JP6055313B2 - 不織布濾材 - Google Patents

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本発明は、自動車等に搭載される内燃機関のエアエレメントや、各種通気装置等のクリーンエアフィルタに好適に使用できる不織布濾材に関するものである。
自動車や航空機等には、キャブレターやエンジンのシリンダ内部に、砂やゴミなどのダストが入ることを防止するために、エアクリーナが設置されている。当該エアクリーナには、ダストを捕集するために、エアエレメント(エアフィルタ)が収められている。
このような自動車等に搭載される内燃機関の濾材としては、エンジンに清浄な空気を送るために、微細なダストを除去できる性能、すなわち高い捕集効率が求められると共に、長期間に亘り濾材が目詰まりすることなく使用できる長寿命なフィルタが要求される。
濾材の捕集効率を高め、濾材を長寿命化する方法として、例えば、濾材に、オイルを含浸させることにより、濾材表面にケーク層を形成しながら、ダストの捕集を行う方法が知られている。濾材表面にケーク層を形成すると、このケーク層がフィルタとなって、濾材の捕集効率を高めながら、濾材の長寿命化が図られるため好ましい。特に、捕集できるダスト量を増やすためには、含浸させるオイル量を増加させることが有効であることが知られている。
一方で、オイルを含有させた濾材では、カーボンダスト等の粒子径の小さなダストを捕集した場合に、この微小なダストがオイルを伴って濾材を透過(所謂、オイル抜け)することがある。このようにオイルが抜けてしまうと、エアエレメント(エアフィルタ)下流に設けられるエアフローメーターを汚すことがあるため、空気流量測定精度が低下し、自動車を充分に制御できない場合があった。
このような要求事項を満足できる濾材を提供するために、種々の濾材が提案されている。例えば、オイルが含浸されたフィルタ層と、オイルが含浸されていないフィルタ層(撥油層)を積層することで、オイルの移動を制限する濾材がある(特許文献1)。
また、潜在捲縮繊維等の高反発・高弾性な繊維を使用することにより濾材の厚さを確保しながら、繊維径の異なる繊維からなる層を積層して密度勾配を付けることで、ダスト捕集量を向上させ、フィルタを長寿命化させる濾材が提案されている(特許文献2)。
特開2003−299922号公報 特開2004−97970号公報
しかし、特許文献1の濾材では、撥油層にオイルが使用されないため、全体的なダスト捕集量が少なくなる。
ところで、ダストはそれぞれ粒径が異なっているため、フィルタライフを長くするには、ダストを粒径に応じて捕集することが有効である。そのため、本発明者らは、空隙率の異なる複数の不織布を、空隙率の勾配ができるようにして積層し、得られた積層体にオイルを含浸させることを検討した。しかし、特許文献2の濾材では、捲縮繊維が全ての層に混繊されているためか、長期間使用することにより下流側の層が潰れ、濾材が目詰まりしてしまう。濾材が目詰まりすると、ダスト捕集量が減少し、更にフィルタライフも短くなるため問題であった。
この様な状況下、本発明は、空隙率の勾配を有する不織布層の積層体にオイルを含浸させた不織布濾材において、ダスト捕集量を増やしながら、濾材のフィルタライフを長く維持できる濾材の提供を課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、濾材の下流側の層の目詰まり現象に着目した。すなわち、最上流不織布層の不織布には立体捲縮繊維を混繊せず、最上流不織布層以外の不織布層に立体捲縮繊維を用いることにより、下流側の層を潰れにくくできること、及び下流側の層を潰れにくくすることにより、濾材の目詰まり防止に繋がり、これにより、ダスト捕集量及びフィルタライフが向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る不織布濾材は、最上流不織布層と最下流不織布層を含む複数の不織布層の積層体にオイルを含浸させた不織布濾材であって、前記最上流不織布層には立体捲縮繊維が混繊されておらず、最上流不織布層以外の不織布層のうち少なくとも1つに立体捲縮繊維が混繊されており、最下流不織布層の空隙率が、最上流不織布層の空隙率よりも低くされていることを特徴とする。また、前記立体捲縮繊維は、異なる材料を組み合わせた複合繊維であることが望ましい。更に、不織布濾材の少なくとも最下流不織布層に立体捲縮繊維を混繊することが好ましい態様である。前記最下流不織布層の平均繊維径は、最上流不織布層の平均繊維径よりも細くされていることが望ましい。更に、前記積層体は、最上流不織布層と最下流不織布層との間に中間不織布層を有しており、最上流不織布層を構成する全ての繊維の平均繊維径が17μm〜33μmであり、最上流不織布層を構成する全ての繊維の平均繊維径と、中間不織布層を構成する全ての繊維の平均繊維径との差が、3〜16μmであることが好ましい態様である。また、前記最下流不織布層の目付は、最上流不織布層の目付よりも大きくされることが望ましい。加えて、前記積層体が最上流不織布層と最下流不織布層の2層から構成されており、最上流不織布層の目付が27g/m2以上173g/m2未満であり、最下流不織布層の目付が110g/m2以上280g/m2未満であり、最下流不織布層の目付が、最上流層の目付よりも大きくされることがより好ましい態様である。また、前記積層体が最上流不織布層、中間不織布層、及び最下流不織布層の3層から構成されており、最上流不織布層の目付が27g/m2以上63g/m2未満であり、中間不織布層の目付が63g/m2以上110g/m2未満であり、最下流不織布層の目付が110g/m2〜170g/m2であることが望ましい。また、立体捲縮繊維を含む前記不織布層では、立体捲縮繊維を、不織布形成繊維100重量%中、10〜80重量%含むことが好適である。更に、不織布濾材には、JIS K2283の動粘度試験方法に基づき測定される粘度が、20℃において15〜45mm2/sであるオイルを2〜10g/0.1m2含浸されていることが望ましい。また、不織布濾材は、JIS D1612(自動車用エアクリーナ試験方法)で測定されるダスト捕集量が120g/0.1m2以上であり、ダストの捕集効率99%以上であることが好ましい。更に、立体捲縮繊維が、サイドバイドサイド構造又は偏心構造を有することが好ましい。
また本発明には、前述した不織布濾材を収めるエアクリーナも包含される。
本発明によれば、空隙率の勾配を有する不織布層の積層体にオイルを含浸させて製造される不織布濾材において、最上流不織布層の不織布には立体捲縮繊維を混繊せず、最上流不織布層以外の不織布層のうち少なくとも1つに立体捲縮繊維を混繊することにより、下流側に位置する不織布層の潰れを防止することができるため、ダスト捕集量が増加し、捕集効率を向上しながら不織布濾材の長寿命化が達成できる。また更に、最下流不織布層に立体捲縮繊維を混繊すれば、オイル抜けの予防の点で優れた効果が発揮される。
図1は、本発明の不織布濾材の概略断面図である。
以下、本発明に係る不織布濾材に関して、実施例を示す図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
≪不織布濾材≫
