JP4994446B2 - フォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法およびこれにより製造された濾過体 - Google Patents

フォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法およびこれにより製造された濾過体 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、フォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法、およびこれにより製造された濾過体に関する。
〔背景技術〕
産業現場の燃焼工程では、大気汚染を誘発する粉塵が排出されて大気環境に悪影響を及ぼすので、これを処理および制御するための多くの努力が行われている。このような微細粉塵を制御するために用いられる濾過集塵装置は、粉塵の種類または作業条件を問わずに非常に高い集塵性能を発揮するため、既存の電気集塵装置を殆ど濾過集塵装置で代替させている。ところが、250℃以上の高温条件および磨耗性の激しい条件では、既存の集塵濾過体を直ちに適用させる場合、問題が発生するおそれがある。よって、これに対する代案が多角度から研究されている。
一例として、粉塵層の形成による追加濾過効果の利用に関する研究があるが、これは、微細粉塵の濾過が進む間、濾過体上に固体状の粒子が積り続けて粉塵層が形成され、形成された粉塵層は別の粒子固定層を成すことにより、追加的な濾過機能を行うことに着目した方法である。この方法によれば、初期粉塵層が形成された後では、濾過が進むにつれて濾過体の固有特性を超えて粉塵層による濾過効果が現れる。この際、粉塵層自体が究極的に粉塵濾過性能を左右し、濾過体の構造、粉塵の特性(大きさ、形態、粒子間の相互作用)、濾過運転条件(濾過速度、粉塵濃度、濾過温度)などによって粉塵濾過性能が影響を受ける。特に、濾過体の表面構造または孔径は濾過初期段階の粉塵層を決定し、初期粉塵層は濾過が進むにつれて相次いでの粉塵層形成および濾過メカニズムに影響を及ぼすので、究極的には最初の濾過体構造が粉塵濾過特性を支配する要因となる。ところが、粉塵層の形成に関する研究は、主に繊維状濾過体に局限されて間欠的に行われている実情である。高温ガス浄化用無機濾過体の場合、高温でも濾過体の変形または物性の変化がないように特殊な材料と製造工法で作られるので、構造的差異があるため、これに適した粉塵層の形成に関する研究が必要である。
これまで集塵工程に適用されてきた濾過体は、一般に、深層濾過(depth filtration)方式のものが使用されてきた。このような深層濾過方式の濾過体は、微細粉塵の濾過体内部への浸透による圧力損失の増加、集塵効率の減少、濾過体の寿命短縮などの問題点が激しいため、現在、先進国では殆ど一般濾過体に多孔質表面層を接合させて微細粉塵の濾過体浸透を防ぐ表面濾過(surface filtration)方式を用いて集塵および脱塵効率の向上、濾過布の寿命延長などを図っている。
現在主に使用される多孔質表面層の製造方法は、コーティング(coating)方式と薄膜(laminating)方式に区分される。コーティング方式で接合する技術としてはフォームコーティング(foam coating)、エアロゾルコーティング(aerosol coating)および電気的コーティング(electric coating)がある。薄膜方式の接合技術としてはフィルム薄膜(film laminating)とWeb層薄膜(web layer laminating)がある。ところが、これらの方法の中でも、濾過体の表面の多孔質構造を極大化することが可能な方法としてコーティング方法を最も好んでいる。その理由は、コーティング方法が薄膜方式に比べて技術的制約を少なく受けるという利点を持っているためである。コーティング方式の一つであるフォームコーティングの場合は、濾過体の表面に表面層を形成するので粉塵除去用として優れるうえ、濾過体の製造工程において大量生産が容易であるという利点を持っており、また、泡による体積増加によって加工薬剤が個々濾過体の表面に広く分布するので拡散を容易にするという利点もある。その他にも、水の節約、廃水発生量の減少、加工剤の節約および生産性の向上などといった利点があって、広範囲な応用が大きく期待される分野である。
フォームコーティングの際に考慮すべき事項としては、織物の構造、組成、重量、前処理、および泡自体の性質、例えば粘度、半減期、破裂度、破裂泡の吸収性などである。これらの全ての要素を変化させることにより、適切な加工条件を選択することができる。ところが、フォームコーティングは、湿式工程後の乾燥過程で水を加熱蒸発させるために多くのエネルギーを消費する。よって、この際、エネルギー消費を減少させる方法に関する研究も必要な実情である。
