以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図11は、本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、本発明に係る画像形成装置を、カラーレーザ複写機に適用した一実施の形態を示している。
図1は、画像形成装置50の概略構成図を示す。画像形成装置50は、プリンタ部100、給紙部200、スキャナ部300および原稿自動搬送部400を備えている。また、画像形成装置50は、これら各部の動作を制御する図示しない制御手段を備えている。
プリンタ部100は、中間転写部101および露光装置、画像形成部、定着ユニット、トナー供給装置等を備え、記録媒体である用紙8(図2参照)に画像形成を行うものである。給紙部200は、複数の給紙カセット、用紙搬送路等を備え、用紙8の貯留および搬送をするものである。スキャナ部300は、コンタクトガラス301を備え、コンタクトガラス301上に載置された原稿の画像情報を読み取るものである。また、原稿自動搬送部400は、原稿トレー401を備え、原稿トレー401に載置された原稿をコンタクトガラス301上に搬送するものである。
図2は中間転写部101の断面図を示す。中間転写部101は、像担持体としての中間転写ベルト2、駆動ローラ3、従動ローラ4、テンションローラ5、対向ローラ6を備えている。像担持体である中間転写ベルト2は、駆動ローラ3、従動ローラ4、テンションローラ5および対向ローラ6によって張架されて、駆動ローラ3によって図の時計回りに駆動されるようになっている。中間転写ベルト2は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色にそれぞれ対応する4つの感光体ドラム1から一次転写されたトナー像を担持し、このトナー像を対向ローラ6および対向ローラ6に圧接するように設けられた転写ローラ7まで移動するようになっている。転写ローラ7は、転写ローラ軸10に軸支されて対向ローラ6の下部で中間転写ベルト2に接触して回転するようになっている。また、転写ローラ軸10の両端部は圧縮ばね9により上方に付勢されており、圧縮ばね9の付勢力によって転写ローラ7が対向ローラ6に加圧されている。また、対向ローラ6および転写ローラ7は、中間転写ベルト2が担持するトナー像を用紙8に二次転写するようになっている。対向ローラ6と転写ローラ7の右側には、対向ローラ6と転写ローラ7が中間転写ベルト2に圧接する圧接部に用紙8を搬送するレジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24が設けられている。レジストローラ23は図示しないモータにより駆動され、レジスト加圧ローラ24はレジストローラ23と接触して従動する。レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24の用紙搬送方向上流側の経路には、用紙8の厚さを検知する用紙厚さ検知センサ20と、用紙8の通過を検知するレジスト部用紙通過検知センサ25が設けられている。また、レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24の用紙搬送方向下流側の経路には、転写部102への用紙8の先端の突入を検知するとともに転写部102から用紙8の後端が抜けたことを検知する転写部用紙通過検知センサ19が設けられている。転写動作時には、給紙部200から供給された用紙8は、レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24の設置箇所で一旦待機し、中間転写ベルト2にトナー像が転写されると、レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24により、中間転写ベルト2上のトナー像の先端と同期をとって対向ローラ6と転写ローラ7が中間転写ベルト2に圧接する圧接部に搬送される。圧接部において中間転写ベルト2と転写ローラ7に挟まれた用紙8には、圧縮ばね9による加圧力と図示しない転写バイアスによって、中間転写ベルト2で担持されているトナー像が転写される。このように、画像形成装置50は、一次転写によりトナー画像が転写された中間転写ベルト2をレジストローラ23により挟持して搬送し、このトナー画像を転写ローラ7により用紙8に二次転写する中間転写方式を採用するものである。なお、対向ローラ6と転写ローラ7は転写部102を構成するとともに、レジストローラ23、レジスト加圧ローラ24はレジスト部103を構成している。なお、像担持体は、中間転写ベルト2に限定されるものではなく、中間転写ドラムや感光体ベルトであってもよい。
図3、図4は、転写部102の斜視図、断面図をそれぞれ示すものである。転写部102は、対向ローラ6と転写ローラ7とが中間転写ベルト2に圧接する圧接部において中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に所定のタイミングで間隙を形成する転写部間隙形成部材12と、この転写部間隙形成部材12を支持する転写部間隙形成部材支持部材11を備えている。転写部間隙形成部材12の厚さは、用紙8の厚さよりも薄く設定されている。また、転写部102は、転写ローラ軸10にベアリング33を介して回動可能に軸支されるとともに転写部間隙形成部材支持部材11が取り付けられたギヤ大34と、ギヤ大34と噛み合うギヤ小35と、ギヤ小35を駆動する転写部ステッピングモータ36を備えている。転写部ステッピングモータ36が駆動するとギヤ小35とギヤ大34が回転し、ギヤ大34に設置された転写部間隙形成部材支持部材11が転写ローラ軸10を中心に回転し、転写部間隙形成部材12が中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に挟まれる。すなわち、対向ローラ6と転写ローラ7の間には中間転写ベルト2と転写部間隙形成部材支持部材11の2つの部材が挟まれるが、転写部間隙形成部材支持部材11は、中間転写ベルト2と転写ローラ7の間に挟まれる。なお、図3、図4は転写部102を示すものであるが、レジスト部103も転写部102と同様の構成を備えていても良い。
図5は、転写部ステッピングモータ36の駆動を制御する制御部104を示すものである。制御部104は、転写部用紙通過検知センサ19と、レジスト部用紙通過検知センサ25と、マイクロプロセッサ21と、転写部ステッピングモータ駆動回路37と、転写部ステッピングモータ36と、レジスト部ステッピングモータ駆動回路39と、レジスト部ステッピングモータ38とを備えている。マイクロプロセッサ21は、転写部用紙通過検知センサ19によって転写部102への用紙8の先端の突入が検知されたとき、および転写部102から用紙8の後端が抜けたことが検知されたときに、転写部ステッピングモータ駆動回路37によって転写部ステッピングモータ36を1回転して静止させるようになっている。また、マイクロプロセッサ21は、レジスト部用紙通過検知センサ25によってレジスト部103からの用紙8の後端の抜けが検知されたときに、レジスト部ステッピングモータ駆動回路39によりレジスト部ステッピングモータ38を1回転して静止させる。すなわち、転写部102に用紙8の先端が突入するとき、転写部102から用紙8の後端が抜けるとき、およびレジスト部103から用紙8の後端が抜けるときの3つの場合に、転写部102またはレジスト部103に間隙が形成されるようになっており、これにより中間転写ベルト2の速度変動が抑制される。なお、レジスト部ステッピングモータ38の回転速度は、転写部間隙形成部材支持部材11の回転速度が転写ローラ軸10と等しくなるようにギヤの減速比等を考慮して設定すれば良い。
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。図6〜図8は、用紙8の先端が転写部102を通過する過程における転写部間隙形成部材12、用紙8、対向ローラ6、中間転写ベルト2、転写ローラ7の関係を示すものである。図6(a)〜図8(a)は用紙8の幅方向、すなわち主走査方向における転写部102の断面図を示し、図6(b)〜図8(b)は用紙8の搬送方向、すなわち副走査方向における転写部102の断面図を示す。
図6(a)、(b)は、転写部間隙形成部材12が転写部102の圧接部に突入する直前の状態を示すものである。この状態では、中間転写ベルト2には圧縮ばね9によって転写ローラ7が押圧されており、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に転写部間隙形成部材12の先端が噛み合って突入を開始する。
図7(a)、(b)は、転写部間隙形成部材12が転写部102の圧接部に突入した直後の様子を示すものである。この状態では、転写ローラ7は、転写部間隙形成部材12の厚さ相当分だけ押し下げられる。すなわち、転写ローラ7は図の破線で示す位置から実線で示す位置まで押し下げられる。
図6から図7の状態に移る過程で、転写ローラ7を転写部間隙形成部材12の厚さ相当分だけ押し下げるために中間転写ベルト2を介して対向ローラ6の回転トルクが使われるために、対向ローラ6には回転負荷が、中間転写ベルト2に走行負荷が一定量発生する。しかし、本実施の形態では、転写部間隙形成部材12が用紙8より薄く設定されており、また、転写ローラ7の軸心方向端部のみにおいて転写部間隙形成部材12が転写ローラと中間転写ベルト2との間に挟まれるため、画像ムラが生じるほど中間転写ベルト2の速度変動は発生しない。転写部間隙形成部材12が転写部102の圧接部に突入した後は、転写ローラ7が一般的な電子写真プロセスで用いられるゴム等の弾性部材であり、その硬度が一般的な電子写真プロセスで用いられているASKER−C20°〜70°程度の場合、転写ローラ7の両端部の転写部間隙形成部材12の付近では転写ローラ7の表面は押し下げられ、転写ローラ7の中央部付近では転写部間隙形成部材12がない場合に比べて加圧力が軽減された状態で転写ローラ7と対向ローラ6が中間転写ベルト2に圧接することになる。
図8は、用紙8が転写部102の圧接部に突入した直後の状態を示すものである。用紙8の突入部分における加圧力が図7に示す状態で既に軽減されているため、図7に示す状態から図8に示す状態に移る過程で中間転写ベルト2に発生する速度変動は従来よりも抑制されたものとなる。なお、用紙8の厚さを考慮せずに転写部間隙形成部材12の厚さを設定した場合は、用紙8が転写部102の圧接部に突入した後に転写部間隙形成部材12と接する転写ローラ7の領域を極力減らすようにしないと用紙8に所定の加圧力が掛からずに所望の転写性能が得られない可能性がある。しかし、本実施の形態では、転写部間隙形成部材12の厚さを、転写性能との兼ねあいに応じた適切な値、具体的には用紙8の厚さよりも薄い値に設定することにより上記の不具合を解消している。また、中間転写ベルト2の速度変動をより低減するために、転写ローラ7上のトナー画像が通過しない非作像領域において転写部間隙形成部材12の軸方向長さをできるだけ長くするのが好ましい。
図9〜図11は、用紙8の後端が転写部102を通過する過程における転写部間隙形成部材12、用紙8、対向ローラ6、中間転写ベルト2、転写ローラ7の関係を示すものである。
図9は、用紙8が転写部102の圧接部を抜ける直前の様子を示すものである。この状態では、転写ローラ7は用紙8の厚さ相当分だけ押し下げられている。
図10は、転写部間隙形成部材12の後端が転写部102の圧接部を抜ける直前の様子を示すものである。図9から図10の状態に移る過程で、用紙8により押し下げられていた転写ローラ7が用紙8の厚さと転写部間隙形成部材12の厚さの差に相当する分だけ圧縮ばね9による加圧力を受けて押し上げられる。すなわち、転写ローラ7は図の破線で示す位置から実線で示す位置まで押し上げられる。図9から図10の状態に移る過程で、中間転写ベルト2を介して対向ローラ6の回転方向に負荷トルクが発生するため、対向ローラ6の回転が加速されるとともに中間転写ベルト2の走行が加速される。このため、従来のように用紙8の厚さ相当分だけ転写ローラ7が押し上げられる場合と比較して、本実施の形態では、発生する負荷トルクが小さくなるので、対向ローラ6の回転の加速および中間転写ベルト2の走行の加速は軽減されたものとなる。
