることができる。
この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiCl−LiBr−NaF、LiCl−LiBr−NaF−NaCl、LiCl−LiBr−NaCl−KF、LiCl−LiBr−NaBr、LiCl−LiBr−KF、およびLiCl−LiBr−KF−KClなどが挙げられる。
(参考の形態3)
参考形態にかかる溶融塩において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選ばれる1種の塩を含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBr、RbF、RbCl、RbBr、CsF、CsCl、およびCsBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
本参考形態において、第1の塩が、LiClを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBr、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiCl−NaBr−KF、LiCl−NaBr−CsFなどが挙げられる。
第1の塩が、LiBrを含む場合、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。なかでも、第2の塩は、KFを含むことがさらに好ましい。この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiBr−KF−NaCl、LiBr−KF−NaBrなどが挙げられる。
(参考の形態4)
参考形態にかかる溶融塩において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrを含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、CsIおよびLiIよりなる群から選ばれ、かつLiIを含む少なくとも1種の塩を含む。
この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiF―LiCl―LiBr−LiIなどが挙げられる。
(実施の形態5)
本発明のさらに別の好ましい実施形態にかかる溶融塩において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選択される2種の塩と、LiIとを含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
本実施形態において、第1の塩が、LiF、LiCl、およびLiIを含む場合、第2の塩は、少なくともNa含有塩を含むことが好ましい。前記Na含有塩は、NaBrであることがさらに好ましい。この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiF―LiCl―LiI−NaBrなどが挙げられる。
第1の塩が、LiF、LiBr、およびLiIを含む場合、第2の塩は、少なくともNa含有塩を含むことも好ましい。前記Na含有塩は、NaF、NaCl、およびNaBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩であることがさらに好ましい。
この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiF−LiBr−LiI−NaF、LiF−LiBr−LiI−NaCl、LiF−LiBr−LiI−NaBrなどが挙げられる。
第1の塩が、LiCl、LiBr、およびLiIを含む場合、第2の塩は、Na含有塩、およびK含有塩から選ばれる少なくとも1種の塩を含むことが好ましい。前記Na含有
塩は、NaFおよびNaBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩であることがさらに好ましい。前記K含有塩は、KFであることがさらに好ましい。
この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiCl−LiBr−LiI−NaF、およびLiCl−LiBr−LiI−KFなどが挙げられる。
(参考の形態6)
参考形態にかかる溶融塩において、第1の塩は、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選ばれる1種の塩と、LiIとを含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む。
本参考形態において、第1の塩が、LiBrとLiIとを含む場合、第2の塩は、少なくともCs含有塩を含むことが好ましい。前記Cs含有塩は、CsFを含むことがさらに好ましい。
この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiBr−LiI−CsFなどが挙げられる。
(参考の形態7)
参考形態にかかる溶融塩において、第1の塩は、LiF、LiCl、LiBr、およびLiIよりなる群から選ばれる1種の塩を含み、第2の塩は、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含み、かつ第1の塩および第2の塩の少なくとも一方が、少なくとも1種類のI含有塩を含む。前記I含有塩は、KIを含むことが好ましい。
本参考形態において、第1の塩が、LiBrを含む場合、第2の塩は、少なくともNa含有塩を含むとともに、かつ第1の塩および第2の塩の少なくとも一方が、少なくとも1
種類のI含有塩を含むことが好ましい。前記Na含有塩は、NaClを含むことがさらに好ましい。また、この場合にも、I含有塩は、KIを含むことが好ましい。
この場合、好ましい塩の組み合わせとしては、例えば、LiBr−KI−NaClなどが挙げられる。
実施または参考の形態4〜7に示される溶融塩において、前記溶融塩中にヨウ素アニオンが含まれる場合、アニオンの総量に占めるヨウ素の含有量が、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。
次に、本発明の熱電池の一例を、図1を参照しながら説明する。
素電池7と発熱剤5とを交互に複数個積み重ねた発電部が、金属製の外装ケース1に収納されている。発電部の最上部には、着火パッド4が配され、着火パッド4の上部に近接して点火栓3が設置されている。発電部の周囲には導火帯6が配されている。発熱剤5は鉄粉を含み、導電性を有するため、素電池7は発熱剤5を介して電気的に直列に接続されている。発熱剤5は、例えば、FeとKClO4の混合物からなる。電池の活性化時には
発熱剤5の燃焼にともないFe粉が焼結するため、放電初期(燃焼初期)から放電末期(燃焼末期)まで、発熱剤5の導電性は維持される。
外装ケース1は、一対の点火端子2、ならびに正極端子10aおよび負極端子10bを備えた電池蓋11により封口されている。正極端子10aは、正極リード板を介して発電部最上部の素電池7の正極に接続されている。一方、負極端子10bは、負極リード板8を介して発電部最下部の素電池7の負極に接続されている。電池蓋11と着火パッド4との間には、断熱材9aが配され、外装ケース1と発電部との間には、断熱材9bが配されている。
素電池7は、図2に示すように、負極12、正極13、および負極12と正極13との間に配される電解質層14からなる。
負極12は、図2に示すように、負極活物質を含む負極合剤層15、および負極合剤層15を収容するカップ状の金属ケース16を含む。負極活物質は、熱電池に使用可能なものであれば何でもよく特に制限されない。負極活物質には、例えば、リチウム金属、Li−Al、Li−Si、もしくはLi−Bなどのリチウム合金が用いられる。金属ケース16の構成材料としては、例えば、鉄を用いることができる。
正極13は正極活物質を含む。正極活物質は、熱電池で使用可能な材料であれば何でもよく特に制限されない。正極活物質には、例えば、MnO2などのマンガン酸化物、V25などのバナジウム酸化物、FeS2などの硫化物、モリブデン酸化物、またはリチウム含有酸化物を用いることができる。
電解質層14は、例えば、本発明の溶融塩と、保持材との混合物を含む。なお、前記溶融塩は、熱電池の作動温度で溶融する。保持材としては、例えば、MgO等の非導電性無機材料が用いられる。
上記熱電池の動作を以下に説明する。
点火端子2に接続された電源により、点火端子5を経由して点火端子2に高電圧が印加されると、点火栓3が発火する。これにより、着火パッド4および導火帯6が燃焼し、ついで、発熱剤5が燃焼して、素電池7が加熱される。そして、素電池7に配された電解質層14が溶融状態となり、前記電解質がイオン伝導体となる。このようにして、電池が活性化し、放電が可能となる。
正極13および負極合剤層15の少なくとも一方は、イオン伝導性が向上するため、本発明の溶融塩を少なくとも1種含むことが好ましい。正極および/または負極合剤層に含まれる溶融塩は、電解質層14に用いられる溶融塩と同じでもよい。または電解質層14に用いられる溶融塩と融点がほぼ同じであれば、正極および/または負極合剤層に含まれる溶融塩は、電解質層14に用いられる溶融塩と異なっていてもよい。
なお、上記では電池内部に点火栓を備え、電池内部より発電部を加熱して電池を活性化する内部加熱方式の熱電池について説明したが、本発明は、電池内部に点火栓を備えずに、バーナ等により電池外部から発電部を加熱して電池を活性化する外部加熱方式の熱電池にも適用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
以下の実施例では、溶融塩の組成、溶融塩の融点、溶融塩の導電性、および溶融塩を電解質として含む素電池の出力特性を以下のようにして求めた。
(1)溶融塩の組成の決定
溶融塩の組成の詳細な決定は、主にCALPHAD(Calculation of Phase Diagram and Thermodynamics)法と呼ばれる、熱力学的データを用いて計算科学的に平衡状態図を
作成する手法を利用した。CALPHAD法は、例えばL.KaufmanおよびH.Bernsteinによる著書 "Computer Calculation of Phase Diagrams with Special Reference to Refractory Metals", Academic Press, New York, (1970) などに説明されている。CALPH
AD法では、平衡状態の判定などに非常に複雑な計算を実行する必要があるが、現在では、一般的なコンピューターで作動するThermo-Calc (Thermo-Calc Sotware AB社)、FACT
SAGE(GTT Technologies GmbH社)などの商用のソフトウエアが存在する。本実施例においては、FACT SAGEを用いた。
この手法により、未知組成であっても、溶融塩を構成している塩の個々の熱力学的データから、任意の温度での状態図を作成できる。よって、種々の温度で作成された、2種類以上の塩からなる混合塩の状態図から、混合塩が溶融状態から凝固状態に変化する共晶点を求めることができる。つまり、混合塩の共晶組成とそのときの温度(融点)を決定することができる。
(2)溶融塩の融点の測定
溶融塩(混合塩)の融点を、以下のようにして得た。
第1の方法においては、上記CALPHAD法により得た状態図を利用した。具体的には、種々の温度での状態図を作成し、得られた状態図から、共晶点の温度とその組成を確認して、溶融塩の融点を決定した。
