JP2015101516A - ガラス成形品の製造方法および製造装置 - Google Patents

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修志 池永
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Abstract

【課題】成形用金型の温度を精緻に制御することにより、ガラス成形品の品位を向上させることができるガラス成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス成形品の製造方法は、第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程(S10)において、第1温調部を用いて第2金型の中心部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整するとともに第2温調部を用いて第2金型の周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整し、ガラス成形品を順次製造する工程(S20)において、第1温調部を用いて第2金型の中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するとともに第2温調部を用いて第2金型の周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整しつつガラス成形品を順次製造する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ダイレクトプレス法を用いたガラス成形品の製造方法および製造装置に関する。
今日、ガラス製の光学素子は、デジタルカメラ用レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、携帯電話用カメラレンズ、光通信用のカップリングレンズ、各種ミラーなどとして広範にわたって利用されている。かかるガラス製の光学素子は、成形用金型を用いて溶融したガラス素材(溶融ガラス)を加圧成形するプレス成形法により製造されることが多くなってきている。その中でも、成形用金型を用いて溶融ガラスを直接加圧成形してガラス製の光学素子を得るダイレクトプレス法は、高い生産効率を期待できることから注目されている。
ダイレクトプレス法を用いる場合には、高温の溶融ガラスに比べて低い温度を有する成形用金型を用いて挟み込むことで加圧成形を行なう。溶融ガラスは、その温度が低下するに伴って粘度が上昇するため、加圧成形時における溶融ガラスの温度の制御が成形性を高める上で非常に重要となる。加圧成形を繰り返すことにより成形用金型の温度が変動し、これが溶融ガラスの温度に影響を与えてしまうため、成形用金型の温度を制御して成形用金型の温度を安定させることにより、加圧成形時の溶融ガラスの温度を安定させる方法が用いられる。
成形用金型の温度を制御して溶融ガラスを加圧成形するガラス成形品の製造方法が開示された文献として、たとえば、特開2010−254519号公報(特許文献1)、特開2007−302549号公報(特許文献2)、特開2008−13392号公報(特許文献3)が挙げられる。
特許文献1に開示のガラス成形品の製造方法にあっては、溶融ガラスが供給された下型に上型を近接させて溶融ガラスを加圧成形する際に、上型に含まれる成形用金型(上金型)の温度を検知手段によって検知し、検知された結果に基づいて、上金型の温度が所定の温度に保つように、上金型の中央上方に配置された冷却ファンと上金型の周縁部に配置された加熱源とを制御する。上金型の温度上昇時においては加熱源に含まれる熱源をOFFにするとともに冷却ファンを駆動させる。
特許文献2に開示のガラス成形品の製造方法にあっては、溶融ガラスを加圧成形するための型面とは反対側に位置する成形用金型(上金型)の表面を覆うように接触し当該上金型を加熱する加熱源と、当該加熱源の一部を冷却することにより加熱源を介して上金型を冷却する冷却部とを制御することにより成形用金型の温度を制御する。
特許文献3に開示のガラス成形品の製造方法にあっては、上金型と、下型と、ガラス成形品の側面を成形するための側面用金型とを用いて溶融ガラスを加圧成形する際に、側面用金型の温度が下型の温度よりも低くなるように調整する。
特開2010−254519号公報 特開2007−302549号公報 特開2008−13392号公報
ガラス製の光学素子とは異なるが、近年、スマートフォンやタブレット端末に代表されるディスプレイ装置に具備されるカバーガラスのような大型で異形のガラス成形品を製造する場合においてもダイレクトプレス法が採用されている。
ダイレクトプレス法によって下型および上型を用いて連続的に溶融ガラスを加圧成形する場合には、下型においては加圧成形毎に異なるものが用いられるのに対して、上型においては共通のものが繰り返し用いられる。
カバーガラスのような大型で異形(矩形等)のガラス成形品をダイレクトプレス法により製造する場合には、多量の溶融ガラスを金型に供給する必要がある。多量の溶融ガラスが供給された金型は、溶融ガラスからの熱が伝達されることにより温度が上昇する。特に、カバーガラスを連続的に製造する場合には、共通して繰り返し使用する上型に含まれる成形用金型(上金型)に熱が蓄積されていき、上金型の温度が上昇していく。
溶融ガラスを上金型と下型とを用いて加圧成形する場合には、上金型と下型とを近接させた際に形成されるキャビティの中心部から外側に向かうように溶融ガラスが押し広げられる。このように溶融ガラスを押し広げることにより、溶融ガラスの熱は中心部に伝達されやすくなる。このため、上金型の中心部の温度は、周縁部の温度よりも高くなる。
上金型の中心部の温度と周縁部の温度との差が許容値を超える場合には、加圧成形直後の溶融ガラスの温度も中心部と周縁部とでばらつきが生じる。温度のばらつきに起因して中心部と周縁部とで溶融ガラスの熱収縮量が異なることとなるため、上金型の温度分布が適正な範囲から外れる場合には、製造されるガラス成形品に反りが発生し、その品位が低下する。
生産タクトを短縮した場合には、加圧成形時から次の加圧成形時までの時間が短縮されることにより、順次ガラス成形品を複数製造する際に溶融ガラスから熱が伝達される回数が増加する。この結果、生産タクトが長い場合と比較して、上金型の中心部の温度が上昇しやすくなり、上金型の中心部と周縁部とで顕著に温度分布が発生する。
一方、生産タクトを相当程度の長さとする場合においては、上金型の中心部には熱がある程度蓄積されるが、加圧成形後において上金型の周縁部が周辺環境に曝される時間が増加する。これにより、上金型の周縁部が冷却されやすくなり、上金型の中心部と周縁部とで大きな温度分布が発生することになる。
このように生産タクトを相当程度短くしてガラス成形品を製造する場合および生産タクトを相当程度長くしてガラス成形品を製造する場合のいずれにおいても、上金型の中心部と周縁部の温度分布を適正な範囲内にするために上金型の中心部および周縁部のそれぞれを所望の温度となるように、上金型を精緻に温度制御することが要求される。
特許文献1に開示の方法にあっては、上金型の温度上昇時において冷却ファンを用いて上型の中心部を冷却しているが、冷却ファンによって送風された冷気は成形用金型から熱を吸収して熱風となり冷却ファンに向けて膨張する。このため送風効率が低下し、連続して加圧成形する場合には十分に上型の中心部を冷却することができず、上金型の温度上昇を抑制することが困難となる。この結果、上型の中心部と周縁部とで発生する温度分布が適正な範囲から外れることとなり、ガラス成形品に反りが発生しやすくなる。
特許文献2に開示の方法にあっては、加熱源は中心部と周縁部が一体となって構成されているため、加熱源の中心部が冷却された場合には加熱源の周縁部も相当程度冷却されることになる。この際、加熱源の中心部と周縁部とで冷却度合いを調整できないため、当該加熱源の中心部を冷却しつつ、当該加熱源を介して上金型の中心部の温度を適正に調整した場合であっても、上型の周縁部の温度が適正な温度から外れる場合が生じる。この結果、上型の中心部と周縁部とで発生する温度分布が適正な範囲から外れることとなり、ガラス成形品に反りが発生しやすくなる。
特許文献3に開示の方法にあっては、上金型、下型および側面用金型に含まれる加熱源のON/OFFのみを制御することにより上金型等の温度を調整する。上金型は、その内部に設けられた加熱源によって全体が加熱されるため、中心部と周縁部とを独立して加熱することができない。この結果、上金型の中心部と周縁部とで発生する温度分布が適正な範囲から外れることとなり、ガラス成形品に反りが発生しやすくなる。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、成形用金型の温度を精緻に制御することにより、ガラス成形品の品位を向上させることができるガラス成形品の製造方法および製造装置を提供することにある。
本発明に基づくガラス成形品の製造方法は、第1金型に供給される溶融ガラスを、当該第1金型とこれに対向する第2金型とによって挟み込んで加圧成形することにより、ガラス成形品を順次連続的に複数製造するガラス成形品の製造方法であって、上記ガラス成形品を連続的に製造するに先立って、上記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程と、連続的に上記溶融ガラスを加圧成形することにより、上記ガラス成形品を順次製造する工程とを備える。上記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程は、第2金型の外部に配置され、かつ、上記第2金型の中心部の温度を調整可能な第1温調部を用いて、上記第2金型の上記中心部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整するとともに、上記第2金型の外部に配置され、かつ、上記第2金型の上記中心部の周囲に位置する上記第2金型の周縁部の温度を調整可能な第2温調部を用いて、上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整する。上記ガラス成形品を順次製造する工程は、上記第1温調部を用いて上記第2金型の上記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するとともに、上記第2温調部を用いて上記第2金型の上記周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整しつつ、上記ガラス成形品を順次製造する。
上記本発明に基づくガラス成形品の製造方法にあっては、上記第1温調部は、上記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から上記第2金型に接触し上記第2金型の上記中心部を加熱する第1加熱源と、上記第1加熱源を介して上記第2金型の上記中心部を冷却する第1冷却部とを含むことが好ましく、上記第2温調部は、上記第1加熱源から独立し、上記型面とは反対側から上記第2金型に接触し上記第2金型の上記周縁部を加熱する第2加熱源を含むことが好ましい。この場合には、上記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程は、上記第1冷却部を停止させた状態で上記第1加熱源および上記第2加熱源を用いて、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、上記第2金型を加熱する工程と、ダミーとなる上記溶融ガラスを加圧成形しつつ、上記第1加熱源、上記第2加熱源および上記第1冷却部を用いて、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように、上記第2金型を加熱および冷却する工程とを含むことが好まし。さらにこの場合には、上記ガラス成形品を順次製造する工程において、上記第1加熱源を停止させた状態で、上記第1冷却部を用いて上記第2金型の上記中心部を冷却し、上記第2加熱源を用いて上記第2金型の上記周縁部を加熱することが好ましい。
