JP5003630B2 - 消弧用樹脂加工品、及びそれを用いた回路遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、回路遮断器などの電流遮断時に接点から発生するアークを消弧するために使用される、消弧用樹脂加工品及びこれを用いた回路遮断器に関する。
回路遮断器などにおいて、過剰電流または定格電流の通電時に可動接触子の接点と固定接触子の接点を開離させると、接点間にアークが発生する。このアークを消弧するには、通常、アーク発生部の周囲に、消弧部材からなる消弧室を備えた消弧装置を配設している。そして、アークによって消弧部材を熱分解させて、この消弧部材から発生する熱分解ガスによってアークを消弧している。
これら消弧部材には、不飽和ポリエステル樹脂(特許文献1参照)、メラミン樹脂(特許文献2参照)などの熱硬化性樹脂や、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂(特許文献3参照)などの熱可塑性樹脂などがマトリックス樹脂として主に用いられている。そして、消弧装置の強度、耐圧性、耐熱性、絶縁性などを向上させるため、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に、強化繊維や金属水酸化物などの無機フィラーを添加するといった試みがなされている(特許文献1〜5参照)。しかしながら、無機フィラーの含有量の増加に伴い熱分解ガスの発生量が減少する傾向にあり、消弧性が低下するという問題があった。
一方、下記特許文献6には、水をコア成分とするマイクロカプセルと、アルミナ若しくは水酸化アルミニウムからなる無機充填剤とを含有することを特徴とする電気絶縁用樹脂モールド品が開示されている。
特許第3098042号公報 特開平2−256110号公報 特開平7−302535号公報 特開平8−171847号公報 国際公開第98/36028号パンフレット 特開2003−31063号公報
上記特許文献6に開示された電気絶縁用樹脂モールド品は、水をコア成分とするマイクロカプセルと、アルミナ若しくは水酸化アルミニウムからなる無機充填剤とを含有することで、アーク発生時に、樹脂モールド品の表面が熱分解する際に、マイクロカプセルが破壊されて内部の水(水蒸気)が放出し、樹脂モールド品の表面に遊離炭素が形成されても、その遊離炭素は、アルミナを触媒として水と反応して一酸化炭素或いは炭化水素となるため、遊離炭素の量を少なくすることができ、消孤装置の絶縁性が損なわれにくくできるというものである。しかしながら、マイクロカプセルのコア成分は、樹脂組成物の成形時において、マイクロカプセルの内部から大気中に蒸散し易く、アークの消孤が速やかに行えなかったり、アーク消弧時に発生する熱分解ガスによって消弧装置内の内圧上昇を十分抑制することができないことがあった。また、特許文献6には、アーク消弧時に発生する熱分解ガスによる消弧装置内の内圧上昇を抑制する試みについては何ら検討がされていない。
したがって、本発明の目的は、内圧上昇が少なく、回路遮断時に発生するアークを効率よく消弧できる熱分解ガスを発生でき、更には、その際に起こる温度上昇に耐える耐熱性及び内圧上昇に耐えうる耐圧性を備える消弧用樹脂加工品及びそれを用いた回路遮断器を提供することにある。
本発明の消弧用樹脂加工品は、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)とイミダゾール系硬化剤(B2)と、炭素数2〜8のグリコールを芯物質として含有するマイクロカプセル(C)と、を含む樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)とイミダゾール系硬化剤(B2)との混合物を硬化して得られる樹脂加工品は、強度、耐圧性、耐熱性に優れ、熱分解されると、水素ガス、HO、O及びOの含有量の高い熱分解ガスが発生する。特に、イミダゾール系硬化剤(B2)を使用して得られる樹脂加工品は、耐熱性に優れ、更には、マイクロカプセル(C)の芯物質が大気へ蒸散しにくくなり、マイクロカプセル(C)の常温での安定性が向上する。また、樹脂加工品の表面が熱分解する際、マイクロカプセル(C)が破壊されて内部の芯物質が熱分解し、水素ガスやHOの含有量の高い熱分解ガスが発生するが、このマイクロカプセル(C)の芯物質は分子量が大きく、沸点が高いので、常温環境下で、マイクロカプセルの内部からの芯物質が大気に蒸散し難く、アークの消孤時に、消孤作用の高いガスを効率よく発生できる。このため、上記構成からなる本発明の消孤用樹脂加工品は、強度、耐圧性、耐熱性に優れると共に、アークの消孤時に、消弧作用の高い熱分解ガスを発生できるので、電流遮断時に接点から発生するアークを効率よく消弧でき、消弧装置内の内圧上昇を抑えることができる。
本発明の消弧用樹脂加工品は、前記樹脂組成物が、ガラスファイバー、チタン酸バリウムウィスカー、シリカゲル微粒子、ベーマイト、タルク、カオリンクレイ、マイカ、炭酸マグネシウム及び金属水酸化物から選ばれた1種以上の無機フィラー(D)を、1〜60質量%含有することが好ましい。この態様によれば、樹脂加工品の強度及び耐圧性を向上できる。
