JP4997448B2 - 窒化物半導体の製造方法および窒化物半導体デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物半導体の製造方法およびこれによって製造された窒化物半導体を有する半導体デバイスに関する。
従来、窒化アルミニウムなどの半導体化合物薄膜は、その圧電性および焦電性などを利用した携帯電話用の高周波フィルター、物理量センサの検知材料、発光ダイオードの発光層の他、さらに、電子デバイス、光学デバイス、高耐圧、高耐熱電子デバイスなどの多くのデバイスへの応用が可能であり、広く研究開発がなされている。
薄膜を製造する方法としては、反応スパッタリング法が挙げられ、本製造方法によって、薄膜を均一な厚さで製造することができる。
ところで、得られた薄膜の結晶性、結晶配向性、分極方向などは、薄膜の物性に大きく影響を及ぼすため、これらの特性が所望の値となるように制御されていることが望ましい。
例えば、特許文献1には、窒化アルミニウムの結晶性、配向性を制御する窒化アルミニウム薄膜が開示されている。上記アルミニウム薄膜は、タンタルを主成分とする厚さ2000nm未満の金属薄膜の表面に形成されている。本構成によれば、薄膜の結晶性および配向性を向上させることが可能である。
特開2004−312611号公報(平成16年11月4日公開)
しかしながら、上記従来の窒化アルミニウム薄膜の構成では、結晶性および配向性を制御することができるものの、分極方向を制御することができないという問題点を有している。
具体的には、効果的な圧電性(圧電応答)を実現させるためには、結晶性および配向性だけでなく、分極方向を一定方向に揃える必要がある。一方、分極方向が不統一であると、所望の圧電性が示されないこととなる。特許文献1に開示された薄膜の製造方法では、分極方向の制御を行なうことができず、分極方向は一定の方向に制御されていない。
なお、分極方向の制御については、窒化物半導体およびそれを用いた半導体デバイスにおいて、表面粗さ、欠陥などの構造、および、化学反応の反応確率、エッチング速度などの化学性質、光特性、電気的特性などの物理的物性に影響することが、J. Cryst. Growth 282 (2005)45、Phys. Rev. Lett. 95 (2005)266105-1、Jpn. J. Appl. Phys. 43 (2004) L151、APPl. Phys. Lett. 84 (2004) 912 に開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された窒化アルミニウム薄膜の構成では、分極方向を制御することができない。また、窒化アルミニウム薄膜を成長させる金属薄膜(基板)がタンタルを主成分とする構成に限定されてしまうというデメリットも有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、基板の限定がなく、簡易な方法で、薄膜の分極方向を制御することができる反応スパッタリング法を実現することにある。
本発明の発明者は、簡易な方法で、薄膜の分極方向を制御すべく詳細な検討を行った結果、通常の反応スパッタリングでは、不要なガスと考えられている酸素の濃度について着目した。酸素は反応に関連しないため、望まない反応が生じないよう反応系からできる限り排除されることが通常である。しかし、本発明の発明者は、この通常の方法では排除される酸素の反応系における酸素濃度について鋭意検討したところ、酸素濃度が所定の範囲内である場合に得られる窒化物半導体薄膜の分極方向を制御することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る窒化物半導体薄膜の製造方法は、上記課題を解決するために、不活性ガス雰囲気下において、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、アルミニウム−ガリウム合金、アルミニウム−インジウム合金、アルミニウム-スカンジウム合金、ガリウム−インジウム合金、ガリウム−スカンジウム合金、インジウム−スカンジウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と窒素とを反応させることによって、窒化金属薄膜を製造する反応スパッタリング法において、窒素と共に酸素を供給し、不活性ガス、窒素および酸素の全モル数に対する酸素のモル濃度が、0.8%以上、3.2%以下であることを特徴としている。
上記の発明によれば、酸素を上記の所定量供給することにより、得られる窒化物半導体の分極方向を制御することができる。その結果、窒化物半導体における分極方向が窒素極性にそろった窒化物半導体を得ることができ、圧電応答が高い窒化物半導体を得ることができる。また、用いることのできる基板は特に限定されない。