図1に本発明の不織布濾材4の概略断面図を示す。図1中の矢印は、本発明の不織布濾材4によって濾過される空気が、不織布濾材4を通過する方向を示している。本発明の不織布濾材4は、複数の不織布を積層することにより構成されている。図1に示す不織布濾材4では、最も上流側に位置する不織布層(以下では、上流から順に、最上流不織布層1、中間不織布層2、最下流不織布層3と称する)を積層することにより、不織布濾材4は形成されている。そして、この不織布濾材4は、繊維間を密にするために、空気が流入する側から空気の流出する方向に向かって、空隙率に勾配を有する構成(即ち、空気が流出する側に存在する最下流不織布層3の空隙率が、最上流不織布層1の空隙率よりも低くなる構成)を有している。本発明では、最下流不織布層3を構成する繊維の平均繊維径を、最上流不織布層1を構成する繊維の平均繊維径よりも細くして、空隙率の勾配を形成している。このように、不織布濾材4を構成する各層の空隙率を、上流側から低くし、各層の平均繊維径を細くすることにより、上流側では比較的粒子径の大きなダストを捕集し、下流側では粒子径の小さなダストを捕集している。本構成によれば、ダストの粒子径に応じた捕集が可能となるため、不織布濾材4のフィルタライフを長くすることができる。
なお、不織布層を3層以上積層して不織布濾材を形成する場合、各層間の空隙率や平均繊維径の大小関係は、隣接する不織布間で必ずしも順に変化している必要はない。全体として下流側にいくにつれ、空隙率や平均繊維径が小さくなるという傾向が維持され、ダストの粒子径に応じた捕集が可能であり、不織布濾材のフィルタライフが短くならない限りにおいて、一部の不織布層間においてその大小関係が逆転してもよい。本発明においては、特に、最上流不織布層と最下流不織布層との関係に着目して、本発明の不織布濾材4は、最下流不織布層の空隙率や平均繊維径は、最上流不織布層の空隙率や平均繊維径よりも小さくなっていればよく、最上流不織布層から最下流不織布層に向けて順に空隙率や不織布の平均繊維径が低くなる勾配を有していることが望ましい。
また、本発明の不織布濾材4には、使用時にケーク層が形成されるよう、オイルが含浸されている。
そして、本発明の特徴は、この不織布層の積層体の最も上流側に位置する不織布層(即ち、最上流不織布層1)には立体捲縮繊維を混繊せず、最上流不織布層1以外の不織布層(即ち、中間不織布層2及び最下流不織布層3)のうち、少なくとも1つの層に、立体捲縮繊維を混繊する点にある。従来の不織布濾材においては、より細かいダストを捕集するために、下流側の不織布層において、上流側から下流側に向けて、順に不織布を構成する繊維の平均繊維径を細くすることが多く、そのため、下流側の不織布層は、上流側の不織布層に比べ潰れやすくなっていた。その上、ダストの捕集が進むにつれて、いずれの層にも捕集されたダストによる荷重が増していくが、特に下流側の不織布層になるほど、より大きな荷重がかかるようになる。とりわけ、オイルを含浸した不織布濾材では、オイルを含浸しない不織布に比してダストの捕集量も多くなるため、前記荷重も、より大きなものとなる。そのため、不織布濾材を長期間使用すると、上記荷重に耐えかねて、下流側に位置する不織布層(特に、最下流不織布層3)が潰れてしまう。不織布層が潰れると、不織布が目詰まりし易くなるため、ダスト捕集量が低下したりフィルタ寿命が短縮してしまうという不具合が生じていた。
しかし、本発明のように、最上流不織布層1以外の不織布層のうち、少なくとも1つの不織布層(例えば、最下流不織布層3)を構成する繊維として立体捲縮繊維を混繊すると、厚さ方向の圧縮弾性が強化され、最下流不織布層3が潰れにくくなるため、不織布の目詰まりが抑制され、濾材の長寿命化、すなわち、ダスト捕集量の向上が図られる。つまり、本発明の不織布濾材4によれば、オイルの含浸によってダスト捕集量を増やしながら、下流側の目詰まりを防止することによって濾材の長寿命化を達成できる。
なお、本発明において「捲縮繊維」とは、捲縮形態を有する繊維をいう。また、捲縮繊維の「捲縮形態」とは、ストレートではない、スパイラル、クリンプなどの縮れた形態である。捲縮繊維には、捲縮の形態が立体的である立体捲縮繊維(以下「三次元捲縮繊維」とも称する)と、立体捲縮繊維以外の捲縮繊維が含まれるが、このうち立体捲縮繊維とは、繊維の捲縮の形態が立体的(三次元的)である繊維をいう。立体捲縮繊維の捲縮形態は、代表的なものとして、例えば、コイル状、スパイラル状等の三次元的な捲縮形態が挙げられるものの、繊維が立体的な捲縮を有している限り、これに限定されるものではない。従って、歯車等で挟むといった機械的押し込み加工により捲縮加工した繊維(いわゆる機械捲縮繊維)は、繊維の捲縮の形態が平面状(二次元的に広がる面に沿って繊維が折れ曲がるような捲縮形態)となっているため、本発明ではこのような繊維を立体捲縮繊維には含まないものとする。
また、「立体捲縮繊維(三次元捲縮繊維)を混繊しない」とは、不織布を構成する原料の一つとして立体捲縮繊維を混繊しないことをいう。しかし、本発明は不織布の製造段階等において混入する立体捲縮繊維が少量含まれる態様は排除されるものではない。すなわち、立体捲縮繊維を混繊しない不織布が、不織布を形成する繊維100重量%中、例えば、立体捲縮繊維を0〜2重量%程度含む態様は、本発明に包含されるものとする。
更に、本発明において、「空隙率」とは、不織布の単位体積当たりに占める空間体積(即ち、不織布全体が占める体積から繊維が占める体積を除いた体積)を百分率で表した値として定義する。すなわち、空隙率(%)は、不織布の単位体積(V)と繊維が占める体積(Vf)を用いて、次式(i)で求められる。
空隙率(%)=(V−Vf)/V×100 …(i)
式(i)による空隙率(%)の算出にあたり、不織布の単位体積(V)と、繊維が占める体積(Vf)を、下記式(ii)、(iii)で求められる値として定義する。
V=d×1000 …(ii)
Vf=M/f …(iii)
(式中、dは不織布の厚さ(mm)、Mは不織布の目付(g/m2)、fは不織布を構成する繊維の比重(−))
なお、fで定義される不織布層を構成する繊維の比重は、JIS L1015 8.14.1の比重(浮沈法)に基づき測定される。
<最上流不織布層>
最上流不織布層1は、本発明の不織布濾材4を使用するときに、濾過される空気が流入してくる最も上流に位置する不織布層である。最上流不織布層1は、中間不織布層2や最下流不織布層3の不織布層に比べ、比較的繊維間の空隙が多く、最上流不織布層1は中間不織布層2よりも高い空隙率を有する。
最上流不織布層1の空隙率は、例えば、95〜99.5%であることが好ましく、より好ましくは96〜99%である。空隙率が95%を下回ると、最上流不織布層1で捕集できるダスト量が増加するため、不織布濾材4が目詰まりしやすくなり、フィルタ寿命が短くなる虞がある。また、最上流不織布層1の空隙率が99.5%を上回ると、ダストが最上流不織布層1を通過し、最上流不織布層1で捕集できるダスト量が減少するため好ましくない。
