JP2003031063A - 電気絶縁用樹脂モールド品 - Google Patents

電気絶縁用樹脂モールド品

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JP2003031063A
JP2003031063A JP2001218082A JP2001218082A JP2003031063A JP 2003031063 A JP2003031063 A JP 2003031063A JP 2001218082 A JP2001218082 A JP 2001218082A JP 2001218082 A JP2001218082 A JP 2001218082A JP 2003031063 A JP2003031063 A JP 2003031063A
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resin
microcapsule
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resin molded
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JP2001218082A
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Yuji Mizutani
雄二 水谷
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的特性の低下や機械的強度の低下を極力
防止する 【解決手段】 樹脂モールド品1の内部には多数のマイ
クロカプセル2が分散している。樹脂モールド品1は、
マレイン酸系不飽和ポリエステル樹脂に少量の硬化剤
(過酸化物)を加えた後、粉末状の炭酸カルシウム及び
水酸化アルミニウムからなる無機充填剤、ステアリン酸
亜鉛等の油脂塩からなる離型剤、着色剤を入れて良く混
ぜ合わせ、最後にマイクロカプセルとガラス繊維とを添
加して混練器によりパテ状に練られた不飽和ポリエステ
ル樹脂プリミックス(以下、プリミックス)から構成さ
れている。前記マイクロカプセル2は、第1及び第2の
マイクロカプセル3及び4をコア成分として内包してい
る。第1のマイクロカプセル3は、エポキシ樹脂の主剤
5をコア成分とし、前記第2のマイクロカプセル4はエ
ポキシ樹脂用硬化剤6をコア成分として内包している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配電器具や電気機
器に使用される電気絶縁用樹脂モールド品に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】周知のように、配線用
遮断器は、正常状態にある電気回路を開閉したり、過負
荷或いは短絡の際に電気回路を自動的に遮断して当該電
気回路を保護したりするための装置である。前記配線用
遮断器は、開閉機構や引きはずし装置、接触子等をケー
ス及びカバー内に収納して構成されている。
【0003】この場合、前記ケース及びカバーは電気絶
縁性に優れた樹脂モールド品から構成されており、これ
により操作上の安全性を高めている。特に、前記ケース
やカバーには、短絡電流遮断の際のガス圧や熱衝撃に十
分耐えられるような耐衝撃性及び耐熱性に優れたモール
ド樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂プリミックス
(以下、プリミックス)が従来より採用されている。
【0004】前記プリミックスは、不飽和ポリエステル
樹脂に、この樹脂を硬化させるために必要な少量の硬化
剤を加えた後、粉末状の炭酸カルシウム及び水酸化アル
ミニウムからなる無機充填剤、離型剤、着色剤等を入れ
て良く混ぜ合わせ、最後に補強材としてのガラス繊維を
加えて混練器によりパテ状に練ったものである。そし
て、前記プリミックスを150℃程度に加熱した成形型
に入れて圧縮成形機により加圧して硬化させることによ
り樹脂モールド品が形成される。
【0005】この場合、前記プリミックスの混合比率
は、不飽和ポリエステル樹脂が約25質量%、無機充填
剤約50質量%、離型材が約2質量%、ガラス繊維が約
20質量%、その他が約3質量%となっている。
【0006】ところで、前記配線用遮断器は、「JIS