さらに、上記の発明によれば、圧電応答の絶対値が2以上の圧電材料を提供することができる。この圧電応答の値は、代表的な圧電材料である水晶の値とほぼ同等であり、本発明に係る製造方法によれば、圧電材料として用いることのできる窒化物半導体を提供できる。
また、本発明に係る窒化物半導体の製造方法では、上記酸素のモル%が、0.9%以上、2.5%以下であることが好ましい。
これにより、さらに窒化物半導体における分極方向を制御することができ、得られる圧電応答の絶対値を4以上とすることができる。それゆえ、高周波フィルターやセンサ等のような半導体デバイスとして非常に好適に用いることのできる窒化物半導体を提供することができる。
また、本発明に係る窒化物半導体の製造方法では、上記酸素のモル%が、1%以上、2%以下であることが好ましい。
これにより、窒化物半導体における分極方向を非常に好ましく制御することができ、得られる圧電応答の絶対値を7以上(または程度)とすることができる。それゆえ、非常に優れた電圧応答性を達成することができる。さらに、上記酸素のモル%における圧電応答性は、非常に安定した値を示すため、非常に好ましく分極方向が制御され、かつ、膜製作プロセス上安定した圧電応答値の窒化物半導体を提供することができる。
また、本発明に係る窒化物半導体の製造方法では、上記金属が、アルミニウムであることが好ましい。
これにより、比較的容易に反応を行うことができ、安価な窒化アルミニウムを得ることができる。また、窒化アルミニウムは、弾性波の伝播速度が速く、高周波帯域で動作する薄膜共振器、薄膜フィルター用の圧電材料に好ましく用いることができる。
また、本発明に係る窒化物半導体の製造方法では、上記酸素と共に、二酸化窒素、オゾン、過酸化水素、水蒸気、塩素からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加ガスを添加することもできる。
これらのガスは、アルミニウムとの結合エネルギーが高く、酸素と同様の作用を果たすので、本製造方法において用いることができ、反応に用いるガスのバリエーションを増加させることができる。
また、本発明に係る半導体デバイスは、上記窒化物半導体の製造方法によって製造された窒化物半導体を有するものである。
分極方向が制御された窒化物半導体を有しているため、上記半導体デバイスは、様々な用途に用いられることが可能である。
本発明の窒化物半導体の製造方法は、以上のように、窒素と共に酸素を供給し、不活性ガス、窒素および酸素の全モル数に対する酸素のモル%が、0.8%以上、3.2%以下である製造方法である。
それゆえ、得られる窒化物半導体の分極方向を制御することができる。その結果、用いることができる基板が限定されることなく、窒化物半導体における分極方向が窒素極性にそろっている窒化物半導体を得ることができ、圧電応答が高い窒化物半導体を得ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
<薄膜成長装置>
まず、本発明に係る窒化物半導体薄膜の製造方法に係る成長装置について説明する。図1は、薄膜成長装置10を示す断面図である。薄膜成長装置10は反応スパッタリング法における従来の薄膜成長装置であり、従来用いられているものである。
薄膜成長装置10は、反応が行われるチャンバー1中において、電極2に基板9を配置している。チャンバー1の上部にはガス供給部6が、下部には真空ポンプ7が備えられている。
基板9は、目的生成物である窒化物半導体が形成される部材である。基板9の材料としては、反応スパッタリングの基板として、通常用いられる材料を用いればよく、特に限定されるものではない。基板9の厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば、5μm〜1mmとすることができる。
基板9の材料としては、公知の基板材料を用いることができ、具体的には、シリコン、サファイア、炭化ケイ素、ガラスなどを用いることができる。
基板9は、金属ターゲット(金属)5と対向するように備えられており、窒素と反応する金属ターゲット5は電極3上に配置されている。電極3は支持体4によって、チャンバー1の底部に固定されている。反応スパッタリングを行う際の基板9の加熱温度については、反応スパッタリング法を行うことができれば特に限定されるものではないが、例えば、室温以上600℃以下の温度範囲とすることができる。
電極2および電極3はチャンバー1外部に配置されている直流または高周波電源に接続されており、電圧を調整することが可能である。