最上流不織布層1を構成する基材繊維(後述する低融点繊維よりも融点が高い又は融点を有さない繊維)としては、具体的には、立体捲縮ではない繊維を使用する(立体捲縮繊維と区別するために、以下では「非立体捲縮繊維」と称することもある。なお、非立体捲縮繊維には、機械捲縮繊維等の繊維の捲縮の形態が平面状である捲縮繊維も包含するものとする)。非立体捲縮繊維としては、例えば、綿、パルプ、カポック、麻、毛、絹等の天然繊維;レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維等の半合成繊維;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート等のポリエステル繊維;ポリアクリロニトリル繊維、ポリアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体繊維等のアクリル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維等のポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ポリクラール繊維等のポリ塩化ビニル系繊維;ポリウレタン繊維等の合成繊維;ポリエチレンオキサイド繊維、ポリプロピレンオキサイド繊維等のポリエーテル系繊維;等が使用できる。本発明においては、不織布濾材4の使用時に、最上流不織布層1表面にケーク層を形成できるよう、仕上げとして積層体にはオイルを含浸させる。そのため、最上流不織布層1の繊維としては、油分とのなじみのよい親油性繊維を使用することが好ましい。親油性繊維としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド繊維;綿、パルプ、カポック等の天然繊維;等が好ましく使用できる。特に、親油性に優れ、入手も容易であることから、ポリエステル繊維を使用することが望ましく、特にポリエチレンテレフタレート繊維の使用が好ましい。これらの繊維は、単独で使用しても、混繊して使用してもよい。
本発明の不織布濾材4では、最上流不織布層1には、立体捲縮繊維(三次元捲縮繊維)を混繊しない。最上流不織布層1以外の少なくとも1つの不織布層(例えば、中間不織布層2や最下流不織布層3等)は、最上流不織布層1よりも平均繊維径の細い繊維で構成されているため、最上流不織布層1よりも非常に潰れやすくなっている。そのため、最上流不織布層1に立体捲縮繊維を混繊すると、不織布濾材4の使用時に、通過する空気の圧力により、最上流不織布層1により中間不織布層2や最下流不織布層3が押しつぶされてしまう。そのため、最上流不織布層1に立体捲縮繊維を使用すると、不織布濾材4のダスト捕集量が低下する虞があるため好ましくない。
最上流不織布層1を構成する基材繊維としては、平均繊維径が20μm〜35μmの繊維が好ましく、より好ましくは21μm〜32μmであり、更に好ましくは22μm〜30μmである。最上流不織布層1の基材繊維が、平均繊維径で20μmを下回ると、最上流不織布層1の繊維間が密となり、粒子径の小さなダストまで捕集してしまい、最上流不織布層1が目詰まりしやすくなるため好ましくない。また、最上流不織布層1の基材繊維が、平均繊維径で35μmを上回ると、ダストが最上流不織布層1を通過し、最上流不織布層1で捕集できるダスト量が減少するため好ましくない。
最上流不織布層1の厚さとしては、0.8mm〜3.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0mm〜2.5mmであり、更に好ましくは1.3mm〜2.3mmである。最上流不織布層1が薄くなると、捕集できるダスト量が少なくなり、捕集効率が低下するため好ましくない。また、最上流不織布層1が厚くなると、空隙率が高くなり、濾過効率が低下するおそれがあるため好ましくない。
<最上流不織布層以外の不織布層>
本発明の不織布濾材4は、複数の不織布層を積層することにより形成され、前記最上流不織布層1以外の不織布層のうち、少なくとも1つの不織布層に立体捲縮繊維が混繊される。立体捲縮繊維は、三次元的な縮れ構造を有しているため、各種ある捲縮繊維の中でも、不織布層の潰れ防止効果に優れる。
立体捲縮繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリアリレート等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体等のアクリル樹脂;等を原料とする合成繊維;レーヨン、ポリノジック等の再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維等の半合成繊維;等から形成される各種化学繊維を好適に使用することができる。特に、これらの繊維の原料である熱可塑性樹脂材料を用いて、熱収縮率の異なる樹脂を組み合わせた複合繊維である立体捲縮繊維の使用も好ましい。中でも、親油性であることから、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂を原料とする合成繊維を使用することが望ましい。なお、これらの繊維は、単独で使用しても、混繊して使用してもよい。
立体捲縮繊維としては、熱収縮率の異なる樹脂を同時に押し出した偏心構造や、サイドバイドサイド構造を有する複合繊維(コンジュゲート繊維)の立体捲縮繊維;熱収縮率の異なる繊維を組み合わせたバイコン繊維の立体捲縮繊維;繊維の表側と裏側とで熱処理等の処理の程度を異ならせて立体捲縮を発現させた立体捲縮繊維;等の各種立体捲縮繊維が例示できる。本発明には、異なる材料を組み合わせた複合繊維である立体捲縮繊維がより好ましく使用できる。このような繊維であれば、捲縮構造がしっかりと維持されるため、不織布層の潰れをより防止することができる。
立体捲縮繊維として、熱収縮率の異なる材料(特に熱可塑性樹脂)を組み合わせた複合繊維である立体捲縮繊維を採用すれば、熱収縮性の違いを利用することで繊維に捲縮を発現させることができる。このような複合繊維は、加熱により、繊維に三次元の立体捲縮を発現できる。そのため、複合繊維を用いる不織布は、高い弾性を有し、且つ嵩高に仕上げることができる。また、熱収縮率の異なる材料を組み合わせた複合繊維である立体捲縮繊維は、不織布製造工程などにおいて加熱処理されても、捲縮が損なわれにくい。そのため、本発明においては、特に、熱収縮率の異なる材料を組み合わせた複合繊維である立体捲縮繊維を採用することが好ましい。
立体捲縮繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、円形断面;三角型、星型、多角形型、Y型、L型等の異型断面;等のいずれであってもよい。
立体捲縮繊維としては、顕在立体捲縮繊維、潜在立体捲縮繊維のどちらも使用することができる。
立体捲縮繊維を混繊する層とは、立体捲縮繊維を一部又は全部に含む層を言い、具体的には、(i)基材繊維が立体捲縮繊維100重量%である不織布層、(ii)基材繊維として、立体捲縮繊維と非立体捲縮繊維を混繊する不織布層を意味する。なお、立体捲縮繊維が含まれている限り、立体捲縮繊維を使用する層は、これらに限定されるものではない。
(ii)に関し、不織布層の基材繊維として使用される非立体捲縮繊維は、例えば、最上流不織布層1の欄で詳述した非立体捲縮繊維を使用することができる。特に、最上流不織布層1以外の不織布層においても、油分とのなじみのよい親油性繊維を使用することが好ましい。親油性繊維としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維;綿、パルプ、カポック等の天然繊維;等が好ましく使用できる。特に、親油性能に優れ、入手も容易であることから、ポリエステル繊維を使用することが望ましく、特にポリエチレンテレフタレート繊維の使用が好ましい。これらの繊維は、単独で使用しても、混繊して使用してもよい。