本発明の消弧用樹脂加工品は、前記マイクロカプセル(C)が、前記グリコールを7質量%以上含有するものであることが好ましい。この態様によれば、消弧性に優れた熱分解ガスを発生できるので、アークを速やかに消弧することができ、アーク電圧が損なわれにくい。
一方、本発明の回路遮断器は、固定接点を有する固定接触子と、前記固定接触子と接触する可動接点を有し前記固定接触子に対して開閉動作をする可動接触子と、前記固定接触子と前記可動接触子とが開閉動作する際に発生するアークを消弧する消弧装置とを備えた回路遮断器において、前記消弧装置が、上記消弧用樹脂加工品からなることを特徴とする。上記本発明の回路遮断器によれば、電流遮断時に接点から発生するアークを効率よく消弧でき、かつ、消弧装置内の内圧上昇を抑えることができる。このため、小型化で、過負荷遮断や短絡遮断など遮断性能の優れた回路遮断器とすることができる。
本発明の消弧用樹脂加工品は、強度、耐圧性、耐熱性に優れるものであると共に、消弧作用の高い熱分解ガスを発生するので、電流遮断時に接点から発生するアークを効率よく消弧でき、消弧装置内の内圧上昇を抑えることができる。このため、この消弧用樹脂加工品を用いた本発明の回路遮断器は、小型化でき、過負荷遮断や短絡遮断など遮断性能の優れたものとすることができる。
本発明の消弧用樹脂加工品は、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)とイミダゾール系硬化剤(B2)と、炭素数2〜8のグリコールを芯物質として含有するマイクロカプセル(C)と、を含む樹脂組成物を成形して得られたものである。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)としては、特に限定はなく、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、クレゾールフェノールポリグリシジルエーテル、ノボラックフェノールポリグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテルなどが挙げられる。なかでも、低粘度で、マイクロカプセルの混合分散性に優れるという理由からビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。
また、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)のエポキシ当量(g/eq)は、80〜300が好ましく、150〜200がより好ましい。これによれば、低粘度にでき、マイクロカプセルを混合分散させ易くなる。
また、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)の粘度(Pa・s)は、0.5〜30が好ましく、1〜15がより好ましい。これによれば、マイクロカプセルを混合分散させ易くなる。
本発明において、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)と混合する硬化剤としては、ポリアミン系硬化剤(B1)又はイミダゾール系硬化剤(B2)を用いる。特に、イミダゾール系硬化剤(B2)を用いて得られる樹脂加工品は、耐熱性が高く、更には、マイクロカプセルの芯物質が大気へ蒸散しにくくなって、マイクロカプセルの常温での安定性が向上する。
ポリアミン系硬化剤(B1)としては、特に限定はなく、脂肪族アミンや芳香族アミンが挙げられる。
上記脂肪族アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミノプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノヒドロキシエチルジエチレントリアミン、ビスヒドロキシエチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレングリコール・ビスプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、m−キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、トリエタノールアミン、テトラメチルグアニジン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
上記芳香族アミンとしては、フェニレンジアミン、ジアミノアニソール、トルエンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノビスエヘキィサミチレントリアミ、ジフェニルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α−メチルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリジメチルアミノメチルベンゼン、ピリジン等が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤(B2)としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、エポキシ−イミダゾールアダクト、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4(5)−メチルイミダゾール等が挙げられる。なかでも、マイクロカプセルの混合分散性が可能な粘度域であるという理由から、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾールが好ましい。
