JP5004135B2 - 樹脂用安定化剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた熱可塑性ポリマー組成物、熱可塑性ポリマーの安定化方法 - Google Patents

樹脂用安定化剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた熱可塑性ポリマー組成物、熱可塑性ポリマーの安定化方法 Download PDF

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Description

本発明は、安定化剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた熱可塑性ポリマー組成物、熱可塑性ポリマーの安定化方法に関する。
ポリプロピレン、ポリスチレンなどの熱可塑性ポリマーの加工安定性、弾性、接着性、耐衝撃性、耐着色性、耐熱性などの物性を改良するために、下記式(1)
Figure 0005004135
(式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表し、R3は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は、水素原子またはメチル基を表す。)で表されるビスフェノールモノエステルが安定化剤として配合されてきた(たとえば、特開平1−168643号公報(特許文献1)、特開平3−88841号公報(特許文献2)を参照。)。
一般的に、安定化剤中に微量の不純物が存在することで加工安定性をはじめとする安定化性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、不純物を含有しないように高純度に精製された安定化剤が市販、使用されている。たとえば、特開平4−327558号公報(特許文献3)に開示されたような精製方法を用いて、ほぼ純粋に精製されたビスフェノールモノエステルが安定化剤として市販、使用されている。
特開平1−168643号公報 特開平3−88841号公報 特開平4−327558号公報
本発明は、熱可塑性ポリマーに配合することにより、熱可塑性ポリマーの加工安定性を従来と比較してさらに向上することができる安定化剤およびその製造方法を提供することをその目的とする。
本発明の樹脂用安定化剤は、下記式(1)
Figure 0005004135
(式(1)中、R は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、R は、炭素数5のアルキル基を示し、は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表す。)で表されるビスフェノールモノエステルから主としてなり、下記式(2)
Figure 0005004135
(式(2)中、R〜Rは上述と同様である。)で表されるビスフェノール系化合物を含有する樹脂用安定化剤であって、該安定化剤を液体クロマトグラフィ分析して得られたクロマトグラフにおいて、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルのエリア面積を100としたとき、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物のエリア面積が0.15〜70であることを特徴とする。
本発明の樹脂用安定化剤は、安定化剤100重量部あたりの上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルおよび上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物の合計量が95重量部以上であることが、好ましい。
本発明は、上述した本発明の樹脂用安定化剤を製造する方法であって、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物とを混合し、得られた混合物を液体クロマトグラフィ分析して得られたクロマトグラフにおいて、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルのエリア面積を100としたとき、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物のエリア面積が0.15〜70となるように、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物との混合量を調整する樹脂用安定化剤の製造方法についても提供する。
かかる本発明の樹脂用安定化剤の製造方法において、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステル100重量部に対し、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物を0.1〜45重量部混合することが、好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の樹脂用安定化剤を製造する方法であって、下記式(2)
Figure 0005004135
で表されるビスフェノール系化合物と、下記式(3)
Figure 0005004135
(上記式(3)中、R4は上述と同様であり、Rは水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基または下記式(4)
Figure 0005004135
(上記式(4)中、Rは上述と同様である。)で表される基を表す。)で表されるカルボン酸系化合物とをエステル化反応させる工程を含み、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物1モルに対して、上記式(3)で表されるカルボン酸系化合物を、当該アクリル酸系化合物のアクリロイル基が0.3〜0.6モルの割合で用いる、樹脂用安定化剤の製造方法についても提供する。
本発明はまた、熱可塑性ポリマーと、当該熱可塑性ポリマー100重量部に対し0.01〜5重量部の上述した本発明の樹脂用安定化剤とを含有する熱可塑性ポリマー組成物についても提供する。
本発明はさらに、熱可塑性ポリマー100重量部に対し、上述した本発明の樹脂用安定化剤を0.01〜5重量部配合する熱可塑性ポリマーの安定化方法についても提供する。
本発明によれば、熱可塑性ポリマーに配合することにより、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステル、上記(2)で表されるビスフェノール系化合物をそれぞれ単独で用いた場合と比較して、熱可塑性ポリマーの加工安定性を相乗的に向上できる安定化剤を提供することができる。また、このような本発明の安定化剤を利用することで、従来よりも加工安定性が改善された熱可塑性ポリマー組成物、ならびに、従来よりも加工安定性を改善できる熱可塑性ポリマーの安定化方法についても提供することができる。
