JP5004422B2 - 空気極反応用の及び/又は燃料極反応用の触媒としてバイオフィルムを使用する燃料電池 - Google Patents

空気極反応用の及び/又は燃料極反応用の触媒としてバイオフィルムを使用する燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池の電極(空気極及び/又は燃料極)の処理方法に関し、前記処理方法は電極での反応の触媒作用を改良するためのものであり、及び前記電極の少なくとも表面の一部分にバイオフィルムが備え付けられた燃料電池に関する。
従って、本発明の共通分野は、燃料電池の分野、及び更に詳しくは燃料電池の電極における反応の触媒作用の分野である。
燃料電池、例えば水素/空気燃料電池、の作動に適用される基本原理は、二水素(H)と二酸素(O)の電気化学的燃焼である。
電極の端末での反応は、次の式(1)及び(2)によって表される:
(1)燃料極において:
→2H+2e又はH+2OH→2HO+2e
(2)空気極において:
1/2 O+2H+2e→HO又は1/2 O+HO+2e→2OH
これらの両方とも反応速度が遅いので、これらの電極の表面で起こる反応速度を増進するために両方の電極に触媒が取り付けられことになる。
一般に、電極反応の速度を増進するために取り付けられる触媒は、白金又は金を主成分とする触媒のような金属触媒である。
しかしながら、そのような触媒を使用することには次の欠点がある:
− これらの触媒は、満足する触媒作用を得るには多くの量が必要なので費用も嵩み、潜在的環境汚染物質でもある生成物となる。
− これらの触媒は、室温のような低い温度では効率が低く、それによって電池が始動し難くなることがある。
これらの欠点を軽減するために、より安価で、より効率の良い触媒に置き換える研究が行なわれてきた。
従って、ガス拡散によって作動する電池については、本質的に白金又は金より安価である金属触媒に向けた、又は金属触媒の新規な配合若しくは組み合わせに向けた研究が行なわれてきており、その研究は電極反応の触媒作用を改良するのに寄与するかも知れない。しかしながら、このタイプの触媒の使用に当たっての固有の汚染問題は依然として残る。
水性媒体の中で作動する燃料電池については、移植による電極での特定の細菌又は酵素の取り込みに向けた研究が行なわれてきた。
しかしながら、先行技術の電池は、一般に、電極反応の触媒作用を改良する機能とは違う機能を発現するために特殊な細菌を使用する。
従って、電極に細菌が存在することは、電池の中心部の内部で、燃料極で酸化される水素のような燃料を発生又は再生するには有効であることを実証することが可能である。このような機能を発現する細菌の多くの例は、[1]パルマー(Palmore)及びホワイトサイデス(Whitesides)による、“微生物及び酵素バイオ燃料電池(Microbial and Enzymatic Biofuel Cell)”,アメリカ化学会(American Chemical Society)、1994年、第14章、p.271−290、の論文に示されている。その他の場合では、燃料極における電子伝達を確実に行なうことができる電気化学的メディエータの還元体を再生するために細菌も使用することが可能である。電気化学的メディエータを還元するために、特定の細菌は、グルコース、スクロース、スクシネートのような基質から電子を抜き取る。このタイプの細菌の多くの例は、前記の引用文献[1]に記載されている。最近の研究のなかから、[2]ヤギシタ(Yagishita)等による、“シネコシスティス属M−203の中でのグルコース分解の挙動(Behavior of glucose degradation in Synechocystis sp.M-203)”、バイオエレクトロケミストリー・アンド・バイオエナジェティクス(Bioelectrochemistry and Bioenergetics)、1997年、第43巻、p.177−180、の論文の中に発表された研究を引用することが可能であり、この論文は、燃料極において電子伝達用の電気化学的メディエータとして作用する化合物、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを還元するためにシアノバクテリアを使用する電池を記載している。