C 8370」によってその性能が規定されており、それ
らの諸性能を満足するか否かを検証するための形式試験
が規定されている。形式試験項目の一つに短絡遮断試験
がある。この試験は、定格遮断電流及び定格投入電流、
即ち、想定される最大の遮断電流及び投入電流に対する
遮断性能及び投入性能を検証するためのものであり、最
も過酷な試験の一つである。
【0007】この短絡遮断試験では、開閉機構を閉状態
にした上で試験回路に遮断電流を流して接点を開ける動
作(開極動作)が行われる。この開極動作では、接点か
ら発生する多量のアークにより前記遮断器の各部がダメ
ージを受けることが分かっている。例えば、プラズマ状
態のアークは7000℃を越える高温となる。このた
め、ケースやカバーなどの樹脂モールド品の表面が熱分
解によりただれて、凹凸が生じる。また、アーク発生部
位から少し離れた箇所においても導電性を有する遊離炭
素が形成されて樹脂モールド品の絶縁抵抗が著しく低下
する。
【0008】また、アーク発生に伴いケース内の空気が
熱膨張して内部圧力が急激に上昇する。この結果、ケー
スやカバーに過大な力が加わり、クラックへと発展する
おそれがある。一方、配線用遮断器が実際に使用される
電気回路では、負荷や配線によるインピーダンスが存在
するため、限流されて短絡が生じても上記した短絡遮断
試験ほど大きなダメージを受けることはない。このた
め、繰り返し遮断操作を安全に行なうことができる場合
が多い。
【0009】しかし、1回の遮断操作により受けるダメ
ージが小さくても、その回数の増加に伴い疲労現象が発
生する。特に、上記短絡遮断試験により樹脂モールド品
の表面に凹凸が生じたり内部に微小なクラックが発生す
る等のダメージを受けている場合には、樹脂モールド品
の強度や電気的特性を低下させ、開閉耐久回数の低下を
招くおそれがあった。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、電気的特性の低下や機械的強度の低
下を小さく抑えることができる電気絶縁用モールド品を
提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の電気
絶縁用樹脂モールド品は、接着剤樹脂をコア成分とする
第1のマイクロカプセルと、前記接着剤樹脂の硬化剤を
コア成分とする第2のマイクロカプセルとを含有するこ
とを特徴とする。
【0012】上記構成によれば、樹脂モールド品に微小
なクラックが発生すると、そのクラックにより第1及び
第2のマイクロカプセルが破壊されて内部の接着剤樹脂
及び硬化剤が放出され、この結果、接着剤樹脂が硬化剤
と共にクラック発生部位に入り込んで硬化する。
【0013】この場合、第1及び第2のマイクロカプセ
ルをコア成分とする第3のマイクロカプセルを含有する
ように構成することが好ましい(請求項2の発明)。上
記構成によれば、クラックにより最外殻の第3のマイク
ロカプセルが破壊されることに伴い第1及び第2のマイ
クロカプセルが一緒に破壊されるため、接着剤樹脂及び
硬化剤の両方を放出させることができる。
【0014】また、第1のマイクロカプセルに内包され
ている接着剤樹脂を硬化させる適当量の硬化剤を第2の
マイクロカプセルに内包すると共に、第3のマイクロカ
プセルに、第1及び第2のマイクロカプセルを略同数ず
つ内包するように構成すると良い(請求項3の発明)。
【0015】上記構成によれば、クラックの発生に伴い
放出される接着剤樹脂と硬化剤の割合を比較的適量とす
ることができ、接着剤樹脂を旨く硬化させることができ
る。
【0016】更に、第1のマイクロカプセルの粒径と第
2のマイクロカプセルの粒径とは異なるように構成する
ことが好ましい(請求項4の発明)。
【0017】上記構成によれば、第1及び第2のマイク
ロカプセルは、径小な方が径大な方の間に入り込むよう
にして、即ち、第1及び第2のマイクロカプセルは略交
互に配列した状態で第3のマイクロカプセルに内包され
る。このため、第3のマイクロカプセルが破壊されたと
きに第1及び第2のマイクロカプセルの一方のみが偏っ
て破壊されることを極力防止できる。
【0018】また、本発明の請求項5の電気絶縁性樹脂
モールド品は、水をコア成分とするマイクロカプセル
と、アルミナ若しくは水酸化アルミニウムからなる無機
充填剤とを含有することを特徴とする。
【0019】上記構成によれば、アーク発生時に樹脂モ