立体捲縮繊維を混繊する不織布層について説明すると、立体捲縮繊維を混繊する不織布層の組合せは、具体的には、積層体を2層の不織布層で形成する場合、(最上流不織布層、最下流不織布層)は、(×、○)であることが好ましい(即ち、最上流不織布層には立体捲縮繊維を使用せず、最下流不織布層には立体捲縮繊維を使用することが好ましい)。なお、記号「×」は立体捲縮繊維を使用しないことを意味し、「○」は立体捲縮繊維を使用することを意味する。
また、積層体を3層の不織布層で形成する場合、(最上流不織布層、中間不織布層、最下流不織布層)の組合せは、(×、○、○)の様に、積層体を構成する最上流不織布層1よりも下流に存在する2つの不織布層の両方に立体捲縮繊維を混繊する組合せ;(×、×、○)、(×、○、×)の様に、積層体を構成する最上流不織布層1よりも下流に存在するいずれか1つの不織布層に立体捲縮繊維を混繊する組合せ;等が好ましい。
更に本発明では、不織布層を4層以上積層することも可能であり、例えば、積層体を4層の不織布層で形成する場合、(最上流不織布層、第1中間不織布層、第2中間不織布層、最下流不織布層)の組合せは、(×、○、○、○)の様に、積層体を構成する最上流不織布層1よりも下流に存在する3つの不織布層の全てに立体捲縮繊維を混繊する組合せ;(×、×、○、○)、(×、○、×、○)、(×、○、○、×)の様に、積層体を構成する最上流不織布層よりも下流に存在する2つの不織布層に立体捲縮繊維を混繊する組合せ;(×、○、×、×)、(×、×、○、×)、(×、×、×、○)の様に、積層体を構成する最上流不織布層1よりも下流に存在するいずれか1つの不織布層に立体捲縮繊維を混繊する組合せ;が好ましい。
本発明では、少なくとも最下流不織布層3に立体捲縮繊維を混繊することが望ましい。最下流不織布層3は不織布濾材4の裏面に露出しているため、最下流不織布層3が潰れるとオイル抜けが顕著なものとなり易い。そのため、最下流不織布層3に立体捲縮繊維を混繊すれば、最下流不織布層3の潰れを防止でき、効果的にオイルの抜けを抑制できるため好ましい。この様な組合せとしては、積層体を2層の不織布層で形成するときは、(最上流不織布層、最下流不織布層)が(×、○);積層体を3層の不織布層で形成するときは、(最上流不織布層、中間不織布層、最下流不織布層)が(×、○、○)、(×、×、○);積層体を4層の不織布層で形成するときは、(最上流不織布層、第1中間不織布層、第2中間不織布層、最下流不織布層)が(×、○、○、○)、(×、×、○、○)、(×、○、×、○)、(×、×、×、○)等が例示できる。
本発明では特に、積層体を構成する最上流不織布層1以外の不織布層全てに立体捲縮繊維が混繊されていることが好ましい。すなわち、この様な好ましい組合せとしては、積層体を2層の不織布層で形成するときは、(最上流不織布層、最下流不織布層)が(×、○);積層体を3層の不織布層で形成するときは、(最上流不織布層、中間不織布層、最下流不織布層)が(×、○、○);積層体を4層の不織布層で形成するときは、(最上流不織布層、第1中間不織布層、第2中間不織布層、最下流不織布層)が(×、○、○、○)である。このような構成を採用することにより、最下流不織布層の潰れを抑制し、ダスト捕集量を向上できる。
立体捲縮繊維を混繊する不織布層において、基材繊維(即ち、立体捲縮繊維と非立体捲縮繊維の合計)100重量%中、立体捲縮繊維は50〜100重量%混繊されることが好ましく、より好ましくは70〜100重量%であり、更に好ましくは90〜100重量%である。立体捲縮繊維の使用量が前記範囲内であれば、立体捲縮繊維を混繊することによる不織布層の潰れ防止効果が充分に発揮されるため望ましい。
また、立体捲縮繊維を含む不織布層において、当該不織布を形成する全ての繊維100重量%中、立体捲縮繊維は、10〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70重量%であり、更に好ましくは40〜60重量%である。立体捲縮繊維の使用量が10重量%を下回ると、中間不織布層2や最下流不織布層3が潰れやすくなり、長期の使用により目詰まりする虞がある。また、立体捲縮繊維の使用量が80重量%を上回ると、所望の厚さや空隙率を確保することが困難となるため好ましくない。
本発明において、最上流不織布層1以外の不織布層のうち、立体捲縮繊維を混繊しない不織布層は特に限定されるものではなく、例えば、前述した非立体捲縮繊維から形成される不織布層が好ましく使用できる。
<中間不織布層>
最上流不織布層1の下流に位置する中間不織布層2について説明する。中間不織布層2は、前記最上流不織布層1と最下流不織布層3の間に存在する不織布層である。中間不織布層2は、最上流不織布層1の不織布層に比べ繊維間の空隙は少なく、中間不織布層2は最上流不織布層1よりも低い空隙率を有していることが望ましい。中間不織布層2の空隙率は、例えば、90%以上95%未満であることが好ましく、より好ましくは92〜94%である。空隙率が90%を下回ると、中間不織布層2に捕集されるダスト量が増加するため、不織布濾材4が目詰まりしやすくなり、フィルタ寿命が短くなる虞がある。また、中間不織布層2の空隙率が95%以上となると、ダストが中間不織布層2を通過してしまい、中間不織布層2で捕集できるダスト量が減少するため好ましくない。
中間不織布層2を構成する基材繊維は、平均繊維径が15μm以上20μm未満であることが好ましく、より好ましくは15.5μm〜19.5μmであり、更に好ましくは16μm〜19μmである。中間不織布層2の基材繊維が、平均繊維径で15μmを下回ると、中間不織布層2が密になり、中間不織布層2が目詰まりしやすくなるため好ましくない。また、中間不織布層2の基材繊維が平均繊維径で20μm以上となると、ダストが中間不織布層2を通過し、中間不織布層2で捕集できるダスト量が減少するため好ましくない。
中間不織布層2の厚さとしては、0.5mm〜1.6mmであることが好ましく、より好ましくは0.6mm〜1.5mmであり、更に好ましくは0.8mm〜1.4mmである。中間不織布層2が薄くなると、捕集できるダスト量が少なくなり、捕集効率が低下するため好ましくない。また、中間不織布層2が厚くなると、空隙率が高くなり、濾過効率が低下するおそれがあるため好ましくない。
<最下流不織布層>
次いで、最下流不織布層3について説明する。最下流不織布層3は、積層体の最も下流に配置される不織布層である。最下流不織布層3は中間不織布層2の不織布層に比べ、更に繊維間の空隙が少なく、最下流不織布層3は中間不織布層2よりも低い空隙率を有する。最下流不織布層3の空隙率としては、80%以上90%未満であることが好ましく、より好ましくは82%〜88%であり、更に好ましくは83%〜87%である。最下流不織布層3の空隙率が80%を下回ると、最下流不織布層3が目詰まりしやすくなり、フィルタ寿命が短くなる虞がある。また、最下流不織布層3の空隙率が90%以上となると、ダストが最下流不織布層3を通過してしまい、エアフローメーターなどを汚す危険性が増すため好ましくなく、また、最下流不織布層3で捕集できるダスト量が低下するため好ましくない。