[3]コーネイ(Cooney)等による論文、“硫酸塩還元細菌、デスルフォビブリオ・デスルフリアンズを使った生理学的研究:バイオ燃料電池の中に使用した場合の評価(Physiologic studies with sulphate-reducing bacterium Desulfovibrio desulfurians:evaluation for use in a biofuel cell)”、エンザイム・アンド・ミクロビアル・テクノロジー(Enzyme and Microbial Technology)、1996年、第18巻、p.358−365は、燃料極において硫酸塩に還元される硫化物イオンを再生するために硫酸塩還元細菌を使用する電池に言及している。
しかしながら、そのような電池の性能は依然として不充分である。更に、前述の燃料電池の中に微生物を使用することは、電極における電気化学的速度の改良に寄与するものではなく、燃料の生物生産に、又はメディエータ化合物の再生に寄与する。従って、燃料と電極との間の、或いは必要に応じて、電気化学的メディエータと電極との間の電子伝達を加速するために、これらの構造体は、電極上に、そして特に前述の例の場合には燃料極上に触媒を使用することがやはり必要である。
電極での反応速度を増進するために、オキシドレダクターゼのような孤立した特異的酵素を使用する試みが先行技術で検討された。
従って、[4]イー・カッツ(E.Katz)等の著者等は、“2種類の不混和性溶媒及びグルコースオキシダーゼとミクロペルオキシダーゼ−11単層機能化電極を主成分とするバイオ燃料電池(A biofuel cell based on two immiscible solvents and glucose oxidase and microperoxidase-11 monolayer-functionalized electrodes)”、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー(New Journal of Chemistry)、1999年、p.481−487、の論文の中で、燃料極側で燃料として使用されるグルコースの酸化に触媒作用をするために酵素のグルコースオキシダーゼを使用すること、及び酸化剤として採用されるクメンペルオキシドの還元に触媒作用をするために酵素のミクロペルオキシダーゼ−11を使用することを提案している。
しかしながら、これらの研究は、電極での、特に空気極での反応速度を増進することを目指しているけれども、これらの研究は、比較的高価な酵素を利用し、そして酵素の活性部位と電極との間の電子伝達を確実に行なうために電気化学的メディエータとして機能する追加の有機化合物を度々利用することもある。これらの研究は、また、適切な酵素を前記電極の表面に移植するために高度の化学技術の使用を必要とすることもある。現在の状況では、この種類の電池は、低レベルの電力しか必要とせず、しかも費用制約条件のない極めて的が絞られたタイプの用途でのみ使用されるかも知れない。
最後に、[5]ハスボルド(Hasvold)等の著者等は、“海中管理システム用の海水電池(Sea-water battery for subsea control systems)”、ジャーナル・オブ・パワー・ソーシーズ(Journal of Power Sources)、1997年、65、p.253−261、の論文の中で、海洋環境の中で作動する可溶性アノードを持つ電池(battery)の研究との関連で、海水の中に浸漬された電池は、大気中で作動する電池より高い効率を有することを観察した。彼等は、このことから、性能の改良は、電池の作動過程で、特にカソードの表面上でのバイオフィルムの自然発生的形成によると推論した(“バイオフィルム”と言う用語は、或る表面に自然発生的に堆積する一連の微生物を含むフィルムを意味し、前記微生物は海水、河川水等のような生物学的水(biological water)に由来する)、このことは、酸化還元触媒作用を改良するための要因と考えられる。これらの観察内容は、海水又は河川水のような生物学的水に曝露される物質の生物腐食(biocorrosion)時に起こる研究から特に導かれる。これらの研究は、バイオフィルムの成長が腐食現象の空気極の反応速度の増進によってこれらの物質の腐食電位の上昇に繋がることを実証した。