本発明の安定化剤は、下記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルを含有する。
Figure 0005004135
本発明の安定化剤に用いられるビスフェノールモノエステルを示す上記式(1)中、R1およびR2は、独立して炭素数1〜5のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基などが挙げられる。特に、R1は、3級炭素を有するアルキル基、すなわちtert−ブチル基またはtert−ペンチル基であるのが好ましい。
本発明の安定化剤に用いられるビスフェノールモノエステルを示す上記式(1)中、R3は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。当該アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、中でもメチル基が特に好ましい。
本発明の安定化剤に用いられるビスフェノールモノエステルを示す上記式(1)中、R4は、水素またはメチル基を示す。
本発明の安定化剤に用いられるビスフェノールモノエステルの具体例としては、2,4−ジ−tert−ペンチル−6−〔1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−〔1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルメタクリレート、2,4−ジ−tert−ブチル−6−〔1−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2,4−ジ−tert−ブチル−6−〔1−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルメタクリレート、2−tert−ブチル−6−〔1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エチル〕−4−メチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−〔1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピル〕−4−メチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−〔1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)エチル〕−4−プロピルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−〔1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)エチル〕−4−イソプロピルフェニルアクリレートなどが挙げられる。中でも、優れた加工安定化効果を熱可塑性ポリマーにもたらすことができるため、2,4−ジ−tert−ペンチル−6−〔1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−〔1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェニルアクリレートが好適である。
式(1)で表されるビスフェノールモノエステルは、下記式(2)
Figure 0005004135
(上記式(2)中、R1〜R3は上述と同様である。)で表されるビスフェノール系化合物と、カルボン酸またはその誘導体との反応によって製造することができる。ビスフェノールモノエステルは、上記反応後に、たとえば特開平4−327558号公報(特許文献3)に開示された精製方法(すなわち、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類から選ばれる第1の溶媒と、炭素数1〜8のアルコール類および炭素数2〜3の脂肪族ニトリル類から選ばれる第2の溶媒との混合溶媒中での晶析)によって精製されたものであることが好ましい。
上記精製に用いられる第1の溶媒である炭素数6〜12の芳香族炭化水素としては、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、シメン、クロルベンゼンなどが挙げられる。これらの芳香族炭化水素類は、上記中から選ばれるいずれかを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、トルエンまたはキシレンが好ましく用いられ、キシレンが特に好ましい。
上記精製に用いられる第2の溶媒である炭素数1〜8のアルコール類としては、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノールなどを挙げることができる。また炭素数2〜3の脂肪族ニトリル類としては、アセトニトリル、プロピオニトリルが挙げられる。これらのアルコール類および脂肪族ニトリル類は、上記中から選ばれるいずれかを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の安定化剤における上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルは、市販のものを用いても勿論よく、具体的には、スミライザー(登録商標)GS(F)(住友化学株式会社製)、スミライザー(登録商標)GS(住友化学株式会社製)、スミライザー(登録商標)GM(住友化学株式会社製)などを好適に用いることができる。
本発明の安定化剤は、上述したビスフェノールモノエステルに加え、さらに下記式(2)で表されるビスフェノール系化合物を含有する。このビスフェノール系化合物は、上述した式(1)で表されるビスフェノールモノエステルを製造する際の原料としても用いられるものである。
Figure 0005004135
本発明の安定化剤に用いられるビスフェノール系化合物を示す上記式(2)中、R1〜R3は、それぞれ上記式(1)中におけるR1〜R3と同義である。
本発明の安定化剤に用いられるビスフェノール系化合物の具体例としては、たとえば2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−プロピリデンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−プロピルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソプロピルフェノール)などが挙げられ、中でも、優れた加工安定化効果を熱可塑性ポリマーにもたらすことができるため、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)が特に好適である。
上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物は、たとえば対応する2,4−ジアルキルフェノールをアルデヒド類と縮合させることによって、製造することができる。上記ビスフェノール系化合物は、上記縮合反応の後、たとえば炭素数6〜12の芳香族炭化水素類から選ばれる第1の溶媒と、炭素数1〜8のアルコール類および炭素数2〜3の脂肪族ニトリル類から選ばれる第2の溶媒と水との混合溶媒中での晶析によって精製されたものであることが、好ましい。また、ビスフェノール系化合物は、市販のものを用いても勿論よい。