図11は、転写部間隙形成部材12の後端が転写部102の圧接部を抜けた直後の様子を示すものである。図10から図11の状態に移る過程で、押し下げられていた転写ローラ7は、転写部間隙形成部材12の厚さ相当分だけ圧縮ばね9による加圧力を受けて押し上げられる。すなわち、転写ローラ7は図の破線で示す位置から実線で示す位置まで押し上げられる。このため、従来のように用紙8の厚さ相当分だけ転写ローラ7が押し上げられていた場合と比較して、本実施の形態では、発生する負荷トルクは小さくなり、対向ローラ6の回転の加速および中間転写ベルト2の走行の加速は軽減されたものとなる。また、レジスト部103が転写部102と同様に転写部間隙形成部材12を備えるように構成しても良く、その場合はレジストローラ23、レジスト加圧ローラ24、用紙8の後端の加速が軽減される。
なお、転写部間隙形成部材12の厚みを中間転写ベルト2に掛かる回転負荷が大きくならない程度に薄くするとともに、転写部間隙形成部材12の後端と用紙8の先端がぶつからないように転写部間隙形成部材12の回転と用紙8の搬送のタイミングを制御した場合は、用紙8におけるトナー像が通過する作像領域に転写部間隙形成部材12が重なっても問題は無い。
また、転写部用紙通過検知センサ19の機能は、レジスト部用紙通過検知センサ25で代用しても良い。その場合、レジスト部用紙通過検知センサ25の検知情報から転写部102における用紙8の通過を算出することにより、転写部用紙通過検知センサ19は不要となるのでコストを削減することができる。
このように、本実施の形態では、転写部102において対向ローラ6および転写ローラ7が中間転写ベルト2に圧接、すなわち所定の圧力で当接する圧接部に間隙を形成しているので、当接する位置に用紙8が突入するとき等に中間転写ベルト2に生じる回転負荷を低減することができる。また、常に間隙が形成されるようにしてしまうと磨耗等により中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形してしまう恐れがあるが、本実施の形態では、所定のタイミングでのみ間隙を形成するので、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が当接する位置である転写部102の圧接部に用紙8が突入する直前のみ間隙を形成するので、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が当接する位置である転写部102の圧接部から用紙8が抜ける直前のみ間隙を形成するので、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、レジスト部103の圧接部から用紙8が抜ける直前のみ間隙を形成するので、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、転写部間隙形成部材12を、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7と同じ方向に回転させるとともに同じ向きから中間転写ベルト2と転写ローラ7が当接する位置に挿入させて挟み込ませるようになっているので、間隙形成時の回転負荷をより効果的に低減できる。また、レジスト部間隙形成部材27を、レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24の回転方向と同じ向きから挿入させて挟み込ませるようにすると、間隙形成時の回転負荷をより効果的に低減できる。
(第2の実施の形態)
図12〜図20を参照して第2の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第2の実施の形態の画像形成装置50は、転写部間隙形成部材支持部材11を駆動する駆動源を別途設ける必要が無いように構成したものである。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図12、図13は、転写部112の斜視図および用紙8の幅方向における断面図をそれぞれ示すものである。本実施の形態では、転写部112は、転写ローラ軸10の回転駆動力を転写部間隙形成部材支持部材11に伝える伝達部材である転写部トルクリミッタ13を備え、転写ローラ軸10を転写部間隙形成部材12の駆動源としている。すなわち、転写部間隙形成部材支持部材11には転写部トルクリミッタ13が圧入されており、転写部トルクリミッタ13には転写ローラ軸10が挿入されている。転写ローラ軸10の回転駆動力は、転写部トルクリミッタ13によって転写部間隙形成部材支持部材11に伝達される。転写部間隙形成部材支持部材11は、転写部トルクリミッタ13に加わる負荷トルクが設定トルク以下であれば転写ローラ軸10の駆動力により転写ローラ軸10を回転中心として回転することができる。なお、転写部トルクリミッタ13の設定トルクは、転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動を抑制しても転写ローラ軸10の回転には影響が無いように設定されている。また、図15に示すように、レジスト部113も、レジスト部間隙形成部材27、レジスト部間隙形成部材支持部材26および転写部トルクリミッタ13と同様の図示しないトルクリミッタを備えており、レジスト部間隙形成部材27は、レジストローラ23と同一の駆動源により駆動されるようになっている。
また、転写部間隙形成部材支持部材11の下方には、図15に示すように、転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する位置、すなわち回転を抑制する位置と、転写部間隙形成部材支持部材11の回転を許容する位置、すなわち回転の抑制を解除する位置との間を移動可能に転写部ラチェット14が設けられている。転写部ラチェット14の下部には、転写部ラチェット14を上下に移動させる転写部ソレノイド15が接続されるとともに、転写部ラチェット14を上方に付勢する転写部圧縮ばね16が接続されている。転写部ソレノイド15が駆動していないときは、転写部ラチェット14は、転写部圧縮ばね16の付勢力により上方に移動して転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する位置にある。一方、転写部ソレノイド15が駆動して下方に移動したときは、転写部ラチェット14は、転写部圧縮ばね16の付勢力に逆らって下方に移動して転写部間隙形成部材支持部材11の回転を許容する位置に移動する。
また、レジスト部113も転写部112と同様に構成されている。すなわち、レジスト部間隙形成部材支持部材26の下方には、図15に示すように、レジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を規制する位置と許容する位置との間を移動可能にレジスト部ラチェット28が設けられている。レジスト部ラチェット28の下部には、レジスト部ラチェット28を上下に移動させるレジスト部ソレノイド29が接続されるとともに、レジスト部ラチェット28を上方に付勢するレジスト部圧縮ばね30が接続されている。レジスト部ソレノイド29が駆動していないときは、レジスト部ラチェット28は、レジスト部圧縮ばね30の付勢力により上方に移動してレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を規制する位置にある。一方、レジスト部ソレノイド29が駆動して下方に移動したときは、レジスト部ラチェット28は、レジスト部圧縮ばね30の付勢力に逆らって下方に移動してレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を許容する位置に移動する。
図14は、転写部112およびレジスト部113を制御する制御部114を示すものである。制御部114は、転写部用紙通過検知センサ19と、レジスト部用紙通過検知センサ25と、マイクロプロセッサ21と、転写部ソレノイド駆動回路22と、転写部ソレノイド15と、レジスト部ソレノイド駆動回路32と、レジスト部ソレノイド29とを備えている。マイクロプロセッサ21は、転写部用紙通過検知センサ19によって転写部112への用紙8の突入が検知されたとき、および転写部112から用紙8の後端が抜けたことを検知したときに、転写部ソレノイド駆動回路22によって転写部ソレノイド15を駆動させる。また、マイクロプロセッサ21は、レジスト部用紙通過検知センサ25によってレジスト部113からの用紙8の後端の抜けが検知されたときに、レジスト部ソレノイド駆動回路32によりレジスト部ソレノイド29を駆動させる。すなわち、転写部112に用紙8の先端が突入するとき、転写部112から用紙8の後端が抜けるとき、およびレジスト部113から用紙8の後端が抜けるときの3つの場合に、転写部112またはレジスト部113に間隙を形成して中間転写ベルト2の速度変動を抑制している。
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。図15〜図19は、転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動の制御状態を示すものであり、転写部112およびレジスト部113の側面図を示す。また、図20は、図14に示す制御部114による動作を説明するフロー図である。
プリント待機時は、図15に示すように、転写部ソレノイド駆動回路22とレジスト部ソレノイド駆動回路32はオフになっており、転写部ラチェット14およびレジスト部ラチェット28は転写部圧縮ばね16、レジスト部圧縮ばね30によって押し上げられているため、転写部間隙形成部材支持部材11およびレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転は規制されている。プリント開始時には、中間転写ベルト2が駆動され、これに伴い転写ローラ軸10が回転するが、転写部ラチェット14は転写部圧縮ばね16によって押し上げられているため、転写部間隙形成部材支持部材11の回転は規制されている。また、レジストローラ23が駆動されて、用紙8の搬送が開始されても、レジスト部ラチェット28はレジスト部圧縮ばね30によって押し上げられているため、レジスト部間隙形成部材支持部材26の回転は規制されている。
このように、プリント待機時には、制御部114は、設定モードが厚紙モードであるか否かを判別して(ステップS1)、厚紙モードである場合はプリント要求があるか否かを判別する(ステップS2)。また、制御部114は、プリント要求がある場合は中間転写ベルト2の駆動を開始する(ステップS3)。
用紙転写圧接部突入時には、図16に示すように、ユーザーが厚紙モードを選択しているときに、転写部用紙通過検知センサ19によって用紙8の先端の通過が検知されると、転写部ソレノイド駆動回路22により転写部ソレノイド15が駆動され、転写部ラチェット14が引っ張られて下方に移動する。これにより、転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動が許容され、転写ローラ軸10の駆動力が転写部トルクリミッタ13を介して転写部間隙形成部材支持部材11に伝達され、転写ローラ軸10を回転中心として運動することになる。その後、転写部間隙形成部材支持部材11の回転によって、用紙8が転写部112の圧接部に突入する前に、転写部間隙形成部材12により転写部112の圧接部に間隙が形成され、中間転写ベルト2の速度変動を抑制する。転写部ソレノイド駆動回路22をオフにすると、再び転写部ラチェット14が転写部圧縮ばね16の付勢力によって押し上げられ、転写部間隙形成部材支持部材11が一回転して元の位置に戻ったときは転写部間隙形成部材支持部材11の運動を抑制することになる。厚紙モードが選択されない場合は、転写部ソレノイド駆動回路22がオフの状態のままで待機し、普通紙の画像形成サイクル、すなわち厚紙より薄い通常の厚さの用紙8を対象としたモードで印刷が行われ、転写部間隙形成部材12は圧接部に挿入されない。
このように、用紙転写圧接部突入時には、制御部114は、用紙8の先端が転写部112に突入したことを検知したか否かを判別し(ステップS4)、用紙8の突入を検知した場合は、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS5)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられ転写部間隙形成部材支持部材11が1回転する。次いで、制御部114は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS6)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、1回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11が元の位置に戻ったときに、転写部ラチェット14は転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。