第2の方法においては、溶融塩の融点を実験的に測定した。溶融塩の融点は、例えば、示差熱分析DTA(Differntial Thermal Analysis)、示差走査熱量分析DSC(Differential Scanning Calorimetry)などによって求めることができる。今回は、熱変化による
重量変化と共晶点における吸熱を測定できる重量熱重量分析TG(Thermo gravimetry)
−示差熱分析DTA(Differntial Thermal Analysis)分析装置を用い、溶融塩の融点を測定した。
(3)導電率の測定
溶融塩の電気伝導度(導電率)を実験的に測定した。導電率の測定は、東北大学の佐藤ら(例えば、「溶融NaF−AlF3系の密度および電気伝導度」佐藤譲ら、日本金属学
会誌 第41巻 第12号(1977))などによって紹介されている方法を参考にして行った。具体的には、石英のボディと白金電極で構成された伝導度セルを作製する。交流インピーダンス法によって予め電気伝導度の値が既知のKCl水溶液またはLiCl−KCl溶融塩を測定し、伝度度セルのセル定数を決定する。セル定数を求めた伝導度セルを用いて、任意の温度、例えば、熱電池の標準的な内部温度と考えられる500℃での、溶融塩の抵抗値を測定する。得られた抵抗値を用いて、溶融塩の導電率を得ることができる。この方法により、任意温度での溶融塩の導電率を正確に測定することができる。
以上のように、手法(1)を用いて、未知組成の溶融塩の状態図を得ることができ、その状態図から、溶融塩の共晶点(融点)とそのときの組成を決定することができる。手法(2)により、溶融塩の融点を実験的に測定することができる(第2の方法)。さらに、手法(3)により、溶融塩の導電率を得ることができる。
(4)素電池のDC−IRの測定
次に、本発明の溶融塩を電解質として含む熱電池の出力特性を評価した。具体的には、出力特性の尺度である高率放電時における直流抵抗成分(DC−IR)を、以下のようにして求めた。
正極と負極と、それらの間に配置された電解質とを含む素電池を作製した。得られた
素電池を、温度の制御が可能な2枚の板で挟み、所定の温度まで加熱し、無付加な状態の電圧Vopenを測定する。
次に、素電池を、例えば1.0A・cm-2に相当する電流で放電させる。前記1.0A・cm-2の電流密度は、熱電池の高率放電時の一般的な電流密度である。
素電池を放電させると、その電圧が、無付加な状態の電圧Vopenから降下する。この降下した電圧分がその電流時における反応抵抗であると考えられ、直流抵抗成分DC-IR
(Direct Current Inner Resistance)と呼ばれる。具体的には、オームの法則により、
無付加な状態での電圧Vopenと、電流値I(A)で放電したときの電圧、例えば直径13mmの素電池を電流密度1.0A・cm-2に相当する電流値1.33Aで放電した時の放電電圧V1.0とから、DC−IR(Ω)は、(電圧降下分ΔV)÷1.33=(Vopen
1.0)÷1.33で表される。
DC−IRの測定は、500℃および430℃で行った。常温環境下における熱電池作動時の電池内部の標準的な温度が500℃である。−50℃の環境温度下における電池内部の温度を想定した温度が430℃である。430℃におけるDC−IRの測定は、一般的に放電反応が低下する低温での電池性能を評価するために行った。
《参考例1》
以下の手順で、図2に示す素電池を作製した。なお、正極、電解質層、負極、および素電池の作製は、水分の影響を極力排除するため、基本的に、全て露点−50℃以下の乾燥空気中で行った。
(1)電解質の作製
第1の塩として、フッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)を用い、第2の塩として、フッ化ナトリウム(NaF)を用いた。これら塩は、真空環境下、200℃で48時間乾燥した。
乾燥後、内部を露点が管理されたアルゴン雰囲気としているグローブボックス内にて、LiFとLiClとLiBrとNaFとを、7:23:60:10のモル比で混合した。得られた混合物を、適量、高純度アルミナのルツボに移し、前記ルツボを溶融炉に入れた。溶融炉の内部は、露点が管理されたアルゴン雰囲気とした。前記混合物を、溶融炉にて加熱溶融し、LiFとLiClとLiBrとNaFとの混合塩を得た。
得られた混合塩を、自然冷却した。この後、混合塩を、露点が管理されたアルゴン雰囲気下で、ステンレス鋼製のボールを用いるボールミルを用いて約12時間粉砕し、粉末化した。得られた混合塩の粉末を60メッシュ(目開き250μm)の篩いにて分級した。
得られた混合塩の粉末と、酸化マグネシウム(MgO)とを、60:40の重量比で混合した。得られた混合物を、溶解炉にて500℃で12時間加熱して、混合塩をMgOに十分なじませた。加熱後、前記混合物を自然冷却した。
次いで、前記混合物を、露点が管理されたアルゴン雰囲気下で、ステンレス鋼製のボールを用いるボールミルを用いて、約12時間粉砕した。得られた粉末を60メッシュ(目開き250μm)の篩いにて分級した。得られた混合粉末を3ton/cm2の圧力で成
型して、直径13mm、厚さ約0.5mmの円板状の電解質層を得た。
(2)正極の作製
正極活物質としてFeS2粉末(平均粒径12μm)を用いた。正極活物質と、上記L
iFとLiClとLiBrとNaFとの混合塩と、シリカ粉末(平均粒径約0.2μm)とを、70:20:10の重量比で混合した。得られた混合物を、3ton/cm2の圧
力で成型して、直径13mm、厚さ約0.4mmの円板状の正極を得た。
(3)負極の作製
負極活物質としてLi−Al合金粉末(リチウム含有量:20重量%)を用いた。負極活物質と、上記LiFとLiClとLiBrとNaFとの混合塩とを、65:35の重量比で混合した。得られた混合物を、3ton/cm2の圧力で成型して、直径11mm、
厚さ約0.4mmの円板状の負極合剤層を得た。
次に、負極合剤層3をステンレス鋼(SUS304)製のカップ状の金属ケースに入れ、金属ケースの開口端部を内方に折り曲げて、負極合剤層3の周縁部をかしめて、負極合剤層を金属ケース内に固定した。このようにして、直径13mm、厚さ約0.5mmの円板状の負極を得た。
このようにして得られた正極、電解質層および負極を用いて、図2に示されるような素電池を得た。得られた素電池を、参考例1の素電池とした。
《参考例2》
電解質層の作製において、第1の塩として、LiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩として、NaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を16:13:61:10とした。前記以外、参考例1と同様にして、参考例2の素電池を作製した。
《参考例3》
電解質層の作製において、第1の塩として、LiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩として、NaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を16:21:53:10とした。前記以外、参考例1と同様にして、参考例3の素電池を作製した。
《参考例4》
電解質層の作製において、第1の塩として、LiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩として、KFを用い、LiFとLiClとLiBrとKFとのモル比を6:21:63:10とした。前記以外、参考例1と同様にして、参考例4の素電池を作製した。
《参考例5》
電解質層の作製において、第1の塩として、LiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩として、KClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を15:12:63:10とした。前記以外、参考例1と同様にして、参考例5の素電池を作製した。
《参考例6》
電解質の作製において、第1の塩として、LiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を15:21:54:10とした。前記以外、参考例1と同様にして、参考例6の素電池を作製した。
《比較例1》
電解質層の作製において、LiClおよびKClのみを用い、LiClとKClとのモル比を59:41とした。前記以外、参考例1と同様にして、比較例1の素電池を作製した。
《比較例2》
電解質層の作製において、LiF、LiCl、およびLiBrを用い、LiFとLiClとLiBrとのモル比を21:23:56としたこと以外、参考例1と同様にして、比較例2の素電池を作製した。
《比較例3》
電解質層の作製において、LiCl、LiBr、およびKBrを用い、LiClとLiBrとKBrとのモル比を25:37:38とした。前記以外、参考例1と同様にして、比較例3の素電池を作製した。
《比較例4》
電解質層の作製において、LiF、LiBr、およびKBrを用い、LiFとLiBrとKBrとのモル比を3:60:37とした。前記以外、参考例1と同様にして、比較例4の素電池を作製した。
《比較例5》
電解質層の作製において、LiF、LiCl、およびLiIを用い、LiFとLiClとLiIとのモル比を12:29:59としたこと以外、参考例1と同様にして、比較例5の素電池を作製した。
各素電池の電解質層に含まれる塩の種類および塩の混合比を表1に示す。また、表2には、溶融塩の融点および500℃での導電率、ならびに430℃および500℃で測定した素電池のDC−IRを示す。前記500℃および430℃でのDC−IRは、1.0A・cm-2の電流密度で放電したときの値である。
表2には、TG−DTA分析によって得られた溶融塩の融点を記載している。所定の溶融塩の融点に関し、TG−DTA分析によって得られた値と、CALPHAD法による状態図から得られた値と比較をしたところ、両者による差は、最大でも数℃以内であった。よって、CALPHAD法による状態図から得られた融点と、TG−DTA分析によって得られた融点との差は、数℃以内であると考えられる。
なお、実験により求めた融点または凝固点は、測定サンプルの結晶化の状態、測定装置の校正状態などにも影響される可能性がある。つまり、実験により融点を求めた場合、測定誤差が生じる可能性がある。一方、十分に検証された熱力学的データに基づいたCALPHAD法により求めた融点は、サンプルの状態、測定装置等の影響を受けない。よって、測定誤差を考慮すれば、計算によって求めた融点も、十分実用的であると考えられる
なお、実施例7以降の実施例で用いた溶融塩の融点には、CALPHAD法で得られる状態図から求められた融点を主に利用した。
Figure 0005580457
Figure 0005580457
表2に示されるように、参考例1〜6の素電池の500℃でのDC−IRは、66〜72mΩであった。このようなDC−IRの値は、LiCl−KCl溶融塩を電解質として用いる一般的な熱電池のDC−IR(108mΩ)と比較して、33〜39%程度低下している。よって、参考例の溶融塩を用いることにより、DC−IRが低減される。すなわち、同じ高率放電を行った場合、参考例の溶融塩を含む熱電池の電圧低下が低く抑えられる。このため、熱電池の出力特性を向上させることができる。
また、参考例1〜6の素電池の430℃でのDC−IRは、78〜83mΩであった。このようなDC−IRの値は、LiCl−KCl溶融塩を電解質として用いる一般的な熱電池の430℃でのDC−IR(118mΩ)と比較して、30〜34%程度低下している。これは、参考例の溶融塩の導電率が高くイオン伝導性が向上されることと、融点が430℃以下であるため、430℃においても凝固状態とはならず、高いイオン伝導性を維持できるためである。