最下流不織布層3を構成する基材繊維は、平均繊維径が8μm以上15μm未満であることが好ましく、より好ましくは10μm〜14.5μmであり、更に好ましくは11μm〜14μmである。最下流不織布層3の基材繊維が、平均繊維径で8μmを下回ると、最下流不織布層3が密になり、最下流不織布層3が目詰まりしやすくなるため好ましくない。また、最下流不織布層3の基材繊維が平均繊維径で15μm以上となると、粒子径の小さなダストが最下流不織布層3を通過し、エアフローメーターなどを汚す危険性が増すため好ましくなく、また、最下流不織布層3で捕集できるダスト量が減少するため好ましくない。
最下流不織布層3の厚さとしては、0.4mm〜1.2mmであることが好ましく、より好ましくは0.5mm〜1.0mmであり、更に好ましくは0.6mm〜0.9mmである。最下流不織布層3が薄くなると、捕集できるダスト量が少なくなり、捕集効率が低下するため好ましくない。また、最下流不織布層3が厚くなると、空隙率が高くなり、濾過効率が低下するおそれがあるため好ましくない。
<積層体>
次に、不織布濾材4の基材となる不織布層の積層体について説明する。積層体は、前述したように、それぞれの不織布層の繊維の太さや目付、厚さを調整することにより、最下流不織布層3の空隙率が、最上流不織布層1の空隙率よりも小さくなるように構成されていることが望ましく、最上流不織布層1から最下流不織布層3に向けて、空隙率が、隣接する不織布層間で順に小さくなっていることがより好ましい態様である。
本発明では、ダストの粒径に応じた捕集は、例えば、最下流不織布層3の平均繊維径を、最上流不織布層1の平均繊維径よりも細くすることにより、より好ましくは、最上流不織布層1から最下流不織布層3に向けて、不織布を構成する繊維の平均繊維径を、隣接する不織布層間で順に小さくすることにより実現することができる。
具体的には、最上流不織布層1を構成する全ての繊維の平均繊維径は、17μm〜33μmが好ましく、より好ましくは18.5μm〜30μmであり、更に好ましくは20μm〜25μmである。
また、中間不織布層2を構成する全ての繊維の平均繊維径は、14μm以上17μm未満が好ましく、より好ましくは14.5μm〜16.5μmであり、更に好ましくは15μm〜16μmである。中間不織布層2を構成する全ての繊維の平均繊維径が、最上流不織布層1を構成する全ての繊維の平均繊維径に比べ、3〜16μm小さいことが好ましく、4〜12μm小さいことがより好ましく、5〜10μm小さいことが更に好ましい。
最下流不織布層3を構成する全ての繊維の平均繊維径は、10μm以上14μm未満が好ましく、より好ましくは11μm〜13.8μmであり、更に好ましくは12μm〜13.5μmである。最下流不織布層3を構成する全ての繊維の平均繊維径は、中間不織布層2を構成する全ての繊維の平均繊維径に比べ、0.5〜7μm小さいことが好ましく、1〜5μm小さいことがより好ましい。
また積層体を構成する不織布層間の目付は同じであっても、異なっていてもよい。本発明では、不織布層の目付は、最下流不織布層3の目付が、最上流不織布層1の目付よりも大きく構成されていることが望ましく、最上流不織布層1から最下流不織布層3に向けて、隣接する不織布層間で順に大きくなることがより好ましい。目付を下流層に向けて大きくすることにより、不織布層に空隙率の勾配を設けることができる。
具体的に、最上流不織布層1の目付は、例えば、27g/m2以上173g/m2未満が好ましく、より好ましくは35g/m2〜160g/m2である。また、中間不織布層2の目付は、例えば、63g/m2以上110g/m2未満が好ましく、より好ましくは65g/m2〜100g/m2である。最下流不織布層3の目付は、110g/m2〜280g/m2未満が好ましく、より好ましくは125g/m2〜260g/m2である。
例えば、積層体を2層の不織布層から構成する場合には、最上流不織布層1の目付は、27g/m2以上173g/m2未満であることが好ましく、より好ましくは35〜160g/m2である。また、最下流不織布層3の目付は110g/m2以上280g/m2未満が好適であり、より好ましくは125〜260g/m2である。また、最下流不織布層3の目付は、最上流不織布層1の目付よりも大きくされることが望ましい。
また、積層体を3層の不織布層から構成する場合には、最上流不織布層1の目付は、例えば、27g/m2以上63g/m2未満が好ましく、より好ましくは35g/m2〜60g/m2である。また、中間不織布層2の目付は、例えば、63g/m2以上110g/m2未満が好ましく、より好ましくは65g/m2〜100g/m2である。最下流不織布層3の目付は、110g/m2〜170g/m2が好ましく、より好ましくは125g/m2〜160g/m2である。
また、複数の不織布を積層した後の積層体の目付は、200g/m2〜400g/m2が好ましく、より好ましくは230g/m2〜350g/m2であり、更に好ましくは240g/m2〜300g/m2である。積層体の目付が200g/m2を下回ると、使用される繊維量が充分でないため、ダストの捕集量が減少するため好ましくない。また、積層体の目付が400g/m2を超えると、不織布濾材4が長期の使用により、積層体の重みで潰れやすくなるため好ましくない。
積層体の厚さは、例えば、1.5mm〜6mmであることが好ましく、より好ましくは2mm〜5mmであり、更に好ましくは2.5mm〜4.5mmである。積層体の厚さが1.5mmを下回ると、ダストを捕集するための繊維間空隙を充分に確保することができず、ダストの捕集量が減少するため好ましくない。また、積層体の厚さが6mmを超えると、空隙率が高くなり、濾過効率が低下するおそれがあるため好ましくない。
<不織布濾材>
本発明の不織布濾材4は、前述した方法により積層体を形成した後、得られた積層体にオイルを含浸させることにより形成される。
本発明の不織布濾材4において、各層におけるオイルの含浸形態は、例えば、オイルが繊維の中に吸収されるような形態であってもよいし、繊維の表面や複数の繊維間にオイルが存在するような形態であってもよい。なおオイルは、最上流不織布層1、中間不織布層2、最下流不織布層3の全てに含浸されていることが望ましい。
不織布濾材4によれば、ダスト捕集量が120g/0.1m2以上という高いレベルでのダスト捕集能を発揮することができる。本発明の不織布濾材4を自動車用エンジンのエアエレメント(エアフィルタ)用として使用する場合には、ダストの捕集量が120g/0.1m2以上であると、車両の使用状況に左右されずに、エアエレメント(エアフィルタ)の交換期間が車両点検期間よりも短縮されることを防止できる。
また、本発明の不織布濾材4は、JIS D1612(自動車用エアクリーナ試験方法)で測定されるダストの捕集効率99%以上を達成することができる。ダストの捕集効率が99%以上であれば、エアエレメント(エアフィルタ)を通過したダストが、空気の流量センサ(エアフローメーター)を汚し難くなり、内燃機関の制御に不調を来すことが少なくなる。
更には、本発明の不織布濾材4は、最上流不織布層1よりも下流に位置する不織布層の少なくとも1層に立体捲縮繊維を混繊するため、含浸させたオイルの抜けを低減することができる。オイル抜けを防止することにより、抜け出たオイルが空気の流量センサ(エアフローメーター)を汚すことが少なくなり、内燃機関の制御に不調を来し難くなるため重要である。特に、最下流不織布層3に立体捲縮繊維を混繊すると、オイル抜け抑制効果が十分に発揮されるため好ましい。
