JP3162180B2 - ガラス光学素子の成形方法 - Google Patents

ガラス光学素子の成形方法

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JP3162180B2 JP12687092A JP12687092A JP3162180B2 JP 3162180 B2 JP3162180 B2 JP 3162180B2 JP 12687092 A JP12687092 A JP 12687092A JP 12687092 A JP12687092 A JP 12687092A JP 3162180 B2 JP3162180 B2 JP 3162180B2
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/12Cooling, heating, or insulating the plunger, the mould, or the glass-pressing machine; cooling or heating of the glass in the mould

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱軟化したガラス素
材を一対の成形型にて押圧成形し、ガラス光学素子を製
造するガラス光学素子の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】加熱軟化したガラス素材を上、下型で加
圧冷却する際、ガラス素材内部に温度差が生じると、成
形品に歪みが低下する。特に、肉厚差の大きい成形品を
得る場合には大きな問題であった。そこで、従来、肉厚
差の大きい成形品の成形に関する技術が、特開昭62−
191128号公報、特開平2−55235号公報及び
特開平2−111635号公報に開示されている。
【0003】特開昭62−191128号公報には、上
型、下型及び胴型を有してなり、これらの各々に冷却媒
体流通用の空洞を設けた光学素子の加圧成形用型が提案
されている。そして、上型空洞内に冷却媒体を流すこと
により、成形用型の温度を所定温度に迅速に設定するこ
とが可能になり、製造上の時間的及びエネルギー的損失
を減じることができ、また、温度の精密な制御により光
学素子全体の温度を均一に保ちつつ冷却することが可能
となり、光学素子の歪みを防止できるというものであ
る。
【0004】特開平2−55235号公報には、一対の
凸面成形型と胴型からなる精密ガラスプレス用成形型
で、熱源に接する型の一部にくりぬき部を設け、凹形状
のレンズの光学面部中心の温度を非光学面部の温度より
高く保ちつつ冷却する凹形状レンズの成形型及び成形方
法が記載されている。この成形型及び成形方法にあって
は、成形型のくりぬき部により空気断熱層を介在するこ
とで、冷却加圧時に収縮量の小さいレンズ光学面中心の
温度を高く保ことができ、収縮量の大きい非光学面側と
の収縮差を縮めながら冷却して、形状精度の良好な高精
度の成形レンズを得ようというものである。
【0005】特開平2−111635号公報には、凹状
の第1の光学面を有する第1の成形型と、凹状の第2の
光学面を有する第2の成形型と、前記第1及び第2の成
形型を案内する胴型とを具備し、前記第1及び第2の成
形型の少なくとも一方の光学面の背面に外周部凹部を設
けて構成したプレスレンズの成形金型、また、凸状の第
1の光学面を有する第1の成形型と、凸状の第2の光学
面を有する第2の成形型と、前記第1及び第2の成形型
を案内する胴型とを具備し、前記第1及び第2の成形型
の少なくとも一方の光学面の背面の中心部に凹部を設け
て構成したプレスレンズの成形型が記載されている。そ
して、この成形型にあっては、各工程における加熱ステ
ージと成形型の凹部とは接触しないので、熱伝達が制御
されて成形型間のガラス内部に温度差が生じにくくな
る。そして、凹状の光学面を有する成形型を用いて凸レ
ンズ及び凸メニスカスレンズを成形し、一方、凸状の光
学面を有する成形型を用いて凹レンズ及び凹メニスカス
レンズを成形して、高精度のプレスレンズを得ようとす
るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭62−
191128号公報の成形用型を用いて光学素子を成形
