JP4090816B2 - 光学素子の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱軟化したガラス素材を一対の成形型によりプレス成形してガラス光学素子を得るための光学素子の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス光学素子を成形する方法として、特許3201887号公報、特許2952185号公報の発明が開示されている。
特許3201887号公報に記載の方法は、ガラス素材を107〜109dPaSの粘度になるように加熱し、ガラスの1010〜1012dPaSの粘度相当に加熱した成形用型でプレスして所望の光学素子を得る方法である。この特許3201887号公報に記載された実施例1には、プレス開始の瞬間にガラス温度は急激に低下し、成形用型の温度はわずかに上昇する事実が記載されている。
【0003】
特許2952185号公報に記載の方法は、ガラス素材を109dPaS未満の粘度になるように加熱し、ガラスの109〜1012dPaSの粘度相当に加熱した成形用型でプレスして所望の光学素子を得る方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許3201887号に記載の方法の場合、成形型の温度上昇を制御していない為に、成形用型の温度上昇が少ないと所望の光学素子の中肉まで押圧できなかったり、割れたりすることがあった。また、逆に温度上昇が高すぎるとガラスと型とに融着が生じたり、ヒケを生じたりすることがあった。
【0005】
また特許2952185号公報に記載の条件にて光学素子を成形する場合には、Φ5mm以下の小径の光学素子を成形する場合には、成形対象となるガラス素材の体積が小さいことに起因して冷却が過度に早くなり、所望の光学素子の中肉部分まで押圧することができなかったり、割れたりする問題がある。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、割れや中肉不足や、型とガラス素材の融着やヒケなどが発生しない光学素子の成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の光学素子の成形方法は、ガラス素材と成形型とを加熱する第一の加熱工程と、前記成形型によって前記ガラス素材を押圧成形する押圧成形工程と、押圧成形工程開始後にガラス素材と成形型とを加熱する第二の加熱工程とよりなり、前記第一の加熱工程では成形型の温度がガラス素材の温度よりも低い温度となるように加熱温度を設定し、前記第二の加熱工程では押圧成形工程開始後の成形型表面近傍の温度上昇が3°C以上40°C以内となるように加熱を行うことを特徴とする。
【0009】
これにより本発明の光学素子の成形方法によれば所望の光学素子の中肉まで押圧して充分な押圧成形ができかつその際に成形型へのガラスの融着が生じることを防止することができる。
成形型表面近傍の温度上昇が、3°C未満では、押圧成形しようとするとガラス素材自身の熱容量が不足して、所望の光学素子の中肉まで押圧成形することができない。一方、押圧開始後の成形型表面近傍の温度上昇が40°Cを超える場合には成形型にガラス素材が融着し、成形を行うことができない。
【0010】
以上の本発明の光学素子の成形方法においては、ガラス素材を押圧成形して得られる成形品の押圧される2面の最も厚い部分の厚さよりも成形型表面よりも浅い位置を測定点として、その測定点の温度上昇が3°C以上40°C以内となるように第二の加熱工程における加熱を行うようにすることができる。
係る測定点は成形型表面近傍であり、係る測定点において測定することによって、成形型で押圧成形されるガラス素材の挙動をその温度変化として正確に把握することができ、光学素子の成形過程における加熱及び冷却制御を適切に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明のガラス素材の成形方法の一実施の形態に用いるガラス素材の成形装置を図面を参照して説明する。
本実施の形態のガラス素材の成形方法に用いるガラス素材の成形装置の全体構成を図1に示す。
