JP4998428B2 - 予混合圧縮自着火機関における故障診断装置 - Google Patents
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Description
本発明は、吸気弁の開閉期間を変更可能な吸気側可変動弁機構と、排気弁の開閉期間を変更可能な排気側可変動弁機構とを用いて内部EGRを行なう予混合圧縮自着火機関における故障有無の診断に適した故障診断装置を提供することを目的とする。
好適な例では、前記判定手段は、前記圧縮自着火燃焼から前記火花点火燃焼への切り換えが行われるタイミング以後に検出された前記吸気流量の立ち上がり開始時期と、予め設定された第2基準開始時期との比較に基づいて、前記排気側可変動弁機構の故障の有無を判定する。
好適な例では、請求項6において、前記判定手段は、前記立ち上がり開始時期が前記第2基準開始時期よりも早い場合には、前記排気側可変動弁機構の故障発生有りの判定を行なう。
図1(a)に示すように、シリンダブロック11に形成された気筒111にはピストン12が往復動可能に収容されている。気筒111内に燃焼室112を区画するピストン12は、コネクティングロッド13を介してクランク軸14に連結されている。ピストン12の往復運動は、コネクティングロッド13を介してクランク軸14の回転運動に変換される。シリンダは、クランク軸14の軸方向に複数直列に配設されているが、以下においては気筒111に関してのみ説明する。
吸気カム軸19の端部側には公知の油圧式の吸気側可変バルブタイミング機構31(以下、吸気側VVT31と記す)が設けられており、排気カム軸20の端部側には公知の油圧式の排気側可変バルブタイミング機構32(排気側VVT32と記す)が設けられている。吸気側VVT31は、クランク軸14の回転駆動力を吸気カム軸19に伝達し、かつ油圧によって吸気カム軸19の回転位相を変更可能な構成となっている。排気側VVT32は、クランク軸14の回転駆動力を排気カム軸20に伝達し、かつ油圧によって排気カム軸20の回転位相を変更可能な構成となっている。
制御コンピュータCは、前記した切り換え指令の有無を判断する(ステップS11)。切り換え指令がない場合(ステップS11においてNO)、制御コンピュータCは、ステップS11の開始からエンジン回転が基準サイクル数(エンジン1回転を1サイクルとする)だけ経過したか否かを判断する(ステップS26)。基準サイクル数は、エンジン回転数に応じて設定されている。基準サイクル数だけ経過していない場合、制御コンピュータCは、ステップS11へ移行する。
M1<Mxの場合(ステップS17においてYES)、制御コンピュータCは、スパークプラグ18の点火を継続させる(ステップS18)。スパークプラグ18の点火の継続は、火花点火でHCCI燃焼をアシストして異常燃焼及び失火を防止する。そして、制御コンピュータCは、スパークプラグ18の点火時期を遅角させる(ステップS19)。スパークプラグ18の点火時期の遅角は、早すぎる着火を抑制する。その後、制御コンピュータCは、油圧供給調整機構28を油圧供給停止状態から油圧供給状態へ切り換える(ステップS15)。
ステップS13においてYESの場合(M2<Mx且つT1>Txの場合)、制御コンピュータCは、スパークプラグ18の点火を継続させる(ステップS14)。スパークプラグ18の点火の継続は、火花点火でHCCI燃焼をアシストして異常燃焼及び失火を防止する。その後、制御コンピュータCは、油圧供給調整機構28を油圧供給停止状態から油圧供給状態へ切り換える(ステップS15)。
ステップS16の処理後、制御コンピュータCは、新たな制御サイクルの開始としてのステップS11へ移行する。
M4>Mx且つT3<Txの場合(ステップS26においてYES)、制御コンピュータCは、スパークプラグ18の点火時期を遅角させる(ステップS21)。スパークプラグ18の点火は、火花点火でHCCI燃焼をアシストして異常燃焼及び失火を防止し、スパークプラグ18の点火時期の遅角は、早すぎる着火を抑制する。その後、制御コンピュータCは、吸気側VVT31及びスパークプラグ18の点火時期を進角させてゆく(ステップS22)。吸気側VVT31及びスパークプラグ18の点火時期の進角は、吸気加熱を低減する。ステップS22は、気筒間のトルクのバラツキによるエンジン回転数の変動が許容範囲に収まるまで遂行される。