ールド品の表面が熱分解すると、前記マイクロカプセル
が破壊されて内部の水(水蒸気)が放出される。このた
め、アーク発生に伴い樹脂モールド品の表面に遊離炭素
が形成されても、その遊離炭素は、アルミナを触媒とし
て水と反応し、一酸化炭素或いは炭化水素となるため、
遊離炭素の量を少なくすることができ、絶縁抵抗の低下
を緩和することができる。尚、水酸化アルミニウムは、
加熱されると結晶水を放出してアルミナになる。従っ
て、無機充填剤として水酸化アルミニウムを使用した場
合でも、上述した作用と同様の作用が得られる。
【0020】この場合、前記マイクロカプセルの表面に
は、離型剤が付着されていると良い(請求項6の発
明)。上記構成によれば、離型剤の大きな表面張力によ
り、樹脂成形時に加熱されて粘度が低下しているモール
ド樹脂内を前記マイクロカプセルが表層に向かって移動
しやすくなる。従って、樹脂モールド品の表層付近にマ
イクロカプセルが集中するため、樹脂モールド品の熱分
解時にマイクロカプセルが効率良く破壊されて内部の水
を放出し易くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施例を図
1ないし図3を参照しながら説明する。この第1の実施
例は電気絶縁用樹脂モールド品(以下、樹脂モールド
品)である配線用遮断器のケース及びカバーに適用した
ものである。尚、前記ケース及びカバーは周知の構成で
あるため図示を省略する。
【0022】まず、図1は、樹脂モールド品1の断面を
模式的に示す図であり、前記樹脂モールド品1の内部に
は多数のマイクロカプセル2が分散している。前記樹脂
モールド品1は、例えばマレイン酸系不飽和ポリエステ
ル樹脂に少量の硬化剤(過酸化物)を加えた後、粉末状
の炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムからなる無機
充填剤、ステアリン酸亜鉛等の油脂塩からなる離型剤、
着色剤を入れて良く混ぜ合わせ、最後に前記マイクロカ
プセル2とガラス繊維とを添加して混練器によりパテ状
に練られた不飽和ポリエステル樹脂プリミックス(以
下、プリミックス)から構成されている。従来構成と同
様に、前記プリミックスを150℃程度に加熱した成形
型に入れて圧縮成形機により加圧して硬化させることに
より前記樹脂モールド品1が形成される。
【0023】本実施例においては、不飽和ポリエステル
樹脂、無機充填剤、マイクロカプセル2、ガラス繊維、
その他(離型剤及び着色剤)は、それぞれ25質量%、
40質量%、12質量%、20質量%、3質量%の割合
で混ぜ合わされている。
【0024】一方、前記マイクロカプセル2は、第1及
び第2のマイクロカプセル3及び4をコア成分として内
包している。即ち、前記マイクロカプセル2は、本発明
の第3のマイクロカプセルとして機能するものである。
この場合、前記マイクロカプセル2内には、第1及び第
2のマイクロカプセル3及び4が数個〜30個程度内包
されている。
【0025】また、前記第1のマイクロカプセル3は、
接着剤樹脂としてのエポキシ樹脂の主剤5をコア成分と
し、前記第2のマイクロカプセル4はエポキシ樹脂用硬
化剤6をコア成分として内包している。エポキシ樹脂の
主剤5には、粘度が非常に低い液状エポキシ樹脂、例え
ば液状ビスフェノール系エポキシ樹脂が採用されてい
る。この場合、前記主剤5の粘度は、反応性希釈剤を添
加することにより調整することができる。また、前記硬
化剤6は、硬化温度が低く且つ粘度が低い液状のもの例
えばポリアミド樹脂等のアミン硬化剤が採用されてい
る。
【0026】そして、本実施例では、前記マイクロカプ
セル2内の全ての第1のマイクロカプセル3に内包され
ている主剤5を硬化させるに適当な量の硬化剤6が、全
ての第2のマイクロカプセル4に内包されるように構成
されている。更に、マイクロカプセルの大きさは概ね
0.1〜100μmであるが、本実施例では、第1のマ
イクロカプセル3に比べて第2のマイクロカプセル4の
方が径小となるように構成している。
【0027】尚、好ましくは、1個の第1のマイクロカ
プセル3内の主剤5を硬化させるに必要な量の硬化剤6
が1個の第2のマイクロカプセル4内に内包されるよう
に調整すると共に、1個のマイクロカプセル2に内包さ
れる第1及び第2のマイクロカプセル3及び4の数を略
同じとなるように調整する。
【0028】また、前記マイクロカプセル2〜4のシェ