上記本発明に基づくガラス成形品の製造方法にあっては、上記第1温調部は、上記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から上記第2金型の上記中心部を冷却する第2冷却部を含むことが好ましく、上記第2温調部は、上記第2冷却部から独立し、上記型面とは反対側から上記第2金型に接触し上記第2金型の上記周縁部を冷却する第3冷却部と、上記第3冷却部を介して上記第2金型の上記周縁部に熱的に接触して上記第2金型を加熱する第3加熱源とを含むことが好ましい。この場合には、上記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程は、上記第2冷却部および上記第3冷却部を停止させた状態で上記第3加熱源を用いて、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、上記第2金型を加熱する工程と、ダミーとなる上記溶融ガラスを加圧成形しつつ、上記第2冷却部、上記第3冷却部および上記第3加熱源を用いて上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように上記第2金型を加熱および冷却する工程とを含むことが好ましい。さらにこの場合には、上記ガラス成形品を順次製造する工程において、上記第3加熱源を停止させた状態で、上記第2冷却部を用いて上記第2金型の上記中心部を冷却し、上記第3冷却部を用いて上記第2金型の上記周縁部を冷却することが好ましい。
上記本発明に基づくガラス成形品の製造方法にあっては、上記第2冷却部および上記第3冷却部は、内部において冷却媒体が流動することができるように構成された接触式の冷却板を含むことが好ましい。
本発明に基づくガラス成形品の製造装置は、第1金型に供給される溶融ガラスを、当該第1金型とこれに対向する第2金型とによって挟み込んで加圧成形することにより、ガラス成形品を順次連続的に複数製造するガラス成形品の製造装置であって、上記第2金型の外部に配置され、かつ、上記第2金型の中心部の温度を調整可能な第1温調部と、上記第2金型の外部に配置され、かつ、上記中心部の外周に位置する上記第2金型の周縁部の温度を調整可能な第2温調部と、上記第2金型の上記中心部の温度を検知する第1検知手段と、上記第2金型の上記周縁部の温度を検知する第2検知手段と、上記第1温調部および上記第2温調部を制御する制御部とを備える。上記制御部は、上記第1検知手段からの検知結果に基づいて上記第2金型の上記中心部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように上記第1温調部を制御するとともに、上記第2検知手段からの検知結果に基づいて上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように上記第2温調部を制御した後に、上記第1検知手段からの検知結果に基づいて上記第2金型の上記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように上記第1温調部を制御するとともに、上記第2検知手段からの検知結果に基づいて上記第2金型の上記周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように上記第2温調部を制御する。
上記本発明に基づくガラス成形品の製造装置にあっては、上記第1温調部は、上記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から上記第2金型に接触し上記第2金型の上記中心部を加熱する第1加熱源と、上記第1加熱源を介して上記第2金型の中心部を冷却する第1冷却部とを含むことが好ましく、上記第2温調部は、上記第1加熱源から独立し、上記型面とは反対側から上記第2金型に接触し上記第2金型の上記周縁部を加熱する第2加熱源を含むことが好ましい。この場合には、上記制御部は、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整するにあたり、上記第1冷却部を停止させて上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、上記第1加熱源および上記第2加熱源を制御した後に、ダミーとなる上記溶融ガラスを加圧成形しつつ、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように上記第1加熱源、上記第2加熱源および上記第1冷却部を制御することが好ましい。さらにこの場合には、上記制御部は、上記第2金型の上記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、上記第1加熱源を停止させ、上記第2金型の上記中心部を冷却するように上記第1冷却部を制御し、上記第2金型の周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、上記第2金型の上記周縁部を加熱するように上記第2加熱源を制御することが好ましい。
上記本発明に基づくガラス成形品の製造装置にあっては、上記第1温調部は、上記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から上記第2金型の上記中心部を冷却する第2冷却部を含むことが好ましく、上記第2温調部は、上記第2冷却部から独立し、上記型面とは反対側から上記第2金型に接触し上記第2金型の上記周縁部を冷却する第3冷却部と、上記第3冷却部を介して上記第2金型の上記周縁部に熱的に接触して上記第2金型を加熱する第3加熱源とを含むことが好ましい。この場合には、上記制御部は、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整するにあたり、上記第2冷却部および上記第3冷却部を停止させ、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、上記第3加熱源を制御した後に、ダミーとなる上記溶融ガラスを加圧成形しつつ、上記第2金型の上記中心部および上記第2金型の上記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように上記第2冷却部、上記第3冷却部および上記第3加熱源を制御することが好ましい。さらにこの場合には、上記制御部は、上記第2金型の上記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、上記第3加熱源を停止させ、上記第2金型の上記中心部を冷却するように上記第2冷却部を制御し、上記第2金型の上記周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、上記第3加熱源を停止させ、上記第2金型の上記周縁部を冷却するように上記第3冷却部を制御することが好ましい。
上記本発明に基づくガラス成形品の製造装置にあっては、上記第2冷却部および上記第3冷却部は、内部において冷却媒体が流動することができるように構成された接触式の冷却板を含むことが好ましい。
本発明によれば、成形用金型の温度を精緻に制御することにより、ガラス成形品の品位を向上させることができるガラス成形品の製造方法および製造装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係るガラス成形品の製造装置の概略図である。 図1に示す製造装置の平面的なレイアウトを示す図である。 図1に示す上型の詳細な構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態1に係るガラス成形品の製造方法に従ったカバーガラスの製造フローを示す図である。 本発明の実施の形態1に係る上金型の温度変化を示す図である。 第1加熱源、第1冷却部および第2加熱源の動作状態を示す図である。 図4に示す上金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調査する工程のフローを示す図である。 図4に示すガラス成形品を順次製造する工程において上金型の中心部の温度および周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように上金型の温度を調整する際のフローを示す図である。 図4に示す溶融ガラスを切断して下型に供給する工程を示す図である。 図9に示す溶融ガラスを切断して下型に供給する工程の後状態を示す図である。 図4に示す上型を下降させる工程を示す図である。 図4に示す溶融ガラスを加圧成形する工程を示す図である。 図4に示す上型を上昇してガラス成形品を冷却する工程を示す図である。 図4に示すガラス成形品を離型する工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係るガラス成形品の製造装置における上型の詳細な構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係る上金型の温度変化を示す図である。 第2冷却部、第3冷却部、第3加熱源の動作状態を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る上金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調査する工程のフローを示す図である。 本発明の実施の形態2に係るガラス成形品を順次製造する工程において上金型の温度が所定の温度範囲に収まるように上金型の温度を調整する際のフローを示す図である。 本発明の効果を検証するために行なった検証実験の条件および結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の
形態は、スマートフォンやタブレット端末に具備される薄板状のカバーガラスの製造方法および製造装置に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態におけるガラス成形品の製造装置を示す概略構成図である。図2は、図1中に示す製造装置の平面的なレイアウトを示す図である。
図1および図2を参照して、まず、本実施の形態におけるガラス成形品の製造装置100の構成について説明する。なお、ガラス成形品の製造装置100は、いわゆるダイレクトプレス法に基づいてガラス成形品を製造するものである。
本実施の形態に係るガラス成形品の製造装置100は、素材供給部10と、切断部20と、加圧成形部30と、離型部40と、制御部60とを有し、これらが組み合わさって構成されている。
素材供給部10は、ガラス素材を溶融させて溶融ガラスを加圧成形部30に供給する。素材供給部10は、連続溶融炉11と、ノズル部12と、流出管13とを有する。
連続溶融炉11は、ガラス素材を溶融させて溶融ガラスを貯留する。ノズル部12は、連続溶融炉11において貯留された溶融ガラスを流出管13に導入する。流出管13は、その下端に流出口を有しており、その流出口から鉛直下方に向けて連続的に溶融ガラス70を流出させる。
切断部20は、素材供給部10から加圧成形部30に供給される溶融ガラスの量を適切な量に調整する。切断部20は、切断機構としてのカッター21と、カッター駆動機構22とを有する。
カッター21は、流出管13から流出する溶融ガラス70を切断し、当該切断部分を溶融ガラス70と分離させる。カッター21は、一対の平面形状の剪断刃によって構成され、これら一対の剪断刃が流出管13の下方において突き合わされることによって溶融ガラス70を切断する。カッター駆動機構22は、カッター21を駆動する。カッター駆動機構22としては、カッター21を切断動作させることが可能な駆動機構であれば特に限定されないが、たとえば、エアシリンダ、サーボモータ、油圧シリンダ、リニアモータ、ステッピングモータ等が利用される。
加圧成形部30は、第1金型としての下型31、上型32、下型駆動機構33および上型駆動機構34を有する。加圧成形部30は、素材供給部10により供給された溶融ガラスを下型31および上型32を用いて加圧成形する。
下型31は、後述する溶融ガラスを供給する工程において、素材供給部10により供給された溶融ガラスを受け止める。上型32は、後述する加圧成形工程時、下型31と対向して配置される。下型31は、上型32の鉛直下側に配置される。上型32と下型31とを近接させて、上型32に含まれる上金型320(図3参照)と下型31とで挟み込むことにより溶融ガラスが加圧成形される。