ポリアミン系硬化剤(B1)の配合量(phr)は、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)100質量部に対し30〜75質量部が好ましく、45〜65質量部がより好ましい。また、イミダゾール系硬化剤(B2)の配合量(phr)は、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)100質量部に対し、1〜10質量部が好ましく、3〜6質量部がより好ましい。これによれば機械特性、電気的特性に優れた硬化物が得られる。
マイクロカプセル(C)は、炭素数2〜8のグリコールを芯物質として含有するものである。炭素数2〜8のグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びこれらの誘導体等が一例として挙げられる。
水を芯物質の主成分とするマイクロカプセルでは、常温環境下でマイクロカプセルの皮膜から、芯物質が気化してしまい安定性にかける。炭素数2〜8のグリコールは、分子量が大きく、常温放置時の安定に優れ、且つ熱分解によって水素ガスおよびH2O含有量の高い熱分解ガスを発生できるので、アークの消孤時に消孤作用の高いガスを発生できる。このため、アークの速やかな消弧をより強化できると同時に、内圧上昇の抑制も強化できる。
芯物質は、マイクロカプセル(C)の全量中に7質量%含有することが好ましく、8〜60質量%含有することがより好ましい。芯物質の含有量がマイクロカプセル(C)の全量に対して7質量%未満であるとアークの冷却効果が十分発揮されないことがある。60質量%を超えると、マイクロカプセルの皮膜が薄くなることに起因して、芯物質が大気中に蒸散し易くなり、消孤時に芯物質によるアークの冷却効果が十分得られないことがある。
マイクロカプセル(C)の芯物質には、炭素数2〜8のグリコールの他に、ゼラチンなどを更に含んでいてもよい。これらの含有量は、芯物質100質量部に対し10質量部未満が好ましく、5質量部未満がより好ましい。5質量部を超えると、アークの消孤時に消孤作用の高いガスを発生させにくくなる。
マイクロカプセル(C)の皮膜は、スチレン系ポリマー中にエポキシ系ポリマーを0.1〜30質量%含有する組成物で構成されていることが好ましく、スチレン系ポリマー中にエポキシ系ポリマーが1〜10質量%含有する組成物で構成されていることが特に好ましい。エポキシ系ポリマーの含有量が0.1質量%未満であると、皮膜の網目構造が疎になり易く、芯物質が大気中に蒸散し易くなる。また、30質量%を超えると、スチレン系ポリマーとエポキシ系ポリマーとが分離してしまい、皮膜の形成が困難である。上記範囲にすることで、皮膜の網目構造が密となって、芯物質が大気中により蒸散し難くなり、アークの消孤時に、水素ガスやHOの含有量のより高い熱分解ガスを発生させることができる。
マイクロカプセル(C)の粒径は、1〜700μmが好ましく、10〜300μmがより好ましい。粒径が上記範囲内であれば、成形品内に均一に分散させやすくなる。
マイクロカプセル(C)は、樹脂組成物中に1質量%含有することが好ましく、7〜50質量%がより好ましい。樹脂組成物中におけるマイクロカプセル(C)の含有量が1質量%未満であると上記効果がほとんど得られないことがある。
本発明の消弧用樹脂加工品に用いられる上記樹脂組成物は、強化繊維、チタン酸バリウムウィスカー、シリカゲル微粒子、ベーマイト、タルク、カオリンクレイ、マイカ、炭酸マグネシウム及び金属水酸化物から選ばれた1種以上の無機フィラー(D)を含有することが好ましい。これらの無機フィラーを含有することによって、消弧用樹脂加工品の強度、耐圧性及び耐熱性が向上するとともに、寸法安定性を向上させることができる。
例えば、上記強化繊維としては、ガラス繊維等が挙げられ、強度、及び樹脂や無機充填材との密着性の点からガラス繊維を用いることが好ましい。これらの強化繊維は、単独でも、2種以上を併用して用いてもよく、また、シランカップリング剤などの公知の表面処理剤で処理されたものでもよい。また、ガラス繊維は、表面処理されており、更に樹脂で被覆されていることが好ましい。これにより、樹脂との密着性を更に向上することができる。
また、上記金属水酸化物としては、粒径が1〜10μmであれば樹脂との分散性の向上が挙げられ、内圧上昇を抑制できるという理由から水酸化アルミニウム、ベーマイトおよび水酸化マグネシウムが好ましい。