本発明の安定化剤は、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物とを、液体クロマトグラフィ分析して得られたクロマトグラフにおいて、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルのエリア面積を100としたとき、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物のエリア面積が0.15〜70を満たすように含有する。上記ビスフェノール系化合物のエリア面積が、上記範囲内にあることで、熱可塑性ポリマーの加工安定性を向上させることができるようになる。なお、上記ビスフェノール系化合物の含有量は、上記ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対し、0.15〜50の範囲内であることが好ましく、0.18〜40の範囲内であることが特に好ましい。
本発明の安定化剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で従来公知の適宜の添加剤が添加されていても勿論よい。このような添加剤としては、たとえば紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、顔料、可塑剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイトなどの中和剤、結着剤などを挙げることができる。
本発明の安定化剤は、上述したような添加剤が添加されていた場合であっても、安定化剤100重量部あたり、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルおよび上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物の合計量が90重量部以上であることが好ましく、95重量部以上であることがより好ましい。安定化剤100重量部あたり、上記ビスフェノールモノエステルおよび上記ビスフェノール系化合物の合計量が90重量部未満である場合には、加工安定化効果が不十分となる虞があるためである。
本発明の安定化剤の形状は、特に制限されないが、通常、粉末状、顆粒状、ペレット状、フレーク状などであることが好ましい。
本発明の安定化剤は、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物(および必要に応じ上述した適宜の添加剤)との混合物であれば、その製造方法は特に制限されるものではないが、たとえば特開平4−264051号公報に記載された方法において、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物に対し、下記式(3)
Figure 0005004135
(上記式(3)中、R4は上述と同様であり、Rは水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基または下記式(4)
Figure 0005004135
(上記式(4)中、R4は上述と同様である。)で表される基を表す。)で表されるカルボン酸系化合物をエステル化反応させる工程を含む、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物を含有する上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルを得る方法により好適に製造することができる。本発明は、このような本発明の安定化剤の製造方法についても提供するものである。上記エステル化反応させる工程を含む本発明の安定化剤の製造方法において、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物1モルに対して、式(3)で表されるカルボン酸系化合物を0.3〜0.6モル、好ましくは0.4〜0.6モル用いる。
また本発明は、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物とを混合し、得られた混合物を液体クロマトグラフィ分析して得られたクロマトグラフにおいて、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルのエリア面積を100としたとき、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物のエリア面積が0.15〜70となるように、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物との混合量を調整する、安定化剤の製造方法についても提供する。この場合、たとえば単離精製された上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物と上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルとをヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、ハイスピードミキサなどの混合機で混合することで、上述した本発明の安定化剤を製造する。なお、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物は、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステル100重量部に対し、0.1〜45重量部混合するのが好ましく、0.5〜25重量部混合するのがより好ましい。
本発明の安定化剤に上述した適宜の添加剤を混合する方法としては、たとえば、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステル、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物および添加剤を容器回転式混合機、攪拌式混合機などの混合機で混合する方法、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物および添加剤を、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、炭素数1〜8のアルコール類および炭素数2〜3の脂肪族ニトリル類から選ばれる1種以上の溶媒に溶解または分散させた後、溶媒を減圧除去する方法などが挙げられる。
