JP5002145B2 - 情報記録媒体用ガラス基板成形装置及び情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体用ガラス基板成形装置及び情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス成形装置及びガラス成形方法に関するものであり、特には、情報記憶媒体ディスク用のガラス基板又は結晶化ガラス基板を成形するための装置及び方法に関する。
レンズ等の光学素子、情報記憶媒体ディスク用のガラス基板等は、通常、ダイレクトプレス法またはリヒートプレス法のいずれかの方法によりガラス塊(溶融ガラス)をプレス成形して製造される。
ダイレクトプレス法は、所定重量の溶融ガラスの温度を成形温度域まで降温させてから、ガラス塊を型(成形型であり、後述する上型又は下型を含む)によりプレス成形する方法である。また、リヒートプレス法は、溶融ガラスを冷却固化させて得た所定重量のガラス塊を再加熱して、成形温度域まで昇温させてから、ガラス塊を型によりプレス成形する方法である。
上記のプレス成形方法により、ガラス塊を成形型によりプレス成形して、レンズや情報記憶媒体ディスク用のガラス基板等のガラス成形品を得る工程において、成形型は溶融ガラスから熱を供給される。熱を供給された成形型は温度が上昇するため、連続的にガラス成形品を製造する場合、成形型を冷却する装置が必要となる。仮に、成形型を冷却せずにガラス成形品を製造した場合は、ガラス成形品が成形型に張り付いてしまい、ガラス成形品の表面精度を著しく低下するため所望のガラス成形品を得ることができない。従って、図7に示すように、成形型を冷却可能なガラス成形装置が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
図7は、成形型を冷却することが可能な従来のガラス成形装置である。図7に示すように、このガラス成形装置510は、上型513に熱交換室524を有する。熱交換室524内では、プレス面523周辺の熱を吸収してプレス面523を冷却する熱交換用流体X(例えば、水粒子を含んだ空気)が流動・循環する。
上記ガラス成形装置510を用いた場合、通常、下型511のプレス面531の中央部に載置される溶融ガラスYは、プレス面523によってプレス(加圧)されることによりプレス面523の端部まで延伸される。この場合、溶融ガラスYからプレス面523を介して伝導された熱は、上型513を介して熱交換用流体Xに吸収されることにより、プレス面523が冷却されるとともに、溶融ガラスYの温度も低下することになる。従って、最初に溶融ガラスYと触接するプレス面523の中心部が最も温度が高くなり、プレス面523の端部に行くに従いプレス面523の温度は中心部と比較して低くなる。
特開平10−212127号公報
しかしながら、熱交換室524は、プレス面523の全体を均等に冷却するように底面部525がプレス面523と平行に形成されており、最も冷却に必要なプレス面523の中心部とプレス面523の中心部に比べて冷却する必要がないプレス面523の端部とが均等に冷却される。従って、プレス面全体が溶融ガラスYをプレスするために好ましい温度となっていないため、溶融ガラスYがプレス面523の端部に延伸されるまでに溶融ガラスYが固化してしまう伸び不良が発生する。また、上記の場合、溶融ガラスYが端部に延伸されるまでに時間がかかるため、成形効率が好ましいものとはいえない。
また、上記のガラス成形装置510のように平面のプレス面525を用いる物と異なるが、両凸レンズや両凹レンズを成形したい場合でも熱交換室524がプレス面に応じた形状でなく、プレス面523全体が溶融ガラスYをプレスするために好ましい温度となっていないため、高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することは望めない。
更に、熱交換室524がプレス面を冷却させる機能を持つ上述したガラス成形装置510とは異なり、下型511のプレス面531に載置されたガラスゴブを軟化させてプレス成形を行うガラス成形装置の場合、上型513(又は下型511の少なくともどちらか)に高温流体を循環させる熱交換室524を設けることになる。この場合も、底面部(下型511であれば天井部)とプレス面523(下型511であればプレス面531)とが平行に形成されると、プレス面523全体の温度が溶融ガラスYをプレスするために好ましい温度となっていないため、高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することは望めない。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、プレス面全体がガラスをプレスするために好ましい温度となり、高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能なガラス成形装置及びガラス成形方法を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1) ガラスをプレスするプレス面を有する型を備えるガラス成形装置であって、前記型は、反プレス面が外側から内側に向かうに従い連続的に及び/又は複数段階的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成されている部分を有するガラス成形装置。
