JP2010009772A - 微生物発電装置及びその製作方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアーカソードを用いた微生物発電装置の発電効率を高める。
【解決手段】負極を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室4と、該負極室に対しイオン透過性非導電性膜2を介して隔てられており、該イオン透過性非導電性膜に接する正極を備えた正極室3とを有し、該正極室に酸素含有ガスを供給して発電を行う微生物発電装置。正極室の導電性基材に二酸化マンガンを電解析出により担持させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、微生物の代謝反応を利用する発電装置に係り、特に、有機物を微生物に酸化分解させる際に得られる還元力を電気エネルギーとして取り出す微生物発電装置に関する。本発明は、また、この微生物発電装置を製作する方法に関する。
近年、地球環境に配慮した発電方法へのニーズが高まり、微生物発電の技術開発も進められている。微生物発電は、微生物が有機物を資化する際に得られる電気エネルギーを取り出すことにより発電する方法である。
一般的に、微生物発電では負極が配置された負極室内に、微生物、微生物に資化される有機物、及び電子伝達媒体(電子メディエータ)を共存させる。電子メディエータは微生物体内に入り、微生物が有機物を酸化して発生する電子を受け取って負極に渡す。負極は外部抵抗(負荷)を介して正極と電気的に導通しており、負極に渡された電子は外部抵抗(負荷)を介して正極に移動し、正極と接する電子受容体に渡される。このような電子の移動により正極と負極との間に電流が流れる。
特許文献1には、正極室と負極室とを区画する電解質膜に接するように、正極板として多孔質体を設置し、正極室に空気を流通させ、多孔質体の空隙中で空気と液とを接触させることが記載されている。(以下、このように正極室内に空気を流通させ、空気中の酸素を電子受容体として利用する正極を「エアーカソード」と称す場合がある。)
エアーカソードを用いる微生物発電装置であれば、カソード液が不要で、また、正極室に単に空気を流通させるのみで良く、カソード液中への曝気の必要がないといった利点がある。
この特許文献1には、エアーカソードの電極反応促進用の触媒として、白金等の白金属元素が有効であると記載され、MnOも用いることができる旨の記載があるが、実施例において用いられる触媒は白金単独であり、MnOを用いた具体例はない。この特許文献1の実施例では、具体的には、白金を担持したファーネスブラック粒子をPTFE(テフロン(登録商標))バインダーで結着したものをエアーカソードとしている。
特許文献2には、円筒状のアノードの外周に円筒状の電解質膜を設け、さらにその外周に円筒状に多孔質カソードを設け、該アノード内にグルコース水溶液等の基質を流通させ、カソードの外周に空気を存在させた微生物発電装置が記載されている。
この特許文献2でも、カソードの触媒として白金やMnO等が挙げられているが([0044])、実施例で用いられているカソードは白金担持多孔質グラファイトである。また、触媒の担持方法としてはバインダーによる結着が記載されている([0043])。
特開2004−342412号公報 特開2005−317520号公報
白金触媒をカソードに担持させることにより発電効率を向上させることができるが、白金は高価である。
また、触媒をバインダーで基材に担持させる場合、触媒を強固に付着させるべくバインダー使用量を多くすると、触媒がバインダーで覆われ、触媒特性が低下するおそれもある。さらに、バインダーを用いると、その分だけ材料コストがかかる。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、バインダーを用いることなく触媒を担持させた正極を有する微生物発電装置を提供することを目的とする。
請求項1の微生物発電装置は、負極を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室と、該負極室に対しイオン透過性非導電性膜を介して隔てられており、該イオン透過性非導電性膜に接する正極を備えた正極室と、該正極室に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段とを備えた微生物発電装置において、該正極が、導電性基材と、該導電性基材に対し電解析出によって担持させた酸素還元触媒とを有することを特徴とするものである。
請求項2の微生物発電装置は、請求項1において、前記導電性基材が、グラファイトペーパー、グラファイトフェルト、及びグラファイトクロスよりなる群から選ばれた少なくとも1種のグラファイト系基材であることを特徴とするものである。