そして、無機フィラー(D)は、樹脂組成物中に1〜60質量%含有することが好ましい。無機フィラー(D)の含有量が1質量%未満であると、無機フィラーによる効果がほとんど得られず、60質量%を超えると、熱分解ガスの発生量が低減するので消弧性が劣る。
また、本発明の消弧用樹脂加工品に用いられる上記樹脂組成物には、本発明の目的である耐熱性、耐圧性、消弧性、強度などの物性を著しく損わない範囲で、上記以外の常用の各種添加成分、例えば結晶核剤、着色剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤などの添加剤を添加することができる。
本発明の消弧用樹脂加工品は、上記樹脂組成物を成形することで得られる。樹脂組成物の成形方法は従来公知の方法が用いられ、例えば、樹脂組成物を溶融混練してペレット化した後、従来公知の射出成形、押出成形、真空成形、インフレーション成形などによって成形することができる。溶融混練は、単軸或いは二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの通常の溶融混練加工機を使用して行うことができる。
このようにして得られる本発明の消弧用樹脂加工品は、強度、耐圧性、耐熱性に優れるものであると共に、消弧作用の高い熱分解ガスを発生するので、電流遮断時に接点から発生するアークを効率よく消弧でき、消弧装置内の内圧上昇を抑えることができる。このため、この消弧用樹脂加工品を用いた本発明の回路遮断器は、小型化でき、過負荷遮断や短絡遮断など遮断性能の優れたものとすることができる。
次に、本発明の回路遮断器について説明する。
本発明の回路遮断器は、固定接点を有する固定接触子と、前記固定接触子と接触する可動接点を有し、前記固定接触子に対して開閉動作をする可動接触子と、前記固定接触子と前記可動接触子とが開閉動作する際に発生するアークを消弧する、上記消弧用樹脂加工品からなる消弧装置とを備えたものである。
このような、回路遮断器の一例としては、例えば、図1〜3に示すものなどが具体例として挙げられる。図1は、回路遮断器の破断斜視図であり、図2は、消弧室の斜視図であり、図3は、消孤装置の断面図である。
図1において、電源側端子4が一体形成された固定接触子5の反対側の端部は、可動接触子1に沿うようにU字状に折り返され、この折り返し部5aの先端に可動接触子1の可動接点6と接触する固定接点7が設けられている。また、固定接触子5には可動・固定接点6,7間に発生したアークを消弧装置に向かって導くアークホーン9が取り付けられている。
消弧装置は、グリット2と、消弧室13とで構成されている。グリット2は、所定間隔で、絶縁体12に複数枚(図では5枚)積み重ねられており、可動接触子1がグリッド2に形成されたV字状の切欠2aを通して、図1に実線で示した閉成位置と鎖線で示した開離位置との間で開閉運動をするように構成されている。また、可動接触子1とグリッド2との間に、上記本発明の消弧用樹脂加工品で形成された消弧室13が設置されている。
図1及び図3において、絶縁体12は、左右の一対の側壁12aと、これらを上部及び下部でそれぞれ互いに連結する連結部12b及び12cとからなり、耐アーク性のメラミン系モールド樹脂により一体成形されている。左右の側壁12aの対向する内面には、断面方形の条溝14が側壁12aの可動接触子1側端面(図3の右側端面)から斜めに上昇するように多段に形成されており、グリッド2は左右の側壁12aに跨がるようにして条溝14に圧入されている。
一方、消弧室13は、左右一対の側壁13aと、左右の側壁13aの上端部間をグリッド2の切欠2aに沿って円弧状に結ぶ前壁13bとを備えている。また、消弧室13には、消弧装置と開閉機構との間を仕切る隔壁15と、固定接触子5の上面を覆う絶縁カバー16とが一体形成されている。隔壁15には、可動接触子1の開閉運動経路に沿ってスリット15aが設けられ、絶縁カバー16には固定接点7を露出させる窓穴16aが設けられている。そして、消弧室13は、絶縁体12の内側に、隔壁15が絶縁体側壁12aの端面に接するように図3の右側から組み合わされ、絶縁カバー16を介して固定接触子5上に支持され、回路遮断器の図示しない本体カバーで押さえられて固定される。この状態において、消弧室13の側壁13aは、可動接触子1の両側に位置するグリッド2の両脚部(切欠2aの両側部分)を内側から覆い、また前壁13bは図3に示すように、最上段のグリッド2の切欠2aの奥部に位置する。
上記構成において、電流遮断時には可動・固定接点6、7間にはアークが発生し、このアークはグリッド2に引き込まれて消弧されるが、その際、グリッド2の両脚部は消弧室13の側壁13aで内側から覆われ、アークから遮蔽されるので、アークによるこの部分の溶融、飛散が防止されるとともに、アークに近接する側壁13aからは消弧性の高い熱分解ガスが発生し、アークの冷却が促進されて速やかに消弧する。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(商品名;「828」 ジャパンエポキシレジン(株)社製)43質量部と、アミン系硬化剤(商品名;「ST12」 ジャパンエポキシレジン(株)社製)22質量部と、芯物質を50%含有するマイクロカプセル(芯物質:プロピレングリコール ニッセイテクニカ社製)35質量部と、を撹拌混合し、注型して実施例1の消弧用樹脂加工品を得た。