(1)の発明によれば、型は反プレス面が外側から内側に向かうに従い連続的に及び/又は複数段階的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成されているので、例えば、通常プレス面の中央部に載置されるガラスをプレスするプレス面から伝導した熱を反プレス面において吸収し、その吸収した熱を外界と熱交換してプレス面を冷却する場合、最も熱が吸収されることが望まれる反プレス面の中央部で最も熱が吸収され、熱の吸収が反プレス面の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、熱の吸収が適度にされることになる。従って、プレス面全体がガラスをプレスするために好ましい温度となり、高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。凸レンズの型の場合、プレス面の形状によって外側から内側に向うに従い型の肉厚が薄くなる形状を有している従来例があるが、本発明は少なくとも反プレス面の形状によって肉厚を変化させるという点で従来例とは明確に区別される。
ここで、反プレス面とは、図1に示すように、ガラスaをプレスするプレス面2を有する型1において、プレス面2に対してガラスa方向とは反対側の面3をいう。
(2) 前記型は、前記反プレス面を内壁の一部とする熱交換室を形成し、前記熱交換室の内部は、その周辺部と熱交換を行うための熱交換用流体を循環させることができる(1)に記載のガラス成形装置。
(2)の発明によれば、型は反プレス面が外側から内側に向かうに従い連続的に及び/又は複数段階的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成され、更に、熱交換用流体を循環させる熱交換室を形成し、熱交換室の内壁の一部は上記反プレス面となるように構成しているので、例えば、通常プレス面の中央部に載置されるガラスをプレスするプレス面から伝導した熱を反プレス面において吸収してプレス面を冷却する場合、最も熱が吸収されることが望まれる反プレス面の中央部で最も熱が熱交換用流体に吸収され、熱の吸収が反プレス面の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、熱が熱交換用流体に適度に吸収されることになる。
また、例えば、固化したガラス(例えば、ガラスゴブ)を軟化させてプレス成形を行うガラス成形装置の場合、熱交換室で高温流体を循環させることになるが、熱交換室から最も熱が供給されることが望まれる反プレス面の中央部で最も熱が熱交換用流体から供給され、熱の供給が反プレス面の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、熱が熱交換用流体から適度に供給されることになる。
以上より、(2)の発明によれば、プレス面全体がガラスをプレスするためにより好ましい温度となり、より高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
なお、上記したように、反プレス面とは、ガラスをプレスするプレス面を有する型において、プレス面に対してガラス方向とは反対側の面をいうが、特に、図2に示すように、ガラスbをプレスするプレス面2を有する型4において熱交換室5を形成する場合、プレス面6に対してガラスb方向とは反対側の面であって、型4から最初に空間に開放される(不連続な)面7(便宜的に太線で示す)が、反プレス面に相当する。
(3) 前記熱交換室は、略円錐台形状又は略円錐形状をなしている(2)に記載のガラス成形装置。
(4) 前記型は、前記熱交換室に前記熱交換用流体を導入する熱交換用流体導入管を有し、前記熱交換用流体導入管は、その終端部が前記熱交換室の反プレス面の中央部付近まで延設されている(2)又は(3)に記載のガラス成形装置。