請求項3の微生物発電装置は、請求項2において、前記グラファイト系基材がフッ素樹脂によって撥水処理されたものであることを特徴とするものである。
請求項4の微生物発電装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記酸素還元触媒は二酸化マンガンであることを特徴とするものである。
請求項5の微生物発電装置の製作方法は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の微生物発電装置を製作する方法であって、導電性基材に酸素還元触媒を担持させていない微生物発電装置の正極室内に酸素還元触媒のイオンを含む溶液を供給し、この溶液から酸素還元触媒を導電性基材上に電解析出させることを特徴とするものである。
請求項6の微生物発電装置の製作方法は、請求項5において酸素還元触媒のイオンは、Mn2+であり、酸素還元触媒としてMnOを電解析出させることを特徴とするものである。
請求項7の微生物発電装置の製作方法は、請求項5において酸素還元触媒のイオンは、MnO であり、酸素還元触媒としてMnOを電解析出させることを特徴とするものである。
本発明によって提供される微生物発電装置は、電解析出により酸素還元触媒を担持させた正極を備えている。本発明では、酸素還元触媒を電解析出によって担持させているので、バインダーが不要である。この電解析出によって生成させた酸素還元触媒は、バインダーで担持させた微粒状酸素還元触媒よりも活性が高い。
酸素還元触媒としては白金よりも安価な二酸化マンガンが好適である。なお、二酸化マンガンには種々の結晶構造のものが知られており、結晶構造によって酸素還元能力が大きく異なる。電解析出させた二酸化マンガンは、活性が高い。特に、高電流(50mA/cm以上)、高濃度(MnSO:0.5M以上)、高温(40℃以上、できれば60〜80℃)で電解すると活性が高くなる。
二酸化マンガンを電解析出によって導電性基材に担持させるには、Mn2+含有液からMnOを電解析出させるか、MnO 含有液からMnOを電解析出させるのが好適である。
酸素還元触媒の電解析出は、正極室内で行うのが好適である。このようにすれば、電解析出専用の設備が不要であり、微生物発電装置の製作コストを低減することができる。この場合、正極室内の導電性基材と負極室内の導電性基材との間に電圧を印加して電解析出を行うと、正極室内の導電性基材のうち非導電性膜側に酸素還元触媒が多く析出するようになり、正極室内の反応効率が向上し、発電効率が向上する。
以下に本発明の微生物発電装置及び微生物発電装置用正極の実施の形態を詳細に説明する。
[微生物発電装置用正極]
まず、本発明の微生物発電装置用正極について説明する。
本発明の微生物発電装置用正極は、導電性基材と、該導電性基材に電解析出によって担持された酸素還元触媒、好ましくは二酸化マンガンとを有する。
<導電性基材>
導電性基材としては、導電性が高く、耐食性が高く、厚みが薄くても十分な導電性と耐食性、更には導電性基材としての機械的強度を得ることがあるものであれば良く、特に制限はないが、グラファイトペーパー、グラファイトフェルト、グラファイトクロス、ステンレスメッシュ、チタンメッシュ等を用いることができ、これらのうち、特に耐久性と加工のしやすさ等の点から、グラファイトペーパー、グラファイトフェルト、グラファイトクロス等のグラファイト系基材が好ましく、とりわけグラファイトペーパーが好ましい。なお、これらのグラファイト系基材はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂によって疎水化されたものであっても良い。
導電性基材の厚さは、厚過ぎると酸素の透過が悪くなり、薄過ぎると、基材に必要な強度等の要求特性を満たすことができないことから、20〜1000μm程度であることが好ましい。
<酸素還元触媒>
酸素還元触媒としては、安価で且つ触媒活性が良好であるところから、二酸化マンガンが好適である。
<酸素還元触媒担持導電性基材の製作方法>
酸素還元触媒を導電性基材に担持させるには、酸素還元触媒のイオンを含む溶液と導電性基材とを接触させた状態で電解し、酸素還元触媒を導電性基材上に電解析出させるのが好適である。
この場合、酸素還元触媒を担持させてない正極を有した微生物発電装置を組み立てておき、その正極室内に酸素還元触媒のイオンを含む溶液を連続的に供給しながら電解を行い、酸素還元触媒を導電性基材上に析出させるのが好適である。このようにすると、電子、プロトン又はOHが最も流れ易い部位(正極の非導電性膜側)に触媒が多く析出するので、微生物発電装置の発電効率が向上する。