用紙レジストローラ圧接部抜け時には、図17に示すように、レジスト部用紙通過検知センサ25によって用紙8の後端の通過が検知されると、レジスト部ソレノイド駆動回路32によりレジスト部ソレノイド29が駆動されレジスト部ラチェット28が引っ張られて下方に移動する。これにより、レジスト部でも上記と同様の動作となって、用紙8の後端がレジスト部113を完全に抜け出す前にレジスト部間隙形成部材27がレジスト部113に挿入され、レジストローラ23、レジスト加圧ローラ24および用紙8の後端の加速を緩和する。レジスト部ソレノイド駆動回路32をオフにすると、上記と同様の動作となって、レジスト部間隙形成部材支持部材26が一回転して元の位置に戻ったときはレジスト部間隙形成部材支持部材26の運動を規制することになる。
このように、用紙レジストローラ圧接部抜け時には、制御部114は、用紙8の後端がレジスト部113から抜けたことを検知したか否かを判別し(ステップS7)、用紙8の後端の抜けを検知した場合は、レジスト部ソレノイド29をオンにする(ステップS8)。レジスト部ソレノイド29がオンになると、レジスト部ラチェット28が引き下げられレジスト部間隙形成部材支持部材26が1回転する。次いで、制御部114は、レジスト部ソレノイド29をオフにする(ステップS9)。レジスト部ソレノイド29がオフになると、レジスト部ラチェット28が押し上げられ、1回転を終えたレジスト部間隙形成部材支持部材26が元の位置に戻ったときに、レジスト部ラチェット28はレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を規制する。
用紙転写圧接部抜け時には、図18に示すように、転写部用紙通過検知センサ19によって用紙8の後端の通過が検知されると、転写部112において上記と同様の動作となって、用紙8の後端が転写部112を完全に抜け出す前に転写部間隙形成部材12が転写部112に挿入されて中間転写ベルト2の加速を緩和する。転写部ソレノイド駆動回路22をオフにすると、上記と同様の動作となって、転写部間隙形成部材支持部材11が一回転して元の位置に戻ったときは転写部間隙形成部材支持部材11の運動を規制することになる。
このように、用紙転写圧接部抜け時には、制御部114は、用紙8の後端が転写部112から抜けたことを検知したか否かを判別し(ステップS10)、用紙8の後端の抜けを検知した場合は、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS11)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられ転写部間隙形成部材支持部材11が1回転する。次いで、制御部114は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS12)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、1回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11が元の位置に戻ったときに、転写部ラチェット14は転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。
また、次のプリント待機時には、図19に示すように、転写部ソレノイド駆動回路22およびレジスト部ソレノイド駆動回路32がオフの状態で次のプリントに備えて待機する。
このように、本実施の形態では、転写部間隙形成部材12は、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7、またはレジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24と同一の駆動源により転写部トルクリミッタ13を介して回転されるので、間隙形成のための駆動源を別途設ける必要が無く製造コストを低減することができる。また、転写部間隙形成部材12の駆動源は常に安定して回転することができる。
また、本実施の形態では、転写ローラ軸10から転写部トルクリミッタ13を介して転写部間隙形成部材支持部材11に駆動力を伝達するようになっているので、転写部間隙形成部材支持部材11の運動が規制されているときに、転写ローラ軸10は影響を受けることなく安定して回転することができる。
また、本実施の形態では、転写部用紙通過検知センサ19が用紙8の通過を検知したときのみ、制御部114が転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動を許容するので、用紙8が転写部122の圧接部に突入するときのみ転写部間隙形成部材支持部材11が駆動されるとともに転写部間隙形成部材12により間隙が形成され、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形することを防止することができる。
(第3の実施の形態)
図21〜図39を参照して第3の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第3の実施の形態の画像形成装置50は、厚さの異なる2つの間隙形成部材を備え、形成する間隙の量を調節するように構成したものである。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図21、図22は、転写部122の斜視図および用紙8の幅方向における断面図をそれぞれ示すものである。本実施の形態では、転写部間隙形成部材支持部材11に、転写ローラ軸10を中心として180°の間隔でそれぞれ厚さの異なる2つの転写部間隙形成部材12a、12bを設けた構成となっている。また、レジスト部間隙形成部材支持部材26にも同様に厚さの異なる2つのレジスト部間隙形成部材27a、27bが設けられている。本実施の形態では、転写部間隙形成部材12aは転写部間隙形成部材12bより薄く設定されている。また、レジスト部間隙形成部材27aはレジスト部間隙形成部材27bよりも薄く設定されている。
図23は、転写部122およびレジスト部123を制御する制御部124を示すものである。制御部124は、転写部用紙通過検知センサ19と、レジスト部用紙通過検知センサ25と、用紙厚さ検知センサ20と、マイクロプロセッサ21と、転写部ソレノイド駆動回路22と、転写部ソレノイド15と、レジスト部ソレノイド駆動回路32と、レジスト部ソレノイド29とを備えている。マイクロプロセッサ21は、転写部用紙通過検知センサ19によって転写部122への用紙8の突入が検知されたとき、および転写部122から用紙8の後端が抜けたことを検知したときに、転写部ソレノイド駆動回路22によって転写部ソレノイド15を駆動させる。また、マイクロプロセッサ21は、レジスト部用紙通過検知センサ25によってレジスト部123からの用紙8の後端の抜けが検知されたときに、レジスト部ソレノイド駆動回路32によりレジスト部ソレノイド29を駆動させる。すなわち、転写部122に用紙8の先端が突入するとき、転写部122から用紙8の後端が抜けるとき、およびレジスト部123から用紙8の後端が抜けるときの3つの場合に、転写部122またはレジスト部123に、用紙8の厚さに応じた間隙を形成して中間転写ベルト2の速度変動を抑制している。
本実施の形態では、転写部間隙形成部材12aが転写部122の圧接部付近にあるときに、転写部ラチェット14によって転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動が規制されるようになっている。すなわち、プリント待機時においては、転写部間隙形成部材12aが転写部122の圧接部付近にあり、レジスト部間隙形成部材27aがレジスト部123の圧接部付近に位置することとする。
また、本実施の形態では、厚紙モードが選択されてプリント要求により用紙8がレジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24により搬送される際に、用紙8の搬送方向上流に配置した用紙厚さ検知センサ20(図24参照)によって用紙8の厚さを検知するようになっている。用紙8の厚さをdとすると、用紙8が厚いものであるかまたは薄いものであるかを判別するしきい値d1を設定しておき、d≧d1の場合は、厚紙の中でも厚い方の用紙として後述する最厚紙モードを実行し、d≧d1でない場合は、厚紙の中でも薄い方の用紙として中厚紙モードを実行する。以下の説明では、薄い方の用紙8を用紙8a、厚い方の用紙8を用紙8bとして区別する。具体的には、図39に示すようにd1を200μmに設定すると、用紙厚さ検知センサ20は、厚さ約160μmの158kgアート紙は薄い方の用紙8aであると判定し、厚さ約250μmの220kgアート紙は厚い方の用紙8bであると判定する。また、本実施の形態では、薄い方の用紙8aに対応する転写部間隙形成部材12aおよびレジスト部間隙形成部材27aの厚さを約100μmに設定し、厚い方の用紙8bに対応する転写部間隙形成部材12bおよびレジスト部間隙形成部材27bの厚さを約170μmに設定している。そして、第1の実施の形態と同様に、厚紙モードが選択されない場合は、転写部ソレノイド駆動回路22およびレジスト部ソレノイド駆動回路32がオフの状態のままで待機し、転写部間隙形成部材12a、12bまたはレジスト部間隙形成部材27a、27bをそれぞれの圧接部に挿入しない普通紙モードの画像形成サイクルで印刷を行う。すなわち、本実施の形態では、利用者により選択される厚紙モードと普通紙モードの2つのモードを備えており、厚紙モードは更に、後述する用紙厚さ検知センサ(図24参照)により判別される中厚紙モードと最厚紙モードに分類される。
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。図24〜図35は、転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動の制御状態を示す。また、図36〜図38は、図23に示す制御部124の動作フロー図を示すものである。
制御部124は、厚紙モードであるか否かを判別して(ステップS21)、厚紙モードである場合はプリント要求があるか否かを判別する(ステップS22)。また、制御部124は、プリント要求がある場合は用紙8の搬送を開始して(ステップS23)、中間転写ベルト2の駆動を開始する(ステップS24)。そして、制御部124は、用紙厚さ検知センサ20の検知結果に基づいて用紙8の厚さがしきい値d以上であるか否かを判別し(ステップS25)、しきい値d以上である場合は最厚紙モードを実行し、しきい値d以上でない場合は中厚紙モードを実行する。
初めに、中厚紙モードを実行する場合について説明する。まず、プリント待機時には、図24に示すように、転写部ソレノイド駆動回路22およびレジスト部ソレノイド駆動回路32はオフになっており、第1の実施の形態と同様に、転写部間隙形成部材支持部材11およびレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転は規制されている。
次いで、用紙転写圧接部突入時には、図25に示すように、薄い方の用紙8aの突入が転写部用紙通過検知センサ19によって検知されると、転写部ソレノイド15をオンにすることにより転写部ラチェット14を引き下げて、転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動を許容する。用紙8aが転写部122に突入する際には、薄い方の転写部間隙形成部材12aによって間隙が形成され、中間転写ベルト2の速度変動が抑制される。また、転写部ソレノイド15がオフになり転写部ラチェット14が元の位置に戻ると、転写部間隙形成部材支持部材11が半回転、すなわち180°回転したところで回転運動が規制される。このときは、厚い方の転写部間隙形成部材12bが転写部122の圧接部付近に位置することになる。