基台1上にはガラス素材2の加熱を行う加熱部3とガラス素材2に対する成形を行う成形部4とが隣接して配置される。前記成形部4の成形室5には、その上部に上型押さえ部材6が配置され、その上型押さえ部材6と天地方向に対向して下型押さえ部材7が設けられる。前記上型押さえ部材6は成形部4に対し固定され、一方前記下型押さえ部材7と一体な加圧軸8は図示しない駆動機構によって成形部4に対し上下動可能に摺動支持部9を介して取りつけられる。上型押さえ部材6には上型10が固定され、係る上型10はガラス素材2に対する上型成形機能面10aを有する。一方下型押さえ部材7には下型11が固定され、係る下型11はガラス素材2に対する下型成形機能面11aを有する。また下型押さえ部材7に固定された下型11は前記加圧軸8を駆動させることによって上下駆動される。
【0012】
また上型押さえ部材6には上型10の外部に突出した部分の外周を取り囲んで上型加熱部12が設けられる。その上型加熱部12内側には上型10側部を囲撓するように上型用ヒータ13が取り付けられる。この上型用ヒータ13は、上型10を加熱するためのヒータであって係る目的から上型用ヒータ13は上型10を円周上に囲んで配置される。一方下型押さえ部材7には下型11の外部に突出した部分の外周を取り囲んで下型加熱部14が設けられる。その下型加熱部14内側には下型11側部を囲撓するように下型用ヒータ15が取り付けられる。この下型用ヒータ15は、下型11を加熱するためのヒーターであって係る目的から下型用ヒータ15は下型11を円周上に囲んで配置される。
【0013】
さらに上型押さえ部材6及び上型10には、上型押さえ部材6及び上型10それぞれの略中央部分を貫通する態様で上型用熱電対16が取り付けられ、この上型用熱電対16の基端は成形部4上面部分近傍の上型押さえ部材6基端部に固定され、一方上型用熱電対16先端は上型10のガラス素材2に対する上型成形機能面10aの近傍位置に配置される。この上型用熱電対16によって上型10の温度がモニターされ、したがって上型用熱電対16の先端は、上型10のガラス素材2に対する上型成形機能面10a近傍に近いほど望ましい。
また上型10のガラス素材2に対する上型成形機能面10aは凹面形状をしており、所望する球面形状に鏡面加工される。上型10の上型成形機能面10aと上型10の側部外周との連続部分10bは、滑らかに連続するように上型成形機能面10aの球面形状の接線と、連続部分10bの面取りRの接線とが一致するように接続して加工される。連続部分10bの面取りRの接線と上型成形機能面10aの接線とを一致させることで滑らかにつなぐことは、非球面形状、自由曲面でも同様に可能である。
【0014】
一方下型押さえ部材7及び下型11には、下型押さえ部材7及び下型11それぞれの略中央部分を貫通する態様で下型用熱電対17が取り付けられ、この下型用熱電対17の基端は成形部4下面部分近傍の下型押さえ部材7基端部に固定され、一方下型用熱電対17先端は下型11のガラス素材2に対する下型成形機能面11aの近傍位置に配置される。この下型用熱電対17によって下型11の温度がモニターされ、したがって下型用熱電対17の先端は、下型11のガラス素材2に対する下型成形機能面11a近傍に近いほど望ましい。
【0015】
また下型11のガラス素材2に対する下型成形機能面11aは凹面形状をしており、所望する球面形状に鏡面加工される。下型11の下型成形機能面11aと下型11の側部外周との連続部分11bは、滑らかに連続するように下型成形機能面11aの球面形状の接線と、連続部分11bの面取りRの接線とが一致するように接続して加工される。連続部分11bの面取りRの接線と下型成形機能面11aの接線とを一致させることで滑らかにつなぐことは、非球面形状、自由曲面でも同様に可能である。
【0016】
前記基台1上に成形部4と隣接して配置されたガラス素材2の加熱を行う加熱部3は加熱室18を備え、その加熱室18を形成する加熱部3内側壁面に加熱室18を取り囲む態様で円筒形状のヒーター19が配置される。
また加熱部3には搬送アーム20が設けられ、係る搬送アーム20は加熱部3の加熱室18内側を図示しない駆動源によって移動可能に配置される。この搬送アーム20の先端部にはU字型のホルダ受け部20aが形成され、このホルダ受け部20aにガラス素材2を載置するホルダ21が載置される。ホルダ21はその内周面にガラス素材2を載置するための段部21aを備える。またホルダ21の上端部は開放されて上型10の上型成形機能面10aの外径よりも大なる径の開口部21bとされ、一方ホルダ21の段部21a下方の下端部は開放されて下型11の下型成形機能面11aの外径よりも大なる径の開口部21cとされる。
【0017】