する際、押圧成形開始以後に成形用型の空洞内に冷却媒
体としての液体または気体を流して型温度の制御をして
いるため、特に肉厚差の大きい光学素子を成形する場合
には、押圧成形過程だけでは成形用型間のガラスを均温
制御できないことがある。また、特開平2−55235
号公報及び特開平2−111635号公報の成形方法
は、成形型の背面に設けた凹部により空気断熱層を形成
することにより熱伝達を制御して押圧成形過程のレンズ
内部に温度差を生じにくくしているが、これらの成形方
法にあっても、押圧成形開始以後にガラスと成形型間の
熱伝導効率を制御することになり、特に肉厚差の大きい
光学素子を成形する場合には、押圧成形過程だけでは成
形型間のガラスを均温制御できないことがある。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みな
されたもので、肉厚差の特に大きいガラス光学素子の成
形にあっても、加圧冷却の際にガラス内部の温度差が生
じにくく、良好な形状精度で成形できるガラス光学素子
の成形方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、加熱軟化したガラス素材を一対の成形型
により押圧成形するガラス光学素子の成形方法におい
て、成形するガラス光学素子の厚肉部を押圧する成形型
成形部の温度が前記ガラス光学素子の薄肉部を押圧する
成形部の温度よりも低くなるように、押圧成形前に予め
少なくとも一方の成形型の成形部に温度分布を形成し、
その後一対の成形型間にてガラス素材を押圧成形しガラ
ス光学素子を得ることとした。また本発明は、加熱軟化
したガラス素材を一対の成形型により押圧成形するガラ
ス光学素子の成形方法において、成形するガラス光学素
子の厚肉部を押圧する成形型成形部の温度が前記ガラス
光学素子の薄肉部を押圧する成形部の温度よりも低くな
るように、押圧成形前に予め少なくとも一方の成形型の
成形部の中央部と外周部とに温度分布を形成し、その後
一対の成形型間にてガラス素材を押圧成形しガラス光学
素子を得ることとした。また、本発明は、加熱軟化した
ガラス素材を一対の成形型間にて押圧成形するガラス光
学素子の成形方法において、成形するガラス光学素子の
厚肉部を押圧する前記成形型成形部の温度が前記ガラス
光学素子の薄肉部を押圧する成形部の温度より低くなる
ように、前記成形型に設けた温度制御手段によって、予
め前記成形型を所定の温度に制御し、その後前記ガラス
素材を前記成形型間に搬送して押圧成形することとし
た。
【0009】
【作用】上記構成の成形方法によれば、ガラス素材の押
圧成形前に、成形型成形部に予め温度の高い部分と低い
部分との温度分布が形成されているから、この状態の成
形型でガラス素材を押圧成形すると、厚肉部を押圧する
成形部の方が温度が低いので、厚肉部からの熱伝導量が
多くなり、押圧成形過程におけるガラス素材全体の均温
化が促進される。また、上記構成の成形方法によれば、
ガラス素材の押圧成形前に、成形型成形部の中央部と外
周部とに予め温度の高い部分と低い部分との温度分布が
形成されているから、この状態の成形型でガラス素材を
押圧成形すると、厚肉部を押圧する成形部の方が温度が
低いので、厚肉部からの熱伝導量が多くなり、押圧成形
過程におけるガラス素材全体の均温化が促進される。ま
た、上記構成の成形方法によれば、ガラス素材の押圧成
形前に、例えば凸形状のガラス光学素子では温度制御手
段により成形型の中央部を冷却し、また凹形状のガラス
光学素子では温度制御手段により成形型の外周部を冷却
することにより、予め成形型の成形部の中央部と外周部
とに温度分布が形成される。この状態の成形型でガラス
素材を押圧成形すると、厚肉部を押圧する成形部の方が
より温度が低いので、厚肉部からの熱伝導量が多くな
り、押圧成形過程におけるガラス光学素子全体の均温化
が促進される。そして、加圧冷却過程において、温度制
御手段の冷却効率を高めることにより、さらに厚肉部は
冷却されるので肉厚差の大きいガラス光学素子を成形す
る場合においても、ガラス光学素子内部の均温度冷却が
可能になる。
【0010】
【実施例1】図1は、本発明に係るガラス光学素子の成
形方法の実施例1の実施に用いる成形装置の成形型部を
示す拡大断面図、図2は、成形装置を示す断面図であ
る。図2において、1で示すのは成形部で、加熱炉ヒー