このように、制御部124は、レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24の駆動を開始して(ステップS31)、用紙8aの先端が転写部112に突入したことを検知したか否かを判別し(ステップS32)、用紙8aの突入を検知した場合は、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS33)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられ転写部間隙形成部材支持部材11が半回転する。次いで、制御部124は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS34)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、半回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。
次いで、用紙レジスト圧接部抜け時には、図26に示すように、用紙8aの後端の通過がレジスト部用紙通過検知センサ25によって検知されると、レジスト部ソレノイド29をオンにすることによりレジスト部ラチェット28を引き下げて、レジスト部間隙形成部材支持部材26の回転運動を許容する。用紙8aがレジスト部123の圧接部を抜ける際には、薄い方のレジスト部間隙形成部材27aによって、用紙8aの厚さ分急激に抜けるのが緩和され、レジストローラ23、レジスト加圧ローラ24、および用紙8aの後端の速度変動が抑制される。レジスト部ソレノイド29をオフにしてレジスト部ラチェット28を元の位置に戻し、それによってレジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転したところで回転運動が規制される。このときは、厚い方のレジスト部間隙形成部材27bがレジスト部123の圧接部付近に位置することになる。
このように、用紙レジストローラ圧接部抜け時には、制御部124は、用紙8aの後端がレジスト部123から抜けたことを検知したか否かを判別し(ステップS35)、用紙8aの後端の抜けを検知した場合は、レジスト部ソレノイド29をオンにする(ステップS36)。レジスト部ソレノイド29がオンになると、レジスト部ラチェット28が引き下げられ、レジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転する。次いで、制御部124は、レジスト部ソレノイド29をオフにする(ステップS37)。レジスト部ソレノイド29がオフになると、レジスト部ラチェット28が押し上げられ、半回転を終えたレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を規制する。
次いで、用紙転写圧接部抜け時には、図27に示すように、用紙8aの後端の通過が転写部用紙通過検知センサ19によって検知されると、転写部ソレノイド15およびレジスト部ソレノイド29をオンにすることにより、転写部ラチェット14およびレジスト部ラチェット28を引き下げて、転写部間隙形成部材支持部材11およびレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転運動を許容する。用紙8aが転写部122の圧接部を抜ける際には、厚い方の転写部間隙形成部材12bによって、用紙8aの厚さ分が急激に抜けるのが緩和され、中間転写ベルト2の速度変動が抑制される。転写部ソレノイド15およびレジスト部ソレノイド29をオフにして転写部ラチェット14およびレジスト部ラチェット28を元の位置に戻すと、転写部間隙形成部材支持部材11およびレジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転したところで回転運動が規制される。このときは、薄い方の転写部間隙形成部材12aが転写部122の圧接部付近にあるとともに、薄い方のレジスト部間隙形成部材27aがレジスト部123の圧接部付近に位置することになる。
このように、用紙転写圧接部抜け時には、制御部124は、用紙8aの後端が転写部122から抜けたことを検知したか否かを判別し(ステップS38)、用紙8aの後端の抜けを検知した場合は、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS39)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられ、転写部間隙形成部材支持部材11が半回転する。次いで、制御部124は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS40)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、半回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。また、制御部124は、ステップS38において用紙8aの後端の抜けを検知した場合は、レジスト部ソレノイド29をオンにする(ステップS41)。レジスト部ソレノイド29がオンになると、レジスト部ラチェット28が引き下げられ、レジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転する。次いで、制御部124は、レジスト部ソレノイド29をオフにする(ステップS42)。レジスト部ソレノイド29がオフになると、レジスト部ラチェット28が押し上げられ、半回転を終えたレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を規制する。
次いで、次の用紙プリント待機時には、図28に示すように、薄い方の転写部間隙形成部材12aが転写部122の圧接部付近に位置するとともに、薄い方のレジスト部間隙形成部材27aがレジスト部123の圧接部付近に位置する状態で次のプリントに備えて待機する。
次に、最厚紙モードを実行する場合について説明する。まず、プリント待機時には、図29に示すように、転写部ソレノイド駆動回路22、レジスト部ソレノイド駆動回路32はオフになっており、第1の実施の形態と同様に転写部間隙形成部材支持部材11およびレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転は規制されている。
次いで、中間転写ベルト2が駆動を開始した後の用紙厚さ検知時には、図30に示すように、転写部ソレノイド15をオンにすることにより転写部ラチェット14を引き下げて、転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動を許容する。転写部ソレノイド15をオフにして転写部ラチェット14を元の位置に戻すと、転写部間隙形成部材支持部材11が半回転したところで回転運動が規制される。このときは、厚い方の転写部間隙形成部材12bが転写部122の圧接部付近に位置することになる。
このように、制御部124は、前述のステップS25においてd≧d1と判別された結果、最厚紙モードが実行されると、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS51)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられ転写部間隙形成部材支持部材11が半回転する。次いで、制御部124は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS52)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、半回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。これにより、厚い方の転写部間隙形成部材12bが転写部122の圧接部付近で待機することになる。
次いで、レジストローラ駆動開始時には、図31に示すように、レジスト部ソレノイド29をオンにすることによりレジスト部ラチェット28を引き下げて、レジスト部間隙形成部材支持部材26の回転運動を許容する。そして、レジスト部ソレノイド29をオフにしてレジスト部ラチェット28を元の位置に戻すことによってレジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転したところで回転運動が規制される。このときは、厚い方のレジスト部間隙形成部材27bがレジスト部123の圧接部付近に位置することになる。
このように、制御部124は、レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24の駆動を開始して(ステップS53)、その後、レジスト部ソレノイド29をオンにする(ステップS54)。レジスト部ソレノイド29がオンになると、レジスト部ラチェット28が引き下げられ、レジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転する。次いで、制御部124は、レジスト部ソレノイド29をオフにする(ステップS55)。レジスト部ソレノイド29がオフになると、レジスト部ラチェット28が押し上げられ、半回転を終えたレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を規制する。このときは、厚い方のレジスト部間隙形成部材27bがレジスト部123の圧接部付近に位置することになる。
次いで、用紙転写圧接部突入時には、図32に示すように、厚い方の用紙8bの突入が転写部用紙通過検知センサ19によって検知されると、転写部ソレノイド15をオンにすることにより、転写部ラチェット14を引き下げて転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動を許容する。用紙8bが転写部122の圧接部に突入する際には、厚い方の転写部間隙形成部材12bによって間隙が形成され、中間転写ベルト2の速度変動が抑制される。転写部ソレノイド15をオフにして転写部ラチェット14を元の位置に戻すと、転写部間隙形成部材支持部材11が半回転したところで回転運動が規制される。このときは、薄い方の転写部間隙形成部材12aが転写部122の圧接部付近に位置することになる。
このように、制御部124は、用紙8bの先端が転写部112に突入したことを検知したか否かを判別し(ステップS56)、用紙8bの突入を検知した場合は、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS57)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられて転写部間隙形成部材支持部材11が半回転する。次いで、制御部124は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS58)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、半回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。
次いで、用紙レジスト圧接部抜け時には、図33に示すように、厚い方の用紙8bの後端の通過がレジスト部用紙通過検知センサ25によって検知されると、転写部ソレノイド15およびレジスト部ソレノイド29をオンにすることにより、転写部ラチェット14およびレジスト部ラチェット28を引き下げて、転写部間隙形成部材支持部材11およびレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転運動を許容する。このため、用紙8bがレジスト部の圧接部を抜ける際には、厚い方のレジスト部間隙形成部材12bによって、用紙8bの厚さ分が急激に抜けるのが緩和され、中間転写ベルト2の速度変動が抑制される。転写部ソレノイド15およびレジスト部ソレノイド29をオフにして転写部ラチェット14およびレジスト部ラチェット28を元の位置に戻すと、転写部間隙形成部材支持部材11およびレジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転したところで回転運動が規制される。このときは、厚い方の転写部間隙形成部材12bが転写部122の圧接部付近に位置し、薄い方のレジスト部間隙形成部材27aがレジスト部123の圧接部付近に位置することになる。
