JP6895829B2 - 不織布濾過材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、第1発明ないし第5発明のいずれかに記載の不織布濾過材の製造方法であって、吸水性繊維を含むように撥水層となるべき層を準備し、吸水層となるべき層を準備した後に、撥水層となるべき層と吸水層となるべき層を含む複数の層を積層し、吸水性繊維の一部が撥水層となるべき層から吸水層となるべき層に達するように、ニードルパンチもしくは水流交絡処理をして多層構造の不織布濾過材とした後に、撥水層となるべき層に撥水処理を施して撥水層とする、不織布濾過材の製造方法である(第7発明)。
撥水層11に含まれる繊維には、撥水処理がされている。撥水層11は塩分が潮解した際の水分の透過を阻止するよう機能する。潮解した塩分の透過を阻止しつつ、不織布濾過材1としての濾過材の寿命が長くなるように、撥水層11は、吸水層12、13よりも平均繊維径が小さく、比較的密な不織布層となるように構成される。
この場合、吸水層に含まれる吸水性繊維の平均繊維径が、吸水層に含まれる他の繊維の平均繊維径よりも小さくされることが好ましい。例えば、吸水性繊維の平均繊維径が5〜15μmであれば、最上流側の吸水層12の他の繊維の平均繊維径は15〜40μmであることが好ましく、中間に位置する吸水層13の他の繊維の平均繊維径は10〜25μmであることが好ましい。
また、撥水層11に含まれる繊維の平均繊維径は、5〜20μmであることが好ましく、8〜15μmであることが特に好ましい。
本実施形態の不織布濾過材1においては、最上流側の吸水層12の好ましい空間率は90〜99.5%程度である。また、中間層の吸水層13の好ましい空間率は88〜97.5%程度である。また、撥水層11の好ましい空間率は80〜95%程度である。
撥水層21となるべきウェブ21Wを準備する。ウェブ21Wには吸水性繊維WFが所定の割合で含まれるようにする(図4(a))。ウェブ21Wを構成する繊維は、この時点では撥水処理されていなくてもよい。
吸水層ウェブ22Wと撥水層ウェブ21Wを積層する(図4(b))
このようにして、吸水性繊維WFの一部が、吸水層22から撥水層21の内部に達するよう不織布の厚み方向に延在している構造が実現される(図4(d))。
なお、ニードルパンチや水流交絡処理の後も、撥水層21内に、不織布層の面に沿うように配向した吸水性繊維が残っていてもよい。
この実施形態の製造方法(第2の製造方法)においても、吸水性繊維の少なくとも一部が、吸水層から撥水層の内部に達するよう不織布の厚み方向に延在しているとの繊維構造を、効率的に実現でき、塩分粒子を効率的に捕捉でき、車両用内燃機関や車両用燃料電池用のエアクリーナに使用可能な不織布濾過材が提供できる。
また、以下に示す実施例や比較例において、いずれの例における濾過材も、相違する旨の記載のない繊維の材質や厚みや目付け量等の構成は、実質的に同じであり、試験に供する際に成形したフィルタエレメントの形状や襞折りの仕様も同一としている。実施例及び比較例の特徴的な構成や性能評価結果を表1及び表2に示す。
実施例1は、上記第1実施形態として説明した不織布濾過材1を具体化した物である。不織布濾過材の厚みは3.2mmである。不織布濾過材は3層構造であり、上流側の吸水層12と、中間層の吸水層13と、下流側の撥水層11を有しており、吸水層12,13に含まれる吸水性繊維の一部は、撥水層の内部に達するように不織布厚み方向に延在している。実施例1の不織布濾過材1は上記第1の製造方法により、ニードルパンチ(NP)工程を経て製造されたものである。
吸水性繊維が、撥水層となるべきウェブに混紡されていて、上記第2の製造方法により製造されたものである点を除き、他の点は実施例1とおおむね同じになるようにされた不織布濾過材が実施例2である。すなわち、実施例2は、上記第2実施形態の不織布濾過材2を3層化した濾過材である。
比較例1は、吸水性繊維を含まない(吸水層がない)点、及び、撥水層も持たない点を除き、他の点は実施例1とおおむね同じになるようにされた不織布濾過材である。
比較例2は、撥水層を持たない点を除き、他の点は実施例1とおおむね同じになるようにされた不織布濾過材である。比較例2では、吸水性繊維は実施例1と同様の形態に配合されている。
比較例3は、吸水性繊維を含まない(吸水層がない)点を除き、他の点は実施例1とおおむね同じになるようにされた不織布濾過材である。比較例3では、撥水層は実施例1と同様であるが、上流側の層が吸水層ではない。
参考例1は、特許文献1に記載された空調用の不織布濾過材を具体化した物である。比較例1の濾過材は各層の積層一体化が貼りあわせにより行われている。また、比較例1の濾過材では、吸水性繊維は中間層に含まれているが、吸水性繊維は不織布層の面に沿うように配置されており、撥水層の内部に達してはいない。また、参考例1の不織布濾過材は、空調用濾過材であり、想定している通過流速が、実施例1の不織布濾過材とは大きく異なっている。そのため、参考例1の不織布濾過材は、目付や空間率、繊維の太さなどが実施例1の不織布とは異なっており、フィルタエレメントにした際の襞折りの仕様も異なっている。