次に、従来のフォームコーティングを用いた方法に関する技術について考察する。
特許文献1では、フォームコーティングで加工された不織布壁紙およびその製造方法を開示しており、また、毛羽が存在する紡績糸織編物の編み面に接着層、微細気孔層および撥水層を形成させる透湿性防水布の製造方法を開示しており、特許文献2では、通常の不織布の表面に、低重合度の合成樹脂、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂およびシリコン樹脂などのエマルジョン化剤などから選択された水溶性樹脂、アクリル系増粘剤、発泡剤、気泡安定剤、界面活性剤、無機充填剤、粒度100メッシュ以下の活性炭、粒度100メッシュ以下のゼオライト、および架橋剤などを均一に混合して得られたエマルジョン液を空気でブローイング加工して得た発泡樹脂をコートした後、乾燥させてなる空気濾過用フィルターを開示しており、特許文献3では、水溶性樹脂、アクリル増粘剤、発泡剤、気泡安定剤、界面活性剤、無機充填剤および架橋剤を均一に混合して得られたエマルジョン液を空気でブローイング加工した後、得られた発泡樹脂をガラス繊維織布にコートし、乾燥させた微細粉塵濾過用集塵フィルター、およびその製造方法を開示している。ところが、前記特許文献らに開示された方法の場合、濾過体の表面層の形成が卓越するという利点はあるが、アクリル系樹脂を使用するため、熱的安定性の問題により250℃以上の中高温用ガス中の微細粉塵を除去する濾過体としては適用不可能であるという問題点がある。
したがって、熱的安定性を克服するために、特許文献3では、不織布の後面に、難燃剤および抗菌剤などが混合された化学フォームコーティング剤をフォームコーティング方式でコートして防炎性および抗菌性などの性能に優れるうえ、半永久的にその機能性を維持することが可能な機能性不織布壁紙およびその製造方法を開示しており、特許文献4では、炭化珪素、アルミナ、シリマナイト、カオリン、シリカ、チタニアおよび珪藻土よりなる群から少なくとも1種選ばれるセラミック粉末、粘土、造孔剤、バインダーおよび分散液を混合して製造したスラリーを担持体に担持させて成形した後、前記成形された成形物を乾燥および焼結させて製造されるセラミックフィルターおよびその製造方法を開示しており、特許文献5では、炭化珪素、アルミナ、シリマナイト、カオリン、シリカ、チタニアおよび珪藻土よりなる群から少なくとも1種選ばれるセラミック粉末、粘土、造孔剤、バインダーおよび分散液を混合して製造したスラリーを担持体に担持させて成形した後、前記成形された成形物を乾燥および焼結させ、前記乾燥の後、焼結前または焼結後に成形物の内部または外部にセラミック粉末、造孔剤、バインダーおよび分散液を混合したスラリーをさらに塗布し、乾燥、焼結させて製造する多層セラミックフィルターの製造方法、およびこれを用いたセラミックフィルターを開示している。ところが、前記方法らは、熱安定性は確保することができるが、焼結過程における900〜1300℃の昇温温度によるエネルギー消費が多く、フォームコーティングに比べて粉塵除去効率が低いという欠点を持っている。また、特許文献6では、エンジン後端の排気ガス流路に装着してディーゼル排出粒子を低減させる装置であって、四角形の内部管にパッド型の濾過材を取り付け、その周囲を網で固定することを特徴とする濾過装置を開示しているが、これは、パッド型であって柔軟性がなく、粉塵除去効率が低いという欠点を持っている。
韓国公開特許第1992−9561号明細書 韓国公開特許第2000−67428号明細書 韓国登録特許第0367561号明細書 韓国公開特許第2004−49278号明細書 韓国公開特許第2004−49279号明細書 韓国公開特許第2002−22343号明細書
〔発明の開示〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者らは、熱的安定性および粉塵除去効率に優れた濾過体について研究した結果、無機質繊維生地の支持体の表面にフォームコーティングを用いて微細多孔質の表面層を形成して製造した濾過体が、250〜300℃の中高温で粉塵の集塵効率および脱塵効率を高め、大きい耐熱性を有し、濾過体の表面に平均孔径30μm以下の気孔が均一に分布しており、表面濾過効果を極大化することができることを見出し、本発明の完成に至った。
〔技術的解決〕
本発明の目的は、フォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法、およびこれにより製造された濾過体を提供することにある。