ル材料には、プリミックスを混練する際、また加熱条件
下で圧縮成形により樹脂モールド品を形成する際に応力
が加わっても破裂しないようにな耐熱性、機械的強度を
有する例えば熱硬化性樹脂が採用されている。
【0029】さて、図2に示すように、上記構成の樹脂
モールド品1の表面に傷7が生じると、その傷発生部位
に応力が集中する。このため、配線用遮断器の遮断動
作、開閉動作が繰り返し行なわれると、樹脂モールド品
1の傷発生部位から内部に向かってクラック8が発生す
る。
【0030】このとき、クラック8がマイクロカプセル
2を横切ると、マイクロカプセル2が破壊され、これに
伴い第1及び第2のマイクロカプセル3及び4が破壊さ
れる。すると、前記第1及び第2のマイクロカプセル3
及び4の内部から主剤5及び硬化剤6が放出され、両者
は混ざり合いながら毛細管現象によってクラック8内に
流入する。特に、前記樹脂モールド品1のプリミックス
とエポキシ樹脂は性質がよく似ており、また、主剤5及
び硬化剤6はいずれも粘性が低いため、主剤5及び硬化
剤6はクラック8面を良く濡らした状態でクラック8内
に広がる。このため、クラック8内で硬化したエポキシ
樹脂によりクラック8を強固に接着することができる。
【0031】ここで、本実施例の樹脂モールド品1及び
従来の樹脂モールド品の疲労特性について、図3を参照
しながら説明する。図3は、矩形状の試験片に対して引
張荷重を繰り返し加えたときの、前記試験片が破壊され
るまでの回数を実験的に求めた結果である。図3におい
て、縦軸は与えた引張荷重値(従来の樹脂モールド品の
引張破断荷重値を100%としたときの百分率で示す)
を、横軸は回数を示している。図3から明かなように、
同じ大きさの引張荷重を加えたときに破壊に至るまでの
回数は、本実施例の樹脂モールド品1よりも従来の樹脂
モールド品の方が少なく、その差は引張荷重が小さくな
るほど大きくなる。
【0032】例えば、70%の引張荷重値を加えたとき
に従来品が破壊するまでの回数は約104回であるが、
本実施品が破壊するまでの回数は約107回である。配
線用遮断器の通常動作時に樹脂モールド品が受ける引張
荷重の大きさは引張破断荷重値よりも概ね小さい。この
ことから、従来の樹脂モールド品に比べて本実施例の樹
脂モールド品の方が寿命が長く、疲労特性が向上してい
ることがわかる。
【0033】また、本発明者は、本実施例及び従来の樹
脂モールド品からなる配線用遮断器のケース及びカバー
に対して機械的な耐久性能の比較試験を行なった。この
試験は、通常の配線用遮断器において開閉機構が発生す
る力の約3倍の力が発生するようにばね定数を増大させ
たモデル品を作成し、無通電状態でハンドルを開閉させ
たときに開閉機構を支持する部分が破損するまでの回数
を比較したものである。この結果、従来品では、ハンド
ルの開閉動作を約12000回行なうと破損したが、本
実施品では30000回行なっても破損しなかった。
【0034】このように本実施例によれば、樹脂モール
ド品1の内部に主剤5及び硬化剤6をそれぞれ内包する
マイクロカプセル3,4を混入させたので、樹脂モール
ド品1にクラック8が発生したときに前記マイクロカプ
セル3,4を破壊して主剤5及び硬化剤6をクラック8
の内部に入り込ませて修復(接着)することができる。
【0035】ところで、第1及び第2のマイクロカプセ
ル3及び4を別々に樹脂モールド品1の内部に混入させ
ると、両マイクロカプセル3,4のうちの一方のみが破
壊されるおそれがある。これに対して本実施例では、主
剤5を内包する第1のマイクロカプセル3及び硬化剤6
を内包する第2のマイクロカプセル4を1つのマイクロ
カプセル2にまとめて内包させ、前記マイクロカプセル
2を樹脂モールド品1の内部に混入させた。従って、前
記マイクロカプセル2が破壊されたときに前記第1及び
第2のマイクロカプセル3及び4を一緒に破壊させるこ
とができる。このため、主剤5及び硬化剤6を適度に混
合した状態で放出させることができるためクラック8内
でエポキシ樹脂を旨く硬化させることができる。
【0036】また、第1のマイクロカプセル3に比べて
第2のマイクロカプセル4の方が径小となるように構成
すると、両カプセル3,4をマイクロカプセル2に内包
したときに、第1のマイクロカプセル3の間に第2のマ
イクロカプセル4が配置される。即ち、マイクロカプセ
ル2内において第1及び第2のマイクロカプセル3及び