下型31および上金型320を形成する材料としては、耐熱合金(ステンレス合金等)、炭化タングステンを主成分とする超鋼材料、各種セラミックス(炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等)、カーボンを含む複合材料等、ガラス成形品を製造するための型として公知の材料の中から適宜選択して用いられる。下型31、上金型320は、同一の材料にて構成されてもよいし、それぞれ別の材料にて構成されてもよい。
下型31および上金型320の表面は、耐久性の向上や、溶融ガラスとの融着の防止を図る観点から、所定の被覆層にて覆われていることが好ましい。被覆層の材料は、特に制限されるものではないが、たとえば、種々の金属(クロム、アルミニウム、チタン等)、窒化物(窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化硼素等)、酸化物(酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化チタン等)等が用いられる。被覆層の成膜方法も、特に制限されないが、たとえば、真空蒸着法やスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等が利用される。
下型駆動機構33は、図1および図2中の矢印で示すDR1方向(水平方向)に下型31を移動させる。これにより、下型31は、素材供給部10から滴下される溶融ガラスを受け止めるための位置(滴下ポジションP1)と、受け止めた溶融ガラスを加圧成形するために上型32と対向する位置(成形ポジションP2)と、ガラス成形品を冷却するための位置(冷却ポジションP3,P4,P5)と、ガラス成形品を取り出すための位置(取り出しポジションP6)との間で移動する。なお、下型31の移動方向は、図2中に示す旋回方向に限定されず、たとえば、直動方向であってもよい。
下型駆動機構33としては、下型31を移動させることが可能な駆動機構であれば特に限定されないが、たとえば、サーボモータ、エアシリンダ、油圧シリンダ、リニアモータ、ステッピングモータ、またはこれらの組み合わせが利用される。図2中では、下型駆動機構33が、ターンテーブル38と、ターンテーブル38を回転駆動させる図示しないモータとによって構成される。
上型駆動機構34は、図1中に矢印で示すDR2方向(鉛直方向)に上型32を移動させる。これにより、上型32は、鉛直上方の位置と鉛直下方の位置との間を往復動することになり、上型32と下型31とが接近および離隔する。なお、このうちの鉛直上方の位置が、ガラス素材の加圧成形の前に上型32が待機する位置であり、このうちの鉛直下方の位置が、下型31とともに溶融ガラスを加圧成形する位置である。上型駆動機構34としては、上型32を移動させることが可能な駆動機構であれば特に限定されないが、たとえば、サーボモータ、エアシリンダ、油圧シリンダ、リニアモータ、ステッピングモータ、またはこれらの組み合わせが利用される。
離型部40は、加圧成形部30により得られるガラス成形品を下型31から取り出す。離型部40は、吸着装置41を有する。吸着装置41は、取り出しポジションP6に移動された下型31と対向するように設けられている。吸着装置41としては、たとえば、真空吸着を利用した公知の手段が利用される。
制御部60は、ガラス成形品の製造装置100の各種機構の動作を制御する。具体的には、上述のカッター駆動機構22、下型駆動機構33、上型駆動機構34、吸着装置41の動作を制御する。制御部60は、カッター21による溶融ガラス70の切断のタイミング、下型31の移動のタイミング、上型32の移動のタイミング、吸着装置41の動作のタイミング等、ガラス成形品の製造に係る一連のシーケンスを制御する。
図3は、図1に示す上型の詳細な構成を示す概略図である。図3を参照して、上型32の詳細な構成について説明する。
図3に示すように、上型32は、第2金型としての上金型320、第1加熱源330、第2加熱源340、第1冷却部350、第1検知手段361および第2検知手段362を含んでいる。第1加熱源330と第1冷却部350は、第1温調部として機能し、第2加熱源340は第2温調部として機能する。
上金型320は、加圧成形時に溶融ガラスと直接接触する部位であり、溶融ガラスを加圧成形する型面321と、その反対側に位置する表面324を有する。表面324は、その中心に位置する中心領域324aと、当該中心領域324aの周囲に位置する周縁領域324bとを有する。
第1加熱源330は、上金型320の型面321とは反対側から上金型320に接触し上金型320の中心部を加熱する。第1加熱源330は、熱板331と、熱源332とを有する。
熱板331は、上金型320の表面324における中心領域324aと接触するように配置される。熱板331は、熱源332からの熱を上金型320の中心部に伝達することにより、上金型320の中心部を加熱する。
熱板331は、上金型321と接触する側の主表面とは反対側の主表面の中央が窪むことにより形成された凹部333を有する。凹部333は、後述する第1冷却部350によって冷却される部分である。
第2加熱源340は、第1加熱源330から独立して、上金型320の型面321とは反対側から上金型320に接触し上金型320の周縁部を加熱する。第2加熱源340は、熱板341と、熱源342とを有する。
熱板341は、上金型320の表面324における周縁領域324bに接触するように配置される。熱板341は、環状形状または枠状形状を有し、熱板331を囲むように配置される。熱板341は、熱源342からの熱を上金型320の周縁部に伝達することにより、上金型320の周縁部を加熱する。
熱源332および熱源342としては、公知の加熱手段が適宜選択して用いられ、たとえば、熱板331および熱板341の内部に埋め込んで使用するカートリッジヒータや、熱板331および熱板341の外側に接触させて使用するシート状のヒータ、赤外線加熱装置、高周波誘導加熱装置等が用いられる。
第1冷却部350は、導入経路352と導出経路353とが設けられた基体351、入口側ポート354、出口側ポート355および導入配管356を含む。
基体351は、熱板331の凹部333を塞ぐように配置される。これにより、凹部333に形成された開放空間と導入経路352と導出経路353とが連通する。
入口側ポート354は、導入経路352に冷却媒体を導入するためのポートであり、一端側が不図示の供給設備に接続されており、他端側が導入経路352の一端に接続されている。
導入配管356は、冷却媒体を凹部333に供給するための配管であり、一端側が導入経路352の他端側に接続されており、他端側が凹部333の底面部333aに近づくように配置されている。
出口側ポート355は、導出経路353から冷却媒体を導出するためのポートであり、一端側が不図示の回収設備に接続されており、他端側が導出経路353の一端に接続されている。
このように、回収設備、入口側ポート354、導入経路352、導入配管356、導出経路353、出口側ポート355および回収設備が接続されることにより、冷却媒体を流動させる回路が形成される。冷却媒体は、制御部60によって不図示のポンプが駆動されることに当該回路内を流動する。
入口側ポート354および導入経路352を介して供給設備から導入配管356に導入された冷却媒体が、導入配管356の他端側から凹部333の表面に吹きつけられることにより、熱板331が冷却される。この際、熱板331を介して上金型320の中央部と冷却媒体とで熱交換が行なわれることとなり、上金型320の中央部が冷却される。
冷却媒体としては、たとえば水を採用することができる。なお、冷却媒体は、水に限定されず、オイル等の液体や、空気、窒素などの気体であってもよい。
第1検知手段361は、たとえば型面321に近接するように上金型320の中心部に埋設されており、型面321近傍における上金型320の中心部の温度を測定する。第2検知手段362は、たとえば型面321に近接するように上金型320の周縁部に埋設されており、型面321近傍における上金型320の周縁部の温度を測定する。
第1検知手段361および第2検知手段362によって検知された検知結果(上金型320の中心部および周縁部の温度)は、制御部60に入力される。
第1検知手段361および第2検知手段362としては、サーミスタ等の温度センサを採用することができる。なお、第1検知手段361および第2検知手段362としては、型面321の温度を非接触で測定可能な非接触温度センサを採用してもよい。
制御部60は、第1加熱源330に含まれる熱源332を制御することにより第1加熱源330の温度を制御することができ、第2加熱源340に含まれる熱源342を制御することにより第2加熱源340の温度を制御することができる。また、制御部60は、不図示のポンプを制御することにより、供給設備から凹部333に供給される冷却媒体の流量を制御することができる。
図4は、本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法に従ったカバーガラスの製造フローを示す図である。図4を参照して、本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法に従ったカバーガラスの製造フローについて説明する。
以下に示す本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法は、いわゆるダイレクトプレス法に基づいてガラス成形品としてのカバーガラスを製造する方法であり、上述した本実施の形態に係るガラス成形品の製造装置100を用いて好適に実施できる。
なお、本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法にあっては、生産タクトを相当程度の長さとする場合を例示し、加圧成形後において上金型320の周縁部が周辺環境に曝される時間が増加することにより上金型320の周縁部が相当程度冷却される場合を例示する。また、本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法にあっては、上金型320の中心部の温度と上金型320の周縁部の温度とがほぼ同じ温度となるように調整する場合を例示する。
本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法に従って製造されたカバーガラスは、そのガラス組成として、50[重量%]以上70[重量%]以下のSiOと、5[重量%]以上15[重量%]以下のAlと、0[重量%]以上5[重量%]以下のBと、2[重量%]以上20[重量%]以下のNaOと、0[重量%]以上10[重量%]以下のKOと、0[重量%]以上10[重量%]以下のMgOと、0[重量%]以上10[重量%]以下のCaOと、0[重量%]以上5[重量%]以下のBaOと、0[重量%]以上5[重量%]以下のTiOと、0[重量%]以上15[重量%]以下のZrOとを含有していることが好ましい。
カバーガラスが上記のようなガラス組成を有していれば、ガラス転移点をTg[℃]とした場合に、加圧成形にてガラスに転写される形状に大きく影響を及ぼす(Tg−30)[℃]以上(Tg+150)[℃]以下の温度範囲において適切なガラス粘性を維持し、良好な転写性を確保した状態で面転写を完了させることができ、またガラスの熱収縮による割れを抑制することができる。
当該ガラスの線膨張係数αは、100[℃]以上300[℃]以下の温度範囲において70[×10−7/℃]以上110[×10−7/℃]以下であることが好ましい。たとえば、100[℃]以上300[℃]以下の範囲で98[×10−7/℃]の線膨張係数αを有するガラスを使用してもよい。また、ガラス粘性をη[dPa・s]とすると、logη=11.0〜14.5であることが好ましい。本実施の形態においては、平板状のカバーガラスを製造する場合を例示するものであるが、上記のような特性を持つガラスは、湾曲した形状を有するカバーガラスの成形に特に適している。
上記ガラス成形品の一例として、スマートフォンに具備されるカバーガラスが挙げられる。カバーガラスは、代表的には、略矩形の平面視を有する平板形状に形成されている。カバーガラスは、略矩形の平面視に限られず、たとえば、矩形の角部が大きく面取りされた形状や多角形状の平面視を有してもよい。カバーガラスは、平板形状に限られず、たとえば、その外縁が全周に渡って一方の側に折り返されることによって、浅底の受け皿形状を有してもよい。