(4)の発明によれば、熱交換室に熱交換用流体を導入する熱交換用流体導入管を有し、熱交換用流体導入管は、その終端部が前記熱交換室の反プレス面の中央部付近まで延設されている。従って、例えば、ガラスをプレスするプレス面から伝導した熱を反プレス面において吸収してプレス面を冷却する場合、最も熱の吸収が望まれる反プレス面の中央部付近に熱交換用流体が放出されるので、反プレス面の中央部付近は熱の吸収が更に促進される。一方、熱の吸収が反プレス面の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、一旦熱吸収(熱交換)された熱交換用流体が循環されるので、熱の吸収が適度に行われることになる。
また、例えば、固化したガラス(例えば、ガラスゴブ)を軟化させてプレス成形を行うガラス成形装置の場合、熱交換室で高温流体を循環させることになるが、熱交換室から最も熱の供給が望まれる反プレス面の中央部付近に熱交換用流体が放出されるので、反プレス面の中央部付近は熱の供給が更に促進される。その一方、熱の供給が反プレス面の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、一旦熱供給(熱交換)された熱交換用流体が循環されるので、熱の供給が適度に行われることになる。
以上より、(4)の発明によれば、プレス面全体がガラスをプレスするためにより好ましい温度となり、より高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
(5) 前記熱交換用流体導入管の直径と前記熱交換室の最外径との比が1:20から15:20である(4)に記載のガラス成形装置。
(6) 前記熱交換室に前記熱交換用流体を送入する送入手段と、前記送入手段を制御する送入制御手段と、前記プレス面周辺部の温度を測定する温度測定センサと、を備え、前記送入制御手段は、前記温度測定センサによって測定された前記プレス面周辺部の温度に基づいて、前記熱交換室に送入する前記熱交換用流体の量を制御する(2)から(5)のいずれかに記載のガラス成形装置。
(7) 前記型は、前記熱交換室から前記熱交換用流体を外部に導出するための熱交換用流体導出管を有し、前記熱交換用流体導出管は、前記熱交換室の反重力方向に向かって最上部に連通されるものである(2)から(6)のいずれかに記載のガラス成形装置。
(7)の発明によれば、熱交換用流体導出管は、熱交換室の反重力方向に向かって最上部に連通されるので、熱交換室のエア溜りが防止される。従って、熱交換された熱交換用流体が外部に順調に導出されるので、プレス面全体がガラスをプレスするためにより好ましい温度となり、より高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
(8) 前記熱交換用流体は、水であることを特徴とする(2)から(7)のいずれかに記載のガラス成形装置。
(8)の発明によれば、型は反プレス面が外側から内側に向かうに従い連続的に及び/又は複数段階的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成され、更に、水を循環させる熱交換室を形成しているので、例えば、通常プレス面の中央部に載置されるガラスをプレスするプレス面から伝導した熱を反プレス面において吸収してプレス面を冷却する場合、最も熱が吸収されることが望まれる反プレス面の中央部で最も熱が水に吸収され、熱の吸収が反プレス面の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、熱が水に適度に吸収されることになる。従って、プレス面全体がガラスをプレスするためにより好ましい温度となり、より高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
(9) 前記型は、前記プレス面が平面部を有することを特徴とする(1)から(8)のいずれかに記載のガラス成形装置。
(10) (1)〜(9)のいずれかのガラス成形装置を用いたガラス成形方法。
本発明によれば、型は反プレス面が外側から内側に向かうに従い連続的に及び/又は複数段階的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成されているので、例えば、通常プレス面の中央部に載置されるガラスをプレスするプレス面から伝導した熱を反プレス面において吸収し、その吸収した熱を外界と熱交換してプレス面を冷却する場合、最も熱が吸収されることが望まれる反プレス面の中央部で最も熱が吸収され、熱の吸収が反プレス面の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、熱の吸収が適度にされることになる。従って、プレス面全体がガラスをプレスするために好ましい温度となり、高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
以下、本発明のガラス成形装置及びこのガラス成形装置を用いて実施するガラス成形方法の実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
[ガラスの製造装置]