タ2aを備えた加熱炉2が隣接されている。成形部1及
び加熱炉2の周辺は、石英ガラス管またはステンレス製
管からなるカバー3及び上ベース4、下ベース5により
閉塞されており、これらのカバー3、上、下ベース4,
5により成形室6が形成されている。上、下ベース4,
5には、雰囲気ガス供給装置(図示省略)に接続したガ
スノズル7が貫設され、このガスノズル7を介して成形
室6内に供給される窒素ガス、不活性ガスまたは還元性
ガスにより成形室6内部の酸化を防止している。上ベー
ス4と下ベース5とは、図示を省略してある部材を介し
て結合されており、上ベース4と下ベース5との間の相
互の距離、位置が変化しないように構成されている。
【0011】成形室6内には、上型部8と下型部9とが
同一軸線上で相対的に接近・離反自在に対向配置されて
いる。上型部8は上ベース4に固定され、下型部9はプ
レス軸10の先端に固定されている。プレス軸10は、
下ベース5の下面に固定したハウジング11内で軸受け
(摺動用軸受け)12により軸方向へ摺動自在に保持さ
れるとともに、その下端で連結した駆動用シリンダ13
によって昇降駆動自在に設けられている。
【0012】また、図において14で示すのは、光学ガ
ラス素材15及びプレス成形後のガラス光学素子を載
置、搬送するキャリアで、このキャリア14はキャリア
搬送用アーム16により保持され、図示しない温度制御
装置によって所定の温度に設定し得る加熱炉2内を移送
され、成形部1の上型部8と下型部9との間に搬送され
るように制御構成されている。
【0013】上型部8は、図1に示すように、上ベース
4に固定された上型マウント17と、上型マウント17
の外周に巻き付けられた上型ヒータ18と、上型マウン
ト17内に設置された温度センサ19と、上型マウント
17に固定された上型20と、上型20の外周部に巻か
れた上型加熱ヒータ21と、上型20の先端部付近に設
置された温度センサ22とから構成されている。上型ヒ
ータ18は、温度センサ19及び図示を省略した温度制
御装置と接続され所定の温度に制御自在となっている。
また、上型加熱ヒータ21は、温度センサ22及び図示
を省略した温度制御装置と接続され所定の温度に制御自
在となっている。同様に、下型部9は、下型マウント2
3,下型ヒータ24,温度センサ25,下型26,下型
加熱ヒータ27及びセンサ28からなっている。
【0014】上型マウント17は、Si3 4 −Al2
3 系セラミックス(線膨張係数3.5×10-6)から
なり、その上端が上ベース4に固定されるとともに、そ
の下端面(先端面)には上型20を位置決めして固定す
るための凹部17aが設けられており、この凹部17a
の底面は平面仕上げされている。上型マウント17のの
中央部には上下方向に貫通孔17bが設けられ、この貫
通孔17bの上部には、上型マウント17の側面に開口
した排気孔17cが上型マウント17を横断するように
して連通されている。
【0015】上型20は、超硬合金(熱膨張係数4×1
-6)からなり、その成形面20aは所定の凹形状に精
密に鏡面仕上げされてから、ガラスとの融着性の低いC
rN薄膜20bがコートされ、一方、成形面20aの反
対側の端面(以下、底面という)20cは精密な平面に
仕上げられている。さらに、上型20には、底面20c
中央から成形面20aの方向に向けて単一の空洞部29
が設けられている。この上型20は、その底部を凹部1
7a内に収納し、上型マウント17の先端に取り付けら
れている。凹部17aに収納された上型20の底部外周
面の外径は、上型20が上型ヒータ18によって所定の
温度に加熱された時に、下部外周面が凹部17aの内周
面と焼きばまって固定されるように、凹部17aの内周
面間で所定のクリアランスを有するように線膨張係数を
考慮した寸法に形成されている。このとき、上型マウン
ト17と上型20とは、熱伝導が良好に行なわれるよう
に互いに密着する。
【0016】下型マウント23は、プレス軸10の先端
面に固着されている。下型マウント23及び下型26
は、上型マウント17及び上型20と同様に構成されて
いる。すなわち、下型マウント23はSi3 4 −Al
2 3 系セラミックス(線膨張係数3.5×10-6)か
らなり、その上端面に下型26の位置決め固定用の凹部
23aが形成されている。また、その中央内部に貫通孔