また、カバーガラスの外形は、平面視した状態において、40[mm]×40[mm]以上かつ300[mm]×300[mm]以下に収まる範囲の大きさであることが好ましい。このような範囲内において、後述する本実施の形態におけるガラス成形品の製造方法を好適に用いることができる。
図4に示すように、本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法は、工程(S10)と工程(S20)とを備える。工程(S10)においては、連続的にガラス成形品を製造するに先立って、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する。続いて、工程(S20)において、連続的に溶融ガラスを加圧成形することにより、ガラス成形品を順次製造する。工程(S20)の詳細については後述する。
連続的に溶融ガラスを加圧成形してガラス成形品を順次製造する際においては、共通して繰り返し使用する上金型320に溶融ガラスからの熱が加圧成形毎に伝達されることにより、上金型320の温度は下型31よりも上昇しやすくなる。
一般的に、上金型320の温度が、ガラス転移点(Tg+100)[℃]を超えるような場合においては、溶融ガラスとの間で融着が発生し易くなったり、ガラス成形品において反りが発生しやすくなったりする場合が生じる。一方、上金型320の温度がガラス転移点(Tg−100)[℃]を下回るような場合には、高精度な転写面を形成することが困難になる。
このように、上金型320の温度は転写性および成形性に影響を与えるため、ガラス成形品を順次成形する工程においては、上金型320の温度が所定の温度範囲内に収まるように上金型320の温度を調整しつつガラス成形品を順次製造することが好ましい。この際、上金型320の中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整されるともに、上金型320の周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整されることが好ましい。
なお、上金型320の温度を所定の温度範囲内に収めるためには、連続的にガラス成形品を製造するに先立って、上金型320の経時的な温度が所定の条件を満たすように予備的に調整する必要がある。
図5は、本発明の実施の形態1に係る上金型の温度変化を示す図である。図6は、第1加熱源、第1冷却部および第2加熱源の動作状態を示す図である。図7は、図4に示す上金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調査する工程のフローを示す図である。図8は、図4に示すガラス成形品を順次製造する工程において上金型の中心部の温度および周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように上金型の温度を調整する際のフローを示す図である。図5から図8を参照して、上金型320の温度を制御する方法について説明する。
上金型320の温度を制御するに際には、制御部60は第1温調部としての第1加熱源330および第1冷却部350のON状態およびOFF状態をそれぞれ制御する。また、制御部60は、第2温調部としての第2加熱源340のON状態およびOFF状態を制御する。
ここで第1加熱源330および第2加熱源340のON状態とは、制御部60が熱源332および熱源342の出力を0%〜100%の範囲で適宜制御する状態を指す。第1加熱源330および第2加熱源のOFF状態とは、制御部60が熱源332および熱源342を停止した状態を維持し加熱を停止している状態を指す。また、第1冷却部350のON状態とは、制御部60が不図示のポンプを制御することにより供給設備から凹部333に供給される冷却媒体の流量を0%〜100%の範囲で適宜制御する状態を指す。第1冷却部350のOFF状態とは、制御部が不図示のポンプを停止した状態を維持し冷却を停止している状態を指す。
図5および図6に示すように、時間t0から時間t2までが上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程に相当する。また、時間t2以降がガラス成形品を順次製造する工程に相当する。
図7に示すように、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程においては、まず、工程(S11)において、制御部60は、第1冷却部350を停止させた状態で第1加熱源330および第2加熱源340を用いて上金型320を加熱する。
具体的には、図5および図6に示すように、制御部60は、時間t0からt1かけて、第1加熱源330および第2加熱源340がON状態となり、第1冷却部350がOFF状態となるように制御する。これにより、上金型320の中心部の温度Tcおよび上金型320の周縁部の温度TpがT1[℃]からT2[℃]となるように、上金型320が第1加熱源330および第2加熱源340によって加熱される。ここで、上金型320の中心部の温度Tcは、第1検知手段361によって検知される値であり、上金型320の周縁部の温度Tpは、第2検知手段362によって検知される値である。
続いて、図7に示すように工程(S12)において、制御部60は、第1加熱源330、第2加熱源340および第1冷却部350を用いて上金型320を加熱および冷却する。工程(S12)は、工程(S13)および工程(S14)を含んでいる。工程(S13)においては、ダミーとなる溶融ガラスが下型31に供給される。工程(S14)においては、下型31に供給されたダミーとなる溶融ガラスを上金型320と下型31とによって挟み込むことにより加圧成形する。このように、工程(S12)は、ダミーとなる溶融ガラスを加圧成形しつつ、第1加熱源330、第2加熱源340および第1冷却部350を用いて上金型320を加熱および冷却する。
次に、工程(S15)において、制御部60は、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件が所定の条件を満たすか否かを判断する。ここで、上金型320の経時的な温度変化とは、第1検知手段361および第2検知手段362によってそれぞれ検知された上金型320の中心部および周縁部の温度変化と時間の変化から算出される値である。当該値は、図5に示す時間t1からt2に示す温度曲線のうち温度が下降している部分における各時間での温度曲線の傾きに相当する。
具体的には、図6および図7に示すように、制御部60は、時間t1から時間t2にかけて、第1加熱源330および第2加熱源340がON状態を維持し、第1冷却部350がON状態となるように制御する。
第1温調部において、第1冷却部350内を流動する冷却媒体の流量を急に増加させると、上金型320の温度が急激に低下することが起こり得る。このため、本実施の形態においては、上型32と下型31とを用いてダミーとなる溶融ガラスを順次加圧成形することを繰り返しながら、溶融ガラスからの熱を上金型320に蓄積させつつ、徐々に上金型320の温度を冷却していく。
具体的には、制御部60は、徐々に熱源332の出力を減少させつつ、溶融ガラスを順次加圧成形しながら、第1冷却部350を流動する冷却媒体の流量を徐々に増加させる。これにより、第1冷却部350からの冷却量を徐々に増加させる。この結果、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量と、第1冷却部350から上金型320に付与される冷却量との均衡が保たれるように調整することが可能となる。
第2温調部においては、制御部60は、熱源342の出力を増減させつつ、上金型320の周縁部の温度を調整する。溶融ガラスを順次加圧成形しながら、上金型320の温度を調整する場合であっても、生産タクトを相当程度の長さとする場合には、加圧成形後において上金型320の周縁部が周辺環境に曝される時間が増加することにより上金型320の周縁部が相当程度冷却されやすくなる。制御部60は、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量と、上金型320の周縁部が周辺環境から付与される冷却量とを考慮して、これらの均衡が保たれるように熱源342の出力を制御する。
このように上金型320の温度を調整することにより、図6に示すように上金型320中心部の温度Tcおよび上金型320の周縁部の温度Tpは、一度上昇した後に、所定の温度にTaに近づくように減少していく。これにより、上金型320の中心部および上金型320の周縁部の経時的な温度変化がほぼ変動しない状態に近づけることが可能となり、所定の条件が満たされることとなる。なお、溶融ガラスから上金型320の周縁部に供給される熱量は、上型320の周縁部に供給される熱量よりも少なくなるとともに、上金型320の周縁部は冷却されやすいため、周縁部の温度Tpは、中心部の温度Tcよりも温度の上昇は緩やかとなる。
図7に示すように、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすと判断された場合(工程(S15);YES)には、上金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程(S12)を終了し、ガラス成形品を順次成形する工程(S20)に移行する。一方、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たさないと判断された場合(工程(S15);NO)には、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすと判断されるまで、工程(S12)からの動作を繰り返す。
なお、下型31についても、不図示の加熱手段によって所定温度に加熱できるように構成されており、連続的に溶融ガラスを加圧成形することによりガラス成形品を順次製造する工程(S20)が実施されるまでに、所定の温度を保つように加熱されている。たとえば、下型31の温度は、加圧成形するガラス材料のガラス転移点Tg[℃]に対し、(Tg−100)[℃]以上(Tg+100)[℃]以下の範囲に設定する。この際、下型31の加熱温度は、上金型320の加熱温度と同一の温度であってもよいし、異なる温度であってもよい。
ガラス成形品を順次製造する際には、下型31は、生産毎に異なるものが用いられるため、上金型320と比較して加圧成形時に溶融ガラスに与える温度変動の影響は低い。このため、溶融ガラスの接触等による下型31の温度変動は許容できる。
下型31を加熱する加熱手段としては、公知の加熱手段を適宜選択して用いることができる。たとえば、被加熱部材の内部に埋め込んで使用するカートリッジヒータや、被加熱部材の外側に接触させて使用するシート状のヒータ、赤外線加熱装置、高周波誘導加熱装置等を加熱手段として用いることができる。
図5および図6に示すように、ガラス成形品を順次成形する工程においては、時間t2以降において、上金型320の中心部の温度Tcおよび上金型320の周縁部の温度Tpのそれぞれが所定の温度範囲内に収まるように温度を制御する。この際、上金型320の上限の温度をTu、下限の温度をTl、これら平均の温度であり目標となる設定温度をTaとする。
ガラス成形品を順次成形する工程においては、加圧成形毎に溶融ガラスから熱が主として上金型320の中心部に供給されていくため、上金型320の中心部の温度を調整する場合には、第1加熱源330を停止させ、第1冷却部350を駆動させる。一方、上金型320の周縁部は、溶融ガラスから熱が供給されるものの周辺環境によって冷却されるため、第2加熱源340を駆動させた状態を維持する必要がある。このため、制御部60は、時間t2以降において第1加熱源330がOFF状態となり、第1冷却部350および第2加熱源340がON状態を維持するように制御する。
図8を参照して、ガラス成形品を順次成形する工程において、上金型320の中心部の温度Tcを所定の温度範囲を満たすように調整するフローについて説明する。
まず、工程(S30)において、制御部60は、第1加熱源330を停止させた状態で第1冷却部350を用いて上金型320の中心部を冷却する。続いて、工程(S31)において、制御部60は、第1検知手段361を用いて上金型320の中心部の温度Tcを測定する。