≪不織布濾材の製造方法≫
まず、不織布濾材4の基材となる積層体の製造方法について説明する。積層体は、各層のウェブを形成した後、ウェブを積層し、積層されたウェブを結合することにより製造することができる。ウェブの嵩高さを維持しながら、不織布内の繊維及び各ウェブ間の結合を強固なものとするために、積層されたウェブを、各種ウェブの結合方法により結合するとよい。ウェブの結合方法としては、例えば、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)等の機械的絡合法;不織布層に予め低融点繊維を混繊しておき、この低融点繊維の一部又は全部を熱溶融させて、繊維交点を固着する方法(サーマルボンド法);積層体に接着剤を含浸させて乾燥することにより、ウェブの繊維交点を固着する方法(ケミカルボンド法);等の各種結合方法が使用できる。本発明では、オイルの抜けを防止するために、積層されたウェブの最下流不織布層3側から、ニードルパンチ法、スパンレース法等の機械的絡合法によりウェブを結合することが望ましい。このように最下流不織布層3側から針を打ち込んだり、水圧をかけると、ウェブ中の繊維が上流側に突き出すようにして交絡されるため、オイルが下流側に抜けることを抑制できる。また、ニードルパンチ法や、スパンレース法等の機械的絡合法であれば、各ウェブ層間の繊維を交絡できるため、ウェブ間の勾配(例えば、空隙率の勾配、平均繊維径の勾配、目付の勾配等)がなだらかになるため好ましい。
また、各層のウェブの結合は、例えば、(i)各層のウェブを形成し、得られたウェブを積層した後に実施してもよく、(ii)各層のウェブを形成し、予めそれぞれのウェブを前述した方法により結合した後、得られた不織布を積層し、積層された不織布を結合する際に、再度ウェブの結合を実施してもよい。本発明では、積層体の嵩高さを維持し、ダストの捕集効率を維持するため、(i)法のように、各層のウェブの結合は、積層したウェブを結合するときに実施するとよい。
ニードルパンチ加工において針の打込み本数は、積層体の目付(厚さ)に応じて適宜設定されるが、例えば20〜150本/cm2が好ましく、より好ましくは30〜125本/cm2、さらに好ましくは40〜90本/cm2である。打込み本数が150本/cm2以下であれば、ウェブの嵩高さを潰さずにウェブを結合できるため好ましい。しかし、20本/cm2未満では層間剥離しやすくなるため好ましくない。
また、積層体を剛性の強いものに仕上げるためには、サーマルボンド法や、ケミカルボンド法を採用するとよい。
サーマルボンド法の場合、前述した基材繊維の他に、低融点繊維を混繊すると良い。混繊される低融点繊維は、特に限定されないが、変性ポリエステル繊維;変性ポリアミド繊維;変性ポリプロピレン繊維;ポリエチレン−ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリエステルの芯鞘構造あるいはサイドバイサイド構造を有する複合繊維;等が使用できる。中でも、融点の選択範囲が広く、親油性繊維であることから、変性ポリエステル繊維が好適である。
低融点繊維の融点は、各層を形成する繊維の種類に応じて適宜調整するとよいが、例えば、80℃〜220℃が好ましく、より好ましくは100〜180℃である。
低融点繊維の使用量は、特に限定されるものではないが、不織布を形成する繊維100重量%中、例えば、20〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70重量%であり、更に好ましくは40〜60重量%である。低融点繊維の使用量が20重量%を下回ると、繊維を強固に結合できず、熔融・固化後の低融点繊維の量が少ないため、不織布層の剛性が向上せず好ましくない。また、低融点繊維の使用量が90重量%を上回ると、熔融した低融点繊維が、繊維間の隙間に進入して固化し、不織布繊維の間の隙間が実質的に小さくなってしまう虞があるため好ましくない。
低融点繊維は、積層体の潰れを防止する観点から、積層体の少なくとも1つの層に混繊されることが好ましく、より好ましくは積層体を構成する全ての不織布層に混繊されることが好ましい。
低融点繊維の平均繊維径は、各層の繊維の平均繊維径に応じて、適宜調整するとよい。具体的には、最上流不織布層1に混繊される低融点繊維は、平均繊維径が15〜30μmであることが好ましく、より好ましくは16〜28μmであり、更に好ましくは17〜25μmである。特に、最上流不織布層1に混繊される低融点繊維は、最上流不織布層1を構成する基材繊維の平均繊維径よりも、2〜7μm細いことが好ましい。このように、低融点繊維の径を小さくすることにより、熔融した低融点繊維が、最上流不織布層1の隙間を埋めてしまうことを防止できる。
また、中間不織布層2に混繊される低融点繊維は、平均繊維径が10μm〜17μmであることが好ましく、より好ましくは11μm〜16μmであり、更に好ましくは12μm以上15μm未満である。特に、中間不織布層2の低融点繊維は、前記最上流不織布層1に混繊される低融点繊維よりも細いことが望ましい。このように、低融点繊維の繊維径を最上流不織布層1よりも細くすることにより、中間不織布層2を最上流不織布層1よりも密に仕上げることができる。
更に、最下流不織布層3に混繊される低融点繊維は、平均繊維径が10μm〜17μmであることが好ましく、より好ましくは11μm〜16μmであり、更に好ましくは12μm以上15μm未満である。
低融点繊維の平均繊維長は、特に限定されるものではなく、例えば、30mm〜70mmの繊維を使用することが好ましく、より好適には35mm〜65mmであり、更に好適には40mm〜60mmである。低融点繊維の平均繊維長が前記範囲内であれば、低融点繊維と各層を構成する繊維とを充分に交絡することができる。これにより、繊維交点の数が増えるため、熔融・固化後の低融点繊維により繊維同士が充分に固着できるため好ましい。
サーマルボンド法の場合、不織布の加熱時間は、例えば、0.1〜3分であることが好ましく、より好適には0.5〜2分である。加熱時間が前記範囲内であれば、混繊される繊維の風合いを損なうことなく熱接着ができるため好ましい。同様の理由から、加熱温度は、例えば、160〜220℃が好ましく、より好適には170〜210℃である。
なお本発明では、機械的絡合法により各ウェブを結合した後、更にサーマルボンド加工及び/又はケミカルボンド加工を行うことにより、積層体をより剛性の強いものに仕上げるとよい。ケミカルボンド法では、接着剤中に配合される樹脂により、繊維の親油性が阻害される虞があるため、親油性を阻害することのない接着剤を使用するとよい。本発明では、機械的絡合法によりウェブを結合した後、サーマルボンド加工を行うことにより積層体の剛性を高めるとよい。
得られた積層体へのオイル含浸方法としては、例えば、スプレー塗布、浸漬付与、シャワー塗布等の方法が挙げられる。オイルを含浸させた後、積層体に付着する余分なオイルは、遠心分離操作等により除去するとよい。またオイル抜けを防止するために、オイルは最上流不織布層1側より含浸させるとよい。