しかしながら、特に前記の[5]ハスボルド(Hasvold)の論文、“海中管理システム用の海水電池(Sea-water battery for subsea control systems)”、ジャーナル・オブ・パワー・ソーシーズ(Journal of Power Sources)、1997年、65、p.253−261、の中で、電池の作動性能の改良におけるバイオフィルムの役割は、電池の作動過程で起こる偶発的現象として、或いはバイオフィルムが過剰に大きい割合を示し、従って空気極における反応体の接近を妨げるとき、電池の適切な作動を妨害する現象としてさえ論じられている。更に、この論文は、電池の性能を改良するためにバイオフィルムの成長を促進及び最適化するための具体的技術に触れていない。
従って、電極反応、特に空気極反応、の触媒作用を改良することに対する現在の真のニーズが存在し、このような状況が、燃料電池の適切な作動の欠点となっている。
前記の改良を行なうために、本発明の目的は、燃料電池の電極の処理方法を具体的に提示することであり、燃料電池が作動される前に、前記方法によって、当該の電極での反応の触媒作用の改良結果が得られる。
本発明に従って、この結果は、燃料電池の両電極のうち少なくとも片方(空気極及び/又は燃料極)の処理方法であって、前記電池が作動される前に、且つ前記電極が前記電池に取り付けられる前に又は後に、バイオフィルムを成長させることができる媒体の中に前記電極を浸漬することにより前記電極の少なくとも表面の一部分にバイオフィルムを形成する段階を含み、前記バイオフィルムは前記電極での反応を触媒するためのものであり、さらに同時に前記電極を分極電位下におく段階を含む、方法によって達成される。
従って、本発明は、燃料電池の作動に先立って、前記電池の電極(空気極及び/又は燃料極)の処理方法を提供するのであり、この処理期間中にバイオフィルムが前記電極の少なくとも表面の一部分に堆積され、このバイオフィルムは自然に電極の表面に付着する。本発明による処理方法の後で電池が作動されるとき、このバイオフィルムは、電極での反応(即ち、燃料極における酸化反応、及び空気極における還元反応)のための触媒として作用することが意図される。バイオフィルムは電極反応に触媒作用をするのに必要な成分を自発的に生成できるので、バイオフィルムを電極の表面に堆積することにより電極での反応の触媒作用は達成される。
従って、電極(燃料極又は空気極)反応に触媒作用をするためのバイオフィルムの形成によって、電極の鉱物触媒による装入を抑制することが可能である、或いは完全に鉱物触媒と置き換えることさえ可能である。また、バイオフィルムの形成によって、グラファイト及び白金のような空気極を作るのに通常使用される材料を抑制する、或いは、ステンレススチール及びアルミニウム合金、ニッケル合金又はチタン合金のような比較的安価な材料で完全に置き換えることさえ可能である。
更に、電極での反応に触媒作用をするのに必要な成分をバイオフィルムが合成すると仮定すると、前記電池の構造体の中の電極区画の中に酵素の触媒作用の原理に基づく電池の場合と同様に、有機化合物、鉱物化合物又は生物学的化合物を加えることは最早不要である。
更に、本発明による処理方法は、バイオフィルムを形成すると同時に、堆積されたバイオフィルムの品質を最適化することが意図される段階を包含する。この段階は、バイオフィルムを成長させることができる媒体の中に浸漬される、両電極のうちの少なくとも片方を分極電位下におくことにある(この分極電位は空気極では空気極分極電位であり、一方、燃料極では燃料極分極電位である)。この分極電位は一定でもよく、或いは変動してもよく、適当な時間印加される。この電位は参照電極を基準として定義される。この電位が印加される適切な時間は次の方法で決められてもよい:
− 分極相の過程では、時間の関数として電極から放出される電流に対応する曲線、i=f(t)が成立する;及び
− S字形i=f(t)曲線が平坦域の開始を示したならば直ちに電位の印加を停止してもよく、曲線に平坦域が現われることは、電極の表面がバイオフィルムで最も適切に被覆されていることを意味する。従って、他の状態調節を何等行なう必要はなく、電極は直ちに最も適切に使用され得る。
勿論、電極が適切な媒体に浸漬されるとき、分極電位が電極に印加される時間は、前記の時間より短くてもよい(即ち、平坦域の開始を得るのに必要な時間より短い)、或いはそれより長くてもよい。例えば、この適切な時間は例えば15〜17日でもよい。
従って、本発明による処理方法は、最適の品質のバイオフィルムによって完全に又は部分的に被覆された電極を得ることが可能である限り、特に便利であり、前記バイオフィルムは、電池の作動過程で、始動するのに何等難しくはなく、即座に電極反応に触媒作用をすることが可能である。
本発明に従って、両電極のうちの少なくとも片方の電極の処理方法は、電極が燃料電池装置に未だに取り付けられていないとき(“前記電極が前記電池の中に取り付けられる前”)でも、或いは電極が既に燃料電池装置の中に取り付けられているとき(“前記電極が前記電池の中に取り付けられた後”)でも実施してよいことに留意しなければならない。しかしながら、これらの両方の状況に対して、本発明による処理方法は、電池が作動される前に実施されるのが常である。
本発明によるこの処理方法を通じて、これらの実施態様において電池の作動期間中に電極の表面にバイオフィルムが形成(その時のバイオフィルムの形成は電池の作動時の偶発的人工産物及び現象であると見なされる)した事実によって、電池の作動の際のバイオフィルムの存在に言及した先行技術の実施態様とは区別されることが可能であり、一方、本発明の文脈では、バイオフィルムは、電池が作動される前に形成され、そして分極段階によって最適の触媒特性を有する。
本発明に従って、本発明の処理方法によって処理される電極は空気極でよい。電極が空気極であるとき、本発明の処理方法の文脈で、前記空気極に印加される分極電位は、好ましくは最適値に対応しなければならない。言い換えれば、この分極電位は可能な限り空気極的(cathodic)でなければならず、このように、空気極処理方法は、より迅速に、そして得られる電流は、より高くなる(即ち、電池の作動期間中に電池によって伝達される電流は、より高くなる)、しかしながら、この電位が余りにも空気極的過ぎて電池の作動期間中に電池によって充分高い電位差が伝達されなくなってはいけない。前述の妥協を満足して、空気極に印加される最適の分極電位は、当業者によって容易に選ばれることが可能である。
飽和カロメル参照電極(SCE)を基準とする−0.5〜0.0Vの範囲の分極電位が、本発明の方法による空気極の処理に使用されるのが好ましい。
本発明に従って、処理の対象とされる電極(空気極及び/又は燃料極)は、バイオフィルムを成長させることができる媒体の中に浸漬される。言い換えれば、このような媒体は一連の微生物を含有する媒体であり、前記微生物は、本発明の場合の電極のような支持体上で成長できる。
バイオフィルムを成長させるができ、本処理方法の期間中に電極の少なくとも表面の一部分にバイオフィルムを形成するのに使用される媒体は、いずれのタイプでもよく、河川水、井戸水のような天然水、工業用水、即ち例えば設備を冷却するために産業で使用される非滅菌水、海水、又は培養液から誘導される水から選ばれてもよい。本発明に従って、培養液は、前記媒体の中に含有される微生物の有効な成長に必要な栄養素が加えられている媒体であることに留意しなければならない。
バイオフィルムを成長させることができる媒体は海水であり、多様であり、それ故に高品質のバイオフィルムを形成するのに特に好適である微生物の動物相を前記海水が含有すると言う事実によって前記海水は特定化されるのが好ましい。
処理対象の電極が空気極であるとき、海水は曝気された海水、即ち空気が除去されていない海水、が好ましい。そのような海水は、北海、バルト海、イギリス海峡、地中海、大西洋から来る海水が可能である。