〔発明の効果〕
本発明に係る濾過体は、既存の濾過体に比べて耐熱性に優れるうえ、熱収縮に強く、全ての粉塵粒径で99%以上の部分質量集塵効率、99.999%以上の質量集塵効率および優れた脱塵効率を示す。また、本発明の濾過体は、濾過体の表面に形成された気孔が平均孔径30μm以下で均一に分布しているので、中・高温領域での排ガス処理に有用である。
〔最良の形態〕
本発明は、1)耐熱性水溶性樹脂、気泡安定剤、発泡剤および増粘剤を混合してコーティング液を製造する段階と、2)前記コーティング液を発泡器で処理して泡液を作り、前記泡液を無機質繊維生地の支持体の表面に塗布する段階と、3)前記泡液の塗布された無機支持体生地を乾燥させる段階と、4)前記乾燥した無機支持体生地を圧着処理する段階と、5)前記圧着処理された無機支持体生地を熱処理する段階と、6)前記熱処理された無機支持体生地を冷却する段階とを含むことを特徴とする、フォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法を提供する。
また、本発明は上記方法により製造された濾過体を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用されたコーティング液は、耐熱性水溶性樹脂、気泡安定剤、発泡剤および増粘剤を1:0.05〜0.1:0.01〜0.02:0.01〜0.05の重量比率、好ましくは1:0.07:0.02:0.015の重量比率で混合して製造できる。
前記耐熱性水溶性樹脂としては、下記化学式1で表されるフッ素化合物を含むフッ素系樹脂が好ましい。
Figure 0004994446
式中、nは100〜100,000の整数である。
前記気泡安定剤は、発泡樹脂の維持剤として作用し、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはステアリン酸アンモニウムを含む。
前記発泡剤は、気泡を作り出す物質であって、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムを含む陰イオン系発泡剤、またはポリエチレングリコール型、多価アルコール型を含む非イオン系発泡剤を含む。
前記増粘剤は、発泡樹脂が繊維に付着している状態を維持させる作用をし、アクリル系増粘剤が好ましい。
本発明で使用された無機質繊維生地の支持体としては、市販のガラス繊維が好ましい。
以下、本発明の好適な実施例に係るフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法を図1および図2を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法を示す工程図、図2は前記中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法を行う装置を示す図である。
まず、耐熱性水溶性樹脂、気泡安定剤、発泡剤および増粘剤を1:0.05〜0.1:0.01〜0.02:0.01〜0.05の重量比率、好ましくは1:0.07:0.02:0.015の重量比率で混合した後、室温で5分間攪拌してコーティング液を製造する。前記製造されたコーティング液を発泡器1に600〜1350g/minの速度で投入する。この際、発泡器は、0.5〜2L/minの速度で空気を定量的にコーティング液に供給しながら、200〜400rpmの速度で回転する攪拌器2によって泡液6を生成する。生成された泡液6は、コーティング液供給ポンプ3によってガラス繊維生地5に供給される。ガラス繊維生地5はアンワインダー13からワインダー15へ1.5〜2m/minの一定の速度で移送される。フォームコーティングはガラス繊維5がアンワインダー13からワインダー15へ移送される間に行われる。ガラス繊維生地5がコンベヤベルト14を通過するとき、発泡器1で作られた泡液6はコーティング液供給ポンプ3によってコーティング液供給管4を介してガラス繊維生地5上に供給される。