酸素還元触媒として二酸化マンガンを電解析出させる場合、過マンガン酸カリウム水溶液を正極室に連続的に流通させ、導電性基材を負極として電解し、MnOを析出させることができる。
また、硫酸マンガン水溶液を正極室に連続的に流通させ、導電性基材を正極として電解し、MnOを析出させることができる。
なお、硫酸マンガンの代りに塩化マンガン、硝酸マンガン等の2価のマンガン化合物を用いることもでき、また、これらの混合物を用いることもできる。
微生物発電装置内で二酸化マンガンを電解析出させる方法について次にさらに詳細に説明する。
二酸化マンガンの電解析出を正極室内で行うには、正極及び負極をいずれも二酸化マンガン非担持のグラファイト系基材にて構成し、イオン透過性非導電性膜として好ましくはアニオン交換膜を用いた微生物発電装置を製作しておく。
マンガン溶液としてMnSO溶液を用いる場合、負極室には濃度0.1〜2.0N程度のNaOH溶液をSV1〜100hr−1程度で通液し、正極室には0.1〜1モル/L程度のMnSO溶液をSV1〜100hr−1程度で通液する。正極室内のグラファイト系基材に正の電圧を印加し、負極室内のグラファイト系基材に負の電圧を印加する。
この操作により、正極室内でMn2+が酸化され、MnOとなって導電性基材上に析出する。なお、負極室では水が還元され、水素ガスが発生する。同時に生成するOHイオンは、アニオン交換膜を透過して正極室に移動する。
非導電性膜としてアニオン交換膜を用いているので、正極室内のSO 2−イオンは負極室へ移動し、NaSOとなる。
なお、非導電性膜としてカチオン交換膜を用いた場合は、電解操作中に解離したMnイオンが負極室に移動し、Mnイオンの損失が生じるため、非導電性膜としてはアニオン交換膜を用いるのが好ましい。
電解の条件は、MnOを析出させるグラファイト系基材1cmあたり、5〜400mAで、好ましくは50〜400mAである。電圧は、電極面積、抵抗により異なるため、この電流になるよう、適宜調整すればよい。
電解時間は、1Aの電流を1時間通電すると、おおむね、1.5g程度のMnOが析出するので、これを基準として、正極室の還元基材の表面積から算出すればよい。
MnOの析出量は正極1cmあたり、0.1〜10mg、特に0.5〜5mg程度が好適である。MnOは電子のメディエーターとしても作用するため、少ないと反応速度が遅くなる。また、MnOは導電性が低いため、多すぎると電子の移動を妨害し、発電量が低下する。導電性を高めるためには、予め、電解前に、非導電性膜と正極の導電性基材との間にバルカン(Vulcan)やケッチェンブラック(KetjenBlack)等のグラファイト粉末を微量(電解析出予定量のMnO量の1/10〜1/2程度)添加しておくのが好ましい。
KMnO溶液を正極室内に供給してMnOを正極内の導電性基材に析出させるには、正極室内の導電性基材に負の電圧を印加し、負極室内の導電性基材に正の電圧を印加する。他の条件は上記と同様にすればよい。これにより、正極室内のMnO イオンが還元されてMnOが正極導電性基材上に析出する。KMnO溶液の濃度は0.1〜0.4モル/L程度が好ましい。その他の条件は上記と同様である。
<イオン透過性非導電性膜>
この非導電性膜は、アニオン交換膜でもカチオン交換膜でもよいが、上述の通りアニオン交換膜の方が好ましい。なお、アニオン交換膜を用いると、正極室内のpHが高くなり発電効率が向上するので、この点からもアニオン交換膜の方が好適である。
<二酸化マンガンによる触媒作用>
本発明の正極を微生物発電装置のエアーカソードとして用いた場合、二酸化マンガンは、微生物発電装置に用いたイオン透過性非導電性膜の種類に応じて、それぞれ、次のような正極反応により、負極で生成した電子を二酸化マンガンの4価のマンガンが受け取ってそれ自体が還元を受け、この還元されたマンガンが通気によって、再度4価マンガンに再生されることで、電極反応を促進するものと考えられる。
<イオン透過性非導電性膜としてアニオン透過膜を用いる場合>
MnO+2HO+2e → Mn2++4OH
Mn2++O+HO → MnO+2H
<イオン透過性非導電性膜としてカチオン透過膜を用いる場合>
MnO+2H+2e → Mn2++2OH
Mn2++O+HO → MnO+2H
[微生物発電装置]
次に、上述のような本発明の微生物発電装置用正極を用いる微生物発電装置について、図面を参照して説明する。
第2図は本発明の微生物発電装置の概略的な構成を示す模式的断面図である。
槽体1内がイオン透過性非導電性膜としてのアニオン交換膜2によって正極室3と負極室4とに区画されている。正極室3内にあっては、アニオン交換膜2に接するように、電解析出によるMnO担持正極5が配置されている。