一方、上型10及び下型11の酸化を防止することを目的として、ガラス素材2の成形を行う成形部4の前記成形室5内部は図示しない非酸化性ガス導入部材により非酸化性ガスが導入されて非酸化性雰囲気に保たれる。係る成形室5内部を非酸化性雰囲気に保つ非酸化性ガスとしては窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等を適用することができる。また成形室5内部の酸素濃度は成形に使用される上型10及び下型11の型材や上型10及び下型11の表面を被覆する成膜材の種類に応じて適宜に調整される。例えば、上型10及び下型11の型材としてWCを用い膜厚300Å(オングストローム)以下のWC膜で被覆して構成した上型10及び下型11を使用する場合の成形室5内部の酸素濃度は、5ppm〜200ppmの範囲にするのが望ましい。この酸素濃度が200ppmを超える場合には、上型10及び下型11の酸化が顕著となり、一方、この酸素濃度を5ppm未満としても特に酸化防止効果がそれ以上向上するという利益はない。
【0018】
以上の図1に示すガラス素材の成形装置によれば次のように本発明のガラス素材の成形方法が実施される。
先ずガラス素材2をホルダ21の内側段部21a上に載置し、その後に、ホルダ21を搬送アーム20のホルダ受け部20aに載置する。その状態で搬送アーム20によって加熱部3の加熱室18内にホルダ21を搬送し、ヒータ19によってガラス素材2を加熱する。
一方、前記基台1上に加熱部3と隣接して配置されたガラス素材2の成形を行う成形部4の成形室5内部に非酸化性ガスを導入して非酸化性雰囲気とし、上型10及び下型11とをあらかじめ所定温度T1に加熱する。
ガラス素材2中央部の温度が、所定温度T2に達した時に、ガラス素材2を対向配置されている上型10及び下型11間に搬送する。
【0019】
次に加圧軸8を駆動させることによって下型押さえ部材7に固定された下型11を駆動させ、上型10の上型成形機能面10aと下型11の下型成形機能面11a間でガラス素材2を押圧成形する押圧工程を行う。
【0020】
以上の工程において、ガラス素材2を押圧成形する押圧工程前にガラス素材2と上型10及び下型11を加熱する第一の加熱工程においてはガラス素材2の加熱温度T2と成形型である上型10及び下型11の加熱温度T1とを、上型10及び下型11の加熱温度T1がガラス素材2の加熱温度T2よりも低い温度であり(T2>T1)、かつ押圧工程開始直後のガラス素材2表面部粘度はガラス素材2中央部粘度より高く、ガラス素材2表面部粘度とガラス素材2中央部粘度との比が103.5以下となるようにガラス素材2の加熱温度T2と上型10及び下型11の加熱温度T1とを設定する。
【0021】
次いで押圧成形工程開始後にガラス素材2と上型10及び下型11とをさらに加熱する第二の加熱工程を行う。この第二の加熱工程では押圧成形工程開始後の上型10の上型成形機能面10aと下型11の下型成形機能面11aの表面近傍のガラス素材2の温度上昇が3°C以上40°C以内となるように加熱を行う。 この第二の加熱工程では、成形型表面すなわち上型成形機能面10aと下型成形機能面11aからの距離が図1に示す間隔Aよりも浅い位置を測定点として、その測定点の温度上昇が3°C以上40°C以内となるように加熱を行うようにする。この図1に示す間隔Aはガラス素材2を押圧成形して得られる成形品の押圧される2面間の最も厚い部分の厚さであって上型成形機能面10aと下型成形機能面11aそれぞれの中心間距離である。
【0022】
次に上型10の上型成形機能面10aと下型11の下型成形機能面11a間でガラス素材2を押圧成形しさらに加熱する第二の加熱工程の後に冷却工程に移行する。係る冷却工程はガラス素材2のガラス転移点に相当する温度T3にガラス素材2の表面温度が達する前に開始する。この冷却工程開始温度T3は、ガラス素材2のガラス転移点がガラス粘度で1013.5dPaSに相当する温度である場合には、1013.5dPaSに相当する温度と設定される。またこの冷却工程開始温度T3は、実施の態様によってはガラス素材2の表面温度がガラス転移点のガラス粘度に対して10−1.5倍の粘度に相当する温度以下とする。したがって前述のようにガラス素材2のガラス転移点がガラス粘度で1013.5dPaSに相当する温度と決定される場合には、この冷却工程開始温度T3はガラス粘度で1012dPaSに相当する温度として設定する。またこの冷却工程では、成形後のガラス素材2表面部の粘度のガラス素材2中央部の粘度に対する比が101.5dPaS以内になるまで冷却を行う。
【0023】
【実施例】
次に以上の実施の形態に示したガラス素材の成形装置を用いて本発明のガラス素材の成形方法を実施した実施例を説明する。