比較例2の素電池は、500℃では、放電特性に優れた。しかし、430℃では、一般的なLiCl−KCl溶融塩を電解質として用いた場合と比べて、DC−IRの値が非常に高かった。比較例2で用いられる溶融塩の融点は443℃であり、前記溶融塩は、430℃では、ほぼ凝固状態にあると考えられる。このため、イオン伝導性が極端に低下し、比較例2の熱電池は、放電が困難であるか、または不可能であると考えられる。なお、所定の溶融塩を電解質として含む素電池の放電が、430℃において困難であるか、または不可能であるほど、素電池のDC−IRが高い場合は、前記素電池を含む熱電池は、低温環境下で用いることができない。
また、溶融塩を構成する塩の組成によっては、次のような化学的な安定性に問題があることも明らかになってきた。溶融塩を熱電池用の電解質に用いる場合、MgO等の非導電性無機材料を保持材として用いる。電解質層は、通常、次のようにして作製される。まず、溶融塩粉末と、MgO粉末などを常温で混合する。次いで、得られた混合物を、溶融塩が溶融する温度以上に加熱し、その温度に一定時間保持して、溶融塩を、均質かつ十分に保持材に吸着させる。
様々な組成の溶融塩を実験した結果、この吸着プロセスにおいて、溶融塩中にヨウ素アニオンが存在する場合、ある種の分解反応が起こっていることが認められた。
例えば、ヨウ素アニオンを含有する溶融塩の融点を測定する場合、測定結果が、測定時の雰囲気に影響を受けることがわかった。具体的には、比較例5で用いた溶融塩のみを、−40℃以下となるように水分管理されたドライエア雰囲気中で500℃まで加熱した場合、TG(Thermo Gravimetry)分析の結果から、約30%の重量減少が観測された。一
方、同じ溶融塩を、高純度なAr不活性ガス中で500℃まで加熱した場合、重量減少は、数%以下であった。このように、種々の実験検証から、溶融塩がヨウ素アニオンを含む場合、その溶融塩は、特に酸素存在下で分解反応を引き起こすと考えられる。
すなわち、ヨウ素アニオンが、雰囲気中の酸素ガスと反応し、I3 -が生成される(式(A))。生成されたI3 -が、ヨウ素分子および1価のヨウ素アニオンと平衡状態になる(式(B))。つまり、環境中の微量酸素などの影響で、溶融塩に含まれるヨウ素アニオンが、ヨウ素分子として、溶融塩から遊離するメカニズムが考えられる。
3I- + 1/2O2 ⇔ I3 - + O2- (A)
3 - ⇔ I2 + I- (B)
前記のような反応を回避するためには、従来から行われている作業雰囲気または電池内雰囲気中の水分量の管理に加え、さらに前記雰囲気から酸素ガスをできる限り排除する必要がある。しかしながら、種々の検討の結果、溶融塩に含まれるヨウ素アニオンの量が20モル%以下であれば、実用上問題がないことがわかった。このような観点から、比較例5で用いられている溶融塩は、ヨウ素アニオンを59モル%含有しているため、化学的安定性に問題があると考えられる。
また、上記のように、フッ素と水との反応性は高い。このため、溶融塩がフッ素アニオンを含む場合、作業環境中の水分を管理および低減していても、溶融塩が、作業環境に影響を及ぼしたり、電池内部の部品を腐食したりする可能性がある。このような悪影響を回避するために、溶融塩に含まれるフッ素アニオンの量は、溶融塩の20モル%以下であることが好ましい。このような観点から、比較例2に用いられている溶融塩は、フッ素アニオンを21モル%以上含有しているため、化学的安定性に問題があると考えられる。
以上のように、比較例3および4の素電池では、従来の標準的組成である比較例1の素電池と比べて、出力特性を向上させる効果は、認められなかった。
比較例2の素電池については、500℃での出力特性は向上していたが、430℃での出力特性は向上しておらず、比較例1の素電池の430℃での出力特性よりも低下していた。さらには、比較例2に用いられている溶融塩は、上記のように、化学的安定性に問題があることがわかった。
比較例5の素電池では、出力特性の向上の効果は認められたが、比較例5に用いられている溶融塩には、上記のように、化学的安定性に問題があることがわかった。
一方、参考例の溶融塩の500℃における導電率は、2.2S/cm以上であり、従来より一般的に用いられているLiCl−KCl溶融塩の500℃における導電率よりも高い。よって、参考例の溶融塩を電解質として含む参考例1〜6の素電池は、イオン伝導性が向上されるため、DC−IRが低い。従って、参考例の溶融塩を用いることにより、熱電池の出力特性を向上させることができる。
さらに、参考例の溶融塩の融点は350℃以上430℃以下である。このため、参考例の溶融塩は、従来の溶融塩が溶融状態を維持することができなかった温度領域よりも低い温度領域(約430℃以下)においても、溶融状態を維持することができる。
つまり、参考例の溶融塩を含む熱電池は、従来の溶融塩を含む熱電池が放電することができない温度領域においても、放電することができる。
このように、参考例の溶融塩は、熱電池の電解質として用いる場合に重要な物性(融点、導電率)を有する。さらに、参考例の溶融塩は、化学的安定性も有する。よって、参考例の溶融塩を用いることにより、従来よりも広い温度範囲で、熱電池の出力特性を向上できるとともに、環境への負荷を低減したり、長期保存性などを向上させたりすることができる。
以下に、溶融塩を与える他の塩の組み合わせについての参考例を示す。
《参考例7》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてRbFを用い、LiFとLiClとLiBrとRbFとのモル比を5:18:67:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例7の素電池を作製した。
《参考例8》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてRbClを用い、LiFとLiClとLiBrとRbClのモル比を14:13:63:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例8の素電池を作製した。
《参考例9》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてRbBrを用い、LiFとLiClとLiBrとRbBrとのモル比を14:18:58:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例9の素電池を作製した。
《参考例10》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてCsFを用い、LiFとLiClとLiBrとCsFとのモル比を5:20:65:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例10の素電池を作製した。
《参考例11》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてCsClを用い、LiFとLiClとLiBrとCsClとのモル比を13:15:62:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例11の素電池を作製した。
《参考例12》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてCsBrを用い、LiFとLiClとLiBrとCsBrとのモル比を13:21:56:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例12の素電池を作製した。
《参考例13》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を1:14:35:50とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例13の素電池を作製した。
《参考例14》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を1:40:9:50とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例14の素電池を作製した。
《参考例15》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClのモル比を2:3:45:50とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例15の素電池を作製した。
《参考例16》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を2:13:35:50とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例16の素電池を作製した。
《参考例17》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を8:14:48:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例17の素電池を作製した。
《参考例18》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を8:35:27:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例18の素電池を作製した。
《参考例19》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClのモル比を6:7:57:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例19の素電池を作製した。
《参考例20》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を6:18:46:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例20の素電池を作製した。
《参考例21》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を13:12:60:15とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例21の素電池を作製した。
《参考例22》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を13:24:48:15とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例22の素電池を作製した。
《参考例23》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を11:12:62:15とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例23の素電池を作製した。
《参考例24》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を12:20:53:15とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例24の素電池を作製した。
《参考例25》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を18:16:61:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例25の素電池を作製した。