次に、工程(S32)において、制御部60は、上金型320の中心部の温度Tcが設定温度Taより小さいかを判断する。上金型320の中心部の温度Tcが設定温度Taより小さい場合には、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量よりも第1冷却部350から上金型320に付与される冷却量が多くなっており、上金型320の中心部の温度Tcが低下傾向にあると制御部60が察知する。一方、上金型320の中心部の温度Tcが設定温度Ta以上である場合には、第1冷却部350から上金型320に付与される冷却量が溶融ガラスから上金型320に供給される熱量以下であり、上金型320の中心部の温度Tcが上昇傾向にあると制御部60が察知する。
上金型320の中心部の温度Tcが設定温度Taより小さいと判断した場合(工程(S32);YES)には、工程(S33)において、制御部60は、第1冷却部350内を流動する冷却媒体の流量を低減させる。これにより、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量と、第1冷却部350から上金型320に付与される冷却量との均衡が保たれる。
一方、上金型320の中心部の温度Tcが設定温度Ta以上であると判断した場合(工程(S32);NO)には、工程(S34)において、制御部60は、第1冷却部350内を流動する冷却媒体の流量を増加させる。これにより、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量と、第1冷却部350から上金型320に加えられる冷却量との均衡が保たれる。
工程(S33)または工程(S34)が実行された後には、工程(S35)によって、制御部60は、第1検知手段361を用いて上金型320の中心部の温度Tcを測定する。続いて、工程(S36)において、制御部60は、第1検知手段361による検知結果に基づいて上金型320の中心部の温度Tcが所定の温度範囲であるかを判断する。
上金型320の中心部の温度Tcが所定の温度範囲でないと判断された場合(工程(S36);NO)には、制御部60は、上金型320の中心部の温度Tcが所定の温度範囲に収まるまで、工程(S32)からの動作を繰り返す。
上金型320の中心部の温度Tcが所定の温度範囲であると判断された場合(工程(S36);YES)には、制御部60は再度工程(S30)の動作に復帰する。
ガラス成形品を順次成形する工程において、上述の動作を継続して行うことにより、上金型320の中心部の温度Tcを設定温度Taとほぼ同一となるように制御することができる。
続いて、ガラス成形品を順次成形する工程において、上金型320の周縁部の温度Tpを所定の温度範囲を満たすように調整するフローについて説明する。
まず、工程(S40)において、制御部60は、第1加熱源330を停止させた状態で第2加熱源340を用いて上金型320の周縁部を加熱する。続いて、工程(S41)において、制御部60は、第2検知手段362を用いて上金型320の周縁部の温度Tpを測定する。
次に、工程(S42)において、制御部60は、上金型320の周縁部の温度Tpが設定温度Taより小さいかを判断する。上金型320の周縁部の温度Tcが設定温度Taより小さい場合には、上金型320の周縁部において、第2加熱源340から上金型320に供給される熱量および溶融ガラスから供給される熱量の総和よりも周辺環境から付与される冷却量が多くなっており、上金型320の周縁部の温度Tpが低下傾向にあると制御部60が察知する。一方、上金型320の周縁部の温度Tpが設定温度Ta以上である場合には、上金型320の周縁部において、周辺環境から付与される冷却量が第2加熱源340から上金型320に供給される熱量および溶融ガラスから供給される熱量の総和以下であり、上金型320の周縁部の温度Tpが上昇傾向にあると制御部60が察知する。
上金型320の中心部の温度Tcが設定温度Taより小さいと判断した場合(工程(S42);YES)には、工程(S43)において、制御部60は、第2加熱源340に含まれる熱源342の出力を増加させる。これにより、上金型320の周縁部において、第2加熱源340から上金型320に供給される熱量および溶融ガラスから供給される熱量の総和よりも周辺環境から付与される冷却量との均衡が保たれる。
一方、上金型320の周縁部の温度Tpが設定温度Ta以上であると判断した場合(工程(S42);NO)には、工程(S44)において、制御部60は、第2加熱源340に含まれる熱源342の出力を低減させる。これにより、上金型320の周縁部において、第2加熱源340から上金型320に供給される熱量および溶融ガラスから供給される熱量の総和よりも周辺環境から付与される冷却量との均衡が保たれる。
工程(S43)または工程(S44)が実行された後には、工程(S45)によって、制御部60は、第2検知手段362を用いて上金型320の周縁部の温度Tpを測定する。続いて、工程(S46)において、制御部60は、第2検知手段362による検知結果に基づいて上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲であるかを判断する。
上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲でないと判断された場合(工程(S46);NO)には、制御部60は、上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲に収まるまで、工程(S42)からの動作を繰り返す。
上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲であると判断された場合(工程(S46);YES)には、制御部60は再度工程(S40)の動作に復帰する。
ガラス成形品を順次成形する工程において、上述の動作を継続して行うことにより、上金型320の周縁部の温度Tpを設定温度Taとほぼ同一となるように制御することができる。
以上のように、第1温調部としての第1加熱源330および第1冷却部350と、第2温調部としての第2加熱源340を用いて、上金型320の中心部の温度Tcと上金型320の周縁部の温度Tpとを独立して精緻に制御することにより、上金型320の中心部と周縁部とで生じる温度分布を抑制できるとともに所望の範囲内に収めることができる。
これにより、本実施の形態においては加圧成形時に溶融ガラスの中心部の温度と周縁部の温度とをほぼ一定にすることができ、溶融ガラスの熱収縮量を溶融ガラスの中心部から周縁部に亘ってほぼ均一にすることができる。この結果、ガラス成形品の反りを抑制し、ガラス成形品の品位を向上させることができる。
図9から図14は、図4に示すガラス成形品を順次製造する工程における各工程または所定の工程の後状態を示す図である。これら図9から図14を参照して、連続的に溶融ガラスを加圧成形することにより、ガラス成形品を順次製造する工程について説明する。
まず、下型31を滴下ポジションP1(図1および図2を参照)に移動させる。下型31の現在位置を検出した結果、下型31が既に滴下ポジションP1に配置されている場合には、下型31の移動を行なわない。一方、下型31の現在位置を検出した結果、下型31が滴下ポジションP1以外の位置に配置されている場合には、制御部60からの指令により下型駆動機構33が作動し、下型31を滴下ポジションP1に移動させる。
図9は、図4に示す溶融ガラスを切断して下型に供給する工程を示す図である。次に、図4および図9に示すように、工程(S21)において流出管13から流出する溶融ガラス70を切断して下型31に溶融ガラス71を供給する。溶融した状態で連続溶融炉11内に貯留された溶融ガラスは、ノズル部12を経由して連続溶融炉11から流出し、自重により流出管13から、溶融ガラス70として液線状に落下する。流出管13から流出した溶融ガラス70をカッター21によって切断し、滴状の形状を有する溶融ガラス71を得る。溶融ガラス71は、下型31に向けて落下する。
図10は、図9に示す溶融ガラスを切断して下型に供給する工程の後状態を示す図である。図10に示すように、下型31に供給された溶融ガラス71は、下型31の型面31a上で濡れ広がる。下型31に滴下された溶融ガラス71の温度は、たとえば、800℃以上900℃以下の範囲である。
続いて、下型31を成形ポジションP2(図1および図2を参照)に移動させる。制御部60からの指令により下型駆動機構33が作動し、水平方向(図1および図2中に示すDR1方向)に下型31を移動させる。これにより、下型31を成形ポジションP2に移動させ、下型31と上型32とを距離を設けて対向配置する。
図11は、図4に示す上型を下降させる工程を示す図である。次に、図4および図11に示すように、工程(S22)において上型32を下降させる。制御部60からの指令により上型駆動機構34を作動させ、上型32を、図11中の矢印に示すように下型31へ向けて下降させる。
図12は、図4に示す溶融ガラスを加圧成形する工程を示す図である。続いて、図4および図11に示すように、工程(S23)において溶融ガラス71を加圧成形する。この際、上型32を鉛直下方に沿って移動させて下型31と上型32とを近接させることにより、溶融ガラス71を下型31と上型32とによって挟み込むことで加圧成形する。
加圧成形工程の開始時の溶融ガラス71の温度は、(Tg+50)℃以上(Tg+200)℃以下に設定されることが好ましい。たとえば、Tgが540℃の場合、加圧直前の溶融ガラス71の温度を680℃としてもよい。溶融ガラス71の温度は、たとえば放射温度計によって測定することができる。このような温度設定を得るためには、ガラス転移温度をTgに対し、上金型320の温度を(Tg−60)℃以上(Tg−20)℃以下に設定し、下型31の温度を(Tg−80)℃以上(Tg−10)℃以下に設定するとよい。たとえば、Tgが540℃の場合、上金型320の温度を500℃とし、下型31の温度を520℃としてもよい。また、加圧の際には、たとえば、溶融ガラス71には、略2トンの加圧力が略10秒間負荷される。これにより、溶融ガラス71が加圧成形され、ガラス成形品72が形成される。
図13は、図4に示す上型を上昇してガラス成形品を冷却する工程を示す図である。次に、図4および図13に示すように、工程(S24)において上型32を上昇させてガラス成形品72を冷却する。上型32を上昇させた後は、下型31を、冷却ポジションP3(図2を参照)に移動させる。所定の時間経過後、下型31を冷却ポジションP3から冷却ポジションP4(図2を参照)に移動させる。さらに所定の時間経過後、下型31を冷却ポジションP5(図2参照)に移動させる。
上型32が上昇動作のための移動を開始するときのガラス成形品72の温度は、(Tg−30)℃以上(Tg+100)℃以下に設定されることが好ましい。たとえば、Tgが540℃の場合、上型32の上昇動作の開始時のガラス成形品72の温度は、510℃以上640℃以下に設定されるとよい。当該温度が(Tg−30)℃より低くなる場合は、ガラス成形品72の熱収縮量が大きくなり割れなどの欠陥が発生しやすくなる。一方、当該温度が(Tg+100)℃より高くなる場合には、上昇動作に伴ってガラス成形品72の面形状が崩れたり、良好な転写性が得られなくなったりすることが懸念される。
図14は、図4に示すガラス成形品を離型する工程を示す図である。続いて、図4および図14に示すように、工程(S25)においてガラス成形品を離型する。この際、下型31を冷却ポジションP5から取り出しポジションP6(図1および図2を参照)に移動させて、下型31からガラス成形品72を取り出して回収する。ガラス成形品72の取り出し作業は、吸着装置41によってガラス成形品72を吸着して移動させることにより行なう。
次に、下型31から離型されたガラス成形品72に対して、適当な切断工程および/または研磨工程が施されることによって、カバーガラス等のガラス製品の最終形状が得られる。
以上のように本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法は、上述の一連の工程を繰り返すことにより、複数のカバーガラスを順次製造することができる。
この際、第1温調部としての第1加熱源330および第1冷却部350と、第2温調部としての第2加熱源340を用いて、上金型320の中心部の温度Tcと上金型320の周縁部の温度Tpとを独立して精緻に制御することにより、上金型320の中心部と周縁部とで生じる温度分布を抑制することができるとともに所望の範囲内に収めることができる。