含浸させるオイルは、特に限定されず、エアエレメント(エアフィルタ)用のオイルを適宜使用することができる。エアフィルタ用のオイル成分としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等の鉱油系オイル;α−オレフィンオリゴマー、ポリブデン、アルキルベンゼン、シクロアルカン類の炭化水素系オイル;ジエステル、ポリオールエステル、リン酸エステル等のエステル系オイル;ポリグリコール、フェニルエーテル等のエーテル系オイル;ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン)、シリケートエステル等のシリコーン系オイル;等が例示できる。
オイルの粘度は、JIS K2283の動粘度試験方法に基づき測定される粘度が、20℃において15〜45mm2/sであることが好ましく、より好ましくは20〜40mm2/sであり、更に好ましくは25〜35mm2/sである。オイルの粘度が15mm2/sを下回ると、不織布濾材4からオイルが抜けやすくなるため好ましくない。一方、45mm2/sを超えると、オイルが不織布の空隙を埋めてしまい、ダストの捕集量が低下するため好ましくない。
不織布濾材4に使用されるオイルの量は、基材となる積層体の厚さ等に依存するものの、例えば、2〜10g/0.1m2であることが好ましく、より好ましくは3〜8g/0.1m2であり、更に好ましくは4〜7.5g/0.1m2である。オイルの量が前記範囲内であれば、ダストの捕集効率が高く、オイル抜けの少ない不織布濾材4が得られるため好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記実施例及び比較例より得られた不織布濾材の特性評価方法は以下の通りである。
(1)厚さ;JIS L1913の6.1A法に準ず
(2)目付;JIS L1913の6.2法に準ず
(3)空隙率;
本発明において、「空隙率」とは、不織布の単位体積当たりに占める空間体積(即ち、不織布全体が占める体積から繊維が占める体積を除いた体積)を百分率で表した値として定義する。すなわち、空隙率(%)は、不織布の単位体積(V)と繊維が占める体積(Vf)を用いて、次式(i)で求められる。
空隙率(%)=(V−Vf)/V×100 …(i)
式(i)による空隙率(%)の算出にあたり、不織布の単位体積(V)と、繊維が占める体積(Vf)を、下記式(ii)、(iii)で求められる値として定義し、各測定値を用いてV、Vfをそれぞれ求めた。
V=d×1000 …(ii)
Vf=M/f …(iii)
(式中、dは不織布の厚さ(mm)、Mは不織布の目付(g/m2)、fは不織布を構成する繊維の比重(−))
なお、fで定義される不織布を構成する繊維の比重としては、1.38(ポリエステルの比重)を使用した。
(4)ダスト捕集量;JIS D1612(自動車用エアクリーナ試験方法)に準じて濾過性能試験を行い、フルライフ時におけるダスト捕集量を測定した。濾過性能試験の試験条件は以下の通りである。
有効濾過面積:0.1m2
試験用ダスト:JIS Z8901 8種
ダスト濃度:1g/m3
試験空気流量:1.8m3/分
試験終了条件:通気抵抗2.94kPa増加時をフルライフとする。
(5)ダスト捕集効率;(4)ダスト捕集量の測定と同様の試験を行い、フルライフ時におけるダスト総供給量(M0)を測定した。(4)の欄で測定されたダスト捕集量(M1)との比を下記式(iv)に基づき求め、ダスト捕集効率とした。
ダスト捕集効率(%)=M1/M0×100 …(iv)
(6)オイル抜け;
濾過性能試験終了後、濾過性能試験機の下流側内面のオイル汚れを目視で確認し、下記に示す3段階の評価を行った。
○:濾過性能試験機下流側内面に、ほとんどオイル汚れが観察されない
△:濾過性能試験機下流側内面に、斑点状にオイル汚れが見られる
×:濾過性能試験機下流側内面に、オイル汚れが広がっている
実施例1
繊維径25μm、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維50重量%と、繊維径20μm、繊維長51mmの融点130℃の低融点ポリエステル繊維50重量%からなる、目付55g/m2の最上流不織布層用繊維ウェブを形成した。
次いで、繊維径17μm、繊維長51mmのサイドバイサイド形態の立体捲縮ポリエステル繊維(立体捲縮ポリエステル繊維A)50重量%と、繊維径14μm、繊維長51mmの融点130℃の低融点ポリエステル繊維50重量%からなる目付70g/m2の中間不織布層用繊維ウェブを形成した。
更に、繊維径12μm、繊維長38mmの立体捲縮ポリエステル繊維A50重量%と、繊維径14μm、繊維長51mmの融点130℃の低融点ポリエステル繊維50重量%からなる目付140g/m2の最下流不織布層用繊維ウェブを形成した。
最上流不織布層用繊維ウェブ、中間不織布層用繊維ウェブ、及び最下流不織布層用繊維ウェブを積層後、最下流不織布層側から打ち込み本数60本/cm2、針深さ12.0mmでニードルパンチ加工を施し、連続して熱処理炉(処理温度200℃)に通して積層体を得た。得られた積層体の目付は265g/m2で、厚さは3.2mmであった。また、各層の厚さは、最上流不織布層が1.6mm、中間不織布層が1.0mm、最下流不織布層が0.6mmであった。更に、各層の空隙率は、最上流不織布層が97.5%、中間不織布層が94.7%、最下流不織布層が84.1%であった。
次いで、得られた積層体について、表1に示す所定量のオイル(パラフィン系オイル;JIS K2283の動粘度試験方法に基づき測定される粘度が、20℃において32mm2/s)を、最上流不織布層側からスプレーを吹きつけて含浸させることにより、不織布濾材を製造した。評価結果を表1に示す。
なお、表中のオイル量は、オイル吹きつけ前の積層体の重量(M0)と、オイル吹きつけ後の不織布濾材の重量(M1)をそれぞれ測定し、重量の差(M1−M0)を不織布濾材の表面積で除することにより求めた。
実施例2
中間不織布層における繊維径17μm、繊維長51mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aを、繊維径17μm、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、不織布濾材を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例3
最下流不織布層における繊維径12μm、繊維長38mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aを、繊維径12μm、繊維長38mmのレギュラーポリエステル繊維に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、不織布濾材を形成した。評価結果を表1に示す。
比較例1
中間不織布層における繊維径17μm、繊維長51mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aを、繊維径17μm、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維とし、最下流不織布層における繊維径12μm、繊維長38mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aを、繊維径12μm、繊維長38mmのレギュラーポリエステル繊維に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、不織布濾材を形成した。すなわち、比較例1では、いずれの層にも、立体捲縮ポリエステル繊維Aを混繊せずに不織布濾材を形成した。評価結果を表1に示す。