4が略交互に配置されることになる。このため、上記構
成を採用すると、マイクロカプセル2の破壊部位によっ
て第1及び第2のマイクロカプセル3及び4の一方のみ
が多く破壊されてしまいエポキシ樹脂が旨く硬化しない
ということを極力防止できる。
【0037】図4は本実施例の第2の実施例を示すもの
であり、第1の実施例と異なるところを説明する。この
第2の実施例に係る樹脂モールド品11には、マイクロ
カプセル2に代えてマイクロカプセル12が含まれてい
ると共に、粉末状のアルミナからなる無機充填剤が含ま
れているところに特徴を有する。
【0038】この場合、前記マイクロカプセル12は、
コア成分としての水13が内包されている。また、前記
マイクロカプセル12の表面には離型剤14が付着され
ている。前記離型剤14は例えばポリエチレン樹脂から
構成されている。そして、加熱して溶融したポリエチレ
ン樹脂の中にマイクロカプセル12を浸漬し、取り出し
て放置することにより、温度の低下と共に硬化したポリ
エチレン樹脂を前記マイクロカプセル12の表面に付着
させている。
【0039】尚、ポリエチレン樹脂は分子量が大きくな
るに応じて融点が高くなることから、本実施例では、マ
イクロカプセル12よりも融点が低くなるような分子量
のポリエチレン樹脂が離型剤として採用されている。
【0040】また、本実施例にかかる樹脂モールド品1
1は、不飽和ポリエステル樹脂が約25質量%、無機充
填剤が約40質量%、マイクロカプセル12が約12質
量%、ガラス繊維が約20質量%、その他(離型剤及び
着色剤)が約3質量%という成分比からなるプリミック
スから構成されている。そして、第1の実施例と同様
に、前記プリミックスを150℃程度に加熱した成形型
に入れて圧縮成形機により加圧して硬化させることによ
り前記樹脂モールド品11が形成されている。
【0041】このとき、マイクロカプセル12表面の離
型剤14が加熱されて表面張力が大きくなるため、加熱
されて粘度が低くなったプリミックス中の不飽和ポリエ
ステル樹脂の中を表面方向に移動する。従って、成形さ
れた樹脂モールド品11においては、表層にマイクロカ
プセル12が集中し、内部に残るマイクロカプセル12
はわずかとなる。
【0042】さて、例えば短絡遮断試験の開極動作時に
接点から多量のアークが発生すると、樹脂モールド品1
1の表面に導電性のある遊離炭素が形成される。このと
き、前記樹脂モールド品11では、熱分解により表層付
近のマイクロカプセル12が破壊されて内部の水13
(水蒸気)が放出されるため、遊離炭素と水13が無機
充填剤であるアルミナを触媒として反応し、一酸化炭素
や炭化水素が形成される。
【0043】また、本発明者は上記構成の樹脂モールド
品11及び従来の樹脂モールド品からなる配線用遮断器
のケース及びカバーに対して電気絶縁性能の比較試験を
行なった。この試験は、ケース内に開閉機構及び接点を
設けたモデル品を作成し、電流を遮断して接点からアー
クを発生させたときの、ケース及びカバー表面の絶縁抵
抗を測定したものである。この結果、従来品の絶縁抵抗
は1〜10MΩであったのに対して、本実施品の絶縁抵
抗は100〜1000MΩであり、本実施品の方が絶縁
抵抗が大きかった。
【0044】このように、本実施例では、アーク発生に
伴い形成される遊離炭素の量を速やかに取り除くことが
できるため、樹脂モールド品11の絶縁抵抗の低下を極
力抑えることができる。
【0045】尚、本発明は上記した実施例に限定される
ものではなく、例えば次のような変形が可能である。第
2の実施例では無機充填剤としてアルミナを用いたが、
水酸化アルミニウムを無機充填剤として用いても良い。
水酸化アルミニウムは、加熱されると結晶水を放出して
アルミナになるため、第2の実施例と同様の作用、効果
が得られる。
【0046】プリミックスを構成する樹脂は、不飽和ポ
リエステル樹脂に限らず、エポキシ樹脂等でも良い。ま
た、プリミックスのように種々の成形素材を予め混合し
ておくものに限らず、注型時に各種素材を混合するもの
でも良い。
【0047】また、第1及び第2のマイクロカプセルを
それぞれ別個に樹脂モールド品に含有させても良い。更
に、樹脂モールド品は、第1の実施例と第2の実施例と
を組み合わせた構成であっても良い。このような構成に
よれば、自己修復性及び電気絶縁性を向上させることが
できる。
【0048】本発明は、配線用遮断器のケース、カバ