ステップS20においてYESの場合(M3>Mx且つT2>Txの場合)、制御コンピュータCは、排気側VVT32を遅角させる(ステップS24)。排気側VVT32の遅角は、燃焼室112内への排気ガスの閉じ込め量を減らして燃焼室112内の排気ガスが吸気通路33側に吹き返すのを減らすために行われる。吸気通路33側への排気ガスの吹き返しの低減は、吸気流量の減少を防止する。又、制御コンピュータCは、吸気側VVT31及びスパークプラグ18の点火時期を進角させる(ステップS25)。この場合の吸気側VVT31の進角は、排気側可変動弁機構27が正常である他の気筒に内部EGRを行なうためであり、スパークプラグ18の点火時期の進角は、燃焼安定化のために行われる。
ステップS16の処理後、制御コンピュータCは、新たな制御サイクルの開始としてのステップS11へ移行する。
(1)排気側可変動弁機構27が故障している場合、油圧供給調整機構28が油圧供給状態から油圧供給停止状態へ切り換えられた時期To以後に検出された吸気流量の最大値Mxは、基準最大値M1より大きい。制御コンピュータCは、油圧供給調整機構28が油圧供給状態から油圧供給停止状態へ切り換えられた時期To以後に検出された吸気流量の最大値Mxが基準最大値M1より大きいことを把握した場合には、排気側可変動弁機構27の故障有りの判定を行なう。
(3)排気側可変動弁機構27が故障している場合、油圧供給調整機構28が油圧供給停止状態から油圧供給状態へ切り換えられた時期To以後に検出された吸気流量の最大値Mxは、基準最大値M3に満たず、且つ時期To以後に検出された吸気流量の立ち上がり開始時期Txが基準開始時期T2よりも早い。制御コンピュータCは、油圧供給調整機構28が油圧供給停止状態から油圧供給状態へ切り換えられた時期To以後に検出された吸気流量の最大値Mxが基準最大値M3に満たず、且つ時期To以後に検出された吸気流量の立ち上がり開始時期Txが基準開始時期T2よりも早いことを把握した場合には、排気側可変動弁機構27の故障有りの判定を行なう。
(4)吸気側可変動弁機構29が故障している場合、油圧供給調整機構28が油圧供給停止状態から油圧供給状態へ切り換えられた時期To以後に検出された吸気流量の最大値Mxは、基準最大値M4に満たず、且つ時期To以後に検出された吸気流量の立ち上がり開始時期Txが基準開始時期T3よりも遅い。制御コンピュータCは、油圧供給調整機構28が油圧供給停止状態から油圧供給状態へ切り換えられた時期To以後に検出された吸気流量の最大値Mxが基準最大値M4に満たず、且つ時期To以後に検出された吸気流量の立ち上がり開始時期Txが基準開始時期T3よりも遅いことを把握した場合には、吸気側可変動弁機構29の故障有りの判定を行なう。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
(2)第1の実施形態において、立ち上がり開始時期と基準時間との比較にのみ基づいて故障有無の判定を行なってもよい。
Claims (13)
- 吸気弁の開閉期間を変更可能な吸気側可変動弁機構と、排気弁の開閉期間を変更可能な排気側可変動弁機構とを備え、内部EGRを伴う圧縮自着火燃焼と、火花点火燃焼とに切り換え可能な予混合圧縮自着火機関における故障診断装置において、
燃焼室内へ吸入される混合気の吸気流量を検出する吸気流量検出手段と、
前記吸気流量検出手段によって検出された吸気流量の変動情報に基づいて前記吸気側可変動弁機構及び前記排気側可変動弁機構の故障の有無を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼への切り換え情報と、前記吸気流量の変動情報と、予め設定された第1基準変動情報とに基づいて、前記故障の有無を判定し、前記圧縮自着火燃焼から前記火花点火燃焼への切り換え情報と、前記吸気流量の変動情報と、予め設定された第2基準変動情報とに基づいて、前記故障の有無を判定する予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。 - 前記判定手段は、前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼への切り換え後に検出された前記吸気流量の最大値と、予め設定された第1基準最大値との比較に基づいて、前記排気側可変動弁機構の故障の有無を判定する請求項1に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段は、前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼への切り換え後に検出された前記吸気流量の立ち上がり開始時期と、予め設定された第1基準開始時期との比較に基づいて、前記