比較例2
最上流不織布層における繊維径25μm、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維を、繊維径25μm、繊維長51mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、不織布濾材を形成した。すなわち、比較例2では、いずれの層にも、立体捲縮ポリエステル繊維Aを混繊して不織布濾材を形成した。評価結果を表1に示す。
比較例3
最上流不織布層における繊維径25μm、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維を、繊維径25μm、繊維長51mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aとし、中間不織布層における繊維径17μm、繊維長51mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aを、繊維径17μm、繊維長51mmのレギュラーポリエステル繊維とし、最下流不織布層における繊維径12μm、繊維長38mmの立体捲縮ポリエステル繊維Aを、繊維径12μm、繊維長38mmのレギュラーポリエステル繊維に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、不織布濾材を形成した。すなわち、比較例3では、最上流不織布層のみに立体捲縮ポリエステル繊維Aを混繊して不織布濾材を形成した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006055313
表1に示すように、実施例1〜3で得られた積層体は、ダスト捕集量の多さ(長寿命化)とダストの捕集効率の両方を、高いレベルで達成している。また、実施例1と実施例3を比較すると、最下流不織布層に立体捲縮繊維を混繊すれば、オイル抜けを低減できることがわかる。
一方、比較例1は、積層体を構成するいずれの層にも立体捲縮ポリエステル繊維Aが混繊されていないため、いずれの層も、捕集されたダストの荷重により潰れてしまい、ダスト捕集量が少なくなった。
また、比較例2では、積層体を構成する全ての層に、立体捲縮ポリエステル繊維Aを混繊しているため、最上流不織布層が潰れにくくなることで、最上流不織布層よりも繊維径の細い繊維で構成される中間不織布層と最下流不織布層が潰れやすくなり、ダスト捕集量が増えない。
比較例3では、積層体を構成する最上流側の層(最上流不織布層)のみに立体捲縮ポリエステル繊維Aを混繊しているため、中間不織布層と最下流不織布層が非常に潰れやすくなり、ダスト捕集量は最も少なくなっている。前記ダスト捕集量と最下流不織布層との潰れによる目詰まりについては、表1に示した濾過性能試験後の最下流不織布層空隙率からも伺うことができる。
本発明の不織布濾材は、例えば、自動車等に使用される内燃機関に空気を供給するエアクリーナ内に収められる不織布濾材(エアエレメント、エアフィルタ)等に使用することができる。
1 最上流不織布層
2 中間不織布層
3 最下流不織布層
4 不織布濾材

Claims (13)

  1. 最上流不織布層と最下流不織布層を含む複数の不織布層の積層体にオイルを含浸させた、ストレート繊維、機械捲縮繊維または立体捲縮繊維を構成繊維とする不織布濾材であって、
    ただし、前記最上流不織布層には立体捲縮繊維が混繊されておらず、
    最上流不織布層以外の不織布層のうち少なくとも1つ立体捲縮繊維をその一部又は全部に含む層であり
    前記最下流不織布層の空隙率が、最上流不織布層の空隙率よりも低くされていることを特徴とする不織布濾材。
  2. 前記立体捲縮繊維が、異なる材料を組み合わせた複合繊維である請求項1に記載の不織布濾材。
  3. 少なくとも最下流不織布層立体捲縮繊維をその一部又は全部に含む層である請求項1又は2に記載の不織布濾材。
  4. 前記最下流不織布層の平均繊維径が、最上流不織布層の平均繊維径よりも細くされた請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  5. 前記積層体は、最上流不織布層と最下流不織布層との間に中間不織布層を有しており、最上流不織布層を構成する全ての繊維の平均繊維径が17μm〜33μmであり、最上流不織布層を構成する全ての繊維の平均繊維径と、中間不織布層を構成する全ての繊維の平均繊維径との差が、3〜16μmである請求項4に記載の不織布濾材。
  6. 前記最下流不織布層の目付が、最上流不織布層の目付よりも大きくされる請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  7. 前記積層体が最上流不織布層と最下流不織布層の2層から構成されており、
    最上流不織布層の目付が27g/m2以上173g/m2未満であり、
    最下流不織布層の目付が110g/m2以上280g/m2未満であり、
    最下流不織布層の目付が、最上流不織布層の目付よりも大きくされる請求項1〜4、6のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  8. 前記積層体が最上流不織布層、中間不織布層、及び最下流不織布層の3層から構成されており、
    最上流不織布層の目付が27g/m2以上63g/m2未満であり、
    中間不織布層の目付が63g/m2以上110g/m2未満であり、
    最下流不織布層の目付が110g/m2〜170g/m2である請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  9. 立体捲縮繊維を含む前記不織布層では、立体捲縮繊維を、不織布形成繊維100重量%中、10〜80重量%含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  10. JIS K2283の動粘度試験方法に基づき測定される粘度が、20℃において15〜45mm2/sであるオイルを2〜10g/0.1m2含浸した請求項1〜9のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  11. JIS D1612(自動車用エアクリーナ試験方法)で測定されるダスト捕集量が120g/0.1m2以上であり、ダストの捕集効率99%以上である請求項1〜10のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  12. 立体捲縮繊維が、サイドバイドサイド構造又は偏心構造を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の不織布濾材。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の不織布濾材を収めるエアクリーナ。
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