ー、クロスバーの他、モールド変圧器、モールド計測
器、電磁継電器、モールドモータなどを構成する各種の
電気絶縁用樹脂モールド品に適用できる。
【0049】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
の請求項1の電気絶縁性樹脂モールド品によれば、接着
剤樹脂をコア成分とする第1のマイクロカプセルと、前
記接着剤樹脂の硬化剤をコア成分とする第2のマイクロ
カプセルとを含有し、クラックが発生した場合に、その
クラック発生部位に接着剤樹脂を硬化剤と共に入り込ま
せて硬化させることによりクラック発生部位を自己修復
するように構成したので、電気的強度の低下を極力防止
することができる。
【0050】また、本発明の請求項5の電気絶縁性樹脂
モールド品によれば、水を内包するマイクロカプセル
と、アルミナ若しくは水酸化アルミニウムとを添加した
ので、アーク発生時に樹脂モールド品の表面に形成され
る遊離炭素の量を少なく抑えることができ、電気的特性
の低下を極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す電気絶縁用樹脂モ
ールド品の断面を示す模式図
【図2】樹脂モールド品にクラックが入ったときのマイ
クロカプセルの作用を説明するための図
【図3】図1に示す樹脂モールド品と従来の電気絶縁用
樹脂モールド品における疲労特性の違いを説明するため
の図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
図中、1,11は電気絶縁用樹脂モールド品、2は第3
のマイクロカプセル、3は第1のマイクロカプセル、4
は第2のマイクロカプセル、5はエポキシ樹脂(接着剤
樹脂)、6は硬化剤、12はマイクロカプセル、13は
水、14は離型剤を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:16 B29K 105:16 505:02 505:02 Fターム(参考) 4F204 AA36 AB03 AB07 AB11 AB16 AC01 AH33 FA01 FB01 FF01 FF06 5G303 AA08 AB03 AB12 CA09 CA11 5G305 AA05 AA13 AB03 AB16 BA09 CA12 CA15 CC02 CC03 CD01 CD02 CD08 5G333 AA11 AB07 AB22 CA02 CB08 CC15 DA04 DA18 DA21

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接着剤樹脂をコア成分とする第1のマイ
    クロカプセルと、前記接着剤樹脂の硬化剤をコア成分と
    する第2のマイクロカプセルとを含有することを特徴と
    する電気絶縁用樹脂モールド品。
  2. 【請求項2】 第1及び第2のマイクロカプセルをコア
    成分とする第3のマイクロカプセルを備え、前記第3の
    マイクロカプセルを含有することを特徴とする請求項1
    記載の電気絶縁用樹脂モールド品。
  3. 【請求項3】 第2のマイクロカプセルには、第1のマ
    イクロカプセルに内包されている接着剤樹脂を硬化させ
    る適当量の硬化剤が内包され、第3のマイクロカプセル
    には、第1及び第2のマイクロカプセルが略同数ずつ内
    包されていることを特徴とする請求項2の電気絶縁用樹
    脂モールド品。
  4. 【請求項4】 第1のマイクロカプセルの粒径と第2の
    マイクロカプセルの粒径は異なることを特徴とする請求
    項2または3記載の電気絶縁用樹脂モールド品。
  5. 【請求項5】 水をコア成分とするマイクロカプセル
    と、アルミナ若しくは水酸化アルミニウムからなる無機
    充填剤とを含有することを特徴とする電気絶縁用樹脂モ
    ールド品。
  6. 【請求項6】 マイクロカプセルの表面には離型剤が付
    着されていることを特徴とする請求項5記載の電気絶縁
    用樹脂モールド品。
JP2001218082A 2001-07-18 2001-07-18 電気絶縁用樹脂モールド品 Pending JP2003031063A (ja)

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