これにより、加圧成形時に溶融ガラスの中心部の温度と周縁部の温度とをほぼ一定にすることができ、溶融ガラスの熱収縮量を溶融ガラスの中心部から周縁部に亘ってほぼ均一にすることができる。この結果、ガラス成形品の反りを抑制し、ガラス成形品の品位を向上させることができる。
したがって、本実施の形態におけるガラス成形品の製造方法および製造装置100を利用して、成形用金型の温度を精緻に制御することにより、ガラス成形品の品位を向上させることができる。
(実施の形態2)
図15は、本実施の形態に係るガラス成形品の製造装置100Aにおける上型32Aの詳細な構成を示す概略図である。図15を参照して、本実施の形態に係るガラス成形品の製造装置100Aについて説明する。
図15に示すように、本実施の形態に係るガラス成形品の製造装置100Aは、実施の形態1に係るガラス成形品の製造装置と比較した場合に、上型32Aの構成が相違し、その他の構成はほぼ同様である。
本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法にあっては、生産タクトが相当程度短く、加圧成形時から次の加圧成形時までの時間が短縮されることにより溶融ガラスから熱が伝達される回数が増加する場合を想定している。このため、上金型320の周縁部においては、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量が、上金型320の周縁部が周辺環境から付与される冷却量を上回る。したがって、本実施の形態に係るガラス成形品の製造装置100Aは、上金型320の中心部のみならず周縁部も冷却可能となるように上型32が構成されている。
上型32Aは、第2金型としての上金型320、第2冷却部390、第3冷却部400、第3加熱源340A、第1検知手段361および第2検知手段362を含んでいる。第2冷却部390が第1温調部として機能し、第3冷却部400および第3加熱源340Aが第2温調部として機能する。
上金型320は、実施の形態1と同様の構成を有する。第2冷却部390は、冷却媒体導入出部350Aおよび第1冷却板370を含む。第1冷却板370は、溶融ガラスを加圧成形する型面321とは反対側から上金型320の中心部に接触し当該上金型320の中心部を冷却する。第1冷却板370は、内部に冷却媒体を流動可能に構成されている。第1冷却板370は、本体部371と、供給口372、排出口373と、流通経路374とを有する。
本体部371は、後述する収容部345に収容される。本体部371は、型面321と反対側に位置する上金型320の表面324の中心領域324aに接触するように配置される。本体部371が上金型320と接触する主表面と反対側の主表面の中央部には、供給口372および排出口373が設けられている。
供給口372および排出口373は、本体部371の内部に設けられた流通経路374によって接続されている。流通経路374は、上金型320の中心部を効率的に冷却できるように引き回しされている。流通経路374内を流通する冷却媒体が第1冷却板370を介して上金型320の中心部から熱を奪うことにより、上金型320の中心部が冷却される。
冷却媒体導入出部350Aは、上型32外部に設けられた不図示の供給設備から導入された冷却媒体を第1冷却板370に導入する。また、第1冷却板370から排出された冷却媒体を不図示の回収設備に向けて導出する。
冷却媒体導入出部350Aは、導入経路352と導出経路353とが設けられた基体351、入口側ポート354、出口側ポート355、導入配管356および導出配管357を含む。
基体351は、熱板341Aに設けられた後述の孔部343を収容部345と反対側から塞ぐように配置される。
入口側ポート354は、導入経路352に冷却媒体を導入するためのポートであり、一端側が供給設備に接続されており、他端側が導入経路352の一端に接続されている。導入配管356は、第1冷却板370に冷却媒体を供給するための配管であり、一端側が導入経路352の他端側に接続されており、他端側が第1冷却板370の供給口372に接続されている。
出口側ポート355は、導出経路353から冷却媒体を導出するためのポートであり、一端側が回収設備に接続されており、他端側が導出経路353の一端に接続されている。導出配管357は、第1冷却板370から冷却媒体を排出するための配管であり、一端側が導出経路353に接続されており、他端側が第1冷却板370の排出口373に接続されている。
このように回収設備、入口側ポート354、導入経路352、導入配管356、第1冷却板370、導出配管357、導出経路353、出口側ポート355および回収設備が接続されることにより、冷却媒体を流動させる回路が形成される。冷却媒体は、制御部60によって不図示のポンプが駆動されることに当該回路内を流動する。
第3冷却部400は、第2冷却板380、入口側ポート385および出口側ポート386を含む。第2冷却板380は、第1冷却板370から独立し、溶融ガラスを加圧成形する型面321とは反対側から上金型320の周縁部に接触し当該上金型320の周縁部を冷却する。第2冷却板380は、内部に冷却媒体を流動可能に構成されている。第2冷却板380は、本体部381と、供給口382、排出口383と、流通経路384とを有する。
本体部381は、上金型320の周縁領域324bに接触するように配置される。本体部381は、環状形状または枠状形状を有し、中心領域324aの上方に位置する空間を囲むように配置される。本体部381の一端側の側面部には供給口382が設けられており、本体部381の他端側の側面部には排出口383が設けられている。
供給口382および排出口383は、本体部381の内部に設けられた流通経路384によって接続されている。流通経路384は、上金型320の周縁部を効率的に冷却できるように引き回しされている。流通経路384内を流通する冷却媒体が第2冷却板380を介して上金型320の周縁部から熱を奪うことにより、上金型320の周縁部が冷却される。
入口側ポート385は、流通経路384に冷却媒体を導入するためのポートであり、一端側が不図示の供給設備に接続されており、他端側が流通経路384の一端に接続されている。出口側ポート386は、流通経路384から冷却媒体を導出するためのポートであり、一端側が不図示の回収設備に接続されており、他端側が流通経路384の他端に接続されている。
このように入口側ポート385、出口側ポート386、第2冷却板380、供給設備および回収設備が接続されることにより、冷却媒体を流動させる回路が形成される。冷却媒体は、制御部60によって不図示のポンプが駆動されることに当該回路内を流動する。
第1冷却板370内および第2冷却板380内を流動可能な冷却媒体としては、たとえば水を採用することができる。なお、冷却媒体は、水に限定されず、オイル等の液体や、空気、窒素などの気体であってもよい。
第3加熱源340Aは、第2冷却板380を介して上金型320の周縁部に熱的に接触して上金型320の周縁部を加熱する。第3加熱源340Aは、熱板341Aと、熱源342とを有する。
熱板341Aは、第2冷却板380における上金型320の周縁領域324bに接触する主表面と反対側の主表面を覆うように配置される。熱板341Aは、第2冷却板380を介して熱源342からの熱を上金型320の周縁部に伝達することにより、上金型320の周縁部を加熱する。
熱板341Aは、上金型320側に位置する主表面のうち、上金型320の中心領域324aに対応する部分が上金型320から離れる側に窪むことにより形成された凹部344を有する。熱板341Aは、基体351側に位置する主表面側から凹部344に連通する孔部343を有する。孔部343は、導入配管356および導出配管357を挿通可能に構成されている。
熱板341Aに設けられた凹部344と後述する環状または枠状の第2冷却板380によって囲まれた空間によって、第1冷却板370を収容可能な収容部345が構成される。
制御部60は、第3加熱源340Aに含まれる熱源342を制御することにより、第3加熱源340Aの温度を制御することができるとともに、不図示のポンプを制御することにより、供給設備から第1冷却板370および第2冷却板380に供給される冷却媒体の流量をそれぞれ制御することができる。また、制御部60には、第1検知手段361および第2検知手段362によって検知された検知結果(上金型320の中心部および周縁部の温度)が入力される。
本実施の形態に係るガラス成形品の製造方法は、上述した実施の形態1に係るガラス成形品の製造方法に基本的に準じたものであり、連続的にガラス成形品を製造するに先立って、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整した後に、連続的に溶融ガラスを加圧成形することにより、ガラス成形品を順次製造する。
本実施の形態においては、生産タクトが相当程度短い場合を想定している。このため、ガラス成形品の製造装置100Aの構成に基づき、上金型320の温度を調整する方法が、実施の形態1に係る上金型320の温度を調整する方法と異なる。
図16は、本実施の形態に係る上金型の温度変化を示す図である。図17は、第2冷却部、第3冷却部、第3加熱源の動作状態を示す図である。図18は、本実施の形態に係る上金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調査する工程のフローを示す図である。図19は、本実施の形態に係るガラス成形品を順次製造する工程において上金型の温度が所定の温度範囲に収まるように上金型の温度を調整する際のフローを示す図である。図16から図19を参照して、ガラス成形品の製造装置100Aの構成に基づいて上金型320の温度を調整する方法について説明する。
上金型320の温度を制御するに際には、制御部60は第1温調部としての第2冷却部390のON状態およびOFF状態を制御する。また、制御部60は、第2温調部としての第3冷却部400および第3加熱源340AのON状態およびOFF状態をそれぞれ制御する。
ここで第3加熱源340AのON状態とは、制御部60が熱源342の出力を0%〜100%の範囲で適宜制御する状態を指す。第3加熱源340AのOFF状態とは、制御部60が熱源342を停止した状態を維持し加熱を停止している状態を指す。また、第2冷却部390および第3冷却部400のON状態とは、制御部60が不図示のポンプを制御することにより供給設備から第1冷却板370および第2冷却板380に供給される冷却媒体の流量を0%〜100%の範囲で適宜制御する状態を指す。第2冷却部390および第3冷却部400のOFF状態とは、制御部が不図示のポンプを停止した状態を維持し冷却を停止している状態を指す。なお、第1冷却板370および第2冷却板380に供給される冷却媒体の流量は、それぞれ独立して制御される。
図16および図17に示すように、時間t0から時間t2までが上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程に相当する。また、時間t2以降がガラス成形品を順次製造する工程に相当する。
図18に示すように、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程においては、まず、工程(S11A)において、制御部60は、第2冷却部390および第3冷却部400を停止させた状態で第3加熱源340Aを用いて上金型320を加熱する。
具体的には、図16および図17に示すように、制御部60は、時間t0からt1かけて、第2冷却部390および第3冷却部400がOFF状態となり、第3加熱源340AがON状態となるように制御する。これにより、上金型320の中心部の温度Tcおよび上金型320の周縁部の温度TpがT1[℃]からT2[℃]となるように、上金型320が第3加熱源340Aによって加熱される。
続いて、図18に示すように工程(S12A)において、制御部60は、第3加熱源340A、第2冷却部390および第3冷却部400を用いて上金型320を加熱および冷却する。この際、実施の形態1と同様に、工程(S13)においては、ダミーとなる溶融ガラスが下型31に供給され、工程(S14)においては、下型31に供給されたダミーとなる溶融ガラスを上金型320と下型31とによって挟み込むことにより加圧成形する。このように、工程(S12)は、ダミーとなる溶融ガラスを加圧成形しつつ、第3加熱源340A、第2冷却部390および第3冷却部400を用いて上金型320を加熱および冷却する。
