JP3306381B2 - エアフィルタ - Google Patents

エアフィルタ

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JP3306381B2
JP3306381B2 JP24139498A JP24139498A JP3306381B2 JP 3306381 B2 JP3306381 B2 JP 3306381B2 JP 24139498 A JP24139498 A JP 24139498A JP 24139498 A JP24139498 A JP 24139498A JP 3306381 B2 JP3306381 B2 JP 3306381B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアフィルタ、と
くにカーボンダストを効率よく捕捉できるエアフィルタ
に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用のエアフィルタとして、濾紙に油
を含浸させたウェットタイプのフィルタが知られてい
る。一般的には含浸油としてビスカスオイルが用いら
れ、通称「ビスカスタイプ」のエアフィルタと呼ばれて
いる。ビスカスタイプのエアフィルタは、油を含浸させ
ないドライタイプのフィルタに比較すると寿命を長くで
きる特長がある。ビスカスタイプのエアフィルタでは、
フィルタ表面の油がダストを吸着した後、吸着したダス
トにさらに油が含浸することによって、ダストの表面に
次のダストを吸着する作用が発生する。このようにダス
トを連鎖的に捕捉することができるため、フィルタの容
積当たりの吸着量が増大する。
【0003】また、改良されたビスカスタイプのエアフ
ィルタが実公昭63−27767号公報に記載されてい
る。実公昭63−27767号公報に記載のエアフィル
タでは、比較的密な第1フィルタ材と、比較的粗な第2
フィルタ材とを積層している。このような積層構造を採
用することにより、第1フィルタ材および第2フィルタ
材の油の含浸率を異なるものとし、これによってフィル
タの目詰まりを防止して、効率よくダストを捕捉するよ
うにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、油を含浸させ
たウェットタイプのフィルタではカーボンダストを効率
よく捕捉することができないという問題がある。これに
対して、油を含浸させないドライタイプのフィルタを用
いればカーボンダストを効率よく捕捉することができる
が、濾紙を用いる場合にはフィルタの寿命が短くなると
いう欠点がある。また、不織布を単独で用いる場合には
コストが上昇するという問題がある。
【0005】本発明は、長寿命を保ちつつ、カーボンダ
ストを効率よく捕捉することができ、しかもコストを低
く抑えることができるエアフィルタを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、エンジンの吸気経路に取り付けられるエアフィルタ
であって、油が含浸された第1のフィルタ層(11)
と、第1のフィルタ層(11)よりも下流に設けられ、
油をはじく性質を有する撥油層(11a)と、撥油層
(11a)よりも下流に設けられ、油が含浸されていな
い第2のフィルタ層(12)とを備え、撥油層(11
a)によって第2のフィルタ層(12)への油の移動を
抑制し、前記第2のフィルタ層(12)によってカーボ
ンダストを捕捉するものである。請求項2に記載の発明
は、エンジンの吸気経路に取り付けられるエアフィルタ
であって、油が含浸された第1のフィルタ層(11)
と、前記第1のフィルタ層(11)よりも下流に設けら
れ、前記油をはじく性質を有する撥油層(11a)と、
前記第1のフィルタ層(11)よりも下流に設けられ、
油が含浸されていない第2のフィルタ層(12)とを備
え、前記撥油層(11a)によって前記第2のフィルタ
層(12)への前記油の移動を抑制し、前記第2のフィ
ルタ層(12)によってカーボンダストを捕捉するもの
である。
【0007】
【0008】
【0009】この発明によれば、第1のフィルタ層(1
1)の油が撥油層(11a)によってはじかれるので、
油が第2のフィルタ層に転移しにくくなる。したがっ
て、油が含浸されない第2のフィルタ層(12)が本来
の性能を十全に発揮でき、よってカーボンダストを効率
よく捕捉することができる。この発明によればエンジン
の吸気からカーボンダストを効率よく除去することがで
きる。また、エンジンに油が吸入されることを防止でき
る。
【0010】請求項に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のエアフィルタにおいて、第1のフィルタ層(1
1)と撥油層(11a)とが一体の層として構成されて
いるものである。