図3は、本発明の第1の実施形態に係るガラス成形装置の概略を示す一部破断の正面図、図4は、本発明の第1の実施形態に係るガラス成形装置の概略構成を示す分解図である。
図3に示すように、ガラス成形装置10は、溶融ガラスAを載置する下型30と、この下型30に対向して配置され溶融ガラスAをプレス(加圧)する上型20と、上型20の温度を測定する温度センサ40と、上型20を冷却(熱交換)するための熱交換用流体Bを上型20に導入する熱交換用流体導入管60と、熱交換用流体Bを上型20に送入するポンプ80と、ポンプ80を制御するための制御回路100と、上型20から熱交換用流体Bを外部に導出する熱交換用流体導出管120と、を備えている。
本実施形態では、上型20は、図示しない駆動手段によって上下動されるようになっているが、下型30が駆動されるものであれば、上型20は固定されるものであってもよい。
また、上型20は、後述する溶融ガラスAをプレスする第一上型210と、当該第一上型210に密着して第一上型210上に配置されてスペーサとなる第二上型230と、当該第二上型230上に密着して配置され熱交換室270を有する第三上型250と、から構成される。なお、第一上型210と第二上型230と第三上型250とは、図示しないビスで留めてあるが、第一上型210と第二上型230と第三上型250とは、それぞれが接着されていてもよく、更には第一上型210と第二上型230と第三上型250とが、一体となっているものでもよい。
第一上型210は、円柱状に形成されており、第二上型230から突出して形成されている。この第一上型210は、その下方に、下型30(の後述するプレス面32)とともに溶融ガラスAをプレスするプレス面212を有する。なお、上記ガラス成形装置10は、磁気ディスクのガラス基板を成形するためのものであるため、プレス面212は平面部を有している。
第二上型230は、中心部に円柱状の凹部が形成された円柱状であり、第一上型210と密着している円盤状の円盤状部232と、円盤状部の端部から突出して形成されている突出部234と、から構成されている。この第二上型230は、第一上型210及び第三上型250と同一軸上に設けられ、更に、第一上型210と第三上型250との間に設けられている。すなわち、第二上型230は、第一上型210と第三上型250とのスペーサとして設けられている。そして、第三上型250が溶融ガラスAをプレス面212にてプレス成形する際に、溶融ガラスAからプレス面212を経由して第一上型210に、更には第一上型210から第二上型230に熱が伝導されるので、第二上型230は、熱の緩衝体としての役割を果たすことになる。
第三上型250は、三つの段階にかけて縮径する円柱で形成されており、下方にある最も径が小さい円柱は、上記第二上型230と嵌合している。この第三上型250は、その中央の下方部に空洞を有しており、その空洞は、周辺部と熱交換を行うための熱交換用流体Bを循環させることができる熱交換室270となっている。熱交換室270は、上型20の上部からプレス面212と平行するように形成される底面部272の略中心部272aに向かって順次縮径する形状をなすように構成されている。換言すれば、熱交換室270は、底面部272と当該底面部272の端部から斜め上方に向けて傾斜して延設された傾斜部274と反重力方向に向かって最上部である天井部276とを有する。更に換言すれば、この熱交換室270は、略円錐台形状をなしているが、略円錐形状であってもよい。
このように、上型20(の第三上型250の熱交換室270)は、反プレス面の一例である底面部272が外側から内側に向かうに従い連続的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成されている部分を有し、底面部272は内壁の一部として形成されている。
上記のような構成により、通常プレス面2の中央部に載置される溶融ガラスをプレスするプレス面212から伝導した熱を底面部272において吸収してプレス面22を冷却する場合、最も熱が吸収されることが望まれる底面部272の中央部で最も熱が熱交換用流体に吸収され、熱の吸収が底面部272の中央部ほど望まれない反プレス面の端部では、熱が熱交換用流体に適度に吸収されることになる。従って、プレス面212全体が溶融ガラスAをプレスするために好ましい温度となり、高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
また、上記のような熱交換室270の構成により、単なる円柱であるよりも、プレス時の成形圧に対する強度が増すことになる。
更には、プレス間隔が短い場合でも、プレス面212を確実に所定の温度に冷却することができる。