本発明の安定化剤は、上記のように混合しただけでもよいが、さらに、顆粒状に成形すると、粉塵などが生じにくいことから好ましい。具体的には、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルおよび上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物、必要に応じ上述した適宜の添加剤を結着剤と共に、混合(以下、当該混合物を「本混合物」という場合がある)、造粒して顆粒状安定化剤を得る方法、本混合物をローラコンパクターのような圧縮造粒機で圧縮造粒してフレーク状の安定化剤を得る方法、または、本混合物を単軸または多軸の押出し機で溶融押出し、または、ディスクペレッターのような半乾式押出し機で押出し、ペレット状の安定化剤を得る方法などが例示される。
本発明は、熱可塑性ポリマーに配合することにより、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステル、上記(2)で表されるビスフェノール系化合物をそれぞれ単独で用いた場合と比較して、熱可塑性ポリマーの加工安定性を相乗的に向上できる安定化剤を提供することができる。ここで、加工安定性が向上されたことは、本発明の安定化剤を配合した熱可塑性ポリマー組成物を混練し、ペレット状に成形後、このペレットについてメルトインデクサを用いてメルトフローレート(MFR)値を測定することで評価できる。
ここで、本発明の安定化剤を配合する熱可塑性ポリマーとしては、特に制限されるものではなく、たとえば、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−αオレフィン三元共重合体などのポリプロピレン系樹脂、たとえば高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−MMA共重合体などのポリエチレン系樹脂、メチルペンテンポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン三元共重合体、ハイインパクトポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などが挙げられ、中でも成型加工性の良さから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましく、とりわけ、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
ここで、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を含有するポリオレフィンを意味し、具体的には、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
本発明において熱可塑性ポリマーとしてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、ポリプロピレン系樹脂は1種類で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
α−オレフィンとしては、通常、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、たとえば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられ、さらに好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、たとえば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体などが挙げられる。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、たとえば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、たとえば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分などが挙げられ、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分としては、たとえば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分などが挙げられる。なお、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分におけるエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの含有量は、通常、0.01〜20重量%である。
また、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体としては、たとえば、プロピレン−エチレンブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体などが挙げられる。
また本発明において熱可塑性ポリマーとしてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、好ましくは、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。さらに好ましくは、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。
本発明の安定化剤は、上述した熱可塑性ポリマー100重量部に対し、0.01〜5重量部配合することが好ましく、0.01〜2重量部配合することがより好ましい。本発明の安定化剤の配合量が熱可塑性ポリマー100重量部に対し0.01重量部未満である場合には、加工安定化効果が不十分となる虞があり、また、本発明の安定化剤の配合量が熱可塑性ポリマー100重量部に対し5重量部を超える場合には、ポリマー表面に安定化剤が現れるブリード現象が起こりやすくなる傾向にあるためである。
熱可塑性ポリマーに本発明の安定化剤を配合する方法は、公知の方法であれば特に限定されないが、たとえば熱可塑性ポリマーと安定化剤とをドライブレンドした後、押出し機で溶融押出しする方法、安定化剤を、たとえばシクロヘキサンなどの溶剤に溶解させた溶液を溶液重合終了後のポリマー溶液に添加し、脱溶媒することで安定化剤が配合された熱可塑性ポリマーを得る方法などが挙げられる。
本発明はまた、熱可塑性ポリマーと、当該熱可塑性ポリマー100重量部に対し0.01〜5重量部の上述した本発明の安定化剤とを含有する熱可塑性ポリマー組成物についても提供する。このような本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、上述したように、従来と比較して、加工安定性が改善されたものである。
本発明はさらに、熱可塑性ポリマー100重量部に対し、上述した本発明の安定化剤を0.01〜5重量部配合する熱可塑性ポリマーの安定化方法についても提供する。このような本発明の熱可塑性ポリマーの安定化方法によれば、上述したように従来と比較して熱可塑性ポリマーの加工安定性を向上することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