【0011】この発明によれば、第1のフィルタ層(1
1)と撥油層(11a)とを1つの層で構成できるの
で、層構成を単純なものにできるとともに、フィルタ全
体の厚みを小さくすることができる。
【0012】請求項に記載の発明は、請求項に記載
のエアフィルタにおいて、一体の層の片面に撥油剤を塗
布することにより撥油層(11a)が形成されるもので
ある。
【0013】この発明によれば、簡易な工程によって撥
油層(11a)を形成することができる。
【0014】請求項に記載の発明は、請求項1〜
いずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、第2のフ
ィルタ層(12)の目が第1のフィルタ層(11)の目
よりも粗くされているものである。
【0015】この発明によれば、第2のフィルタ層(1
2)が圧損に与える影響が小さくなり、フィルタ全体と
しての圧損を抑制できる。
【0016】請求項に記載の発明は、請求項1〜
いずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、第2のフ
ィルタ層(12)は不織布又は濾紙により形成されてい
るものである。
【0017】この発明によれば、第2のフィルタ層(1
2)が不織布又は濾紙により形成されているので、接触
濾過によってカーボンダストを効率よく捕捉することが
できる。
【0018】
【0019】
【0020】なお、本発明の理解を容易にするために添
付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それによ
り本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図3を用いて本発明
によるエアフィルタの一実施の形態について説明する。
【0022】図1に示す本実施の形態のエアフィルタ
は、折り曲げられたフィルター材1と、矩形状に形成さ
れ、フィルタ材1を保持するプラスチック製の枠材2と
からなる。図1に示すようにフィルター材1はその周辺
部において枠材2にインサート成形され、枠材2に固定
される。
【0023】図2(a)に示すように、フィルタ材1は
濾紙にビスカスオイル等の油を含浸させた第1フィルタ
層11と、油が含浸されていない不織布又は濾紙からな
る第2フィルタ層12とを備える。
【0024】図2(a)において第1フィルタ層11内
の下面側には撥油剤が含浸された撥油層11aが形成さ
れており、撥油層11aの油をはじく性質によって、第
1フィルタ層11に含浸された油が第2フィルタ層12
に移動することを阻止ないし抑制することができる。一
方、図2(a)において第1フィルタ層11の上面には
第1フィルタ層11に含浸された油が滲み出ており、ダ
ストを捕捉しやすい状態が形成される。
【0025】撥油層11aに用いる撥油剤としては、例
えばフッ素樹脂の他、油をはじく性質を有する物質を適
宜選択することができる。撥油層11aを形成する際に
は、撥油剤を第1フィルタ層11の図2(a)の下面に
塗布する方法を採ることができ、例えばスプレー法、ロ
ール塗工法(ダイレクトロール法、キスコート法等)、
ディッピング法等、各種の塗工法を用いることができ
る。塗工法を用いれば、簡単な工程により撥油層11a
を形成できるという利点がある。
【0026】図3はダイレクトロール法を用いて撥油
塗布する工程を示している。図3に示すように、2つ
のロール21およびロール22の間に第1フィルタ層1
1を通すと、容器23に入れられた撥油剤の溶液24が
ロール21によって導かれ、溶液24が第1フィルタ層
11の片面に塗布される。この溶液24を乾燥させるこ
とにより、第1フィルタ層11に撥油層11aを形成す
ることができる。例えば撥油剤としてフッ素樹脂を用い
る場合には、フッ素樹脂をメタノール等の溶媒に溶解さ
せたものを溶液24として用いることができる。
【0027】第1フィルタ層11のポアサイズは、エア
フィルタに要求される性能に応じて適切な値を選択する
ことができ、例えば、80〜150μmに設定される。
第1フィルタ層11ではダストをフィルタの目に引っ掛
けるようにしてダストを捕捉するため、捕捉すべきダス
トの粒子径や圧損等を考慮してポアサイズの値を設定す
る。
【0028】一方、油を含浸させない不織布又は濾紙を
用いる第2フィルタ層12では、ポアサイズを、例え
ば、80〜200μmに設定する。このように、第2フ
ィルタ層12には比較的ポアサイズの大きい粗い目の不
織布又は濾紙を用いるが、これは接触濾過によってカー
ボンダストを捕捉するものであって、必ずしも目を細か
くする必要がないからである。
【0029】第1フィルタ層11と第2フィルタ層12
とは接合面を空気が通過できるような状態で互いに接合
される。接合は第1フィルタ層11の撥油層11aを形