(実施例1)
図1に示す全体構成のガラス素材の成形装置を用いて本発明のガラス素材の成形方法を実施した。
本実施例では、上型用ヒータ13及び下型用ヒータ15として赤外線ランプヒータ使用した。
【0024】
本実施例では、上型10及び下型11の素材にはSiC(炭化珪素)を使用し、膜厚2000Å(オングストローム=10−10m)以下のカーボン膜にて被覆した。上型10の成形機能面10a中心から上型10基端部までの距離の90%に相当する深さまで上型用熱電対16を挿入し、同様に下型11の成形機能面11a中心から下型11基端部までの距離の90%に相当する深さまで下型用熱電対17を挿入した。その結果、上型用熱電対16と上型成形機能面10a及び下型用熱電対17先端と下型成形機能面11aとの間隔は、上型成形機能面10aと下型成形機能面11aとの間隔の最も大きな部分の間隔A、すなわち成形品の最大肉厚であって、上型成形機能面10aと下型成形機能面11aとの中心間距離よりも小さくされた。
またガラス素材2の成形を行う成形部の成形室5中央部を非酸化性雰囲気に保つ非酸化性ガスとしては窒素ガスを使用し、成形室5中央部を、酸素濃度15%以下に保った。
【0025】
また、本実施例では、ガラス素材2の表面温度と中央部温度とをモニターする為に、ガラス素材2中央部に図示を省略した熱電対を挿入した。測定した結果を図2に示してある。図2のΔtは、ガラス素材2の表面温度と中央部温度との差を示す。
【0026】
先ず上型10及び下型11とをあらかじめガラス素材2の粘度で1013.5dPaSに相当する540℃に加熱し、同時に、ガラス素材2を収納したホルダ21を搬送アーム20によって加熱部3の加熱室18内に搬送し、ヒータ19によってガラス素材2を加熱して、ガラス素材2中央部の温度が、ガラス素材2の粘度で108.5dPaSに相当する粘度である645℃に達した時に、ガラス素材2を対向配置されている上型10及び下型11間に搬送した。
【0027】
次に加圧軸8を駆動させることによって下型押さえ部材7に固定された下型11を駆動させ、上型10の上型成形機能面10aと下型11の下型成形機能面11a間でガラス素材2を押圧成形した。
【0028】
以上の工程において、ガラス素材2を押圧成形する押圧工程前にガラス素材2と上型10及び下型11を加熱する第一の加熱工程においてはガラス素材2の加熱温度645℃(=T2)と成形型である上型10及び下型11の加熱温度540℃(=T1)とを、上型10及び下型11の加熱温度T1がガラス素材2の加熱温度T2よりも低い温度となるようにした。またガラス素材2の加熱温度T2と上型10及び下型11の加熱温度T1とを以上のように設定した結果、押圧工程開始直後のガラス素材2表面部の粘度のガラス素材2中央部の粘度に対する比は103.5以下であった。具体的には、押圧工程開始直後の成形された瞬間にガラス素材2の表面温度は下がり、ガラス素材2の粘度で1012dPaSに相当する温度である570℃となった。また、その時、ガラス素材2の中央部温度はガラス素材2の粘度で108.5dPaSに相当する温度である645℃であった。したがって、この時、図2のΔtすなわちガラス素材2の表面温度と中央部温度との差は75℃であった。また、この時、上型10及び下型11の温度は3℃上昇した。
【0029】
その後冷却工程に移行した。係る冷却工程はガラス素材2のガラス粘度で1012dPaSに相当する温度である570℃にガラス素材2中央部の温度が達する前に開始した。その際、ガラス素材2表面は本実施例で使用したガラス転移点温度である1013.5dPaSであった。またこの冷却工程では、成形後、ガラス素材2表面部粘度の中央部粘度に対する比が101.5以内になるまで冷却を行った。
【0030】
その後ガラス素材2から、熱電対を取り去り、上述と同じ条件でガラス素材2の成形を行い得られた光学素子の検査を行った。
検査はNR(ニュートンリング)、クセにつき行った。
(1)NR:得られた光学素子の曲率半径と成形に使用した型の曲率半径の差の絶対値を干渉縞本数で記述したパラメータ。
(2)クセ:得られた光学素子の形状の誤差であり、ヒケを定量的に評価したパラメータ。
以上のNRとクセについてはそれぞれ成形品の仕様で許容される上限値で規格化し、許容される上限値を100%とし、得られた結果がこれを下回る数値である場合には良好な結果であるものとして評価した。
係る検査の結果、本実施例によって得られた光学素子がNR83%、クセ50%以下の高精度な面形状を持つ光学素子が成形できることを確認した。
【0031】