23bが設けられ、下型マウント23の外側の開口した
排気孔23cが貫通孔23bと連通して設けられてい
る。一方、下型26は超硬合金(線膨張係数4×1
-6)からなり、成形面26aは所定の凹形状に精密に
鏡面仕上げされてから、ガラスとの融着性の低いCrN
薄膜26bがコートされている。さらに、底面26c中
央から成形面26aの方向に向けて単一の空洞部30が
設けられている。
【0017】上記上型マウント17の貫通孔17b内に
は、上ベース4を貫通して成形室6外から上型内部ブロ
ー管31が挿入され、この上型内部ブロー管31の先端
開口部が、上型20の空洞部29内に位置するように配
管されている。同様に、下型マウント23の貫通孔23
b内には、プレス軸10を貫通して成形室6外から下型
内部ブロー管32の先端開口部が下型26の空洞部30
内に位置するように配管されている。この上型内部ブロ
ー管31と下型内部ブロー管32は、図2に示すよう
に、それぞれソレノイド弁33,34及び流量調節弁3
5,36を経て窒素ガス供給装置37に接続されてい
る。そして、上型20,下型26を加熱した状態におい
て、窒素ガス供給装置37から供給された所定量の窒素
ガスを上型内部ブロー管331及び/または下型内部ブ
ロー管32の先端から流出すると、窒素ガスは上型20
の空洞部29及び/または下型26の空洞部30の成形
面方向の内面29a,30a付近の熱を奪いながら、
上、下型マウント17,23の排気孔17c,23cか
ら成形室6内に排気される。なお、窒素ガス供給装置3
7から窒素ガスの流出量は、成形工程の前後で任意に変
更自在になっている。
【0018】次に、上記構成からなる成形装置を用いた
本発明に係るガラス光学素子の成形方法の実施例1を作
用とともに説明する。本実施例では、硝種SK11を用
い、外径11mm,曲率8mm及び10mm,肉厚4.
5mmの両凸形状のガラス光学素子を成形した。まず、
成形室6内部に上、下ベース4,5のガスノズル7から
窒素ガス等を供給し、成形室6内部の酸素濃度を1%以
下に置換する。次に、加熱炉ヒータ2aにより加熱炉2
を850℃の温度に加熱する。また、上型ヒータ18及
び下型ヒータ24により上型マウント17及び下型マウ
ント23を550℃の温度に加熱して、上型20及び下
型26を上型マウント17及び下型マウント23にそれ
ぞれ固定する。そして、上型内部ブロー管31及び/ま
たは下型内部ブロー管32から毎分8リットルの流量で
窒素ガスを流出しながら、上型加熱ヒータ21及び/ま
たは下型加熱ヒータ27で加熱することによって、上型
20及び/または下型26の先端温度を530℃の温度
に保つ。このとき、型表面温度は中央部で515℃、外
周部で530℃であった。
【0019】この状態において、キヤリア14内に光学
ガラス素材15を載置し、キャリア搬送用アーム16を
介して加熱炉2内に搬送し、上下の加熱炉ヒータ2aに
よりガラス素材15を成形可能な状態になるまで(軟化
点温度640℃)加熱軟化処理する。
【0020】次に、キャリア搬送用アーム16を前進さ
せ、キャリア14と共に光学ガラス素材15を上型20
と下型26との間に搬送する。その後、下型26を駆動
用シリンダ13によりプレス軸10を介して上動させ、
上、下型20,26の各成形面20a,26aにより軟
化状態の光学ガラス素材15をプレス圧力150kg/
cm2 で15秒間プレス成形する。このとき、少なくと
もプレス成形の時間の中で、窒素ガス供給装置37を制
御して、上型内部ブロー管31及び/または下型内部ブ
ロー管32の先端から流出する窒素ガスの流量を毎分2
5リットルに増加し、上型20及び/または下型26の
中央部からの冷却効果を強める。これにより、上型20
及び/または下型26の中央部が周辺部より更に低い温
度になるので。プレス成形中の光学ガラス素材15の光
学面中央の冷却速度は大きくなる。従って、光学ガラス
素材15の中央温度が外周部の温度に対し均温化されつ
つ、光学ガラス素材15が加圧冷却されつつ、均等に収
縮する結果、短時間の成形で形状精度の良い両凸形状の
ガラス光学素子を容易に得ることができる。
【0021】上、下型20,26でのプレス成形が終了
した後、下型26を下降して離型し、加熱炉2に対して
反対側に設けた徐冷炉(図示省略)中にキャリア搬送用
アーム16により搬送して、プレス成形されたガラス光