成した後に、撥油層11aと第2フィルタ層12とを重
ね合わせることにより行われる。第1フィルタ層11お
よび第2フィルタ層12を接合した後、さらに第1フィ
ルタ層11に油を含浸させる。
【0030】次に、本実施の形態のエアフィルタによる
フィルタリングの作用について説明する。図1および図
2(a)における符号Aで示す矢印は空気が流れる方向
を示している。図2(a)に示すように、空気は最初に
第1フィルタ層11を通過し、次いで第2フィルタ層1
2を通過する。
【0031】上記のように第1フィルタ層11は油が含
浸されたウェットタイプのフィルタ層であるため、第1
フィルタ層11において空気中のダストを効率よく捕捉
できる。しかし、一般に、油を含浸させた濾紙では空気
中のカーボンダストを効率よく捕捉することはできず、
第1フィルタ層11で効率よく捕捉されるのはカーボン
ダスト以外のダストである。
【0032】第1フィルタ層11を通過した空気は第2
フィルタ層12へ入る。上記のように第2フィルタ層1
2は油を含浸させていないドライタイプのフィルタであ
り、カーボンダストを効率よく捕捉することができる。
上記のように、第2フィルタ層12では接触濾過によっ
てカーボンダストを捕捉する。
【0033】このように、本実施の形態のエアフィルタ
では、第1フィルタ層11においてカーボンダスト以外
のダストを効率よく捕捉し、第2フィルタ層12におい
て第1フィルタ層11を通過したカーボンダストを効率
よく捕捉する。したがって、エアフィルタ全体として
は、カーボンダストおよびカーボン以外のダストのいず
れをも効率よく捕捉することができる。また、空気の下
流に向かってフィルタの目を細かくしてゆく従来のエア
フィルタと異なり、本実施の形態では第2フィルタ層1
2において接触濾過によってカーボンダストを捕捉する
ので、第2フィルタ層12の目が比較的粗くて済み、圧
損を小さく抑えることができるという利点がある。
【0034】一般にウェットタイプのフィルタでは、い
わゆる空気による持ち去りと呼ばれる現象によって、油
が空気の流れの下流に向けて転移する。しかし、本実施
の形態のエアフィルタでは、第1フィルタ層11内の下
流寄りの領域に撥油層11aを設けているので、撥油
1aの油をはじく性質によって油が撥油層11aを横
断して下流に転移しにくい状態とされている。
【0035】一般に、カーボンダストを捕捉する性能は
フィルタ層における油の含浸量の影響を受け、油が含浸
されると捕捉性能が低下する。したがって、仮に第2フ
ィルタ層12に油が含浸されると、カーボンダストを効
率よく捕捉することができなくなる。ところが本実施の
形態では、上記のように撥油層11aによって油の転移
が抑制されるので、第1フィルタ層11から第2フィル
タ層12に向けてほとんど油が転移しない。このため第
2フィルタ層12をドライのまま維持することができ、
よってカーボンダストの捕捉性能を低下させるおそれが
ない。
【0036】また、第2フィルタ層12に油が転移しに
くいため、事実上、油が第2フィルタ層12からさらに
下流に持ち去られるおそれもない。このため、例えば、
本実施の形態のエアフィルタを車両用エンジンの吸気経
路に取り付けた場合に、エンジンに油が吸入されるとい
う不都合を生じさせない。
【0037】なお、本実施の形態のエアフィルタを車両
用のエアフィルタとして用いる場合には、フィルタ材1
全体の厚みを好ましくは1〜3.5mm、さらに好まし
くは1.1mm〜1.5mmとする。
【0038】図1に示すように、本実施の形態ではフィ
ルタ材1を折り曲げてフィルタの実質的な面積を増大さ
せるようにしているが、フィルタ材1を平面状に伸ばし
た状態で使用しても良い。またフィルタ材1を丸めて筒
状に形成し、筒の内側から外側、あるいは外側から内側
に向けて空気を流すようにしてもよい。
【0039】本実施の形態では、第1フィルタ層11と
第2フィルタ層12とを接合しているが、図2(b)に
示すように、第1フィルタ層11と第2フィルタ層12
との間に空気層13を形成したフィルタ材1Aを用いて
もよい。例えば、第1フィルタ層11と第2フィルタ層
12との間に適当な部材を挿入するなどして、空気層1
3を確保することができる。
【0040】本実施の形態では、第1フィルタ層11の
一部に撥油層11aを設けているが、撥油層を単独の層
として構成することもできる。この場合、油が含浸され
たウェットタイプのフィルタ層と、油が含浸されていな
いドライタイプのフィルタ層との間に撥油層を設ければ
良い。撥油層を単独の層として設ける場合には、撥油
塗布する方法の他、油をはじく性質を有する繊維によ
って撥油層を形成してもよい。
【0041】さらに、第1フィルタ層11に撥油層11
aを設ける代わりに、第2フィルタ層内部の上流側の領
域に撥油層を形成しても良い。その他、どのような方法