負極室4内には、導電性多孔質材料よりなる負極6が配置されている。この負極6は、アニオン交換膜2に直に、又は1〜2層程度の微生物の膜を介して接している。
正極室3内は、空室であり、ガス流入口7から空気などの酸素含有ガスが導入され、ガス流出口8から排ガスが流出する。負極室4内には負極溶液Lが存在しており、この負極溶液Lは循環往口9、循環配管10、循環用ポンプ11及び循環戻口12を介して循環される。
多孔質材料よりなる負極6に微生物が担持されている。負極室4には流入口4aから負極溶液Lを導入し、流出口から廃液を排出させる。なお、負極室4内は嫌気性とされる。
負極室4内の負極溶液Lは循環往口9、循環配管10、循環用ポンプ11及び循環戻口12を介して循環される。この循環配管10には、負極室4から流出してきた液のpHを測定するpH計14が設けられると共に、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ添加用配管13が接続されている。
正極室3に酸素含有ガスを通気すると共に、必要に応じポンプ11を作動させて負極溶液Lを循環させることにより、負極室4内では、
(有機物)+HO→CO+H+e
なる反応が進行する。この電子eが負極6、端子22、外部抵抗21、端子20を経て正極5へ流れる。
正極5に二酸化マンガンが担持されていることにより、正極室3では前述の如く、
MnO+2HO+2e → Mn2++4OH
Mn2++O+HO → MnO+2H
+OH → H
の反応で、電子消費反応に寄与して電極反応が促進される。
正極室3内のOHはアニオン交換膜2を透過して負極室へ移動し、Hと反応してHOとなる。
負極室4では、微生物による水の分解反応によりCOが生成することにより、pHが低下しようとする。そこで、pH計14の検出pHが好ましくは7〜9となるようにアルカリが負極溶液Lに添加される。このアルカリは、負極室6に直接に添加されてもよいが、循環水に添加することにより、負極室6内の全域を部分的な偏りなしにpH7〜9に保つことができる。
第1図は本発明の特に好ましい形態に係る微生物発電装置の概略的な断面図である。
略直方体形状の槽体30内に2枚のアニオン交換膜31,31が互いに平行に配置されることにより、該アニオン交換膜31,31同士の間に負極室32が形成され、該負極室32とそれぞれ該アニオン交換膜31を隔てて2個の正極室33,33が形成されている。
負極室32内には、各アニオン交換膜31と直に、又は1層〜2層程度の生物膜を介して接するように、多孔質材料よりなる負極34が配置されている。負極34は、アニオン交換膜31に対し軽く(例えば0.1kg/cm以下の圧力で)押し付けられるのが好ましい。
正極室33内には、アニオン交換膜31と接して電解析出によるMnO担持正極35が配置されている。この正極35は、パッキン36に押圧されてアニオン交換膜31に押し付けられている。正極35とアニオン交換膜31との密着性を高めるために、両者を溶着したり、接着剤で接着してもよい。
正極35と槽体30の側壁との間は、酸素含有ガスの流通スペースとなっている。
この正極35及び負極34は、端子37,39を介して外部抵抗38に接続されている。
負極室32には、流入口32aから負極溶液Lが導入され、流出口32bから廃液が流出する。負極室32内は嫌気性とされる。
負極室32内の負極溶液は、循環往口41、循環配管42、循環ポンプ43及び循環戻口44を介して循環される。各正極室33には、ガス流入口51から酸素含有ガスが流入し、排ガスがガス流出口52から流出する。
この循環配管42に、pH計47が設けられると共に、アルカリ添加用配管45が接続されている。負極室32から流出する負極溶液のpHをpH計47で検出し、このpHが好ましくは7〜9となるように水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリが添加される。
この第1図の微生物発電装置においても、正極室33に酸素含有ガスを流通させ、負極室32に負極溶液を流通させ、好ましくは負極溶液を循環させることにより、正極35と負極34との間に電位差が生じ、外部抵抗38に電流が流れる。
次に、この微生物発電装置の微生物、負極溶液などのほか、イオン透過性非導電性膜、及び負極の好適な材料等について説明する。