金属ターゲット5は、窒化物半導体の原料となるものである。金属ターゲット5としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、アルミニウム−ガリウム合金、アルミニウム−インジウム合金、アルミニウム-スカンジウム合金、ガリウム−インジウム合金、ガリウム−スカンジウム合金、インジウム−スカンジウム合金を用いることができる。これらは、周期表において同じ族であり、結晶構造が同じである。このため、後述する本製造方法において、同様の挙動を示すので、これらを窒化物半導体の原料として用いることができる。
この中でも、比較的容易に反応を行え、安価で窒化物半導体を得ることができるという点から、アルミニウムが好ましい。アルミニウムを用いた場合には、得られる窒化アルミニウムは、弾性波の伝播速度が速いという利点があるため、これを高周波帯域で動作する薄膜共振器、薄膜フィルター用の圧電材料に好ましく用いることができる。
金属ターゲット5の厚さとしては、特に限定されるものではないが、金属ターゲット5と窒素との反応性の観点から、1mm以上30mm以下であることが好ましい。金属ターゲット5と、基板9との距離は反応スパッタリング法を行うことができれば特に限定されるものではないが、2cm以上20cm以下とすることができる。
ガス供給部6からは、チャンバー1へ窒化物半導体の製造に用いられるガスが供給される。なお、ガス供給部6には、図示しないガス供給タンクおよび圧力調整機と連結されており、ガス供給タンクに貯蔵されたガスは、圧力調整機によって、所望の圧力に調整された後、ガス供給部6からチャンバー1内へ供給される。
ガス供給部6からは、不活性ガスおよび窒素が供給される。不活性ガスとしては、窒化物半導体の製造において、反応に悪影響を及ぼさなければよく、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどを用いることができる。チャンバー1内部における気体全量に対し、窒素の濃度は、10%以上、100%以下の範囲内とすることができる。
真空ポンプ7は、チャンバー1内部の圧力を減圧することによって調節するものであり、公知の真空ポンプを用いればよい。
<窒化物半導体薄膜の製造方法>
以下、上記製造方法について、図1に示す薄膜成長装置10を用いて説明するが、上記製造方法は、薄膜成長装置10にその実施が限定されるものではなく、公知の薄膜成長装置を用いて実施することが可能である。
本発明に係る窒化物半導体の製造方法は、不活性ガス雰囲気下において、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、アルミニウム−ガリウム合金、アルミニウム−インジウム合金、アルミニウム-スカンジウム合金、ガリウム−インジウム合金、ガリウム−スカンジウム合金、インジウム−スカンジウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と窒素とを反応させることによって、窒化半導体を製造する反応スパッタリング法において、窒素と共に酸素を供給し、不活性ガス、窒素および酸素の全モル数に対する酸素のモル%が、0.8%以上、3.2%以下である。
本実施の形態に係る製造方法においては、まず、真空ポンプ7によってチャンバー1内部を高真空状態にし、その後不活性ガスを導入する。減圧時の圧力は、反応温度などの反応条件によって適宜変更すればよいが、4×10−4Pa以下とすることが反応を安定して行うことができるため好ましい。
次に、基板9を反応温度に加熱する。設定温度は、反応条件によって適宜変更すればよいが、窒化アルミニウム薄膜を製造する場合、25℃以上、600℃以下とすることができる。
さらに、チャンバー1内部へ窒素および酸素を供給する。窒素の供給量は反応条件によって適宜調整されるものであるが、一例として、不活性ガス、窒素および酸素の全モル数に対し、10モル%以上、98モル%以下とすることができる。
上記窒素の供給時には、酸素も共に供給される。酸素は窒化物半導体の原料となるものではなく、逆に反応に悪影響を及ぼすおそれが考慮され、その供給はなされるものではない。しかしながら、本発明者は、この点に逆に着目し、鋭意検討した結果、酸素を供給することによって、得られる窒化物半導体の分極方向が制御できることを見出したのである。酸素の供給量としては、不活性ガス、窒素および酸素の全モルするに対し、0.8%以上、3.2%以下である。酸素のモル%がこの範囲内であることによって、得られる窒化物半導体の分極方向を制御することができる。その結果、窒化物半導体における分極方向が窒素極性にそろった窒化物半導体を得ることができ、圧電応答が高い窒化物半導体を得ることができる。すなわち、酸素が反応系に存在すれば、アルミニウム極性となっている分極方向を窒素極性に反転することができる。また、用いることのできる基板は特に限定されない。なお、上記モル%は、酸素の分圧に変えて設定することもできる。