《参考例26》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を17:23:55:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例26の素電池を作製した。
《参考例27》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を18:16:61:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例27の素電池を作製した。
《参考例28》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を18:20:57:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例28の素電池を作製した。
《参考例29》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を19:14:58:9とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例29の素電池を作製した。
《参考例30》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を19:23:49:9とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例30の素電池を作製した。
《参考例31》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を19:15:58:8とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例31の素電池を作製した。
《参考例32》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を19:19:55:7とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例32の素電池を作製した。
《参考例33》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を10:16:51:23とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例33の素電池を作製した。
《参考例34》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を10:39:28:23とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例34の素電池を作製した。
《参考例35》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を10:8:63:19とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例35の素電池を作製した。
《参考例36》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を10:18:52:20とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例36の素電池を作製した。
《参考例37》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を5:15:54:26とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例37の素電池を作製した。
《参考例38》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を5:41:28:26とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例38の素電池を作製した。
《参考例39》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を5:6:59:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例39の素電池を作製した。
《参考例40》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を5:16:49:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例40の素電池を作製した。
《参考例41》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を8:30:41:21とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例41の素電池を作製した。
《参考例42》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を11:30:44:15とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例42の素電池を作製した。
《参考例43》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を2:30:34:34とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例43の素電池を作製した。
《参考例44》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を2:30:37:31とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例44の素電池を作製した。
《参考例45》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を9:15:55:21とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例45の素電池を作製した。
《参考例46》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を15:15:58:12とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例46の素電池を作製した。
《参考例47》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を3:15:48:34とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例47の素電池を作製した。
《参考例48》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を2:15:48:35とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例48の素電池を作製した。
《参考例49》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を10:5:66:19とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例49の素電池を作製した。
《参考例50》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を18:5:68:9とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例50の素電池を作製した。
《参考例51》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を2:5:59:34とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例51の素電池を作製した。
《参考例52》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を3:5:57:35とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例52の素電池を作製した。
《参考例53》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を11:40:30:19とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例53の素電池を作製した。
《参考例54》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を7:40:30:23とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例54の素電池を作製した。
《参考例55》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を2:33:30:35とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例55の素電池を作製した。
《参考例56》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を2:35:30:33とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例56の素電池を作製した。
《参考例57》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を16:54:15:15とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例57の素電池を作製した。
《参考例58》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を7:52:15:26とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例58の素電池を作製した。
《参考例59》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を2:46:15:37とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例59の素電池を作製した。
《参考例60》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を2:48:15:35とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例60素電池を作製した。
《参考例61》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとのモル比を19:62:5:14とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例61の素電池を作製した。
《参考例62》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとのモル比を7:60:5:28とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例62の素電池を作製した。
《参考例63》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとのモル比を3:55:5:37とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例63の素電池を作製した。