負極溶液L中に含有させることで電気エネルギーを産生させる微生物は、電子供与体としての機能を有するものであれば特に制限されない。例えば、Saccharomyces、Hansenula、Candida、Micrococcus、Staphylococcus、Streptococcus、Leuconostoa、Lactobacillus、Corynebacterium、Arthrobacter、Bacillus、Clostridium、Neisseria、Escherichia、Enterobacter、Serratia、Achromobacter、Alcaligenes、Flavobacterium、Acetobacter、Moraxella、Nitrosomonas、Nitorobacter、Thiobacillus、Gluconobacter、Pseudomonas、Xanthomonas、Vibrio、Comamonas及びProteus(Proteus vulgaris)の各属に属する細菌、糸状菌、酵母などを挙げることができる。このような微生物を含む汚泥として下水等の有機物含有水を処理する生物処理槽から得られる活性汚泥、下水の最初沈澱池からの流出水に含まれる微生物、嫌気性消化汚泥等を植種として負極室に供給し、微生物を負極に保持させることができる。発電効率を高くするためには、負極室内に保持される微生物量は高濃度であることが好ましく、例えば微生物濃度は1〜50g/Lであることが好ましい。
負極溶液Lとしては、微生物又は細胞を保持し、かつ発電に必要な組成を有する溶液が用いられる。例えば、呼吸系の発電を行う場合は、負極側の溶液としては、ブイヨン培地、M9培地、L培地、Malt Extract、MY培地、硝化菌選択培地などの呼吸系の代謝を行うのに必要なエネルギー源や栄養素などの組成を有する培地が利用できる。また、下水、有機性産業排水、生ごみ等の有機性廃棄物を用いることができる。
負極溶液L中には、微生物又は細胞からの電子の引き抜きをより容易とするために電子メディエーターを含有させてもよい。この電子メディエーターとしては、例えば、チオニン、ジメチルジスルホン化チオニン、ニューメチレンブルー、トルイジンブルー−O等のチオニン骨格を有する化合物、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン等の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン骨格を有する化合物、ブリリアントクレジルブルー、ガロシアニン、レソルフィン、アリザリンブリリアントブルー、フェノチアジノン、フェナジンエソスルフェート、サフラニン−O、ジクロロフェノールインドフェノール、フェロセン、ベンゾキノン、フタロシアニン、あるいはベンジルビオローゲン及びこれらの誘導体などを挙げることができる。
さらに、微生物の発電機能を増大させるような材料、例えばビタミンCのような抗酸化剤や、微生物中の特定の電子伝達系や物質伝達系のみを働かせる機能増大材料を溶解すると、さらに効率よく電力を得ることができるので好ましい。
負極溶液Lは、必要に応じ、リン酸バッファを含有していてもよい。
負極溶液Lは有機物を含むものである。この有機物としては、微生物によって分解されるものであれば特に制限はなく、例えば水溶性の有機物、水中に分散する有機物微粒子などが用いられる。負極溶液は、下水、食品工場排水などの有機性廃水であってもよい。負極溶液L中の有機物濃度は、発電効率を高くするために100〜10000mg/L程度の高濃度であることが好ましい。
正極室に流通させる酸素含有ガスとしては、空気が好適である。正極室からの排ガスを、必要に応じ脱酸素処理した後、負極室に通気し、負極溶液Lからの溶存酸素のパージに用いてもよい。
イオン透過性非導電性膜としては、非導電性、かつイオン透過性を有するものであればほとんどのものが使用できるが、前述の通り、特にアニオン交換膜が好適である。アニオン交換膜としては、アストム製アニオン交換膜やトクヤマ製アニオン型電解質膜などが好適である。イオン透過性非導電性膜は、薄くて丈夫であることが好ましく、通常、その膜厚は30〜300μm、特に30〜200μm程度であることが好ましい。
負極は、多くの微生物を保持できるよう、表面積が大きく空隙が多く形成され通水性を有する多孔体が好ましい。具体的には、少なくとも表面が粗とされた導電性物質のシートや導電性物質をフェルト状その他の多孔性シートにした多孔性導電体(例えばグラファイトフェルト、発泡チタン、発泡ステンレス等)が挙げられる。
このような多孔質の負極を直接に又は微生物層を介してカチオン透過体に当接させた場合、電子メディエータを用いることなく、微生物反応で生じた電子が負極に渡るようになり、電子メディエータを不要とすることができる。
複数のシート状導電体を積層して負極としてもよい。この場合、同種の導電体シートを積層してもよく、異なる種類の導電体シート同士(例えばグラファイトフェルトと粗面を有するグラファイトシート)を積層してもよい。
負極は全体の厚さが3mm以上40mm以下、特に5〜20mm程度であることが好ましい。積層シートによって負極を構成した場合、シート同士の合わせ面(積層面)に沿って液が流れるように、積層面を液の流入口と流出口とを結ぶ方向に配向させるのが好ましい。