学素子を徐冷する。そして、徐冷が終了した後、徐冷炉
内から搬出し、ガラス光学素子をキャリア14から取り
出す。このようにして得られたガラス光学素子の光学面
の形状は、所望形状からのズレ量が0.1μm程度であ
り、カメラ等の撮像光学系に十分使用できるものであっ
た。本実施例によれば、肉厚差の特に大きい凸レンズに
おいてもガラス内部の温度差が生じにくく、形状精度の
良好なガラス光学素子を短時間で得ることができる。
【0022】本実施例の変形例として、凸メニスカスレ
ンズの成形においては、凸面側のみの型内部ブロー管か
ら気体を流入して型冷却を行うことで、実施例1と同様
な作用、効果を得ることができる。また、型内部に流入
する気体は窒素ガスに限定されることなく、高温下での
引火性あるいは人体への有害性がなく、型の劣化を招か
ない不活性な気体であればよく、例えばアルゴンガスで
もよい。
【0023】
【実施例2】図3は、本発明に係るガラス光学素子の成
形方法の実施例2の実施に用いる成形装置の成形型部を
示す拡大断面図である。この成形装置は、両凹形状のガ
ラス光学素子を成形するもので、以下、図1の成形装置
と異なる部分について説明する。図1の成形装置と異な
る点は、上型20の成形面20a及び下型26の成形面
26aが成形するガラス光学素子の光学面に対応する曲
率の凸形状を有している点、上型20及び下型26の中
央部に上型加熱ヒータ40及び下型加熱ヒータ41が設
けられている点、そして上型20及び下型26のそれぞ
れの側面近傍にリング状の上型ブロー管42及び下型ブ
ロー管43を配設している点である。
【0024】上型加熱ヒータ40及び下型加熱ヒータ4
1はそれぞれ温度センサ22及び温度センサ28と、図
示していない温度制御装置とに接続され、所定の温度に
制御自在となっている。上型ブロー管42及び下型ブロ
ー管43は中空の構造になっており、リングの中心に向
かって内周面に複数の排気孔42a及び43aがそれぞ
れ形成されている。上型ブロー管42及び下型ブロー管
43には、成形室6外の窒素ガス供給装置37(図1参
照)から窒素ガスを導入するための導入管44及び45
がそれぞれ接続されている。そして、導入管44及び4
5より導かれた窒素ガス供給装置37からの窒素ガス
は、上型ブロー管42及び下型ブロー管43の排気孔4
2a及び43aから上型20及び下型26の側面に向か
って噴出し、上、下型20,26の外周部をそれぞれ冷
却する。
【0025】次に、上記構成からなる成形装置を用いた
本発明に係るガラス光学素子の成形方法の実施例2を作
用とともに説明する。本実施例では、外径15mm,曲
率20mm及び30mm,肉厚2mmの両凹形状のガラ
ス光学素子を成形した。なお、以下に説明する成形過程
以外は、上記実施例1と同様であるので、その説明を省
略する。上型ブロー管42及び/または下型ブロー管4
3から毎分10リットルの流量の窒素ガスを流出しなが
ら、上型加熱ヒータ40及び/または下型加熱ヒータ4
1加熱することによって、上型20及び/または下型2
6の先端温度を540℃の温度に保つ。このとき、型表
面温度は中央部525℃、外周部540℃であった。
【0026】この状態で、光学ガラス素材15(図2参
照)を加熱炉2(図2参照)で成形可能な状態になるま
で(軟化点温度640℃)加熱軟化処理した後、この光
学ガラス素材15を上型20と下型26との間に搬送
し、上、下型20,26の各成形面20a,26aによ
り軟化状態にある光学ガラス素材15をプレス圧力15
0kg/cm2 で20秒間プレス成形する。このとき、
少なくともプレス成形の時間の中で、窒素ガス供給装置
37(図2参照)を制御して、上型ブロー管42及び/
または下型ブロー管43より流出する窒素ガスの流量を
毎分35リットルに増加し、上型20及び/または下型
26の外周部からの冷却効果を強める。これにより、上
型20及び/または下型26の周辺部が中央部より更に
低い温度になるので、プレス成形中の光学ガラス素材1
5の光学面部外部の冷却速度は大きくなる。従って、光
学ガラス素材15の外周温度は中心温度に対し均温化さ
れつつ、光学ガラス素材15が加圧冷却され、均等に収
縮する結果、短時間の成形で形状精度の良い両凸形状の
ガラス光学素子を容易に得ることができる。
【0027】このようにして得られたガラス光学素子の
光学面の形状は、所望形状からのズレ量が0.1μm程