従来の窒化物半導体の製造方法では、上記量の酸素を供給する工程は見出されておらず、得られる窒化物半導体の分極方向を制御することはできなかった。本発明は分極方向の制御を行なえるという点で、非常に優れており、有用な発明であるといえる。
さらに、本発明者は、詳細に上記酸素の供給量について検討したところ、上記酸素の供給量は、0.9%以上、2.5%以下であることが好ましいことを見出した。これにより、さらに窒化物半導体における分極方向を制御することができる。また、特に好ましい範囲としては、1%以上、2%以下である。これにより、窒化物半導体における分極方向を非常に好ましく制御することができる。
なお、酸素と共に上記酸素と共に、二酸化窒素、オゾン、過酸化水素、水蒸気、塩素からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加ガスを添加することもできる。
これらのガスは、アルミニウムとの結合エネルギーが高く、酸素と同様の作用を果たすので、酸素と同様に本製造方法において用いることができる。上記添加ガスを用いることにより、酸素以外のガスを用いることができるので、反応に用いるガスのバリエーションを増加させることができる。
酸素を供給した後、電極2および電極3に接続されている電源によって、電極2を正の電荷、電極3を負の電荷に帯電させる。これによって、窒素8を金属ターゲット5に衝突させ、反応スパッタリングを行う。金属ターゲット5の周囲に示される矢印は、窒素8の移動方向を示している。窒素8と金属ターゲット5とが接触し、それぞれが反応することによって、基板9上に窒化物半導体が形成され、目的物を製造することができる。
反応スパッタリングを行う際の金属ターゲット5をスパッタリングする圧力は、特に限定されるものではないが、0.1Pa以上0.8Pa以下の範囲内、スパッタリング電力密度は5W/cm以上20W/cmの範囲内に設定し、本発明に係る製造方法を実施できる。
〔窒化アルミニウムの評価〕
本実施の形態に係る窒化物半導体の製造方法を以下の条件での製造方法によって実施し、窒化アルミニウムを作成した。具体的には、金属ターゲット5として純度99.99%以上の高純度アルミニウムを用い、基板9としてシリコンを用いた。また、スパッタリング時の基板9の加熱温度は、400℃に設定し、金属ターゲット5をスパッタリングする圧力は、0.25Pa、スパッタリング電力密度は7.9W/cmとした。また、窒素濃度を40%、金属ターゲット5と基板9との距離は15cmとした。酸素は図2に示す濃度(%)となるよう用いた。なお、不活性ガスとしてはアルゴンを用い、チャンバー1の内部が図2に示す酸素濃度(モル%)、上記窒素濃度となるよう、アルゴンのガス濃度を調節した。
圧電応答の測定は、Berlincourt法によって行い、測定装置としてはPM100(Piezotest社製)を用いて行った。
図2は、酸素濃度(モル%)が圧電応答に及ぼす影響を示すグラフである。同図に示すように、酸素のモル%が、0.5%以下では、アルミニウム極性(Al-極性)が示される。また、0.8%未満、3.2%以上では、窒化アルミニウムは窒素極性(N-極性)を示すものの、電圧応答は0付近であり、高い圧電応答は得られていない。
これに対し、酸素濃度が、0.8%以上、3.2%以下である場合、電圧応答の絶対値が2以上であり窒化アルミニウムを窒素極性となるように分極方向が制御されていることが分かる。例えば、代表的な圧電材料である水晶の電圧応答は2であり、これよりもはるかに優れた電圧応答が達成されていることが分かる。
また、上記酸素濃度は、0.9%以上、2.5%以下であることがより好ましい。この場合には、得られた窒化アルミニウムの圧電応答が−4以下の値を達成している。圧電応答の絶対値が4以上であれば、半導体デバイスに好適に用いることのできる窒化アルミニウムを提供することができるため、非常に好ましいといえる。
さらに、上記酸素濃度は、特に好ましくは1%以上、2%以下である。酸素濃度が1%以上、2%以下の場合には、圧電応答の絶対値が7以上(または程度)の値となり、特に好ましい圧電応答値を達成することができる。さらには、上記酸素濃度における圧電応答の値は非常に安定している。このため、非常に好ましく分極方向が制御され、かつ、圧電応答値が安定した窒化アルミニウムを得ることが可能となるのである。
図3は、図2における酸素濃度が0%、0.9%、2.8%である窒化アルミニウムのXRD強度を測定した結果を示すグラフである。本製造方法によって得られた窒化アルミニウムではないが、比較のため酸素濃度が0%である窒化アルミニウムも同図に含めている。酸素濃度が所定の濃度で供給された場合に得られた窒化アルミニウムは、同図に示すようなXRD強度を示すことが明らかとなり、酸素濃度が0%のグラフとの差異は明白である。酸素濃度が0.9%、2.8%である場合のようなグラフが得られれば、測定対象物は、本発明に係る窒化物半導体の製造方法によって得られた窒化物であると考えられる。