<別の実施の形態>
上記実施の形態では、微生物発電装置内での電解析出によって正極導電性基材上にMnOを析出させているが、電解析出用の電解槽を用いて導電性基材上にMnOを析出させ、このMnO担持導電性基材を微生物発電装置に組み込むようにしてもよい。この場合の電圧印加は上記実施の形態と同様とすればよい。負極はグラファイト系基材のほか、チタン、ステンレス等であってもよい。この電解槽には隔膜を設けなくてもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
以下の手順に従って、第2図に示す微生物発電装置を作製した。
正極用グラファイト系基材として厚さ約110μmのカーボンペーパー(東洋カーボン社製、7×25cm)を用いた。
これをアストム社製アニオン交換膜ネオセプタAMA(厚さ220μm)に密着させ、125メッシュのステンレス金網、5mm厚ポリエチレン製ハニカムの順に積層して5mm厚さの正極室に設置した。
アニオン交換膜の反対面には7×25cm、厚さ5mmの東洋カーボン製グラファイトフェルトを密着させ、負極とした。この負極室に3N,NaOHを20mL/minで循環させ、正極室に0.8N,MnSOを20mL/minで循環させた。温度を40℃に保ち、電流12Aで5分電解し、正極上に二酸化マンガンを約1600mg電解析出させた。その後、両室を純水で洗浄して微生物発電装置を製作した。
この微生物発電装置の負極室には種菌として下水処理場の生物処理槽から採取した活性汚泥10mLを添加して培養し、負極を構成するグラファイトフェルト表面に微生物を付着させた。負極室内の微生物濃度は約2600mg/Lであった。
正極室には、空気を1L/minにて通気した。負極室には、1500mg/Lの濃度の酢酸ナトリウムと、10mMの濃度のリン酸バッファと、塩化アンモニウム500mg/Lとを含む原液を10mL/minの流量で通液した。
このようにして運転を開始した結果、3日後には、外部抵抗2Ωのとき、199mVの電圧が得られた。発生電流は100mAであり、電力は20mWであった。負極容積1mあたりでは、225W/mであった。
本発明の一実施形態に係る微生物発電装置の断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る微生物発電装置の断面模式図である。
符号の説明
1,30 槽体
2,31 アニオン交換膜
3,33 正極室
4,32 負極室
5,35 正極
6,34 負極

Claims (7)

  1. 負極を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室と、
    該負極室に対しイオン透過性非導電性膜を介して隔てられており、該イオン透過性非導電性膜に接する正極を備えた正極室と、
    該正極室に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と
    を備えた微生物発電装置において、
    該正極が、導電性基材と、該導電性基材に対し電解析出によって担持させた酸素還元触媒とを有することを特徴とする微生物発電装置。
  2. 請求項1において、前記導電性基材が、グラファイトペーパー、グラファイトフェルト、及びグラファイトクロスよりなる群から選ばれた少なくとも1種のグラファイト系基材であることを特徴とする微生物発電装置。
  3. 請求項2において、前記グラファイト系基材がフッ素樹脂によって撥水処理されたものであることを特徴とする微生物発電装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記酸素還元触媒は二酸化マンガンであることを特徴とする微生物発電装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の微生物発電装置を製作する方法であって、
    導電性基材に酸素還元触媒を担持させていない微生物発電装置の正極室内に酸素還元触媒のイオンを含む溶液を供給し、
    この溶液から酸素還元触媒を導電性基材上に電解析出させることを特徴とする微生物発電装置の製作方法。
  6. 請求項5において酸素還元触媒のイオンは、Mn2+であり、酸素還元触媒としてMnOを電解析出させることを特徴とする微生物発電装置の製作方法。
  7. 請求項5において酸素還元触媒のイオンは、MnO であり、酸素還元触媒としてMnOを電解析出させることを特徴とする微生物発電装置の製作方法。
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