度であり、カメラ等の撮像光学系に十分使用できるもの
であった。本実施例によれば、肉厚差の特に大きい凹レ
ンズにおいてもガラス内部の温度差が生じにくく、形状
精度の良好なガラス光学素子を短時間で得ることができ
る。
【0028】本実施例の変形例として、凹メニスカスレ
ンズの成形においては、凹面側のみの型ブロー管で型周
辺近傍から気体を吹きかけて型冷却を行なっても、実施
例2と同様な作用、効果を得ることができる。また、吹
きかける気体は窒素ガス限定されることはなく、高温下
での引火性あるいは人体への有害性がなく、型の劣化を
招かない不活性な気体であればよく、例えばアルゴンガ
スでもよい。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、押圧成
形前に、ガラス光学素子の厚肉部を押圧する成形型成形
部の温度が薄肉部を押圧する成形部より低くなるよう
に、予め成形型に温度分布を形成した後、ガラス光学素
子にするガラス素材を押圧成形するので、厚肉部の冷却
が促進され、押圧成形過程において、ガラス光学素子全
体の均温化を図ることができる。これにより、特に肉厚
差の大きいガラス光学素子を短時間で歪のない形状精度
の良好な状態に押圧成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に用いる成形装置部を示す拡
大断面図である。
【図2】本発明の実施例1に用いる成形装置を示す断面
図である。
【図3】本発明の実施例2に用いる成形装置の成形型部
を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
15 光学ガラス素材 20 上型 20a 成形面 26 下型 26a 成形面 31 上型内部ブロー管 32 下型内部ブロー管 42 上型ブロー管 43 下型ブロー管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−107822(JP,A) 特開 平4−83725(JP,A) 特開 平2−133325(JP,A) 特開 平5−24858(JP,A) 特開 平2−111635(JP,A) 特開 平2−55235(JP,A) 特開 昭62−191128(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 11/00 C03B 11/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱軟化したガラス素材を一対の成形型
    により押圧成形するガラス光学素子の成型方法におい
    て、成形するガラス光学素子の厚肉部を押圧する成形型
    成形部の温度が前記ガラス光学素子の薄肉部を押圧する
    成形部の温度よりも低くなるように、押圧成形前に予め
    少なくとも一方の成形型の成形部に温度分布を形成し、
    その後一対の成形型間にてガラス素材を押圧成形しガラ
    ス光学素子を得ることを特徴とするガラス光学素子の成
    形方法。
  2. 【請求項2】 加熱軟化したガラス素材を一対の成形型
    により押圧成形するガラス光学素子の成形方法におい
    て、成形するガラス光学素子の厚肉部を押圧成形する成
    形型成形部の温度が前記ガラス光学素子の薄肉部を押圧
    する成形部の温度よりも低くなるように、押圧成形前に
    予め少なくとも一方の成形型の成形部の中央部と外周部
    とに温度分布を形成し、その後一対の成形型間にてガラ
    ス素材を押圧成形しガラス光学素子を得ることを特徴と
    するガラス光学素子の成形方法。
  3. 【請求項3】 加熱軟化したガラス素材を一対の成形型
    間にて押圧成形するガラス光学素子の成形方法におい
    て、成形するガラス光学素子の厚肉部を押圧する前記成
    形型成形部の温度が前記ガラス光学素子の薄肉部を押圧
    する成形部の温度より低くなるように、前記成形型に設
    けた温度制御手段によって、予め前記成形型を所定の温
    度に制御し、その後前記ガラス素材を前記成形型間に搬
    送して押圧成形することを特徴とするガラス光学素子の
    成形方法。
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