(実施例2)
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(商品名;「828」 ジャパンエポキシレジン(株)社製)60質量部と、イミダゾール系硬化剤(構造式:2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール 商品名;「EMI24」 ジャパンエポキシレジン(株)社製)5質量部と、芯物質を50%含有するマイクロカプセル(芯物質:エチレングリコール ニッセイテクニカ社製)35質量部と、を撹拌混合し、注型して実施例2の消弧用樹脂加工品を得た。
(実施例3)
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(商品名;「828」 ジャパンエポキシレジン(株)社製)40質量部と、イミダゾール系硬化剤(構造式:2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール 商品名;「EMI24」 ジャパンエポキシレジン(株)社製)5質量部と、芯物質を50%含有するマイクロカプセル(芯物質:エチレングリコール ニッセイテクニカ社製)35質量部と、無機フィラーとして、水酸化マグネシウム(商品名;「N−4」 神島化学工業(株))10質量%及びガラスファイバー(商品名;「03.JAFT2Ak25」 旭ファイバーグラス社製)10質量%と、を撹拌混合し、注型して実施例3の消弧用樹脂加工品を得た。
(比較例1)
実施例1において、マイクロカプセルの代わりに水酸化アルミニウムを用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の消弧用樹脂加工品を得た。
(比較例2)
実施例2において、マイクロカプセルの代わりに水酸化アルミニウムを用いた以外は実施例2と同様にして比較例2の消弧用樹脂加工品を得た。
(比較例3)
実施例3において、マイクロカプセルの代わりに水酸化アルミニウムを用いた以外は実施例3と同様にして比較例3の消弧用樹脂加工品を得た。
(比較例4)
不飽和ポリエステル樹脂(商品名;「7527」 ユピカ(株)社製)25質量部と、Al(OH)35質量部と、スチレン−酢ビ共重合体5質量部と、重合開始剤としてt−ブチルパーオキサイド−Z0.3質量部と、粘度調整剤4.7質量部とをニーダーで混練しながら、無機フィラーとしてガラスファイバー(商品名;「03.JAFT2Ak25」 旭ファイバーグラス社製)30質量部を添加分散し、バルクモールドコンパンドを得た。このバルクモールドコンパンドを成形し、140〜150℃にて重合反応させて、比較例4の消弧用樹脂加工品を得た。
実施例1〜3、比較例1〜4の消弧用樹脂加工品の成形加工性を評価した。また、この消弧用樹脂加工品を、図1の回路遮断器の消弧室13として用い、短絡試験、耐熱性試験を行った。
短絡試験は、閉成状態において、3相440V/50kAの条件で通電して可動接触子を開離させてアーク電流を発生させ、このアーク電流の遮断性(消弧性)と消弧装置の破損の有無(内圧性)、表面状態(耐熱性)を確認した。遮断性は、短絡電流が遮断されることで合格とした。
上記試験結果を、表1にまとめて記す。
本発明の回路遮断器の破断斜視図を示す一例である。 同回路遮断器に用いる消弧室の斜視図である。 同回路遮断器に用いる同消弧装置の断面図である。
符号の説明
1:可動接触子
2:グリット
4:電源側端子
5:固定接触子
6:可動接点
7:固定接点
9:アークホーン
12:絶縁体
13:消弧室
14:条溝

Claims (4)

  1. グリシジルエーテル型エポキシ化合物(A)と、
    イミダゾール系硬化剤(B2)と
    炭素数2〜8のグリコールを芯物質として含有するマイクロカプセル(C)と、
    を含む樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする消弧用樹脂加工品。
  2. 前記樹脂組成物が、ガラスファイバー、チタン酸バリウムウィスカー、シリカゲル微粒子、ベーマイト、タルク、カオリンクレイ、マイカ、炭酸マグネシウム及び金属水酸化物から選ばれた1種以上の無機フィラー(D)を、1〜60質量%含有する、請求項1に記載の消弧用樹脂加工品。
  3. 前記マイクロカプセル(C)が、前記グリコールを7質量%以上含有するものである、請求項1又は2に記載の消弧用樹脂加工品。
  4. 固定接点を有する固定接触子と、前記固定接触子と接触する可動接点を有し前記固定接触子に対して開閉動作をする可動接触子と、前記固定接触子と前記可動接触子とが開閉動作する際に発生するアークを消弧する消弧装置とを備えた回路遮断器において、
    前記消弧装置が、請求項1〜3のいずれか一つに記載の消弧用樹脂加工品からなることを特徴とする回路遮断器。
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