吸気側可変動弁機構の故障の有無を判定する請求項1に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段は、前記立ち上がり開始時期と前記第1基準開始時期との比較、及び前記立ち上がり開始の後に検出された前記吸気流量の最大値と予め設定された第1基準最大値との比較に基づいて、前記吸気側可変動弁機構の故障の有無を判定する請求項3に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段は、前記圧縮自着火燃焼から前記火花点火燃焼への切り換え後に検出された前記吸気流量の立ち上がり開始時期と、予め設定された第2基準開始時期との比較に基づいて、前記排気側可変動弁機構又は前記吸気側可変動弁機構の故障の有無を判定する請求項1に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段は、前記立ち上がり開始時期と前記第2基準開始時期との比較、及び前記立ち上がり開始の後に検出された前記吸気流量の最大値と予め設定された第2基準最大値との比較に基づいて、前記排気側可変動弁機構又は前記吸気側可変動弁機構の故障の有無を判定する請求項5に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段は、前記立ち上がり開始時期が前記第2基準開始時期よりも早い場合には、前記排気側可変動弁機構の故障発生有りの判定を行なう請求項6に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段は、前記立ち上がり開始時期が前記第2基準開始時期よりも遅い場合には、前記吸気側可変動弁機構の故障発生有りの判定を行なう請求項6に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記吸気側可変動弁機構は、吸気カム軸に止着された火花点火燃焼用の吸気カムと圧縮自着火燃焼用の吸気カムとを備えた吸気側可変動弁機構であり、前記吸気側可変動弁機構は、前記火花点火燃焼用の吸気カムの動きを前記吸気弁に伝える第1吸気タイミング状態と、前記圧縮自着火燃焼用の吸気カムの動きを前記吸気弁に伝える第2吸気タイミング状態とに切り換え可能であり、前記排気側可変動弁機構は、排気カム軸に止着された火花点火燃焼用の排気カムと圧縮自着火燃焼用の排気カムとを備えた排気側可変動弁機構であり、前記排気側可変動弁機構は、前記火花点火燃焼用の排気カムの動きを前記排気弁に伝える第1排気タイミング状態と、前記圧縮自着火燃焼用の排気カムの動きを前記排気弁に伝える第2排気タイミング状態とに切り換え可能であり、前記吸気カム軸を進角又は遅角させるための吸気側可変バルブタイミング機構及び前記排気カム軸を進角又は遅角させるための排気側可変バルブタイミング機構が備えられており、前記判定手段が故障有りの判定を行なった場合には故障対策用の燃焼制御を行なう制御手段が備えられている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段が請求項2における故障有りの判定を行なった場合、前記制御手段は、火花点火を継続すると共に、火花点火時期を遅らせ、圧縮自着火燃焼から火花点火燃焼へ戻す制御を行なう請求項9に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段が請求項3及び請求項4のいずれか1項における故障有りの判定を行なった場合、前記制御手段は、火花点火を継続すると共に、圧縮自着火燃焼から火花点火燃焼へ戻す制御を行なう請求項9に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段が請求項7における故障有りの判定を行なった場合、前記制御手段は、前記排気カム軸を遅角させて前記排気弁の開閉タイミングを遅らせる制御と、前記吸気カム軸を進角させて前記吸気弁の開閉タイミングを早める制御と、火花点火時期を早める制御とを行なう請求項9に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
- 前記判定手段が請求項8における故障有りの判定を行なった場合、前記制御手段は、火花点火時期を遅らせる制御と、前記吸気カム軸を進角させて前記吸気弁の開閉タイミングを早める制御と、火花点火時期を早める制御とを行なう請求項9に記載の予混合圧縮自着火機関における故障診断装置。
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