このように、用紙レジストローラ圧接部抜け時には、制御部124は、用紙8bの後端が転写部122から抜けたことを検知したか否かを判別し(ステップS59)、用紙8bの後端の抜けを検知した場合は、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS60)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられ、転写部間隙形成部材支持部材11が半回転する。次いで、制御部124は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS61)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、半回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。また、制御部124は、ステップS69において用紙8bの後端の抜けを検知した場合は、レジスト部ソレノイド29をオンにする(ステップS62)。レジスト部ソレノイド29がオンになると、レジスト部ラチェット28が引き下げられ、レジスト部間隙形成部材支持部材26が半回転する。次いで、制御部124は、レジスト部ソレノイド29をオフにする(ステップS63)。レジスト部ソレノイド29がオフになると、レジスト部ラチェット28が押し上げられ、半回転を終えたレジスト部間隙形成部材支持部材26の回転を規制する。
次いで、用紙転写圧接部抜け時には、図34に示すように、用紙8bの後端の通過が転写部用紙通過検知センサ19によって検知されると、転写部ソレノイド15をオンにすることにより転写部ラチェット14を引き下げて、転写部間隙形成部材支持部材11の回転運動を許容する。用紙8bが転写部122の圧接部を抜ける際には、厚い方の転写部間隙形成部材12bによって、用紙8bの厚さ分が急激に抜けるのが緩和され、中間転写ベルト2の速度変動が抑制される。転写部ソレノイド15をオフにして転写部ラチェット14を元の位置に戻すと、転写部間隙形成部材支持部材11が半回転したところで回転運動が規制される。このときは、薄い方の転写部間隙形成部材12aが転写部122の圧接部付近に位置することになる。
このように、制御部124は、用紙8bの後端が転写部112の圧接部を抜けたことを検知したか否かを判別し(ステップS64)、用紙8bの抜けを検知した場合は、転写部ソレノイド15をオンにする(ステップS65)。転写部ソレノイド15がオンになると、転写部ラチェット14が引き下げられて転写部間隙形成部材支持部材11が半回転する。次いで、制御部124は、転写部ソレノイド15をオフにする(ステップS66)。転写部ソレノイド15がオフになると、転写部ラチェット14が押し上げられ、半回転を終えた転写部間隙形成部材支持部材11の回転を規制する。
そして、次の用紙プリント待機時には、図35に示すように、薄い方の転写部間隙形成部材12aが転写部122の圧接部付近に位置するとともに、薄い方のレジスト部間隙形成部材27aがレジスト部123の圧接部付近に位置する状態で次のプリントに備えて待機する。
このように、上記の動作を繰り返すことによって、プリント開始時には常に薄い方の転写部間隙形成部材12aおよびレジスト部間隙形成部材27aが転写部122の圧接部およびレジスト部123の圧接部付近に位置する状態となる。このため、本実施の形態では、転写部122およびレジスト部123の圧接部付近で待機する転写部間隙形成部材12およびレジスト部間隙形成部材27が、薄いものであるかまたは厚いものであるかを、例えばホームポジションセンサやカウンタ等を用いて判別する必要がない。また、薄い方の用紙8aの通過時には薄い方の転写部間隙形成部材12aおよびレジスト部間隙形成部材27aが間隙を形成し、厚い方の用紙8bの通過時には厚い方の転写部間隙形成部材12bおよびレジスト部間隙形成部材27bが間隙を形成するようになっているので、用紙転写圧接部突入時、用紙レジストローラ圧接部抜け時および用紙転写圧接部抜け時に発生する用紙の段差による中間転写ベルト2の速度変動を適切に緩和することができる。
このように、本実施の形態では、用紙8が薄い方の用紙8aであるか厚い方の用紙8bであるかを判別して、用紙8の厚みに応じて間隙の量を調整するので、より適切に像担持体に生じる回転負荷を低減することができる。
また、本実施の形態では、用紙8の厚みに応じて、薄い方の転写部間隙形成部材12aと厚い方の転写部間隙形成部材12bを選択して適切な量の間隙を形成することができるので、更に効果的に回転負荷を低減できる。
また、本実施の形態では、転写部122の圧接部に突入する用紙8の厚さよりも、転写部間隙形成部材12により形成される最も広い間隙の方が狭くなっているので、用紙8が転写部122の圧接部を通過中に、転写部間隙形成部材12が圧接部内にあった場合でも転写工程に影響が及ばない。
(第4の実施の形態)
図40〜図43を参照して第4の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第4の実施の形態の画像形成装置50は、用紙8の厚さに応じて転写部132の間隙形成をするか否かを選択するように構成したものである。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図40〜図42は、転写部132の斜視図を示すものである。なお、図41は、転写部132に間隙が形成される前後の状態を示し、図42は、転写部132に間隙が形成されている状態を示す。
図40に示すように、転写部132は、主走査方向にベルト幅Wbの幅を有する中間転写ベルト2を張架して連れ回り、主走査方向に対向ローラ幅Wrの幅を有する対向ローラ6を備えている。対向ローラ6の両端に設けられた対向ローラ軸6aは、図示しないベルトユニットフレームに設けられた軸受111により軸支されている。また、対向ローラ6のトナー像が通過する領域である作像領域6cの幅(作像領域幅)をWi、作像領域の外側の両端部におけるトナー像が通過しない領域である非作像領域6bの幅(非作像領域幅)をWn、対向ローラ6の幅(対向ローラ幅)をWrとしたとき、Wr(対向ローラ幅)=2×Wn(非作像領域幅)+Wi(作像領域幅)の関係式が成り立つ。
また、対向ローラ6の下側には、主走査方向の幅(転写幅)がWtの転写ローラ7が設けられている。転写ローラ7の両端には、本体側板116に開口した角穴状のスライド穴部117と、スライド穴部117の淵を摺動するスライド軸受ホルダ119が配置されている。スライド軸受ホルダ119には、転写ローラ軸10を軸支する軸受120が取り付けられている。
スライド軸受ホルダ119の底面と、ばね受部116aとの間には前述の圧縮ばね9や転写部圧縮ばね16と同様に構成された押圧ばね118が設けられており、押圧ばね118は、転写ローラ7を対向ローラ9の側に加圧するようになっている。
また、図41に示すように、転写ローラ軸10の両端には前述の転写部トルクリミッタ13と同様に構成されたトルクリミッタ150が摺動可能に設けられており、トルクリミッタ150の外周にはトルクリミッタホルダ151が圧入されている。トルクリミッタホルダ151には間隙形成保持環153が一体に設けられており、間隙形成保持環153の外周にはシート状の間隙形成部材154を接合するための糊代である間隙形成部材取付部155が設けられている。間隙形成部材154は、前述の転写部間隙形成部材12と同様に構成されており、例えば、接着、溶着または融着等の方法によって間隙形成部材取付部155に接合されている。間隙形成部材154の形状は、間隙形成部材取付部155との接合領域においては、内接する間隙形成部材取付部155の外周の形状と等しい円弧状になっているが、接合領域よりも回転方向上流側においては外力を受けないため間隙形成部材154の復元力により平面状になっている。トルクリミッタホルダ151は、転写ローラ軸10の回転によりトルクリミッタ150に加わる負荷トルクが設定トルク以下であれば回転することができるようになっている。また、トルクリミッタ150およびトルクリミッタホルダ151は、転写ローラ軸10上を主走査方向に移動しないようになっている。
また、トルクリミッタホルダ151の外周には、突起状の回転止爪部152aが設けられている。また、掛止板156は、その幅方向、すなわち主走査方向に延在する長穴部158をそれぞれ有しており、本体に固定されているピン159により用紙8の搬送方向、すなわち副走査方向への移動が規制されるとともに、主走査方向には所定のストロークで移動可能となっている。掛止板156はソレノイド160を動力として主走査方向に移動する。図41に示す状態では、ソレノイド160がオフになっており、掛止板156が図の右側に位置し、掛止板156の両端に突き出た掛止爪部157が回転止爪部152aに当接しているため、トルクリミッタホルダ151の回転は規制されている。
図42に示す状態では、ソレノイド160がオンになり、掛止板156は図の左方向に移動するため、掛止爪部157は回転止爪部152aを開放し、トルクリミッタ150の設定トルク以下で、トルクリミッタホルダ151と間隙形成部材154が回転する。なお、本実施の形態においては、掛止爪部157が転写ローラ7の幅方向に移動するため、回転止爪部152aと掛止爪部157との当接を左右同時に開放することができる。
また、本実施の形態では、前述の用紙厚さ検知センサ20で検知した用紙8の厚み情報または、利用者が手動で入力設定した用紙8の厚み情報に基づいて、用紙8の厚さが所定のしきい値を越えた場合のみ、マイクロプロセッサ21の判断により、対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成されるようになっている。
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。図43は、転写部132に間隙が形成される状態を時系列に示す断面図である。
まず、図43(a)の状態では、転写部132を構成する対向ローラ6および転写ローラ7が回転を始める。このとき、中間転写ベルト2の搬送に伴って対向ローラ6が回転し、更に転写ローラ7も連れ回っているが、まだ掛止爪部157が回転止爪部152aを掛止しているため、トルクリミッタ150がスリップし、トルクリミッタホルダ151に設けられた間隙形成部材154は圧接部の手前で止まったまま待機する。また、用紙8は、レジストローラ23とレジスト加圧ローラ24から構成されるレジスト部133の圧接部に位置している。
図43(b)の状態では、転写部用紙通過検知センサ19により、用紙8の先端が到達したことが検知される。また、ソレノイド160の動作に伴って掛止爪部157が回転止爪部152aを開放し、トルクリミッタ150の伝達トルクでトルクリミッタホルダ151と間隙形成部材154が反時計方向に回転し始める。
図43(c)の状態では、間隙形成部材54の先端が対向ローラ6と転写ローラ7の圧接部に到達する。具体的には、間隙形成部材54の先端は、対向ローラ6の非作像領域6bに到達する。また、図43(d)の状態では、間隙形成部材54が圧接部に挟まれながら更に反時計方向に回転し、用紙8の先端も対向ローラ6と転写ローラ7が中間転写ベルト2に圧接する圧接部に到達する。
図43(e)は、間隙形成部材54が圧接部を抜けた状態となっている。また、図43(f)の状態では、間隙形成部材54が更に反時計方向に回転し、掛止爪部57が掛止状態で待ち構えている方へ回転止爪部152aが接近する。そして、図43(g)の状態では、掛止爪部57が回転止爪部152aに当接して掛止して元の位置に戻る。
このように、本実施の形態では、用紙厚さ検知センサ20で検知した用紙8の厚み情報、または利用者が手動で入力設定した用紙8の厚み情報に基づいて、用紙8の厚さが所定のしきい値を越えた場合のみ、マイクロプロセッサ21の判断により、対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成されるので、中間転写ベルト2や転写ローラ7が変形することを防止することができる。
(第5の実施の形態)
図44、図45を参照して第5の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第5の実施の形態の画像形成装置50においては、転写部間隙形成部材12およびレジスト部間隙形成部材27の形状と厚さが前述の実施の形態と異なり、画像副走査方向(用紙8の搬送方向)に対して分布を有している。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図44(a)、図44(b)はそれぞれ転写部142の断面図を示す。また、図45(a)、図45(b)はそれぞれレジスト部143の断面図を示す。