下型30は、円柱状である下型本体31と、下型本体31の上面端部から突出して形成される突出部34とで構成される。また、下型本体31の上面はプレス面32となっている。このプレス面32の中央部には溶融ガラスAが載置されるとともに、プレス面32は、載置された溶融ガラスAを上型20の(第一上型210の)プレス面212とともにプレスする。また、突出部34の上面は平滑面となっている。この下型30は、上型20の第一上型210と略同じ直径となっており、上型20と略同軸に配設されている。そして、上型20のプレス面212とプレス面32とが接近し、プレス面212が突出部34と当接して、プレス面212とプレス面32との間に設けられる間隙が、磁気ディスクのガラス基板の厚さとなるように形成されている。本実施形態において、下型30は、固定されているが、図示しない駆動手段によって、上下動されるようになっていてもよい。
熱交換用流体導入管60は、第三上型250の上面を鉛直方向に貫通し、その終端部62は、熱交換室270の底面部272の中央部272a付近まで延設されている。この熱交換用流体導入管60は、熱交換室270に熱交換用流体Bを導入する。なお、熱交換用流体Bは、常に熱交換室270に導入されるようにしてもよいが、適宜熱交換室270に導入されるようにしてもよく、例えば、溶融ガラスAをプレス成形するときにのみ、熱交換室270に導入されるようにしてもよい。
上記の構成を採用することにより、熱交換室27に熱交換用流体Bを導入する熱交換用流体導入管60を有し、熱交換用流体導入管60は、その終端部が前記熱交換室の反プレス面の中央部付近まで延設されている。従って、例えば、溶融ガラスAをプレスするプレス面212から伝導した熱を底面部272において吸収してプレス面212を冷却する場合、最も熱の吸収が望まれる底面部272の中央部272a付近に熱交換用流体Bが放出されるので、底面部272の中央部272a付近は熱の吸収が更に促進される。一方、熱の吸収が底面部272の中央部272aほど望まれない反プレス面の端部では、一旦熱吸収(熱交換)された熱交換用流体Bが循環されるので、熱の吸収が適度に行われることになる。この結果、プレス面212全体がガラスをプレスするためにより好ましい温度となり、より高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
上記熱交換用流体導入管60の直径と熱交換室270の最大外径となる天井部276の直径との比は、3:20となっているが、1:20から15:20の比が好ましく、更には1.5:20から10:20の比がより好ましく、2:20から6:20の比が最も好ましい。上記の数値限定により、プレス面212全体がガラスをプレスするためにより好ましい温度となり、より高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
本実施形態において、熱交換用流体Bは、水である。ここで、熱交換用流体Bとして水を用いるのは、廉価であり、取り扱う上でも簡単なためである。なお、熱交換用流体Bは、水(水滴を含む)に限らず、他の液体、更には、空気、非酸化性の窒素などの気体であってもよい。特に、水を気化させて気化熱を奪うことにより、上型20を特に効率よく冷却できる。
ポンプ80は、熱交換用流体導入管60の経路上に設けられている。このポンプ80は、熱交換室270に熱交換用流体Bを送入する送入手段の一例である。すなわち、ポンプ80によって、熱交換用流体Bは、熱交換用流体導入管60を介して、熱交換室270に送入される。
温度センサ40は、第一上型210の近傍に設けられており、上型20のうち第一上型210周辺部の温度を測定する。温度センサ40は、熱電対(図示せず)を検出素子とするセンサである。温度センサ40は、異なる細い二種類の金属線を閉回路において接合したもので、この回路に発生した起電力を測定して、測温接点の温度を計測する。そして、温度センサ40は、測定された起電力を検出して制御回路100に検知信号を送信する。なお、温度センサ40は、第一上型210の温度を測定できるものであればよく、例えば、温度によって金属の電気抵抗が変化することを利用して温度を測定するもの、熱放射エネルギーの波長分布と各波長における強さをはかることにより温度を測定するものであってもよい。また、第一上型210の温度を測定できるものであれば、任意の位置に設けることができる。
制御回路100は、送入制御手段の一例であり、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えている。制御回路100は、温度センサ40によって測定された第一上型210周辺部の温度に基づいて、熱交換室270に送入する熱交換用流体Bの量を制御する。すなわち、温度センサ40から送信された検知信号に基づいて、熱交換室270に送入する熱交換用流体Bの量を、ポンプ80を制御することにより制御する。なお、熱交換室270に送入する熱交換用流体Bの量は、温度センサ40によって測定された温度に基づいて、人間によって手動により制御されるようにしてもよい。