《参考例64》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKBrとのモル比を3:56:5:36とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例64の素電池を作製した。
《参考例65》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiFとLiClとLiBrとNaFとのモル比を10:25:58:7とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例65の素電池を作製した。
《参考例66》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiFとLiClとLiBrとNaFとのモル比を6:26:58:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例66の素電池を作製した。
《参考例67》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiFとLiClとLiBrとNaFとのモル比を5:15:70:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例67の素電池を作製した。
《参考例68》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiFとLiClとLiBrとNaFとのモル比を7:10:73:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例68の素電池を作製した。
《参考例69》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiFとLiClとLiBrとNaFとのモル比を14:21:60:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例69の素電池を作製した。
《参考例70》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFを用い、LiFとLiClとLiBrとKFとのモル比を10:22:61:7とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例70の素電池を作製した。
《参考例71》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFを用い、LiFとLiClとLiBrとKFとのモル比を5:24:62:9とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例71の素電池を作製した。
《参考例72》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFを用い、LiFとLiClとLiBrとKFとのモル比を5:15:70:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例72の素電池を作製した。
《参考例73》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFを用い、LiFとLiClとLiBrとKFとのモル比を5:10:75:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例73の素電池を作製した。
《参考例74》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFを用い、LiFとLiClとLiBrとKFとのモル比を13:21:61:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例74の素電池を作製した。
《参考例75》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaFとKClとのモル比を11:17:62:5:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例75の素電池を作製した。
《参考例76》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClとKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとNaClとKBrとのモル比を15:16:59:5:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例76の素電池を作製した。
《参考例77》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrとKClを用い、LiFとLiClとLiBrとNaBrとKClとのモル比を15:17:58:5:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例77の素電池を作製した。
《参考例78》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFとNaFを用い、LiFとLiClとLiBrとKFとNaFとのモル比を6:21:63:5:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例78の素電池を作製した。
《参考例79》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClとKBrを用い、LiFとLiClとLiBrとKClとKBrとのモル比を6:21:63:5:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例79の素電池を作製した。
《実施例80》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとNaBrとのモル比を7:63:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例80の素電池を作製した。
《実施例81》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてKFを用い、LiFとLiClとKFとのモル比を2:84:14とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例81の素電池を作製した。
《実施例82》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてKBrを用い、LiFとLiClとKBrとのモル比を2:60:38とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例82の素電池を作製した。
《実施例83》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてRbClを用い、LiFとLiClとRbClとのモル比を2:59:39とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例83の素電池を作製した。
《実施例84》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてNaBrとKClを添加し用い、LiFとLiClとNaBrとKClとのモル比を2:52:16:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例84の素電池を作製した。
《実施例85》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてNaBrとKBrを用い、LiFとLiClとNaBrとKBrとのモル比を3:53:14:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例85の素電池を作製した。
《実施例86》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてKClとNaFを用い、LiFとLiClとKClとNaFとのモル比を1:64:30:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例86の素電池を作製した。
《実施例87》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClを用い、第2の塩としてKClとNaClを用い、LiFとLiClとKClとNaClとのモル比を3:53:34:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例87の素電池を作製した。
《実施例88》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiFとLiBrとNaFとのモル比を12:80:8とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例88の素電池を作製した。
《実施例89》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiBrとNaClとのモル比を14:71:15とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例89の素電池を作製した。
《実施例90》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiBrとNaBrとのモル比を19:73:8とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例90の素電池を作製した。
《実施例91》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてKFを用い、LiFとLiBrとKFとのモル比を1:86:13とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例91の素電池を作製した。
《実施例92》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてKClを用い、LiFとLiBrとKClとのモル比を3:62:35とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例92の素電池を作製した。
《実施例93》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてRbFを用い、LiFとLiBrとRbFとのモル比を1:86:13とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例93の素電池を作製した。
《実施例94》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてCsFを用い、LiFとLiBrとCsFとのモル比を1:86:13とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例94の素電池を作製した。