図44(a)に示すように、本実施の形態では、転写部間隙形成部材12の先端側は、用紙8の搬送方向に向かって幅方向に斜めに切断されている。また、図44(b)に示すように、転写部間隙形成部材12の先端は厚さ方向に傾斜を有して楔形の形状になっている。このため、転写部間隙形成部材12の先端が転写部142の圧接部に突入するときに発生する中間転写ベルト2の速度変動が軽減される。なお、転写部間隙形成部材12は、幅方向または厚さ方向の何れか一方のみ傾斜を有していても同様の効果を得ることができる。
また、図45(a)に示すように、レジスト部間隙形成部材27の後端側は、用紙8の搬送方向に向かって斜めに切断されている。また、図45(b)に示すように、レジスト部間隙形成部材27の後端は厚さ方向に傾斜を有して楔形の形状になっている。このため、レジスト部間隙形成部材27の後端がレジスト部143の圧接部を抜けるときに発生する中間転写ベルト2の速度変動が軽減される。なお、レジスト部間隙形成部材27は、幅方向または厚さ方向の何れか一方のみ傾斜を有していても同様の効果を得ることができる。
このように、本実施の形態では、用紙8の搬送方向における転写部間隙形成部材12およびレジスト部間隙形成部材27の形状は、画像副走査方向に対して分布を有している。すなわち、転写部間隙形成部材12の先端側は、用紙8の搬送方向に向かって幅方向に斜めに切断されている。このため、転写部間隙形成部材12自体が転写部142の圧接部に突入するときに発生する中間転写ベルト2の速度変動を抑えることができる。また、レジスト部間隙形成部材27の後端側は、用紙8の搬送方向に向かって斜めに切断されている。このため、レジスト部間隙形成部材27がレジスト部143の圧接部から抜けるときに発生する中間転写ベルト2の速度変動を抑えることができる。
また、本実施の形態では、用紙8の搬送方向における転写部間隙形成部材12およびレジスト部間隙形成部材27の厚さが、画像副走査方向に対して分布を有している。すなわち、転写部間隙形成部材12の厚さが先端に向けて薄くなっている。このため、転写部間隙形成部材12が転写部142の圧接部に突入するときに発生する中間転写ベルト2の速度変動を抑えることができる。また、レジスト部間隙形成部材27の厚さが後端に向けて薄くなっている。このため、レジスト部間隙形成部材27がレジスト部143の圧接部から抜けるときに発生する中間転写ベルト2の速度変動を抑えることができる。
また、本実施の形態では、用紙8の搬送方向における転写部間隙形成部材12の厚さが分布を有するとともに、用紙8の搬送方向における転写部間隙形成部材12の形状が画像副走査方向に対して分布を有している。すなわち、転写部間隙形成部材12は、その先端が搬送方向に向かって幅方向に斜めに切断されるとともにその厚さが先端に向けて薄くなっている。このため、転写部間隙形成部材12が転写部142の圧接部に突入するときに発生する中間転写ベルト2の速度変動を抑えることができる。また、転写部間隙形成部材12と同様に、レジスト部間隙形成部材27を、その先端が搬送方向に向かって幅方向に斜めに切断されるとともにその厚さが先端に向けて薄くすることにより、転写部間隙形成部材12が転写部142の圧接部から抜けるとき、およびレジスト部間隙形成部材27がレジスト部143の圧接部から抜けるときに発生する中間転写ベルト2の速度変動を抑えることができる。
(第6の実施の形態)
図46〜図52を参照して第6の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第6の実施の形態の画像形成装置50は、間隙形成部材154が主走査方向に移動するように構成されている。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図46、図47は、転写部152の斜視図を示すものである。転写部152は、ステッピングモータ174と、ステッピングモータ174の回転によりラック機構を介して互いに逆行する主走査方向に移動されるラック板170a、170bを備えている。ラック板170a、170bには、ステッピングモータ174に取り付けられたピニオンギヤ173と歯合するラック部172a、172bがそれぞれ形成されている。また、ラック板170a、170bは、その幅方向、すなわち主走査方向に延在する長穴部158をそれぞれ有しており、本体に固定されているピン159により用紙8の搬送方向、すなわち副走査方向への移動が規制されるとともに、主走査方向には所定のストロークで移動可能となっている。ラック板170a、170bの端部には、溝カム作動ピン171a、171bが後述する溝カム部161にその先端が挿入されるようにそれぞれ立設されている。
転写ローラ7の両端には、転写ローラ7の端部に隣接するとともに転写ローラ7と等しい径を有する大径環162a、162bと、大径環162a、162bに隣接するとともに大径環162a、162bより小さい径を有する小径環162c、162dが転写ローラ7と一体または別体で設けられている。大径環162aと小径環162cは転写ローラ7の一端に対を成して設けられるとともに、大径環162bと小径環162dは転写ローラ7の他端に対を成して設けられる。また、転写ローラ軸10の両端には、トルクリミッタ150を介してトルクリミッタホルダ151aが設けられている。トルクリミッタホルダ151は、トルクリミッタ150に加わる負荷トルクが設定トルク以下であれば転写ローラ軸10の駆動力により回転することができるようになっている。また、トルクリミッタ150およびトルクリミッタホルダ151は、主走査方向に移動可能に転写ローラ軸10に設けられている。
図48は、トルクリミッタホルダ151aを下方から見た図である。トルクリミッタホルダ151aの軸方向内側には間隙形成部材取付部155が設けられており、間隙形成部材取付部155には間隙形成部材154が設けられている。間隙形成部材154は、例えば、接着、溶着または融着等の方法によって間隙形成部材取付部155に接合されている。また、トルクリミッタホルダ151aには溝カム部161が形成されており、溝カム部161には溝カム作動ピン171a、171bが挿入される。このため、間隙形成部材154が待機位置(図48参照)にあるときは、ステッピングモータ174の回転により溝カム作動ピン171aと溝カム作動ピン171bの間隔が変化すると、溝カム作動ピン171a、171bがトルクリミッタホルダ151aを軸方向に移動させ、2つの間隙形成部材154の間隔である間隙形成部材間内寸幅Wdが図46に示すWdmin.から図47に示すWdmax.の間で変化する。なお、本実施の形態では、間隙形成部材154を主走査方向に移動するために回転運動を行う駆動源であるステッピングモータ174を用いているので、間隙形成動作の有無および間隙形成の量の切り換えを精度良く、且つすばやく行うことが可能となっているが、第4の実施の形態のように、直線運動を行う駆動源であるソレノイド160を用いて間隙形成部材154を主走査方向に移動しても良く、その場合、ソレノイド160の直線運動の方向を変更することなく間隙形成部材154を駆動することができる。
本実施の形態では、用紙8の厚さに応じて、間隙形成部材154の主走査方向の間隔(間隙形成部材間内寸幅Wd)を、Wdmin.からWdmax.の間で調整することにより、大径環162a、162bと小径環162c、162dの何れに間隙形成部材154を挟持させるかを切り換えて間隙量を変化させるようになっている。すなわち、ステッピングモータ174が双方の間隙形成部材154を主走査方向に移動して、間隙形成部材間内寸幅(Wd)がWdmin.となった状態のときは、間隙形成時に、間隙形成部材154は、大径環162aと対向ローラ6との間、および大径環162bと対向ローラ6との間に挟まれる。また、ステッピングモータ174が双方の間隙形成部材154を主走査方向に移動して、間隙形成部材間内寸幅(Wd)がWdmax.となった状態のときは、間隙形成時に、間隙形成部材154は、小径環162cと対向ローラ6との間、および小径環162dと対向ローラ6との間に挟まれる。
また、溝カム作動ピン171a、171bが位置P1(図49(a)参照)にあるときは、間隙形成部材154は待機状態となって回転せず、転写部152の圧接部に挟まれることはない。このため、溝カム作動ピン171a、171bの位置を選択することにより、間隙形成部材154を転写部152の圧接部に挟み込ませるか否かを選択することができる。
溝カム作動ピン171aは、ステッピングモータ174の回転角に応じて位置P1、位置P2、位置P3、位置P4の何れかに移動される。なお、溝カム作動ピン171aの主走査方向の位置は、位置P1、位置P2、位置P3、位置P4の順で転写ローラ7の幅方向中央に近くなっている。
図48に示すように、転写ローラ7および転写ローラ軸10が矢印で示す方向に回転し、トルクリミッタ150が転写ローラ7の回転をトルクリミッタホルダ151aへと伝えることにより、溝カム作動ピン171aが溝カム部161の主走査方向(水平方向)の壁に突き当たった場合は、溝カム作動ピン171aが主走査方向左側に移動するまでは、トルクリミッタホルダ151aおよび間隙形成部材154は停止した状態となる。また、図49(b)に示すように、溝カム作動ピン171aより図の下方(上流側)に溝カム部161がある場合は、トルクリミッタホルダ151aは転写ローラ7に連れ回りする。なお、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様のレジスト部103を備えているが、レジスト部103も転写部152と同様に構成されていても良い。また、間隙が形成されるタイミングは、転写部152の圧接部に用紙8が突入する直前、転写部152の圧接部から用紙8が抜ける直前、およびレジスト部103の圧接部から用紙8が抜ける直前のみである。
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。図49、図50は、厚紙連続モード、中厚紙連続モードにおける間隙形成部材154の動作状態を示す。また、図51、図52は、厚紙モードから中厚紙モードに切り換わる際、および中厚紙モードから厚紙モードに切り換わる際における間隙形成部材154の動作状態を示す。
ここで、本実施の形態において、画像形成装置50は、用紙8の厚みに応じて厚紙モードと中厚紙モードの2つのモードに切り換えができるようになっている。ここで、厚紙モードとは、相対的に厚い用紙8に対応するモードであり、中厚紙モードとは、相対的に薄い用紙8に対応するモードである。
まず、厚紙連続モードの動作について説明する。図49(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P1にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの溝カム部161の内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せずホームポジション(図ではHPと示す)で待機している。図49(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P3に移動するとトルクリミッタホルダ151aは回転を開始し、図49(c)に示す状態まで回転を継続する。図49(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図49(d)に示す状態では、間隙形成部材154は圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P3にある状態ではトルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図49(f)に示すように溝カム作動ピン171aが位置P1へ移動すると、トルクリミッタホルダ151aは再び回転して、図49(g)に示すように、間隙形成部材154が図49(a)と同じホームポジションに戻る。
このため、厚紙連続モードにおいては、対向ローラ6と転写ローラ7とが中間転写ベルト2に圧接する圧接部において中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に間隙が形成される際に、間隙形成部材154の先端部は大径環162aに接しているため、形成される間隙は相対的に大きいものとなる。