処理対象の電極が燃料極であるとき、海水は嫌気性海水、即ち空気ができる限り除去されている海水、が好ましく、この嫌気性海水は嫌気性細菌(硫酸塩還元細菌のような)の発育を促進する。そのような細菌の発育を更に進展させるためにこの嫌気性海水の中に水素も加えることができる。
しかしながら、前述の海水は、次の水によって置換えられ得ると理解される:
− 空気極に関しては、河川水、井戸水のような曝気された天然水、並びに開放冷却装置から来る水及び精製装置又は浄化装置から来る水のような工業用の曝気された非滅菌水;
− 燃料極に関しては、閉鎖された非滅菌回路から来る工業用水のような嫌気性天然水、又は浄化装置若しくは精製装置から来る嫌気性水。
また、バイオフィルムを成長させることができる媒体が循環媒体であるのも好ましく、前記媒体が連続的に補給されるために、生物学的動物相を連続的に補給することが可能であり、従って、前記方法の期間中は電極の表面に堆積しているバイオフィルムの品質を改良することが可能である。
本発明のもう1つの目的は、還元剤が供給される燃料極区画を有する電池を少なくとも1個含む燃料電池であって、前記区画は燃料極を含み、前記電池は酸化剤が供給される空気極区画を有し、前記区画は燃料極を含み、前記両区画は膜(即ち、燃料極区画と空気極区画との間に取り付けられた膜)のどちらかの面に設置され、前記電池の作動に先立ち、両電極のうちの少なくとも片方(空気極及び/又は燃料極)が、少なくとも表面の一部を電極での反応を触媒するためのバイオフィルムで被覆されることを特徴とする、燃料電池提案することである。
バイオフィルムは、前述の処理方法を実施することにより、両電極のうちの少なくとも片方の少なくとも表面の一部分に堆積されるのが好ましい。
電極反応に触媒作用をするためにバイオフィルムを使用する前述の利点の他に、燃料電池が作動される前に、両電極のうちの少なくとも片方(空気極又は燃料極)にバイオフィルムを堆積する事実によって、電極反応の始動の遅さを相殺することが可能であり、とりわけ、電極反応が、燃料電池の作動期間中に堆積されたバイオフィルムによって触媒作用を受けるならばその事例に当てはまる。しかしながら、電極は、随意に、その表面に堆積されたバイオフィルムの他に、白金若しくはロジウムのような貴金属若しくは半貴石金属(semiprecious metals)を主成分とする金属触媒、又はそのような金属を包含する錯体を包含できる。
本発明に従って、両電極のうちの片方だけ、特に空気極、は、燃料電池が作動される前に電極の表面にバイオフィルムが堆積されているとき、もう片方の電極は、例えば、鉱物触媒、例えば、白金又は白金族金属を主成分とする触媒、のようないずれのタイプの触媒を包含してもよい。
しかしながら、燃料極反応は、本発明の文脈では、燃料極の少なくとも表面の一部分に堆積した好適なバイオフィルム(即ち、燃料極反応に触媒作用をすることが意図されたバイオフィルム)によって触媒作用を受けるのが好ましい。例えば、このバイオフィルムは、燃料極の反応速度を高めることができる代謝物を生成できる微生物を含む。バイオフィルムは、本発明による処理方法によって燃料極の表面に堆積可能であることに留意しなければならない。
本発明は、水性媒体の中で作動する燃料電池に適用する。このタイプの作動に対して、燃料極区画及び空気極区画が水で満され、燃料極及び空気極が、各々、水の中に浸漬され、そして各区画の中の水の中に還元剤の流れ及び酸化剤の流れが散布される。燃料極区画及び空気極区画を満している水は、電池が作動される前に空気極の、及び随意に、燃料極の少なくとも表面の一部分に堆積されたバイオフィルムを再生できる水であるのが好ましい。燃料極区画及び空気極区画を満たしている水は循環水であるのが好ましい。
本発明は、また、ガス拡散によって作動する電池にも適用する。このタイプの作動に対して、酸化剤及び還元剤はガス流の形でそれぞれの区画に直接供給される。しかしながら、空気極反応、及び場合によって燃料極反応がバイオフィルムによって触媒作用を受ける電池の場合、バイオフィルムの生存及び補給のために適切な水分を確保することが必要であり、この水分は次のいずれかによって管理可能であることに留意しなければならない:
− 電池に入るガスの水分を管理することによる、即ちバイオフィルムが備え付けられた区画又は区画類に供給されるガス流又はガス流類が、前記バイオフィルムを再生できるような水分を有するということ;
− 或いは、バイオフィルムが備え付けられた区画又は区画類に供給されるガス流又はガス流類と同時並行して水流を提供することであり、前記水の流れは前記バイオフィルムを再生するためのものである;
− 或いは、そうでなければ、電池が水素/酸素電池のとき反応によって生成する水による。
最後に、本発明に従って、空気極反応及び/又は燃料極反応が、空気極の、及び/又は燃料極の少なくとも表面の一部分に堆積されたバイオフィルムによって触媒作用を受けることができると言う事実によって、先行技術で使用された構成材料より安価な空気極構成材料及び/又は燃料極構成材料の使用が可能である。
従って、電極(燃料極又は空気極)は、ステンレススチール、及びアルミニウム合金、ニッケル合金又はチタン合金から成る群から選ばれる材料から形成可能であるのが好ましい。
本発明は、あらゆるタイプの燃料電池に、特に酸化剤が酸素であり還元剤が水素である電池に、適用可能である。
本発明の主題は、また、電極が前記電池の中に取り付けられる前に、電極の少なくとも表面の一部分がバイオフィルムで被覆された電極(燃料極及び/又は空気極)である。
バイオフィルムは、前述の処理方法によって前記空気極の少なくとも表面の一部分に堆積されるのが好ましい。
この電極(燃料極及び/又は空気極)は、前記バイオフィルムの生存を確保するためにバイオフィルムを再生できる媒体の中で保持されるのが好ましい。
付図を参照しながら、勿論、例示の積りではあるが限定することを含まない、次の説明を読むと、その他の長所が更に明白になるであろう。
図1は、水性媒体の中で作動する水素/酸素電池の略図であり、前記電池の空気極反応はバイオフィルムによって触媒作用を受ける。
この図面は、前記電池が、空気極区画1と燃料極区画3とを連続して含み、前記両区画は半透膜5のどちらかの面に取り付けられていることを示している。これらの両方の区画は水を含有し、その水の中には適切な電極、即ち空気極区画1の場合は空気極7、一方、燃料極区画3の場合は燃料極6が浸漬されている。特に、空気極区画を満たしている水は前記で定義される生物学的水である。空気極区画1には酸素入口9が備え付けられていて、前記酸素は前記区画中の水の中に散布される。この区画の中で、酸素は、式、O+2HO+4e→4OH、に従って水酸化物イオンOHへ還元され、前記イオンOHは半透膜を通り抜けて燃料極区画の方向へと進む。本発明に従って、電池が作動される前に、空気極還元反応は、空気極の少なくとも表面の一部分に堆積したバイオフィルム11の存在によって触媒作用を受ける。
同様に、燃料極区画3には水素入口13が備え付けられていて、前記水素は生物学的水の中に散布される。この区画の中で、水素は式、2H+4OH→4HO+4e、に従って水へ酸化される。
空気極区画の中に存在している生物学的水は、電池の作動期間中はバイオフィルムの最適特性を維持するように定期的に補給されるのが好ましい。
図2は、本発明に従って、ガス拡散によって作動する水素/酸素燃料電池の電池の略図である。この電池は、プロトン交換膜19のどちらかの面に取り付けられた空気極区画15と燃料極区画17とを連続して含んでいる。
空気極区画は、多孔性空気極21、酸素ガス供給システム23、及び前記空気極と前記膜との間に配置され、触媒として作用するバイオフィルム25を含む。バイオフィルム25はビーズの形で表されている。本発明に従って、電池が作動される前に、空気極に、前述の生物学的水に浸漬されている間、予め定められた時間、分極電位が印加され、これによって、空気極の表面に堆積したバイオフィルムの触媒特性が最適化することが可能である。そのような電池が確実に正確に作動するために電池の空気極反応はバイオフィルムによる触媒作用を受け、バイオフィルムの再生及び補給のために適切な水分を確保することが必要であり、この水分は、電池に入るガスの水分を管理することによるか、又は並行する水流量システムを提供することによるか、或いはそうでなければ、水素/酸素電池の場合は、反応によって生成する水によるかのいずれかによって管理されることが可能であることに留意しなければならない。