ビスフェノールモノエステルとして2,4−ジ−tert−ペンチル−6−〔1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート(スミライザーGS(F)、住友化学株式会社製)99.92g、およびビスフェノール系化合物として2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール)を0.08gを乳鉢にて混合して、粉末状の安定化剤Aを調製した。安定化剤Aについて液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノール系化合物のエリア面積は0.17であった。
なお、液体クロマトグラフィ分析は、カラムとしてSumipax A−210EC(3mmφ×15cm、充填剤の径:5μm)を用い、移動相として水とアセトニトリルとの混合溶液を用いて、移動相中のアセトニトリルの割合を75%から0.42%/分ずつ増加させ、アセトニトリル100%になった後、20分保持する条件下で、280nmのUV検出器を用いて保持時間を測定する方法を用いた。
<実施例2>
ビスフェノールモノエステルを99.9g、ビスフェノール系化合物を0.1g用いたこと以外は実施例1と同様にして、粉末状の安定化剤Bを調製した。安定化剤Bについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は0.19であった。
<実施例3>
ビスフェノールモノエステルを99.5g、ビスフェノール系化合物を0.5g用いたこと以外は実施例1と同様にして、粉末状の安定化剤Cを調製した。安定化剤Cについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は0.77であった。
<実施例4>
ビスフェノールモノエステルを98g、ビスフェノール系化合物を2g用いたこと以外は実施例1と同様にして、粉末状の安定化剤Dを調製した。安定化剤Dについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は3.68であった。
ここで、図1は、実施例4で得られた安定化剤Dの液体クロマトグラフを示している。図1に示されるように、安定化剤Dの液体クロマトグラフでは、保持時間48.642分、58.325分の時点で2つのピーク(ピーク1、ピーク2)が観察される。この2つのピークについての面積、高さおよび面積%を表1に示す。
Figure 0005004135
<実施例5>
ビスフェノールモノエステルを80g、ビスフェノール系化合物を20g用いたこと以外は実施例1と同様にして、粉末状の安定化剤Eを調製した。安定化剤Eについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は36.2であった。
<実施例6>
ビスフェノールモノエステルを70g、ビスフェノール系化合物を30g用いたこと以外は実施例1と同様にして、粉末状の安定化剤Fを調製した。安定化剤Fについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は60.6であった。
<比較例1>
ビスフェノールモノエステルを99.95g、ビスフェノール系化合物を0.05g用いたこと以外は実施例1と同様にして、粉末状の安定化剤Gを調製した。安定化剤Gについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は0.12であった。
<実施例7>
熱可塑性ポリマーとして、プロピレン−エチレンブロック共重合体(MI:9〜10g/10分)(230℃、2.16kg)(住友化学株式会社製)100重量部に、実施例1で得られた安定化剤Aを0.2重量部、ステアリン酸カルシウムを0.05重量部ドライブレンドし、30mm径の単軸押出し機(VS30−28型押出し機、田辺プラスチック社製)を用いて210℃、スクリュー回転数50rpmで混練し、ポリプロピレン組成物のペレットを得た。
得られたペレット5gをメルトインデクサ(L217−E14011、テクノ・セブン社製)で、280℃に加熱したシリンダ内に15分間滞留させた後、280℃、2.16kgの条件下でMFR値を測定した。結果を表3に示す。
<実施例8〜12および比較例2>
実施例7で用いた安定化剤Aに代えて、実施例2〜5および比較例1で得た安定化剤B〜Gを用いた以外は、実施例7と同様に実施した。MFRを測定した結果を表3に示す。
<比較例3>
実施例7で用いた安定化剤Aに代えて、スミライザーGS(F)(住友化学株式会社製)を用いた以外は、実施例7と同様に実施した。なお、図2は、比較例3で用いたスミライザーGS(F)の液体クロマトグラフを示している。図2に示されるように、スミライザーGS(F)の液体クロマトグラフでは、保持時間58.260分の時点に1つのピーク(ピーク3)が観察されるのみである。この1つのピークについての面積、高さおよび面積%を表2に示す。また、MFRを測定した結果を表3に示す(表3中、安定化剤名を「GS」と記載している。)。
Figure 0005004135
<比較例4>
実施例7で用いた安定化剤Aに代えて、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール)を用いた以外は、実施例7と同様に実施した。MFRを測定した結果を表3に示す(表3中、安定化剤名を「EB」と記載している。)。
<比較例5>
安定化剤を配合しなかった以外は実施例7と同様に実施した。MFRを測定した結果を表3に示す。
Figure 0005004135
表3中、「ビスフェノール系化合物のエリア面積」とは、液体クロマトグラフィ分析における、ビスフェノールモノエステルのエリア面積を100としたときの、ビスフェノール系化合物のエリア面積を意味する。なお、比較例4においては、安定化剤中にビスフェノールモノエステルを含有しないため、「ビスフェノール系化合物のエリア面積」を記載していない。また表3には、加工安定性として、MFR値に加え、比較例3のMFR値を100としたときの相対値を示した。MFR値が小さいほど加工安定性に優れることを意味する。
<実施例13>
ビスフェノールモノエステルとして2−tert−ブチル−6−〔1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGM、住友化学株式会社製)99.92g、およびビスフェノール化合物として2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を0.08g用いたこと以外は実施例1と同様にして、粉末状の安定化剤Hを調製した。安定化剤Hについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は0.21であった。
<実施例14>
ビスフェノールモノエステルを98.0g、およびビスフェノール化合物を2.0g用いたこと以外は実施例13と同様にして、粉末状の安定化剤Iを調製した。安定化剤Iについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は3.56であった。