一方、コンベヤベルト14上にはナイフ状のブレード7が設置される。ガラス繊維生地5上に供給された泡液6は、ガラス繊維生地5がブレード7の下を通過する間、ブレード7によって一定の厚さ、好ましくは約0.3〜1.0mmの厚さに調節される。前記泡が塗布されたガラス繊維生地16は、表面上に塗布された泡液6の乾燥および熱処理のために、ブレード7の後端に配置された1次および2次乾燥オブン8、9に投入される。1次乾燥オブン8は180℃〜220℃の温度に維持されており、泡の塗布されたガラス繊維生地16はこの温度で約2分間維持される。また、2次乾燥オブン9は180℃〜220℃の温度に維持されており、前記1次乾燥を済ませたガラス繊維生地はこの温度で約2分間維持される。すると、フォームコーティングされたガラス繊維生地17が製造される。前記フォームコーティングされたガラス繊維生地17の表面層の均一性および安定性を与えるために、2次乾燥オブン9の後端に配置された圧着器10に投入される。圧着器10は1378.95〜4826.31kPaの圧力範囲、好ましくは3447.37kPaの圧力でコーティング層を圧着する。その結果、0.1mm〜0.2mmのコーティング層が圧着されたガラス繊維生地18が製造される。前記コーティング層の圧着されたガラス繊維生地18は、圧着されたコーティング層の硬化のために、圧着器10の後端に配置された硬化オブン11に投入される。硬化オブン11は340℃〜400℃の温度に維持されており、コーティング層が圧着されたガラス繊維生地18はこの温度で1分〜2分間維持される。前記製造されたガラス繊維生地19を室温に冷却すると、本発明の濾過体が完成される。
本発明の濾過体製造方法では、フォームコーティングの後、1次および2次乾燥過程で安定な微細多孔質表面層が形成され、圧着の後、硬化過程を経ることにより、表面強度に優れた表面層形成無機質濾過体が製造される。
本発明に係る濾過体は、既存の濾過体に比べて耐熱性に優れるうえ、熱収縮に強く、全ての粉塵粒径で99%以上の部分質量集塵効率、99.999%以上の質量集塵効率および優れた脱塵効率を示し、濾過体の表面に形成された気孔が平均孔径30μm以下で均一に分布している。よって、本発明に係る濾過体は、中・高温領域(250〜300℃)における排ガスの処理に十分に適用可能であると判断される。
〔発明の形態〕
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示する。ところが、これらの実施例は本発明のより容易な理解のために提供されるものに過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。
(実施例1:濾過体の製造)
フッ素系樹脂(TE3893、Dupont)100g、気泡安定剤(STABIPRET B−STF、Boehme)7g、発泡剤(STABIPRET B−FOB、Boehme)2g、および増粘剤(TT−935、Youngwoo Chempeck)1.5gを混合した後、室温で5分間攪拌してコーティング液を製造した。前記製造されたコーティング液を発泡器に780g/minの速度で投入した。発泡器は2L/minの速度で空気を定量的にコーティング液に供給しながら、350rpmの速度で回転して泡液を生成した。この際、コーティング液泡の粘度は10000cpsであり、泡発生比率(blow ratio)は4〜5:1であって、表面層の形態は良好であった。前記生成された泡液を、供給ポンプによってガラス繊維生地の表面に塗布した。前記泡液が塗布されたガラス繊維生地の表面をナイフ状のブレードで0.5mmの厚さに調節した。この際、供給ポンプ速度は30rpm、ガラス繊維生地の移送速度は2m/minに維持した。前記フォームコーティング済みのガラス繊維生地を、ブレードの後端に配置された乾燥オブンに投入して5分間熱処理した。前記泡液が塗布されたガラス繊維生地の表面層の熱処理としては80℃で前加熱を行い、220℃で後加熱を行った後、5分間維持した。
前記乾燥したガラス繊維生地は、乾燥オブンの後端の圧着ロールを通過しながら均一且つ安定な表面層が形成される。前記圧着されたガラス繊維生地は、内部温度340℃の硬化器で2分間維持し、ガラス繊維生地を室温で冷却して濾過体を完成した。
<実験例1:集塵効率の分析>
本発明に係る濾過体の集塵効率を分析するために、次の実験を行った。
本発明に係る濾過体は、重油ボイラーの燃焼ガス中に含有された粉塵を捕集するためのもので、実験条件も重油ボイラーの燃焼ガスの特徴を模写して実験した。本実験のために、ガスの温度は250±10℃に設定し、重油ボイラーの特徴である微細粉塵は平均粒径を10μmより大きい粒径、2.5〜10μmの粒径、1〜2.5μmの粒径および1μm以下の粒径に区分した。
また、質量集塵効率は、バッグフィルターを用いた濾過過程の途中で濾過した後、チャンバーの内部にサンプリングポートを連結して等速吸引する方式で測定し、後端に絶対フィルターを設置して濾過前・後の重量を比較して計算した。比較例では、フィルターとして、市販のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)がラミネート処理された商用濾過体およびm−アラミド系列のNomexを使用した。
本発明に係る濾過体の部分質量集塵効率は表1に示し、本発明に係る濾過体の質量集塵効率は表2に示す。