燃料極区画は、多孔性燃料極27、水素供給システム29、及びビーズの形でも示している触媒層30を含む。この触媒層は、金属(白金又は白金族金属)のような全てのタイプの触媒物質から、或いはそうでなければ、適切なバイオフィルム(即ち、この場合、水素の酸化に触媒作用をすることができるバイオフィルム)から作製されてもよい。
今から本発明を下記の実施例と関連付けて説明する。
下記の実施例は、図3に示している燃料電池のように、水性媒体の中で作動する燃料電池を使用する。
燃料極区画31と空気極区画33とは、ナフィオン型プロトン交換膜35によって分離されている。タンク39から、各々、空気極区画33と燃料極区画31へ流入する2個の水流37と38は、燃料極区画31へ流入する二水素の散布物41、及び空気極区画33へ流入する空気の散布物43によって富化される。水流37は、空気極の少なくとも表面の一部分に堆積したバイオフィルムを効率的に連続的に確実に再生することが意図された生物学的水流であることに留意しなければならない。
燃料極45は30cmの白金網で形成され、一方、空気極47はバイオフィルム49で被覆されたステンレス鋼板で形成されている。燃料極45と空気極47は、可変抵抗型抵抗器57を介して電気的に接続されている。特に空気極側では、タンクは水が補給されるように、タンク39には出口51が備え付けられている。
燃料極区画及び燃料極区画は、両方の区画の間で密閉作用を発現する締付け用ガスケット53によって繋ぎ合わせられている。これらのガスケットは、ゴムシートから裁断して作製される。これらのガスケットのうちの1個はステンレススチール空気極に直接取り付けられている。ゴムシートの中央部で切り取られた覗き窓55によって、電池の作動期間中に使用される空気極の作動表面を正確に明示することが可能である。
前述のように電池の中に取り付けられるのに先立って、本実施例の特定の事例で100×100×2mmの寸法を有するステンレススチール空気極47は、循環海水の中に浸漬されて、前記空気極を分極させるように、飽和カロメル参照電極(SCE)を基準として一定の分極電位Epolaで数日間保持されるが、前記分極は、堆積したバイオフィルムの酸素還元触媒特性を最適化することが意図される。この事前段階の後、空気極は電池の中に挿入される。試験の終わりに、電池は取り外され、空気極は機械的手段で清浄化されたのち、次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗浄され、最後に海水ですすがれる。次に、電池は以前と同じ配置に組立られて、電池の特性が再び同じ条件下で試験される。
下記の実施例は、前述の配置の電池で得られた結果を示していて、前記電池を作動する前に種々の分極条件(電位及び継続期間)にかけた。これらの各実施例に対しては、空気極上で、バイオフィルムを使用した場合に伝達される電力(第1系列の試験)対バイオフィルムを使用しない場合に伝達される電力(第2系列の試験)の比を種々の電気抵抗値について測定した。
実施例1
第1系列の試験の特性値は次の通りであった:
− 分極電位:−0.10V/SCE;
− 分極時間:15日;
− 空気極側で循環する流体:海水;
− 燃料極側で循環する流体:海水;
− 空気極の作動面積:9cm
空気極は、1001002mmの寸法を有する316Lステンレス鋼板であったことに留意しなければならない。
下記の表1は、本発明による空気極の処理方法の期間中の電流の変動を示している。
Figure 0005004422
この第1系列の試験では、電池によって伝達される電力を種々の電気抵抗値について測定した。
第2系列の試験では、電池によって伝達される電力を種々の電気抵抗値について測定したが、この電池は空気極にバイオフィルムを持たず、状態調節の段階を踏んでいなかった。
比(バイオフィルムを含む場合の電力/バイオフィルムを含まない場合の電力)を下記の表2に示している。