具体的には、図16および図17に示すように、制御部60は、時間t1から時間t2にかけて、第3加熱源340AがON状態を維持し、第2冷却部390および第3冷却部400がON状態となるように制御する。
第2冷却部390および第3冷却部400がON状態となり、第1冷却板370内および第2冷却板380内を流動する冷却媒体の流量を急に増加させた場合には、上金型320の温度が急激に低下することが起こり得る。このため、本実施の形態においては、上型32と下型31とを用いてダミーとなる溶融ガラスを順次加圧成形することを繰り返しながら、溶融ガラスからの熱を上金型320に蓄積させつつ、徐々に上金型320の温度を冷却していく。
具体的には、制御部60は、徐々に熱源342Aの出力を減少させつつ、溶融ガラスを順次加圧成形しながら、第1冷却板370内および第2冷却板380内を流動する冷却媒体の流量を徐々に増加させる。これにより、第1冷却板370および第2冷却板380からの冷却量を徐々に増加させる。この結果、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量と、第1冷却板370および第2冷却板380から上金型320に付与される冷却量との均衡が保たれるように調整することが可能となる。
このように上金型320の温度を調整することにより、図6に示すように上金型320中心部の温度Tcおよび上金型320の周縁部の温度Tpは、一度上昇した後に、所定の温度にTaに近づくように減少していく。これにより、上金型320の中心部および上金型の周縁部の経時的な温度変化がほぼ変動しない状態に近づけることが可能となり、所定の条件が満たされることとなる。なお、溶融ガラスから上金型320の周縁部に供給される熱量は、上型320の周縁部に供給される熱量と比較して若干少なくなるとともに、上金型320の周縁部はある程度冷却されるため、上金型320の周縁部の温度Tpは、上金型320の中心部の温度Tcよりも温度の上昇は緩やかとなる。
次に、図18に示すように、工程(S15)において、制御部60は、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件が所定の条件を満たすか否かを判断する。
上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすと判断された場合(工程(S15);YES)には、上金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程(S12A)を終了し、ガラス成形品を順次成形する工程(S20)に移行する。一方、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たさないと判断された場合(工程(S15);NO)には、上金型320の経時的な温度変化が所定の条件を満たすと判断されるまで、工程(S12A)からの動作を繰り返す。
ガラス成形品を順次成形する工程においては、加圧成形毎に溶融ガラスから熱が上金型320の中心部から周縁部に亘って供給されていく。さらに、その生産タクトが短いため、上金型320が周辺環境によって冷却される冷却量を上回る熱量が上金型320の周縁部にも供給されることとなる。このため、上金型320の中心部および周縁部の温度を調整する場合には、第3加熱源340Aを停止させ、第2冷却部390および第3冷却部400の動作を維持させる必要がある。したがって、制御部60は、時間t2以降において第3加熱源340AがOFF状態となり、第2冷却部390および第3冷却部400がON状態を維持するように制御する。
図19を参照して、ガラス成形品を順次成形する工程において、上金型320の中心部の温度Tcおよび上金型320の周縁部の温度Tpを所定の温度範囲を満たすように調整するフローについて説明する。
上金型320の中心部の温度Tcを所定の温度範囲を満たすように調整するフローにおいては、まず、工程(S30A)において、制御部60は、第3加熱源340Aを停止させた状態で第2冷却部390を用いて上金型320の中心部を冷却する。続いて、工程(S31)から工程(S36)まで動作は、実施の形態1に係る動作とほぼ同様である。なお、本実施の形態においては、第2冷却部390を用いて直接上金型320の中心部を冷却することにより、冷却効率が向上する。このため、生産タクトが短縮された場合であっても、加圧成形毎に溶融ガラスから上金型320に伝達される熱量が第1冷却板370から上金型320に付与される冷却量を上回ることがない。
上金型320の周縁部の温度Tpを所定の温度範囲を満たすように調整するフローにおいては、制御部60は、第3加熱源340Aを停止させた状態で第3冷却部400を用いて上金型320の周縁部を冷却する。続いて、工程(S41)において、制御部60は、第2検知手段362を用いて上金型320の周縁部の温度Tpを測定する。
次に、工程(S42)において、制御部60は、上金型320の周縁部の温度Tpが設定温度Taより小さいかを判断する。上金型320の周縁部の温度Tcが設定温度Taより小さい場合には、上金型320の周縁部において、溶融ガラスから供給される熱量よりも第2冷却板380から上金型320に付与される冷却量が多くなっており、上金型320の周縁部の温度Tpが低下傾向にあると制御部60が察知する。一方、上金型320の周縁部の温度Tpが設定温度Ta以上である場合には、上金型320の周縁部において、第2冷却板380から上金型320に付与される冷却量が溶融ガラスから上金型320に供給される熱量以下であり、上金型320の周縁部の温度Tpが上昇傾向にあると制御部60が察知する。
上金型320の周縁部の温度Tpが設定温度Taより小さいと判断した場合(工程(S42);YES)には、工程(S43A)において、制御部60は、第2冷却板380内を流動する冷却媒体の流量を低減させる。これにより、上金型320の周縁部において、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量と、第2冷却板380から上金型320に付与される冷却量との均衡が保たれる。
一方、上金型320の周縁部の温度Tpが設定温度Ta以上であると判断した場合(工程(S42);NO)には、工程(S44A)において、制御部60は、第2冷却板380内を流動する冷却媒体の流量を増加させる。これにより、上金型320の周縁部において、溶融ガラスから上金型320に供給される熱量と、第2冷却板380から上金型320に付与される冷却量との均衡が保たれる。
工程(S43A)または工程(S44A)が実行された後には、工程(S45)によって、制御部60は、第2検知手段362を用いて上金型320の周縁部の温度Tpを測定する。続いて、工程(S46)において、制御部60は、第2検知手段362による検知結果に基づいて上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲であるかを判断する。
上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲でないと判断された場合(工程(S46);NO)には、制御部60は、上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲に収まるまで、工程(S42)からの動作を繰り返す。
上金型320の周縁部の温度Tpが所定の温度範囲であると判断された場合(工程(S46);YES)には、制御部60は再度工程(S40A)の動作に復帰する。
ガラス成形品を順次成形する工程において、上述の動作を継続して行うことにより、上金型320の中心部の温度Tcおよび上金型320の周縁部の温度Tpを設定温度Taとほぼ同一となるように制御することができる。
なお、ガラス成形品を順次製造する工程において、溶融ガラスを切断して下型に供給してからガラス成形品を離型するまでの一連の工程に関する動作については、実施の形態1とほぼ同様である。
以上のように、第1温調部としての第2冷却部390と、第2温調部としての第3加熱源340Aおよび第3冷却部400とを用いて、上金型320の中心部の温度Tcと上金型320の周縁部の温度Tpとを独立して精緻に制御することにより、上金型320の中心部と周縁部とで生じる温度分布を抑制できるとともに所望の範囲内に収めることができる。
これにより、本実施の形態においては、加圧成形時に溶融ガラスの中心部の温度と周縁部の温度とをほぼ一定にすることができ、溶融ガラスの熱収縮量を溶融ガラスの中心部から周縁部に亘ってほぼ均一にすることができる。この結果、ガラス成形品の反りが抑制され、ガラス成形品の品質を向上させることができる。
したがって、本実施の形態におけるガラス成形品の製造方法および製造装置100Aを利用して、成形用金型の温度を精緻に制御することにより、ガラス成形品の品位を向上させることができる。
(実験例)
図20は、本発明の効果を検証するために行なった検証実験の条件および結果を示す図である。実験例では、実施の形態2に係るガラス成形品の製造装置および製造方法を利用して実施例に係るガラス成形品を製造した。当該ガラス成形品の反り(平坦度)を測定した。具体的には、実施例に係るガラス成形品に対して、反り(平坦度)の指標となるPV値を測定した。ここで、PV値とは、測定対象領域中の最大高さ(Peak)と最大谷深さ(Valley)との差を指す。
ガラス成形品の製造時においては、加圧成形時における上金型320の中心部の温度Tcおよび周縁部の温度Tpを第1検知手段361および第2検知手段362にて測定するとともに、加圧成形直後の溶融ガラスの温度を非接触温度センサにて測定した。上金型320の温度は、上金型320の中心部に位置し、型面321から5mm内側に位置する部分と、上金型320の周縁部に位置し、型面321から5mm内側に位置する部分とを測定した。上記溶融ガラスの温度は、溶融ガラスの中心部と、その周囲に位置する周縁部とを測定した。
下型31に供給する溶融ガラスの重量を90gとし、加圧成形時から次の加圧成形時までの時間は15秒として、ガラス成形品を製造した。
この場合においては、加圧成形時のおける上金型320の中心部の温度Tcと上金型320の周縁部の温度Tpは、いずれも550℃であり、上金型320の中心部と上金型の320の周縁部とにおいて温度分布は生じていなかった。
また、加圧成形直後における溶融ガラスの中心部の温度と当該溶融ガラスの周縁部の温度は、いずれも600℃であり、当該溶融ガラスの中心部と当該溶融ガラスの周縁部において温度分布は生じていなかった。
さらに、実施例のガラス成形品のPV値は、20〜50μmであり、生産品として良品と判定される基準である100μmに収まる値であり、ガラス成形品の反りが抑制されていた。
以上の結果から第1温調部としての第2冷却部390と、第2温調部としての第3加熱源340Aおよび第3冷却部400とを用いて、上金型320の中心部の温度Tcと上金型320の周縁部の温度Tpとを独立して精緻に制御することにより、上金型320の中心部と周縁部とで生じる温度分布を抑制することができるとともに所望の範囲内に収めることができたと言える。これによって、加圧成形時に溶融ガラスの中心部の温度と周縁部の温度とをほぼ一定にすることができ、溶融ガラスの熱収縮量を溶融ガラスの中心部から周縁部に亘ってほぼ均一にすることができたと言える。この結果、ガラス成形品の反りを抑制することができ、ガラス成形品の品質を向上させることができることが実験的にも証明されたと言える。
上述した本発明の実施の形態1および2においては、本発明が適用されて製造されるガラス成形品として、スマートフォンやタブレット端末に具備されるカバーガラスを例示して説明を行なったが、これに限定されるものではなく、たとえば他のディスプレイ装置のカバーガラスの製造や、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ等に代表される電子機器等の外装カバーの製造に本発明が適用されてもよいし、各種レンズや光記録媒体の製造に本発明が適用されてもよい。
上述した本発明の実施の形態1および2においては、ガラス成形品を順次製造する製造する工程において、上金型320の中心部の温度Tcと上金型320の周縁部の温度Tpとがほぼ同一となるように制御する場合を例示して説明したが、これに限定されず、上金型320の形状に応じて適宜所望の温度となるように制御してもよい。たとえば、ガラス成形品の品位が低下しない範囲において、上金型320の中心部の温度Tcが上金型の周縁部の温度Tpよりも低くなるように設定されてもよいし、高くなるように設定されてもよい。