熱交換用流体導出管120は、熱交換室270の天井部276にて熱交換室270と連通されている。熱交換室270で熱を吸収した熱交換用流体Bは、熱交換室270から熱交換用流体導出管120を経由して、外部に排出される。
上記の構成により、熱交換用流体導出管120は、熱交換室270の反重力方向に向かって最上部の一例である天井部276に連通されるので、熱交換室270のエア溜りが防止される。従って、熱交換された熱交換用流体Bが外部に順調に導出されるので、プレス面全体がガラスをプレスするためにより好ましい温度となり、より高品質かつ効率的なガラス成形品を成形することが可能となる。
[ガラスの成形方法]
次に、上記のように構成されたガラス成形装置10によって、磁気ディスク状のガラス基板をプレス成形する方法について図3及び図4に基づいて説明する。
まず、図3の型開きの状態で、図示しない配給パイプから所定量の溶融ガラスを下型30に流し込む。流し込まれた溶融ガラスは、下型30のプレス面32の中央部に載置させる。図示しない駆動手段を駆動し、上型20を下に移動させ、下型30に対して上型20を接近させる。すると、溶融ガラスAの上部の一部が上型20のプレス面212の中央部と接触し、溶融ガラスAの表面の上端部のみが部分プレスされる。
その後、上型20を下型30の突出部34に当接(密着)させる。すると、溶融ガラスAは、上型20及び下型30によって押圧されて、同心円状に拡がり、上型20のプレス面212と、下型の32とによって囲まれた空間は、溶融ガラスAがディスク状にプレス成形された状態で隙間なく密に充填される。
次に、成形された磁気ディスクのガラス基板を取り出して、次処理工程へと搬送する。以上の工程を順次繰り返して行うことにより、ディスク状ガラス製品のプレス成形加工を連続的に行う。
なお、本実施形態においては、磁気ディスク状ガラス基板を製造する装置、磁気ディスク状ガラス基板を製造する方法について説明したが、本発明に係るガラスの成形装置及びガラスの成形方法は、磁気ディスク形状以外の他の薄肉板状ガラス製品、さらには肉厚のガラス製品、具体的には、両凸レンズや両凹レンズをプレス成形する場合にも用いることができる。また、ガラス成形装置を四角柱にすることによって、すなわち、上型20や下型30等のガラス成形装置10の部材を四角柱で形成することによって、四角のレンズを成形するための装置として用いることもできる。
また、本実施形態においては、すでに溶解してある溶融ガラスAを下型30に載置させて上型20でプレス成形したが、固化しているガラス塊(例えば、ガラスゴブ)を下型30に備えられた溶融装置で溶解させた後、上型20でプレス成形するようにしてもよい。すなわち、ダイレクトプレス法、リヒートプレス法のいずれにも採用できる。
また、リヒートプレス法の場合、すなわち、固化しているガラス塊をプレス面32に載置させて下型30で溶解させた後、上型20でプレス成形する場合、熱交換室では、上型20又は下型30の少なくともどちらかに熱交換用流体として高温流体が循環されるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、第一上型210、第二上型230、第三上型250、下型30の材質は熱伝導率の小さい材料が望ましく、例えば、グラファイト、タングステン合金、窒化物、炭化物、耐熱金属等、プレスするガラスの適性に合わせて適宜選択すればよい。また、第一上型210、第二上型230、第三上型250、下型30は、電気あるいはガス加熱によりそれぞれ所定の温度に昇温され、保持されるようになっていてもよい。同様に、熱交換用流体導入管60、熱交換用流体導出管120の材質は、耐熱合金、耐酸化性に優れた金属等、適宜選択すればよい。
また、本実施形態においては、上型のみを冷却するガラスの成形装置及びガラスの成形方法について説明したが、上型および下型の両方を冷却するようなガラスの成形装置とするようにしてもよいし、下型のみを冷却するようなガラスの成形装置とするようにしてもよい。
[第2の実施形態]
次に、本発明に好適な第2の実施形態について図面に基づいて説明する。
なお、以下の実施形態においては、前記第1の実施形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図5は、本発明の第2の実施形態の好適な一例を示すものであり、ガラス成型装置の概略を示す一部破断の正面図である。第2の実施形態のガラス成形装置310は、その上型20が、反プレス面が外側から内側に向かうに従い複数段階的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成されている点において、第1の実施形態のガラス成形装置10と異なる。