ここで、図3は、実施例14で得られた安定化剤Iの液体クロマトグラフを示している。図3に示されるように、安定化剤Iの液体クロマトグラフでは、保持率31.966分、42.193分の時点で2つのピークが観察される。この2つのピークについての面積、高さおよび面積%を表4に示す。
Figure 0005004135
<実施例15>
ビスフェノールモノエステルを80.0g、およびビスフェノール化合物を20.0g用いたこと以外は実施例13と同様にして、粉末状の安定化剤Jを調製した。安定化剤Jについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は42.7であった。
<比較例6>
ビスフェノールモノエステルを99.95g、およびビスフェノール化合物を0.05g用いたこと以外は実施例13と同様にして、粉末状の安定化剤Kを調製した。安定化剤Kについて、実施例1と同様にして液体クロマトグラフィ分析を行ったところ、ビスフェノールモノエステルのエリア面積100に対するビスフェノールのエリア面積は0.14であった。
<実施例16〜18>
実施例7で用いた安定化剤Aに代えて、実施例13〜15および比較例6で得た安定化剤H〜Kを用いた以外は、実施例7と同様に実施した。MFRを測定した結果を表6に示す。
<比較例7>
実施例7で用いた安定化剤Aに代えて、スミライザーGM(住友化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例7と同様に実施した。なお、図4は比較例7で用いたスミライザーGMの液体クロマトグラフを示している。図4に示されるように、スミライザーGMの液体クロマトグラフでは、保持時間41.918分の時点に1つのピークが観察されるのみである。この1つのピークについての面積、高さおよび面積%を表5に示す。またMFRを測定した結果を表6に示す(表6中、安定化剤名を「GM」と記載している。)。
Figure 0005004135
<比較例8>
実施例7で用いた安定化剤Aに代えて、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を用いたこと以外は実施例7と同様に実施した。MFRを測定した結果を表6に示す(表6中、安定化剤名を「MDP」と記載している。)。
Figure 0005004135
今回開示された実施の形態、実施例および比較例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
実施例4で得られた安定化剤Dの液体クロマトグラフである。 比較例3で用いたスミライザーGS(F)(住友化学株式会社製)の液体クロマトグラフである。 実施例14で得られた安定化剤Iの液体クロマトグラフである。 比較例7で用いたスミライザーGMの液体クロマトグラフである。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    Figure 0005004135
    (式(1)中、R は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、R は、炭素数5のアルキル基を示し、は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表す。)
    で表されるビスフェノールモノエステルから主としてなり、下記式(2)
    Figure 0005004135
    (式(2)中、R〜Rは上述と同様である。)
    で表されるビスフェノール系化合物を含有する樹脂用安定化剤であって、
    該安定化剤を液体クロマトグラフィ分析して得られたクロマトグラフにおいて、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルのエリア面積を100としたとき、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物のエリア面積が0.15〜70である、樹脂用安定化剤。
  2. 安定化剤100重量部あたりの上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルおよび上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物の合計量が95重量部以上である、請求項1に記載の樹脂用安定化剤。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂用安定化剤を製造する方法であって、
    上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物とを混合し、得られた混合物を液体クロマトグラフィ分析して得られたクロマトグラフにおいて、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルのエリア面積を100としたとき、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物のエリア面積が0.15〜70となるように、上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステルと、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物との混合量を調整する、樹脂用安定化剤の製造方法。
  4. 上記式(1)で表されるビスフェノールモノエステル100重量部に対し、上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物を0.1〜45重量部混合する、請求項3に記載の樹脂用安定化剤の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の樹脂用安定化剤を製造する方法であって、
    下記式(2)
    Figure 0005004135
    で表されるビスフェノール系化合物と、下記式(3)
    Figure 0005004135
    (上記式(3)中、Rは上述と同様であり、Rは水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基または下記式(4)
    Figure 0005004135
    (上記式(4)中、Rは上述と同様である。)
    で表される基を表す。)
    で表されるカルボン酸系化合物とをエステル化反応させる工程を含み、
    上記式(2)で表されるビスフェノール系化合物1モルに対して、上記式(3)で表されるカルボン酸系化合物を、当該アクリル酸系化合物のアクリロイル基が0.3〜0.6モルの割合で用いる、樹脂用安定化剤の製造方法。
  6. 熱可塑性ポリマー100重量部に対し、請求項1または2に記載の樹脂用安定化剤を0.01〜5重量部含有する、熱可塑性ポリマー組成物。
  7. 熱可塑性ポリマー100重量部に対し、請求項1または2に記載の樹脂用安定化剤を0.01〜5重量部配合する、熱可塑性ポリマーの安定化方法。
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