によって撥油層を形成してもよく、空気の流れに沿って
ウェットタイプのフィルタ層、撥油層、ドライタイプの
フィルタ層の順に積層される構成を採ることができれば
支障ない。ウェットタイプのフィルタ層、撥油層、およ
びドライタイプのフィルタ層のいずれかの間に別のフィ
ルタ層を挟み込んでもよいし、あるいはウェットタイプ
のフィルタ層、撥油層、あるいはドライタイプのフィル
タ層を支持するための部材、あるいは各層の間に空気層
を確保するための部材等を挟み込んでもよい。また、本
発明によるエアフィルタとは別のフィルタをさらに積層
して使用することもできる。
【0042】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、油が含浸された第1の
フィルタ層と、第1のフィルタ層よりも下流に設けら
れ、油をはじく性質を有する撥油層と、撥油層よりも下
流に設けられ、油が含浸されていない第2のフィルタ層
とを備えるので、第1のフィルタ層の油が撥油層によっ
てはじかれて、油が第2のフィルタ層に転移しにくくな
る。したがって、油が含浸されない第2のフィルタ層が
本来の性能を十全に発揮できる。よってカーボンダスト
を効率よく捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエアフィルタの実施の形態を示す
断面図。
【図2】フィルタ材を示す断面図であり、(a)は図1
に示すエアフィルタに用いるフィルタ材の断面図、
(b)は第1フィルタ層と第2フィルタ層との間に空間
を形成したフィルタ材の断面図。
【図3】撥油層を塗布する工程を示す図。
【符号の説明】
1 フィルタ材 11 第1フィルタ層 11a 撥油層(撥水層) 12 第2フィルタ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 條 健雄 徳島県東大工町3−16 阿波製紙株式会 社内 (72)発明者 大坂 勝巳 徳島県東大工町3−16 阿波製紙株式会 社内 (56)参考文献 特開 平7−148406(JP,A) 特開 昭61−268326(JP,A) 特開 昭53−49383(JP,A) 実開 平7−9443(JP,U) 実開 昭52−159464(JP,U) 実開 昭55−126921(JP,U) 実開 昭61−47483(JP,U) 実開 昭62−133957(JP,U) 実開 昭63−174566(JP,U) 実公 昭63−14886(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 35/024 511 B01D 46/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの吸気経路に取り付けられるエ
    アフィルタであって、 油が含浸された第1のフィルタ層と、 前記第1のフィルタ層よりも下流に設けられ、前記油を
    はじく性質を有する撥油層と、 前記撥油層よりも下流に設けられ、油が含浸されていな
    い第2のフィルタ層とを備え、 前記撥油層によって前記第2のフィルタ層への前記油の
    移動を抑制し、前記第2のフィルタ層によってカーボンダストを捕捉す
    ることを特徴とする エアフィルタ。
  2. 【請求項2】 エンジンの吸気経路に取り付けられるエ
    アフィルタであって、 油が含浸された第1のフィルタ層と、 前記第1のフィルタ層よりも下流に設けられ、前記油を
    はじく性質を有する撥油層と、 前記第1のフィルタ層よりも下流に設けられ、油が含浸
    されていない第2のフィルタ層とを備え、 前記撥油層によって前記第2のフィルタ層への前記油の
    移動を抑制し、前記第2のフィルタ層によってカーボンダストを捕捉す
    ることを特徴とする エアフィルタ。
  3. 【請求項3】 前記第1のフィルタ層と前記撥油層とが
    一体の層として構成されていることを特徴とする請求項
    又は2に記載のエアフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記一体の層の片面に撥油剤を塗布する
    ことにより前記撥油層が形成されることを特徴とする請
    求項に記載のエアフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記第2のフィルタ層の目が前記第1の
    フィルタ層の目よりも粗くされていることを特徴とする
    請求項1〜のいずれか1項に記載のエアフィルタ。
  6. 【請求項6】 前記第2のフィルタ層は不織布又は濾紙
    により形成されていることを特徴とする請求項1〜
    いずれか1項に記載のエアフィルタ。
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