[第3の実施形態]
次に、本発明に好適な第3の実施形態について図面に基づいて説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態の好適な一例を示すものであり、ガラス成形装置の概略を示す一部破断の正面図である。第3の実施形態のガラス成形装置410は、(熱交換室250が形成された)第三上型250、温度センサ40、熱交換用流体導入管60、ポンプ80、制御回路100、熱交換用流体導出管120が備えられておらず、更に、第二上型230の反プレス面の一例である突出部234が外側から内側に向かうに従い連続的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成されている点において、第1の実施形態のガラス成形装置10と異なる。なお、本実施形態において、ガラス成形装置410は、その突出部234が外側から内側に向かうに従い複数段階的に肉厚が薄くなる形状をなすように構成されているようにしてもよい。
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
本発明に係るガラス成形装置の概略を示す断面図である。 本発明に係るガラス成形装置の概略を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るガラス成形装置の概略を示す一部破断の正面図である。 本発明の第1の実施形態に係るガラス成形装置の概略構成を示す分解図である。 本発明の第2の実施形態に係るガラス成形装置の概略を示す一部破断の正面図である。 本発明の第3の実施形態に係るガラス成形装置の概略を示す一部破断の正面図である。 従来のガラス成形装置の概略を示す一部破断の正面図である。
符号の説明
10,310,410 ガラス成形装置
20 上型
30 下型
32 プレス面
40 温度センサ
60 熱交換用流体導入管
62 終端部
80 ポンプ
100 制御回路
120 熱交換用流体導出管
210 第一上型
212 プレス面
230 第二上型
232 凹部
250 第三上型
270 熱交換室
272a 中央部
272 底面部
274 傾斜部
276 天井部
A 溶融ガラス
B 熱交換用流体

Claims (8)

  1. 溶融ガラスを載置する載置面を有する第1の型と、ガラスをプレスする平面のプレス面を前記載置面に対向して有する第2のを備える情報記録媒体用のガラス基板成形装置であって、
    前記第2の型は、前記プレス面を冷却する反プレス面を内壁の一部とする熱交換室を有し、
    前記ガラス基板成形装置は、前記ガラス基板成形装置の外部と前記反プレス面の略中央とを結ぶ管であって前記熱交換室の周辺部と熱交換を行うための熱交換用流体を前記熱交換室に導入する熱交換用流体導入管を備え、
    前記第2の型は、前記反プレス面の外側から前記反プレス面の内側に向かうに従い連続的に及び/又は複数段階的に、前記プレス面と垂直な方向についての肉厚が薄くなる形状をなすように構成されている部分を有する、情報記録媒体用のガラス基板成形装置。
  2. 前記熱交換室は、略円錐台形状又は略円錐形状をなしている請求項1に記載のガラス基板成形装置。
  3. 前記熱交換用流体導入管は、その終端部が前記熱交換室の反プレス面の中央部付近まで延設されている請求項1又は2に記載のガラス基板成形装置。
  4. 前記熱交換用流体導入管の直径と前記熱交換室の最外径との比が1:20から15:20である請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板成形装置。
  5. 前記熱交換室に前記熱交換用流体を送入する送入手段と、前記送入手段を制御する送入制御手段と、前記プレス面周辺部の温度を測定する温度測定センサと、を備え、
    前記送入制御手段は、前記温度測定センサによって測定された前記プレス面周辺部の温度に基づいて、前記熱交換室に送入する前記熱交換用流体の量を制御する請求項1から4のいずれかに記載のガラス基板成形装置。
  6. 前記第2の型は、前記熱交換室から前記熱交換用流体を外部に導出するための熱交換用流体導出管を有し、
    前記熱交換用流体導出管は、前記熱交換室の反重力方向に向かって最上部に連通されるものである請求項1から5のいずれかに記載のガラス基板成形装置。
  7. 前記熱交換用流体は、水であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のガラス基板成形装置。
  8. 請求項1からのいずれかのガラス基板成形装置を用いた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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