以上の実施例において上型10及び下型11から離型を行う温度はガラス素材2中央部の粘度がガラス転移点温度以下になった後の方が、より望ましいが、サイクルタイムを短縮するために、ガラス中央部の温度がガラス粘度で1012dPaSに相当する温度になった時に離型しても、ガラス素材2表面部粘度の中央部粘度に対する比が101.5以下であれば、得られる光学素子は、十分な光学性能が得られた。
【0032】
(実施例2)
他は実施例1と同様として、下記i,ii の2条件につき異なる数値とする制御を行い光学素子を成形した。
i 押圧工程開始直後のガラス素材2表面部粘度の中央部粘度に対する比
ii 押圧工程開始後、ガラス素材2中央部の粘度が1012dPaSに達した際の表面部の中央部に対する粘度比
得られた光学素子につきその検査を行った。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示されるように、押圧工程開始直後のガラス素材2表面部粘度と中央部粘度に対する比(条件i)が104.5に達する場合には、押圧工程開始後、ガラス素材2中央部の粘度が1012dPaSに達した際の表面部の中央部に対する粘度比(条件ii )のいかんに関わらず、上型10及び下型11へのガラス素材2の融着による成形不良である型融着が発生すると共に、クセが許容上限値を超えた。
【0035】
これに対し、押圧工程開始直後のガラス素材2表面部粘度の中央部粘度に対する比(条件i)が103.5以下であれば原則として良好な成形結果が得られる。但し押圧工程開始後、ガラス素材2中央部の温度がガラス粘度で1012dPaSに相当する温度に達した際の表面部の中央部に対する粘度比(条件ii )が102.5に達する場合には、NR、クセが許容上限値を超えた。
これは以下の理由による。
すなわちガラス固有の物性として、ガラス転移点に近い1012dPaSを超える粘度では流動性すなわち変形がなくなるという事実がある。さらに詳細には1012dPaS以上でもわずかに流動性が保たれるにしろほぼガラス転移点であると認められる1013.5dPaS以上では流動性は失われる。また、ガラス素材2の表面部と中央部とに粘度の差がある場合にはガラス素材2表面部と中央部とに熱膨張差が生じる。以上のことから、ガラス素材2中央部の温度がほぼガラス転移点であると認められる1013.5dPaSに対して10−1.5倍のガラス粘度である1012dPaSに相当する温度に達すると共に、ガラス素材2の表面が中央部に対して102.5倍を超える粘度の違いが生じる場合には、その後冷却すると、ガラス素材2の中央部は流動性が極めて低く、且つガラス素材2表面部と中央部とに熱膨張差が生じることからヒケが起こり、得られる光学素子における転写精度の悪化の原因となる。
【0036】
(実施例3)
本実施例では、半径Φ2mmのガラス素材2を使用した。その他、用いた成形装置等は実施例1と同様でありその記載を省略する。
尚、図3は本実施例でガラス素材2に熱電対を挿入し測定した結果であり、ΔSは、プレス開始後の型温度の最高到達点とプレス直前の成形型の温度差を示す。
先ず上型10及び下型11とをあらかじめガラス素材2の粘度で1013.5dPaSに相当する540℃に加熱し、同時に、ガラス素材2を収納したホルダ21を搬送アーム20によって加熱部3の加熱室18内に搬送し、ヒータ19によってガラス素材2を加熱して、ガラス素材2中央部の温度が、ガラス素材2の粘度で108.5dPaSasに相当する粘度である630℃に達した時に、ガラス素材2を対向配置されている上型10及び下型11間に搬送した。
【0037】
次に加圧軸8を駆動させることによって下型押さえ部材7に固定された下型11を駆動させ、上型10の上型成形機能面10aと下型11の下型成形機能面11a間でガラス素材2を押圧成形し、成形された瞬間にガラス素材2の表面温度は低下し、表面温度はガラス素材2の粘度で1013.7dPaSに相当する温度である545℃となり、一方、中央部温度はガラス素材2の粘度で108.8dPaSに相当する温度である630℃であった。この時、同時に上型用ヒータ13と下型用ヒータ15の出力を上げ、ガラス素材2と上型10及び下型11とをさらに加熱する第二の加熱工程を行った。これにより、上型10と下型11との温度が上昇し、上型10と下型11の温度は580℃となった。図3に示されるように本実施例ではプレス開始後の型温度の最高到達点とプレス直前の成形型の温度差ΔSは35℃である。
【0038】