《実施例95》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaFとNaClを用い、LiFとLiBrとNaFとNaClとのモル比を10:69:1:20とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例95の素電池を作製した。
《実施例96》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiFとLiBrとNaFとKClとのモル比を4:72:4:20とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例96の素電池を作製した。
《実施例97》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaClとKClを用い、LiFとLiBrとNaClとKClとのモル比を10:70:15:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例97の素電池を作製した。
《実施例98》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaClとKClを用い、LiFとLiBrとNaClとKClとのモル比を8:67:15:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例98の素電池を作製した。
《実施例99》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてNaClとKClを用い、LiFとLiBrとNaClとKClとのモル比を4:61:15:20とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例99の素電池を作製した。
《実施例100》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてKClとNaFを用い、LiFとLiBrとKClとNaFとのモル比を2:78:10:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例100の素電池を作製した。
《実施例101》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrを用い、第2の塩としてKClとKFを用い、LiFとLiBrとKClとKFとのモル比を2:79:9:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例101の素電池を作製した。
《実施例102》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiClとLiBrとNaFとのモル比を24:62:14とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例102の素電池を作製した。
《実施例103》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiClとLiBrとNaClとのモル比を12:57:31とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例103の素電池を作製した。
《実施例104》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiClとLiBrとNaBrとのモル比を44:25:31とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例104の素電池を作製した。
《実施例105》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFを用い、LiClとLiBrとKFとのモル比を21:66:13とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例105の素電池を作製した。
《実施例106》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてRbFを用い、LiClとLiBrとRbFとのモル比を18:70:12とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例106の素電池を作製した。
《実施例107》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてCsFを用い、LiClとLiBrとCsFとのモル比を20:68:12とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例107の素電池を作製した。
《実施例108》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiClとLiBrとNaFとKClとのモル比を25:61:13:1とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例108の素電池を作製した。
《実施例109》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiClとLiBrとNaFとKClとのモル比を21:62:12:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例109の素電池を作製した。
《実施例110》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiClとLiBrとNaFとKClとのモル比を15:65:10:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例110の素電池を作製した。
《実施例111》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiClとLiBrとNaFとKClとのモル比を5:60:5:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例111の素電池を作製した。
《実施例112》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClとNaFを用い、LiClとLiBrとNaClとNaFとのモル比を25:51:14:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例112の素電池を作製した。
《実施例113》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClとKClを用い、LiClとLiBrとNaClとKClとのモル比を6:59:25:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例113の素電池を作製した。
《実施例114》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてNaClとKFを用い、LiClとLiBrとNaClとKFとのモル比を11:66:13:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例114の素電池を作製した。
《実施例115》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFとKClを用い、LiClとLiBrとKFとKClとのモル比を17:67:11:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例115の素電池を作製した。
《実施例116》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFとKClを用い、LiClとLiBrとKFとKClとのモル比を15:66:9:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例116の素電池を作製した。
《実施例117》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFとKClを用い、LiClとLiBrとKFとKClとのモル比を7:66:7:20とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例117の素電池を作製した。
《実施例118》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKFとKClを用い、LiClとLiBrとKFとKClとのモル比を5:60:5:30とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例118の素電池を作製した。
《実施例119》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClとNaFを用い、LiClとLiBrとKClとNaFとのモル比を10:61:19:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例119の素電池を作製した。
《実施例120》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrを用い、第2の塩としてKClとKFを用い、LiClとLiBrとKClとKFとのモル比を10:70:10:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例120の素電池を作製した。
《参考例121》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiClとNaFとKClとのモル比を60:3:37とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例121の素電池を作製した。
《参考例122》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてNaBrとKFを用い、LiClとNaBrとKFとのモル比を67:26:7とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例122の素電池を作製した。
《参考例123》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてNaBrとRbFを用い、LiClとNaBrとRbFとのモル比を63:34:3とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例123の素電池を作製した。
《参考例124》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてNaBrとCsFを用い、LiClとNaBrとCsFとのモル比を63:34:3とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例124の素電池を作製した。
《参考例125》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてKFとKClを用い、LiClとKFとKClとのモル比を63:3:34とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例125の素電池を作製した。