Figure 0005004422
実施例2
第1系列の試験の特性値は次の通りであった:
− 分極電位:−0.10V/SCE;
− 分極時間:15日;
− 空気極側で循環する流体:海水;
− 燃料極側で循環する流体:蒸留水+NaOH(pH=12.5);
− 空気極の作動面積:9cm
時間の関数として記録した電流値は実施例1に示している電流値と同じであった。
この第1系列の試験では、電池によって伝達される電力を種々の電気抵抗値について測定した。
第2系列の試験では、電池によって伝達される電力を種々の電気抵抗値について測定したが、この電池は空気極にバイオフィルムを持たず、状態調節の段階を踏んでいなかった。
比(バイオフィルムを含む場合の電力/バイオフィルムを含まない場合の電力)を下記の表3に示している。
Figure 0005004422
実施例3
第1系列の試験の特性値は次の通りであった:
− 分極電位:−0.30V/SCE;
− 分極時間:17日;
− 空気極側で循環する流体:海水;
− 燃料極側で循環する流体:蒸留水+NaOH(pH塩基=12.5);
− 空気極の作動面積:1.8cm
この第1系列の試験では、電池によって伝達される電力を種々の電気抵抗値について測定した。
第2系列の試験では、電池によって伝達される電力を種々の電気抵抗値について測定したが、この電池は空気極にバイオフィルムを持たず、状態調節の段階を踏んでいなかった。
比(バイオフィルムを含む場合の電力/バイオフィルムを含まない場合の電力)を下記の表4に示している。
Figure 0005004422
3つの実施例に対して、空気極が電池の中に取り付けられる前に空気極の少なくとも表面の一部分に堆積したバイオフィルムが存在していると、このバイオフィルムを有する電池により伝達される電力が大幅に増加することを認めることができる。
図1は水性媒体の中で作動する水素/酸素燃料電池の垂直断面略図であり、前記電池の空気極反応は、前記電池が作動される前に前記空気極の少なくとも表面の一部分に堆積されたバイオフィルムによって触媒作用を受ける。 図2はガス拡散を伴うプロトン交換膜電池の垂直断面略図である。 図3は本発明を実施するのに使用され、水性媒体の中で作動する電池の垂直断面略図である。

Claims (6)

  1. 燃料電池の両電極のうち少なくとも片方(空気極及び/又は燃料極)の処理方法であって、
    前記電池が作動される前に、且つ前記電極が前記電池に取り付けられる前に又は後に、
    (i)バイオフィルムを成長させることができる媒体の中に前記電極を浸漬することにより前記電極の少なくとも表面の一部分にバイオフィルムを形成する段階を含み、前記バイオフィルムは前記電極での反応を触媒するためのものであり、さらに
    (ii)前記バイオフィルムを形成すると同時に前記電極を分極電位下におく段階を含む、方法。
  2. バイオフィルムを成長させることができる前記媒体が:
    − 河川水又は井戸水;
    − 工業用水、海水、及び培養液から誘導される水、
    から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
  3. バイオフィルムを成長させることができる前記媒体が、海水であることを特徴とする請求項2に記載の処理方法。
  4. バイオフィルムを成長させることができる前記媒体が、循環媒体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの1項に記載の処理方法。
  5. 前記電極が空気極であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの1項に記載の処理方法。
  6. 前記空気極に印加される分極電位が、飽和カロメル参照電極(SCE)を基準として−0.5V〜0.0Vの範囲の値を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
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