次に実施例1と同様に冷却工程を行い、その後ガラス素材2から、熱電対を取り去り、上述と同じ条件でガラス素材2の成形を行い得られた光学素子の外観検査を行った。その結果、得られた光学素子がNR83%、クセ50%以下の良好な光学素子であることを確認した。
本実施例3の光学素子の成形方法によれば、割れや中肉の加圧不足等の欠陥がない光学素子を成形することができた。
【0039】
(実施例4)
他は実施例3と同一として、ガラス素材2の中央部温度を107dPaSに相当する660℃とし、上型10及び下型11の温度をガラス素材2の粘度で1011dPaSに相当する580℃に設定して、上型10と下型11間でガラス素材2の押圧成形を開始した。また上型用ヒータ13と下型用ヒータ15による押圧成形開始後の加熱は行わなかった。しかし、上型10と下型11の温度は35℃上昇し、良好な光学素子が得られた。
【0040】
(比較例1)
他は実施例3と同様として、上型用ヒータ13と下型用ヒータ15の出力を調整することによってガラス素材2を押圧成形する押圧工程開始後に上型用ヒータ13と下型用ヒータ15の出力を上げ、上型10及び下型11の加熱温度を585℃以上とした。したがってガラス素材2押圧成形工程開始後の成形型である上型10と下型11の表面近傍の温度上昇は40℃以上となった。その結果、ガラス素材2の上型10及び下型11への融着が起き、光学素子を得ることはできなかった。
(比較例2)
他は実施例2と同様として、ガラス素材2を押圧成形する押圧工程開始後に上型用ヒータ13と下型用ヒータ15による出力を行わず上型10及び下型11の加熱は行わなかった。この時、上型10及び下型11の温度は実質的には上昇せず、温度上昇は3℃未満(2℃)であった。その結果、押圧成形過程でガラス素材2は割れてしまい所望の光学素子は得られなかった。
(比較例3)
他は実施例2と同様として、ガラス素材2を押圧成形する押圧工程前にガラス素材2と上型10及び下型11を加熱する第一の加熱工程においてガラス素材2の加熱温度T2をガラス素材2中央部の温度を105.5dPaSに相当する700℃とし、上型10及び下型11の加熱温度T1をガラス素材2の粘度で1011dPaSに相当する温度である580℃に設定した。その結果上型10と下型11の温度は45℃上昇し、ガラス素材2の上型10及び下型11への融着が起き、光学素子を得ることはできなかった。
【0041】
以上の実施例1、実施例3、実施例4、比較例1〜比較例3につき押圧成形工程開始後の成形型表面近傍の上昇温度と成形結果とを表2に整理して示す。
表2に示されるように、押圧成形工程開始後の成形型表面近傍の上昇温度が3℃である実施例1及び同じく上昇温度が35℃である実施例3及び実施例4では良好な成形結果が得られた。これに対し上昇温度が40℃以上である比較例1、比較例3では型融着が生じて良好な成形結果は得られない。また押圧成形工程開始後の成形型表面近傍の温度上昇を行わない比較例2ではガラス素材2に割れが発生し、やはり良好な成形結果は得られない。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】
本発明の光学素子の成形方法によれば、ガラスが型に融着したり、割れたり、所定厚みまで押厚できなかったりすることがなく、高精度な面精度を有する光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に用いるガラス素材の成形装置の全体構成図である。
【図2】 本発明の実施例1におけるガラス素材2の表面温度と中央部温度との成形過程における変化を測定した結果を示す説明図である。
【図3】 本発明の実施例3におけるガラス素材2の表面温度と中央部温度との成形過程における変化を測定した結果を示す説明図である。
【符号の説明】
2・・・ガラス素材、4・・・成形部、3・・・加熱部、10・・・上型、11・・・下型、16・・・上型用熱電対、17・・・下型用熱電対。
Claims (1)
- ガラス素材と成形型とを加熱する第一の加熱工程と、前記成形型によって前記ガラス素材を押圧成形する押圧成形工程と、押圧成形工程開始後にガラス素材と成形型とを加熱する第二の加熱工程とよりなり、前記第一の加熱工程では成形型の温度がガラス素材の温度よりも低い温度となるように加熱温度を設定し、前記第二の加熱工程では押圧成形工程開始後の成形型表面近傍の温度上昇が3°C以上40°C以内となるように加熱を行うことを特徴とする光学素子の成形方法。
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