《参考例126》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてKFとKBrを用い、LiClとKFとKBrとのモル比を63:2:35とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例126の素電池を作製した。
《参考例127》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてKClとCsFを用い、LiClとKClとCsFとのモル比を62:37:1とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例127の素電池を作製した。
《参考例128》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてRbFとKClを用い、LiBrとRbFとKClとのモル比を62:2:36とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例128の素電池を作製した。
《参考例129》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClを用い、LiBrとNaFとKClとのモル比を69:2:29とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例129の素電池を作製した。
《参考例130》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてNaClとKFを用い、LiBrとNaClとKFとのモル比を78:13:8とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例130の素電池を作製した。
《参考例131》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてKFとNaBrを用い、LiBrとKFとNaBrとのモル比を81:12:7とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例131の素電池を作製した。
《参考例132》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてCsFとKClを用い、LiBrとCsFとKClとのモル比を69:2:29とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例132の素電池を作製した。
《参考例133》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてNaFとKClとNaClを用い、LiClとNaFとKClとNaClとのモル比を53:2:35:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例133の素電池を作製した。
《参考例134》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてKClとNaFとKFを用い、LiClとNaFとKClとKFとのモル比を69:2:24:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例134の素電池を作製した。
《参考例135》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてNaFとKClとKFを用い、LiBrとNaFとKClとKFとのモル比を81:2:7:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例135の素電池を作製した。
《参考例136》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてNaClとNaFとKClを用い、LiBrとNaFとKClとNaClとのモル比を74:6:10:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例136の素電池を作製した。
《参考例137》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてKFとNaFとNaClを用い、LiBrとKFとNaFとNaClとのモル比を80:8:2:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例137の素電池を作製した。
《参考例138》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClを用い、第2の塩としてKClとNaFとKFとKBrを用い、LiClとKClとNaFとKFとKBrとのモル比を71:18:1:5:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例138の素電池を作製した。
《参考例139》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrを用い、第2の塩としてKFとNaFとNaClとNaBrを用い、LiBrとKFとNaFとNaClとNaBrとのモル比を79:10:2:4:5とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例139の素電池を作製した。
《実施例140》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてLiIを用い、LiFとLiClとLiBrとLiIとのモル比を18:22:50:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例140の素電池を作製した。
《実施例141》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiBrを用い、第2の塩としてLiIを用い、LiFとLiClとLiBrとLiIとのモル比を15:21:44:20とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例141の素電池を作製した。
《実施例142》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiClとLiIを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiClとLiIとNaBrとのモル比を5:44:20:31とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例142の素電池を作製した。
《実施例143》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiFとLiBrとLiIとNaFとのモル比を7:66:20:7とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例143の素電池を作製した。
《実施例144》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiBrとLiIとNaClとのモル比を9:61:10:20とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例144の素電池を作製した。
《実施例145》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiFとLiBrとLiIとNaClとのモル比を6:49:20:25とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例145の素電池を作製した。
《実施例146》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiBrとLiIとNaBrとのモル比を16:63:11:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例146の素電池を作製した。
《実施例147》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiFとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiFとLiBrとLiIとNaBrとのモル比を12:55:20:13とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例147の素電池を作製した。
《実施例148》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiClとLiBrとLiIとNaFとのモル比を21:57:10:12とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例148の素電池を作製した。
《実施例149》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaFを用い、LiClとLiBrとLiIとNaFとのモル比を21:48:20:11とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例149の素電池を作製した。
《実施例150》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiClとLiBrとLiIとNaBrとのモル比を36:22:10:32とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例150の素電池を作製した。
《実施例151》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてNaBrを用い、LiClとLiBrとLiIとNaBrとのモル比を30:18:20:32とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例151の素電池を作製した。
《実施例152》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてKFを用い、LiClとLiBrとLiIとKFとのモル比を20:59:10:12とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例152の素電池を作製した。
《実施例153》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiClとLiBrとLiIを用い、第2の塩としてKFを用い、LiClとLiBrとLiIとKFとのモル比を19:50:20:10とした。前記以外は、参考例1と同様にして、実施例153の素電池を作製した。
《参考例154》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrとLiIを用い、第2の塩としてCsFを用い、LiBrとLiIとCsFとのモル比を82:6:12とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例154の素電池を作製した。
《参考例155》
電解質層の作製において、第1の塩としてLiBrとKIを用い、第2の塩としてNaClを用い、LiBrとKIとNaClとのモル比を70:4:26とした。前記以外は、参考例1と同様にして、参考例155の素電池を作製した。
各実施例および参考例で用いられる溶融塩を構成する塩の種類、塩の混合比、カチオンの総量に占めるLiイオンの割合、アニオンの総量に占めるFイオンの割合、およびアニオンの総量に占めるIイオンの割合を、表3、5、7、9、および11に示す。