濾過材の層剥離、及び一般ダスト(JIS−8種ダスト)についての性能評価を行った。得られた不織布濾過材を襞折り構造に形成して枠体を取り付けて、エアクリーナエレメントとし、試験に供した。各エアクリーナエレメントについて、JISD1612(自動車用エアクリーナ試験方法)に準じて、JIS−8種のダストについてダスト捕捉量試験を行った。その試験条件を下記に示す。
試験ダスト:一般ダスト(JIS−8種ダスト)
ダスト供給量:4.2g/分
試験流量:4.2立方m/分
通気抵抗:濾過材の上流と下流の間の差圧
増加通気抵抗が2.94kPaに達したときをフルライフとし、それまでに捕捉したダストの量(ダスト捕捉量)を測定する。
各濾過材について、ダスト試験と同様にエアクリーナエレメントを準備し、塩分捕捉試験を行った。
まず、エアクリーナに空気を流しながら、微粉末化した食塩(NaCl)を供給し、5gの食塩を濾過材に付着させる。次いで、空気を流しながら、霧状にした水を10g、供給する。水を供給する前後で、それぞれ通気抵抗を測定し、その差を表2に「圧力上昇」として示す。この圧力上昇は、供給された水分(液状化した塩分)が撥水層上流面にたまってしまい、撥水層が目詰まりしたようになったことを示している。圧力上昇の値が大きければ、水分が乾燥した際にも塩分が撥水層上流面に集結して再結晶することになるため、塩分による通気抵抗の悪化が顕著となる傾向を示す。
また、実施例1及び実施例2の不織布濾過材は、いずれも、塩分の再飛散率は低く、水分により塩分が潮解して液状となっても、塩分が下流側に抜けていくことが十分に抑制された。また、いずれの不織布濾過材も、水分を供給した際の圧力上昇が小さく、供給された水分が撥水層上流面にたまりにくく、撥水層が目詰まりしにくいことがわかる。
また、比較例3では、撥水層を有するものの、吸水性繊維を含まないため、圧力上昇が0.5kPaと大きな値を示した。吸水性繊維がない比較例3は、供給された水分(潮解した塩分)が撥水層上流面にたまりやすく、撥水層が目詰まりしやすいことがわかる。
11 撥水層(下流層)
12 吸水層(上流層)
13 吸水層(中間層)
5 エアクリーナエレメント
51 枠体
52 シール部材
11W 撥水層となるべき層
12W 吸水層となるべき層
13W 中間層となるべき層
N ニードル
Claims (7)
- 上流側に位置し吸水性繊維を含む吸水層と、下流側に位置する撥水層とを含む多層構造の、潮解性を有する塩分粒子捕捉用の不織布濾過材であって、
撥水層は、吸水層よりも平均繊維径が小さくされると共に、
吸水性繊維の少なくとも一部が、吸水層から撥水層の内部に達するよう不織布の厚み方向に延在するとともに、吸水層に含まれる吸水性繊維は潮解して液状化した塩分を吸収可能である、
不織布濾過材。 - 吸水層に含まれる吸水性繊維の平均繊維径が、吸水層に含まれる他の繊維の平均繊維径よりも小さくされた、
請求項1に記載の不織布濾過材。 - 撥水層と吸水層の間に中間層を有し、中間層は吸水性繊維を含み、中間層に含まれる吸水性繊維は実質的に不織布の厚み方向に延在している、
請求項1もしくは請求項2に記載の不織布濾過材。 - 撥水層が最も下流に位置する
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の不織布濾過材。 - 車両に搭載される燃料電池のエアクリーナに用いられる
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の不織布濾過材。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の不織布濾過材の製造方法であって、
吸水性繊維を含むよう吸水層となるべき層を準備し、
撥水処理を施した撥水層となるべき層を準備した後に、
吸水層となるべき層と撥水層となるべき層を含む複数の層を積層し、
その後、吸水性繊維の一部が吸水層となるべき層から撥水層となるべき層に達するように、ニードルパンチもしくは水流交絡処理をして多層構造の不織布濾過材とする、
不織布濾過材の製造方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の不織布濾過材の製造方法であって、
吸水性繊維を含むように撥水層となるべき層を準備し、
吸水層となるべき層を準備した後に、
撥水層となるべき層と吸水層となるべき層を含む複数の層を積層し、
吸水性繊維の一部が撥水層となるべき層から吸水層となるべき層に達するように、ニードルパンチもしくは水流交絡処理をして多層構造の不織布濾過材とした後に、
撥水層となるべき層に撥水処理を施して撥水層とする、
不織布濾過材の製造方法。
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