次に、中厚紙連続モードの動作について説明する。図50(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P2にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せずホームポジションで待機している。図50(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P4に移動するとトルクリミッタホルダ151aが回転を開始し、図50(c)に示す状態まで回転を継続する。図50(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図50(d)に示す状態では、間隙形成部材154は圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P4にある状態ではトルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図50(f)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P2に移動すると、トルクリミッタホルダ151aは再び回転して、図50(g)に示すように、間隙形成部材154が図50(a)と同じホームポジションに戻る。
このため、中厚紙連続モードにおいては、対向ローラ6と転写ローラ7とが中間転写ベルト2に圧接する圧接部において中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に間隙が形成される際に、間隙形成部材154の先端部は小径環162cに接しているため、形成される間隙は相対的に小さいものとなる。
次に、厚紙モードから中厚紙モードに切り換わる際の動作について説明する。図51(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P1にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せず厚紙モードのホームポジションで待機している。図51(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P3に移動するとトルクリミッタホルダ151aが回転を開始し、図51(c)に示す状態まで回転を継続する。図51(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図51(d)に示す状態では、間隙形成部材154は圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P3にある状態では、トルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図51(e)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P4に移動すると、トルクリミッタホルダ151aが図の左側に移動して間隙形成部材154の先端の位置は、大径環162aから小径環162cへと移る。すなわち、厚紙モードから中厚紙モードにモードが切り換わる。更に、図51(f)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P2に移動することにより、トルクリミッタホルダ151aは再び回転を開始して、図51(g)に示すように、間隙形成部材154が中厚紙モードのホームポジションに移動する。
次に、中厚紙モードから厚紙モードに切り換わる際の動作について説明する。図52(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P2にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せず中厚紙モードのホームポジションで待機している。図52(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P4に移動するとトルクリミッタホルダ151aが回転を開始し、図52(c)に示す状態まで回転を継続する。図52(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図52(d)に示す状態では、間隙形成部材154は圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P4にある状態では、トルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図52(e)に示すように溝カム作動ピン171aが位置P1に移動すると、トルクリミッタホルダ151aが図の右側に移動して間隙形成部材154の先端の位置は、小径環162cから大径環162aへと移る。すなわち、中厚紙モードから厚紙モードにモードが切り換わる。更に、図52(f)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P1に移動することにより、トルクリミッタホルダ151aは再び回転を開始して、図52(g)に示すように、間隙形成部材154が厚紙モードのホームポジションに移動する。
このように、本実施の形態では、用紙8の厚さに応じて、間隙形成部材154を転写ローラ7の軸芯方向と平行に移動させることにより形成する間隙の量を調節するようになっているので、用紙8の厚さが異なる場合でも、適切に中間転写ベルト2に生じる回転負荷を低減することができる。
また、本実施の形態では、転写部152において対向ローラ6および転写ローラ7が中間転写ベルト2に圧接する圧接部に用紙8が突入する直前、圧接部から用紙8が抜ける直前、およびレジスト部103(図2参照)においてレジストローラ23とレジスト加圧ローラ24が互いに圧接する圧接部から用紙8が抜ける直前のみ、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間、およびレジストローラ23とレジスト加圧ローラ24との間に間隙が形成されるので、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154を、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7と同じ方向に回転させるとともに同じ向きから中間転写ベルト2と転写ローラ7が当接する位置に挿入させて挟み込ませるようになっているので、転写部152の圧接部に間隙を形成する時の回転負荷をより効果的に低減できる。また、レジスト部間隙形成部材27を、レジストローラ23およびレジスト加圧ローラ24の回転方向と同じ向きから挿入させて挟み込ませるようにすると、レジスト部103の圧接部に間隙を形成する時の回転負荷をより効果的に低減できる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154は、回転運動を行う駆動源であるステッピングモータ174により駆動されるので、間隙形成動作の有無および間隙形成の大きさの切り換えを精度良く、且つすばやく行うことができる。また、他のモータを用いた場合であっても、回転運動を直線運動に変換する際の減速比を適切に設定することにより、間隙形成動作の有無および間隙形成の大きさの切り換えを精度良く、且つすばやく行うことができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154を、直線運動を行う駆動源であるソレノイド160により駆動した場合には、ソレノイド160の直線運動の方向を変更することなく間隙形成部材154を駆動することができる。
(第7の実施の形態)
図53〜図59を参照して第7の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第7の実施の形態の画像形成装置50は、間隙形成部材154が主走査方向に移動するとともに、形成する間隙の量を無段階に変更するように構成されている。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図53、図54は、転写部162の斜視図を示すものである。本実施の形態では、転写ローラ7の両端部には、テーパ環163a、163bが転写ローラ7と一体または別体で設けられている。図55に詳細を示すように、テーパ環163a、163bは、転写ローラ7の主走査方向の外側に向かってその径が小さくなるように形成されている。また、テーパ環163a、163bの内側方向の径は転写ローラ7の径と等しく、テーパ環163a、163bの外側方向の径は転写ローラ7の径よりも小さくなっている。
また、間隙形成部材154が待機位置(図55参照)にあるときは、ステッピングモータ174の回転により溝カム作動ピン171aと溝カム作動ピン171bの間隔が変化すると、溝カム作動ピン171a、171bがトルクリミッタホルダ151aを軸方向に移動させ、2つの間隙形成部材154の間隔である間隙形成部材間内寸幅Wdが図53に示すWdmin.から図54に示すWdmax.の間で変化する。
本実施の形態では、用紙8の厚さに応じて、間隙形成部材154の主走査方向の間隔(間隙形成部材間内寸幅Wd)を、Wdmin.からWdmax.の間で調整することにより、テーパ環163a、163bの何れの部分に間隙形成部材154を挟持させるかを切り換えて間隙量を変化させるようになっている。すなわち、ステッピングモータ174が双方の間隙形成部材154を主走査方向に移動して、間隙形成部材間内寸幅(Wd)がWdmin.となった状態のときは、間隙形成時に、間隙形成部材154は、テーパ環163a、163bの主走査方向内側の大径部分と対向ローラ6との間に挟まれる。また、ステッピングモータ174が双方の間隙形成部材154を主走査方向に移動して、間隙形成部材間内寸幅(Wd)がWdmax.となった状態のときは、間隙形成時に、間隙形成部材154は、テーパ環163a、163bの主走査方向外側の小径部分と対向ローラ6との間に挟まれる。なお、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様のレジスト部103を備えているが、レジスト部103も転写部162と同様に構成されていても良い。また、間隙が形成されるタイミングは、転写部162の圧接部に用紙8が突入する直前、転写部162の圧接部から用紙8が抜ける直前、およびレジスト部103の圧接部から用紙8が抜ける直前のみである。
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。図56、図57は、厚紙連続モード、中厚紙連続モードにおける間隙形成部材154の動作状態を示す。また、図58、図59は、厚紙モードから中厚紙モードに切り換わる際、中厚紙モードから厚紙モードに切り換わる際における間隙形成部材154の動作状態を示す。
まず、厚紙連続モードの動作について説明する。図56(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P1にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの溝カム部161の内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せずホームポジションで待機している。図56(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P3に移動するとトルクリミッタホルダ151aは回転を開始し、図56(c)に示す状態まで回転を継続する。また、図56(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図56(d)に示す状態では、間隙形成部材154は圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P3にある状態ではトルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図56(f)に示すように溝カム作動ピン171aが位置P1に移動すると、トルクリミッタホルダ151aは再び回転して、図56(g)に示すように、間隙形成部材154が図56(a)と同じホームポジションに戻る。
このため、厚紙連続モードにおいては、間隙形成部材154の先端部はテーパ環163a、163bの大径部分に接しているため、形成される間隙は相対的に大きいものとなる。