また、各実施例および参考例で用いられる溶融塩の融点および500℃での導電率、ならびに各実施例および参考例の素電池の500℃および430℃でのDC−IRを、表4、6、8、10、および12に示す。前記500℃および430℃でのDC−IRは、1.0A・cm-2の電流密度で放電したときの値である。
Figure 0005580457
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表4、6、8、10、および12に示されるように、参考例7〜79、実施例80〜120、参考例121〜139、実施例140〜153、参考例154および155の素電池の500℃でのDC−IRは、60〜100mΩであった。これらの値は、LiCl−KCl溶融塩を含む一般的な熱電池のDC−IR値(108mΩ)と比較して、7〜44%程度低い値であった。
また、参考例7〜79、実施例80〜120、参考例121〜139、実施例140〜153、参考例154および155の素電池の430℃でのDC−IRは、69〜112mΩであった。これらの値は、LiCl−KCl溶融塩を含む一般的な熱電池の430℃でのDC−IR値(118mΩ)に比較して、5〜41%程度低い値であった。
本発明の溶融塩の導電率は高く、よって、イオン伝導性が高い。さらに、融点が430℃以下である。このため、本発明の溶融塩は、430℃においても凝固状態とはならず、高いイオン伝導性を維持できる。その結果、電池内の温度が430℃以下になった場合でも、本発明の溶融塩を用いることにより、熱電池の放電特性を、従来の熱電池の放電特性よりも向上させることができたと考えられる。
以上のように、本発明においては、塩の種類およびその混合比を調節して、溶融塩の融点を350℃以上430℃以下として、500℃での導電率を2.2S/cm以上としている。これにより、常温環境下(電池内部設定温度約500℃)から、−50℃の極低温環境下(電池内部推定温度430℃)までの広い温度範囲において、電池の出力特性を向上させることができることがわかる。
さらに、溶融塩にフッ素アニオンおよび/またはヨウ素アニオンが含まれる場合、フッ素アニオンの量および/またはヨウ素アニオンの量が好適に調節されているため、本発明の溶融塩は、従来から一般的に用いられているLiCl−KCl溶融塩と同等以上の化学的安定性を有すると考えられる。
以下の実施例および参考例では、図1に示されるような熱電池を作製した。
《参考例156》
参考例1で作製した素電池を用いて、図1に示されるような熱電池を作製した。なお、熱電池の作製は、水分の影響を極力排除するために、露点−50℃以下の乾燥空気中で行った。
素電池7と発熱剤5とを交互に積み重ねて、発電部を構成した。このとき、素電池7を13個用いた。発熱剤5には、FeとKClO4との混合物を用いた。電池作動中の平均温度が500℃となるように発熱剤の量を調整した。
発電部の上部に着火パッド4を配し、その周囲を導火帯6で覆った。着火パッド4および導火帯6には、Zr、BaCrO4、およびガラス繊維の混合物を用いた。
点火栓3の点火剤には、硝酸カリウム、硫黄、および炭素の混合物を用いた。断熱材9aおよび9bには、シリカとアルミナを主成分とするセラミック繊維材料を用いた。
《参考例157》
参考例1の素電池の代わりに参考例17の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、参考例157の熱電池を作製した。
《参考例158》
参考例1の素電池の代わりに参考例26の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、参考例158の熱電池を作製した。
《実施例159》
参考例1の素電池の代わりに実施例80の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、実施例159の熱電池を作製した。
《実施例160》
参考例1の素電池の代わりに実施例90の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、実施例160の熱電池を作製した。
《実施例161》
参考例1の素電池の代わりに実施例104の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、実施例161の熱電池を作製した。
《参考例162》
参考例1の素電池の代わりに実施例131の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、実施例162の熱電池を作製した。
《実施例163》
参考例1の素電池の代わりに実施例141の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、実施例163の熱電池を作製した。
《実施例164》
参考例1の素電池の代わりに実施例146の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、実施例164の熱電池を作製した。
《実施例165》
参考例1の素電池の代わりに実施例149の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、実施例165の熱電池を作製した。
《参考例166》
参考例1の素電池の代わりに参考例154の素電池を用いたこと以外、参考例156と同様にして、参考例166の熱電池を作製した。
参考例156〜158、実施例159〜161、参考例162、実施例163〜165および参考例166の熱電池について、以下のような放電試験を行った。すなわち、点火端子に接続された電源より高電圧を印加し、点火栓を発火させ熱電池を活性化させた。そして、熱電池を1A/cm2(終止電圧:6.5V)の電流密度で放電した。この放
電試験は、熱電池を温度調整のできる温度槽に設置し、環境温度を20℃(常温)または−50℃(極低温)とした状態で行った。
その結果、素電池を複数個積層した熱電池においても、素電池の場合と同様のDC−IR値が得られることが確かめられた。
熱電池では、高電流に加え、高電圧が要求される場合が多い。このため、一般的な熱電池は、図1に示すように、素電池と発熱剤とを交互に複数個積層した発電部を備える。熱電池の性能は、上記のように素電池の性能に大きく依存する。すなわち、本発明では、素電池の性能が向上しているため、積層される素電池の数に関係無く、高性能の熱電池が得られる。
例えば、熱電池の作動時の温度を450℃とした場合は、熱電池の作動時の温度を500℃および550℃とした場合と比べて、作動温度が低いため、発熱剤の量を低減することができる。このため、熱電池を小型かつ軽量化することもできる。
また、上記実施例では、電解質層の形状は径13mmの円板状としたが、電解質層の大きさおよび形状は特に限定されない。電解質層の形状は、例えば、中心部に穴の空いたドーナッツ状、半円状、四角形状であってもよい。
本発明によれば、導電率が従来よりも高い溶融塩、特に熱電池の電解質に適した溶融塩を提供することができる。よって、本発明により、従来よりも出力特性に優れた電池、または出力特性に優れ、かつ小型で軽量の熱電池を提供することができる。また、本発明により、従来の技術では、困難または不可能であった溶融塩の化学的安定性を改良することもできる。
1 外装ケース
2 点火端子
3 点火栓
4 着火パッド
5 発熱剤
6 導火帯
7 素電池
8 負極リード板
9a、9b 断熱材
10a 正極端子
10b 負極端子
11 電池蓋
12 負極
13 正極
14 電解質
15 負極合剤層
16 集電体

Claims (17)

  1. 第1の塩と第2の塩とを少なくとも含む溶融塩であって、融点が350℃以上、430℃以下であり、500℃における導電率が2.2S/cm以上であり、
    前記第1の塩が、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選ばれる2種の塩を含み、
    前記第2の塩が、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr、およびCsIよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む、溶融塩。
  2. 前記第1の塩が、LiFおよびLiClを含み、
    前記第2の塩が、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBrおよびRbClよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む、請求項1記載の溶融塩。
  3. 前記第1の塩が、LiFおよびLiBrを含み、
    前記第2の塩が、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む、請求項1記載の溶融塩。
  4. 前記第1の塩が、LiClおよびLiBrを含み、
    前記第2の塩が、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、RbF、およびCsFよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む、請求項1記載の溶融塩。
  5. 前記第1の塩が、LiF、LiCl、およびLiBrよりなる群から選択される2種の塩と、LiIとを含む、請求項1に記載の溶融塩。
  6. 前記第1の塩が、LiF、LiCl、およびLiIを含み、
    前記第2の塩が、少なくともNa含有塩を含む、請求項5記載の溶融塩。
  7. 前記Na含有塩は、NaBrを含む、請求項6記載の溶融塩。
  8. 前記第1の塩が、LiF、LiBr、およびLiIを含み、
    前記第2の塩が、少なくともNa含有塩を含む、請求項5記載の溶融塩。
  9. 前記Na含有塩は、NaF、NaClおよびNaBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む、請求項8記載の溶融塩。
  10. 前記第1の塩が、LiCl、LiBr、およびLiIを含み、
    前記第2の塩が、Na含有塩およびK含有塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む、請求項5記載の溶融塩。
  11. 前記Na含有塩は、NaFおよびNaBrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む、請求項10記載の溶融塩。
  12. 前記K含有塩は、KFを含む、請求項10記載の溶融塩。
  13. 前記溶融塩に含まれるカチオンの総量に占めるリチウムカチオンの量が、50モル%以上である、請求項1〜12のいずれかに記載の溶融塩。
  14. 前記溶融塩に含まれるアニオンの総量に占めるフッ素アニオンの量が、20モル%以下である、請求項1〜13のいずれかに記載の溶融塩。
  15. 前記溶融塩に含まれるアニオンの総量に占めるヨウ素アニオンの量が、20モル%以下である、請求項1〜13のいずれかに記載の溶融塩。
  16. 正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配された電解質を含む少なくとも1つの素電池を備える熱電池であって、
    前記電解質が、請求項1〜15のいずれかに記載の溶融塩を含む、熱電池。
  17. 前記正極および前記負極の少なくとも一方が、前記溶融塩をさらに含む、請求項16記載の熱電池。
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