Figure 0004994446
Figure 0004994446
表1に示すように、本発明に係る濾過体は、全ての粉塵の粒径で99%以上の部分質量集塵効率を示した。本発明に係る濾過体は、粒径が小さいほど部分質量集塵効率が減少し、粒径が大きいほどさらに高い部分質量集塵効率を示す典型的な集塵濾過体の特徴を示した。
また、表2に示すように、本発明に係る濾過体の質量集塵効率は99.999%であって非常に高い集塵効率を示した。
<実験例2:脱塵効率の分析>
本発明に係る濾過体の脱塵効率を分析するために、次の実験を行った。
実施例1で製造された濾過体を用いてバッグフィルター用濾過体を製作し、脱塵実験を行った。比較例では、フィルターとして、市販のPTFEがラミネート処理された商用濾過体およびm−アラミド系列のNomexを使用した。実験条件は、同様に、濾過速度3m/min、脱塵圧4kg/cm、流入濃度5.7g/mであった。脱塵実験は、現場条件と同様に、装置内部差圧が100mmHOの圧力に到達したときに行った。実験時間は各濾過バックの条件を考慮して最小4時間30分〜最大8時間の長時間にした。
その結果は図3に示す。
図3に示すように、本発明に係る濾過体の脱塵効率は、商用濾過体より一層優れた脱塵効率を示し、Nomex濾過体の脱塵効率とはほぼ類似の実験結果を示した。
<実験例3:表面特性の試験>
本発明に係る濾過体の表面特性を確認するために、実施例1で製造した濾過体の表面を光学顕微鏡で200倍拡大し、電子顕微鏡で400倍拡大して観察した。
本発明に係る濾過体の表面を光学顕微鏡で200倍拡大して観察した結果は図4に示し、本発明に係る濾過体の表面を電子顕微鏡で400倍拡大して観察した結果は図5に示す。
図4に示すように、本発明に係る濾過体の表面に、フォームコーティングによって形成された気孔が分布していることを確認した。また、図5に示すように、本発明に係る濾過体の内部においても表面と同じ3次元の蜂の巣状構造を形成していることを確認した。
<実験例4:コーティング厚さによる濾過体の表面形状の観察>
コーティング厚さによる本発明の濾過体の表面形状を確認するために、次の実験を行った。
実施例1の濾過体の製造において、表面コーティングの際に0.0mm〜0.15mmの範囲でコーティング厚さを調節して濾過体を製造した。その後、各厚さによる濾過体の表面形状を光学顕微鏡で100倍拡大して観察した。
その結果は図6に示す。
図6に示すように、本発明の濾過体の厚さが0.0mmの場合、ガラス繊維生地を製織するときに発生する緯糸と経糸との隙間を充填する形でコーティングが行われることが分かる。また、コーティングの際に0.05mmずつ厚さ変化を与えたときに、表面が割れるなどの濾過体の損傷現象は観察されておらず、全体的に均一なコーティング表面が形成されることを確認した。
<実験例5:耐熱性試験>
本発明に係る濾過体の耐熱性を分析するために、次の実験を行った。
実施例1で製造した濾過体の円板状試片に横5cm、縦5cmの格子を表示し、250℃の電気炉(electric furnace)に18時間熱処理した後、加熱前・後濾過体の形態変化を観察した。
比較例としては、不織布形態の商用濾過体の中でも、特に高温に最もよく耐えられるポリイミド系列のP84を使用した。
本発明に係る濾過体の耐熱性試験前・後の形態変化は図7に示す。
図7に示すように、本発明に係る濾過体は、熱収縮または炭化が全く起らなかった。これに対し、ポリイミド系列のP84は、250℃の電気炉で1分の時間が経過する前から全体的に相当な熱収縮と変形が起ったうえ、表面が硬い状態に変形した。
前記結果より、本発明に係る濾過体は、商用濾過体に比べて耐熱性に優れるうえ、熱収縮に強いことが分かる。よって、本発明に係る濾過体は、中・高温領域(250〜300℃)における排ガス処理に十分に適用可能であると判断される。
<実験例6:表面濾過速度による差圧変化分析>
本発明に係る濾過体の表面濾過速度による差圧変化を分析するために、次の実験を行った。
本実験に濾過体濾過性能試験装置(VDI 5368)を使用し、表面濾過速度(face-velocity)は2〜10m/minの範囲で変化させた。比較例としては、PTFEがラミネート処理された商用濾過体、m−アラミド系列のNomex、ポリフェニルスルフィド系列のRyton、Conex、ポリイミド系列のP84、およびガラス繊維を使用した。
その結果は図8に示す。
図8に示すように、本発明に係る濾過体は、PTFEがラミネート処理された商用濾過体に比べて非常に良い差圧条件を持っており、低温で使用する一般不織布形態の様々な濾過布と類似の通気度を持っていることを確認した。よって、本発明に係る濾過体は、中・高温だけでなく、低温でも適用可能な程度の水準であることが分かる。