次に、中厚紙連続モードの動作について説明する。図57(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P2にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの溝カム部161の内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せずホームポジションで待機している。図57(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P4に移動するとトルクリミッタホルダ151aは回転を開始し、図57(c)に示す状態まで回転を継続する。また、図57(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図57(d)に示す状態では、間隙形成部材154が圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P4にある状態ではトルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図57(f)に示すように溝カム作動ピン171aが位置P2に移動すると、トルクリミッタホルダ151aは再び回転して、図57(g)に示すように、間隙形成部材154が図57(a)と同じホームポジションに戻る。
このため、中厚紙連続モードにおいては、間隙形成部材154の先端部はテーパ環163a、163bの小径部分に接しているため、形成される間隙は相対的に小さいものとなる。
次に、厚紙モードから中厚紙モードに切り換わる際の動作について説明する。図58(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P1にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せず厚紙モードのホームポジションで待機している。図58(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P3に移動するとトルクリミッタホルダ151aが回転を開始し、図58(c)に示す状態まで回転を継続する。また、図58(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図58(d)に示す状態では、間隙形成部材154は圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P3にある状態では、トルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図58(e)に示すように溝カム作動ピン171aが位置P4に移動すると、トルクリミッタホルダ151aが図の左側に移動して間隙形成部材154の先端の位置は、テーパ環163a、163bの大径部分から小径部分へと移る。すなわち、厚紙モードから中厚紙モードにモードが切り換わる。更に、図58(f)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P2に移動することにより、トルクリミッタホルダ151aは再び回転を開始して、図58(g)に示すように、間隙形成部材154が中厚紙モードのホームポジションに移動する。
次に、中厚紙モードから厚紙モードに切り換わる際の動作について説明する。図59(a)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P2にあるときは、溝カム作動ピン171aがトルクリミッタホルダ151aの内側(転写ローラ7の幅方向中央側)の内壁に接触するため、トルクリミッタホルダ151aは回転せず中厚紙モードのホームポジションで待機している。図59(b)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P4に移動するとトルクリミッタホルダ151aが回転を開始し、図59(c)に示す状態まで回転を継続する。また、図59(c)の状態では、間隙形成部材154が図の背面の圧接位置に到達して対向ローラ6と転写ローラ7との間に間隙が形成される。図59(d)に示す状態では、間隙形成部材154は圧接部から抜け切って間隙形成動作が完了する。溝カム作動ピン171aが位置P4にある状態では、トルクリミッタホルダ151aの回転は止まるが、図59(e)に示すように溝カム作動ピン171aが位置P1に移動すると、トルクリミッタホルダ151aが図の右側に移動して間隙形成部材154の先端の位置は、テーパ環163a、163bの小径部分から大径部分へと移る。すなわち、中厚紙モードから厚紙モードにモードが切り換わる。更に、図59(f)に示すように、溝カム作動ピン171aが位置P1に移動することにより、トルクリミッタホルダ151aは再び回転を開始して、図59(g)に示すように、間隙形成部材154が厚紙モードのホームポジションに移動する。
このように、本実施の形態では、用紙8の厚さに応じて、間隙形成部材154を転写ローラ7の軸芯方向と平行に移動させることにより形成する間隙の量を調節するようになっているので、用紙8の厚さが異なる場合でも、適切に中間転写ベルト2に生じる回転負荷を低減することができる。
また、本実施の形態では、転写部152の圧接部に用紙8が突入する直前、転写部152の圧接部から用紙8が抜ける直前、およびレジスト部103(図2参照)の圧接部から用紙8が抜ける直前のみ間隙が形成されるので、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154を、中間転写ベルト2と対向ローラ6および転写ローラ7と同じ方向に回転させるとともに同じ向きから中間転写ベルト2と転写ローラ7が当接する位置に挿入させて挟み込ませるようになっているので、間隙形成時の回転負荷をより効果的に低減できる。
ここで、図60〜図63を参照して、前述の各実施形態の間隙形成部材154の詳細について説明する。
図60(a)、図60(b)は、間隙形成部材154の平面図および断面図をそれぞれ示す。間隙形成部材154は、対向ローラ6と転写ローラとの間に挟まれる間隙形成機能部位154aと、トルクリミッタホルダ151、151aへの取付部である取付部154bとから構成される。
転写部間隙形成部材12は、対向ローラ6と転写ローラ7に挟まれたときに双方のローラに密着するための十分な柔軟性が要求されるとともに、対向ローラ6と転写ローラ7に挟まれていない待機状態においては復元力によりある程度の平面性を保っていなければならない。また、間隙形成部材154は、前述した厚紙モードおよび中厚紙モードの2つのモードに対応するために、異なる曲率半径に形状が変形した後に元の状態に復元することが要求される。そのため、転写部間隙形成部材12は可撓性のシート材料から構成されている。可撓性のシート材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド(PI)等の高分子材料が好適であり、特にポリイミド(PI)は機械的特性に優れており好ましい。また、可撓性のシート材料として金属材料からなるシート材料を用いる場合は、金属薄板として市場に供給されているリン青銅条、ベリリウム銅条等が好適であるが、ステンレス鋼条は機械的特性に優れるためより好適である。ステンレス鋼条としてはSUS304−CSPが最も優れている。また、ステンレス鋼条としては析出硬化系のSUS631−CSPがあるが、繰り返し疲労を考慮すれば、オーステナイト系のSUS631−CSPを用いることが好ましい。また、転写部間隙形成部材12は、所望の肉厚に加工し易い電鋳法によりニッケル箔で製作することもできる。
また、間隙形成部材154は、表裏で異なる摩擦係数を有しており、転写ローラ7に接する面の摩擦係数より対向ローラ6に接する面の摩擦係数が高くなるように構成されている。このため、間隙形成部材154が対向ローラ6に接するタイミングが、間隙形成部材154が転写ローラ7に接するタイミングよりも支配的となる。このため、間隙形成部材154が所望のタイミングで対向ローラ6へ接した直後にはスリップして遅れることなく確実に間隙が形成される。
具体的には、図61に示すように、間隙形成部材154の対向ローラ6に接する側の面に、機械加工処理であるヘアライン加工を主走査方向(対向ローラ6および転写ローラ7の軸心方向)に施す。ヘアライン加工で形成された凹凸断面のパターンにより間隙形成部材154の対向ローラ6に接する側の面の摩擦係数が高まる。このため、間隙形成部材154を対向ローラ6の表面に引っ掛かりやすくすることができる。
また、図62に示すように、間隙形成部材154の対向ローラ6に接する側の面に、エンボス加工を施し、その凹凸断面のパターンにより摩擦係数を高める。このため、間隙形成部材154を対向ローラ6の表面に引っ掛かりやすくすることができる。
更に、図63に示すように、間隙形成部材154の対向ローラ6に接する側の面に、高摩擦係数樹脂材料を間隔を空けてポッティングし局部的に応力を集中させる方法であるポッティング加工を施して摩擦係数を高める。このため間隙形成部材154を対向ローラ6の表面に引っ掛かりやすくしてアンカー効果を向上させることができる。
また、間隙形成部材154に、サンドブラスト加工、メッキ処理、コーティング加工を施しても良い。間隙形成部材154にコーティング加工を行う場合には、常温における弾性が高くタック性を有するエラストマがコーティング材料として好適である。
なお、摩擦係数を高めるための上記の各加工は、間隙形成部材154の間隙形成機能部位154aのみに施せば良い。また、上記の各手法は、対向ローラ6に接する側の間隙形成部材154の面の摩擦係数を高くするものであるが、間隙形成部材154の転写ローラ7に接する側の面の摩擦係数を低くするために、前述したコーティング加工、ポッティング処理、めっき処理や、機械加工処理であるヘアライン加工およびエンボス加工等を施しても良い。コーティング加工を施す場合、フッ素コーティングにより摩擦係数を低下させることができる。また、ポッティング加工を施す場合には、低摩擦係数樹脂材料を間隔を空けてポッティングして浮き上がらせることにより接触面積を小さくすることができる。また、めっき処理を施す場合には、ポッティング加工と同様に、突起パターンの間隔を広げて接触面積を小さくすることにより摩擦係数を低くすることができる。更に、機械加工処理を施す場合には、ヘアライン加工を副走査方向(用紙8の搬送方向)に施すことにより滑り易くすることができる。
このように、本実施の形態では、間隙形成部材154が可撓性の材料から構成されるので、間隙形成部材154は十分な柔軟性を有し、間隙形成時に転写ローラ7に密着することができ、また、待機状態においては復元力によりある程度の平面性が確保され、更に、異なる曲率半径に形状が変形した場合に癖がつくのを防止することができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154が高分子材料から構成されるので、間隙形成部材154としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(ナイロン)等を用いた場合、間隙形成部材154だけでなく、中間転写ベルト2や転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154が金属材料から構成されるので、間隙形成部材154としてりん青銅条、ベリリウム銅条、ステンレス鋼条等を用いた場合、間隙形成部材154だけでなく、中間転写ベルト2や転写ローラ7が変形することを防止することができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154の、転写ローラ7に接する面の摩擦係数より、反対側の面の摩擦係数が高い場合は、間隙形成部材154が所望のタイミングでスリップして遅れる事なく確実に対向ローラ6へ接した直後に間隙形成をすることができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154の転写ローラ7に接する面を、コーティング処理、ポッティング処理、めっき処理、または機械加工処理の少なくとも1つを含む表面処理を施すことにより低摩擦係数にしたので、間隙形成部材154が所望のタイミングでスリップして遅れる事なく確実に対向ローラへ接した直後に間隙形成をすることができる。
また、本実施の形態では、間隙形成部材154の転写ローラ7に接する面と反対側の面を、コーティング処理、ポッティング処理、めっき処理、または機械加工処理の少なくとも1つを含む表面処理を施すことにより高摩擦係数にした場合は、間隙形成部材154が所望のタイミングでスリップして遅れる事なく確実に対向ローラ6へ接した直後に間隙形成をすることができる。