図4は、Al流束と窒素の圧力との関係を示すグラフである。図中のN−richな部分とAl−richとの 間に示される直線(Al/N=1)は、スパッタされたアルミニウムと窒素分圧との比率が当量である部分を示している。窒化アルミニウムの初期極性は窒素極性である。
本製造方法によって、窒化物半導体の分極方向が制御できる理由としては、以下のように推察される。まず、アルミニウムと窒素とが反応する反応は(Al+N→AlN)、Arrhenius型反応であり、化学反応は反応する原子、分子の衝突によって生じる。
反応速度は、下記の式1で表される。
Z=Zexp(−E/RT)〔Al〕・・・(式1)
式1において、Tは反応温度、Rは気体定数、Eは活性化エネルギー(運動エネルギー)、Zは衝突頻度であり濃度に比例する。また、〔Al〕はアルミニウムの濃度である。
ところで、原子同士の結合エネルギーの大きさは、Al−O>>N−O>Al−Nの順序で小さくなる。Al−Oの結合エネルギーは大きく、反応系に酸素が存在すると、酸素とアルミニウムとが相互作用を起こし易く、アルミニウムは窒素と反応し難くなると考えられる。同図においては、この状態はN−rich(窒素が豊富)な方向へ進む矢印で示される。このため、本製造方法によれば、窒素が豊富な状態を生じさせることができ、窒素が豊富となる矢印方向への状態となる。このため、得られる窒化物半導体の分極方向を制御することができるものと推察される。
<半導体デバイス>
本発明に係る半導体デバイスは、上述した窒化物半導体の製造方法によって製造された窒化物半導体を有するものである。本発明に係る半導体デバイスは、上記分極方向が制御された窒化物半導体を有しているため、様々な用途に用いることができる。
本発明に係る半導体デバイスは、上記窒化物半導体を有していればよい。半導体デバイスの具体例としては、表面弾性波フィルター、SAW、BAWなどの携帯電話用の高周波フィルター、光束スイッチ、MEMSなどのアクチュエーター、加速度、振動、圧力などを感知する物理量センサ、GaN−サファイア基板間の応力を緩和できる発光ダイオード用中間層、深紫外線発光ダイオード用発光層、高硬度、耐医薬品を備える保護膜、高熱伝導性を有する保護膜などの用途を挙げることができ、本半導体デバイスは非常に様々な分野において用いることができ、有用であるといえる。
本発明に係る窒化物半導体の製造方法によれば、分極方向が制御された窒化物半導体を得ることができ、この窒化物半導体を有する半導体デバイスは、高周波フィルター、アクチュエーター、物理量センサ、発光ダイオードなどに用いることができる。さらに、これらを部品として用いる分野においても、本発明は利用可能である。
本発明に係る窒化物半導体の製造方法に用いられる薄膜成長装置を示す断面図である。 本実施の形態に係る窒化物半導体の酸素濃度と圧電応答との関係を示すグラフである。 本実施の形態に係る窒化アルミニウムのXRD強度の測定結果をしめすグラフである。 Al流束と窒素の圧力との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 チャンバー
2・3 電極
4 支持体
5 金属ターゲット(金属)
6 ガス供給部
7 真空ポンプ
8 窒素
9 基板
10 薄膜成長装置

Claims (3)

  1. 不活性ガス雰囲気下において、アルミニウム、アルミニウム−ガリウム合金、アルミニウム−インジウム合金、アルミニウム-スカンジウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と窒素とを反応させることによって、窒化半導体を製造する反応スパッタリング法において、
    窒素と共に酸素を供給し、
    不活性ガス、窒素および酸素の全モル数に対する酸素のモル%が、1%以上、2%以下であり、
    上記酸素と共に、二酸化窒素、オゾン、過酸化水素、水蒸気、塩素からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加ガスを添加することを特徴とする窒化物半導体の製造方法。
  2. 上記金属が、アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の窒化物半導体の製造方法によって製造された窒化物半導体を有することを特徴とする半導体デバイス。
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