〔産業上の利用可能性〕
本発明に係る濾過体は、既存の濾過体に比べて耐熱性に優れるうえ、熱収縮に強く、全ての粉塵粒径で99%以上の部分質量集塵効率、99.999%以上の質量集塵効率および優れた脱塵効率を示す。また、本発明の濾過体は、濾過体の表面に形成された気孔が平均孔径30μm以下で均一に分布しているので、中・高温領域での排ガス処理に有用である。
本発明に係るフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法を示す工程図である。 本発明に係るフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法を行う装置を示す図である。 本発明に係る濾過体の脱塵効率を示す図である。 本発明に係る濾過体の表面を光学顕微鏡で200倍拡大して観察した図である。 本発明に係る濾過体の表面を電子顕微鏡で400倍拡大して観察した図である。 コーティング厚さによる本発明の濾過体の表面形状を光学顕微鏡で100倍拡大して観察した図である。 本発明に係る濾過体の耐熱性試験前・後の形態変化を示す図である。 本発明に係る濾過体の表面濾過速度による差圧変化を示す図である。
〔符号の説明〕
1 発泡器
2 攪拌器
3 泡液供給ポンプ
4 泡液供給管
5 ガラス繊維生地
6 泡液
7 ブレード
8 1次乾燥オブン
9 2次乾燥オブン
10 熱圧縮器
11 硬化オブン
12 冷却器
13 アンワインダー
14 コンベヤベルト
15 ワインダー
16 泡液が塗布されたガラス繊維生地
17 乾燥したガラス繊維生地
18 コーティング層が圧着されたガラス繊維生地
19 製造されたガラス繊維生地

Claims (6)

  1. 1)下記化学式1で表される耐熱性樹脂、気泡安定剤、発泡剤および増粘剤を混合してコーティング液を製造する段階と、
    2)前記コーティング液を発泡器で処理して泡液を作り、前記泡液を無機質繊維生地の支持体の表面に塗布する段階と、
    3)前記泡液の塗布された無機支持体生地を乾燥させる段階と、
    4)前記乾燥した無機支持体生地を圧着処理する段階と、
    5)前記圧着処理された無機支持体生地を熱処理する段階と、
    6)前記熱処理された無機支持体生地を冷却する段階とを含み、
    前記コーティング液は、耐熱性樹脂、気泡安定剤、発泡剤および増粘剤を1:0.05〜0.1:0.01〜0.02:0.01〜0.05の重量比率で混合して製造され
    前記4)段階では、1次および2次乾燥を済ませた、前記泡液の塗布された無機支持体生地を1378.95kPa〜4826.31kPaの圧力で圧着し、
    前記5)段階では、熱処理が340℃〜400℃で行われることを特徴とする、フォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法。
    Figure 0004994446
    (式中、nは100〜10,000の整数である。)
  2. 前記気泡安定剤は、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびステアリン酸アンモニウムよりなる群から選ばれた1種であることを特徴とする、請求項1に記載のフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法。
  3. 前記発泡剤は、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムを含む陰イオン系発泡剤、またはポリエチレングリコール型、多価アルコール型を含む非イオン系発泡剤であることを特徴とする、請求項1に記載のフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法。
  4. 前記増粘剤はアクリル系増粘剤であることを特徴とする、請求項1に記載のフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法。
  5. 前記無機質繊維生地の支持体はガラス繊維であることを特徴とする、請求項1に記載のフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法。
  6. 前記3)段階では、1次乾燥が80℃〜120℃で、2次乾燥が180℃〜220℃で行われることを特徴とする、請求項1に記載のフォームコーティングを用いた中・高温排ガス処理用濾過体の製造方法。
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