上述した本発明の実施の形態1においては、第1冷却部350が冷却媒体を熱板331の凹部333に吹き付けることにより、上金型320の中心部を冷却する場合を例示して説明したがこれに限定されず、実施の形態2における第1冷却板370を凹部333に接触させるように構成することによって上金型320の中心部を冷却してもよい。
上述した本発明の実施の形態2においては、第2冷却部390が第1冷却板370を含み、内部に冷却媒体が流動する第1冷却板370を上金型320に接触させることにより上金型320の中心部を冷却する場合を例示して説明したが、これに限定されず、実施の形態1のように第1冷却部350を備える構成とし、上金型320の中心部に冷却媒体を吹き付けることにより上金型320の中心部を冷却してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
10 素材供給部、11 連続溶融炉、12 ノズル部、13 流出管、20 切断部、21 カッター、22 カッター駆動機構、30 加圧成形部、31 下型、31a 型面、32,32A 上型、33 下型駆動機構、34 上型駆動機構、38 ターンテーブル、40 離型部、41 吸着装置、60 制御部、70,71 溶融ガラス、72 ガラス成形品、100,100A 製造装置、320 上金型、321 型面、324 表面、324a 中心領域、324b 周縁領域、330 第1加熱源、331 熱板、332 熱源、333 凹部、333a 底面部、340 第2加熱源、340A 第3加熱源、341,341A 熱板、342,342A 熱源、343 孔部、344 凹部、345 収容部、350 第1冷却部、350A 冷却媒体導入出部、351 基体、352 導入経路、353 導出経路、354 入口側ポート、355 出口側ポート、356 導入配管、357 導出配管、361 第1検知手段、362 第2検知手段、370 第1冷却板、371 本体部、372 供給口、373 排出口、374 流通経路、380 第2冷却板、381 本体部、382 供給口、383 排出口、384 流通経路、385 入口側ポート、386 出口側ポート、390 第2冷却部、400 第3冷却部。

Claims (8)

  1. 第1金型に供給される溶融ガラスを、当該第1金型とこれに対向する第2金型とによって挟み込んで加圧成形することにより、ガラス成形品を順次連続的に複数製造するガラス成形品の製造方法であって、
    前記ガラス成形品を連続的に製造するに先立って、前記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程と、
    連続的に前記溶融ガラスを加圧成形することにより、前記ガラス成形品を順次製造する工程とを備え、
    前記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程は、前記第2金型の外部に配置され、かつ、前記第2金型の中心部の温度を調整可能な第1温調部を用いて、前記第2金型の前記中心部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整するとともに、前記第2金型の外部に配置され、かつ、前記第2金型の前記中心部の周囲に位置する前記第2金型の周縁部の温度を調整可能な第2温調部を用いて、前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整し、
    前記ガラス成形品を順次製造する工程は、前記第1温調部を用いて前記第2金型の前記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するとともに、前記第2温調部を用いて前記第2金型の前記周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整しつつ、前記ガラス成形品を順次製造する、ガラス成形品の製造方法。
  2. 前記第1温調部は、前記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から前記第2金型に接触し前記第2金型の前記中心部を加熱する第1加熱源と、前記第1加熱源を介して前記第2金型の前記中心部を冷却する第1冷却部とを含み、
    前記第2温調部は、前記第1加熱源から独立し、前記型面とは反対側から前記第2金型に接触し前記第2金型の前記周縁部を加熱する第2加熱源を含み、
    前記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程は、前記第1冷却部を停止させた状態で前記第1加熱源および前記第2加熱源を用いて、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、前記第2金型を加熱する工程と、ダミーとなる前記溶融ガラスを加圧成形しつつ、前記第1加熱源、前記第2加熱源および前記第1冷却部を用いて、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように、前記第2金型を加熱および冷却する工程とを含み、
    前記ガラス成形品を順次製造する工程において、前記第1加熱源を停止させた状態で、前記第1冷却部を用いて前記第2金型の前記中心部を冷却し、前記第2加熱源を用いて前記第2金型の前記周縁部を加熱する、請求項1に記載のガラス成形品の製造方法。
  3. 前記第1温調部は、前記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から前記第2金型の前記中心部を冷却する第2冷却部を含み、
    前記第2温調部は、前記第2冷却部から独立し、前記型面とは反対側から前記第2金型に接触し前記第2金型の前記周縁部を冷却する第3冷却部と、前記第3冷却部を介して前記第2金型の前記周縁部に熱的に接触して前記第2金型を加熱する第3加熱源とを含み、
    前記第2金型の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように予備的に調整する工程は、前記第2冷却部および前記第3冷却部を停止させた状態で前記第3加熱源を用いて、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、前記第2金型を加熱する工程と、ダミーとなる前記溶融ガラスを加圧成形しつつ、前記第2冷却部、前記第3冷却部および前記第3加熱源を用いて前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように前記第2金型を加熱および冷却する工程とを含み、
    前記ガラス成形品を順次製造する工程において、前記第3加熱源を停止させた状態で、前記第2冷却部を用いて前記第2金型の前記中心部を冷却し、前記第3冷却部を用いて前記第2金型の前記周縁部を冷却する、請求項1に記載のガラス成形品の製造方法。
  4. 前記第2冷却部および前記第3冷却部は、内部において冷却媒体が流動することができるように構成された接触式の冷却板を含む、請求項3に記載のガラス成形品の製造方法。
  5. 第1金型に供給される溶融ガラスを、当該第1金型とこれに対向する第2金型とによって挟み込んで加圧成形することにより、ガラス成形品を順次連続的に複数製造するガラス成形品の製造装置であって、
    前記第2金型の外部に配置され、かつ、前記第2金型の中心部の温度を調整可能な第1温調部と、
    前記第2金型の外部に配置され、かつ、前記中心部の外周に位置する前記第2金型の周縁部の温度を調整可能な第2温調部と、
    前記第2金型の前記中心部の温度を検知する第1検知手段と、
    前記第2金型の前記周縁部の温度を検知する第2検知手段と、
    前記第1温調部および前記第2温調部を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記第1検知手段からの検知結果に基づいて前記第2金型の前記中心部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように前記第1温調部を制御するとともに、前記第2検知手段からの検知結果に基づいて前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように前記第2温調部を制御した後に、前記第1検知手段からの検知結果に基づいて前記第2金型の前記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように前記第1温調部を制御するとともに、前記第2検知手段からの検知結果に基づいて前記第2金型の前記周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように前記第2温調部を制御する、ガラス成形品の製造装置。
  6. 前記第1温調部は、前記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から前記第2金型に接触し前記第2金型の前記中心部を加熱する第1加熱源と、前記第1加熱源を介して前記第2金型の中心部を冷却する第1冷却部とを含み、
    前記第2温調部は、前記第1加熱源から独立し、前記型面とは反対側から前記第2金型に接触し前記第2金型の前記周縁部を加熱する第2加熱源を含み、
    前記制御部は、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整するにあたり、前記第1冷却部を停止させて前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、前記第1加熱源および前記第2加熱源を制御した後に、ダミーとなる前記溶融ガラスを加圧成形しつつ、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように前記第1加熱源、前記第2加熱源および前記第1冷却部を制御し、
    前記制御部は、前記第2金型の前記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、前記第1加熱源を停止させ、前記第2金型の前記中心部を冷却するように前記第1冷却部を制御し、前記第2金型の周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、前記第2金型の前記周縁部を加熱するように前記第2加熱源を制御する、請求項5に記載のガラス成形品の製造装置。
  7. 前記第1温調部は、前記溶融ガラスを加圧成形する型面とは反対側から前記第2金型の前記中心部を冷却する第2冷却部を含み、
    前記第2温調部は、前記第2冷却部から独立し、前記型面とは反対側から前記第2金型に接触し前記第2金型の前記周縁部を冷却する第3冷却部と、前記第3冷却部を介して前記第2金型の前記周縁部に熱的に接触して前記第2金型を加熱する第3加熱源とを含み、
    前記制御部は、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように調整するにあたり、前記第2冷却部および前記第3冷却部を停止させ、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の温度が所定の温度に到達するように、前記第3加熱源を制御した後に、ダミーとなる前記溶融ガラスを加圧成形しつつ、前記第2金型の前記中心部および前記第2金型の前記周縁部の経時的な温度変化が所定の条件を満たすように前記第2冷却部、前記第3冷却部および前記第3加熱源を制御し、
    前記制御部は、前記第2金型の前記中心部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、前記第3加熱源を停止させ、前記第2金型の前記中心部を冷却するように前記第2冷却部を制御し、前記第2金型の前記周縁部の温度が所定の温度範囲に収まるように調整するにあたり、前記第3加熱源を停止させ、前記第2金型の前記周縁部を冷却するように前記第3冷却部を制御する、請求項5に記載のガラス成形品の製造装置。
  8. 前記第2冷却部および前記第3冷却部は、内部において冷却媒体が流動することができるように構成された接触式の冷却板を含む、請求項7に記載のガラス成形品の製造装置。
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